フランスで出会った少女と婚約した。こ
これは僕が人生で初めてのフランス旅行に行った時の話。
その日、僕はシャルル・ドゴール空港からパリ市内に降り立って、駅へと向かうバスに揺られていたのだが…………そこでちょっとした事件に巻き込まれてしまったのだ。
「あれ? ひょっとしてあなた日本人?」
と、その時である。隣に座っていた女性に声をかけられたのは。
「はい、そうですけど」
突然の出来事に驚きつつ答える僕。すると彼女はニッコリ笑ってこう言った。
「Comme c'est gentil!(いいね!)」
これが彼女の第一声だった。発音も完璧だし、なにより驚いたことにこのフランス語には聞き覚えがあった。そう、それはつい最近まで見ていたアニメの主人公が喋っていた言葉と同じものだったからだ。
「えっと、あの…………」
僕の困惑をよそに、女性は楽しそうな笑みを浮かべたままペラペラとまくしたてる。嬉しそうに語る彼女だったが、僕はいまいち状況についていけなかった。とりあえず少し落ち着かせようと、僕は彼女を宥めることにする。
「あ、あのすいません。おっしゃっている意味がよく分からないのですけれど…………」
「ああごめんなさい、いきなりこんなこと言われても信じられないわよね」
すると彼女は申し訳なさそうに手を合わせて謝ってきた。
「自己紹介がまだでした。私はユーリア。突然だけど…私と結婚して下さらない?」「はいぃ!?」……どうやら彼女の方も、色々と混乱していたらしい。
***
数分後―――。
ようやく落ち着いて話を聞くことができた僕らはお互いの身の上を話すことにした。と言っても彼女が話してくれた内容は簡単なもので、彼女は現在パリに住んでいる日本人の女の子なのだそうだ。そしてその趣味は漫画を描くことで、「日本の少女漫画に憧れているんです!」という事だったので、おそらく僕の読んでいた『君の名は』を読んでくれていた人だろうと思ったりしたわけだ。まぁでも考えてみれば確かに、僕自身もフランスの漫画家さんの漫画を読みながら、自分もいつかこんな漫画描いてみたいなと思っていたりするからなー……。だからこうして出会えたのは嬉しいかも? ただ……困ったことに、彼女は結婚相手を探していたのだという事がわかったのだ。しかもただのパートナーじゃない。所謂フィアンセ(婚約者)探しって奴である。
というのも彼女、家のしきたりで16になったら結婚する必要があるらしい。いや親の人、相手決めてくれよとは思う。ただまあ…めっちゃかわいい。
「分かった…結婚するよ」「本当ですか!? やった~!!」
思わずそんな言葉を呟く僕に対して喜ぶ彼女を見て、ふと考える。
(……うぅん?)
というか待てよ?……じゃあその前に何歳なんだろ? 16っていうのはつまり、未成年…?いや16ならギリ大丈夫だ。しかし相手が外国人となると……果たして許されるのか?…………。…………いやまぁ別にいいじゃないか! 可愛い女の子が僕と結婚してくれると言っているんだし!! よし決まりだ。あとは何年待つことになるのか知らないけれど待ち続けるのみだ!!……と決意を固めたその時だった。ブーッ!!……突然バスの中に鳴り響くアラーム音。それに続いてスピーカーからは慌ただしく喋る男性の声が聞こえてきた。
《えー、乗客の皆様!もうすぐパリ北駅に到着しますので降りる準備をして下さい》 ……どうやら目的地に到着したようだ。ちなみにこのバスはパリのメトロ路線図でいうD線にあたる路線で走って来たものなので北駅まではまだ数駅あるはずだ。ということは……えぇっと、このバスが北駅に着く時間は大体30分くらい。そこから乗り換えて今度は東の方に向かうから……だいたい2時間ちょいか……まあなんとか行けるかな……? ともあれここで降りなくては大変なことになりそうな予感があった僕は、慌ててカバンを持って立ち上がる。隣では彼女にも荷物をまとめてもらいながら二人でバスの出口へと向かった。
***
パリ・ノール駅にて――。
バスから電車へと乗り換えた僕らは一路目的の街へと向かうため、フランス国鉄に乗り込んだ。時刻は既に午後6時前になっていたものの、相変わらずの人の多さだ。
