人神魔艦連合軍筆頭[諫田政一]
諸注意は第一作にて
消耗しつつもリースバートを抜けた政一達。
政一は遂に王都を攻める。
新たな敵も次々生まれる中で政一達は戦い続ける。
異世界での戦闘や日常を引続き御送りしよう。
ー第六十二章 戦の後に訪れる戦ー
ー街道 06:00ー
シロ 「んぅ…はぁ…」
クロ 「も、もう無理だぜ…」
弥生 「政一さん…愛してます…」
提督 「俺もだ…弥生が無事で良かった。」
弥生 「…あの時は…もう、貴方に会えないと……」
提督 「俺もお前を奪われて終わるかと思った。」
弥生 「…もう、あんなのは嫌です。」
提督 「……俺もだ、思い出すだけで嫌になる。」
弥生 「…貴方の総てで、私を…弥生を染めて下さい。
もう貴方以外考えられない様に染め上げて下さい。
貴方以外を容赦無く殺せる位に染め切って下さい。
貴方だけの女として、貴方の御傍に置いて下さい。」
提督 「…言われなくとも、そうするよ。」ギュッ
弥生 「政一さん…」
提督 「もうあんなのは御免だ…だから。」
弥生 「はい…私は大丈夫ですから。」
提督 「…今日は離さないからな。」
弥生 「勿論大丈夫です。」
ーー
白鷺 「待て、待てって!!」
紅魔 「待てません、主様…」スッ
白鷺 「もう朝だぞ!?夜からずっとヤってんだぞ!?」
紅魔 「足りません、終われません、まだまだです。」
白鷺 「だから待てって!!今ヤられたら乾涸びる!!」
紅魔 「乾涸びないようにシますから…」
白鷺 「一旦止まれぇ!!」
ーー
トリア 「……」頭抱え
マスター 「激しいな、彼等の夜は。」
鳳翔 「ふふっ…えぇ、本当に。」
大井 「…で、これから如何するの?私達はもう国から
命を狙われる立場よ?そう簡単には行かないわ。」
北上 「んぁ〜…如何しよ?正直だらけてたい。」
球磨 「今の所は魔法使いを鍛える事が最優先クマ?」
多摩 「其れはもう自主練に移ってるにゃ。」
木曽 「軽く見てきたが結構仕上がってるぞ?」
龍田 「みたいねぇ…」
天龍 「んな事より保護した連中を如何すっかだよ…
聞きゃあアンタは酒場の主だろ?戦闘能力なんざ、
全くねぇって言ってたな…如何すんだ?」
マスター 「私は彼と飲み明かしたくてね。」
天龍 「そんだけで此方に来たのかよ!?」
木曽 「…何か出来るか?料理とか洗濯とか…」
マスター 「この世界の酒なら粗方知ってるよ。」
龍飛 「…ならば料理酒に使える酒は有るか?」
マスター 「料理酒か…有るには有るが、大きい街で
専門の店に行けば半々で見つかるって所か。」
龍飛 「…矢張り政一に頼むしか無いか。」
鳳翔 「そうですね…あの夜戦が終わったら御願いに
行きましょう。其れはさて置き今日の朝御飯に何を
出すか決めましょう。政一達には精の付く物を。」
龍飛 「…だな。」
ー第六十三章 新編勇者パーティ結成ー
ー王都 謁見室 08:00ー
国王 「…良くぞ集まってくれた、感謝する。」
?? 「いえ、お気になさらず…」
??2 「で、何の用なんだ?」
国王 「先日、諜報員から情報が入ったのだ。奴等は今
リースバートにて鍛錬に勤しんでおると。」
??3 「あー、まだ強くなろうって事かな?」
??4 「其の様ね…小賢しい連中。」
国王 「貴君等には奴等を討伐して貰いたい。」
??5 「は?アタシ等は魔王を討伐する為に…」
??6 「…まさか、魔王が彼等と共に居ると?」
国王 「…其の通りだ。故に貴君等に頼みたい。」
??5 「要はアタシ等に連中打っ潰せって言うのね?
任せて頂戴、戦闘なら負けないわ。」
?? 「…御依頼、承りました。御任せ下さい。」
国王 「矢張り頼りになるな…期待しておるぞ。」
ー国王の間 09:20ー
国王 「…アルト・ラルカンス。」
アルト 「はい、御父様。」
国王 「跡継ぎはお前だけだ…余計な事をするな。」
アルト 「解ってます、御父様。」
国王 「…頼むぞ。」
ー王都街道 09:47ー
??3 「…で、如何しよっか?」
??6 「一先ず彼等を追い掛けましょう。」
??2 「奴等はリースバートに居るって言ってたな。」
?? 「…ユラストとテミタールを経由したそうだ。」
??4 「…一旦、ユラストに行く?」
??3 「うーん…同じルートで良いのかなぁ?」
??5 「如何いう事よ?」
??3 「諜報員に気付いてたら、移動してるかも…
其れに、結構な数の兵士と戦闘してたみたいだし、
テミタールなんか関所を強行突破したって聞いたよ?
若し移動を始めてたら、同じ街は通らないと思うよ?」
?? 「この道は最も早くリースバートに着ける道だ。
仮に動いていないならこの道一択だ。」
??2 「良いから行こうぜ!!」
??5 「アンタは考え過ぎなのよ、ホイミン!!」
??3→ホイミン 「そうかなぁ?」
?? 「行くぞ。」
ホイミン (…やっぱり動いてるかも知れない。)
ホイミン 「御免、ちょっと買い物したいんだけど。」
?? 「買い物?何故今…いや、良いか。行って来い。
極力早く戻るんだぞ?」
ホイミン 「うん。」タッ
??2 「良いのか?」
?? 「焦る事も無かろう。」
ー王都路地裏 10:12ー
ホイミン 「…何処に居るか調べないと……えっと…
[ワールド・アナライズ/マナ・サーチ]…見つけた、
けど…リースバートから離れてる?コルミカの方…
じゃあ、この儘進んでも会えないって事だよね…」
??6 「ホイミン、此処で何を?」
ホイミン 「あ、御免ね…ちょっとだけ気分が悪くて…
大丈夫、直ぐに戻るから先に戻ってて。」
??6 「…そうですか……では、戻りますね。」
ホイミン 「うん…」
ホイミン (既にあの人達は動いてる…なら、単独で
向こうに向かった方が早いかな…)
ホイミン 「…[ワールド・リスポーン]。」バシュッ
ー街道 10:24ー
赤城 「…うん、上々ね。」
加賀 「いえ、まだまだ出来る筈です。」
赤城 「今の私ではこれが限界の筈よ?」
加賀 「いえ、まだ上を目指せる筈ですよ。」
鳳翔 「こら、あまり赤城ちゃんを困らせないの。」
加賀 「…済みません。」
鳳翔 「少しずつ精度を上げましょうね。」
赤城 「はい、鳳翔さん。」
加賀 「…あら?あれは誰かしら…」
鳳翔 「…加賀さん、提督に[不審者発見]と連絡を。」
加賀 「は、はい。」
ーー
ホイミン 「…着いた、のかな?」
鳳翔 「大人しくしなさい。」つ三徳包丁
ホイミン 「ひっ!?」
鳳翔 「私の質問に答えなさい、貴女は何者ですか?」
ホイミン 「ゆ、勇者パーティの魔法使い、です…」
鳳翔 「貴女の名前は何ですか?」
ホイミン 「ほ、ホイミン・パレスティアです…」
鳳翔 「貴女の目的は?」
ホイミン 「私は、あの人に会いに…」
鳳翔 「会いに?不意討ちで殺す為では?」
ホイミン 「違います!!」
鳳翔 「…念の為拘束させてもらいます。」
ホイミン 「は、はい…」
ー12:40ー
提督 「……魔法使い、ねぇ…」つ即席書類
ホイミン 「……」
提督 「ホイミン・パレスティア…出身不明か。」
鳳翔 「話したくないとの事でして…」
提督 「知らん人間に話したい事ではないだろう…」
鳳翔 「…其れもそうですね、失念してました。」
提督 「…年齢二十四、勇者パーティ所属と…」
ホイミン 「……」
提督 「…此処に来た理由は、俺に会う為か。」
ホイミン 「はい。」
提督 「…成程、続きは中で話そうか。」
鳳翔 「移動ですか?」
提督 「あぁ…あの部屋は後始末が終わっていないから
君の部屋を使っても良いかな?」
鳳翔 「えぇ、構いませんよ。」
ホイミン 「……」
提督 「…行こうか。」
ホイミン 「はい。」
ー第六十四章 洗脳を解く為に為すべき事ー
ー仮設寮 鳳翔の部屋 13:24ー
提督 「…まぁ、大体は理解出来たかな…」
ホイミン 「……」
提督 「勇者パーティを抜け出して、態々此処に来る
程の事が有るとは思えないんだけどねぇ…」
鳳翔 「まぁまぁ、良いじゃないですか。」
提督 「…じゃ、今後君は如何するのかな?」
ホイミン 「其れは…」
コンコンコン!!
提督 「ん?」
「磯風だ!!火急の用件で参じた!!」
提督 「入れ、如何した?」
チャッ
磯風 「提督、今直ぐに来てくれ!!」
提督 「だから如何したんだ、何が有った?」
磯風 「トリアさんが暴れてて、誰も抑えられない!!」
提督 「…あの馬鹿弟子め……案内しろ。」
磯風 「此方だ!!」タッ
提督 「ホイミン、お前は待機だ。」ダッ
鳳翔 「…念の為、控えておきましょうか。」
ホイミン 「…若しかして、シオラが?」
鳳翔 「シオラ、とは?」
ホイミン 「シオラ・クルセア…皆からは[賢者]って
言われてる人で、勇者パーティに混ざるって…」
鳳翔 「…賢者であれば遠く離れた場所の特定人物に
魔法を掛ける事も出来る、という事ですか!?」
ホイミン 「た、多分出来ると思う…」
鳳翔 「…ホイミンさん、行きましょう!!」
ホイミン 「え?」
鳳翔 「若しかすると、狙いは提督かも知れません!!」
ホイミン 「えぇっ!?」
ー街道 13:37ー
トリア [……]
武蔵 「…この大和型を以てしても止められんか……
これは相当厳しいな。」中破
大和 「如何するの…提督はまだ御話中よ?」大破
提督 「おうおう、随分やってくれたなぁ?」
武蔵 「提督か!?」
大和 「提督!?御話は!?」
提督 「さっさと切り上げて来た…で、状況。」
武蔵 「…艦娘、深海棲艦、魔軍全てが半壊している。」
大和 「提督、彼女は私達の手には負えません…」
提督 「だろうな……俺が対応する、負傷者の手当は
お前達に任せるぞ…少し梃子摺りそうなんでな。」
武蔵 「提督…分かった、任せろ。」タッ
大和 「…死なないで下さいね。」タッ
提督 「…俺の死に場所は此処じゃねぇよ。」スラッ
トリア […アンダー…テイカー……]
提督 「あぁ、葬儀屋だよ。」
トリア […死ねぇ!!]ダッ
ガキィン!!
提督 「生憎、死ぬ事を許されてはいないもんでね…
殺したいなら死ぬ気で来いや、馬鹿弟子。」
トリア 「…ウアアアアアア!!」ダッ
バギィン!!
トリア 「!?」
ドスッ
提督 「…誰が半人前如きに一級品の武器を渡すんだ?
お前の剣は唯の魔鉄製だよ。大して硬くも柔くもない
脆い剣で無理矢理叩き斬ろうとすれば当然折れる。」
トリア 「……」
提督 「俺の刀はお前の得物より数段上の特製品だ。
量産品如きに圧し折られる程柔くはねぇよ。」
トリア 「…グアアアアアア!!」
提督 「…はっ、漸く本番ってトコか?」
トリア 「ウガアアアアア!!」キィィィン…
提督 「魔力の刃か…トリアの魔力量では厳しい筈…
なら後ろに誰かしらが居る、となれば…」ザッ
トリア 「ガアアアアア!!」ダッ
提督 「有り得るは勇者パーティ…魔法使いがもう一人
居るとして、残りは…勇者、剣士、武闘家、盗賊…
聖女とかも抱えてるか?六、七人位で居るとして、
トリアの暴走は…連中の魔法か?」サッサッ
トリア 「ウバアアアアア!!」ザッ
ドスッ
提督 「…気は済んだか?」
トリア 「フーッ…フーッ…」
提督 「この馬鹿が…」クイッ
トリア 「……」ギロッ
提督 「好い加減に目を覚ませ!!」グッ
トリア 「!?」グイッ
んちゅーーー
大和 「!?」
武蔵 「……」
鳳翔 「まぁ…」
ホイミン 「!?」
提督 「…目は覚めたか?」
トリア 「……ほへっ?」
提督 「起きろ、馬鹿弟子。」ぐにー
トリア 「痛っ!?痛いです師匠!!」
提督 「起きたか…じゃ、謝って来い。」
トリア 「へ?」
提督 「見ろ、お前が操られてる間にこうだ。」
トリア 「…うわぁ……」
提督 「謝るだけ謝りな。」
トリア 「はい…済みません師匠……!?」
提督 「…気付いたか、コレは後で良いから。」
トリア 「は、はい!!」タッ!!
