2015-11-29 15:46:35 更新

概要

某ゲームのパロディです。殺害トリック等のクオリティはご容赦ください。死ネタ注意。


前書き

証拠一覧
①アカネファイル1
②未来の部屋の状況
③工具セット
④金箔の模擬刀
⑤付着した小麦粉
⑥厨房の包丁セット
⑦厨房の備品リスト
⑧美奈子の証言
⑨星梨花の証言
⑩何かのメモ
⑪血痕
⑫シャワーの蛇口
⑬誰かに宛てた手紙
⑭未来のサイン
⑮掃除当番の交代
⑯トラッシュルームの焼却炉
⑰昴の証言
⑱壊れたピアノ
⑲夜時間

『』・・・論破ポイント 〈〉・・・賛成ポイント {}・・・雑音セリフ


【劇  場  裁  判    開   廷   !!】




アカネ「まずは、劇場裁判の簡単な説明から始めましょう!

     劇場裁判では『誰が犯人か?』を議論し、その結果は、オマエラの投票により決定されます。

     正しいクロを指摘出来れば、クロだけがおしおき。だけど…もし間違った人物をクロとした場合は…

     クロ以外の全員がおしおきされ、みんなを欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!」


コノミ「…始める前に確認しておきたいんだけど、本当にこの中に犯人がいるの?」


アカネ「トーゼンです!アカネちゃんウソツカナイ!」


アンナ「……ウソっぽい…」


アカネ「ちなみに、劇場裁判は100%公平に行われるから安心してくださいねッ!

     それではさっそく始めてくださーい!」


フウカ「は、始めろって言われても…何をどうしたらいいのかな?」


サヨコ「まずは事件のまとめから始めましょうか。改めて全員に周知する意味も込めて…ね」


カナ(始まる…犯人を決める為の議論が…)


カナ(何か気づいた事があったら、私自身が発言しないと…)


カナ(私だけじゃない…みんなの命がかかってるんだ…!)



【議論 開始】


レイカ「今回の事件で殺されたのは、春日未来ちゃんです!」


スバル「それは全員知ってるよ…」


サヨコ「殺人が起きたのは、未来ちゃんの部屋だったわね」


ユリコ「そのシャワールームでしたよね…」


セリカ「きっと、未来さんは…」


セリカ「シャワールームにいる所をいきなり襲われて…」


セリカ「『抵抗も虚しく』殺されてしまったんですね…」


カナ(あれ…?あの人の発言っておかしい…私の知ってる情報と明らかに矛盾してる…)


レイカ「今回の事件で殺されたのは、春日未来ちゃんです!」


スバル「それは全員知ってるよ…」


サヨコ「殺人が起きたのは、未来ちゃんの部屋だったわね」


ユリコ「そのシャワールームでしたよね…」


セリカ「きっと、未来さんは…」


セリカ「シャワールームにいる所をいきなり襲われて…」


セリカ「『抵抗も虚しく』殺されてしまったんですね…」


《それは違うよ!!》



カナ「ちょっと待って、星梨花ちゃん。未来ちゃんの『部屋の状況』を思い出してみて…」


カナ「あの部屋にはどこにも争ったような形跡は見当たらなかったんだ。もちろんシャワールームにも」


セリカ「えっと…じゃあ未来さんは、犯人に抵抗する間もなく殺されてしまったんでしょうか…?」


スバル「…待てよ、未来が殺されたのって0時過ぎだろ?10時以降は水が出ないからシャワーも使えない。シャワー浴びてる間に~ってんなら分かるけど、そんな時間にシャワールームで抵抗もなく…っていうのはちょっと難しくないか?」


カナ「あ…そういえば確かに…」


ユリコ「すごい、昴さんが賢く見える…」


スバル「バカにしてんのか…?」


コノミ「何にせよ、決めつけるのは早計ね。今は事件についての確認を優先しましょう。詳しい議論はそのあと」


セリカ「す、すみません…」


ロコ「なんだか…それっぽくなってきましたね…」



【議論 開始】


スバル「未来はシャワールームで死んでいた…で、他にわかってる事は?」


コノミ「アカネファイルによると、未来ちゃんの腹部に刃物傷があったらしいわ」


ユリコ「きっと、犯人が『ナイフで』未来ちゃんを刺したんだ」


ユリコ「未来ちゃん…痛かっただろうな…」


カナ(未来ちゃんの刃物傷…たぶん、あの傷を付けたのは…)


カナ(あの場所からなくなっていた刃物だ)


