2023-01-17 01:04:00 更新

概要

色々あった訓練島。目的を果たすため、少女達は過酷な訓練に身を投じていく・・・。


前書き

本当の本当に訓練が始まる訓練島。
さてはて少女達はどんな化物に成長するのやら・・・。
それは私にもわからない。
では、本編をどうぞ。


さぁ、訓練を始めよう。


漣  「あたーらしーい あーさが きたっ」


朧  「きーぼーおの あっさーが」


漣・朧「ふーふふーふ ふふふ ふふーふふ ふふふーふ あっおっげー」イェイ


曙  「殆ど憶えてないじゃない。」


潮  「憶えてる人なんているのかな?」


曙  「え?あんたもそっちサイドなの?」


漣  「まぁまぁ、細かいことはえーでないの。」


朧  「そうちっちゃいことは気にするな。」


漣・朧「それ ワカチコ ワカチコー」


紫苑茜「あんた達、随分と古いネタ知ってるのね。まだ赤子だったでしょうに。」


曙  「この間テレビでやってたのよ。若手芸人を救えって企画で。」


潮  「全然若手じゃなかったけど。」


紫苑茜「偶にエグいことをさらっと言うわね、あんた。」


漣  「うちは好きやで。あのギンギラギンにさり気なく。」


朧  「ちゃん澪、そのネタは時期がまずい。」


漣  「三年目~の・・・。」


朧・曙「それだけは駄目っ!」バッ


漣  「ん~。」モゴモゴ


紫苑茜「あんたら、実年齢偽ってないでしょうね。」



なななな、何て日だ!


五月雨「好い朝ですね~。透き通るような蒼に、純血を思わせる白。もうすぐそれが少女達の悲鳴で紅く染まる・・・。」フフフ


蓮華 「莫迦言ってないで手伝え、お姉ちゃん。弾速設定、射出間隔設定に誘導精度設定。全てはお姉ちゃんに委ねられているのだぞ。」


五月雨「適当でいいですよ?取り敢えず撫子ちゃんの動きを見てみないことには今後の予定も立てられませんし。」


蓮華 「確かにそうだが、いいのか?この私に"適当"などという言葉を使っても。酷いことになるぞ。」


五月雨「わかってるなら加減してあげてくださいよ。でもまぁ、怪我しないように改造したんですよね?」


蓮華 「まぁな。父上に、直撃したら霧散する特殊な砲弾を創造してもらったからな。怪我の心配はない。」


五月雨「だったら大丈夫じゃないですか?私用の設定でやりましょう。」


蓮華 「それで撫子の奴が避けきったらどうするのだ?」


五月雨「・・・訓練の前に、射出装置の作動確認をしておきましょうか。」


蓮華 「設定は?」フッ


五月雨「普段の倍難度でお願いします。」ギラッ


蓮華 「流石、私のお姉ちゃんだ。」ニィ


オラ コイヤァァ!! ボカーン



www.WHAT A DAY !!


レ級 「飯前によくあんな激しい運動ができるよなぁ、五月雨姉。」


ヲ級 「大鎌振り回して、莫迦丸出しなの。」ヘッ


レ級 「にしても、四方八方から飛んでくる砲弾を躱したり叩っ斬ったり・・・。凄ぇよなぁ。」


ヲ級 「・・・。」ムー


レ級 「どうした?ヲーちゃん。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんを下げる言葉が見つからないの。何を言っても、お父さんに流れ弾がいっちゃうの。」ムムム


レ級 「素直に褒めてやればいいじゃねぇか。最近のヲーちゃんは棘が過ぎるぜ?」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんは褒めると駄目になるタイプなの。その証拠に・・・。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃ~ん!かっこいいの~!」


五月雨「え?そうですかぁ?」デレデレ


チュドーン ウビャァァァァ!


ヲ級 「ほらねなの。」ドヤァ


レ級 「五月雨姉・・・。」


蓮華 「莫迦が。」ヤレヤレ



レシピを見ればできるはできるうちに入らない。


三隈 「え~と。次は砂糖をひとつまみ・・・。」


南方戦「それ小麦粉。」


三隈 「その次は塩を・・・。」


南方戦「それ薄力粉。」


三隈 「み、みりんを・・・。」


南方戦「それ白ワイン。アンタ、目ぇ腐ってんじゃないの?」


三隈 「う、五月蠅いですわね!三隈だって必死にやってますの!」


南方戦「真面目にやってそれならもう望みは無いわよ。潔く諦めなさい。」


三隈 「」ウゥ


最上 「みっちゃん・・・。」ハァ



間違えて鍋いっぱいの野菜炒めを作ってしまった。


最上 「取り敢えず、先にレシピを覚えてみたら?暗記して料理に集中すれば、変な間違いもしないと思うよ?」


三隈 「そ、そうですわね。南さん、レシピはありまして?」


南方戦「無いわよ、そんなもの。」


最上 「え?でも、南さんも昔は家事下手だったって、集積さんが・・・。」


南方戦「そうよ。だからあのひとに付きっきりで指導してもらったの。感覚で味の調整ができるまでにね。」


三隈 「三隈もクロさんに!」クワッ


南方戦「させるわけないでしょうが。アンタの師匠はワタシ。教えてもらえるだけでもありがたく思いなさい。」フフフ


三隈 「くっ!これからも、よろしくですの!」フンッ



料理の味か魅惑の時か。


最上 「みっちゃんは教官の傍らで料理の特訓か~。ボクも何かやってみようかな~。」ウーン


三隈 「もがみんも料理をしてみては如何ですの?貴女だって女の子ですもの。料理ができるに越したことはないですの。」


最上 「でもな~。」ムー


三隈 「なんですの?歯切れが悪いですわね。もがみんらしくないですの。」


最上 「じゃあ、言うけど。とんでもみっちゃんを抱える南さんにこれ以上の負担を掛けるのもなって思うわけですよ。」


三隈 「なんですって?」ピキッ


南方戦「だったら最上はあのひとに習いなさい。どうせ朝食を作らないとだし。序でに教えてもらえばいいわ。」


三隈 「なっ!どうして三隈は駄目で、もがみんは大丈夫なんですの!?」クワッ


南方戦「最上には下心が無いからよ。アンタと違ってね。」


三隈 「下心があって悪いか!」ウガー



気になるひとが隣りに居ても平常心で。


最上 「えっと、本当にいいの?」


南方戦「いいわよ。これまでだって散々ふたりきりで訓練してたじゃない。今更駄目なんて言ってもねぇ。」


最上 「まぁ、確かにそうだけど・・・。」


南方戦「まだ部屋に居るだろうから、呼んできてちょうだい。頼んだわよ。」


最上 「了解。じゃ、みっちゃんをよろしくね、南さん。」タッ


南方戦「任されたわ~。」フリフリ


三隈 「納得いきませんの!」ムスッ


南方戦「アンタ、あのひとが隣りに居て料理に集中できる?」


三隈 「無理ですの。」キリッ


南方戦「だからよ。まずは料理の腕を磨くことに集中しなさい。」



取り敢えずウーロン茶派。


最上 「下心・・・か。最近のみっちゃんは好意を隠さないから、ちょっと違う気もするけど。どちらかと言えば、ボクのほうが・・・。」


神命 「兄様は渡さないよ。」ヒョコッ


最上 「神命ちゃん・・・。相変わらず神出鬼没だね。」


神命 「ふふん、食堂に行こうと彷徨ってたところなのさっ。」ドヤァ


最上 「また迷子になってたんだ。お願いだから、あの地下室にだけは迷い込まないでよ?」


神命 「わかってるよ。私だってあんな思いをするのは御免だもん。ところで、兄様は渡さないよ。」


最上 「話が戻った・・・というか、そもそもボクはクロさんに対して恋慕の情なんて抱いてないからね?」


神命 「それはそれで気に食わないかも。」ムゥ


最上 「難しいな~。」アハハ



何処にでも居て、何処にも居ない。


神命 「でもでも、もがみんが何か隠してることはお見通しだからねっ。神命ちゃんの兄様センサーはビンビンだよ!」ビシッ


最上 「そりゃあ、後ろに本人が居るからね。」チラッ


神命 「なんですと!」クルッ


シーン


神命 「騙したなぁ!って、居ない!でも、逃げたってことは疚しいことがあるんだね!絶対に捕まえて白状させてやるぅ!」ダッ


モガミンハイズコー!


最上 「やれやれ。神命ちゃんってば、どうしてクロさん関連のことになるとこう勘が良いかな~。」キィ


黒霧 「女性は匂いに敏感らしいからね。ちょっとしたフェロモンの変化を察知できるんじゃないかな。」


最上 「いつからそこに・・・。」



恒例のアレ


最上 「自分の部屋に居るんじゃなかったの?此処、空き部屋だったと思うんだけど。」


黒霧 「何も無い空間のほうが集中できるからさ。」


最上 「へぇ。澪ちゃん達の艤装?」


黒霧 「そう。どんな機能を付けようかなって、考えてたところだよ。まぁ、コンセプトは決まってるんだけどね。」


最上 「ふーん。クロさんの設計ってことは、"アレ"もやっちゃうの?」


黒霧 「正にそれを悩んでるところかな。」アハハ


最上 「深いやつだもんね、アレ。」


黒霧 「姫百合と灯が鬼門だよ・・・。」フゥ



耳を澄ませば


黒霧 「ところで、恋慕の情がどうとか聞こえたけど、何の話してたの?」


最上 「聴いてたんだ。趣味が悪いな~。」


黒霧 「聞こえたんだよ。僕は耳が良いからね。」


最上 「ま、そういうことにしといてあげるよ。」


黒霧 「事実だよ・・・。で?君の下心って?」


最上 「いや、絶対聴いてたよね。」



立ち上がれ戦士達よ。


最上 「ボクってさ~。こんな見た目だし、男の子に間違えられることも多くてさ。」


黒霧 「そうだね。」


最上 「女性として扱われることを諦めたと言うか何と言うか、恋愛に興味がないんだよね~。」


黒霧 「それはそれは。」


最上 「まぁ、他人の色恋に首を突っ込むのは大好きなんだけど。」


黒霧 「それで三隈を修羅の道に叩き落としたわけだ。」


最上 「あ、バレてた?」


黒霧 「最近の三隈は好意を口に出すようになったからね。」


最上 「もっと前から気づいてたくせに・・・。ぶっちゃけさ、クロさんはみっちゃんのことどう思ってるの?」


黒霧 「バンビ。」


最上 「その心は。」


黒霧 「僕が近くに居ると、いつも緊張で脚が震えてるから。」


最上 「生まれたての子鹿ってわけだね。」



何もしなくても好かれる人間など居ないのだよ。


最上 「じゃあさ、ボクのことはどう思ってるの?」


黒霧 「恐れ知らず。」


最上 「そうかな?身の程は弁えてるほうだと思うけど。」


黒霧 「そんな質問を直接するなんて、充分に恐れ知らずだよ。」


最上 「まぁ、確かに。でも、それは今に限った話でしょ?」


黒霧 「真面目に答えるなら、魔性の女・・・かな。」


最上 「なんでさ。ボクは恋愛に興味ないんだよ?」


黒霧 「君は他人に好かれる天才だから。周りをよく見て、何をすれば好感度が上がるのか。的確に見抜いている。」


最上 「あはは。やっぱり、クロさんの瞳は誤魔化せないね。」



最上の下心


黒霧 「だからこそ気になるんだけどね。そんな君が心の奥底に隠してる思惑ってやつがさ。」


最上 「あー。本当に聞きたい?」


黒霧 「聞きたい。」


最上 「責任、取ってよね。///」フフッ


黒霧 「やっぱり聞かない。」


最上 「撤回は受け付けないよ。ボクはもう、その気になっちゃったからさ。クロさん、ボクを滅茶苦茶にして?///」ウフフ


黒霧 「理由を訊いても?」


最上 「クロさんとのキス、思い出す度に身体が火照ってさ~。」


最上 「唇を重ねるだけであんなに気持ちいいなら、身体を重ねたらどんなに気持ちいいだろうって。もう止まらなくて。だから・・・。」


最上 「責任、取ってよね。愛は要らないからさ。ボクに快楽をちょうだい?///」フフフ


黒霧 「これはこれは。僕も身の振り方を考えないとだね。」



やはり貴様か。


黒霧 「麗、出ておいで。」


シーン


最上 「ふふ。こんなときに違う女の名前を呼ぶだなんて、いけないんだ~。」ズイ


黒霧 「参・・・弐・・・壱・・・。」


バァン


近衛麗「ごめんなさい!ちょっと魔が差しただけなんです!だからお仕置は勘弁してください!」ドゲザー


最上 「あれれ?本当に居たんだ。」


黒霧 「最上の淫紋を解除して。」ゴゴゴ


近衛麗「・・・あい。」ウゥ



本当にしたいことを訊かれても、思い浮かばないことが多い。


最上 「んー。なんか頭がフワフワしてる・・・。」


黒霧 「麗の精神支配を受けてたからね。まぁ、軽いものだから、すぐに治るよ。」


最上 「そっか。にしても、ボク凄いこと言っちゃってたね。これも精神支配の影響なのかな。」アハハ


近衛麗「・・・ごめん。」


最上 「いいよ。あれがボクの本心から出た言葉じゃないってわかってもらえたならそれで。」


近衛麗「違うの。私の精神支配は洗脳みたいに思考を書き換えるものじゃなくて、その人の欲望を引き出すものだから、あれは・・・。」


最上 「ボクの、本心・・・?」


近衛麗「」コクッ


最上 「あはは。参ったな・・・。ボクってば、そんないやらしい娘だったんだ。」ズーン



情事とは、なんと複雑怪奇なことか・・・。


黒霧 「気に病むことはないさ。麗の能力は欲望が誇張されて表面化することも多いから、あれがそのまま最上の本心だとは限らないよ。」


最上 「でもさ。そういう欲求があるのは事実なんだよ、多分。キスどうこうの話は自覚もあるし・・・。」


ンッ


最上 「はれ?///」カァァ


黒霧 「これくらいなら遠慮しなくてもいいよ。パオラも普通にしてくるし。勿論、限度はあるけどね。」


近衛麗「遠慮しなくていいのね!?」ズイッ


黒霧 「麗は駄目。」


近衛麗「そんな殺生なっ!」ガーン


最上 「いいのかな。なんだか、南さんに悪いような・・・。」


黒霧 「南にライバル宣言でもしにいこうか。君の場合は少し意味合いが違うけど、堂々としていれば大丈夫だよ。」


黒霧 「南は勝負事が好きだからね。」フフッ


最上 「結婚しても猶、勝負は続くんだね。大変だな~、南さん。まぁ、ボクが言えたことじゃないけどさ。」



Warning 乱入者です。


最上 「というわけで、偶にクロさんを借りてもいいかな?」


三隈 「駄目に決まってますのぉ!!」クワッ


南方戦「いいわよ、別に。」


三隈 「はぁ!?」


最上 「あはは・・・。まさか、ふたつ返事で承諾されるとは思わなかったよ。」


南方戦「性欲を溜め込んで下手に暴走されるよりはマシだもの。ただし、ワタシの目につかないところでやってちょうだい。」


南方戦「それから羽目を外しすぎないこと。恋人の真似事は禁止。飽くまでも欲求不満の解消が目的で、あとは・・・。」クドクド


最上 「多い・・・。」


三隈 「ちょっと待てや、コラぁ!!」バァン



目的があるのは良いことよ。


三隈 「毎度毎度、もがみんばかり!いい加減にキレましたの!三隈もクロさんとイチャコラしたいですの!」ムン


南方戦「あっそ。具体的には何をしたいのかしら?」


三隈 「具体的に?」


南方戦「そうよ。最上はちゃんと言ったわよ?あのひとと夜の・・・。」


最上 「わー!!南さんってば、莫迦なの!?ねぇ、莫迦なの!?///」ガシッ


南方戦「何よ。もう知れてることなんだから、今更恥ずかしがることないでしょ?」


最上 「そうだけど!はっきり言う必要もないじゃん!」


南方戦「あのねぇ。タダで旦那貸し出すわけないでしょうが。多少のいびりは覚悟しておくことね。」ジトッ


最上 「」ウッ



慣れには良しと悪しがありまして。


三隈 「決まりましたわ!三隈、クロさんにあすなろ抱きなるものをしてほしいですの!」ムフー


南方戦「その程度なら・・・まぁ、いいかしら。」ウーン


黒霧 「では、早速。」ギュッ


三隈 「ほわぁ!?///」ビクッ


南方戦「どう?これで満足?」


三隈 「ふっ。三隈はまだ高みを目指しますの。」ボタボタ


南方戦「向上思考なのはいいけど、まずはその鼻血をどうにかしなさい。」



朝は王 昼は王子 夜は庶民


最上 「あ~あ。朝からどっと疲れたよ。」ジュー


黒霧 「砂糖は多めにしようか。」パカッ


最上 「そうする。」パラパラ


近衛麗「私は塩派だから、左半分は塩で味付けしてちょうだい。」


最上 「そんな器用なことできないって。」ヨット


最上 「はい、玉子焼きあがり~。」


三隈 「もがみん、普通に料理できてますの。」


最上 「このくらいはね~。不格好なのはご愛嬌だよ。」フフッ



而して大概夜が一番豪勢。


最上 「さぁて、ボク作の玉子焼きにアスパラのベーコン巻き。コーンスープはインスタントで・・・何?このダークマター。」エェ


三隈 「暗黒物質とは失礼ですわね。三隈作の玉子焼きですの。」フンス


南方戦「へぇ。アンタにはこれが玉子焼きに見えるのね。眼科、行く?」


三隈 「」ウッ


近衛麗「はい、作り直してあげたわよ~。塩味だけどね。」カタッ


最上 「うはー。綺麗な形。流石はクロさんの秘蔵っ娘。」


近衛麗「どんなもんよ。」フフン


黒霧 「問題は、塩味が子供達に受け入れられるかどうかだね。」


近衛麗「偶には素直に褒めてよ、パパぁ。」ブー



吃驚するくらいに速く動けるときってあるよね。


漣  「はらへりはらへり~。」ガチャッ


朧  「なんかくわせろ~。」トテトテ


紫苑茜「こら。手洗い・うがいが先でしょ?」


漣・朧「は~い。」


紫苑茜「灯と姫百合もって・・・姫百合は?」アラ?