提督 「…魔力の刃か……」スッ
ズバァッ!!
ホイミン 「あっ!?」
鳳翔 「提督!?」
提督 「……そういう、物なんだな…」ドサッ
鳳翔 「提督!?提督!?」
ホイミン 「酷い…上下に真っ二つ…」
鳳翔 「提督!!死なないで下さい!!」
ホイミン 「如何しよう、治療魔法は覚えてない…」
提督 「…やってくれる……」
鳳翔 「提督!?」
提督 「…一度死んで出直す…直に戻る……」パタッ
鳳翔 「提督…分かりました、御待ちします。」
ホイミン 「そんな…死んじゃった…」
鳳翔 「提督は直に戻られます。今は待ちましょう。」
ー彼岸ー
提督 「…で、戻りたい訳よ。」
閻魔頭 「…面倒臭い事を。」
提督 「ほう、潰されたいと言うんだな?」グッ
閻魔頭 「あっちょっ待っ分かりました手配します!!」
提督 「もう遅い。」メキッ
閻魔頭 「痛い痛い痛い痛い痛いいいい!!」
提督 「此方も不本意の死なんだよ、分かれよ。」
閻魔頭 「理解りました!!理解しました!!御助けを!!」
提督 「とっとと手配を済ませろ。」スッ
閻魔頭 「は、はい…」
ー王都近辺 14:08ー
??7 「…目標の死亡を確認しました。」
?? 「素晴らしいな、シオラ。流石は賢者だ。」
??7→シオラ 「光栄です、アルキス様。」
??→アルキス 「様は要らないぞ、シオラ。」
シオラ 「…然し。」
アルキス 「互いに呼び捨てが良かろう。」
シオラ 「…畏まりました、アルキス。」
アルキス 「…敬語も辞めれば良かろうに。」
シオラ 「私は賢者である前に貴方に仕える従者です。
この言葉遣いは従者である以上は必要です。」
アルキス 「…仕方の無い奴だ。国王への報告は?」
シオラ 「私達二人だけで行いましょう。」
アルキス 「ふむ…奴を殺した証拠は有るか?」
シオラ 「殺害した瞬間の再現映像を出せます。」
アルキス 「ならば良かろう、行くぞ。」
シオラ 「はい。」
ー街道 15:27ー
イルミア 「……」三角座り
トリア 「……」正座
鳳翔 「……」直立不動
大和 「……」三角座り
ーー
武蔵 「…アレは?」
磯風 「皆提督を待っているんだ。」
武蔵 「…そうなのか?」
磯風 「提督は皆の心を掴んでいるからな。」
武蔵 「…そうか。」
磯風 「…今はそっとしておくと良い。」
ー15:54ー
イルミア 「……!?」
提督 「…よっと……ただいま。」
イルミア 「!!」ギュッ
トリア 「……」ギュッ
大和 「提督…」ギュッ
鳳翔 「…御待ちしておりました、提督……」ギュッ
提督 「…悪いな、アレの本質を見抜けなかった。」
鳳翔 「構いません…こうして戻られたのですから。」
提督 「…さぁ、移動しよう。」
大和 「何故ですか?」
提督 「奴等は俺が死んだと思っている筈だからな…
今の内に動いて一瞬だけでも行方を暗ますぞ。」
鳳翔 「…分かりました。」
提督 「急げ、大移動の始まりだ。」
ー第六十五章 一時の油断一生の傷ー
ー五月一日 01:20 街道ー
提督 「…少しは離れろ、歩き難い…」
武蔵 「諦めろ、大和は私以上に依存している様だ。」
提督 「…お前は俺に興味無しか?」
武蔵 「私か?私は[貴方は必ず何処かで生きている]と
信じているからな…居なくなったら探す迄さ。」
提督 「…素直じゃないな。」
武蔵 「貴方が其れを言うか?」
提督 「言いたくもなるさ…」
武蔵 「…何処迄歩く?」
提督 「…この辺りで一度休もう。」
武蔵 「分かった。」
暗闇 「…馬車が来るわ。」
提督 「馬車?」
?? 「…済まない、食べ物を分けては頂けないか?」
提督 「…其の格好を見るに、其れなりの身分だな?
食糧配分を間違えたのか、逃げる為に捨てたのか…」
?? 「……」
提督 「其の馬車は捨てた方が良いな、轍でバレる。」
?? 「…歩けと?馬も居るのだぞ?」
提督 「物資は此方で受け持とう、先ずは服からだ。」
?? 「何?」
提督 「其の服では直ぐに気付かれるぞ。着替えろ。」
暗闇 「私食べ物取って来るわ。」タッ
提督 「早くしろ、捕まりたいか?」
?? 「…頂こう。」
ー01:54ー
?? 「…美味しいな。」
提督 「当たり前だ、不味くては食う気も起きん。」
?? 「…貴方は何故この大人数で移動を?」
提督 「この国相手に戦争を仕掛ける為。」
?? 「…我が国にもこれ程の戦力があれば……」
提督 「…圧力を受けた小国の人間、国王クラスか。」
?? 「あぁ…私は元々クリース王国の国王だった。」
提督 「クリース王国ね…勇者パーティとの関係は?」
?? 「…何人も、無理矢理持って行かれた。」
提督 「…下らないねぇ、本当に。」
?? 「国一番のホイミン・パレスティアも連中に…」
提督 「ん?ホイミン?ホイミン・パレスティアって
今言ったか!?」ガタッ
?? 「あ、あぁ…そうだが。」
提督 「…彼奴、クリース王国の出身だったのか。」
?? 「…知っているのか?」
提督 「知ってるも何も今ウチに居るぞ…」
?? 「何だって!?」ガタッ
提督 「偶然にも連中に打撃が入ったか…」
?? 「彼女が居るのか!?本当にか!?」
提督 「本当に居るから落ち着け。」
?? 「…そうか……」ギシッ
提督 「…貴方はこれから如何する心算で?」
?? 「…私は、貴方々と共に行きたい。」
提督 「…そうか、歓迎しよう。」
?? 「有難う…漸く味方が見つかったよ…」
提督 「皮肉なもんだな、無理矢理小国から引き抜いた
魔法使いが寝返った上に引き抜き元の小国の国王も
此方側に着くのだからな。まぁ、其の勇者パーティに
刃を突き付けられる様になってしまったが。」
?? 「構わないさ、最早捨てた様な命なのだから。」
提督 「…一時の油断、一生の傷ねぇ……」
?? 「如何した?」
提督 「観測魔法を使われているが…身元偽装をせずに
使っている様でね、相手が分かってしまった。」
?? 「油断していたら逆探知を受けたと。」
提督 「…コルミカより先にハルーラに向かうか。」
?? 「…着いて行くよ。」
提督 「まぁ、一先ず休もう。」
?? 「移動しないのか!?」
提督 「高々国王に探られた所でねぇ…」
?? 「…余裕だな。」
提督 「死神持ちに喧嘩は売らない方が良いのにね…」
?? 「…其の様だな。」
ー第六十六章 暗殺失敗の後ー
ー王城 謁見室 10:20ー
国王 「貴様には失望した。」
アルキス 「……」
国王 「暗殺に成功?残るは魔王だけ?何を言うか!!
この通り健在ではないか!!巫山戯るな!!」
アルキス 「然し、シオラが確かに…」
国王 「黙れ!!」
アルキス 「……」
国王 「覚えておけ、次は無い。」
アルキス 「…了解。」
ー王都 11:50ー
??2 「…何で生きてたんだ?」
??4 「分からない…何で?」
??5 「間違いなく真っ二つにしたのよね!?」
アルキス 「あぁ…」
??6 「相当優秀な回復術師が居るってことかな?」
シオラ 「分かりません…確実に殺した筈なのに…」
アルキス 「ホイミンの無断離脱に暗殺失敗…」
??2 「訳分かんねぇ事の連続だな…」
アルキス 「パイラ。」
??5→パイラ 「何?」
アルキス 「クリスと共に連中の動向を探ってくれ。」
パイラ 「…了解。」
??6→クリス 「分かりました。」
アルキス 「ミアはハリスと一緒に鍛錬だ。」
??2 →ハリス 「おう。」
??4→ミア 「了解。」
アルキス 「シオラ、奴を殺す術を練り直そう。」
シオラ 「畏まりました、アルキス。」
ー街道 14:20ー
提督 「……」
ホイミン 「……」
提督 「何が言いたい?」
ホイミン 「いや、重くないのかなぁって…」
提督 「愛という名の重石よりは軽い。」
ホイミン 「へぇ…」
トリア 「……えへへ…」ギュゥゥ
イルミア 「……」ギュゥゥ
ホイミン 「一人抱っこで一人おんぶでしょ?」
提督 「歩けるだけまだマシだな。」
ホイミン 「動けなくなった事有るんだ…」
提督 「大和も鳳翔も一時間の抱擁で何とかなったし、
川内も安定したから幾らか真面に動ける様になった。
連中を相手取るには少し梃子摺るかも知れないが。」
ホイミン 「…シオラ、あんな事も出来たんだね。」
提督 「手の内を晒せば殺り難くなる。」
ホイミン 「…手札が一枚切れたって事ね。」
提督 「警戒だけはしておけ。」
ホイミン 「うん。」
トリア 「えへへへ…生きてる師匠だ…」スリスリ
ホイミン 「…其の子壊れちゃってない?」
提督 「壊れても直せば良い、術は有る。」
ホイミン 「…成程、強い訳だよ。」
ー第六十七章 愛するが故の再会ー
ー19:20ー
提督 「……」
パチッ…パチパチッ…
提督 「……」つ散弾銃
ジャキッ…ガシャッ…シャコッシャコッ…
提督 「……」
パチパチッ…パンッ…パチッ…
提督 「……フゥ…」つ煙草
?? 「煙草は御身体に障りますよ?」
提督 「…知ってる……だから人前で吸わない。」
?? 「えぇ、存じております。」
提督 「…何年振りだ?お前と話すのは。」
?? 「さぁ…あの御舘を出られてからはずっと。」
提督 「…駄目だな、年を食うと記憶が曖昧になる。」
?? 「でも、私の事は声だけで判るんですね。」
提督 「お前には色々[した]し[された]からな。」
?? 「まぁ、覚えているのですね。」
提督 「あぁも濃い時間を過ごしたんだ、忘れる事は
一生無いだろうな…なぁ、小悪魔。」
?? 「であれば尚の事名前で呼んで下さい。」
提督 「名前、ねぇ…そんなに気に入ったか?」
?? 「えぇ、私だけの名前ですもの。」
提督 「…そうかい……久し振りだな、ヴィエラ。」
??→ヴィエラ 「あぁ、漸く呼んでくれましたね…
私の事を、貴方がくれた名前で…」
提督 「全く、大袈裟じゃないか?」
ヴィエラ 「いいえ…名前を持たない私達にとって、
名前を戴くというのは、[個]として認めて貰えた
[証]ですもの…大袈裟じゃありませんわ。」
提督 「そうか…で、お前は何で此処に?」
ヴィエラ 「図書館で御暇が出ましたので。」
提督 「…彼奴の使い魔はお前だけの筈だが。」
ヴィエラ 「二人目の召喚に成功したから、と…」
提督 「あの魔法使い、絶対に扱き使うぞ…」
ヴィエラ 「…貴方は私に名前をくれた……私を私に
したのは貴方です。ですから、これからは貴方に
使い魔として仕えさせて下さい、諫田政一様。」
提督 「…何処から其の名を知ったのか……」
ヴィエラ 「皆様と御話だけはしてきましたから。」
提督 「話の流れで聞き出したか、この小悪魔め。」
ヴィエラ 「小悪魔じゃなくて、ヴィエラですよ。」
提督 「余程其の名前が気に入った様だな。」
ヴィエラ 「はい、もう有象無象ではありませんよ。」
提督 「…髪、切ったのか?」
ヴィエラ 「はい、少々長過ぎたので。」
提督 「…短髪も案外似合うな、元が良いからか。」
ヴィエラ 「私だって考え無しには切りませんよ?」
提督 「…似合うと確信してか、矢張り小悪魔だ。」
ヴィエラ 「ヴィエラです。」
提督 「今のはお前個人を指した訳じゃない。」
ヴィエラ 「と言いますと?」
提督 「性格を指す言葉に[小悪魔]が有る。」
ヴィエラ 「まぁ…そんな言葉が?」
提督 「お前の性格は其の[小悪魔]に合致する。」
ヴィエラ 「名実共に小悪魔、ですね。」
提督 「名は体を表すと言うが、実在するとはな。」
ヴィエラ 「…御話、楽しいですね。」
提督 「まぁな…で、本当に使い魔になると?」
ヴィエラ 「はい、其の為に此処まで来たんです。」
提督 「…相変わらずの物好きめ。」
ヴィエラ 「名も無き小悪魔に態々名を与える様な
貴方程では無いですよ?」ニコッ
提督 「言ってくれる…」ニヤッ
ーー
江風 「…あれは一体……」
白鷺 「態々世界線を跨いで逢いに来た物好きと、
名も無き小悪魔に態々名を与える物好きの会話だ。
あれを人は惚気と言うんだ。」
江風 「…成程。」
ー第六十八章 浪速言葉丸出しの時は怒り心頭ー
ー五月二日 10:20ー
ーー
提督 「はぁ…はぁ……それで?」
弥生 「…何故貴女が此処に?」
ヴィエラ 「私は政一様の使い魔ですから。」
弥生 「…そう。」
提督 「…はい、それが何ですか。」
ヴィエラ 「…明らかに怒ってますね。」
弥生 「確か、相手は国王様って…」
提督 「ですから、無い袖は振れません。」
弥生 「…不敬罪にならないと良いけど。」
ヴィエラ 「其れはそうですね…」
提督 「…何遍言うたら分かりはります?」
弥生 「あ、声色が変わった…」
ヴィエラ 「話し方も変わりましたね…」
提督 「そないな事言わはったって変わらんもんは
変わらんねん、あんさん一国の王や言わはるんなら
そんぐらいは分かって貰わんと困りますわ。」
弥生 「…終わった後が今から怖い……」
ー10:48ー
提督 「やから、何遍言うたら分かりはるんです!?