スバル「未来はシャワールームで死んでいた…で、他にわかってる事は?」


コノミ「アカネファイルによると、未来ちゃんの腹部に刃物傷があったらしいわ」


ユリコ「きっと、犯人が『ナイフで』未来ちゃんを刺したんだ」


《それは違うよ!!》



カナ「いや、あの傷はナイフじゃなくて、『包丁』で付けられたもののはずだよ」


ユリコ「え?包丁…?」


カナ「厨房にあった包丁が、事件後に1本だけなくなってたんだ」


ミナコ「そうそう!昨日の夜にはあったのに今朝確認したら足りなくなっててびっくりしたよ~」


ユリコ「本当だ。現場に落ちてた刃物…」


ユリコ「よく見ればナイフじゃなくて包丁だね、これ…」


サヨコ「その傷が包丁で付けられたって事はわかったわ。それで?」


カナ「それで…って?」


サヨコ「前にも言ったよね。現状で疑わしいのは、未来ちゃんが殺される前日に彼女と会っていた可奈ちゃんと…」


サヨコ「自発的に私達と別行動を取っていた桃子ちゃんだ、って」


モモコ「……ッ!!」


カナ「私は廊下で話をしただけで、桃子ちゃんだって未来ちゃんを殺すような理由はないはずです!」


サヨコ「疑われるような行動を取っていたのは、あなた達くらいしかいないんだよ」


シホ「じゃあ逆に、その2人以外が犯人じゃないと証明できるんですか?」


サヨコ「それは…」


シホ「なら議論を続けましょう。くだらない言い争いに費やす時間はないはずです」


アカネ「うぷぷ!言い忘れてたけど裁判の時間は有限だから、濃密でドロドロ、かつスピーディな議論をお願いしますよ~!」


シホ「…だそうですが?」


サヨコ「あくまで可能性のひとつとして言いたかっただけなんだけどね…まあいいわ。続けましょう」


カナ(ひょっとして、フォローしてくれたのかな…?)


カナ(そうだ、私は犯人じゃない。それは私自身がよく知ってる…)


カナ(それを、みんなに証明するんだ…!)



【議論 開始】


シズカ「未来は包丁で腹部を刺されていた…」


シズカ「それで、その包丁は誰が持ち出したの?」


サヨコ「可奈ちゃんか、桃子ちゃんが『厨房から持ち出した』んじゃないの?」


サヨコ「『食堂に誰もいない時』に、こっそりと…」


アンナ「そして、未来について行って…部屋の中で背後から…グサリ……」


アンナ「……なんて、恐ろしい…」


カナ(私も桃子ちゃんも、包丁なんか持ち出していない)


カナ(それは、食堂にずっといたあの人だって知ってるはず…)


シズカ「未来は包丁で腹部を刺されていた…」


シズカ「それで、その包丁は誰が持ち出したの?」


サヨコ「可奈ちゃんか、桃子ちゃんが『厨房から持ち出した』んじゃないの?」


サヨコ「『食堂に誰もいない時』に、こっそりと…」


《それは違うよ!!》



カナ「待って。厨房から包丁を持ち出したのは、私でも桃子ちゃんでもないんです」


サヨコ「それを証言出来る人がいるの?」


カナ「ええ、もちろん。…ねぇ、星梨花ちゃん?」


セリカ「私…ですか?」


カナ「星梨花ちゃん、昨日の夜はずっと桃子ちゃんと一緒に食堂にいたって言ってたよね?」


カナ「その間、食堂には誰も立ち寄らなかった。そして、朝になって美奈子さんが厨房に入った時には…」


ユリコ「包丁はすでに1本なくなっていた…!」


コノミ「食堂は厨房の隣にあるから、厨房に入るなら食堂にいた星梨花ちゃん達が気付かないはずはない…ということね」


セリカ「…えっと、昨日の夜に可奈さんが食堂に来ていないのは確かです」


カナ「星梨花ちゃん達は夜時間前まで食堂にいた。そして、夜時間になると食堂は閉鎖されてしまう…」


カナ「だから、私達に包丁を持ち出せたはずがないんです!」


サヨコ「桃子ちゃんも食堂にいたんでしょう?彼女が持ち出したかもしれないじゃない」


モモコ「桃子はそんな事してないッ!!」


セリカ「そうです。桃子ちゃんはずっと椅子に座って紅茶を飲んでました」


セリカ「それに、桃子ちゃんが厨房に入ったら私が絶対に気づきます…」


サヨコ「…なるほどね。じゃあこういうのはどう?」


サヨコ「星梨花ちゃんと可奈ちゃん、あるいは桃子ちゃんは共犯関係でウソの証言をしている…とか」


セリカ「きょ、共犯…!?」


シホ「ついでに聞いておきたいのだけど、共犯者がいた場合その人もクロになるの?」


アカネ「ではお答えしましょう!殺人の際、共犯者を味方につける事は可能ですが…」


アカネ「”卒業”出来るのは実行犯であるクロ1名のみです。現実はそう甘くないよ!」


シホ「つまり、いくら殺人を手伝ったところで共犯者は得をしない…」


ミズキ「共犯のセンはなさそうですね。…いや、犯人がそのルールを知らなかった可能性も…?」


アカネ「あーもうメンド臭いなっ!ないない!今回の事件に共犯者はいないの!!」


アカネ「はッ…!言ってしまった…!」


サヨコ「それが本当なら可奈ちゃんも桃子ちゃんも、当然星梨花ちゃんでも包丁を持ち出すのは無理か…」


ユリコ「でも食堂にいた2人でも無理なら、もう他の可能性は…」


セリカ「…桃子ちゃん」


モモコ「好きにすれば」


カナ(…?)


