2021-11-06 04:01:45 更新

概要

とある新設基地の日常そのにです。


前書き

今回は実験施設の過去編から始まります。
五月雨を拐かした間宮の目的とは?そして裏で糸を引く集積地棲姫の思惑は?
諸々の秘密が暴かれる予定(仮)の第一章そのに。
ごゆるりと楽しんでいってください。


在りし日の五月雨


五月雨『さぁ、妹達よ!鬼ごっこをしましょう!』バーン


レ級 『やだよ。五月雨姉、強すぎるから。』エェ


ヲ級 『ヲー。』


五月雨『何なら、3対1でもいいんですよ?』ムフン


蓮華 『言ったな?お姉ちゃんとはいえ、手加減しないぞ?』ニヤッ


五月雨『かかってきなさい!若人達よ!』ババーン


蓮華 『いくぞ!レ級!』ダッ


レ級 『おうよ!』ダッ


ヲ級 『ヲヲー!』トテテテ


レ蓮華『電磁ネットをくらえ!』バサッ


五月雨『ちょっ!それ、反則!』ワタワタ


ソリャー! ウニャァァァ!


レ級 『へへっ。捕まっちまったなぁ・・・五月雨姉。』ニィ


五月雨『屈しない。私は絶対に屈しないかりゃにゃあ!』ジタジタ


蓮華 『ヲ級よ。スイッチを入れる名誉を譲ろう。』つスイッチ


ヲ級 『ヲっ。』ポチッ


五月雨『ぎにゃぁぁぁ!!』ビリビリ


ヲ級 『ヲヲ~。』キラキラ


レ級 『悪は滅びた。』フッ



今も昔も変わらない。


五月雨『ケホッ』プスプス


南方戦『何やってるのよ、アンタ達。』


蓮華 『鬼ごっこだ、母上。』フンス


レ級 『俺達、五月雨姉を捕まえたんだぜ!どうだ、すげぇだろ!』ドヤッ


ヲ級 『ヲヲっ!』ドヤァ


集積姫『へぇ、やるじゃん。』ナデナデ


レ級 『ふっふっふ~。』ムフン


ヲ級 『ヲ~♪』


南方戦『で、アンタは大丈夫なの?』


五月雨『姉妹に倒され逝けるなら本望。我が生涯に一片の悔い無し・・・。』ガクッ


蓮華 『逝ったようだ。墓でも建てるか。』フム


南方戦『花も供えてやりなさい。』


集積姫『そろそろおやつの時間だね~。さぁ、部屋に戻ろうか。』


ハーイ! ヲー!


五月雨『』スクッ


南方戦『あら、生きてた。』


五月雨『わ~い!』タタタッ


蓮華 『まるで子供だな。』マッタク


南方戦『事実、子供でしょうが。アンタも行ってきなさい。』


蓮華 『うむ。』トテトテ



ヲ級とレ級の母


集積姫『いやぁ、子供は無邪気でいいねぇ。』ケタケタ


南方戦『アンタの娘はそうでしょうね。蓮華は何というか・・・。』


集積姫『達観してる?』


南方戦『そうね。偶に婆かと思うわよ。』ハァ


集積姫『辛辣だねぇ。』ケタケタ


南方戦『・・・ありがとね。』


集積姫『どうしたの?らしくないぜ、私に感謝するなんてさぁ。』


南方戦『いいじゃない。ふたりきりのときくらい。』


南方戦『あの娘達の前で、こんな話できないわよ。』


集積姫『・・・。』


南方戦『ワタシに気を遣ってくれたんでしょ?態々、体外受精なんてしちゃって。』


集積姫『別に、そんなのじゃないよ。ただデータが欲しかっただけ。南方ちゃんは関係ない。』


南方戦『それでも嬉しかったのよ。自分の愛するひとが別の誰かと関係を持つなんて、考えただけで気分が悪いもの。』


南方戦『だから言わせて。ありがとう、集積。』ニコリ


集積姫『まぁ、そういうことにしておくよ。』フフッ


レ級 『母ちゃ~ん!早くおやつにしようぜ~!』オーイ


ヲ級 『ヲー!!』ピョンピョン


集積姫『こらぁ。私のことは"お姉ちゃん"と呼びなさいって言ったでしょ。』


レ級 『なんでだよ。母ちゃんは母ちゃんだろ~。』


集積姫『なんでもよ。』


南方戦『集積、そこまで気を遣わなくていいのよ?』


集積姫『いいの。これは私のけじめだからさ。』


南方戦『そう。なら、もう何も言わないわ。』


集積姫『そうしてもらえると助かるよ。』


カアチャン ハヤクー ダカラオネエチャントヨビナサイ!



幸せの御饅頭


レ級 『今日のおやつはなんだろな~♪』ルンルン


ヲ級 『ヲっ♪ヲ~♪』ピョンコ ピョンコ


五月雨『きっと、お父さんのお手製ですよ~♪』フンフン


蓮華 『おやつひとつで・・・。まったく、付き合ってられん。』ハァ


黒霧 『おかえり。しっかり遊んできたかな?』ニコニコ


五月雨『はい!それはもう・・・。』


蓮華 『』シュバッ


黒霧 『おっと。』ダキッ


蓮華 『今日はお姉ちゃんと鬼ごっこをして勝利したのだ。』ムフン


黒霧 『そうか。それは凄いね。』ナデナデ


蓮華 『ふふん。』モットホメロ


レ級 『ずりぃぞ、蓮華!俺も褒めろよ、父ちゃん!』ダッ


ヲ級 『ヲヲ!』タッ


黒霧 『うん。レ級もヲ級も凄いよ。よくやったね。』フフッ


レ級 『えへへ~♪』ギュッ


ヲ級 『ヲ~♪』スリスリ


五月雨『みんな甘えん坊ですねぇ。』ヤレヤレ


黒霧 『五月雨は来ないの?』


五月雨『私達は仲良し姉妹ですよ?行くに決まってるじゃないですか!』トウッ


ムギュッ ワプッ クルシイゾ オネエチャン ヲヲー


南方戦『好かれまくってるわね。ウチの旦那様は・・・。』


集積姫『南方ちゃんは行かなくていいのかなぁ?』ニヤニヤ


南方戦『・・・行ってくる。///』


集積姫『いってらっしゃ~い。』ヒラヒラ


ワタシモマゼナサイ! キャー


集積姫『・・・とは言ったものの、私だけ除け者なのは寂しいのよねぇ。』フム


集積姫『よぉし。私も行っちゃうよぉ!』バッ


チョッ コレイジョウハ! ウリャー! ギャァァァ! アハハハハ



そんな幸せが私も欲しい。


蓮華 『Zzz』スピー


レ級 『Zzz』グガー


ヲ級 『Zzz』スヤァ


五月雨『もう。お姉ちゃんは美味しくないですよ・・・?』ニヘラ


南方戦『この娘はどんな夢を見てるのかしら・・・。』ウレシソウネ タベラレテルノニ


集積姫『深海が艦娘を喰い尽くしてる夢とかじゃないの?』ニタァ


南方戦『そんなわけないでしょ。五月雨は人類と深海の架け橋になる娘なんだから。』


集積姫『それは人間が勝手に思ってることでしょ。』


南方戦『・・・そうかも知れないわね。』


集積姫『あらぁ。南方ちゃんもこっち派だなんて、意外ね。』ニィ


南方戦『ワタシは鬼よ?人間への憎悪は、姫であるアンタよりも大きいの。』


南方戦『人間の中にも彼のような人がいることは理解してる。でも、それが少数派なのは火を見るより明らか・・・。』


集積姫『和睦が成っても、この娘達が安心して暮らせる保障は無いと。』ナルホドネ


南方戦『そういうアンタはどうなのよ?』


集積姫『私?まぁ、私も大体同じかな。』


南方戦『そうでしょうね。』フッ


集積姫『でもまぁ、敢えて付け加えるならぁ・・・。気に食わないのよねぇ。』


集積姫『私の娘が道具みたいに扱われるのはさぁ・・・。』オォォ


南方戦『殺気、出てるわよ。』


集積姫『おっと。ついうっかり。』ケタケタ


南方戦『意外ね。アンタもちゃんと母親してるじゃないの。』ウフフ


集積姫『失礼な。私にだって情ってものはあるんだからぁ。』ムッ


南方戦『そうね。でも、心配ないわ。この娘達には、あのひとがついてる。』


集積姫『時雨ちゃんは優しいからねぇ。』ケタケタ


集積姫『・・・本当に。』ニタァ



目覚めの一撃


五月雨『朝ですよぉ!!』バサァッ


南方戦『ちょっと。布団を捲らないでちょうだい。』サムイジャナイ


レ級 『Zzz』グォー


五月雨『もう!こんなに良い朝なのに寝てるなんて勿体ないですよ!』プンプン


ヲ級 『ヲヲっ!』


南方戦『良い朝は二度寝するに限るのよ。おやすみ。』モゾモゾ


五月雨『・・・そういうことなら、仕方ないですね。』ムムゥ


五月雨『あれをやりますよ、ヲーちゃん。』キラン


ヲ級 『ヲっ!』ビシッ


五月雨『行きますよぉ!五月雨&ヲーちゃん・ボンバー!!』シュワッチ


ヲ級 『ヲヲっ!』ピョンッ


ドシーン! グハァッ! ヒザオトシ! ウゴァッ!


南方戦『容赦ないわね、アンタ達・・・。』グフッ


レ級 『なんで、俺まで・・・。』ピクピク


五月雨『さぁ、起きてください!それとも・・・。もう一発、いっときますか?』ニヤァ


ヲ級 『ヲヲ?』ドヤァ


南方戦『わかったわよ。はい、起きました。』


レ級 『ちょっと、タンマ・・・。』プルプル


南方戦『急所に入ったのね・・・。』カワイソウニ


南方戦『アンタの仕業?』チラッ


五月雨『いえ、私は南ちゃんの担当ですので。』チガイマスヨ?


南方戦『ということは・・・。』チラリ


ヲ級 『ヲっ。』ムフン


南方戦『やるわね、ヲーちゃん。』ナデナデ


ヲ級 『ヲ~。』


レ級 『まずは俺を労れよ・・・。』クソガ



運命のその日


五月雨『ヲーちゃん。いぇーい!』ハイタッチ!


ヲ級 『ヲー!』ジャンプ!


トドイテナイデスヨー! ヲヲヲヲ!!


集積姫『朝から元気だねぇ。』


南方戦『居たのね、集積。珍しいじゃない。アンタがまだ部屋に居るなんて。』ドウシタノヨ


集積姫『私だって四六時中研究室に籠もってるわけじゃないわよ。』


レ級 『母ちゃん、俺を労れ・・・。』ヨロヨロ


集積姫『南方ちゃんに任せるわぁ。回れ右しなさい。それから私はお姉ちゃんよ。』


レ級 『なんだよケチくせぇなぁ。お姉ちゃんなら、それらしい振る舞いしろよなぁ。』ポスッ


南方戦『でも、ちゃんと言うことは聞くのね。』ヨシヨシ


集積姫『素直な娘は好きよぉ。』ニィ


レ級 『素直になったらもっと好きだぜ、"姉ちゃん"。』


集積姫『よろしい。じゃ、後は任せるわぁ。』ヒラヒラ


南方戦『任されました~。』イッテラ


アッ ソウダ


集積姫『今日は部屋から出ないでね。』ニィ


南方戦『は?なんでよ。』


集積姫『なんでもよ。』ジャアネー


ヲッ!ヲッ! ソンナチョウシデハトドキマセンヨ!


ヲ級 『ヲヲ!!』ミギストレート!


五月雨『グホォァ!』ガクッ


ヲ級 『ヲっ。』タッチ!


五月雨『中々、やりますね・・・。』プルプル



初めて地震のアラートが鳴ったときはウイルスに感染したのかと思った。


ビー! ビー!


五月雨『何事ですか?』


ヲ級 『ヲ?』


南方戦『これは、襲撃の警報かしら。』ハジメテキイタワ


レ級 『母ちゃんが部屋に居ろって言ってたのはこれが理由か。避難訓練でもするのか?』ユッタリ


南方戦『それなら事前連絡があるわよ。これは本当の襲撃ね。』


レ級 『マジかよ。やべぇじゃねぇか!いや、そうでもないか。』


南方戦『ワタシ達はね。でも五月雨は・・・。』


五月雨『私ですか?』キョトン


レ級 『そっか。五月雨姉は見た目が艦娘だから・・・。』


ヲ級 『ヲー。』ギュッ


五月雨『私は大丈夫ですよ。なんたって、私も家族の一員なんですから!』ムフン


南方戦『そう思わない連中もいるわよ?』ドウスルノ?


五月雨『ん~。なんとかします!』バーン


レ級 『おうよ!俺達もついてるぜ!』


ヲ級 『ヲヲ!』フンス


南方戦『そうね。ワタシも手伝ってあげるわ。』フフッ


レ級 『流石は南姉!頼りになるぜ!』ニシシ


南方戦『まったく。仕込みをするなら事前に伝えてもらいたいものね。集積には振り回されてばっかりよ。』ハァ


ヲ級 『ヲー。』クイッ クイッ


五月雨『なんですか?ヲーちゃん。』・・・アレ?


五月雨『蓮華ちゃんが居ません。』


レ級 『ほんとだ。蓮華が居ねぇ!』


南方戦『え?・・・嘘でしょ。あの娘、まさか外に!』



覚悟を決めた者に言葉は要らない。


南方戦『蓮華!』ダッ


五月雨『待ってください!』バッ


南方戦『そこを退きなさい!五月雨!』


五月雨『退きません!』


南方戦『早く助けにっ!』


五月雨『レーちゃんとヲーちゃんはどうするんですか!』


南方戦『・・・は?』


五月雨『南ちゃんが出ていったら、誰がふたりを護るんですか。』


南方戦『それは五月雨、アンタがっ!』


五月雨『私には無理です。』


南方戦『お姉ちゃんでしょ!だったらそれくらいっ!』


五月雨『無理なものは無理です!』


南方戦『アンタねぇ・・・。』ギリッ


五月雨『私は、逃げることしか取り柄の無い、駄目な娘です。』


五月雨『私ひとりで逃げるだけなら、どれだけ大勢の敵に囲まれたって逃げきってやりますよ。』


五月雨『でも、ひとつの場所に留まって私ではない誰かを護るなんてことは、私にはできません。』


五月雨『それができるのは、南ちゃんだけなんです・・・。』


南方戦『だったら、蓮華はどうするのよ。見捨てろって言うの?』


南方戦『いくらアンタでも、赦さないわよ?』オォォ


五月雨『私が往きます。』グッ


南方戦『はぁ?それこそ無理に決まってるじゃない。莫迦なこと言わないで。』


五月雨『此処に居ても、私にできることはありませんから。』クルッ


南方戦『ちょっ!待ちなさい!』バッ


レ級 『』ガシッ


南方戦『何のつもりよ、レ級!』グイッ


レ級 『駄目だ!五月雨姉の覚悟を無駄にはさせねぇ!!』ヒシッ


ヲ級 『ヲヲっ!』ガシッ


南方戦『ヲーちゃんまでっ!くっ!放しなさい!』グググ


五月雨『』タッタッ・・・


レ級 『うぅ。』グスッ


ヲ級 『ヲー。』ヒグッ


南方戦『さみだれぇぇぇぇ!!』


・・・


南方戦「これが、ワタシ達が見たアンタの最後の姿よ。」



一筋の違和感


五月雨「そうだったんですね・・・。」ナデナデ


ヲ級 「Zzz」ウミュゥ


南方戦「それにしても、よく無事だったわね、アンタ。」


レ級 「流石は五月雨姉だぜ。逃げ足だけはピカイチだからな。」ウンウン


五月雨「レーちゃん、莫迦にしてませんか?」ニコォ


レ級 「お、俺なりの褒め言葉だよ。」タジッ


五月雨「そうですか。ありがとうございます。」ニコニコ


レ級 (五月雨姉も、あんな顔ができるのかよ・・・。)ウラヤマシイゼ


五月雨「というか、全然、全く、無事じゃなかったんですけどね。」


五月雨「聞く限りでは轟沈寸前の状態だったみたいですから・・・。」


レ級 「五月雨姉が、轟沈寸前?」


五月雨「はい。結局クロさんに助けてもらったと聞いてます。」


南方戦「おかしいわね・・・。」


レ級 「だよな。」ウーン


五月雨「何がですか?」


南方戦「回避の天才であるアンタが、轟沈寸前まで被弾するはずがないわ。」


五月雨「買い被りすぎじゃないですか?」イヤイヤ


レ級 「んなことねぇよ。父ちゃんが指導する訓練でも、被弾したことなかったんだぜ?」


レ級 「そんな五月雨姉が実戦で被弾なんかするかよ。」ムフン


五月雨「実戦より厳しいのは昔からなんですね・・・。」


南方戦(集積のヤツ・・・。五月雨に何かしたわね。全部ひとりで抱え込んで。少しはワタシも頼りなさいよ!)ギリッ



笑顔の裏側


???「あら。思ったより元気そうですね、五月雨ちゃん。」ウフフ


五月雨「・・・間宮、さん?」


間宮 「はい。よく眠れましたか?」ニコォ


レ級 「誰だよ、てめぇ・・・。」ギロッ


間宮 「私は時雨さんの婚約者・・・。いえ、妻です。」ニコリ


南方戦「はぁ?」ビキッ


レ級 「下手な嘘吐いてんじゃねぇよ。父ちゃんの嫁は南姉だぞ。」オォォ


集積姫「嘘じゃないんだなぁ、これが。」


南方戦「どういうことよ、集積。」


集積姫「それは五月雨ちゃんに訊いたほうがいいんじゃない?」チラリ


五月雨「・・・。」


南方戦「どうなの、五月雨。」ジッ


五月雨「クロさんが間宮さんと結婚したかどうかはわかりません。ですが、婚約関係にあることは事実です。」


レ級 「嘘だ!父ちゃんがそんなことするはずねぇ!」


間宮 「本当のことですよ。」ウフフ


南方戦「で、何が目的なわけ?」


間宮 「あら。ショックじゃないんですか?大事なひとに裏切られたというのに・・・。」ニタァ


南方戦「婚約なら一方的にも結べるでしょう?あのひとは軍属なんだから、上官からの"お願い"は拒否できないもの。」ハッ


間宮 「・・・つまらないですね。もっと怒ってくれたら面白かったのに。」


南方戦「これでも充分怒ってるわよ。あのひとに何する気よ。」オォォ


間宮 「時雨さんには、消えてもらいます。」


レ級 「なんだと?」ギラッ


間宮 「邪魔なんですよね~。折角海軍を手中に収め、人類を滅ぼす目処が立ったというのに・・・。」


間宮 「時雨さんがいると、全部ひっくり返されるかも知れませんから。」ハァ


間宮 「苦労したんですよ?特に、佐世保の黒白雪にご退場願うのには。まぁ、命までは奪えませんでしたけど。」


五月雨「間宮さん。貴女、元人間ですよね?」


間宮 「そうですよ?」ウフフ


五月雨「だったら、どうして人間を滅ぼそうだなんてっ!」キッ


間宮 「人間が人間を怨んではいけませんか?」


五月雨「その理由を訊いてるんです!」


間宮 「貴女に話す義理はありませんよ。では、私はこれで。」クルリ


ヲ級 「行かせないの!」ダッ


集積姫「おっと。」ガシッ


ヲ級 「放すの~!」ジタジタ


集積姫「因子の恩恵か。"すり抜け"とは、また厄介な能力を持ったねぇ。」ポイッ


ヲ級 「わぷっ。」ボフッ


集積姫「ヲーちゃんのこと、頼んだよ。南方ちゃん。」


南方戦「ええ。わかったわ。」ギュッ


レ級 「待てよ!母ちゃん!」


集積姫「出てきたら!命の保証は無いからね。」ギロッ


レ級 「」ヒッ


集積姫「あと、私はお姉ちゃんよ。」スッ


レ級 「なんだよ・・・。それが娘に向ける瞳かよぉ。」グスッ


ヲ級 「うぅ・・・。」ヒグッ


南方戦「大丈夫。大丈夫よ。家族の絆を信じなさい。」ギュッ


五月雨(死んだりしないですよね?ねぇ、クロさん・・・。)



テールランプが綺麗で~。


最上 「何、あれ・・・。」エェ


三隈 「いったい何隻いますの・・・?」マッカデスワ


黒霧 「ざっと1000隻ってところかな。」


最上 「うはっ。それを3人で相手するの~?」キツイナァ


三隈 「肩慣らしには調度いいですわ。日向にも言われましたの。思いっきり暴れてこい、と。」ニィ


最上 「みっちゃんにはついていけないよ。」ハァ


黒霧 「最上と三隈で半分ずつ頼む。」


三隈 「了解ですの。」フンス


最上 「りょうか~い。って、クロさんは?」


黒霧 「黒幕に会ってくるよ。」


最上 「なるほど。でも、ひとり当たり500隻かぁ。弾薬足りるかな?」


三隈 「足りなくともやるしかありませんの。覚悟を決めますの!」


最上 「うへぇ~。」


黒霧 「最上。島の中央付近、背の低い木が生えている所に一発撃ち込んで。」


最上 「大和砲でいい?」ガション


三隈 「そんな名前でしたの?」ダイジョウブデスノ? イロイロト・・・


黒霧 「ああ。それが開戦の合図だ。」


ドゴォーン・・・ グラグラ


レ級 「なんだぁ?地震か?」


南方戦「そんなわけないでしょ。砲撃よ。」


ヲ級 「お父さんが来たの・・・。」ヲー


ガキンッ


五月雨「・・・ん?」


五月雨「檻が、壊れた・・・。」ナンテイリョク モガミサンデスネ



大脱出!なんてつまらない抜け方なんだ!


南方戦「調度よかったじゃない。行ってきなさいよ。」


五月雨「そうですね。早くクロさんに知らせないと!」ダッ


ヲ級 「ヲーちゃんも!」タッ


南方戦「駄目よ。」ガシッ


ヲ級 「ヲーちゃんも行くの~!!」グググ


南方戦「お姉ちゃんに任せておきなさい。」グイッ


ヲ級 「あぅ。」ポスッ


五月雨「あの~。」


南方戦「どうしたのよ。早く行きなさいよ。」


五月雨「そうしたいのは山々なんですけど、道が・・・。」アハハ


南方戦「あぁ・・・。」


ヲ級 「」キラキラ


南方戦「わかったわよ。」ハァ


南方戦「ヲーちゃん、道案内してあげて。」


ヲ級 「はいなの!」タッ


ミチアンナイダケヨー ワカッテルノー!


レ級 「いいのかよ。ヲーちゃんを行かせて。」


南方戦「仕方ないでしょ?五月雨が道を憶えてないんだから。」


レ級 「ヲーちゃんに何かあったらどうすんだ。」


南方戦「アンタの能力でどうとでもなるでしょ?」


レ級 「俺任せかよ。別にいいけどさぁ。妹の為だし・・・。」


レ級 「でも痛ぇんだよなぁ、あれ。頼むから怪我しないでくれよ、ヲーちゃん。」



何も起きない=何か起こる予兆


タッタッ・・・


ヲ級 「この先を曲がって、広間を抜けると出口なの。」ヒソヒソ


五月雨「そうですか。ありがとうございます、ヲーちゃん。」ナデナデ


ヲ級 「えへへ~。」ニコニコ


五月雨(可愛い。)ホワァ


五月雨「さぁ、これ以上は危ないですから、南さんの所に戻ってくださいね。」ホワホワ


ヲ級 「・・・うん。五月雨お姉ちゃんも気をつけてなの。」ニパッ


フリフリ・・・


五月雨「さて、行きますかっ!」ムフー


・・・


ヲ級 「」トテトテ


南方戦「おかえりなさい、ヲーちゃん。」


ヲ級 「うん・・・。ただいまなの。」ニコッ


南方戦「ちゃんと約束を守れて、偉いわ。」ナデナデ


ヲ級 「えへへ。」ニコニコ


レ級 「まっ、何事もなくてよかったぜ。」フゥ


南方戦「"身代わり"にならずに済んだものね。」


レ級 「まったくだぜ。」



恋は盲目。なら愛は?


黒霧 「」スタッ


集積姫「いらっしゃ~い。」ニタニタ


間宮 「時雨さん!」


黒霧 「・・・。」


集積姫「流石は暗殺者だねぇ。あの軍勢を無傷で突破するなんてさぁ。」ケタケタ


黒霧 「間宮を放せ、集積。」オォォ


集積姫「おぉ、怖。でも、いいよ。解放してあげる。」パッ


間宮 「時雨さん!」タッ


黒霧 「間宮。」ダキッ


集積姫「元々、時雨ちゃんを誘き出すことが目的だったからねぇ。」ニタァ


間宮 「」ニィ


グサッ


・・・


ソローリ チラッ


五月雨(なんとまぁ。無駄に広い部屋ですね~。って、え・・・?)


黒霧 「間宮・・・?」ガクッ


間宮 「まんまと騙されてくれましたね、時雨さん。」ウフフ


間宮 「偽りの愛だとも気づかないで。哀れな人。」


五月雨(そんなっ。間に合わなかった・・・。)ペタン


間宮 「貴方との婚約の御蔭で、上手く事を進めることができました。ありがとうございます。」ニコリ


間宮 「後は貴方がいなくなってくれたら、計画は完遂したも同然ですね。」ニタァ


間宮 「さようなら。偽りの愛しいひと・・・。」スラッ


五月雨(身体がっ!動いてっ!)クッ


五月雨(クロさんっ!!)



傀儡の涙


黒霧 「本当に、そうかな。」


間宮 「・・・はい?」ピタ


黒霧 「僕達の始まりは、確かに偽りだった。君の愛は、創られた感情だった。」グッ


間宮 「ええ。そうですよ?私は貴方を愛してなどいませんでした。」


黒霧 「そう。愛していなかった。だけど、今は違う。」


間宮 「勝手なことを・・・。」チッ


黒霧 「気づいていたかな?君の瞳は、出会った頃と今では全く違うんだ。」


間宮 「瞳が、なんだって言うんですか?」ジロッ


黒霧 「目は口ほどにものを言う、とはよく言うけど・・・。本当にそうだよ。」フフ


黒霧 「どんなに演技の達者な人でも、瞳までは偽れない。」


黒霧 「初めて君に会ったとき、僕は君が人形なんじゃないかって思ったよ。」


間宮 「・・・。」


黒霧 「君の瞳はいつも平坦だった・・・。」


黒霧 「綺麗なだけの笑顔。そこに、感情は無かった。」


黒霧 「だけど、変わったんだよ。」


黒霧 「君の笑顔は、輝くようになっていた。」


黒霧 「君の瞳には、ちゃんと心が籠もっていた。」


間宮 「戯言ですね。そんなもの、全て貴方の勝手な思い込みじゃないですか。」


黒霧 「ふふ。」


間宮 「何を笑っているんですか!」


黒霧 「僕の言ったことが全部、ただの戯言だったとして、君の瞳から流れるそれは、なんだい?」


間宮 「・・・え?」


間宮 「嘘・・・。私、泣いて・・・。」ツー


五月雨(間宮さん・・・。)


集積姫「あ~あ。演技のつもりが本気になっちゃったかぁ。」


集積姫「使えない人形。」ボソッ


黒霧 「君の愛は、本物だよ。」


間宮 「時雨さん・・・。私!」グスッ


間宮 「嫌・・・!身体が、勝手に!」スラッ


五月雨「駄目です!間宮さん!」バッ


ザシュッ・・・


五月雨「・・・え?」


集積姫「」ニタァ


間宮 「あっ。」フラッ


黒霧 「」ダキッ


間宮 「ごめんなさい。時雨さん・・・。」ゴフッ


黒霧 「謝るのは僕のほうだよ。」ギュッ


間宮 「貴方の最期は、私の腕の中でと決めていたのに・・・。反対になってしまいました。」フフ


黒霧 「ああ。」


間宮 「短い間でしたけれど、貴方と過ごした日々は幸せでした。」サァァ


黒霧 「僕もだよ。」


間宮 「愛しています、時雨さん。」ニコリ


サァァァァ・・・


五月雨「間宮さんが、黒い霧に・・・。」


集積姫「暗刀・墨炎。」


集積姫「"原初の霧"の崩壊と斬撃を組み合わせた剣技。死体も残さないなんて、一流の暗殺者は違うねぇ。」ケタケタ


黒霧 「いや、一流の暗殺者は仕事を果たした証を遺すものだよ。僕の遣り方は、三流以下さ。」


集積姫「へぇ。で、自分を愛する者を手に掛けた気分はどう?」ニタニタ


黒霧 「・・・。」


五月雨「クロさん・・・。」


黒霧 「すまない、五月雨。僕は嘘を吐いてしまった。全員で帰ると三隈に誓ったのに・・・。」


五月雨「気にしないでください。一番つらいのは、クロさんじゃないですか。」


五月雨「本当につらいときは、泣いてもいいんですよ?」ホラッ


黒霧 「ありがとう。だけど、まだこの仮面を外すわけにはいかないかな。」


集積姫「流石は"道化"だよ。台本どおりに踊ってくれるねぇ。」ニタァ



腐敗した海軍(実在のものとは以下略)


黒霧 「全部、君の計画どおりか?」


集積姫「そうだね。実験施設の襲撃に始まり、今に至るまでぜ~んぶ・・・。」ニィ


集積姫「苦労したよ。舞台の設営も脚本もひとりでやらないといけなかったからさぁ。」ケタケタ


集積姫「それもこれも全て、腐ったこの世界を変えるため・・・。」


五月雨「世界を、変えるため?」


集積姫「そう。腐りきった海軍を滅ぼし、時雨ちゃん達家族が幸せに暮らせる世界を創る。」


集積姫「それが、私の書いた舞台の結末・・・。」


五月雨「なら、どうして・・・。どうして間宮さんが犠牲にならなくちゃいけなかったんですか!」


五月雨「間宮さんだって、家族の一員じゃないですか!!」


集積姫「母は、ふたりも要らないでしょ?」ニタァ


五月雨「クロさんなら嫁の2人や3人くらい余裕です!」クワッ


黒霧 「無茶を言わないでくれ・・・。」


集積姫「アハハッ!面白いことを言うねぇ、五月雨ちゃん。」


集積姫「でもまぁ、間宮ちゃんは駄目よ。」


五月雨「どうしてですか。」


集積姫「間宮ちゃんはねぇ・・・。」ニィ


黒霧 「男を騙しては弄ぶ、悪女だからさ。」


五月雨「・・・はい?」


集積姫「なんだ。時雨ちゃんも知ってたんだぁ。」ニタニタ


五月雨「あの・・・。理解が追いついてないんですけど。」


集積姫「つまりは間宮ちゃんも腐敗の一部だったってわけ。」ニィ


集積姫「まぁ、時雨ちゃんの所為で本当の愛に目覚めちゃったみたいだけどねぇ。」ケタケタ


                             ピエロ  ジョーカー

道化と道化


集積姫「ねぇ、時雨ちゃん。貴方、全部気づいてたんじゃないの?」ニィ


五月雨「・・・え?」


集積姫「私が五月雨ちゃんの記憶を奪ったこと、間宮ちゃんが私の傀儡だったこと、そしてこの舞台の結末も・・・。」


五月雨「クロさん・・・?」


黒霧 「ああ。気づいていたよ。」


集積姫「やっぱり。」


集積姫「いずれは斬ることになるって知りながら、間宮ちゃんと共に時間を過ごしてたわけだぁ。」アハハッ!


