提督代行(元寺男)「退役の修羅場」中編
お待たせしました!中編です!
後編は準備の為、年が開けてからになります。ご了承下さい。
この作品は提督代行(元寺男)「退役の修羅場」前編の続きになっております、先に前編をご覧いただくようお願いいたします。
お見舞いを始めてからしばらくが経ち……
---執務室
文月「代行さ~ん!ただいま~♪」
提督「やあ、おかえりなさい。どうでした?久しぶりに現提督にお会いして」
文月「あのねあのね!文月や皆で司令官に書いたお手紙を見たらね!すっご~く喜んでくれてね!それでね!…」
提督代行「うんうん、良かったですね、文月」
文月「うん♪」
これと言って問題は無く、順調にお見舞いは進行していた。
提督代行「ところで現提督の具合はどんな様子でしたか?長月?」
長月「最近はリハビリも始めたようで、長いこと寝ていた身体を必死に動かしていた。あの調子なら、復帰も時間の問題だろう」
提督代行「そうですか。それならば安心しても良さそうですね」
長月「長いこと待たされたからな…感慨深いものがある」
提督代行「そうなったら、皆で復帰のお祝いを盛大にやりましょうね」
文月「やったあ♪」
提督代行(そしてその時に…私は提督代行の任を終えて再び山に籠る事になります)
提督代行(今のうちに皆の姿を目に焼きつけておくべきでしょう)
---談話室
天龍「なぁ、このままでいいのかよ?」
北上「ん~?何が?」
天龍「提督…いや、代行の事だよ」
北上「ああ~、その事か…」
利根「何じゃ?艦隊の斬り込み隊長らしくもない」
天龍「ていうか実際のところ、現提督が帰ってきたらどうするつもりなんだろうな?」
利根「もちろん我輩と夫婦に…」
天龍&北上「「それはない」」
利根「何じゃと!?」
鈴谷「なになに?面白そうな話してんじゃん、鈴谷もまぜてよ~♪」
熊野「およしなさい、鈴谷。下手に絡んでやぶ蛇はごめんですわよ?」
鈴谷「んでもさ~くまのん、実際現提督が帰ってきたら代行さんは辞めちゃうでしょ?」
天龍「…前から気になってんだけどよ、どうしてそう言い切れるんだ?」
鈴谷「ん~、じゃあヒント!『今の鎮守府』ってさ…前と変わったところってある?」
天龍「?」
北上「…!なるほど…そういう事ね~」
利根「何一人で納得してるのじゃ、わかってるなら教えるのじゃ」
北上「簡単な話だよ、今の鎮守府は『悪くなってはいないけど良くもなっていない』、つまり提督代行が運営の指針としているのが『現状維持』であって、もし他の鎮守府へ移るんだったり、その意志があったら次の着任場所で活かすために、復元可能なレベルの改変を行っているはず、それが無いと言う事は…」
天龍「する必要がない、着任しないからって事か!」
利根「そこから導き出される結論は…1つしか無い…」
鈴谷「それにここにいる全員が最高レベルなのに、誰もケッコン指輪もらってないっしょ?まぁ予想だから気にしなくてもいいけど、間宮のスペシャルパフェを賭けてもいいくらいに自信あるよ」
シーーーーーン…
鈴谷「ちょ、ちょっと!何お通夜みたいな空気になってんのさ?」
熊野「ハア…鈴谷、ちょっとこちらへいらっしゃいなさいな」
鈴谷「え?ちょ!待っ…くまの~ん?何で耳をいだだだだたたたたたたたた!」
熊野「ここ空気を読んで失礼しますわ。でも…」
熊野「皆さんはどうなさるおつもりですの?」
熊野「鈴谷の言も一理ありますわ。何も考えずにその時を迎えたら後悔なさるのはご自身だという事をお忘れなく、では」
スタスタ……
談話室に重苦しい空気を残して鈴谷と熊野は立ち去った。
天龍「……ついていくか、残るか」
利根「何じゃ?迷うているのか?我輩はついていくぞ!」
北上「んで?退役したはいいけど受け入れてくんなかったらどーすんのさ?」
利根「そんな事は…」
北上「忘れたの?アタシらがあの人にしちゃった事を?知らずとはいえあれだけの事しといて、それでいて事情があるとはいえ、やっと穏やかに暮らしてたのにまた助けを求めて引っ張り出して…いい気分する?」
利根「ウグッ!」
北上「よく注意してれば、他の娘と比べてアタシらとじゃ言われなきゃわかんない位の微妙な距離取ってるの、知ってる?」
利根「で、でも!」
天龍「頭じゃわかっているんだろうけど…やっぱりああなる前のような感じには戻れてない、よな」
利根「嫌じゃ…嫌じゃ!」
天龍「おい利根!」
利根「我輩にはもう提督代行しかおらんのじゃ!我輩には…グスッ!ヒグッ!…」
北上「利根っち…」
利根「嫌じゃ…嫌じゃ…もう…寂しいのは嫌じゃ、1人で寝るのも嫌じゃ、1人でご飯を食べるのも嫌じゃ…もう我輩は1人でいたくないのじゃ!嫌じゃ……グスッ!」
