2018-07-26 03:19:51 更新

概要

11章です。


前書き

注意事項
【勢い】
・ぷらずまさんと称しているだけのクソガキな電ちゃんの形をしたなにか。

・わるさめちゃんと称しているだけの春雨駆逐棲姫の形をしたノリとテンションの女の子。

・明石さんの弟子をしているアッシーという短気で無礼気味な明石君。明石表記が明石君でお馴染みのほうが明石さん表記です。

※海の傷痕は設定として
【2次元3次元、特に艦隊これくしょんを愛する皆様の想いを傷つける最悪な言動】
をすると思います。相変わらずの作者の勢いやりたい放題力量不足を許せる海のように深く広い心をお持ちの方に限り、お進みください。

もう矛盾あっても直せない恐れあり。チート、にわか知識、オリ設定、独自解釈、日本語崩壊、キャラ崩壊、戦闘描写お粗末、魔改造、スマホ書きスマホ投稿etc.

ダメな方はすぐにブラウザバックお願いします。


【1ワ●:異議ありです♪】

 

1

 

水母棲姫「ここまでにしておきましょうか」

 

 

ぷらずま・わるさめ「……」

 

 

水母棲姫「二人が死にそうな顔しているじゃないの。決戦に差し支えそう。フレデリカさん、私はね、あなたのそういうところどうかと思うわ」

 

 

中枢棲姫「……まあ、大丈夫でしょう。受け止めるには重いですが、そこからはお二人の素質、そして鎮守府皆さんの役割です。今ここで過去と向き合えたのはむしろバネとして欲しいものです」

 

 

フレデリカ「そうなれば良いと思います。今の言葉は真実です」

 


フレデリカ「受け入れることこそ、強さの糧となるのですから」

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿島「異議ありです♪」

 

 

 

 

 

 

2

 

 

提督「!?」

 

 

鹿島「いえいえ、言わせてください。電さんとわるさめさんが、この人を否定することが鎮守府(闇)を否定することには繋がりません」

 

 

鹿島「練巡として生きている私から言わせてもらえば、違います」

 

 

フレデリカ「……?」キョトン

 

 

鹿島「あなたには分からないですよね。だってあなたは自分のその性格を知りながらも、それに現実を適応させる努力だけを続けて、周りの目を欺き続けたのですから」

 

 

鹿島「『人を強くする兵士』である私からいわせてもらえば、受け入れられない過去と向き合い、かつそれが真実であるからと受け入れる必要は全くありません」

 

 

鹿島「なぜだか分かります?」


 

鹿島「軍学校の学び、練巡も含めた教官は基本的にまず訓練生に理不尽を叩き込みます。これが軍という組織を『厳しそう』とイメージを与える要因にもなってますね。今は世の風潮的に柔和され、昔ほどではありませんが……」

 

 

鹿島「戦場は理不尽の連続。その理不尽に抗い、否定し続けることこそが『強さ』 だからです」

 


フレデリカ「ならば鹿島、私が与えたあの身体こそが理不尽ですよね?」

 

 

鹿島「はい。しかし、聞きましょう。その理不尽は『提督が艦娘に与えて許されるもの』ですか」

 

 

フレデリカ「……いいえ」

 

 

鹿島「当たり前です。だから否定されて然るべき、です。先程、春雨さんは再度違法建造をしたのに、といいましたが春雨さん自身が納得し、かつそれを周りが認めていたのは決定的な違いです」



鹿島「今の二人がいるのは、あなたを受け入れずに進んできたお二人の素質による強さです。それはあなたがお二人を『壊:バグ』にしたから決定した未来ではないのです」

 

 

フレデリカ「お二人はこの『壊:バグ』によってこの身体を受け入れ、裏表を理解出来るようになったと認めたはずです……」

 

 

鹿島「あなたがそういわせただけです。『壊:バグ』でもない私が『深海棲艦を理解している』という事実はどうお考えですか」

 

 

鹿島「まさか、あなたが予想外とした『鹿島艦隊の悲劇』まで、あなたのお陰とでもいいますか?」

 

 

鹿島「私は先日に鹿島艦隊の悲劇を生んだレ級とネ級にお会いしました。お互いを許し合うことにはなりませんでしたが、それでも私は話し合うことで深海棲艦のことを理解できました」

 

 

鹿島「あなたではなく、今の提督さんが深海棲艦の仕組みを私に教えてくれたから、お話の場をセッティングしてくれたお陰でもあります」



鹿島「キスカの決死、中枢棲姫棲姫勢力の知能覚醒、それらの全てをあなたが狙って起こした事態でないのは今までのお話を聞けば明瞭な事実です」

 

 

鹿島「この戦争では私のように『壊:バグ』ではなくとも、裏と表を理解可能であるという事実は現実としてあります」

 

 

鹿島「春雨さんは母のため、電さんは誰かが死ぬのは嫌いだから、という理由で戦場にやってきた」

 

 

鹿島「そんなお優しいお二人が今の『壊:バグ』の身体にならない限り、裏と表を理解することが不可能であるはずがありません」

 

 

フレデリカ「……っ」

 

 

鹿島「認めません」

 

 

鹿島「あなたの自分勝手な都合のみに焦点を当てた違法建造(改造)」

 

 

鹿島「二人を思いやる気持ちがないその教鞭は彼女達の可能性を狭めるただの暴力です」

 

 

鹿島「絶対に間違っています。あなたを正当化する理由はそれだけで軒並み否定されていきます」

 

 

鹿島「だって、お二人が泣きそうな顔で、『この身体になったお陰』といった時、あなたは笑ってた」

 

 

鹿島「受け入れる、だなんて」

 

 

鹿島「あなたの口からよく言えたものです。あなたのような人間こそが、他者に無理強いを敷いて武器を取らせるのです」

 


鹿島「私達はみなもともと自分の意思で戦場に来たのです。あなたさえいなければ私達はもっと素敵な形で出会えていた未来はありました」



鹿島「それを潰したのがあなたです。そこから今の形を作り上げたのはあなたではなく、私達です。お二人はあなたの罪から立ち直っていってるのに、あなたがそれを自分のお陰だなんて」



鹿島「人の言葉だとは思えません」



鹿島「あやまちを繰り返すのは、あなたです」



鹿島「悪いことは悪いと、間違っていることは間違っている、といいます。それを受け入れられずに願望染みた理屈を展開するそんなあなたを否定することこそ」

 

 

鹿島「あなたの為の教鞭になるかと思いまして、発言させていただきました」

 

 

フレデリカ「……、……」

 

 

フレデリカ「そう、ですね」

 

 

フレデリカ「返す言葉も、ございません」

 

 

水母棲姫「!」

 


卯月「完璧すぎるぴょん。ただフレデリカに上手くいい包められていたことに気付いたし……」

 

 

阿武隈「鹿島さんの練巡の素質、素晴らしいです、はいっ!」



ぷらずま「思えば深海棲艦との一体化を肯定したら私達がフレデリカレベルの『ド変態』であることを認めるようなもの、なのです」



わるさめ「か、鹿島っち……!」

 

 

わるさめ「鹿島っちいいいいい!」

 

 

ダキッ

 

  

鹿島「電さん、わるさめさん、理解した上で否定することは立派な選択肢です。御託に惑わされて無理に肯定する必要なんてありませんから」ナデナデ

 

 

ぷらずま「……ええ、感謝するのです」

 

 

間宮「提督さん」

 

 

提督「練巡の視点が活きましたね。自分ではそのような論を展開できません」

 

 

間宮「提督、鹿島さんに交代ですね」

 

 

提督「」

 


中枢棲姫「まあ、この辺りで解散でしょうか。准将殿、フレデリカさんはどうしましょう?」

 

 

フレデリカ「私は、この鎮守府からは離れようと思います。そしてなるべく睡眠を取ります。これ以上、余計なことを口走る前に。思考して海の傷痕にこちら側の策を漏らさないように」

 

 

提督「……いえ、チューキさんフレデリカさんスイキさんはこの場に。少し追加でお話がありまして」

 

 

提督「ぷらずまさん」

 

 

ぷらずま「……はい」



提督「今から限界ギリギリまで部屋に引きこもりますので、後のことはよろしくお願いします。接触は必要最低限の報告のみにして通常の執務は陽炎さんや不知火さん、誰でもいいから丸投げで」

 

 

ぷらずま「了解なのです」コツコツ


………………………

 

………………………

 

………………………


 

フレデリカ「……」

 

 

提督「みんないなくなったのでいいますね。フレデリカさん、海の傷痕の目的が『第2の海の傷痕を産ませない』かつ『此方の手段で達成できない場合、当局の手段に入れ代わる』というところは、目から鱗です」

 

 

提督「……、……」

 

 

中枢棲姫「恐らく目的は考えるだけ無駄です。第2の海の傷痕を産ませない、はしっくり来ますが、海の傷痕の言動的に徹底されていない」

 

 

中枢棲姫「……現時点で完全に解読不可能だと思いました」

 

 

提督「そうですね、新しい情報ではありますが、割とどうでもいい点です」

 

 

提督「……問題はキスカの件です」

 

 

提督「キスカの件、 阿武隈艦隊を侮ったゆえ、不覚を取ったのもそうですが、あの場では論議ができなかった箇所がありまして」

 

 

フレデリカ「……それが、唇を噛み締めて我慢していたところですか」

 

 

提督「最低限の応戦については自分の中で新説が産まれました」

 

 

フレデリカ「それが私を引き留めた理由でしょうか……」

 

 

提督「はい。あの場での最低限の応戦」

 

 

提督「その前に建造システムについて、です。これ、人間をベースに艤装を適応させて深海棲艦への攻撃手段としますが」

 

 

提督「『ロスト空間に適応させることも可能』に出来ますよね。建造されておらず、ただの人間でロスト空間に行っているのは、特例の2名です」

 

 

提督「8種の瑞穂(壊)を窓口にしていた先代の丁准将、そして本官さんを窓口に海の傷痕に想を調査された初霜さんの2名です」

 

 

フレデリカ「……、……」

 

 

フレデリカ「艦娘は深海棲艦へと輪廻する。そのシステムを適用するに当たっての副産物ですかね」

 


提督「ええ、そう思います。ほんの少し気に留めてはいたんですよね。キスカの件は徹底的に調査されました。事後の報告書も精密な部類です」


 

提督「海の傷痕の被弾はフレデリカさんのいったようにつまるところ油断ですが……」

 

 

提督「問題は阿武隈艦隊の倒され方です」

 

 

提督「砲弾は見つかりましたが、艤装の破片も、肉片も、服の一部も発見されなかった。これはこれで納得も出来ることなのですけど……」

 

 

フレデリカ「ですね、お陰で隠蔽しやすかったですから」

 

 

提督「殺戮を嫌う此方の個性を踏まえて最低限の応戦ですが、『深海棲艦を押し付けて間接的に殺す』ではなく、『妖精工作施設によりロスト空間に幽閉しておくこと』かと」

 

 

フレデリカ「……、……」

 

 

フレデリカ「は、はい」

 

 

フレデリカ「そうですね。そちらのほうがより有力です……!」

 

 

フレデリカ「私から付け加えさせてもらうのならば『深海棲艦を作り出し、間接的に殺そうとしていた当局の独断行動を、此方が途中で意思疏通により、ロスト空間への幽閉に切り返させた』の過程でも、矛盾はありません」

 

 

提督「! それです」

 

 

フレデリカ「そこまでするのならば深海棲艦に殺しをさせて、あの子達は深海棲艦に輪廻したのではない。キスカの殉職者は……」

 

 

フレデリカ「由良、菊月、長月、弥生は、艦娘状態のまま、生きている可能性があります」

 

 

中枢棲姫「……、……」

 

 

中枢棲姫「待ってください。二点ほど」

 

 

中枢棲姫「確かに最低限の応戦に焦点を当てたのなら、ロスト空間に幽閉が誰も殺さず、また、海の傷痕の情報を隠蔽するのに適しますが……」

 

 

中枢棲姫「5年近くも、生かしたままロスト空間に幽閉している。此方が人命を尊重するといっても本当にそこまでするのか、という点と」

 

 

中枢棲姫「例外は水穂のみの、海の傷痕のいた現場全てに適応される説、なので……」

 

 

中枢棲姫「1/5作戦の犠牲者である大和にも当てはまる」

 

 

提督「可能性はあります。ただあの時は100体の深海棲艦がいましたし、海の傷痕は水穂のメンテナンスをしていたので、大和は通常の殉職を遂げた可能性も高い……」

 

 

中枢棲姫「ならば我々が手を下した鹿島艦隊の悲劇のみに、救いがない」

 

 

水母棲姫「――――っ」

 

 

提督「すみません……嫌らしいタイミングになりました」

 

 

中枢棲姫「……いえ、お構いなく。あの場でこの論議は出来ません。不安定な救いを卯月阿武隈の前でいえないのも分かりますし、鹿島に余計な絶望を叩きつけることになりますから」

 

 

中枢棲姫「進めてください」

 

 

提督「肯定、否定で考えてみたのですが、否定ならば、ただの思い過ごしで残念に過ぎないのですが、肯定ならば」

 

 

提督「彼女達が生きているというのならば、場所が場所なので、まず間違いなく海の傷痕:此方による庇護を受けています。そして此方が優しい人間の女性としての想を蓄えている存在ならば」

 

 

提督「……此方のほうは」

 

 

提督「我々と取引が可能では」

 

 

フレデリカ「……なきにしもあらず、ですね。低い可能性です。飛龍で海の傷痕:此方は敵対を示したのですから……」

 

 

提督「……フレデリカさん、ここであなたを残した理由です」

 

 

提督「阿武隈さん卯月さんにごめんなさいと謝りましたが……言葉だけの謝罪では足りないのでは?」

 

 

フレデリカ「……ま、まさか」ビクビク

 

 

提督「準備した後で自分と確かめに行きましょうか」

 

 

提督「ロスト空間に」

 

 

フレデリカ「わ、私のファンファーレが気に喰わず、仕返しを思い付いたの、ですね……?」

 

 

提督「まさか。最初にあなたが『私をいじめる相談ですか』という問いに『その通りです』と答えた通りです」

 

 

フレデリカ「い、イジメじゃないですかっ……」

 

 

提督「いえいえ、ジョークです。イジメられた経験あるのでイジメは嫌いですから。しっかりとエスコートして差し上げます」


 

提督「あなたの口から答えを聞きたい。行きますか?」

 

 

フレデリカ「……は、い」

 

 

提督「あなたは思うよりも優しいのですね。先程の論説よりもこの罪滅ぼしのほうが水穂さんにとっての救いかと」


 

提督「どうです?」

 

 

水母棲姫「あ、うん。当たり前よ。普通に考えて人形化を肯定させるよりも、まともな謝罪となり得るし」

 

 

フレデリカ「え、え……?」

 

 

水母棲姫「ポンコツねえ……支えてあげなきゃ、とか思わねーからな!」

 

 

水母棲姫「この場で死にたくなければ行ってきなさい」

 

 

フレデリカ「……うん、水穂がそういうのなら……」

 

 

水母棲姫「……はあ」

 

 

提督「心中お察しします」

 

 

水母棲姫「分かるでしょ。フレデリカさんの悪の根元は子供の無邪気。元の性格も相まって最悪に性質が悪いのだけど……」

 

 

提督「ですね……」

 

 

提督「この旅こそが」

 

 