曙  「洗面所に走ってったわよ。いの一番に。」


キーン カォン


潮  「さぁ、朝ご飯にしましょう!」ムフー


紫苑茜「この娘の食に懸ける熱意には凄まじいものがあるわね。」



突然の頭痛、歌ったら治った。


レ級 「きゅうか~ん。五月雨姉が顔面に砲弾くらった~。」エッホ


蓮華 「集積よ。母の愛で癒やしてやってくれ。」エッホ


五月雨「あー。頭がガンガンする~。」


紫苑茜「もう、朝から何やってるのよ。」ヨシヨシ


五月雨「はっは。ぜ~んぜん治まってないですよ~。娘への愛が足りないんじゃないですか?」ヘッ


紫苑茜「言ってくれるじゃない。だったら、わたしの胸に埋もれてみる?」フフフ


五月雨「ぜひ。」キリッ


ワーイ フッカフカダー



あなたはどっち派?


黒霧 「さて、全員揃ったところで重大発表があります。」


五月雨「重大発表ですか?」


黒霧 「そう。玉子焼き、甘いのとしょっぱいの。二種類あるんだけど、どっちがいい?」


五月雨「甘いので。」


蓮華 「同じく。」


レ級 「俺はしょっぱいの。」


ヲ級 「ヲーちゃんもなの。」


近衛麗「私も塩派~。」


紫苑茜「奇遇ね。わたしもよ。」


最上 「ボクは甘いので。」


南方戦「ワタシも甘いのにするわ。三隈の相手で疲れたから。」


三隈 「なっ!態々言うことないでしょうに!三隈も甘いのですの!」フンッ


漣  「俺っちあめぇの~。」


朧  「激甘でもいいのよ。」


潮  「私はしょっぱいのでお願いします!」ムフー


曙  「私は・・・しょっぱいので。」


潮  「あれ?灯ちゃんは甘いほうが好みなんじゃ・・・?」


曙  「今日はそういう気分なの!」


漣  「はぁ?塩派がみんな乳デカだから変えたんだろ?」


朧  「ばれば~れなのね。」ヘッ


曙  「っ~!!///」カァァ



あま~い!


イッタダッキマース


漣  「玉子焼き、ウマっ!」キラキラ


朧  「激甘、キタこれ。」ムグムグ


南方戦「あまっ・・・。ねぇ、ちょっと砂糖入れすぎなんじゃない?」ウェ


最上 「それだけ疲れてるってことだよ。ボクの心がね。」フフフ


三隈 「もがみん、怖いことを言わないでくださいまし。」エェ


南方戦「なんか、気分悪くなってきた・・・。」


黒霧 「交換しようか?」


南方戦「お願い。助かるわ。」スッ


黒霧 「はい、あ~ん。」


南方戦「あ~ん・・・ん、やっぱり玉子焼きには塩が良いわね。」モキュモキュ


漣・朧「極甘、キタこれ!」


曙  「静かに食えんのか、あんたらは。」


潮  「」パクパク ムシャムシャ


曙  「静かすぎるのも考えものね・・・。」



うちの龍驤さんはCカップ。


龍驤 「まいど、宅配便で~す。お宅の妹さんをお届けにあがりました~。」チワー


神命 「もがみん、発見!」ズビシッ


最上 「」ゲッ


龍驤 「ったく。いい加減、自分ちの間取りくらい覚えてほしいもんやな。」


黒霧 「いつも助かってるよ、龍驤。ありがとう。」フフッ


龍驤 「ええよ。偶々見つけただけやし。うちも朝ご飯やら馳走になっとるしな。」


五月雨「龍驤さん。玉子焼き、甘いのでいいですか?」


龍驤 「ん?まぁ、うちとしてはしょっぱいほうがええけど、贅沢は言わん。かまへんで。」ニッ


五月雨「え・・・?」


漣  「そんなバナナ。」ヘァッ


朧  「なんてこった、パンナコッタ。」ヒェアッ


龍驤 「うち、なんか変なこと言うたか?」



料理に感情が籠もることを信じますか?


南方戦「はい、ワタシからもお返し。」アーン


黒霧 「ん・・・ちょっと、最上の精神状態が心配になる味だね。」ムグムグ


南方戦「でしょ?ケアは任せたわよ。」


三隈 「料理上級者になれば、味で精神状態がわかりますのね。ということは、三隈の料理を食べてもらえれば・・・。」


最上 「それは味の判別ができる前提での話だよね。そもそも、みっちゃんのは料理ですらないからね?」


三隈 「うっ。今日のもがみんは刺々しいですの・・・。」



暗殺者の弟子


南方戦「まだ、いける?あと3個あるけど。」


黒霧 「・・・呑み込む。」


南方戦「いや、そこまでして食べなくても・・・。」


サァ コイ ジャア イクワヨ?


時雨 「そいっ。」パクッ


黒霧 「眠、君も来てたんだね。相変わらず気配を消すのが上手い。」フフッ


時雨 「んむむむむ。」モゴモゴ


南方戦「ちゃんと呑み込んでからにしなさい。」


時雨 「ん、弟子になりにきたよ。に・い・に。」ニコッ


黒霧 「僕の呼び方はそれで決定なんだ。」アハハ



特に意味は無い。


雷  「時雨!やさぐれ!蝉時雨!」


夕立 「グレンダ!グロッタ!ボーマンダ!」


雷  「ウガンダ!るらんらして遊ぼ!」


夕立 「ぽいっ!」


ウアァァァァ!!


真宵 「喧しいぃ!時雨が異動したくらいで喚くな、小娘共!」クワッ


ゴメンナサイ!



史実は全く考慮しません。


扶桑 「でも、もう少し時雨ちゃんと話がしたかったわ。」


山城 「そうですね、姉様。」


加賀 「改造組のあの娘に西村艦隊の記憶は無いのだけど・・・黙っておくのが優しさかしら。」


山城 「口に出てんだよ、第壱夫人さんよぉ。」ビキッ


加賀 「やりますか?エセ不幸艦。」ゴゴゴ


真宵 「貴様らもいい加減にしろ!サシ飲みするくらいに仲が良いくせして下手な芝居をしおって!」


加賀城「んなぁ!!///」カァッ


扶桑 「あら、山城。加賀さんと仲良しだったのね。安心したわ。」ウフフ


山城 「違うんです!これは・・・その、とにかく違うんです!///」ワタワタ


加賀 「やってくれたわね、あなた。///」キッ


真宵 「知ったことか。バレたくなければ、もう少し上手くやることだな。今更だが。」ハッ



世界中にハレルヤを


五月雨「遂にこのときが来てしまいました。訓練の時間です。」ムン


蓮華 「射出制御装置の設定は既に完了している。いつでもいけるぞ。」


五月雨「ありがとうございます。では、準備はいいですか?撫子ちゃん。」


朧  「当たり前田のクラッカー。」キリッ


五月雨「砲撃、開始ぃ!」


蓮華 「ウラー!」ボカーン


チュドーン


朧  「なんのなんの。」


チュドーン


朧  「それからどしたい。」


チュドーン


朧  「えんやー こーらよ すっとこどっこい こーらしょ はぁーあ どり・・・」


五月雨「我慢大会じゃねぇんだよ!ちったぁ回避しようとしろぉ!」クラァ!



踊れや踊れ


最上 「おー。やってるやってる。何度見ても凄いなぁ、あの装置。五月雨ちゃんはあれを余裕で躱すんだよ?」


潮  「撫子ちゃん、大丈夫かな。」


最上 「他人の心配をしてる暇は無いよ?こっちはこっちで色々と大変なんだから。」


潮  「はい!よろしくお願いします!」ムフー


最上 「それにしても砲撃を受けながら踊るなんて・・・。凄い娘だね。」



彼が壊れたのは何時のことだったか。


漣  「うはー。全弾命中じゃん。なんで平然と踊ってんだよ。」


黒霧 「それが撫子の目覚めた能力だから、じゃないかな。」


時雨 「能力に、目覚める?」ウン?


神命 「兄様、まさかもう手を出して!?」ハッ


黒霧 「手を出したとは人聞きの悪い。僕はただ、撫子の捻挫を治しただけだよ。内側からね。」フフッ


神命 「確信犯じゃん!もう!一途なのか浮気性なのか、はっきりしてよ!」


黒霧 「さぁ?僕にもよくわからないかな。人格が大渋滞を起こしてて、もう何がなんだか。」


神命 「・・・どゆこと?」


黒霧 「僕の中に一途な人格が何人も居るってこと。まぁ、結果浮気性のクズ野郎?」


神命 「自覚してやってるだけ猶悪いような・・・。」エェ


黒霧 「因みに、オリジナルの僕が愛した女性は君だよ。」シレッ


神命 「え・・・?うぇえ!?///」ボンッ



僕の中に誰か居るの?


神命 「私の夢が、叶って・・・。」ポロポロ


黒霧 「泣くことないじゃないか。まったく、神命は本当に・・・。」ポム


神命 「だって、だってぇ!私がその言葉をどれだけ待ってたと、思って・・・!」ヒグッ


黒霧 「ごめん。今の僕には誠実さの欠片も無いからさ。黙ってた。口の軽い"僕"が言っちゃったけどね。」


時雨 「あのさぁ。ふたりの世界に入るの、やめてくれないかな?」


漣  「そうだぜ、師匠。撫子の話が途中だってーの。」


黒霧 「じゃあ、一言で済ませようか。撫子の能力について、僕は何も知らない。以上。」


漣時雨「はぁ?」


黒霧 「授かる恩恵の具体的な内容は誰にもわからない。既に恩恵を受けている娘達の権能に関しても憶測に過ぎないのさ。」



絶対に負けないMの者。


時雨 「にぃにはどう見てるの?あの娘・・・。」


漣  「撫子。」


時雨 「撫子ちゃん、の能力について。」


黒霧 「そうだね。あの砲弾は負傷しないように改造してるんだけど、当然ながら中たれば痛い。」


漣  「でもさ。じぇんじぇん痛そうには見えねーべ?マゾにでも目覚めたか?」


黒霧 「仮にそうだとしたら、恍惚とした表情をしてると思わない?神命みたいにさ。」


神命 「聞こえてるぞー。」


黒霧 「聞かせてるんだよ。」フフ



第三の瞳は開かない。


時雨 「撫子ちゃんの表情を見る限り、痛み自体を感じていないみたいだね。」フム


漣  「お?撫子の足下さぁ。波の立ち方おかしくにゃいかえ?」


黒霧 「まるで、砲撃による衝撃を海に逃がしているみたいだね。」


漣  「ほほう。衝突のエネルギーを吸収&放出しているわけですな?」ニヤッ


黒霧 「おそらく。若しエネルギーを一時的に蓄積した上で自在に放出できるなら、戦術の幅が広がるんだけど・・・。」


朧  「ほぁあああ!どどん波!」ピウン


チュドーン ナンジャソリャー!


黒霧 「できるみたいだね。」フフッ


漣  「撫子よ、てめぇいつの間に艦娘まで卒業しやがった。」



決意は堅く、絆は固く。


時雨 「いいなぁ。ボクも能力ってやつが欲しいなーなんて。」チラリ


黒霧 「能力を得て、何をするつもりなのかな?」


時雨 「それはまだ決めてないよ。だけど、いざ誰かを護ろうと思っても、充分な実力がないと護れないでしょ?」


黒霧 「確かに、そうだね・・・。」


時雨 「同じ轍は踏まん。私は強くなる。そして護るべき者を護り抜いてみせる。嘗ての私やお前とは違って、な。」フッ



義理の兄弟姉妹と仲良くできる気がしない。


時雨 「だから力を貸してよ、にぃに。倒すべき相手が誰なのかは知らないけど、護るべき相手は知ってるからさ。」ニコッ


黒霧 「へぇ。君に護られるほど、耄碌した覚えは無いんだけど?」


時雨 「言うねぇ。爺を通り越して木乃伊になってるような歳のくせに。温和しく義妹に護られてなよ。」


黒霧 「南も長瀬狭霧のクローンだから、眠は僕にとって義姉でもあるんだけどね。」フフッ


時雨 「お前の家系図どうなってんだよ・・・ていうか、まだ姉妹が居たなんて聞いてないぞ。」ジトー


黒霧 「素が出てるよ、眠義姉さん。」ニィ


時雨 「やめろ。鳥肌が立つ。」ゾワッ



小学校で習ったからわかるだろって?


曙  「気体は暴れ者、液体は落ち着きがなくて、固体は動じない。」フム


紫苑茜「どう?それぞれの状態に於ける分子の動きはイメージできた?」


曙  「なんとなく。」ウン


紫苑茜「じゃあ、水で状態変化の練習をするわよ。まずは凝固からね。それができたら融解と蒸発、最後に昇華の順で。」


曙  「お姉ちゃん、日本語で説明してよ。」


紫苑茜「日本語よ、お莫迦。」



んな昔のことは忘れた。


紫苑茜「い~い?分子同士はファンデルワールス力ともいう分子間力によって引かれ合ってて・・・。」ウンヌンカンヌン


曙  「お姉ちゃんが宇宙人になった。」オゥ


近衛麗「なんとなくやればなんとかなるんじゃな~い?」グデッ


曙  「あんたはなんで此処に居るのよ。」


近衛麗「外寒い、無理。」


曙  「わかる。」


近衛麗「暖かい部屋でまったりするのが一番よ。身の回りのことはパパがやってくれるし。」


曙  「いいわね。お姉ちゃんも色々と世話を焼いてくれないかしら。」



興味の無い話だと真面目に聴いても秒で忘れるのは私だけだろうか。


紫苑茜「ちょっと、ちゃんと聴いてる?」


曙  「聞こえてはいるわよ。何を言ってるかはわからないけど。」


紫苑茜「灯・・・。あんた、わたしのふたつ名を知ってるかしら?」


曙  「知ってるわけないじゃない。姉妹だってわかったのも昨日のことなんだから。」


紫苑茜「わたしはね、里で"妖艶の毒師"って呼ばれてたの。」フフフ


曙  「あっそ。で、何?」


紫苑茜「色んな毒を開発してね。その中には生死の境を彷徨った挙句にちょっとだけ物覚えが良くなる毒があるの。だから口開けなさい。」


曙  「へぇ・・・え?」


紫苑茜「これでわたしの話がわかるようになるわ。遠慮しなくていいのよ?死にはしないから。ギリね。」ニタァ


曙  「お、お姉ちゃん?ちょっと、瞳が恐いなぁ・・・なんて。」アハハ


イヤァァァァ!!