利根は子どものように泣きじゃくっていた。普段なら『駆逐の奴らに笑われるぞ!』とたしなめられるところだが、誰も言えなかった。
天龍「だからって、無理やりついてって困らせてたら意味がねーだろ?」
北上「……こうなったら、直接聞くしかないね~」
天龍「いいのかよ?」
北上「いいのもなにも、あの人がどうするか解んなきゃ、スタートラインにすら立てないんだよ、アタシら」
天龍「……」
北上「アタシは今から聞きに行くけど…行く?」
天龍「……行こう、利根」
利根「天龍…」
天龍「頼りねーかもしんねーけどよ、誰か居てくれた方が多少は気が楽だからさ、な?」
利根「……うん」
----戦艦寮・金剛型の部屋
提督代行「うーん…今日の紅茶はハロッズブレンドのNo.14ですか」
金剛「その通りデース!お菓子に良く合う紅茶ダヨ♪」
榛名「おかわりも沢山用意しましたから、好きなだけどうぞ♪」
霧島「それにしても、提督代行もずいぶんと紅茶がわかるようになりましたね」
提督代行「そりゃあ、何回も誘われ続ければ自然とわかるようになりますよ」
金剛「私としては嬉しい限りデース」
榛名「榛名も、一緒に居られて嬉しいです!」
霧島(わ、私も…ですよ…恥ずかしくて言えないけど…)
提督代行「それは光栄ですね」
コンコン!
金剛「ハーイ!どうゾ!」
ガチャ!ゾロゾロ…
提督代行「おや?皆、どうしましたか?」
天龍「……ちょっと聞いときたい事があってさ」
北上ここにいる全員、ううん、提督代行を慕ってる娘全員に関わるものだからさ、はっきり答えて」
提督代行「…解りました」
北上「………現提督が帰ってきたら…辞めちゃうの?」
提督代行(いつか聞かれると思っていましたが、よりによって大人数がいる時とは…)
提督代行「基本的に私は一線を退いた身ですからね。彼が帰ってくれば私は当然去らねばならないでしょう」
提督代行(これがベターな返答ですかね)
北上「……やっぱそうなるよね」
利根「で!では辞めた後はどうするのじゃ!?」
提督代行(……下手に出家するなんて言ったらここで全員から説得を受けるのは必定、ならば)
提督代行「……一度実家に戻ってから、旅に出ようと思っています」
北上「本当に?嘘じゃないよね?」
提督代行「本当ですよ(実家に戻って出家する旨を伝えてからしばらく旅をしてからお山に戻る予定ですから嘘はついていません)」
利根「ではその時に我輩を…」
榛名「榛名もお供致します!」
霧島「ならば私も」
金剛「ヘーイ!ストップね!いきなりそんな事言って困らせちゃNOヨ!」
天龍「いや、現提督が帰ってくるまでにはまだ間がある。現提督が帰って来てから言ったんじゃ遅い」
北上「ちなみに解ってるとは思うけどさ、ここにいる全員も、他の慕っている皆も提督代行についていきたいって考えるよ?その為なら退役だってするしさ」
提督代行「待って下さい、他の娘はともかく貴女達は最高練度でしょう!?後進の育成をして海の守りを万全にしてもらわなければ…」
北上「心配無いって、ウチらが欠けた位でガタつくような軟弱もんはこの鎮守府には居ないから」
北上「ちなみに…」
北上「このハイパー北上様を連れて行ってくれるなら野球チーム作れる位子ども作ってあげるからね♪」
榛名「で、では榛名はバスケットチームを作れる位です!」
天龍「お、俺は///お前が良ければバレーボールチーム作れる位でも///」
利根「我輩は一姫二太郎でよいぞ♪」
提督代行「え、エエエエ!?」
金剛「ヘーイ!皆!stop!ネ!」
提督代行(よ、良かった!1人はまともに)
金剛「私はサッカーチーム作れる位欲しいデース!」
提督代行(駄目でしたーーーー!)
---夜中、執務室
カリカリカリカリ…
タン、タン、ポン!
提督代行「よし、印鑑もOkですね!」
熊野「こちらの書類も終わりましてよ」
提督代行「すみませんね、熊野。遅くまで付き合わせてしまって」
熊野「これも私達の務めですもの。気になさらなくてもよろしくてよ」
提督代行「そう言ってもらえると助かります」
熊野「でも夕食を食べ損ねたのは痛いですわね…」
提督代行「あっ、そうでしたね…」
提督代行「仕方ありませんね、軽くコンビニ飯でも食べますか?」
熊野「あら、この私に庶民の食べ物が口に合うとおっしゃるのですか?」
---しばし後
モグモグ!
熊野「このコンビーフというのはご飯に合いますわね!」
提督代行「ちゃんとサラダも食べるんですよ?」
熊野「わ、わかってますわ!」
モグモグ!ムシャムシャ!
