八幡「久々に雪ノ下に会った。」
一人暮らしを始めた八幡。挨拶に行ったお隣さんが!?
舞台は東京の亀戸。※亀戸に大学はほぼないですが、そこはご了承ください。ちなみに物語に大学は出ません。
雪ノ下「引っ越した隣の部屋があなただったなんてね。ストーカーかしら?比企谷君?」
八幡「違ぇよ。たまたまだ。それはいいんだけどよ。」
雪ノ下「なにかしら?」
八幡「何でおれは雪ノ下の家で飯食ってんだ?」
雪ノ下「久々に会ったのだから我慢しなさい。それとも私との食事は嫌かしら?」
八幡「そういうことじゃねぇよ。ただ、高校の頃だったらありえないな。」
雪ノ下「そうね。由比ヶ浜さんがいることはあっても、二人での食事はこれが初めてね。」
大学に入って2年。俺、比企谷八幡はバイトをして金を貯めて、ようやく一人暮らしができた。
一応挨拶をと思い、上の階、下の階、そして隣に菓子折りをもって挨拶に行った。
上の階と下の階はそれぞれ主婦が出て、隣の人もそんな感じかな~と思っていた。
結果は見ての通り。予想外にも奉仕部部長、雪ノ下雪乃が暮らしていた。
大学が近くとのことで、先月ぐらいから一人暮らしをしているらしい。
八幡「相変わらず美味いな。雪ノ下の作るご飯は。」
雪ノ下「あら。ずいぶんと素直に感想を言うようになったのね?」
八幡「まぁ、バイトしていればそれなりに変わるさ。今は大学で友達もいるしな。それより。」
雪ノ下「何かしら?何か足りなかった?」
八幡「いや、本当に食費とか材料費とか出さなくていいのか?ごちそうになっていいのか?」
雪ノ下「別にかまわないわ。1人分作るのも2人分作るのも変わらないもの。」
八幡「そうか・・・ごちそうになるのも悪いから今度なんか奢る。」
雪ノ下「そうね。それなら明日でいいかしら?」
八幡「明日ね。明日・・・・明日!?」
雪ノ下「えぇ。何か問題でも?」
八幡「明日はちょっとな・・・」
雪ノ下「アルバイトかしら?」
八幡「バイトは休みなんだが、予定が入っていてな。」
雪ノ下「そう・・・・」
八幡「・・・高校のころ見たいに何の用とか聞いてこないんだな。」
雪ノ下「もう詮索するのはやめにしたの。それで大学でせっかくできた友達も無くしたわ。」
八幡「・・・ちょっと由比ヶ浜に呼び出されてな。」
雪ノ下「!?」
八幡「どうした?鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して。」
雪ノ下「・・・由比ヶ浜さんはなんて?」
八幡「詳しいことはわかんないけど、何か話があるって。」
雪ノ下(由比ヶ浜さん・・・・諦めてなかったのね。)
八幡「ってわけで明日は無理だ。明後日はどうだ?」
雪ノ下「明後日なら大丈夫よ。それより明日はどこに行くのかしら?」
八幡「明日?詮索はしないんじゃなかったのか?」
雪ノ下「・・・事情が変わったのよ。」
八幡「何の事情だよ。まぁいいか。明日は千葉駅に来てって言われたな。それがどうかしたか?」
雪ノ下「いえ。なんでもないわ。ごちそうさま。」
八幡「そうか。ごちそうさま。美味かった。洗い物は俺がやるよ。」
雪ノ下「では、任せてしまって悪いけれど。私は洗濯をしてくるわ。」
八幡「了解。洗い物終わったら帰るが、鍵はどうすればいい?」
雪ノ下「開けたままでいいわ。どうせすぐに戻るのだし。」
八幡「わかった。気をつけてな。」
雪ノ下「あ、ありが・・・・あなたに心配されるなんてね。」
八幡「さいですか。」(今ありがとうって言いかけなかったか?まぁいいか。)
雪ノ下(不意打ちでそういうこと言うなんてやっぱりあなたは卑怯だわ///)
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八幡「今日はありがとな。飯美味かった。」
雪ノ下「こちらも洗い物してもらって悪いわね。助かったわ。おかげで予定より早く寝れそう。」
八幡「明後日は何時がいいとかあるか?」
雪ノ下「特にないわ。何時でも平気よ。」
