八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その17
八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その16の続き
――数日後、中学校からの帰り道
小町「うぅ……や、やっぱりお兄ちゃんに迎えに来てもらった方が良かったかなぁ」ブルブル
小町(大志くんは、体調が優れないという理由で今日は早退してしまった。だから、今日は久し振りに1人で家に帰らなくちゃならない)
小町(最近は段々調子が良くなってきているって思ってたけど、1人で道を歩くのはまだ怖いなぁ……)
ザッ、ザッ、ザッ……
小町(あれ? さっきから、ずっと後ろで足音がついてきてるような……気のせいかな?)ブルッ!
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……
小町(た、たまたま、家が同じ方角なだけかもしれないし! 偶然、だよね?)
ザッ……
…………
小町(足音が聞こえなくなった? なんだ、やっぱり何でもなかったね)ホッ
小町(よし、こういう時は適当に別の事でも考えよう。例えばーーそうだ、お兄ちゃんのお嫁さん候補なんかが良いかな?)
小町(小町的には、現時点で第一候補がいろはさん、第二候補は結衣さんだね。雪乃さんは、最近微妙かも)
ザッ、ザッ!
小町「えっ!?」ブルッ!
小町(またあの足音が後ろから……。まさか、本当に誰かがついて来てるの? このまま家までついて来たりしないよね?)
ザッ、ザッ、ザッ……
小町(もう、駄目。我慢できない)ブルブル
小町(確かめなきゃ。後ろにいる人が変な人じゃないって確かめないと、小町もう耐えられないよ!)バッ!
??「……」
小町「あ……あぁぁ……!」ガクガク
??「ちっ、見つかったか。よう、比企谷さん」
小町「どうして? 黒田くんの家、こ、こっちじゃ、ないよね?」
黒田「今日は川崎の奴が早退したって聞いてな。チャンスだと思ったんだよ」ズイッ
小町「ひっ! こ、来ないで!」
黒田「なぁ、いいだろ? 俺と付き合えよ」
小町「小町にもう近付かないって、この前学校の先生や保護者の前で約束したはずだよね!?」ブルブル
黒田「ああ。約束したな。だから、今日までちゃんと約束は守ってきたじゃないか」ニィッ
小町「そんなの、約束を守ったとは言わないよ! 二度と近付かないで!」
黒田「意地を張るなよ。丁度、今周りに通行人がいねぇんだしさ。なぁ?」ガシッ!
小町「っ、腕を離してってば!」
黒田「この前は邪魔が入ったからなぁ。川崎の奴なんかに渡すかよ!」ググッ
小町「ひ……あぁぁ……」
小町(こ、声が思うように出ない。誰か、誰か助けてー!)
雪乃「――そこまでよ!」
小町「え……!」
黒田「あ? 誰だ?」
結衣「ゆきのーん、待ってよ、はぁっ、はぁ……。あ、小町ちゃん!」
小町「ふ、2人共、どうしてここに?」
雪乃「ごめんなさい、小町さん。あなたの事情について、実は少し調べさせてもらっていたの」
雪乃「情報収集の過程で中学校に寄った時に、小町さんといつも一緒に帰っている川崎さんの弟さんが早退したと聞いて、慌てて飛んで来たのよ」ハァ、ハァ
小町「それで、このタイミングでここに来たんですか……」
黒田「ちっ、比企谷さんの知り合いかよ。だが、俺はまだ何もしてねぇぜ」
雪乃「いいえ。あなたが小町さんを強引にそこの茂みへ引き込もうとした場面を、私ははっきり見たわ。スマホのカメラで動画も撮らせてもらった」
雪乃「これだけ証拠が揃っていれば、言い逃れは出来ないわよ」キッ!
結衣「小町ちゃんにひどい事しようとしたの、あたし絶対許さないからね! 年度の納め時だよ!」ビシィィ!
小町(結衣さん、それは「年貢の納め時」の間違いでは……?)
雪乃「……」ハァ
黒田「だったら、その証拠とやらを撮ったスマホを壊せばいいだけだろ!」ガッ!
結衣「ゆきのん!」
小町「雪乃さん、危な――」
雪乃(あなたのような愚かしい人間の考える事など、最初からお見通しよ!)
雪乃「甘いわ!」ガシッ、ブンッ!
黒田「うっ、うわぁぁぁぁ!」ドサァッ!
雪乃「他愛もないわね。これであなたは終わりよ」
小町「おお、見事な一本背負い……!」ホエー
結衣「さすがゆきのん、容赦ないなぁ……」アハハ
雪乃「小町さん、大丈夫だったかしら?」
小町「は、はい。あの、助けて頂いてありがとうございました!」
雪乃「いいえ、気にしないで。何とか間に合って何よりだったわ」
結衣「あとは警察に任せればいいのかな、ゆきのん?」
雪乃「ええ。前回のように、学校に隠蔽させる訳にはいかないもの」
雪乃「もっとも、私がこうして直接手を出した以上、私の実家も今回の一件に噛む事になるでしょうから、どの道結果は同じになるとは思うけれどね」
結衣「これにて一件落着、かな? 良かったね、小町ちゃん」
小町「はい。結衣さんもありがとうございました」ペコリ
結衣「あはは、あたしは大した事してないよ」
ピーポーパーポー……
雪乃「警察も到着したようね。あとは比企谷君にも連絡を入れておこうかしら」
結衣「じゃあ、あたしから連絡しておくね。もしもし、ヒッキー? あのね……」
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