近衛麗「パパのお仕置を思い出すわね~。」シミジミ



やめろ!貴様の体軀ではっ!


最上 「さて、ボクが使ってた艤装を装着してもらったわけだけど。どう?重い?」


潮  「いえ、このくらいが丁度良いです。駆逐艦の艤装は軽くて照準が・・・。」エヘヘ


最上 「ほんとに力持ちだね、姫百合ちゃん。素の状態でこれだと、恩恵を授かった後が怖いな~。あっという間に追い抜かれそう。」フフ


潮  「恩恵、ですか?」


最上 「詳しい話はクロさんに訊いてね。それより・・・大和砲、撃ってみたくない?」ニッ


潮  「いいんですか!?」キラキラ


最上 「骨にひびが入るかもだけど。まっ、なんとかなるでしょ!」


潮  「・・・え?」



かい・・・かんっ。


最上 「さぁ、準備はいい?」ガション


潮  「む、無理です!」ガタガタ


最上 「いっくよ~!」


潮  「私の話を聴いてくださっ。」


ドォォン!


潮  「っ~!!」ビリビリ


最上 「ん~!この熱風、この衝撃波。最高・・・。///」アハァ


潮  (駄目だ、この人・・・。)グッタリ



店長、皿を洗わせてくれないか。


カタカタ


三隈 「窓が・・・もがみんですわね。」ジャー


レ級 「重巡のくせに巫山戯た威力してるよなー。俺のタイラントといい勝負だぜ。」フキフキ


三隈 「資料でしか拝見したことはありませんけれど、そんな名前でしたの?」


レ級 「俺のはちっと特殊だからな。見たいなら、見せてやってもいいぜ。」ニヒッ


三隈 「ぜひ、お願いしますの。」フフッ


レ級 「おう。じゃあ、さっさと洗い物片付けねぇとな。」



今更の疑問


漣  「師匠、なんで海に立ててんの?」


黒霧 「原初の霧で足場を創ってるんだよ。霧自体は魔力で操作できるから、空だって歩けるよ。」


漣  「ほえ~。」


時雨 「それよりさ。いつまで引っ付いてるつもりなのかな?」


神命 「浸ってるの。兄様の愛に。」ムフフ


漣  「溺れてるんでねぇの?」


神命 「そうともいうー。」ンフー


黒霧 「後でいくらでも付き合ってあげるから、一旦離れようか。訓練の時間だ。」



力とは継続なり。


時雨 「弟子にしてくれとは言ったけどさ・・・。」


黒霧 「ちょっと筋力が落ちたかな?」コキコキ


時雨 「いきなり模擬戦?」


黒霧 「戦線から退いて、もう随分経つからさ。勘を取り戻そうと思ってね。」


時雨 「ふーん。ま、別にいいけど。」


黒霧 「じゃあ、やろうか。」オォォ


時雨 「ふふっ。またこの爪で斬り裂いてあげるよ。」ニィ



想像力を働かせま。


シュンッ


時雨 「後ろ。」キィン


黒霧 「瞬影に反応できるとはね。」ヘェ


時雨 「まぁね。」シュパッ


黒霧 「おっと。相変わらずの切れ味だね。服が少し斬れた。」ハラッ


時雨 「おかしいな。そのムカつく澄まし顔に傷を付けるつもりだったのに。」


黒霧 「少し、本気を出そうかな。」ユラッ


ドゴッ カハァッ


時雨 「な、何が・・・。」ガクッ


黒霧 「古武術の一種だけど、人には認識できない動きがあってね。その体捌きで間合いを詰めたのさ。」


時雨 「くっ!」バッ


ブァッ


黒霧 「針手裏剣とは、また陰湿なものを。」


時雨 「剣圧で吹き飛ばしたか。だが!」グイッ


ピシィ


黒霧 「おや。」ギチッ


時雨 「捕まえた。」ニィ


黒霧 「鋼糸か。予め足下に編み込んでおくとは、フライングだよ?」


時雨 「勝敗は開戦の前より決している。これが良い例だろう?」


黒霧 「そうだね。それじゃあ、気を取り直して。」ファァ


時雨 「なっ!身体が霧に・・・!」


黒霧 「本物の僕が相手をしようか。」フフッ


時雨 「今までのは分身か?いけ好かない野郎だ。」チィ


漣  「分身の術。なんかかっけー。」キラキラ


神命 「澪ちゃん、兄様に騙されてるよ。兄様は一言も今までのが分身だなんて言ってないからね?」



仮面の意味


黒霧 「」スッ


時雨 「仮面?今更だな。」ハッ


黒霧 「奥の手は、隠してこそ意味を成すものでしょ?」フフッ


ユラァ


時雨 「外套仮面がふたり・・・か。」


漣  「うおぉ!リアル分身の術!」キタコレ!


神命 「仮面で顔周りの構造を簡略化してるとはいえ、人体の複製は相当疲れるはずなのに。本気出しすぎだよ、兄様。」ヤレヤレ




考えれば考えるほど。


時雨 (見た目では判別がつかん。となると、殺気を読むしかないか。)ジリッ


黒霧 「いくよ。」シュンッ


時雨 (片方は背後に飛んだが、殺気は感じられん。ならば!)バッ


ドクンッ


時雨 (っ!急に殺気が!いや、これは本物の殺気を隠す為のフェイク。本命は、前!)シュパッ


サァァ


時雨 「分身・・・だと!?」


テシッ アイタァ!


黒霧 「はい、もう一回。」ユラァ


コッチダ! ハズレ テシッ アッダァ!


時雨 「貴様!手刀はやめろ!頭が割れそうだ!」グスッ


黒霧 「君が本物の僕を見分けることができたなら、考えてあげてもいいよ?」ニタァ


時雨 「くそっ!絶対に見抜いてやる!」キッ



赤子の頭蓋は隙間だらけ。


時雨 「頭蓋がへこむまで叩きやがって・・・ちくしょう。」


黒霧 「痛いの痛いの、飛んでけー。」ヨシヨシ


時雨 「それで治るなら世話ねぇんだよ!くそったれ!」


黒霧 「はいはい。悪かったから、取り敢えず口調を戻そうか。」


時雨 「いつか仕返ししてやる。」ムスッ



理不尽を乗り越えてこその成長だ。


漣  「ボッコボコにやられてたにゃ~、時雨たん。」


神命 「始めから勝ち目も終わりもない模擬戦だったからね~。」


漣  「というと?」


神命 「だって、あの分身全部が本物にも偽物にもなれるんだもん。」


漣  「反則じゃん、それ。」エェ


神命 「そういう人なんだよ、兄様は。」



結局皆の力を合わせたほうが強い。


ドカーン ボカーン


朧  「ちゃ~ら へっちゃら 何が起きても気分は へ~のへのかっぱぁ」~♪


五月雨「どうやら真面目に訓練を受ける気が無いようですねぇ。」イライラ


蓮華 「砲撃でダメージを負わないのなら、回避の必要はないからな。訓練計画を練り直さねばなるまい。」


五月雨「それはまぁ、これから考えるとして。なんですか?あの構えは。まるでかの有名なげんきだ・・・ま。」ピシッ


蓮華 「正しくだな。透明でわかりづらいが、何かが浮いている。」フム


五月雨「蓮華ちゃん。あれが落ちてきたら、どうなると思いますか?」タラー


蓮華 「この基地くらいは軽く吹き飛ぶんじゃないか?」


スゥー


五月雨「お父さぁぁん!」



周りにも気を配りましょう。


漣  「なんじゃありゃ。」エェ


蓮華 「超特大のエネルギー弾だ。あの大きさなら水爆並みの威力があってもおかしくはないな。」


時雨 「どうして途中で止めなかったのさ。」


蓮華 「気づいたときには手遅れだった。」フッ


漣  「今日が人生最後の日か・・・。」トオイメ



人の痛みを知れぇ!


朧  「もっと、もっとだ・・・俺に痛みをくれぇ!」クワッ


漣  「撫子や~い!絶対に落とすなよ~!」


朧  「これが俺の痛みだぁ!」ブン


漣  「フリじゃねぇんだよ!どう考えても洒落になってねぇだろうが!莫迦か、てめぇ!」


ヒヤァァァァ!!



笑って逝けるなら本望さ。


五月雨「総員、退避ー!!」ピピー


漣  「逃げるたって、何処に!?」


蓮華 「父上の後ろだ!来い!」


時雨 「にぃにが盾になってくれるって!」サッ


黒霧 「身代わりは勘弁だよー。」


ズォォォォ キタァァ!! イヤー!!


黒霧 「原初に帰せ。」スッ


ブァッ サァァ


黒霧 「まったく、撫子の能力が魔力由来のものじゃなくてよかったよ。」ヤレヤレ


時雨 「魔力由来だったら?」


黒霧 「全員、御陀仏だったね。」フフッ


時雨 「笑い事じゃないったら。」モウ



ひとりランペイジ


レ級 「タイラントを顕現させるのも久し振りだな。拗ねてねぇといいけど。」


三隈 「拗ねるって、あれは生物ですの?」


レ級 「まぁ、一応?」


三隈 「自分の艤装でしょうに。きちんと把握してませんの?」


レ級 「別にいいじゃねぇか。あいつらは暴れられれば、それでいいんだからさ。」


三隈 「だから暗殺者の才なしとクロさんに・・・て、"あいつら"?」ウン?


レ級 「来い、タイラント。」バッ


ズォォ


三隈 「」オゥ


レ級 「どうだ?かっけぇだろ?」ニヒヒ


三隈 「竜の頭がひぃ、ふぅ、みぃ・・・よっつですの。」



もっといい候補があれば教えてくりゃれ。


三隈 「生物砲台・・・。砲台要素は何処に。」


レ級 「ブレスが使えるぜ。」ニヒッ


三隈 「実演は結構ですの。とんでも吃驚なのは見てわかりますの。」


レ級 「なんだよ、つまんねぇの。」チッ


三隈 「その代わりといっては何ですけれど、紹介していただけまして?」


レ級 「おうよ。この紅いのが炎竜・ヘルズ。蒼いのが氷竜・ニブル。紫が毒竜・ヒドラ。黒と黄が交じったのが雷竜・シュガルだ。」


三隈 「悉く三文字程度の名前ですのね。」


レ級 「それ以上は覚えられねぇからな、俺が。」ムフン


三隈 「三隈は貴女の将来が心配ですの。」



竜と龍


龍驤 「ほー。レ級の奴、あんな艤装持ってたんか。訓練基地最弱はあの娘か思うてたけど、これは考えを改めなあかんなぁ。」


ヲ級 「レーちゃんが従える生物艤装は"竜"なの。間違っても"龍"じゃないの。」


龍驤 「西洋で邪悪の象徴とされる竜と、東洋で神聖視される龍か。ちゅーことは、あの四つ首も相当に凶暴ってわけやな?」


ヲ級 「一度火が点いたレーちゃんは敵を殲滅するまで止まらないの。深海の獅子の名は伊達じゃないの。」ムフー


龍驤 「まだ成長途中の段階でそれか。人類の未来は暗いなぁ。」トオイメ



競争の世界、順位付けは大事。


龍驤 「ヲーちゃん的に、この基地の番付ってどないや。」


ヲ級 「一番はお父さんで決まりなの。崩壊の能力には、誰も太刀打ちできないの。」


龍驤 「ま、クロさんは順当やな。」


ヲ級 「次がヲーちゃんで、五月雨お姉ちゃん、レーちゃんの順なの。」


龍驤 「ほう。ヲーちゃんが二番目か。でも、あんな無茶苦茶な艦載機運動を見せられたら納得してしまうな。」


ヲ級 「ヲーちゃんのオーバー・ソニックに対抗できるのはお父さんだけなの。その点で、ヲーちゃんに軍配が上がるの。」


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんは、単純に攻撃が中たらないの。レーちゃんは火力と耐久力が異常なの。」


龍驤 「他の面子はどうや?」


ヲ級 「情報不足で何とも言えないの。ただ、確実に最弱はお母さんなの。膂力も体力もなさすぎなの。」ヘッ



頼られて嬉しくない者は居るのか。


曙  「」チーン


紫苑茜「流石にやりすぎたかしら?」


近衛麗「実の妹に毒を盛るなんて、あんたもやるわね~。」


紫苑茜「灯のことを想えばこそよ。勝手に自分の限界を決めて諦めて。そんな生き方してたら、陸な大人にならないわ。」


近衛麗「そうかもね。でも、だからって毒に頼るのはどうかと思うわ~。」


紫苑茜「これは単なる契機に過ぎないわよ。物覚えが良くなるなんて嘘だし。」シレッ


近衛麗「は?じゃあ、この娘に飲ませたのって・・・。」


紫苑茜「毒素を攻撃する特殊な毒よ。抗体とは違って発熱を伴わないから、今後灯が病気に罹ることも風邪を拗らせることもないわ。」


近衛麗「最早、毒というより万能薬ね。でも、だったらどうしてこの娘は気絶してるのよ。」


紫苑茜「態度が大きいだけで根っこはビビりだからよ。ほんと、しょうがないんだから。」フフッ



能力に目覚めるのは、大体ピンチのとき。


曙  「んん・・・。あれ?私、どうして・・・。」ムクリ


紫苑茜「あら、やっとお目覚め?」


曙  「おねえちゃ・・・。」ピタッ


紫苑茜「どうしたのよ?」


曙  「いや、なんでもな・・・い。」サー


近衛麗「何よ。そんなに見つめても濡れないわよ。」


紫苑茜「昼間っから何口走ってんのよ。」バシッ


アタッ



見たくないものまで見えてしまうのは、相当な苦痛だと思う。


曙  「痺れ薬を盛って関係を迫り、姉の身代わりとなった弟の貞操を奪う・・・。」ボー


紫苑茜「あ、灯・・・?」


曙  「極刑を科せられた囚人を集め、その悉くを腹上死させる。」ガタガタ


近衛麗「それ私だ。懐かしいわね~。パパと出会う前、やんちゃが過ぎた頃のことよ。」ケタケタ


曙  「お姉ちゃん。私、おかしくなったの・・・?文字が空に浮かんでる・・・。」ヒグッ


紫苑茜「違うわよ。灯はただ、能力に目覚めただけ。安心して、大丈夫だから。」ヨシヨシ



今年の雪は猛烈だね。


紫苑茜「紫苑の血筋だから、分析系の能力だとは思ってたけど・・・。まさか"他人の過去を見る能力"とはね。」


近衛麗「嫌な能力だわ。パパにも秘密にしてることがバレちゃうじゃない。」ヤーネ


紫苑茜「あら、しーちゃんに知られて困ることがあるのね。」


近衛麗「当然。父と娘よ?隠し事が全く無いだなんて、気持ち悪いわ。」ウフフ


紫苑茜「そうね。まぁ、わたしはしーちゃんに隠してることなんて何も無いけどね。」フフッ


近衛麗「気持ち悪いわ~。」ケタケタ


紫苑茜「褒め言葉よ。」フフン



異常者の集い


曙  「お姉ちゃん。過去を見る能力ってことは、さっきのあれは・・・事実なのよね。」


紫苑茜「そうよ。痺れ薬を盛って、しーちゃんの初めてを貰ったわ。」ウフフ


近衛麗「奪ったの間違いでしょ?」


紫苑茜「合意は得たわよ?あーちゃんを人質に取ってたことは否定しないけど。」


近衛麗「最低ね。」


紫苑茜「己の快楽が為に、命まで奪うあんたには言われたくないわね。」フフフ


近衛麗「どうせ処刑されるんだからいいじゃない。最期にいい思いをさせてあげたんだから、寧ろ感謝してほしいくらいよ。」ニィ


ウフフフフ


曙  (誰か、助けて・・・!)ガタガタ



最近、肩凝りがヤヴァイ。


漣  「おう、こら撫子。てめぇには常識ってもんがねぇみてぇだな。」オウオウ


朧  「腹が立ったからやった。反省はしていない。」キリッ


漣  「ボロ雑巾みてぇにしてやろうか?」オォン?