提督「あなたの真のFanfareです」

 

 

フレデリカ「……、……」

 

 

フレデリカ「私一人でいいです」



提督「……」



フレデリカ「青山さんはやることが他にもありますから危険を犯すリスクは私だけで。あの艦隊の死亡は私の責任」



フレデリカ「だから、私一人、いや、仕官妖精さんもですか。ロスト空間に行きます。私は死んでも構いません。死ななければ、リターンは大きいです。私一人が適任です」


 

フレデリカ「それが、私に出来ることです」



水母棲姫「フレデリカさん……」



フレデリカ「瑞穂、そうだよね……?」



水母棲姫「私に聞かずに自信持っていえたのなら、褒めてあげられたのにね……」

 

 

フレデリカ「すみません、席を外します。私も頭のなかのこと紙に書き残してから、その作戦を遂行します」



提督「……はい」

 


フレデリカ「瑞穂、ばいばい」

 

 

水母棲姫「……うん、またね」

 

 

……………………

 

……………………

 

……………………

 

 

中枢棲姫「当局が、此方の反逆の抜け道を塞いでいないはずがないので、ほぼ死ぬと思いますが」



中枢棲姫「なりふり構っていられないのは分かりますし」


 

中枢棲姫「なるほど、適任のフレデリカに特攻させようという腹が、悔しそうに唇を噛み締めていた理由ですか……」


 

提督「変わらないものですね。自分ではまともになったつもりで少しは優しくなれた気がしても、人はそう簡単に変わらないようです……」

 


水母棲姫「いえ、優しいと思うわよ」

 

 

水母棲姫「だって、それがわからないフレデリカさんじゃないわ」

 

 

水母棲姫「ばいばいって、いったじゃない」

 

 

水母棲姫「……確かにフレデリカさんは償い切れないことをしたから、司法であの首落とすよりも余程マシな償いになると思う。あんたらみんな海の傷痕を倒したいんだし」

 

 

水母棲姫「お互いにとって、優しいと思うわ。少なくとも上手く行けば、キスカでの失態は取り返しがつくものに変わるからね」

 

 

水母棲姫「それをやるっていった。やっぱりほんの少しくらい、優しいところはあるのよ」

 

 

水母棲姫「悲しいけれど……」

 

 

水母棲姫「きっと、この戦争なんか起こらなければ、フレデリカさんは、死ぬこともなかったかもね」

 

 

中枢棲姫「……スイキ」

 

 

水母棲姫「いっとくわ。私はもう深海棲艦で終わり見えてる。けどさ、善悪問わずに、かけがえのない命が未来を奪われて散っていくということを忘れないでよね」

 

 

水母棲姫「生き残るあんたらがね、また私達の墓を掘り起こす真似したら、マジで許さないから」

 

 

水母棲姫「そのために協力してあげるわよ」

 

 

水母棲姫「この壊れた身体を、使い潰して、最後は海の藻屑として捨てなさいよね」

 

 

提督「――――」

 

 

中枢棲姫「どうしました?」

 

 

提督「ぷらずまさんに司令官として認められたその日に、今のスイキさんと同じこといわれました。『この壊れた身体を、使い潰して、最後は海の藻屑として捨てて欲しいのです』って」

 

 

中枢棲姫「……」

 

 

水母棲姫「……そう、じゃあ」

 

 

水母棲姫「あいつはその時からすでに深海棲艦のことも理解してくれていたのね。優しいやつだとは瑞穂の頃から思ってたけど、想像越えて」

 


水母棲姫「本当に、優しい子ね」

 

 

水母棲姫「ああいう子を死なせんじゃないわよ」

 

 

水母棲姫「ああいう子が泣いて終わる未来を少しでも減らすのがあんたの使命だからな」

 

 

提督「……肝に銘じておきます」

 

 

中枢棲姫「准将殿、私からのお手紙を先程の地下に置いておきましたので、よろしければめを通していただきたい」



中枢棲姫「最初期からの記憶を、書き連ねてあります」



提督「!」



提督「あなたはそんなに古い深海棲艦だったのですね……」



中枢棲姫「はい。まあ、昔の記憶はバグが起きるまで忘れてしまっていたのですが」



中枢棲姫「なにかあれば、我々のところに使いを。念のためギリギリまで割り当てられた作戦は、見ないでおきますね。それでよろしいですか?」

 

 

提督「はい、よろしくお願いいたします」

 


【2ワ●:響とВерный:два】

 

1

 

 

提督「響さん、ぐっすりですね」

 

 

提督「改造、失敗したのですか……?」

 

 

明石さん「成功とも失敗とも受け取り方は任せます。Верныйにはなれたのですが、改造終わった瞬間から見ての通り、響ちゃん気を失ったままなんです」

 

 

暁「響ぃ……」

 

 

雷「そのうちに起きるわよ。建造や改造してからの精神影響で、ばたんきゅーだなんでよくあることよね?」

 

 

明石さん「まあ、そうですね。私もそうでしたし。ただ少しなんというか、雪みたいに冷たいんですよ……」

 

 

提督「適性率は出ましたか?」

 

 

明石さん「25.9%」

 

 

明石さん「脈拍ありますし、本官さんはその内に目覚めるといってくれていますけど、いつになるかは個人差が激しいので分からないとのことです」

 

 

明石「どうすんだよ。賭けに負けちまった説が濃厚だぞ。最悪、響なしで決戦だな……」

 

 

明石さん「問題あります?」

 

 

提督「Верныйは海の傷痕の特攻艦である可能性が高いので、正直、戦力として当てにはしてました」

 

 

明石さん「……弟子よ」

 

 

明石「ンだよ。やれることはやったし、本官さんからも下手に触るなって言われてんだろ……」

 

 

明石さん「王子様のキスです」

 

 

明石「頭沸いてんのか。落ち着けよ……」

 


提督「暁さん、女同士、姉妹艦ならノーカンということで……」

 

 

暁「ふぇ!?」

 

 

雷「司令官も落ち着きなさい」

 

 

提督「……命に別状はないにしても、精神影響の面で起きてみなければ分かりませんね。過去のВерный適性者の方は確か……」

 

 

ぷらずま「……前の響お姉ちゃんは響のままですね」

 

 

ぷらずま「性格も変わると聞きます。一応は調べましたが、Верныйになってからなんというか、言葉に遊びがなくなり、自分から喋ることが少なくなる。後はまあ、たまに一人でひっそりと悲しげな顔をするとか。ここらが過去の響お姉ちゃんのデータです」

 

 

雷「実際、私達はВерныйである響はまだ見たこともないのよね」

 

 

暁「あんまり響と変わんないって、丙さんはいっていたけど……」

 

 

提督「個人差はありますからね……」

 


提督「Верныйの艤装自体に想はなくとも建造する以上は精神影響は少なからずありますよ。その空白を『胸にぽっかり穴が空いたよう。その穴は空洞なわけでもない』という感じみたいです」

 

 

提督「繊細な影響が見受けられます。まあ、軍艦擬人化、あなた達の姉妹との史実を踏まえると……」

 

 

暁「分からなくもないわね……」

 

 

雷「とりあえず響は私と暁で看病しているから、電と司令官はやることやったほうがいいわ。特に司令官」

 

 

明石「おー、じゃあ第6駆、響が目覚めたらこれを渡しといてくれ」

 

 

暁「Верныйの服?」

 

 

明石「響に頼まれてたもんだ。背中に『響改二』の刺繍入り」

 

 

暁「……分かった、預かる」

 

 

提督「本官さんはしばらく任務で開けるので、なにかあればすぐに報告を。お医者さんは次の時刻の連絡船で来るので、よろしくお願いします」



【3ワ●:ロスト空間と】


1

 

元帥「で、どうなんだ?」


 

丁准将「翔鶴に伝えておけ。加減を覚えろ馬鹿者、と。今世代の5航戦はどうなっているのだ」

 


元帥「姉妹そろって武闘派なんで。わしも翔鶴をからかおうとしたらいいのもらったことが……」


 

元帥「それはさておき、それで?」

 

 

丁准将「説明した通りである。我輩は海の傷痕を1/5作戦の時に見ている。見たすぐ後に、動けるようになった瑞穂に瞬殺されたが」

 

 

元帥「それ割とどうでもいい。ここの研究所が初霜のこととロスト空間について調べているのは分かるだろ」

 


丁准将「ロスト空間に行くこと自体にそう大した危険はない、と考えていたが、そちらの情報と照合しても変わらないな。我輩は深海妖精が見えないゆえに瑞穂を利用していたので、廃課金である必要はないよ。しかし、向こうに海の傷痕の此方がいるので危険である」

 

 

丁准将「深海妖精もいるのだから、実際にあなたが意思疏通を駆使して行ってみるのがよろしい」

 

 

元帥「相変わらず、堅苦しいしゃべり方するやつだなー……」

 

 

初霜「あ、あの……」

 

 

初霜「飛龍さんの容態は……」

 

 

元帥「大丈夫。目が覚めたそうだ。しかも戦える。それどころか戦意が昂ってるみたいだぞ」

 

 

初霜「よかった……」ホッ

 

 

初霜「あの、それと、私はなるべく早く鎮守府に帰りたい、です」

 

 

元帥「あー、研究部は君に興味があった部分は抜き出したみたいだから、鎮守府に帰ってくれて構わん」

 

 

初霜「ほ、本当ですか!」キラキラ

 

 

元帥「なので、先代丁准将」


 

丁准将「む?」

 

 

元帥「散歩に付き合いたまえ」

 

 

丁准将「断る。散歩ではなく、目的地からして探険であろうよ」

 

 

元帥「ロスト空間だからな」

 

 

丁准将「時間の流れが繊細だ。あそこは時の流れが違う。我輩は一度の探索で15分程度の短時間の滞在しかしなかったものの、こちらでは二時間経過していたこともある」

 

 

元帥「ならそれを目安にするか」

 

 

丁准将「やれやれ、まるで燃えていた頃のあなただな……我輩もだが、老体が無茶をするものでないよ」

 

 

元帥「年寄りだからこその無茶もあるんだよ。わしの身になにかあっても大丈夫なようにはしてある。だからロスト空間というリスクの高い場所を調べるためにこの後先短い老体が実験体になりゃいい」

 


丁准将「ロスト空間は19世紀を起点とした新世界であり、想が還る場所である。一言で言うと物理と精神の共生するこの星とも似た別世界、だな」

 

 

丁准将「ある意味であそこはあの世、だが」

 

 

元帥「おー、そうか。世話になる前に下見に行くとするかね」

 

 

丁准将「……我輩はフレデリカに報告はしなかったが、そこまで確信を持っている」

 

 

丁准将「そしてそこを管理しているmotherこそが海の傷痕である。当局は現海界しているから、今そこを統べているのは此方単独であり」

 

 

丁准将「最終決戦に向けてロスト空間自体がギミックと化している危険性がある。いや、飛龍が食らった史実砲からしてされているな。意味は分かるであろう?」

 

 

元帥「史実砲でロスト空間に飛ばされた飛龍は海の傷痕に名は挙げられていないが、ロスト空間に入ること自体では別段、体調不良になりはしなかったそうだぞ」

 

 

丁准将「……運営がアップデートして公開する前にイベント海域を探りに行くと?」

 

 

丁准将「それも攻撃手段を持たない我々が、である。深海棲艦がロスト空間で建造されているのは知っているな? それに加えて此方に見つかればどう扱われるか分からんぞ?」

 

 

元帥「じゃあ、お前一人で行く?」

 

 

丁准将「一人よりも二人だが」

 

 

丁准将「旅のともは道連れである。二人のうちどちらかでも生還できれば、というのなら尚更か」

 

 

丁准将「全く、我輩のもとにいた頃の青山君なら喜んで行くであろうに。少し彼も噛ませておけばよかったかな」

 

 

元帥「あの時点であいつ絡ませてお前とフレデリカの輪に入っていたら、めちゃ面倒そうだな」

 

 

丁准将「あの頃の彼は目的のために協力を全力で唾棄する男なので、黙ってはいた。理屈だけの人間はこれだから信用出来ん」

 

 

丁准将「結果的に正解ではあったようだが」

 

 

元帥「ロスト空間こそ、最もあいつが欲しがる情報でもある」

 

 

丁准将「やれやれ、ロスト空間を調べるために瑞穂を地雷探知機のように扱った我輩への因果応報であるな。この世界は実によく出来ていると痛感するのである」

 

 

元帥「それに関してはざまあみろだわ。しかし、些事だ。もう本当に終わりが見えているんだ」

 

 

元帥「わしの残りの命の燃料は暁の水平線までの片道分で構わん」

 

 

丁准将「あなたは相変わらずに暮らしていたようであるな。我輩が消えてからの海は比較的平和だったか?」

 

 

元帥「わしの前ではいいけど、それ丙少将の前でいえばお前多分死ぬぞ」

 

 

丁准将「ああ、丙乙甲は若過ぎるな。特に乙は卒業と同時に乙の候補生というエリート具合。我こそが、と深海棲艦に突き進む彼が弾かした水飛沫は大変に眩しかったのである」

 

 

丁准将「それと丙少将といわれて思い出したぞ。我輩が想としてロスト空間に滞在していた頃の記憶だ。向こうで建造し、五感を取り戻した時だ」

 

 

元帥「うん?」

 

 

元帥「大和に関してだが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁准将「此方と、ともに見かけた」

 

 



 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁准将「由良、長月、菊月、弥生も」

 

 

 

 

丁准将「……気がする」

 

 

 

元帥「見間違いだと?」

 

 

丁准将「ああ。気がする、だからな。見たのではなく、感じ取ったというべきか。キスカ連中は大和よりもよく分からんが」

 

 

丁准将「大和は生きていると思うぞ。ロスト空間に折檻されているだけではないのかな」

 

 

元帥「しかし、あり得る、のか?」

 

 

元帥「いや、まさか最低限の応戦は、深海棲艦に輪廻させるではなく、ロスト空間に、か?」



丁准将「まあ、我輩の知る限りの情報は渡したはずだ。妖精という存在が必要ではあるが、ただの人間でもロスト空間は探索可能であるのだ。ならば建造し、ロスト空間を輪廻の作業場に組み込んである艦の娘どもが適応できんわけでもあるまい」

 

 

丁准将「ボケたのなら、もう1度いってやるのである」

 

 

丁准将「艦の娘はロスト空間の行き来こそ妖精の力がいるが、そちら自体には人間と違って単独で滞在することが可能だ。これは妖精と似たような存在である艤装を適応させる建造が関係しているのである」

 

 

丁准将「しかし、滞在可能といってもロスト空間内はいつ精神的に死んでもおかしくない魔の場所ではあった。我輩の最初の訪問時は様々な想と繋がり、景色は瞬きする度に変わったのだ。他人の歴史を主観的に体験させられて、脳みそをかき混ぜられているような悪寒も伴った」

 

 

元帥「なら経過程想砲のギミックはその辺りが種か」

 

 

丁准将「かもしれん」

 

 

丁准将「史実砲で飛ばされた場合は、飛龍の報告からして快適に調節されているようだ。仕官妖精でフォローも可能そうだな。その辺り青山君は抜かりなかろうよ」

 

 

丁准将「最も『究極的なまでの純粋無垢な好きと願いを踏まえた心』であれば、ロスト空間の想は弾かれ、景色にその心を映すようだが」

 

 

丁准将「初霜君だったか」

 

 