五月雨「・・・さい。」フルフル


集積姫「ん~?」ニタニタ


五月雨「もうやめてください!」


五月雨「意地が悪いですよ、姫ちゃん!これ以上、クロさんを苦しませないでください!!」


集積姫「アハハッ!何を言ってるの?五月雨ちゃん。」


集積姫「舞台上の運命に翻弄されるのが"道化"だよ。そんな彼らの仕事は笑われること・・・。」


集積姫「存分に笑ってあげて何が悪いのかなぁ。」ニタァ


五月雨「っ!貴女という女はっ!!」バッ


黒霧 「そこまでだ。」ガシッ


五月雨「クロさん、止めないでください!」グッ


黒霧 「丸腰の君が集積に敵うとでも?」


五月雨「それでも!一発殴らないと気が済みません!」クワッ


黒霧 「いいから抑えて。後は僕に任せてよ。」スラッ


五月雨「」クッ


黒霧 「運命に惑わされるのが"ピエロ"なら、運命を覆す"ジョーカー"になるまでさ。」チャキッ



普通のトランプは54枚だよね?家のやつ55枚あるんだけど・・・。


集積姫「私と殺るつもり?時雨ちゃん。」ウフフ


黒霧 「ああ。」スラッ


集積姫「アハハッ!面白いじゃない。その傷で何処まで殺れるかしらぁ。」ギラッ


黒霧 「痛みには慣れている。致命傷ごときで動きが鈍るほど、柔な鍛え方はしていないよ。」オォォ


五月雨「待ってくださいよ・・・。なんですか、この茶番は・・・。」フルフル


集積姫「何を言ってるの?五月雨ちゃん。これは真剣なころ・・・。」


五月雨「違います!これは結末の決まった、ただの茶番です!」


集積姫「・・・。」


五月雨「姫ちゃん、貴女は言いました。世界を変えると・・・。クロさん達家族が、幸せに暮らせる世界を創ると!」


集積姫「そうね。確かに言ったわ。」


五月雨「だったら、姫ちゃんがクロさんに砲を向ける理由がありません。」


集積姫「余計なことを言っちゃったわ。」チッ


五月雨「姫ちゃん、貴女は言いました。母はふたりも要らないと・・・。」


五月雨「南ちゃんという母がいる以上、姫ちゃんはその世界に必要ない。そういうことですよね?」


集積姫「聡いのね、五月雨ちゃん。誤算だったわ。貴女がこんなに賢い娘だったなんて・・・。」ハァ


集積姫「時雨ちゃん、後は任せるわ。」


黒霧 「ああ。任された。」スッ


五月雨「駄目です!クロさんっ!!」


黒霧 「居合抜刀・夜の帳!」ザンッ


集積姫(幸せになりなよ・・・。南方ちゃん。)フッ


バタッ


五月雨「・・・クロさん、なんてことをっ!」クッ


黒霧 「五月雨、トランプは全部で何枚ある?」スッ カチンッ


五月雨「話を逸らすつもりですか!」


黒霧 「いいから。答えて。」


五月雨「・・・54枚です。」


黒霧 「そのうち、ジョーカーは?」


五月雨「2枚ですけど、それが何か?」


黒霧 「"ジョーカー"には運命を覆す力がある。」


黒霧 「その運命が人の生死に関わることだったとして、生き延びた者と生き延びさせた者・・・。」


黒霧 「どっちが"ジョーカー"になるんだろうね。」


五月雨「両方、じゃないですか?」


黒霧 「そう。"ジョーカー"は・・・2人いる。」フフッ


五月雨「・・・まさかっ!」バッ


集積姫「」ウゥ


黒霧 「さぁ、南を迎えにいこうか。」


五月雨「はい!」



弾が無いなら打ち返せばいい。


ポンッ パララッ チュドドドドーン・・・


最上 「この迫撃砲の殲滅弾ってえぐいね。1発で10隻くらい撃沈してるよ。」


最上 「流石のボクもどん引きだね・・・。」


三隈 「もがみん!もっと数を減らせませんの!こっちは回避でいっぱいいっぱいですの!」


最上 「みっちゃんは避ける必要ないんじゃなかったっけ?」ボーン


三隈 「急に軌道が変わると吃驚するんですの!!」クワッ


最上 「要するにびびってるわけね、小心者。」


三隈 「」イラッ


三隈 「もがみん、パスですの。」クルッ


ヒューン


最上 「ほいさー。」つ大盾


ブゥン シュバッ チュドーン


三隈 「流石に反応しますわね。」チッ


最上 「そりゃあ、みっちゃんの力場に巻き込まれた砲弾は速度落ちるからさ。」ヨユウ ヨユウ


最上 「っていうか、暫くこれで温存しない?」タマガツキソウ


三隈 「そうですわね。三隈の残弾も少し心許ないですの。」



巻き込まれたほうは堪ったもんじゃない。


龍驤 「なぁ。あれに交ざるんか?うちら・・・。」エェ


日向ミニ「当然だ。そのための援軍だからな。」フン


龍驤 「援軍も何も、ふたりしか居らんやないか。」


日向ミニ「だからこうして待っているのだ。」


龍驤 「待つだけなら基地でもよかったやん。」


日向ミニ「何を言っている。それでは艤装のチェックができんだろう!」クワッ


龍驤 「日向。君、戦う気ないやろ・・・。」ジトッ


日向ミニ「工作艦だからな。」ムフン


龍驤 「威張るところと違うで。」ハァ


日向ミニ「私は工作艦であることに誇りを持っている。」フフン


・・・ソウカ


龍驤 「・・・なぁ。あの戦艦、こっち見とらんか?」


日向ミニ「」シュバッ


龍驤 「逃げた!?」


龍驤 「って、戦艦もこっち来たぁ!!」


ヒヤァァァ!! ドーン! ウッテキタァァァ!!



三年目の浮気くらい大目に見ろよ。


五月雨「南ちゃん!」バッ


南方戦「あら。おかえりなさい。」カクメイヨ


ヲ級 「おかえりなの!」カクメイガエシナノ!


レ級 「結構、早かったな。」ナンダト!


五月雨「何、やってるんですか・・・?」


南方戦「見たらわかるでしょ?大富豪よ。」ヤルワネ


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんもするの~。」


五月雨「寛いでますねぇ。外ではどんぱちやってるのに・・・。」エェ


黒霧 「うちは大体いつもこんな感じだよ。」フフッ


レ級 「父ちゃん!ってどうしたんだよ!その傷!」ダイジョウブカヨ


ヲ級 「・・・痛い?」ウルウル


五月雨「そういえば刺されてましたね。大丈夫ですか?」ワスレテマシタ


黒霧 「平気だよ。痛みには慣れてるからね。」


五月雨「そういう問題でしょうか・・・?」


南方戦「ケジメはつけてきたのかしら?」ジッ


黒霧 「勿論。君こそ、覚悟は出来ているのかな?」フッ


南方戦「覚悟するのはアンタのほうよ。待たされた3年分きっちり払ってもらうから・・・身体で。」ニタァ


黒霧 「・・・五月雨、レ級とヲ級を連れて外に行っててくれ。」


五月雨「了解です。さぁ、行きますよ!我が妹達よ!」レッツゴーデス


ヲ級 「お父さんと一緒がいいの~。」ブー


レ級 「父ちゃんは今から南姉と大人の時間だ。子供の俺達は外で遊んでようぜ。」イクゾ


ヲ級 「はいなの・・・。」ムー


黒霧 「五月雨、これを。」スッ


五月雨「ペンダントですか?綺麗ですね。」チャラッ


黒霧 「その中に五月雨の新しい艤装が入ってる。存分に暴れておいで。」ニコリ


五月雨「・・・クロさんの笑った顔、久し振りに見た気がします。」フフッ


黒霧 「そうかな?」


五月雨「そうですよ。五月雨、行ってまいります!」ビシッ


レ級 「出撃だぜ!」ビシッ


ヲ級 「なの!」ビシッ


カチコミジャー!! ダー! ヲヲー!


黒霧 「懐かしい光景だ。あの頃を思い出すよ。」


南方戦「そうね。でも、ワタシ達はこれから色々忘れるのよ。」フフッ


黒霧 「僕が怪我してることは忘れないでね。」アハハ



車酔いする人も自分が運転する車には酔わないよね。


イヤァァァ!!


龍驤 「いつまで追ってくるつもりや、あの戦艦!」シュバァァ


日向ミニ「なんとかしろ、龍驤!貴様それでも艦娘か!」クワッ


龍驤 「それを言うなら日向は深海棲艦やろ!?話つけてきてぇな!!」


日向ミニ「無理だ!」


龍驤 「なんでや!」


日向ミニ「深海の言葉がわからんのだ!」クワッ


龍驤 「はぁ!?」


ドーン!


龍驤 「あ、やばっ・・・。」


???「でぇやぁぁぁ!」ガキンッ


バシャーン


???「ふぅ。間一髪!」キラン


龍驤 「パオラぁ~!」キラキラ


パオラ「待たせたわね、龍驤。」ニコッ


日向ミニ「やっと来たか。まったく。もっと早く来れんのか。」フン


パオラ「無茶言わないでよ。パラオから此処までどれだけあると思ってるの?」


日向ミニ「全力を出せばいいだろうが。」


パオラ「いや、あんまり本気出しちゃうと・・・。」チラッ


飛龍 「」ウプッ


蒼龍 「」チーン


大鳳 「」オエッ


パオラ「援軍にならない可能性が・・・。」アハハ


龍驤 「」ウワー


日向ミニ「鍛え方がなっとらん!」クワッ



子供達よ、てめぇの体重を考えろ。


ダー! ・・・アッ


レ級 「母ちゃん、発見!」


ヲ級 「気絶してるの!」


集積姫「」


ヲ級 「起きるの~。」ペシペシ


集積姫「」ウゥ


五月雨「まだ起きそうにないですね。峰打ちだったみたいですけど、本気で斬り殺しにいってましたから。」チョンチョン


ヲ級 「」ムー


レ級 「・・・!」ピコーン


レ級 「ヲーちゃん、ここはアレの出番なんじゃねぇか?」ニヤァ


ヲ級 「アレなの?・・・!」ピコーン


ヲ級 「理解したの。」ニィ


五月雨「悪い顔も可愛いなぁ・・・。」ホンワカ


レ級 「往け!ヲーちゃん!嘗てこの俺を悶えさせた伝説の一撃。それを母ちゃんの土手っ腹にぃ!」ウォォ


ヲ級 「膝落としなの!!」ピョンッ


ズムゥッ! カハァッ!


集積姫「」チーン


レ級 「・・・あれ?」


ヲ級 「起きないの。」ヲ?


五月雨「目覚めの一撃が強力になりすぎて眠りの一撃に・・・。」タラー


五月雨「ヲーちゃん。可愛い顔して恐ろしい娘ッ!」



魔族の特急便


パオラ「せいっ。」バシュッ


トスッ バシャン


日向ミニ「流石だな、パオラ。戦艦を一撃で仕留めるとは。」フッ


龍驤 「戦艦の射程やで?なんで弓が届くんや・・・。」エェ


パオラ「あたしは魔力の矢を飛ばしてるからね。地球の裏側にも届くわよ?」ムフン


飛龍 「なんで提督やってるのよ、あんた・・・。」ヨロヨロ


パオラ「飛龍、復活したのね。」ダイジョウブ?


飛龍 「万全ではないけどね。もうパオラ便は懲り懲りよ。」ハァ


パオラ「仕方ないでしょ?速達だったんだから。」


大鳳 「だとしても運び方くらい考えてください。」


大鳳 「どうしてハンググライダーなんですか!」クワッ


パオラ「いや、風の抵抗を考えるとそれが一番かなって・・・。」アハハ


大鳳 「素人があんな猛スピードのなかで姿勢制御できるはずないでしょ!」


大鳳 「蒼龍さんなんてずっと回転してたんですよ!ドリルかと思いましたよ!」


パオラ「・・・ごめんなさい。」シュン


大鳳 「反省してください!」プンプン


パオラ「はい・・・。」


日向ミニ「そろそろ戦場に向かいたいのだが?」オイ


飛龍 「待ってよ。今行っても足手まといにしかならないから。」アオイカオ


蒼龍 「」プカー


飛龍 「蒼龍もまだ起きてないし・・・。」


日向ミニ「天誅!」セイケンヅキ!


ズドムッ! オハァッ!


蒼龍 「」プルプル


日向ミニ「起きたぞ。」フン


龍驤 「起こしたの間違いやろ。」ウワァ


飛龍 「大丈夫?蒼龍。」サスサス


蒼龍 「もう赤ちゃん産めないかも・・・。」ウゥ


飛龍 「大丈夫みたいね。」


トイウカ ケンゾウグミニコドモハツクレナイヨ ソンナァ



豚も煽てりゃ木に登る。


五月雨「姫ちゃんに目覚める気配がなかったから、外に出てみたものの・・・。」


五月雨「なんですか、これは。」エェ


レ級 「見渡す限りの紅い瞳だな。」イルミネーションミテェダ


ヲ級 「重巡級と戦艦級ばっかりなの。」ヲー


レ級 「他のは鮫に喰われちまったからなぁ。空母級はそもそもいねぇし。」


ヲ級 「ヲーちゃんがいるの!」ムフン


レ級 「そうだな。俺もいるしな!」ニヒッ


五月雨「この中に突っ込むのかぁ。」ハァ


レ級 「五月雨姉なら余裕だろ?」


五月雨「昔の私なら、そうだったかも知れませんね。」


ヲ級 「今は違うの?」


五月雨「どうやら記憶と一緒に回避技術も失ってしまったようでして・・・。」アハハ


五月雨「クロさんに鍛え直してもらってはいますが、6日間しか訓練できてませんからね。」


レ級 「6日もやれば充分だろ。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんなら大丈夫なの!」


五月雨「そうですか?」


レ級 「おう!」


ヲ級 「一騎当千なの~!」キャイキャイ


五月雨「そこまで言われては、仕方がないですね。」フフ


五月雨「よぉし。お姉ちゃん、頑張っちゃいますよぉ!」フンス



死神と呼ばれる者


五月雨「まずは艤装の確認からですよね~。」ギソウテンカイ!


パァァァ・・・


五月雨「こ、これは!」オォ


レ級 「鎌だな。」デケェ


ヲ級 「鎌なの。」オオキイノ


五月雨「大鎌だ~!しかも軽い!」ウォー


レ級 「軽い?どう見たって重そうだぜ、それ。」


五月雨「前の大鎌に比べてですよ!若干ですが、軽くなってます。」ムフー


ヲ級 「この玉は何なの?」ヲ?


五月雨「なんでしょうね・・・。この鎌の付け根にあるやつ。」


レ級 「試しに意識を集中してみたらどうだ?父ちゃんの造る艤装は思念操作できるものが多いだろ?」


五月雨「そうですね。やってみましょう!」


五月雨「こぉぉぉぉ。」ムムム


ブゥン ポンッ


五月雨「何か出ましたね。」オォ


ヲ級 「透明な玉なの。」ヲー


レ級 「触ってみるか・・・。」ソッ


ブァン オオッ!


レ級 「なんだこれ!身体が浮いてる!?」フワフワ


五月雨「なるほど。反重力の力場を撃ち出すものだったんですね。」フム


レ級 「おお~。すげぇな、これ!」フワフワ


ヲ級 「ヲーちゃんもやる~!」キャイキャイ


レ級 「待て待て、じゅんばっ。」フッ


レ級 「ヘブチッ!」ベチン


五月雨「持続時間は短いみたいですね。」


ヲ級 「やっぱりいいの。」


レ級 「なんで、俺ばっかり・・・。」クソゥ


五月雨「浮かせて自由を奪い、その隙に斬る。そんなところでしょうか。」


五月雨「使い方次第で色々と応用できそうですね。なんだか楽しくなってきました。」フフッ


五月雨「折りたたみ収納もできるみたいですし、動き回ること前提で造ってますね。」


五月雨「なら、言いつけどおり!存分に暴れて魅せようじゃあないですか!」ムフン


ウリャー!! ナ ナンダコイツ! グワー! アハハハハ!!


レ級 「あ~あ。スイッチ入っちまったなぁ。」ヤレヤレダゼ


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんが一番お父さんに似てるの。」


レ級 「外見は艦娘なのになぁ。中身は誰よりも深海に染まってるからな、五月雨姉は・・・。」


ヲ級 「まるで死神なの。」


レ級 「・・・だな。」



車が三つで轟です!


ギャー! ウワー!


三隈 「騒がしいですわね・・・。」


最上 「始めから砲撃音で騒がしいよ。」ボカーン


三隈 「そうじゃありませんの。敵陣の奥から断末魔があがってますの。」


最上 「上から確認してきたら?ボクの視点じゃ、奥まで見えないからさ。」


三隈 「そうですわね。行ってきますの。」シュバッ


最上 「残弾、零か。後はこの大盾に頼るばかりだね。」テイッ


ブゥン シュバッ チュドドーン・・・


最上 「不思議だなぁ。負ける気がしないや。」ニィ


・・・


三隈 「少し上昇しすぎましたわね。戦艦の砲撃が届いてませんの。」


三隈 「ですが、こちらのレールガンは射程範囲内ですの。」バシュッ


三隈 「・・・始めからこうしておけばよかったですわね。」


アハハハハ!


三隈 「あれは・・・。五月雨さん、ですの?」


五月雨「そいっ!あはは!そんな砲撃では私を捉えられませんよぉ!」ヒュンッ


五月雨「次は何方ですかぁ!」ニタァ


アハハハハ!


三隈 「・・・あんな娘でしたかしら?」


・・・


ブゥゥゥゥン


最上 「・・・艦載機?」ナンデ?


蒼飛龍「全機、爆雷投下!」


ズドドーン! ギニャァァァ!


大鳳 「私もいきますっ!」バシュウ


バババババッ! アダダダダ!


五月雨「殺す気ですかぁ!」ウガー


最上 「あっ。居たんだ、五月雨ちゃん。」


五月雨「居ましたよ!」モウ!


最上 「おかえりなさい。」ニコリ


五月雨「ただいまです!」ムスッ


キゲンワルイネ アタリマエデス!


パオラ「よかったの?五月雨ちゃんに集中砲火だなんて・・・。」


日向ミニ「私なりの生還祝いだ。なに、あの程度で沈むような奴ではない。」


日向ミニ「何せ、私のお姉ちゃんだからな。」フッ


・・・


レ級 「五月雨姉、攻撃されてるな。」


ヲ級 「鬱陶しい蚊蜻蛉なの。」


レ級 「墜とすか?」ニィ


ヲ級 「なの。」ギラッ



空母級が居ない理由。


飛龍 「さて、殆ど殲滅できたかな。」フゥ


蒼龍 「だね~。数が多いのは大変だけど、狙いをつける必要がないのは楽だったね。」ニパッ


大鳳 「三隈さんと最上さんがご無事で何よりです。五月雨さんは・・・。」エット


五月雨「無事じゃないですけど何か?」ムスッ


大鳳 「」アハハ


最上 「ちゃんと帰ってこられたんだからいいじゃん。」フフ


五月雨「よくないですよ!被弾なしで大破とか意味不明ですよ!」ボロッ


日向ミニ「喚くな。避けきれなかったお前が悪い。」


五月雨「黒幕が何を言いますか!お姉ちゃん、怒りますよ!」プンプン


日向ミニ「もう怒っているだろうが。」フッ


三隈 「・・・お姉ちゃん?」


ブゥゥゥゥン


飛龍 「英雄達の帰還だ。」ソラミアゲ


蒼龍 「おかえり~!」ピョンコ ピョンコ


大鳳 (縦揺れ・・・。)ジー


シュンッ ズドドーン パラパラ・・・


蒼龍 「・・・え?」


大鳳 「そんな・・・!」


飛龍 「全機撃墜!?」


龍驤 「たった2機で。嘘やろ!?」


パオラ「あの娘達の仕業かしら・・・。」


レ級 「反応が遅ぇよ。」ニヒッ


ヲ級 「これで静かになったの。」ニィ


五月雨「成長したんですね。お姉ちゃん、嬉しい!」ウルウル


日向ミニ「"深海の獅子"が御出ましだ・・・。」



レ級とヲ級でレヲだから・・・。


ヲ級 「艦娘の艦載機は遅すぎなの。」


レ級 「あの程度の機動性じゃあ、俺達の艦載機は捉えられねぇぜ。」ニヒヒ


飛龍 「親玉の登場ってわけね。」スッ


蒼龍 「爆撃機、全部墜とされちゃったよぉ。」ウゥ


龍驤 「泣き言いいなや。うちの娘らは健在やで。」ニッ


大鳳 「こちらの航空戦力は4隻です。まだ、なんとかなります。」キッ


最上 「ボクも迎撃衛星があるけど、参戦するべきかな?」


日向ミニ「やめておけ。AI制御では連携がとれん。邪魔になるだけだ。」


五月雨「んん~。」プルプル


五月雨「かっこいいですよ~!レーちゃん!ヲーちゃん!」バッ


三隈 「ちょっ!五月雨さん!?」


エーイ! ウガッ ヲヲ!


レ級 「いてぇよ、五月雨姉。鼻打っちまったぞ!」ジンジン


ヲ級 「褒められたの~。」スリスリ


五月雨「流石は自慢の妹達ですっ!」ギュー


キャイキャイ


三隈 「何が起こってますの・・・?」エェ


日向ミニ「見てのとおりだ。」


三隈 「それがわからないから訊いてますの。」


黒霧 「姉妹の戯れだよ。」フフッ


日向ミニ「父上!」ヒシッ


三隈 「いつの間に・・・。」


ムッ オンナノニオイ・・・ ハハノカオリダヨ



羞恥心を捨てたわ!by naruko


レ級 「父ちゃん!」


蒼龍 「父ちゃん!?」


ヲ級 「お父さんなの!」パァ


大鳳 「お父さん!?」


蒼龍 「そんな・・・!結婚済みだなんてっ!」ガタガタ


大鳳 「戦う前から、負けていた・・・!?」ガクッ


パオラ「」アチャー


飛龍 「私、知~らないっと。」


レ級 「なんだ。随分早かったなぁ。3年分だろ?」


黒霧 「暗殺者の血筋は伊達じゃないよ?」フフッ


レ級 「狩られちまったんだな、南姉・・・。」


レ級 「序でに母ちゃんも狩ってくれよ、父ちゃん。」


黒霧 「いきなりだね。」


レ級 「いやぁ。母ちゃんも絶対父ちゃんに惚れてると思うんだよなぁ。隠してるだけで・・・。」


レ級 「だからさ。身体から素直にしてやってくれよ。」ニィ


五月雨「生々しいですね。ヲーちゃんの情操教育に毒です。」ミミフサギ


ヲ級 「ヲ?」ミミフサガレ


日向ミニ「・・・。」


レ級 「どうした、蓮華。黙っちまってよ。」


日向ミニ「貴様、いつから羞恥心を捨てたのだ。」


レ級 「はぁ?何言ってんだ?お前。」


日向ミニ「気安く"父ちゃん"、"母ちゃん"と・・・。ガキは卒業したのではなかったのか?」


レ級 「うるせぇな!ガキっぽいとか散々弄ってきたのはお前だろうが!」


ヲ級 「漫画で父ちゃん呼びする子が阿呆の子だったのがとどめだったの。」フフン


レ級 「なんで知ってんだよ!?」


五月雨「でも、私の前ではずっと父ちゃんだったじゃないですか。」


レ級 「油断してると素が出るんだよ。それに・・・。」


五月雨「それに?」


レ級 「家族の絆は、大事だろ?///」テレッ


五月雨「」ズキューン


五月雨「もう!可愛いですね!レーちゃんは!」ダキッ


レ級 「やめろよ、五月雨姉!」ワプッ


ヲ級 「ヲーちゃんも~!」トウッ


レ級 「し、仕方ねぇなぁ・・・。もう。」ニヘラ


日向ミニ「」ニヤニヤ


レ級 「お前は来るな。」


日向ミニ「私がお前の言うことを聞いたことがあったか?」ニタァ


レ級 「だろうな!」クソガ!


ウリャー!! ギャァァァ! オマンジュウナノー!


パオラ「微笑ましい光景ね。」ホンワカ


飛龍 「振り返っては駄目よ。」ニコニコ


蒼龍 「」ケツルイ


大鳳 「」ケツルイ


パオラ「わかってるわよ。」ウフフ


龍驤 「どっからツッコめばええんや・・・。」


三隈 「説明を求めますわ、クロさん。」


黒霧 「後でね。」フフ


最上 「クロさん、肩貸して。眠い・・・。」フラフラ


黒霧 「ゆっくりおやすみ。」オイデ


最上 「ありがと・・・。」Zzz


三隈 (・・・羨ましいですわ!)クッ



臭いでどっちが愉しんだかわかるらしいね。


集積姫「・・・んん。」パチクリ


南方戦「起きた?」ウフフ


集積姫「膝枕・・・。南方ちゃん、太った?」ヤワラカイ


南方戦「まだ眠り足りないのかしらぁ?」ピキッ


集積姫「冗談よ。でも、匂いくらい整えてきてほしかったわぁ。」


南方戦「あら、ごめんなさい。汗臭かったかしら。」クンクン


集積姫「甘い匂い・・・。お楽しみだったのねぇ。」


南方戦「///」カァ


集積姫「気をつけなさいよ?彼、臭いが薄いんだから。余計にわかるわよ。」


南方戦「そんなに?///」


集積姫「そりゃあもう・・・。何回?」ニタニタ


南方戦「お、憶えてない・・・。///」


集積姫「彼には勝てそうにないわね。」ケタケタ


南方戦「///」プシュー



下の〇を処理してみた。鬣を失ったライオンの気持ちがわかった。


南方戦「ワタシのことはいいの!問題はアンタよ、集積。」


集積姫「・・・。」


南方戦「なんで、こんなことしたのよ・・・。」ジッ


集積姫「南方ちゃんを幸せにするためよ。」


南方戦「アンタを失って、ワタシが幸せになれると思う?」


集積姫「時雨ちゃんはあれで不器用だからさぁ。誰かひとりしか愛せないの。」


集積姫「彼の心を射止めたのは南方ちゃん、あんたよ。間宮ちゃんではないし、当然私でもない。」


南方戦「アンタ、やけにあのひとのことに詳しいわね。」


集積姫「そりゃあねぇ。私だって時雨ちゃんのことを愛してるもの。」


南方戦「初耳ね。そんな素振りはなかったと思うけど?」


集積姫「その瞳は節穴かなぁ?」ニィ


南方戦「何よ?」ムゥ


集積姫「あのねぇ。肉体関係は持たなかったとはいえ、好きでもない男の子供を2人も産むと思う?」ハァ


南方戦「それもそうね。でも、あのひとの心を射止めたのがワタシだって、なんで言い切れるのよ?」


集積姫「時雨ちゃんはね。絶対に言わないのよ。"愛してる"って。」


集積姫「間宮ちゃんの最期でさえ、時雨ちゃんはその言葉を口にしなかった。勿論、私にもね。」


南方戦「そう・・・。」


集積姫「南方ちゃんはぁ?」ニタニタ


南方戦「・・・ある。///」プイッ


集積姫「証拠としては充分でしょう?」


南方戦「でも、間宮とふたりきりのときに言ってるかも知れないじゃない。」


集積姫「ないわよ。」


南方戦「なんでアンタがそんなことまで知ってるのよ。」


集積姫「間宮ちゃんは私の傀儡だったのよ?盗聴してたに決まってるじゃない。」シレッ


南方戦「まさか、アンタがずっとヘッドホンしてパソコン弄ってたのって・・・。」


集積姫「そういうことよ。」フフン


南方戦「呆れた・・・。莫迦じゃないの?」


集積姫「南西諸島方面の遠征指揮してジャマイカに行き着く南方ちゃんよりはましよ。」ハッ


南方戦「言ってくれるじゃない。アンタがその気なら、こっちにも考えがあるわ。」ピキッ


集積姫「なぁに?」


南方戦「アンタ、今夜あのひとに抱かれなさい。」


集積姫「はぁ!?///」


南方戦「拒否権は無いわよ。ワタシの持てる全てで以て、何としても抱かせてやるんだから!」ビシッ


集積姫「ちょっ!な、南方ちゃん!?」


アンタァ!! チョットキナサイ! ハナシガアルワ! ナンポウセイセンキ!?


集積姫「行っちゃったわね・・・。どうしよう。そんなことされたら、もう抑えられないわよぉ。///」カァ



引き籠もりは身体に悪い。溜まるから。鬱憤が。


黒霧 「最上が寝てるから動けないんだけど・・・。」


最上 「Zzz」スヤァ


南方戦「あら、ごめんなさい。大声出しちゃったわ。」ウフフ


南方戦「じゃないわよ。何?早速、浮気?」ジトッ


黒霧 「懐かれてるだけだよ。」ニコニコ


龍驤 「クロさん、鬼級を前に笑顔で話しとるで・・・。」ヒソヒソ


飛龍 「化物ね。色んな意味で・・・。」ヒソヒソ


三隈 (なんですの、あの顔の距離は!?鼻がくっついてますの!!三隈もあ、あれくらい・・・。)モンモン


南方戦「蓮華、アンタから見てどう思う?」ギラッ


日向ミニ「落ち着け、母上。最上はシロだ。」


南方戦「そう。ならいいわ。で、話があるんだけど・・・。」ジッ


黒霧 「何かな?」


チョットミミカシナサイ・・・


黒霧 「・・・南はそれでいいの?」


南方戦「ワタシが言い出したことよ?いいに決まってるじゃない。」フンッ


南方戦「・・・でも、一番はワタシよ。そうでなきゃ、嫌よ?」ジッ


黒霧 「わかっているさ。」スッ


ンッ


南方戦「流石に、恥ずかしいわね・・・。///」テレテレ


レ級 「限りなくデレデレに近いツンデレだよなぁ、南姉って。」カアチャンモアレクライ・・・


五月雨「ヲーちゃんにはまだ早いですよ~。」メカクシ


ヲ級 「ヲヲ?」ナニモミエナイノ


日向ミニ「」ハッ


南方戦「アンタ、鼻で嗤ったわね?」ジロッ


日向ミニ「母上よ。父上の嫁ならばもっと堂々としてくれ。」フン


五月雨「チキンな蓮華ちゃんがよく言えましたね。」ヘェ


日向ミニ「久方振りに姉妹喧嘩といくか?レ級、手伝え。」イラッ


レ級 「こういうときばっかり俺に頼るよなぁ、お前。まっ、やるけどさ。」ニヒッ


南方戦「ちょっと。ワタシを置いて盛り上がってんじゃないわよ。ワタシも交ぜなさい。」ニィ


五月雨「なんてアンバランスな組み分けでしょう・・・。こうなったら、クロさん!いえ、お父さん!私の味方にっ!」ゼヒッ


黒霧 「最上が起きたらね。」ニコリ


五月雨「そんなっ!!」ガーン


パオラ「なら、あたしが時雨の代理で加わるわよ。いいでしょ?」ニッ


日向ミニ「面白い。お前とは一度やり合ってみたかったのだ。」フッ


レ級 「どっからでもかかってきな。」ギラリ


南方戦「暴れるのも久し振りね。」ニタァ


五月雨「パオラさん。私、逃げ回っててもいいですか?」


パオラ「任せなさい。あたし、これでも魔王の側近だから。」オォォ


イクワヨッ!! ウォォォォ!! スタコラー ニゲルナ サミダレネエ!


黒霧 「おいで、ヲ級。島まで避難しよう。」


ヲ級 「なの!」スーイ



夢ならば どれほど よかったでしょう~♪


蒼龍 「」ブツブツ


大鳳 「」ドヨーン


飛龍 「どうするの?これ。あんまり関わりたくないんだけど・・・。」


龍驤 「そうは言ってもやなぁ。パオラもおらんし、うちらでフォローせな。」


飛龍 「パオラめ。こうなるとわかってて逃げたわね。」チッ


三隈 「何の話をしてますの?」ヒョコッ


龍驤 「三隈か・・・。そういえば、三隈もあっちサイドやったな。」


三隈 「あっちサイド、ですの?」


飛龍 「あれよ。」クイッ


キコン・・・ コモチ・・・


三隈 「なんですの、あれは・・・。」エェ


飛龍 「夢破れた女の成れの果てよ。」


龍驤 「三隈はショックやないんか?クロさんが既婚者やってわかったのに・・・。」


三隈 「動揺はありましたの。ですが、三隈は婚約者である間宮さんと勝負するつもりでした・・・か、ら。」ハッ


三隈 「間宮さんは何処ですの?」


龍驤 「あっ・・・。」


三隈 「クロさんに・・・。」クルッ


ヲ級 「Zzz」スヤー


最上 「Zzz」スピー


黒霧 「」ナデナデ


集積姫「///」テレテレ


三隈 (何か増えてますの!?)


龍驤 「鬼の次は姫かいな。」エェ


飛龍 「付き合ってらんないわ。」ハァ



子供は何よりの証であるべき。


三隈 「クロさん、説明を求めますの。」ズイッ


集積姫「ちょっと近いんじゃな~い?」ジトッ


三隈 「しなだれ掛かっている貴女に言われたくありませんの。」ギロッ


集積姫「あらぁ。私は娘に寄り添っているだけよ?」ウフフ


三隈 「娘?」


集積姫「この娘よ。」チョンチョン


ヲ級 「Zzz」ウミュウ


三隈 「・・・父親は、誰ですの?」


黒霧 「僕だよ。」フフッ


三隈 「」ピシャーン ガクッ


蒼龍 「イラッシャイ」


大鳳 「ナカマデスネ」


三隈 「エエ ヨロシクデスノ」


龍驤 「終に折れたか・・・。」


飛龍 「子供は絆の証だもん。目に見えてわかるものは、もうどうしようもないよ。」



その想いを抱く君は、本当に君か?