朧  「やれるものならばやってみろ。いや、寧ろやってみせろ!」クワッ


漣  「上等じゃ、こらぁ!泣いて謝ったって止めてやんねぇかんな!レーちゃんさん、お願いします!」サッ


レ級 「あ?・・・俺?」


朧  「さぁ、来い!私に傷を付けてみろ!」フハハハ



失敗は若いうちにしておけ。歳食ってからは洒落にならん。


レ級 「どうなっても知らねぇぞ?」コイ タイラント


朧  「くはは!いいぞ!ドラゴンヘッド!!」ハッハー


レ級 「加減してやれよ、ヘルズ。」ボソッ


レ級 「灼き尽くせ!非情なる蒼炎!」


ゴォォォォ ヌアァァァァ!


朧  「・・・。」ケホッ


レ級 「あー。大丈夫か?」


朧  「救急車・・・。いや、霊柩車・・・。」ガクッ



幸か不幸か。それは人の感じ方による。


レ級 「父ちゃ~ん、今度はほんとにきゅうか~ん。」


漣  「撫子!お前はこんなところで終わるような奴じゃない!そうだろぉ!」ダキッ


朧  「ちゃん・・・み、お・・・。」ニコ


ナデシコォ!!


黒霧 「また君は・・・。」ヤレヤレ


ンッ


朧  「これを待っていたのだぁ!!」フッカツ!


漣  「たかがキスに命懸けてんじゃねぇよ!今回ばかりは本気で心配したんだぞ!」グイッ


朧  「ふっ。ぱぱのキスは命よりも重いのん。」キリッ


漣  「くっそ。あたしの手にゃ負えねぇぜ。加勢してくれい!ぱぱん!」


黒霧 「僕は誰かを特別扱いしたりしない主義でね。おいで、ふたり共。抱き締めてあげる。」ホラ


ワーイ トウッ グ マタズツキヲ・・・


レ級 「・・・隠し子か!?こうしちゃ居られねぇ!南姉に知らせねぇとっ!」ダッ



血縁と愛情の深さは無関係。


朧  「むふふ。いいな、この温もりは・・・。」スリスリ


漣  「師匠、まじでぱぱんって呼んでもいい?」ムフー


黒霧 「君には本当の父親が居るでしょ?」


漣  「あたしゃ、母子家庭なのよ。」


黒霧 「おっと。それは失礼しました。」


漣  「じゃ、詫びとして里親決定な。ぱぱん。」ニッ


朧  「撫子もよろしくなのよ、ぱ~ぱ。」ニパッ


黒霧 「まったく、君達は・・・。可愛さが過ぎるよ、もう。」ギュッ


漣・朧「えへへ~。」



告白する勇気が無いなら、せめて受け止める覚悟を持て。


三隈 「嗚呼、競争率がどんどん上がっていく・・・。」


ヲ級 「ヲーちゃんのお父さんなのに・・・。」ムー


時雨 「あんな奴の何処がいいのさ。」


ヲ三隈「全てですの!(なの!)」


時雨 「知ってた?その返しをするときは、特に理由が思い付かないときなんだよ。」


ヲ級 「否定はしないの。」


三隈 「え?」


ヲ級 「好きって気持ちを完璧に表現できるほど、言葉は万能じゃないの。それに誰かを好きになるのに理由なんて要らないの!」ムフー


三隈 「そうですわね。三隈も、ヲーちゃんの考えを全面的に支持しますの!」グッ


アーハッハッハ


時雨 「いいね、君達は。自分の心に正直になれてさ。」



欠点こそ愛しなさいと誰かが言った。


パーパ パーパ ハイハイ パパデスヨ


最上 「あの~。家族団欒のところ申し訳ないんだけど、もうひとり治療をお願いできないかな~なんて。」アハハ


潮  「うぅ・・・。」カラダガ


漣・朧「姫百合!?」ドウシタ!?


黒霧 「まさか、大和砲を撃たせたの?」


最上 「一応、ボクが支えになってはいたんだけど・・・ごめんなさい。」


黒霧 「まったく、君は武器が絡むと結構なことをしでかしてくれるね。」ヤレヤレ


最上 「返す言葉もございません・・・。」ウッ



代償無き力に、何かを成す力はない。


黒霧 「姫百合、身体の何処が痛い?」


潮  「全身ですぅ・・・。」


チョットサワルヨ ハイ・・・


黒霧 「全身ガタガタだね。これは普通の治療じゃ完治は難しいかな。」フム


潮  「そんなぁ。」ウゥ


朧  「ぱぱうえ。こんなときこそ、アレの出番だ。」グッ


黒霧 「そうだね。潮、文句は後で聴くよ。」スッ


潮  「ふぇ?」


ンッ ンンー!! プハァッ


潮  「あ・・・あぁ・・・。///」カァァ


潮  「ひやぁぁぁぁ!!」ダット


漣・朧「姫百合~!無事に治ってよかったな~!」


潮  「よくないよぉ~!」ウワァァン


最上 「ほんとに、ごめん。姫百合ちゃん。クロさんも・・・。」クルッ


黒霧 「」フラッ


バシャン クロサン!?



ア〇メが斬る!の衝撃よ。


最上 「クロさん!クロさん!」ユサユサ


黒霧 「」


朧  「ぱぱうえ~!」ボロボロ


漣  「おい、目ぇ開けろよ!ぱぱになってまだ1分も経ってねぇんだぞ!」オイ!


三隈 「そんなっ!クロさん!」


ヲ級 「お父さぁぁん!」ウアァ


龍驤 「嘘、やろ・・・。」


時雨 「退け!私が診る!」サッ


五月雨「時雨姉さん、お父さんは大丈夫ですよね!ね!」


時雨 「・・・い。」


五月雨「え?」


時雨 「心臓の音が、聞こえないっ。」ギリッ


五月雨「」


ウワァァァァ!!



君死に給う事勿れ -与謝野晶子-


レ級 「南姉!早く!父ちゃんに隠し子がいたんだって!」グイグイ


南方戦「だから、あのひとがワタシに隠れてそんなことするわけないでしょ?するにしてもワタシに断ってからするわよ。」ハイハイ


レ級 「それはそれでどうなんだよ・・・。」エェ


南方戦「んなことはいいの。で?あのひとは何処・・・に。」エ?


レ級 「あ?何固まってんだ?南ね・・・え。」ハ?


南方戦「なによ・・・これ。どうしてアンタ達が泣いて、どうしてあのひとが倒れて・・・。」


五月雨「南ちゃん・・・。」ヒグッ


蓮華 「父上は・・・。」クッ


南方戦「そんなこと、あるわけ・・・。あのひとに、時雨に限ってそんなっ。」フルフル


レ級 「嘘だぁぁぁぁ!!」


近衛麗「も~何よ、うっさいわね~。何をそんなに騒いで・・・は?」


曙  「え・・・?何があったの?」


漣  「姫百合の治療をしたら、急に・・・ぱぱがっ!」ズビッ


曙  「治療?てか、ぱぱ?」ハァ?


潮  (若しかしなくても、私の所為!?)ガタガタ


神命 「大丈夫だよ。何が起きようと兄様は私がこの世に喚び戻すから。何度でも・・・ね。」


潮  (・・・恐い!)フェェ



死に近いが故に。


紫苑茜「確認だけど、しーちゃんは治療をした後に倒れたのね?」


漣・朧「」コクリ


紫苑茜「そう・・・。」スッ


時雨 「おい、何を!」


紫苑茜「今すぐ起きないと、身体中弄り倒すわよ?あーちゃん。」ボソッ


黒霧茜「それだけはやめろぉ!!」ズザァッ


一同 「はぁ?」


紫苑茜「あのねぇ。元から死んでるしーちゃんが死ぬわけないでしょうが。能力の使いすぎで気絶しただけよ。」


一同 「はぁぁ!?」


紫苑茜「まったく、人騒がせなんだから。」フフッ



花粉が・・・。


五月雨「ほんとに。本当に、大丈夫なんですか?」ウルウル


黒霧茜「ああ、大丈夫だ。疲れて眠っているだけだからな。」ナデリコ


五月雨「よかった・・・です。」グスッ


黒霧茜「泣くな、五月雨よ。お前の父は確かに此処に居る。何も言わずに別離の時を迎えるなど、私が許さん。」フフ


レ級 「父ちゃ~ん!」バッ


黒霧茜「おっと。今はお前の伯母だぞ?」


ヲ級 「うぅ。」ヒッグ


黒霧茜「ヲ級も来るか?」フ


ヲ級 「ばぁぁぁぁ!!」ダキッ


ヨシヨシ


蓮華 「母上・・・。」


黒霧茜「蓮華よ。いい加減に、その呼び方は改めたらどうだ?」


蓮華 「断る。魂は違えど、父上と母上は記憶を共有しているのだ。同一人物と言っても差し支えない。」


黒霧茜「そうか。」


蓮華 「そんなことはどうでもいい。今は私も、この時に浸らせてくれ。」


黒霧茜「ああ、来い。」


ギュッ


蓮華 「レ級。」


レ級 「なんだよ。」


蓮華 「邪魔だ、退け。」


レ級 「父ちゃんの無事がわかった途端にこれかよ。」クソガ



命を燃やせ。その時は近い。


南方戦「ったく。心配させないでよ、莫迦・・・。」


紫苑茜「しーちゃんの身体のことは南方ちゃんも知ってたでしょ?」


南方戦「そうね。だけど、あのひとが倒れるところなんて見たことないもの。発狂しなかっただけ、まだ冷静だったわよ。」


紫苑茜「後で、存分に甘えてきなさい。」ウフフ


南方戦「言われるまでもないわよ。もう、離れてなんかあげないんだから。」


紫苑茜「偶にはわたしにも貸しなさいよ?」


南方戦「ちゃんとワタシに許可を得た上で、本当に偶にならね。」


紫苑茜「欲が深いわね~。あまり度が過ぎると、身を滅ぼすわよ~。」ケタケタ


南方戦「上等よ。限りある命。灰も遺らぬほどに燃やし尽くしてやるわ。」フン



海に並べる石は無い。


漣・朧「ひとつ ならべて ぱぱのため~」


潮  「は なんだ」


漣・朧「ふたつ ならべて ままのため~」


潮  「あ どした」


漣・朧「みっつ ならべりゃ なでしこの~」


潮  「あ よいよい」


漣朧潮「よっつ そろって ちちこのえにし~」ヤー


曙  「どうしちゃったのよ。姫百合・・・。」エェ



子供の将来を想えばこそ。


曙  「本当にどうしたのよ。あんたが莫迦ふたりの悪巫山戯に乗るだなんて。」


潮  「今はね。何も、考えたくない気分なの。」フフフ


曙  「あっそう。・・・で、ぱぱって何よ?」


漣  「え?あかりん、ぱぱの意味知らないの?」エェ


曙  「知ってますけど何か?」ハッタオスワヨ


朧  「撫子と澪ちゃんは、正式にぱぱの娘になりましたの。」


曙  「・・・は?」


漣  「まぁ、所謂里親ってやつ?ちゃんと言質も得てるでね。法的許可は知らんけど。」


曙  「んな簡単に・・・て、若しかして姫百合も?」


潮  「ううん。私はまだ・・・。」


朧  「そう。」


漣・朧「まだ・・・ね。」キリッ


潮  「親子になるのは決定なんだ・・・。」アハハ


曙  「私はならないわよ。」キッパリ


ナンデサー ナンデモヨ



人を想う方々へ感謝の意を。


最上 「よかった。クロさんが無事で、本当に・・・。」ヘタリ


三隈 「まったくですの。一時はどうなることかと思いましたの。」


時雨 「ごめんね。僕が早とちりをしたばっかりに。」


最上 「それは仕方ないよ。心臓の音が聞こえなかったら、誰だって勘違いするって。」アハハ


三隈 「ええ。気が動転して何もできなかった三隈達に代わり、時雨さんは迅速に対応してくださいましたの。」


三隈 「感謝こそすれ、責めるようなことはありませんの。ありがとうですの。」フカブカ


時雨 「・・・どういたしまして。」フフ



久しく渾名でしか呼ばれていない。


最上 「そういえば、時雨ちゃんってクロさんのことを"にぃに"って呼ぶよね。」


時雨 「え?この流れでその話をするの?」


三隈 「そうですの。それは三隈も気になっていましたの。」


時雨 「三隈さんまで・・・。」エェ


最上 「どうしてなの?」


時雨 「え~。あまり大きな声では言えない話なんだけど。」


龍驤 「ならこっそり教えてくれたらええやろ。」ズイッ


時雨 「増えた。」アハハ


最上 「ほら。素直に吐いたほうが楽になれるよ~。」ニヒヒ


三隈 「三隈達はしつこいですの。」ニマニマ


時雨 「・・・わかったよ。」ハァ


時雨 「僕はね・・・。」


龍驤 「」つ拡声器


時雨 「"間宮こと長瀬狭霧の妹なんだ"」


・・・アレ?


