またまた提督になった死人[諫田政一]
諸注意は第一作を…
世界と世界の間で引越した政一達…
これで安心!!とは行かない。
またまた乱闘アンド惚気の日々が繰り広げられる。
ー人物紹介(一部)ー
[提督 諫田政一]
一言で言えば[人外]
見た目は粗日本人だが背が高く目が蒼い
愛刀は蒼鷺と黒鷺
二振り共政一が一から造り出した
刀身の色が名前に繋がっている
最近妖刀となったらしく、噂では女の子になるとか…
皆の頼れる纏め役で女誑しで居ないと困る存在
一時は提督を辞めていたが復帰した
武器開発なら刀剣は勿論銃火器や主砲に魚雷も御任せ
準対物狙撃銃を開発して民間に千丁限りで散蒔いた
[諫田早紀]
大本営元帥の娘さん
強制的に結婚させられたが本人は満足してるらしい
旧姓は古市
政一よりはマシだが人外要素を持つ
身長が稍低く髪は長めの茶色っぽい黒
目は白が若干入った黒
「○○っす」と語尾に付けるがキレると付けなくなる
怒らせると怖い存在
[中枢棲姫]
二人いる内の先に来た方
政一に惚れた様でずっと着いて来る
深海棲艦の纏め役を担うが政一に任せ切りな面も…
少しポンコツな所が有るらしい
[中枢棲姫(深)]
二人いる内の後から来た方
政一が裏切った時に襲撃を起こした
政一を本拠地に案内し共に暮らす
何やら政一に惚れているという噂が…
[ほっぽと北方棲妹]
北方棲姫と北方棲妹の姉妹
北方棲姫は二人いる為先に来た方はほっぽ呼び
ほっぽは政一と結婚(仮)した
ほっぽからすれば願ったり叶ったり
北方棲妹は最初こそ敵対していたが
女誑しの政一には勝てなかったらしい
[北方棲姫]
深海棲艦側の北方棲姫
政一は嫌いでは無いらしい(好きでも無いそうで)
情報伝達には北方棲姫の艦載機を使う事も有る
[南方棲戦姫]
政一の開発した銃の弾薬を製造していた
ヤッてた所に弾薬を届けた所自分も混ぜろと乱入
結果政一が責任を取る形で結婚(仮)
会う回数こそ少ないが愛情は冷めていない様子
[諫田美咲]
奴隷商人から買い取った元奴隷
政一は面倒を見られないからと艦娘が面倒を見ている
母親の突撃を躱し平和に暮らしている
背は低いが綺麗で短めな黒髪と黒く澄んだ目を持つ
[上野真衣]
呉から逃げて来た女性提督
指揮の腕は悪くない様子
政一に恋をしているとか
身長は普通で淡く長い黒髪と薄茶の入った黒目を持つ
[ハインリヒ・フォン・ヴァインシュタイン]
施設生まれのドイツ軍人
長ったらしい名前は[ハイン]と略される
爆弾の爆発に巻き込まれて政一の居る世界に飛ばされた
右腕や左脚、右眼に欠損が有ったが全て治した
現在は戦闘から執務へと活動環境を移している
髪と目は黒い
[ハンス・フォン・オットー]
此方も施設生まれのドイツ軍人
次に紹介する[シャル]と共にハインを探していた所を
死神に連れて来られた
皆からは[ハンス]と呼ばれている
若干脳筋寄りだが割と信頼されている
執務担当だが稀に戦闘に参加している
目付きが悪く金髪でかなり日焼けしている
目は青
[シャルロッテ・フォン・フリードリヒ]
矢張り施設生まれのドイツ軍人
ドイツ軍人三人組唯一の女性
軍人として活動していた為其処等の男より力が強い
皆からは[シャル]と呼ばれている
政一に迷惑を掛けるが逆に指輪を贈られた
現在は執務で貢献している
短い金髪に青い目を持つが目が細く気付き難い
[死神]
物騒な名前だと言いたいが実は本物の死神である
其の証拠に触れるだけで相手の命を奪う事が出来る
実は政一の後輩であり政一の事を[先輩]と呼ぶ事が有る
政一は元[死神]である
見た目はフードを被った政一と言っても過言では無い
[暗闇]
政一の正妻である
政一の正妻である(大事なので二度言いました)
印象は薄いが政一の正妻なので皆からの信用は一番大きい
戦艦である為戦力として重宝されている
執務も熟すので出撃回数自体は少ない
黒髪黒目の長髪ヤンデレっ子
宵闇型戦艦四番艦である
[不知火]
政一の頼れる相棒
他所の不知火よりも背が高く表情が少し柔らかくなった
ポンコツする時もある
現在は駆逐艦艤装を捨て戦空母として在籍している
[暁]
政一の正妻枠と間違われるレディ
政一が新州新宮で出血多量で倒れた際に輸血した
其の際に告白をして目出度くゴールイン
他所の暁よりも背が高く子供っぽい面が消えたレディ
政一が殺されたり馬鹿にされるとブチ切れて豹変する
現在は重雷装戦艦として在籍している
[雪風]
他所から逃げて来た人間不信の子
政一に懐くも不知火と共に殺される
蘇生後艤装を戦空母の物に取り替えている
出撃中もスカートを履く珍しい雪風
[浦風]
冤罪を被せられ雷撃処分された所を政一が拾った
浜風を救う為に身体を差し出していた
浜風や江風と再会させてくれた政一に好意を抱く
結婚(仮)後に政一が余命三日と知らされる
精神的に不安定で政一に依存している
[諫田真琴と隼見雪菜]
深海棲艦の姿をしているが人間の記憶を持つ二人
真琴はレ級の姿で雪菜はタ級の姿をしている
真琴は元々政一の婚約者だった
今は政一達と一緒に暮らしている
[宗谷]
轟沈後流されて来た所を保護した
艦種を変える毎に性格も変わる一風変わった宗谷
現在の艦種は雑用輸送艦
海防艦を救う姿に惚れて結婚(仮)
海防艦の纏め役を担う
[浅葱]
本名を伏せている青年
元々は祥鳳を探しに来た憲兵だった
現在は執務、諜報担当としてキビキビと働いている
黒髪黒目で身長は稍高め
整った顔に一筋入った傷跡を気にしている
[森谷麗奈]
路地裏で保護した少女
痩せ細っていたが沢山食べて回復した
まだ八歳だが勉強熱心で中学校の範囲に差し掛かっている
髪色は青葉と同じ色で目は藤色に染まっている
身長が迚低く活発なので時々見失う事が有る
[及川雅之]
元陸軍一等兵で陸軍将校の不祥事を漁っていた
義理人情に厚い人柄で受けた恩は忘れない
身長が稍低く目付きが悪い事を気にしている
現在は執務担当として在籍している
[飯島美結]
世を平和にする為神への供物として神主が海に流した巫女
戦艦ル級の姿となり政一の住む島に流れ着く
死ぬか住むかの二択で島に住む事を決意する
政一に好意を抱いている様子
[弥生]
睦月型の無表情担当
多少は表情を表に出すらしく政一と一緒だと笑っている
政一と結婚(仮)してからは更に感情を出す様になったが
声は平坦な儘だと皆からは言われる
然し政一だけは声の微細な違いに気付いている
ナンパされたり撃たれたりする被害担当な一面も
[白石和音]
元は佐世保に居たS提督の下で働いていた女性提督
S提督に追放され政一の住む島へ辿り着く
S提督を殺した政一に恩を感じ恩返しをする為に働く
身長は低めで綺麗な白髪と黄色の目を持つ
[早霜]
政一が新州新宮で活動していた時に大破して流れ着いた
元提督の名前を聞いて精神錯乱を起こした
身体に消えない傷跡が沢山有る
政一が護ると言った時に安心し過ぎて気絶した
気絶後目が覚めてからずっと政一にベタ惚れしている
極度のヤンデレで他人を排除する傾向が有る
身長が他所の早霜より若干高く目に掛る前髪を切っている
[峯川和幸]
大本営に居た大将さん
悪事に手を染める提督を殺している政一の事を知り
島に態々乗り込む程の馬鹿
中原誠を殺そうとするも政一に止められる
後に中原と彼岸で和解し指揮に参加する
黒髪黒目で身長は普通
目の下に一筋の傷跡がある
[中原誠]
上層部の命令に振り回された提督
峯川の家族と艦娘を皆殺しにしたり
アルビノ艦娘を政一に押し付ける役目を負わされたり
ラバウルで処刑されそうになったりした
彼岸で峯川と和解している
身体を取り替えた際に現在の名を名乗った
身長は政一と互角で黒髪黒目の好青年
さて、人物紹介もこの辺りにして本編始めましょうか。
ー第一章 謎の国家とエルフの兵士ー
ー謎の土地 カンバレル陰暦八百四十八年 四月八日 08:44ー
提督 「よし…」
早紀 「着いたっすー!!」
峯川 「…見渡しても草原しか無いな。」
早霜 「そうですね…あ、誰か来ます。」
?? 「貴様等何者だ?此処はラルカンス王国の土地だぞ。」
提督 「ラルカンス王国…そんな場所まで飛んだのか。」
死神 「其の様ですね…彼岸まで繋ぐのにも時間が……」
?? 「彼岸?何の話だ?」
峯川 「失礼、今は何年何月何日だろうか?」
?? 「今はカンバレル陰暦八百四十八年の四月八日だ。」
峯川 「カンバレル陰暦!?」
提督 「どうも我々の常識が通用しそうにないな。」
?? 「この国は鎖国している、貴様等は何処から来た?」
提督 「此処では無い世界から飛ばされた。」
?? 「何だと?」
暁 「…銃が有っても弾が無いと意味が無いわね。」
弥生 「…弾は此処に有るけど…四三政一は無いね。」
提督 「…あぁ、あの準対物か……作り直すか?」
弥生 「其の時は…手伝うよ。」
暁 「私も。」
提督 「頼もしいもんだな。」
?? 「其れは…何だ?」
提督 「銃だ。火薬で鉛玉を飛ばす対人兵器さ。」
?? 「カヤク?」
提督 「…簡単に言うと火を点けると燃える砂だ。」
?? 「火で燃える砂…火付粉の事か?」
提督 「火付粉…恐らく同じだろう。」
?? 「火付粉なら持っているぞ、これだ。」つ火薬
提督 「…無煙火薬だな、間違い無い。」
暁 「えぇ…これで真鍮と鉛、後銅が有れば弾を作れるわ。」
?? 「銅と鉛は分かるが…真鍮?」
提督 「銅と亜鉛を混ぜた合金の事だな。」
?? 「銅と亜鉛…黄銅か!!」
提督 「こっちじゃ其の呼び方が主流か…」
暁 「兎も角、全部揃えば弾薬を生産出来るわ!!」
??「…で、本当に此処に飛ばされたのか?」
提督 「あぁ、我々も俄には信じられないが…」
?? 「……武器を沢山持ってるんだな?」
提督 「何処かに拠点を構えて生きるしか無いかな?」
?? 「…そうか……」
中原 「諫田提督!!砲弾、魚雷共に残弾確認出来ました!!」
提督 「どれどれ…あまり多くはないな。」
峯川 「多少は節約しないといけないな。」
?? 「…あんた達に頼みが有る。」
提督 「ん?」
?? 「…妹を、助けて欲しい。」
ハンス 「はぁ?」
ハイン 「どういう事ですか?」
?? 「妹は国王によって捕らえられた…無実の罪でだ。」
提督 「…冤罪ってのは怖ぇもんだな。」
?? 「あんた達なら殺れるだろ?助けてくれ…」
シャル 「…そうは言われても、私達は何も知りませんよ?」
?? 「私が城の中まで案内する、其れで何とか…」
提督 「…お前の家は有るか?」
?? 「あぁ、私の家は鍛冶屋だ。廃業したが道具は有る。」
真琴 「…ねぇ、政一…助けるの?」
提督 「…依頼なら受けるさ。総員装備点検始め!!」
暁 「分かったわ!!」
提督 「…そろそろ血を吸わせようと思ってたんだよ。」
スラッ
?? 「…刀か?何故蒼い?」
提督 「此奴は妖刀さ…血を吸う為なら主をも殺す。」
?? 「なっ…」
提督 「青鷺、黒鷺…仕事だ、気合入れて血を啜れ。」
チャキッ
?? 「で、此処から城まで歩くのか?十日掛かるぞ?」
提督 「ヨイショっと。」
ガシャッ
暁 「え?」
?? 「は?」
1000系八両
[1000-1100-1200-1300-1600-1700-1800-1900]
提督 「運転なんて久々だな…忘れてなきゃいいが。」
?? 「ちょちょちょ、ストップストップ!!」
暁 「何処から出したのこれ!?」
提督 「ん?あぁ、言ってなかったか…死神から創造神に
切り替わってたんだよ、何時の間にか。」
死神 「私も吃驚しましたよ、先輩。」
提督 「さて、君の名前は?」
??→アルス 「え?あ、アルス・ヴィヘルだ。」
提督 「アルスの家は何方かな?」
アルス 「向こうだが…」
提督 「よし、突っ切る。」
アルス 「は?」
提督 「…全員乗れよ、百二十で突っ走るからな?」
暁 「皆乗って!!」
アルス 「これにか!?」
提督 「乗らねぇと置いて行くぞ?」
アルス 「ま、待て!!置いて行くな!!」
ーこうして政一達の異世界生活が始まったー
ー第二章 創造神提督爆誕ー
ーラルカンス王国 僻地の草原 09:22ー
シュー…
提督 「電圧、空圧、充電池問題無し…」
アルス 「作ったのか?」
提督 「まぁね…出すよ!!」
暁 「良いわ。」
ガコッ
プーーーグォー
アルス 「…速いな。」
提督 「君の家までどの位かな?」
アルス 「此処から…二日程歩いた先だ。」
提督 「…リミッター解除、制限160。」
アルス 「は?」
提督 「歩いて丸二日…どの位で着くかなぁ…」
アルス 「速い…速い……って、高い高い高い!!」
提督 「いや、崖突っ切るから。」
アルス 「助けてくれぇ!!」
ーアルスの家 13:41ー
提督 「…四時間強掛かるか。」プジャー!!
