No6 提督 『 集まれ!メイド イン 黒髪艦隊 』
悪夢のような罰ゲームを終えてから数日後……元帥に呼ばれた提督は初期艦で秘書艦の那智と共に海軍本部へ赴く。
そこでの新しい出会いにより、その後の生活が少しずつ……しかし確実に楽しい方向へ変化していく。
確信したっ!( 提督談 )
楽しいなぁ……楽しいなぁ……大型建造 1500 / 1500 / 2000 /1000 ! 矢矧が来ないで 長門が 2人来たぁ~♪
もう既に1人着任してくれてるんだよなぁ…… ( 遅れて陸奥さんも 1人来てくれました。)
どうも、御無沙汰してます。柔時雨です。
以前、提督が異動する話を投稿した後、実際の艦これを久しぶりに起動 ( ボーキが自動である程度溜まるまで放置してました )してみると
メイン画面上方のメニュー左から2つ目に 『 サーバー転属 異動願い 』 の文字が……Σ ( ゜ ロ ゜;)
「( あれ……?異動 (コレ ) したらリアル友人と同じサーバーで遊べるっつうことか?協力戦(?)援軍(?)ktkr!いや、だが待てよ……
コレ、異動したら今の艦隊は?俺の那智はどうなる!?艦隊移動できずに綺麗さっぱりは御免だぞ!)」
と思い、赤くぼんやり光を放つ文字 (それ )を放置しながら自動で資材が溜まっていくのを待つ日々を過ごしています。
さて……そんな話は置いといて。何とか無事に6話投稿させていただきました。
相変わらず会話文主体のSSになりますが、覘きに来てくださった方が少しでもクスッとしてくださったなら幸いです。
どうぞ、ゆっくりしていってください。
鎮守府 ・ 執務室
朝潮 「失礼します!司令官……司令官?」
祥鳳 「あら。どうしたの?朝潮ちゃん。」
朝潮 「いえ、司令官に次の遠征のことでお話があったのですが……不在なのですか?」
矢矧 「えぇ。那智と一緒に本部に出向いているわ。確か、明日の夕方には戻って来ると言っていたけど……」
扶桑 「簡単な指示なら私達でも出せるかもしれませんが……提督から 『 戻って来るまで出撃と遠征は控えるように 』 と言われていますし。」
長門 「独断で動いて何か遭ってからでは、提督に合わせる顔が無いからな……すまんが、その話は提督が戻ってから直接してくれ。」
朝潮 「はいっ!ところで……皆さんはこちらで何を?」
長門 「ん……まぁ、皆考えることは同じのようでな……」
矢矧 「出撃も遠征も無くて時間を持て余していたから、提督の書類仕事の整理くらいは……と思ってね。」
朝潮 「そうだったのですか!じゃあ、朝潮もお手伝いします!」
扶桑 「うふふ。ありがとうございます、朝潮ちゃん。」
†††††
海軍本部 ・ 元帥の部屋
提督 「……人を呼んでおいて、遅れてくるとか……まったく、あの爺さんは。」
那智 「そう言うな。元帥殿も多忙なのだろう。」
提督 「まぁ、そうなんだろうけど……おっ!元帥の机に何やら食い物が……」
那智 「おい。勝手に食べるのは駄目だろ。後で怒られるぞ。」
提督 「そう言われてもなぁ……許可を取ろうにも元帥はこの場に居ない、そして俺は小腹が空いている。大丈夫だって、後でちゃんと謝るから。」
そう言いながら俺は元帥の机の上にあったマフィンともスコーンとも言い難い、何かよく解らないお菓子を手に取って一口食べ……そのまま突っ伏すように倒れた。
那智 「司令官!?おい、どうした?司令官!」
元帥 「いやぁ、待たせてすまんかった……って、のおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?これは一体、何事……」
那智 「元帥殿!司令官が、司令官が……」
慌て戸惑う那智のその声が徐々に小さく遠く聞こえていくのを感じつつ、俺の意識は薄れていった。
——————————………
提督 「—————……はっ!はぁ……はぁ……」
暗転から一転、自分の意思で開けることができた目に飛び込んできた景色は白い天井に、白い光を放つ蛍光灯。
首を動かし、横方向へ視線を向けると、映り込んできたのは白い壁と、白い床、そして離れた場所にある白い引き戸式の扉。
そして俺は今、純白のシーツと布団で清潔感を漂わせているベッドの上に横になっていることに気付いた。
しかし……何だ?俺の腹部に掛かるこの圧迫感は?あと、俺は何で上半身裸なんだろう?
首が動いたんだ。体も動くだろうと思い、腹筋の要領で上半身を持ち上げると……その圧迫感の正体に気が付いた。
??? 「見ています。」目ト目ガ合ウ~
提督 「うおぉぉぉぉぉぉぉ!?あぁ……ついに死神が……」
??? 「え?あの……違っ……うぅ……」
那智 「司令官!目が覚めたのか!」
提督 「那智……が居るということは、俺はまだ生きてるのか?いや……確か、あの世へ旅立つ直前、死んだ奴はこの世に残した遺族の姿を見るとか何とか……なるほど、これがそうか……」
那智 「…………っ!」
ゴスッ!
提督 「……痛いじゃねぇか。いきなり頭頂部に手刀を振り下ろしてくるんじゃねえよ。」
那智 「痛いと感じられたのだろう?それが生きているという何よりの証拠ではないか。本当に……よかった……」
提督 「……すまん。それより、何が遭ったんだ?元帥の部屋でお菓子……のような物を食べたトコまでは覚えてるんだけど……」
??? 「それが原因ですね……」
那智 「司令官はそれを食べた後、そのまま何の素振りも見せないで伏せるように倒れてしまってな……この病室へ運んだあと、彼女と共に看病していたんだ。」
提督 「そういえば……君は?あと、上半身が裸の理由も教えてほしいんだけど?」
??? 「あっ……ごめんなさいね。自己紹介がまだだったわ……夕雲型駆逐艦、その十七番目、早霜です。」
提督 「17番目!?はぁぁ……やっぱり、駆逐艦ってのは大所帯なんだな。それはともかく、さっきは失礼な事言ってしまってすまなかった。那智と一緒に俺を診てくれてた恩人だっつうのにな。」
早霜 「いえ……私も紛らわしいことをしてごめんなさい……でも、那智さんの司令官の意識が戻って良かったです。」
那智 「あと、上半身裸の理由は、発汗が酷かったのでな。タオルで拭き終えたところで、司令官の目が開いたんだ。」
提督 「そっか……ありがとう。それで、話を戻すんだけど……あの食べ物は一体、何だったんだ?口にして卒倒したってことは、味は……まぁ、そういうことなんだろう。舞鶴鎮んトコの比叡が此処に来てるのか?」
那智 「いや。あれを作ったのは…………」
元帥 「おぉ!目が覚めたか!この騒動を原因を連れて来たぞ。」
そう言いながら元帥が黒髪の女の子を連れて病室に入って来た。
いや、それは良いんだが……何で浜風が一緒に居るんだろう?