飛龍 「離脱した三隈の代わりに訊くけど、誰と何処までできて、どうなってるの?」


龍驤 「一文で訊いていい内容と違うで?」


飛龍 「これが一番早いでしょ。」フン


集積姫「話す側の身にもなりなさいよ。」ムゥ


蒼龍 「誰が本妻なんですか?」ウツロ


龍驤 (自分で訊くんか・・・。)


飛龍 (興味が上回ったのね・・・。)


集積姫「本妻も何も・・・ねぇ。」チラリ


黒霧 「僕が愛するのは南だけだよ。」


龍驤 「だったら、間宮はどないしたんや?」


黒霧 「・・・斬ったよ。」


三隈 「・・・え?」


龍驤 「なんやと?」キッ


飛龍 「子供をつくったのは間宮と婚約した後だよね。遊ぶだけ遊んで捨てたってこと?」ギロッ


集積姫「あらら。みんなを敵に回しちゃったわねぇ。」ニタニタ


黒霧 「遊びではないさ。まぁ、そこに真実の愛が無かったのは事実だけど。」


黒霧 「間宮は僕を利用するために近づいた。僕はそれを利用した。それだけだよ。」


三隈 「どういうことですの?あんなに仲睦まじい様子でしたのに・・・。」


龍驤 「全部、演技やったってことか?」


集積姫「違うわ。少なくとも間宮ちゃんは、本気で時雨ちゃんを愛していた。」


集積姫「始めこそ演技だったけれど、元帥の孫娘ではない"間宮"として自分を見てくれた時雨ちゃんに、本気になってしまった。」


黒霧 「僕は終始、自分を偽り続けた。間宮に捧げた愛は本物だよ。だけど、その愛を捧げた僕は偽りの僕だ。」


大鳳 「難しいですね・・・。」ムー


蒼龍 「全然わかんない・・・。」


黒霧 「間宮を愛する人格を創り出したんだよ。所謂、多重人格ってやつだね。」


三隈 「そんなことが意図的に可能ですの?」


黒霧 「僕は暗殺を生業とする黒霧の生まれだ。生命を狩ることで生活の糧を得てきた。」


黒霧 「そのために身につけた技術は、そこいらの暗殺術とは訳が違うよ。」



間宮の思惑


最上 「Zzz」ンガッ


三隈 「それで、間宮さんを利用し利用されというのはどういうことですの?」


集積姫「その話には私も絡んでるのよねぇ。」


龍驤 「どういうことや?」


集積姫「間宮ちゃんはね。私の傀儡だったのよ。」ニィ


飛龍 「はぁ?」ジロッ


集積姫「睨んじゃや~よ。」ケタケタ


三隈 「どうして間宮さんでしたの?」


集積姫「そうね。都合が良かったからかしら。」


集積姫「彼女、広い人脈を持ってたみたいだし。元帥の孫娘なんて肩書きもあったからさぁ。」


集積姫「腐った海軍上層部を一掃する仕込みには丁度いい人材だったわ。」ニタァ


龍驤 「腐敗した海軍の是正か。深海棲艦にしては中々殊勝な計画やないか。」ヘェ


集積姫「そんなのじゃないわよ。私はただ、この島を時雨ちゃんと南方ちゃんの楽園にしたかっただけ。」


集積姫「そのためには実験施設の存在を知っている上層部の連中が邪魔だったの。」


飛龍 「なるほど。それで間宮を利用したのね。」


龍驤 「それにしても、態々腐敗したなんて表現するたぁ。悪意があるなぁ。」ニィ


集積姫「それは私じゃないわ。間宮ちゃんの影響よ。」


龍驤 「間宮の?」ドウイウコトヤ


集積姫「私だって、間宮ちゃんの全てを掌握してたわけじゃないの。」


集積姫「彼女もまた、この機会を利用してたのよ。」


集積姫「海軍の壊滅は、間宮ちゃんが計画していたことなんだから。」ニヒッ



やっぱり話が進まねぇ!


三隈 「ちょっと整理してもよろしいですの?混乱してきましたわ。」


集積姫「いいわよ~。」ウフフ


三隈 「まず、それぞれの目的はなんですの?」


集積姫「この島を時雨ちゃんと南方ちゃんの楽園にすることよ。」


三隈 「間宮さんは海軍の壊滅でしたわね。」


龍驤 「じゃあ、クロさんはなんや?」


黒霧 「特に何も。」


飛龍 「はぁ?さっき間宮を利用してたって言ったじゃん。」


黒霧 「その件はただの序でだよ。元から考えていたことじゃない。」


飛龍 「ふーん。で、その序でって?」


黒霧 「それは・・・。」


パオラ「元帥の代替わりよ。」


龍驤 「おぉ、帰ってきた。」


飛龍 「おかえり。元気そうね、鬼級と喧嘩してたくせに・・・。」バケモノメ


パオラ「魔王の懐刀を舐めんじゃないわよ。」フフン


五月雨「いや~。良い汗かきました!」キラキラ


レ級 「ちょこまかと逃げ回りやがって・・・。くそが。」ボロッ


日向ミニ「流れ弾が中たるように誘導しながら逃げていたからな。流石はお姉ちゃんだ。」フッ


南方戦「アンタも摩訶不思議な発明を次から次へと・・・。暇だったの?」


日向ミニ「試験運用の機会が中々無くてな。片っ端から試させてもらった。」ムフン


南方戦「楽しんでるのね・・・。」


日向ミニ「ああ、満足だ。」キラキラ


三隈 「あの、話の途中なのですけれど・・・。」


南方戦「後にしてちょうだい。まずは汗を流さないと。レ級に至っては被弾もしてるし。」


レ級 「俺だけ被弾してますよ。そ~ですよ。」ケッ


南方戦「ふて腐れるんじゃないわよ。ほら、時雨と一緒に入ってきなさい。」


レ級 「おう!行くぞ、父ちゃん!」ニカッ


黒霧 「ああ、行こうか。」ニコリ


ヲ級 「ヲーちゃんも~。」ポヤポヤ


五月雨「あっ、私も行きます!」ハイ!


日向ミニ「まぁ、そうなるな。」フフ


南方戦「チョロいわ。」ボソッ


集積姫「南方ちゃんが時雨ちゃんの名前呼ぶの、久し振りに聞いたな~。」ニタニタ


南方戦「アンタも入るのよ、集積。」ニィ


集積姫「南方ちゃんにやり返される日が来るとはね・・・。///」クッ


飛龍 「ねぇ、あのふたりなんとかしてよ。」ヒソヒソ


パオラ「まだ呆けてるの?」


蒼龍 「コドモ イッパイ」ウツロ


大鳳 「フフフフフ」ウツロ


龍驤 「・・・こわっ。」ヒキッ


パオラ「あ~。あたしも汗かいちゃったし。時雨と混浴してこようかしら~。」パタパタ


大蒼龍「!」


大蒼龍「わたしも!!」フッカツ!


パオラ「ちょろいわ。」フッ


南方戦「アンタ達も入ったら?話の続きはそこでしましょう。何の話だったのかは知らないけど・・・。」


三隈 「では、お言葉に甘えて・・・。タオルはありまして?」


南方戦「」ニタァ


三隈 (・・・覚悟を決めますのよ、三隈!///)フン



風呂に入ると何を考える?私は過去の失敗を思い返してモヤモヤしてる。


日向ミニ「良い湯だ。まるであの頃と変わらん。」フゥ


レ級 「お前、ほんとに風呂が好きだよな。」


ヲ級 「きゅ~そくせんこ~。」ブクブク


五月雨「駄目ですよ、ヲーちゃん。浸かるのは肩までにしてください。逆上せてしまいます。」コラ


黒霧 「ほら、隣においで。」ヨット


ヲ級 「なの~。」


南方戦「反対側はワタシね。」ソッ


レ級 「母ちゃんも早く来いよ~。」ニヤニヤ


集積姫「待って。心の準備が・・・。///」


龍驤 「見られて恥ずかしい身体やないやろ?堂々としぃや。」ハッ


パオラ「時雨と風呂に入るのも久し振りね~。」チャプッ


飛龍 「あんた達、どういう関係なのよ・・・。」


蒼龍 (混浴しちゃってる・・・私!///)プシュー


大鳳 (私が一番小さいだなんて・・・。)ズーン


三隈 「もがみん!いい加減に起きますの!」


最上 「起きてる・・・。起きてる・・・。」ウツラウツラ


オキテマセンノ! Zzz・・・ モガミィィ!!



幸せならいいじゃない。


龍驤 「今更やけど、君らの家族構成どうなってんねん。」


黒霧 「父です。」


南方戦「母よ。」


日向ミニ「娘だ。」


レ級 「同じく。」


ヲ級 「同じくなの!」ムフン


五月雨「私はどうなんでしょう?」


南方戦「アンタも娘よ。」


五月雨「娘らしいです!」


集積姫「・・・。」


南方戦「アンタはどうなの?」


集積姫「・・・母です。」


南方戦「よく言えました。」


集積姫「南方ちゃんに負けるのは、なんだか癪だわ。」ハァ


レ級 「やっと認めたな、母ちゃん。」ニッ


ヲ級 「んふふ。お母さん。」ニパッ


集積姫「っ!///」ズキューン


集積姫「はぁ。いいものね。親子というのは・・・。」ギュッ


ヲ級 「むふふ~。」ギュッ


レ級 「おい。誰か忘れてないか?」ソワソワ


集積姫「そうね。五月雨ちゃん、あんたも私の娘よ。」オイデ


五月雨「はい!」ダキッ


レ級 「俺はっ!?」クワッ


集積姫「あんたもよ。おいで。」ウフフ


クソガ ハイハイ ギュッ


南方戦「あれが集積の一派よ。」


龍驤 「あんたの一派は?」


南方戦「ワタシの娘は蓮華だけよ。」ポン


日向ミニ「手を置くなら撫でろ、母上。」


ウリウリ ヘタクソ


龍驤 「で、父親はクロさんだけか?」


黒霧 「そうだよ。」


龍驤 「お盛んやな。」セイジュウメ


黒霧 「僕が一夜を共にしたのは南だけだよ。」ヤメナサイ


龍驤 「はぁ?なら、なんで娘沢山やねん。」


黒霧 「集積は体外受精で出産してるからね。」


五月雨「私は建造組です。」


集積姫「時雨ちゃんとはまだ関係を持ってないわ。」


南方戦「"まだ"ね。」ニヤニヤ


集積姫「"まだ"よ。」ニィ


南方戦「調子戻してきたわね。」チッ


集積姫「裸曝してるのよ?もう覚悟は決まったわ。」ハッ


龍驤 「なんやこの家族・・・。」


パオラ「龍驤がツッコミ放棄したわよ。」チョット


飛龍 「それだけ異常ってことでしょ。」ワタシニフラナイデ



ここから長くなるわよ?(長風呂は熱中症と脱水に注意しましょう)


龍驤 「それにしても、深海棲艦と深い仲になって大丈夫なんか?」


黒霧 「元々そういう実験だったからね。因みに、責任者は元帥だよ。」


龍驤 「そうか。なら大丈夫やな。」


パオラ「そんなわけないでしょ。」


龍驤 「なんでや?元帥の命令でやったことなんやろ?」


パオラ「あの実験施設の存在は各提督にも知らされていたわ。鹵獲した深海棲艦の生態調査を行う施設だってね。」


パオラ「だけど、それは表向きの言い訳に過ぎない。本当の目的は、深海棲艦を懐柔し、同士討ちさせることなのよ。」


龍驤 「なんや、それ・・・。」


南方戦「ちょっと。ワタシが聞いた話と違うじゃない。」ドウイウコトヨ


集積姫「あいつらの話、鵜呑みにしてたの?真性の莫迦ね、南方ちゃん。」


南方戦「言い返せない・・・。」クッ


黒霧 「この事実を知るのは大本営の高官だけさ。僕も知らされていなかったよ。」


龍驤 「当事者が知らんで、どう味方につける気やったんや?」


黒霧 「愛の力、だよ。」


龍驤 「はぁ?」(゚Д゚)


パオラ「事実よ、龍驤。時雨がある程度の関係を築いた段階で、施設を襲わせる。」


パオラ「襲撃してきた仲間を裏切り、時雨を救えば成功。仲間の輪に戻れば失敗。そういう実験よ。」


南方戦「あの襲撃、アンタの仕業じゃなかったのね。全部アンタが仕組んだことだと思ってたわ。」


集積姫「残念ながら違うのよね~。それに今回の騒動を考えたのも私じゃないわよ。」


南方戦「なんですって?」


龍驤 「で、実験はどうなったんや?訊かんでも大体わかるけど・・・。」


パオラ「成功したわけでもないし、失敗したわけでもないのよね。何て言ったらいいのかしら。」ウーン


黒霧 「実験不成立。」


パオラ「それね!流石は時雨よ。当事者なだけはあるわ。」


龍驤 「そもそも、なんでパオラが説明しとんねん。普通、クロさんがするんと違うか?」


パオラ「知ってるんだからいいじゃない。あたしにも話させなさいよ。」


黒霧 「あのとき、集積も南も施設の中に籠もっていた。外に居たのは僕と日向、そして五月雨の3人。」


黒霧 「集中砲火を浴びて大破した五月雨と散歩中だった日向を拾って、僕は砲弾の雨の中を踊り続けた。」


黒霧 「でも、肝心の南達は部屋に籠もり外に出る気配はない。実験の続行不可を悟った研究者達はこれを大本営に報告した。」


パオラ「そして下された命が、押し寄せる深海棲艦を道連れにした"自爆"。」


パオラ「島の半分以上が消し飛び、海が燃えた・・・。」


龍驤 「そこでうちらが救援に駆けつけたってわけか。にしても、よう無事やったな。」


南方戦「無事なわけないでしょうが。全身火傷だったのよ?暫く眠れなかったわ。」


レ級 「あのときはマジで死んだと思ったぜ・・・。」トオイメ


ヲ級 「南お姉ちゃんが庇ってくれてなかったら、本当にそうなってたの・・・。」ヲー


黒霧 「南や集積、レ級、ヲ級は撃沈したはずの存在だ。そんな彼女達が生きていると大本営が知ったら・・・。」


龍驤 「報復を恐れて沈めにくるわけか。なるほどな。全然大丈夫やないな。」フム


パオラ「まっ、もう知られてるんだけどね。」シレッ


龍驤 「一大事やないか!」


パオラ「平気よ。それで時雨が訓練基地の教官として再招集されたんだから。」


龍驤 「なんや。もう過去の話やったんか。なら、問題は今後どうなるかやな。」


黒霧 「そうだね。南達と再度接触したことは大本営も周知のこと。これからどんな手を打ってくるか・・・。」


パオラ「実はそれも解決済みだったりして・・・。」ニィ


黒霧 「成功したの?」


パオラ「ばっちりね。」フフン


龍驤 「何の話や?」


パオラ「言ったでしょ?元帥の代替わりが序での目的だって。次期元帥が真宵に決まったのよ。」


ナンヤトォ!!


三隈 「真宵さんが元帥・・・。ということは、三隈は元帥の弟子・・・。いいですわね。」


最上 (またみっちゃんが拗らせてる。)ブクブク



今や魔族が主役になる時代


龍驤 「正気か、君らぁ!?魔王が海軍元帥やとぉ!?あかん・・・。お先真っ暗や。」


パオラ「あんたねぇ。魔王を何だと思ってるのよ。」


龍驤 「決まってるやろ。悪の大王や。」ハン


パオラ「それはつまり、魔族が悪の手先だってことかしら?」オォォ


龍驤 「魔の者は"悪"やって昔から決まっとんねん!」クワッ


パオラ「誰が決めたってのよ!そいつ、連れてきなさい!ぶっとばしてやるわ!!」ザバッ


龍驤 「そういうところや!力で解決しようとするから"悪"なんや!!」


パオラ「そのほうが後腐れなくていいでしょうが!話し合いで無理矢理解決に落とし込むからややこしくなるのよ!」


ナンヤ!? ナニヨ!?


蒼龍 「ど、どうしよう・・・。と、止めなきゃっ!」


飛龍 「やめときなさい。」ガシッ


大鳳 「ですが、やはり心配というのが正直なところですね・・・。」フム


黒霧 「大丈夫だよ。」


大鳳 「!」ビクゥ


黒霧 「真宵は、人類に敗北を喫するほどに乱れた魔族を統率し、魔界を立て直した英雄王だからね。」フフッ


大鳳 「ヒャイ・・・///」モジモジ


飛龍 「魔族の英雄王ねぇ。な~んか、変な感じよね~。」ダラー


蒼龍 「飛龍、なんでそんなに無防備でいられるの?」ヒソヒソ


飛龍 「変に隠すほうが恥ずかしいでしょ?堂々としてればいいの。」


蒼龍 「無理だよぉ~。」ウゥ


パオラ「あんまり真宵を莫迦にすると赦さないわよ!」


龍驤 「あんなちっこいのに威厳も何もあるかいな!」


飛龍 「ブーメランね。」


蒼龍 「ブーメランだね。」


大鳳 「ブーメランですね。」


龍驤 「五月蠅いわっ!!」ナミダメ


龍驤 「クロさん、慰めて~。」


南日向「寄るな、痴女。」


龍驤 「誰が痴女や!」クワッ


五月雨「は~い。見ちゃ駄目ですよ~。」メカクシ


集積姫「聞いても駄目よ~。」ミミフサギ


ヲ級 「ヲー。」クライノ


レ級 「おかしいな。俺とヲーちゃんは年子なんだけどな・・・。」コノサハナンダ



道は分れるもの。一緒に過ごせる時間は奇跡。大事にしよう。


三隈 「それにしても、よく真宵さんが元帥になんてなれましたわね。」


黒霧 「偶然に機会が巡ってきただけだよ。」


集積姫「殆ど間宮ちゃんの御蔭よねぇ。」


三隈 「どういうことですの?」


集積姫「間宮ちゃんは元帥の孫娘という立場上、誰よりも近くで海軍の闇を見てきた。」


集積姫「腐りきった海軍に嫌気が差した間宮ちゃんは、あることを決意するの・・・。」


最上 「海軍の壊滅・・・。」


三隈 「起きてましたのね、もがみん。」


最上 「起きてたよ。それで?間宮さんはどうしたの?」


黒霧 「黒い噂のある将校に近づき、不正の証拠を探ったんだよ。同時に何人も纏めて摘発したのさ。」


五月雨「それが"悪女"の真実ですか?やっぱり間宮さんは善い人じゃないですか。」


集積姫「そこで終わってたらね~。」


黒霧 「摘発された将校は皆、主要な鎮守府を任される高官だったからね。大した罰も無く、釈放されたんだ。」


集積姫「だから間宮ちゃんは、甘い言葉で誘惑して破滅させていったの。」


集積姫「法で裁けないなら、自分で裁いてやるってね。」ニィ


五月雨「そういえば、茜さんを退場させたとか言ってましたね。」


集積姫「あぁ、佐世保襲撃のこと?あれは間宮ちゃんが深海側に情報を流した所為で起こったのよ。」


龍驤 「佐世保の事件は民間人の死者も出とる。それが間宮の手引きしたことやったやと!?」ギリッ


集積姫「あの時期の鎮守府襲撃事件は全て間宮ちゃんの仕業よ。余程人間に愛想尽かしてたみたいね~。」ケタケタ


黒霧 「間宮はやりすぎて、多くの怨みを買ってしまった。暗殺計画が持ち上がったくらいだからね。」


黒霧 「そして、間宮の身を案じた父親が僕との見合いを設けたのさ。」


三隈 「つまりクロさんは、間宮さんの婚約者というよりはボディガードだったわけですわね。」


集積姫「時雨ちゃんの名前を出せば、海軍の将校は黙らざるを得ないだろうしねぇ。」ニヒヒ


南方戦「で、アンタはそんな間宮を利用したわけでしょ?何処で出会ったのよ?」


集積姫「間宮ちゃんから会いにきたの。実験施設がまだ健在だった頃にね。」


集積姫「そこで取引をして知ったのよ。数日後に施設が襲撃されるって・・・。」


南方戦「アンタは何を取引材料にしたわけ?」


集積姫「戦力よ。間宮ちゃんの目的は"海軍"の壊滅。そして人類の滅亡だったから・・・。」


三隈 「なんとも恐ろしい話ですわね。貴女達が間宮さんについていたら、本当に人類は滅んでいましたの。」


最上 「でもさ。なんで裏切ったの?操り人形みたいにしちゃってさ。」


集積姫「当然でしょ?間宮ちゃんのブラックリストには時雨ちゃんの名前も載ってたんだから。」


集積姫「私は上層部の連中が消えればそれで充分。でも間宮ちゃんは違った。だから裏切ったの。」


三隈 「これは、コメントしづらいですの・・・。」


最上 「みっちゃんなら同じことをしたから?」


三隈 「///」クゥ


最上 「無言で紅くなるあたり、如何に本気かがわかるよね。」


・・・キッ ムゴンデニラムノヤメテ



取り敢えず名前だけ出す。魔弾の〇と戦姫みたいに。


龍驤 「次期元帥候補が消えた理由はわかった。間宮を斬った理由もな。」


龍驤 「けどな。真宵が次期元帥の座に就けた理由がまだやで。君ら、いったい何をしたんや?」


パオラ「大したことはしてないわよ。ただ、間宮の訃報を元帥に知らせただけ。」


五月雨「」ウワァ


パオラ「父親が決めた婚約者に斬られたと知った元帥は激怒。親子喧嘩の果てに死闘となり、元帥は還らぬ人に・・・。」


パオラ「元帥を斬った間宮の父は反逆罪で極刑。空席になった元帥の座には、元帥補佐の推薦で真宵が座る運びとなった。」


パオラ「そんな感じかしら。」


龍驤 「待ちぃな。なんで元帥補佐からの推薦が貰えるねん。」


黒霧 「元帥補佐の名前は何だったかな?」


龍驤 「確か・・・。」エー


五月雨「近衛東です。」


黒霧 「そのとおり。」


蒼龍 「え?東って、"懐刀"の?」


パオラ「そういうことよ。」ニィ


最上 「ボクの冗談も現実になったね。」


三隈 「海軍は魔族の手に堕ちましたの・・・。」



自由の風と根ざす草花


パオラ「さて、これで大体は話したかしら。」


黒霧 「そうだね。もう帰ってもいいんだよ?パオラ。」ニコリ


パオラ「い・や・よ。」ニコリ


飛龍 「ねぇ。あのふたりの距離感はなんなの?」


龍驤 「うちが知るかいな。訊くなら初期艦様やろ。」クイッ


大鳳 「私も知りませんよ。パルちゃんと時雨さんは、私達より遙かに古い仲なんですから。」ムゥ


蒼龍 「聖戦のときに出会ったって言ってたよね~。」


パオラ「そうよ。もう何年の付き合いになるかしら。」


黒霧 「数百年くらいかな。」


パオラ「家族以上の関係よねぇ。」ムギュッ


南方戦「どうしてワタシまで抱き締められてるのかしら・・・。」ジャマナンダケド


三隈 「羨ましいですの・・・。」ボソッ


最上 「当たって砕け散りなよ。」グデー


三隈 「砕けるだけでは済みませんのね・・・。」


黒霧 「押しつけないでくれるかな。」


パオラ「あんたの嫁よりは小さいでしょう?」ムニッ


南方戦「そういう問題じゃないわよ。」クルシイワ・・・


五月雨「珍しいですね。蓮華ちゃんがこういう場面で温和しいなんて・・・。」


日向ミニ「パオラは父上にとって特別だからな。私が口を挟む余地は無い。」フッ


五月雨「そこまで深い関係なんですね。お父さんとパオラさんは・・・。」ハェー


黒霧 「もう少し自重してくれると助かるんだけど。」


パオラ「嫌よ。茜に頼まれたんだから。全力であんたの姉をやってやるわ。」フン


南方戦「ねぇ。いい加減に放してくれない?」ウットウシイワ



5時間くらい風呂に入っていたことがある。


パオラ「そんな姉からの頼みなんだけど・・・。」スリッ


黒霧 「何?」ハナレテ


パオラ「後ふたり、嫁に貰ってくれないかしら?」ウフフ


黒霧 「異動してもらうことになるけど、いいの?」


パオラ「この話は無かったことにしてちょうだい。」サッ


大蒼龍「ちょっと!?」


南方戦「やっと離れたわね。」フゥ


黒霧 「あれで姉の代理というのは事実だからね・・・。早く慣れてね。」フフッ


南方戦「相応の対価は払ってもらうから。覚悟しなさいよ。」


黒霧 「仰せのままに。」


三隈 (それはつまり、異動の必要がない三隈にはチャンスがあるということですの!)ムフン


最上 「さっさとぶつかればいいのに・・・。」


集積姫「先に上がるわよ~。子供達がもう限界。」


ヲ級 「ヲ~。」ポヤー


レ級 「俺は、まだ・・・やれる、ぜ。」クラクラ


日向ミニ「無理せず上がれ。いくら装甲が強固でも、脱水症状は防げんだろう。」


五月雨「蓮華ちゃんは余裕そうですね。」サスガ


日向ミニ「半身浴と小まめな水分補給は長風呂の常識だからな。」ムフン


集積姫「ほら、行くわよ。」


ハーイ


黒霧 「僕達もそろそろ上がろうか。」


南方戦「そうね・・・。今夜、頼んだわよ。」


黒霧 「わかってるよ。」


最上 「ボクも上がるよ。」チャパッ


三隈 「あっ。待ちますの。三隈も上がりますの。」ワタワタ


飛龍 「じゃあ、私も上がろうかな。後始末はよろしくね、龍驤。」ザバッ


龍驤 「断る。なんであいつらの面倒見なあかんねん。」ハァ?


大鳳 「約束と違います!」


蒼龍 「そうだよ、パルちゃん!」ムー


パオラ「仕方ないじゃない!あたしには貴女達が必要なのよ!」


パルチャン・・・ ジーン


龍驤 「鍵閉めたろか・・・。」


飛龍 「名案ね。」



長女と末娘と次女s


五月雨「今夜は姉妹水入らずですよ~。」ニッコリ


レ級 「Zzz」グォー


ヲ級 「もう寝てるの・・・。」


日向ミニ「脱水を起こして水を飲ませた後に、そのまま寝かせたからな。」


五月雨「仲良し姉妹に言葉は不要です。みんなでくっついて寝ましょう。」ムフン


ヲ級 「ヲーちゃんは五月雨お姉ちゃんの隣がいいの!」ニパッ


五月雨「はい!一緒に寝ましょうね~。」デレデレ


日向ミニ「ならば、私はレ級の隣だな。」ニヤァ


五月雨「あんまり酷いのは駄目ですよ?」


日向ミニ「安心しろ、お姉ちゃん。今回は何もしないさ。ただ隣で寝るだけだ。」フフ


五月雨「そうですか?それならいいですけど。」


ヲ級 (嘘なの。ちょうどレーちゃんの寝顔が撮れる位置にカメラが仕掛けてあるの。)チラッ


ヲ級 (後でからかって遊ぶつもりなの・・・。)


オヤスミナサーイ ナノー



人を愛するのは苦手。愛されるのはもっと苦手。


集積姫「」スー ハー


黒霧 「君でも緊張するんだね。」フフッ


集積姫「私を何だと思ってるの?これでも中身は結構、乙女なのよ?」


黒霧 「知ってるよ。瞳を合わせようとしないし、無理に笑顔をつくってにやけ顔を誤魔化してるし・・・。」マダアルヨ


集積姫「も、もういいわ。///」プシュー


集積姫「私のことも、ちゃんと見てくれてたのね・・・。」フフ


黒霧 「君も、僕の大事な家族のひとりなんだから。当然だよ?」ニコリ


集積姫「ねぇ・・・。お願いがあるの。」


黒霧 「何でも言ってよ。」フフッ


集積姫「今だけでいい。私を見て・・・。本当の、私を・・・。」ジッ


黒霧 「ああ・・・。わかったよ。」スッ


ンッ ハァッ ンンッ・・・


南方戦「さて、集積を女に戻したところで・・・。何の用かしら?」


三隈 「宣戦布告ですの。」


南方戦「そう・・・。ワタシ達から、あのひとを奪おうってわけ?」ギラッ


三隈 「違いますの。彼を愛する者の中に三隈も加わるというだけですの。」フン


南方戦「あっそ。勝手にすれば?」


三隈 「随分と余裕ですのね・・・。」キッ


南方戦「そこまで歪んだ性格してないわよ。誰かを愛する気持ちは、誰に咎められるものでもないでしょ?」


南方戦「たとえそうでないことがあったとしても、そうあるべきことに変わりはないわ。」


三隈 「そうですわね。」


南方戦「アンタの気持ちをどうこうする権利はワタシには無いの。」


南方戦「それであのひとの気持ちが揺らぐようなら、アンタの魅力がワタシよりも上だったってだけの話よ。」


三隈 「でしたら、この三隈。もう遠慮はしませんの。全力でクロさんを堕としてみせますの!」フンス


南方戦「やれるものならやってみせなさい。あのひとを堕とすのは簡単じゃないわよ。」ニタァ


フフフフフ


大蒼龍「三隈さん、かっこいい。」キラキラ


パオラ「この娘達にも、あれくらいの気概があればねぇ。」ハァ


飛龍 「無理に決まってるじゃない。」ハッ


龍驤 「部屋の中でするなや。うっさいなぁ。」モゾモゾ


最上 「」


龍驤 「この状況でよう眠れるな、最上。」


最上 「いや、耳を澄ますとさ。微かに聞こえるんだよね。隣の部屋の音が・・・。」


!! シュバッ シーン


最上 「やっと静かになった。」オヤスミ


タバカリマシタワネ!


南方戦「そもそも隣で事に及ばせるわけないでしょ。」ハァ


パオラ「まぁ、風を少し調整すれば・・・。」


アッ アァッ・・・


パオラ「聞こえないこともないけどね。」ドウヨ


南方戦「やめてちょうだい。」



上が替われば環境も変わる。最近身を以て実感したこと。


???「閣下、着任おめでとうございます。」


真宵 「堅苦しい挨拶は無用だぞ、東。実質、我ら"懐刀"を動かしているのはお前だからな。」


近衛東「そうは言うが、立場上は元帥とその補佐だ。公の場では体裁を整える必要があるだろう?」


真宵 「まったく。本来であればお前がこの無駄に豪華な椅子に座るはずだったんだがな・・・。」ハァ


近衛東「俺達の長は真宵だ。元帥の座はお前にこそ相応しい。」


近衛東「参謀の俺は側に控え、遊撃隊のパオラ、時雨は各基地へと散る。これ以上の布陣は無い。」


真宵 「紅蓮はどうした?」


近衛東「知らん。何処ぞで暴れ回っているのではないか?」


真宵 「まぁ、いつものことだな。」


真宵 「しかし軽く見て回ってはみたが、酷いものだな。」


近衛東「ああ。時雨の行動が遅い所為で殺意を押し殺すのに苦労した。」


真宵 「潔癖のお前がよく耐えられたものだな。」


近衛東「自分を褒めてやりたいくらいだ。さぁ、元帥になったからにはこの状況をどうにかしてもらうぞ。」


真宵 「その方法を考えるのが参謀の役割ではないのか?」


近衛東「参謀の役目は負けない作戦を立案することだ。職場環境の改善は元帥の役目。しっかりやれ。」


真宵 「面倒臭いと言えないところが、また面倒臭いな。」ヤレヤレ



権力者に対する悪感情は嫉妬なのか?