八幡「了解。じゃあ朝10時に呼びに行くわ。」
雪ノ下「わかったわ。準備して待ってるわね。」
八幡「おう。っじゃ。おやすみ。」
雪ノ下「えぇ。お、おやすみ///」バタン
【八幡が帰った後の雪ノ下】
雪ノ下「比企谷君・・・・・」
部室ではじめて会った時の彼の印象は最悪だった。なぜ私がこの男と一緒に部活動をしなくてはいけないのかと。だけど、一緒に奉仕部として活動していくにつれて彼の色々な事を知った。彼は私、そして由比ヶ浜さんも思いつかないような閃きで色々と解決していった。・・・私はそのやり方が嫌いだった。比企谷君が依頼を解決する方法が嫌いだった。他人のために彼が傷つくことが凄く嫌だった。そんな感情を知ったのは初めてだった。自分にそんな感情があったことが驚きだった。由比ヶ浜さんも同じ気持ちだったのね。
【自宅に戻った八幡】
八幡「雪ノ下・・・か・・・」
高校の頃は一種の憧れみたいな存在だった。第一印象は最悪だったけどな。だが色々と話していくうちに感情を表に出すのが苦手な奴だと知った。基本的には似ているだけで、依頼の解決の仕方も何もかもが雪ノ下と全く違った。雪ノ下なら分かってくれるんじゃないかと勝手に思い込んでいた。だけどそれは俺が雪ノ下に押し付けたイメージだった。結果的に仲違いをすることが多かったな。高校の頃は、雪ノ下の言った「あなたのやり方嫌いだわ。」という意味を本当には理解してはいなかった。でも今なら分かる。好きな人に傷ついてほしくないという気持ち。あの時の雪ノ下が俺のことを好きだったかどうかは知らないが、人を好きになることで気持ちを理解できた。いつかはこの気持ちを言おう。彼女ともう少し距離が縮まって、彼女が心の中に踏み込ませてくれたら。
【翌日:千葉駅にて。】
八幡「遅いな・・・・あいつ何してんだ・・・?」
由比ヶ浜「ヒッキー!ごめ~ん!!ちょっと用意に手間取った~!」
八幡「おう。遅かったな。10分ぐらい待ったぞ。」
由比ヶ浜「もう!そこは今来たところって言うべきでしょ!」
八幡「お前も一色と同じこと言うんだな・・・。」
由比ヶ浜「いろはちゃんにも言われたんだ・・・さすがヒッキー・・・」
八幡「その流石は褒めてるのか?それとも呆れてるのか?」
由比ヶ浜「後者の方で。」
八幡「由比ヶ浜・・・・お前、”後者”なんて言葉知ってたんだな。」
由比ヶ浜「ちょ!バカにしすぎだからぁ!・・・もう!行くよ!!」
八幡「わ、わかったから手を握るな!引っ張るな!周りの目がぁぁぁぁ・・・・!」
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雪ノ下「比企谷君・・・いつのまにあんなに由比ヶ浜さんと仲良くなっていたのね。」
由比ヶ浜さんと比企谷君。周りから見たら普通にカップルみたいに見えるのでしょうね・・・・
由比ヶ浜さんは今日気持ちを言うのだろうか。高校の頃に言えなかった気持ちを。・・・・私も持っている同じ気持ちを彼にぶつけるのだろうか。
その後も尾行は続き、気づけば夕方になっていた。二人が向かった先は―
雪ノ下「水族園・・・」
あの日3人で来た水族園だった。
雪ノ下「ここで比企谷君に言うのね・・・」
どんな話をするのか正直に言えば気になって仕方がない。
でも結果を聞くのは怖かった。比企谷君は由比ヶ浜さんを選ぶだろう。頭の中がその思考でいっぱいだった私は呼ばれている声に気付かなかった。
由比ヶ浜「ゆきのん!」
雪ノ下「!!」
由比ヶ浜さんの叫ぶような声で気がついた。
由比ヶ浜「大丈夫?なんかボーっとしてたみたいだけど。」
雪ノ下「え、えぇ。大丈夫よ。」
由比ヶ浜「ゆきのんも来てたんだね。一人?」
雪ノ下「え、えぇ。ネコザメを見に・・・由比ヶ浜さんは?一人なの?」(尾行していたことには気づいてないようね。)
由比ヶ浜「え!?あぁ・・うん。」
雪ノ下「どうしたの??妙に歯切れが悪いけど・・。」
由比ヶ浜「そ、そうかな?」
雪ノ下「なんだか汗がすごいみたいだけれど。」