浜風 「提督っ!ウチの磯風が申し訳ありませんでした!」冷や汗ダラダラ
提督 「磯風……って、そっちの娘か?」
磯風 「うむ。陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風だ。」
浜風 「ちょっとは申し訳なさそうな態度をしなさい!」
提督 「12……確か浜風が13番艦だったから……あぁ、浜風のお姉さんか。けど、磯風が原因って……?」
元帥 「実は……この磯風は武勲艦ではあるのじゃが、その反動……とでも言えばいいのか、料理に関しては致命的でな………」
磯風 「そんなことはない!最近では、サンマだってちゃんと焼けるようになったぞ!」
浜風 「七輪を台無しにして、自身もボロボロ……肝心のサンマが炭みたいになっているのは、『 ちゃんと焼けた 』 とは言わない。」
早霜 「前に1度……元帥の食事を当番制にしようという話がありまして、実行して磯風が当番になった時……元帥が泡を吐いて倒れたことがあったんです。」
提督 「……よく死ななかったな、爺さん。」
元帥 「あの時の自分の意地と気力を誉めてやりたいわぃ……大淀が居なければ、本部の艦隊運用が完全に止まっていたな。」
那智 「しかし……あのお菓子は、見た目はちゃんとできていたではないか。味は知らんが……」
提督 「お前も食えばよかったのに……」
浜風 「実は……最近、磯風が料理をする時に私か浦風が同伴するようになったのですが……そのせいなのでしょうか、磯風の料理は『 見た目は問題無いのに、味が地獄級 』 という改悪の方向へ進化してしまったのです。」
提督 「まぁ……原因は解った。それに、元帥の許可なく勝手にお菓子を食った俺に責任があるんだから、磯風を咎めるような真似はしねぇよ。」
磯風 「すまない……寛大な対応に感謝する。」
提督 「……で?元帥。今日は何の用で俺を呼んだんだ?」
元帥 「おぉ、そうじゃった。実はな……先日、君の鎮守府でやった鬼ごっこを編集したDVDを此処の視聴覚室で流したところ……駆逐艦の子達が真似をするようになってな。」
提督 「それは報告で聞いていたけど……悪いことは言わねえから、悪影響を及ぼす前に止めさせた方が良いぞ。」
那智 「いや……それは率先してやっていた私達が言っても、説得力皆無だろ。」
卯月 「あーっ!タイキックの人!タイキックの人ぴょん!」
時津風 「ホントだー!タイキックの人、来て!ちょうど今からやるから!」
提督 「タイキックの人って……タイキックの人って!俺、提督なんですけど?ちょっ……服を引っ張るな!俺、ある意味で病み上があぁぁぁぁぁぁぁぁ………」強制連行
那智 「司令官!?司令かぁぁぁん!」
元帥 「すまん……あの子達には後で儂から注意しておくから……」
◇◇◇◇◇
二二〇〇
海軍本部 ・ 廊下
提督 「うあぁぁぁ……結局5回もキックしちまった。双方了承の上だったから良かったものの……流石に疲れた……ん?」
早霜 「あ……那智さんの司令官。本日はお疲れ様でした……」
提督 「ん?あぁ、早霜だっけ?まぁ……これも交流の一環だと思えば……な。それより、こんな所でこんな時間に何してるんだ?」
早霜 「特に何も……此処から夜景を眺め、少し……昔のこと……『 艦 』だった頃のことを思い出していたの。」
提督 「すまん。提督業をしてるっていうのに、そういう歴史にあんまり詳しくなくてな……早霜の気分が悪くならない程度に教えてくれねえか?」
早霜 「そうですね……私、早霜は秋霜や清霜と共に第二駆逐隊に編入され、レイテ沖に行ったりしたわ。その後、サマール沖での戦争に参戦して……損傷してしまったの。」
提督 「へぇ!レイテ沖に行ったのか。」
早霜 「はい。それに先立つ10月21日に、航海長さんが 『 必勝を期して乾杯しましょう! 』 と提案して秘蔵のシャンパンを持ち出してくれたのだけれど……栓を開ける際に誤って瓶を落として割ってしまい、その場にいた全員から 『 先行きの不吉 』 を思わせるオーラを全身で感じたのを、今でも覚えているわ。」
提督 「お……おう………」
早霜 「そして忘れもしない10月26日。集中攻撃されて……私に乗っていた船員さん達にも死傷者が出て……私の体はボロボロだったけど、それでも何とか頑張って、旗艦だった能代さんの命に従ってコロン島まで単独回航したんです。」
提督 「………」
早霜 「それからまず、沖波さんに助けていただき、その際に……沖波さんと同じように救援のため駆け付けてくださった藤波さんが、私達の目の前で空襲を受けて沈没してしまいました……。」
提督 「…………」
早霜 「その翌日……今度は不知火さんが私を見つけてくれました。しかし、私は藤波さんの沈没を目の当たりにしています……まだ敵が居るかもしれないので、慌てて不知火さんに 『 敵襲の恐れがあります!来てはいけません! 』 ……と、信号を送ったのですが……不知火さんはそれにも関わらず、私のために救助のカッターを下ろし始めてくれました……が、嫌な予感が当たってしまったの。」
提督 「まさか………」
早霜 「お察しの通り……不知火さんが救助活動を開始した直後に敵襲がありました。不知火さんは慌てて離脱を図ろうとされたのですが……速度が上がりきらないうちに攻撃を受けてしまい、爆発と共に大きな火柱が上がり……体が炎上されて、しかも艦そのものが真っ二つになるという凄惨な最期を遂げられました……動くことができなかった私は、その光景を見ていることしかできませんでした……」
提督 「…………」
早霜 「その後、那智さんから発艦された水上偵察機が私を発見してくださり、着水。その艦載機に乗っていた方に、私の船員さん達が藤波さんと不知火さんの最期を報告されていました。そして———……2週間後に私の船員さん達は放置生活の末に無事救助されました。しかし、幾度となく空襲を受けた私の体は穴だらけになっていて、再起不能の状態になっていました。」