真宵 「本営勤務の男はどれだけいる?」


近衛東「海軍将校に艤装整備士。後は諸々の事務員だ。」


真宵 「問題行動が目立つのは?」


近衛東「圧倒的に海軍将校だな。艦娘を道具扱いしている嫌いがある。」


近衛東「一方で整備士と事務員は温和しいものだ。事務員は恐怖が勝っているのだろうが、整備士と艦娘の関係は良好だ。」


真宵 「自分が整備した艤装で戦う艦娘に対して、思うところがあるのだろうな。」


近衛東「関係が深い分、喧嘩になることも屡々だがな・・・。」


真宵 「繋がりが出来ている証拠だ。関わりのない相手とは喧嘩になることもないからな。」


真宵 「となると、問題は将校共か・・・。」


近衛東「どうする?エリート思考の強い連中だ。一筋縄ではいかんだろう。」


真宵 「時雨を招集すれば、それで解決するのだが・・・。」


近衛東「今は時期が悪い。却下だ。」


近衛東「家族の絆を確かめ合っている頃だろう。そんなときに時雨を喚ぼうものなら何をしでかすかわからん。」


真宵 「そこまで思慮分別のない連中ではないと思うが、不安要素は取り除くべきか・・・。」


真宵 「よし。ならば東よ。お前、適当な艦娘と結婚しろ。」


近衛東「なんだと?」


真宵 「ケッコンではないぞ、結婚だ。上司が艦娘を嫁に取れば、艦娘を物扱いなどできまい。」クハハ


近衛東「それならばお前も前提は同じだ、真宵。お前も結婚しろ。それが条件だ。」


真宵 「上司の命令に対して条件を提示する部下がいるか、莫迦。だがまぁ、よかろう。」


真宵 「明日の任務は"嫁探し"だ。」ニィ



嫁探しができる胆力があるなら苦労しない。


真宵 「そんなわけで集まってもらった次第だ。理解したか?」


???「理解はしましたが、心が追いついていないですね・・・。」


近衛東「選考基準は我々の独断と偏見である。猶、建造組と改造組の差別は行っていない。」


近衛東「子を成せる成せないの差は、愛の前では小さなものだからだ。」


真宵 「奇弁だな・・・。」


近衛東「閣下、それは心の中に留めておいていただきたかった言葉です。」


真宵 「おっと、すまん。時雨を見ていると、どうにも羨ましく感じる瞬間があってな。」フハハ


近衛東「御気持ちは理解しますが、今は公務中です。発言には御注意ください。」


真宵 「公務中に嫁探しはどうかと思うがな。」


近衛東「それを言っては元も子もありません。」


近衛東「ともかく、これから閣下と1対1の面談をしてもらう。」


近衛東「そこでの会話如何で己の進退が決すると心せよ。以上だ。」



如何にも安価ができそうな流れ。だがそれをするだけの知識が無い。


コンコン


真宵 「入れ。」


???「失礼します。」ガチャ


真宵 「まずは自己紹介でもしてもらおうか。」


???「他人に名乗らせるときは、まず自分から名乗るものではないかしら。」


真宵 「俺に意見するのか?」オォォ


???「・・・。」


真宵 「久遠真宵だ。」フッ


真宵 「お前は?」


???「・・・加賀です。」


真宵 「そうか。お前が加賀か・・・。」ジッ


加賀 「何かしら・・・。」


真宵 「俺が怖いか?」ニィ


加賀 「何を莫迦なことを・・・。」


真宵 「瞳が泳いでいるぞ。」


加賀 「っ!・・・目聡いのね。」


真宵 「これでも組織の長だからな。他人を見る目は養ってきたつもりだ。」


加賀 「そう・・・。」


真宵 「お前ほど雄弁な瞳を見たの久し振りだ。その仏頂面の所為で勘違いされることも多いだろうがな。」クハハ


加賀 「」ムゥ


真宵 「言葉にしなくとも想いを汲み取れることはある。お前は見ていて面白いな。まるで心の中を覗いているかのようだ。」フフ


加賀 「よく笑うのね・・・。」


真宵 「意外か?」ニィ


加賀 「ええ。不気味だわ・・・。」


真宵 「ほう。俺の何処が不気味だというのだ?」


加賀 「見た目はどう見ても子供。だけれど、その瞳は全てを見透かしているようで。嘲るように笑うわ。」


加賀 「外見と中身が乖離しすぎているのよ。貴方は、不気味だわ・・・。」


真宵 「それが俺だ。慣れろ。」


加賀 「強引なのね。」フフッ


真宵 「やっと笑ったな。強情な女だ。」


加賀 「貴方の強引さには負けるわ。こんなにも私を相手に言葉を交わしたのは貴方が初めてよ。」


加賀 「大抵が怒って、襲ってきたというのに・・・。」


真宵 「そうか・・・。」


加賀 「ええ。これだけは、慣れないものね・・・。」


真宵 「慣れる必要はない。俺が来たのだ。不埒は赦さん。」ギラッ


加賀 「・・・その瞳で私を見るのはやめてくれるかしら。」ゾワッ


真宵 「慣れろ。暫くはこの瞳と付き合うことになる。」


加賀 「それは、不埒な輩を滅する意思表示と受け取ってもいいのかしら。」


真宵 「それもある。」


加賀 「・・・"も"?」


真宵 「加賀、お前に秘書艦を命じる。」


加賀 「・・・傍に居ろ、と?」


真宵 「それが一番安全だろう?」


加賀 「貴方が安全だという保証は?」


真宵 「共に過ごせばわかる。」


加賀 「強引ね・・・。」


真宵 「それが俺だと言ったはずだが?」ニィ


加賀 「・・・わかったわ。秘書艦になってあげる。」ハァ


真宵 「そうか。よろしく頼むぞ。」ニッ


加賀 「ちゃんと、証明してくださいね。」


真宵 「任せておけ。」フッ


ガチャ パタン


真宵 「・・・嫁は加賀だな。」ウム


・・・


加賀 「不思議なひとね。肉体をすり抜けて心を覗かれているかのような視線。」


加賀 「緊張したわ・・・。」フゥ



口調の調整が難しい。


コンコン


真宵 「入れ。」


???「失礼します。」ガチャ


???「失礼します。」ペコリ


真宵 「面談はひとりずつと伝えたはずだが?」


???「ほ、ほら。だから言ったじゃない。私ひとりで行かないと駄目だって・・・。」オロオロ


???「いいえ。扶桑姉様をひとりで男の居る部屋に行かせるわけにはいきません。」


???「たとえそれが、元帥命令であったとしてもです。」ムフン


扶桑 「山城・・・。」ウルウル


山城 「姉様・・・。」キリッ


真宵 「わかった。取り敢えず山城は外で待っていろ。」スッ


山城 「嫌です。私は姉様のお傍にっ!」フワッ


扶桑 「山城が浮いて・・・。」


ネエサマー!! ヤマシロー! バタン


真宵 「さて、余計な者が居なくなったところで・・・。」


扶桑 「」ビクビク


真宵 「まぁ、座れ。」


扶桑 「・・・ハイ」


トテトテ チョコン


真宵 「何故、俺の隣に座る?」アタッテイルゾ


扶桑 「え?でも、こうするようにと先の元帥閣下が・・・。」


真宵 「面談とは面と向き合ってするものだろう。」ハァ


真宵 「まぁ、今回はこれでよい。お前の体温は中々、心地好いからな。」ニッ


扶桑 「あっ・・・。」


扶桑 「」ジー


真宵 「なんだ?そんなに見つめても俺の心は覗けんぞ。」ニィ


扶桑 「!」ビクゥ


扶桑 「」ガタガタ


真宵 「忙しい奴だな、お前は。嘲けた顔は嫌いか?」


扶桑 「・・・はい。色々と、思い出してしまうので。」フルフル


真宵 「子供の笑顔は好きか?」


扶桑 「・・・わかりません。私は子供と触れあったことがありませんから。」


真宵 「そうか・・・。」スッ


真宵 「」ズイッ


扶桑 (か、顔がっ!)ビクビク


真宵 「安心しろ、扶桑。これからは俺が、お前を護ってやるからな。」ニッ


扶桑 「」ポー


扶桑 「」ダキッ


真宵 「ムグッ」ムギュッ


扶桑 「」ナデナデ


真宵 (・・・何故、俺が撫でられている?)


扶桑 (まだ子供なのに、背伸びをして・・・。)フフッ


扶桑 「私が護ってあげますからね。」ウフフ


真宵 (話を聴いていたのか?俺にはこいつがわからん。)ハァ


・・・


山城 「扶桑姉様ぁー!!」ドンドン!


加賀 「五月蠅いですよ。」ギロッ


山城 「ご、ごめんなさい。」ヒッ


加賀 「」カキカキ


山城 (加賀って、こんなに威圧感のある娘だったかしら・・・。)ドキドキ



拾号が来る!


ガチャ


山城 「姉さ・・・ま?」


扶桑 「」ホクホク


山城 「姉様?中で、いったい何が・・・?」


扶桑 「いいものね・・・。子供って。」ポー


山城 「」ピシィ


山城 「姉様、ちょっとあのガキと話してきます。」クルッ


扶桑 「こら、山城。真宵ちゃんをそんな風に・・・。」


ガチャッ バタン!


扶桑 「どうしたのかしら?あんな言葉遣いをする娘ではないのに・・・。」


加賀 「扶桑さん、暇なら手伝ってもらえるかしら?」カキカキ


扶桑 「はい。お手伝いします。」ニコニコ


ナニヲシマショウ ソウネ マズハ・・・


山城 「姉様にナニをした。」オォォ


真宵 「したも何も、寧ろ俺がされたんだが・・・。」


山城 「姉様を抱いたのでしょう!?」クワッ


真宵 「いや、抱かれたのは俺のほう・・・。」


山城 「問答無用!!」バッ


真宵 「落ち着け。」クイッ


山城 「ヘバッ!」ベチン


山城 「身体が、重いぃ・・・。」グググ


真宵 「俺は重力を自在に操れるからな。座って話す気がないなら、このまま話を進めるぞ。」


山城 「・・・わかりました。」


真宵 「よろしい。」フッ


山城 「」バッ


真宵 「」ガシッ


山城 「なっ!」


真宵 「悪いな。こう見えて俺は膂力にも自信があってな。」ニィ


山城 (拳が、動かない!)グヌヌ


真宵 「俺は海軍を束ねる元帥だからな。お前達にも負けてはおれんのだ。」パッ


山城 「あっ。」グルン


ゴチン


山城 「っ~!」ピクピク


真宵 「・・・すまん。」


山城 「屈辱よ・・・。」グスッ


真宵 「早く起きろ。下着が丸見えだ。」


山城 「不幸だわ。」ハァ


真宵 「言う前に体勢を直さんか、莫迦。」


山城 「姉様の全てを見られた後に私の下着の1枚や2枚、どうということもないわ。」ハッ


真宵 「お前は何を言っている?」


山城 「だから、姉様を抱いたのでしょう?」


真宵 「違う。抱き締められたのは俺だ。」


山城 「ん?抱き締められた?」


真宵 「そうだ。怯えていたからな。子供らしい笑顔でも見せたら落ち着くかと思ったのだが、急に抱き締められたのだ。」


山城 「なるほど。あれはそういう・・・。」


山城 「姉様に抱き締められるとは、なんて羨ましい。」ギリッ


真宵 「ぶれないな、お前は。」


山城 「つまり、今貴方に抱きつけば間接的に扶桑姉様と・・・。」ジッ


真宵 「なんだ?」


山城 「私に抱かれなさい。」キリッ


真宵 「言葉を選べ、莫迦。」ソシテハヤクオキロ


山城 「よいではないか。」ジリジリ


真宵 「寄るな、莫迦。」



こちら異常ありません。


山城 「抵抗、無駄。早く抱かれる、よろし。」グググ


真宵 「無駄なことがあるか。俺の膂力はお前よりも上だ。」ハッ


山城 「押して駄目なら、押し倒せ!」クワッ


真宵 「もう少し頭を使え、莫迦!考えなしの行動が不幸を喚ぶのだぞ!」


山城 「頭・・・。」フム


真宵 「誰が物理的に使えと言った?振りかぶるのはよせ。」オイ


山城 「」フンッ


ゴチーン


山城 「ウッ」ノシッ


真宵 「ムグッ」ムニュッ


山城 「考えてみれば、私のほうが手は長いから普通に覆い被さればよかったですね。」ヒリヒリ


真宵 「だから頭を使えと言ったのだ。俺は別に、お前を拒むつもりなどなかったのだぞ?」ジンジン


山城 「あんまり喋らないでください。吐息が、くすぐったい・・・。///」モジモジ


真宵 「動くな。俺が埋もれる。というか、さっさと離れろ。」


イヤデス オイ・・・


扶桑 「あの・・・。何やら凄い音が・・・。」ガチャ


扶桑 「山城!?」


山城 「はい。山城に何か御用ですか?姉様。」


扶桑 「真宵ちゃんに覆い被さって、いったい何を・・・ナニを!?」ワタワタ


山城 「いえ、少し・・・。」ヨット


山城 「抱いていただけです。」キリッ


真宵 「おい、こら。」ヒザノウエ


扶桑 「なんだ・・・。それなら大丈夫ですね。」ペカー


真宵 「やはり俺にはお前がわからん。」ムゥ


加賀 「失礼します。」


真宵 「加賀、助けろ。」


加賀 「愛らしくていいですね。」シレッ


真宵 「本気で言っておるな。」チッ


加賀 「流石の洞察力ですね。」フフッ


扶桑 「山城、私にも代わってもらえるかしら。」ソワソワ


山城 「勿論です。さぁ、どうぞ。」ヒョイッ


扶桑 「ありがとう。」ウフフ


真宵 「俺は玩具か・・・。」ハァ



1週間ぶりですね。


コンコン


近衛東「失礼します。」ガチャッ


真宵 「東か・・・。この状況、なんとかしろ。」ヒザノウエ


扶桑 「うふふ。」ギュッ


山城 「」ナデナデ


加賀 「まるでお人形ね。」


真宵 「はったおすぞ、加賀。」


加賀 「つい、本音が・・・。」アラアラ


真宵 「貴様・・・。」ジトッ


近衛東「それで、嫁の候補は決まったのですか?」


真宵 「この状況について、何も言うことはないのか?」


近衛東「そのうちにこれが日常になります。諦めて受け入れるが賢明かと。」


真宵 「今日ほどこの小さな体軀を恨んだ日はないぞ。」チッ


扶桑 「真宵ちゃんは、ずっとこのままでいいんですっ。」ウフフ


山城 「姉様の言うとおりです。成長したら・・・。削ります。」ジッ


真宵 「安心しろ。俺の成長は既に止まっている。」フン


山城 「ならば結構。」


近衛東「本題を、御忘れではないですよね・・・?」


真宵 「わかっている。嫁は加賀に決めた。」


加賀 「・・・初耳なのだけど。」


真宵 「今、初めて言ったからな。」フン


加賀 「そう軽々しく決めていいものではないと思うのだけど。私と貴方は今日、初めて会ったのよ?」


真宵 「初対面だからといって、適当に選んだわけではない。お前となら、共に歩んでいけると確信したのだ。」


真宵 「俺はあまりベタベタする相手は好かん。加賀くらいの距離感が丁度いい。」


扶桑 「・・・私のこと、嫌い?」ウルウル


真宵 「言っただろう。お前の体温は心地好いと。扶桑は例外だ。」


扶桑 「」パァ


扶桑 「それでは、毎日執務室に通いますね!」ギュッ


真宵 「せめて2日に一回で頼む。」


扶桑 「嫌ですっ。」ウフフ


真宵 「誰だ。扶桑をこんなにしたのは・・・。」


山城 「姉様の膝の上に座っている、黒髪・黒瞳のちびっ子ですね。」


真宵 「・・・俺か。」


近衛東「加賀、結婚を受け入れるか?」


加賀 「私に拒否権は無いのではなくて?」


近衛東「そんな莫迦な話があるか。結婚とは、双方の同意の下で行われるものだ。」


近衛東「心が決まるまで、存分に悩むといい。」


加賀 「そう・・・。なら、少し考えさせてもらうわ。」


近衛東「・・・これは独り言だが。」


近衛東「俺は、真宵以上の人徳者を知らん。真宵の嫁は、幸せ者だろうな。」


加賀 「・・・これは独り言なのだけれど。」


加賀 「彼の隣を譲る気はないわ。今のところ、秘書艦としては・・・ね。」フフ



秘密のひとつやふたつ


加賀 「ところで、この溜まった書類をさっさと片付けてもらえるかしら。」ドサッ


真宵 「なんだ。加賀と扶桑で片付けたのではないのか。」


扶桑 「私達ができるのは報告書の仕分けと纏めまでですから。確認はお願いしますね。」ウフフ


真宵 「よし、山城。手伝え。」


山城 「嫌です。」キッパリ


真宵 「」チッ


???「失礼するでち。」ガチャ


真宵 「・・・痴女か?」


???「こんな格好させてるのはお前でち。巫山戯たことぬかしてると魚雷ぶち込むでちよ。」


真宵 「それは先代の元帥だろうが。俺ではないぞ。」


???「はぁ・・・?お前、誰でち?」


扶桑 「ゴーヤちゃん、今朝の集会で挨拶があったじゃない。」


ゴーヤ「そうでちか。サボってたから知らんでち。」


近衛東「またサボっていたのか、伊168よ。」


ゴーヤ「110でかいでち。」


近衛東「朝礼には必ず参加するように言っているだろう、伊26よ。」


ゴーヤ「こんな薄着で長時間外に居たら風邪ひくでち。あと、32足りないでち。」


近衛東「そうか。ならば水着の指定を変えるように具申しておこう、伊14よ。」


ゴーヤ「感謝するでち。マイクロビキニ指定とか頭おかしいでち。それから、あんな呑兵衛と一緒にするなでち。」


真宵 「・・・なんだこれは。」


加賀 「夫婦漫才よ。」


真宵 「なんだ。既に嫁が居たのか。」


ゴーヤ「嫁の名前を間違える旦那はお断りでち。」


近衛東「懐刀仕様の制服を用意したのだが、着るか?伊58よ。」


ゴーヤ「まったく、ゴーヤの旦那様は素直じゃないでちね。ありがたく受け取るでち。」


真宵 「上官が艦娘と結婚している状態でこの現状か・・・。計画を変える必要があるな。」フム


山城 「どうするつもり?」


真宵 「・・・消すか。」ボソッ


加賀 「程々にしてくださいね。」ハァ


真宵 「程々で命の遣り取りができると思うか?」ニィ


山城 「その顔は姉様に毒です。」サッ


扶桑 「何も見えないわ、山城。」


ゴーヤ「物騒なことになりそうでちな。ゴーヤは退散するでち。」トテトテ


近衛東「待て、ゴーヤ。」


ゴーヤ「なんでちか?」フリカエリ


近衛東「よく、似合っている。」フッ


ゴーヤ「当然でち。なんたってゴーヤは、海軍一身持ちの堅い男の心を射貫いた艦娘なんでちから。」ムフン



小・中の友達ほど温かいものは無い。


真宵 「随分と仲が良いのだな。」


扶桑 「東さんは私達艦娘にとって、唯一の拠所でしたから。」


山城 「はい。彼が居なければ、大本営はとっくに機能を失っていたことでしょう。」


真宵 「ほう。それほどの役割を東は果たしていたのか。」


加賀 「大本営所属の艦娘は皆、彼に救われましたから。」


加賀 「直接的な救いの手を差し伸べることはないけれど、確かな心の支えをくれる。」


山城 「そんな彼が大好きで・・・。」


加賀 「スクラップにされたいのかしら。」グググ


山城 「いやぁぁぁぁ!めりこんでる!指がめりこんでる!」ジタジタ


真宵 「なんだ。俺はふられたのか?」


扶桑 「大丈夫ですよ。真宵ちゃんには私がついてますから。」ギュッ


真宵 「慰めは無用だぞ。こう見えて人生経験は豊富だからな。」フフン


加賀 「話を勝手に進めないでもらえるかしら。」パッ


山城 「アァ」バタッ


加賀 「何も断るだなんて言っていないでしょう?」ジッ


真宵 「真っ直ぐ、見つめるのだな。」


加賀 「ええ。勘違いしてほしくないもの。」フフ


真宵 「ああ。確かに受け取った。」フッ


山城 「熟年夫婦・・・。」


扶桑 「私の立場が迷子だわ・・・。」ドウシマショウ


ゴーヤ「これからどうするでちか?」


近衛東「仕事の依頼をしにいく。」


ゴーヤ「件の暗殺者に、でちか?」


近衛東「いや。今回は焔の魔神を喚ぶ。」


ゴーヤ「大本営が火の海でち。」ニィ


近衛東「さぁ、行こうか。」


デッチッチ



使いづらいふたり。頑張れ、私。


「Sisters!あの島まで頑張るネー!」


「はい!お姉様!」


「本当に、大丈夫でしょうか・・・。」


「信じましょう。こればかりは、運命の悪戯を祈るしかありません。」


「きっと大丈夫ヨ!陸に上がれば、奴らも追ってこられないネ!」


「深海棲艦にも脚はありますよ?」


「陸上でも活動できますよね・・・。」


「Oh...妹達がネガティブになってるネー。」


「お姉様!囲まれました!」


「What!? いつの間に!」


「嗚呼、このまま沈むのですね・・・。」


「島に辿りつけさえしないなんて・・・。」


「諦めちゃ駄目ヨ!最後の最後まで、足掻いてやるネ!!」


「何処までもお供します!お姉様!!」


「Burning fire!!」ボカーン!


・・・


ゴチャッ ドシャッ


「これで最後か・・・。」フン


「・・・誰?」カサッ


「お前こそ誰だ。俺の島に勝手に入り込みやがって。」オォォ


「ご、ごめんなさい!私は・・・。私は、誰?」


「死にたいようだな。」ガシッ


「本当なんです!色んな記憶が混ざってて、混乱してるんです!」ジタジタ


「暴れるな。余計に痛みが長引くだけだぞ。」グググ


「Noooooo!!」



大本営編。音も無く始まる外伝。


ゴーヤ「デッチストラーイク!」シュバッ


???「」ガシッ メコォ


チュドーン・・・


???「魚雷か・・・。」フン


近衛東「その手を放せ、紅蓮。そいつは大本営所属の艦娘、金剛だ。」


鳳紅蓮「お前の指示は聞かんぞ、東。」


金剛 「あ、頭がぁぁぁ。」ウゴァァ


ゴーヤ「取り敢えず放すでち。金剛は莫迦なだけで、無害な娘でち。」


金剛 「ちょっと!?」


鳳紅蓮「そうか。」パッ


ゴーヤ「ゴーヤの言うことは聞くでちね。どんだけ仲悪いでちか。」


近衛東「昔からだ。紅蓮とは根本が合わん。」


鳳紅蓮「お前の立てる作戦は回りくどいんだよ。正面から突っ込めばいいだろうが。」フン


近衛東「だから、自由にさせているのだろう?」


鳳紅蓮「俺の命令違反さえも予測して利用するところが気に入らねぇんだよ。」


近衛東「安心しろ、今回の仕事は作戦も何も無い。存分に暴れてもらって構わん。」


鳳紅蓮「・・・標的は?」


近衛東「大本営だ。」ニィ


鳳紅蓮「建物ごとぶっ壊すが、いいのか?」


近衛東「後始末は真宵に任せる。」


鳳紅蓮「面白い。」ニタァ


金剛 「・・・あの。」


ゴーヤ「黙るでち。誰の御蔭で命があると思ってるでちか。」


金剛 「」ヒエッ



明日は燃えているか。


金剛 「あの、私の姉妹達は・・・。」


ゴーヤ「比叡、榛名に霧島でちか?反応は・・・あるでちね。」ウーン


金剛 「本当ですか!?よかった。生きてるんだ。」ホッ


鳳紅蓮「何言ってんだ?お前。これで最後だと言っただろうが。」


金剛 「・・・え?」


近衛東「そうだな。時雨と似た気配を感じる。」


鳳紅蓮「お前に同意されるのは腹が立つな。」


近衛東「変えようのない事実だ。致し方あるまい。」フッ


金剛 「あの・・・。いったいどういう・・・。」


ゴーヤ「察しが悪いでちね。」ハァ


ゴーヤ「金剛型姉妹の反応は全て確認しているでち。4人纏めて、ゴーヤの目の前に居るでちよ。」


金剛 「へ?ゴーヤちゃんの前には、私しか・・・。」


ゴーヤ「いつもの金剛喋りはどうしたでち?まるで、榛名が話しているみたいでち。」


金剛 「」アオザメ


鳳紅蓮「魂の融合か。」


近衛東「余程深い絆で結ばれていたのだろう。時雨と茜の姉弟愛も並大抵のものではないからな。」


近衛東「まぁ、あのふたりの場合、融合はしていないらしいが・・・。」


鳳紅蓮「しかし、自然発生的に起こり得ることなのか?」


近衛東「艦娘ならば、ありえないことでもないだろう。だが、4人の魂がというのは・・・。」


鳳紅蓮「依頼はおあずけ・・・だな。」ニィ


近衛東「その割りには嬉しそうだな。」フン


鳳紅蓮「当然だろう?異物共のほうが骨があるからな。」



迷子の迷子の・・・。


ゴーヤ「その、異物?はどうやって見つけるでちか?電探にはそれらしき反応は無いでちよ。」


近衛東「当然だろう?電探で反応を拾うことができるのは艦娘か深海棲艦だけだからな。」フッ


ゴーヤ「その返し・・・。犯人が誰か、もう当たりがついてるでちね?」ニッ


近衛東「それは、どうだろうな・・・。」


鳳紅蓮「おい。まさかアイツじゃねぇだろうな・・・。」ギロッ


近衛東「さぁな。あの娘の行動だけは俺にも予測がつかん。」


???「だらぁぁぁぁ!!・・・あ?」ヒョコッ


金剛 「」ビクゥッ


鳳紅蓮「確定じゃねぇか・・・。」ハァ


近衛東「何年振りか・・・。なぁ、神命。」フッ


神命 「おぉ~。なっつかしい顔だ~。」アハハ


鳳紅蓮「何やってんだよ、こんな所で。」


神命 「何してるって、決まってるでしょ?兄様を探してるの!」ムフン


近衛東「それは何年前からの話だ?」


神命 「えぇ?う~ん・・・。忘れた!」ニパッ


ダロウナ・・・



対面でないこの時代。言葉は適切に選ぼう。


神命 「兄様はいずこ~。」ウロウロ


鳳紅蓮「おい。あんまり動き回るなよ。また迷子になるだろうが。」


金剛 「あの・・・。彼女は、いったい・・・。」


近衛東「あれは、黒霧神命。お前達姉妹の魂を融合させた張本人だ。」


金剛 「・・・え?」


ゴーヤ「こらぁ!兄貴捜しは話をした後にするでち!というか、ゴーヤの旦那に任せればすぐに会えるでちよ!」


神命 「確かにそうだぁ!」パァ


ゴーヤ「さぁ、お話タイムの始まりでち!」ムフン


近衛東「流石はゴーヤだ。仕事が早いな。」


ゴーヤ「当然でち。仕事が早く終われば、休みが長くなるでちからな。」デッチッチ


近衛東「ゴーヤよ。まさか普段から帰還時刻を偽って報告していないだろうな?」ホウ


ゴーヤ「終わったら呼ぶでち~。」ソソクサ


近衛東「逃がすと思うか?」ガシッ


ゴーヤ「くっ。その長い腕からは逃れられないでちか。でも、そんなところも素敵でち!」ニコォ


近衛東「誤魔化されないぞ。」ニッコリ


ゴーヤ「ゴーヤ、一生の不覚でちぃぃぃ!」ウガー



心の闇は表れない。


金剛 「」ブツブツ


鳳紅蓮「おい。さっきから何ぶつぶつ言ってやがる。言いたいことがあるなら、はっきり言え。」


金剛 「姉妹の・・・仇。」スッ


神命 「およ?」


金剛 「主砲、斉射!」ドカーン


チュドーン・・・


ゴーヤ「何事でち!?」


近衛東「金剛・・・。いや、今のは榛名か。」


鳳紅蓮「まぁ、無理もないか。いきなり魂を融合させた張本人だなんて言われりゃ、冷静な判断はできねぇだろ。」


近衛東「ほう。激情家代表のお前からそんな科白が出てくるとはな。」フッ


鳳紅蓮「うるせぇよ。俺だって、色々と考えて動いてんだ。気持ちだけで"懐刀"が務まるかよ。」


ゴーヤ「ふたりとも、神命ちゃんの心配はしないでちね・・・。」


東紅蓮「必要ないだろ。」


ゴーヤ「あっそう・・・。」


・・・


金剛 「」ハァ ハァ


金剛 「やりました、お姉様。仇を・・・討ちました。」ウゥ


神命 「もうお終いなの?」ニコォ


金剛 「」ヒッ


神命 「流石に戦艦の砲撃は痛いね~。折れてはないだろうけど、ひびくらいは入ったかな。」サスサス


金剛 「嘘・・・。確かに、直撃したはず・・・。」タジッ


神命 「ねぇ。」ビキッ


金剛 「」ビクッ


神命 「もっと、遊ぼうよ。」ニタァ


金剛 (頬に、黒い痣が・・・。)ヒゥッ


ゴーヤ「あれ、結構やばくないでち?」


近衛東「ああ。これはかなり・・・。」


鳳紅蓮「やばい状況だな・・・。」ハァ


近衛東「鈍ってないだろうな、紅蓮。」


鳳紅蓮「お前よりはマシだろうぜ、東。」


東紅蓮「リハビリ代わりには丁度いい相手だ。」ザッ



戦闘描写は省略。省略ったら省略!


神命 「アハハハハ!!」


鳳紅蓮「ちょこまかと・・・!」チィ


近衛東「上手く避けろよ、紅蓮!」バッ


海鞠< チュドドーン アブネッ


鳳紅蓮「東、てめぇ!完全に俺を狙ってただろ!」


近衛東「勘違いするな。お前の陰に隠して撃っただけだ。」フン


ゴーヤ(ものは言いようでち・・・。)


神命 「んふふ~。ちょ~と、痛かったかなぁ。」ニィ


鳳紅蓮「直撃であれかよ。だから黒霧の連中を敵に回すのは嫌なんだ。」


近衛東「神命の打たれ強さは茜並みだからな。」


鳳紅蓮「ああ。それに、どうも神命は痛みに快感を得ている嫌いがある。」


近衛東「実戦に於いて、最も厄介な部類だ。そしてそれ以上に・・・。」


神命 「古の大海を支配した者。最も古き海神・オケアノスよ。我が身に宿り、その力を示せ。」オォォ


鳳紅蓮「古の英霊達の魂をその身に卸し、彼らの能力を自在に操る"御霊卸し"。」


近衛東「種族の枠を超えて魂を宿せる神命に、死角は無い。」


鳳紅蓮「海はてめぇの領分だろ、東。なんとかしやがれ。」ニィ


近衛東「ポセイドン亡き後、海を治めてきたのはこの俺だ。」


近衛東「どちらが真の支配者か、白黒はっきりつけようじゃないか。」オォォ


ゴゴゴゴゴ・・・


ゴーヤ「さぁ、ゴーヤ達は避難しておくでちよ~。巻き込まれたら即灰燼と化すでち。」ソソクサ


金剛 「・・・。」



色々飛ばした後・・・。


神命 「楽しかったぁ!!」ボロボロ


鳳紅蓮「そりゃ、よかったな。」ボロッ


近衛東「やはり海の支配者は俺だな。」フフン


神命 「オケアノスでも勝てなかったか~。」アハハ


鳳紅蓮「そりゃそうだろ。お前がはしゃぎすぎて、オケアノスの能力を引き出せてねぇんだからよ。」


近衛東「ああ。さしずめ、"波乗りの狂犬"といったところか。」フッ


神命 「えぇ~。東さんが強すぎるだけでしょ~。」ブー


近衛東「もっと精進することだ。」


神命 「は~い。じゃあ、紅蓮。ちょっと相手して。」


鳳紅蓮「なぁ、神命。前から気になってたんだけどよ。なんで俺だけ呼び捨てなんだ?」


神命 「・・・そうだっけ?」ウン?


鳳紅蓮「自覚なしかよ・・・。」



彼女が抱くイメージ


鳳紅蓮「茜と時雨は?」


神命 「姉様と兄様。」


近衛東「しかし、本当の姉・兄ではないのだろう?」


神命 「大事なのは気持ちだよ!」ムフン


近衛東「そうか・・・。」


鳳紅蓮「次、真宵は?」


神命 「真宵ちゃん。」


近衛東「仮にも真宵は魔族の王だぞ?王を"ちゃん"で呼ぶのか?」


神命 「だって、真宵ちゃん。私より小さいんだもん。」


近衛東「それは仕方がないな。」ウム


ゴーヤ(それでいいでちか!?)


鳳紅蓮「次、パオラ。」


神命 「パルちゃん!」ハイ!


近衛東「俺は?」


神命 「東さん。」


鳳紅蓮「俺は?」


神命 「紅蓮。」


鳳紅蓮「なんでだよ!俺もお前より年上だぞ!」


神命 「いや~。だって、紅蓮に年上の貫禄とか無いし。それに魔族は実力主義だし。」


鳳紅蓮「おい。それは俺が弱いって言いてぇのか?」アァ?