セリカ「…あの、すみません。皆さんに言いそびれてしまっていた事があるんですが…」


カナ「言いそびれた事?そういえば、私が調査してる時にも何か言いかけてたみたいだけど…」


セリカ「実は…私と桃子ちゃんが食堂にいる間、他にも1人だけ食堂に来た人がいるんです」


サヨコ「そんな大事な事…!どうして先に言ってくれなかったの!?」


フウカ「ま、まあまあ紗代子ちゃん。落ち着いて」


セリカ「だって…もう、ここにはいない人ですから…」


アンナ「ここには…いない……?」


カナ(それってまさか…)


セリカ「春日未来さん…食堂に来たのは、今回の事件で殺された彼女です」


カナ「み、未来ちゃんが…?」


ユリコ「じゃあ包丁を持ち出したのも…?」


ミズキ「この状況では、そうとしか考えられませんね…」


モモコ「夜の9時とかそれくらいだったかな。ふらっと食堂にやって来たんだよ。”気にしないで”とか言って厨房に入って行った」


モモコ「いつ頃出て行ったかまでは覚えてないけど、たぶんその時に…」


カナ「そっか…。でも何で未来ちゃんは包丁なんて持ち出して…」


サヨコ「つまり、彼女は自分で持ち出した包丁を犯人に奪われて、それで殺されてしまったと」


サヨコ「でもそれなら、包丁を持ち出していないからと言って容疑が晴れたとは言えないよね?」


モモコ「…ッ!この…ッ!」


カナ「それは、そうかもしれないですけど…」


モモコ「さっきから好き放題言ってくれてるけどさ、そもそも紗代子さんが殺した可能性だってあるじゃん!」


モモコ「昨日の夜、未来さんが殺された時間帯に自分のアリバイを証明できる人なんて誰かいるの!?」


ユリコ「……それは…」


アンナ「………」


モモコ「…いないよね!?だったら全員怪しいじゃん!桃子ばっかり疑って、いい加減にしてよッ!!」


サヨコ「でも、あなたが私達と別行動をとっていたのは事実で――」


モモコ「だから何?それでどうして桃子が未来さんを殺す事になるわけ!?意味わかんないッ!!」


スバル「あーあ、キレちまった…まあ仕方ないか。あんなに悪し様に言われちゃあな…」


セリカ「桃子ちゃん…」


モモコ「ねえ、答えてよ!アンタは証明できるの!?自分のアリバイをさあ!!」


サヨコ「それは、その……できない、けど…」


モモコ「…だったらアンタが犯人だ。確証もないのに桃子に全部罪を押し付けようとした…」


モモコ「高山紗代子、アンタが未来さんを殺した犯人だッ!!!」


カナ「ダメだよ桃子ちゃんッ!!」


カナ「そんなふうに相手を憎んで、疑ってばかりじゃダメだよ…」


モモコ「ハァ…ハァ……!」


シホ「高山さんも、少し落ち着いてください」


シホ「彼女達を疑う気持ちはわかります。傍目から見ても怪しい行動を取りすぎている」


シホ「でも紗代子さんのやり方は視野が狭い。まだ事件の全貌も明らかになっていないのに、証拠もなしに責め立てるのでは真相は見えてきませんよ」


シホ「それと、この裁判は投票制です。全員が納得できる形にしてからのほうがいいと思いますけどね」


サヨコ「…そうね、ごめんなさい。ちょっと強引過ぎた」


サヨコ「でもね、これだけは分かってほしい。私は別にあなた達が嫌いだからとか、言うことを聞かなかったから責めてるんじゃないの」


サヨコ「犯人を明らかにしたいのは私も同じ。ただ自分に妥協はしたくないのよ。それで恨まれることになっても、私は自分のやり方を曲げるつもりはないわ」


カナ「…私も、この事件を解決したい。ここにいるみんなが同じ気持ちだって信じています」


モモコ「犯人以外は、ね」


セリカ「桃子ちゃん…!」


モモコ「……ふん」


コノミ「はいはい、そこまでにしておきましょ。このままじゃ議論が進まないからね」


スバル「おっ、年長者が仕切り始めたぞ」


コノミ「茶化さないの。それで、今の話で気になる事があるんだけど」


カナ「気になる事…ですか?」


コノミ「さっき可奈ちゃんも言いかけてたみたいだけど、未来ちゃんが包丁を持ち出した理由よ」


ユリコ「言われてみれば…」


コノミ「もうひとつ。未来ちゃんはその包丁を犯人に奪われて殺されたって話だけど…」


コノミ「そもそも、犯人はどうやって未来ちゃんの部屋に入ったのかしら?」


レイカ「うーん…?」


ミズキ「謎だらけですね…」


スバル「おいおい、ただでさえわけわかんねーのにさらに混乱させてどうする気だよ…?」


コノミ「一度に全部考えるから混乱するのよ。一つひとつ謎を紐解いていけば真実は必ず見えてくる…」


コノミ「…でしょ、可奈ちゃん?」


カナ「このみさん…!」


コノミ「さて、議論を続けましょうか。まだまだ考えなきゃいけない事は山積みだからね」


カナ(謎を一つずつ明らかにしていけば、きっと私や桃子ちゃんが犯人じゃないって証明できるはず…)


カナ(よし、やるぞッ!)



