終戦へ向かう一歩。(第17話)
先週休んですいませんでした!
作品クオリティは通常通りの低クオリティです。あと、タイトルを若干変更しています。
(前回のあらすじ)
今いる元・優斗の鎮守府に、あのバケモノが襲撃してくる。
序盤はまだ抵抗もでき、深海棲艦化した艦娘を回収していく事ができたが、バケモノが覚醒。
500を超える深海棲艦と更に強化されたバケモノの影響で、優斗たちは追い込まれていく。
必死で逃げ回るが、遂に絶体絶命となり抵抗を諦める。
しかし、その場に新たな救いが…。
優斗「ハハッ…。まさか、こんな事になるなんてな…」
視線の先に映る少女を見て、優斗は言葉を漏らす。
??「どうやら、ギリギリセーフだった…。みたいかな」
??「完全復活っぽーい!!」
??「お兄ちゃん、大丈夫!?」
数日前までは、心が粉々にされて動けなかった皆が。家族が戻ってきた。
優斗「バーカ。ホントに…。おっせぇんだよ!」
海上で倒れながら言葉を続ける。
もしかしたら、二度とあんな風に海上を駆け回っている家族を見れなくなってしまうと思っていた。
けれども、大ピンチなこの場面で、まさかヒーローのように助けに来るなんて。
嬉しい様な、何なのか言葉にできない気持ちで胸がいっぱいいっぱいになってくる。
バケモノ「ナニ…。ゴチャゴチャイッテルンダァ!!」
時雨「おっと。危ない危ない」
夕立「相変わらず危険なヤツっぽい…」
心音「しかも、前よりも危険そうに…」
優斗「…気をつけろ。ソイツはもう人間の部分は多分もう残ってない。残ってたとしても、せいぜい1%とかその辺だろ」
前に飲んだ薬の効果が切れる寸前で、解除薬を口に入れる。
だが、解除薬を口に入れた影響で海上には立てなくなってしまった。
優斗「うわっとぉ!?」
海の中に身体が沈んでいきそうになるが、近くにいた愛香と鈴奈に支えられてどうにか沈むのは防げた。
江風「オイオイ…。これじゃ足手まといになっちまうな」
涼風「薬ってもう残ってねぇのか?」
優斗「悪いが、もうない」
江風「そっか。まぁ、いいんだけどもな」
優斗「…は? いや、よくはないだろ!? 俺を背負ったまま戦うつもりか!?」
涼風「んなワケないだろ?」
普通に話すかのように何でもないように言うので、脳内が混乱する。
この状態をどうしてひっくり返すつもりだ!? なんか変な武器でも使うのか? いや、皆はそんなモノは持ってないハズだ。
時雨「とりあえず、いったん戻るよ。ここじゃ危険だ」
夕立「了解っぽい」
心音「お兄ちゃん、ちょっと2人につかまっててね」
優斗「…え?」
江風「ヨッシャ、いったん離脱ゥ!」
涼風「落ちんじゃねーぞ、優斗!」
優斗「ちょ、まっ…。うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
優香たちが攻撃を上手く弾きながら、俺らは離脱していく。
けれども、後ろからはバケモノの攻撃が飛んでくるし、めちゃくちゃ凄いスピードで俺は連れて行かれるしでいったい今日は何なんだ!?