初霜「はい」

 

 

丁准将「そういうことだ。君はふざけたことにその条件を満たした。そうだな、我輩の指先を見続けてみたまえ」

 

 

初霜「……」ジーッ

 

 

丁准将「今、後ろを通った者に目がちらり、といったであろう。この指先を見続けろ、といっても人間はこの指の色、皺、視界に入る様々なものに意識が流れるものだ」

 

 

丁准将「ただ景色を眺めていても、風で揺れる木の葉、太陽の日射し、波の揺らめき、それらが思考を仄めかし、集中という意識を分散させ、そのレベルを下げてゆく」

 

 

丁准将「視界の節々ではなく、気に入った全体としての景色を眺め続ける。ロスト空間がその想を汲み取り、その現実の景色のままを投影し、その愛した海だけを眺め続けて4年など、あり得ないとすらいえる。電池の切れないカメラ人間かね君は」

 

 

丁准将「それで身体のどこにも異常がないというのだから、人類では歴史初の精神の器だろうよ」

 

 

丁准将「君が『Worst-Ever』な理由はその辺りであろうな。ロスト空間の支配権を此方から奪取できる役割を担えるからである」

 

 

初霜「この分析力、提督の面影を感じて不愉快だわ……いえ、不愉快です」


 

丁准将「似てるであろうよ。我輩と青山君の思考回路はひどく似ていた。ただ青山君には我輩にはないセンスを持っていたがな。勘の類か」


 

丁准将「不確定要素の拭えない作戦に彼ほど重宝する人材はいなかった」

 

 

丁准将「まあ、初霜君もある意味で同じだ」

 

 

初霜「て、提督と同じですか」テレテレ

 

 

丁准将「悲しいかな恋する少女よ、青山君へその想いは届かない。しかし、へこむこともあるまい。初恋は実らないほうが綺麗な想い出となり得ると思う」

 

 

初霜「そ、そういうのじゃありません!」

 

 

丁准将「ただ年よりの冷や水ではあるが、アドバイスはできるぞ?」

 

 

初霜「逃げ場をなくすとか、既成事実的なあれですよね……」

 

 

丁准将「む、彼をよく見ているな……」

 

 

丁准将(ふむ、肩を落とすか……)

 

 

丁准将(しかし、この子の『好き』の対象になる関係を築いているのなら)

 

 

丁准将(此方への特攻艦の素質がある、といっていいか……)

 

 

元帥「くそ、くそ、わしだって駆逐艦から好かれたいのに……」

 

 

初霜「わ、私は元帥さんのこと尊敬していますから!」

 


元帥「電探の位置直していい?」

 

 

初霜「意味がよく分かりません……艤装つけてませんよ?」

 

 

丁准将「触りたいのだよ」

 

 

初霜「変なところでなければ構いませんが……」

 

 

元帥「駆逐は総じて天使だわ」ナデナデ

 

 

元帥「助けに行かん訳にはいくまい」

 

 

元帥「……、……」

 

 

元帥「わしが助けに行けば」

 

 

元帥「さすが元帥と」

 

 

元帥「大和ちゃん由良ちゃん睦月型からなつかれること不可避の任務なわけか」

 

 

元帥「命なんざ惜しくねえわ」

 

 

元帥「わしは、きっと」

 

 

元帥「この日のために生を受けた」

 

 

丁准将(この年寄り、救いようがないのである……)

 


初霜(抱いていた尊敬の念が……)

 

 

丁准将「やれやれ、キスカ、鹿島艦隊、1/5か……」

 


丁准将「……その責任をあなたが拭うよう差し向けて甲の大将にその席を座らせたほうが良かったかな」

 

 

元帥「全くだ。そのほうが良かったとわしも今は思うぞ。ただ甲のやつは座らんだろうけどな。お前がマジでもう少し組織を考えて動けるやつなら、お前を推そうと思ってたんだが」

 

 

丁准将「難しい未来だな。我輩は丙乙甲からよく思われていないのである」

 

 

元帥「それでも瑞穂関連なかったらお前が一番マシ。引き継ぎの間、みたいになるが」

 

 

元帥「今世代は尖ってるからわしの後を継げそうなタイプがいないんだよなあ……わしが50くらいなら、もう少し居座ってさあ」

 

 

丁准将「今なら丙少将だな。やる気になれば甲大将がベストか。今は若すぎるからあれだが、20年後の現乙中将もいい。あれは将としての成長が楽しみである」

 

 

元帥「もう少し時間がいるんだよな。その間、どうすんだよって話だ。丙乙甲は若すぎんだ。しかし、20年となると、その時わしは90近い」

 

 

丁准将「フハハ、長生きする気なのは結構なことだな」

 

 

元帥「まあ、後を託してなお生きているならさー、余生くらいは穏やかな人生味わいたいだろ」

 

 

タタタ

 

 

大淀「すみません、鎮守府(闇)にいるチューキさんから緊急のご報告が」

 

 

元帥「ああ、そうだ、大淀。伊58を迎えに。そうだな、各地から集めた潜水艦全員で迎えに行ってやるといい」

 

 

大淀「13、14、19、26、401、ろーちゃんですね。了解です」

 

 

元帥「おう。それと速吸は引き続き訓練な。チューキちゃんはなんて?」

 

 

大淀「青山准将がまーたやらかしました。本官さんの協力で、フレデリカさんをロスト空間に出向かせたそうです」


 

丁准将「フハハハ、青山君もフレデリカも良き成長を遂げたようだ。我輩の苦労を担ってくれるとは、いやはや、過去の魂を思いやるその気持ち、海の傷痕にも届くといいな!」

 

 

元帥「わしも行く」

 

 

大淀「さすがに青山准将の行動は浅慮ではありますが、時間がないことを踏まえれば廃課金のフレデリカさんは悪くないセレクト、でしょうか……?」

 

 

丁准将「死ぬ危険性が高い。行くならどうせ死ぬ我輩かフレデリカが適任ではあるが、まあ、任せよう」

 

 

元帥「いや、わしが行く!」

 

 

大淀「ダメです。廃課金である彼女は適任者ですし、通常の深海妖精よりも信頼できる本官さんもついていますから。青山准将から作戦についても、それが終わり次第すぐに完成させてこちらに送ると。元帥さんの身になにかあれば、対海の傷痕に差し支えますし」

 

 

元帥「あの鎮守府……!」


 

元帥「どれだけ美味しいところを奪えば気が済むの!?」


【4ワ●:Fanfare.Fredrica Ⅱ】

 


1

 

 

仕官妖精「全く、フレデリカを本官が見つけた時は人があれほど純粋に命ではないモノを愛せるのか、と解釈したものの、ただの変態に過ぎませんでしたか」

 

 

フレデリカ「変態です、認めます」

 

 

提督「それでは本官さん、マジでよろしく頼みます。上手く行けば最終決戦、自信を持って皆を送り出せます」



仕官妖精「フレデリカ、フォローはするのでありますが、安全だとは思わないように」


 

フレデリカ「……青山さん、後は任せますね」

 

 

提督「必ずや」

 


2

 


仕官妖精「……む」

 

 

仕官妖精「フレデリカ」

 

 

仕官妖精「意識は保てますか。体調に不具合はありますか?」

 

 

フレデリカ「少し、嘔吐感が、あります。頭痛も、ですね……」

 

 

仕官妖精「ならば口を開かず、波に身を委ね、海にただ浮くかのように脱力してリラックスしてください」

 

 

仕官妖精「想の海なので」

 

 

フレデリカ「ここの仕組みは大体、分析は完了しています」

 

 

フレデリカ(……しかし、ロスト空間というモノは心象……想の海、瞬きをすれば、景色が変わる……)

 

 

フレデリカ(……例の初霜さんはこの空間で現実と全く同じ空間を映していたのは)

 

 

フレデリカ(ロスト空間であることすら認識できないまでに、海への好きを、究極的なまでに純粋無垢に思い描いて見つめることが出来た、から )

 

 

フレデリカ(ならば、自身は磁石的な意味合いで、この想の海を、泳げる、はず。絶え間なく押し寄せる波は……)

 

 

フレデリカ(目的を運んで、くれるはず)

 

 

―――――――、

 

 

――――、――――、――――

 

 

――――、

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

――――――うん?

 

 

3

 


フレデリカ「痛っつ……」

 

 

仕官妖精「……戦闘能力のない本官達で、今の此方との接触を測るとは正気の沙汰とは思えないのであります」


 

海の傷痕:此方【……アハハ】

 

 

フレデリカ「痛みも波のように引いていきます。あなたのお陰、ですよね……」

 

 

フレデリカ「あなたに会いたかった……」

 

 

海の傷痕:此方【想いよ届け――――って、綺麗な心が届いたよ】


 

海の傷痕:此方【でも、何の用事かな。当局が鬼ごっこで、フレデリカさんと先代丁准将を産み落として全ての謎を解く鍵は散りばめ終えたよ】



フレデリカ「私が海の傷痕に廃課金と呼ばれた理由は、初霜さんと似たような理由ですか」

 

 

海の傷痕:此方【そだね】

 

 

海の傷痕:此方【1つのことに夢中になれる才能、それとあの青山さんか。あの感覚が産んだギフトこそが機械的思考回路と見当をつける才能かなー】

 

 

海の傷痕:此方【当局と違って私は才能とはいいたくないけどね。あの人の努力の賜物だよ】

 

 

フレデリカ「ならば目的は分かるはずです。言の葉は不要、ですね。なぜならば想が伝われば言葉は口に出さずとも伝わるロマンス空間ですから」

 

 

海の傷痕:此方【確かにフレデリカさんは妖精の部分もあるけど、そうでもないんだよね。想ってそんな単純じゃないよ。気持ちを正確に伝えるのにも技術が要るの】


 

海の傷痕:此方【まあ、確かに1/5作戦の犠牲者の大和、キスカ艦隊の由良、長月、菊月、弥生は、当局が艦娘状態のままこのロスト空間に送ったよ】

 

 

海の傷痕:此方【そしてその人達に生ロスト空間は刺激が強いから、此方がわざわざ適応できる場所を造り上げてそこで過ごしているよ】

 

 

海の傷痕:此方【決戦を盛り上げるためのギミックの1つとして】

 

 

海の傷痕:此方【当局は性格が悪いし、ひねくれたところがあるから『この事実を突きつけて、卯月や阿武隈、武蔵といった艦を盛り上げようとするため』】

 

 

海の傷痕:此方【そして此方としては最終決戦にてそっちがピンチの時に、向こうの海にリリースしてあげるつもりだった】

 

 

海の傷痕:此方【『お前、死んだはずじゃ……』】

 

 

海の傷痕:此方【『へ、馬鹿野郎、お前が情けねえから、おちおち地獄にもいられねえぜ』】

 

 

海の傷痕:此方【『さて、行けるか?』】

 

 

海の傷痕:此方【みたいな王道な少年漫画的展開のために、ここにいてもらっているのっ!】

 

 

フレデリカ「生かしてあるなら、ロスト空間から返さない理由がハッキリと分かりませんでしたが……」

 

 

フレデリカ「そんな理由、読めません……」

 

 

海の傷痕:此方【でも、そっちのほうが良くないかな。満を持した登場のほうがストーリー的に盛り上がるでしょ?】

 

 

フレデリカ「……なめられてますね」

 

 

海の傷痕:此方【そりゃそうだ。今から世界に隕石でも落としまくってあげようか、と。この戦争は、あなた達に勝てるようにしてあげてるんだよ】

 

 

海の傷痕:此方【どこまで本気が出せるかな。最終海域の『E-7』まで来たのなら、此方も嬉いんだけど】

 

 

海の傷痕:此方【今はダメだよ。あの人達は返すかも分からない】

 

 

海の傷痕:此方【それに、分かるよね。私はあなた達のこと許容してあげられるけど、海の傷痕はあくまで敵対の姿勢を取っていることは私も飛龍で示した】

 

 

フレデリカ「こちらを信じてもらうことは可能でしょうか」

 

 

海の傷痕:此方【もちろん。かといって戦いは避けられないからね。そこは譲れないし、こっちも『やる準備』と『やられる準備』は出来ているんだから】

 

 

海の傷痕:此方【もともとこの決戦において海の傷痕は『99.9%で敗北』するから、姿を現して最終決戦へと向かう。そこまで追い詰めた人間を尊敬する】

 

 

海の傷痕:此方【でも当局は、負ける気はないみたいだね。その0.1%をつかみとることで『今を生きる力を獲得』しようとしている】

 

 

海の傷痕:此方【当局のその人間でない心が人間に憧れる末路は、人間として生きたと証明するためにこの戦争を終結させようとしている中枢棲姫勢力と似ているね】

 

 

海の傷痕:此方【ねえフレデリカさん、その5人、いずれ返すことを約束してもいいよ。条件があるけど】


 

フレデリカ「なんでしょう」

 

 

海の傷痕:此方【あなたの命をここで還してもらう】

 

 

仕官妖精「此方、それは困るのであります。本官の任務は、」

 

 

海の傷痕:此方【この人の造りは『壊:バグ』を参考にした妖精人間。海の傷痕が負ければ、フレデリカさんも消える】

 

 

海の傷痕:此方【自分のために来たのではないのなら『優しさの覚悟』はあるよね】

 

 

フレデリカ「……はい。どうせ私は死人で、居場所はありませんから」

 

 

フレデリカ「本官さん、あなただけが戻ってこの会話を伝えれば任務は達成です」

 

 

フレデリカ「……あの、本官さん」

 

 

フレデリカ「私は、役に立ったんだ、と出来れば向こうで広めて欲しい。少しでも、私が許容されるように、壮大に語って欲しい……」

 

 

フレデリカ「厚かましいお願いです」

 

 

仕官妖精「……あなたという人は」

 

 

海の傷痕:此方【フレデリカさん、あなたは人生を戦い抜いた英雄です】

 

 

海の傷痕:此方【自分の大好きを、伝えようとしたその一途は、社会の歯車にはなれている。ただ報われなかった。そういう人間たくさんいるよ】

 

 

海の傷痕:此方【偉業を成したのに、本人には報われるところがほぼ存在しないの】

 

 

海の傷痕:此方【これがね、ホントの英雄】

 

 

海の傷痕:此方【これが、人間が獲得できる最高の人生なの】

 

 

海の傷痕:此方【自由には責任がついて、それも壁の中の自由に限るけれど】

 

 

海の傷痕:此方【分かるよ。人をさ、本気で好きになると、ずっと一緒にいたいって思うのは普通だよね】

 

 

海の傷痕:此方【間を埋めて、瞬間も離れないような、愛を起点になぞって行き着く阿弥陀の1つの先が『心中』だから。その名の通り、心の中、だ】

 

 

フレデリカ「あなたは、こちら側と取引は可能でしょうか……」

 

 

海の傷痕:此方【……へたくそだね】

 

 

海の傷痕:此方【この空間は海の傷痕がいないと消えるよ。まあ、当局か此方が片方しか現海界しない理由】

 

 

仕官妖精「……」

 

 

海の傷痕:此方【不在にしても少しくらい持つだろうけどね。穴が空いた器から水が零れ切るまで。向こうの時間でいうと、2時間くらい、かな?】

 

 

フレデリカ「当局は此方を産み落として、代わりにこのロスト空間に?」

 

 

海の傷痕:此方【『答えられません』】 

 

 