【議論 開始】


コノミ「このみお姉さんからみんなに質問よ」


コノミ「未来ちゃんは、いったい何のために包丁を持ち出したのかしら?」


ユリコ「やっぱり、〈護身用〉でしょうか」 {物騒ね…}


シズカ「護身用としてなら、部屋に『金箔の模擬刀』が置いてあったはずだけど」


フウカ「それ、体育館のだよね?勝手に持ち出しちゃってよかったのかな…」 {ひとのものをとったらどろぼー…}


セリカ「包丁だから、何かを切るために使ったんですよね…?」


レイカ「わかった!〈爪を切るため〉に使ったんだよ!」 {普通に爪切り使えよ!?}


ミズキ「実は、春日さんは〈刃物マニア〉だったとか…」


ロコ「包丁を使って〈アートをクリエイト〉していたに違いありません!」


スバル「おーい、収集つかなくなってきたぞ…」


スバル「そうだ、このみは何か案ないの?」


コノミ「えっ、私?そうねえ…」


コノミ「うーん…普通に〈料理に使った〉とか…?」 {出題者が答えるの?}


ミナコ「料理といえば、みんなお腹空いてない?私が何でも作ってあげるよ~♪」 {ん?今何でもって}


シズカ「何でも!?じゃ、じゃあ、ぜひ『うどん』を…!」 {まともな人はいないの…?}


カナ(未来ちゃんが包丁を持ち出した理由…たぶん、あの人の言ってる事じゃないかな…?)


コノミ「このみお姉さんからみんなに質問よ」


コノミ「未来ちゃんは、いったい何のために包丁を持ち出したのかしら?」


ユリコ「やっぱり〈護身用〉でしょうか」 {物騒ね…}


シズカ「護身用としてなら、部屋に『金箔の模擬刀』が置いてあったはずだけど」


フウカ「それ、体育館のだよね?勝手に持ち出しちゃってよかったのかな…」 {ひとのものをとったらどろぼー…}


セリカ「包丁だから、何かを切るために使ったんですよね…?」


レイカ「わかった!〈爪を切るため〉に使ったんだよ!」 {普通に爪切り使えよ!?}


ミズキ「実は、春日さんは〈刃物マニア〉だったとか…」


ロコ「包丁を使って〈アートをクリエイト〉していたに違いありません!」


スバル「おーい、収集つかなくなってきたぞ…」


スバル「そうだ、このみは何か案ないの?」


コノミ「えっ、私?そうねえ…」


コノミ「うーん…普通に〈料理に使った〉とか…?」 {出題者が答えるの?}


《それ、賛成っ!!》



カナ「私、このみさんの意見に賛成!未来ちゃんはきっと料理をするために包丁を持ち出したんだよ!」


カナ「その根拠だってあるよ。…ね、美奈子さん?」


ミナコ「うん。今朝厨房でアカネちゃんが食材を補充する前に確認したんだけど…」


ミナコ「私が昨日の夜最後に見た時よりも食材が減ってたんだ。誰かが使ったのは間違いないと思うよ」


コノミ「厨房に入ったのは未来ちゃんしかいない。だから食材を持ち出したのも未来ちゃん…ということね」


ユリコ「そ、そうだよね。包丁でする事なんて料理くらいだよね」


スバル「何て言うか、当たり前の事すぎて逆に思いつかなかったな…」


サヨコ「あの、美奈子さん。アカネが食材を補充する前にって…随分早くに厨房にいたんですね?」


ミナコ「うん…ひとりきりで部屋にいるといろいろ考えちゃって」


ミナコ「みんなの献立を考えてる時は、余計な事を考えなくて済むからさ…」


サヨコ「…そうですか」


コノミ「話をまとめると、未来ちゃんは料理をするために包丁と食材を厨房から持ち出し…」


コノミ「自室で料理をしている最中に犯人に襲われ、抵抗する間もなく殺されてしまった…で、いいのかしら?」


ミズキ「争った形跡がない事からも、そう考えるのが無難ですね」


モモコ「でも未来さんが料理中に襲われたなら、その時包丁を手に持ってたんでしょ?」


モモコ「手に持った包丁を犯人に奪われて刺されるまで無抵抗のままなんてありえるの…?」


レイカ「そういえば、あの部屋には模擬刀が落ちてたよね。アレが関係してたりして」


スバル「どうだかな…。だいたい争った形跡はないって話だろ?」


スバル「あんなモン振り回したら部屋のどこかに傷がついちまうんじゃないか?」


ロコ「フッフッフ………」


カナ「ロコちゃん…?」


レイカ「どうしたの?おなかいたい?」


ロコ「この一連のミステリー…ロコがすべてソルヴしました!」


シズカ「ほ、本当…!?」


セリカ「ロコちゃんすごーいっ!」


ロコ「ロコがあのルームで起こったハプニングをエクスプレインして差し上げましょう!イッツ、ショウタイム!」


シホ「…もうひとつの議題はどうなったんだか」



【議論 開始】


ロコ「どうにかしてミライのルームに入り込んだ犯人は…」


ロコ「部屋に置いてあった模擬刀を手にしたんです」


ロコ「そして、クッキング中のミライのバックに忍び寄り…」 {そろりそろり…}


ロコ「思わず包丁を取り落とすほどの、ストロングな一撃を叩き込んだ!」 {ばこーん}


ロコ「『模擬刀のファーストアタック』です!!」


スバル「最初の一発で気絶させられたんだとしたら…」


ユリコ「抵抗する間もなく、争った形跡も残りませんね」 {ザッツライト!} {そんなに上手くいくかな?}


コノミ「かろうじて意識が残っていたとしても…」


コノミ「そこで『反撃に転じる』のは難しいでしょうね…」 {そういうタイプじゃないしね…}


フウカ「その後、気絶させられた未来ちゃんは…」


セリカ「『その場に落ちていた包丁』で殺されてしまった…!」


ロコ「これが、あの部屋で起きた『オールザディテールズ』です!!」


カナ(あの模擬刀を使って、未来ちゃんを抵抗する間もなく気絶させた…)