熊野「ああ!こんな時間に食べてしまうなんて…背徳ですわ!」
提督代行(そのわりにガッツリ食べますね、この肉食お嬢様は。ほっとくと肉しか食べませんからね…どっかの麦わら海賊みたいです)
熊野「ところで提督代行」
提督代行「?どうしました?」
熊野「……この際聞いておきたいのですけれど」
提督代行「はい」
熊野「現提督がこちらにお帰りになった暁には提督代行は任を解かれ、ここを去る訳ですけど…その際」
熊野『貴方を慕っている娘達に対してどう始末をつけるおつもりなのですか?』
提督代行「え?」
熊野<●><●>「まさか…とは思いますが、何も告げずに手紙だけ残してドロン!なんて恥知らずな真似はなさいませんよね?」
提督代行(………するどい。こういうところがあるから熊野は油断出来ないんですよね…ヘタに取り繕うとバレますからある程度正直に話すしかないでしょう)
熊野「提督代行?」
提督代行「流石にそんな事はしませんよ。ただ気になるのは、私を慕っている娘達が私の退役した後私についてくる気があるというのが…私はいずれ、家族とも世間からも離れて…静かに…暮らしたいんです…」
熊野「無理ですわね」
提督代行「そ、そんな!わ、私は!」
熊野「よろしくて?提督代行。貴方はあの娘達にとって心の依り部となっていますわ。現提督が私達の心の依り部となっているように」
熊野「今は毎日顔を合わせているから正常に機能してますけど、また貴方が離れたら…その時は…」
提督代行「……その時は?」
熊野<・><・>『どんな手を使っても探し出して貴方を手に入れようとするでしょうね』
---ゾクッ!
思わず背筋が凍るような寒気がこみ上げる。
熊野「それに貴方がどんな手を使って行方をくらませたとしても、以前いたお山に帰るでしょうからそこに張り込みすればよいだけの事ですわ」
提督代行「何故そう思うんです?別の場所に行くかも…」
熊野「ありませんわね、普段あれだけ皆への指導の度に住職さんのお説法を語っていたら再び帰りたいと願っていると誰でもわかりますわ」
提督代行「で、でも!」
熊野「いい加減覚悟をお決めになっては?貴方がお山から引っ張り出されたあの時から既に帰る道は絶たれていますわ」
提督代行「………」
提督代行(薄々は…わかっていたんです。あの娘達が私を提督ではなく1人の人間、いや、異性として見られていた事は…)
提督代行(それを利用する形で戦わせ…戦果を挙げさせて…)
提督代行(花を掴むべきその手に武器を掴ませて、血塗れにさせてしまった、その罪は消えないでしょう。本来なら仏門に入ってその罪を償おうと思っていましたが…)
提督代行「やはり…逃がしては…くれませんよね」
熊野「当然ですわ」
熊野「現提督も提督代行も思惑はどうあれ、私達を魅了してしまったのですから……」
熊野<●><●>『最後まで責任はとっていただきますわ♪』
提督代行(こ、怖い…)
バタバタバタバタ…ハヤクハヤク!コッチ!
提督代行「ん?消灯時間を過ぎて誰が騒いで…」
バァン!
鈴谷「早く!早く入って!急いで!」
熊野「鈴谷!?一体…」
熊野が聞こうとした刹那、3つの影が執務室に飛び込んできた!
それと同時に
<●><●>『待ああああああああああてええええええええええええええええ!』
いくつもの声が重なった、まるで地の底から這い上がってきたかのような叫びが廊下にこだました。
熊野「な、何ですの!?あの叫びは!!」
鈴谷「説明は後!鍵!鍵閉めて!窓のも全部!カーテンも閉めて!早く!」
提督代行&熊野「「り、了解!」」
バタバタ…ガチャン!
シャーッ!シャーッ!
ガラガラガラガラ!
鈴谷「フゥ…まずは一安心」
ドンドン!ドンドン!アケロー!デテコーイ!
鈴谷「て訳にはいかないね。提督代行、この部屋って防御はどうなってんの?」
提督代行「壁や扉は大和型の主砲をくらわない限りは平気ですし、窓は非常用シャッターおろしましたから多分大丈夫ですよ」
熊野「それより何ですの鈴谷!?敵襲でもあったのですか!?」
鈴谷「敵より怖い味方が団体さんで来てるの!」
ダンダン!アケロー!テメー!ゴラー!
提督代行「味方が?何で…って、貴女たちは!」
ふと、飛び込んできた影に眼をやると
提督代行「曙に霞、満潮じゃないですか?どうしました?」
曙「ウッ…ウウ…」
霞「グスッ!ヒック!」
満潮「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
3人は破かれたのであろうパジャマ姿で部屋の隅で身を寄せあって震えていた。
提督代行「一体何が…」
鈴谷「鈴谷も良くわかんないんだけど…お花詰み(トイレ)に出て帰り道に外見たらこの3人が姉妹から追われてたんで部屋に匿って事情を聞こうとしたら見つかっちゃって鈴谷も一緒に追いかけられる羽目になってさ…」
熊野「?ますます訳がわかりませんわ?」
鈴谷「てゆーか提督代行!あの娘達にお酒許可したの!?かなりお酒臭かったよ!」
提督代行「してませんよ!そもそも寮での飲酒は厳罰のはずですからそんなはずはありません!」
ダンダンダンダン!ダンダンダンダン!