神命 「ん~ん。紅蓮は弱くないよ?"懐刀"に選ばれるくらいだし、私より実力はあると思うけど・・・。」


近衛東「けど・・・なんだ?」


神命 「紅蓮は強いっていうより、しつこいって感じなんだよね~。」


鳳紅蓮「なんだそりゃ!?」


神命 「魔神族の再生能力に任せて猪突猛進に突っ込んで、大怪我してさ。なんか・・・美しくない。」


鳳紅蓮「茜も似たようなもんだろうが!」


神命 「姉様は美人だからいいの!」ムッ


鳳紅蓮「俺もそれなりに美形だろ!」


神命 「私、兄様以外の男に興味ないから。」ゴメンネ


鳳紅蓮「」チーン


近衛東「それを言われてはお終いだな。」フッ


ゴーヤ「取り込み中失礼するでち。そろそろ話を進めるでちよ。ゴーヤ、早く帰ってイチャイチャしたいでち。」


近衛東「・・・。」


神命 「ゴーヤちゃん、だいた~ん。」ヒュー


ゴーヤ「それほどでも、あるでちよ。」ドヤァ


近衛東「ゴーヤ、帰ったら説教だ。」ニコリ


神命 「説教という名の~。」


ゴーヤ「戯れでち~。」


イェーイ!


近衛東「連れてこなければよかったか・・・。」ハァ



情報戦は経験がものを言う。


金剛 「」ユラッ


神命 「およよ?何か御用かな?金剛ちゃん。」ニコッ


金剛 「御用・・・ですって?」ギリッ


金剛 「勿論、ありますよ?愛する姉妹達の仇討ちという用事が!」ジャキッ


神命 「」スッ


ボカーン ガシャッ


金剛 「っ・・・!」


神命 「無駄なことはやめようよ、金剛ちゃん。艦娘の装備で私を殺せないのは、もうわかってるでしょ?」


ゴーヤ「砲塔を手で塞いで戦艦の艤装をぶっ壊したでち・・・。」ハェー


金剛 「化物が・・・。」ギリッ


神命 「聞き飽きたよ・・・。その言葉。」


神命 「貴女の遺言も、それでいいんだね。」ニィ


金剛 「うぁぁぁぁ!!」バッ


神命 「な~んてね。」ニコッ


オット ヒョイッ


金剛 「ヘブッ」ドシャッ


神命 「あらら~。大丈夫?」


鳳紅蓮「神命に遊ばれるとは、相当頭が足りないらしいな。」


ゴーヤ「だから最初に言ったでち。金剛は大がつく莫迦だって。」


金剛 「」グスッ


神命 「およ?」


ウァァァァ! オヨヨヨヨ?


ゴーヤ「流石に虐めすぎたでち?」


近衛東「金剛は姉妹を失ったと思っているのだ。不謹慎が過ぎるぞ。」ポム


ゴーヤ「撫でるでちか?」


近衛東「まさか。」ニコリ


アイアンクロー! ギニャァァァ!!



やることが多すぎるとやる気が失せる。逆もまた然り。


金剛 「」ヒグッ エグッ


神命 「大丈夫?」ソッ


金剛 「触らないでください!」パシッ


神命 「ありゃりゃ。随分と嫌われちゃったな~。」


金剛 「当然です!大切な姉妹を沈めた貴女なんて、大っ嫌いです!」キッ


神命 「ふ~ん。まぁ、それもそうだよね~。」


神命 「私だって、姉様と兄様を同時に亡くしたときは・・・。」


神命 「あれ?意外に冷静だったかも?」オヨ?


鳳紅蓮「そこは取り乱すところじゃねぇのかよ・・・。」オイオイ


神命 「いや~。あのときは私より取り乱してた娘が居たからさ。私がしっかりしなきゃって感じになって。」アハハ


金剛 「・・・どうして、どうして皆さんはそんなに普通なんですか!?私の姉妹が沈められたっていうのに!」


金剛 「まさか・・・。みんな、敵?」アオザメ


近衛東「仮に貴様の推測が中たっていたとして、俺達が貴様を生かしている理由はなんだ?」


金剛 「それは・・・。私には想像もつかないような何か・・・。だと、思います。」ボソボソ


鳳紅蓮「自信はないみてぇだな。」ポム


金剛 「」ヒッ


鳳紅蓮「そう怯えるな。此処にお前の敵は居ねぇよ。」ウリウリ


金剛 「・・・痛いネ。」クスッ


ゴーヤ「おっ。やっと金剛が出てきたでちね。」


金剛 「うん。妹が迷惑を掛けたヨ。申し訳なかったネ。」フカブカ


ゴーヤ「微妙に戻り切れてないでち・・・。」


金剛 「神命さん。教えていただけませんか?私達の最期を・・・。」ジッ


神命 「勿論だよ!」ニコッ


ゴーヤ「今度は霧島でちね。比叡はどうしたでちか?」


金剛 「比叡姉様は寝ています。」キリッ


ゴーヤ「魂だけになってもあいつは変わらんでちね。まぁ、当然といえば当然でちが・・・。」ヤレヤレ



期待を裏切って喜ばれるのは二次元だけ。


近衛東「さて、整理を始めるか。」


金剛 「まず私達を沈めたのは・・・。」


神命 「うん・・・。私だよ。」


東紅蓮「は?」


ゴーヤ「え?」


金剛 「・・・はぁ?」キョトン


神命 「いや~。なんか変な連中に絡まれてさ。本気出したら、巻き込んじゃって・・・。」メソラシ


金剛 「」スクッ


金剛 「殴っても、いいですよね。」ガシッ


東紅蓮「いいと思うぞ。」


神命 「だよね・・・。でも、女の子にグーは駄目だと思うな~。」タラー


金剛 「問答無用。」ブンッ


イタイッ!


ゴーヤ「自業自得でち。」



強制終了の時間です。


神命 「うぅ・・・。こんな顔、兄様に見せられないよぉ。」シクシク


近衛東「それで、せめてもの罪滅ぼしとして魂を融合させたわけか。」


神命 「うん。魂さえ繋ぎ止めておけば、兄様の人体錬成で復活させられると思って・・・。」イジイジ


金剛 「今・・・なんて?」


神命 「だから、魂さえ現世に繋ぎ止めていれば、兄様の能力で復活させることもできる・・・。」


金剛 「Really!?」ガバッ


神命 「う、うん・・・。兄様に会えたら、だけど。」チカイ


金剛 「また、みんなに会える・・・。」ヘタッ


金剛 「うぅ・・・。」グスッ


ゴーヤ「だ~、もうっ!その涙は再会までとっておくでち!」つハンカチ


金剛 「Thank you ネ。」ズビッ


チーン! デチィィィ!!


ゴーヤ「ゴーヤのハンカチ・・・。東からのプレゼントが・・・。」ガクッ


近衛東「またプレゼントしてやる・・・。」ポム


鳳紅蓮「なんでそんな大事なもん渡したんだよ。」



でもその前に・・・。


神命 「いざ!兄様の許へ!」


近衛東「待て。」ガシッ


神命 「あれ?行かないの?」


近衛東「俺達は、そうだな。金剛に海図を渡しておく。くれぐれも金剛の手を離すなよ。」


神命 「やだな~。私が兄様の居場所に辿りつけないわけ・・・。」


鳳紅蓮「時雨と最後に会ったのは何年前だったか・・・。」


神命 「」ウッ


神命 「わかった。わかりました!金剛ちゃんと手を繋いで行きますぅ~。」ムゥ


近衛東「よろしい。」パッ


神命 「でも、どうしてふたりは来ないの?」


近衛東「これから大本営は忙しくなるからな。」


ゴーヤ「そういえば、それが目的だったでち・・・。」


鳳紅蓮「すっかり忘れてたぜ。」


近衛東「お前ら・・・。」ハァ


神命 「東さんが来られないのはわかるけど、紅蓮は?」


鳳紅蓮「俺は海上を移動できないからな。」


神命 「東さんが抱えて・・・。」


東紅蓮「断る!」


神命 「あ、そう・・・。」


ゴーヤ「相変わらず息ぴったりでち。」



きっともう出番はない。


神命 「じゃあ、行ってきます!」ビシッ


金剛 「行ってくるネ!」ブンブン


イックヨー! オー!


鳳紅蓮「随分と打ち解けたみたいだな。」


近衛東「中身が似ているのだろう。」


ゴーヤ「どっちも阿呆でちからな。」


キコエテルンダケド! ハヤクイケデチ!!


ゴーヤ「まったく、世話が焼けるでち。」ハァ


近衛東「さて、俺達も始めるか。」


鳳紅蓮「此処で仕事があるのは俺だけじゃねぇか。」


近衛東「書類仕事がしたいなら連れていってやろうか?」


鳳紅蓮「現場仕事ばんざーい。」


ゴーヤ「それにしても、こんな離島からどうやって大本営をぶっ壊すでちか?」


鳳紅蓮「ん?そうだな。取り敢えず、地震を起こして・・・。」


近衛東「仕上げは溶岩の噴出による火災だな。」


ゴーヤ「・・・何をとち狂ったこと言ってるでち?」エェ


鳳紅蓮「俺は大地のエネルギーを自在に操れるんだよ。地震に噴火、何でもござれだ。」ヘッ


近衛東「その原因たり得るものがあればの話だがな。」フッ


鳳紅蓮「プレート境界からマグマを引っ張ってくればいけるだろ。」


近衛東「北欧では無能だがな。」フッ


鳳紅蓮「だぁ!もう、うるせぇな!おら、やるぞ!」グッ


近衛東「帰るぞ、ゴーヤ。」クルッ


ゴーヤ「もういいでちか?」トテトテ


近衛東「ああ。もう紅蓮に用はない。」


ゴーヤ「辛辣ぅ~。」



一方その頃・・・。


真宵 「」カキカキ


加賀 「」トポポポ カタッ


扶桑 「」ギュッ


山城 「尊い・・・。」パシャッ


真宵 「扶桑よ。そろそろ首がつらいのだが・・・。」カキカキ


扶桑 「いいんですよ?楽な姿勢をしていただいても。」ウフフ


真宵 「お前の大質量の所為でそれができんのだ。」オシカエサレル


扶桑 「でしたら・・・。」グイッ


スッポリ


扶桑 「これで如何でしょう?」ニッコリ


真宵 「首が固定されて手元が見えんわ!」クワッ


山城 「姉様、目線をこちらに!」カシャシャシャシャ


加賀 「騒がしいですね。」フゥ


真宵 「加賀よ。仕事にならんぞ。どうにかしろ。」


加賀 「私の仕事は終わっていますので・・・。」ズズッ


真宵 「俺にも茶をくれ。」ハァ


加賀 「山城さん、それを真宵さんに。」


山城 「はい。」スッ


真宵 「急須から飲ませる奴があるか!」クワッ


グラグラ・・・


山城 「あっ。」ヨロッ


フワッ


山城 「おお。急須が熱湯ごと浮いて・・・。」


真宵 「貴様、俺でなければ火傷をしていたぞ・・・。」マッタク


山城 「」チッ


真宵 「・・・扶桑が火傷をしていたかも知れんのだぞ?」


山城 「まーちゃんなら、姉様を庇ってくれると信じていましたよ。」ニコリ


真宵 「貴様、俺のことが好きなのか嫌いなのかはっきりしろ。」マーチャン?


山城 「好きなんじゃないですか?」ケッ


真宵 「そうは見えんが・・・。」


扶桑 「私は大好きですよ?」


真宵 「それは訊くまでもなくわかっている。」


扶桑 「はい。」ウフフ


加賀 「」ジッ


真宵 「なんだ?」


加賀 「いえ、別に・・・。」ズズッ


真宵 「愛しているぞ、加賀。」フッ


加賀 「」ゴフッ


加賀 「なんですか、いきなり・・・。///」ケホッ ケホッ


真宵 「別に?」ニィ


ムゥー カガサンダケズルイデス



いつか起こり得るかも知れない世界


加賀 「どうぞ、お茶です。」スッ


真宵 「うむ。」ズズッ


真宵 「美味いな・・・。」フゥ


加賀 「それはどうも。」


扶桑 「次は私が淹れてさしあげますね。」ウフフ


真宵 「そうか。それは楽しみだな。」フッ


山城 「扶桑姉様の淹れたお茶・・・。私も。」ボソッ


ゴポッ


山城 「今、何か音がしたような・・・?」


真宵 「・・・紅蓮か。」カタッ


真宵 「東め。らしくない真似をする・・・。」チッ


真宵 「加賀よ。」


加賀 「まだ何か?」


真宵 「待機中の艦娘を全員執務室に集めろ。大至急だ。」ビシッ


加賀 「了解よ。理由は訊かないほうがいいのかしら?」


真宵 「事が知れたらパニックになりかねん。ボーナスの支給とでも言っておけ。」


加賀 「わかったわ。」タッ


真宵 「扶桑、お前は書類の整理を頼む。特に重要なものを優先して持ち出す用意をしてくれ。」


扶桑 「はい。すぐに。」ウフフ


真宵 「山城も手伝え。」


山城 「ことわ・・・。」


真宵 「つべこべ言わずにやれ。」ギロッ


山城 「・・・らぬ。」ハイ



逆襲の山城


カチャッ キィ・・・


山城 「私達には書類の整理をさせて、自分は夕涼みですか。そうですか。」テキパキ


扶桑 「そんなはずがないでしょ、山城。真宵ちゃんには、きっと何か考えがあるのよ。」ネッ


真宵 「・・・流石に小さいか。」フム


山城 「無視・・・。」


扶桑 「真宵ちゃん・・・?」ウルウル


真宵 「ぶっ壊すか。」グッ


山城 「え?今、なん・・・。」


ドゴーン パラパラ・・・


山城 「ええ・・・。」


加賀 「今、凄い音が・・・。あら、綺麗な夕陽ね。」ガチャッ


真宵 「随分と早かったな。大本営の艦娘は、そこまで金に飢えているのか?」


加賀 「いえ。戦力調整に伴う配属見直しのため、異動を希望する者は願い出なさいと伝えた結果です。」


真宵 「これが、現実か・・・。」トオイメ


扶桑 「私は真宵ちゃんの隣りに異動希望です。」ウフフ


真宵 「秘書艦その弐か。よし、受理しよう。」キリッ


扶桑 「やった。」ルンルン


山城 「私は扶桑姉様の隣りに異動希望です。」


真宵 「それは俺の許可が必要なのか?」


山城 「念のためです。」


真宵 「仕事を手伝うなら許可しよう。」


山城 「ええー。」ブー


真宵 「扶桑の隣りに居るなら、執務室にも入り浸るのだろう?ならば手伝え。」


山城 「ふ~ん。」ニヤッ


山城 「いいのかなぁ~。私にそんなこと言っちゃって。」ジリッ


真宵 「・・・なんだ?」チカイ


山城 「まーちゃんが私の下着を覗き見たこと、みんなが知ったらどう思うかなぁ?」ボソッ


真宵 「おい。記憶に齟齬があるぞ。」ノゾキミタ?


山城 「此処に居る艦娘は、大なり小なり男性に対して不信感を抱いてる。」


山城 「まーちゃんがセクハラ魔だなんて知れたら、み~んな離れていく。扶桑姉様は勿論、加賀だって・・・。」ウフフ


真宵 「貴様・・・。」


山城 「そうすれば、まーちゃんは私とふたりきり・・・。」


山城 「誰も、私を止められない。」ニタァ


真宵 「そうか。そんなに一番で飛びたいか。」ガシッ


山城 「へ?」


真宵 「海までの片道特急だ!着水姿勢には気をつけろ!下手すると首が折れるからなぁ!!」グイッ


山城 「いや。ちょっ。私、泳げないっ!?」グンッ


ウラァ! イヤァァァ!!


真宵 「仕事をしたくないからと下手な芝居を・・・。」フン


真宵 「よし、つぎぃ!」バッ


加賀 「扶桑さんが。」サッ


扶桑 「ええ!?」


真宵 「加賀だな。」ガシッ


加賀 「嫌です。無理です。高い所駄目なんです。勘弁してください。」ガタガタ


真宵 「そうか。」チラッ


扶桑 「」フルフル


真宵 「・・・取り敢えず、その他大勢を先に片付けるか。」フム


ヒドイ! ポイー ナットクイカナイワ!


真宵 「つべこべ言わずにさっさと並べ。山城が溺死するだろうが。」オォォ


エェ ジブンガナゲタノニ・・・ リフジンダワ ポイ


山城 (嗚呼、海の中から見る水面もいいものね・・・。)ゴボゴボ



山城の着地点


ザパッ


山城 「」グッタリ


真宵 「・・・。」ジトッ


山城 「」ンー


真宵 「なんだ、その唇は・・・?」


山城 「人工呼吸待ちです。」チラッ


真宵 「もう一回、沈んどくか?」


山城 「・・・もういいです。」ムスッ


真宵 「貴様、豹変が過ぎるのではないか?姉様ラブの山城は何処へ行ったのだ・・・。」ハァ


山城 「いいじゃないですか・・・。別に、どうだって。」フンッ


真宵 「俺との距離を縮めたら、扶桑が嫉妬して私を見てくれる。」ボソッ


山城 「」ギクッ


真宵 「・・・違うか?」フッ


山城 「///」カァァ


真宵 「お前も存外、可愛いものだな。」


山城 「う、五月蠅い!・・・もう。///」イジイジ


クッハハハ ワラウナ!


扶桑 「まったく。私の妹は素直じゃないですね。」フフッ


加賀 「・・・。」


扶桑 「あの。大丈夫ですか?」


加賀 「海は、まだですか・・・?」フルフル


扶桑 「いい加減、目を開けましょう?」モウ ウミノウエデスヨ?



汚物は消毒だぁ!!


ポイ~


???「大本営、燃えちゃってるね~。」ホケー


???「私の部屋がぁ~。」ウゥ


???「燃えて困るようなものなんて持ってないじゃない。」


???「そだね。」ケロリ


ナンデスカ コレハ!?


???「・・・誰だっけ?」


???「大佐さんだよ。ほら、夜中にこっそり・・・。」


???「あぁ、あの人ね・・・。」


大佐 「閣下!なんですか!これは!」


真宵 「あぁ?見てわからんか?火事だ。」


大佐 「それは見ればわかります!原因は?反乱ですか!?」


真宵 「なんだ。反乱を起こされるような心当たりでもあるのか?」ジロッ


大佐 「いえ・・・。そのようなことは・・・。」タジッ


山城 「貴方、確か加賀さんにちょっかいを掛けてた・・・。」


真宵 「あ?」ビキッ


大佐 「な、何を莫迦なことを・・・。」


加賀 「忘れたとは言わせませんよ。」コソッ


大佐 「なんですか。閣下の後ろに隠れて・・・。言いたいことがあるなら、ちゃんと向き合って言いなさいな!」カッ


加賀 「」ビクッ


真宵 「加賀よ。こいつに弄ばれたのか?」


加賀 「・・・。」コクッ


真宵 「・・・そうか。」フゥ


大佐 「閣下?まさか、艦娘の戯言を真に受けておられるわけではないですよね。」


大佐 「創られた兵器と、血の通った人間。どちらが信用に足るか。言葉にするまでもないでしょう。」ククッ


加賀 「」ギリッ


真宵 「・・・俺は常々思うのだ。」


大佐 「はい。」


真宵 「人間ほど、信用という言葉が似合う生物はいない・・・。」


大佐 「ええ、そうでしょう。」フフ


真宵 「他人を信用していないからこそ、信用という言葉で己を飾る愚かしい生物だとな。」オォォ


大佐 「閣下?何を・・・。」タジッ


真宵 「目障りだ、人間。」スッ


大佐 「」ヒッ


真宵 「知っているか?ブラックホールとは、出口の無い超重力の空間らしいぞ。」ニタァ


ズズズ・・・


大佐 「かっ、身体が!吸い込まれる!」


ウギャァァァァァ!!


真宵 「魂ごと潰れろ、下衆が。」フン



感情の変遷を捉えるのは難しい。


加賀 「真宵さん・・・。」キュッ


真宵 「どうした?服の裾など掴みおって・・・。随分としおらしいではないか。」クハハ


加賀 「何とでも仰ってください。今は、甘えたい気分なんです。」ダキッ


真宵 「・・・そうか。///」スッ


山城 「照れてる。」ノゾキコミ


真宵 「照れてなどおらん。」プイッ


山城 「照れてるぅ。」ニヤッ


テレテナイ テレテルゥ~


加賀 「」ウフフ


扶桑 「」ムー


扶桑 「いつもいつも・・・。加賀さんばかり狡いですぅ!」バッ


ワタシモマゼテェ! ムグッ


真宵 「扶桑よ・・・。幼児退行してはいないか?」


扶桑 「私も甘えたい気分なんです!」ギュウ


山城 「」ジー


真宵 「俺の身体は許容限界だぞ。胸も背中もいっぱいだ。」


山城 「顔が空いてますよ?」スッ


チュッ


山城 「此処が私の定位置です。」フフッ


扶加賀「なぁっ!?」


ナニシテルノ! クチヅケデスガ? アナタ・・・


???「ラブラブっぽい~。」


???「あの3人が心を開くなんて・・・。」ヤルジャナイ


真宵 「さて、これからどうするか・・・。」ハァ


真宵 「うちの連中に恋愛相談は・・・無理だな。」



地下にあるのがマグマで、地表に噴き出たものが溶岩。


近衛東「これは、少し見ない間に随分と進展したようだな。」フッ


真宵 「東か。もう少しゆっくりしてきてもよかったのだぞ?どうせ暫くは仕事にならん。」


ゴーヤ「それは、女共が俺を取り合っていて仕事にならんという自慢でちか?」ハッ


真宵 「・・・。」


ギャア ギャア


ゴーヤ「え?マジ・・・?」


真宵 「想定外の事態だ。」トオイメ


ゴーヤ「意外にモテるでちね~、元帥殿。」ウリウリ


真宵 「こういうのは時雨の役割なのだがな・・・。」ハァ


ゴーヤ「えっと。そこまで落ち込むことないでちよ。きっと、なんとかなるでち。」アセアセ


真宵 「何処で間違えた・・・。」ズーン


ゴーヤ「これは重症でち。」


近衛東「誰かひとりを選べないなら、纏めて娶ってしまえばいいだろうに。」


ゴーヤ「え?」


真宵 「まさか、お前の口からそんな言葉が出るとはな。嫌いなのではなかったか?そういう選択は。」


近衛東「俺が嫌悪するのは誠意のない愛だ。真宵には3人を同時に愛するくらいの甲斐性はあるだろう?」


近衛東「俺達魔族を統べる、魔王なのだからな。」フッ


ゴーヤ(なんだ。吃驚した。浮気の公言かと思った・・・。)ホッ


真宵 「魔王ならば、嫁の2人や3人・・・か。」フム


真宵 「魔王とは・・・なんだ?」


近衛東「その答えを見つけるのは、魔王である真宵の役目だろう?」


真宵 「そうだな。取り敢えず今は、大本営の再建計画でも練っておくか。」


ゴーヤ「あっ。その会議、ゴーヤも参加するでち。」ズイッ


真宵 「何か要望でもあるのか?」


ゴーヤ「前々から部屋割りに不満があったでち。艦種毎にきっちり分けられて、任務の時間が被るからひとりの時間がなかったでち。」


ゴーヤ「大本営所属の艦娘の交友関係を知り尽くしたゴーヤが、完璧な部屋割りを考えてやるでち。」ムフン


真宵 「そうか。ならば、部屋割りはゴーヤに任せよう。」


ゴーヤ「よっし!」デチッ


真宵 「その他諸々は全てお前に任せるぞ、東。」


近衛東「承知した。」


ゴーヤ「あれ?元帥閣下は何するでち?」


真宵 「俺は現場に出る。」キリッ


ゴーヤ「は?」アゼン


近衛東「そういう御方だ。慣れろ。」フフッ


アシタカラホンキダース! オー!!



私の記憶が正しければ8日目。


ナンジャコリャァァァ!!


レ級 「てめっ!蓮華ぁ!いつの間にこんな写真撮りやがった!」ダンッ


日向ミニ「いつだと?敢えて答えるならば、一晩中だ。」キリッ


レ級 「くそっ!こんなものビリビリに引き裂いて・・・。」グッ


日向ミニ「まだまだあるぞ。」ヒラヒラ


レ級 「燃やし尽くす!」ブンドリ


日向ミニ「当然、動画も保存済みだ。」ムフン


レ級 「メモリー寄越しやがれ!」バッ


日向ミニ「壊しても無駄だぞ?データは基地の端末に送信済みだからな。」ニタァ


レ級 「くそがぁぁぁぁ!!」ウガァァァ


五月雨「朝から元気ですね~。」ポヤポヤ


ヲ級 「ヲ~。まだ眠いの・・・。」フラフラ


五月雨「一緒に寝ますか~?」


ヲ級 「折角だから、お父さんとお母さんの所に行くの。」トテトテ


五月雨「いいですね~。お姉ちゃんも一緒に行ってもいいですか?」


ヲ級 「勿論なの~。」


五月雨「流石に一段落ついてるでしょうし。大丈夫ですよね~。」フラフラ


・・・


集積姫「南方ちゃんも大変ね・・・。」フゥ


黒霧 「どちらかと言うと、僕が南に合わせてるんだけどね。」アハハ


集積姫「愛があれば何回戦だってできちゃうものなの。」ノシッ


黒霧 「精神が肉体を凌駕するってやつだね。」フフ


ガチャッ


ヲ級 「お母さ~ん。」トテトテ


五月雨「愛しい娘達がって、なんですか?この甘い匂いは。」クンクン


黒夫婦「」ビクゥ


ヲ級 「とうっ!」ボスン


集積姫「もう。今日は来ちゃ駄目だって言ったじゃない。」


ヲ級 「昨日にとっての今日はもう終わったから、大丈夫なの。」ムフー


集積姫「た、確かにそうね・・・。」ナデナデ


ヲ級 「お母さん、どうして裸なの?」ウン?


集積姫「え!?こ、これは、その・・・。寝相が悪くて!」アセアセ


五月雨「若しかして、まだまだこれからでした?」コソコソ


黒霧 「さぁ、どうだろうね。」フフ


五月雨「まったく・・・。はしゃぎすぎですよ、もう。ほら、早く服をってもう着てる。」ナント


黒霧 「こういうとき"原初の霧"は便利だね。」ニコリ


五月雨「能力の無駄遣い・・・。」エェ



酒が入ると口数が減る。そして寝る。


ムクッ ソローリ


三隈 「どちらへ行かれますの、南さん?」ユラッ


南方戦「」チッ


三隈 「まさかとは思いますが、クロさんの許へですの?」


南方戦「ええ。そうだけど?」ナニヨ


三隈 「私、クロさんの居場所を教えていただいていないのですが・・・。」ニコリ


南方戦「・・・わかったわよ。ついてきなさい。」ハァ


三隈 「早起きは三文の得ですの。」ルンルン


蒼龍 (どうしよう・・・。)


大鳳 (完全に出遅れた!)


飛龍 「朝から元気ね~。」モゾモゾ


最上 「」Zzz


龍驤 「最上は相変わらずやな。」ヤレヤレ


蒼龍 「あれ?パルちゃんは?」キョロキョロ


・・・


南方戦「来たわ!」バァン


三隈 「ちょっと。もう少し静かに!」シー


南方戦「旦那がもうひとりの嫁と一夜を共にした後なのよ?ワタシがどれだけヤキモキしてたと思ってるの?」


三隈 「貴女が言い出したことでしょうに・・・。まぁ、気持ちはわかりますの。」


南方戦「だからこれから存分に甘えるの・・・。あら、先客が居るわね。」


三隈 「親子で並んで、微笑ましいですの。」フフ


黒霧 「」Zzz


五月雨「えへへ。」Zzz


ヲ級 「んみゅう。」Zzz


集積姫「」Zzz


南方戦「集積も寝顔は乙女なのに、平時はどうしてああなるのかしら?」マッタク


三隈 「貴女も大概ですの。」


南方戦「そう?」


三隈 「ええ。ところで、何故パオラさんが此処に?」ジトッ


パオラ「あっ。やっぱバレてた?」ヒョコッ


南方戦「寧ろ、どうしてそれで気づかれないと思ったのよ。」


三隈 「カーテンの裏とは、小学生並みですの。」


パオラ「きっついなぁ。」アハハ



誰だ!トランプが56枚だと言ったのは!?


南方戦「」ジッ


三隈 「どうかしまして?じっとクロさんを見つめて。」


南方戦「いや、ちゃんと時雨の寝顔を見たの・・・初めてだなって。」ジィ


黒霧 「」Zzz


パオラ「感想をどうぞ。」つ


南方戦「可愛い。///」キュン


三隈 「当然ですの。」ムフン


南方戦「なんでアンタが誇らしげなのよ。」


三隈 「愛するひとが褒められるのは、嬉しいものでしょう?」フフ


南方戦「そうね。だけど・・・なんかムカつくわ。」イラッ


南方戦「嫁の前でそんなこと言うかしら、普通。」オォォ


三隈 「誰を愛するかは三隈の勝手ですの。貴女にとやかく言われる筋合いはありませんの。」ゴゴゴ


パオラ「時雨が起きちゃうから、他所でやってもらえる?」モゾモゾ


ゴメンナサイ ジャナイワヨ!


南方戦「何をしれっと時雨の隣りに潜り込んでるのよ!」


三隈 「狡いですわ、パオラさん!三隈も!」


パオラ「早い者勝ちよ。」フフン


黒霧茜「喧しいぞ、お前達。静かにせんか。」ギロッ


南方戦「」ゲッ


三隈 「」ビクッ


パオラ「あら。懐かしい顔ね。」ギュッ


黒霧茜「久しいな、パオラ。過剰なスキンシップまで彼奴を真似る必要はないのだぞ?」ハナレロ


パオラ「いいじゃない。減るものでもないんだし。」フフ


黒霧茜「言い訳も同じだな。」フッ


パオラ「所詮は真似事だけどね・・・。」


パオラ「これが逆効果、なんてことはないわよね・・・。」


黒霧茜「らしくないな、パオラ。考えるより先に行動するのがお前だろう?」


パオラ「それは貴女よ、茜。」


黒霧茜「む、そうか?」


パオラ「そうよ。あたしは莫迦じゃないもの。」ニッ


黒霧茜「・・・死にたいか?」オォォ


パオラ「やめてよ。貴女が言うと冗談に聞こえないわ。」


黒霧茜「私は嘘が嫌いだ。」グッ


パオラ「時雨が知ったらなんて言うかしら~。」


黒霧茜「」ピタッ


パオラ「はい。拳を開いて、手はお膝。」ウフフ


黒霧茜「」チッ


南方戦「なるほど。時雨を引き合いに出せばいいのね。」


三隈 「苦手ですのね、茜さんのこと・・・。」



私だぁ!


黒霧茜「ところで、南よ。」


南方戦「」ビクッ


南方戦「・・・何。」


黒霧茜「2人目はつくらんのか?」


南方戦「はぁ!?///」


パオラ「茜ちゃんったら、だいた~ん。」ワーオ


南方戦「急に何を言い出すのよ!///」


黒霧茜「いやな。集積の娘は3人だろう?それに対してお前はひとり。」


黒霧茜「姉妹とはいえ、同じ腹から産まれた者はやはり特別だ。」


黒霧茜「蓮華が寂しい思いをしているのではと、ふと心配になってな。」


南方戦「蓮華なら大丈夫よ。時雨さえ居れば、あの娘は満足だから。」ハァ


黒霧茜「だからこそだ。」


南方戦「・・・大丈夫よ。あの娘も覚悟してる。」


黒霧茜「・・・そうか。」


三隈 「何の話ですの?」


パオラ「いつかは別れのときが来るってこと。」


三隈 「・・・なるほど?」


南方戦「問題は寧ろ集積のほうよ。」チラッ


集積姫「」Zzz


ヲ級 「お母さん・・・。」Zzz


五月雨「うぇへへへ。」Zzz


南方戦「五月雨は大丈夫でしょうけど、ヲーちゃんとレ級はね・・・。」ナンテカオシテルノヨ


南方戦「集積も何しでかすかわからないし・・・。」ハァ


パオラ「そこは、時雨に頑張ってもらわないとね。」


黒霧茜「大変だな。我が弟は。」フッ


パオラ「それが父親になるってことでしょ?」フフッ


三隈 「・・・結局、何の話ですの?」エェ



本当に知らない人は自分が無知であることすら知らない。


南方戦「あらぁ?随分と大胆な格好してるじゃない。ねぇ、集積。」ニタァ


集積姫「うっ。///」


パオラ「あらあら、まぁまぁ。」ニヤニヤ


南方戦「ネグリジェじゃないの~。それも透過率割り増しの。」フフフ


集積姫「何故かこれが用意されてたのよ!私の意志じゃないわ!///」クワッ


三隈 「裸より余程卑猥ですの・・・。///」ウワァ


集積姫「謀ったわねぇ、南方ちゃん。」グヌヌ


南方戦「何のことかしら~?」ニタニタ


集積姫「知ってるんだからね。南方ちゃんがこれを着て時雨ちゃんに・・・。」フフフ


南方戦「なんで知ってるのよ!?///」


集積姫「気を惹こうと迫ったのに、普通にスルーされたことをねぇ!」アハハハハ!


