回想

提督「調子はどうだ？」

妻「この通り、問題ないわ」

提督「ならいいが....あんまり無理はするなよ？」

妻「無理って....ふふっ、私はこうしてベッドの上から動けないのに無理もできないわよ」

提督「ああ....そうだな」

ピーピー！

提督「ああ、スマン。呼び出しだ。また来るよ」

妻「ええ、あなたも気をつけてね」

提督「お前もな」

妻「ええ」

妻「......は.....大丈夫です」

朝潮「急なお呼び出しをして申し訳ございません！」ビシッ

提督「気にするな、さて始めようか」

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朝潮「以上が本部からの伝令でございます」

提督「ああ、ご苦労さん。よっと」

朝潮「今日は早めの御帰宅なんですね」

提督「いや少し買い物をして行こうと思ってね」

朝潮「買い物....あ！そういえば明日は」

提督「12月14日。妻の誕生日だ。とは言っても何を買ってやれば喜んでくれるか....」

朝潮「司令官が買ってくれた物でしたらなんでも喜んでくださると思いますよ！」

提督「そうかな....」

朝潮「はい！」

提督「ありがとう朝潮、では言って来るよ」ナデナデ

朝潮「い、いえ！それでは司令官！」ビシッ

鎮守府(外)

提督「うー寒っ....本格的に冷え込んで来たよな....」

提督「とりあえず商店街に行くか、何を買うかは回りながら決めよう」

商店街

(ｲﾗｯｼｬｲﾏｾ！)

(ｶﾞﾔｶﾞﾔ)

提督「服.....いや、指輪....いや結婚指輪嵌めてるしな....」

提督「ムー......どうしたもんか」

(ヘイ！マスター！もう一本開けるデース！)

(お姉様飲み過ぎですよぉ！)

(スパスィーゲフッ！.....スピリタスもう1杯貰おうか)

(ちょっとあんたも飲み過ぎよ！)

(何言ってるんだい、私にとって酒は可燃性の水だよ)

(ガヤガヤ！！)

提督「フッ、賑やかだな」

20分後

提督「まずい....マジで何を買おうか.....お」

提督「ネックレス......」

(ｲﾗｯｼｬｲﾏｾー)

提督「これ....あいつに似合いそうだな。すいません！これください」

(ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｼﾀ-)

提督「さて、帰るか....」

12月14日早朝

ビー！ビー！ビー！

提督「んんっ....誰だこんな朝早い時間に.....もしもし？」

？？「あ！もしもし提督さん！急いで病院に来てください！！」

提督「！！！妻がどうかしたんですか！？」

？？「話してる暇はありません！早く来てください！」ガチャ

提督「くっ...早く行かないと！」

病院

提督「はぁ！はぁ！」

バンっ！

提督「おい！大丈夫か！」

妻「.....な.....た」

提督「しっかりしろ！！嘘だろ！なんでだよ！」

妻「ごめ.....んな..さい....約....束、守れなくて....ごめ」

提督「諦めるな！先生なにか」

医師「ありません.....」

提督「え......」

医師「もう私達に出来ることは....ありません」

提督「そんな....なぁ...俺を置いて行かないでくれよ...！また一緒にあの海を見るって言ったろ...！」

妻「あな....た」ポロポロ

提督「っ.......」プルプルッ

提督「.......今日、誕生日だよな....」

妻「.........」

提督「昨日......お前に似合うと.....思っで....思って....買ってきたんだ」

妻「ッ.....」ポロポロ

提督「誕生日.....おめでとう....」ポロポロ

提督「そして......ありがとう.....」

妻「私.....こそ.....ありが.....とう.....」

ビー！ビー！ビー！

提督「ッ！おい！....おい！」

妻「あ......なた......」

妻「........は......幸せ....でした.....」

提督「まて......まって.......待ってくれ.....」

妻「.......は.....てい....とく......ず....と......愛して....います」ニコ

ピーーーーー、ピーーーーーー

提督「.........なぁ......嘘だろ.......嘘だと言ってくれよぉ...！」

医師「......失礼.....御臨終です」

提督「ううっ......あああああああああああああっ！」

俺はこの日に俺の全てを失った

妻は....俺の生きがいでもあった

妻と一緒に.....なんて事も考えたが

どうやら俺を簡単には死なせてくれないらしい

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数年後

本営

少尉「以上が報告になります」

中将「なるほど....深海棲艦の動きがまた活発になったのか」

少将「更に戦力まで回復.....いやそれ以上になっているとは.....どうしますか元帥」

元帥「今回の作戦、間違いなくこの地域は最前線となるだろう」

中将「はい、それは把握できております。しかし」

元帥「ああ、今のままでは間違いなく負ける......なんせ戦力が圧倒的に足りん。あの作戦から多くの同胞を失い、我らもまだ戦力が回復しておらん」

少尉「負け戦ですか....」

元帥「いや.....望みはある」

中将「それは.....」

元帥「第三次大海戦.....我らは窮地に立たされていた」

少将「はい.....もしや！」

元帥「ああ、その状況を見事にひっくり返した若き男がいた」

少佐「軍鬼....ですか....」

元帥「ああ、彼ならば今この状況を打破してくれる事だろう」

中将「しかしあの方は！」

元帥「説得には私が行こう.....全て私の責任なのだからな」

中将「元帥.....」

元帥「時間がない、早速殴られに行って来るよ」

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ある鎮守府

中将「注目！！聞いてはいるだろうが近々新しい提督がこの鎮守府に着任する！」

(え、新しい提督？)

(知ってるぽい？)

(さーねー)

中将「その方はかつて軍鬼と讃えられていたお方だ！」

朝潮「！！！」

中将「必ずお前達を勝利に導いてくれる筈だ！では私からは以上だ。それと榛名！」

榛名「は、はい」

中将「後で私のもとへ来い」

榛名「了解致しました」

中将「では解散！」

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榛名「失礼いたします」

中将「うむ、入れ」

榛名「お話とは.....」

中将「単刀直入だが近々着任する提督の秘書官に着いてほしい」

榛名「は、榛名がですか？」

中将「ああ、君にしか任せられない」

榛名「榛名よりも優秀な方がおられると思います、鹿島さんとか....霞さんとか......」

中将「言った筈だ、君にしか任せられないと」

榛名「........了解いたしました」

中将「不満か？」

榛名「いえ！....そうではなく......なぜ榛名を....」

中将「まぁ君にだけは話した方がいいかも知れないな」

中将「という事があったんだ」

榛名「そ....そんな......」ポロポロ

中将「どうだい？引き受けてくれるかい？」

榛名「グスッ.....はい....戦艦榛名！喜んでお引き受け致します！」

中将「うむ、では、彼をよろしく頼む」

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とある一軒家

元帥「ここかの」

憲兵「元帥！やはり我々も」

元帥「いい、憲兵は邪魔が入らんよう警備だけしておいてくれ」

憲兵「ですが！」

元帥「いいんだ、私は彼に対して殺されても構わない事をしている、なんならここで殺されても構わん」

憲兵「元帥.....」

元帥「さて.....最近医師に骨粗しょう症とか言われていてね.....顔の骨が保つと言いが」

第一話　艦