みーんな、敵。(大惨事編、第3話)
タイトルが
物騒すぎて
笑えねぇ
ヤンデレにはヤンデレをぶつけるのが一番いいヤンデレの対策方法と知りました。
鎮守府の廊下では、最悪な空気が流れている。
まぁ、ここの鎮守府は俺の鎮守府ではないけれども…。
優斗「…」
優斗(胃が! 胃が痛い!!)
目の前では、とんでもない光景が広がっている。
亮太の鎮守府に在籍している、皐月と文月が俺の鎮守府から一緒に来た茜たちに向けて砲撃した。
それを見た、亮太が皐月と文月に怒っていたが…。
亮太「お前ら…」
皐月「だってさ、司令官が持ってたあの本に載ってた娘はみんな、あんな人達みたいにおっきいじゃん!」
亮太「…へ?」
文月「そうだよ~。みーんな、みんなおっきいもんね~。だから、て、き、だよねぇ~?」
亮太「…」
優斗「あの本? なんだそりゃ」
亮太「あ、えっと、それは、その…」
亮太が戸惑っていると、皐月と文月は執務室に戻りその本を持ってきた。
亮太「ちょっ!?」
優斗「お、おう…」
その本は、水着姿の女の子が色々載っている本だった。
しかも、ご丁寧に付箋が付いている。
皐月「司令官は、やっぱり大きい娘が好きみたいだから、ボクたちよりもおっきい娘を消しちゃえばいいよね?」
文月「まだまだ私たちは小っちゃいからね~」
優斗(あれ? これって、原因作ったのって亮太なんじゃね?)
亮太「そ、その本は、他の娘から没収したものだから、俺のじゃないぞ!?」
優斗(なんて滅茶苦茶な言い訳でしょうか)
亮太「だ、だから、俺は別におっきい娘が好きとかじゃないぞ!?」
皐月「へぇー。じゃあ、この本は捨てちゃって大丈夫だよね?」
文月「私たちよりもおっきいヤツ持ってる娘なんかを、司令官に見せるわけにはいかないからねぇ~」
亮太「い、いや、これは俺が処分しておくから、とりあえず、それを渡そうか、うん」
皐月「なんで?」
文月「やっぱり、司令官はおっきい娘が好きなんだぁ~」
優斗(もう放っておいていいかな?)
優斗は、目から光が無くなった状態で例の本を持った2人と何とかしてその本の処分を防ごうとする亮太の姿を見ながら、廊下に立っていた。
そうこうしている内に、また、めんどくさい事になった。
白露「おーい、提督~」
茜たちが、こっちに来てしまった。
こっちに来た理由としては、さっきの砲撃とかの事だろう。
けれども、タイミングが最悪だ。
皐月と文月がこんな状態になってしまったトリガーは、この本に載っている女の子のせいだ。
そして、その女の子はみんなおっきいナニかを持っている。
皐月と文月が消そうとしている、おっきいモノを持っている白露型がこのタイミングで来てしまった。
優斗「しらつ…」
茜たちにこっちに来るなと言おうとする前に、皐月と文月は茜たちに向かって艤装を構えた。
そして、砲撃。放たれた弾丸は、茜たち目掛けて一直線に飛んでいった。
が。茜は、飛んできた砲撃を自分の艤装でガードした。
おかげで、艤装は変形してしまっていたが。
亮太「お、おい!! お前ら何やってんだよ!!」
皐月「ボクよりもおっきいヤツは…。消す」
文月「司令官の目に入るのは、私たちだけで十分…」
優斗「白露、逃げるぞ。コイツら、ヤバい」
白露「今さっきの砲撃もこの娘たちだったんだね…。艤装壊れちゃったし…」
時雨「まさか、消してくるタイプのヤンデレだったとはね…」
村雨「いや、冷静に分析してる場合ではないと思うんだけれども…」
優斗「ていうわけで、亮太、後はよろしくー!!」
優斗と茜たちは、その場を亮太に任せてその場から逃げようとした。
しかし、そう簡単に上手くいくはずもない。
それどころか、数分後にあってはならない事が発生してしまった。
白露「まさか、こんな事になるなんて…」
夕立「こんなの聞いてないっぽいー!!」
春雨「どうしてこうなるんですかぁー!!」
五月雨「知らないですー!!」
海風「うわっ、また、飛んできた!?」
今度は、七海の方に向かって打ってきた。
いくら、艤装が硬いとはいっても、艤装は近接戦闘用ではない。
なので、何回も防ぐのは無理だ。当たり所が悪かったら、1発で壊れて使い物にならなくなってしまう。
山風「なんでこんな目にあわなきゃならないの…?」
江風「知らねぇーよ!! いきなり遠くから撃たれるし、近づいたら今度は至近距離から撃たれるし!!」
涼風「あれ? 優斗は?」
白露型「え?」
そういえば、優斗が見当たらない。途中までは一緒だったのに。
白露「ゆーくん…?」
茜は、急に心配になってきた。急いで、逃げてきた道を引き返す。
今さっきまでいた場所が近づくと、言い争っているような声が聞こえてきた。