無い袖は振れんと言うてますやんか!?あんさんの
耳は話が聞こえとらんのですか!?耳つんぼにでも
なりはったんですか!?えぇ加減に分かって下さい!!
ウチ等は別に御宅の御抱え兵団やないんですわ!!
ウチ等の自由の為に国を潰す言うとるだけです!!
御宅の財政どうこう持ってかれた女どうこうと
やいやい言われても困るんですわ!!何遍も何遍も
あんさんの都合ばっか言わはりますけど此方は
そんなん関係あらんのです!!赤の他人でっせ!?」
弥生 「…前言撤回、今の時点で凄く怖い。」
ヴィエラ 「私もです…」
提督 「…おどれえぇ加減にせぇや糞が!!」バァン!!
弥生 「!?」
提督 「我等はワレの兵団とちゃうんやど!!ワレは
阿っ呆みたいにしょうもない事ばっか言いよって!!
あかんもんはあかんて何遍言やぁ分かるんじゃ!?
ワレの都合えぇ事ばっか言いよって!!」早口
ヴィエラ 「!?」
提督 「我等の都合完全無視でワレさえ良けりゃあ
そんでえぇ云う其ん態度!!我等に頼む立場ん癖に
ワレん方が上の立場やと言わんばかりの其ん口調!!
剰え我の部下達を侮辱するだけでは飽き足らず!!
動けん事情が有る我等を腰が重いだの臆病者だの
やいやいとじゃかぁしい事ガタガタ抜かしおって!!
挙句の果てには金はやるからとっとと動けだの
物資はやるからさっさとしろだのと!!」クソ早口
弥生 「……」ガタガタ
提督 「ワレは餓鬼なんか!?思い通りにゃならんと
見るや暴言侮言に罵詈雑言!!駄々を捏ねて地団駄
鳴らす其処等の糞餓鬼より質悪いわ!!」ブチ切れ
ヴィエラ 「……」ガタガタ
提督 「人おちょくんのも程々にせぇや!!大人しぃに
話聞いとりゃ付上りよって!!ほたえんのも大概に
せぇや糞が!!我等はワレにゃ手ェ貸さん!!」ブチッ
弥生 「……」チラッ
ヴィエラ 「……」チラッ
ー通話終了時刻 10:53ー
提督 「はぁ…はぁ…あぁけったくそ悪い!!」
黒潮 「何や何や、どないしたんや?」チャッ
提督 「誰や、ノックも無しに入りよって。」ギロッ
黒潮 「怖っ!?普段怒った時の比やないで!?」
弥生 「…黒潮さん……」
黒潮 「や、弥生?どないしたん?」
弥生 「政一さん、怒らせちゃ駄目…」ジョロロ…
黒潮 「おわぁっ!?そんな漏らす程なんか!?」
ヴィエラ 「あんなに怒った政一様、初めて…」
提督 「…あかんわ…あら本真にあかんわ。」
黒潮 「あ、あかんて…何のこっちゃ?」
提督 「あらもう敵わん…よう言わんわ…」
黒潮 「おぉう…其処迄言うてまうんか…」
提督 「しょーーーーーーーもない事ばっっっかり
ウダウダグダグダ言いよるさかいに…」
黒潮 「おぉ…そりゃあ、難儀やったなぁ…」
提督 「録音あるさかい聞いてみ。」つイヤホン
黒潮 「え?」
提督 「聞き終わる前に自分もこないなるから。」
黒潮 「はぁ…」
提督 「言うとくけど一時間あらんからな。」
黒潮 「えぇ?」ぎゅむっ
ー11:46ー
黒潮 「…聞いてられっかぁ!!」べちこーん!!
提督 「始まんで…愚痴のオンパレード。」
黒潮 「何やあの阿呆!!ウチ等の事何や思うとんの!?
口を開けば自分の事ばっかや!!ウチ等の事を唯の
駒にしか見とらんやないの!!話の上じゃ契約だの
取引だのと言うとるけど実際は口先だけやんけ!!
あんな下らん二枚舌によう五十分も耐えよったな!!
ウチやったら三十分も持たんわ!!」クソ早口
提督 「やろ?心殺して其処が限界やったわ。」
黒潮 「…本真、よう言わんわ。」
提督 「…龍驤に聞かせたら標準語が飛び出るな。」
黒潮 「これ浦風に聞かしたら、普段の広島混じりが
生粋の大阪弁になるんが目に見えるわ。」
提督 「…あぁ、けったくそ悪い。」
黒潮 「本真や…けったくそ悪ぅて言葉が出ん。」
弥生 「……」
ヴィエラ 「……」
提督 「…こあ。」
ヴィエラ 「は、はい!!」
提督 「この音声、暗闇とイリアに持ってって。」
ヴィエラ 「はい!!…はい!?」
提督 「艦娘と魔軍の頭には聞かせておきたい。」
ヴィエラ 「…は、はい……」チャッ
パタン
提督 「…弥生、シャワーでも浴びて来なさい。」
弥生 「…は、はい……」フラァ…
パタン
提督 「…黒潮、思ってる事当ててやろうか?」
黒潮 「多分同じ事思うとるで…」
提督 「なら同時に言うか。」
黒潮 「せやな…せーの。」
提督・黒潮 「「あの糞国王斃れや糞がぁぁぁ!!!!」」
ー11:50 街道側 仮設訓練場ー
トリア 「…御話が有るから自主訓練、かぁ……」
龍飛 「だから私が居るのだろう。」
トリア 「…済みません、御手数御掛けしてます…」
龍飛 「まぁ、私も時間が有ったからな。」
…あの糞国王斃れや糞がぁぁぁ…
トリア 「!?」
龍飛 「今のは…政一と黒潮か。」
トリア 「…糞国王、斃れ…」
龍飛 「……何か有ったな、何かが…」
トリア 「師匠…」
龍飛 「…訓練は午前で切り上げだ、行くぞ。」
トリア 「はい!!」
ー第六十九章 色んな人の反応集ー
ートリアの場合 仮設執務室 14:02ー
トリア 「…何ですか、この上から目線の物言いは。」
提督 「クリース王国現国王の頭がイカれた発言。」
トリア 「…師匠。」
提督 「ん?」
トリア 「殺って良いですか?」
提督 「先に剣を見繕ってからだな。」
トリア 「あ、はい…」
ー暗闇の場合 仮設訓練所 13:20ー
暗闇 「…おどれ一体何様の心算じゃ。」
ヴィエラ 「……」ビクビク
暗闇 「…この世から消してやっから覚悟しとけや…」
ヴィエラ 「…あの……」
暗闇 「有難うな、御蔭様で次の目標が定まったわ。」
ヴィエラ 「い、いえ…」
暗闇 「…塵一つ残さずに消し飛ばしてやらぁな……」
ーイリアの場合 街道 15:20ー
イリア 「魔軍に喧嘩を売るとはな…後悔させてやる。」
ヴィエラ 「……」
イリア 「ドラグニア!!」
ドラグニア 「はい、魔王様。」
イリア 「近々起こる戦に備えろと全軍に通達せよ。」
ドラグニア 「委細承知致しました、通達致します。」
イリア 「ヴィエラと言ったな。この音声、皆に聞かせよ。
私ですらこうも怒りを抱くのだ、皆は怒り狂うだろう。
然し、其の方が多少殺り易くなるだろうからな。」
ヴィエラ 「は、はぁ…」
ー龍驤の場合 仮設執務室 15:20ー
龍驤 「…これは駄目だ、話にならない。」頭抱え
提督 「やろ?」
龍驤 「何なんだあの物言いは、自分が世界の頂点だと
錯覚しているのか?訳が分からない。」
提督 「イカれた奴に真面な話は通じんからな…」
龍驤 「…艦載機、整備しておきます。」
提督 「おう、宜しゅうな。」
ー死神の場合ー
死神 「…先輩、もう此奴殺って良いですか?」
提督 「早まるな、馬鹿。」
死神 「いや、先輩馬鹿にされて許せる訳無いでしょう!?
先輩がどれだけ凄い人か分かってないんですから!!」
提督 「だから落ち着け、殺る時は全員でだ。」
死神 「…分かりました。」
ーホイミンの場合 仮設訓練所 17:29ー
ホイミン 「…うえぇ……」
ヴィエラ 「政一様がこの荒れ様でして…」
ホイミン 「こんなのが一国の王なの?」
ヴィエラ 「はい…」
ホイミン 「…ちょっと無いわぁ……」
ヴィエラ 「心中御察しします…」
ホイミン 「正直、今の生活快適過ぎて辞めたくない。」
ヴィエラ 「分かります。」
ー鳳翔龍飛コンビ&一航戦の場合 仮設訓練所 18:27ー
鳳翔 「…これは……」
龍飛 「政一が怒り狂うのも致し方無かろう。」
赤城 「慢心が表に滲み出てますね。」
加賀 「頭にきました。」
鳳翔 「……龍飛。」
龍飛 「あぁ、やるぞ。」
赤城 「鍛錬に励みましょう。」
加賀 「勿論です。」
ー川内の場合 仮設執務室 16:42ー
川内 「………」
提督 「…以上だな。こうして聞く度に頭に来る。」
川内 「…私、やっぱり駄目なのかなぁ?」うるっ
提督 「んな訳ねぇでしょうが。」
川内 「皆に迷惑掛けて…私…」
提督 「お前は大事な俺の女だろうが。」
川内 「…うん。」
提督 「…ぎゃふんと言わせてやろうぜ?」
川内 「…うん!!」
ー不知火の場合 仮設執務室 18:20ー
不知火 「…何ですか、この明らかに失礼な物言いは。」
提督 「向こうの国の国王様は自分が上だと思ってる。」
不知火 「…私達は感情を持った兵士です、この様な者の
下では真面な戦果など挙げられないでしょうね。」
提督 「…まだ俺の方がマシか?」
不知火 「私は貴方以外の人に使役されたくありません。
上官が貴方だから無理な命令も完遂出来るのです。」
提督 「…そりゃ随分な信用で。」
不知火 「私達と貴方の間には、貴方の考える物よりも
百倍は厚い信用が有るんですよ。今も、昔もです。」
提督 「そりゃ有難い事だ。」
不知火 「…さぁ、夕食にしましょう。」
提督 「だな。」
ー第七十章 聖剣と魔剣ー
ー20:24ー
提督 「……」
江風 「提督。」
提督 「おう。」
江風 「今日はやけに静かだな。」
提督 「苛立ち四半に怒りが四半、残り半分は殺意か憎悪か…」
江風 「騒ぐ気にもなれないと…」
提督 「何だかんだで信用されてるんだな、私は。」
江風 「当たり前だろう?」
提督 「そうか…君達にとっては当たり前なのか。」
江風 「勿論。」
提督 「…何か、来るな。」
江風 「……」ジャキッ
?? 「グルルル…」
提督 「……」
江風 「提督、発砲許可を。」
提督 「…まだ待て。話を聞いてからだ。」
江風 「話?」
提督 「お前、唸ってないで喋れよ。」
?? 「…矢張り気付かれるか、神の直系なだけある。」
提督 「銀毛の狼…神獣、フェンリルか。」
??→フェンリル 「あぁ、そうだ。」
提督 「…何の用だ?」
フェンリル 「貴殿に渡す物が有ってな。」ガシャッ
提督 「…ん?」
フェンリル 「集めるのには苦労したぞ。」
提督 「…ミスティルテイン、レーヴァテイン…グングニル…
この剣は確か聖剣アレクシアンだったか…」
フェンリル 「これがグラムで、こっちがバルムンクだ。」