最上隈「えぇぇぇぇ!?」


龍驤 「これは・・・やってもうたな。」ハハ



弟子は師匠に似る。


南方戦「へぇ。ワタシはてっきり、間宮本人かと思っていたけど・・・妹だったのね。」


時雨 「あのときは吃驚したよ。急に姉さんの名前で呼ばれたからさ。正体がバレたのかと思ったよ。」フフ


南方戦「ただ者でないことは、すぐにわかったわよ。身のこなしから何から、あのひとにそっくりだもの。」


時雨 「ふーん。にぃにほどの実力者と並べられるとは、光栄だね。」


南方戦「否定しないのね・・・。」ジッ


時雨 「嘘は吐かない主義だから。」ニィ


フフフフフ


三隈 「ふたりから殺気がっ。」ヒッ



失った者の決意


南方戦「何が目的?姉の仇討ちかしら?」


時雨 「始めはね。でも、そんな気も失せたよ。」


南方戦「あら、アンタの姉に対する想いはその程度のものだったの?」


時雨 「煽るような言い方はよしてもらえるかな。ボクが思いとどまっているのは、君の為でもあるんだからさ。」


南方戦「は?ワタシの為?」


時雨 「そうだよ。にぃにはボクから姉さんを奪った。だけど同時に、救ってくれてもいたんだ。」


時雨 「海軍の闇に触れて、荒みきっていた姉さんの心を・・・ね。君も、心当たりがあるんじゃないかな?」


南方戦「・・・そうね。」


時雨 「全く恨んでいないわけじゃない。だけど、私情に駆られてにぃにの命を奪おうものなら、君を始め多くの人が悲しむことになる。」


時雨 「そんなのはもう・・・嫌なんだ。」


南方戦「そう・・・。」


時雨 「だからボクは、強くなると誓った。にぃにの弟子になって、姉さんが愛したにぃにを・・・。」


時雨 「にぃにを愛する君達の幸せを護るんだ。」キッ



好きで此処に居るわけじゃない。


近衛麗「立派なものね~。到底、敵いっこない相手が仇だったとはいえ、そいつを愛する者の幸せが為に姉の仇を護ろうだなんて。」ニィ


神命 「・・・だ。」ボソッ


近衛麗「ん~?何と何が一緒だって~?」


神命 「耳が良いんだね、麗ちゃん。」ハハ


近衛麗「パパとお揃いよ~。私ったら、柄にもなく頑張ったんだから~。」ウフフ


近衛麗「で、何と何が一緒なのかしら?」


神命 「兄様と時雨ちゃんだよ。全部ひとりで抱え込んじゃってさ。見てられないよ・・・。」グスッ


近衛麗「・・・泣いてるの?」


神命 「どうして、どうして兄様が苦しまないといけないの?どうして関係も無い世界の為に兄様がっ!」ワッ


近衛麗「それ以上は駄目よ。」ギュッ


神命 「んむっ!」ムギュ


近衛麗「パパ達が何をしているのか、私にはわからない。だけど、貴女のその言葉が不適切なものだってことはわかるわ。」


神命 「むー。」フン


近衛麗「しっかりしなさい、神命。貴女は私の叔母なんだから。」フフッ


神命 「年上の姪なんて持った憶えはありませんー。」ムスッ


近衛麗「はいはい。」ヨシヨシ


ウー ハナセー



揺るがぬ愛を間違えば。


ヲ級 「Zzz」スヤァ


レ級 「」ウトウト


黒霧茜「流石に泣き疲れたか。」


五月雨「そうですね。私に再会したときと同じ・・・いえ、それ以上に泣いていましたからね。」フフ


蓮華 「まったくだ。」ピー カシャ


五月雨「またレーちゃんの寝顔撮ってるんですか?蓮華ちゃんも好きですねぇ。」


蓮華 「ああ、大好きだぞ。」ピッ ピッ


五月雨「おや。今日は随分と素直なんですね。お姉ちゃんは吃驚です。」ワオ


蓮華 「血を分けた姉妹を嫌うわけがないだろう。普段こそアレだが、私は家族を愛している。当然、レ級もだ。」フ


レ級 (聞こえてんだよ、くそが。///)チッ


蓮華 「聞かせているのだよ、阿呆。」


レ級 「んだと!」バッ


パシャ


蓮華 「赤面しながら怒るレ級。・・・ふむ。いいな。」ニヘラ


レ級 「誰だ、てめぇ。あの蓮華が、んなこと言うわけねぇだろ・・・。」ゾワッ


黒霧茜「諦めろ、レ級。あれが蓮華の本性だ。」



嗚呼、非常識の巣窟に一般教養の波が。


三隈 「三隈ですの!」クワッ


最上 「はいはい、三隈ですよー。」


三隈 「もがみん!なんですの?その気の抜けた返しは!午後一番の座学ですの。眠気を吹き飛ばすために元気よくいきますの!」フンス


最上 「気合いが空回りしないといいね。というか、ボクそろそろお昼寝の時間なんだけど。」クァ~


三隈 「教官は訓練生の模範となるべき存在ですのよ!?皆が勉学に勤しんでいる間に昼寝など、この三隈が許しませんの!!」クワッ


最上 「真面目だな~、みっちゃんは。それとも、訓練担当になれなかったから欲求不満なのかな~?」


三隈 「んな!?///」


最上 「お?適当言っただけなんだけど・・・図星だったぁ?」ニヤァ


漣  「えー。そういうのはちゃんと夜のうちに解消しといてよねー。」


朧  「神聖なる教場に不浄な身で立ち入ること勿れ。」ジト


三隈 「」ウッ


最上 「じゃ、頑張ってね~。」スタスタ


三隈 「ちょ!この状況をつくりだしておいて!」


モガミィィィ!!


曙  「此処にまともな奴は居ないのかしら・・・。」ハァ


潮  (・・・眠い。)ウトウト



SPI試験の非言語問題は中学入試の算数とほぼ同じ。


三隈 「静粛に!!」バンッ


漣・朧「五月蠅いのは先生だけでーす。」


三隈 「揚げ足を取るなぁ!!」バァン


メキィッ ア・・・ アーア


三隈 「と、ともかく!まずは貴女方の実力を見せてもらいますの。」


漣・朧「へーい。」


三隈 「思考力を問う問題が中心ですの。反対に知識があれば解ける問題は少なめですわ。レベル的には中学入試くらいでしょうか。」


曙  「ふーん。それならまぁ、なんとか・・・。」


三隈 「ですが!侮る勿れ、この問題は就職試験にも採用されていますの!」クワッ


漣・朧「な、なんだってぇ!」ガタッ


曙  「・・・え。」


三隈 「取り敢えずやってみますの。難しいと感じるか、易しいと感じるかは人それぞれですの。頑張りますの~。」ハイ


漣  「お~し。やったったんぞ~!」


朧  「おー。」


曙  (無理無理無理無理!)ダラダラ


潮  「Zzz」スカピー


オキロォ! スパーン アウッ



まずはできないことを認めよう。


三隈 「それでは総評に入りますの。」


漣・朧「いえー。」


曙  「意外に解けたわ。」フフン


潮  「」ズーン


三隈 「まずは、澪さんと撫子さん。」


漣・朧「うっす。」


三隈 「文句なしですの。ミスが無いことは勿論ですが、何より解くスピードが尋常ではありませんの。貴女達、本当に小学生ですの?」


漣  「失礼なっ。」


朧  「ちゃんと小学生なのん。」ムフー


三隈 「そうですの。では次に、灯さん。」


曙  「はい!」キラキラ


三隈 「何とも言い難い微妙な出来ですの。」


曙  「なんですって!?」ガタッ


三隈 「言語分野の国語は申し分ないですが、英語はダメダメですの。非言語も数式さえ絡まなければ、ですわね。」


曙  「総じて半分はできてるじゃない!これの何処が微妙なのよ!」


三隈 「今やった問題は時間さえ掛ければ、まず間違いなく解ける問題ですの。本来の倍以上の時間を取って半分は残念賞ですの。」キッパリ


曙  「なぁ!?」


三隈 「最後は姫百合さんですわね。」


曙  「ちょっと!まだ話は終わってないわよ!」


漣  「まぁまぁ。落ち着けよ、あかりん。」


曙  「これが落ち着いていられ・・・。」


朧  「沈黙のギャグボール!」テイ


カポッ モガッ


曙  「んあああああ!!」フピー



汚れちまった悲しみに -中原中也-


三隈 「気を取り直して、姫百合さんですの。」


潮  「はい・・・。」ドヨーン


三隈 「敢えて訊きますが、何問正解したと思ってまして?」


潮  「3問・・・くらい、です。」ズーン


三隈 「どんぴしゃり、ですの。国語の、それも本文の内容と一致する選択肢を選ぶ問題のみ正解ですの。」


潮  「自覚してます。」ウゥ


三隈 「どうして内容一致問題はできるのに、筆者の主張に関する問題はできないのでしょう。」


潮  「それは・・・。」グスッ


三隈 「それは?」


潮  「選択肢の内容が全部、本文と合致してるんだも~ん!」ウァァ


三隈 「事実と主張を読み分ける問題ですの。具体例が裏付けしている内容を選べば正解できますの。」ハァ


漣  「姫百合は純粋が過ぎるべな~。額面どおりに受け取っちゃうかんね~。」


朧  「つまり、それを正解している私達は。」


漣  「穢されちまったんだよ。この世界に・・・。」トオイメ


曙  「ふぴー!!」


漣  「いや、自分で外せるぜ?それ。」


曙  「///」カチッ スッ


朧  「莫迦め。」フ



取り敢えず撫でておけばいいとか思うなよ。


紫苑茜「失礼するわよ~。」ガラッ


漣  「お、せん姉じゃん。何か御用かにゃ~?」ヘッヘー


紫苑茜「あんた達の様子を見にきたのよ。元気っ娘ふたりが賢いのは知ってるけど、どの程度できるのか把握しておきたいし。」フフ


紫苑茜「で、どうだった?」


漣・朧「こんなもんよ。」フフン


紫苑茜「へぇ。これは予想以上ね~。やるじゃない。」ナデナデ


漣・朧「えへへ~。」ニマニマ


曙  「私のお姉ちゃんなのに・・・。」ムゥ


紫苑茜「灯はどうだったの?」


曙  「・・・ん。」スッ


紫苑茜「ふ~ん。半分くらい・・・か。まぁ、灯にしては頑張ったわね。」ヨシヨシ


曙  「ん・・・えへへ。」ニヘラ



他人に認められて初めて価値は生まれる。


漣  「全く期待されてないってことに気づいてないのかね・・・。」ヤレヤレ


朧  「沈黙のぉ。」スッ


漣  「ちょい。そんなあかりんの粘液まみれのモノで物理的に口を封じる気かね。」タジ


朧  「間接粘液交換玉!」テイッ


漣  「のわっ!いくらあかりんのでもそれだけは勘弁なのよ!」グググ


朧  「よいではないか、よいではないか。」グググ


漣  「ぬおお。落ち着けぇ、撫子。これをそのままネットオークションに出品すれば相当な金になるぜぇ。」ヘヘ


朧  「ちゃん澪の付加価値で更に倍だどん。」クク


漣  「くっそ。墓穴った!」


朧  「覚悟!」


三隈 「いい加減に・・・しろぉ!!」ドゴォ


バコーン! ・・・ヒェ



怒ることもまた優しさ。


三隈 「ぜぇ・・・はぁ・・・。」


漣  「あの、みっちゃん先生?」エット


三隈 「あぁ?」ギロッ


漣  「調子に乗りました。すみませんでしたぁ!」ドゲザ


三隈 「・・・。」ジロッ


朧  「・・・ごめんなさい。」オゥ


三隈 「次、また同じようなことがあれば・・・。」


漣・朧「はい。」


三隈 「三隈のソーラーレイが降り注ぐ中で、ダンスを踊っていただきますの。」ニッコリ


漣・朧「」ガタガタ


曙  「・・・。」ヒシ


紫苑茜「はいはい、わたしがついてるわよ~。」フフ


潮  (助けて、真宵ちゃん!)グスッ



紅蓮の日常


鳳紅蓮「ふ・・・ふ・・・。」グッ グッ


比叡ミニ「む~。まだまだぁ!」キラッ


霧島ミニ「腕立て伏せならば、私も負けません!」ムフー


ウォォォォ!!


金剛 「まったく、私の妹は脳筋ばっかりで困りますネー。」コクッ


金剛 「ん~。やっぱり午後のティータイムは最高デース。」フフー


金剛 「これで優雅な時間を共に過ごしてくれる殿方が居れば・・・。」チラリ


鳳紅蓮「比叡、訓練用の大岩は何処へやった?」


比叡ミニ「ああ、あれですか?拳を鍛えようと思って殴ってたら砕けちゃいました。」ニパ


鳳紅蓮「そうか。ならば、お前が重りの代わりになれ。」


比叡ミニ「了解です!"オスミウム"!!」ズシリ


ドウデスカ! イイフカダ


金剛 「顔は好いのに・・・勿体ないネ。」ハァ


金剛 「嗚呼、私の王子様はいつになったら現れるネー。」



やっと鍛える気になりまして。


金剛 「加賀も元帥とゴールインしたって聞きましたシ、いい加減に私も結婚したいデース。」ムー


金剛 「神命のところも幸せそうなのに・・・。どうして私の近くに居る男は・・・。」チラリ


鳳紅蓮「霧島、付き合え。」コキコキ


霧島ミニ「魔力操作ですね。いいですよ。」


鳳紅蓮「ふー。・・・大地の息吹。」ゴォ


チリチリ フム


霧島ミニ「私の"耐熱装甲"を以てしても少し熱かったですね。毛先が傷みました。」


鳳紅蓮「加減が足らねぇか・・・。」


霧島ミニ「全力を出し切ることも難しいですが、力の調整は殊更に難しいですからね。練習あるのみです。」ムン


鳳紅蓮「ああ、そうだな。もう一度頼む。」スッ


バッチコイデス


金剛 「恋愛対象どころか、異性として見られている気がしないネ・・・。」ハァ


金剛 「というか、榛名は何処に行ったネー。」



するにしても宿の手配くらいしてください。待つほうは気が気でないです。


榛名ミニ「加賀さん、直近の資材消費量から今後の貯蓄推移を概算してみました。」ドウゾ


加賀 「ありがとう。助かるわ。」ウケトリ


榛名ミニ「居候の身ですから、この程度の貢献は当然です。」フフ


真宵 「そのことだがな。家出なんぞしてないで、さっさと帰ったらどうだ?」


榛名ミニ「嫌です。あんな暴力島に帰るくらいなら、此処で書類に埋もれていたほうがマシです。」ニコニコ


真宵 「そこまでか・・・。」ヤレヤレ


扶桑 「暗黒時代の大本営を生き抜いた貴女が逃げ出すだなんて・・・余程のことがあったのですね。」


榛名ミニ「別に、態々家出をするほどのことは起きていません。少し距離を置きたいだけです。」


真宵 「ならばすぐにでも・・・。」


榛名ミニ「嫌です。あの脳筋共が私の苦労を知り、それを理解して反省するまでは、絶対に嫌です。」フン


真宵 「元々独りだった紅蓮に対してそれを求めるのは、些か無謀だと思うがな。」ボソ


山城 「不幸だわ・・・。」ヨヨヨ



何処に逃れたところで苦労はあるさ。


真宵 「まぁ、それは追々解決するとして・・・。あいつらの様子はどうだ?霧島の報告では金剛が紅茶欠乏症で暴れたとか。」


榛名ミニ「その件に関しては思い出したくないです。」


山城 「相当暴れたんですね・・・。」ヒソヒソ


真宵 「そうだな。」


加賀 「山城、顔が近いですよ。」ジト


山城 「・・・。」ニヤ


チュ


加賀 「山城・・・?」ベキィ


山城 「私もまーちゃんのお嫁さんですから。」フフッ


扶桑 「ああ、万年筆が・・・。加賀さん、もうこれで今月3本目ですよ?山城も煽らないで。」メッ


榛名ミニ「こっちはこっちで疲れそうですね。私には関係ありませんけれど。」



それで何かが変わるならば。


榛名ミニ「いいご身分ですね、閣下。見目麗しい大和撫子の、それも3人からこれほどまで愛されて。」ニコニコ


真宵 「喧しい。端から見れば紅蓮のほうが余程からかい甲斐のある状況だろうが。」


榛名ミニ「状況だけですよ。」ハァ


真宵 「だろうな。」


榛名ミニ「ですが・・・。」


真宵 「ん?」


榛名ミニ「最近、何だか紅蓮さんの態度が変わったというか・・・。」ムー


真宵 「ほう。具体的には?」ニィ


榛名ミニ「明らかに言葉遣いが違いますね。それはまだ身内と認められていないからかも知れませんが。」


榛名ミニ「後は、そうですね。やたら訓練に励んでいますよ。筋トレだけでなく、魔力操作に関しても・・・。」


真宵 「そうか。遂にあれも魔力操作の訓練をする気になったか。」フ


榛名ミニ「急にどうしたのでしょう。何かおかしなものでも食べ・・・。」ハッ


榛名ミニ「まさか比叡姉様のアレを!?」


真宵 「噂には聞いていたが、比叡の料理は人格を変えるほどなのか・・・。」


ブェックショイ! ヒエイネエサマ キタナイデス



日本語は難しいのね。


鳳紅蓮「サボっていたツケか、まったく上手くいかねぇ・・・。」チッ


霧島ミニ「こればかりは、私では何の助言もしてあげられませんからね。」


鳳紅蓮「時間がねぇってのに・・・。東に頭を下げるか・・・。」


イヤ ソレダケハナイナ


霧島ミニ「そもそも、何を焦っているのですか?今までは肉体を鍛えるばかりでしたのに。」


鳳紅蓮「・・・護るべきものが、できたからな。」


霧島ミニ「護るべき"者"ですか・・・。」フフ


鳳紅蓮「ああ、二度と同じ過ちは繰り返さねぇ。俺の十字架に誓ってな。」


ソウデスカ


金剛 「護るべき者ができた・・・。できた?」ウン?