カナ(不可能じゃないかもしれない。でも、もし本当にあの模擬刀を使ったのなら…)


ロコ「どうにかしてミライのルームに入り込んだ犯人は…」


ロコ「部屋に置いてあった模擬刀を手にしたんです」


ロコ「そして、クッキング中のミライのバックに忍び寄り…」 {そろりそろり…}


ロコ「思わず包丁を取り落とすほどの、ストロングな一撃を叩き込んだ!」 {ばこーん}


ロコ「『模擬刀のファーストアタック』です!!」


《それは違うよ!!》



カナ「いや、『最初に模擬刀の一撃があった』とは考えられないんじゃないかな…」


カナ「というより、あの模擬刀自体が犯行に使われてないと思うんだ」


ロコ「え"っ…ロコのアイデア全否定…?」


コノミ「模擬刀が犯行に使われていないと言える根拠…聞いてもいいかしら?」


カナ「あの模擬刀ってすごく金箔が剥がれやすくなってて、ちょっと触っただけで手に付いちゃうんです」


カナ「体育館から持ち出す時も結構大変だったんですよ。静香ちゃんも覚えてるでしょ?」


シズカ「そうだったわね。未来が素手で触っちゃったから、金箔がべったり手に付いちゃって…」


カナ「あの模擬刀で誰かを叩いたら、間違いなく叩いた部分に金箔が付くはずなんです」


カナ「でも、未来ちゃんの体のどこにも金箔は付いていなかった…」


スバル「第一、気絶するくらいの勢いでぶっ叩いたら金箔どころかタンコブも残りそうだよな」


フウカ「私も未来ちゃんの体を診させてもらったけど、どこにも金箔や打撃痕は見当たらなかったよ」


ロコ「あああ…どんどん否定要素が挙がっていくぅ……」


カナ「模擬刀のほうも金箔が剥がれていたのは持ち手の部分だけで、他は綺麗なままでした」


カナ「だから、あの模擬刀が犯行に使われた可能性は…」


《スキエンティア・エスト・ポテンティア!!》



ユリコ「いや、それはおかしいよ」


カナ「えっ……お、おかしいって何が…?」


ユリコ「だから、他に見落としてる可能性があるんじゃないかって事だよ!」



【反論ショーダウン 開始】


ユリコ「模擬刀の金箔が剥がれやすいのはいいとしても…」


ユリコ「それが未来ちゃんの体に付いてないからって…」


ユリコ「模擬刀が 使われてないなんて 言えないんじゃない?」


ユリコ「だって、もし未来ちゃんの体に金箔が付いても…」


ユリコ「タオルか何かで金箔を拭ってしまえば…」


ユリコ「後には証拠が残らないでしょ?」


カナ(言葉が刺さる…正面からの反論がこんなに痛いものだなんて…)


カナ(でも…ここで引くわけにはいかない!)


カナ「あの金箔は一度付いたらなかなか取れないんだ」


カナ「タオルを使っても、綺麗さっぱり拭い取る事は出来ないはずだよ!」


ユリコ「なら、もっと簡単な方法を使えばいいよね?」


ユリコ「犯行現場は『シャワールーム』だったんだから…」


ユリコ「金箔を『洗い流す』事くらい造作もないはず…」


《その言葉、斬らせてもらうよ!!》



カナ「いや…『金箔を洗い流す』のは不可能だったはずだよ…」


ユリコ「ど、どうして…!?」


カナ「未来ちゃんの死亡時刻は午前0時半頃、つまり”夜時間”…」


カナ「”夜時間は水道やシャワーから水が出ない”…規則で決められていた事だよね?」


ユリコ「あっ……」


スバル「トイレの水使って洗い流せばいいんじゃない?」


フウカ「す、昴ちゃん!?」


アンナ「さすがにそれは……ちょっと………」


スバル「え、ダメ?」


ロコ「アイドルとしてアウトです…」


コノミ「人間的にもNGね。…でも、四の五の言ってられる状況じゃなかったはずだし、可能性は否定できないか」


アカネ「いや、ナイっしょ」


ミズキ「おや。理事長からの太鼓判が」


シホ「それはつまり、今回の事件で手洗い場の水は使われていない…といった解釈でいいのかしら?」


アカネ「今回でも次回以降でも一緒だよ!だってバッチイじゃん!アカネちゃんそんなお下劣な犯行は断じて認めません!」


カナ(本当に、変なところで常識的だなぁ…)