南方戦「いやぁぁぁ!!」


パオラ「時雨はあんまり露骨な誘いには乗らないから。」アハハ


南方戦「まだ結婚する前だったのよ・・・。」クロレキシダワ


三隈 「ですが、今回の件は直接クロさんに抱きなさいと言ったのではないですの。」


南方戦「ストレートな表現と露骨な表現は違うわよ。」


パオラ「時雨には素直にぶつかるが吉よ。」フフ


三隈 「なるほど。勉強になりますわ。」フム


黒霧茜「貴様ら。当人の姉の前で猥談か?」


パオラ「・・・茜ってさ。意外と男女の関係に関しては初心よね。」


黒霧茜「そうか?」


三隈 「ええ。猥談の基準が低すぎますわ。誘惑の仕方を教わっていただけですの。」


深海嫁「え?」


三隈 「なんですの?」


パオラ「いや、男の誘い方は充分に卑猥な内容だと思うわよ?」


三隈 「・・・え?」


最上 「」チラッ


最上 「みっちゃんにはまず、普通の男女のお付き合いから教えないと駄目か・・・。」ハァ



中身が大人でも駄目なのよ。


五月雨「娘が寝てる部屋でそんな話しますかね、普通。」イライラ


五月雨「ヲーちゃんの情操教育に毒です!」プンスコ


ヲ級 「五月雨お姉ちゃん。あれ、なぁに?」ユビサシ


五月雨「あれはね。大人の寝間着だよ~。」ニコニコ


ヲ級 「でも、スケスケなの。風邪ひいちゃうの。」


五月雨「大丈夫ですよ。深海棲艦は風邪をひきませんからね。」フフ


ヲ級 「ヲ?レーちゃんはこの前、風邪で寝こんでたの。」ドウシテナノ


五月雨「莫迦は風邪をひくんです。」シレッ


ヲ級 「なの?」


五月雨「ヲーちゃんはきっと、風邪ひかないですよ。」ナデナデ


ヲ級 「じゃあ、大きくなったらヲーちゃんもあの寝間着を着るの!」ムフー


深海母「駄目よ!?」クワッ


ヲ級 「ヲ?」


五月雨「だから話す場所と内容は選びなさいって・・・言ってないか。」


五月雨「でも、大人なら言わなくてもわかりますよねぇ。」ニコリ


深海母「・・・ごめんなさい。」


ヲ級 「お姉ちゃんはしっかり者なの~。」ニコニコ


五月雨「えへへ~。それほどでも~。」デレデレ


レ級 「そんなしっかり者の五月雨姉には、さっきの発言についてしっかり説明してもらおうか。」ユラァ


五月雨「」ダラダラ


レ級 「俺が、なんだって?」ガシッ


五月雨「蓮華ちゃ~ん。」オタスケ


日向ミニ「仕方ないな。」フッ


日向ミニ「レ級よ。お前は莫迦だ。」


レ級 「言い切ってんじゃねぇよ!」


日向ミニ「ヲ級もそう思うだろう?」チラッ


レ級 「ヲーちゃん?」シンジテルゼ


ヲ級 「・・・。」ニパッ


モウイッソ シズメテクレェェェ! ヨシ マカサレタ ダメデスヨ!



一緒に居るからといって好きな相手とは限らない。


ザザーン


飛龍 「ねぇ。」


龍驤 「なんや。」


飛龍 「なんで私達だけ施設の外に居るのよ。」


龍驤 「決まってるやろ。迷子だからや。」キリッ


飛龍 「部屋で温和しくしておくべきだった。」ハァ


蒼龍 「大鳳~!こっちには見たことない実が生ってるよ~!」


大鳳 「本当ですね!なんでしょうか。この果実は。」ワァ


蒼龍 「食べてみる?」キラン


大鳳 「危なくないですか?」エェ


蒼龍 「大丈夫大丈夫。最悪、入渠すればなんとかなる!なる!」フンフーン♪


大鳳 「そういう問題でしょうか・・・。」


蒼龍 「それじゃあ、いっただきま~す。」アー


飛龍 「ねぇ、知ってる?高速修復材の効果って、肉体の損傷を修復して身体の機能を正常に戻すだけなの。」


蒼龍 「ふぇ?しっふぇるよ?」モグモグ


飛龍 「だから、体内に毒素がある状態で使用すると逆に毒の回りが早くなるのよ。入渠もまた然り。」


蒼龍 「」アオザメ


飛龍 「ご愁傷様。」ガッショウ


蒼龍 「うわぁぁぁん!!まだ死にたくないぃ~!!」ボロボロ


龍驤 「入渠で治せるのは傷だけやって、着任研修で教えたやろうに。」ヤレヤレ


蒼龍 「どうしよう~!飛龍~!」ガシッ


飛龍 「ちょっと。鼻水まみれの状態で抱きつかないでよ。」キタナイナァ


蒼龍 「鼻水じゃないもん!涙だもん!」ヒグッ


飛龍 「あ~はいはい。そ~ですね。取り敢えず離れて。」グイッ


蒼龍 「飛龍が冷たいぃ~!」バァァァ


龍驤 「子供か!ちったぁ落ち着きぃな!」


蒼龍 「だってぇ~。」グスッ


大鳳 「きっと大丈夫ですよ、蒼龍さん。此処には時雨さんも居ますから。」ニコリ


蒼龍 「そうだよね。きっと、大丈夫だよね!」パァ


大鳳 「はい!」


タイホウ! ソウリュウサン! ガシッ


飛龍 「何やってんだか・・・。」ハァ


龍驤 「で、ほんまに大丈夫なんか?」


飛龍 「知らない。」シレッ


龍驤 「おい。」


飛龍 「まぁ、大丈夫なんじゃない?あの果実、丁度子供くらいの高さに生ってるものだけ数が少ないから。」


龍驤 「はぁ~。よう見とるなぁ。クロさんの娘が食べたっちゅうわけか。」ナルホドナ


飛龍 「確証はないし。深海棲艦には無害でも、艦娘にとってどうなのかはわからないけどね。」


龍驤 「飛龍。君、蒼龍のこと嫌いやろ。」


飛龍 「好きではないかな。」


龍驤 「恐ろしい娘やで。ほんま・・・。」ウワァ



何かが起こる2秒前


神命 「兄様はいずこ~。」


金剛 「海図だと、この先に島が在るはずなのですが。」ウーン


神命 「島?綺麗な水平線だよ?」


金剛 「そんなはずは・・・。」ムムム


神命 「ねぇ、金剛ちゃん。」


金剛 「今は霧島です。」キリッ


神命 「霧島ちゃん。インテリ風なだけで実は・・・。」


金剛 「それ以上は言わないでください。」メソラシ


神命 「やっぱり・・・。おそろいだね!」ニパッ


金剛 「・・・はい?」


神命 「いや~。実はビビッと来てたんだよね~。こう、同類の匂いがするって言うか!」ウンウン


金剛 「・・・はぁ。」


神命 「私達、似た者同士だね!」ニコッ


金剛 「そうですか。」


神命 「あれ?なんだか反応が薄いなぁ。」ムー


金剛 「いや。ふたりとも海図が読めないのに、これからどうしようかと・・・。」


神命 「あっ。」


迷子娘「・・・どうしよう。」


・・・


龍驤 「なんや、この反応。」


飛龍 「どったの?」


龍驤 「金剛姉妹の反応がひとつに纏まってんねん。」


飛龍 「・・・どういうこと?」


龍驤 「うちが知るかいな。確かめにいくで。」ザッ


飛龍 「何処までよ。」


龍驤 「水平線の向こう側や。」


飛龍 「探知能力に優れすぎるのも考えようね。」ハァ


龍驤 「でも、ついてくるんやな。」ニッ


飛龍 「蒼龍の面倒見るよりはまし。」


蒼龍 「なんだろう・・・。心が痛い。」オカシイナ


大鳳 「蒼龍さん、しっかり!諦めては駄目ですよ!」


蒼龍 「視界が歪んで・・・。」ウルウル


大鳳 「蒼龍さぁぁぁん!!」


ウアァァァァ!!


飛龍 「さぁ、行くわよ。」


龍驤 「・・・鬼やな。」ナニガアッタンヤ



マイペースを相手にすると疲れる。自分がそうだから。


神命 「か~ぜ~の~。」


金剛 「ふ~く~まま~に~。」


神命 「よ~そろ~。」


金剛 「取り舵、いっぱ~い。」


迷子娘「・・・はぁ。」


神命 「どうしてこうなっちゃったのかなぁ。」


金剛 「知りませんよ。」マッタク


神命 「誰?霧ちゃんじゃないよね?」


金剛 「榛名ですよ。」


神命 「あぁ、私を仕留めようとした・・・。」


金剛 「まだ、やりますか・・・?」ジトッ


神命 「疲れたから嫌だ。というか、榛名ちゃんは海図読めないの?」


金剛 「読めますよ?」


神命 「ほんとに!?」キラキラ


金剛 「はい。現地点がわかればの話ですが。」


神命 「だよね~。」アハハ


金剛 「これからどうなることやら・・・。」ハァ


神命 「大丈夫だよ。なんとかなるって。」プカー


金剛 「何を根拠に・・・。」


神命 「私の勘はよく中たるんだよ。」ニッコリ


金剛 「はぁ・・・。」



お察しのとおりです。


金剛 「素朴な疑問なのですけど、どうやって浮いてるんです?」ギソウモナシニ


神命 「え?オケアノスの能力を借りてるだけだよ。」プカプカ


金剛 「さらっと凄いことを言いますね。」


神命 「いやいや~。オケちゃんは気性が荒いから抑え込むのが大変でさ~。」アハハ


金剛 「だったら別の魂を卸せばいいでしょうに。」


神命 「あ、そっか。」ポン


金剛 「若しかしなくても莫迦ですね?貴女。」サゲスムメ


神命 「酷いなぁ。これでも榛名ちゃんより年上なんだよ~?」ムー


金剛 「無駄に歳食った人ほど尊敬できない人はいませんよ。」ハッ


神命 「反論できな~い。」アハハ


金剛 「ミコトなんて素晴らしい名を貰っていながら、親に申し訳ないと思わないのですか?」ジトッ


神命 「しかも神の命と書いてミコトだからね。」ニヒヒ


金剛 「尚更ですよ。」ハァ


神命 「でも、そんなこと言われてもねぇ。親が誰かなんて知らないし。」プカプカ


金剛 「・・・すみません。余計なことを訊きました。」


神命 「いいのいいの。私には兄様と姉様がいるからさ。」ケタケタ


金剛 「お兄様にお姉様ですか。どんな方なのですか?」


神命 「聞きたい?」ニヤニヤ


金剛 「暇ですからね。」


神命 「やった!途中で止めるとかなしだからね!」ムフー


金剛 「姉妹を語ると榛名も長いですよ?」フフ



今まで触れてこなかった領域


神命 「兄様と姉様はねぇ。身長が170cmくらいで、私と同じ白い髪に紅い・・・。」ペラペラ


金剛 「外見は結構です。実際に会えばわかるので。」


神命 「あ、そう?」


金剛 「はい。内面を中心にお願いします。」


神命 「内面か~。姉様は単純だから説明しやすいけど、兄様はね~。」ウーン


金剛 「気難しい方なんですか?」


神命 「正直、何考えてるのかわからないんだよね。」


金剛 「妹を自称する貴女でも、ですか?」


神命 「もう。あんまり虐めないでよ。」ムゥ


金剛 「すみません。つい・・・。」ウフフ


神命 「姉様が考えるより先に行動しちゃうタイプの人だからさ。昔から兄様は一歩引いて、周りをよく見てたんだよね。」


神命 「だからなのかなぁ。周囲の状況が見えすぎるんだよ、兄様は・・・。」


金剛 「思考が1歩も2歩も先に行ってしまっているわけですか。」ナルホド


神命 「随分と察しが良いね、榛名ちゃん。」


金剛 「私の姉妹には、思考が吹っ飛んでいる人がいますから。」フフ


神命 「そっか・・・。もうすぐ、会えるね。」


金剛 「はい。若し、そうでないなら・・・。」


神命 「なら?」


金剛 「榛名は少し、大丈夫じゃないかもです。」ニコリ


神命 「はは・・・。助けて兄様。」タラー



また劇場が烏賊臭くなるってさ。


龍驤 「・・・遠い。」イライラ


飛龍 「龍驤の優秀すぎる探知能力が悪い。」


龍驤 「うちの探知能力は因子の恩恵やで?クロさんを悪く言うんは赦さへんからな。」ギロッ


飛龍 「何もそこまで言ってないでしょうが。恋愛感情も無いくせして面倒な返しをしないで。」フン


龍驤 「冷めきってるなぁ。君、ほんまに艦娘か?」


飛龍 「艦娘だよ。血の代わりに油が全身を巡る・・・ね。」


龍驤 「身体が何で出来とるかなんて関係ないやろ。気にしすぎや。」


飛龍 「機械に心が籠もるとでも?」


龍驤 「確かに、機械に心は無い。けどな、それは魂が無いからや。うちらにはある魂がな。」


龍驤 「建造組の蒼龍が恋をしたのも、うちがクロさんを敬愛するのも、全ては魂がもたらした心あってのことや。」


龍驤 「なぁ、飛龍。艦娘に心が無いとしたら、プログラムされた感情しか抱けないのやとしたら・・・。」


飛龍 「何故、私は今悩んでいるのか・・・でしょ?」


龍驤 「わかってるやないか。」フッ


飛龍 「わからないよ。」


飛龍 「ねぇ、龍驤。飛龍って、何なの?」


龍驤 「決まってるやろ。嘗ての大戦で沈んだ歴戦の空母や。」


飛龍 「だったら、今此処に居る私は?この飛龍は・・・何?」


龍驤 「だー!!もう!そんなこと、うちが知るかいな!うじうじしとらんと前を向かんか!」クワッ


飛龍 「へーい。」


龍驤 「・・・飛龍。」ジッ


飛龍 「何?」


龍驤 「蒼龍への当たりが強かったのは、悩みとは無縁なあの娘が羨ましかったからとちゃうやろなぁ。」


飛龍 「」フイッ


龍驤 「そうか。これは説教が必要やなぁ。」ニィ


飛龍 「」チッ


龍驤 「今回の説教はちょっち長くなるでぇ?」フフフ


飛龍 「ペドフィリアに狙われろ。」ボソッ


龍驤 「せめてロリって言え!」



見知った背中 振り向けば はじめましてと 頭を下げる


セメテロリッテイエ!


神命 「どんな会話をすればそんな返しが・・・。」キキミミ


金剛 「どうかしたノ?」


神命 「遠くに誰か・・・。艦娘かな?居るみたいだよ。」


金剛 「Really!?」ズイッ


神命 「うん。セイレーンは音に敏感だから、間違いないよ。」ダカラチカイ


金剛 「よかったぁ。これで姉妹達と・・・。」フフ


神命 「さぁ!行くよ、金剛ちゃん!音のなるほうへ!」ビシッ


金剛 「金剛姉妹の夜明けは近いネー!!」


神命 「あっ。手綱はしっかり握っててね。私、変な方向に行っちゃうかも知れないから。」


金剛 「了解ネ。」ギュッ


神命 「セイレーン号、発進!」


金剛 「Let's go!!」オー


・・・


龍驤 「そもそも飛龍はやなぁ・・・。」クドクド


飛龍 「」セイザチウ


神命 「サプラーイズ!!」バシャッ


龍驤 「ひやぁぁぁ!!」ビクゥ


飛龍 「」プフッ


龍驤 「なんや、いきなり!吃驚してもうたやないか!」ドキドキ


神命 「あはは~。ごめんごめん。お約束でしょ?こういうの。」ニシシ


飛龍 「貴女、下半身が・・・。」ジー


神命 「ん?あぁ、これ?人魚みたいでしょ~。」ムフフー


飛龍 「いや、みたいというかまんま・・・。」エェ


神命 「でも違うんだな~。今の私は、セイレーンなのさ!」フフン


龍驤 「セイレーンやと?何を莫迦なって、その髪・・・。」


龍驤 「ひょっとして、クロさんの妹か?」


神命 「兄様を知ってるの!?」ガバッ


龍驤 「し、知っとる。知っとるから、ちょっち離れてくれへんか・・・?」イタイ


神命 「あ、ごめん。」パッ


龍驤 (なんちゅう握力や。これはクロさんやのうて、茜さんタイプの娘やな。)


神命 「金剛ちゃ~ん!兄様のこと知ってるって~!」ブンブン


金剛 「OK!すぐそっちに行くネー!」シュバァァァ


飛龍 「高速戦艦て、あんなに早く動けたっけ・・・。」


龍驤 「さぁな。うちみたいにどっか弄られてるのと違うか?それより、さっき嗤ったやろ。」


飛龍 「さぁて、何のことかな~。」フイッ


コッチミンカイ ヤーヨ



そこまで純粋にはなれない現実。


蒼龍 「どうしたんだろう、飛龍。」ポツーン


大鳳 「普段から飄々とした方ではありましたけど、冷たい態度を取るような方ではないですからね。」ポツーン


蒼龍 「私、何かしちゃったのかなぁ。」


大鳳 「どうでしょうか。私もずっと一緒に居ましたけど、特段飛龍さんの機嫌を損ねるようなことはなかったかと。」


蒼龍 「だよね~。」ウーン


大鳳 「多分ですけど、悩み事でもあったのではないでしょうか。」


蒼龍 「飛龍の悩みかぁ・・・。なんだと思う?」


大鳳 「それは蒼龍さんのほうがわかるのでは?」


蒼龍 「だよね~。」


ウーン


パオラ「何してるのよ、あんた達。」


蒼龍 「パルちゃん、おはよ・・・。」ピシッ


大鳳 「おはようございます、ていと・・・。」ピシッ


パオラ「何よ?」


蒼龍 「う、うしっ、後ろに。」フルフル


大鳳 「し、しぐっ、時雨さんが。」フルフル


黒霧 「僕がどうかした?」


大蒼龍「」チーン


パオラ「不意打ちとはいえ、顔を合わせただけで気絶か。初心にも程があるわ。」ハァ


黒霧 「部屋まで運ぼうか。」ソッ


パオラ「待った。どうやって運ぶ気?」


黒霧 「ふたりだからね。小脇に抱えて、かな。」ヨイショ


パオラ「荷物じゃないんだから。」ヤメナサイ



気になるからこそ気にしない。


黒霧 「運び方・・・。」フム


パオラ「」ピコーン


パオラ「いいこと思いついちゃった。」ニヤッ


チョットミミカシテ エ? イヤダ イイカラ・・・


蒼龍 「んん・・・。」パチクリ


黒霧 「目が覚めた?」フフ


蒼龍 「・・・え?」


黒霧 「僕の膝はどうかな?」ナデナデ


蒼龍 「え、えと・・・。その、気持ちいい・・・です。///」カァ


蒼龍 (なんで膝枕されてるの、私ぃ~!!)グルグル


パオラ「あら。いいわね、蒼龍。羨ましいわ~。」ニマニマ


蒼龍 (パルちゃんの仕業かっ!でも、ナイス!)グッ


パオラ「あんた、不意に出会した程度で気絶するのに、これは大丈夫なのね。」ペシペシ


蒼龍 「わっぷ。ちょっと。おでこ叩かないでよ~。」ムゥ


蒼龍 「それより、パルちゃん?顔が近いよ。」ムスッ


パオラ「あすなろ抱きしてるんだから、仕方ないでしょ?」ピトッ


黒霧 「そもそも抱きつく理由がないと思うけどね。」


パオラ「気にしない気にしない。」ギュッ


蒼龍 「なんだろ。膝枕されて嬉しいはずなのに、悔しさが込み上げてくる。」ムー


パオラ「その御蔭で気絶しないで済んでるのよ。感謝しなさい。」フフン


蒼龍 「そうだけどさ~。なんか、釈然としない。」


パオラ「釈然なんて難しい言葉を知ってるのね。偉いわ、蒼龍。」ナデナデ


蒼龍 「えへへ~。でしょ~?」テレテレ


蒼龍 「じゃない!また莫迦にしてる!」プンスコ


パオラ「莫迦な娘は可愛いものよ。」


蒼龍 「なら、いっか!」ニパッ


パオラ「ペット的な意味でね。」


蒼龍 「駄目じゃん!」


黒霧 「ちょっと音量抑え目でお願い。」


蒼龍 「あ、ごめんなさい。」シュン


パオラ「時雨は耳が良いから。ごめんなさいね。調子に乗ったわ。」



現在迷走中


パオラ「暗殺者は大変よね。夜の活動に特化してるから、昼間は生きにくいったら。」


蒼龍 「まるで自分のことみたいに・・・。」ムスッ


パオラ「姉の特権よ。血は繋がってないけど、心の繋がりは本当の姉弟以上なんだから。」


蒼龍 「パルちゃんが言っても説得力ないよ。」


パオラ「時雨、言っておやりなさい。」


黒霧 「流石に姉さん以上ではないかな。」


蒼龍 「だってさ。」ニマニマ


パオラ「くっそ。時雨が茜ラブだってこと忘れてた。」チィ


蒼龍 「そもそも、なんでパルちゃんが姉代わりなのさ。」


パオラ「あたし以外に適任者が居なかったからよ。」


蒼龍 「つまり、消去法で選ばれたってこと?」


パオラ「嫌な言い方してくれるじゃないの。」ピキッ


蒼龍 「ふふん。時雨さんが一緒に居るから怖くないもんね~。」


パオラ「泊地に帰ったら憶えてなさい。」ウフフ


蒼龍 「時雨さん!パルちゃんに虐められる!」タスケテ!


黒霧 「そのときは僕がパオラにお仕置をしようか。」フフ


パオラ「24時間耐久殺気我慢は嫌よ・・・。あれ、トラウマなんだから。」フルフル


黒霧 「始めてすぐに失禁しちゃったからね。」


パオラ「ちょっ!///」


蒼龍 「へぇ。そうなんだ~。いいこと聞いちゃった。」ニヤニヤ


パオラ「あたしの立場が~。」ウゥ



何事もスタートに立たなければ始まらない。


蒼龍 「時雨さん時雨さん!パルちゃんの恥ずかしい話、もっと聴かせて!」ウキウキ


黒霧 「そうだね。他には何が・・・。」ウーン


パオラ「はい、そこまで!」ンッ


黒霧 「」ン


・・・プハァ


蒼龍 「パ、パルちゃん?今、何を・・・。///」ハワワ


パオラ「これでチャラにしてあげるわよ。」フン


パオラ「まったく。折角恋路の手助けをしてあげようと思ったのに・・・。」ブツブツ


黒霧 「柄にもないことをしようとするからだよ。」


パオラ「いいじゃない!ちょっと頑張ってみたって!」ナニヨ


黒霧 「はいはい。よく頑張ったね。」ナデナデ


パオラ「・・・今回はそれで誤魔化されてあげるわ。」フフッ


蒼龍 「パルちゃん、嬉しそう。」イイナァ


パオラ「恋愛の基本は好意を隠さないことよ。まずはそういう対象で見てるってこと、気づいてもらわないとね。」ワカッタカシラ


蒼龍 「そっか。じゃあ、時雨さん!私も、私も撫でてほしい・・・です。///」カァ


黒霧 「うん。いいよ。」ナデナデ


蒼龍 「あっ・・・。えへへ。///」ニヨニヨ


パオラ「あたしも撫でてあげるわ。」ウフフ


蒼龍 (・・・なんだか、本当に姉弟みたいだなぁ。時雨さんとパルちゃんって。)


蒼龍 (駄目なお姉ちゃんとしっかり者の弟、みたいな?)エヘヘ


パオラ「蒼龍、何か失礼なこと考えてないかしら?」ニコー


蒼龍 「な、なんのことかなー。」メソラシ


パオラ「そういえば、まだ言ってなかったわね。」


蒼龍 「な、何を・・・?」


パオラ「あたし達妖精族には、思念共有の能力があってね。妖精族同士じゃなくても、近しい間柄の人となら、心で会話できるのよ。」


蒼龍 「つ、つまり?」ダラダラ


パオラ「あんたの心の声、全部だだ漏れだから。」ウフフ


蒼龍 「」ヒッ


黒霧 「いや、嘘だよ?」


蒼龍 「なんだぁ。」ホッ


パオラ「でも、良からぬことは考えてたみたいね。」ジト


蒼龍 「・・・あっ。」



受験の季節ですね~。


蒼龍 「ごめん。パルちゃんのこと、駄目なお姉ちゃんみたいだなって・・・思いました。」ハイ


パオラ「正直でよろしい。」


蒼龍 「でも酷いよ~。嘘吐いてかま掛けるなんてさ~。」ムゥ


パオラ「妖精族に思念共有の能力があるのは本当よ。」


蒼龍 「そういう問題じゃないよ~。」


パオラ「まぁ、いいじゃないの。こうして時雨と普通に会話できるようになったんだし。」


蒼龍 「そうだけどさ~。」


黒霧 「それなんだけど、前にパラオ泊地で会ったときは普通に話せてたよね?」


蒼龍 「言われてみれば、確かに。」アレ?


黒霧 「あの夜以降、避けられてる感じがあったから、やっぱりあれが原因なのかな?」


蒼龍 「それって・・・。///」カァァ


パオラ「あぁ、蒼龍がおも・・・。」ムグッ


蒼龍 「それ以上は言わないで!///」マッカ


パオラ「あふぁしのこふぉはいっふぁふぁないのー。」モゴモゴ


蒼龍 「やっぱり、時雨さんが色々してくれたんですか・・・?///」


黒霧 「いや、僕がやるのは流石にまずいと思って姉さんに代わってもらったよ。」


パオラ「なんだ。茜がやったのね。つまんないの。」


蒼龍 「よかった。見られてなかったんだ。」ハハ


蒼龍 (あれ?でも、若し見られてたら、それを口実にして責任取ってもらうことができたんじゃ・・・。)


蒼龍 「今からでも見てもらっていいですか!?」


黒霧 「・・・え?」


パオラ「何・・・言ってるの?」エェ


蒼龍 「あ、あれ?私、今なんて?ち、違うんです!いや、違くないけど。じゃなくて!とにかく違うんです!」グルグル


黒霧 「落ち着いて。ほら、深呼吸して。」ポム


蒼龍 「あっ・・・。はい。」スー ハー


黒霧 「落ち着いた?」フフ


蒼龍 「はい。もう、大丈夫です。」エヘヘ


パオラ「まったく。吃驚させないでよね。」


蒼龍 「あはは。ごめんごめん。」


パオラ「まぁ、何はともあれ。よく頑張ったわね、蒼龍。」


蒼龍 「えへへ~。」


パオラ「で、次は大鳳の番なんだけど・・・。いつまで寝たふりを続けるつもりなのかしら?」


大鳳 「」ギクッ


パオラ「いい加減。観念したほうが身のためよ~。」ニヤァ


蒼龍 (悪いこと考えてる顔だ・・・。)ウワァ



偶然、悪は裁かれた。


大鳳 (どうしよう・・・。恥ずかしすぎて目が開けられない!///)


大鳳 (でも、このままだとパルちゃんに何をされるか・・・。)


パオラ「ねぇ、大鳳。それだけ顔を紅くしておいて誤魔化せると思ってるの~?」


大鳳 「///」フルフル


パオラ「時雨。大鳳も撫でてやりなさい。何処をとは言わないけど。」ニヤッ


大鳳 「は、破廉恥ですよ!パルちゃん!!///」ガバッ


ゴチッ フグッ


パオラ「ひ、ひたかんらったじゃない。」プルプル


黒霧 「自業自得だよ。」マッタク


大鳳 「おでこが・・・。」ジンジン


黒霧 「大丈夫?」ナデナデ


大鳳 「は、はい。もう治りました。」キラキラ


蒼龍 「いいなぁ。私も、撫でてほしいな~。」チラッ


黒霧 「はいはい。」ナデナデ


蒼龍 「えへへ~。」


パオラ「終わり良ければ全て良し、かしら。」アー イタイ


日向ミニ「これの何処が良しなのか。説明してもらいたいものだな。」オォォ


パオラ「げっ。やば。」


日向ミニ「お話といこうか。なぁ、パルテ・ハオ・ライト。」ニタァ



久々の休みは寝てる間に終わった。


日向ミニ「貴様、叶いもしない夢を見せて楽しいか?」


パオラ「叶うかどうかはやってみなくちゃわからないでしょ。」


日向ミニ「わかるさ。この私が認めんからな。」


パオラ「横暴ね。」


日向ミニ「娘の特権さ。」フフン


パオラ「だったら私は姉として・・・。」


日向ミニ「新たな母を押しつけるのか?」


パオラ「」グヌヌ


日向ミニ「今後、下手なお節介は禁止だ。本人の意志に任せろ。」


パオラ「・・・はい。」


蒼龍 「パルちゃんが負けるなんて・・・。」


大鳳 「飛龍さん以外にも居たんですね。言葉で提督に対抗できる方が。」


黒霧 「蓮華は本当にしっかりしているから。」フフ


日向ミニ「父上、いつものあれだ。」トテトテ


黒霧 「おいで。」アグラ


日向ミニ「うむ。」ポスン


日向ミニ「此処は誰にも譲れんな。」ムフー


蒼龍 「流石にこれ以上。」チラリ


大鳳 「野暮はできないですね。」ウフフ


蒼龍 「帰ろう、パルちゃん。」ニコッ


パオラ「満足したみたいね。でも、大事なことを忘れてるわよ。」


蒼龍 「え?何かあったっけ?」クビカシゲ


大鳳 「あ、飛龍さんが・・・。」


蒼龍 「そうだったぁ!!」


パオラ「このふたり、本当に仲良いのかしら。」


大鳳 「愛想を尽かされたんですよ、きっと。」


蒼龍 「今まで忘れててごめんね~!飛龍~!」


パオラ「飛龍が怒るわけだわ。」ハァ


日向ミニ「まぁ、そうなるな。」



女は度胸 男は愛嬌。これぞ現代の日本。


レ級 「あっ。こんな所に居たのか、父ちゃん。」


ヲ級 「やっと見つけたの!」トテテ


五月雨「蓮華ちゃんも此処に居たんですね。気づいたら居なくなってて、探したんですよ?」モウ


日向ミニ「ふっ。心配は要らんさ。父上在る所に私在りだからな。」キリッ


五月雨「愛が重い・・・。」ウワァ


レ級 「おい。またお前だけ抜け駆けかよ。右膝は俺のだからな。」ズイッ


ヲ級 「ヲーちゃんは左~。」チョコン


五月雨「じゃあ、私は~。て、もう満席じゃないですか。」


日向ミニ「満席ではない。定員オーバーだ。退け、レ級。」ギュウギュウ


レ級 「嫌だね。なんで俺がてめぇに指図されなきゃならねぇんだ。」ハッ


日向ミニ「ほう。いいのか?お前のあられもない寝姿を父上に曝しても。」ニィ


レ級 「くっ。蓮華、てめぇ・・・。」ワナワナ


黒霧 「何の話?」


ヲ級 「蓮華ちゃんがレーちゃんを一晩中盗撮してたの。」


レ級 「ばっ!言うんじゃねぇよ、ヲーちゃん!」


黒霧 「あぁ、確かにレ級の寝相は中々のものだからね。」ソウイエバ


レ級 「・・・は?」


日向ミニ「何故、父上がレ級の寝相を知っているのだ?レ級だけは一緒に寝たことがなかったはずだろう?」


レ級 「そうだぜ、父ちゃん!」


黒霧 「あれ。憶えてない?一回だけ寝ぼけたレ級が僕のベッドに入り込んできたことがあってね。」


レ級 「なっ!///」カァ


黒霧 「普段甘えたい気持ちを抑えている反動かな。抱きついたり、キスしたり、それはもう・・・。」


レ級 「わああああ!!今すぐ忘れろ!父ちゃん!///」ガシッ


黒霧 「折角レ級が素直になった瞬間なんだ。しっかりと心に刻んでおくよ。」ニコリ


レ級 「くぅ・・・。もういっそ沈めてくれぇぇぇ!!」


日向ミニ「よし。ならば父上の胸に沈むがいい。」チチウエ!


