もう1人の…? (過去編、第5話)
なんか重い話になっちゃった気がします。
相変わらずの日本語力です。はい。
気づいたら、1人だった。
誰もいなかった。周りにいるのは、人間以外。
ああ。私を守ってくれる人なんか…。いないんだ。
私の家。家には、大きな桜の木が立っていた。いつも、春になると満開になってみんなを笑顔にしていた。
でも、今年は違った。
お父さんとお母さんが、どこかに行ってしまったから。
帰ってくる事は…。無かった。
ちょうどその頃に戦争が始まったみたいだから…。多分、戦争の所為で…。
春香「誰もいないって…。寂しいです…」
誰もいない部屋で、今日もボーっとしている。
近くには、誰かがいるかもしれないけれども家から出る気も無かった。多分、それぐらいメンタル的にやられていた。
そして今日も、1人で1日を過ごした。私以外、誰もいない1日を。
春香「もう、寝ようかな…」
ベッドに1人で入る。そして、目を閉じる。
いつもなら、どんな夢を見たとしても翌朝には何ともならなかった。
けども、この日だけは…。この日だけは何か違った。
ーー??ーー
春香「あれ…? 私、寝てたはずなのに…。そもそも、ここってどこですか…?」
??「あ、ようやく起きた」
どこからか声が聞こえた。声がした方向を見ると、そこには誰かがいた。
目を凝らして見てみると、そこにいたのは自分と同じ容姿をした女の子がいた。
春香「え、ええ!? な、なんで私が目の前にいるんですか!?」
春香?「そりゃあ、私はあなただからね」
春香「ど、どういう事ですか…?」
春香?「私は、あなたの中にいるもう1人の私。まぁ、普通は会えないけれどもね」
春香「じゃ、じゃあ、なんで今、会えているんですか?」
春香?「だって、今寝てるじゃん。まぁ、夢の中だけ会えるって事だね」
春香「で、でもなんで急に出てきたんですか? これまではずっと何にも無かったのに」
春香?「それは…」
もう1人の春香が言いかけた時、急に明るくなった。
前を見続ける事ができないぐらいに眩しくなる。
春香「な、何ですかコレ…!? ま、前が見えない…」
春香?「あ~あ。どうやら、お目覚めの時間みたいだね。 じゃあ、またね~」
春香「ちょ、ちょっとぉ…!?」
そう言うと同時に、目が覚めた。目覚まし時計が、7時を指して鳴り響いている。
春香「あ、あれ…? ゆ、夢…?」
学校に行かなきゃいけないので、とりあえず訳が分からないまま出かける準備をする。
学校に行く最中も、夢の事を思い出しては、考えていた。
もう1人の自分。それが現実だとしたら、自分自身はいわゆる二重人格って言われる人なのかもしれないのかな…。
でも、なんで急に出てきたんだろう? 次に会えたら、聞いて見ようかな…。
けども、その日以降にもう1人の私は出てこなかった。いつ寝ても、長い時間寝ても。
春香「今日も出てきてくれなかった…。それにしても…。あの日から半月も経ってるのかぁ…」
出てきてくれる条件がさっぱり分からないので、どうしようもない。
なので、今日も会うために色々な事を試して寝てみる。そして、また失敗する。
春香「はぁ…。今日もダメだったかぁ…」
ため息をつく。そして、今日もまた学校に行く。これが、半月も続いている。
春香「そういえば、あの時は…」
あの夢を見た時の事を思い出す。その時は、確か1人で何もしたくないような気分だった。
春香「あの時の状況を作り出すって…。それは無理だよぉ…」
何もしたくないような気分になるような事なんか、普通に過ごしていたら起きるワケがない。
諦めて、今日もベッドに入る。そして、目を閉じた。
ーー??ーー
春香「…あれ? 来れちゃった…」
春香?「おっひさ~。半月ぶりだね~」
春香「あ、もう1人の私…」
