八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その14
八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その13の続き
――書店近くの公園にて
結衣「ごめんね、2人共。ホントはもっと落ち着いてからの方が良いかなって思ってたんだけど……」
いろは「いえいえ。わたしも良い機会だと思ってましたし。ね、先輩?」
八幡「全然良くねぇよ。そもそも何の話のために呼び出されたの、俺?」
結衣「あのね、ヒッキー。あたし、あたしは……」カァァ
八幡(え、何この展開。まさかとは思うが、これはもしや――)
結衣「あたしは、ずっと前からヒッキーの事が好きでした! もし良かったら、あたしと付き合ってください!」
八幡「……っ!」ドキン
いろは(結衣先輩らしく、いきなりストレートに来ましたねぇ。さて、先輩はどう出るか)
結衣「ヒッキー。返事は、今すぐじゃなくてもいいよ? 小町ちゃん、まだ大変な状態なんでしょ?」
八幡「お、おう。って、小町に何かあったって事、何でお前が知ってるんだ?」
結衣「ヒッキーがこの前怒ってた時の状況とか、さっきの小町ちゃんの様子とか見れば分かるじゃん」
八幡「マジか……。だが、小町の事を追及するのは――」
結衣「うん、大丈夫だよ。あたしもゆきのんも、それを探ろうとするつもりはないから安心して」
八幡「そう、か……」
結衣「だから、小町ちゃんが落ち着いたら、あたしの告白の返事、ちゃんと考えて欲しいの」
八幡「……善処する」
結衣「よろしくね、ヒッキー」テヘヘッ
八幡(以前から「もしかして」とは思っていたが、由比ヶ浜が本当に俺の事を好きだったなんてな……。しかも小町の事を持ち出されたせいで断るタイミングを逃しちまった)
いろは「せぇ~んぱいっ? 何ニヤけてるんですかね?」ムーッ
八幡「べ、別にニヤけてねぇよ」
いろは「可愛い女子に告白されて喜んでる先輩に、ここで1つ朗報がありますよ♪」
八幡「あん?」
いろは「何と! 先輩に、このわたしと付き合う権利をあげます!」
結衣(やっぱり、いろはちゃんも黙ってないよね……。でも、ヒッキーは多分……)
八幡「いらん」
結衣(うん、ヒッキーなら絶対そう言うよね。このままいろはちゃんが諦めてくれたらいいんだけど、多分そうはならないだろうなぁ)
いろは「えー!? こんな可愛い後輩と付き合えるんですよ? 嬉しくないんですか?」
八幡「いや、別に。そもそもお前が好きなのは葉山だろ」
いろは「でもわたし、この前葉山先輩にフラれちゃったじゃないですかー? だから、妥協も必要かなって」
八幡「え、妥協した結果俺なの? あんまりじゃない?」
結衣「ヒッキー! あたしは妥協でヒッキーに告白した訳じゃないからね! 誰よりもヒッキーの事が好きだから告白したの!」
八幡「お、ああ、そうか」ドキドキ
結衣(いろはちゃんは絶対にヒッキーが本命だなんて言わないし、ここはあたしがリードしてるハズ! なんだけど……)
いろは「ねぇ、先輩。わたしがこの前からお米ちゃんや先輩のために色々動いてるのって、何故だと思いますか?」
八幡「……知らねぇよ」
いろは「先輩の事が、好きだからですよ♪ わたしの中にあるこの気持ちそのものは、妥協でも何でもない、『本物』ですっ!」
八幡「本物、か……。って、変な事思い出させないでくれる? あれ俺の黒歴史なんだけど?」
いろは「忘れる訳ないじゃないですか。だって、あの時の言葉を聞いていたからこそ、わたしは先輩を好きになったんですから」
結衣「ヒッキー、小町ちゃんが落ち着いたらちゃんと決めてね?」
八幡(こうなった以上逃げようがないだろうな。逃げたら色々な意味で終わる。それに、あの時の俺の言葉も嘘になってしまう)
八幡(しかし、女の子2人から同時に告白されるのは本当に予想外だったな……)
いろは「先輩がわたしを選んでくれたら、毎日お弁当作ってきますよ♪」
結衣「あたしも! ヒッキーにお弁当とか色々作ってくるね!」
八幡「えぇ……。一色は料理上手いの知ってるが、由比ヶ浜は……」
結衣「あたしだって料理練習してるし! 今度はちゃんと美味しいって言わせ……あれ? ヒッキー、今いろはちゃんは料理上手だ、って言わなかった?」
八幡「ん? それがどうかしたのか?」
結衣「どうかしたのか、じゃないよ! いろはちゃんの手料理を食べる機会なんて、ヒッキーにはなかったはずでしょ!? 一体いつ食べたの!?」
いろは「ついこの間、わたしが先輩の家にお邪魔してお米ちゃんと一緒に夕食を作ったんですよ」フフン
結衣「む~!」
いろは「結衣先輩には悪いですけど、先輩はわたしが頂きますね♪」
結衣「まだ負けた訳じゃないし! ここからあたしが逆転するんだからね!」
八幡「喧嘩は後でやってくれ。それよりも、さっさと小町の様子を見に戻りたいんだが」
いろは「先輩は本当にシスコンですねー。まあいいですけど」
結衣「確かに気になるし、そろそろ戻ろっか。じゃあ一緒に行こ、ヒッキー」ギュッ
八幡「お、おい。いきなり腕にくっ付くなよ。当たってるんだが……」
結衣「ヒッキーのエッチ」ジロ
八幡(仕方ないだろ。腕に当たってるアレの感触がヤバ過ぎんだよ)
八幡(こいつに匹敵するサイズの持ち主なんて俺の周りじゃ雪ノ下さんくらいしかいねぇぞ。もちろん姉の方の)
いろは(むむむ~! わたしも牛乳飲んだり色々やってるんですけど、どうしてこんなに差がつくんですかね……)
いろは(でも、負けてはいられません! 雪ノ下先輩に勝つためにも、まずは結衣先輩を倒させてもらいます!)
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