そんな中を進みながら、俺達はユーリアの家に行った。
「広っ…」
彼女の家は300年続く財閥の本家らしい。土地だけで東京ドーム位ありそうだ。
「ココは別荘なんだけどね」そう言って彼女は笑ったが、僕にとっては十分豪邸だと思うけどな……。それにしても彼女のお父さん凄い。娘にここまで広い家を与えるなんて。まあ日本でも昔は、自分の嫁入り道具を持たせる為に娘の家を改造させたとか聞くし、きっとそういう事なんだろう。「あーそういえばそうね。うちも同じことをしてるかしら?」うん知ってたけどね!「そういえばさっき連絡した時に『明日そっちに行くから宜しく』と伝えといたのだけれど」ああそう。……まぁいっか。
そうそう話を戻そう。彼女のお父様(一応社長らしい)は多忙な人で、今日もこれからどこか他の場所で会議があるという。だから僕は彼女の部屋に行って泊まることにしようと思ったのだが、彼女はそれを断ってこう言った。
「私も貴方について行きますわ」――
「という訳でこれからどうすれば良いと思う??」
僕の目の前には今、一人の女性が座っていた。それは金髪碧眼の女性……先程知り合ったユーリアだ。彼女は僕の方を向きつつ、手に持ったノートを開いてペンを走らせている。どうやら漫画を描いているらしく、絵も上手い。
「何それ?」
「父に見せたくて」
「そっか」
「ていうかこんな簡単に高級ホテルって借りられるんだね」
「私の家が所有しているので」彼女は僕に向かって自慢気に答える。
――という訳で話は少し戻るが、結局僕達は二人共ついて来る事に決めたのだ。ただ彼女は漫画を描くのに集中したいとの事で、今回は別々に行動する事になるらしい。だからこうして僕の部屋にいるというわけである。……いや僕としては美少女が自分の部屋にいて嬉しいようなそうでないような微妙な気持ちだけど……。
「で、何の話だったっけ」「まず最初にやる事ですわ」……そうだよねー……、分かってるんだけどちょっと考えちゃうのよ……。まあ取り敢えずはお金かな。
「まず…あなたには婿になってもらうけど」
「まあ俺には兄がいるからそこは問題ないよ」
「それから…結婚したら金は全てあなたと私に引き継がれるわ」
「ええ…」なんだそれ。金持ちこえーよ……。でも結婚ってそういうものだから仕方無いか。しかしそんな僕を見てか彼女が口を開く。
「もちろんちゃんと理由があってよ。あなたのお爺さんのお墓、どこにあるか知っているかしら?」…………あ。
僕は思わず黙り込む。しかしそれもそのはず。何故なら僕達家族は皆同じ先祖代々の墓に入っているからだ。つまりもし彼女と婚約するとなれば当然、そこに入ることになる…………あれ……?待てよ……これってもしかするといい事じゃない?
「良いの?」
「良いよ…どうせ俺、逃げて来たようなもんだし」
というのも俺は子どもの頃から親に暴力を受けていた。フランスに来たのも両親から逃れるためみたいなものだ。今更あんな親と同じ墓に入るか。まあそんな事情を知ってか否か、ユーリアは小さく微笑んで、「決まりだね」と言った。
ちなみにこの後で分かったことだが、彼女の父は僕と似たような立場の人物らしい。ただし彼とは違い、彼女は母と共に日本に留学していた為あまり日本に思い入れは無いのだという。また彼女は、日本で出来た友人達にこの事を知られないようにするためにわざわざフランスに帰らず、このまま父の所で暮らすつもりなのだと言う。しかし、やはり心配なので定期的にこちらに戻って様子を見に来るとのことだ。まあ僕からしてみれば彼女も十分凄いと思わなくも無いけれど、やっぱり財閥の娘となると違うのだろうか。……話が脱線してしまったな。僕は再び彼女の言葉を聞き直す。そういえばさっきから彼女がずっと手を動かしているなぁと思っていたけれど、どうやらノートではなく日記帳らしい。
彼女の話を纏めるとこういうことだ。
1,ユーリアは俺と結婚する。
2,結婚にあたって俺は彼女の婿になる。
3,そして5年以内に子どもを作る。
…まじ?