春香?「いや~、まさか半月も会えなくなるなんて…」
春香「そ、そうですけども…。そ、そういえばあの時は聞けなかったんですけども、あの時はなんで急に出てきたんですか?」
春香?「え? あ~、あの時は確かそっちの私が苦しんでそうだったから、ちょっとどうにかしないとな~って感じで出てきた」
春香「そうなんですか…。でも、今日はなんで出てこれたんでしょうか…」
春香?「もしかして、今日もなんか悩んでたとか?」
春香「確かに、あなたに会えなかったから悩んでましたけども…」
春香?「もしかしたら、私が悩んでたら会いに行けるのかもね~」
春香「は、はぁ…。それで、久しぶりに会えたんですけれども、何するんですか?」
春香?「う~ん、そ~だね…。あ、そうだ。今、こうして会えてるって事はもしかして入れ替わりとかもできるんじゃない?」
春香「入れ替わり、ですか? でも、そんな事して大丈夫なんでしょうか…」
春香?「大丈夫だって、安心しなよ~。まぁ、入れ替わり方は分からないけども」
春香「じゃあ、言わないでくださいよ…」
春香?「あ、もう起きるみたいだ。うわっ、眩し!!」
春香「あれ…? 私は、眩しくない…」
春香?「目が、目がぁぁぁ!!」
春香「え? ええ?」
そのまま、呆然とそこに立ち続けている事しか出来なかった。
その間は眩しくも何ともなかった。
ーー現実世界ーー
春香?「眩しっ!? ってあれ? ここどこ?」
気がついたら、ベッドの上にいた。どういう事か分からないけれども、もしかして…。
春香?「まさか、こっちの世界に来ちゃったって事? じゃあ、本来こっちの世界にいるべき私は…」
春香(…。あれ? 何も見えない…)
春香?「ま、まぁ、とりあえず、こっちの世界の体験でもしようかな…。確か、学校に行かなきゃならないんだっけ…」
そのまま、こっちの世界にいる私の真似をして学校に行く。
この選択が、大きな間違いだったと気づくのは数日後だが。
ーー数日後、現実世界ーー
春香?(こっちの世界での生活は…。たまらない程に最高だった。夢の中では、1人でずっと座っているだけだった)
春香?(こんな生活を、こっちの世界の私は毎日過ごしていたのか…。だったら、私にだってこんな楽しい生活を送ってもいいはずだ!)
春香?(だから、もう変わってあげない。ずっと私がこっちの世界に居続ける。もう1人の私は…。そっちの世界で1人で我慢してなよ)
ーー同時刻、??ーー
春香(こっちの世界に来てから、何日も経ちました…。ずっと何もなくて…。退屈です)
春香(私と入れ替わったもう1人の私は…。今はどうしてるんでしょうか。何もないといいんですけれども)
春香(次、入れ替わる時に聞いてみましょうか…)
けれども、その日は来なかった。なぜなら、入れ替わった自分自身が何も悩まずに生きているからだ。
悩んだ事があったら、夢の中で会える。そう言っていた。
しかし、自分自身は悩みがたくさんあったが、もう1人の私は特に何も考えすぎずに楽に過ごしている感じだった。
そのため、悩みとはほぼ無縁な生活を送っている。
ーー??ーー
春香(もう、何日もここにいるままです…。そろそろ、元の生活に戻りたいけれども…。どうやって入れ替われる機会を作ればいいんでしょうか…)
何にもないと場所で、数日も過ごすと頭がおかしくなりそうになってくる。
けれども、ずっとこの場所で過ごさせられていたもう1人の自分自身はどうだったのか。
そこだけが、ずっと引っかかったままだ。
そんな事を考えていた時だった。
急に、目の前が明るくなった。あの時みたいに。
春香「ま、眩しっ…!!」
眩しさに耐えきれず、目を閉じた。
少し経つと、再び目を開けられるようになった。そこには、もう1人の自分がいた。
春香、春香?「「あ…」」
