八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その19
八幡「また性犯罪者呼ばわりか……」その18の続き
八幡(小町の一件が解決してから、早1週間が経過した)
八幡(小町に危害を加えようとした男子生徒は、雪ノ下家の力添えもあって遠くへ引っ越しさせられる事になり、小町もかつての日常を取り戻しつつある)
八幡(そして、俺もーー)
八幡「うっす」ガララッ
雪乃「こんにちは、比企谷君」ニコッ
結衣「やっはろー、ヒッキー! 平塚先生の呼び出しはもう終わったの?」
八幡「ああ。小町の調子について聞かれたから、もう問題なさそうだと答えておいた」
雪乃「小町さん、今はもう1人で登下校しているのよね?」
八幡「完全に調子も取り戻してきたみたいだし、すっかり元通りだ」
結衣「ヒッキーも、もういつも通りだもんね。今日は久し振りに彩ちゃんにデレデレしてたし」ムー
八幡「当然だ。戸塚の笑顔には癒しの効果があるからな」
結衣「うわぁ……」ドンビキ
雪乃「本当にいつも通りに戻ったわね、あなたは」ヤレヤレ
――ガララッ!
いろは「こんにちはー! お、今日は全員揃ってるんですね!」
結衣「いろはちゃん、やっはろー」
雪乃「いらっしゃい、一色さん」
八幡「何だ、来たのか」
いろは「はいっ。先輩が最近奉仕部に戻ったらしいって、お米ちゃんから連絡を貰ったので」エヘッ
八幡(え? こいつら、いつの間に連絡先交換してたの? 初耳なんだけど?)
雪乃「それで、一色さんは奉仕部に何の用かしら? 依頼があるのなら話は聞くわよ」
いろは「いえ、別に依頼があるという訳ではなくてですねー。先輩の答えをそろそろ聞かせてもらいたいなーと思いまして」
雪乃「!」
結衣「……ゴクリ」
八幡「答えって、その、アレの事か?」
いろは「はい、そのアレですっ♪ もちろん、逃げたりなんてしませんよね?」ジロリ
八幡(一色だけじゃなく、雪ノ下や由比ヶ浜もこっちを見ている。逃げたくても逃げられそうにないな)
八幡(小町からも何度も背中を押されたし、答えを出すしかないか)
八幡「一色。由比ヶ浜」
結衣「なっ、何かな、ヒッキー?」ドキドキ
いろは「……」ソワソワ
八幡「まあ、その、何だ。お前達への返事だが、俺は――」
雪乃「ごめんなさい、少しいいかしら?」ガタッ
結衣(やっぱり、ゆきのんはそう来るよね……)
いろは(というか、雪ノ下先輩、まだだったんですね。なかなか勇気が出なくて躊躇ってたのかもしれませんが……)
八幡「何だ、雪ノ下?」
雪乃「私は、今まで比企谷君に色々な事を言ってきたわ。あなたに嫌な思いをさせた事も、たくさんあったはずよ」
八幡「別に、色々言われるのはもう慣れてるし気にしてねぇよ。大体、それについてはこの前謝られたしな」
雪乃「……私は、奉仕部の活動を通じて、あなたという人間の事を少しずつ知っていった」
雪乃「最初は変な人だと思っていたけれど、いえ、今も変な人だとは思っているのだけど」
八幡「おい」
雪乃「でも、あなたの事が嫌いな訳ではないの。むしろ、その逆で……私は……!」ブルブル
雪乃「……」スゥー
雪乃「――私は、あなたが好きよ。比企谷君」
八幡「ゆ、雪ノ下……も、だったのか」
雪乃「ええ。由比ヶ浜さんや一色さんと同じよ。こんなタイミングで割り込むのは申し訳ないと思っているけれど、私にも譲れないモノがあるの」
雪乃「だから、比企谷君。私も含めた3人のうち、誰を選ぶのかを、あなたには決めて欲しい」
いろは「はぁ、これまた随分と急ですねー」
結衣「うん。でも、ゆきのんがこのまま引っ込むとは思えなかったし、来るとしたらこのタイミングしかないよね……」
雪乃「2人共、ごめんなさい。だけど、私も諦める訳にはいかなかったから」
結衣「大丈夫。分かってるよ、ゆきのん」ギュッ
雪乃「ありがとう、由比ヶ浜さん」
いろは「ま、仕方ないですね。雪ノ下先輩を倒さないまま先輩を射止めても、後でひっくり返される可能性がありますし」
雪乃「比企谷君、改めて返事をお願いできるかしら? あなたの正直な気持ちを、聞かせて欲しい」
結衣「うう~……!」ドキドキ
いろは「……」
八幡(雪ノ下からここで告白されるのは、正直予想していなかったな。いや、そもそも雪ノ下が俺の事を好きだったとは思わなかった)
八幡(だが、俺の答えは既に決まっている。決まっているからこそ、俺は先程それを告げようとした)
八幡(雪ノ下の告白は、俺が予め用意していた答えを覆し得る程の衝撃を持ち合わせていた。あの雪ノ下からの告白に、動揺しなかったと言えば嘘になる)
八幡(3人の少女達からの告白に対して、ここで俺が出す答えは――)
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