海の傷痕:此方【本官さん、あなたの選んだ提督さんに伝えてあげて】

 

 

海の傷痕:此方【第2の海の傷痕を産ませないというのは、あくまで此方の目的でしかなく、当局の目的も手段も違う、と】

 

 

フレデリカ「……、……」

 

 

海の傷痕:此方【最終決戦は『全員生還:勝利』と『全滅:敗北』のルートしかないんだ。途中撤退はない】

 

 

海の傷痕:此方【貴方達は引けない】

 

 

海の傷痕:此方【そういう風に舞台を整えてあるのは分かるね。色々と情報を与えて、想を増幅させて、貴方達に勝てる、という餌をぶら下げたから】

 

 

海の傷痕:此方【終わるまで、終わらない】

 

 

海の傷痕:此方【もちろん暁の水平線は前者。そしてこの戦いに戦争としての意味を持たせたいのなら後者、かな】

 

 

フレデリカ「艤装を破壊尽くされ、継戦能力がなくなればその時点で敗北。当局が無差別に戦争妖精としての力を振るい全滅、という流れ、でしょうか」

 

 

海の傷痕:此方【まあ、誤解はありそうだけどYesかな。つけ加えるのなら此方もそう。今までは当局にずっと我慢してもらってきたから、此方が当局に合わせてあげるの】


 

海の傷痕【あなた達のために】

 

 

海の傷痕【そんなのは優しさじゃないといいますか?】

 

 

フレデリカ「いいえ。ですが、全ての歴史は人間の糧になります。どんな凄惨な末路であれ、我々は生ある限りは、進むしかありませんから」

 

 

フレデリカ「こちらとしてはその優しさでない方法による解決を望むからこそ最終決戦に臨むのです」

 

 

フレデリカ「もちろん、此方さんを『殺す』ことに躊躇いはありません」

 

 

海の傷痕【うん】

 

 

海の傷痕【本官さんは此方に最後まで優しくしてくれた。本当の優しさが此方を殺すことだと気付かずに】

 

 

海の傷痕【此方は人間の形で産まれ落ちたけど、どこに力を入れたら、立てるのかも分からなかったから】

 

 

仕官妖精「あなたのような子を躊躇いも迷いもなく手にかけるようになれば、それこそ人として終わるのであります」

 

 

仕官妖精「国とは人でありますから。未来へと繋ぐということは若き命に託すということですから。戦争はそれを大きく揺るがす戦いだっただけであります。故に本官は、故郷のためにただ仕えたのであります」

 

 

海の傷痕【人に優しく。その素晴らしさを教えてくれたのはあなただったけど、それを海の傷痕が真似ると、悲惨でしかなかった】

 

 

海の傷痕【お陰で】

 

 

海の傷痕【地獄だよ】

 


海の傷痕【貴方達が終わらせてね】

 

 

海の傷痕【海の傷痕に終わらせられないでね】


 

フレデリカ「……」

  

 

海の傷痕【私が描いた第2の海の傷痕の誕生の阻止は不可能だよ。トランス現象を発生させないためには、人間を完全洗脳または機械化しないと、無理だね。人道から外れた徹底的な管理が必要不可欠となるから】

 

 

海の傷痕【だから、その目的は此方が此方である限り不可能と結論を出した】

 

 

海の傷痕【だからせめてという想いが、この『艦隊これくしょん』のエンジンなの】

 

 

フレデリカ「せめて、ですか。私も命を吹き返し、未来をこの目に見て思いました。せめて、と」

 

 

フレデリカ「ああ、私のあやまちは取り返しがつかなくとも、いつの日か、許し合うことが出来る未来だって、可能性は皆無ではないと」

 

 

フレデリカ「生きてこそ、願わくば」

 

 

フレデリカ「ああ……もっと早く気付いてさえいれば、」

 

 

フレデリカ「死にたく、ない」

 


 

――――今を生きる人間の力を以てして

 

 

――――不可能じゃないという。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――可能性を信じさせてね。

 

 

 

 

人間、

 

 

 


愛してるよ。

 


4


 

本官妖精「……すみません」

 

 

提督「いえ……責める訳には行きません。だから、その報告に対していうことは1つです」

 

 

提督「お陰で、完成しました」

 

 

提督「……感謝します」

 

 

提督「……あの」

 


提督「本官さん」

 

 

提督「最終作戦の策、完成しまして、その策において、あなたの役割は非常に重要なものとなります」

 

 

提督「海の傷痕に漏れないように、出来ますか」

 

 

仕官妖精「……難しいであります。海の傷痕とは密接だからこそ、本官もあなたに色々と教えることができまして、逆も然りであります」

 

 

仕官妖精「なので、ギリギリまで教えないでおくほうが良いとは」

 

 

仕官妖精「しかし、事前でなくともやり遂げられるのであれば、必ずその任務、完遂してみせるのであります」

 

 

仕官妖精「ただでさえ現時点で与えられた任務もかなりのスパイ行為でありますし」



提督「了解、です。1ついえるのは」

 

 

提督「本官さんの役割は1、2を争うほど重いです」

 

 

仕官妖精「お任せを」

 

 

提督「では、まず決戦前にやって欲しいことを」

 

 

提督「――――、――――」

 

 

仕官妖精「は、はあ。確かに、出来そうではありますが、研究部の方もなかなか考えるのでありますね」

 

 

提督「よろしくお願いします」

 


【5ワ●:決戦間近】

 

 

ガチャ

 

 

伊58「提督さーん、ゴーヤ、迎えが来るから、ここを発つでち。その報告に来たよー」

 

 

提督「……そう、ですか。ゴーヤさん、よろしくお願いしますね」

 

 

提督「これで最期に、しましょう」


 

伊58「ま、提督さんの負担を減らすために指揮系統が違うだけで、戦場は同じでち。潜水艦のみんなと」

 

 

伊58「役割を果たすよ!」ビシッ

 


提督「ええ、期待しています。帰投はここの鎮守府のはずです。終われば、飽きるほど海を眺めましょうね」

 

 

伊58「任せろでち!」

 

 

提督「ゴーヤさん、ありがとう。この言葉、もう1度いわせてくださいね」

 

 

伊58「さっきからフラグっぽいこといわないで欲しいでち。ま、でもこっちも同じ気持ちだよー!」

 

 

伊58「ここまで来たら敗北せずにラストまで勝ち続けるでち! それじゃ!」

 

 

提督(……、……怖いのは)

 

 

提督「Srot4……」

 


2

 

 

丙少将「第2艦隊は旗艦大鳳なー」


 

大鳳「了解です!」


 

プリンツ「あの演習ではあまり期待に応えられませんでした……」

 


丙少将「気にするな。最後、だぞ。気を引き閉めろ。俺達の働きは作戦成功に直結する重要な役割を授かった」


 

丙少将「気合いを入れろ。出しきれ。お前らの歴史の全てを、だ」

 

 

第2艦隊「はい!」ビシッ


 

丙少将「第1艦隊は旗艦、日向、伊勢、雪風、加賀」

 

 

丙少将「それと赤城、さん」

 

 

赤城「日向さん現象ですね。私だけ、さん付け止めて欲しいです」

 

 

丙少将「そ、そうですね。すみません」


 

加賀「しかし、丙少将だけでなく、指揮官は軍艦に乗り込むのですか……」

 

 

丙少将「だな。あれはもちろん通信も出来るし、資材も積んでる。入渠も出来りゃ、工廠もある」

 

 

丙少将「俺らは今こそスタンダードな鎮守府にいたけど、大分前の時期に使ってたもんだ。」

 

 

赤城「もしも最初期に近い深海棲艦とか出てきたらあの軍艦、攻撃対象ですよね」

 

 

天城「護衛しなければなりませんね。しかし、艤装が壊れた私達の救護目的もあるんですよね?」 

 

 

丙少将「そだな。リタイアしたやつは、さっさと戻ってこい。間違っても継戦しようと思うなよ」

 

 

丙少将「俺は海の傷痕の不殺を信じたわけじゃねえ。だから、」

 

 

加賀「勝てます」

 

 

加賀「それだけの能力があり、それだけの指揮があなたには出来る」

 

 

加賀「違いますか」


 

丙少将「……そうだな」

 

 

丙少将「その通りだ」

 

 

丙少将「ところで黒潮どうした?」



黒潮「ギリギリまで1航戦に鍛えられて、疲れたんや……」



赤城・加賀「あなたのための鞭です」



丙少将「まあ、駆逐がごっそり抜けたから遠征とか色々負担させちまったからなあ」



黒潮「それはええんよ。陽炎不知火達も頑張っとるみたいやし、うちも負けられんし」



黒潮「うちは秋雲と合流すればええんやな?」



丙少将「おう。多分、黒潮は武蔵大淀のところだな。更にキツくなるからな。俺の指揮でも小破撤退はないと思ってくれ。だから、出撃まで英気を養うように」



丙少将「こほん」

 

 

丙少将「俺達の艦隊での敵との交戦はなるべく控えるようにしなければならん。最前線に立つ史元帥、甲大将、そして乙中将の艦隊から撃沈者を出さないための支援艦隊的な動きだ」


 

大鳳「戦闘してから新たな敵艦隊の乗法も更新される可能性も大きいですよね」


 

日向「錯綜するかもしれない情報のなか、全体の戦況を見極めて、かつ的確な指示を出すんだろ」


 

伊勢「全員生還ですからね?」

 

 

丙少将「任せてくれ」

 

 

丙少将「超得意分野」

 

 

3


 

扶桑「ああ山城、昨晩は艤装の夢を見たわ。段々と私の背が高くなっていくの……」

 


山城「それで最後です。この山城が本体を○すので」

 

 

扶桑「いえ、私達が越えるのよ」

 

 

扶桑「あの日の最期を」

 

 

扶桑「山城、頼りにしているわ」

 

 

山城「~~~~っ!」

 

 

山城「はい!」

 

 

乙中将「仲がいいねえ。そして時雨の淹れてくれたお茶が美味い」ズズズ

 

 

時雨「それはよかった」


 

乙中将「飛龍は、もう大丈夫かい?」

 

 

飛龍「はい。あんな趣味の悪い嫌がらせで折れるほど、柔じゃないです」


 

飛龍「……誓います。やつは」


 

乙中将「飛龍?」

 

 

飛龍「必ず倒します」

 

 

飛龍「もちろん私達で!」

 

 

神通「大丈夫、そうですね」

 

 

夕立「乙さん!」

 

 

夕立「夕立も、それ欲しいっぽい!」

 

 

乙中将「……あー」

 

 

乙中将「もちろん。実は用意してあるんだよね」

 


乙中将「はい、夕立の刺繍入の鉢巻き」


 

夕立「!」ギュッ

 

 

夕立「どう? 似合うっぽい?」


 

乙中将「うん、可愛いと思うよー」


 

乙中将「時雨と白露の分も。この鎮守府皆の分も作ってあるからねー」

 

 

山城「乙さん鉢巻き好きですよね」

 

 

扶桑「始まりから終わりまで鉢巻き艦隊ですよね……」


 

乙中将「僕は別にスポ根タイプじゃないけど鉢巻きは気合いの象徴なんだよ。魂が入るでしょ」

 

 

乙中将「思えば僕らはずっと、一番になったことないよね。なにやってもそれなりに出来るけど、成績的には二番だ」

 


飛龍「昔にやった将校演習では、甲さんのところに負けましたねー。後一歩のところで」


 

蒼龍「2航戦の2」

 

 

神通「川内型の2番艦です……」


 

時雨「僕も白露型の2番艦かな」


 

乙中将「甲さんから聞いたんだけど、電ちゃん達がさ」


 

乙中将「2番は負けの一番とか」

 

 

乙中将「準優勝は、がんばったで賞とかいってたらしいね」

 


山城「あのゲスの極み乙女艦隊がそんな戯れ言を……」

 

 

乙中将「ぶっちゃけ傷付いたよ!」

 

 

乙中将「このラストバトル」

 

 

乙中将「僕らは役割的に戦果が最もあげられると思う。もちろん、皆の力があれば、の話だけど」

 

 

乙中将「この戦い、誰がどんな功績を残そうと」

 

 

乙中将「僕らのお陰で勝てましたっていわせる気概で、与えられた任務を完遂する」


 

乙中将「そういう指揮を取るので」

 

 

乙中将「みんな鉢巻きを過去最高にぎゅっと締めて気合いを入れなさい」


 

一同「了解!」

 

 

4


 

甲大将「とりあえず個々の役割は以上だ。別にバレようがどうなろうが、やることは変わらない」

 

 

北上「あー大将、そんな感じで問題ないんじゃないですかねえ」

 

 

大井「北上さん、この戦いのボーナスで旅行行きません?」

 

 

大井「……皆さんもご一緒に」

 

 

球磨「大井なにか変なモン食べたクマ?」

 

 

多摩「珍しいにゃ」


 

大井「別に私は北上さんだけを見ているわけではないです……」

 

 

大井「この鎮守府の皆で行きたいと」

 

 

大井「そう、ミクロン程度で思っただけです」

 

 

北上「大将、今の大井っちは過去最高にデレてまっせ」

 

 

木曾「でも旅行はいいな」

 

 

甲大将「旅行か。グラーフ、サラトガは日本でどこか行きたいところはあるか?」

 

 

グラーフ「柴又と、フジサーン」

 

 

江風「……」

 

 

サラトガ「私は江風ちゃんの故郷に行ってみたいですね。話を聞く限り、面白そうです」

 

 

サラトガ「あ、鎮守府(闇)の提督さんとも、一緒に旅行の約束をしました。いっそのこと、丙少将や乙中将、元帥も誘ってみんなで行きましょう」

 

 

甲大将「いいな、最初に江風の実家行こうか」

 

 

江風「なンで江風ン家だよ!?」


 

サラトガ「江風さんの実家はとても面白いと」

 

 

江風「普通の飯屋だよ面白いってなンだよ!?」



木曾「まだ親とケンカしてんだっけ。寅さんに憧れて親に黙って旅に出るという不良素行していたやつだ」

 

 

木曾「大将と俺でチンピラに絡まれた江風を助けてやったのが出会いだ」

 

 

グラーフ「それはお仕置きが必要だな」


 

サラトガ「日本は比較的、安全とはいえ、それはよくありませんね」


 

甲大将「一年前に行った時はお前の心配ばかりだ。ったく、親の心子知らず、だよ」

 

 

江風「部下の実家に勝手に突撃すンの止めろって!」

 

 

甲大将「まあ、その前に一仕事だ。やることは変わらん」

 

 

甲大将「いつも通り爆散させてこい」

 

 

北上「戻ってくんの面倒くさいし、道が開いたらそのまま旅行と洒落混みましょう」

 

 

一同「ナイスアイデア」

 

 

江風「緊張感ねえなあ……ったく」

 

 

甲大将「あれ、漣と山風、浮かない顔だが、どうかしたか」

 

 

漣「い、いえ」

 

 

山風「特に……構わなくていいです……」

 


木曾「1つ俺からいっておくよ。俺達以外のところにも当てはまるが」

 

 

木曾「提督がどうこうしてくれるとは思うなよ。そういう甘えは置いておけ。全員生還は、例え策がなくても」

 

 

木曾「本来は現場の俺達の力だけでも可能に出来ることなんだ」


 

漣「……はい」

 

 

甲大将「大丈夫。もう懲りてる」

 


甲大将「仲間は絶対死なせん」

 

 