春香?「な、なんでいるのよ!? 入れ替わってから、1回も悩んだ事なんかなかったのに!!」
春香「私も分からないですよ…。って、そんな事はいいです! 私の身体を返してください!!」
春香?「はぁ? なんでよ!! あなたは、ずっとこんな楽しい生活を過ごしてたのに!!」
春香「たの、しい…? あの生活が?」
春香?「そうよ! 1人だけなのは変わらないけども…。こっちの世界は、別の場所に行けば誰かに会えるのに…。元の世界に戻ったら、いつまでも、どこに行っても誰もいないんだよ!? それを体験したなら、私がこっちの世界に執着する理由が分かるでしょ!?」
春香「そ、それは…。分かりますけれども!! けれども、やっぱり自分は自分自身の世界にいないといけないと思うんです!!」
春香?「うるさいうるさいうるさい!! アンタは、黙ってそこに居ればいいんだ!! 私だって、誰かと一緒にいていいはずだ!!」
春香「お、落ち着いてください!!」
春香?「この身体は、私のモノだ!! アンタには渡さない! いや、返さない!!」
もう1人の自分が暴れだす。それを止めようとした時、顔に拳が当たってしまった。
春香「痛っ…」
春香?「いった…」
拳が当たると同時に、もう1人の自分も痛みを訴えた。
一瞬、何が起きたのか理解が出来なかった。けども、すぐに理解が追いついた。
目の前にいるのは、自分。今さっき自分を殴ったのも、自分。
自分と自分が喧嘩している。そういう事だった。
春香「ど、どうなって…」
そう言うと同時に、目の前があの時と同じように明るくなった。
春香?「うわっ、眩しっ!?」
けども、いつもとは違った。
なぜか、2人とも眩しいと感じていた。
そして、2人が光に包まれた。
ーー現実世界ーー
春香「はっ…。はぁ、はぁ…」
目が覚める。身体からは、汗が止まらなかった。
少し経つと自分自身が、この世界に戻ってきたことに気づいた。
けども、1つだけ異常が発生していた。
春香「あ、あれ…? どうして、私…。身体が白く…?」
身体の半分が、あの時に会ったもう1人の自分になっていた。
また、夢の中ではよく見えなかったが、もう1人の自分の姿は人間に忌み嫌われる、あの生物に酷似していた。
春香「これって…。もしかして、深海棲艦ってやつ…?」
そう考えると、一気に絶望感が身体を襲った。
その体になってから、家から出れなくなった。
この家から出て行ったら、嫌われるどころか殺されてしまうかもしれない。
ただでさえ、1人ぼっちなのに更に1人になってしまう。
そんな最悪の状態の時、更に自分自身を追い詰める出来事が起きてしまった。
どこから漏れたのかは分からないが、自分自身が深海棲艦のようになってしまっているという事が知られてしまった。
周りから、更に人がいなくなる。1人ぼっちの家に、誰か来たかと思えば、耳を塞ぎたくなるような暴言が聞こえてくる。
助けて。誰か。
お願いだから。なんで1人にするの?
誰か…。お願い…。私を1人にしないでください…。
悪夢が、続く。そんな時、家の戸をノックする音が聞こえる。
でも、出る気は無かった。出たら、殺されてしまうかもしれないから。
無視していると、戸を破壊する音が聞こえた。
それを聞いた瞬間、「ああ、私はもう死んじゃうんだ」という事しか考えられなくなった。
足音が近づいてくる。もう、どうしようもない。
私は、気づいたら2重人格かと思ったら今度は深海棲艦だったというワケが分からない事になっていた。
けども、もう、諦めて、死ぬしかないんだ。
軍人みたいな人が、目の前に来る。
目を閉じた。死を覚悟して。
(次回に続く)
次週はこんな感じにならないようにしたいです。
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