アカネ「というわけで、規則に以下の一文を追加しまーす!」


【規則8:手洗い場を犯行に利用するのは禁止します】


アカネ「皆さん、清く正しい殺人を心がけてくださいね!」


サヨコ「えぇ~…」


スバル「本当に追加しやがった…」


シホ「でも、これで明らかになったわね」


カナ「犯人がトイレの水を使ってないってことが?」


シホ「それもある。けれど、もっと重要なのは…」


シホ「やろうと思えば、アイツはあんなにもあっさりと私達を縛る規則を追加するってことよ」


カナ「……!」


モモコ「…で、結局模擬刀は犯行に使われたの?使われてないの?」


ミナコ「金箔が付いてないなら使われてないんじゃないかな~?」


ミズキ「朝7時以降…つまり水が出る時間帯にまた部屋に来て、金箔を洗い流した可能性は?」


シホ「否定はしませんが、限りなく低いと思います。部屋に出入りする所を見られた時点でお終いですから」


サヨコ「リスクが高すぎる…か。確かにね」


ユリコ「でも、模擬刀の持ち手の部分は金箔が剥がれてたんだよね?それはどう説明するの?」


カナ「え、え~と…」


シホ「誰かが触った…金箔の剥がれ方から見ても、それしか考えられないわね」


ユリコ「じゃあ、やっぱり犯人が模擬刀で未来ちゃんを…!」


シホ「模擬刀は触った。…けれど、それが”犯行に使われていない”としたら?」


カナ「触ったのに、犯行には使われていない…?」


シホ「部屋に置いてあった模擬刀をわざわざ触って、あたかも何かに使われたかのように元あった位置から移動させた…」


シホ「それを行ったのが犯人なら、目的は1つしかない」


シホ「…矢吹さん、ここまで言えばわかるわね?」


カナ「………」


カナ「…”偽装工作”、ってこと?」


シホ「そう。犯人はあの模擬刀が犯行に使われたのだと私達に誤認させようとした…」


シホ「まあ、中途半端な上にバレバレだけど。よほど焦っていたんでしょうね」


ミズキ「つまり、これは計画的な殺人ではなく、突発的に起こった事故だった…?」


サヨコ「経緯はどうあれ、相手を殺めてしまった時点で立派な犯罪よ」


アンナ「結局、犯人は…模擬刀を触った…んだよね…?」


アンナ「包丁の持ち手…綺麗なままだから……未来を刺した後に偽装した…って、こと…?」


シホ「そう考えるのが妥当でしょうね」


レイカ「でもでも、それだと犯人は模擬刀を触った後、ずっと手に金箔が付いたままだったことになっちゃうよ~?」


スバル「それの何が問題なんだ?」


レイカ「寝るときにお布団が汚れちゃうじゃない!」


サヨコ「…まあ、それも問題ではあるけど、ね」


ユリコ「ええっと…要するに、誤って模擬刀を触った手で何かに触れてしまったら証拠を残す危険がある…ということですよね?」


レイカ「えっ、そうなの?」


ユリコ「そういうことにしておいてください…」


シホ「現場を見ればわかることだけれど、目に見える物はほとんど残っていなかった。犯人は相当気を使っていたはずよ」


シホ「当然、素手で模擬刀を触るわけがない。きっと”ある物”を使って手に金箔が付くのを防いだはず」


セリカ「あっ、わかりました!タオルの事ですよね?」


シホ「残念ながらキッチンのタオルは全部綺麗に仕舞われていたわ。使われた形跡はなかった」


シホ「矢吹さん、厨房を調査していたあなたは知っているはずよ」


カナ「え…?」


カナ(厨房に置いてあって、金箔が手に付くのを防ぐのに使われた物…)