猛スピードで海上で抱えられながら、少しずつ離れていくバケモノを見ながら心の中でそっと呟いた。
バケモノ「…ニゲタカ。マァイイダロウ。ミツケタラ、グチャグチャニシテヤレバイイダケダ…」
空を見上げてバケモノが吠えるように笑った。
その声は、まるで怪獣映画に出てくる怪物の咆哮のようだった。
優斗「お、おい! どこまで行くんだよ!?」
江風「姉貴たちのトコまでだよ。合流してからもう一回移動するけれどもな」
優斗「姉貴…。って事は、由衣たちも元に戻ったのか!」
涼風「まぁ、まだちょっと…。怖い、けどもな」
優斗「鈴奈…」
江風「私だって、優斗のトコ行くの怖かったよ。けども、これ以上家族が傷つくのはもう…。嫌だからな」
時雨「とか言ってるけども、本当に一番心配しまくってたからね」
夕立「なんやかんやで愛香は家族想いっぽい」
江風「あんまり言うなよ…。ハズいから」
心音「そろそろ合流場所に着きますよー」
心音が指さす方向には、助けに来たメンバー以外がそこにはいた。
村雨「久しぶりー。って、そんな感じじゃない、よね」
優斗「いや、こっちの雰囲気の方が俺にとってはちょうどいいよ。いつもの雰囲気で、さ」
白露「ゆーくん!」
優斗「あ、あれ? 茜? どうしてここに?」
白露「由衣たちにこっちに連れて来られて…」
どうやら、海とは別の方で茜や朱里、夕暮は由衣たちに会った後にここに連れて来られて来たらしい。
治療も軽い程度ではあるが、止血などはちゃんとされてあった。
時雨「さて、コレで全員揃ったね」
白露「確かに揃ったけれども…。何かあるの?」
時雨「ココに来るまでに、例のお医者さんから渡されたんだよ。秘密兵器ってヤツ」
優斗「嘘だろ!? いつの間に完成してたのか!?」
夕立「ついさっき渡されたから、多分出来立てっぽい?」
優斗「いやソレはないだろ。で、その秘密兵器ってのは何なんだ?」
時雨「…コレだよ」
優香が取り出した小さな容器の中には、小さなカプセルが入っていた。
しかし、そのカプセルは今さっき自分が飲んだカプセルとやけに似ていた。
優斗「これって、俺が今さっき使っていたヤツじゃ…」
時雨「まぁ、似てるっちゃ似てるね。けれども、コレはその薬の完全版、とでもいえばいいのかな?」
優斗「って、事は秘密兵器ってコレか? というか完全版ってなんだよ」
時雨「簡単に言えば、自由に深海棲艦化できるって事だね」
優斗「…え?」
あっさりと言うのはいいが、それって何気にとんでもないモノなんじゃねぇか?
自由に深海棲艦化するって…。でも、副作用とかがあるんじゃ…。
優斗「それって…」
白露「ダメだよ!!」
優斗「!?」
優香に気になった事を聞こうとした瞬間、茜が大声で叫んだ。
優斗「ど、どうしたんだよ、茜。急に大声なんか出して…」
白露「皆、本当に深海棲艦になってもいいの!? こんな酷い格好になっちゃうんだよ!? そもそも、自分の身体をそんな風に使うなんて…。おかしいよ…」
目に涙を浮かべながら茜は言葉を続ける。
白露「こんな苦しい思いをするのは、お姉ちゃんである私だけでいいんだよ…。これ以上皆に、苦しい思いなんか…。させたくない、よぉ…」
ボロボロと涙を流しながら話し続ける。
優斗「茜…」
時雨「…でも、僕たちだってもう見たくないよ」
村雨「茜お姉ちゃんが私たちのために傷つくのは、もう…。嫌だから」
夕立「私たちのためにボロボロになってる姿はこれ以上は見たくないっぽい!」
春雨「だから、今度こそ私たちが茜お姉ちゃんの横に立ってみせます」
五月雨「茜お姉ちゃんに、頼るんじゃなくて頼ってもらえるように」
優香に続くように、由衣たちも口を開く。
血が繋がっていなくとも、今はそんな事はどうでもいい。自分の大切な姉を守るため。
少女たちは地獄から這い上がって来た。
海風「私たちの心が壊れて動けなくなっていた時も、毎日茜姉さんは様子を見に来てくれました」
山風「茜お姉ちゃん以外の人なら、こんな事、してくれなかったと思う…」
江風「そンな大切な姉貴を守りたくない妹なンか、いるワケねぇだろ?」
涼風「もう、1人で抱え込ませるワケには…。いかねぇんだよ」
全員が、涙目で茜を見ていた。
妹たちにとって、大切な姉が苦しむ姿をこれ以上見る事なんて、地獄さえも生温い。
心音「皆、茜さんの事を心配しているんです。だから、1人でこれ以上苦しまないでください。こんな地獄には…。私たちも一緒に行ってあげます」
時雨・村雨・夕立・海風・江風「艤装、展開っ!」
優香たちの艤装がその一言で再び展開される。
春雨「じゃあ、私たちもいきましょう」
五月雨「うん」
山風「失敗しないように、かんばる…」
涼風「そんな簡単には失敗しない…。だろ?」
春雨・五月雨・山風・涼風「改二艤装、展開!!」
優斗「なっ、嘘だろ!?」
春雨や五月雨、山風も涼風は改二の予定なんかない。
そもそも、計画さえも出てきた事も無いのに何で改二の艤装が装着されてるんだ!?