アルス 「はや…は……」ぐだぁ
提督 「大丈夫か?」
アルス 「…死んだん……じゃないか?」
提督 「生きてるよ。」
アルス 「…あぁ……」
暁 「政一、銅に鉛に真鍮も、全部あるわ…雷管も。」
提督 「…さて……作りますか。」
ーアルスの家 鍛冶場 22:19ー
提督 「……よし、こんなもんか。」
つ10.92×94mm四八式準対物実包
提督 「…さて、次は銃だな。」
ー06:44ー
提督 「……眠てぇ…」
つ試作型四八式準対物半自動狙撃銃
提督 「……あぁ…」
アルス 「御早う御座如何したんですかぁ!?」
提督 「…よう……試作出来たぞ…寝る…起こすな……」
アルス 「あ、あぁ…」
ー射撃場 10:20ー
ズガァン!!ズガァン!!
提督 「……」ズガァン!!
早霜 「威力二割増、射程一割増…重量不変、ですか。」
弥生 「量産しよ?」
提督 「銃は兎も角弾薬がな…」
アルス 「この程度なら作るぞ。」
提督 「いや、徹甲弾がな…」
弥生 「あ、タングステンが無いんでした…」
アルス 「これか?」つタングステン
早霜 「其れです…何で持って来てたんですか?」
アルス 「いや、混ぜたら強いんじゃないかなぁと…」
早霜 「早速加工しましょう!!」
ズガァン!!
提督 「…さて、量産に移るか。」
弥生 「…暁と不知火呼んで来るね。」
提督 「おう。」
ー22:48ー
提督 「…疲れたぞこの野郎……」
暁 「…も、限界……」
不知火 「…きょ、今日はこれで…」
早霜 「…寝ましょう…」
四八式準対物半自動狙撃銃<十挺も量産されたであります…
提督 「…お休み……」
ー第三章 政一の能力ー
ー四月十日 09:22ー
提督 「…こんなもんか。」
四八式準対物実包×180000
四八式準対物徹甲実包×160000
四八式準対物半自動狙撃銃×240(予備含む)
不知火 「……」zzz
和音 「凄い量ですね…」
提督 「一度でも触れた事の有る物なら量産出来るからな。」
和音 「成程、だから最初は普通に作ってたんですね。」
提督 「あぁ…さて、そろそろ突撃するか。」
村人 「おい、アルス居るか?」
提督 「アルスには私が伝えよう、何用かな。」
村人 「ん?あぁ、噂の人か。アルスには妹が居るんだが、
其の妹が皇女暗殺未遂で死刑になるらしい。」
提督 「…何時だ?」
村人 「明後日正午だ、もう間に合わん…」
ガシャーン
村人 「ん?」
アルス 「…フライアが、明後日に、死ぬ?」
提督 「…不知火起きろ、緊急奪還作戦始動だ。」
不知火 「…了解。」
村人 「だから間に合わんと…」
提督 「無理矢理間に合わせるのが軍人だ。」
村人 「…可能なのか?」
提督 「不知火、暁と早霜を呼べ。四人で忍び込む。」
アルス 「私も!!」
提督 「下手すれば死ぬぞ?」
アルス 「自分だけ生き残る位なら共倒れの方が良い!!」
提督 「…持て。」つM1911A1
アルス 「…これは……」
提督 「護身用に持っておけ。」つナイフ
アルス 「……あぁ…助かる。」
村人 「如何やって助ける気だ?」
提督 「絞首なら縄を撃ち抜く、斬首なら台を壊す。」
村人 「…銃殺なら?」
提督 「機関砲で執行人を皆殺しだ。」
村人 「…任せたぞ。」
提督 「あぁ、海の軍人に任せろ。」
暁 「準備出来たわ!!」
早霜 「行きましょう。」
提督 「此処から処刑場までの距離は?」
村人 「百ハルトだ。」
提督 「ハルトの下の単位は?」
村人 「コルス、ワルク、ハルトの順だ。」
提督 「一ハルトはコルスにすると如何なる?」
村人 「百コルス一ワルク、百ワルク一ハルトだ。」
提督 「一コルスはどの位の距離だ?」
村人 「此処から…此処までだな。」
提督 「…一米と四十糎か…百四十米で一ワルクだな。」
暁 「十四粁一ハルトだから…千四百粁!?」
提督 「…時速140で十時間…何とかなるな。」
村人 「…本当に行く気か?」
提督 「あぁ…アルス、食糧を積み込む。手伝ってくれ。」
アルス 「あぁ。」
ボンッ
村人 「うおっ!?」
アルス 「ひゃっ!?」
提督 「何やってんだ、積み込むぞ。」
つ缶詰
アルス 「…凄い……」
暁 「能力大活躍ね。」
不知火 「えぇ。」
早霜 「これなら兵糧攻めは効かないわね。」
ー第四章 処刑場襲撃作戦ー
ー11:48 臨設留置研修線ー
提督 「……良し、寝袋も積んだな。」
3000系10両
[3000-3100-3200-3300=3001-3101-3201-3301+3900-3950]
村人 「…こんな物が……」
提督 「明日に到着、明後日午前八時から行動を開始する。」
アルス 「分かった。」
村人 「…気を付けてな。」
提督 「…あぁ、任せろ。」
シュー…
プーーーグォーー
タタンタタン……タタン…
村人 「……必ず、帰って来いよ。」
ー20:48 森林街道ー
提督 「……」シュー…
プジャー!!
提督 「此処で一晩過ごすぞ。」
アルス 「…どの位進んだ?」
提督 「四十ハルトちょいって所か。」
暁 「もう五百粁以上進んでるのね。」
ー21:00ー
提督 「……」むぐむぐ
早霜 「…缶詰生活は久々ですね。」
不知火 「言ってしまえばレーション生活ですからね。」
アルス 「…こんなに美味いのか……」
暁 「まだ有るわよ。」
ー四月十一日 07:49ー
プーーーグォーー
提督 「……」プァン!!
アルス 「…缶詰で牛肉や穀物まで食べられるとは……」
不知火 「缶詰は保存食として有能ですから。」
ー13:00ー
提督 「……」モチャモチャ
アルス 「この景色だと…城の処刑場まで後二十ハルトか。」
暁 「今晩には着きそうね。」
ー17:44ー
プジャー!!
提督 「此処で泊めよう。」
暁 「分かったわ。」
アルス 「此処から処刑場まで七ワルクだな。」
提督 「明日は朝六時に起きろ、七時から歩くぞ。」
ー四月十二日 (処刑日) 07:00ー
提督 「行くぞ。」
アルス 「あぁ。」
暁 「行きましょう?」
不知火 「装備に異常なし、出ます。」
早霜 「さあ、奪い返しましょう。」
ー処刑場裏の高台 08:00ー
提督 「……」つ試作型四八式準対物半自動狙撃銃
不知火 「……」つ四八式準対物半自動狙撃銃
ー処刑場 08:00ー
国王 「ではこれより、大罪人の死刑を始める。」
側近 「この者は我が国の皇女、ホーテル様を暗殺しようと
ホーテル様の御飲み物に毒物を混入させた!!」
フライア 「……ちがう…」
国民 「何が違うだ!!」
国民 「現に皇女様は血を吐いて倒れられたんだぞ!!」
側近 「其の際にはこのダークエルフが協力していた!!」
?? 「……」
国民 「だからダークエルフは信用ならないんだ!!」
国民 「国家の敵め!!」
国王 「静まれ!!以上の事から此奴等の両目を潰した上で、
斬首刑に処する!!異議の有る者は挙手せよ!!」
バスッ!!
側近 「む?」
ズガァン…
側近 「何の音だ?」
バシュッ!!
ドサッ
国民 「ひっ!?」
国民 「死んでる!!」
ズガァン…
側近 「国王陛下、狙撃手です!!」
国王 「何!?」
[あー、あー、聞こえるだろうかラルカンス王国国王。]
国民 「何だこの声は!?」
国民 「国王陛下に失礼だぞ!!」
[これは失礼、異国の者故に御容赦願いたい。]
国王 「…貴様が狙撃手か?」
[如何にも。私ともう一人で狙撃させて貰った。]
側近 「一体何処から…」
[其処から一ワルク離れた高台からだ。]
国王 「あんな場所からだと!?」
[さて、国王陛下……貴方は目を潰して首を落とすだけで
十分だと御考えの様だが、流石に罪人に対し甘過ぎます。]
国王 「何?」
[其の場に私の仲間が二人居りますので引渡しを願います。
罪人には私が死よりも酷く苦しい罰を与えます故。]
側近 「お前にこの大罪人を渡せと言うのか!?」
[皇女の事を第一に考え、我々が処分致します。]
国王 「…確かに、ホーテルに死体を見せたくは無いな。」
[では仲間に引渡して下さい。暁、早霜。前へ。]
暁 「こんにちは、私は暁です。」
早霜 「御初に御目に掛かります。早霜と申します。」
国民 「あの二人、狙撃にビビらなかった奴等だ!!」
国民 「仲間だったのか!!」
側近 「……」
ドサッ
フライア 「うっ…」
?? 「あぅ…」
国王 「…連れて行け。」
暁 「えぇ…さぁ、此方よ。」
早霜 「楽に死ねるとは思わない事ね。」
[おいおい、今言っても意味ねぇぞ…]
早霜 「あら、御免なさい。」
[では私はこれで。]ブツッ
側近 「国王陛下…」
国王 「奴等を消す分には十分だ、処刑はこれまで!!」
ー列車付近 09:22ー
提督 「二人を乗せろ、至急離脱する。」
暁 「えぇ、任せて。」
早霜 「乗りました、出して下さい!!」
シュー…
プーーーグォーー
暁 「…逃げられたわね。」
フライア 「…殺すんでしょ?」
アルス 「そんな訳ないでしょ、フライア。」
フライア 「…アルスお姉ちゃん?」
アルス 「フライアを助けに来たのよ…無事で良かった……」
フライア 「お姉ちゃん…お姉ちゃーん!!」ギュッ
早霜 「…良かったわ、演技が嵌ってくれて。」
不知火 「政一が狙撃を命中させるとは思いませんでした。」
暁 「…政一は試し撃ちして来るって言ってたけど?」
提督 「煩いぞ、無駄話は後だ。」
暁 「御免なさい。」
ー第五章 姉妹と血と銃声ー
ー森林街道 20:11ー
提督 「……」
ズガァン!!ズガァン!!
アルス 「……」
ズガァン!!ズガァン!!
フライア 「…重い……」
ズガァン!!
フライア 「あうっ!?」ドサッ
アルス 「大丈夫か!?」
提督 「だから辞めろと言ったろう…」
アルス 「…怪我は無いな、良かった。」
フライア 「お姉ちゃん…」
ガサッ
提督 「…伏せろ。」
アルス 「う、うん。」ザッ
フライア 「分かった…」ザッ
提督 「…銃声と車内灯でバレたか……」
兵士 「…貴様、何故此処に死刑囚が居る?」
提督 「代行死刑を担当する者だ、国王に確認を取れ。」
兵士 「何?国王陛下に?」
提督 「利用するだけ利用して酷く殺す、其れだけだ。」
兵士 「…そうか、失礼。」
ザッザッザッ…
提督 「……」スッ
ズガァン!!
ドサッ
提督 「誰も生きて逃すとは言ってないからな。」
フライア 「…怖い……」
提督 「人殺しに助けられた死刑囚が何を言うか。」
アルス 「…貴方は一体何人、人を殺したと言うの?」
提督 「さて、何人かな…一万は超えてるだろうが……」
フライア 「ひっ!?」
提督 「血塗れの手でも人は救える。」
アルス 「…貴方が味方で良かったわ。」
提督 「……獣か?」
アルス 「…いいえ、ダークエルフね。」
?? 「リトを知らないか?」
提督 「リト?電車の中に乗ってるのがそうなのか?」
?? 「何?」
?? 「…あ、お姉ちゃん!!」
?? 「リト!?何故其処に!?」
??→リト 「お姉ちゃん、この人が助けてくれたの!!」
?? 「なっ…感謝致します。」
提督 「構わない、物の序で助けただけだからな。」
フライア 「…貴女、リトって言うの?」
リト 「はい…提督さん、有難う御座いました!!」
提督 「帰るなら気を付けてな。」
?? 「…申し遅れました、私の名は…」
リト 「ユリアだよ!!」
??→ユリア 「リト、失礼だぞ!?」
提督 「良いよ良いよ、そんなに偉くないし。」
アルス 「…もし良ければ、村に案内して頂けますか?」
ユリア 「我々の村にか?構わないが食糧不足でな…」
リト 「大丈夫、提督さんは缶詰作れる。」
ユリア 「缶詰?」
提督 「コレだな。」ポンッ
コトッ
ユリア 「な、何も無い所から金属が!?」
パキャッ
缶詰<中身は鯨のお肉ですよ
ユリア 「中身が食べ物!?食べられるのか!?」
提督 「鯨の肉は美味しいからね、どうぞ。」
ユリア 「で、では失礼して…」モグモグ
リト 「如何かな?」
ユリア 「…これは、ホルクスの肉か?」
リト 「やっぱりホルクスだよね!?」
提督 「まだまだ有るけど、如何かな?食糧あげるよ?」
ユリア 「…案内しよう、此方だ。」
提督 「まあ待って、流石に夜も遅いし泊まって行こうよ。」
ユリア 「泊まる?何処へ?」
提督 「コレの中で。」
ユリア 「…寝られるのか?」
リト 「うん。」
ユリア 「…では、失礼する……」
不知火 「ようこそ。」
暁 「はい、寝袋。コレの中で寝るのよ。」
ユリア 「これは申し訳無い…」
提督 「ドア閉めるぞ。」
暁 「良いわよ。」
ユリア 「…こんなのも、偶には良いかもしれないな。」
ー第六章 エルフの村ー
ー四月十三日 エルフの村 09:48ー
門番 「止まれ!!」
プジャー!!