提督 「…………そいつぁ、辛いな。」
早霜 「はい……とても辛かったわ。皆さんと一緒に帰りたかった……しかし、その願い叶わず、私はそこに放置されました。軍艦旗も暗号書も焼却され、主砲弾も機銃弾も全弾を撃ち尽くし、魚雷も誘爆を防ぐため投棄したために自爆することも許されませんでした。」
提督 「…………」
早霜 「そこで私の記憶は終わっているの。噂ではアメリカの船に発見されたそうですが……詳しいことは、解らないわ。」
提督 「そっか……いや、話してくれてありがとう。勉強になった。えっと……当事者じゃねえから、テキトーでありきたりなことしか言えねえけど……よく頑張ったな。」ナデナデ
早霜 「あ…………」/////
提督 「その時は仲間が沈んでいくトコを見ていることしかできなかっただろうが……何の運命の悪戯か、こうして第二の人生を歩めているんだ。同じことを繰り返さねえように頑張れ!それと……せっかくなんだし、『 艦 』 としてじゃなく 『 娘 』 としての人生も楽しめ!な?」ナデナデ
早霜 「ありがとうございます……」ニコッ
提督 「さてと……引き留めたのは俺だが、消灯時間はとっくに過ぎてるぜ。明日に支障が出ねえように、適度に休むんだぞ。」
早霜 「はい……お休みなさい。」
そう言った早霜は一礼した後、パタパタと廊下を駆けて行った。
提督 「…………」
早霜 『 見ています。 』
提督 「あの 『 見ています 』 には、いろんな意味が含まれていたんだな………」
*****
翌朝 〇五〇〇
海軍本部 ・ 元帥の部屋
提督 「爺さんの朝は早い……で?結局、昨日訊けなかったからな。今回は何が目的で俺を呼び出した?」
元帥 「そう警戒するな。今回は君にとって良い話なのじゃから。」
提督 「良い話?」
元帥 「うむ。実はな……君の鎮守府へ異動したいと申している艦娘がおるのじゃ。それも2人な。」
提督 「へぇ……天龍ですか?それともう1人は……」
元帥 「いや、期待させてしまったのならすまんが、パラオ泊地に居た彼女達ではないのじゃ。」
提督 「そうなのか?だとしたら……随分と物好きが居たもんだな。それで?誰なんだ、その物好きは?」
元帥 「まぁ、待たんか。総員起こしすらまだじゃというのに……朝食の後に、ちゃんと紹介してやろう。」
提督 「あっ……まだ6時になってねぇのか。そんじゃ、俺は飯の時間まで散歩でもさせてもらうよ。自分の鎮守府に戻ったら書類との戦いが待ってんだ……此処に居る時くらいはゆっくりさせてくれ。」
元帥 「あぁ、構わんよ。外の空気でも吸ってくるといい。」
◇◇◇◇◇
海軍本部 ・ 食堂
那智 「ほぅ……異動で新しく、私達の艦隊に2人加わるのか。」
提督 「俺はてっきり天龍達の誰かが来るのかと思っていたんだがな……」
天龍 「悪いな。此処は此処でやることがあってな……オレも他の連中もすぐに動けそうにない。まぁ、約束は守ってくれるだろうから、パラオ泊地である程度揃うのを待っていてくれよ。」
提督 「おう。その時は頼む。」
天龍 「任せておけって!それじゃ……この後遠征なんでな。悪いが、先に行くぜ。」
那智 「あぁ。頑張ってくれ。」
天龍 「那智も提督相手じゃ大変だろうが、頑張ってくれよな。」
那智 「ふふっ……承知した。」
提督 「……で?俺が昨日駆逐艦の子達に拉致られた時、有意義な時間は過ごせたのか?確か此処にはお前の姉妹が居るんだろ?」
那智 「確かに居るし、夜もそちらに泊めてもらったが……正直、今はあまり会いたくない。」
提督 「何で?お前の姉さんの……確か、妙高さんだったか?彼女に怒られるようなことでもしたのか?」
那智 「いや……妙高姉さんはこの際、どうでも良いのだが……妹がな。」
妙高 「どうでもいいというのは、どういう意味かしら?」
那智 「みょっ……妙高姉さん!?いや、今のは………」
妙高 「そちらが提督さんですか。初めまして、妙高型重巡洋艦、1番艦の妙高と申します。妹の那智がお世話になっているようで……」
提督 「いやいや、そんな……俺の方こそ。俺も結構な駄目人間なんで、那智みたいなしっかり者が傍に居てくれて助かってます。」
妙高 「本当ですか?この子、普段は真面目ですがお酒が入ると……」
提督 「まぁ、普段頑張ってくれている分の反動だと思えば、大抵のことは大目に見ますよ。」
那智 「2人共……もうその辺にしてくれないだろうか?」/////
足柄 「…………羨ましい。」
那智 「足柄!?お前も居たのか!」
提督 「そちらは?」
妙高 「私の2人目の妹で足柄といいます。そうですね……スラバヤ沖やスリガオ海峡、レイテ沖海戦で奮戦した武勲艦という認識で覚えてあげてください。飢えた狼……というのは皮肉の言葉らしいので。」
提督 「ほぅ……わかりました。」
那智 「こいつの下にまだ羽黒という妹が居るのだが……今日は非番らしくてな。もう少し寝かせてやろうと思って先に来たんだ。」
提督 「いや、待っててやれよ、起こしてやれよ。俺の事より、せっかくの4姉妹で過ごす時間の方を大切にしてやれって……」
足柄 「本当に羨ましい……私達姉妹の中では1番恋愛とは縁遠そうな那智姉さんが!まさか1番最初に提督と一緒になるなんて!」プンスコ!
那智 「なっ……!?だから何度も言っているだろう!私と司令官はそのような関係ではないと!」/////
足柄 「そんなの信じられるわけないでしょ!自分ばっかり良い人を見つけてぇ……私はまだまだ、まだまだ余裕だけど!妙高姉さんが行かず後家になったら、どうするのよ!」プンスコ!