春雨「ちょっときつかったけれども…。茜お姉ちゃんを守るなら、これぐらいの力が必要ですから」
五月雨「これで…。茜お姉ちゃんを守れます!」
山風「お姉ちゃんの横に、コレで立てる…」
涼風「姉貴が危ない時はアタイたちに任せな!」
目の前で起こっている全ての出来事を見終えた後、茜は再び口を開いた。
白露「ハハ…。みんな…。本当にありがとうね。どうやら私…。皆の事をまだ完全には見れてなかったみたい」
優斗「茜…」
白露「じゃあ、今日は、いや、これからもみんなに頼っていくよ。じゃあ、みんな…、行くよ!」
目の前にいる10人の前で、今できる最高の笑顔を見せて茜は言った。
白露「今日、ココでこの戦いを終わらせる。鎮守府のみんなや、たくさんの大切な人のために!!」
白露「みんな、戦闘準備!!」
茜のその一言で10人が口にカプセルを放り込む。
カプセルが口に入ってからすぐに、身体が白くなっていく。1分も経たないうちに、優香たちは深海棲艦のようになった。
朱里「…なにこれ」
夕暮「さぁ? 私には皆が深海棲艦化して最後の戦いに行こうとしてるだけにしか見えないよ」
優斗「ったく、お前らなぁ…。少し空気を読め、空気を」
朱里「いや、私たちほったらかし状態だったからね」
夕暮「けれども、こんなに妹ちゃんに大事に扱われてるって事は、本当に愛されてるって事だよね」
優斗「まぁ、茜はみんなの中では一番優しい娘だから、な」
茜たちが海の方へと向かい始める。
白露「お姉ちゃんと夕暮ちゃんもついて来て。少しでも戦力が欲しいから」
朱里「もちろん、力を貸すよ」
夕暮「私たちだって、茜ちゃんの事を大切に思ってるんだから」
優斗「…アレ、俺は?」
薬はもう切れているので、俺は海上を走る事は出来ない。
そうなると戦う事が出来ないので、どうしようもない。
白露「ゆーくんはココで待ってて。私たちが終らせてくるから」
優斗「わ、分かった…」
海上を動けないので、大人しく茜の指示に従う事にした。
ココで待っているように言ってからすぐ、茜たちは海の上を歩き始めた。
そんな中、優香だけ海へと入ろうとせずに優斗の横に立った。
優斗「どうかしたか?」
時雨「いや、一応のためにこれだけ渡しておこうと思って」
優香が優斗に手渡したのは、小さな通信機とカプセルが入っているケースだった。
時雨「いざとなったらコレを使って。通信は常に入れておいてね」
優斗「…分かった。気をつけろよ」
耳元に通信機をつけ、ケースをポケットにねじ込んだ。
そして、茜たちが見えなくなるまで見送った。
(次回に続く)
次回、「これで…。」に続きます。
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