救い(第8話)
話が一気に進みます。どうでもいいですが、99作目でした。
(前回までのあらすじ)
優斗は、海軍を完全に信用できなくなってしまい、優斗たちを保護しようとする朱里たちと戦闘になる。
大怪我を負いながらも、優斗は朱里たちを退け隠れていた洞窟から脱出する。
しかし、猛吹雪が発生し、優斗は茜を背負ったまま気を失ってしまう。
大雪が降る中、2人は海岸で倒れていた。
優斗も、茜も気を失っていて動く事もない。
??「…まだ、生きてるみたいだな」
??「急いで運びましょう。このままでは、本当に死んでしまいます」
??「コイツら、このぐらいでくたばっちまうなんて、弱っちいヤツだなぁ…」
??「人間なんだから、こんな目にあってしまえばこうなるのは当然です」
??「ハイハイ。私はそーゆー話は嫌いなんで」
??「さっさと運ぶぞ」
??「了解しました」
猛吹雪の中、2人は運ばれていく。
そのまま、車に乗せられてどこかに連れて行かれて行った。
??「それにしても…。こんなにデカくなってるとは、な…」
車を運転しながら男は、そう呟いた。
数時間ほど運転すると、病院のような施設に到着した。
到着するやいなや、2人を病院内の治療する場所へと抱え込んでいく。
??「んじゃ、治療の方頼むぞ。あと、あの娘の治療法の調査もな」
医者「分かりました。貴方は、これからどうする予定なんですか」
??「俺? まぁ、俺は…。あの馬鹿息子からどうにかして2人を守るためにちょっと細工してくるわ」
医者「あまり無茶だけはしないでくださいね。貴方が大怪我でもしたら、こっちは大変なんですから」
??「分かってるよ。んじゃ、行ってくる。お前ら、行くぞ」
??「了解です」
??「さーて、久しぶりに暴れっかぁー!」
男1人と、白い肌の少女2人は外へと向かっていった。
顔には、笑顔はなかった。
ーー病室ーー
優斗「どこだ、ココ…」
吹雪の中で気を失って死んだかと思ったら、なぜか病院にいた。
しかも、腕と足の痛めたところは丁寧に治療されてるし、体調も問題がない。
優斗「何があったんだ、俺…」
誰かが助けてくれたのは事実なんだろうけれども…。
あの街にいた人物ではないのは事実だ。窓から見る限りだと、あの街付近でもない。
優斗「って、そんな事考えてる場合じゃねぇ!! 茜はどこだ!!」
茜がいない。一緒に倒れていたハズなのに。もしかしたら、誰かに連れ去られたのか!?
そう思うと、不安になり部屋から出ようとする。しかし、腕と足に激痛が走った。
優斗「いっ…!!」
もしかしたら、折れてたのか、俺の腕と足。
まぁ、艤装思いっきりブッ叩いたりしたからな…。
優斗「けども…。今は…。そんな事は関係ねぇ!」
痛む足を引きずり、固定されている腕を抑えながらドアの方へと歩く。
ドアノブを動かすと、あっさりとドアは開いた。鍵はかかっていなかったらしい。
部屋の外に出ると、長い廊下に出た。しかし、廊下には誰もいない。
優斗「本当に何なんだ、ココは…」
痛みをこらえながら、廊下を歩いて行く。病室が何室もあったが、どの病室にも人はいなかった。
誰もいない、施設内を歩いていくが、不気味過ぎて怖くなってくる。
優斗「茜…。無事でいてくれ…」
いつの間にか、そう呟きながら歩いていた。
茜の事を考えると、不安になってくる。身体の半分だけが深海棲艦化し、倒れる前には謎の痛みで苦しんでいた。
そんな状態で今を過ごしていると思うと、俺も辛い。
??「オイオイ…。病室から勝手に出てんじゃねーか…」
優斗「!?」
いつの間にか、後ろに人がいた。
後ろを振り向くよりも早く、気を失わされた。後ろにいた人物が誰なのかが分からないまま、優斗はまた連れて行かれた。
(数時間後)
優斗「…」
また、病室のベッド上で目が覚めた。誰かに何かされて気を失ったかと思えば、こうだ。
優斗「俺の身に一体、何が起こったんだ…?」
ワケが分からないまま、ベッド上で寝転んでいた。
すると、ドアをノックする音が聞こえた。反応するよりも前に、誰かが入ってくる。
??「おーおー、目が覚めたか」
優斗「あ、あんた…。じゃねぇ、貴方は…!!」
目の前にいたのは、祐樹の前の元帥。つまり…。祐樹の父親だ。
優斗「ど、どうして貴方がこんな所に…?」
??「元帥様、あの娘の容態が回復に向かい始めました」
優斗「…え!? ヲ、ヲ級!?」
??「それにしても…。コイツが例の人間か? あんまり強そうには見えねーけれども」
優斗「今度はレ級ぅぅう!?」
前元帥の後ろから、レ級とヲ級が人語を話しながら出てきた。