オラー!アケロー!デテコーイ!
提督代行「やれやれ、仕方ありませんね。ちょっと援軍を頼みましょう」
提督代行は机の上の固定電話をつかみ
ガチャ、ピッポッパッ…
プル、ガチャ!
『天龍だ、どうした?』
提督代行『もしもし、提督代行ですが、緊急事態です。酔っぱらいが暴れているので軽巡を5~6人連れて至急執務室前まで来て空き室に放りこんでおいて下さい。後、朝潮型と綾波型の部屋を立ち入り禁止にして一切手をつけさせないで下さい』
天龍『わかった!今すぐ行くから待ってろ!』
提督代行『頼みます!』
ガチャ!
提督代行「よし、これで後は天龍達が来るまで…」
提督代行「あの3人に話を聞かなければなりませんね」
鈴谷「でも今無理そうじゃん?大分怯えてるよ?」
そこにはいつもの3人の姿はなく、身を寄せあって怯えている、弱々しい姿があった。
提督代行「ですね」
しばらく後…
ガタン!バタン!ドカン!オトナシクシロー!
ギャーギャー!ワーワー!
熊野「どうやら抑えて下さったようですわね」
シーーン…
提督代行「どうやら収まったようですね。鈴谷、熊野、すみませんが今夜3人を貴女達の部屋で預かってくれませんか?今夜は自室に帰らせるのは危険なので…」
鈴谷「オッケー!」
熊野「お任せ下さいな」
提督代行「すみません。では私は事情聴取があるので、先に行きます。念のため、貴女達は暫くしてから移動しなさい、頼みましたよ」
ガチャ!バタン!
鈴谷「フゥ…とんだハプニングだったよ」
熊野「でもどんな時も沈着冷静に事を運ぶ姿は流石、提督代行ですわ」
鈴谷「おや~?くまの~ん?代行に乗り換える…」
ギュウウウウウウ!
鈴谷「だから耳を引っ張りいいいいいいいいあだだだだだだだ!ごめんごめんごめん!冗談だって!」
熊野「全く…あまり品のない冗談は好みませんわ。私は現提督一筋でしてよ?」
熊野(でも…もし最初に代行に出会っていたら…また違う結果になったのでしょうか?)
鈴谷「おーい、くまの~ん?行くよー!」
熊野「ハイハイ、急かさないで下さいまし!」
---取り調べ室カッコカリ(空き室)
ガチャ!
提督代行「お待たせしました、様子は…」
ウー…アー…ハナセー!ウボェエ!アツーイ!ヌギターイ!ギャハハハハハハハ!オエー!
死屍累々たる有り様とはこのことかと提督代行は感じた。
立ちこめるアルコールと酸っぱい匂い
カエルの合唱(ゲ○)にまみれた破れたパジャマ
焦点が定まらない瞳
真っ赤な顔とパジャマからチラッと見える肌
椅子に縛られながら叫び
時に暴れ
意味もなく笑い続け
眠りこけながら口からこぼれるカエルの合唱
普段の凛々しくも爽やかな可愛らしい姿からは想像もつかない由緒正しき泥酔状態。
しかも駆逐艦の綾波型と朝潮型の一同がそんなザマをさらしているのだ、普段を知ってる人なら誰だってフリーズもするであろう。
天龍「提督代行…」
提督代行「いいですか?これが酒に呑まれた者の姿です。良く覚えておきなさい」
軽巡一同(絶対酒で失敗しないようにしよう!)
提督代行「さて、それはともかく…」
??「あ、アハハハハ…」
提督代行「そこで滝のように汗をかいて椅子に縛られてるのは何故ですか?」
提督代行<●><●>『青葉』
青葉「あ、あのですね…」
天龍「俺達が現場を抑えに行ったらちょうど朝潮型の部屋から出てきたんで取っ捕まえた」
提督代行「有罪確定ですね」
天龍「だな」
青葉「ちょ!いきなり有罪なんて横暴ですよ!青葉は取材に…」
提督代行「ほー、そんな『制服』のままで?他の皆はパジャマのままなのに?」
青葉「じ、実は制服のままで寝ちゃいまして…」
提督代行「では服務規定違反ですね、『就寝時に制服の着用は禁止』のはずですよ」
青葉「ウグッ!」
提督代行「さて…他の面々がこの状態なのでまずは貴女の話を聞きましょう」
青葉「は、はい!」
青葉「あ、青葉は消灯時間前に綾波型と朝潮型の皆さんが女子会をしていると聞いてちょっとお邪魔して写真を撮らせてもらってから一旦部屋に戻りまして、その後新聞の編集作業をしていて…その…眠たくなってそのまま寝ちゃいました。その後、外が騒がしいのですぐに目が覚めて出てきました」
提督代行「朝潮型の部屋にいたのは何故ですか?」
青葉「取材した時に忘れ物を…」
提督代行「何をですか?」
青葉「取材用具を納めたバッグを…」
???「へー、その取材用のバッグってこれ?」
青葉「そ、そうです!って何故それを貴女が!?」
青葉「五十鈴さん!」
五十鈴「うまく隠したつもりだったんだろうけど…五十鈴にはまる見えよ!」
五十鈴「ところで…」
五十鈴<●><●>『バッグの中に本来取材に必要ないはずのものが入ってたのは…なんで?』
バサバサ!