皐月「離せよ! ボクは、アイツラらを消さないといけないんだ!!」
文月「司令官、邪魔しないで!!」
優斗「お前ら、一旦、落ち着け!! このまま砲撃を続けたら、お前らは解体されるぞ!!」
亮太「2人とも、落ち着いて!!」
優斗と亮太が、必死で皐月、文月を止めようとしている。
流石に、人間相手という事もあるのか、優斗に向けて砲撃はしてこなかった。
しかし、止めようとする優斗を振り払おうと、暴れる。
茜たちが戻ってくる。そして、優斗たちがいる場所についた瞬間、茜の目にとある光景が入ってきた。
皐月「邪魔だ、よっ!!」
皐月が思いっきり腕を振る。その時、艤装の一番硬い部分が優斗に直撃してしまった。
当たり所が悪いというのもあった所為か、優斗はそのまま床に倒れこんで動かなかった。
白露「え…」
皐月「あっ…」
白露「…」
その光景を見た、茜の目から光が無くなった。
茜が、皐月の方を見る。その目は、殺意を纏っていた。
白露「…さない」
茜が小さな声で言う。
けれども、全員の耳元で言っているのかと思うぐらい鮮明に聞こえた。
聞いた瞬間、全員の背筋が凍り付いた。
白露「絶対に許さない…!!」
一歩踏み出したかと思ったら、皐月の目の前に既にいた。
皐月「えっ…」
言い終わる前に、腹部に一発。一撃で皐月は気を失った。
白露「じゃあ、次。ね?」
今度はそう言うと、文月の目の前にゆっくりと移動。
それを見た文月は、床に座り込んでしまっていた。亮太は、何もできずにそこで怯えながら見ているだけだった。
白露「じゃあ、おやすみ」
文月の腹部にも、一発が沈んだ。文月も気を失う。
優香たちは、顔を真っ青にしながらその場面を見ていた。
言い換えると、誰も抵抗出来なかったというのが正しいのだが。
茜に抵抗できるのは、優斗が気を失っている以上、誰もいない。
2人を沈めた茜は、優斗の横に行くとそっと優斗を抱えた。
白露「行こう、優香。ここに居たら、ゆーくんに何が起こるか分かんないし」
時雨「え、あ、うん…」
そのまま、白露型と気を失っている優斗は海辺の方まで歩いていった。
そこで、茜は優斗を降ろした。優斗はまだ気を失っている。
白露「ゆーくん…」
時雨「お、お姉ちゃん…。流石に、アレはやりすぎだったんじゃ…」
優香が、茜に恐る恐る聞く。それを聞いた瞬間、茜はこう言い返した。
目にあるハイライトは、若干消えかけながら。
白露「ゆーくんを傷つけておいて、やりすぎはないでしょ? あのぐらいしておかないと」
時雨「えっ…」
白露「それにしても、あの娘たちももう少し考えればいいのに」
時雨「どういう事…?」
白露「そんなに好きなら、ずっと一緒にいて自分のモノだって証明すればいいのに」
時雨「いや、それはもうしてたみたいだけれども…」
白露「ふーん…。誰かを消したら、自分自身が大切な人と一緒に居れなくなる可能性が増えるんだけれどもね…」
時雨(もしかして…。お姉ちゃんも…)
優香が、茜の方を少しだけ見る。
何もなかったかのように言う茜を見ながら、自分自身の背筋がまた冷えていくのを感じた。
優香の頭には、自分自身の姉同然の扱いをしていた人が、いわゆるヤンデレ、というやつかもしれないという事がよぎっていた。
まだ、自分や由衣たちに被害がいってないだけマシなのかもしれないけれども。
優斗「あれ…? なんでこんなトコに?」
白露「あ、ゆーくん、目覚ましたんだ」
優斗「え? 俺、気失ってたのか?」
白露「まぁ、色々と巻き込まれてたからね」
優斗「そっか。しかし、アイツらどうしたらいいんだ…? 今はどうなってのか分からないけれども…」
白露「あの2人なら、今は寝てると思うよ?」
優斗「寝てる? なんでだ?」
白露「ちょっと暴れたから、疲れちゃったみたいだよ?」
優斗「そ、そうか…」
茜は、ウソをついた。
優香はその事にツッコミを入れようとしたが、今はそんな事をするべきではないと思い、そっと口を閉ざした。
優斗「さて…。鎮守府内に戻りますか…」
白露「う、うん」
少し、気まずそうに言う茜に疑問を浮かべながら、優斗たちは鎮守府内に戻っていった。
(次回に続く)
由衣「茜お姉ちゃんが恐ろしすぎるんだけれども…」
優香「そうだよね…。とりあえず、次回予告しようか」
由衣「次回で、この章は終わるみたいなんだけれども…」
優香「最近、滅茶苦茶雑になってるよね。作者のss」
由衣「まぁ、その程度の力しかないって事なんだろうけどもね」
優香「次回は、『皐月と文月のせいでまた困った』に続くよ」
由衣「タイトルがどシンプル過ぎる」
優香「次回もよろしくねー」
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