甲大将「未知の海を、信じて進め」

 

 

甲大将「いつだって、そうだろ。そんだけだ」


 

5


 

明石・阿武隈「了解」


 

提督「各々の艦隊編成メンバーに絶対にその紙に書いてあることを頭に叩き込むようお伝えください」

 

 

ぷらずま「●ワ●」

 

 

ぷらずま「それにしても司令官さんが代理で史元帥権力ですか」ニタニタ

 

 

明石「それなー。正直びびった」


 

ぷらずま「なるべくしてなったというべきですが、あえて上を褒めてやってもいいのです」ニタニタ

 


ぷらずま「ようやく私の司令官の素晴らしさを理解できる域に達しましたか」ニタニタ


 

阿武隈(めちゃくちゃ嬉しそう……)

 

 

提督「正直、自分達の役割は」

 

 

ぷらずま「囮、は妥当なのです」

 

 

ぷらずま「私とわるさめのやつが目的で、動きも目的も単純明快。少し攻撃性能が高いだけのダボです」

 

 

ぷらずま「● ●」

 

 

提督「……ええ、仰る通りです」

 


提督「明石君、阿武隈さん、それではよろしくお願いしますね」


 

明石・阿武隈「はい!」

 

 

提督「ぷらずまさんはお話がありますので残ってください」

 

 

ぷらずま「……」

 

 

ぷらずま「了解なのです」

 

 

6

 

 

ぷらずま「それでお話とはなんなのです」

 

 

提督「今回の作戦は最適であり最善だと思うのですが、それでもなお自分の頭ではどう考えても」

 

 

提督「殉職者が……」

 

 

ぷらずま「特に誰が死にそうなのです。どうせそこまで予測つけていそうなので聞いてみます」

 

 

提督「あなたです」

 

 

ぷらずま「……、……」

 

 

ぷらずま「私が、負けると?」

 

 

ぷらずま「不確定要素の多い今作戦ですが、なにを根拠に私が死ぬと?」

 

 

提督「詳しくは話せません」

 

 

ぷらずま「まあ、私達に渡された作戦は不透明で、こうしろ、とか、こうなったらこう、とか、訳が分からないのです……」

 

 

提督「それでも自分を信じてください。なにがどうなろうとも、迷わないでお進みください」

 

 

提督「必ず、勝ちますから」

 

 

ぷらずま「……少し花壇のほうに行きませんか」



【6ワ●:最初の約束、覚えてますか】

 

 

提督「……花壇。あなたとここで肩を並べるのも懐かしいですね」

 

 

ぷらずま「なのです」

 

 

提督「いのーちーかけてとー♪」

 

 

提督「ちーかーった日からー♪」

 

 

ぷらずま「司令官さん、素敵な思い出、残してきたのです……?」

 

 

提督「この戦いの結果によりけり」

 

 

提督「あのとき同じ花を見て美しいといった二人の心と心は」

 

 

ぷらずま「……いえ、まだ通うと思う……のです」

 

 

提督「すっかりあの時の気持ちを忘れていましたが、思い出しました」

 

 

提督「今いうと絵面的に犯罪なのでためらわれますが……」キョロキョロ

 

 

ぷらずま「……周りに人影はありません。なんなのです」


 

提督「すっかりあの時の気持ちを忘れていましたが、思い出しました」


 

提督「あなたと一緒に花を育てる時間は、こんな風に穏やかで温かかった」

 

 

提督「ダメになった花を見て、同じようにしゅんとうつむくあなたを見て、心が傷んだ」

 

 

提督「なにかしてあげたいと、あなたが海へ出るために去った時、自分は休みの日も学校へ行って、花を育てていましたっけ」

 

 

提督「さきほどあなたが、戻れないことを呪って、なお戻りたいといった。その時も、同じことを思いました」


 

提督「あなたのためになにかしてあげたい」

 

 

提督「きっとこれが、愛しい、ということなのですね」

 

 

提督「ならばきっと、自分の初恋はあなただったのかと」

 

 

ぷらずま「過去形なのです?」

 

 

提督「あなたが愛しいというのは今もですけど、恋からは変化していまっています」

 

 

提督「大切な部下、仲間、家族、友達。それらに全て当てはまるかのようなそんな気持ちです」

 

 

ぷらずま「私は司令官さんとの関係はなんでもいい」

 

 

ぷらずま「司令官さんともっと一緒にいたい、という言葉が真実なのです」

 

 

提督「そうですか……ぐっ」

 

 

提督「危ないですから自分の背中に飛びつかないでもらいたいですが」


 

ぷらずま「なのです」

 

 

ぷらずま「最初の約束、覚えてますか」

 

 

提督「もちろん」

 

 

ぷらずま「なら、全てを許すのです」



電「まあ、今日は甘えさせてもらうことにするのです」スリ

 

 

電「今は、今くらいは」スリスリ

 

 

電「司令官さんにくっついているのです!」スリスリスリ

 

 

提督「…………は、い」

 

 

2

 

 

瑞鶴「あんな電みたいな笑顔のおちび初めてみるわね……」

 

 

瑞鶴「エンディング……?」

 

 

瑞鶴「あれ翔鶴姉、私達もう海の傷痕撃沈させて帰ってきたんだっけ?」

 


翔鶴「瑞鶴……まだ出撃もしてないですからね」

 

 

翔鶴「でも、ふふっ」

 

 

翔鶴「電ちゃん、とても幸せそう」

 

 

瑞鶴「そう、ね」

 

 

瑞鶴「作戦内容について質問しに探してたんだけど、まあ、今はそっとしといてやるかー」

 

 

3

 

 

龍驤「(゜ロ゜;)」


 

龍驤「あれいつの間に電ちゃん着任したん……?」

 

 

瑞鶴「今日ね。そして、いつまで経っても全く離れない件について」

 

 

間宮「……」ポロポロ

 

 

秋津洲「間宮さんまた泣いてるかも……」


 

雷「あれは電にしても、感情表現がストレート過ぎるわね……」

 

 

暁「ふえ、ふええええん」グスグス

 

 

暁「電……」

 

 

雷「司令官には礼をいってもいい足りないわよね。響にも起きた時に見せてあげようかしら。スマホの写真になるけど……」パシャパシャ

 

 

暁「司令官ずるい! 私も電に抱き付きたいし!」

 

 

雷「抱き付いているのはどう見ても電のほうね。でもまあ」

 

 

暁・雷「出撃」

 

 

秋津洲「提督、押し倒されてもみくちゃにされてるよ……」

 

 

瑞鶴「亀の姿勢になって耐えてるわね」

 

 

わるさめ「お前ら騒がしーゾ☆」

 

 

わるさめ「執務室でなにやってんの。つか、間宮さん号泣しているし……」

 

 

間宮「電ちゃんを見てください……」

 

 

わるさめ「あー?」

 

 

わるさめ「Σ●ω●;」

 

 

わるさめ「…………ふーん」ニヤニヤ

 

 

間宮「とても幸せそうに笑って」

 

 

わるさめ「弱そう」

 

 

わるさめ「散々あいつにボコられてきたわるさめちゃんですが!」

 

 

わるさめ「なんだかいけそうな気がするー!」ジャキン

 

 

ぷらずま「●ワ●」ジャキン

 

 

……………


……………

 

 

わるさめ「入渠してくるっス……」ボロッ

 

 

瑞鶴「むしろおちび強くなってるわね……」

 

 

提督「あ、皆さんおそろいのようで」

 

 

龍驤「ちっと作戦について聞きたいことがあるんよ。確認、かな」

 

 

提督「そうですね、全ては語りませんが、疑問に対してお伝え出来ることはします。まずは」

 

 

瑞鶴「海の傷痕。こいつ、複雑過ぎるから」

 

 

タタタ

 

 

初霜「初霜! 帰投しましたっ!」

 

 

龍驤「おー、お帰りー」

 

 

提督「あ、はっつんさんお帰りなさい。意外と遅くなりましたね。成果は通達されております。ご苦労様でした」



初霜「いえ、お役に立てたのならそれで!」



提督「早速で申し訳ありませんが、秘書のお仕事をお願いしてもいいですか」

 

 

初霜「もちろんです!」

 

 

提督「それでは支援施設の……1-Aの教室に皆さん集合です」



【7ワ●:ちょこっとブリーフィング】


1


初霜「こんなところですね」カキカキ



提督「皆さん黒板に注目です。これが現時点の海の傷痕の重要情報です。お渡ししてある資料にも目を通してください」



・正体は『大日本帝国時代の終わらない夢:あの日の戦争終結のIF』である。



・『敗戦したという事実』と『終結(勝ちたい、負けたくない)』等々の想がせめぎあい、『想の世界:戦争ゲーム:艦隊これくしょん』を構築運営管理を始めた製作者(神)を語る人間の想。

 


・そのため、この戦争ゲームは『勝敗のつきにくい絶妙なバランス』として手を加えざるを得なくなった。初期に分身存在の妖精を生みだし、艤装を作り、深海棲艦を意図して大量製作し、バランスの下地を作製した理由である。



・また『19世紀の想いは総合的に戦争終結への想いが強い』ため、『最終的に勝者は人間、深海棲艦問わずこの戦争は終結可』に調整されている。ここにおいて海の傷痕:此方の意思疏通が大きく作用した形になっているのが『艦隊これくしょん』である。

 


・深海妖精はその道標であるよう、また、運営管理効率化のため、意図的に想の『想の魔改造:海の傷痕の根源能力:想の収集管理運営』の応用能力により誕生させ、妖精の輪廻の仕組みに組み込んだもの。海の傷痕が設置した戦争終結への切符である。


 

・『海の傷痕は想に質量を持たせる未知(ロスト、アライズ、その2つを統合したトランス)現象、人間を母とした誕生生命である』という事実から、倒してもあくまで此度の戦争は終わるだけであり、新たな戦争が始まることは阻止できない。

 


・そのため模索している『再出現の阻止』は海の傷痕を倒すだけでは達成されず、想を生む源である人間自体に革命を起こす必要があり、『再出現阻止はもはや不可能』といっても差し支えない。



・見方を変えれば人類が戦争を起こせば、人類が意図しない巨大な戦争が誘発されてしまう恐れがある、ということであり、その事実にたどり着くことこそが人類にとっての懺悔であり、経済的に世界政治が変革されていかざるを得ない戦争抑止の理由となり得るため、このゲームで真の意味でトゥルーエンドを迎えるために最も必要なのは真実探究の思考能力である。



・海の傷痕の性格は故人、今人共通で強力な想『今を生きようとする想』により、成り立ち、『今を精一杯生きる』の言動原理と設定されている。

 


・古人の想の塊であるが、今を記録することは可能である。現海界した当局、海の傷痕による想の力、また今を生きる人間から艤装に伝わる想を感知することにより、記録可能。『故人の想:今を未来に繋げる想』による応用と思われる。しかし、艤装が記録した想の場合、艦娘の想は艤装を媒介とした観察、海の傷痕の個体による分析であり、齟齬が生じることも多い。



・想は基本的にあやふやなもの。海の傷痕の思考能力はあくまで人間レベルであるため、万を越える人間の想の解読に時間がかかる模様。

 


・時間がかかるだけで、未来的には可能である。19世紀(過去)の想いが強いため、近代のモノは後回しになっていく傾向を持っており、なおかつゲーム運営管理妖精のため、実装よりもメンテナンスを優先する傾向があるが、海の傷痕には個性も含められるため厳密には『なるべく長引かせたい』が本音と思われる。

 


・思考機能付与能力


無数の想を個別に認識し、人間の個体知能を分析、想として艤装に与えることを可能にした海の傷痕の能力。


・艤装の知的能力を高め、認識能力を複雑にし、艤装が記憶している適性者の想からより詳細な情報を獲得する。


・海の傷痕からこの能力を与えられた艤装は思考機能能力を与えられたとして、反転存在の深海棲艦になった時、知能が人間レベルになる。該当しているのは中枢棲姫勢力と、海の傷痕当局。

 


【海の傷痕:基本装備】



『Srot1:史実砲』


・確定した過去の悪夢再現。

人間に艤装を適応させている艦娘への攻撃。艤装を形成する根底となっている【軍艦の想:貴女が沈んだ日】のロスト空間を形成し、艤装のモデルとなっている軍艦の終わりを再現する。例えば飛龍にはミッドウェーの終わりを。この史実砲はあくまで現在行われている過去の再現であり、突破は今を生きる人間の力で可能。

 


『Srot2:経過程想砲撃』


・トランス(ロスト&アライズ)現象を利用した想の砲撃。五感でも装備でも感知不可能なロスト現象を利用した砲撃。『想に質量を持たせる根源能力』を駆使した物理的攻撃、想の探知システムにより『艤装の想に海の傷痕:本体の想を繋ぐ現象を利用し、繋いだ時に想に質量を持たせて物理的なダメージを付与する攻撃』である。必中攻撃。

 

 

『Srot3:海上妖精工作施設』


・全ての妖精の能力を駆使できる『殲滅:メンテナンス』用装備。建造妖精により、艤装を生み出し、サーバーのデータベースから想を与え、海色の想と併用し、深海棲艦を作ることもできる。キスカではこの能力を使用。もちろん女神妖精常駐。何度でも海の傷痕ちゃんは復活するもん!