五十鈴がバッグの中身を床にぶちまけると、そこには取材用具と共に…
『保冷剤』が入っていた。
青葉「あ、ああ…」
五十鈴「それに朝潮型の部屋の外を調べたらかなりの数のお酒の缶が入った袋が置かれていたわ」
提督代行「さて…こちらはチェックメイトですが……何か申し開きはありますか?」
ゴソゴソ
提督代行は胸ポケットから
スチャッ!
サングラスを取り出してかけた。
天龍(あっ、こりゃあ本気でキレたな)
提督代行がサングラスをかけるのはまぶしい時と……
提督代行『洗いざらいしゃべれ、言葉は慎重に選べよ?』
青葉「あ、あわわわわわ…」
…マジギレしてる怖い眼を見られたくない時である。
━━━
その後の取り調べで青葉が『はっちゃけた皆を撮りたい!』という欲に駆られ、ジュースの差し入れと称してチューハイ等のお酒を飲ませた結果、酔いの影響で普段の愚痴が出始め、その内
『現提督がいつまでも帰って来ないのは口の悪い3人のせいだ!』という話になり
それに対して『現提督の根性がないからだ!』と3人が反論した結果乱闘になったが、多勢に無勢で3人はリンチされかけた時に脱出、青葉も一時撤退をしたが、自分が飲ませたことがバレる事を恐れて缶等の回収をしていた時に見つかって御用となったというのが真実だった。
提督代行「ハア…」
天龍(ため息もつきたくなるよな。同じ立場なら俺だって出る)
たった1人がやらかした馬鹿のために、この後の綾波型、朝潮型の皆へのフォローや規則違反に対する罰の裁定、その他諸々を思えば気が重くなるのは当たり前だ。
罰を与える方だって好き好んでやらせる奴なんてそんなに居ない、居たとしたらただのサディストだ。
提督代行「良く解りました。青葉は判決を下すまで自室待機、トイレ以外は外出禁止です。食事は交代で持っていかせますからそのつもりで。以上、青葉は帰ってよいです」
青葉「は、はい…」
提督代行「軽巡の皆さんはすみませんが、この部屋の片付けと、酔っぱらいの世話をお願いします。酔いが覚めた娘から部屋に返して命令あるまで待機と伝えて下さい、突然夜中にすみませんがよろしくお願いします」
天龍「任せろ!ピカピカにしといてやるぜ!」
五十鈴「五十鈴にお任せよ!」
提督代行「…ありがとう」
━━去り行く提督代行の背中は、どことなく疲れていた。
―――翌日、執務室
提督代行(結局一睡もできず朝を迎えてしまいました)
提督代行「ハア…何で私が代行の時にあれやこれや起こるんですかね」
パキパキ!チャリ
ゴクゴク…
提督代行「ぷあっ!フゥ…」
提督代行(栄養ドリンクにはなるべく頼りたくないんですけど、仕方ないですね)
提督代行「しかしこの栄養ドリンク、何でキャップが星の形してるんですかね?まぁ効くからいいんですけど」
ガチャ!
大淀「提督代行、準備が整いました」
提督代行「わかりました、こちらも大丈夫です。さ、行きましょう」
大淀「は、はい!」
チラッ
大淀(机の上に空き瓶、目に見えるほどのお疲れ、諸々のストレスからくる疲れを栄養ドリンクで騙して無理やり身体を動かしていらっしゃる)
大淀(私達の為に身体を限界まで酷使されて……)
大淀<●><●>(退役したら共に温泉めぐりに行きましょう!特に子作りに効くところに!)
ブルブルッ!