カナ「…”ゴム手袋”!厨房の備品リストに載ってたよ!」


ユリコ「そっか、備品の数が減ってたのは犯人が持ち出したから…!」


シホ「実際に持ち出したのは未来のはずよ。備品は美奈子さんが毎日チェックしている…そうですよね?」


ミナコ「う、うん。昨日の夜も片付けながらチェックしたけど、備品の数は減ってなかったかな…」


シホ「タイミング的には未来しかありえない。彼女を殺害した後に、犯人がゴム手袋を使ったのよ」


カナ「はれっ?でも、あのキッチンにはゴム手袋どころか調理道具なんて…」


シズカ「…ねぇ、さっきから黙って聞いていたけど、なんだか話が脱線してない?」


シズカ「未来が料理をしていた事はわかったんだから、次に話し合うべきなのは…」


シズカ「犯人が未来の部屋にどうやって入り込んだか…その方法についてじゃないの?」


カナ「そ、そうだね」


コノミ「すっかり忘れちゃってたわ。つい話し合いに熱が…」


サヨコ「じゃああらためて、”未来ちゃんの部屋に入った方法”について議論しましょうか」


シホ「………」



【議論 開始】


コノミ「このみお姉さんの質問、第二弾!」


コノミ「犯人はいったいどうやって未来ちゃんの部屋に入ったのかしら?」


スバル「やっぱ、〈ドアをぶっ壊して〉入ったんじゃないか?」 {いきなり過激ね…}


シホ「鍵のかかったドアを壊すのは…」


シホ「劇場内の『規則で禁止されている』はずよ」 {アカネちゃんも説明したでしょ!}


レイカ「じゃあ、〈鍵がかかってなかった〉んだよ~」 {それはあなたくらい…} {流石に不用心すぎるんじゃ…}


アンナ「直接〈未来に入れてもらった〉…とか……」


アンナ「〈ノックしてもしもお~~~し〉……」 {モノマネ?}


ユリコ「ノックしても部屋の中には声が届かないよ」


スバル「なら、〈インターホンを連打した〉んだな!」


スバル「オレが百合子を起こした時みたいに!」 {迷惑だから本当やめてください…}


ミナコ「未来ちゃんが〈鍵を落として、それを犯人が拾った〉んじゃない?」


サヨコ「ありえない…って否定できないのが悲しいわね」 {未来ちゃんの扱いって…}


モモコ「ピッキングはどう?」


モモコ「部屋に置いてあった工具セットを使えば出来そうじゃない?」


ミズキ「あのドア、かなり頑丈な作りでした」


ミズキ[壊す事はもちろん、ピッキングも容易じゃないと思うわ] {リトルミズキが喋った…!}


ロコ「ここは、やはり…」


ロコ「〈ハンドパワーで〉ドアを開けたとか…!」 {ないな} {ないですね} {ないと思いますよっ♪}


カナ(未来ちゃんの部屋に入った方法…次はそれを明らかにしよう)


コノミ「このみお姉さんの質問、第二弾!」


コノミ「犯人はいったいどうやって未来ちゃんの部屋に入ったのかしら?」


スバル「やっぱ、〈ドアをぶっ壊して〉入ったんじゃないか?」 {いきなり過激ね…}


シホ「鍵のかかったドアを壊すのは…」


シホ「劇場内の『規則で禁止されている』はずよ」 {アカネちゃんも説明したでしょ!}


レイカ「じゃあ、〈鍵がかかってなかった〉んだよ~」 {それはあなたくらい…} {流石に不用心すぎるんじゃ…}


アンナ「直接〈未来に入れてもらった〉…とか……」


《それ、賛成っ!!》



カナ「私、杏奈ちゃんの意見に賛成!」


アンナ「ノックしてもしもし…?」


カナ「そ、そっちじゃなくて…犯人は未来ちゃんに直接部屋に入れてもらったんだよ」


シズカ「直接部屋に…?」


カナ「実は、志保ちゃんがこんな物を未来ちゃんの部屋から見つけていたの」


カナ「『夜遅くにごめんね。ちょっと2人でお話しない?塞ぎ込んでるのってあんまり良くないからさ…。

    0時に私の部屋に来てくれると嬉しいな。大好きなアレを用意して待ってるね。みらい かすが♪』」


コノミ「これって、手紙…!?」


カナ「文面を見てもらえればわかる通り、あの夜未来ちゃんは誰かを部屋に呼んでいたんです」


ミズキ「この手紙で呼ばれた人物が犯人なら、部屋に入るのには苦労しませんね」


スバル「時間になったら部屋に行けばいいだけだもんな…」


カナ「そうしてやってきた人物を未来ちゃんが招き入れて――」


《決めたからにはやってやるわ!》



サヨコ「待って。今の話だけじゃ納得出来ないわね」


カナ「えっ…?で、でも証拠ならここに…」


サヨコ「その証拠に問題があるって言ってるのよ!」



【反論ショーダウン 開始】



サヨコ「悪いけど、私はまだあなたの事を完全に信用したわけじゃない」


サヨコ「あなたがこの裁判の流れを…」


サヨコ「自分の都合のいいように誘導している…」


サヨコ「その可能性を否定出来る?」


サヨコ「まあ、あなたに限った話ではないけれど」


カナ「回りくどい言い方はやめてください!」


カナ「私の話の何が納得出来ないのか、はっきり言ってもらえませんか!?」


サヨコ「単純な話だよ」


サヨコ「可奈ちゃんは、証拠としてそのメモを提示したけど…」


サヨコ「それが『未来ちゃんが書いた物』だってどうして言い切れるの?」


サヨコ「『犯人が捏造した物』かもしれないでしょう?」


サヨコ「さっきの模擬刀みたいにね」


サヨコ「それに、犯人は証拠を残さないように気を付けていたって話じゃない」


サヨコ「そんな相手がメモなんてわかりやすい証拠を残したままにするなんて…」


サヨコ「ちょっと考えられないかな」


カナ(あのメモは間違いなく未来ちゃんの書いたものだ…)


カナ(紛れもないあのメモ自体が、その証拠なんだから…!)