『Srot4:unknown』



『Srot5:海色の想』


・本来、あり得ないはずの空想、人の想に質量を持たせる能力により、物理的に原動力に必要な海で収集できる素材を自動で産み出す力。艦娘状態として現海界した海の傷痕当局の燃料、弾薬、ボーキといったものを自動生成する。これは深海棲艦に付与される機能である。しかし、深海棲艦には間接的に想を送っているので深海棲艦はやや生成速度が遅いが、その想を管理運営している海の傷痕が使えば生成効率が段違いのため、瞬間永続補給システム。


 

提督「ここまででなにかありますか?」



陽炎「はーい」キョシュ



陽炎「装備や生態、どちらにも関わること」



陽炎「現海界した海の傷痕は能力がかなり制限されるって話だけど、そこの具体的なところ。どう考えても作戦の要よね?」



提督「そうですね。まずは現海界した当局は『トランスタイプ』です。うちだとここらの説明は要りませんね」



わるさめ「でもそれだと妙なところがあるじゃん。鬼ごっこでは『当局自身がロストしたところを時雨が確認していて、それはぷらずまやわるさめちゃんには出来ない』ことだよ?」



提督「装備の違いですね。妖精工作施設には全ての妖精の性能があるので、ロスト空間に行くことは可能ですから」



提督「大本営にて海の傷痕は、装備を後付け出来ないと自分の論を認めました。これはキスカや1/5作戦を踏まえると、真実ですね。あの時、想の力があれば、もっと効率的で確実な方法がありましたが、キスカでは敗北。なので、ここは真実と受け取って構いません」



提督「その制限された機能を探っていくこと。これが目的の1つです。ここらは『E-1』の段階で先陣を切る乙中将が調べてくださります」



龍驤「史実砲はどうなん? これ、必殺ではないいうけど、飛龍の話を聞く限り、本官さんおらな必殺やん」



提督「いいえ、史実砲は欠陥だらけなのです。軍艦の終わりを再現するといっても、あなた達は軍艦ではなく、艤装を身に付けた人間です」



提督「なので、その艤装のベースとなった軍艦の終わりを模倣できても、『死んだ記録のないあなた達の終わりは再現できません』から、ここらの齟齬が史実砲の突破に繋がります。海の傷痕風にいうと、『今を生きる人間の力』ですね」



提督「ここらも乙中将の艦隊としてが実演してくださると思います。その情報を抜錨した皆さんに自分から伝えます。まあ、重課金以上に名を挙げられた方は連れて行かれる可能性が他よりも高いとお思いください」



龍驤「なるほどな、乙ちゃんところも大変やな……」



提督「自分の見当では龍驤さん、あなた連れて行かれるかも、と」



龍驤「翔鶴瑞鶴がお供なわけか?」



提督「そうなれば不幸中の幸い、でしょうか」



提督「そして龍驤さん、そこに書いてある通りです」



龍驤「艤装を失っても、指揮官として働けーってやつやね。まあ、ここらは任しといてー」



不知火「とりあえず妖精工作施設を破壊しないことには当局の撃破は困難ですね」



榛名「しかし、全員生還のために電さんをメンテナンスしてもらいますから、かなり早期に電さんは電さんに戻るということですよね?」



提督「そうですね。詳しくは話せないところですが、ぷらずまさんは早期にメンテナンスしてもらう予定です」



ぷらずま「どうせこの作戦書で想定されている通りに海の傷痕は1/5作戦みたいに深海棲艦をわらわらと出してくるんでしょうから、早期に私の解体は悪手とも取れるのですが」



ぷらずま「勝つためのはずです。司令官さんを信じて従うまでなのです」



ぷらずま「そして私からも。皆さんもお分かりかと思いますが、装備を潰しても、弾薬さえあれば『空砲』といいますか、攻撃自体は可能。海の傷痕も使えると思うのです。なので、装備を潰しても通常の艦娘と同じように戦えますね。加えて管理者権限でどーせ当局の素質性能は阿武隈さん並かそれ以上の素質に設定してあるのです」



提督「でしょうね。まだまだ現状は『いちかばちか』です。決戦をしながら、その目を減らして行きます」



瑞鶴「はあ、なるほど。道理で想定される決戦時間は一日はかかる、と想定されて組まれているのね。要は『持久戦』ってことか」



提督「必ず夜を介す持久戦になります。そのため海軍から拠点軍艦までも借りています。基本的に鎮守府に戻るのではなく、明石君の海上修理技能と後方の海域に待機している拠点軍艦にて補充入渠を行います」



瑞鳳「その、経過程想砲ですが、これ想を探知して、繋いで質量化するってことは……」



瑞鳳「妖精さんへの必殺ですよね」



提督「そうですね。艤装もそうです。探知範囲にいれば艤装一体化型、妖精と化していくトランスタイプにとって相性は最悪。ぷらずまさんが秒殺されるような悪魔の装備です」



わるさめ「トランスタイプの『メンテナンス装備』だし、私達にとって悪魔的なのは想像に容易いっス……」



瑞鳳「パイロットに必殺なら攻撃において操縦妖精を介する空母なんか手も足も出ないよ……」



提督「なるべく空母は海の傷痕との交戦よりも通常の深海棲艦の撃破をメインです。もちろん、空母でも海の傷痕に狙われる危険はありますので、その時は指示をすぐに」



翔鶴「提督は『秒殺された』といいましたよね。ならば探知の範囲と想を繋いで質量化するまでの時間があるはずです。なので、その間はそのまま艦載機が攻撃できる時間となりますので、空母でも手も足も出ないというわけではないのではありませんか?」



提督「その通りです。素晴らしい洞察力をお持ちですね」



提督「その時間も、乙中将が(メソラシ」



金剛「さっきから乙ちゃんのところに頼りすぎネ!?」



提督「最悪、乙中将の艦隊は序盤で全滅します」



提督「が、乙中将だけがキツいということは絶対にありません。丙少将は、支援として戦場を激しく動き回ります。甲大将の艦隊、元帥艦隊と殲滅力はその戦場において、頼みの綱です。潜水艦隊も、もちろん撃沈しそうな艦のそばを行き来して救助の任があります。自分達、鎮守府(闇)はその本命である海の傷痕を沈めに行く任もあります」



提督「どこの艦隊も暁さんが泣き喚くような死地なのでご安心を」



暁「安心できないわよっ! それに私は泣かないし!」プンスカ



提督「暁さん雷さんには、最初は待機ですが、電さんメンテナンスの後にこの鎮守府と戦闘海域の最終防衛ラインを任せますので」



雷「まっかせなさい! 絶対に死守するわ!」



卯月「まあ、暁達の前で戦ううーちゃん達の第1艦隊が深海棲艦を後ろに通す気はないけど、それはやる気の話で実際は数によるぴょん」



阿武隈「そうですね。現実問題、事態がどう転がるか予想しきれない面もあるので、なるべく姫や鬼は引き付けますが……夜戦の場合は駆逐のお二人もかなーり頼ることに」



暁「安心してどんどん流しなさい」



雷「最終防衛ラインにどんどん流れてきたら、それもう詰みかけてるから」



秋月「私達は支援メインなので、海の傷痕とは交戦しないように努めたほうがいいんですよね?」



提督「そうですね。しかし、秋月さんは明石君の護衛として戦場を駆け回ります。お二人は海の傷痕に目をつけられそう、ですね。なるべくそうならないように動かします。海上修理は、その場で全快させる最高の支援です。中枢棲姫勢力との決戦時にもいいましたが、明石君の撃沈は士気に大きく関わりますので、なんとしても死守してもらいたいです」



秋月「了解です!!」



提督「秋津洲さんもですよー……」



明石「紙飛行機作ってんじゃねえよ、なにやってんだよ……」



秋津洲「紙と教室の机、条件がそろってついつい昔の手癖が出てしまったかも……」



雷「ああ、確か数学の時間に隣の席になったあの男の子の飛ばした紙飛行機、すごい飛んだみたいねえ」



秋津洲「……」



秋津洲「なんで知ってるの!?」



提督「話したのでは?」



秋津洲「男の子を追って兵士になったのは甲丙連合軍との演習後の時に話したけど、そこのところは誰にも話してないよ!?」



提督「……」



雷「そういえば司令官、転校前に家に押し掛けてきた子がいたじゃない。友達になってー、とか。あの女の子が司令官に会いたがっているみたいよ?」キラ



提督「……」



雷「明石さんもお父さんが死ぬ前に孫の顔が見たいっていってたわよ。この戦いが終わったらお見合いのお話、受けてあげなさいよ。どんな形であれ、親を安心させてあげないとダメね」キラキラ



明石さん「……」














提督・明石さん「怖っ!!」



ぷらずま「雷お姉ちゃんのストーキング能力は昔からちょっとおかしいのです……」



暁「私達の間でもお互いの過去はあまり聞かないんだけど、雷はなにか妙なパイプを持ってるとしか」



暁「私は普通といってはアレだけど、6駆の中では特殊な過去はないわね。電は知っての通りで、雷は怖くて知りたくない感じで、響は」



ぷらずま「響お姉ちゃんは政治家になりたいっていってましたね。院の子供達の待遇状況や職員の離職の高さを改革したいとか」



陽炎「え、嘘、響のやつそんな立派な夢を持ってたの。丙さんとこにいたときもそんな話、聞かなかったけど」



不知火「まあ、戦果をあげれば泊はつきますね。確かにその道を目指すにおいて艦の兵士になるのはアリです」



不知火「ところで雷さん、まさか不知火のことも」



雷「親が軍事ファンで家の形、不知火さんの本名が、」



不知火「ストップです」ヌイッ



龍驤「不知火、まさかお前もうちや提督と同じ悲しみを……」



不知火「詳細は勘弁してもらえますか」ヌイッ



雷「みんなのこと知っておかなきゃだからね。でも電と司令官のことは気付かなかったわ。接点があるだなんて……」シュン



雷「お姉ちゃん失格よね……」



ぷらずま「ちょっと雷お姉ちゃんが怖くなってきたのです……」



瑞鳳「ま、まあ、雷ちゃんについては置いておこ? きっと知らないほうがいいこともあると思うので……」



雷「そうねえ。知らないほうがいいと思う。私の面倒くさい過去に関わってくるから今は置いておきましょ」



雷「でも、みんなはもっと私に頼っていいんだからね!」キラ



瑞鶴「怖すぎて頼れないんだけど……」



初霜「あのー、そろそろ次に……」



提督「そうですね。ここからロスト空間の情報に移ります」



2



【ロスト空間】


・メインサーバーと呼ばれるデータの海であり、全ての想が還る場所。ロスト空間から想を質量化し、妖精や深海棲艦の建造は基本的にここで行われている。



・史実砲及び深海妖精(本官さん含む)の意思疏通によって移動することは可能。



・現在は海の傷痕:此方が管理している。ロスト空間は『海の傷痕が消えれば消失する』と思われる。



・ロスト空間への滞在自体は艦娘および重及び廃課金ならば、心身に悪影響はないが、ロスト空間では時間の流れが現実時間よりも速くなる場合がある(初霜さんの体験談、本官さん&先代丁准の証言)。



・ロスト空間に漂う想の種類は膨大で海の傷痕でもその中から特定の1つを探し出すのに手間を要する。



提督「こんなところですね。低い可能性は混乱を招くために記載しておりません。現時点で皆さんに知らせるのは不味い作戦の要になる部分も省いてあります」



明石「思いの外、ロスト空間は情報が少ないよなあ」



提督「そうですね……本官さんにも力をお貸ししていただいているのですが」



明石「確認しておきたいんだが、海の傷痕の想の力はロスト空間があるからではなく、海の傷痕そのものの力なんだよな。だったら」



明石「管理している海の傷痕:此方を倒せば想の力もロスト空間も消える。なら、現海界している当局のほうにも影響は出るのか?」



明石さん「やだ、弟子がなんか知的な感じで喋り出しました……」



秋月「アッシーはやれば出来るんです!」



明石「うおい! 俺は今すごい真面目にいってるんですけど!?」



提督「まあ、情報を照合し、導き出されるのは『海の傷痕:此方の撃破でロスト空間はやがて消える』ので『海の傷痕:此方の撃破はロスト空間を消失させる手段の1つ』であり、『厳密には海の傷痕:此方を撃破することでロスト空間は消失しません』」



提督「そしてトランスは『艤装をロスト空間にロスト&アライズさせる力』なので、『Type:Tranceの当局に影響は出ると思われる』ですね。ここら、なにかギミックを設定している可能性もありますが……」



明石「あ、すまん。オーバーヒートしそう」



秋月「秋月が続きを。ならば海の傷痕:此方から撃破したほうが良さそうですね。当局のほうだけ撃沈させても、ロスト空間にいる此方がまた当局を現海界させてしまうかもですし……」



提督「ここから先のアンサーは作戦の要なので、いえませんが」



提督「そこまでは海の傷痕が分かっていないわけがないということと、海の傷痕:此方の撃破は当局にとって避けたいことです」



提督「なので、現情報から海の傷痕:此方撃破にロスト空間へと投入する戦力は賭博性が強すぎて、全員生還を棒に降る危険性が高い」



提督「当局の性質的にまだ情報収集は可能です。なので速戦即決は果断であり、今回は適切ではないです。大人しく乙中将の戦果報告を待ちます。戦況は著しく揺れ動くことが予想されます」



卯月「わるさめの時と同じかー」



提督「ですね。あの時は我々と同等の知能を持つ深海棲艦との遭遇、ぷらずまさんの他のタイプトランスの急襲、信じられないことばかりが起きました。そのように慌ただしくなるかと」



わるさめ「ぷらずまのやつがわるさめちゃんのこと隠さなきゃ、あの時のリスクは減らせたのに」



ぷらずま「司令官さんこいつブン殴っていいのです?」



提督「最後くらい仲良くしてください……」



龍驤「うちらは機械的に与えられた役割こなせばええんやろ。というか、そろそろキミの策に気付きかねんから止めといたほうがええんやない? うちらのこと艤装を通してばれるんやろ?」



提督「まあ、ざっぱなはずですが、強い想ならば確実に漏れるでしょうし、こればかりは仕方ありません。その上で皆さんに作戦の全貌を伝えない方向なので」



間宮「……」



提督「間宮さん、どうかしましたか?」



間宮「あ、海の傷痕:此方撃破してロスト空間の管理者がいなくなっているその間に管理権限を本官さんが乗っ取ってしまうとか?」















一同「それだ!」





提督「違いますから(震声」



龍驤「言わんこっちゃない……」



提督「まあ、これ以上は止めましょうか。皆さんそれぞれ考えるのは構いませんが、基本的に機械的に与えられた役割をこなしてください」



提督「思うところがあるのは分かりますが、感情暴走は厳禁です。全員生還なのでその人のために他の人が動くはめになります。引いては作戦に影響が出るので自己判断による独断はアウトです」



提督「機転は提督のほうが利かしますので、指示がない限り勝手な行動は慎むように」



ぷらずま「海の傷痕の目的は第2の海の傷痕を産ませないこと、なのです」



提督「濃厚ですが、やり方ですね。自分は絞ってはいますが、皆さんは気にしなくていいです」



ぷらずま「了解なのです」



鹿島「あの提督さん」



提督「なんでしょう?」



鹿島「大本営は全員生還以外になんと?」



鹿島「戦争終結は当然、海の傷痕:此方が産まれ落ちる。建造過程はともかく、人類史に多大な影響を及ぼす想の力、です。私達の執念とはよそに、欲があるはずです」



提督「…………」



提督「大本営の全員生還命令はあくまで表向きのパフォーマンスの意味合いが強く、一部から海の傷痕:此方の鹵獲を全員生還よりも優先と搦め手による圧力はかけられてます」



鹿島「無茶をいってくれますね……」



提督「海軍から拠点軍艦、陸軍からも人手を貸してもらいますから、今作戦は口を出される出される……」



龍驤「腹立つなー。対深海棲艦海軍の将校を低級将校とかいう馬鹿にしてきた連中や……うちらは深海棲艦現れてから通常海軍や陸軍よりも血を流して来とんのに」



瑞鶴「でも、日本が戦うんだよ。私達が負けたら面子が潰れて世界の笑いもんじゃん。大戦時の軍艦ぜーんぶが馬鹿にされそう。色気出さないで勝つことを優先するべきじゃないの?」



提督「一応の圧力ですよ。向こうもこちらがどのくらいの戦果があげられるのか、量り損ねているということです。取れるだけ取ってこいとの意味」



提督「ま、海の傷痕:此方は破壊すべきかと。この国が想の力を手に入れて先進国のなかで頭1つ飛び抜けたとしても、外交力は残念なので国民ともども絞られるかと。強気になった国民も踏まえて、発展による犠牲、新たな争いの種にはなります。まあ、海の傷痕の鹵獲は近道ですよ。トランス現象の研究でいずれはきっと辿り着くでしょう」



提督「ここらも気にしなくていいです」



ぷらずま「陸で肥えていたやつらです。いつもの通り餌を見つけてぶひぶひ吠え始めただけのこと。ただ海の傷痕はやつらに与えるにはちと上等な餌なのです」



提督「まあ、表向きの総指揮は元帥でして、自分が立てた作戦は隠密のやり取りで元帥に。事前に各部署に通達されている作戦は違いますしね」



提督「全責任は元帥がお取りになります。元帥からは『戦争終結と全員生還を最優先事項にし、海の傷痕の鹵獲は考える必要はない』とのことです」



わるさめ「元帥のじいちゃん、やるじゃーん!」



龍驤「歳も歳やし、なにより対深海棲艦海軍の最後の戦いや。責任取って止めようが牢獄にぶちこまれようが、元帥ちゃんは独り身やしな。今の元帥ちゃんだからこそ使える手、か」