金剛 「若しかして、若しかするネ!?」キラキラ



比喩表現が正しく伝わるのは玄人か第三者だけ。


金剛 「」ジー


鳳紅蓮「あ?なんだ。何か用か?」


金剛 「うふふ。紅蓮も素直じゃないネー。それならそうと言ってくれたらいいのに。私はいつだって、welcome ヨ。///」ポ


鳳紅蓮「こいつは何を言っている。」


霧島ミニ「今夜はお楽しみですね。」キリッ


鳳紅蓮「こいつは何を言っている。」


比叡ミニ「お姉様はきっと、夜のトレーニングを紅蓮さんと一緒にしたいんですよ!」


金剛 「比叡!?///」


鳳紅蓮「そうか。別に俺は構わんぞ。」


金剛 「ホント!?い、いや、でもやっぱりまだ早いと言うか・・・何と言うか・・・。///」クネクネ


鳳紅蓮「心の準備が出来ていないのならば、無理にとは言わん。また声を掛けろ。」


金剛 「・・・うん。わかったネ。」クス



こんな奴は現実に居ない・・・と信じたい。


霧島ミニ「あの、紅蓮さん?夜のトレーニングとはいったい何のことを言って・・・。」フワフワ


鳳紅蓮「ん?精神統一のことだが?」


比叡ミニ「紅蓮さんが放熱してくれるから、サウナ代わりに丁度良いんですよね~。」ムフフ


霧島ミニ「比叡姉様、いつの間にそんなことを・・・。ん?今、サウナ代わりと言いましたか?」


比叡ミニ「そうですよ?」


霧島ミニ「まさか、比叡姉様。布一枚で一緒に居るわけではないですよね?」


比叡ミニ「あはは。そんなわけないじゃないですか~。」


霧島ミニ「ですよね。安心しま・・・。」


比叡ミニ「当然、全裸です!」ムフー


霧島ミニ「姉様・・・。」エェ


鳳紅蓮「それが比叡だろ?気にしたほうの負けだ。」


霧島ミニ「紅蓮さんはもう少し気にしてください。」



ここ数年、風呂くらいでしか汗をかいてない。


比叡ミニ「ふ~。汗をかくなら、サウナが一番ですね~。」ムフフ


鳳紅蓮「元はただの洞穴だがな。それより、水分補給はちゃんとしてきたのか?」


比叡ミニ「バッチリです。脱水で倒れるのはもう御免ですからね。」フフン


鳳紅蓮「そうか。だったらいい。」


比叡ミニ「心配してくれてるんですか?ありがとうございます。」フフ


鳳紅蓮「また素っ裸で倒れられても困るからな。」


比叡ミニ「あれれ~?若しかして紅蓮さん、私の身体によくじょ・・・。」


鳳紅蓮「それ以上言ったら、此処の温度を地核並みにするぞ。」


比叡ミニ「図星なんですね。」


鳳紅蓮「てめぇ・・・。」


比叡ミニ「いつか元の身体に戻るときが来たら、抱いてくれてもいいんですよ?」ニコリ



苦しいねぇ。


鳳紅蓮「今までの自由奔放な比叡は、全てお前の演技だったのか?艦娘なんぞ辞めて女優にでもなったらどうだ。」


比叡ミニ「演技?まぁ、演技なんですかね。金剛お姉様が読んでいた漫画の真似をしてみたのですが。」


鳳紅蓮「は?」


比叡ミニ「どうでしたか?こう、グッときましたか?」フフー


鳳紅蓮「・・・ヒヤリとした。」


比叡ミニ「そうですか~。それじゃあ、この方法はボツですね。」ムー


鳳紅蓮「比叡、俺を実験台にして何をするつもりだ?」


比叡ミニ「え?そんなの決まってるじゃないですか。お姉様が紅蓮さんを手玉に取るお手伝いです。」シレッ


鳳紅蓮「いいのか?それを本人の前で言っても・・・。」


比叡ミニ「というのは嘘で、本当はお姉様が少しでも結婚の夢に近づくための後押しをですね・・・。」アセアセ


鳳紅蓮「この島に男は俺だけだぞ。それとも同性で、しかも姉妹で結婚するつもりか?」


比叡ミニ「・・・聞かなかったことにしてください。」メソラシ


鳳紅蓮「それでこそ比叡だ。」



服が濡れて張り付く感覚、嫌いじゃない。


霧島ミニ「失礼します。こちらに比叡姉様は・・・居ますよね。まったく、さっき注意したばかりだというのに・・・。」ヤレヤレ


比叡ミニ「霧島・・・。なんですか?その格好は。」


霧島ミニ「岩盤浴用の装束ですよ。榛名の部屋で見つけたので勝手ながら拝借しました。」


比叡ミニ「大丈夫ですか?サイズ的に。」


霧島ミニ「腰回りは余裕がありますが、胸が、ちょっと・・・。」キツイ


鳳紅蓮「そういう話は俺が居ないときにしてくれ。」


比叡ミニ「え~。聞きたくないですか?私達のプロポーションがどう違うのか。」ニヒヒ


鳳紅蓮「見ればわかる。」


比叡ミニ「そういえば全裸でした。」オット


霧島ミニ「せめてタオルくらいは巻いてください。持ってきましたから。」ホラ


比叡ミニ「うぇ~。」


霧島ミニ「何故嫌そうな顔を・・・。まさか、露出狂の気が?」ヒキ


比叡ミニ「ちがう。ちょーちがう。」



直接的な表現が最も伝わりやすいとも限らない。


霧島ミニ「まぁ、それはそれとして。」


比叡ミニ「流された。」


オダマリ アイ


霧島ミニ「耳飾りを着けたままサウナに入るのは危ないですよ?」


鳳紅蓮「普通ならな。俺は普通じゃねぇし、そもそも此処はサウナじゃねぇ。」


霧島ミニ「似たようなものではないですか。」


比叡ミニ「ですよね~。」


鳳紅蓮「あのなぁ・・・。」ハァ


比叡ミニ「でも、本当にいっつも着けてますよね、それ。外してるところなんて見たことないです。」


鳳紅蓮「外せるわけがねぇだろ。これは俺の十字架なんだからよ。」


比叡ミニ「十字架?三日月の耳飾りですよ?」


霧島ミニ「戒めの比喩表現ですよ、姉様。差し支えなければ、お訊きしてもよろしいですか?」


鳳紅蓮「・・・形見だ。俺を殺したくて、殺せなくて、殺してほしくて、殺されなかった女のな。」


霧島ミニ「言葉はどストレートですが、全く意味がわからないですね。」



影が薄いとよく言われる。


コソコソ


金剛 「この奥に、紅蓮が・・・。」ムフフ


金剛 「別に俺は構わんぞ、だなんて・・・もう!」クネクネ


ヨシ


金剛 「今夜、私は女になります!いざ!しゅつじ・・・。」


ン?


・・・


「もう随分と昔の話だ。俺が懐刀に入る前だからな。」


「俺の前にひとりの女が現れた。柔らかい光を放つ双剣を携えたそいつはいきなり俺に斬りかかってきた。」


「訊けば、そいつの母が焔の魔神スルトに殺されたらしい。」


「鳳の一族は、スルトの肉片から生まれた一族だからな。そいつにとって俺は"仇"だったわけだ。」


「それから幾度となくそいつとの決闘に付き合わされることになった。だが、決着することはなかった。」


「何しろこの肉体は細切れにされたって終わりゃしねぇからな。」


「剣の腕は一流だが、補助系の能力しか持っていないあいつに俺を殺せるはずがなかった。」


「その事実に絶望したあいつは、殺してくれと俺に懇願した。だが、俺はそれを許さなかった。」


「決闘で勝ち目が無かったのは俺も同じだったからだ。復讐の為に研鑽を積んだあいつと、力任せの俺。」


「誰がどう見ても優勢なのはあいつだった。俺はただ、負けなかっただけだ。そんな状態で終わりになんてできるかよ。」


「エゴですね。自分勝手にも程がありますよ、紅蓮さん。」


「そうだな。」


「でも、それだけじゃないですよね。」


「あ?」


「紅蓮さんって、自分の善意を隠すところがありますから。今くらいは身も心も全部曝け出したらどうですか?」


「身体は駄目だろ。」


「じゃあ、心はいいんですね。」


「・・・。」


「やりますね、比叡姉様。見直しました。」


・・・


金剛 「紅蓮の過去。女との決闘・・・決闘。隠語ではない・・・ですよネ?」



狙ってやってんのよ。


「仕方ねぇな。白状すると、あいつに失ってほしくなかったんだ。生きる目的ってやつを・・・。」


「俺にも復讐の為に生きた過去があるからな。それを果たした後のどうしようもない虚無感を俺は知っている。」


「復讐が人に与えるエネルギーは凄まじい。無限に活力が湧いてくる。だが同時に、それ以外の活力を全て奪ってしまう。」


「・・・俺はあいつに見つけてほしかったんだ。幼い頃から復讐に囚われて生きてきたあいつに、復讐以外の目的を。」


「まだ若いくせして、若者の楽しみも知らねぇで、家族の温もりも知らねぇで、そのまま終わりだと?」


「そんなことが許されていいはずがねぇだろ。」


「だが、俺は何もできなかった。そりゃそうさ。俺はあいつにとって、母の仇だからな。あいつに生きる目的を与えるなんて・・・。」


「俺ができたのは、精々時間を引き延ばすことくらいだった。結局はそれも、あいつを苦しめるだけだったがな・・・。」


「そしていつしか、あいつは俺の前に姿を見せなくなった。終ぞ諦めたかと思ったが、そうじゃなかった。」


「俺の知らねぇ間に暗殺されちまったのさ。んで、それをやりやがったのが・・・。」


「時雨さん・・・ですか?」


「ああ。当時は知り合いでも何でもなかったがな。後から聞かされたよ。己に終わりが訪れることを涙して喜んだ女の最期を・・・。」


「あいつをそうまで追い込んでしまったのは俺だ。何もしない。それもまた罪になるのだと、俺は知った。」


「この耳飾りはな。時雨に押し付けられたもんだ。お前は生かされているのだと、釘も刺された。」


「だから俺は誓った。二度と同じ過ちは繰り返さねぇ。何をすればいいかなんざ、俺にはわからねぇがな。」


「まぁ、取り敢えずはお前らを護る。今の俺に思い付くのはこれくらいだ。」


「なるほど。それで急に修行を始めたわけですか。」


「急にじゃねぇよ。精神統一を始めたのは、この十字架を背負って暫く経った頃だ。時雨にコツを教えてもらってな。」


「それで今や、お前らが一緒に居ても大丈夫なくらいに熱量を抑えられてんだよ。こっからは、戦い方を変えなくちゃならねぇ。」


「あの神命にも言われちまったが、今までの俺は再生能力に任せた戦い方をしていた。負けはしねぇが、勝ちもしねぇ。」


「それじゃあ、お前らは護れねぇだろ?」



バーニングはしません。だって燃え尽きちゃうから。


「不純ですね~。自分の為に人を護るだなんて・・・。」


「ですが、それこそが真に人の為になる善行だと、とある偉人も明言しています。紅蓮さんの姿勢は間違っていないと思いますよ。」


「堅いですね~。道元の言葉を引用したりなんかして・・・。これで成績が良かったなら完璧だったのに・・・。」


「何か言いましたか?」


「別に何も?」


ソウデスカ


・・・


金剛 「お前を護る・・・かぁ。紅蓮ったら、もう。」ウフフ


金剛 「これは、結婚しかないですネ!」


イザ


金剛 「紅蓮!!」バサァ


霧島ミニ「金剛姉様!?どうして此処に!?」


比叡ミニ「お姉様、なんて格好を・・・。」ボタボタ


金剛 「大好き~!!」ガバッ


ウガッ


金剛 「ぐれん、ぐれん、ぐれん~。」スリスリ


鳳紅蓮「離れろ、金剛。汗臭いのは嫌だろ。」


金剛 「私は気にしないネ~。」ムフフ


鳳紅蓮「俺が気にするんだよ。」


金剛 「え・・・。私、臭い・・・?」ウルウル


鳳紅蓮「そうじゃなくてな・・・。」ハァ



ぼっちは周りをよく見ているよ。


霧島ミニ「変わってしまいましたね、姉様。」


比叡ミニ「これはこれで・・・。」ウェヘヘ


霧島ミニ「貴女はもう少し変わってください。できるならば、自分の恋心に気づけるくらいに。」


比叡ミニ「恋・・・?私が・・・?」


霧島ミニ「身体が元に戻ったら、抱いてくれてもいいんですよ。」


比叡ミニ「それは、漫画にあった科白をそのまま・・・。」


霧島ミニ「自分に重ねたのでしょう?その科白は、金剛姉様には当てはまりませんよ。」


比叡ミニ「あ~。」


霧島ミニ「何か言い訳は?」


比叡ミニ「・・・ない、かな~。その件に関しては・・・。ていうか、聴いてたんですね。」


霧島ミニ「私の仕事は定期報告ですから。情報収集は必須事項です。」キリッ


比叡ミニ「あっそう・・・。」



待っていたって変わらない。


榛名ミニ「」ソワソワ


扶桑 「どうしたのでしょう。先程から電話の前に正座なんてして・・・。」ヒソヒソ


真宵 「大方、あいつらが泣きついてくるのを待っているのだろう。」


加賀 「あの方々が榛名不在程度でどうこうなるとは思えませんが。」


真宵 「言ってやるな。それは榛名も重々承知のはずだ。」


山城 「何なら榛名の不在に気づいていないという可能性も・・・。」


真宵 「それは流石に・・・ないよな?」


加賀 「どうでしょうね。」


扶桑 「あの金剛姉妹ですからね・・・。」ウーン


真宵 「大本営での金剛型の評価はどうなっているのだ・・・。」ヤレヤレ



そもそもの期待レベルを下げていれば、裏切られることもないだろうに。


榛名ミニ「」イライラ


扶桑 「身体が小刻みに揺れ始めましたね。」


真宵 「痺れを切らしたか。怒りが湧いてきたようだな。」


山城 「現実に居る人に夢を見ると、大概痛い目をみますからね。」


加賀 「あら、何かあったのかしら?」


山城 「ええ。お姉さんポジを確立して裏で実権を握ってやろうと思ったら予想以上に大人でして・・・。」


真宵 「貴様、そんなことを考えていたのか・・・。」


山城 「あ、今は純粋に愛してますよ?」


真宵 「そうか・・・。///」フイ


山城 「紅くなりましたね。」フフ


真宵 「なっていない。」


加賀 「まるで茹で蛸ね。」フ


真宵 「それはない。」



ぎゅっと抱き締めて?


榛名ミニ「うぅ・・・。」グスッ


真宵 「終に泣き出したな。」


扶桑 「見守るのも、ここまでですね。」スッ


加賀 「よろしくお願いしますね、扶桑さん。」


扶桑 「はい、お任せください。」ニコリ


ハルナサン? ウゥゥ! ヒシッ アラアラ


真宵 「さて、これからどうするか。」


山城 「どうするんですか?」


加賀 「以前にも同じ遣り取りをしましたね。」


真宵 「そうだな。あのときの結論はどうだったか。」


山城 「どうでしたっけ。」


加賀 「貴女は鸚鵡返ししかできないのかしら。」


山城 「まーちゃんの自主性を引き出しているだけです。」


真宵 「貴様は俺の母親か?」


山城 「偶にそういう夫婦も居ますよね~。」


真宵 「やめろ。俺にとって母は特別なのだ。嫁といえども、その領域に踏み入ることは許さん。」


山城 「まーちゃん、若しかしてマザコン・・・?」


真宵 「それにもっと早く気づいていれば、俺が母を殺すこともなかっただろうな。」トオイメ


山城 「・・・え?」



後悔先に立たず


加賀 「そう・・・。それでは義母さまに挨拶はできないのね。」


真宵 「ああ。墓も遺していない。母を想うときは天を仰ぐばかりだ。」


山城 「待って。大事な部分をスルーしてる。」


加賀 「そうね。あなたのことだから、何か考えがあってのことだと思うけれど・・・。」


真宵 「いや、衝動的にやった。そして後悔した。己の愚かしさを呪いもした。」


加賀 「・・・あなたにも、そんな時代があったのね。」


真宵 「俺も、始めから経験豊富だったわけではないのでな。」


山城 「でも、なんで母親殺しなんか・・・。」


真宵 「それを話すのは榛名の件を解決してからだ。扶桑にも聴かせねばならんだろう。」


加賀 「そうですね。素直になれない家出少女をどうやって帰しましょう。」


真宵 「難題だな。」


山城 「加賀ったら、適応力高すぎ・・・。」エェ



志村流剣術の禁じ手:脚


榛名ミニ「姉様のぶぁかぁぁ。」アァァ


扶桑 「嗚呼、可哀想な榛名さん。」ヨシヨシ


榛名ミニ「可哀想とか言うなぁ。」ウゥ


山城 「不幸な妖精さんだわ。」


榛名ミニ「不幸型ほどじゃないです。」グスッ


山城 「おい。言って良いことと悪いことがあるぞ。」アァン?