提督 「あの姉妹の分を抜いても魔剣四振に聖剣一振…」
フェンリル 「そして最後にエクスカリバーだ。」
提督 「あぁ、あの聖剣か。」
フェンリル 「私が管理していたのだが、流石にな…」
提督 「畏れ多くて持ってられないってか。」
フェンリル 「…頼めるか?」
提督 「別に構わんが…闇に心身を置く私に聖剣を渡すか…
随分と切羽詰まっている様に見えるが?」
フェンリル 「事実切羽詰まっている。」
提督 「…そうかい……」
フェンリル 「私はもう行く…また会おう、死神。」ダッ
提督 「じゃあな、神獣…まぁ、錆びない程度に使っとくよ。」
江風 「…随分と置いて行ったな。」
提督 「…エクスカリバーはトリアでも使えそうだな。」
江風 「ん?」
提督 「アレクシアンは…何だこの装飾、刀身も華奢だな。
使い物にならねぇだろコレ、前の持主も強度保持魔法を
掛けて使ってたみたいだな…生で使ったら絶対折れるぞ。
よくこんなのが聖剣として残ってたな。」
江風 「…件の勇者パーティにぶん投げるか?」
提督 「其れ良いな、やっちまおう。」
江風 「…他は如何するんだ?」
提督 「レーヴァテインとグングニルは俺が持つとして、だ…
リベルガやミスティルテインは魔王にぶん投げるか。」
江風 「使わないのか?」
提督 「アオとクロが居るのにまだ持てと?」
江風 「済まない、分かった、忘れてくれ。」
提督 「グラムにバルムンクもぶん投げるとしよう…」
江風 「…この先、如何するんだ?」
提督 「進軍するか…そろそろ町に入りたい。」
江風 「分かった、通達する。」
提督 「頼む。」
ー第七十一章 電子の歌姫との遭遇ー
ー五月三日 05:27ー
提督 「そろそろか…」ガサッ
?? 「此処…何処だろう?」
提督 「ん?」
?? 「あ、あの、済みません…此処、何処ですか?」
提督 「…お前、ミクか?」
?? 「え?」
提督 「お前初音ミクか?電子の歌姫とか言われてた…」
??→ミク 「え…はい、そうですけど…」
提督 「……マジか…お前まで…こりゃ対策が要るな。」
ミク 「あの、其れって…」
提督 「此処はお前が元居た世界じゃない。」
ミク 「えっ!?」
提督 「言ってしまえば異世界転生って所か…」
ミク 「な、何で…」
提督 「…旧型は新型で置き換えられる…置き換えられた
旧型は孰忘れ去られる…其の忘れ去られた旧型の意思が
お前を此方に寄越したのかもな。「此方で歌え」って。」
ミク 「……」
提督 「まぁ、これは単なる予測に過ぎないが…」
ミク 「じゃあ、これから私は此処で生きるの?」
提督 「そうなるな…にしても、あの歌姫が来たか…」
ミク 「そんなに私って人気なの?」
提督 「人気が無ければ新型は出ない。」
ミク 「……」
提督 「歌を聴いた事は無くても姿や名前は知っている。
そんな奴も大勢居るのがお前なんだよ。」
ミク 「…そっか。」
提督 「…で、お前って電気で動いてるのか?」
ミク 「え?うーん…分からない。」
提督 「ちょっと見るぞ…」ガサゴソ
ミク 「……擽ったい…ん…」
提督 「我慢してくれ…」ガサゴソ
ミク 「……んぁっ!?」
提督 「悪い…特に何も無い、か…」
ミク 「……」ムスッ
提督 「済まんな、管理上やらなきゃいけなくてな。」
ミク 「本来ならセクハラですよ!!もう!!」
提督 「…セクハラ、ねぇ……」
ミク 「…如何したんですか?」
提督 「いや…何も。」
浦風 「政一!!」ぎゅむっ
ミク 「えっ…」
提督 「ん…如何した?」
浦風 「政一が居らんから、寂しくて…」
提督 「相変わらず甘えん坊だな。」
ミク 「えっちょ…え?」
浦風 「…政一が生きとる……」
提督 「そう易々とは死なないし、死んでも戻ってくるよ。
浦風の事は絶対に見捨てないから、安心して。」
浦風 「…有難うな……」
ミク 「……」
提督 「今日は移動が有るから、そろそろ、ね?」
浦風 「…うん、有難うな。」タッ
提督 「…まだ時間が掛かるか。」
ミク 「あの…」
提督 「御免ね、彼女は特殊な対応が必要でね…」
ミク 「いえ、其の…何か、済みません。」
提督 「此方こそ御免ね、如何しても価値観が狂うんだ。」
ミク 「いえ…」
提督 「兎に角、朝ご飯食べる?」つパン
ミク 「あ、はい。戴きます。」
提督 「口に合うと良いんだけどね。」
ミク 「……美味しい!!」キラッ
提督 「其れは良かった。」
ー第七十二章 派遣暗殺員迎撃ー
ー12:28 街道ー
ミク 「……」ポージングなう
白鷺 「ははぁ…あの初音ミクが…」
早紀 「本物っすか!?本物っすか!?」
提督 「本物だから落ち着け…」
ヴィエラ 「……見た目は機械の様ですね…」
ミク 「あの…私は何時までこうしてたら良いんですか?」
提督 「ん?此奴等の気が済むか非常事態が起きる迄。」
ミク 「うぅ…」
ーー
?? 「あの人達を本当にまた殺るの?」
??2 「逃がして貰った恩は忘れてない、けど…」
?? 「…殺るしか、無いんだね……」
??2 「うん…行くよ。」
?? 「うん。」
ーー
提督 「……二人、あの時のか。」
白鷺 「すげぇ…本物だよ…魂消たなぁこりゃ……」
早紀 「話に聞いていたあの初音ミクさんが此処に…」
ヴィエラ 「歌って踊れる電子の歌姫…凄いですね…」
ミク 「……」
提督 「……」つ五七式半自動対人用狙撃銃
ミク 「……!?」
提督 「……」ジャキッ
白鷺 「んぁ?」
早紀 「金属音?」
ヴィエラ 「何の音ですか?」
ズガァン!!
白鷺 「うおっ!?」
早紀 「ちょっ!?」
ヴィエラ 「ひゃっ!?」
ミク 「うわぁっ!?」
提督 「……出て来い。居るのは知ってるんだ。」
ーー
?? 「あっ…ああっ…」プルプル
??2 「ば、バレてる…」ぷしゃぁぁぁ…
?? 「ど、どどど如何しよう…」
??2 「こ、降参しよう?」
?? 「そ、そうしよう…」
ーー
提督 「…一度は見逃したが二度見逃すとは言ってない。
諦めて素直に出て来い、居場所は判ってるんだ。」
?? 「……」ガサッ
??2 「……」ガサッ
提督 「…あの時に大人しく下がったからと捨て置いたのが
間違いだったか…再度刃を向けようとするとはな。」
?? 「……」
提督 「何か言う事は有るか?」
ミク 「あ、あの…この子達は?」
提督 「暗殺部隊の一員だよ。」
ミク 「暗殺部隊!?」
提督 「俺を潰そうとして自分達が潰される馬鹿の集まり。
学習しねぇのが特徴の何がしたいのか分からん連中。」
??2 「……」
提督 「にしても小便臭いな…ん?」
??2 「!?」ばっ
提督 「隠せてねぇって…漏らしたか。」
?? 「……」
提督 「はぁ…話は聞いてやるから着いて来い。」
?? 「……本当に?」
提督 「やっと喋ったか…聞いてやっから来い。」
??2 「…大丈夫なの?」
?? 「…従うしか無いよ。」
提督 「早く来いって!!ミクも!!」
ミク 「は、はーい!!」
ー第七十三章 暇なんて物は無いー
ー13:20ー
提督 「…相変わらず屑ばかりだな。」
?? 「……」
早紀 「…酷い話っすね。」
白鷺 「家を奪われ家族を殺され暗殺者として飼い殺しか…
何を如何すればそんな事を出来るのか…」
ヴィエラ 「…如何致しましょうか?」
提督 「…一先ず、匿う他無いか。」
??2 「……!!」
提督 「名前を聞こうか。」
??→ミーア 「私は…私は、ミーア・フリーランド。」
??2→ミレイア 「私は、ミレイア・フリーランド…」
白鷺 「…暗殺者はフリーランド姉妹って事か?」
提督 「そんな気はしていた、妙に動きが似ていたからな。
互いが互いの細かい所まで見ていたんだろうな。」
ヴィエラ 「…貴女方の事を、私達は歓迎致しますわ。
ようこそ人神魔艦連合軍へ。」
早紀 「これから如何するっすか?」
提督 「トリアと共に鍛錬だろうな、着いて来い。」
ミーア 「あ、はい…」
ー簡易鍛錬所 13:50ー
トリア 「えぇぇ…僕に後輩、ですか?」
提督 「悪い話じゃない、一対二の訓練も出来るぞ。」
ミーア 「…この人が、私達の先輩…」
ミレイア 「…強そう。」
提督 「強そうじゃなくて実際に強いんだ。」
トリア 「師匠、煽てても何も出ません。」
提督 「そりゃそうさ、此方が出す側だからな。」
トリア 「へ?」
提督 「ほれ。」つエクスカリバー
トリア 「え…こ、これってせせ聖剣じゃないですか!?」
提督 「有難い事に神獣が大量に押し付けてったからな。」
トリア 「神獣が大量に押し付けてった!?」
提督 「お前にはこれが合うだろうと思ってな。」
トリア 「えぇ…」
提督 「まぁ持ってみろ。」
トリア 「は、はい…あ、思ってたよりしっくり来る。」
提督 「だろ?」
トリア 「…本当に良いんですか?」
提督 「あぁ、構わんよ。」
トリア 「あぁ…魔剣、二振り持ってましたね師匠。」
提督 「一度試運転するか?相手してやるぞ。」
トリア 「お願いします。」
提督 「ミーアとミレイアは見てなさい。」
ミーア 「は、はい…」
ミレイア 「分かりました…」
ー第七十四章 軍人であるが故にー
ー14:18ー
提督 「……」つグングニル
トリア 「……」つエクスカリバー
提督 「……さて、何時でも良いぞ。」
トリア 「偶には師匠から来ては?」
提督 「…言う様になったな……後悔するなよ。」ダッ
ギィン!!
トリア 「くっ…お、重い…」ギギギ…
提督 「先の威勢は如何した?」ダッ
トリア 「このっ…」バッ
ギィン!!ガィン!!
提督 「聖剣に乗せられるだけか?大して強くないな。」
トリア 「口車には乗りませんよ!!」ザッ
提督 「言ったな?ならば私に勝って証明して見せろ。」
トリア 「言われなくても!!」ダッ
ガキン!!ギィン!!ガンッ!!
ーー
ミーア 「……」
ミレイア 「…お姉ちゃん?」
ミーア 「…ミレイア……私達、とんでもない人を…」
ミレイア 「う、うん…反省、しなきゃ……」
ーー
提督 「……」ガキン!!ギィン!!