提督代行(な、何だか寒気が)
鎮守府第2会議室
シーーーーン…
会議室に集められた青葉、曙、霞、満潮を除く綾波・朝潮型の一同は朝からお通夜状態で、特に長女の綾波、朝潮の落ち込み様は見てて痛々しい位だ。
朝潮は目に涙をためながら
「私は……なんて事を…」と悔やみ
綾波は
「………………」
いつもの可愛らしい溌剌さは無く、ただ呆然と虚空を見つめていた。
その他の娘や、報告の為に呼ばれた鈴谷、熊野もバツが悪そうにしていたり、下を向いたまま顔をあげられない位落ち込んでいた。
提督代行(さて…どう話をするべきか…)
朝潮「司令官…」
提督代行「なんですか?」
朝潮「か、霞と…満潮は…どちらにいますか?」
提督代行「……大事をとって鈴谷と熊野の部屋に預かってもらっています」
朝潮「私は…2人に…妹に…ひどい事を…ヒック!ヒック!」
綾波「あんな…事を…言うつもりなんて…なかったのに…」
提督代行「………住職様はよく『口は弓、言葉は矢の如し』と仰っていました」
提督代行「一度放たれた矢が当たるまで止まらないように、言葉もまた放たれたなら当たるまで止まる事はありません」
提督代行「故に常に口にする前に『本当に口に出して良いのか?』と問いかける事をせよと私に戒めておられました」
提督代行「今回皆さんは身をもってお酒の恐ろしさを知りました」
提督代行「お酒は飲みすぎると自分の中の獣を呼び覚まし、自身で制御が効かなくなります、今後鎮守府での生活にせよ、人間社会に出ていくにせよ、常に胆に命じなさい」
提督代行「さて、飲酒自体に関しては事情を考慮して不問としますが、昨日は天龍を含めた軽巡の皆さんにかなりの後始末をお願いしたので、まず皆さんには軽巡の皆さんにそのお礼と謝罪、残りの片付けを命じます」
提督代行「後、あの3人についてですが、鈴谷、熊野、どうですか?」
鈴谷「起きたらまだ寝てたからそのままにしといたんだよね」
熊野「皆さん遅くまで泣いていらして、寝たのが明け方でしたわ」
提督代行「では私が様子を見てから皆と会わせる事にしましょう」
朝潮「そ、そんな!」
綾波「私達はすぐにでも!」
提督代行「昨日の状態を見る限り3人の心理状態はあまり良くありません。そんな時に無理やり会って謝罪しても心の傷は拡がるばかりです」
綾波「でも…代行…」
提督代行「…一度ついた傷は取り返しがききません」
提督代行「ですが、互いを理解し、それによって生じた穴を埋める事は可能です」
提督代行「その為には多少の時間が必要です。今は落ち着くまで待ってあげた方が良いでしょう」
熊野(そういえば提督代行は誤解で追い出された事があったのでしたわね)
熊野(皆から罵られて…叩かれて…挙げ句の果てに追い出されて…どんなに悲しかったかが身に染みて解ってらっしゃるからこその決断なのですわね)
提督代行「さて、過度の飲酒があらゆる面において悪い事はいうまでもありませんが、『自分の押さえ込んでいた思い』というものを知るきっかけにもなります」
提督代行「普段は感じなくても、心の奥底にしまっていた、いや、無いとさえ思っていた自分ですら知らない思いがあるという事です」
提督代行「今回の場合、あの3人の現提督に対する態度がいつまでも改まらない事から皆のストレスが溜まり、酒によって解放されてしまったと見るべきでしょう」
朝潮「そんな事は!」
提督代行「塵も積もれば山となる、ですよ、朝潮。一回一回はたいした事ではなくとも積もり積もれば一度放たれたらそれを発散しきるまで止まらないものです」
朝潮「………」
提督代行「ですから今後…」
ガチャ!
提督代行「誰ですか?今は…」
綾波「あ、曙ちゃん…」
朝潮「か、霞…満潮…」
スタスタ…
曙「提督代行、決めたわ」
提督代行「何をですか?」
満潮「これ、受け取って」
『解体申請書』
霞「これ以上私達がいて不快な気持ちにさせてるのは不本意だから辞めるわ」
綾波「そ、そんな!」
朝潮「ま、待って!話を聞いて」
曙「話す事なんか無いわ」
霞「良かったわね、現提督も喜ぶわよ」
満潮「今までごめんなさい。これで平和になるから」
曙「さあ提督代行、さっさと解体許可を出して」
提督代行「え?駄目に決まってるでしょう?」
霞「何でよ!」
満潮「アンタだって私達が居なくなればせいせいするんでしょ!?」
曙「さっさと解体してよ!」
提督代行『おい、ワガママも大概にしろよ』
ビクッ!
朝潮(な、何?この威圧感!?)
綾波(わ、私達が、う、動けない!!)
鈴谷(あ、あの優しい印象しかなかった、代行が)
熊野(この場の全員が固まる位の、さ、殺気を放っていらっしゃいますわ!)