那智 「知るか!同じ場所に居るのだから、お前が責任を持って面倒見てやれば良いだろう!?」
妙高 「………提督さん。せっかく那智とお食事をされていたようですが……少し、彼女を借りても宜しいでしょうか?朝食の時間を返上してでも、妹達と話し合わなければいけない案件ができましたので……」ゴゴゴゴゴ……
提督 「構いませんよ。別に今、特別話すような内容はありませんし。どうぞ、姉妹同士の絆や親睦を深めてきてください。」
妙高 「ありがとうございます。では……失礼しますね。」つ両手で2人の襟首掴み
那智 「え?あっ……妙高姉さん!?待て、引っ張らないでくれ!」引き摺られ
足柄 「ちょっと、妙高姉さん!?……はっ!待って!他の子が見てるし、さっき言ったことは謝るから!強制連行するような真似はしないで!」引き摺られ
そして……妙高さんにドナドナされていった那智と足柄さんを見送った後、自分の御膳に残された食事へと箸を伸ばす。
早霜 「あっ……那智さんの司令官さん。おはようございます……」
提督 「おう、早霜。……あの後、ちゃんと休んだか?」
早霜 「はい……あの、それより……先程、那智さんが妙高さんに連れて行かれてましたけど……何か遭ったの?」
提督 「ん~……何て言えばいいんだろう?言わなくても良いことを言った、その代償……ってやつかな?」
早霜 「は……はぁ……」
*****
海軍本部 ・ 元帥の部屋
提督 「さてと……あんたもこの後仕事があるだろうし、さっさと済ませちまった方が良いんじゃねえか?」
元帥 「そうじゃな。既に彼女達には此処へ来るよう伝えてある……が、その話は別として……那智の姿が見えんのだが……」
提督 「今頃、姉妹と存分に語り合ってるだろうから、そっとしておいてやってください……どうせ、鎮守府へ戻るときに対面するんですし。」
元帥 「ん?あっ……あぁ。大体の内容は予想できるからのぅ。」
ドア 『 優しくノックされてます 』 コンコン!
元帥 「おっ、来たようじゃな。構わん、入りなさい。」
??? ・ ??? 「「失礼します! 」」
提督 「…………!」
早霜 「夕雲型駆逐艦、その十七番目、早霜です。これから宜しくお願いしますね、司令官。」
磯風 「陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風。これより貴殿の指揮下に入る。よろしく頼むぞ、司令。」
提督 「そっか。2人が来てくれるのは本当に嬉しい!……んだけど、異動の理由は?早霜には昨日、少し話を聞かせてもらったから何となく想像できるけど……磯風は?まさか爺さん……ポイズンクッキングからエスケープするため……とか、そんな理由だったら……流石の俺もあんたを殴るよ?」
元帥 「違う!違う!儂はあくまで磯風の意思を尊重しただけじゃ!君の所に行っても、毎日あんな鬼ごっこをしているわけではないぞ……とも伝えてある。」
提督 「そこまで話したうえで、自分の意思で異動を希望したってんなら、俺からはもう何も言わないよ。改めて……宜しく頼むぜ、磯風。」握手
磯風 「あぁ。司令の期待に応えて見せるさ。」握手
提督 「さてと……それじゃあ、用も済んだし、那智を引き取って鎮守府に帰るよ。ありがとうございます、元帥。」
元帥 「うむ。また何か遭ったら連絡させてもらう。その時は……頼むぞ。」
◇◇◇◇◇
提督 「さてと……那智を回収したいんだけど、2人共。妙高さんの部屋ってどこか分かる?」
磯風 「重巡の先輩方の部屋は寮の3階だが……那智さんに何が遭ったんだ?」
提督 「足柄って娘と口喧嘩の最中に、互いに妙高さんの悪口を言ってしまってな。気分を害した妙高さんに強制連行されたんだよ。あれから1時間は経ってるし、もう終わってるだろう。」
早霜 「…………どうでしょう?妙高さんのお話は、短くても2時間は掛かることもあるから……もしかしたら、まだ終わってないかもしれないわ。」
提督 「え?そうなのか?……じゃあ、先に……」
俺はズボンのポケットから携帯電話を取り出し、鎮守府の電話番号を指で弾く。
長門 『もしもし?どうした、提督。』
提督 「その声は長門か。ちょうどいいや、さっき用事が済んだんでな。今からそっちへ帰るんだけど……先にちょいと建造をしておいてほしいんだ。」
長門 『建造か?まぁ、確かに今は資材に余裕があるが……数はどうする?」
提督 「1番最低値の普通建造で頼む。とりあえず、何時間掛ったのかを帰ったら教えてくれれば。」
長門 『解った。あまりに早いようなら、完成した娘には工廠で待っていてもらうべきか?』
提督 「いや、もし俺の帰りより早く完成した場合は、先に鎮守府の案内をしてやってくれ。」
長門 『了解した。では、その手筈で進めておこう。あぁ……そうだ。朝潮が遠征のことで話がしたいそうだから、できるだけ早く戻って来てやってくれ。』
提督 「ん?あぁ、解った。俺なりに心掛けてみるが、交通手段の影響のことも考慮してくれよ?」
長門 『ふふっ……解っている。安全に戻って来るんだぞ、提督。』
— 通話終了 —
提督 「これで良し。それじゃ、那智を迎えに行こうか。」
早霜 「はい。こちらです……案内しますね。」
†††††
海軍本部 ・ 艦娘寮3階
早霜 「えっと……あっ、ありました。此処が妙高さん達のお部屋です。」
提督 「相部屋なのか……まぁ、そりゃそうか。そんじゃ……妙高さん。提督です。そろそろ鎮守府へ帰るので那智を迎えに来たんですが……」
妙高 「え?あら、もうそんな時間でしたか。すいませんが、そのまま中に入って来てください。」
提督 「ん?入って良いのか?」
磯風 「無断で入るのは問題だが、許可があったのなら良いのではないか?」
提督 「……それもそっか。それじゃあ、失礼します。」
俺が扉を開けると、その視線の先に……優しく微笑む妙高、その前で正座したまま項垂れている那智と、伏せるように倒れている足柄……更にその2人を見てオロオロしている女の子の姿があった。……おそらく彼女が羽黒だろう。