黒霧 「任された。」ギュウ


レ級 「はにゃあ!///」


ヲ級 「ヲーちゃんも!ヲーちゃんも!」ピョンコピョンコ


黒霧 「順番にね。」フフ


五月雨「・・・結局、私はどうすれば。」アノー


パオラ「いいこと教えてあげよっか。」ウフフ


五月雨「いやらしいことの間違いじゃないですか?」ヒキッ


パオラ「ねぇ。あんた達親子のあたしに対する信用の無さはなんなの?」キズツクンダケド


五月雨「自分の胸に訊いてください。」



憧れは人それぞれ。


レ級 「///」プシュー


ヲ級 「レーちゃん、まだなの~?」ムゥ


レ級 「俺は覚悟を決めたぜ、ヲーちゃん。今日はもう、此処から離れねぇ。」ヒシッ


ヲ級 「レーちゃんだけ狡いの!ヲーちゃんも!」


黒霧 「ほら、レ級。ヲ級も一緒にね。」


レ級 「・・・わかった。ほら。来いよ、ヲーちゃん。」スッ


ヲ級 「なのっ!」トウッ


ダキッ エヘヘ~


蒼龍 「いいなぁ。」


大鳳 「私も子供が欲しいです。」


蒼龍 「え?」


大鳳 「はい?」


蒼龍 「そっか。大鳳はそういう・・・。」


大鳳 「な、なんですか?私、何かおかしなこと言いましたか?」


ナンデモナイヨ キニナリマス!


五月雨「大鳳さんは母に憧れてるんですね~。」


パオラ「恋人止まりの蒼龍と違ってね。」


五月雨「パオラさんは結婚願望とかないんですか?」


パオラ「結婚ね~。ないわね。あたしの場合、既に結婚してるようなものだから。」


五月雨「それって・・・。」


パオラ「長生きが過ぎるのも考えようだわ。」ハァ


五月雨「蓮華ちゃん、この人をお父さんに近づけては駄目です。」コソコソ


日向ミニ「諦めろ。手遅れだ。」


五月雨「なんてこと・・・。」チキショーメ



私がそう呼ばれるのも、きっと遠くない。


オーイ オーイ


蒼龍 「ねぇ、何か聞こえない?」


大鳳 「そうですね。微かですが、聞こえる気がします。」ウーン


五月雨「あれじゃないですか?」ユビサシ


パオラ「あの紅い服は龍驤ね。」


蒼龍 「飛龍も居る!お~い!飛龍~!」ブンブン


大鳳 「横揺れ・・・。」ジー


・・・


龍驤 「振り返さんでええんか?」


飛龍 「・・・。」


龍驤 「飛龍、自分が勝手に苛ついとっただけやろ。親友を泣かす真似はしなや。」


飛龍 「はぁ。わかってるわよ。」フリフリ


龍驤 「よし。」ウム


・・・


黒霧 「さぁ、龍驤達も帰ってきたし。朝ご飯にしようか。」


レ級 「俺は離れねぇぞ。」ギュッ


ヲ級 「ヲーちゃんもなの。」ヒシッ


黒霧 「ちゃんと掴まってるんだよ。」フフッ


セーノ ヨッ


神命 「サプラーイズ!!」バッ


黒霧 「おや。」グラッ


ドシーン グハァッ


レ級 「平気か?ヲーちゃん。」プルプル


ヲ級 「・・・痛いの。」フルフル


黒霧 「なんて間の悪い・・・。」ハァ


神命 「兄様!」ダキッ


黒霧 「久し振りだね、神命。でも娘達が潰れてるから、一旦離れようか。」ニコリ


神命 「・・・兄様、怒ってる?」


黒霧 「少しだけ。」ニコニコ


神命 「ごめんなさい。」シュン


黒霧 「謝る相手が違うよ?」


神命 「そうだね。えっと・・・。」


レ級 「レ級だ。こっちは妹のヲーちゃん。」


ヲ級 「なの。」


神命 「さっきはごめんね。怪我してない?」


レ級 「このくらいは平気だ。俺達の装甲を舐めてもらっちゃ困るぜ。」ムフン


ヲ級 「なの!」ドヤァ


神命 「よかったぁ。私は兄様の妹、黒霧神命だよ!よろしくねっ!」ニパッ


レ級 「父ちゃんの妹か。てことは、俺達の・・・。」


ヲ級 「叔母さんなの!」


神命 「おばっ!?」ガーン


神命 「嗚呼、私も遂にそう呼ばれる日が来てしまったのね。」ヨヨヨ


黒霧 「神命お姉ちゃんって呼んであげようね。見た目だけは十代だから。」


神命 「酷い!兄様も同じなのに!」


金剛 「・・・私は透明人間。」ポツーン


五月雨「何言ってんですか。」


金剛 「貴女が天使?」


五月雨「本当に何言ってんですか。」エェ



数年会わざれば、兄妹も・・・。


五月雨「神命さ~ん。この人どうにかしてくださ~い。」


金剛 「天に召される前に、どうかお姉様に~。」ヒシッ


五月雨「ええい!放せぇ!」グググ


神命 「おっと。忘れてた。兄様、お願いがあるんだけど。」


黒霧 「・・・。」


神命 「兄様?」


黒霧 「ふたりとも、ちょっと離れて。」


レ級 「え~。どうしてもか?」ジッ


ヲ級 「ヲ~。」ウルウル


黒霧 「埋め合わせはするからさ。」ナデナデ


レ級 「絶対だからな。約束だぞ?」


ヲ級 「なの。」


黒霧 「ああ、約束だ。」ニコリ


神命 「兄様がちゃんとお父さんしてる・・・。」ホエー



期待が大きい分、絶望もまた・・・。


黒霧 「君、こっちを見て。」クイッ


金剛 「はえ?」


黒霧 「」マジマジ


金剛 「綺麗な瞳。でも、髪が白いから死神さんですかぁ?」ホヘェ


五月雨「この人、本当に金剛さんですか?お惚け具合が完全に寝起きの比叡さんなんですが。」


黒霧 「その予想は中たりだと思うよ。」


五月雨「はい?」


黒霧 「神命、魂の融合をしたんだね。」


神命 「うん。ちょっとやりすぎて、巻き込んじゃったから。」イジイジ


五月雨「どういうことですか?」


黒霧 「金剛姉妹の魂をひとつに融合させているのさ。この世に繋ぎ止めるためにね。」


五月雨「そんなことが・・・。凄い方なんですね、神命さんって。」


神命 「えへへ~。」テレテレ


黒霧 「それで、僕にお願いって若しかして、彼女達に肉体を用意してほしいってことかな。」


神命 「・・・うん。お願い、できる?」


金剛 「はっ!妹達との再会ネ!」


五月雨「あっ。金剛さんだ。」


金剛 「お願いネ!妹達ともう一度!もう一度!」ヒシッ


神命 「兄様!私からもお願い!」


黒霧 「ごめん。無理。」


金剛 「・・・え?」


神命 「嘘・・・。兄様の"創造"ならできるはずでしょ!?」


パオラ「神命、忘れたの?原初の霧で創造できるのは、構造を完全に把握しているものだけだってこと。」


黒霧 「初対面で肉体の再生はできないよ。」


神命 「そうだったぁ!!」ズガーン


金剛 「Hey 神命。これはどういうことネ。」ゴゴゴ


神命 「あ、あはは。」タラー


金剛 「1発で済むと思わないことデース。」ボキッ


パオラ「覚悟はい~い?」ガシッ


神命 「やめて!放して、パルちゃん!」ジタジタ


パオラ「命の重み、身を以て知りなさい。」ウフフ


神命 「女の子を殴っちゃ駄目なんだよ!や、やめろぉぉぉ!!」


Fire!! ギニャァァァァ!



身内からの攻撃が一番心にくる。


神命 「厄日だ・・・。」ドヨーン


パオラ「でも、時雨には会えたじゃない。」


神命 「それは嬉しいよ?でも、勝手に結婚しちゃってるし・・・。なんか複雑!」ムスッ


金剛 「ふて腐れたいのはこっちデース。」ユラァ


神命 「誠に申し訳ございませんでした。」ドゲザ


金剛 「また、妹達に会えると思ったのに・・・。」グスッ


神命 「本当に・・・ごめん。」


金剛 「謝って済む問題じゃないネ!」


パオラ「落ち着いて、金剛ちゃん。まだ会えないと決まったわけじゃないから。」


金剛 「え?」


パオラ「貴女、建造組でしょ?だったら、魂の器をまた創ればいいのよ。幸い此処には腕利きの工作艦も居ることだし。」ポン


日向ミニ「手を置くなら撫でろと言っただろう。」


パオラ「はいはい。」ナデリコ


日向ミニ「うむ。母上よりは上手いな。」フフン


金剛 「日向?見ない間にちんちく・・・。」


日向ミニ「誰がミニマムドチビだ!魂ごと解体するぞ、貴様!」クワッ


金剛 「ご、ごめんなさい!」ヒェッ


日向ミニ「まったく。最近の若い者はこれだから・・・。」ブツブツ


金剛 (見た目よりずっと年上なのかな。)ビクビク


五月雨「駄目ですよ、蓮華ちゃん。ボケる相手は選んでください。」モウ


日向ミニ「流石はお姉ちゃんだ。よくわかっている。」フッ


レ級 「ボケだったのか、あれ。」


ヲ級 「違うの。あれは恫喝なの。」


レ級 「おう。難しい言葉を知ってるんだな、ヲーちゃん。」


ヲ級 「レーちゃんにはわからない言葉なの。」ムフン


レ級 「おう。いくら俺でも泣くときは泣くんだぜ?」ウルッ



この方達は再登場するはず。


南方戦「ちょっと、アンタ達。いつまで駄弁ってるつもり?折角の朝ご飯が冷めちゃうじゃない。」


五月雨「すみません、南ちゃん。少し立て込んでまして・・・。」


南方戦「あら、お客さん?珍しいわね。材料足りるかしら。」


パオラ「大丈夫よ。あたし達はもう失礼するから。」


黒霧 「そう?朝ご飯くらい食べていけばいいのに。」


パオラ「社交辞令なのはわかってるわよ。」


黒霧 「だろうね。」フフ


パオラ「まったく。いつからこんな関係になっちゃったのかしら。」


神命 「え?割と最初からこんな感じだったよね?」


黒霧 「もっと酷かったよ。」


パオラ「ちょっとやめてよ。あたしのイメージが崩れちゃうじゃない。」


神命 「よく言うよ。兄様のストーカーだったくせに。」


大蒼龍「は?」ギロッ


飛龍 「うわ~。」ヒキッ


龍驤 「見損なったで、パオラ。」


パオラ「違うわよ?あたしはただ、時雨の戦闘技術を盗もうと観察してただけで、そんな・・・。」


神命 「それでお風呂にまで乱入してくるかなぁ、普通。」ニヒヒ


黒霧 「それは神命も同じでしょ。」


神命 「あっ。そうだった。」


パオラ「同類じゃないの!」


蒼龍 「認めるんだ。」ジトッ


パオラ「え?・・・あっ。」


大鳳 「認めるんですね。」ユラァ


パオラ「いや。これは、違くて。」アセアセ


大鳳 「な・に・が、違うんですか?」ニコォ


パオラ「あ、あはは。」


シュバッ


蒼龍 「逃げたぁ!!」


大鳳 「追いますよ!」バッ


蒼龍 「うん!行くよ、飛龍!」ダッ


飛龍 「え?パラオまで海路で帰るの?莫迦なの?」エェ


龍驤 「どうでもええから、はよ行かんかい。」ゲシッ


飛龍 「痛っ。何も蹴ることないでしょうに。まったく・・・。というか龍驤は来ないの?」


龍驤 「うちは大本営の所属や。」フン


飛龍 「そうだったわね。」


蒼龍 「飛龍~!早く~!」


飛龍 「はいはい。今行きますよ~。」ノロノロ


ヒリュウモットハヤク~! ヤダ ダルイワ ソラヲトブノハハンソクデスヨ!!


龍驤 「挨拶もなしに行きよってからに。」ハァ


黒霧 「まぁ、またすぐに会えるよ。」


龍驤 「そうやな。」ニッ


南方戦「ねぇ。ご飯、出来てるんだけど。」



設定が本編に影響を・・・。あれ?普通のことか。


イタダキマース


南方戦「はい、召し上がれ。」


五月雨「美味しい。これ、全部南ちゃんが作ったんですか?」モグモグ


南方戦「全部ではないけど、アンタが今食べてるのはそうよ。」


五月雨「へぇ~。南ちゃんって、料理できたんですね。」


南方戦「意外?」


五月雨「はい。」ニッコリ


南方戦「ムカつくわ、その笑顔。」イラッ


集積姫「まぁ、否定はできないよね~。」ニヤニヤ


南方戦「いいじゃない。今はできるんだから。」


五月雨「やっぱりできなかったんですね。」ヘッ


集積姫「身体だけの女だったからね。」ヘッ


南方戦「親子で同じ顔してんじゃないわよ。」ハッタオスワヨ?


日向ミニ「ならば、母上。こちらもやり返してやろうではないか。」フフン


南方戦「そうね。集積の欠点は・・・。」


南方戦「・・・思いつかない。」


日向ミニ「まったく。母上には失望したぞ。」ヘッ


南方戦「うるさいわね!アンタまでそっち側に行くんじゃないわよ!」


南方戦「だいたい、何でもそれなりにできる集積が悪いのよ!」ビシッ


日向ミニ「母上、それは流石に苦しいぞ。」ヤレヤレ



比叡イズム


三隈 「クロさん、スープのお味は如何ですの?」


黒霧 「美味しいよ。」フフ


三隈 「そうですの。」パァ


最上 「ほんとのこと言っていいんだよ?」ボソボソ


黒霧 「本当に、美味しいよ。」ホラ


最上 「ほんとかなぁ。」アーン


三隈 (なっ!?)


最上 「ほんとだ。料理なんてしたことないくせに、生意気にも美味しい・・・。」ビックリ


三隈 「最上ぃ。後で説教ですの。」ワナワナ


最上 「え?なんで?」


三隈 「なんでもですの!」フンッ


レ級 「なぁ、これ母ちゃんの味付けだよな。」ズズッ


ヲ級 「ヲーちゃんの大好きな味なの。」コクコク


集積姫「ふたりとも、それ以上は駄目よ~。」シー


五月雨「これ、お母さんの作ったものなんですか?」ズッ


集積姫「そうよ。三隈ちゃんには悪いけど、取り替えさせてもらったわ。」


五月雨「じゃあ、三隈さんが作ったスープは・・・。」


集積姫「キッチンの下に隠したわ。」


南方戦「あんな劇物、アンタ達に飲ませるわけにいかないもの。」


五月雨「これがほんとの飯テロ。」ナンチテ



魂の行方


神命 「」モグモグ


金剛 「」ズズー


神命 (空気が・・・重い。)


金剛 「」カチャカチャ


神命 (私が悪いのはわかってるよ?全面的に私が悪い。でも、でもさ?)グルグル


神命 (ちょっとくらい助けてくれてもいいじゃん!)ウガァ


金剛 「神命。」


神命 「」ビクゥッ


神命 「な、何?」


金剛 「さっきは思い切り殴って Sorry ネ。ちょっと、やりすぎたデース。」


神命 「・・・ううん。そんなことない。あれでも足りないくらいだよ。」


神命 「私は生命を奪うことで生きる糧を得てきたような女だけどさ。」


神命 「家族を失う痛みは知ってるつもりだよ。命の重さもね。私がやったことは、何をしたって贖えることじゃない。」


金剛 「But 神命は私達姉妹に希望を残してくれたデース。また、会えるかも知れないって希望を・・・。」


金剛 「それに、あのとき神命が来なかったら、きっと私は此処に居なかったヨ。深海棲艦に殺られてたネ。」


金剛 「だから、Thank you デース。神命に会えて、よかったネ。」ニコッ


神命 「金剛ちゃん・・・。」ウルッ


コンゴウチャーン! ダキッ


金剛 「Wow!まったく、神命は甘えん坊ネ。」フフ


ウワァァァ ナキスギデース


日向ミニ「さて、始めるか。父上。」スクッ


黒霧 「そうだね。魂の器を用意しないとね。」


集積姫「私も交ぜて~。」ウフフ


日向ミニ「・・・。」


集積姫「そんな嫌そうな顔しないでよ。あんた達に任せたら、また魔改造しちゃうでしょ?」ミハリヨ


黒霧 「それは集積もでしょ?」


集積姫「そうだったかしら?忘れたわ~。」フフッ


五月雨「・・・不安だ!」クワッ



灯台下暗し。だって照らす必要がないのだもの。


龍驤 「姫のねえちゃんも魔改造した前科があるんか?」


南方戦「あるわよ。」


龍驤 「それって、若しかして・・・。」


五月雨「私ですか?」


南方戦「アンタ以外に居ないでしょうが。」


五月雨「ですよね~。でも、私は回避機能を除けば、至って普通だった気が・・・。」アレ?


南方戦「まぁ、気づかないのも無理ないわ。アンタ、基本的に被弾しないから。」


龍驤 「なるほどなぁ。装甲が強化されとるわけか。」


五月雨「言われてみれば、蒼龍さん達の爆撃をくらっても平気でした。」ハッ


龍驤 「それ、もう戦艦並みやで?」エェ


五月雨「だから蓮華ちゃんはやたら私に身体を張らせるんですね。私の装甲強度を調べるために!」クッ


南方戦「いや、それは流石にアンタの考えすぎ・・・。」


五月雨「それもこれも全部、お父さんとお母さんの所為です!このままでは気が収まりません!」ガタッ


五月雨「物申してやるぅ!!」ダッ


南方戦「ちょっと待ちなさい!って、聞こえてないわね。」マッタク


龍驤 「あれも改造の所為か?」


南方戦「まさか。一度自分の中で物事が決まった途端、他人の話を聞かなくなるのは集積の遺伝よ。」


龍驤 「建造組なのに、か?」


南方戦「五月雨の建造素材、知りたい?」ニィ


龍驤 「遠慮しとくわ。なんや五月雨を見る目が変わる気がするからな。」


南方戦「賢明ね。ワタシもそう思って訊いてないわ。」


龍驤 「・・・なんでやねん。」


オトウサーン オカアサーン ダイスキー!!


南方戦「物申すって、そういうことだったのね。」



設定集の文体が決まらない。


レ級 「父ちゃんと母ちゃんは工廠か~。」


ヲ級 「暑い所は苦手なの~。」ムー


レ級 「蓮華も五月雨姉も居ねぇし。どうすっかなぁ。」ヒマダ


ヲ級 「昨日まではこれが日常だったの。」


レ級 「そういやそうだな。父ちゃん達、明日も居るのかな・・・。」


南方戦「何?寂しいの?」ニヤニヤ


レ級 「なんだ。わりぃか?」オウ


南方戦「随分素直になったじゃない。面白くないわね。」チッ


レ級 「うるせぇ。つーか、父ちゃんが居なくて一番寂しいのは南姉だろうが。」ハッ


南方戦「・・・悪い?」


レ級 「別に?いいんじゃねぇの?」


ヲ級 「もうお腹いっぱいなの。」


南方戦「ヲーちゃん。それ、どっちの意味?」


ヲ級 「どっちもなの。お父さんが居るときの南お姉ちゃんは優しい瞳をしてるの。幸せいっぱい、お腹いっぱいなの。」ムフー


南方戦「・・・そんなに違うかしら?///」


レ級 「鏡見てみろよ。別人レベルだぜ?」


南方戦「・・・。」つ手鏡


レ級 「見てろ。恥ずかしさに耐えきれなくなって、あの鏡叩き割るぜ。」ヒソヒソ


南方戦「っ~!!///」ブンッ


ガシャーン


レ級 「な?」ニヤニヤ


ヲ級 「レーちゃんも似たようなものなの。人のこと言えないの。」



培った技能に身体がついていかないこともあるさ。


レ級 「ちょっと運動でもしてくるか。」ヨット


南方戦「アンタも好きね。毎日欠かさず訓練するなんて。本当はあのひとの遺伝子受け継いでるんじゃないの?」


レ級 「俺がそんなこと知るかよ。父ちゃんに近づくためには訓練するしかねぇだろ?」


ヲ級 「ヲーちゃんはお父さんの娘として強く在りたいだけなの。」フフン


龍驤 「ほう。殊勝な心掛けやな。だったら、うちが稽古つけたろか。」


レ級 「お前がか?」エェ


ヲ級 「大丈夫なの?」


龍驤 「なんや。不満か?」


南方戦「この娘達を甘く見ないほうがいいわよ?この基地の航空戦力をたったふたりで担ってきたんだから。」


龍驤 「わぁっとるわ。そんくらい。でも、細かいところは自己流やろ?」


龍驤 「クロさんが艦載機の運用まで教えられるとは思えんしな。」


龍驤 「うちはこれでも歴戦の空母やで?軽やけど・・・。火力では劣っても、技術では負けへんで!」ドヤァ


レ級 「ドヤるのは実力を見せてからにしろよな。」ハッ


ヲ級 「ヲーちゃんについてこられたら認めてあげるの。」フフー


龍驤 「君ら、そんな冷たい感じやったっけ?」


南方戦「大人は背中で語るものよ。頑張りなさい。」



戦闘能力についてはぼかしたままだった。


龍驤 「さて、訓練に入る前に君らの使う艦載機を見せてほしいんやけど・・・。君らはなんで居るねん。」


最上 「ん?見学?」


三隈 「要するに暇ですの。工廠に行こうとしたら日向さんにもの凄い目で睨まれましたの。」クッ


最上 「工廠は日向ちゃんにとって聖域なんだよ。」


龍驤 「まぁ、ええわ。で、レ級はどんな艦載機使うんや?」


レ級 「俺のはこれだぜ。立体機動を得意とした・・・。なんだっけ?」


ヲ級 「ドローン型艦載機なの。」


レ級 「そう!それだ!360°あらゆる方向に移動できる優れものなんだぜ?」ムフン


最上 「へぇ~。じゃあ、ボクとお揃いだね~。」


レ級 「そうなのか?」


最上 「うん。自律型迎撃衛星だったかな?日向ちゃんとクロさんに造ってもらったんだ~。」ニコニコ


レ級 「マジか!?全く同じじゃねぇか!」


ヲ級 「レーちゃんは艦載機を動かすのと自分が動くのを一緒にできないの。お姉さんもそうなの?」ジッ


レ最上「うっ。」グサッ


三隈 「悪意の無い言葉とは、恐ろしいものですわね。」ハァ


龍驤 「レ級は自分の意志で艦載機を操作しとるんと違うんか?なら、修行にならんやないか。」


レ級 「俺にとって艦載機は補助武装なんだよ。仕方ねぇだろ。」


三隈 「ということは、実質この基地の航空戦力はヲ級さんひとり・・・。」


最上 「相当な実力者の予感・・・。」ゴクリ


レ級 「ヲーちゃんは天才だからな。腰抜かすなよ?」ニヒッ


龍驤 「さぁ、見せてもらおうか。深海が艦載機の性能とやらを。」ニィ


ヲ級 「・・・ヲ?」


ナンヤ ガンダムシランノカ? シッテルワケナイジャン ネンレイヲカンガエテクダサイマシ



吼ゆるは砲口 舞うは疾風


ヲ級 「ヲーちゃんの艦載機はこれなの!」ペカー


龍驤 「なんやこれ。小さい剣みたいな形しとるなぁ。」ホー


ヲ級 「お父さんはファンネルだって言ってたの。」


龍驤 「・・・ガンダムやないか。」エェ


最上 「ふーん。噴射口がひとつしか無いんだね。姿勢制御が大変そう。」マジマジ


三隈 「貴女は何処でそんな知識を・・・。」


最上 「ボク達は元航空巡洋艦だよ?みっちゃんも艦載機の"いろは"くらいは知っておいたほうがいいんじゃない?」


三隈 「・・・言い返せませんの。」クッ


レ級 「父ちゃんが言うには、コンピュータで制御しないとまともに飛ばすこともできないらしいぜ。普通は。」


龍驤 「そらそうやろ。このタイプはエンジンの出力調整だけで軌道修正するからな。常人の脳やと情報処理が追っつかんわ。」


レ級 「でも、ヲーちゃんは自分の意志でこいつを何十機も同時に動かすんだぜ。どうだ。すげぇだろ?」ドヤッ


ヲ級 「なの~。」ドヤァ


龍驤 「それも因子の恩恵か?」


ヲ級 「ヲーちゃんの恩恵は"超軟体"なの。どんな隙間でも通り抜けちゃうの。」ムフン


龍驤 「なら、自前の頭で処理しとるわけか。やるやないか。」


レ級 「それなんだけどよ。」


龍驤 「なんや?」


レ級 「妹のヲーちゃんはこんなに出来が良いのに、なんで俺は莫迦なんだ?」


龍驤 「・・・知らんがな。」



三隈の恩恵


龍驤 「さぁ、無駄話はここまでや。ヲ級、その艦載機飛ばしてみぃ。」


ヲ級 「はいなの。」スッ


最上 「おぉ。ヲ級ちゃんの雰囲気が・・・。」


三隈 「空気が変わりましたの。」ゴクリ


ヲ級 「全機、発艦。」カッ


シュンッ ウォォン


龍驤 「なんや、これ・・・。」


最上 「速すぎて、見えない。」ウワァ


三隈 「そうですの?目で追うくらいならできるスピードですの。」


最上 「え?・・・マジ?」


三隈 「こんなことで嘘は吐きませんの。」


レ級 「いやいや。軽く音速超えてんだぜ?俺にだって見えねぇよ。」マジカヨ


ヲ級 「ソニック・ムーブメント。」スッ


ウォォン ビリビリ


龍驤 「衝撃波がっ!」クゥッ


最上 「耳がおかしくなる!」ウゥッ


レ級 「ヲーちゃん。やりすぎだ!!」


三隈 「まだ、見えますの。凄いですわ・・・。これが、三隈の新しい能力。」フフフ


ヲ級 「ヲーちゃんの売りは目にも映らない速さなの!負けないのぉ!!」ムムム


レ級 「これ以上は身体が保たねぇって!砕けるから!身体中の骨が砕け散るからぁ!!」


ヲ級 「オーバー・ソニックなの!!」ウヤァァァ


レ級 「やめろぉぉぉ!!」


ウフフフフフ



空間認知を突き詰めるとこうなる。


ヲ級 「ヲーちゃんは、ヲーちゃんはぁ・・・。」ヒグッ


黒霧 「大丈夫。三隈に捉えられたのは、単純に艦載機の出力が足りないからだよ。ヲ級の所為じゃない。」ヨシヨシ


ウゥ ヒシッ


レ級 「父ちゃんが来てくれて助かったぜ。」フゥ


龍驤 「あのまま衝撃波に曝され続けとったら・・・。」ゾクッ


最上 「あ~。骨が軋む~。」


三隈 「もがみんの骨格は強化されているのではなくて?」


最上 「知ってる?固い地盤ってね。振動に弱いの。」


三隈 「だから貴女は何処でそんな知識を・・・。」


最上 「知りたい?」


三隈 「結構ですの。」フン


ヲ級 「」ジトー


三隈 「な、なんですの・・・?」


ヲ級 「次は絶対に負けないの。」ムゥ


三隈 「ええ、この三隈。いつでも勝負してさしあげますの。」フフン


レ級 「またやんのかよ。」カンベンシテクレ


龍驤 「こっちの身体が保たんわ。」ハァ


ヲ級 「お父さん、艦載機の改造をお願いするの。」


黒霧 「そうだね。フルミラージュにでもしてみようか。」フム


三隈 「それはもう動体視力どうこう以前の話ですの。反則ですの。」エェ


最上 「でも、それだとヲ級ちゃんも艦載機の操作ができないんじゃないの?」


ヲ級 「今の状態でもヲーちゃんには見えてないから大丈夫なの。」


レ級 「え?見えてなかったのか?ヲーちゃんにも?」


ヲ級 「なの。」ムフン


龍驤 「だったら、艦載機はどうやって操作しとるんや?全部、自分で動かしとるんやろ?」


ヲ級 「発艦座標を基に艦載機の速度から座標を特定してるの。数値化された座標空間の中なら、視界零でもへっちゃらなの。」


ヲ級 「だから、ヲーちゃんには艦載機が見えなくても問題にならないの。」ドヤァ


龍驤 「・・・うちの出る幕、無いなぁ。」ハハッ


レ級 「だから言ったろ?大丈夫なのかって。」


レ級 「でも、見えてなかったのか・・・。やっぱ、すげぇな、ヲーちゃん。俺とは違ってよ・・・。」ズーン



お姉ちゃんの威厳


黒霧 「レ級は頭を使うタイプではないでしょ?」ポム


レ級 「父ちゃんまで・・・。いい加減、泣くぞ?」グスッ


黒霧 「そうじゃなくて。レ級は姉さんによく似てるんだよ。」ナデナデ


レ級 「茜の姐さんに?何処がだよ。俺はあんなにかっこよくねぇよ。」


黒霧 「姉さんも、小さい頃はよく泣いてたんだ。」


レ級 「姐さんが?マジか・・・。」


最上 「佐世保の黒白雪にもそんな時代が・・・。」ハェー


レ級 「って、それは俺が泣き虫だってことか?」ムスッ


黒霧 「自覚あったの?」


レ級 「父ちゃんが虐めるぅ!」ブワッ


黒霧 「ごめんごめん。冗談だよ。」アハハ


三隈 「自分の娘にも容赦なしですのね。だから五月雨さんはクロさんをサディストと・・・。」ナットクデスノ


最上 「でも、そんなところが?」


三隈 「好き・・・。って、何を言わせますの!///」モガミン!