トリア 「くっ…ちょこまかと!!」
提督 「随分精彩に欠ける動きだな…束の間の平和で腕が
鈍りでもしたか?鍛錬不足が目に見えるが…」
トリア 「なっ!?」
提督 「其れに…」ぷにっ
トリア 「ひゃっ!?」ガバッ
提督 「何だこの腹の脂は…出会った頃は無かったぞ?」
トリア 「そ、其れは…」
提督 「他人に感けて自分の事を後回しにしたか?」
トリア 「そ、そんな事は無いです!!」
提督 「だとしたら自己管理がなっていない証拠だな?」
トリア 「…済みません、師匠……」
提督 「腕立て用意!!」
トリア 「は、はい!!」バッ
提督 「腕立て百、始め!!」のしっ
トリア 「ししし師匠っ!?お、重いですぅ!!」
提督 「負荷を掛けずして痩せられると思うな!!」
トリア 「ヒィッ…」
提督 「腕立て百!!始め!!」
トリア 「は、はい!!」
ーー
ミレイア 「…お姉ちゃん、師匠さんが…」
ミーア 「…先輩の上に乗ってる?」
ミレイア 「…行こう。」
ミーア 「え、えぇ…」
ーー
提督 「如何した?まだ五しか出来てないぞ!!」
トリア 「師匠…キツイ、です……」ぷるぷる
提督 「怠けた証拠だろうが!!続きだ!!」
トリア 「うぅ……うあっ!?」ベシャッ
提督 「情けない…其の程度では聖剣にも呆れられるぞ。」
ミーア 「あの…」
提督 「悪いな、今日はこれで終わる事にする。」
ミレイア 「え?」
提督 「この馬鹿を鍛え直す必要が有るんでな。」
ミーア 「…そうですか……」
提督 「悪いな…さぁ来い!!一から叩き直してやる!!」
トリア 「あうぅうぅぅ…」ズルズルズル…
ミレイア 「……」
ミーア 「……」
ミレイア 「休憩しよっか…」
ミーア 「そうね…」
ー第七十五章 個別対応ー
ー15:28ー
提督 「……止まったぞ?」
トリア 「……」プルプルプル
提督 「…早くしろ、あと四十二だ。」
トリア 「もう…限界…です……」ドサッ
提督 「…馬鹿が。」
ぷらずま 「おーおー、潰れてやがるのです。」
提督 「よう、如何した?」
ぷらずま 「暇だから来たのです、腕は鈍ってないですよ。」
提督 「そうか…試してみるか?」ザッ
ぷらずま 「辞めておくのです…今日は疲労が溜まってるのですよ。」
提督 「…みたいだな。」
ぷらずま 「…で、何してるのです?」
提督 「神の力に頼って怠けた馬鹿の鍛え直し。」
ぷらずま 「…馬鹿なのです。」
提督 「……何時まで潰れてる心算だ?」
トリア 「今日は、もう…勘弁して下さい…」
提督 「…仕方無いな…一時間だけやろう。」
トリア 「有難う御座います…」
ぷらずま 「…ガチで弱いのですね。」
提督 「あぁ、本当にな。」
長門 「政一、此処に居たか!!」
提督 「ん?如何した?」
長門 「如何したもこうしたも無い!!今直ぐに来てくれ!!」タッ
提督 「…ぷらずま、此奴は任せる。」ダッ
ぷらずま 「あっちょっ…行きやがったのです…」
ー15:48 仮設宿舎ー
提督 「……鏡音の双子に嘘から出た誠ねぇ…」
リン 「…ねぇ、此処何処なの?」
提督 「…此処か?お前達が居た世界とは別の世界…だな。」
レン 「……凄い…本物だ…」
提督 「触るなよ、暴発したら困る。」
テト 「…で、私達は如何なるの?」
提督 「さて、如何しようかねぇ…」
赤城 「大変です!!」
提督 「今度は何だ?」
赤城 「二航戦が倒れてしまって!!」
提督 「…馬鹿が、体調管理は軍人の基本だろうが。」
赤城 「提督!!」
提督 「分かってるから落ち着け、何処で倒れた?」
赤城 「空母宿舎です!!」
提督 「鳳翔と共に応急救護に当たれ、後から合流する。」
赤城 「わ、分かりました!!」ダッ
提督 「…救護班にでも回そうかね、丁度良いし。」
リン 「……」
提督 「…取り敢えず今はゆっくりしてって。」
レン 「はーい!!」
提督 「元気なもんだね…」
ー16:10ー
提督 「…状況。」
赤城 「感染症の類では無いかと…」
鳳翔 「多分、過労ですね…彼女達はよく深夜まで鍛錬に励んでは、
夜食を食べて眠るのを繰り返していましたから。」
提督 「…限界に迫って断流器が作動した、という事か。」
鳳翔 「容態を見る限りは其の可能性が濃厚です。」
提督 「…教え子が倒れるなんて、心臓に悪いな…」
鳳翔 「大本営からの付き合いですものね?」
提督 「あぁ…未だ未だ未熟だな。」
黒潮 「政一、居る?」
提督 「如何した?」
黒潮 「龍驤はん、呼んどったよ?」
提督 「分かった…」
ー16:29ー
龍驤 「…やから、こないなプランはどないやって思うてな?」
提督 「…裏を突くには良さそうだな、調整入れるか。」
龍驤 「おっしゃ、任しとき!!」
提督 「頼むぞ。」
龍驤 「…にしても、えらい大変やなぁ?提督っちゅうもんは。」
提督 「内の四割程度はお前達が大変にしてるんだがな。」
龍驤 「たはは…耳が痛うて敵わんわ…」
ー第七十六章 能力解放ー
ー18:20ー
提督 「…手も時間も足りんな。」なでなで
イルミア 「……♪」
提督 「何か良い手は無いものか…」なでなでなでなで
イルミア 「……♪」ギュッ
提督 「…時魔法……いや、有る訳が無いか。」なでなで…
イルミア 「…?」
提督 「…参ったな……」
イルミア 「……」ギュッ
提督 「…何とかならんものか……」なでなで
ホイミン 「…ねぇ、これなんだけどさ?」
提督 「ん?」
ホイミン 「私じゃ無理でさ…一度見てみたくて。」
提督 「…時魔法…指定した空間以外の時間を止める物……」ペラッ
ホイミン 「如何かな?」
提督 「…やってみるか…[クロノストップ]。」
パキッ…
イルミア 「……?」
提督 「…止まってる、のか?」
ホイミン 「…皆、止まってる……」
提督 「…ほう、動ける者も老化はしないと。」
ホイミン 「若しかして、これって…」
提督 「…今、俺が最も欲しかった物だ。」
ホイミン 「…ねぇ、マナ消費って…」
提督 「まぁ、大食らいなのは確かだな。」
ホイミン 「やっぱり…」
提督 「だが、これで鍛錬の時間を稼げる。」
ホイミン 「あっ!!」
提督 「分かったか?マナポーションの準備だ。」
ホイミン 「うん!!」
パキッ
提督 「…まさかこんな物が存在していたとはな。」
イルミア 「……」
提督 「…にしても、イルミアは何故話せないんだ?」
イルミア 「??」
提督 「……あぁ、成程…ならこれで…」
イルミア 「……喉、治った?」
提督 「ん、大丈夫っぽいな。」
イルミア 「…有難う。」
提督 「気にするな、件の礼だ。」
イルミア 「…大好き。」ギュッ
提督 「俺もだ。」
ー19:20ー
天龍 「…でよ、何とかならねぇかなぁって。」
龍田 「天龍ちゃん、其の悩みは私には無理よ。」
天龍 「だよなぁ…政一の奴は手が空いてねぇだろうし…」
龍田 「そうねぇ…」
天龍 「参っちまうよなぁ…」
提督 「如何した?」
天龍 「お?政一じゃねぇか…何で此処に居るんだ?」
提督 「ちょいと時間を作れたんで巡回をな。」
天龍 「…なぁ、聞いても良いか?」
提督 「ん?如何した?」
天龍 「駆逐共がこの頃ずっと不満を漏らしててな…」
提督 「何て?」
龍田 「貴方との時間が全く取れないって。」
提督 「あぁ…其れなら多少はマシになる筈だぞ。」
天龍 「は?」
提督 「時魔法を扱える様になったからな。」
天龍 「はぁ!?」
提督 「条件こそ厳しいが、これからはとことん付き合える筈だ。」
天龍 「そ、そうか…」
龍田 「貴方も大変ねぇ?」
提督 「まぁな。」
天龍 「…なぁ、政一。」
提督 「ん?」
天龍 「私の事も、ちゃんと見てくれよな?」
提督 「…悪いな、手の掛かる奴が多すぎて手が回らなかった。」
龍田 「良いのよ…これからは確り見てね?」
提督 「あぁ、約束するよ。」
ー第七十七章 葬儀屋と奴隷ー
ー五月四日 街道 09:20ー
提督 「ハルーラまで…ざっと七粁って所か」
ガラガラガラ…
提督 「ん?」
御者 「止まれぇ!!」グイッ
提督 「こりゃあまた立派な馬車だなぁ?」
商人 「おやおや、こんな所で旅の者に会うとは。」
提督 「ん?アンタは…商人か。見る限りは何でも扱う様だな。」
商人 「えぇ、勿論…どうせですから、見て行きますか?」
提督 「…余程の物でもなければ買わんぞ?」ギギッ
商人 「まぁまぁ、見るだけなら無料ですからねぇ。」
提督 「そうかい…ん?」
?? 「……」
商人 「…其の奴隷が気になりますか?」
提督 「奴隷…傷痕だらけだな。」
商人 「先日死んだ貴族が飼ってた奴隷です。」
提督 「ん?其れはリースバートか?」
商人 「いえ、アマルビルトです…恨まれてた様でしてね。」
提督 「…殺されたか。」
商人 「えぇ、殺し屋を送り込まれた様で…」
提督 「…で、アンタの所にこの子が来たと。」
商人 「えぇ…面倒な事に、この奴隷を押し付けられてしまいまして。」
提督 「…買おう、幾らだ?」
商人 「引き取ってくれるんでしたらタダでお譲りしますよ?」
提督 「…取引成立だな。」
商人 「ではそういう事で…返品はお断りしますよ。」
提督 「分かってるよ…」
ー10:12ー
提督 「…取り敢えずパッと見は普通の女の子になったな。」
?? 「…有難う御座います、御主人様。」
提督 「御主人様、ねぇ…」なでなで
?? 「…殴らないんですか?」
提督 「殴って如何なるよ…無駄な事はしない。」
?? 「…痛がる事で御主人様を喜ばせられます。」
提督 「そんな事で私は喜ばんよ。」なでなで
?? 「……」
提督 「これから如何しようかねぇ…」
?? 「……」
提督 「…そういえば、名前を言ってなかったな。」
?? 「…御主人様の御名前ですか?」
提督 「あぁ…私は諫田政一、一応軍人だ。」
?? 「…諫田政一様、ですね。」
提督 「あぁ…君の名前も聞いていなかったな。」
?? 「…私に名前は有りません。」
提督 「…そうか……」なでなで
?? 「…頭を擦って、楽しいんですか?」
提督 「ん?まぁまぁ楽しいが、如何かしたか?」
?? 「…いえ、何も……」
提督 「……」なでなで
?? 「……」
漣 「お兄ちゃん?」ヌッ
提督 「ん、漣か。如何した?」なでなで
?? 「!?」
漣 「潮がお兄ちゃんに、これ。」つチョコレート
提督 「…有難う。」
漣 「じゃあね。」
提督 「……日頃の礼って所か…」ポリッ
?? 「……」
提督 「……………苦いな…」なでなで
?? 「其れは苦いのですか?」
提督 「砂糖を入れ忘れたか、或は足りなかったか…」ポリッ
?? 「……」
提督 「…まぁ折角作ってくれたんだ、有難く頂こう。」なでなで
?? 「……」
提督 「…さて、なにか良い名は無いものか……」
シャル 「…あら?」
提督 「ん、シャルか。」
シャル 「この子は一体…」
提督 「引き取った元奴隷…名前が無いんだと。」
シャル 「名前…[セレーナ]は如何でしょうか?」
提督 「…そうするか。」
??→セレーナ 「……」
提督 「じゃあ今日から宜しく、セレーナ。」
セレーナ 「…はい。」
ー第七十八章 奴隷と弥生とトリアと葬儀屋ー
ークロノストップ発動中 現実時刻14:20ー
提督 「……」なでなで
セレーナ 「…何故貴方がこうするのかが、よく分かりません。」
提督 「今は分からなくても良い。」
セレーナ 「……」
弥生 「……」
提督 「…弥生もだな。」なでなで
弥生 「有難う…」ニコニコ
提督 「……」なでなでなでなでなでなでなでなで
セレーナ 「……」
弥生 「……♪」ニコニコ
提督 「さて…トリア、休憩。」
トリア 「はい!!」
提督 「…弥生?」
弥生 「はい。」
提督 「今、幸せか?」なでなで
弥生 「はい。」
提督 「…なら、良いんだが。」なでなで
トリア 「師匠?」
提督 「トリア、腕立て三百。」
トリア 「はい!!」
セレーナ 「…御主人様?」
提督 「如何した?」
セレーナ 「本当に、何もしなくても宜しいんですか?」
提督 「あぁ、もう痛がる必要も無い。」なでなで
セレーナ 「…そうですか……」
弥生 「…政一さん。」
提督 「ん?」
弥生 「私は、もう政一さんが居ないと駄目です。」
提督 「…だろうなぁ。」
弥生 「もう…私の身体も心も、何も彼もが貴方のモノなんです。」
提督 「……」
弥生 「だから…本当に死ぬ時が来たら、私も連れて行って下さいね。」
提督 「…何とも重い御願いだな?」
弥生 「駄目ですか?」
提督 「……仕方無いな…分かった、約束だ。」なでなで
弥生 「有難う御座います…」スリスリ
セレーナ 「……」
提督 「…如何した?」
セレーナ 「いえ…御主人様は迚慕われていらっしゃるのだな、と。」
提督 「まぁ、長い付き合いだからね…」
セレーナ 「…そうなんですね……」
提督 「事情があるんだ、仕方ない事だよ。」
セレーナ 「…あの人、凄いですね。」
提督 「トリアの事か?まぁ、弟子だからね。」
セレーナ 「弟子?」
提督 「僕の技を確り引き継いでくれてる様で何よりだよ。」
トリア 「師匠!!」
提督 「…よし、実践訓練行くか。」
トリア 「はい!!」
ー四十分経過ー
提督 「…詰めが甘いな。」
トリア 「うぅ…」
セレーナ 「…強い……」
提督 「…大休憩、終わったら走り込み。」
トリア 「ど、どの位の距離を?」
提督 「んー…十粁。」
トリア 「分かりました…回復に努めます。」
提督 「ん。」なでなで
トリア 「…有難う御座います……」