由比ヶ浜「・・・・・本当はヒッキーと一緒”だった”の。嘘ついてごめん。」
雪ノ下「一緒”だった”?どうして過去形なのかしら?」
由比ヶ浜「実はね、さっきヒッキーに告白したんだ。」
~回想~ 【由比ヶ浜結衣】
由比ヶ浜「ごめんね。今日色々と連れまわしちゃって。」
八幡「なんだかんだで楽しかったからいいぞ。それにまたこの水族園に来れたしな。」
由比ヶ浜「この水族園何かあるの?」
八幡「・・・・奉仕部の3人だけで出かけた最後の場所だからな。ディステニーランドは葉山とか三浦がいたし、キャンプは小町と三浦もいたし。」
由比ヶ浜「そっか。大切にしてくれてるんだね。ヒッキーも。」
八幡「まぁ・・・な。」
由比ヶ浜「ヒッキー・・・・言っておきたいことがあるの。」
八幡「・・・なんだ?」
由比ヶ浜「私ね・・・高校の頃からヒッキーが好きでした!今更って思うかもしれない。でもどうしても言っておきたくて・・・・私と付き合ってください!」
八幡「・・・・・」
由比ヶ浜「ヒッキー・・?」
八幡「すまない。由比ヶ浜。俺には今好きな人がいるんだ。というより、高校の頃から好きだった奴がいる。だから・・・お前とは付き合えない。ごめん。」
由比ヶ浜「わかってた。ゆきのんでしょ?」
八幡「あぁ。一種の憧れみたいなもんかなって思ってたんだけどな。最近になって高校の頃から俺は雪ノ下が好きだったんだなって気づいたんだ。」
由比ヶ浜「何となくそんな気はしてたんだ。私には振り向いてくれてないなって。」
八幡「ならどうして告白を?」
由比ヶ浜「前に進みたかった・・かな?このまま告白しないのもありかな?って思ったよ。友達関係のままでもって。・・・でもそれじゃ決着つかないから。」
八幡「そうか・・。ありがとな。由比ヶ浜。こんな俺を好きになってくれて。」
由比ヶ浜「最後にお願い聞いてくれる?」
八幡「・・・叶えられる範囲でな。」
由比ヶ浜「思い出がほしいの・・・・。キス・・・していい・・?」
八幡「それは・・・・」
由比ヶ浜「ははは・・・ダメか・・・そうだよね。ごめん。」
八幡「いや、由比ヶは・・・んむっ!?」
由比ヶ浜「ん・・・」
八幡「・・・」
由比ヶ浜「ごめん・・・しちゃった。・・私もう帰るね・・今日はありがとう。バイバイ。」
八幡「あ、あぁ・・・・。」
~回想終了~
由比ヶ浜「結局ダメだったな~。ゆきのんには勝てないや・・・」
雪ノ下「由比ヶ浜さん・・・・」
由比ヶ浜「ゆきのんもヒッキーのこと好きなんでしょ?」
雪ノ下「・・・そうね。彼のことが好きよ。」
由比ヶ浜「・・・ヒッキーなら多分まだあの場所だと思う。」
雪ノ下「ありがとう・・・っていうのが正しいのかしら?この場合。」
由比ヶ浜「そう・・・かな?どういたしまして。さっ!行ってゆきのん!!このままだと・・・ヒッ・・キー・・帰っちゃう・・・から・・」
雪ノ下「・・・わかったわ。」
由比ヶ浜「頑張ってね、ゆきのん・・・・」
雪ノ下「ありがとう。結衣さん。」
由比ヶ浜「行って行って!!」
雪ノ下「えぇ!」
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由比ヶ浜「う・・・泣かない・・・つもりだったのに・・・な・・・」
由比ヶ浜「ヒッキー・・・ゆきのんと幸せになってね。。」
由比ヶ浜結衣はその日ポロポロと涙を流しながら家に帰って行った。
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雪ノ下「いた・・!比企谷君!!」
八幡「雪ノ下!?何でここに!?」
雪ノ下「ちょっと色々あってね。ひとりでここに来たくなったのよ。」
八幡「お、おう。そうか。なら俺は帰るわ。」
雪ノ下「待ちなさい。」
八幡「お、おい!突然首根っこをつかむな!首がしまる!!」
雪ノ下「・・・・由比ヶ浜さんに告白されたそうね。」
八幡「あぁ。・・・ってなんで知ってんの!?」
雪ノ下「さっき本人から聞いたわ。たまたま会ってね。」
八幡「あいつ・・・・」
雪ノ下「その時にあなたの気持も聞いたわ。」