翔鶴「大淀さんも艦娘でこちら側ですし、信頼できます。内陸との化かし合いはこなれていますから心配はなさそうですね」



翔鶴「龍驤さんは本当に独断専行は自重してくださいよ?」



龍驤「分かっとる。翔鶴の指揮執ってた頃のうちやないで」



提督「みなさん」



提督「作戦は考えうる限り用意してあります。かつてないほどの人員の協力をもって準備しました」



提督「その全てが」



提督「不確定要素1つで水泡に帰すような戦いであることをお忘れなきよう」



提督「そして海の傷痕に対して必ず有効となる策は『製作者の予想を上回る一手』です。今回の策は全てここに集約されていますので」



提督「さて、ぷらずまさん、なにかありますか?」



ぷらずま「今回はいうまでもないので、特にねーのです。それより阿武隈さんが浮かない顔をしているので、第1の旗艦としてなにかいっておけばいいと思うのです」



提督「とのことです。阿武隈さん、なにかありますか」



阿武隈「……」












阿武隈「んんっ!」




提督「どうしました……」



阿武隈「いえ、キスカの時に廃人化していた自分を振り返っていただけです。あの日の自分を越えるのはこの戦いですから。それは皆さんも同じ」



阿武隈「との後に、私達の今後はどうなるのかなって。見た目は子供でも、電さんとかは小学校? 周りと仲良くやれるのかなあ、とか」



ぷらずま「余計なお世話なのです……」



提督「未来の話ですか。いいですね。大丈夫です。見た目は子供、中身は大人の名探偵も小学生と仲良くやっているじゃないですか」



阿武隈「いや、それに当てはめられても……」



提督「詳しくは決まっていませんが、今までの規定とは変わりますし、そこらはまだ具体的に決まってはいないみたいです。とりあえずこの戦争が終わったらみなさん月単位の休みが出るはずなので、その間に追々です」



阿武隈「そうですか。最近は忙しいので、しばらくゆっくりしたいですねえ」



雷「司令官、サラトガさんと旅行の約束したわよね。サラトガさんと連絡のやり取りしているけど、終わったら行こうって」



提督「そうですね。皆さんも一緒に行きましょうか。きっとよき思い出になると思います」



阿武隈「はいっ! そのためにも全員生還ですね! 任せてください!」



提督「期待してますよ。では解散」



……………


……………


……………


龍驤「秋津洲、ちょっとお願いがあるんやけど」



秋津洲「?」



龍驤「うちが連れ去られた時、余裕があれば秋津洲が助けに来られるように提督に進言して欲しいんや」



秋津洲「構わないけど、なんで?」



龍驤「せやなあ……」



【8ワ●:決戦直前】

 

 

バタバタバタバタ

 

明石さん「提督っ!」

 

 

提督「どうかしましたか? もしかして響さんが起きました?」

 

 

明石さん「……残念ながら」

 

 

明石さん「でも、大変なんです大変なんです! 私の人生初めての異常事態が!」

 

 

提督「落ち着いてください」

 

 

明石さん「全ての妖精さんが突然!」

 

 

明石さん「仕事しなくなりました!」

 

 

提督「……」

 

 

提督「そうですか」

 

 

明石さん「そうですかって落ち着きすぎですよ! 妖精さんいないと建造も開発も出来ないんですよ!?」

 

 

提督「操縦妖精が眠る弓矢や、式神式といったものの状態は確かめましたか?」

 

 

明石さん「あ、それは……」

 

 

提督「いませんけど……あ、提督さんからの指示通りそれは真っ先に大量製造してありますけど」

 

 

提督「乙中将が引き出してくれた情報化通りです」

 


明石さん「悠長ですね。妖精さんが機能しなくなるってことは私達の戦闘不能に直結する大打撃です……」


 

提督「明石さん、今の状況は自分達が生きるために必要な水の供給が止められた、と認識してください」

 


提督「弓矢、式神式、そういった物に保存してある妖精は使えるはずです」

 

 

明石さん「海の傷痕の仕業ですよね」


 

提督「ですね。恐らくは妖精さん達の稼働に必要な想の供給を止めたのだと」

 

 

提督「このゲームを運営するだけの妖精が、ゲームの進行に深刻な脅威を与える(壊)を排除するためにゲームを一時中断させた、んですかね」

 

 

明石さん「ん? ちょっと待ってください。深海妖精もいなくなったのなら、深海棲艦サイドも兵隊を補充できなくなってる?」

 

 

提督「深海棲艦サイドだけ通常運営ならゲームが終わってしまうほどの戦力差になります。すぐにこっちの敗けです」

 


提督「が、どうでしょうね……」


 

提督「まあ、この戦いを運営するために存在する妖精ですから、戦争を終わらせるためでなく、あくまで脅威の排除と見るべき」

 

 

明石さん「始まり、ましたか」

 

 

提督「そう、ですね」

 

 

2

 

 

提督「わるさめさん離れてください」


 

わるさめ「うわあああん!」

 

 

わるさめ「司令官司令官司令官!」スリスリ

 

 

わるさめ「深海妖精いなきゃわるさめちゃん戻れないよお!」スリスリスリスリ

 

 

わるさめ「責任取って結婚してわるさめちゃんを幸せまで輸送護衛してくださあああああい!」

 

 

わるさめ「先払いでわるさめちゃんのお胸をどうぞ堪能してください!」ムニュムニュ

 

 

ぷらずま「●ワ●」

 

 

ぷらずま「人生のゴールしたいなら今すぐ屍を晒させてやるのです」

 

 

提督「わるさめさん暑苦しいです」

 

 

わるさめ「この人、胸押し付けても眉ひとつ動かさね……」

 

 

提督「少し物足りませんね……」

 

 

わるさめ「ちょっとフーゾク行ったからって調子のってんじゃねっス……!」


 

わるさめ「わるさめちゃん、どうしたら戻れるかだけ教えて……?」

 

 

提督「海の傷痕を消せば、あなたのなかの深海棲艦も春雨艤装も消え失せて、戻れますから」

 

 

提督「なお希望的観測」

 

 

わるさめ「やってやんよー!」

 

 

3

 


レ級「さて、行くか」

 

 

ネ級「やっとこの日が来ました……!」

 

 

水母棲姫「本当よ。長かった……」

 

 

中枢棲姫「そうですね。しかし……」

 

 

レ級「どうせ出番の特攻まで待機時間あるんだし、このゲーム持っていっていいかな」

 

 

ネ級「いいんじゃない」

 

 

中枢棲姫「ダメです。大体あなた達は頭にお花をつけて、海屑艦隊のTシャツ……そのラフな格好に、荷物まで持って……」

 

 

水母棲姫「ハワイ旅行に行く雰囲気出てるのは分かる」

 

 

中枢棲姫「必要最低限で構いません」

 

 

中枢棲姫「立つ鳥跡を濁さず、です」

 

 

レ級「分かったー。それじゃ」

 

 

ネ級「行きますか」

 

 

水母棲姫「激励も別れの言葉も要らないわね」

 

 

中枢棲姫「そうですね。さあ、今一度、気合いを入れてください」

 

 

中枢棲姫(……この日を待ち望んでいた)



中枢棲姫(よくも私達を)



中枢棲姫(……弄んでくれたな)

 

 


………………

 

………………

 

………………

 

 

戦艦棲姫「0基地にいないじゃない」

 

 

リコリス棲姫「えー、いなくていいのよ。少し思い当たるところを回ってみたけど、チューキのお手紙があったわ。私のお墓があったけど、誰が作ってくれたのかしら?」

 

 

リコリス棲姫「センキは皆と合流したいの?」

 

 

戦艦棲姫「別に。私はあんたらと違って仲良しごっこの輪に入るのはごめんよ。再会したところであのガキ二人が騒いでこじれるだけだろうしさ」

 

 

戦艦棲姫「死んだのに甦るのは、人間じゃないからー、とかいいそう」

 

 

リコリス棲姫「そうそう。チューキから指示はもらってるし、情報量もとてつもないわね。電ちゃんの提督さん、まさか私は達も輪に入れてくれるだなんておかしな人もいるものね」

 

 

戦艦棲姫「対深海棲艦海軍が深海棲艦と協力とかもう戦争終わってんじゃないの?」

 

 

リコリス棲姫「ふふ、そうね。私達と対深海棲艦海軍の戦争は終わったのかもね」

 

 

戦艦棲姫「終わりよければ全てよし、とはいかないのよ。リコリス、あんたは電のやつを許しているみたいだけど」

 

 

リコリス棲姫「そうね。あの子はとても優しい殺し方をしてくれたから」

 

 

リコリス棲姫「私のお墓を作ってくれたのも電ちゃんなのかも。ふふ、抱き締めてあげたい」

 

 

戦艦棲姫「私は思うところはあるわ」

 


リコリス「海の傷痕を倒す。別にやることは変わらないんだから。海の傷痕はしっかり教育してあげないと」

 

 

戦艦棲姫「敵は二人よ」

 

 

リコリス棲姫「海の傷痕と?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 

わるさめ。

 

 

 


 

 

 

 

リコリス棲姫「センキはわるさめにやられたものね……」

 

 

戦艦棲姫「あんのテンション馬鹿の頭が足りないせいで、くたばる羽目になったのよ。そもそもリコリス、あんたがあの馬鹿の教育が足りないのよ。私がやっとくべきだったわね。チューキのやつも作戦の伝え方をミスってんじゃない。どう考えてもレッちゃんはおかしいでしょ。スイキかあんたがわるさめのやつに伝えれば良かったの」

 

 

リコリス棲姫「今となってはあなたのネチネチしとところも、愛しいわねー」

 

 

戦艦棲姫「そういえば最初に私をセンキ婆とか呼んだのもわるさめのやつだったなア……」

 

 


戦艦棲姫「うし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 

やっぱわるさめだけは殺すわ。

 

 


【9ワ●:暁の水平線に勝利を刻んでください!】

 

 

元帥「多忙なところ申し訳ないとは思わん! えー、こほん」


 

元帥「手元の資料を見てくれたら分かると思うが、わし、甲大将、乙中将、丙少将、そして青山君、この5人の保有する戦力で決戦に挑む」

 


元帥「先行部隊哨戒で敵の位置、そして進路とその目的も絞り込めた」

 

 

元帥「目的地は鎮守府(闇)と思われる」

 

 

元帥「敵艦隊の主力メンバーも先行隊が確認している」

 

 

元帥「まず倒すべき敵、想の妖精、その総轄である当局及び此方」

 


元帥「海の傷痕と命名する」


 

元帥「そして現敵戦力」

 

 

元帥「いくつか軍艦を出して煽ってみたが、どうやら艤装反応がなく、彼等に妨害をしなければ、こちら側に攻撃をしてこないようだ」

 


元帥「恐らく明確な目的を純粋に遂行する敵だ。向こうの目的はいわずもがな、とりあえずの『壊:バグ』の排除、『殲滅:メンテナンス』だ」


 

元帥「本体の取り巻きの深海棲艦のほうだが」

 

 

元帥「戦艦棲姫、軽巡棲姫、駆逐水鬼、装甲空母鬼、これらを第1艦隊の旗艦として据えた連合艦隊、本体勢力としての数は」

 

 

元帥「36隻、と【海の傷痕(当局:此方)】の38隻」

 

 

元帥「加えて」

 

 

元帥「海の傷痕:当局の戦闘能力は、こちらの電、春雨を上回ると想定」

 

 

元帥「一定練度に達していない兵は後方支援に回ってもらうが、ここに記してある艦は前線だ」

 

 

元帥「例の攻撃は必殺の意味合いを持たないとみたうえで、艦隊編成を塾考し」

 

 

元帥「最低でもS勝利だ。深海棲艦は一匹足りともここから先の未来に行かせない」

 

 

元帥「こちらの殉職者はなし」

 

 

元帥「わしより若い命が朽ちることは許さん。誰か一人でも殉職者が出たのならば敗北と受け止めろ、と」

 

 

元帥「全員だ。全員の生還を持ってして作戦成功とする」

 

 

元帥「異存はないかな」

 

 

 

 

 

 

元帥「提督の諸君」

 


 

 

 

 

 

 

 

――――ありません。


 

元帥「では大淀」


 

大淀「今回は私も戦線に加わります。予想される波は海の傷痕:此方の情報によると『7』です。事前の情報を踏まえ、越えるべき段階も『7』と予想されます」


 

大淀「先陣の乙中将の『E-1』、その後に順次局面は展開されると思います。『E-7』まで作戦が不透明なところもおありでしょうが元帥と准将による判断によるものなので、それぞれの役割を確実に、です」

 

 

大淀「本作戦において理想的な流れであっても最短でも24時間の経過と判断。日を跨いだ持久戦が想定され、入渠、工廠の各施設を取り入れた拠点軍艦を後方に配置、支援艦隊として洋上補給艦隊、海上修理艦隊、撃沈者救出潜水艦隊を総動員です」

 

 

大淀「艦隊の迅速な対処のため、指揮官の連携を」

 

 

大淀「後はそうですね、青山准将、なにかありますか?」

 

 

提督「おそれ多いです……」

 

 

甲大将「何のために准将の地位に座らせたと。なにかあるならいってくれ」

 

 

大淀「あ、私は、外しますね」

 

 

提督「……今のところ予定通りです。海の傷痕が本気を出してくるのが『E-6』の段階と想定、全力を出してくるのが『E-7』と見て『E-6』で潰す策です」

 

 

提督「恐らくそれまで姫鬼を交えた深海棲艦が100体単位で沸いて、大淀さんのいう通り、夜戦も通す苦しい持久戦になると思います」

 

 

提督「加えて早期のタイミング、『E-2~3』でぷらずまさんの解体に入る、かな。そして中枢棲姫勢力の加勢タイミングはチューキさんに任せてありますので」

 

 

提督「ここは断言しますが、海の傷痕は絶対にしばらく遊び半分です。ギリギリのタイミングまで、更に情報を探ります」

 

 

提督「欠陥だらけの史実砲、経過程想砲、それに海の傷痕:此方と海の傷痕:当局の艤装そのもの、当局の艤装を破壊してからの修復時間、そして海の傷痕:此方にも影響が見受けられるのか。その逆もです」

 

 

提督「全員生還を妨げる脅威、史実砲についての最悪のケースは資料にある通り、本官さんを介してロスト空間へ支援へ出向けない状態にて、単艦でロスト空間に連れて行かれた場合、ですね」

 

 

提督「詳しくはお話できないのが心苦しいですが、『E-6』まで耐えて頂ければ、必ず予定されている闇の戦力が海の傷痕:此方、当局を沈めます」



提督「長くなりました。自分からは以上です」

 

 

丙少将「まあ、そこらは信じるしかねえや」


 

乙中将「だね。まー、なんとかならなくてもなんとかしてきた面子だし」

 

 

甲大将「だなー。先陣はうちが切りたかったけど」

 

 

乙中将「僕らのほうが適任だよ。持久戦は苦手だからねえ。神通も山城さん、夕立、今回は飛龍も、か。特攻気質があるからー」

 

 

甲大将「……、……」


 

甲大将「まあ、色々と融通を利かせるように動けば良さそうだ」

 