大淀「提督代行、『出てますよ』」
提督代行「え?あ!いかんいかん、失礼しました」
提督代行「さて、駄目な理由ですが、まず私は代行であり、日々の運営に関しては一任されてますが、解体・退役などの人事については現提督の許可を必要とします。したがって退役したい場合は現提督に直接許可をもらわないといけません」
提督代行「第2に貴女達は現提督に必要とされているからです」
曙「嘘よ!」
満潮「アタシ達みたいな口も態度も悪いのなんか必要ないでしょ!」
提督「じゃあ聞きましょう。突然ですが、貴女達の練度は今、いくつですか?」
曙「へ?は、89よ」
霞「96」
満潮「……91」
提督「かなりの練度ですよね。さて、私は以前、演習であちこちの鎮守府に行きましたが、今の貴女達の練度に達していた曙や霞、満潮は今まで見たことがありません」
曙・霞・満潮「「「えっ!?」」」
提督代行「大概が出撃や演習、遠征すらさせてもらえない『飼い殺し』の状態でした」
提督代行「私達提督業に携わる者は、士官学校で貴女達3人については特に『彼女達の性格を良く理解した上で運用する事』と教育されました」
提督代行「しかし…あまり言いたくはありませんが…実際にはキツい性格や言動の娘より素直な娘が好まれるあまり使われないままの娘が多いのが実情です」
提督代行「しかし、『艦娘の性格は艦歴に引っ張られる』という性質上、貴女達の艦歴からくる性格を現提督は知っていました」
提督代行「曙が過去の艦歴で言われなき中傷に傷ついている事も」
曙「………」
提督代行「霞が『仲間を喪いたくない一心で厳しい態度になる事』も」
霞「…グスッ!」
提督代行「満潮の昔の過酷な経験から自虐的になっている事も」
満潮「……ウウ…グスッ!」
提督代行「現提督は全てご承知の上で『少しでも貴女達の心が報われてくれれば』と、運用なさっているのでしょう。そうでなければこの練度は説明がつきません」
グスッ!ヒック!
辺りからはすすり泣きが聞こえてくる。
提督代行「誇りなさい、貴女達が戴く現提督は、必ずや貴女達を暁の水平線の向こうに、姉妹や仲間と共に連れて行って下さるでしょう」
提督代行「戦いはもうすぐ終わります。それまではもう少し頑張ってみませんか?」
曙・霞・満潮「「「う、うわあああああん!」」」
堰をきったように涙が溢れる。
知らなかった他の自分たちの状況の悲しさ
今までの自分たちの現提督に対する態度への後悔
それでも使って、解っていてくれた嬉しさが一斉に溢れた。
ダダダダダダダダ!
朝潮「がずみいいいい!みぢじおおおおお!」
綾波「あげぼのぢゃーーーん!」
曙「おねえぢゃーーーん!」
満潮「私は…いてもいいの?」
朝潮「いいの!いいのよ!」
霞「…グスッ、グスッ!」
……気づけば3人を中心に姉妹達が我も我もと殺到し、泣き合いながら抱きしめあっていた。
色々言わなければならないが、今はこの心洗われる美しい姉妹愛を眺めようとにこやかに微笑む提督代行だった。
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提督代行「という訳で、今後は3人は少しずつで良いので改めてもらい、他の姉妹の皆さんは一気に爆発する前にちゃんと3人に注意を促してあげて下さい。貴女達については以上とします」
提督代行「さて………ここで一つ皆さんに『相談』があります」
曙「相談?」
提督代行「ええ」
提督代行<●><●>「そもそもの原因たるあの重巡洋艦(アホ葉)に対する処罰です」
曙<●><●>「ああ…そういえばそうね」
霞<●><●>「すっかり忘れてたわ…」
満潮<●><●>「皆と解り合えた事には感謝するけど…そもそもアイツが変な事しなきゃこんな事には…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
鈴谷(み、皆の殺気が半端ない!)
熊野(下手に庇ったら巻き添えくらいますわね)
鈴谷&熊野((…青葉、骨は拾ってあげるわ))
---数日後、演習海域、朝
提督代行「いやあ!いい天気ですねー!」
青葉「そ、そうですね…」
提督代行「波も風も穏やかで絶好の日よりですね!」
青葉「そ、そうですね…」
青葉「と、ところで…提督代行」
提督代行「ん?何ですか?」
青葉「何故青葉は全武装を解除されてるのですか?」
提督代行「訓練だからです!」
青葉「こめかみに#たてて睨んでいる皆さんは」
提督代行「訓練だからです!」
青葉「#たてた皆さんがフル装備なのは…」
提督代行「訓練だからです!」
青葉「提督代行が乗ってるボートに積まれた大量のお酒は…」
一同『訓練だからです!』
青葉「ヒイッ!」
提督代行「さて、青葉。貴女には『お酒の恐ろしさを身をもって体験していただく』ことを罰とします」
提督代行「ルールは簡単です。駆逐の皆さんの攻撃を3分間避けまくって下さい。それができたら終了とします。ただし…」
提督代行「一発でも喰らったらやり直しです」
青葉「ちょっと待って!あの人数から逃げろと!?」
提督代行「安心しなさい、一斉にじゃなくローテーション組んでますから」
青葉「そういう問題じゃ…古鷹ー!衣笠ー!加古ー!助けてー!」
提督代行「そうそう、さっき叫んだ皆さんからメッセージを預かってますよ、『提督代行に一任します、反省させてやって下さい』との事です」
青葉/(^o^)\オワタ!