提督 「那智、帰るぞ。」
那智 「……遅いっ!」涙目
妙高 「那智!そんなキツく言わなくてもいいでしょ。わざわざ迎えに来てくださった提督さんに失礼よ。」
那智 「そもそも、妙高姉さんが……っ!」
提督 「落ち着けって……仕方ないだろ。ついさっきまで用事していたんだから。何なら妙高さんのお話が完全に終わるまで、甘味処で時間を潰していても良かったんだぞ?」
那智 「ぇ……?いや、まぁ……うん。そうだな、司令官にも用事があったんだ、来てくれただけでも感謝しなければな。」シドロモドロ
妙高 「提督さん。このような不束な妹ですが、どうぞ宜しくお願いします。」
提督 「え?あっ、はい。それは良いんですけど……そっちの、確か……足柄は大丈夫なのですか?」
妙高 「はい。しかし、この程度で挫けるようでは、もう少し鍛え直す必要があるようですね。」
羽黒 「みょっ、妙高姉さん……さすがにもう、足柄姉さんを許してあげても宜しいのでは……?」
妙高 「そうですか?まぁ、羽黒がそう言うのなら許してあげましょう。」
那智 「…………何か納得いかない……」
提督 「まぁまぁ……」
◇◇◇◇◇
鎮守府への帰路
那智 「なるほど……何故司令官と一緒に居たのか疑問だったのだが、2人が我々の艦隊に異動してきてくれたのか。ふふっ……賑やかになるな。」
提督 「いや、帰ったら更に賑やかになってるだろうな……」
那智 「どういうことだ?」
磯風 「那智さんを迎えに行く前にな、司令が電話で建造するよう長門さんに頼んでいたのだ。」
那智 「ほう……?それは聞いていないのだが……?」拳握りしめ
提督 「Σ ( ゜ ロ ゜;)!? 最低値!最低値の普通建造だから!大型建造じゃねえから!とりあえず、その拳を解け!」
早霜 「那智さんは……建造で仲間が増えるのが嫌いなのですか……?」
那智 「そんなことはない。むしろ仲間が増えるのは喜ばしいことだ……が、この司令官は限度というものを知らんからな。」
提督 「失礼な!俺だってちゃんと学習してるっつうの!……ん?」
那智 「どうした?司令官。」
俺達の目の前に、西洋の童話から抜き取ったのかと思うくらい可愛らしいお菓子屋が佇んでいる。
提督 「お菓子屋か……皆に何か買って行ってやるか。」
那智 「土産か……そういえば、すっかり忘れていたな。」
提督 「俺も入れて10人……抜いて9人……奇数か。ケーキをホールでと思ったけど、こりゃカットされた物を買うか、他のお菓子の方が良さそうだな。お前等、中に入って好きな物を選べ。」
那智 「ふむ……たまには甘い物も良いか。中に入ろう、早霜。」
早霜 「はい……!」
提督 「ほら、磯風も。」
磯風 「………いや、司令の厚意はありがたいのだが、甘い物を食べると……その……バルジがな?」
提督 「バルジって、お前……磯風のスタイルなら気にすることも無さそうだが……それに、皆が食ってる時に1人やせ我慢することもねえだろ?どうしても気になるってんなら、出撃やら演習を考えてやるから。とりあえず、今日は何か買っておけ。」
磯風 「司令……感謝する。」/////
提督 「おう。素直に礼を言えるのは美徳だぞ。」
*****
数時間後 ( 夕刻 )
鎮守府 ・ 正門
提督 「ふぅ……やっと帰って来れたな。」
那智 「それで……この後はどうする?先に執務室へ行って、早霜と磯風……あと、建造していた艦娘との顔合わせを済ませるか?」
提督 「ん~……いや、どうせもうすぐ夕食だろ?顔合わせはその時にしよう。そのお菓子も冷蔵庫に入れておきたいし……那智は2人と一緒に先に食堂へ行ってくれ。俺は1度執務室に顔を出す。」
那智 「承知した。では、2人共私に付いて来てくれ。」
早霜 「はい……それでは、司令官。また後程……」
磯風 「司令もできるだけ早く来るのだぞ。」
提督 「はいはい。さてと……新しく建造で来た娘との対面の前に、書類の束と軽く顔合わせをしますかね……」
†††††
鎮守府 ・ 執務室
提督 「さてと……書類はどんなもんかねぇっと……」
矢矧 「あら、提督?おかえりなさい。いつ帰って来たの?」
提督 「ついさっきさ……那智は直接食堂へ向かった。それで……矢矧の隣に立っているその子が……?」
矢矧 「えぇ。建造が思いの外早く終わったから、鎮守府案内の後、書類仕事のことを少し教えてたの。」
??? 「あなたが提督ですか。はじめまして、重巡洋艦 利根型二番艦、筑摩と申します。」
提督 「おぉ!これは御丁寧に……こちらこそ、よろしく。筑摩の着任を歓迎するよ。」
筑摩 「ありがとうございます。提督の話は留守の間にいろいろ聞かせていただきましたよ。」
提督 「……何か変なことを吹き込まれていないことを祈りたいねぇ。えっと……それじゃあ、書類は後で目を通すとして、先に食堂で飯にするか。」
矢矧 「そうね。那智にも筑摩さんを紹介しないといけないし……行きましょうか。」
筑摩 「同じ重巡の方ですよね?御会いするのが楽しみです。」
◇◇◇◇◇
鎮守府 ・ 食堂
提督 「え~……皆、もう気付いてるだろうが、本日この鎮守府に新しく3名の艦娘が着任してくれました。まぁ……戦ったり、一緒に遊んだりして親交を深めていってください。」
長門 「随分簡単な挨拶ではあるが、提督の言いたいことは解った。しかし、まさか異動で2人来てくれるとはな……仲間が増えることは、良いことだ。」
提督 「やったね、ナガトちゃん。友達が増えるよ!」
長門 「おい、馬鹿、やめろ。」
提督 「それと……ほんの心ばかりのお土産を買って、冷蔵庫に入れてもらっているから、飯の後にでも好きなのを取ってくれ。喧嘩すんじゃねぇぞ。」
俺のその言葉に、留守をしてくれていた5人と筑摩が一瞬でキラキラ状態になったような気がした。
*****
二三〇〇
鎮守府 ・ 執務室