門番 「貴様、何者だ?この国の者では無いな?」
提督 「アンタらにダークエルフの御届け物、通して。」
門番 「何!?リトとユリアか!?」
提督 「そう、序に長く持つ食糧も。」
門番 「…長老に確認を取る。」
提督 「分かったよ。」
ー10:14ー
門番 「通して良いと言われた。」
提督 「流石、長老は話が分かる人だ。」
門番 「…余計な事はするなよ?」
提督 「襲いやしないよ、馬鹿じゃあるまいし。」
ー11:28 長老の家ー
ユリア 「……まさか長老様に御会いする事になるとは…」
リト 「楽しみ!!」
提督 「…矢張り年寄だからか移動に時間が掛かる様だな。」
?? 「…おや、貴方が二人を助けてくれた人かい?」
提督 「御初に御目に掛かります、私は提督の諫田政一と
申します。階級は元帥、以後宜しく御願い致します。」
?? 「ふふっ、随分と御堅い方だね…嫌いじゃないよ。」
提督 「さて、今回はリトさんの救出と食糧配給に関して
幾つか御話をと思いまして此処まで参りました。」
?? 「食べ物は有難いねぇ、この頃食べ物が少なくて…」
ユリア 「配給が止まってしまったので減るばかりです。」
提督 「我々は拠点を探しています。この村は其れに適した
規模であり、相応の防御柵や防御塀が有る。」
?? 「成程ねぇ…貴方達にこの村を渡したら、食べ物を
分けてくれるって事だね?」
提督 「いえ、村の在り方としては[共存]でしょうか…」
?? 「共存…悪くないね、其の提案に乗るとしよう。」
提督 「色良い返答、感謝致します…所で、貴女は随分と
若々しく見えますが…」
?? 「これでも昔はリトの様に背が高かったんだけどね…
歳を取って、骨が縮んで……まぁ、御覧の有様だよ。」
提督 「でも、貴女は迚綺麗だ。」
?? 「そうだね…だからよく男に狙われるんだよ。」
提督 「…其れは同じ男として許せませんね。」
?? 「え?」
提督 「互いを良く知り、互いを愛し、契りを結んだ先に
そういった行為がある…其れが本来の姿です。」
?? 「…確かに、其の通りだね……」
提督 「…外道者が此方にも居るとは。」
?? 「そういう人は決して居なくならないよ、決してね。」
提督 「…人は愚かだ、即物的な考えにばかり走る。」
?? 「君も人間の筈だけどねぇ?」
提督 「…食糧を御持ちします、其の後で防衛体制を整え、
警戒態勢を敷きますので御待ち下さい。」
??→セルス 「そうかい…私はセルス・フライスだよ。」
提督 「セルス長老…貴女の身の安全は我々が守ります。」
パタン
セルス 「…いけないね、この歳で恋に落ちてしまうとは。」
リト 「セルスおばあちゃん、もう392だもんね…」
チャッ
提督 「…私、435まで生きましたけど、何か?」
セルス 「なっ…と、年上なのかい!?其の見た目で!?」
提督 「そりゃ、身体は取り替えてますからね…」
リト 「え?」
提督 「私、死んでも死んでも此岸に戻されるので、恐らく
魂だけなら2000は行ってますよ。」
セルス 「…私の恋は偉い事になったみたいだねぇ……」
提督 「恋するのは構いませんが、妻は黙っていませんよ。」
セルス 「なんと、妻帯者だったのかい…」
提督 「頑張って[妻達]を説得してみて下さい、では失礼。」
パタン
ユリア 「…あの人今[妻達]って言ったよね?」
リト 「奥さんは一人じゃないって事!?」
セルス 「…ふふふ……年寄の恋はまだまだ序盤だね。」
リト 「……セルスおばあちゃんが元気になった…」
ユリア 「…大丈夫かな?」
ー第七章 年寄の恋と食糧配給ー
ー14:22 食糧配給所兼臨設研修車庫ー
龍驤 「何や、偉い数居るんやな?」
龍飛 「あぁ、聞いた話では三百は居ると言う。」
鳳翔 「腕が鳴りますね!!」
提督 「……」グツグツ
白鷺 「1000と3000から缶詰降ろしたぞ。」
不知火 「了解。」
響 「司令官、御飯炊き上がったよ。」
提督 「先に盛っとけ、コレも直ぐに仕上がる。」
日向 「配給は順番で頼む、我々も人手が足りないのでな。」
アルス 「……うん、これで良いわね…」
フライア 「…美味しい!!」
ユリア 「御手伝い御手伝い!!」
リト 「頑張る!!」
門番 「…やたらと美味そうな匂いだな?」
提督 「今日は戦地の御馳走、カレーだからな。」
門番 「カレー?」
提督 「一応辛さは控え目にしてあるが…子供には向かない。」
門番 「ふむ…辛いのか。」
提督 「まぁな。」
セルス 「ひぃ…はぁ…ふぅ……漸く、着いた…」
リト 「セルスおばあちゃん!?」
ユリア 「何故此処に居らっしゃるのですか長老様!?」
提督 「…老体に鞭打って如何すんだよ全く……」スッ
セルス 「おわぁ!?な、何をするんだい!?」
提督 「余り無理をしないで下さいセルス長老。」
セルス 「そ、そうは言ってもこの状況はだな!?」
提督 「足にガタが来てるのに強がりを言わないで下さい。
この状態で無理に動くと筋断裂を起こしますよ。」
セルス 「…うぅ……」
提督 「寝た切りになりたくないなら動かないで下さいね。」
ボスッ
セルス 「す、済まないね…」
提督 「全く、手間の掛かるばぁちゃんだよ。」
暁 「配膳始めるわ、並んで!!」
時雨 「主菜だよ!!」サッ
夕立 「副菜ぽい!!」サッ
日向 「カレーだな。」ゴトッ
響 「御飯だよ。」ゴトッ
不知火 「御飲み物です、零さないように。」コトッ
提督 「……」ゴトッ
セルス 「コレは?」
提督 「貴女の為に用意した薬膳です。」
セルス 「薬膳?」
提督 「身体に良い物をより良い組み合わせで沢山使用した
身体に優しい食事です、私が貴女の為に作りました。」
セルス 「はぁ…」
提督 「身体に負担を掛け過ぎです、其れ食べて寝て下さい。」
セルス 「あ、あぁ…」
提督 「…配膳、手伝うぞ。」
セルス 「…好感度が下がってしまったかな……」
龍驤 「お、政一の薬膳やんか!!アンタ愛されとんなぁ!!」
セルス 「な…私は愛されているのか!?」
龍驤 「政一は自分の愛する相手にしか手間の掛かる料理は
出さんからなぁ!!この薬膳偉く手ぇ入っとるで!!」
セルス 「…そうか、有難う。」
龍驤 「其れ早よ食うて良うなって、政一に告白したり!!」
セルス 「そうだな…そうしよう。」
龍驤 「したらウチ戻るわ、ほな!!」
セルス 「…彼なりの愛情、か……」
ー第八章 敵襲迎撃作戦ー
ー16:28ー
セルス 「身体が芯から温まる…これが薬膳の効果かい?」
龍飛 「あぁ、政一が作る薬膳には生姜が必ず入るからな。」
龍驤 「政一は素っ気ない態度取りよるけど、内心は意外と
思い遣りで溢れとったりしよるからな。」
セルス 「…そうか。」
見張 「敵襲!!」
セルス 「なんと、こんな時にかい!?」
見張 「敵総数、二千超!!」
龍飛 「…成程、我々空母の出番だな。」
龍驤 「やな…御仕事やで、発艦!!」シュンッ
バウゥーン!!
龍飛 「仕事だ、行け。」バシュッ
バウゥーン!!
セルス 「…其の飛行機は一体何なんだい?」
龍飛 「我々は軍艦…航空母艦だ。艦載機を扱っている。」
龍驤 「元は戦争用の兵器やで。」
セルス 「何だって…じゃあ、あの飛行機は!?」
龍飛 「艦上爆撃機…艦爆と略される爆弾投下用航空機だ。」
セルス 「なら、敵は…」
龍飛 「対空機銃も対空砲も無ければ艦載機は落ちない。」
ボカァン!!ボカァン!!
提督 「空母は艦爆発艦、戦艦は主砲斉射だ。他の人員は
狙撃銃装備の上で防御塀から狙撃、急げ!!」
島風 「司令おっそーい!!」
提督 「余計な口を叩くのは此奴か?」グリグリ
島風 「痛っ痛い痛い御免なさーい!!」
提督 「敵の数は?」
龍驤 「今で三千と四百ちょいかなぁ?」
セルス 「何!?」
提督 「…この鎧はラルカンス王国の兵士だな。」
龍飛 「我々を怪しんだか、或は魔族を消しに掛かったか。」
提督 「恐らく後者だな、潰すぞ。」
龍飛 「了解。」
セルス 「…政一さん、私を連れて行っておくれ…」
提督 「戦場は危険です、流れ弾に当たるかも知れない。」
セルス 「頼むよ、皆の戦闘を見たいんだ…」
提督 「……本当に仕方無いばぁちゃんだよ…」
ガシャッ
セルス 「其れは?」
提督 「アンタは車椅子に乗ってろっての!!」
セルス 「なっ!?」ガシャ
提督 「行くぞ、駆け足!!」ダッ
セルス 「おわぁ!?」
早霜 「…本当に、愛してるのね。」
不知火 「えぇ、顔に出ていますね。」
暁 「政一はエルフでも行けるのね。」
弥生 「…早く行かないと怒られますよ。」
不知火 「…そうですね、行きましょう。」
ー16:39 防衛線ー
ズガァン!!ズガァン!!
ドドォン!!
ガスッ
ボカァン!!
セルス 「まさか、敵がこんなに多いとは…」
提督 「……42.38.43.91…爆撃。」ブンッ
バウゥーン!!
ボガボガボガァーン!!
ボカァン!!
セルス 「今何をしたんだい?」
提督 「無人の自爆航空機を飛ばしただけです。」
ババン!!バババン!!
提督 「…あれはホーテルだな、本性出しやがったか。」
セルス 「ホーテル…ラルカンス王国の第三皇女だと!?」
提督 「中身は下衆さ…」
ー其の頃 敵陣ー
ホーテル 「…まだなの?まだ落ちないの?」
伝令 「…どうも空を飛ぶ爆弾に悩まされております。」
ホーテル 「は?何言ってるの?」
伝令 「更に、奴等は異様に正確な狙撃武器を持っています。」
ホーテル 「…あの時の狙撃手が居る?あの村に?」
伝令 「付け加えますと近接戦でも相手が一枚上手です。」
ホーテル 「…仕方無いわね、毒を撒きなさい。」
伝令 「其れが…既に狙撃手によって容器を破壊されており、
毒物管理者三名が死亡しています。」
ホーテル 「何ですって!?」
伝令 「…この戦は負け戦です、撤退令を。」
ホーテル 「この村にはエルフが居るのよ?絶対に燃やして
しまわないといけないの、其れ分かって言ってるの?」
伝令 「…なら敵の狙撃と爆弾如何にかしろや。」
ホーテル 「…は?」
伝令 「言ったろ?この二つで足止めされてるって。」
ホーテル 「アンタ、その口は何なの?」
伝令 「五千連れて来た兵が今千切ってんだよ阿呆。」
ホーテル 「はぁ!?五分の一なの!?」
伝令 「もうやってられんわ、俺降伏して来る。」
ホーテル 「えっちょっと待って!!」
バシュッ
ホーテル 「…え?」
ドサッ
ホーテル 「ひっ…死んでる!?」
不知火 「…あの時の皇女ですね。」
ホーテル 「あ、アンタ誰よ!?」
不知火 「どうも、狙撃手不知火です。」
ホーテル 「狙撃手!?まさか、愚民の頭撃ち抜いた!?」
不知火 「いえ、威嚇射撃の方です。」
ホーテル 「な、何の用よ!?」
暁 「あら、まさかまだ分かってないの?」チャキッ
早霜 「随分と間抜けなんですね。」スラッ
ホーテル 「あ、アンタ達まで!?私に何の用よ!!」
早霜 「提督から伝言です。」
ホーテル 「な、何よ…」
不知火 「[今降伏して着いて来るならお前を殺しはしない、
降伏しないと言うのならお前の命は奪わせて貰う。]と…
如何されますか?別にこの場で殺しても良いのですが。」
ホーテル 「……こ、降参…」ショワァァァァァ…
暁 「あら、皇女様が失禁してるの?」
早霜 「余程不知火の脅しが怖かった様ですね。」
不知火 「そうでしょうか?元々小心者なのでは?」
Prrr…Prrr…
不知火 「もしもし。」
[其方は如何だ?]