 

元帥「じゃあ、大淀ー」

 


大淀「はい。えー、こほんっ」

 

 

大淀「では提督の皆さん、本作戦開始です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大淀「暁の水平線に!」




大淀「勝利を刻んでください!」



2



提督「皆さん、よくぞこの日まで辿り着いてくれました。それぞれが過去に未来に、そして最後となる今に思うところはあるかと思います」



提督「皆さんは、容姿よりもずっと長い時を生きていても、本来の同世代と比べて大人の1面もあれば、子供の1面もあり、アンバランスですよね」



提督「ちょっと提督として一言」



提督「我々人類の悲願である深海棲艦のいない海が、どこまでも行ける自由が手に入ります」



提督「今のあなた達なら分かるはずです」



提督「街にあるすべての当然は最初期からあったわけではなく、全て過去が勝ち取ってきた恩恵だということ」



提督「その1つにどれだけの血が流れて来たのかを、国定教科書ではなく、その身を持って知ったはずです」



提督「大本営は『全員生還』を我々に命じ、かつメディアによって国民にも知れ渡っている模様です。台風の中心は静かですが、外ではそれはもう」



提督「ですが、我々は全員生還は達成出来ない。我々と手を取り合えた中枢棲姫勢力はこの海に沈み消えるのです」



提督「中枢棲姫さんのことを少し語っておきます。鹿島艦隊の悲劇のことで複雑ではありますが、それを踏まえてなお、伝えておくべきこと」



提督「思考付与能力の誤作動で、忘れていた過去の記憶を思い出したみたく。あの人、最初期の深海棲艦ですね。もともと理性は強いほうだったみたいで最初期のほうも比較的大人しめ、だったと」



提督「始まりの艤装、電を沈めたのも彼女です」


 

ぷらずま「……」



わるさめ「チューキちゃん、そんな古い深海棲艦だったのか……」


 

提督「まだリコリスママさんにしか話してない、といっていましたが、この鎮守府のこと彼女と同等に認めてくれているんでしょうね」



提督「廃課金のなかでもずば抜けていると思います。彼女と手を取り合って彼女の想の深層に触れることが出来たのは大きな収穫です」



わるさめ「私、そんなすごい人と家族だったのか……より気合い入ったよ」


 

提督「ぷらずまさんにはこの言葉を伝えてあるみたいですね。彼女の言葉が正しく自分が言いたいことでもありますので、ご清聴願います」



提督「『若き翼、勇気を抱いて偉大なる踏み込みを。暗い深海ではなく、どうかどこまでも高く透けた空に向かって』」


 

ぷらずま「……」



提督「『戦争は手段と言う過程です。ここで勝ち残り、あなた達が歩む未来のための糧なのです』」



提督「『大事なのは、あなた達がこの戦争に勝って生き残ることです。それが人々の未来のためになります』」



提督「『100年も経てば、今の時代と同じく軍艦の名前を1つも知らない人が続出するでしょう』」



提督「『歴史だって、歪められるかもしれない。現に最初期の歴史は都合よく塗り替えられています』」



提督「『どこをどう取っても今を生きる人間であるあなた達が死ぬのは馬鹿らしい』」



提督「『平和の波が、手に入れたもの全てを当たり前にします。その当たり前を得るために何人も死んできました』」



提督「『最初期との深海棲艦との戦争は』」



提督「『海に安全航路の線を引いて、深海棲艦と引っ張り合う綱引きゲーム』」



提督「『あなた達という艦の兵士は力強い防壁の錨で、勇敢にこの海の重さを量ってきました』」



提督「『艦の兵士は未知の深海棲艦の

weigh:量りの役割から、引っ張り寄せるためのanchor:重しの役割へ、そして今、辿り着くために暁の水平線へと進む最終走者:anchorへと変遷を遂げ』」



提督「『偶然にもあなた達が最後にそのバトンを受け取った世代です。後は見えているゴールまで駆け抜けるだけ』」



提督「『そのバトンの重みは艤装適性者である皆さんには今更語るまでもありませんね』」



提督「『ではともに暁の水平線まで。皆さんの武運長久を祈ります。チューキさんより』です」



提督「では最終作戦名:あの素晴らしい電(天使)をもう一度」



ぷらずま「ホントにその作戦名になったのです!? もしかしたらそれ教科書に載るのですよ!?」



提督「深海ウォッチングの辺りからこの鎮守府(闇)の作戦名なんて飾りですし」



阿武隈(飾りなんだ……)



提督「ま、皆さん……じゃないか。今回はあえての逐次投入ですね」



提督「それでは第1艦隊、第2艦隊、そして第3支援艦隊の皆さんは」



提督「weigh anchor」



提督「です」



【10ワ●:想題当局:リヴァイアサン】


 

小難しく、

薄っぺらく、

波の間に間に、

自然に還る。

  

 

この世の全ては自然である。

陸の焼け野原に誘われて、海が干上がっても、それは人間という自然存在と、この星の釣り合いを取るための調和ではあるのだ。

 

 

自然の輪から、

逃れられるモノはいない。

 

 

そして自然には、

慈悲も残酷もない。

 

 

当局は、海の傷痕である。



人間から産み落とされた、

新たなる永遠の歯車である。

 

 

誕生と破滅を司る、

戦の記憶に基づき、

人間を導き足りるに値する、

唯一の生成存在である。

 

 

万物の根源である水のように、

たゆたう想:意思だ。

 

 

真理にて命ある者は、やがて死するのみ。

ならば、この無限定の想の器は、人間が辿り着く、命の拠り所となろう。

 


海の傷痕の中に還れば永遠を獲得する。当局の誕生により、命とは、この無限定の海の傷痕から外れることで、限定生成存在と成り下がる。

 

 

ならば、然るに、

 

 

当局が知覚する命とは、この永遠から抜け出してしまったことで、肉体の死滅によって償う罰則が宿命付けられた儚き夢現:ラフレシア。

 

 

楽になる方法はたった1つ。


 

神は永遠から抜け出した罪に対しての罰、肉体の死滅を約束した。

 

 

自然には慈悲も残酷もなく。

 

故に、肉体の死滅を救いに設定した神のなんと慈悲深きか。そう、神は自然と違って慈悲深いのだ。

 

 

神は、人間のために産まれ、その慈悲深さは人間のためだけにあるのだから。

 

 

その救いに信仰心を覚えた人間は癇癪を起こし、同じ神の名を挙げた同志を殺し始めた時もあった。

 

 

抗うからこそ、生命は苦しむ。

神の設定に抗い続けてきた人間の文化と遺伝子こそ、慈悲と救いを逃れ続けてきた神の反逆者である。

 

 

心のままに。想のままに。

 

 

ゆらゆらと、波に揺られる船のように、生きるのである。

 

 

人の業の象徴である、争いはなくならず、全ては心のままに。

 

 

第2の海の傷痕を産み出さない。

此方と当局の目的を当てたまでは『さすが人間である』と褒めるべきか。

 

 

だが、戦争は否定するに値しない。

此方を愛していても、

分離した個であるのが当局だ。

 

 

人間の命を尊重するとは、

人間の命を奪う、も手段とする。

やったら、やり返される。

 

 

群れは秩序を産み、

多数の生存を補助し続け、

繁栄を促進したが、

 

 

今を生きる人間の全員生還まで辿り着けず。

 

 

理屈で理想を鼻で笑う人種の価値観が感染し、代償は高く。

 

 

限られた数の繁栄による必然はそれ以外の犠牲を産み、

 

 

いつしか人は、

それ以外の犠牲にならないよう、

椅子取り戦争ゲームが勃発した。

 

 

自然淘汰から弱肉強食に傾き始め、

現代はより気品ある原始の時代へと。

 

 

時代はいつの世も、歴史に逆ネジを巻いている。これもまた大いなる自然の黄金比を形成する美しき歪である。

 


人間は、神の環を否定するのならば、

自然の環に生きるしかあるまい。


 

ならば、受け皿となろう。

その輪廻を形作る自然法の、1等辺に従い、ただ生きるのだ。

国家など形成せずに。

秩序とは外れた本当の自由の先に、


 

海の傷痕の世界がある。

 

 

公式の場で発表された公定価格と定められた国定教科書を破り捨て、法定速度を越えてゆくのだ。

 

 

戦争はお亡くなりにならない。

ならばこそ、

当局の居場所がないはずもない。

しかし、

当局は倒される立場にある。

 

 

人間の価値観の、

人間による都合の、

人間のための、理想の礎となる為に。

 

 

戦いを終わらせようと、戦いをするこの矛盾こそ、人の死滅を生成させるに至る。そのどうしようもない性質に「やれやれ、全く」である。

 

 

当局はいつの世も、居場所がある。

人類が戦争を許容する限り、戦争神であるこの存在は、やがて、自然の一部として認知されていくであろう。

神:災害、と。

 

 

思うままに生きた挙げ句、動物的な社会の王とならんがため。

強きものが上に立つのは最初期より。より強い暴力を振るえるものが、上に立つ。

 


ただオジョーヒンになってはいるな。

能はあるから恥を覚えて、その身の牙を溶かし、爪を削ぎ、綺麗な家材で隠すように彩ってはいる。

 

 

ケラケラ、神話のごときに小賢しい劇的な進化であるな。どこかで妙な栄養のある果実でも拾い食いしたか?

 

 

第2の海の傷痕を産み落とさない。

しかし、

これはだな。

第1の海の傷痕が生きていることでも達成されるし、その他にもやりようがある些事なのだ。要はどれを選ぶかの問題に過ぎない。

 

 

戦争終結に笑いを返そう。

『艦隊これくしょん』は当局が運営を続ける限りは終わらず。

 

 

終わらせる方法は1つ。

この海から去ることのみ。

この戦争の輪から外れて、

また別の営みの輪へと、

馴染むことである。

つまるところ、

卒業。

という言葉が適当であるか。

 

 

――――てーっ!

 

 

おっと、また当局の中で永遠の夢を見ているやつがいるようだ。

 

 

どうしようもないことに

必死になれるのは、

人生の醍醐味であるな?

 


人の願いを、聞き届けよう。

 

 

戦争終結だったか。

勝とうが負けようが、些事だ。

どちらになろうが、

あなたに夢を魅せて、

あげられるのだから。

 

 

当局と此方を負かせば、

あなた達の想像する通りの、

景色が見えるであろうよ。

 


当局が勝っても、

戦争は終結するであろうよ。

もちろん、

あなた達の想像する通りの、

景色ではなかろうが。

 


重要視するのは、争いを起こさない環境にて、争いを起こさない精神のみだ。悠久の平和を。


 

全ては当局という、

例外の存在によって、

人間の新たな本質を、

その遺伝子に刻もうか。

 

 

機械的かつ効率的に、

統治を執り行うことにより、

それを、

唯一の世界の平等とする。

 


神となる存在は必要である。

神の存在が人間に与えた崇高は、

祈りである。

 

 

祈りは無償だ。

タダより怖いモノはない。

全く、やれやれ。

そういってなお、

無神論者の皆様は、

祈りを、無力だと認知しがちだ。

 

 

波の間に間に神はいる。

その神への祈りの先の代理存在は、

人間から産まれた存在、

人間と神の中間管理職である、

海の傷痕こそが適任だ。

 

 

全てを無償で与えよう。

 

 

人間が束になってかかっても、

海の傷痕は倒せない。

倒せるとしたら、このクリア可能に調整したこの戦争のみ、『艦隊これくしょん』のプレイヤーのみである。


 

さあ、

教育を手放し、

心のままに、

願うがいい。

 


さあ、心優しい強者よ。

あなた達の依るべき最後の存在、

神に祈りを捧げたまへ。

 

 

心のままに、生きたまえ。

 

 

貴方の帰るべきところは、

ここにある。


 

全てを奪い、

全てを与えよう。


 

さあ、

当局を否定する、

人間どもよ。

 


お手並み拝見しよう。

当局の存在が間違いだとする、

その未知の可能性を、

開示してくれ。

 

 

未知の希望があるのならば、

あなた達は、

何者にでもなれるのだから。

 


切り開こう。

論じ尽くしたこの戦争で。

 

 

この海で新たな命の誕生を、

拝んでみたいものだ。

 

 

願わくは、全てのものよ。

全てを奪われ、

なお、

その全ての問題を解決に導ける、

神など要らないと。

自信を持って、

ほざきたまえよ。

 


最後だ。全員生還を成し遂げるか。最もそんな気概を打ち砕くかのような性格の悪いギミック満載でもあるが。

 

 

それでもなお、と。

今回はそんなプレイヤーを、

接待しよう。

 

 

艦隊これくしょんは、空想と現実の狭間に生を獲得するために始めたもの。

 

 

ただの海の傷痕という今を生きる命による戦争という名の生きる術である。

 

 

平等にしてあげよう。

少なくとも、劣悪を無くして。

 

 

安心したまえ。

 

 

真に悪き人間は、

檻に入らず。

だからこそ、

善い人間足り得るのだ。

 


さあ、いよいよ持って、

どん詰まった世界の、

新たな夜明けである。



天駈ける流星の群れが、

海の水平線に、

還るかのように、

優しく自然に、

 

 

全ての権利を委託せよ。

 

 

誰もが取り返しのつかない過ちを犯さないよう道徳的な最後を迎えられる、そんな最良の自然へと。

 

 

この娯楽と履き違えるほどの調整と加減を施された戦争で、人生を投げ打ったその薄っぺらい生命に祝福を。

 

 

さあ、

膿化する過去の傷痕を塞ぎに逝こう。


 

誰よりも人間を理解している。

人間よ、刮目せよ。

次は貴方達が、

海の傷痕を理解するがいい。

 

 

手には古ぼけた想の、

ナマクラに尖る黒鉄の刃を。

 

 

 

いざ、尋常に、

 

 

 


 

未来を、

 

 

 

 

 

 

斬り開く。

 

 

 

 

 

想の軍艦、海の傷痕。

 

 

 

 

 

 

weigh anchor.


後書き








【●ワ●:11章終:●ω●】

ここまで読んでくれてありがとう。


12章のお話↓(投下はこの章の残りと同時にしたい。そう思っていた時期もありました。すみません。

【1ワ●:E-1】

【2ワ●:E-1:ロスト空間】

【3ワ●:想題:山城】

【4ワ●:E-1:ロスト空間 2】

【5ワ●:E-1-2】

【6ワ●:想題:神通】

【7ワ●:殲滅:メンテナンス】

【8ワ●:わるさめちゃん、参る!】

【9ワ●:偉大なる寄り道】

【10ワ●:響とВерный:три】

【11ワ●:E-2】

【12ワ●:想題:龍驤】

【13ワ●:Fanfare.龍驤】

【14ワ●:経過報告】

【15ワ●:Fanfare.5航戦】

【16ワ●:E-3】

【17ワ●:E-3-2】

【18ワ●:想題:武蔵】

【19ワ●:経過報告-2】

【20ワ●:E-4:最終防衛ライン死守作戦】

【21ワ●:海の傷痕:此方撃破作戦-1】

【22ワ●:E-4:最終防衛ライン死守作戦-2】

【23ワ●:想題:?】

【24ワ●:?より】

【25ワ●:想題?&?】

【26ワ●:?より】

【27ワ●:想題:響&?】

【28ワ●:想題:響&Верный】

【29ワ●:Верныйより】

【30ワ●:Fanfare.響改二】


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