提督 「頑張れ、お前は俺の一番弟子だろ?」
トリア 「はい!!」
セレーナ 「…格好良い……」
ー第七十九章 災禍を齎す蒼色の鳥ー
ークロノストップ発動中 三十八分経過ー
トリア 「お、終わりました…」はぁ…はぁ…
提督 「お疲れ様…さて、次は俺の番だな。」
トリア 「え?師匠の?」
提督 […蒼色の鳥、未だ発たぬ。]
トリア 「えっ…」
弥生 「これは…詠唱?」
提督 [人々を食みし蒼色の鳥、羽に纏いし人々の血は、翼に仕舞いし
其の骨は、災禍を齎し破滅を招く。]
セレーナ 「…破滅を……」
トリア 「招く…」
提督 [人々を食みし蒼色の鳥、其の身に宿りし人々の怨念は、其の身に
蓄えし人々の恨みは、地上に降りし血の雨と化す。]
弥生 「血の雨…」
提督 [人々を食みし蒼色の鳥、遂に飛び立つ其の時来たり、翼を広げ
封印破りて人々の世に飛び立たん。]
トリア 「この詠唱、まさか…」
弥生 「召喚詠唱?」
提督 [蒼色の鳥、今こそ飛び立ち世界を滅ぼせ。]
セレーナ 「っ!?」
弥生 「今、滅ぼせって…」
提督 [蒼時化夜薙げ蒼色の鳥、草食み根食み羽伸ばせ。名を問い
質す蒼色の鳥、都掻き山掻き名を屠れ。荘たる名取る蒼色の鳥、
陽食い黄泉食い関通れ。草叢たる蒼々平野に住みし御遣いの目に、
病みし闇視たる矢見しけるを何となる。蒼霞は層過し蒼花をも
枯らしたる所業こそ何たるや。其れは言之葉に非ず、其れは災禍也。
畏み畏み敬い奉り、我らに御力御貸し戴けまする事を願いけれ。
蒼星たる星眼たる眼瘴たる瘴気たる気薬たる薬毒たる毒畜たる
畜生たる生神たる我らが御主の御遣いや。今こそ来たらん我が脳漿の
民へ、今こそ来たらん我が世の常闇へ、今こそ来たらん我が檻の
蒼淵へ…蒼色の鳥、今こそ発ちて我等の許に降り立たん。]
……バサッバサッバサッ…ジャリッ
蒼色の鳥 「……」バサッ
提督 「…いらっしゃい、僕の式神。」
トリア 「……蒼い鳥だ…」
弥生 「羽に血がべっとりと…」
セレーナ 「怖い…」
提督 「今日から宜しくね。」なでなで
蒼色の鳥 「…クルル……」スリスリ
弥生 「…政一さん?其の鳥、凄く懐いてますね?」
提督 「そうだね…まぁ、僕が主だからだろうねぇ…」なでなで
トリア 「師匠が、主?」
提督 「うん。其れと、この子は鳥なんて可愛いモノじゃないよ。」
弥生 「へ?」
提督 「この子は[災禍]其の物さ。下手に触れれば破滅へ一直線だよ。」
弥生 「ひっ!?」
提督 「だから、僕は[畏み畏み敬い奉り]と言ってたんだよ。」
トリア 「…畏敬の念を持って相対せよ、という事ですね。」
提督 「そういう事…召喚に成功したって事は契約も成立してるから、
僕達に災禍は降り懸らないと思うよ。この子も、封印されていた
世界から開放してくれた事に感謝してるみたいだし。」なでなで
セレーナ 「そ、そうなのですか?」
提督 「災禍を齎す気なら僕が触れた時点で何か悪い事が起きるよ。」
弥生 「…確かに。」
提督 「じゃあ改めて…これから宜しくね、僕の式神ちゃん。」
蒼色の鳥 「クルルル…」スリスリ
提督 「ふふふ…甘えん坊だね、君は。」
トリア 「…師匠が笑った。」
弥生 「という事は、あの神様も家族だね。」
セレーナ 「え?」
弥生 「政一さんは家族と認めた人にしか笑顔を見せないから。」
セレーナ 「…家族……」
提督 「さ、この子も交えて鍛錬の再開だよ。」
トリア 「はい!!…はい!?」
ー第八十章 政一と蒼色の鳥ー
ークロノストップ発動中 一時間経過ー
トリア 「…弥生さんと協力して師匠を倒す……」
弥生 「私達が戦えなくなったら負けで…」
提督 「俺達を戦闘不能にすれば二人の勝ちだ。」
蒼色の鳥 「クルル…」
提督 「やるぞ、位置に着け。」
弥生 「はい。」
ーー
トリア 「弥生さん?大丈夫なんですか?」
弥生 「政一さんが模擬戦を組む時は私達が勝てるか、或はきっと
何か今後に役立つ物を見つけられると踏んだ時が大半。」
トリア 「なら…」
弥生 「負けたとしても無駄では無いと思う。」
トリア 「…やりましょう、本気で。」
弥生 「うん。」
ーー
提督 「所で、お前の名前を聞いてなかったな?」
蒼色の鳥 「クルルル…」
提督 「…成程、蒼華か。良い名だな。これから宜しくな、蒼華。」
蒼色の鳥→蒼華 「クル…」
提督 「…恐らくだが、トリアも弥生も本気で来る。」
蒼華 「…クルルル……」
提督 「対空砲火に気を付けろ、一発食らうだけで堕ちかねない。」
蒼華 「クルァ!!」バサッ
提督 「…さぁ、模擬戦の始まりだ。」
ーー
トリア 「はあぁぁぁああ!!」ダッ
提督 「甘い!!」ガギッ
トリア 「ふんっ!!」ビュッ!!
提督 「そう来るか!!」ギィン!!
弥生 「其処!!」ダァン!!
提督 「あっぶねぇ!?」チュイン!!
トリア 「貰ったァ!!」ブォン!!
蒼華 「ガァア!!」ビュバァ!!
トリア 「くっ!?」
提督 「コンビ戦の基礎を忘れたか!?」ブンッ
トリア 「がぁっ!?」ズザザァ!!
弥生 「トリアさん!?」
提督 「余所見する余裕なんて有るのか?」ダッ
弥生 「くっ!?」ギィン!!
蒼華 「グァア!!」ビュッ!!
弥生 「あがっ!?」ザザァ
提督 「終わり、だな。」
弥生 「…負けました。」
提督 「蒼華、よくやったな。偉いぞ。」なでなで
蒼華 「クルル…」
弥生 「…強いんですね、其の式神は。」
提督 「まぁな。」
ー第八十一章 人攫いー
ー22:40ー
提督 「……」
パチッ…パチパチッ…
提督 「……」カロンッ
パチッ……パンッ…
提督 「……」
ガサッ
提督 「ん?」
?? 「[スタンサンダー]。」ビリリッ!!
提督 「ぐ…何をする気でこんな事を…」
?? 「アンタを攫えば大金持ちなのよ、黙ってなさい。」ゴッ
提督 「ぐっ……」ドサッ
?? 「…急いで離れましょう。」
ー五月七日 クリース王国王城内 10:20ー
提督 「………ぅ…」
?? 「御目覚め?」
提督 「…此処は……」
?? 「クリース王国の王城よ。」
提督 「……」
??2 「久しいな、勇者殺し。」
提督 「…久々だな、人の屑。」
?? 「アンタ、国王様に対して失礼過ぎるわよ?」
提督 「此奴にはコレでも足りない位だがな。」
??2 「フハハハ、相変わらずの口の悪さだな。」
提督 「…で、何の用だ?長居はしたくないんだが。」
??2 「貴様にはこの国の兵士として死ぬまで戦って貰おう。」
提督 「…んなこったろうと思ったよ……断ったら?」
?? 「其の時はこの子の首が飛ぶだけよ?」グイッ
トリア 「……師匠…申し訳有りません……」
提督 「……幾つか質問に答えろ、返答次第で変わる。」
??2 「ほう…言ってみよ。」
提督 「今日の日付は?」
?? 「五月七日。」
提督 「攫った場所から此処までの距離。」
?? 「三十ハルト強かしら?」
提督 「……他に攫った奴は?」
?? 「居ないわ、私一人でやったんだもの。」
提督 「…十四掛ける三十…四百と二十粁…」
?? 「何?如何したの?」
提督 「…いや、何も。」
ー第八十二章 暴徒と化す者達ー
?? 「で、如何するのよ…」
提督 「下手に動いて死ぬのは御免だ。」
??2 「物分りの良い奴は好きだ。」
提督 「…お前達の名前すら知らねえがな。」
?? 「…あぁ、名乗ってなかったわね。」
??2→クリューズ 「儂は国王、クリューズだ。」
??→カレン 「私はカレン・フリマス。」
提督 「…彼奴等の事だ、どうせ殴り込みに来る。」ボソッ
カレン 「何か言った?」
提督 「いや、何も。」
衛兵 「ほ、報告!!」バァン!!
カレン 「何よいきなり…」
衛兵 「暴徒の大軍が関所を強行突破しました!!」
クリューズ 「何?」
提督 「…あぁあ、遅かったか。」
カレン 「ちょっと、如何いう意味よ!?」
提督 「彼奴等は俺が居なくなると暴徒軍になっちまうんだよ。」
カレン 「は?」
提督 「彼奴等を正気に戻すには俺が必要だ。そして俺以外は絶対に
正気に戻せない、彼奴等はそんな連中なんだよ。」
カレン 「それ本当なの!?」
提督 「俺が居なけりゃ生きてる意味がねぇなんて宣う奴等だぞ?」
トリア 「あぁ、師匠を追い掛けて来た人も居ましたね。」
提督 「この儘なら彼奴等此処に乗り込んで来るぞ…」
クリューズ 「何だと?」
提督 「また止めなきゃならんのか…面倒な……」
衛兵2 「ほ、報告!!」バァン!!
カレン 「今度は何よ!?」
衛兵2 「ぼ、暴徒軍が城門を突破!!此方を目掛けて進軍中!!」
クリューズ 「馬鹿な…」
提督 「…仕方無い奴等だな。」
カレン 「ちょっと、そんな事言ってる場合じゃないわよ!?」
提督 「彼奴等はあぁいう連中なんだよ…諦めろ。」
鳳翔 「貴方!!」バァン!!
提督 「御疲れ様、鳳翔。急で悪いけどコレ外してくれる?」
鳳翔 「はい、勿論です!!」ガチャガチャ
クリューズ 「待て!!貴様は何者だ!!名乗れ!!」
鳳翔 「貴方の様な屑に名乗る名前なんて持ち合わせていません。」
クリューズ 「何だと?」
提督 「当たり前だよなぁっと。」ガシャッ
鳳翔 「あぁ、御無事な様で何よりです…」
提督 「鳳翔、トリアの解放急げ。」
鳳翔 「はい!!」ガチャガチャ
カレン 「…最初からこうなるって知ってたのね?」
提督 「まぁ、ウチには優秀な魔法使いもいるからな。」
龍驤 「政一、無事か!?」
提督 「御覧の通り、身体はピンピンしてるよ。」
クリューズ 「貴様、謀ったな?」
提督 「ウチの面子を見誤ったお前のミスだ。」
龍驤 「外の敵兵は全滅さしたで。」
カレン 「えっ!?」
提督 「城内に僅か残るのみか…」
龍驤 「もう直其れも終わる筈やから…」
鳳翔 「始末する敵は目の前の屑を残すのみ。」ガシャッ
トリア 「有難う御座います、鳳翔さん。」
クリューズ 「…馬鹿な……」
提督 「…さっさと終わらせるか。」
鳳翔 「えぇ。」キリキリ…
クリューズ 「待て!!国一番の美女と国庫の財宝をやろう!!」
提督 「其の程度で買収出来ると?」
クリューズ 「足りないのならカレンもやるぞ?」
カレン 「はぁ!?」
提督 「…お前の命以外は要らねぇんだよ。」
クリューズ 「な、何だと?」
鳳翔 「さようなら。」バシュッ
クリューズ 「ぐぁあああああ!!」ドスッ
提督 「[マナ・バレット]。」ピシュッ
バコォン!!
提督 「…終わったな。」チラッ
カレン 「ひっ!?」
龍驤 「…どないするんや此奴……」
提督 「…一応身柄を確保しておこうか。」
トリア 「…役に立ちますか?」
提督 「知らん、死にたくないなら相応に働くだろ。」
カレン 「…許して……」
鳳翔 「…貴方、皆が待っていますよ?」
提督 「…あぁ、行こう。お前も来い。」
カレン 「は、はい…」
ー第八十三章 国家再編ー
ークリース王国王城中庭 12:00ー
?? 「……」
??2 「本当に、御父様を殺したの?」
鳳翔 「黙りなさい、今貴方達に割ける時間は有りません。」
カレン 「……」
ドラグニア 「…以上、当軍被害報告。」
提督 「…まぁ、この程度で済んだと思うべき、か。」つ報告書
【損害報告書】
中破 4(内深海棲艦1)
小破 8(内深海棲艦3)
356mm連装砲 4
127mm連装砲 8
610mm四連装雷管 3
三十年式銃剣 2
其他多数の微弱損害
以上
提督 「…色々修理が必要だな?」
ドラグニア 「えぇ…ですが、火急ではないかと。」
提督 「…暫くはこの城にでも引き篭るかねぇ……」
??3 「…今、良いか?」
提督 「ん?あぁ、あの夜の…そういやあの夜から接触無かったな。」
??3 「…覚えてくれている様で何よりだ……」
提督 「…で、元国王様が何か御用で?」
??3 「…私の名前を知らないのか?」
提督 「名前を聞く時間なんて無かっただろうに。」
??3→セフィロス 「私はセフィロス…苗字は無い。」
提督 「は?」
セフィロス 「国を追い出されたからな…」
提督 「ほぅ…」
カレン 「……お父さん?」
セフィロス 「…ただいま、カレン。」
カレン 「…お父さん!!」ギュッ
提督 「…龍飛、皆は?」
龍飛 「殆どの者は平常心を取り戻した、心配は要らん。」
提督 「そうか。」
龍飛 「まぁ、吹雪を筆頭に何名かは大崩れだが。」
提督 「だろうな…一先ず国家の再編を行う、視察を頼むぞ。」
龍飛 「航空隊の出番だな、了解。龍驤!!」
龍驤 「赤城達に連絡やな、任し!!」
提督 「…さて、問題はここから如何動くか、か……」なでなで
トリア 「…///」
提督 「トリア、付き合え。」
トリア 「はい!!」
セフィロス 「私達も良いだろうか?」
カレン 「…御願い。」
提督 「…もう良いのか?」
セフィロス 「娘との時間は未だ沢山有るだろう?」
カレン 「今は他にする事が有るから。」
提督 「…まぁ、構わんが。」
鳳翔 「この者達は如何なさいますか?」
提督 「…同行させろ。」
鳳翔 「分かりました。」
ー第八十四章 クリース王国国庫金ー
ー12:28 国庫前ー
衛兵 「……」ガタガタ
提督 「…一体何をした?」
鳳翔 「此処は夕立ちゃんと綾波ちゃんの担当ですね。」
提督 「鬼神と狂犬か…そりゃこうなるか。」
衛兵 「な、何でもします…命だけは…」
提督 「国庫の確認だ、戸を開けて貰いたい。」
衛兵 「た、直ちに!!」ガチャガチャ…
提督 「…あの二人は後で説教かねぇ……」
鳳翔 「まぁまぁ、貴方の為に動いたんですから…」
ガシャン!!