不知火 「皇女ホーテルの降伏を確認しました。」
[だろうな、小便漏らして惨めなもんだよ。]
ホーテル 「うぅ…」
[さて、お前ら其奴連れて戻って来い。]
不知火 「残っている兵士は?」
[降伏しねぇ奴は遠慮無しに殺せ、援護無しだからな。]
不知火 「了解、通信終了。」ピッ
ホーテル 「……」
不知火 「…行きますよ。」
ホーテル 「は、はい…」
ー第九章 捕虜ー
ー18:00ー
提督 「……で、攻撃した理由は?」
ホーテル 「エルフを、全滅させようとして…其れで…」
提督 「…じゃあ、君の独断?」
ホーテル 「いえ、御父様の指示です…」
提督 「…親が親なら子も子って所か……」
セルス 「…政一さん、今回は許してやっておくれ。」
提督 「…アンタは其れで良くても此方は納得行かない。」
セルス 「そうは言ってもだね…」
提督 「…降伏したのはこれだけか?」
不知火 「はい、主犯含め計二十八名のみです。」
提督 「……」
ホーテル 「……」
提督 「まぁ、失禁で恥かいた事だしな…アレで許すか。」
不知火 「ま、まさか[アレ]をする気ですか?」
提督 「おう、少し痛い目見て貰おうか。」
ホーテル 「ひっ…」
ー19:22ー
ホーテル 「辛ぁい!!」
兵士 「ゆ、許してぇ…」
提督 「軍人がそんなんで如何すんだ?食えよ、残さず。」
セルス 「…何を食うておる?」
不知火 「提督特製超激辛焼飯です…不知火も食べましたが
迚辛くて残してしまう程でした…出来心で食べたいなんて
言わなければ良かったと今も後悔しています…」
セルス 「そこまで言うのかい!?随分辛いんだね…」
提督 「アンタは食うなよ、一口で死んじまうから。」
セルス 「そ、そうだね、控えておこうか…」
提督 「薬膳食って寝ろ。」ゴトッ
セルス 「そうするよ…」
ー22:43ー
提督 「…何か言う事は?」
ホーテル 「本当に申し訳有りませんもう襲撃しません…」
提督 「宜しい。お前だけだぞ、飯を残したのは。」
長門 「提督、これを。」
提督 「…ハルバードか。」
長門 「私の仕留めた兵士が所有していた。」
提督 「こんな華奢な物で殺しに掛かるとはな。」
長門 「何かの冗談かとも思ったがな。」
提督 「これは廃棄だ、使い物にならない。」
長門 「了解。」
ホーテル 「…あの……」
提督 「ん?」
ホーテル 「私、如何したら…」
提督 「寝ろ、処遇は明日通達する。」
ホーテル 「…分かりました。」
ー四月十四日 08:00ー
提督 「…集まったな。」
ホーテル 「…あの、私達の処遇とは?」
提督 「兵士は城に帰っても構わん、ホーテルは残れ。」
ホーテル 「え!?」
提督 「城に戻った際は此処は落ちたと言っても良い。」
兵士 「何だと!?」
提督 「また来た時は遠慮無く殺すだけだ。」
ホーテル 「わ、私は!?」
提督 「お前は国王に対する脅し用に使う。」
ホーテル 「あ、悪魔だ…」
提督 「提督だよ。」
兵士 「…お、お邪魔しました!!失礼します!!」ダッ
ホーテル 「へ?え、ちょ…」
バタン!!
ホーテル 「…私そんなに人望無いの?」
提督 「お前が改心した事には誰も気づかない様だな。」
ホーテル 「嘘だぁ…へ?」
提督 「俺は分かってるよ、お前が改心したって事。」
ホーテル 「提督さん…」
提督 「まだ許してないけどね。」
ホーテル 「御免なさい…」
提督 「……この国は酷いな…腐ってる。」
ホーテル 「…へ?」
提督 「…潰すか、国家。」
ホーテル 「…御手伝いします。」
ー第十章 浦風と提督ー
ー10:11 防護壁付近ー
提督 「……」つ煙草
セルス 「何をしているんだい?」
提督 「…いえ、少し考え事を。」グリグリ
セルス 「何をだい?」
提督 「…この先に、何が待っているのかを。」
セルス 「……確かに、先は見えないね。」
提督 「私も大切な物を抱え込み過ぎました。困った事に、
其れはまだ増えると言うのですから。」
セルス 「おやおや、困ったねぇ…」
提督 「これから増える方が何を仰るのやら。」
セルス 「ふふ…其れもそうだね。」
提督 「…これを。」つ指輪
セルス 「…こんな年寄を貰ってくれるのかい?」
提督 「何を言っても聞かないなら手元に置いておいた方が
まだ管理は出来ますので。」
セルス 「随分と言うね、私の負けだよ。」
提督 「…貴女を護る為に私は居ますから。」
セルス 「そうだね…そろそろ引越さなきゃ。」
提督 「ですね…」
不知火 「司令、此処に居られましたか…」
提督 「ん?不知火、如何したんだ?」
不知火 「浦風が暴走しました。」
提督 「あー…私は此処に居ると伝えて、後はやるから。」
不知火 「委細承知致しました、失礼致します。」
セルス 「…今のは不知火か、浦風というのは?」
提督 「陽炎型駆逐艦十一番艦浦風、不知火の妹です。」
セルス 「駆逐艦…軍船だと言うのかい!?」
提督 「えぇ、不知火は陽炎型の二番艦ですね。」
セルス 「…成程、道理で動じない訳だよ。」
提督 「…二人は同じ年に沈んでいます。其れも、一月すら
経たずに…まるで後を追うかの様に、海の底へ。」
セルス 「そうなのかい…」
提督 「彼女達は私に依存しています。ですから、私は今も
[提督]として彼女達を束ね、護る役目に就いています。」
セルス 「…苦労人だね。」
提督 「彼女達の迚重い愛や好意を受け止め続けて早数年…
もうこの役回りも慣れてしまいましたよ。」
セルス 「……」
タッタッタッ
提督 「来ましたね…さぁ、おいで。」
浦風 「政一!!」ダッ
ドゴッ
提督 「っとと…大丈夫?」
浦風 「政一…良かった……まだ居って良かった…」ギュッ
提督 「居なくなりはしないよ、大丈夫。」なでなで
浦風 「部屋居らんから…探したんやけど、居らんくて……」
提督 「心配になったんだろう?分かるよ…御免な。」
不知火 「はぁ…はぁ……司令、ご無事でしょうか…」
提督 「私は大丈夫だよ、有難う。」なでなで
不知火 「いえ、其の…もう少し御願い出来ますでしょうか?」
提督 「もう少しと言わずに甘えて良いんだよ。」
不知火 「…御気遣い感謝致します……」ギュッ
提督 「大丈夫、私は此処に居るから。」
セルス 「愛されているね。」
提督 「えぇ、彼女達の愛を受け止めるのが仕事ですから。」
ー第十一章 妖刀は血を求め主を選ぶー
ー14:28 森の中ー
提督 「セルス長老、何故着いて来ようとするんですか…」
セルス 「わ、私だって一応は女だよ!?」
提督 「身体に鞭打って壊れたら此方が大変なの分かります?
貴女の為に車椅子用意して森の中歩くの大変なんですが?」
セルス 「そ、其れは…」
浦風 「もうえぇやん…ウチが押そか?」
提督 「合計六十瓩、この悪路で押せるか?」
浦風 「うん無理や御免。」
セルス 「…本当に済まないね……」
提督 「全くだよ…ん?」
浦風 「な、なんか来よるで?」
セルス 「あれはオーガじゃないか!?」
提督 「…丁度良い、魔物であれ血は血だからな。」スラッ
セルス 「な、何をするんだい!?」
提督 「いい加減血を吸わせろと喧しいのでな。」
グルルル…
提督 「血を流せ、地に伏せろ…貴様の主人はこの私だ。」
ダッ
ズバッ!!
提督 「…其のでかい図体は役に立つか?」
ドシィン!!
提督 「まぁ、少しはスッキリしたよ。」
セルス 「…な、何なんだいあの強さは!?」
浦風 「前居った所じゃと世界で一番強い提督やで。」
セルス 「世界一!?」
浦風 「銃も刀も槍も斧も、主砲に魚雷航空機まで、何でも
操る世界最強の人間や、深海棲艦すら敵にもならんかった。」
セルス 「…そんなにかい……」
提督 「…狼か。」
スラッ
セルス 「グリム…何故こんな浅い森に居るんだい!?」
提督 「知るか。」ダッ
ズバッズバッ!!
提督 「前座にすらならんな。」
ドサドサッ
セルス 「…彼が味方で本当に良かったよ。」
浦風 「じゃなぁ…」
兵士 「貴様、何者だ!?グリムやオーガを一撃とは…」
提督 「元死神、現提督。其れ以上の事は無い。」ブンッ
兵士 「何だと…」ガシャッ
提督 「…殺るんだな?」
兵士 「其の目はあの時の敵兵だな、此処が貴様の墓場だ!!」
提督 「…ハルバード、此処に。」キンッ
パシッ
ブォン!!
提督 「さて、何処まで耐えられるか見させてもらおうか。」
セルス 「蒼い刀を鞘に戻したかと思えば斧槍を手に!?」
浦風 「あー、あのハルバードはあかんわ。敵さん死ぬわ。」
セルス 「何だって!?」
浦風 「アレ、全部金属やから重さと頑丈さは一番やで。」
セルス 「き、金属!?」
浦風 「軽量化は梃子摺ってたさかい、まだ重いはずやで。」
セルス 「…重量として、どの位なんだい?」
浦風 「少なくともまだこの車椅子位は有る筈やで。」
セルス 「…其れを、片手で?」
浦風 「せや、もうあの人は助からんで…」
兵士 「喰らえ!!」ダッ
ガキィ!!
兵士 「なっ…」
提督 「其の程度か?」サッ
ドシュッ
兵士 「がっ…はっ……」
提督 「小腸を斬った、次は何処が良い?肝か?心臓か?」
兵士 「クソ…動かない…」
提督 「お前の貧弱な筋肉で動くわけないだろうが。」
バシュッ!!
ドサッ
提督 「まぁ、血を吸わせる分にはコレで充分か。」
ブンッ
キン
提督 「さて、行くか。」
セルス 「……」
浦風 「おーい、起きとる?」
提督 「如何した?」
浦風 「アカン、気ぃ失っとるわ。」
提督 「この年寄りは何処まで迷惑を掛ければ気が済む?」
浦風 「言ぅたりなや、そないな事…」
提督 「…帰るぞ、もう疲れた。」
浦風 「ん。」
ー第十二章 覚えの無い恨み節ー
ー16:44 村街道ー
?? 「…クソが。」
気に入らない。何なんだあの男は。
これまで村の女は俺にメロメロだった、直ぐに抱ける程に。
だが最近は話すらも出来ない…其の原因は分かってる。
この前村の女達が話していた…
ーー
村娘 「…やっぱりあの人格好良いね、惚れちゃった。」
女性 「えぇ、食料を分けてくれるだけでなく、村を守る
為に身体を張って戦っていましたからね…其れで帰って
来られるのですから迚凄い方なのだと痛感しましたわ。」
村娘 「セルス長老もゾッコンだし、結婚したし。」
女性 「私達は思うだけに留めましょう。」
村娘 「…ヘインツより格好良いな……」
女性 「分かりますわ…」
ーー
俺よりあの男の方が良いだと!?俺の方がイケメンだ!!