俺、この人と子作りするの?
ユーリアに妊娠させるの?
「あの、ごめん。もう1回言ってもらっても良いかな」
「だから私と結婚して、夫婦になればあなたは私の夫になれるって事よ」
うん。確かに聞いた通りだね。まあそうだよな。……ん? ちょっと待った。
「そもそもさ、なんでいきなりそうなるんだよ」
「父からの命令なの。それにあなたにとっても悪い話ではないでしょう?」
「いやまぁそうだけど……」なんだろう、何かが引っかかるような気が……。まあいいか。とりあえずは彼女の話を聞こう。
「実は私、貴方の事前から気になっていたのですわ」
「は? どういう事?」
「貴方、今まで私が会った男の中で一番素敵だからですわ」
「……は?」
今なんて言った? 聞き間違いじゃなければ俺を褒めた? え? マジで!?嘘だろおい! こんな可愛い子にそんなこと言われる日が来るとは夢にも思ってなかったぜ!!
「という訳だから宜しくね」
「あ、はい。分かりました」思わず敬語になってしまった。しかし彼女は特に気にした様子も無く続ける。
「ああそれと、私の家、ここじゃなくて日本なんだよね」
「あ、ああそう…」
「安心して。私の家、あなたのお父様が勤めてらっしゃる会社の親会社なの」
「えっ…?」
「だから多分大丈夫だよ」何が大丈夫なのかよく分からない。ていうか何で僕の父親が働いてるところ知ってるんだろう……。まあ取り敢えずはいいや。
「あともう一つあるんだけど」「何ですか」
「一応、貴方のお兄さんとも仲良くなっておきたいのよね」
「……はい」
「だから私、日本に行くんだけど…あなたも来ますか?」
「分かりました…」
「私達結婚するのですよ?敬語なんて不要です」
「はぁ…」
「ねえ?…旦那様」
ぐふっ!な、何だ今の言葉…可愛すぎるぞ……。しかも上目遣い……やばい。これはやば過ぎる。僕は思わず顔を逸らしつつ答える。
「分かったよ……ユーリア」
「はい」彼女は満足げに微笑むと、日記帳を開いてペンを走らせ始めたのだった。僕達は飛行機に乗り、日本へとやって来た。
「……本当に来たんですか」空港に着くなり俺の兄がいた。
「実の弟に対して随分失礼じゃないですか」
「ユーリア…良いから」兄さんは呆れたように溜息をつく。僕だって好きでここにいるわけじゃないんだよ。
「それで、これからどうするんだ?」
「取り敢えずは私の家で暮らしてもらうわ」
「え? 一緒に暮らすのか?」
「当たり前じゃない。夫婦になるのだから当然でしょう?」
「まあそうか…」
「ちょっと待て。お前今この子と結婚するって」
「そうだけど?この事を兄さんにとやかく言われるつもりはないから」「……はぁ」
僕は兄の言葉を遮るように言うと、彼は大きくため息をついた。それから僕ら3人はタクシーに乗り込み、ユーリアの家へと向かった。ちなみに彼女の家は都内にある超が付くほどの豪邸らしい。
「着いたわよ」
「えげつないな…」
パリの別荘より大きい。というか学校に行く途中にやたら大きい家があるなぁとか思ってたけど、まさかここに住むとは…
「それでは行きましょう」
そう言って中に入っていく彼女について行く形で家の中に足を踏み入れる。するとそこにはメイド服を着た女性が数人待ち構えていた。
「おかえりなさいませ!お嬢様」
「ただいま戻りました」
「そちらの方々は?」
「私の旦那様とそのお兄様です」
「そうでしたか」
「何でこんな違和感ないのかな」
「そりゃあこの家の人達全員日本人だからじゃないか」…………。
「え?そうなの?」
「知らなかったのかよ!」
「まあまあ落ち着いてくださいまし」ユーリアが苦笑しながら宥める。
「申し遅れました。私の本名は桜坂結璃愛と申します。ユーリアというのは偽名です」
「桜坂…!?」
兄さんが驚くのも分かる。桜坂、つまり大財閥の「桜坂グループ」の娘だったのだ。俺の親が働く会社の親グループであり、総資算は数兆円とも言われているのだ。
「お二人共どうかしました?」
「いえ、何でもありません」「ああ、気にしないでくれ」
「それより、荷物を部屋に運び込んで頂戴」
「かしこまりました」
「あの、俺はどこで寝れば……」
「貴方の部屋なら用意してあるわ」
広っ…何この部屋。
「では…始めましょうか」
「何を?」
「子作りです」
「はいぃ?」
いきなり過ぎませんかね?ていうかもう夜だし……。
「早くしてくださいね」と言って彼女はベッドに潜り込んだ。僕は仕方なく彼女に近づき、キスをする。そしてそのまま押し倒した。……ん?何かおかしいような気がするぞ……?