衛兵 「ど、どうぞ!!」ギギギィ…
提督 「さて、中身は…」
金銀宝石財宝仰山
提督 「…悪趣味な財宝だな。」
鳳翔 「如何なさいますか?」
提督 「市井の様子次第で大放出も有り得るな。」
鳳翔 「まぁ…」
零戦五二型 [提督へ連絡、応答願う。]
提督 [如何した?]
零戦五二型 [市井は襤褸襤褸、皆が貧しく暮らしている。]
提督 […国庫の財宝を放出する、隣国と交易せよ。]
零戦五二型 [了解、交渉国を探す。]
提督 「…一度全て外に運び出せ。」
鳳翔 「はい。」
ー13:20 王国中庭ー
提督 「……」
イリア 「これは金貨四十五枚…これは金貨三十と銀貨二十。」
提督 「…自身の私腹を肥やす事には躍起だった様だな。」
イリア 「あぁ…馬鹿だ。」
夕立 「政一さーん!!」ガバッ
提督 「御馬鹿!!」ゴチン!!
夕立 「ぽぎゃっ!?」ズテッ
提督 「国庫の衛兵怖がらせて如何すんだよ!!」
夕立 「御免なさーい…」
綾波 「政一さん…御免なさい……」
提督 「少しは落ち着けっての…」
叢雲 「アンタ、これ拾ったわよ。」
提督 「ん?」
つ造りがあまりにも雑な金属製の筒
提督 「…雷管受けが有るって事は薬莢か……」
叢雲 「ねぇ、若し考えてる事が一緒だったら…分かるわよね?」
提督 「あぁ…これからは密造銃が出てくるって事だな。」
叢雲 「…大丈夫なの?」
提督 「大丈夫も何も、端から国を敵に回すんだ…変わらねぇよ。」
叢雲 「そう…そうよね、御免なさい。」
提督 「構わん。」
蒼華 「クルル!!」バサッ
提督 「御帰り、蒼華。収穫は有ったかい?」
蒼華 「クルルル!!」ドチャッ
叢雲 「…!?これって!?」
提督 「…敵国の密造銃か。ラルカンス王国の国章入りだな。」
叢雲 「詰まり、この薬莢は…」
提督 「この銃の同型で使った、或いは他の型の密造銃が有る。」
叢雲 「そして何方にしてもラルカンス王国が一枚噛んでいる…」
提督 「…余程連中は俺達の逆鱗に触れたいらしいな。」
叢雲 「……」
提督 「新弾薬と新型銃の制作、進めるか。」
叢雲 「え?何を作るの?」
提督 「動作確実性と精度、多少の徹甲性を持った中距離対人用銃。」
叢雲 「…手伝うわ。」
提督 「頼む。」
ー第八十五章 現人神の兵装開発ー
ー15:24ー
提督 「……ざっとこんなもんか。」
つ七一式四十口径単装銃
叢雲 「…弾薬、変えるのね。」
提督 「あの弾は反動軽減機構が無いと肩を壊すからな。」
叢雲 「…で、この弾って訳?」
つ10.16×64mm対人弾
提督 「四十口径にすれば準対物弾は使えない。」
叢雲 「考えたわね…あら?」
時雨 「やぁ、また銃の開発かい?」
叢雲 「えぇ…対人用ですって。」
時雨 「へぇ…あれ?単発なのかい?」
提督 「単発銃の信頼性は相当な物だからな。」
時雨 「だからって古臭い中折にしなくても…」
提督 「馬鹿だな、中折じゃないと此奴は使えない。」ゴトッ
叢雲 「…これって……」
[七一式四十口径単装銃専用再装填筒]
時雨 「アロフス…マガジン?」
提督 「そう…世界恐慌の最中に大量に流通したアロフスマガジンだ。
尤も、これは当時の物よりは扱い易さが上がった物だが。」
時雨 「…でも、これを如何するって言うのさ。」
提督 「もう一度七一式単装銃をよく見てみろ。」
時雨 「え?…あ、何か金具みたいな物が付いてる。」
提督 「其の金具にこの再装填筒の溝を噛ませると…」ガチャッ
ガシャッ
時雨 「うわっ!?動いた!!」
提督 「再装填筒の装填部固定機構が外れて再装填が出来る。」
ガチャッ
提督 「詰まり…」
ガゥン!!
ガシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
ガシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
ガシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
提督 「…と、単装式でも連射が出来る。」
時雨 「凄い…」
提督 「そして、この再装填筒は先見せた通り金具固定式を採用した。
故に再装填筒の弾が空になった時に別の再装填筒と交換出来る。」
時雨 「交換?」
提督 「再装填筒を複数持っていれば…」ガチャッ…ガチャッ
提督 「こうして素早く再装填が出来る。」ガシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
時雨 「…若しかして、これって結構凄い事だったりするの?」
提督 「そこそこ凄い事してるぞ…唯なぁ…」
時雨 「どうしたの?」
叢雲 「単に精度を持たせつつ連射するだけならボルトアクションの
方が何倍も効率的なのよ…箱弾倉が使えるから。」
時雨 「…じゃあ、何でこれにしたの?」
提督 「理由は二つ。一つ目はボルトアクションよりも機構が単純で、
操作も楽な事。二つ目は頭の平たい弾を使うとなると単装銃の方が
ボルトアクションより使い易い事。元が散弾用の機構であるが故に、
こうも頭の平たい四十口径対人弾でも難なく装填出来るんだ。」
時雨 「…ボルトアクションも試したの?」
提督 「やってはみたが弾頭形状の所為で装填の段階から突っ掛かる。」
時雨 「…そっか……」
提督 「どうせだ、時雨も撃ってみるか?」
時雨 「良いのかい?」
提督 「物は試してなんぼだろ?」
時雨 「…うん。」
ーー
時雨 「…この弾、意外と大きいんだね。」
提督 「弾頭は全長14mm、露出部だけでも6mmある。」
時雨 「…という事は弾薬の全長は7cmって事だね?」
提督 「あぁ。」
時雨 「…再装填筒の長さがバラバラだね?」
提督 「短い物が3+1、長い物が8+1、中間の物は5+1だ。」
時雨 「…薬室にも一発入るから、短い物は最大五発だね。」
提督 「銃身長が短い物は短縮再装填筒しか使えないからな。」
時雨 「…そっか、一発増やす毎に7cmは伸びるもんね。」
提督 「装弾バネの長さも増えるぞ。」
時雨 「あっ…そっか…忘れてた。」
提督 「で、何を使うんだ?」
時雨 「…銃身長五十糎のこれを使うよ。再装填筒は中型で。」
提督 「よし、じゃあ始めるか。」
ー第八十六章 銃と刀ー
ー15:52ー
ガゥン!!
ガシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
ガシャッ
時雨 「…弾が切れちゃった。」
提督 「次の再装填筒用意出来たぞ。」
時雨 「有難う。」
ガチャッ…ガチャッ
カシャッ
ガチャッ
ガゥン!!
時雨 「…良い銃だね。」
提督 「時を止めた空間の中で只管に試行錯誤を繰り返したからな。
軽く一年は溶かしたんだ、出来は良くて当たり前さ。」
時雨 「後は量産して終わりかい?」
提督 「まぁね…」
時雨 「…この銃、良いね……」
提督 「其れ、やるよ。」
時雨 「え?」
提督 「持ってけ、今日から其れはお前のだ。」
時雨 「い、良いのかい?」
提督 「スコープ付けるも良し、ハンドストップを付けるも良し…
自分好みに改造して、自由に使うと良い。」
時雨 「…有難う、でも暫くはこの儘で使うよ。」
提督 「そうか…弾だ、持って行け。」つ四十口径対人弾
時雨 「うん…有難う。」
提督 「…さて、これから如何するかな…」
ー17:20ー
提督 「……」
アオ 「主様…擽ったいです…」
提督 「分かってる、じっとしろ…」キュッキュッ
クロ 「いやぁ、主の手入れなんて久々だなぁ?」
提督 「済まないな、今の今まで手入れに使える時間が無かった。」
アオ 「いえ、私達を使って頂けるだけで…ひゃあっ!?」ビクッ
クロ 「へ?ひゃあ?今ひゃあっつったか!?」
提督 「アオは刀身の根元の方を弄られるとこういう声を出す。」
アオ 「あ、主さ、そこっ、駄目っ、ひゃうっ!?」ビクビクッ
提督 「我慢しろ、血がこびり付いてて中々取れないんだ。」
アオ 「らって、そこっ、私っ、弱っ、ひゃあっ!?」ビクッビクッ
提督 「……」ピタッ
アオ 「はぁ…はぁ……主、様?」
提督 「……」ジトッ
アオ 「…御免なさい、ちゃんと拭かなかった私の所為です。」
提督 「次からは気を付けろ。」
アオ 「はい…」
ー19:48ー
クロ 「如何だ?主。」
提督 「…大してやる事が無い、アオとは大違いだ。」
クロ 「へっ、聞いたかアオ。」
アオ 「……」グテェ
クロ 「…主、アレ大丈夫か?」
提督 「敏感な所を散々磨かれたんだ、暫くは起きられないだろうな。」
クロ 「…マジか。」
提督 「ほら、終わったぞ。」
クロ 「お、おう…お、身体が軽い!!やっぱ主の手入れは違うな!!」
提督 「そうか?」
クロ 「おう、受ける前と後じゃ大違いだぜ!!」
提督 「…なら良いんだが。」
クロ 「…主。」
提督 「ん?」
クロ 「これからも、宜しくな。」
提督 「おう。」
ー第八十七章 各軍筆頭の会話ー
ー五月八日 19:00 仮設談合所ー
ヴィエラ 「…私、凄く場違いな気がします。」
暗闇 「そんな事無いわよ?私達の知らない政一を知ってるんだもの。」
イリア 「其の通りだ…彼の事を最も良く知るのは御主だろう。」
玉藻 「狐の連中は休んでおるが…何故妾も参加しておるんじゃ…」
中枢棲姫 「諦めろ、狐の頭が故だ。」
天照 「…で、今日は何を話すの?」
ハイン 「…ドイツ軍人組からは僕ですか。」
諫田早紀 「各陣営の頭が勢揃いっすねぇ…」
死神 「僕は僕で仕事があるんですけど…」
セルス 「私まで呼び出されるなんてねぇ…」
トリア 「……」
メリー 「怪異の私も呼ばれるなんて、何が有ったの?」
オスカー 「これで全員だね。」
中枢棲姫 「…ではこれより、不満並び要望に関して聞き取りを行う。」
オスカー 「不満?」
天照 「要望、ねぇ…」
中枢棲姫 「政一本人から頼まれた事だ、何か無いか?」
玉藻 「妾達狐一族に関しては何も無いぞ?」
ヴィエラ 「私も特には…」
暗闇 「艦娘陣営も特に無いわね?」
イリア 「魔軍もこれといった不満は無いぞ。」
天照 「私達も無いわ。」
ハイン 「此方も特には…」
早紀 「無いっすねぇ?」
死神 「僕も不満は特に無いですよ。」
セルス 「私も体調がかなり良くなってきているし、エルフの皆も
政一に感謝しているから…特に不満点は見当たらないねぇ。」
トリア 「僕は単に鍛錬が厳しいだけですし…」
メリー 「私の場合は基本自由だから特に何も不満は無いわ。」
オスカー 「うん、無いよ。」
中枢棲姫 「まさか満場一致で[不満・要望無し]になるとはな…」
暗闇 「唯、一つだけ気になるのは政一自身の疲労度ね。」
ハイン 「確かに、時折見かける度に疲れた顔になっている気が…」
トリア 「…後で師匠に話しておきます。」
中枢棲姫 「ふむ…では、解散。」
ー19:37ー
トリア 「…という事らしいです。」
提督 「…一応十八時間毎に時を止めて七時間の睡眠は取ってるんだが。」
トリア 「見掛ける度に疲れが目に見えると報告が上がりました。」
提督 「…使い回しの魂にもガタが来たかな。」
トリア 「大丈夫なんですか?」
提督 「さぁな…」
ークロノストップ発動中 現実時刻20:10ー
吹雪 「絶対に…死なせません…死んだ時は…追い掛けます…」ギュッ
提督 「……命ある者は孰皆死ぬが運命…私は其れを捻じ曲げている。
限界が来るのは分かり切っている事だろう。」
吹雪 「其れでも…其れでもです。」
提督 「…困った奴だ。」
吹雪 「絶対に…絶対に死なせませんからね。」
提督 「うん…分かってるよ。」
吹雪 「だから、今だけは……今だけは、どうかこの儘…」
提督 「大丈夫、時間は沢山有るから…」
ー五十分経過ー
吹雪 「……」zzz
提督 「…漸く落ち着いたか……」
吹雪 「…政一…さん……」
提督 「御免な…寂しかったな……もうお前一人にはしないからな…
だから今はお休み、吹雪。気が済むまで側に居るから。」
ー八時間半経過ー
吹雪 「……あれ?」
提督 「起きた?」
吹雪 「…私……寝てました?」
提督 「そうだよ。」
吹雪 「……」
提督 「会えなくて寂しかった所為かもね。」
吹雪 「……」ギュッ
提督 「大丈夫…ちゃんと此処に居るから。」
吹雪 「……」
提督 「今は只管、甘えて良いから…」
吹雪 「はい…」
提督 「二人だけで、ゆっくりしよう。」
吹雪 「はい…」
ー第八十八章 周辺探索ー
ー五月九日 10:20 クリース王国王都ー
長門 「…これが王都の景色か?」
時雨 「…凄く荒れてるね。」
夕立 「この辺はまだマシな方って聞いたっぽい…」
綾波 「…酷い街ですね……」
叢雲 「これから何とかするしかないわよ…」
球磨 「…ちょっと待つクマ…何か来るクマ。」
長門 「…警戒態勢。」
?? 「……」
時雨 「…あぁ、王城強襲の時の捕虜の子だよ。」
長門 「上の王女か。」
??2 「……」
綾波 「下の子も居ますよ?」
球磨 「…何をする心算クマ?」
?? 「…私達も、連れてって……」
長門 「…は?」
夕立 「連れてって…ぽい?」
??2 「暇なの…連れてって。」
叢雲 「アンタ達ねぇ…一応捕虜なのよ?分かってるの?」
?? 「…御願い……」
長門 「…提督に連絡を入れよう。」Prrr…
[如何した?]