提督 「ふあぁ……さてと、書類にも目を通したし、そろそろ俺も休む……ん?」
大きく伸びをしながら、何気なく窓の外を眺めてみると……運動場の隅の方で、1人の女の子が木刀を持って演武のような動きをしているのが見えた。
提督 「あれは……ちょっと行ってみるか。」
◇◇◇
鎮守府 ・ 運動場
提督 「よう。こんな時間まで……艤装を背負って自主トレか?磯風。」
磯風 「はぁ……はぁ……ん?司令か。まぁ、そんなところだ。周囲の者が私を武勲艦などと言ったところで、私は所詮駆逐艦。戦艦のような耐久力が無い分、戦場で生き残るためにいろいろ試行錯誤をせねば……こうして女体ではあるが人の体を得たのだ。攻めや回避の手段もいろいろあるだろうからな。」
提督 「そっか……」
磯風 「そうだ。司令、無理を承知でお願いしたいことがある。私の手合わせの相手をしてくれないだろうか?持っているのだろう、軍刀というやつを。」
提督 「いや、俺のは刀じゃねえんだ。けどまぁ……磯風の頑張りには応えてやりたいからな。ちょっと、得物を取ってくる。磯風も息を整えておくんだな。」
磯風 「あぁ。すまないな、司令。」
~ 数分後 ~
提督 「待たせたな。」
磯風 「いや、それほど待っ……何だ?司令、その武器は……薙刀か?」
提督 「ん?あぁ、まぁ似たような物かな。こいつはロンパイア。俺がまだ提督になる前にギリシャへ旅行して……そこの骨董品の中でこいつを見つけたんだ。紀元前3世紀から1世紀の間にトロキア人って奴等が使っていた長柄武器だ。」
磯風 「ふむ……異国の武器か。まぁ、それはこの際問題では無いな。それを持ち出したのだ……扱いには自信があるのか?槍の類は刀よりも技量が必要だと聞いたことがあるぞ。」
提督 「いいから、とりあえず斬り込んで来な。」
磯風 「わかった……では、いくぞ!」
そう言いながら地面を蹴った磯風が、木刀を突き出しながら跳び込んで来た。
本当に一瞬という言葉が相応しい跳躍を見せたが……軌道が単純で範囲も1点狙いの狭いもののため、摺り足で体の軸を正面からずらして回避行動を取る。
磯風 「くっ……」
提督 「鋭い1撃だな。俺の得物がロンパイアではなく、もう1本の青龍偃月刀なら柄が金属だから受け止めてやれたが……ロンパイアの柄は木製なんでね。折られたら困るから、素直に避けさせてもらったぞ。」
磯風 「同じような武器がまだあるのか。しかし、司令は何故普通の刀ではなく、薙刀のような武器で戦うのだ?」
提督 「ん~……他の奴等がどう思っているかは知らねえけど、俺ってかなり臆病でズルい人間なんだよ。だから…………」
俺は言葉の途中でロンパイアを薙ぐように振り、防御の姿勢を取った磯風の持つ木刀に当たる寸前の所で止めた。
提督 「こうして、相手の刀の先端が届かねえ位置から武器を振り、安全に相手を薙ぎ倒す手段を選んだんだ。まぁ、範囲外から射撃されたら関係ないんだけどな。」
磯風 「なるほど。だが、それも生き延びるために選んだ手段であろう?他の者がどう言うかは知らないが、少なくとも私は軽蔑などするつもりはないぞ。」
提督 「磯風……ありがとうな。」
磯風 「それに、そういう武器は刀とは違う軌道で攻撃が来るようだからな……良い鍛錬になる。さぁ、続きを始めようではないか。」ニコッ
提督 「おう! 俺の武器の刃は……人間の武器は深海棲艦には通用しねぇそうだからな。俺の代わりに強くなって、でも無理をしない程度に、いざという時 ・ もしもの時は此処を……皆を守ってやってくれ。頼んだぞ、磯風!」
磯風 「司令……!あぁ……任せてくれ。今度こそ……守り抜くさ!」
それからしばらくの間、俺と磯風は互いの武をぶつけ合い、切磋琢磨することになった。
~ 数十分後 ~
提督 「はぁ……はぁ……やっぱり日々の修練の差だな。悪い、先に膝を付いちまって。」
磯風 「礼を言う、司令。良い修練ができたよ。」
提督 「そいつぁ良かった。それじゃあ、風呂に入って汗を流してから休むんだぞ。」
磯風 「…………そうさせてもらおう。では、失礼する。」
磯風を見送った後、俺も得物を持って撤収する。
ちょっと本気でたまには体を動かそうと思った出来事であった。
◇◇◇◇◇
翌朝 〇九〇〇
鎮守府 ・ 執務室
筑摩 「はぁ……」
那智 「ん?どうした?筑摩。」
筑摩 「え?あっ……すいません。少し、利根姉さんのことが心配になりまして……今頃どこで何をしているのか……」
祥鳳 「あぁ……わかります。私もしばらく妹と会っていませんので……」
那智 「私は……しばらく会いたくないな。」
扶桑 「私もです……あぁ、でも……たまに会わなければ暴走してしまうかも……はぁ、どうすれば良いと思いますか?提督。」
提督 「山城のアレは俺にはどうしようも……っていうか、その話は此処じゃなきゃダメなのか?食堂とか甘味処とか、もっと相応しい場所があるだろ。」
那智 「そう言うな。一応、秘書官権限ということで大目に見てくれ。」
提督 「おぉう……酷い職権乱用を見た気分だ。しかし……利根……利根か……」
俺は心当たりがあったので、皆が見ている前で電話の受話器を取り、番号のボタンを弾いた。
提督 「…………あっ、もしもし。舞鶴提督?お前さぁ……次の日曜日、暇?」
リア友提督 『いや、暇なんてことは滅多にあらへんやろ。どないしたん?急に……下戸の君が飲みに誘うとは考えられんし……』
提督 「いや、実は昨日建造したらさ、重巡の筑摩が来てくれてな。彼女が言うには姉である利根のことが心配なんだとよ。それでまた近いうちに利根を連れて会いに来てくれねえかなぁ……と。」
リア友提督 『何や、そういうことか。ほんなら、ちょっと待ってくれるか?会いに行くんは難しいけど、今すぐ此処に利根呼んで電話代わるから。』
提督 「悪いな。こっちも筑摩に代わる。………ってなわけで、ほれ。」つ受話器渡し
筑摩 「えっ?あっ、ありがとうございます。」
受話器の向こう側 < チクマー! チクマー!