「ちょっ!ストップ!ストーップ!!」
「どうされました?」
「いやその……あれだろ?普通は逆だよね?」
「そんなことございませんでしたよ?」
「いやいやいやいや!絶対違うだろ!」
「旦那様は攻めたいのですか?」
「えっ、えっそういう訳じゃ…」
「…えっちなお方ですね」
(ビクンッ!)
もう…我慢できない。
「いただきます」
「きゃあっ♡」
こうして僕の理性は完全に崩壊したのだった。……翌朝、目が覚めた時、隣には誰もいなかった。その代わり、机の上に一枚の手紙があった。内容はこうだった。
『おはようございます。昨晩はとても激しかったので、
「腰を痛めてしまいました」
なので今日一日は安静にしておきます。
また明日』……嘘つけぇ!!
「はぁー疲れたぁ〜」僕はソファに倒れ込むようにして座る。
「おつかれさまです」彼女が紅茶を持ってきてくれた。
「ありがとう。ところで朝ご飯は何だい?」
「パンケーキを作ってみようと思います」
「おお〜美味しい奴頼むよぉ〜」
その後出てきた朝食を食べた後、僕は彼女に話しかけられた。
「あの早速お願いがあるのですが」
「何ですか?」
「兄の事なんですが」
「彼には帰ってもらいました」
「ああそう」
「邪魔な存在にはご退場してもらったのでこれで思う存分あなたの思うがままにできますよ」
「思うがままにって…」
「今からでも…します?」
「うぐぅ……」……結局その日はずっと彼女とイチャイチャして過ごしたのであった。
僕と彼女の新婚生活が始まった。まず最初に驚いたのは家事全般を全てこなしてしまうことだ。料理はもちろんのこと掃除洗濯など全て完璧である。ちなみに彼女の得意分野は裁縫らしい。
「凄いなぁ」
「これくらい当然ですよ」
次に驚かされたのは、仕事の速さ。彼女は毎日定時になると仕事を終わらせて帰宅してくる。もちろん残業なんてものは存在しない。一体どうやっているのか気になって聞いてみると、「企業秘密です」と言われた。
それから数日経ったある日。
「あなた、少し相談したいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
「いいけど、どんな内容?」
「実は私、欲しいものがあるんですよね」
「へぇー、それは?」
「子供です」…………はい?