提督代行「じゃあまずは…これからいきましょう!」
テキーラ『酔わせてやるぜ、セニョリータ』
提督代行「はい!1本飲み干してからスタートしますからね!」
青葉「鬼ー!悪魔ー!飲める訳ないでしょ!」
提督「あ、つまみが欲しいですか?海の水でも嘗めてなさい」
曙<●><●>「何やってんのよー!」
霞<●><●>「さっさとしなさーい!」
満潮<●><●>「なんなら飲ませてあげようか?」
青葉「ヒイイイイ!」
---お昼
提督代行「はい、駄目でしたね。もう一回です」
青葉「ぢょ、ぢょ、待っ…」
曙<●><●>「とーころが♪」
一同『ところが!』
霞<●><●>「あーおばは♪」
一同『青葉は!』
満潮<●><●>「まーだまだ♪」
一同『まだまだ!』
曙・霞・満潮「「「飲みたーりない!!」」」
一同『飲みたーりない!』
全員<●><●>『それそーれ♪一気ッ気のー気ー!』
青葉「も、もう……」
青葉「もうお酒はこりごりだー!」
---結局青葉はテキーラ5本、老酒3本、チューハイ・ビール500ml10本づつでダウンし、海の魚に盛大に餌を与える結末となり、ダウンしたところでお開きになり、入渠の運びとなった。お酒はほどほどに飲みましょう。
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提督代行「ふぅ…」
大淀「お疲れ様でした、提督代行」
提督「もう…もうトラブルはお腹いっぱいです…」
大淀「同じくです…せめて現提督がお帰りになってから…」
ガチャ!
金剛「ヘーイ!ティータイムダヨー!」
榛名「失礼します」
北上「お呼ばれしたよ~」
天龍「あ~、小腹がへった~!」
霧島「お菓子はたっぷり用意しましたからね」
利根「さあ提督代行!我輩を膝にのせて食べさせ合いっこをするのじゃ!」
天龍「おい、利根!代行は疲れてんだから困らせるんじゃ…」
提督代行「いいですよ。来なさい、利根」
天龍「おい!」
利根「やったのじゃ♪」
ポスッ!
金剛(シット!出遅れたデース!)
利根「フフーン♪良い座り心地なのじゃ♪」
金剛「提督代行!ズルいデース!私も…」
提督代行「解りましたから、ちょっと待って下さいね?」
金剛「OH!本当デスカー!」
提督代行「嘘ついてどうするんですか?」
榛名「提督代行、は、榛名も…」
提督代行「いいですよ、順番ですからね」
利根「提督代行!ナデナデもするのじゃ!」
提督代行「ハイハイ、それにしても軽いですね。ご飯ちゃんと食べてますか?」
利根「実は最近あまり…」
提督代行「駄目ですよ、しっかり食べなくては」
ナデナデ…
利根「ニャフフ///気持ちいいのじゃ♪」
大淀(普段なら許さない事もOKなさる位にお疲れになって…いえ、本当は…)
天龍「なあ、提督代行。この際だから聞いておきたいんだけどよ…」
天龍「俺達とケッコンカッコカリをしてくれないのは自分が代行っていう理由だけなのか?それとも…昔の事を気にしてるのか?」
提督代行「……いい機会ですから話しておきましょう。ケッコンカッコカリの『知られざる部分』を」
霧島「知られざる部分?」
提督代行「ええ。私も後になって知った事なのですが…」
コンコン!
提督代行「おや、誰か来ましたね。利根、離れて下さい」
利根「むぅ~、仕方ないのじゃ」
提督代行「どうぞ」
扶桑「失礼します、提督代行にお客様が…」
提督代行「お客?予定にはありませんが…いいですよ」
扶桑「畏まりました。どうぞ、お入り下さい」
「失礼します」
入って来たのは僧衣を身に纏った中年位の男だった。
提督代行(何だか嫌な予感が…)
男「初めまして、私、この度大参寺住職となりました○○という者です」
提督代行「…………え?」
新住職「先代の住職様が引退なさり、私が大参寺の住職となりました事のお知らせと、先代からのお手紙を預かってまいりました」
提督代行「…………え?先代?どういう事ですか!?」
新住職「先代はお身体が日々のお勤めを果たすには限界になり、私に後を託されて、老人ホームに入られました」
提督代行「そ、そんな!そんな!」
新住職「『自分から言えないのは心苦しいが、後は自由に生きよ。御本仏様はいつもお前と共にある』と伝言とお手紙を私に託されて、ホームに入られました」
提督代行「…………」
提督代行「嘘だ…」
提督代行「嘘だああああああああああああああああああああああ!!」
---中編、完。後編に続く
有能な者ほど苦労する…。
代行殿、御愁傷様。
作者様も執筆お疲れ様です!
もういいっ!休めっ!!
1氏、2氏、ご覧いただきありがとうございます!
1氏
激励、ありがとうございます!12月にまた公開しますので、よろしくお願いします!
2氏
休ませてやりたいのは…やまやまなんですけどねぇ~まだまだ代行の苦労は終わりそうにありませんね(ゲス顔)