真宵 「煽りに乗るな莫迦。貴様らの不幸など、この俺が握り潰してくれるわ。」クハハ


扶桑型「真宵(まー)ちゃん・・・。」ジーン


榛名ミニ「いいですね。気に掛けてくれる人が居て。」ケッ


真宵 「なんだ。貴様には居ないのか?」


榛名ミニ「電話が掛かってこなかったのが何よりの証拠じゃないですか。」ムッスー


加賀 「そのことですが、貴女は疑問に思わなかったのですか?」


榛名ミニ「何をですか。」


加賀 「貴女が此処に家出してきてから、一度たりとて電話が鳴ることがなかったということにです。」


榛名ミニ「言われてみれば・・・。」


真宵 「先の災害で通信設備が全滅してな。復旧にはもう暫く掛かるのだ。安否確認をしようにも、容易に連絡が取れん状況にある。」


榛名ミニ「ということは・・・。」


加賀 「貴女の無事を確認しようにも、その手段が無いというのが実情です。きっとみんな、心配していますよ。」


榛名ミニ「・・・早く、帰らないと。」スッ


真宵 「まぁ、待て。もう夜も遅い。せめて明朝にしろ。」


榛名ミニ「ですがっ。」


真宵 「俺が何とかする。任せておけ。伊達に魔王をしていたわけではないぞ。」ニィ



タイガー&ホース


山城 「魔王の嫁、ちょっと集合。」


ドウシタノ? ナンデスカ?


山城 「電話が通じないとか大嘘吐いて大丈夫なの?」ヒソヒソ


加賀 「問題ありません。電話対応に割く時間は無いと電話線をぶっこ抜いたのは事実ですので。」


山城 「何やってんの・・・。」エェ


加賀 「全責任は真宵さんに取っていただく予定です。」フフ


扶桑 「旦那様をお支えするはずの私達がそのような真似をするのは如何なものかと・・・。」アハハ


加賀 「今時分、その発言は問題ですね。」


山城 「加賀の行動のほうが問題だと思うけど?」


加賀 「愛し合っていますので。」フフン


山城 「愛想尽かされても知らないわよ?嫁は他にも居るんだから。」


加賀 「・・・。」グスッ


山城 「ごめんなさい。まさか泣くとは思わなくて・・・。」


加賀 「構わないわ。今夜は私の番だから。」


山城 「慰めてもらうのね。」


加賀 「いいえ、寧ろ昂ぶるのよ。」フンス


扶桑 「そういうのは、ちょっと・・・。」


山城 「あ・・・。」


加賀 「まだ傷は癒えていないのね。」


扶桑 「ええ。どうしても思い出してしまって・・・。真宵ちゃんへの愛は本物のはずなのに・・・。」


山城 「姉様・・・。」


加賀 「少しずつ進んでいきましょう。大丈夫。貴女ならできるわ、扶桑さん。」


山城 「何様・・・。」



他所でやってくれ。


山城 「というか、姉様。まーちゃんに関係を迫っていたことがありませんでしたか?」


扶桑 「あれはその・・・勢いで?」


山城 「ああ、本番になって怖くなるやつですか。」


加賀 「しかし、真宵さんと他の男を重ねるなんて・・・。嫁としてはどうかと思いますが。」


扶桑 「それを言われると、返す言葉が・・・。」メソラシ


山城 「でしたら姉様。明日、私と一緒に突撃しますか?」


扶桑 「え・・・?でも、悪いわ。明日は山城だけの時間なのに・・・。」


加賀 「大丈夫よ。私達が得ている幸せを貴女だけが知らないこの状況の改善こそ、最優先されるべきだわ。」


山城 「あんたが言うな。てか、それなら今夜をその時間に充てなさいよ。」


加賀 「」エェ


山城 「そんな顔できたのね・・・加賀。」



記憶を持ったまま子供に戻れば、嘗て神童だった者というレッテルを貼られるに違いない。


榛名ミニ「愛されてますね。羨ましいです。」


真宵 「お前にも居るだろう?自分を愛してくれる者達が。」


榛名ミニ「以前は、そうだったかも知れませんね。」ハァ


真宵 「どうした。さっきとは随分テンションが違うではないか。」


榛名ミニ「冷静になって思い出したんです。金剛型は上辺だけの姉妹だったな・・・と。」


真宵 「まぁ、金剛と比叡は建造組だからな。改造組のお前からすれば、形だけの姉妹ではあるが・・・。」


榛名ミニ「私、霧島とは何の接点も無いですよ?艦娘になる以前の彼女は、他人よりも他人です。」


真宵 「そうだったか。でこぼこなのだな、お前達は。」


榛名ミニ「元帥なのに、この程度のことも把握していないのですね。」


真宵 「そういった書類は全て焼失したからな。」


榛名ミニ「焼失させたの間違いじゃないですか?」


真宵 「バレたか。」クハハ



月に叢雲 花に風


加賀 「綺麗な月ね・・・。」


真宵 「俺は朧月のほうが好みだがな。」


加賀 「そう・・・。」


真宵 「どうした。今日は随分と温和しいな。」


加賀 「それは、ほら・・・。妖精の瞳が光っているから・・・。」


真宵 「だから言っただろう。朧月のほうが好みだと。」


加賀 「叢雲に隠れてしまったら、あなたにも見えないじゃない。」


真宵 「俺は重力使いだぞ?麗しい月を隠す叢雲など、裕に飛び越えてやるさ。」フ


加賀 「私はあなただけの月になれるのね。」フフ


真宵 「そういうことだ。」


・・・


山城 「気は済んだ?」


榛名ミニ「ええ、まぁ。」


扶桑 「他人の情事を覗くだなんて、趣味が悪いですよ?」モウ


榛名ミニ「月明かりは人の本質を照らしてくれますから。あの方が信用に足る人物かどうか確かめたかっただけです。」


山城 「あっそ。で、結果は?」


榛名ミニ「一回で見抜けるなら苦労は無いですよ。」ハッ


山城 「一々癇に障る言い方をするわね。」イラッ


榛名ミニ「そういう性分ですので。」



物語の紡ぎ方を忘れた。


レ級 「姐さん、腕相撲しようぜ~。」ニシシ


黒霧茜「ほう。この私に勝負を挑むか。」フ


レ級 「へっへー。昔の俺とは違うってとこ、見せつけてやるぜ。」


ヲ級 「準備はい~い?」


レ級 「おう。」グッ


黒霧茜「骨折しない程度には加減してやろう。」ガシッ


レディー ゴッ グリンッ ウニャー!!


レ級 「・・・格が違いすぎる。」クソガ


ヲ級 「綺麗に吹っ飛んでいったの。」ヲヲ


黒霧茜「膂力で私に勝ちたいなら、最低でも紅蓮と同じ程度には鍛えることだな。」フフン


五月雨「ちょっと、今何時だと思ってるんですか。早く寝てください。」ウルサイデスヨ


レ級 「昼間に寝たから眠くないんだよ。」


ヲ級 「ヲーちゃんは茜お姉ちゃんと遊びたいの。」


蓮華 「丑三つ時に起きていると、牛の頭をした物の怪に喰われるそうだぞ。」モゾモゾ


黒霧茜「よし。寝るぞ、お前達。」サッ


レ級 「姐さん・・・。」



あなたの笑顔を求めて。


カチャ


南方戦「」チラリ


南方戦「よし、みんな寝てるわね。」


コソコソ


南方戦「無事だとわかっているとはいえ、あのひとが倒れた日に別々に寝るなんて論外よね。」


南方戦「身体は義姉さんだけど・・・。」ハァ


南方戦「朝になったら、時雨の元気な顔が見られますように。」モゾモゾ


Zzz・・・


レ級 (乙女だ・・・。)ニヤニヤ


ヲ級 (乙女が居るの。)ニヨニヨ


五月雨(蓮華ちゃん。)


蓮華 (案ずるな。ボイスレコーダーは正常に機能している。)ニタァ


五月雨(流石は私の妹です。)フフフ



矢面にさえ立たなければ、後で咎められないかも知れない。


最上 「Zzz」スカピー


三隈 「」モゾモゾ


ムクリ コソコソ


時雨 「流石に今夜は無粋だと思うよ。」


ビクッ


三隈 「起きてましたの・・・。」


時雨 「心配なのはわかるけどさ。家族だけの時間を過ごさせてあげようよ。あんなことがあった後だからこそ・・・さ。」


三隈 「それはわかっていますの。わかっているはず・・・ですの。」


・・・ハァ


時雨 「まったく、見張っててよかったよ。君はきっと、温和しくしていられないだろうからね。」


三隈 「むぅ・・・。」


時雨 「あのときとは、立場が逆だね。」フフ


三隈 「そうですわね。」


時雨 「あのときは、結局どうなったっけ。」


三隈 「もう忘れてしまいましたの?あのときは三隈達の制止も聴かず勝手に・・・。」ハッ


三隈 「そういうことですの。」フフ


時雨 「ほら、わかったら温和しく・・・。」


三隈 「ええ。温和しくしておきますわ。クロさんの隣りでっ。」タッ


時雨 「・・・行っちゃった。最上さんは寝てるし、これはボクが連れ戻しに行かないとだね。」フフッ



君は"はい"しか言えないのか!ええ、他に返す言葉が無いのです。


漣  「あ~、眠れねぇ・・・。」


朧  「ぷりーず子守唄~。」


紫苑茜「私、あんまり歌とか得意じゃないんだけど。」エェ


漣  「子守唄に上手も下手もねーべ。聞こえるか聞こえないかくらいで歌っておけばええのよ。」


朧  「そゆこと。」


紫苑茜「でもねぇ。あんた達が眠れない理由は睡魔がどうとかって話じゃないでしょ?」


漣  「気が紛れるなら何でもいいのよ~。」


紫苑茜「そう?じゃあ、一曲。」コホン


紫苑茜「ね~んね~ん ころ~りよ おこ~ろ~りよ~」ポンポン


曙  「ねぇ、子供扱いするのやめてくれない?」


紫苑茜「灯は可愛いわね~。」ウフフ


曙  「ったく。姉莫迦なんだから・・・。」



よし、運動をしよう。


潮  「うぅ・・・。」プルプル


漣  「お?どうしたよ、姫姉。」


朧  「姫が眠れないなんて珍しい。」


潮  「全身が、痛い・・・。」


漣  「あめま。完治してなかったべや?」


朧  「何と運のない。」


紫苑茜「違うわよ。あんたも同じ経験をしてるでしょ?」


朧  「ん?ん~。ん~ん。」フルフル


曙  「ちゃんと言語を使え、言語を。」


紫苑茜「おかしいわね。恩恵を授かるときには必ず尋常ならざる痛みが伴うはずなんだけど・・・。」ウーン


漣  「撫子は色々ぶっとんでるかりゃにゃ~。気づいてないだけじゃね?」


紫苑茜「そんなことがありえるのかしら・・・。ま、今となっては確認のしようがないことよね。」


漣  「しょゆこと。」


潮  「あの~。この痛みを和らげる方法は・・・。」


紫苑茜「ないわよ。」ニッコリ


潮  「そんなぁ~。」



雨か。明日から本気出す。


三隈 「ふんふ~ん。」~♪


時雨 「楽しそうだね。」フフ


三隈 「ええ。こんなときでなければ、クロさんと同衾なんてできませんもの。主に、泥水に咲く美しい華の所為で。」ウフフ


時雨 「力関係がはっきりしてるんだね。」アハハ


三隈 「それはそれとして、この先を曲がればクロさんの待つ部屋に・・・。」ン?


近衛麗「あら、奇遇ね。貴女達も夜這い?」


神命 「"も"って、私は違うからね?」


三隈 「先客が居ましたの。」チッ


時雨 「その前に夜這いを否定しようよ。」



倫理観をぶっ飛ばせ。


三隈 「娘のくせに夜這いとは・・・立場を弁えては如何ですの?」


近衛麗「パパは飽くまで親代わりであって、本当の父親じゃないもの。別に夜這いをしたって何の問題もないでしょう?」フフフ


三隈 「生物学的にはそうかも知れませんわね。ですが、倫理的にアウトですの。」ジト


近衛麗「この世界の倫理観なんざ知ったこっちゃないわよ。実の弟を喰った私よ?父親代わりを喰うのに躊躇いはないわ。」ハッ


三隈 「こんの阿婆擦れが・・・。」ゴゴゴ


近衛麗「自分に正直なだけよ。」ウフフ


時雨 「あのさ。そんなに殺気出してたらバレるよ?にぃにのお姉さん、怒ったら怖いんでしょ?」


三隈 「そうなんですの?」


近衛麗「知らない。私、面識ないから。」シレッ


時雨 「えぇ・・・。」


三隈 「ところで、神命さんは何処へ消えましたの?」


近衛麗「そりゃあ、抜け駆けしてるんでしょ。」


三隈 「彷徨娘が・・・。奇跡的に辿り着けたくらいで調子づきやがって・・・。」チッ


近衛麗「あんたも中々黒いわね。」フフ


時雨 (それに関しては、ボクもツッコめないかな・・・。)アハハ



H+ERO=英雄。エグゼ〇スの作者は偉大だ。


カチャ


三隈 「み~こ~と~さ~ん。」ニコニコ


近衛麗「抜け駆けをする悪い娘は誰かしら~。」ニタァ


神命 「Zzz」スースー


三隈麗「・・・。」


時雨 「まぁ、可愛い寝顔。」マジマジ


三隈 「茜さんに寄り添って・・・。これは・・・。」


近衛麗「健全だわ~。」ウフフ


三隈 「ですわね。」フゥ



小学校の初登校、盛大に迷った。


三隈 「茜さんを中心に、右に神命さん、左は南さん。」


近衛麗「まるで花園ね・・・。」


時雨 「よくよく考えると此処に男はにぃにだけだからね。的を射た表現なんじゃないかな。」ポフ


三隈 「もし?何を勝手に交ざってますの?」


時雨 「ん~?んふふ。昔から少し憧れてたんだよね、こういうの。」スリスリ


近衛麗「・・・私は戻るわ。」


三隈 「あら、夜這いがどうこう言っていた割にすんなり退きますのね。」


近衛麗「相手がパパじゃないなら意味ないし。」


三隈 「確かに、そうですわね。」フム


近衛麗「じゃ、女同士でごゆっくり~。」ウフフ


パタム


三隈 「まったく、何処までも自由な方ですわね・・・。」ヤレヤレ


カチャ


近衛麗「ただいま~。」


三隈 「・・・。」


近衛麗「道がわからないの。」テヘ


三隈 「でしょうね。」



放送部 アニソン流す ♪


チュンチュンチュン チュチュンガチュン


黒霧茜「む・・・。」パチクリ


時雨 「Zzz」クー


神命 「Zzz」スー


南方戦「おはよう。」ムス


黒霧茜「不機嫌そうだな、南。」


南方戦「別に・・・。」フン


ピッ


『朝になったら、時雨の元気な顔が見られますように。』


南方戦「んなぁ!?///」カァ


黒霧茜「なるほど。そういうことか。すまんな、南。どうやら予想以上に消耗していたようでな。もう暫く掛かりそうだ。」フフ


南方戦「っ~!!蓮華ぁ?」ギラッ


蓮華 「何かまずかったか?」


南方戦「それ、時雨に聴かせたらただじゃおかないわよ。」オォォ


蓮華 「案ずるな。"聴かせ"はせんさ。」フ


南方戦「本当でしょうねぇ。」ゴゴゴ


蓮華 「レンカチャン、ウソツカナイ。」


南方戦「・・・。」ジト


蓮華 「その瞳は信用していないな?」


五月雨「事実、やらかす気満々ですよね。」


蓮華 「まぁな。基地内放送で流してやる。」ニタァ


南方戦「この娘は、もう!!」


黒霧茜「誰に似たのだろうな。」クハハ


南方戦「笑い事じゃないから!」



人も物も好き嫌いがはっきりするタイプ。


近衛麗「も~、何よ。朝から五月蠅いわね~。」モゾモゾ


南方戦「・・・アンタ、どうして此処に居るのよ。」


近衛麗「は?そんなの決まってるじゃない。夜這いよ。」


黒霧茜「おい。私の可愛い姪に手を出したら承知せんぞ。」オォォ


近衛麗「ま~、こわ。でも大丈夫よ。私はノーマルだから。」


南方戦「本当に普通だったら父親に夜這いしたりしないわよ。」ゴゴゴ


近衛麗「あら、気づいちゃった?」ウフフ


南方戦「アンタにだけは譲らない。」キッ


近衛麗「元よりそのつもりよ。私、束縛するのもされるのも嫌いなの。エンゲージなんて、もう御免だわ。」ハッ


南方戦「へぇ・・・何が望みよ。」


近衛麗「一夜の過ち。」


南方戦「なら許す。」


三隈 (薄々感づいてはいましたが、南さんの価値観はかなりズレてますの・・・。)


南方戦「ところで、アンタは何しに来たのかしら?」


三隈 「・・・同衾?」


南方戦「布団ごと縛り上げて海に沈めてやろうかしら。」


三隈 「この差はいったい・・・。」エェ



妹同盟、此処に結ばれり。


神命 「んぁ・・・姉様?」


時雨 「んみゅ・・・。」ヒシ


・・・アレ?