提督 「早っ!?」
筑摩 「はいはい、筑摩です。どうされました?利根姉さん。」
祥鳳 「提督!次は私、私も妹とお話したいです!」
提督 「え?あ~………祥鳳の妹はどうだったかな?あいつんトコでも本部でも見た覚えが無いな……」
祥鳳 「………艦爆が一機……艦爆が二機……艦爆が……」ポイッ
扶桑 「あぁぁ……祥鳳さん、艦載機を投げては……」
提督 「わかった!どっちかで見かけたらすぐ教えてやるから!艦載機を投げていじけるんじゃない!」
祥鳳 「絶対ですからね?約束しましたからね?」
筑摩 「……はい……はい……あの、提督。舞鶴の提督さんが演習のことでお話があるそうです。」
提督 「ん?あぁ、分かった。」
~ 数分後 ~
提督 「それじゃ、また近いうちに。」
通話終了
提督 「ふぅ……」
筑摩 「あの……提督。わざわざ配慮してくださり、ありがとうございます。」
提督 「ん?あぁ……そんな礼を言われるほどの事でもないし、別にいいよ。」
祥鳳 「…………瑞鳳……」ボソッ……
提督 「そっちも解ったから!どっちかで存在を確認出来たら、ちゃんと教えてやるから!」
扶桑 「うふふ。大変ですね、提督。」
提督 「まぁ……姉妹や縁のある娘に会いたいと思う気持ちは理解できるからな。無下に扱うつもりはないさ。」
゜+。:..:。+゜ ◇◇◇ ゜+。:..:。+゜
提督 「ん~……」
矢矧 「どうしたの?提督。」
提督 「いや……前の鎮守府と此処に着任してくれた艦娘を整理して確認していたんだがな……軽巡が少ないと思ってな……」
朝潮 「前の鎮守府は天龍さん……此処では矢矧さんだけですか……」
提督 「俺……軽巡に嫌われてんのかな?」
朝潮 「そんなことないと思いますが……どうなんですか?矢矧さん!」
矢矧 「えっ……えぇ!?どうって……まぁ、嫌いなんてことは……って、それは別に関係ないでしょ!」/////
提督 「まぁ、確かにその話は置いておくとしてもだ。やっぱり1人じゃ大変だろ?矢矧が出撃してしまうと、遠征の旗艦を務めてくれる軽巡の娘が居なくなるのも事実だし……」
矢矧 「それは……えぇ、確かに。」
朝潮 「また建造しますか?工廠へ行って妖精さんにお願いしてきますが……」
提督 「…………いや、仮に最低値で建造をしても軽巡の娘が必ず来てくれる保証が無いからな。どこかの海域で発見、保護できることを願うよ。」
矢矧 「あら、珍しい。けど……そうね。それで良いと思うわ。」
朝潮 「会えるといいですね。……あら?司令官。出撃中の那智さんから通信です。繋ぎますね。」
提督 「ありがと。……もしもし、どうした?何か遭ったのか。」
那智 『司令官か?いや、特に何事も……いや、早霜が小破してしまったが、無事に深海棲艦を殲滅したのでな。その報告だ。筑摩と……磯風が意地で連中を壊滅に追い込んでくれたよ。』
提督 「そうか。磯風が意地で……」
那智 『帰投したら改めて労ってやってくれ。では、これより……ん?ちょっと待ってくれ、司令官。』
提督 「どうした!?敵の新手か……!?」
那智 『いや、祥鳳の艦載機が所属不明の艦娘を発見したそうだ。おそらくドロップ艦というやつだろうが……曙の例もあるからな。とりあえず接触を試みる。』
提督 「わかった。今日の旗艦はお前だったな?現場の指揮は任せる。とにかく、その娘も含めて皆無事に戻って来てくれ。」
那智 『承知した。では、また後程。』
通話終了
提督 「—————……ってなわけで、朝潮。入渠ドックの準備をしてくれるか?」
朝潮 「はいっ!お任せください!」
提督 「矢矧。とりあえず、非番の扶桑にも伝えて……母港に来てくれるか?もし、発見した艦娘が負傷していた場合、手伝ってもらうことになるかもしれない。」
矢矧 「了解!提督は先に行って待ってて。」
◇◇◇◇◇
鎮守府 ・ 母港
扶桑 「………あっ、見えました。確かに1人増えているようですね。」
矢矧 「見た感じ、あの子は負傷していないようね。」
提督 「なら、主に入渠が必要なのは早霜だけか。」
那智 「司令官。第1艦隊、只今帰投した。」
提督 「おう、お疲れ。それで……確か早霜が小破状態で……そちらが件の……」
「五十鈴です。水雷戦隊の指揮ならお任せ。全力で提督を勝利に導くわ。よろしくね。」
提督 「おっ……おぉ!こいつぁまた、ずいぶん頼もしいことを言ってくれる娘が来てくれたな。頼りにしている、他の皆と一緒に俺を支えてくれ。」
五十鈴 「えぇ!もちろんよ。一緒に頑張りましょう!」
提督「ありがとう。けどまぁ、とりあえず……矢矧。五十鈴に鎮守府を案内してやってくれ。」
矢矧 「えぇ。軽巡洋艦 阿賀野型3番艦、矢矧よ。よろしくね。」
五十鈴 「軽巡 長良型2番艦の五十鈴よ。同じ軽巡同士、仲良くしましょ。」
提督 「ほう……五十鈴は軽巡だったのか……ふむ……」
那智 「ん?どうした、司令官。」
提督 「え?あぁ……いや、実はな……俺達提督の間で密に流れてる噂があるんだ……」
那智 ・ 長門 「「噂?」」
提督 「『 軽巡2番艦はスケベボディ 』……ってな。でも、矢矧も十分スタイル良いから、やっぱり噂なんて当てにならねえな。ただ……五十鈴はそのうち化けると、俺は思っている。」真顔
筑摩 「あら……それはどちらの意味で 『 化ける 』 という意味なんでしょうか?」
提督 「!?ちょっ……、筑摩さん!?」
長門 「ばっ……何を言っているのだ、提督!」/////
提督 「えぇ!?俺だけが怒られんのか!?」ガビーン
筑摩 「うふふ。」
五十鈴 「ちょっと……全部聞こえてるんですけど?」
提督 「やっべ!聞かれてた!総員退避ぃぃぃ!」ダッ!