サヨコ「単純な話だよ」


サヨコ「可奈ちゃんは、証拠としてそのメモを提示したけど…」


サヨコ「それが『未来ちゃんが書いた物』だってどうして言い切れるの?」


サヨコ「『犯人が捏造した物』かもしれないでしょう?」


《その言葉、斬らせてもらうよ!!》



カナ「あのメモは、未来ちゃんが書いた物で間違いありません」


サヨコ「どうして断言できるの…!?」


カナ「このメモの、最後の所に『未来ちゃんのサイン』が書かれてますよね?」


サヨコ「…まさか、そのサインが…未来ちゃんがそのメモを書いた根拠とでも言うつもり?」


カナ「じゃあ紗代子さんは未来ちゃんのサインを書けますか?この、特徴的なサインを」


サヨコ「…見本があれば、なんとか」


シホ「言っておきますが、そのメモに書かれたサイン以外に見本はありません」


シホ「ついでに確認しておくけど、私と矢吹さんの他にこのサインを見たことがある人は?」


セリカ「あ、私あります。何回か未来さんに見せてもらいました」


シズカ「私もあるわ。たぶん見本があっても綺麗には書けないと思う。独特の癖があるし、それに…」


シズカ「あの子、何度も練習したんだ~って誇らしげに言ってたからね…」


サヨコ「………」


シホ「それを踏まえた上で聞くわ。このサインは、未来が書いたものだと思う?」


セリカ「はい、間違いありません」


シズカ「他に書ける人がいるなら見せてほしいくらいね」


シホ「…だそうですが?」


サヨコ「サインが、自分を示す何よりの証拠…」


サヨコ「そんなことも忘れていたなんて…アイドル失格ね」


カナ「紗代子さん…」


サヨコ「納得したわ。ありがとう、それとごめんね」


カナ「いえ、そんな…」


ミズキ「失礼。先程の話で少し気になったのですが、北沢さんはその手紙をどこから見つけたのですか?」


ロコ「そうです。未来のルームのどこにもそんな物はファインド出来ませんでしたよ…?」


シホ「部屋にメモ帳が置いてあったでしょう?その一番上のページを鉛筆でこすっただけ」


モモコ「あ、それ知ってる。ドラマの撮影でやった事あるよ」


モモコ「メモ帳の下のページに残った筆圧を、鉛筆でこすって浮かび上がらせるんだよね?」


シホ「古典的な手法だけど、意外に役に立ったわね」


シホ「おかげで、犯人を絞り込む為の”手がかり”を見つける事が出来た…」


ユリコ「そのメモがなかったら未来ちゃんが部屋に誰かを呼んだなんてわからなかったもんね…」


シホ「そうじゃない」


ユリコ「えっ?」


シホ「未来が自分から部屋に誰かを呼んだというのは、室内に争った形跡がない事からもある程度推測できるわ」


シホ「でも、この手紙にはもっと重要な…決定的と言ってもいい事実が記されている」


カナ「重要で、決定的な事実…?」


シホ「手紙に書かれていた内容をもう一度よく思い出してみて」


カナ「ええっと……」


カナ「『夜遅くにごめんね。ちょっと2人でお話しない?塞ぎ込んでるのってあんまり良くないからさ…。

    0時に私の部屋に来てくれると嬉しいな。大好きなアレを用意して待ってるね。みらい かすが♪』」


カナ「――あッ!!」


シホ「どうやら気付いたみたいね?」


カナ「”大好きなアレを用意して待ってる”…」


カナ「未来ちゃんは部屋に呼んだ誰かのために、何かを用意してたんだよ!」


セリカ「…?その、”何か”って何でしょう…?」


サヨコ「未来ちゃんは料理をしていたのよね?だったら答えは1つしかないわ」


スバル「…食い物か!じゃあ、未来が作った物が大好きなヤツが犯人だ!」


ロコ「ですが、キッチンはもちろん、ルームのどこにもフードはミッシングでしたよ…?」


レイカ「犯人さんが食べちゃったのかな~?」


シホ「あるいは別の方法で処分したか…正確なところはわかりません」


シホ「でも、未来が作っていた物を推測する事は出来るはず。…そうよね、矢吹さん?」


カナ(未来ちゃんが何を作っていたか…それを推測出来るモノ…?)


カナ「…そっか、『あのメモ』に書かれていた内容が…!」


アンナ「………。あのメモって……どのメモ……?」


カナ「志保ちゃんが見つけたメモの他に、未来ちゃんのポケットの中にもメモが入ってたんだ」


コノミ「なになに…”小麦粉:100g、水:80g、塩:適量”…?」


モモコ「これってレシピ…だよね?たぶん」


カナ「初めて見た時はよくわからなかったけど、今はそうとしか考えられないよ」


スバル「んー…でもたったこれだけじゃ、何を作ろうとしてたかなんてわからないんじゃないか…?」


シホ「いいえ、わかるはずよ。未来が厨房から持ち出していた備品と合わせて考えれば…ね」


シホ「私の意見だけじゃあまり説得力がないかもしれないから、専門家に意見を伺いましょうか?」


ミナコ「………」


カナ「美奈子さん…?」


ミナコ「思い出した……それ、私の書いたメモなの…」


カナ「えっ…!?」


ミナコ「未来ちゃんに頼まれて……たしか4日目の昼くらいに…」


スバル「マジかよ…」


コノミ「それで、未来ちゃんは何を作ろうとしていたの…!?」


ミナコ「……未来ちゃんは………」


ミナコ「”うどん”を作りたいって…言ってた……」


カナ「――ッ!!」


シホ「…これでわかったはずよ。私達の中で、誰が怪しいのかがね」


カナ(未来ちゃんが、わざわざ材料や道具を用意してまで作ったモノ…)


カナ(あの手紙を受け取って、未来ちゃんの部屋までやってきた可能性が一番高いのは――)



《あなたしか――いない!!》


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