絶対振り向かせてやる…
提督 「…この血は落ちないね、仕方無いけれど。」
浦風 「諦め、しゃあないて。」
ヘインツ 「おい、貴様!!」
浦風 「ん?」
提督 「私に何か御用でしょうか?」
ヘインツ 「決闘を申し込む!!俺と戦え!!」
提督 「……」ムスッ
浦風 「あぁ、面倒臭いと言うんすら面倒やっちゅう顔やな。」
ヘインツ 「何だと!?この超絶イケメンの俺が直々に貴様と
戦ってやると言ってるんだ、光栄に思えよ!!」
提督 「…はぁ……」呆れ
村娘 「ねぇ、彼奴何やってんの?」
ホーテル 「…提督さんに決闘を申し込んだみたい。だけど
提督さんは興味無いから面倒臭いって顔してる…抑の話、
どんな手を使った所で提督さんに勝てる訳が無いのよ。」
村娘 「其れは村を襲ったからこその経験論ですか?」
ホーテル 「えぇ、そうよ…あの人は何百、何千と居た兵士を
次々に撃ち殺し、斬り殺し、殴り殺して私の居た所まで
乗り込んで来る様な戦闘狂よ?勝てる訳無いわ…」
浦風 「…政一、行こっか。」
提督 「あぁ…付き合ってられん。」
ヘインツ 「逃げるのか、臆病者!!」
提督 「…あ?」
セルス 「…うぅ……此処は?」
提督 「起きましたか長老、先に浦風と帰ってて下さい。」
セルス 「…何故だい?」
提督 「俺が腹立ってる時位素直に言う事聞けや、年寄り。」
セルス 「…!?」
提督 「浦風、先帰れ。」
浦風 「…死なんでや。」
提督 「死ぬか、呆け。」
タッタッタッ
提督 「…で、殺ろうっちゅうんか?」
ヘインツ 「はっ、漸くやる気になったか?」
提督 「…明日の午前十時半、村の広場に来い。」
ヘインツ 「…逃げるなよ?」
提督 「お前こそ棄権は無しだからな。」
ー第十三章 決闘とは殺し合いを言い替えたに過ぎないー
ー20:40 臨設車庫内ー
長門 「なっ…決闘だと!?」
曙 「殺し合いするっての!?政一とクソエルフが!?」
満潮 「あのバカエルフ、何考えてんのよ!!」
霞 「聞く限りは其のクズエルフ、政一の事知らない様ね。」
提督 「うん、そうだね…あとクソとかクズとかバカとかは
流石に駄目だよ、セルス長老や村の皆に失礼だろう?」
暁 「そうよ、長老さんが居るんだから。で、その地獄に
一直線な死にたがりの失礼極まりない奴は何処に居るの?」
提督 「うん、暁が一番酷い物言いだね。」
龍驤 「いや、こればっかりは誰でも口悪なるで…」
浦風 「せや、あのど阿呆にゃ一発御見舞いせんとなぁ…」
黒潮 「…ドタマカチ割ってやろかあん呆けが……」
提督 「うん、黒潮が一番危険だね。」
龍飛 「明日の十時半と言ったな?何で戦う気だ?」
提督 「此処に居るじゃないか、相棒の妖刀が。」
鳳翔 「あらあら、御相手は塵も残さず消えそうですね。」
リト 「…あ、此奴の事知ってるよ!!付き合え付き合えって
執拗かったから覚えてる!!」
ユリア 「此奴は村の女性に片っ端から手を出してるからな。」
セルス 「何なら私も襲われ掛かった位だよ、顔さえ良ければ
相手の歳は関係ないって感じだったね…恐ろしい。」
提督 「…総員に聞く、この者を殺す事に異論、反論は?」
「「「「無い!!」」」」
提督 「…其の言葉を待っていた。」
ー四月十五日 10:18 広場ー
ヘインツ 「…居ねぇな、野郎さては逃げたな?」
まさか本当に逃げるとはな、野郎も大した事ねぇやw
ヘインツ 「お前達!!奴は十五分前になっても来なかった!!
要は奴は逃げやがったんだよ!!ほれ見た事か、奴も結局は
俺にビビって逃げや…」トントン
ヘインツ 「あぁ?」クルッ
提督 「流石だね、弱い犬程吼えるとは言うが…こんなにも
有る事無い事言われたのは久々だよ、ヘインツ君。」
ヘインツ 「…は?十五分前に来なかったら棄権じゃ…」
提督 「私は飽くまで[十時半に集合]としか言ってないぞ。
直ぐに戦える装備で十分前到着、充分では?」
ヘインツ 「は?集合してから装備じゃ?」
提督 「そんな薄着で戦えるか?武器も見当たらないぞ?」
ヘインツ 「そ、装備をまだしてねぇだけだよ。」
提督 「ならば早くしろ、先に着いておきながら後の者を
待たせるとは戦闘以前に人としてエルフとして如何な物か
と思うが…先に来たなら装備は済ませておくべきだ。」
セルス 「あぁ、全くだね。」
提督 「…何であんたが此処に居るんですかねぇ?」イラッ
セルス 「決闘は長老が開戦の合図をすると定まっている。
其の戦を見届ける事が役目だと言われているんだよ。」
提督 「其れで態々不知火に手伝いして貰ってる訳か。」
不知火 「私は問題有りませんので御気になさらず。」
提督 「嫌でも気になるわ呆け。」
ヘインツ 「ま、待たせたな!!」
提督 「…自分の所為で五分遅らせておいてその態度か?」
ヘインツ 「うるせぇ!!勝負だ!!」
提督 「…弓?」
ヘインツ 「あぁ、そうさ!!」
…本当は剣を使うから確り背中に有るんだよ。油断させて
急所に一撃、部外者用のテンプレートさ。
提督 (絶対あの弓はブラフだ、あの紐は矢筒には見えない。
恐らくは剣を矢筒の様に背に背負っているな。)
提督 「飛び道具か…弱ったな。」つ黒鷺
ヘインツ 「こりゃ貰ったか?」
刀相手なら弓で削って死角から一撃、終わりだな。
提督 (なんて思ってそうだな、私に隠し武器がないとは
一言も言ってないんだが勝手に油断しているな。)
セルス 「……さて、諫田政一対ヘインツ・アルベルトの
決闘を執り行う。極力殺さぬ様双方尽力せよ、始め!!」
ガキッ
提督 「…いきなり胸狙いか、殺す気満々と見た。」
ヘインツ 「クソ、今のを防ぐか…」
ーー
不知火 「セルス長老殿。」
セルス 「何だい?」
不知火 「先程は非常に格好良かったです。」
セルス 「定型文を読んだだけだよ?」
不知火 「其れでも、です。」
ーー
ガキッガキッ
ヘインツ 「くっ…」
何なんだ!?何故防げる!?相手には的を絞らせない引き方を
している筈なんだ!!なのに何故相手に防がれる!?
提督 (…俺に狙いを付けさせない為に自分も一切狙わずに
引いたらそうなるよ…観客席に飛ばないようにするのって
大変なんだけどなぁ…)
ヘインツ 「…其処だァ!!」スラッ
ガキッ
ヘインツ 「…へ?」
提督 「やっと抜いたか、待ち草臥れた。」
ズバズバッ!!
提督 「ここまで待ってやっただけ有難く思え。」
セルス 「…素早く静かに確実に、か。」
不知火 「えぇ、政一は矢張りこうでなくては。」
セルス 「…死体を埋めようか。」
不知火 「御手伝い致します。」
ー第十四章 嫌われ者ー
提督 「……」ブンッ
ベチャッ
提督 「大口を叩く割には大した事は無かったな。」
セルス 「だろうねぇ…」
?? 「ヘインツ!?」
提督 「…何者だ。」
??→サルベル 「俺はサルベル、ヘインツの仲間だ!!」
提督 「そうか、奴なら死んだぞ。」
サルベル 「なっ…お前!!勝負だ!!」スラッ
提督 「…煩いなお前。」
サルベル 「煩いのはそっちだ!!」
提督 「…戦うしか、無いか。」ザッ
サルベル 「シルフ、力を!!」
提督 「…風の精霊か。」
サルベル 「叩き斬ってやる!!」ダッ
提督 「遅い。」スッ
ズバッ!!
提督 「…何も言わず無に帰せ。」
ドサッ
提督 「……」
セルス 「…皆の目の色が変わったね……流石に勇者を殺す
のは御法度の様だね。分かってはいたけれど、こんな目を
向けられるとは思ってなかったよ…」
提督 「嫌われようが恨まれようが邪魔な外野は叩き斬る。」
セルス 「……」
リト 「セルスおばあちゃん!!」タッ
ユリア 「長老様!!」タッ
提督 「次は誰が来るんだ?誰が来ようと叩き斬るが。」
ユリア 「此奴、勇者じゃないか…」
リト 「提督さん、この人殺しちゃったの!?」
提督 「戦地では他人を殺して生き残る他無い。」
ユリア 「だからと言ってこれは…」
提督 「…総員に通達、明日村を出る。配給は本日夕食分迄と
する。列車を併合し物資を積み戻す様に。」つ通信機
[何や、何が有ったんや?]
提督 「勇者とやらを殺した様だ。」
[…嫌われた訳やな?ええよ、今日の昼は缶飯やし夕方も
どうせ誰も取りに来んやろから今日の夕方出るで。]
提督 「了解。」ブツッ
リト 「…私、提督さんに着いて行く!!」
セルス 「勿論私も連れて行っておくれ。」
ユリア 「リト!?長老様!?」
提督 「…お前は残るんだな?」
ユリア 「……リトと合流出来た事には感謝してる。襲撃
から護ってくれた事もな…だから、お前に着いて行くよ。
勇者を殺せるなら怖いのなんて一つも無いんだからな。」
提督 「…無理に来なくても良いんだぞ?」
ユリア 「お前は分かり難いが根は優しい奴だ。」
提督 「…分かったよ。」
?? 「ねーねー!!」
提督 「ん?」
?? 「着いてっても良い?」
セルス 「…これは……」
リト 「シルフ!!」
??→シルフ 「彼奴乱暴だし酒癖悪いし感謝すらしないの!!
もう嫌だったから助かっちゃった!!力あげるよ?」
提督 「…風の精霊の加護を受けられるのか、助かるな。」
シルフ 「むふー。じゃ、今日から宜しくね!!」
提督 「あぁ…さて、移動の準備だ。」
ー第十五章 掌返しは通用しないー
ー16:48 臨設車庫前ー
加賀 「…敵が来てるわ、接敵まで後三ハルトかしら。」
提督 「構うか、行くぞ。」
シャーッ
?? 「待って!!」
提督 「ん?」
?? 「私も連れてって!!」
加賀 「…この子、あの時の村の子だわ。」
??→リルル 「私はリルル、リルル・フォール!!」
提督 「…俺が勇者殺しだって知っての事か?」
リルル 「うん!!だって彼奴等態度悪いのに村の皆は勇者
だからって贔屓してるし、貴方が彼奴等を殺して解放して
くれたのに勇者殺しだからって今までの恩を全部忘れて
文句言ってるんだよ!?もう皆信じらんない!!」
提督 「……仕方無い、乗れ。さっさと出すぞ。敵が近く
に来てるからな…モタモタしてると巻き込まれる。」
リルル 「うん!!」
シルフ 「…この村の人達見捨てちゃうの?」
提督 「先に切ったのは向こうだ。」
シルフ 「…そっか、そうだね。」
提督 「……出発進行。」
シュー…
プーーーグォーー
タタンタタン……タタン……
ー17:40 村はずれの森の中ー
提督 「…殺ってるね。」
赤城 「通信を入れましょう。」カチッ
[提督様!!助けて下さい!!]
[あの御方は何処なの!?早く助けて!!]
[あぁ…提督様、どうか許しを…救いを……]
ブツッ
赤城 「提督?」
提督 「…冗談じゃない。今更掌返しだと?」
龍驤 「ホンマやで…笑われんわこんなん…」
提督 「馬鹿も休み休み言え…出すぞ、次は何処へ行く?」
セルス 「…ユラストの町が良いと思うよ。」
提督 「…分かった、行くか。」
リト 「…!?火が…」
ユリア 「…燃えるな、私達の思い出が。」
セルス 「大丈夫、生きていれば何とかなるさ。」
リルル 「……あの村に未練は無いよ…行こう。」
提督 「……」
ー22:48 草原ー
提督 「……」ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
リルル 「…痛ぁい……」ヒリヒリ
セルス 「…重いね、二脚が有って良かったよ。」ズガァン!!
リト 「あははっ楽しい!!」ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
ユリア 「……」ズガァン!!ズガァン!!
フライア 「……重い…」ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
アルス 「……」ズガァン!!ズガァン!!
龍驤 「…地獄やな、全員乱射しとる。」
暁 「仕方無いわよ、試し撃ちなんて中々出来ないんだから。」
龍驤 「…せやな。」
ー第十六章 水の精霊ー
ー07:48 水の洞窟ー
提督 「…迚綺麗な水だな、汚したくない。」
シルフ 「…ウンディーネが居る!!」
提督 「居ても会えないよ、水を汚す訳には行かない。」
?? 「あら、随分と気に掛けてくれるのね。」
シルフ 「ウンディーネ、久し振り!!」
??→ウンディーネ 「あら?シルフ貴女確か王国から来た
勇者に着いて行くって、連絡くれたじゃない。その人は
勇者じゃない筈よ?」
シルフ 「だって彼奴嫌いだもん!!酒癖悪いし乱暴だし!!」
提督 「其の勇者を殺した本人に着いて行くってさ。」
ウンディーネ 「え?貴方、本当に神の加護を受けた勇者を
殺してしまったの?若しそうなら大変な事よ?」
提督 「殺したよ、エルフの村で。其の村も王国が落とした
みたいだね。燃えていたのを遠くから見たから。」
ウンディーネ 「…いや、有り得ないわ。勇者は魔物か神と
同格、或いは其れ以上の力を持つ者で無ければ殺せない
筈なのよ、貴方がそんな力を持ってる訳が…」
提督 「其れは俺が死神だったからじゃない?」
ウンディーネ 「え?」
提督 「だから、俺が死神だったから殺せたんじゃない?」
ウンディーネ 「…は?貴方が、死神?」
死神 「僕が説明しましょうか?」
ウンディーネ 「貴方は?」
死神 「あ、僕現役の死神です。この方は僕の先輩ですね。」
ウンディーネ 「…え?」
死神 「死神としての力はもう無いと思います、でも先輩は
確かに死神として命を刈り取っていましたから、恐らくは
其れが原因なのではないかと。」
ウンディーネ 「…降参よ、貴方に勝てる見込みが無いわ。」
提督 「…は?」
シルフ 「実は私達精霊って、戦って力を示さないと協力は
しないんだよ。模擬戦で負ける様な弱い人に使われたく
無いんだもん。でも貴方は別!!私惚れちゃった♡」
ウンディーネ 「私もよ、貴方と戦っても勝てそうにないわ。
だから力を貸してあげるけどそんなに強くないわよ?」
提督 「…助かるよ、真水の確保は大変でね。」
ウンディーネ 「あら、そっちで使うの?面白い人ね。」
シルフ 「…ベノムだ!!」
提督 「後輩、敵四体。」
死神 「うん、任せて。」つ大鎌
ブォン!!