艦娘達 「「「「「「…………」」」」」」
提督 「うおぉぉぉいΣ ( ゜ ロ ゜;)!?せめて1人くらいはノってくれよ。提督は寂しいと死んでしまう生き物なんだぞ!」ガビーン
那智 「まったく、何をしているのだ貴様は……それより、ドックは用意してくれてあるのか?」
提督 「え?あぁ、うん。朝潮に頼んで用意してもらってある。早霜の修復と一緒にお前達も汗を流してこい。それと、那智は入浴の後で良いから報告だけよろしく頼む。」
那智 「承知した。では……行くぞ、早霜。お前の傷の修繕が最優先だ。」
早霜 「は……はい……」
提督 「…………あぁ、磯風。」
磯風 「ん?何だ?司令。」
提督 「今日はよく頑張ってくれたな。」ナデナデ
磯風 「ぁ……ふっ、司令とは約束したからな。今度こそ守り抜くと……私は有言実行しただけさ。」/////
提督 「そうかい。ははっ……格好良いな、お前。その調子でまた頑張ってくれ……ってのは、プレッシャーになるだけか。だから……今後も程々に頑張ってくれ。」
磯風 「ふふっ……あぁ、今後も程々に頑張るよ、司令。」
*****
その日の夜 ニ〇〇〇
鎮守府 ・ 執務室。
五十鈴 「提督。入るわよ?」
提督 「ん?五十鈴か……どうだ?艦隊には馴染めそうか?」
五十鈴 「えぇ。那智さんを初め、皆親切に色々と教えてくれたわ。前の鎮守府のことも、此処でのこと……あとは提督が建造バカで、よく悪ふざけをするという話もね。」
提督 「おぉう……正論だから反論できねえな。」
五十鈴 「でしょうね。提督の 『 雄姿 』 は夕方、母港でしっかり見せてもらったわ。」
提督 「おいおい……あんまり褒めても、こんな物しか出ねえぞ。」つ 間宮券 × 3
五十鈴 「えっ……?えぇ……!?えっと……頂けるんなら……ありがとう。」
提督 「どういたしまして。それで?こんなふざけた野郎の下じゃ、頑張れねぇってか?」
五十鈴 「そうじゃないわ。提督はふざけて皆からちょっと離れていたから、見えなかったかもしれないけど……あの時、皆笑ってたのよ?」
提督 「そうなのか?まぁ……半分くらいは呆れ笑いだろうけどな。」
五十鈴 「自分で言っちゃうんだ……」
提督 「呆れ笑いだろうが、嘲笑だろうが……皆が笑顔なら問題無いだろ?日頃から危険な海域で深海棲艦共とドンパチやってるんだ。此処に居る時くらい、普通の女の子としての時間を楽しんでもらいたい。そのために必要であるなら、俺は道化でも何でもやってやるつもりだ。」
五十鈴 「提督……」
提督 「とにかく、今日はもう休め。明日から出撃……いや、演習?とにかくどっちかに参加して練度を上げてもらうからな。少なくとも、昨日着任した早霜、磯風、筑摩の3人に追いつくくらいには。」
五十鈴 「えぇ、いいわ……やってやろうじゃない!五十鈴の実力、見せつけてあげるんだから!」退室
提督 「ははっ、期待してるぜ。」
*****
鎮守府 ・ 執務室前
五十鈴 「ふぅ……」
那智 「ちゃんと司令官と話できたか?」
五十鈴 「那智さん。えぇ、少し話して来た。そうね……面白い提督だと思うわ。それに、あの人の下でならやっていけると確信できた。」
那智 「ふふっ、そうか。まぁ……時々悪ふざけが過ぎるがな。私も……いや、おそらく此処に居る艦娘全員が概ね同じ意見……だと思う。」
五十鈴 「でしょうね。皆の様子を見ていれば何となく解るわ。」
那智 「お前も今日からその 『 皆 』 の一員になったんだ。ふふっ……明日から覚悟しておくんだな。」
五十鈴 「うふふ、怖い先輩ね。その 『 覚悟 』 は、どちらの意味なのかしら?」
那智 「そんなもの……両方の意味で決まっているだろ。」
五十鈴 「やっぱり。そんな気はしてたわ。それじゃあ……明日からよろしくお願いね、初期艦さん。皆で戦い、此処では楽しみながら……全員揃って無事に終戦を迎えましょう!」
那智 「あぁ、もちろんだ!こちらこそ宜しく頼むぞ、五十鈴。」
—————
執務室内
提督 「聞こえてるんだよなぁ……2人共。けどまぁ、皆で上手くやれているみたいで良かった。さてと………本当に皆から呆れられて見捨てられねえようにするためにも、もう少しだけ頑張っておくかな。」
そう独り言を呟きながら、俺は机の上でやる気を無くさせるオーラを常に放っている書類の山に手を伸ばす。
キリの良いところまで終えたときには日付変更線をとっくに過ぎており……日は昇っていないものの、新しい1日は既に始まっていた。
某2525動画さんで、艦これのMMDというものをよく見させていただいています。
可愛い艦娘達が機敏な動きでダンスしたり……MMDドラマで各々独自の鎮守府で過ごす日常のお話を楽しませていただいていると同時に
艦娘に限らず、いろんな作品のキャラを3Dで動かせる技術、そしてクオリティの高さに常々感心するばかりです。
そして、個人的に
『 作品を書くにはまず読まなければならない、作品を描くにはまず見なければならない 』
みたいなことを、個人的に座右の銘……とでもいうのでしょうか?何かそんな感じのものにさせていただいており
他の投稿者さんの作品を読ませていただき、皆さんが寝静まっているであろう時間帯に自分で読み返して誤字・脱字なんかを探しているのですが……
いやぁ、他の方の作品が面白いと、自分はホントまだまだだなぁと思うことがあります。
著作権を侵害するつもりは無いのですが、他の方の面白い表現や文章構成など……学ぶべきことは多いです。
それを自作に活かせているかどうかというのは、また別のお話……
とにかく!長々綴ってしまいましたが、此度はまた作品を覘きに来てくださり、本当にありがとうございました!
ストーリーなんかが思いつき次第ですので、投稿は不定期ですが……今後もまた、どうぞよろしくお願いします。
柔時雨さんのSSいつも楽しみにしています!無理せず気長に待ってます
うおぉぉぉぉ!?コメント、コメント来てた!ありがとうございます!
そう言っていただき、嬉しい限りです。励みになります!
俺の作品で楽しんでいただけているようで、よかったです……
改めて、ありがとうございます!また何か投稿した時にでも、覗いてやってください。
なんというか、うん、素晴らしいんだよ柔時雨さんの作品は素晴らしいんだよ、だけど、艦これの作品の順番がわからないのですわぁ~(T_T)
SS好きの名無しさん
コメントありがとうございます!!
あ……やっぱり、そうなりましたか。
わかりました。すぐにナンバリングに取り掛かろうと思います。
ご意見くださり、ありがとうございました。