八幡「あいつ・・・・・え?」
雪ノ下「その時にあなたの気持も聞いたわ。」
八幡「難聴系じゃないから聞こえてるわ。ってか・・・俺の気持ってまさか・・・・」
雪ノ下「【八幡「あぁ。一種の憧れみたいなもんかなって思ってたんだけどな。最近になって高校の頃から俺は雪ノ下が好きだったんだなって気づいたんだ。」】」
八幡「由比ヶ浜ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
雪ノ下「・・・私は直接あなたから聞きたい。あなたの気持を。」
八幡「ゆ、雪ノ下・・・?」
雪ノ下「私は”高校の頃から好きだった比企谷君”の本当の気持ちが知りたいわ。」
八幡「由比ヶ浜・・・・後でとっちめてやる・・・・で、俺は何を話すんだっけ?」
雪ノ下「往生際が悪いわよ比企谷君。」
八幡「わかったよ・・・・俺は・・・ってあれ?」
雪ノ下「どうしたのかしら?」
八幡「今お前、”高校の頃から好きだった比企谷君”って言わなかった?」
雪ノ下「言ったわよ?それが何か?」
八幡「何でキレてんだよ・・・・」
雪ノ下「それで?私のことをどう思ってるのかしら?」
八幡「・・・だよ。」
雪ノ下「声が小さくて聞こえないのだけれど。」
八幡「好きだよ!俺は!雪ノ下が!だから・・・・俺と付き合ってく・・・・・んむっ!?」
雪ノ下「ん・・・」
八幡「・・・・・・」
雪ノ下「私も好きよ。比企谷君。よろしくお願いします。」
八幡「雪ノ下・・・!」
その直後、二人は後悔することになる。
周りの客「おぉぉぉぉぉ!!!!!」「おめでとう~!!」
周囲からは大きな拍手喝采が沸き起こっていた。
八幡「げっ!!見られていた!行くぞ!雪ノ下!」
雪ノ下「え、えぇ。さすがにこの視線の数には耐えきれないわ・・・・・」
猛ダッシュで逃げだした。
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??「先輩・・・・ですよね・・?」
そして波乱を起こしそうな不穏な影がもう一人。
なんで八雪書く人って他の子達を無駄に咬ませ犬にするんだろうか
良いねー由比ヶ浜の元々の良い所を上手く利用出来てて良い作品になってるよ!
>>1 作者です。雪ノ下さんは素直じゃないので、由比ヶ浜さんには「私は気持ちを伝えたよ?ゆきのんはどうするの?」という煽り(でいいんですかね?)をすることで気持ちを伝えさせるという役割があります。(少なくとも俺のこのSSのお話です。)
>>2 ありがとうございます!!もう少し続くので少しお待ちください!!
>>3
まんまかませ犬でワロタ
>>1,3
男1:女複数の構図だと噛ませになるのは必然じゃね?
死ぬとか記憶無くすとか他とくっつけるとか無いと回避出来んやろ
同構図でメインヒロイン以外が噛ませになってない例挙げてみろよ
>>6
>>6 作者です。死ぬとか記憶なくすとかは、書いていてわけわかんなくなりそうっだったので、由比ヶ浜さんには煽り役になってもらいました。
このSSを読んでみてどう思いました?
正直な感想が聞きたいです。
>>8
すまんね、安価ミスってた
感想なんだけど
そこそこ年数経ってるのに
未だに気持ちが変わってない由比ヶ浜の引き際が良すぎて違和感がある
奇跡的なタイミングで由比ヶ浜から連絡っておかしいから
交遊は続いてたって見方が強い
直接的な告白は無いにしろ、好意があるのは明白なので
付き合いが続いてた由比ヶ浜を昔の想いのみでバッサリ切るのは異常
どっちのアプローチも無いまま高校出たなら
川崎とか一色が接触しててもおかしくないし
雪ノ下と完全に関係切れる前に雪ノ下姉がちょっかい出してないと変とか
が気になる位でまぁ普通
>>9
作者です。
色々とダメダメでしたね・・・
雪ノ下姉の存在を完全に忘れてました・・・
川崎も接触させるべきでした。一色に関しては最後の方と次のSSがこれの続編なので出しています。(このSSでは???表記ですが。)
がんばります・・