べシャッ
シルフ 「…え?」
ウンディーネ 「…嘘でしょう?」
提督 「…大振りが過ぎる、後そんな小物に大鎌を使うな。」
死神 「あはは…御免なさい。」
シルフ 「今のは!?」
提督 「死神の大鎌、命を刈り取る即死の鎌だよ。」
ウンディーネ 「…本当に勝てないわね。」
シルフ 「この人も強いけど、仲間の人達も強いのね…」
提督 「…移動しよう、何か嫌な気配が近い。」
シルフ 「え?うん。」
ウンディーネ 「分かったわ。」
ー第十七章 勇者を屠る者ー
ー17:40 ユラストの町ー
提督 「……着いたか。」
町人 「彼奴は…勇者殺しだ!!」
町人 「何だと!?勇者殺しを許すな!!」
リト 「…そんな……」
提督 「……だろうと思った、魔王領に向かうが先か…」
ウンディーネ 「ならノームとサラマンダーも居ないとね。」
シルフ 「二人にも会いたいなぁ…」
提督 「…何処に居る?」
ウンディーネ 「サラマンダーはテルミア火山。ノームは…
何処に居るのかしら?」
シルフ 「スルミト砂漠だよ!!」
提督 「…成程。」
町人 「死ねぇ!!」ブンッ
ザクッ
提督 「…気は済んだか?」
町人 「なっ!?」
ズガァン!!
町人 「が…ぁ……」ドサッ
リルル 「あぁっ取られた…折角使えると思ったのに…」
つ五一式準対物半自動狙撃銃
不知火 「…改良型と新型、何方を使うか少々悩みました。」
つ四八式準対物半自動狙撃銃改
提督 「…この程度では死なないのが良いのか悪いのか。」
不知火 「少なくとも私達は有難く思っていますよ。貴方が
死んだら私達は終わりです…貴方に依存しているこの心も、
貴方に救われた命も……全てが壊れてしまいます。」
提督 「…相変わらず愛が重いなっと。」ずぼっ
不知火 「…こうしたのは貴方です。」
提督 「これは…痛い所を突いてくれる。」
不知火 「あら、告白したのは貴方からでしょう?」
提督 「女誑しと分かって着いて来たのはお前だろう…」
不知火 「えぇ、そうですね。」
提督 「…夫婦漫才もここまでだな。」
町人 「勇者殺しを許すな…」
提督 「……四時方向、接敵まで八秒…射撃用意。」
ジャキッ
町人 「此奴等、何を…」
?? 「ハーッハッハッハッ!!」
ドガァン!!
町人 「何だ!?」
??→ウルベスト 「我が名はウルベスト・リテラット!!!!
魔王様に仕える者にして四天王が一角!!」スタッ
提督 「総員、放て。」
ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
ウルベスト 「おわぁっ!?」
ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
ウルベスト 「ちょ、ストップ!!ストップ!!マジストップ!!」
提督 「撃ち方止め…この町に何の用だ?」
ウルベスト 「いや、町に用じゃなくてあんたに用が…」
提督 「早く言え、私は待つのが嫌いだ。」
ウルベスト 「いや、魔王様があんたを気に入ったらしくて
呼んで来いって言われました!!はい!!」
提督 「……先に魔王と手を組む方が動き易いか…」
ウルベスト 「…隙有り!!」ボウッ!!
バッシャァ!!
提督 「…次余計な真似したらこの程度じゃ済まないぞ。」
ウルベスト 「はい、済みませんでした…」ボトボト
ウンディーネ 「…この子、馬鹿ね。」
提督 「魔王の所に案内しろ、良いな?」
ウルベスト 「はい!!」
ー第十八章 魔王と死神ー
ー四月十七日 魔王城 19:40ー
ウルベスト 「…魔王様、件の一行です……」
「通せ。」
ウルベスト 「そ、粗相の無い様に御願いします…」
提督 「……」チャッ
魔王 「…貴様が例の勇者殺しか……」
?? 「…強そうには見えませんね。」
?? 「アタシでも殺せそう!!」
?? 「勇者が弱かっただけか、彼が真に強いのか…」
ウルベスト 「実力は確かです。不意打ちヘルファイアを
水の精霊を使役し即座に鎮火させる程度の事は難なく熟し
武器での反撃も出来ます。事実私が死に掛けました…」
魔王 「…ふむ、貴様は四精霊と何処まで手を組んでいる?」
提督 「エルフの村で勇者を殺した際にシルフと、ユラストへ
向かう途中に有った水の洞窟でウンディーネと合流、其の後
サラマンダーとノームに出会う前に此処へ来ました。」
?? 「何!?勇者を殺した際に四精霊は居なかったと!?」
提督 「はい、精霊が居る事実すらも知らずに居ました。」
魔王 「…面白い、貴様の部下に会っても良かろうか?」
提督 「構いませんがラルカンス王国元第三皇女も居ます。」
魔王 「何!?」
提督 「其れとエルフがダークエルフ含め四名。一般市民も
二名居りますので殺さぬ様に御願いします。仮に殺しても
彼岸から引き戻す事は出来ますが同時に貴方の部下を一名
彼岸に送りますので御覚悟の程御願い致しますね。」
魔王 「待て、待て!!何故彼岸から連れ戻せる!?」
提督 「…言ってませんでしたね、私が元死神で部下に死神が
居るという事を。」
魔王 「……」
提督 「下手な事をすれば倍になって帰って来ますよ。」
魔王 「…分かった。」
ー謁見室 20:58ー
提督 「…此処に居るのが私と同行する者達です。」
魔王 「…セルス!?何故お前が此処に!?」
セルス 「御元気ですね魔王様、百年振りでしょうか。」
魔王 「村は!?村は如何なった!?」
セルス 「…村は王国軍に焼かれ全滅しました。」
魔王 「何だと!?」
セルス 「…政一が勇者を殺した際に村の者は私達を除いた
全員が政一を勇者殺しと罵りました。食糧の恩も忘れて。」
魔王 「…なんと……」
リト 「其れに、政一さんは襲撃を一度迎撃してるのよ!!」
リルル 「其の時に皇女さんが残ったのよね。」
ホーテル 「えぇ…そうね。」
魔王 「…王国第三皇女……本当に居るとは…」
ホーテル 「勇者が死んだ事はもう国に知られてる筈だから、
今頃新しい勇者が神の加護を受けてる頃じゃないかしら?」
魔王 「…ふむ……」
鵜来 「提督?この人は?」
提督 「魔物を束ねる王だとさ。女王ってのは珍しいか?」
魔王 「ん?いや、先代も女王だったな。尤も、全三代しか
居ないが故に母数不足だがな。」
提督 「…成程、長命の上に勇者に狩られる事も粗無しでは
代替わりも起き難いと。」
魔王 「…貴様、随分詳しいな?」
提督 「元死神で元混血魔族だからな。」
魔王 「…成程。」
玉藻 「むぅ…暇じゃ!!」
提督 「煩いぞ九尾。」
玉藻 「妾は玉藻前じゃ!!九尾と呼ぶな!!」
魔王 「何!?玉藻前だと!?和国の狐が居るのか!?」
玉藻 「うむ。妾は白面金毛九尾の狐、玉藻前じゃ。」
魔王 「…まさか、生きて会えるとはな。」
玉藻 「妾もこの様な場所に来るとは思わなんだわ。」
死神 「あ、どうも、死神です。」
魔王 「なぬっ!?まさかもう死ぬのか!?」
死神 「いや、殺しに来てないです。先輩に着いて来ただけ
ですから…そんなに警戒しなくても……」
魔王 「なぬ?先輩?」
提督 「お前俺の事いっつも先輩って呼ぶがな…もう俺は
お前の先輩としての力はねぇんだぞ?」
死神 「でも僕が死神として働けるのは先輩が一から十まで
教えてくれたからですよ?」
魔王 「…頭が痛いわ。」
?? 「魔王様、一度この者と戦われては如何でしょう?」
魔王 「…断る。勝てぬのは目に見えておる。」
?? 「アタシは殺るよ!!」
魔王 「待て、フリージア!!」
??→フリージア 「此奴等弱そうだもんね!!」ビキッ!!
ビキビキッ!!
提督 「……」カチーン
フリージア 「ほら!!大した事無いじゃん!!」
魔王 「…いや……」
バキャッ!!
フリージア 「……へ?」
提督 「…やる事は其れで終いか?他に手は無いか?」
フリージア 「嘘、火の精霊も居ないのに何で…」
不知火 「提督は見た目では分かりませんが異常な怪力持ち
なんです。十瓩は有ろう全金ハルバードも片手で振り回す
程ですから…あの氷も力任せで砕いた様ですね。」
フリージア 「嘘でしょ!?アタシの氷は鉄より硬いのに!!」
不知火 「唯の鉄なんて紙の様に破き砕く人ですよ?」
フリージア 「嘘…そんな…」
提督 「死ぬ準備は出来たか?神に御祈りは?」
魔王 「待ってくれ、彼女の非礼は謝る…矛を収めて欲しい。」
ウルベスト 「ほらほら、早く謝んなさいよ!!あの人怒ったら
何が起こるか分かったもんじゃ無いんだから!!」
提督 「……」
フリージア 「…ご、御免なさい…」
提督 「…まぁ良いとして…これから如何動く?」
魔王 「…少しの間此処に留まれるか?」
提督 「…構わないが、何故?」
魔王 「我々の鍛錬に付き合って貰いたい。」
提督 「…仕方無い、明日の午後から始める。」
魔王 「分かった、明日の午後だな。」
提督 「あぁ…寝る。」
魔王 「寝室を用意しようか?」
提督 「いや、電車の運転台で寝られる…お休み。」
魔王 「え?あ、お休み…」
ホーテル 「…あの方は掴み所が無いのも特徴ですわね。」
魔王 「うむ…」
ー第十九章 四天王の鍛錬ー
ー四月十八日 魔王城中庭 10:20ー
提督 「……」zzz
魔王 「これが、電車なのか…」
加賀 「えぇ、前八両が1000系、後ろ十両は3000系ね。」
ウルベスト 「乗り心地、結構良いんですよ。」
魔王 「…ふむ、気になるな……」
フリージア 「…提督怖い……」
?? 「実力の底も分からないのに突っ込むからでしょう?」
フリージア 「あ、アルクリア…」
??→アルクリア 「…シルフとウンディーネは彼と戦わずに
同行する事を決めたと言いますから、恐らく何かを持って
いるのでしょう…午後の鍛錬で見られれば良いのですが。」
早紀 「……ふわぁ…加賀さん、早いっすねぇ…」
加賀 「貴女が遅すぎるのよ、もう十時半よ?」
提督 「……んぅ…うぐぐ…ふぅ……さて、動かすかな。」
シュー…
ガタッ
提督 「…魔王が何か用ですか?」
アルクリア 「いえ、この電車という物が気になりまして。」
提督 「…電気で動く移動用車両だが、何か?」
アルクリア 「…ふむ、私が乗っても?」
提督 「勝手にどうぞ…」
アルクリア 「では失礼…」
魔王 「…私も失礼しよう。」
プシューガガッコン…
プーーーグォーー
ー魔窟の森 11:00ー
プジャー!!
プシューガガッコン
提督 「……」チャッ
スタッ
アルクリア 「…こんな所で停めるのか?」
提督 「……」ジャキッ
ズガァン!!ズガァン!!
アルクリア 「あ、アレは?」
不知火 「アレは…四八式改です。」
アルクリア 「四八式改?」
不知火 「半自動の準対物狙撃銃です。」
加賀 「最初に四八式、次に四八式改、更に五一式も完成
したから…今の所は三種類ね。」
ズガァン!!ズガァン!!
不知火 「……提督は矢張り気を休めずにおられますね…」
加賀 「…此処でもゆっくり出来ないのね。」
ー魔王城中庭 13:10ー
アルクリア 「ハァッ!!」ブワッ
提督 「風の使い手か…」ガキッ
アルクリア 「流石は氷と水の使い手フリージアを倒した
男だな…全体的に隙が無い。」
提督 「世辞は結構、本気を出さないなら切り上げるぞ。」
アルクリア 「…!?」
ガキィン!!