前元帥が目の前にいるだけで頭の中がこんがらがっているのに、そこに人語を話す深海棲艦が出てきて、脳ミソがオーバーヒート寸前だ。
優斗「え? …は?」
前元帥「オイオイ…。急に出てきたら、混乱するだろ…」
ヲ級「そういえば、そうでしたね」
レ級「この程度で混乱なんかするかー?」
ヲ級「零、お客様を煽るのはやめなさい」
レ級「煽ってなんかいねーっての。その真面目なところもどうにかすべきだと思うぜー、ナンバー1さんよぉ」
優斗「…」
なんなんだ、コレは。
目の前で、ヲ級とレ級が言い争っている。それを前元帥がなだめている。
…もう訳が分からない。
優斗「…」バタッ
前元帥「ちょ、おい!?」
優斗は、頭の中で処理が間に合わず、そのまま気を失った。
(更に数時間後)
優斗「…まさか1日で2回も気を失う事になるとは」
目が覚めたら、もう夕方になっていた。どれだけ気を失っていたんだ、俺は。
ベッド上から窓を眺める。夕陽が沈み始め、海は赤くなっていた。
優斗「そういやあのヲ級、彼女の様態がうんたらかんたらって言ってたな。まぁ、それが茜かどうかは分からないけれども…」
前元帥「おーい、起きたかー?」
優斗「あ、はい」
ドアを開けて前元帥が入ってくる。
前元帥「今さっきは悪かったな。あの2人、仲があんまり良くないみたいでな…」
優斗「は、はい…」
優斗(そんな事よりも普通に人語を話してた方が、俺にとっては驚きだったけれどもな)
前元帥「まぁ、そんなに緊張しなくても大丈夫だ」
優斗「分かりました…。それで、なんで私はココに?」
前元帥「あぁ、そういえばまだ話していなかったな。まぁ、最初から話すと長くなるんだがな…」
その後、前元帥から俺がここに連れて来られるまでの話を聞いた。
俺らがあの洞窟から出た後、優香たちは祐樹の鎮守府に戻った。その時、祐樹の鎮守府にいた前元帥が洞窟付近に俺らがいたことを報告。
その後、前元帥とあの深海棲艦2人が俺らを見つけてココに連れてきた、というワケだ。
ちなみに、俺の腕と足は折れてはなかったけれども、ヒビが入っていたらしい。そりゃ、痛いわな。うん。
一方、茜は運ばれてきてから少しの間は気を失っていたけれども、目を覚ましたらしい。
けれども、まだ身体を動かすのはキツい状態との事だった。
優斗「そう、なんですか…」
前元帥「それにしても…。とんでもないバケモンが出てきちまったもんだな。あのバケモンどうやって倒せばいいんだか…」
優斗「そ、そういえば、私の鎮守府内にいる艦娘で、昔、身体の一部だけが深海棲艦になった娘が…」
前元帥「あぁ、その娘の事なら知ってるよ」
優斗「え、なんでなんですか…」
前元帥「だって、その娘助けてたの俺だからな」
優斗「え…。えぇぇぇぇぇ!!!???」
思わず叫んでしまった。そんな事こっちは知らなかったぞ!?
前元帥「急に叫ぶんじゃないよ…」
優斗「す、すいません…。あまりにもビックリして…」
前元帥「まぁ、あの送った資料には書いてなかったからな」
優斗「そ、そうだ!! あの資料に書いてあった病院って、どこですか!?」
前元帥「え? ココだぞ?」
優斗「…へ?」
あっさりと言われて驚く間もなかった。
まさか、こんなに一生懸命に探していた所がこんなにも簡単に見つかってしまうとは。
前元帥「もしかして、この病院を探していた理由ってあの娘を救うためか?」
優斗「…はい」
前元帥「悪いが、治すのはまだ無理だ」
優斗「な、なんでですか!? この病院にいるそのお医者さんなら深海棲艦化した娘を治す事が出来るって…」
前元帥「確かに、それは事実だ。けれども、それが出来る医師は今はココにはいない」
優斗「じゃ、じゃあ、どこにいるんですか?」
前元帥「今は、別の研究施設にいる。深海棲艦を調べる施設にな」
優斗「深海棲艦を調べる施設…? そんなモノ、聞いた事ないですよ」
前元帥「まぁ、この施設もその施設も公にはされていない施設だからな」
優斗「でも、深海棲艦について調べる施設をなんで公にしないんですか?」
前元帥「…」
そう聞くと、ここまでスラスラと言葉を発していた前元帥が、口を閉ざした。
もしかしたら、聞いてはいけない事だったのかもしれない。
優斗「す、すいません。何か聞いてはいけない事を聞いてしまったんじゃ…」
前元帥「お前、今から言う事を誰にも言わないって約束できるか?」
優斗「え、あ、はい…」
前元帥「それならいいんだ。実はな…」
前元帥「昔から続くこの深海棲艦との戦争、実は俺ら人間の所為だからだ」
優斗「…えっ」
(次回に続く)
重要な報告があるので、詳しくはリンク先からどうぞ。
このSSへのコメント