長門 「捕虜の二人が脱走していたんだが…我々に同行したいと。」
[……代われ。]
長門 「あ、あぁ…提督から代われと。」つ通信機
?? 「……代わりました。」
[お前達は馬鹿か?脱走した挙句に外回りの連中に合流とか馬鹿か?
コッチに一報入れてくれれば其れで済んだ事をややこしくするとか
お前達は馬鹿か?今こっちじゃお前達探しててんやわんやだぞ?]
?? 「…御免なさい。」
[…まぁ、合流出来たなら其れで良い。長門の指示は聞けよ。]
?? 「はい。」
[帰って来たら説教してやるからな、束の間の幸せを味わうと良い。]
?? 「……」
[じゃあな、帰りを待ってるぞ。]ブツッ
長門 「…これは、大層御怒りの様だな。」
叢雲 「帰ったら一時間級の御説教でしょうね。」
夕立 「…御愁傷様っぽい。」
??2 「……」
長門 「…まぁ、外出許可が出ただけまだマシだろうな。」
球磨 「本気でブチ切れてたら殺処分命令も有り得たクマ。」
??「っ!?」
長門 「…では行こうか。」
??2 「…は、はい……」
ー10:25 武具店ー
長門 「失礼。」ギギィ…
店主 「はい、いらっしゃいませ…お、王女様!?」
?? 「…私はもう、王女ではありません……」
店主 「は…も、若しや数日前の急襲事件に関係が!?」
?? 「えぇ…御父様は殺されました…」
店主 「なんと…ではこの国の王座は一体…」
長門 「其の点は心配無い。」
店主 「な、何故です!?」
長門 「追放されていた前国王が再び王座に就いたからだ。」
店主 「お、おぉ!!かのセフィロス国王が!!」
長門 「今、私達は国の様子を見て回っている。」
店主 「左様で…では、何か御入用という訳では無いのですね?」
長門 「あぁ…まぁ、品揃えだけは見ておけと提督から言われてな。」
店主 「提督?」
長門 「我々の上官だ。」
店主 「はぁ…」
Prrr…
長門 「ん、噂をすれば…長門だ。」
[長門、今何処だ?]
長門 「武具店で品揃えの確認中だが…如何した?」
[三名の敵兵と思われる者が王都に向けて走って来ている。]
長門 「何?」
[勿論敵兵であると確定している訳では無いが…一先ず迎撃する。]
長門 「…了解、直ぐに向かう。」
[其れと、例の兵装は敵兵と確定するまで使用禁止だ。]
長門 「其れはそうだろうな。」
[既に航空隊は出撃済みだ、長門達も向かって欲しい。]
長門 「了解、通信終了。」ピッ
店主 「……」
長門 「そういう事なんで、また来る。」
店主 「あ、あぁ、分かったよ。」
長門 「行くぞ。」
球磨 「了解クマ。」
叢雲 「時雨、準備だけしときなさい。」
時雨 「うん。」ジャキッ
バタン
店主 「…変わった人達だ。」
ー第八十九章 艦娘軍対密造銃ー
ー10:50 王都関所ー
長門 「…アレか。」つ双眼鏡
球磨 「……如何クマ?」
長門 「ラルカンス王国の戦闘兵だな…兵装用意。」
球磨 「了解クマ。」つ諫田式十四糎単装砲
長門 「…当たれば良いが。」つ四十一糎連装砲
チュイン!!
長門 「なっ!?」
バァン…
長門 「銃だ、隠れろ!!」
球磨 「厄介な物を持って来てやがるクマ…」
綾波 「…仕留めないと。」つ五七式半自動準対物狙撃銃
夕立 「下手に撃つと装備がバレるっぽい!!」つ諫田式十三糎連装砲
時雨 「…僕のこれも流石に届かないな……」
叢雲 「アンタの其れは切り札よ、今は未だ早いわ。」つ打刀
チュイン!!
バァン…
長門 「…この儘だと、ジリ貧だな。」
叢雲 「だからって、何か方法が有る訳でも無いでしょ!?」
トリア 「あの、何してるんですか?」
長門 「トリアか!!隠れろ!!」
トリア 「は、え、ちょ何事ですか!?」
長門 「密造銃を持ったラルカンス王国の兵士が居るんだ…」
トリア 「あー…了解です、何とかしますね。」
長門 「は?何とかする?」
トリア 「師匠が対銃持ちの訓練を僕にさせた理由が分かりました…
こういう状況を見据えていたんですね、あの人…」遠い目
長門 「と、トリア?」
トリア 「十秒でカタを付けますね。」ダッ
長門 「あっおい!?」
…………
球磨 「ど、如何なったクマ?」
トリア 「終わりましたよ。」
球磨 「は?もうクマ?」
トリア 「銃持ってるだけの素人でした…師匠の方が何倍も強いです。」
長門 「そ、そうか…」
時雨 「終わったなら帰ろうか。」
トリア 「密造品も回収しましたし帰りましょう。」
長門 「あ、あぁ…」
ー13:10 王城ー
提督 「…単発式…ボルトアクションか……」
早紀 「弾倉が無いのは意外っすねぇ…」
提督 「無駄撃ち防止かねぇ…」
早紀 「或は技術が無いって事っすかね?」
提督 「これだけ作れてバネ入りの箱が作れないと?」
早紀 「まぁ有り得ないっすね…」
提督 「何方にせよ精度が悪くて使い物にはならんな。」
早紀 「廃棄っすか?」
提督 「保管だ、後の鹵獲品と比較出来るように残しておけ。」
早紀 「了解っすー。」たっ
提督 「…さて、御帰り。」
長門 「あ、あぁ…ただいま。」
?? 「……」
??2 「……」
提督 「長門達は休んで良いよ…お前達は来い。」
?? 「…はい……」
ー13:25 政一自室 御説教タイムスタートー
提督 「お前達は先ず捕虜だ、捕虜が勝手に出歩くとは一体如何いう
事だ?其れにお前達は曲がり形にも王族だ、王族が護衛も無しに
ふらふら出歩いて攫われでもしたら如何する心算だったんだ?」
?? 「御免なさい…」
??2 「……」
提督 「御負けに敵国兵の襲撃も起きたんだ、運が悪けりゃお前達は
とっくにあの世に行ってるぞ?少しは反省しろ、全く…」
?? 「……」
提督 「…さて、下らん説教はここまでにして…お前達について、
少し話をしたい。良いか?」
?? 「はい…」
ー第九十章 元王族の二人ー
ー13:50ー
提督 「……成程…」
?? 「……」
提督 「親の言う事を唯々諾々と聞き続けた結果が今か。」
??2 「はい…」
提督 「…で、お前達は如何したい?」
?? 「…私達は……」
提督 「何をしたいかも分からないのか?」
??2 「……はい…」
提督 「…仕方無いな……面倒を見てやる、名前を言え。」
??→クレア 「…私はクレアです。」
??2→ミルア 「私は、ミルア…」
提督 「分かった、行こう。」
ー14:20 人間軍休憩所ー
提督 「…という訳で、この二人も合流する。」
クレア 「よ、宜しく御願い致します。」ペコッ
ミルア 「……御願い、致します…」ペコッ
ミーア 「此方こそ、宜しく御願い致します…」
ミレイア 「よ、宜しく御願いします…」
トリア 「…師匠?何で女の子ばかり増やすんですか?」ジトッ
提督 「知らん。」
トリア 「……白鷺さん、本当なんですか?」
白鷺 「あぁ、何故かは知らんが政一は女に好かれる。」
トリア 「…仕方無い人ですね。」
ホイミン 「…で、これから如何するの?」
提督 「取り敢えずはこの国を基盤にするしかないな。」
トリア 「……」ジトッ
提督 「何だよ其の目は…」
トリア 「いえ、師匠は偶に言った事を直ぐひっくり返しますから。」
提督 「朝令暮改は好かんが場合によっては致し方無しだ。」
トリア 「…そうですか。」
セレーナ 「…御主人様、質問をしても?」
提督 「如何した?」
セレーナ 「私は何をすれば宜しいのでしょうか?」
提督 「何もしなくていい、無理強いはしない。」
セレーナ 「…分かりました。」
江風 「政一、大変だ!!」
提督 「今度は何だ?」
江風 「夕立と時雨の精神が壊れた!!」
提督 「馬鹿が…案内しろ。」
江風 「此方だ!!」ダッ
提督 「総員自由行動。」ダッ
トリア 「…鍛錬でもしましょう。」
ー夕立・時雨自室 14:48ー
提督 「如何した?」ガチャッ
夕立 「ぽーーーいっ!!」ぽがしぃっ
提督 「うわっ!?」
夕立 「ぽいぽいぽいぽいぽい!!」ぽがさぽがさ
提督 「おいおい、これじゃ唯の犬じゃねぇか…」
江風 「…だから言っただろう?精神が壊れたと。」
提督 「夕立がこうなってるって事は…」
時雨 「……」ズゥゥン…
提督 「やっぱりか…」
夕立 「ぽいぃ…」ぽぎゅむぅ…
提督 「…時雨。」
時雨 「…提督……」
提督 「一体如何した?お前らしくもない…」
時雨 「…噂を聞いちゃったんだ……僕達は唯の役立たずだって…
股を開くだけの使えない女だって言われてて……其れで…」
提督 「…誰が言ってた?」
時雨 「…金庫番の人だよ……」
提督 「…何時言われた?」
時雨 「……三時間位前………」
提督 「そうかそうか…ちょっと待ってろ。」ダッ
夕立 「ぽいっ!?」ぽするっ
ー十分後ー
提督 「お待たせ。」血塗れ
時雨 「あ、御帰りなさい…提督!?如何したのさ其の服は!?」
提督 「下らん戯言を抜かした屑を殺処分しただけだ。」
時雨 「えっ…」
提督 「お前達が役立たずなんて、俺は思ってないぞ。」
時雨 「…提督……」
提督 「余所者の言葉を信じるな、お前は俺だけを見てれば良い。」
時雨 「…うん……」ギュッ
夕立 「……ぽい…」
江風 「今は邪魔をするな、後でうんと構って貰える。」
夕立 「…ぽい。」
江風 (……時雨の姉貴を自分に依存させる方向に舵を切ったんだな…
其れは其れで政一にだけ従う狂犬になる気がするが…)チラッ
夕立 「ぽい?」
江風 (…夕立の姉貴が犬になってる時点で今更か。)
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