最上 「いや~。これは引っ掛かるほうもどうかと思うな~。」


三隈 「乗ってあげただけですの!感謝しますの!」フンッ


龍驤 「喧しい。他所でやりぃな。」チッ


三隈 「」ヒッ


最上 「これはマジなやつだ。」オォゥ


アァ? ゴメンナサーイ


黒霧 「姉さんはね。暗殺者の才能が無くて、劣等生のレッテルを貼られてたんだ。」


黒霧 「双子の弟が天才だ、なんて持て囃される一方でね。」


黒霧 「ほら。今のレ級にそっくりでしょ?」


レ級 「そうだな・・・。ヲーちゃんは優秀だからな。」


黒霧 「だけど、ひとつだけ違うところがある。何かわかるかな?」


レ級 「なんだよ。莫迦な俺にわかるわけねぇだろ?」


黒霧 「拗ねないの。今日は一緒に寝てあげるから。」


レ級 「おう!もう俺に悩みなんてねぇぜ!」キラキラ


黒霧 「それはそれで駄目でしょ。」マッタク


黒霧 「姉さんは自分の得意な分野で一番になろうと努力したんだ。体術って分野でね。まぁ、もうひとつあるけど。」


黒霧 「姉さんは体術でなら誰にも負けなかった。僕も姉さんには一度も勝ったことがない。」


最上 「なんと。佐世保の黒白雪はとんでも吃驚な実力の持ち主だったのです。」ワァオ


三隈 「茶化すのはよしてくださいまし。龍驤さんに睨まれてますの。見なくてもわかるくらいに睨まれてますの。」フルフル


黒霧 「レ級の得意なことは何かな?」フフ


レ級 「俺の、得意なこと・・・。」


ヲ級 「殲滅戦なの。」


レ級 「え?」


ヲ級 「艤装生命体を自在に操るレーちゃんは、一対多数の戦闘が得意なの。」


ヲ級 「たったひとりで何人もの艦娘を薙ぎ倒すレーちゃんはかっこいいの。ヲーちゃんの憧れるお姉ちゃんなの。」ニパッ


レ級 「ヲーちゃん・・・。」ウルウル


ヲーチャァァァン!! ダキッ


ヲ級 「しょうがないお姉ちゃんなの。」ヨシヨシ


黒霧 「威厳も何もあったものじゃないね。本当に、姉さんそっくりだよ。」フフッ


最上 「ボクは聞き逃さなかったよ。今、恐ろしい言葉がさらっと言い放たれたことを。」


三隈 「ええ。三隈もですの。」


龍驤 「ヲ級もレ級もええ娘やけど、やっぱり深海棲艦なんやな・・・。」


ハァ



最近の作品には明確な悪が存在しないものも多いよね。


最上 「ボク達はどっち側なのかな~。」


三隈 「何を言ってますの?三隈達は艦娘ですの。」


最上 「クロさんが深海側だったら、どうする?」ニヤッ


三隈 「そ、それは・・・。」ウッ


最上 「ボクは、深海側につくよ。」


三隈 「へ?もがみん。貴女まさかっ!」


最上 「違うよ。別に、みっちゃんみたいな感情があるわけじゃない。」


三隈 「そうですの・・・。」ホッ


最上 「ボク達はさぁ。何処に行っても、除け者扱いだったよね。」


三隈 「・・・そうですわね。」


最上 「帰る場所も、もう残ってない。」


三隈 「・・・。」


最上 「ボクにとっては、クロさん達が最後の家族なんだ。ボクの帰る場所なんだ。」


最上 「だからボクは何処までもついていくよ。たとえそこが暗い海の底だったとしてもね。」フフッ


三隈 「もがみん・・・。貴女、いつの間にそんな覚悟を・・・。」ハァ


三隈 「いつもそうですわ。何も考えていないようで、誰よりもよく考えている。」


三隈 「自分のこと、三隈のこと、そして進むべき未来のこと。」


三隈 「気づいていましたのよ?もがみんが三隈を修羅の道に叩き落としてくれたこと。」ニコォ


最上 「あはは~。なんのことかな~。」タラー


三隈 「感謝してますわ。」フッ


最上 「」ホッ


三隈 「三隈も覚悟を決めましたの。何処までも、愛するひとと共に・・・。」ウフフ


最上 「・・・そう。」フフッ


龍驤 「ほう。これはこれは。元帥閣下に報告せなあかんなぁ。」ニヤニヤ


最上 「今の元帥は真宵さんでしょ?意味ないって。」


龍驤 「それや。今後の大本営の方針如何では、うちらの振る舞いも変わってくる。」


三隈 「うちら、ですの?龍驤さんもこちら側に来ますの?」


龍驤 「当たり前やろ。クロさんには恩がある。うちだけ仲間外れにはさせへんで。」フン


最上 「そういえば、海軍を手中に収めて何をしようとしてるのか訊いてなかったね。」


三隈 「そうですわね。良い機会ですの。クロさんに訊いてみますの。」


龍驤 「クロさん。真宵を元帥にして、何をするつもりなんや?」


黒霧 「・・・特に何も?」


・・・ハァ? マエニモアッタネ コンナコト



序章の締め括りに入ろう。


最上 「クロさんってさ。計画性があるようで、無いようで、無いよね。」


三隈 「もう少し簡潔に言えませんの・・・。」


黒霧 「僕に計画性を求められてもね・・・。暗殺者は受けた依頼をただ遂行するだけだから・・・。」


龍驤 「せめて人類側なんか、深海側なんかはっきりしてほしいところやな。」


黒霧 「その問いには答えられないね。」ウーン


龍驤 「なんでや。ふたつにひとつやろ?」


黒霧 「だって、僕達懐刀はそのどちらでもないからさ。」フフッ


最上 「新たな勢力の出現だ。」ワオ


三隈 「三つ巴の闘い・・・ですの?」


黒霧 「いい加減、僕達の目的も話しておこうか。」


龍驤 「やっとか。パオラもこれだけは口を割らんかったからなぁ。気になっとったところやで。」ニィ


黒霧 「何度も同じ話をするのは面倒だから、食堂にみんなを集めてからね。」


三隈 「まぁ、そうなりますわね。」


最上 「何?日向ちゃんの真似?」ニテナイワー


三隈 「違いますの!」


龍驤 「クロさんには洗いざらい吐いてもらうからな。覚悟しぃや。」フフフ


黒霧 「今回は訊かれずとも僕から話すよ。どうして僕達がこの世界にやってきたのか、そして何をしようとしているのかも。」


レ級 「やってきた?」ン?


ヲ級 「お父さんは異世界から来たの?」


黒霧 「この世界には魔族なんていないよ。」


レ級 「探せばいると思ってたぜ・・・。」


ヲ級 「ヲーちゃんもなの・・・。」



書類審査で合否が決まっていた。面接の意味は何処へ・・・。


金剛 「」(゚Д゚)


龍驤 「ただいま~。て、どないしたんや?」


神命 「いや~。それが、その~。」アハハ


三隈 「はっきりしませんわね。」


最上 「どうしたの?」


神命 「あれ・・・。」ユビサシ


比叡?「」フワフワ


榛名?「」チョコン


霧島?「」ムフン


龍驤 「・・・ちっさ。」ボソッ


日向ミニ「誰がドチビだ!」クワッ


龍驤 「君やないわ!」ビシッ


日向ミニ「良いツッコミだ。」フフン


龍驤 「疲れるからやめてくれるか。」ハァ


龍驤 「で?なんで金剛姉妹が妖精サイズになってんねん。」


集積姫「材料が足りなかったのよね~。」


日向ミニ「苦肉の策だな。」


五月雨「ほんとは毎日茶会でお菓子を食べさせられた結果、榛名さんがふとっ。」


榛名ミニ「」フンッ


ドゴッ イタイッ


五月雨「グーはないですよ、榛名さん。」ジンジン


榛名ミニ「乙女は繊細なんです。それに貴女は装甲が強化されているのですよね?」


五月雨「傷は付かなくても痛いものは痛いんです。」マッタク


五月雨「それにいいじゃないですか。食べる量が減ったら、太ることもないでしょうし。」ハッ


榛名ミニ「もう一発、いっときますかぁ?」ワナワナ


比叡ミニ「榛名ー!空を飛ぶのは楽しいですねー!」ビューン


榛名ミニ「比叡姉様!スピードを出しすぎです!それから、ちゃんと前を見て飛んでください!!」アブナイデス!


霧島ミニ「比叡姉様が窓を割るまで、三・・・二・・・一。」


ガッシャーン ネエサマァッ!


南方戦「ちょっと。あれ、誰が直すと思ってるの?」ユラァ


榛名ミニ「」ヒッ


黒霧 「僕でしょ?」


南方戦「頼んだわよ。」


黒霧 「はいはい。」フフッ


榛名ミニ「」フルフル


五月雨「へぇ。」ニヤッ


五月雨「南ちゃ~ん。榛名さんにぶたれた~。」ウゥ


南方戦「なんですって?」ギラッ


榛名ミニ「」ピゥッ


集積姫「その話、私にも詳しく教えてもらえるかしら。」フフフ


榛名ミニ「」ガタガタ


レ級 「あいつ、人生終わったな。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんは悪い娘なの。」


金剛 「」(゚Д゚)


レ級 「こいつはいつまで固まってんだ?」


龍驤 「ほっとけ。阿呆は頭の回転が遅いんや。」


ダレガアホウネー!! ア ウゴイタ



設定集にはサブストーリーも掲載してるのよ。


黒霧 「さて、みんな揃ってるみたいだし。話をしようか。」


龍驤 「場は荒れまくっとるけどな。」


黒霧 「この話は南と蓮華にしか話していないことだ。」


龍驤 「スルーすなや。」


五月雨「まぁまぁ。いつものことですから。」


龍驤 「うちが寂しい奴みたいやないか!」クワッ


五月雨「実際、胸元は寂しいじゃないですか。」


龍驤 「喧嘩売っとんのか!少なくとも君よりはマシや!というか、Cもあれば充分やろ!」


南方戦「うるさいわね。静かにしなさいよ。」バンッ


集積姫「大事なのは大きさよりも、見た目の美しさと質よ。」ババンッ


龍驤 「大きさも兼ね備えた君らに言われると猶腹立つ!」ウガー


レ級 「父ちゃんは誰のが好みなんだ?」


黒霧 「ん?南だけど?」


南方戦「///」カァ


集積姫「流石は元身体だけの女。」フッ


南方戦「う、うるさいっ!///」


三隈 「三隈だって・・・。」クッ


最上 「いや、それがみっちゃんの成長限界だよ。」


キッ ニラムノヤメテ


ヲ級 「ヲーちゃんも大きくなったら、お母さんみたいになれるかな。」ムムム


レ級 「南姉じゃなくて母ちゃんなのな。まっ、血は継いでるわけだし。なれるんじゃねぇの?」


ヲ級 「レーちゃんにはもう膨らみがあるの。」ヲー


レ級 「だろ?」ムフン


五月雨「今まであまり気にしていませんでしたが、妹に抜かれるというのは少し複雑ですね~。」ムゥ


レ級 「五月雨姉はずっと子供のままだもんな。」ニヒッ


五月雨「ええ。建造組の私はこれ以上成長しませんとも。レーちゃんがお婆さんになっても私は子供ですよ。そうですよ。」イラッ


レ級 「お、おう。」タジッ


五月雨「なんですか。捥いでいいですか。胸板に変えてさしあげますよ。」ガシッ


レ級 「」ヒッ


五月雨「お姉ちゃんは怒ると恐いですよ?」ウフフ


レ級 「ひゃい・・・。」ウルウル


ヲ級 「」フルフル ヒシッ


日向ミニ「ヲ級が私に抱きつくとは、珍しいこともあるものだな。」フッ


龍驤 「・・・何の話やぁ!?」



章タイトルで宣伝すな。


黒霧 「さて、話をしようか。」


龍驤 「それはさっきも聞いた。」


黒霧 「これは南と蓮華に・・・。」


龍驤 「だからさっき聞いたて!それより、膝の上にレ級を抱えながら話すのやめぇや!」


レ級 「」ヒシッ


黒霧 「レ級は精神に深い傷を負ってしまった。これは致し方ないことなんだ。そう。医療行為なんだ。」


龍驤 「えっちぃシーンでよくある言い訳やなぁ!」


三隈 「龍驤さん、貴女・・・。」ヒキッ


最上 「そんなこと知ってるなんて・・・。」ウワァ


五月雨「見損ないましたよ・・・。」ケガラワシイ


龍驤 「なんでやねん!いい加減うちも泣くでぇ!」ブワッ


集積姫「南方ちゃん。」


南方戦「はぁ?なんでワタシが・・・。」


イイカラ イイカラ シカタナイワネ


南方戦「ほら、龍驤。こっち来なさい。」


龍驤 「なんやぁ。深海の施しは受けへんで。」トテトテ


ギュッ


五月雨「何が深海の施しは受けないですか。」


南方戦「落ち着いたかしら。」


龍驤 「・・・うん。」グスッ


五月雨「龍驤さん。締めの一言をお願いします。」つマイク


龍驤 「おっぱい、万歳。」ムニッ


南方戦「はったおすわよ!?///」



私は暗い話が好きなのだろうか?


黒霧 「僕達は異世界からやってきたんだ。」


五月雨「唐突~。」


龍驤 「その目的は?」


五月雨「単刀直入~。」


ウルサイ アイ


黒霧 「魔王の懐刀として、この世界を正しく導くためさ。」


集積姫「世界を正しく導くねぇ。なら、訊くけど。正しい世界って、何?」


黒霧 「定められた歴史に忠実な世界だよ。」


集積姫「歴史はこの世界に生きる私達が紡ぐものでしょう?」


日向ミニ「それは違う。」


集積姫「あら。蓮華ちゃんが話すの?」


日向ミニ「世界の歴史は今を生きる者達によって紡がれるものではない。」


日向ミニ「歴史とは、予め定められた、この世界に生きる者達の運命を綴ったものだ。」


黒霧 「この世界に生まれた者は、歴史に綴られたとおりの運命を辿る。」


集積姫「へぇ。それじゃあ、私の計画も間宮ちゃんの計画も世界が決めた運命だったってわけ?」


黒霧 「だから僕は、その計画を知っていた。」


集積姫「・・・なるほどね。合点がいったわ。」


最上 「それじゃあ、正しく導くってどういうこと?」


最上 「ボク達が決められた運命を辿るなら、歴史は常に正しく在り続けるんじゃないの?」


黒霧 「この世界に存在することが定められていた者だけなら、そうかも知れないね。」


三隈 「つまり、クロさんはこの世界の歴史に縛られない・・・と。」


黒霧 「そういうこと。」


日向ミニ「因みに、存在しないはずの父上の娘である私も、この世界の歴史には縛られない。」フフン


レ級 「ん?じゃあ、俺もか?」


日向ミニ「そうだな。」


ヲ級 「ヲーちゃんも?」


日向ミニ「そうだな。」


五月雨「私もですか?」


日向ミニ「・・・違う。」


五月雨「なにゆえ!?」ガーン


黒霧 「五月雨は、たとえ僕がこの世界に来なくても、集積が建造する運命だったんだよ。」


五月雨「くっ。私だけ仲間外れ・・・。」ズーン


龍驤 「なぁ。聞いてる限りやと、クロさん達がこの世界に来んかったら、何も問題なかったんと違うか?」


黒霧 「逆だよ。」


龍驤 「逆?」


黒霧 「この世界に問題があったから、僕達が来たんだ。」



太陽と月~♪


黒霧 「異世界からこの世界にやってきた者は、定められた歴史の制約を受けない。」


日向ミニ「つまりは歴史を変えることができるわけだ。」


黒霧 「僕達はそういう者を"異物"と呼んでいる。」


三隈 「歴史を正しく導くとは、その異物が歴史を変えてしまうことを防ぐということですのね。」


黒霧 「そういうこと。」


集積姫「ふ~ん。それじゃあ、この世界には時雨ちゃん以外にも異世界からやってきた者がいるのね。」


黒霧 「そう。だから、僕達が来た。異物を倒せるのは、同じ異物である僕達だけだからね。」


最上 「ボク達では絶対に倒せないの?」


黒霧 「絶対ではないかな。ただ、この世界の装備では絶対に倒せないよ。」


榛名ミニ「だから神命さんは・・・。」チッ


神命 「」ゾクッ


最上 「この世界の装備では・・・か。じゃあ、ボク達の装備なら?」


日向ミニ「可能だ。そのために造ったからな。」フン


三隈 「なるほど。だから真宵さんは三隈達を精鋭部隊と・・・。やっと理解できましたの。」


五月雨「しつも~ん。」ハイッ


日向ミニ「なんだね。五月雨くん。」


五月雨「この世界に紛れ込んだ異物って何人いるんですか?」


日向ミニ「知らん。」


五月雨「異物は何処に?」


日向ミニ「それも知らん。」


五月雨「探す気は・・・?」


日向ミニ「毛頭ない!」クワッ


五月雨「それでいいのか!」


日向ミニ「いいんです。」キリッ


南方戦「気は済んだかしら?」


黒姉妹「満足だ(です)。」キラキラ



この設定は全ての二次創作で通用する。


五月雨「でも、本当にいいんですか?探さないものは見つかりませんよ?」


日向ミニ「構わん。どうせ向こうからやってくる。」


五月雨「その心は。」


黒霧 「この世界の中心が君だからだよ、五月雨。」


五月雨「・・・はい?」


日向ミニ「主人公は君だ。」


五月雨「いざ、冒険の世界へ・・・じゃなくて。」


レ級 「ノリノリだな。」


ヲ級 「姉妹ならではの呼吸なの。」


レ級 「俺達の呼吸って何だろうな。」


ヲ級 「・・・。」


レ級 「なんだよ。」


ヲ級 「言ってもいいの?」


レ級 「・・・やめとく。」


五月雨「で、私が主人公ってどういうことですか?」


黒霧 「世界の歴史は何処まで決まってると思う?」


五月雨「それはもう事細かくです。」ムフン


日向ミニ「そんなわけがあるか。」


五月雨「蓮華ちゃんって、ボケるけどツッコミはしないですよね。」


黒霧 「世界の歴史は、この世界の中心人物に関わる範囲でしか定められていない。」


日向ミニ「つまり、お姉ちゃんに関わる範囲でな。」


五月雨「はぁ。でも、どうして私が主人公だってわかるんですか?」


黒霧 「世界の歴史にそう記されていたから。」


五月雨「あっ。」


レ級 「今のは素だったな。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんも偶にポンコツなの。」


日向ミニ「お姉ちゃんのボケはともかく、世界の歴史にも有象無象の人生まで記すような容量は無い。」


日向ミニ「この世界に多大な影響を及ぼす人物の半生が記されているのだ。」


集積姫「半生ね。一生ではないのね。」


黒霧 「そうだよ。その人物がある偉業を成し遂げた後の人生、所謂余生は世界の歴史に記されない。」


黒霧 「そこまでで歴史の正導は完了する。」


集積姫「・・・お別れって、ことなのかしら。」


黒霧 「・・・ああ。」


集積姫「南方ちゃんは知ってたのよね。」


南方戦「そうね。」


集積姫「南方ちゃんは、それでいいの?」


南方戦「仕方ないじゃない。仕事なんだから。」


集積姫「まるで倦怠期の夫ね。」


南方戦「うっさい。」フン


集積姫「私は嫌よ。」


レ級 「俺も嫌だぜ。父ちゃんとはずっと一緒だ。」


ヲ級 「ヲーちゃんは何処までもついていくの。」ムン


最上 「ボクも~。」


五月雨「あっれ。流れ的には私の番・・・。」


三隈 「三隈も断固拒否しますの。何処までも共にと誓ったばかりですの。」


日向ミニ「どうするのだ?父上。」フッ


黒霧 「そのときが来たら考えるさ。」


最上 「流石の計画性だね。クロさんらしいや。」フフッ


集積姫「全てが終わったら、何が起こっても不思議ではないのよね。」


集積姫「だったら、私は死力を尽くして時雨ちゃんを引き留める。貴方をこの世界に縛ってみせる。」ウフフ


南方戦「やっぱりこうなったわね。」ハァ


南方戦「まぁ、事と次第によってはワタシも協力するわ。」ニィ


ウフフフフ


日向ミニ「だそうだぞ、父上。」


黒霧 「大丈夫。躱し方は知ってるから。」


日向ミニ「具体的には?」


黒霧 「僕は最凶と謳われた暗殺者だよ?」フッ


一同 「」ビクッ


黒霧 「・・・冗談だよ。」ニコリ


五月雨「冗談に聞こえない・・・。」


神命 「兄様の莫迦。」ボソッ



ラスボスの設定どうしようかな。


五月雨「そういえば、異物を探さないって話はどうなりましたっけ?」


日向ミニ「向こうからやってくるという結論に落ち着いたはずだが?」


五月雨「そうでしたっけ?」


黒霧 「この世界の歴史は五月雨に関して紡がれたものだ。歴史を乱す異物は必ず五月雨の許に姿を現す。」


黒霧 「だから僕は君の傍で君を護る。それで目的は達せられる。」


五月雨「最後から二番目の言葉だけもう一回言ってもらっていいですか?」


黒霧 「君を護るよ、五月雨。」フフッ


五月雨「お父さん、結婚しましょう。」キリッ


南方戦「ちょっと待ちなさい。」


五月雨「私の愛は海よりも深いですよ!深海だけに!」キラン


南方戦「それはワタシの科白でしょうが!」


五月雨「南ちゃん。子供の戯言に本気になっちゃって、大人としての余裕とかないんですか?」


南方戦「なぁ!アンタ、まさかっ!」


五月雨「やーい。引っ掛かったー。」イーダ


南方戦「ワタシを本気で怒らせたわねぇ。」ワナワナ


五月雨「ばいちゃっ!」スタコラー


南方戦「待ちなさい!」ダッ


サミダレェェェ!!


日向ミニ「賑やかな家族だ。」


黒霧 「楽しくていいじゃない。」フフッ


神命 「兄様、ちょっと。」チョイチョイ


黒霧 「どうしたの?」


神命 「大事な話だから。」キテ


黒霧 「・・・わかった。」


ジャア コレデカイサンニシヨウカ ハーイ



黒は全てを染める色。霧は見えても掴めない。


黒霧 「大事な話って?」


神命 「わかってるくせに。」


黒霧 「・・・異物の正体?」


神命 「・・・ごめん。それじゃない。ていうか、知ってるの!?」


黒霧 「憶測の域を出ないけどね。これは忘れてもいいよ。いずれわかることだから。」


神命 「兄様がいいって言うなら、いいけど・・・。」


黒霧 「で、本題は?」


神命 「ほんとにわからないの?」


黒霧 「・・・わからないよ。」


神命 「兄様は何とも思わないの?愛するひとと離れ離れになるんだよ?」


黒霧 「もう何度も経験したことだ。流石に慣れたよ。」


神命 「慣れないよ!慣れるわけない!だって、みんなは、兄様のことを・・・。」


黒霧 「神命、どうしようもないことは受け入れるしかない。その上で、前を向けばいい。」


黒霧 「僕達は異物だ。この世界に存在した証を残してはならない。」


神命 「・・・嘘吐き。姉様に言いつけてやる。」


黒霧 「告げ口は勘弁してほしいかな。」


神命 「だったら正直に言ってよ。忘れられてもいいなんて思ってる人が、子供なんてつくるはずないじゃん!」


神命 「兄様がこの世界に存在した確かな証を残すはず・・・ないじゃん。」グスッ


黒霧 「・・・しい。」ボソッ


神命 「え?」


黒霧 「多分だけど、寂しいんだと思う。だから僕は異世界を訪れる度に誰かを愛し、その証を残す。」


黒霧 「これまでもずっとそうだった。」


黒霧 「家族の絆が世界の理を破る。そんな希望的観測に縋った。黒霧ともあろう者が、情けないことにね。」


神命 「兄様・・・。」


黒霧 「こんな話をするのはこれきりだよ?僕と神命だけの秘密だ。」フフ


神命 「・・・うん。ふたりだけの、秘密。」フフッ


神命 「ねぇ、兄様。」


黒霧 「何?」


神命 「私はずっと一緒だよ?」ニコリ


黒霧 「それは方向音痴を直してから言おうね。」


神命 「・・・兄様の莫迦。いけず。」ムゥ


黒霧 「その言葉はさっき聞いたよ。」


神命 「・・・もう。兄様は耳が良すぎていけません!」プンスコ


黒霧 「あはは・・・。」


黒霧 「ありがとう、神命。」ボソッ


ナニカイイマシタ? ナニモ



いっぱい食べる君が?


レ級 「おっ。帰ってきた。」


ヲ級 「おかえりなの~。」


五月雨「おかえりなさ~い。」ボロッ


集積姫「ちょっとやりすぎなんじゃな~い。」ジトッ


南方戦「あのくらいじゃ沈まないわよ。」ハッ


黒霧 「ただいま。南、程々にね。」フフ


南方戦「仕方ないじゃない。調子づかせると後が怖いのよ。」ボソボソ


黒霧 「まぁ、それも込みで五月雨の計画どおりなんだろうけど。」


南方戦「はっ!」バッ


五月雨「今更気づいたんですか~?」ニマニマ


南方戦「ワタシはどうすればいいのよ!」ウガー


日向ミニ「どうしようもなかろう。温和しく私達の玩具になることだ。」


南方戦「なんでアンタも仲間に入ってんのよ!」


日向ミニ「母上の反応は面白いからな。」フッ


集積姫「激しく同意~。」ウフフ


南方戦「納得いかないわ!!」


黒霧 「さて、引っ越しの準備だ。」


南方戦「アンタは話を聞きなさいよ!仮にも嫁が弄ばれてるのよ!?」ガシッ


黒霧 「そんな君が好き。」


南方戦「///」ボンッ


・・・ユルス ソレハドウモ


龍驤 「なんや聞き憶えのある科白やな。」


最上 「そんなCMあったよね~。」


三隈 「・・・羨ましいですの。」クッ


最上 「みっちゃんはチョロいな~。」


三隈 「誰の所為だと思ってますの?」ギロッ


最上 「黒幕は、誰だ。」


龍驤 「おまえや。」



クリスマスのロンリーナイ


五月雨「立ち上がれ。沈黙の妖精達よ!」


榛名ミニ「急にふらないでください。反応に困ります。」


比叡ミニ「比叡、いっきま~す!」バッ


霧島ミニ「お姉様。取り敢えず正座しましょうか。」ガシッ


比叡ミニ「へ?なんで?」


イイカラ ・・・ウン


榛名ミニ「それで、何か御用ですか?」


五月雨「引っ越しの手伝いをしてほしいと・・・。」


榛名ミニ「はい?」ジトッ


五月雨「お父さんが申しております。」サッ


黒霧 「頼めるかな?」フフ


榛名ミニ「まぁ、貴方には身体を創ってもらった恩がありますから・・・。」


比叡ミニ「何処から何処へ荷物を運びますか!」ハイ!


霧島ミニ「お姉様。お口チャック。」


比叡ミニ「んーんんーんん、んんん!」


霧島ミニ「お姉様。口を開かなければ喋ってもいいということではありません。」


黒霧 「あはは。引っ越しは訓練基地から、この実験施設までだよ。」


黒霧 「君達には妖精の不思議パワーも使えるようにしてあるから、島ごと引っ張るのを手伝ってほしいんだ。」ニコリ


榛名ミニ「島ごと・・・。」エェ


比叡ミニ「面白そうですね!」ワァ


霧島ミニ「肉体労働は苦手なのですが・・・。」


金剛 「何を言ってるノ。霧島は私達姉妹の中では一番の肉体派ネ。」


霧島ミニ「そんなっ!?」ガーン


榛名ミニ「自覚なかったの?」


霧島ミニ「比叡姉様より、莫迦だなんて・・・。」クッ


五月雨「肉体派=莫迦とは、随分な偏見ですね。」


日向ミニ「うちにも実例が居るだろう?」クイッ


レ級 「・・・なんだよ。」


五月雨「納得ですね。」


レ級 「父ちゃん、俺は気づいちまったよ。」


黒霧 「何をかな?」


レ級 「俺、虐められっ娘だったんだな。」グスッ


黒霧 「その分、僕が慰めてあげるよ。」オイデ


レ級 「おう。役得だな。」ヒシッ


五月雨「ちょっと違うような・・・。」


日向ミニ「完全なる間違いだ。レ級はイジられ役だからな。」


ヲ級 「それが通用するのはテレビの中だけなの。素人が手を出していい領域じゃないの。」


黒姉妹「・・・すみませんでした。」ドゲザ


ヲ級 「わかればいいの。」ムフン



そのに!の内容は、僅か2日間の出来事でした。


黒霧 「さぁ、出発するよ。暗くなる前に作業を終えたいからね。」


日向ミニ「暇な者は全員ついてこい。」


五月雨「それだとみんなついてきちゃいますよ?」


日向ミニ「構わん。全員、来い!」クワッ


南方戦「ワタシは暇じゃないんだけど。」


集積姫「散らかしっぱなしの部屋を片さないといけないからね~。」ニィ


南方戦「・・・言うんじゃないわよ。」


集積姫「流石は元身体だけの女。」フッ


南方戦「いい加減しつこいわよ!」


五月雨「まぁまぁ。ほんとのことなんですから。」オチツイテ


南方戦「アンタもかっ!」


三隈 「ぶれませんわね、あの方々は。」


最上 「関係性が出来上がってる証拠だよ。」


龍驤 「しっかしまぁ。物資輸送ならともかく、島を輸送する羽目になるとはなぁ。」


日向ミニ「何を言っている。お前は明日の物資輸送のために大本営へ帰還するのだろうが。」


龍驤 「・・・もう一泊、させてくれへんか?」


日向ミニ「無理だ。食糧が足りんからな。」


龍驤 「そこをなんとか~。」


日向ミニ「無理だと言っている。」


最上 「そんなに帰りたくないの?元帥が替わったんだし、環境も変わってると思うよ?」


龍驤 「ちゃうねん。今、大本営は廃墟になっとるって、パオラが・・・。」


最上 「あら~。随分と大胆な改革だね~。」ワオ


三隈 「師匠の身に何が・・・。」エェ



次作は一月経った体で始めます。


真宵 「そこのちっこいの。真面目に働け。」フワフワ


???「元帥にだけはちっこいとか言われたくねーですー!」


???「あんた、さっきから口しか動いてないのよ。ちゃんと手を動かしなさい。」マッタク


???「そういうこと。」ヨイショ


???「なんでぇ、真面目ぶっちゃってさー。あたしゃ怒ってんのよ?」


???「華の大本営に配属と息巻いてみれば廃墟になってるし、建て直しの手伝いはさせられるし・・・。」


???「私は煉瓦を積むために艦娘になったんじゃないやーい!!」


???「やかましい。」バシッ


イタイッ


???「ぶったね?父さんにだってぶたれたこと・・・あったわ。じゃあ母さん、もあるし姉ちゃんも・・・。」


???「家族全員からぶたれてるってのにぃ!」


???「知らんわ!」


真宵 「お前ら。」ユラァ


???「」ヒィッ


真宵 「口よりも手を動かせ。大本営の再建が完了しなければ、仕事を再開できん。」


???「了解であります!」ビシッ


加賀 「まるで、早く仕事をしたいような口振りですね。」


真宵 「ん?まぁな。」フッ


加賀 「書類仕事はお嫌いなのでは?」


真宵 「ああ、嫌いだとも。だが、再建が済まねば出撃もできん。」


加賀 「まさか、出撃についていくおつもりで?」


真宵 「駄目か?」


加賀 「駄目です。」キッパリ


真宵 「そうか・・・。」ムゥ


加賀 「こっそり行こうとしても無駄ですよ?私は貴方の傍を離れませんから。」


真宵 「・・・わかった。今は、諦めよう。」


加賀 「まったく。貴方というひとは・・・。もう。」フフ


???「加賀秘書艦の左手・・・。」ネェ


???「ケッコンしてるんだね。」ヒソヒソ


???「元帥もしてる。」ヒソヒソ


???「年の差婚ってやつかな?」ヒソヒソ


???「それにしても離れすぎじゃない?」ヒソヒソ


???「あれだよ。加賀秘書艦はショタ・・・。」


加賀 「何か?」ギラッ


???「ひぃ!」ビクッ


加賀 「まったく。多少の談笑は大目に見ますが、あまり度が過ぎると厳罰の対象ですよ。」


???「承知しましたぁ!」ビシッ


加賀 「私も仕事に戻ります。貴女達もやるべきことをやりなさい。」


???「Yes! ma'am!」ビシッ


デハ


???「あー。怖かったぁ。」ヘナッ


???「あんたが余計なこと言うからよ。」


???「めんごめんご。」


???「こいつっ。」イラァ


ハヤクウミニデターイ!


後書き

さて、これを以て第一章は完結となります。まぁ、どちらかと言えば終わったというより終わらせた感が強い気もしますが・・・。それはさておき、この第一章、本編にもタイトルで書いていますが序章扱いです。だから五月雨は第零期生なわけですが、これから本当の本編が始まります。やっと訓練基地が正式に稼働し始めますね。ネタが無いから困っちゃうわ。どうしよう・・・。まぁ、やるだけやってみますかぁ!では、簡単なキャラ紹介をば・・・。

南方棲戦鬼・・・時雨の妻。蓮華の母。勝ち気な性格で、自分が一番でないと気が済まない。思考が単純なため、五月雨を始め色んな人からイジられる。元がガサツな所為で喪女に見られがちだが、家事が得意で女子力も高め。限りなくデレデレに近いツンデレ。

集積地棲姫・・・五月雨、レ級、ヲ級の母。間宮の計画を利用して、南方と時雨の楽園を創ろうとした。自分よりも他人を優先するところがあったが、南方の荒療治の御蔭で多少素直になった。研究者として蓮華と気が合うらしく、唯一工廠への立ち入りを許されている。まだまだ謎多き乙女。

レ級・・・時雨と集積の娘。蓮華と同い年で、ヲ級の姉。活発で単純。涙脆い一面があるが、時雨に慰めてもらえば、すぐに機嫌は直る。姉妹の中での扱いに不満がある。

ヲ級・・・時雨と集積の娘。レ級とは年子。優秀な頭脳を持ち、短期間で人類の言語をマスターした。姉妹の中では天使と可愛がられている。しかし、五月雨の影響か。最近、辛辣な言葉を吐くようになってきた。


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2020-12-28 00:20:24

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2020-12-28 00:20:25

SS好きの名無しさんから
2020-08-24 15:29:41

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2020-08-26 14:00:02 ID: S:wmRwgw

トドイテナイデスヨー! ヲヲヲヲヲ!

のところが好き。

2: 黒い歴史 2020-08-28 01:10:40 ID: S:jSTEkV

私も好き。


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