提督 「…最後の四天王…土の使い手か。」
??→ドルクス 「あぁ、ドルクスと言う。」
提督 「…丁度良い、四人纏めて掛かって来い。精霊無しで
何処まで出来るか確認しておきたい。」
フリージア 「…や、やってやるんだからぁ!!」
ドルクス 「…其の自惚れた考え、叩き斬ってくれる。」
アルクリア 「…やるわ!!」
ウルベスト 「…うぅ…負ける……」
提督 「さぁ、来ると良い。」
ー14:00ー
提督 「…で、自惚れた考えが何だって?」無傷
ドルクス 「…馬鹿な……」
アルクリア 「御免なさい…勝てません……」
フリージア 「……やっぱり負けたぁ…」
ウルベスト 「ですよね…」
魔王 「…一刻経たずに全滅か…この強さでは私も漏れなく
討伐されてしまうのだろうな。」
提督 「そうならねぇ様に手を組むんだろ?」
魔王 「…矢張り見抜かれていたか。」
提督 「…魔王城は放棄するか?」
魔王 「あぁ、これからは移動しつつ勇者軍と戦う事になる
だろうな…勝てるか?」
提督 「勝つ勝たないじゃない…生き残る、それだけだ。」
魔王 「…アッハッハ!!道理で強い訳だよ!!」
提督 「…さて、鍛錬の続きだな。」
ー第二十章 魔王の鍛錬ー
魔王 「では、私と一対一でどうかな?」
提督 「……」ザッ
魔王 「…御託は不要か…ハァッ!!」
ガキッガンッギィンッゴンッガキャッ
魔王 「…流石は四天王を打ち負かす男だ、私と互角以上に
戦うとはな。これは良い鍛錬になりそうだ!!」
ガンッギィッゴッバキッ
魔王 「ぐっ…」
提督 「蒼刀蒼鷺よ、真の姿を此処に現せ。」
パァァ…
魔王 「…何が起こると言うのだ…」
スタッ
アオ 「…主様、御久し振りです。」
提督 「おう、妖刀になった時以来か?」
魔王 「なっ!?」
アオ 「…奴を倒せば良いのですか?」
提督 「あぁ、殺さない様にな。」
アオ 「分かりました、峰打ちで参ります。」ザッ
提督 「魔王、お前はさきに此奴とやれ。」
魔王 「…実践形式の練習か、面白い!!」ザッ
ガンッギンッガキッゴンッ
魔王 「ハァッ!!」
アオ 「ふっ…」
ガキッゴンッバキッガギッギンッ
提督 「……」タッ
ザッ
提督 「其処迄。」
魔王 「……」
アオ 「如何でしょうか、主様?」
提督 「アオの優勢、だな。魔王、流石に少し弱いぞ?」
魔王 「むぅ…鈍ったか?」
提督 「黒刀黒鷺よ、真の姿を此処に現せ。」
パァァ…
魔王 「ん?」
スタッ
クロ 「主ぃ、暇すぎんぜ…」
アオ 「こら、クロ!!主様に失礼でしょ!?」
クロ 「んな事言ったって、主は気にしねぇって。」
アオ 「私が気になるの!!」
提督 「お前ら喧嘩するなら元に戻すぞ?」
クロ 「すんません!!」
アオ 「御免なさい!!」
提督 「……悪いなこんな奴等で…こんなでも斬れ味だけは
一流だから大目に見てやってくれないか?」
魔王 「いや、気にしてないさ…」
提督 「なら良いんだが…クロとアオだ。俺の愛刀さ。」
魔王 「これは付喪神とやらだったか?」
提督 「御明答。少し血を吸い過ぎて妖刀になったんだが、
其の時に序に付喪神になったらしい。」
魔王 「……」
提督 「クロ、アオ。魔王と戦って対人経験を積んでおけ。
俺は暫く休む。」
魔王 「…さあ、来い。手は抜かぬぞ。」
クロ 「やってやんよ…」
アオ 「参ります…」
ー17:43ー
魔王 「…くっ……」満身創痍
アオ 「はぁ…はぁ…」満身創痍
クロ 「糞が…」満身創痍
提督 「流石は魔王、初見の相手にこうも互角で戦うか…
経験値を回収しつつ戦闘を行った様に見える。」
魔王 「…よく分かったな。」
提督 「矢張りか…途中から明らかに動きが変わったからな。」
魔王 「…そうか……」
クロ 「もう、限界だぜ……」ぽんっ
カランカラン…
アオ 「もう、クロったら…」ぽんっ
カランカラン…
提督 「…力を使い過ぎたか、この辺りは鍛錬せねばな。」
魔王 「…矢張り貴様は変わっているな。」
提督 「変わってなければ異種族を纏めるなんて無理だ。」
魔王 「違いない。何かが変である事が上に立つ者としての
必要条件なのかも知れんな。」
提督 「そうだとしたらお前も変だと言う事になるぞ。」
魔王 「違いない。」
魔王・提督 「HAHAHA!!」
提督 「いや否定しなよ…」
魔王 「出来んよ。」
提督 「其れもそうか。」
魔王・提督 「HAHAHA!!」
暗闇 「笑ってる場合か!!」
ー第二十一章 四精霊集結ー
ー18:30 大浴場ー
提督 「…何故お前達まで入っているんだ?」
魔王 「仕方無かろう、魔王城の風呂は混浴なのだから。」
提督 「…そうかい。」
魔王 「…火の精霊と土の精霊…今は如何しているのか…」
提督 「分からんが…孰会えるさ。」
ウンディーネ 「大変よ!!」
提督 「ん?」
魔王 「如何した?」
シルフ 「サラマンダーとノームちゃんが此処に来てるの!!」
魔王 「何だと!?」ザバァ
提督 「急に立つなよ、色々見えてるぞ…」
シルフ 「うわぁ、大っきい…じゃなくて!!隠して!!」
ウンディーネ 「シルフ、本音が垂れ流しよ…」
提督 「迎えに行くか…」バシャ
ー19:22 魔王城門前ー
サラマンダー 「ウンディーネ!!無事か!!」
ウンディーネ 「大丈夫よ…貴女こそ大丈夫なの?」
サラマンダー 「あぁ、ノーム共々何とかな…」
ノーム 「…シルフ……久し振り……元気?」
シルフ 「うん!!ノームも元気そうだね!!」
提督 「…仲良き事は美しきかな。」
サラマンダー 「あ、あんたが勇者殺しだな?」
ノーム 「……勇者殺し、会いたかった…話は、聞いてる。」
提督 「へぇ…まぁ、連絡取れるなら当然か。」
サラマンダー 「…なぁ、頼みがあるんだが…」
提督 「言ってみな、出来る範囲で助けてやる。」
ノーム 「…勇者、沢山…襲ってきた……助けて…」
提督 「ん?勇者は一度に一人だと思ってたんだが…」
サラマンダー 「あぁ、ウチもそう思ってたよ!!でも火山に
二百人位が一気に来て困ってんだよ!!」
提督 「…読めたぞ。連中、物量でゴリ押しする気だ。」
サラマンダー 「マジかよ!?」
ノーム 「…勇者、怖い。」
提督 「…今の物資量では物量で押されると弱い…となれば
一度移動して新兵装の開発を進めるしかないか。」
魔王 「ん?狙撃銃では不十分か?」
提督 「狙撃銃は単発の威力こそ有れども、大多数相手では
手数に欠ける。大多数相手には機関銃が必須だな。」
魔王 「ふむ、成程。」
ノーム 「…!?来た…来たぁ!?」
提督 「落ち着け…数は分かるか?」
ノーム 「…四人……四人だけ…」
提督 「分かった。」つ五一式
ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!ズガァン!!
提督 「…追撃が来る前に逃げるか。」
魔王 「然し、魔王城には相当な数の魔物が居るぞ?」
提督 「だったら繋げば終わりだ。」ポンッ
1000系10連+2000系10連
魔王 「…へ?」
提督 「魔物達を一箇所に集めろ、其処に持って行く。」
魔王 「…中庭に頼めるか?」
提督 「分かった。」
ー20:38 中庭ー
サキュバス 「もう、何よ…」
ヴァンパイア 「…急に呼び出しって……何の用よ…」
オーク 「知らんが、重要なのは確かだろう。」
魔王 「…急に集まって貰って済まないが、この城を出る。
故に君達にはもう直ぐ来る電車に乗って貰う。」
アルラウネ 「何ですって!?」
ガーゴイル 「我々がこの城でどれだけ過ごして来たか…
其れを理解しての事ですか?」
魔王 「…分かっているとも…だが、此の儘此処に居れば
全滅モ有り得るのだ。命有っての物種だろう?」
ミミック 「だとしても、だろう!?」
魔王 「…この先死ぬと分かった上で残る者は去るといい。
命の惜しい者は我と共に城を出ようではないか。」
サラマンダー 「来たぞ!!」
タタンタタン…プジャーッ!!
プシューガガッコン
提督 「おい、さっさとしろ。後十分で追手が来る。」
魔王 「生き残りたい者は速やかに乗るが良い!!我と共に
この先も生き続けようぞ!!」
サキュバス 「…私、乗るわ!!」
ヴァンパイア 「目が覚めたわ、乗せて!!」
オーク 「此処で死ぬ訳には行かぬ!!」
アルラウネ 「…逃げるわ!!」
ガーゴイル 「…共に行くとするか。」
提督 「…流石に命を捨てる様な奴は居ないか。」
魔王 「居たのなら斬り捨てるまで…行こう。」
プシューガガッコン
プジャー…
プーーグォーーー…
ーー
提督 「魔王。」
魔王 「む?」
提督 「これだけの数、よくこうも纏めて居られたな。」
魔王 「…昔はもう少し少なかったが…子も生まれた。」
提督 「子孫を残した結果か…さて、海に出ようか。」
魔王 「うむ……勇者殺し…いや、政一だったか? 」
提督 「諫田政一、其れが俺の名だ。」
魔王 「…政一よ、今後も宜しく頼むぞ。」
提督 「…まぁ、何とかしてやるよ。」
ー第二十二章 交易の街、その手前で。ー
ー四月十九日 大街道 09:48ー
タタン…トトントトタタン…
魔王 「政一、この小気味良い音は何だ?」
提督 「線路は金属だ、金属は熱で膨張する。夏場膨張した
線路が歪まない様に一定の隙間を開けて線路を繋ぐ。故に
継ぎ目に車輪が差し掛かれば隙間に落ちた後乗り上げる。
そして線路は一本二十五米…約十八コルスと言った所か。
車両一両が十五コルスの二十一米、そして台車は更に狭い
間隔で並ぶが故のこの音だ。」
タタン…トトントトタタン…トトントトタタタタンタタン…
タタン…トトントトタタン…
魔王 「…成程、少し混乱したが理解は出来る。」
提督 「我々の使う単位と其方の単位は異なるからな…」
タタン…トトントトタタン…
魔王 「…今、どの位で走っている?」
提督 「八ハルト強って所か。時速百十五粁だな。」
魔王 「…熟興味深い。」
提督 「…海は遠いからな……」
摩耶 「…なあ、政一…この調子だと何時着く?」
提督 「三度の休憩込みでも…二日は掛かるか。」
魔王 「其れ程に速いのか、この乗り物は…」
摩耶 「鳥海が酔っちまってんだが、止まれるか?」
提督 「成程、少し止まろうか…」
ーー
鳥海 「す、済みません…うぶっ…」
提督 「吐き気がするなら吐いた方が楽だぞ。」
魔王 「うむ、確か摩耶と言ったな。木陰に連れて行け。」
摩耶 「おう、分かった。鳥海行くぞ。」
魔王 「…此処は交易の街、テミタールの手前だな。」
提督 「此処に天幕を張ろう、開発開始だ。」
ー21:40 臨設天幕ー
提督 「コレで如何だろうか。」
つ試作五三式準対物機関銃
提督 「動けば良いが。」
チャッ
ガァンガァンガァンガァンガァン!!
提督 「…レートが遅過ぎるな。」
魔王 「改良だな。」
ー23:50ー
提督 「今度は如何だ?」
チャッ
ガガガガガガガァン!!
魔王 「…実用的だな。」
提督 「よし、後は明日だな。」
ー07:20ー
提督 「銃身の取り換えも問題無し…」
魔王 「六千発連続射撃も問題無し。」
提督 「命中精度は五百米で三糎以内と来たか。」
魔王 「量産決定だな。」
提督 「あぁ、もう一つ作るか。」
ー13:00ー
魔王 「…量産先行品も問題無しだな。」
提督 「だな。」ポンポンポン
魔王 「…運べるか?」
提督 「食糧関連は端から積んでないからな、其処に入れる。」
魔王 「…しまった、私の名を教えていなかったな。」
提督 「ん?あぁ、そうだな。」
アオ 「主様。」
提督 「ん?」
アオ 「敵が接近しています。」
クロ 「数は千二百位だったぜ…主、やれっかぁ?」
提督 「…魔王、機銃を取れ。迎撃だ。」
魔王 「…四天王も呼ぼう。」
ー第二十三章 捨て駒戦法の被害者ー
ー14:20ー
ガガガガガガガガガガガガガガァン!!
魔王 「えぇい、限が無い!!」ジャキッ
ズガァン!!ズガァン!!
提督 「文句を言うな、増援位は想定に入れておけ。」
アオ 「敵、再増援!!増援数三百!!」
提督 「…数で押し切ろうとは、実に馬鹿だな。少数精鋭に
数で勝てるなら我々はとうに全滅している。」
魔王 「こんな襲撃が、前にも有ったのか?」
提督 「あぁ、二桁は有ったかな。」
魔王 「其れ程か、心強いな。」
ドラグニア 「敵増援!!数二百!!」
提督 「…いい加減に鬱陶しい…散弾銃を!!」
鵜来 「うん!!」タッ
ガガガガガガガァン!!ガガガガガガガガガガァン!!
鵜来 「提督!!」つRemington M870 Marine Magnum
提督 「有難う鵜来!!」ジャキッ
バァン!!ジャキッバァン!!ジャキッ
提督 「総員気張れ、数は確実に減っている!!耐えろ!!」
バァン!!ジャキッバァン!!
提督 「ゴリ押しさせるか!!」シャコッシャコッジャキッ
バァン!!ジャキッバァン!!ジャキ
提督 「敵の増援は?」シャコッバァン!!ジャキッバァン!!