「だから子供がほしいと言っているのですよ?」
「いや、ちょっと待ってくれ。まだ結婚すらしていないんだぞ?」
「大丈夫です。ちゃんと籍を入れて式を挙げれば問題ありません」
「いや、そういう意味じゃないんだけど……」
「ではどういう意味でしょう?」
「君はまだ高校生じゃないか。だからもう少し大人になってから……」
「私はもう十分大人のつもりです。それにあなたとの子供ならいくらいても困りません」
「……」
「それとも、嫌なんですか……?」うるっとした目で見られる。
「分かったよ……ただし、避妊だけはしっかりしてくれ」
「分かりました」
「でもまあ…式は挙げた方が良いよね」
「まあそれは…」
…あれ?俺まず告白もプロポーズもしてないんじゃない?それ大丈夫?やっぱそういうのしといた方が良いかなぁ…でもどうやって…俺18年間で彼女すらできた事ないし…告白しても3戦全敗だし。「どうしましたか?」
「いや、何でも無い」
「そういえば、そろそろ生理が来る頃なのですが」
「えっ!?」
「どうかされました?」
「いやその、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ、えっ」
「落ち着いてください」
「あっごめんなさい」
「それでですね」
「うん」
「もし妊娠していたらその時はよろしくお願いしますね♡」
「はい」……もう考えることをやめよう。「じゃあそろそろ寝ましょうか」
「そうだな」……そしてその夜、僕は初めて彼女と結ばれた。
「痛くなかったかい?」
「はい♡」
「良かった」……こうして僕達は夫婦になった。
「おはようございます」
「おはよう」「今日は何を致しましょうか」
「今日は天気も良いし散歩でもしようか」
「良い考えだと思います」
「じゃあ行こうか」
「はい」
「そう言えばさ」
「何でしょう?」
「僕のどこが好きなんだ?」「顔ですかね」
「即答!」
「冗談ですよ。全部好きです」
「ありがとう」
「いえ」
「ところで君はいつから僕を好きだったの?」
「一目惚れです」
「マジで!?」
「はい」「全然気付かなかったよ」
「鈍感さんですからね」
「うぐぅ」
「ふふ」
「これからもずっと一緒に居てくれる?」
「もちろんですよ」
「ありがと」
「こちらこそですよ」
「愛しているよ」「私もです」
「ずっと一緒だよ」
「もちろんです」
「ずっと好きだよ」
「私もです」
「死ぬまで一生」
「私もです」
「死んでからも」
「私もです」
「生まれ変わってもまた君に会いたい」「私も同じ気持ちです」
「また会おう」
「必ず会いに行きます」
「ずっと待っている」
「いつまでも待っていて下さい」
「ああ、約束する」
「私もです」
「おやすみ」
「おやすみなさい」「大好きだよ」
「大好きなのですよ」
「愛してる」
「愛しています」
「来世でもきっと出逢えるよ」
「絶対に出逢いましょう」
「それまで待っててね」
「待ち続けています」
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
「「チュッ」」
「それでは行ってきます」
「気を付けて行ってくるんだよ」
「あなたも仕事頑張ってくださいね」
「うん」
「それでは」
「いってきまーす」「いってらっしゃい」……あれ?これ新婚旅行じゃない?まあいいか。………………
「ただいま帰りました」
「おかえり」
「ご飯にしますか?それとも先にお風呂に入りますか?」
「ご飯かな」
「分かりました。今すぐ作りますね」……あれ?これもしかしなくても通い妻?まあいっか。
「いただきまーす」
「どうぞ召し上がれ」
「美味しい!いつも通り最高だよ!」
「それは良かったです」
「毎日食べれるなんて幸せ者だなぁ……」
「そんな事ありませんよ」
「あるよ〜」
「私はあなたの奥さんになれただけで幸せなのですから」
「そ、そうですか」
「はい♡」…………
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「食器洗っとくね」
「ありがとうございます」
「今日はもう遅いし寝ようか」
「そうですね」
「じゃあ寝室に行って寝よう」……そして二人は仲良く寝始めた
「ん〜おはよう〜」
朝起きても隣にはもう誰もいなかった……当たり前の事なのだが何だか虚しく思う。
「朝食でも作るか……おっパン焼けてるやんけラッキー!これで良いか。よし、後は野菜とか目玉焼きを皿に移せば完璧」
〜数分後〜……出来た料理を盛り付けてると彼女が起きてきたみたいで、「ふわ~眠いよ〜お兄ちゃんお腹空いたよ〜」と聞こえたので、盛り付けていた手を止め、リビングに向かって歩き出した。ガチャ……
「おおおはよう、早起きしたんだ。偉いとほねひゃんのおふ?」……モグモグしながら近づいてきて突然口に食べ物を入れながら抱きついてきた……全く困っちゃた娘だよ〜これはちゃんと言った方が良いかと思って口から出してもらった。そして一言「食事中だからそういう事はしちゃ駄目だよね?」と言うと「あっそうだね、ゴメンなさい……次からはしないようにするから嫌いにならないでください(́・ω・)」
「大丈夫だよ」頭を撫でつつ「じゃあ冷めない内に食べようか」と言う。彼女は「はい!」と言って嬉しそうにしていた。その日は特に何もせずに家で過ごした。
ある日、仕事中に「ちょっとコンビニ行って来るから」
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