加賀 「…敵の在庫は尽きた様です。」
提督 「なら散弾をくれ、後四発なんだ。」シャコッ
加賀 「了解。」タッ
バァン!!ジャキッバァン!!ジャキッバァン!!ジャキッ
加賀 「どうぞ。」つ散弾箱
提督 「助かる。」シャコッシャコッ
バァン!!ジャキッバァン!!ジャキッ
魔王 「…ヘルファイア!!」
ボゴォン!!
提督 「…執拗い!!」バァン!!ジャキッバァン!!ジャキッ
シャコッシャコッ
?? 「待って!!」
提督 「あ?」
?? 「皆直ぐに撤退して!!これ以上は無駄よ!!」
暴徒 「はぁ!?」
暴徒 「勇者殺しと魔王を一度に潰せるチャンスなんだぞ!?」
?? 「これだけ死んでてまだ分からないの!?」
提督 「…おい、お前。」
?? 「…御願いだから、皆を許してあげて…」
提督 「お前が残るなら許してやるよ。」
?? 「分かったわ…皆、直ぐに帰って…御願い……」
暴徒 「…覚えてろ!!」
ダダダッ…
?? 「…有難う御座います……」
提督 「鵜来、手錠を。加賀は警戒態勢を解くな。」
鵜来 「はい!!」タッ
加賀 「変な真似はしない事ね。」
?? 「……」
提督 「お前、名前は?」
??→ハーリン 「ハーリン…ハーリン・エスパラント。」
提督 「…俺達はお前をまだ信用してないからな、手錠で
拘束させてもらうぞ。」
鵜来 「提督、持って来ました!!」
提督 「あぁ、有難う鵜来。」
カシャッカチチッ…カシャッカチチッ
提督 「…魔王、如何する?」
魔王 「一旦此処を離れるべきだろうな…」
提督 「移動か…分かった。」
魔王 「…然し、勇者が一人も居なかったな。」
ハーリン 「…私達は暴徒軍ですから、当然です……」
提督 「…お前、貴族か何かだろう?」
ハーリン 「え?」
提督 「一般市民にこれだけの数を動かせる影響力は無いし、
武器も揃えられないだろう…連中はお前を守る様に動いて
いたからな、お前が頭だって事は分かっている。連中が
お前の言葉に従い退いて行ったのも証拠になる。」
ハーリン 「……私はエスパラント家の三女…末っ子です。
両親や兄達は私には何もくれず、彼等を煽るだけ煽って
私に全て押し付けました…私も、何が何だか分からない儘
彼等を率いて戦う事になりました…でも、私の目の前で
彼等が無駄に命を散らしていくのが、耐えられなくて…
もう、嫌なんです…御願いですから助けて下さい……」
加賀 「…提督、もしかするとこの子は…」
提督 「…奴等にとっては唯の捨て駒、だな。」
ハーリン 「……捨て、駒…」
提督 「愛情を微塵も渡していない、娘とは思っていない
三女なら…こうして捨てた所で自分には傷が付かないと
考えたんだろうな……人間の屑共が。」
ハーリン 「…御願いです、助けて下さい……」
提督 「…鵜来、手錠外してやれ。加賀も銃下ろせ。」
ハーリン 「え?」
カチャンッ
提督 「お前が捨て駒だって事は充分わかった。ならお前の
強みは何だ?何も知らないで生きてるのか?一つ位は直ぐ
思い付くだろう、言ってみろ。」
ハーリン 「…私には何も思い付きません…」
提督 「そうか、なら俺が強みを引き出してやる。」
ハーリン 「えっ…」
提督 「お前を捨て駒で終わらせないからな。着いて来い。」
ハーリン 「…はい!!」
魔王 「…あぁして女を堕とすのか。」
加賀 「女誑しは健在ですね…」
ー交易の街テミタール 16:57ー
浦風 「アカンな、入られん。次開くんは明日の十時や。」
提督 「だろうな。」
ハーリン 「……」
提督 「如何した?」
ハーリン 「…御父様を、殺せるでしょうか?」
提督 「お前は彼奴等に捨て駒にされたんだ。だから此処で
彼奴等に捨て駒の本気を見せてやれ。」
ハーリン 「…はい!!」
提督 「どうせだ、此処で練習してみるか?」
ハーリン 「え?」
提督 「ほれ、拳銃だ。弾は十七発。俺に一発当ててみろ。」
つGLOCK17
ハーリン 「で、でも提督さんが!!」
提督 「俺は其の程度で死ぬ身体じゃねぇから、早く。」
ハーリン 「…やってみます!!」
提督 「俺は全力で逃げる、一発でも当てられるならお前は
捨て駒卒業だ。準備は良いな?」
ハーリン 「はい!!」
提督 「行くぞ!!」タッ
バンバン!!バン!!
提督 「其の程度がお前の本気か?相手の行動を読め。」
ハーリン 「…相手の…行動……」
バン!!
提督 「痛っ!?」バスッ
ハーリン 「あ、当たった!?」
提督 「…成程。お前の強みが分かった。」
ハーリン 「本当ですか?」
提督 「お前の強みは三つだな。反動の制御力、動体視力、
そして急所を狙う精度の良さだ。見ろ、心臓直撃だぞ。」
ハーリン 「えぇ!?何で生きてるの!?」
提督 「色々あるんだよっと…取れたか。念の為射撃訓練を
しておこうか、強みは伸ばすに限る。」
ハーリン 「はい!!」
ー第二十四章 暗殺者育成ー
ー19:40ー
魔王 「…して、彼女は?」
提督 「暗殺者としての才能が有る。今まで寝ていた様だが
起きた以上は使う…彼女、捨て駒から切札に変わったよ。」
魔王 「ほう、随分格が上がったな。」
提督 「訓練も順調だから、明日には一端の暗殺者だよ。」
ハーリン 「ふっ!!」パン!!
龍驤 「甘いで!!」サッ
ハーリン 「そうでしょうか?」つバタフライナイフ
龍驤 「…二段構えやと……」
提督 「…ね?」
魔王 「…成程、私の血は途絶えていなかったのか。」
提督 「ん?」
魔王→イリア 「私はイリアスフィール・ハイラスベント…
彼女は、ハーリンは恐らく私の娘だ。」
提督 「…何だって?」
イリア 「私は過去に一人だけ子を成したのだが…人間に
攫われてしまった。あの力は私の力に似ている。」
提督 「…成程……確証さえ有ればな。」
イリア 「もし私の娘なら…本当に私の娘だったら、左脚の
付け根に火傷の跡が有る筈だ。料理を零してしまってな、
其の時に脚の火傷だけは跡になってしまったんだ。」
提督 「……」
ハーリン 「うっ…」ボスッ
龍驤 「ちょ、どないしたん!?」
ハーリン 「左脚が…痛い……」
龍驤 「ちょい見せてみ…うわっ、血ぃ出とるやん!!」
提督 「如何した?」
龍驤 「提督、こっから血ぃ出とる…どないしよか…」
提督 「何処だ…!?イリア!!来い!!」
イリア 「何だ?」
提督 「この傷跡…お前の話と辻褄が合うぞ!?」
イリア 「何だって!?」
提督 「これだ…擦れて血が出てるんだが…」
イリア 「…この火傷の跡…矢張りか!!」
ハーリン 「な、何…」
イリア 「会いたかったぞ!!ハーリン!!」ギュッ
ハーリン 「うわぁ!?」ドサッ
龍驤 「ど、どういうこっちゃ!?」
提督 「生き別れの娘と漸く会えたんだよ、水を差すな。」
龍驤 「…成程な。」
ー22:00ー
ハーリン 「…じゃあ、本当のお母さんは魔王って事?」
提督 「あぁ…お前の血とイリアの血を調べてみたんだが、
親子関係が有ると認められた。目の前に居る魔王こそが、
君の正真正銘の母親だよ。目一杯甘えると良い。」
ハーリン 「…お母さんって、呼んで良いの?」
イリア 「気が済むまで呼ぶと良い、愛しい我が娘よ。」
ハーリン 「…お母さん……」ギュッ
提督 「…問題はあの糞貴族を如何締め上げるかだな。」
イリア 「ん?如何いう事だ?」
提督 「人攫いから買った奴隷、だから愛する必要は無い。
どうせ奴隷なのだから、適当に嘘を吐いて捨てれば良い。
そう考える屑は消す以外に無かろうて。」
ハーリン 「…やっぱり、私は家族じゃなかったんだ…」
イリア 「今は私が居る。」
ハーリン 「…うん。」
龍驤 「…どないするん?」
提督 「…その身体には擦れない様な対策が要るな。」
龍驤 「せやと…下着着けんで動くとか?」
提督 「あまり取りたくは無い手段だがな。」
ハーリン 「し、下着無しって…スカートだけ!?」
提督 「いや、下着無しでスカートは無理だ。」
龍驤 「せや、スラックス改造したらどやろか?」
提督 「ん?」
龍驤 「スラックスに下着の機能付けたらどやろ?」
提督 「…良いかもな。」
ハーリン 「スラックスって?」
龍驤 「政一が着とるコレ。」クイッ
提督 「おい、コレは一応軍服だぞ…皺が……」
龍驤 「えぇやんどうせ軍令部行かんのやから!!」
ハーリン 「……」
イリア 「…暗殺者としては良いだろうな。」
ハーリン 「お母さん?」
イリア 「改造して貰うか?」
ハーリン 「…うん!!」
提督 「いい加減にしろ…」グッ
龍驤 「あだだだだ!!ちょ、堪忍!!堪忍してぇな!!」
ハーリン 「……」
イリア 「雰囲気丸潰れだな。」
提督 「話は通しておく、暫く待って欲しい。」
イリア 「あ、あぁ…」
ハーリン 「うん…」
提督 「龍驤、此方来い。」
龍驤 「と、取れる!!頭取れるぅ!!加賀ぁ!!助けてぇ!!」
ハーリン 「……」
イリア 「彼女は一体何をしたかったんだ?」
ー第二十五章 王国軍対深艦魔連合軍ー
ー四月二十一日 テミタール関門前 09:00ー
提督 「痛いか?」
ハーリン 「はい、少し…」
提督 「これはね…紫雲膏も万能薬では無いからね。」
ハーリン 「済みません…」
提督 「謝らなくても良いよ、もう家族同然だからさ。」
ハーリン 「…家族……」
イリア 「…随分と手慣れているな?」
提督 「医務室勤務の時も有ったからね。」
ホーテル 「…来てるわ。」
提督 「え?」
ホーテル 「私達が寝返った事、国にバレたみたい。」
シルフ 「ちょっと、如何したのノームちゃん!?」
ノーム 「来てる来てる来てるぅ!!勇者が来てるぅ!!」
サラマンダー 「勇者はもう勘弁だぜぇ!!」
ウンディーネ 「ちょっと、落ち着きなさいよ!?」
提督 「…総員戦闘配置。列車は捨てども命は護れ。」
龍驤 「え、えらいこっちゃ!?」
鳳翔 「ふふ、腕が鳴りますね。」
龍飛 「あぁ…鈍ってなければ良いが。」
ぷらずま 「さっさと動くのです!!防衛戦なのです!!」
電 「はわわわ…艤装何処なのです!?」
響 「参ったね…急がなきゃ。」
暁 「駆逐艦は小回り活かして前衛で主砲連射!!巡洋艦は
中衛で主砲攻撃と対空見張り!!戦艦は後衛で主砲攻撃!!
最後に空母はアウトレンジ!!急いで配置について!!」
加賀 「…暁ちゃん、本当に確りしていますね。」
赤城 「えぇ…さぁ、戦闘ですよ。」
大和 「魔軍の皆さんは配給を御願いします!!」
武蔵 「飛べる者は対空砲火に気を付けてくれ!!」
スライム 「¥$$¥$#&@#¥$#@&”¥$$!!」
イリア 「…成程、敵は弓兵が主体で数は三千強か。」
提督 「スライムの言葉も分かるのか?」
イリア 「まぁな。」
ハーリン 「…私も分かっちゃった。」
提督 「血が繋がってるからだな。」
スライム 「/]=['=-”'¥$¥$'/(=-/([-]](==!/-'ゞ-+-(=-]]+!!」
提督 「…言葉が分からないってのは、辛いな。」
イリア 「そうだな…」
提督 「…ん?」
ひゅぅぅぅぅぅぅうううう
ゥゎぁぁぁぁぁああああああ゙あ゙あ゙あ゙
?? 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」
提督 「うげっ!?人間!?」
ボガァァァン!!!!!!
武蔵 「だ、大丈夫か政一!?」
大和 「政一さぁぁぁん!?」
提督 「…ゲホッゲホッ……」
?? 「うぅ…あ!!御久し振りです!!提督!!」
提督 「…桜?」
??→桜 「はい!!貴方の桜です!!」
提督 「…何で裸なの?」
桜 「だって、艦娘の身体無くなったんですもん…」
提督 「…あの閻魔の野郎、次会ったら打っ飛ばして殺る
からな…覚えてろよ…」
桜 「提督、服下さい!!」
提督 「ほい。」ポンッ
桜 「有難う御座います!!って、ブラは?」
提督 「…お前何使ってたっけ?」
桜 「この身体だとGですね。」
提督 「ほい。」ポンッ
桜 「有難う御座います…あれ、皆さん居たんですか?」
提督 「お前を知ってる奴はお前の変貌度合いに言葉が
出ねぇしお前を知らねぇ奴は矢鱈ベタベタくっ付く奴が
急に空から降って来たっつう認識だろうな。」
桜 「あ、あはは…」
提督 「まぁ良い、銃を取れ。戦争だ。」
桜 「了解!!」
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