神命 「眠ちゃ~ん。起きて~。」ユサユサ


時雨 「ん・・・あれ?ボク、確かねぇねの上で寝て・・・。あぁ、寒かったから移動したのかな。」ファァ


神命 「ほんと、五月なのに雪が降るとか勘弁してほしいよね~。」


時雨 「そうだね。えっと、神命・・・でいいかな?」


神命 「うん。私も、"眠"でいい?」フフ


時雨 「この姿の名前じゃないの?」


神命 「いや~。兄様と同じ名前で呼ぶのは、ちょっと・・・。」アハハ


時雨 「だよね。ボクも、嫌がらせのためだけに選んだこの姿の名前で呼ばれるのは遠慮したいかな。」


神命 「じゃあ、そういうことで。」


時雨 「これからよろしく、神命。」ニコリ



青春は後悔するくらいが丁度良い。


漣  「んで?いつになったらぱぱは復活するのかにゃ?」ムグムグ


黒霧茜「さぁな。時雨は、実は魔力量があまり多くなくてな。昨日の治療が相当堪えているようだ。」


漣  「だってよ、姫姉。」


潮  「ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい。」ブツブツ


朧  「大丈夫だぞ、姫。治療に関しては私も同罪だ。」ポン


三隈 「それ以前に、もがみんの監督不行届について説教する必要があると思いますの。」ジト


最上 「うっ・・・。」


五月雨「それを議題にされると弱っちゃいますね~。私達も、じゃじゃ馬に振り回されてばかりですから。」


蓮華 「訓練装置をぶっ壊されたときは、どうしてやろうかと思ったがな。」フフフ


五月雨「その点、灯ちゃんはどうですか?」


紫苑茜「莫迦さ加減にうんざりするわ。」


曙  「お姉ちゃんの姉莫迦には負けるわよ。」


紫苑茜「でしょ~?」ウフフ


五月雨「・・・心配ですね。必要以上に甘やかしたりしないでしょうか。」


蓮華 「そのときは父上が喝を入れるだろう。」



せめて聴いてる振りはしておこう。


三隈 「はい、ちゅうも~く。」


漣  「飯食ってすぐに運動とか、誰得の拷問・・・。」ウヘェ


朧  「運動が嫌なら動かなければいいのだよ。」フフン


漣  「砲弾相手に我慢大会しろってか。」オォン?


三隈 「ちゅうも~く・・・。」ワナワナ


潮  「澪ちゃん、撫子ちゃん。三隈先生が注目って。」オロオロ


曙  「無駄よ、姫百合。あれ、わざとだから。」


潮  「そんなぁ。」


ブチィ


三隈 「以前、確かに言いましたの。次に巫山戯た真似をしたら、ソーラーレイの降り注ぐ中で踊ってもらうと・・・。」ギソウテンカイ


漣・朧「おおぅ。」


ソーラーレイデスノ! ウビャァァァ!!


曙  「いい気味ね~。」


潮  「肉の焼ける臭いが・・・。ほんとに大丈夫なんですか!?これ!!」



お肉はしっかり焼きたい派ですの。


漣  「昔、巫山戯て虫眼鏡で焦がした制服の気持ちがわかった気がしたぜい。」シュー


朧  「まさか穴が空くとは思わなかったよの。」シュー


三隈 「ふむ。どうやら撫子さんの恩恵では熱エネルギーの変換まではできないようですわね。」


漣  「みっちゃん、それ確かめるためにどのみちうちらに光熱砲食らわせるつもりだったのでは・・・。」


三隈 「今回、三隈が朝の訓練を受け持った目的は貴女方の能力を正確に把握することですの。そのためならば・・・。」フフフ


潮  (この人も危ない人だ・・・!)ガタガタ


曙  「それで言うと、該当者は撫子と姫百合ね。」


三隈 「ええ。撫子さんの恩恵は粗方わかっていますから、問題は姫百合さんですの。」


潮  「ほえ・・・?」


漣  「あー。恩恵の系統もわかってにゃいもんね~。どうするべ。」


朧  「取り敢えず、殴る?」グッ


潮  「」


曙  「やめなさい。」



もひとつあるのさ ネコキックぅ!!


三隈 「蓮華さん曰く、恩恵は身体機能の向上と知覚能力の向上に大別されますの。」


三隈 「例えば、三隈は動体視力という知覚能力の向上、もがみんは筋力・耐久力という身体機能の向上ですの。」


漣  「撫子の場合は、向上ってより改変って感じだけどにゃ~。」


三隈 「それはいいとして、恩恵の内容は調べようと思って明らかにできるものではありませんの。」


曙  「じゃあ、どうするのよ。」


三隈 「実戦の中で、偶然それが発揮される瞬間を待つばかりですの。」


トイウワケデ


三隈 「演習ですの!」クワッ


漣・朧「なんだってぇ!」


三隈 「因みに相手は。」


黒霧茜「私だ。」クハハ


時雨 「どうしてボクまで・・・。」ハァ


漣  「やっべ。超遠慮してぇ。」


朧  「任せろ。私が肉の壁になってやる。」フンス


時雨 「いいの?ボク、暗剣とか使うけど。」チャキ


朧  「みっちゃん、頭痛が痛いので見学してもいいですか。」


三隈 「日本語がおかしくなってますわよ。」


曙  「本物の暗殺者相手にどうしろと・・・。」


潮  「死ねってことじゃないかな。」ドヨーン


曙  「姫百合、帰ってらっしゃい。」



茜色に染まる坂


漣  「さーて、初めての実戦だぜい。で、どう戦うよ?」


曙  「取り敢えず、あの・・・誰だっけ。」


朧  「せん姉と同じ名前。」


漣  「茜姉でいんでねーの。」ニシシ


曙  「お姉ちゃんと一緒なのは・・・なんか嫌だ。」


漣  「もー。我儘だなぁ。じゃ、菫姉でどうよ。」


曙  「どっから菫が出てきたのよ。」


朧  「茜色=茜菫。」


曙  「わかりづらっ。」


漣  「んもう。文句ばっかりぃ。」プクー


朧  「あかりんが決めるよろし。」ズビシ


曙  「じゃあ・・・黒姉、とか?」


漣  「うし、それ採用。そいじゃっ。」


漣・朧「後は任せた軍師殿。」グッ


曙  「唐突に話を戻すな。」



桜散る 山に響くは 蛙唄


曙  「で、戦略だけど。陸に演習もしたことのない私達が頭使っても無駄。中たって砕けろ、以上。」


漣  「了解。うちは時雨たんにぶつかるぜ。」ヘヘ


朧  「私は黒姉。」フフ


潮  「私は・・・。」


曙  「あんたは私の護衛兼火力支援役よ。距離をとって、いやらしくちょっかい掛けてやるわよ。」ニィ


漣  「策は無いとか言っておいて勝つ気満々だよね、あかりん。」ヒソヒソ


朧  「黒姉との相性は抜群。私に任せるがよいぞ。」フフン


潮  「砲撃の練習なんて殆どしたことないのに・・・。澪ちゃんに中てちゃったらどうしよう・・・。」トオイメ


漣  「やめろよ?姫姉、重巡装備なんだから洒落になんねーべ。」



年度初めのほうが一年の始まり感が強い。


黒霧茜「久方振りの実戦だ。血が滾るな。」フフフ


時雨 「やりすぎちゃ駄目だよ?」


黒霧茜「わかっている。彼奴らに怪我をさせるということは、時雨に負担を掛けるということだからな。お前こそ、刃物は使うなよ?」


時雨 「刃は落としてあるから大丈夫だよ。それより、撫子ちゃん相手に勝算はあるの?相性最悪だよね。」


黒霧茜「舐めるな。黒霧最強の称号は伊達ではない。それにだ。体術には投げも絞めもある。」ニィ


時雨 「程々にね・・・。」



自分の体力の無さには辟易する。


五月雨「暇ですね・・・。」ホケー


蓮華 「午後の訓練と午前の訓練を入れ換えたからな。父上が眠っている今、艤装の開発もできん。」


五月雨「私も交ざろうかな・・・。」


蓮華 「パワーバランスが崩れるだろうが。温和しくしていろ。」


五月雨「ですよね。というか、実戦演習って南ちゃんの担当じゃなかったでしたっけ。」


蓮華 「体調が悪いらしくてな。部屋で寝ている。」


五月雨「昨日も調子悪そうでしたよね。お父さんに甘えすぎた所為だったりして。」ムフ


蓮華 「・・・悪阻か?」


五月雨「まさか・・・。」アハハ


ハハ・・・


黒姉妹「それしか考えられねぇ!」クワッ


蓮華 「まったく父上め。妹は三笠の件が片付いてからと言っておいて。」ルンルン


五月雨「情欲には逆らえなかったみたいですね。」


蓮華 「見舞に行くぞ、お姉ちゃん。」ムフー


五月雨「果物でも包みましょうか。」フフ



人は無意識に善意と悪意を学ぶ。


ウオオオオ


黒霧茜「いくぞ!撫子!」フンッ


ドゴォ


朧  「お返しなのん。」ニィ


クルリンパァ! シュバァ


黒霧茜「むぅ・・・!」ヨロッ


グッ


黒霧茜「ふ、ふふふ。これが私の一撃か・・・。面白い!」ギラ


朧  「おっふ。すいっち入っちゃった。」ウー


黒霧茜「これならば全開の凶化を使っても問題ないな。見せてやろう。これが、黒霧本来の姿だ。」オォォ


朧  「まるで悪魔なのね・・・。」



かっぱどきあ!


フハハハ ドゴーン


潮  「ひゃああ。大丈夫かな?撫子ちゃん。」


曙  「何あれ。肌も髪も瞳も、全部真っ黒じゃない。」エェ


潮  「加勢・・・加勢しなきゃっ。」タッ


曙  「待ちなさい。」ガシ


潮  「でも、でも・・・!」ウルウル


曙  「邪魔をするなって黒姉に怒られても知らないわよ?」


潮  「ぴゃああ。」フルフル


曙  「加勢するならあっちよ。」クイ


漣  「うびゃー!!近接格闘術なんて習ってないっつーの!!」キャー


時雨 「ほらほら~。逃げてばかりだと、君達の司令塔を討ち取りに行っちゃうよ~。」スーイ


漣  「ご自由にどうぞ!」


曙  「莫迦澪!ちゃんと前衛の役割を果たしなさい!」クォラ!


時雨 「じゃあ、遠慮なく。」シュン


潮  「うひぃ!」ビクッ


曙  「冗談・・・。あの距離を一瞬で・・・。」タラー


時雨 「艤装を壊すのは、流石にまずいかな?」チャキ


ヒュゴッ


時雨 「!?」バッ


チュイン


時雨 「危ないなぁ。顔面狙ったでしょ。駄目だよ?女の子の顔に傷を付けちゃ。」クイ


漣  「あ~あ。躱されちった。ここで仕留めきれなかったのは、つらいにゃあ。」アチャー


時雨 「まさか砲弾を投げるとはね・・・。」


漣  「艤装を使うのには許可が要るからさぁ。気軽に訓練とかできないんだよね~。その点、投擲練習はいつでもできるっしょ?」


漣  「投げたら砲撃音もしないしにゃ~。」ニシシ


時雨 「にぃにが君を暗殺者に仕立てようとした理由がわかった気がするよ。」フフ


漣  「煉瓦積みで鍛えたこの豪腕を味わうがよいぞ。」フフン



ノリが軽いキャラの実力隠しは最早定番。


漣  「そいやっさ!」ビュン


時雨 「狙いが良いと、寧ろ躱しやすいね。」スッ


漣  「こなくそぉ~。」ポイポイ


時雨 「雑だなぁ、もう。」ヒョイヒョイ


漣  「はいド~ン。」ポチッ


プシュー


時雨 「煙幕か・・・。急に決まった演習なのに、準備のいいことで。」ハメラレタカナ


漣  「蓮華たん直伝!必殺の電磁ネットじゃ、おらぁ!」バッ


バサッ スパァ


漣  「あっれー?」


時雨 「暗剣も使うって言ったでしょ?手持ち全部の刃を落とすほど、ボクはお人好しじゃないよ。」カチン


漣  「あーははっ。こら駄目くさいにゃ~。澪ちゃん、困っちゃう。」テヘ


時雨 「君には退場してもらおうかな。君みたいなタイプが一番厄介だからね。」オォォ



あれ?あいつ何処行った?


三隈 「」ムー


最上 「何これ。なんで誰も砲撃してないの?艦娘だよね、あの娘達。」


三隈 「澪さんの砲弾を投げるという発想と、それを実戦で使える程度には昇華させている努力は認めますの。」


三隈 「ですが、これでは姫百合さんの恩恵を明らかにするという本来の目的が!」ウガー


最上 「うはー。撫子ちゃんがサンドバッグみたいになってる。すっごい涼しい顔してるけど。」


三隈 「聴いてますの?もがみん。」


最上 「というか、黒白雪はどうやって海の上に立って・・・。」ウーン


三隈 「聴けよ。」オイ


最上 「みっちゃん、最近口が悪いよ?」


三隈 「もがみんが話を聴かないからですの。」フン


最上 「だって、聴いたら何かお願いされるのは目に見えてるんだもん。」


三隈 「話が早くて助かりますの。あの赤点ふたりを頼みますの。」クイ


最上 「ボクの装備だと一発轟沈だからね?砲撃に手加減なんて概念は無いからね?」ワカッテル?


龍驤 「なら、うちに任しとき。」


最上 「龍驤さん。相変わらず突然来るよね。いつの間にか帰っちゃうし。」


龍驤 「君、それ本気で言うてる?」


最上 「え?うん。」


龍驤 「そうか。うちは君らに家族として認められてないんか。そうか・・・。」ドヨーン


最上 「えっと、どゆこと?」


三隈 「さぁ?」


龍驤 (うちが帰るとき。それはな。みんなに存在を忘れられて、相手してくれる人が居らんようになったときなんやで。)グスッ



誰に対しても護られる立場ではいられない。


曙  「くっそ。あいつら、出来が良いのは頭だけじゃないってか。ほんとムカつく。」チッ


潮  「どうしよう、灯ちゃん。私達、完全にお荷物だよ・・・。」ウゥ


曙  「"今は"ね。それは認めるわ。だけど、私達には私達の強みがあるの。それさえ活かせれば・・・。」ギリッ


ブゥゥン ン?


潮  「艦載機・・・?」


曙  「なんで?黒姉も時雨も、艦載機なんて・・・。」


ババババ ヒャアア! ウッテキタァ!


曙  「ちょっと!乱入なんて聞いてないわよ!?」ダット


潮  「た、対空迎撃!」ガション


パスン アレ?


潮  「弾切れだぁ!!」ピャアア


曙  「んなわけあるかぁ!元々装填してなかったんでしょ!このお莫迦!」


ヒューン


曙  「げぇ!防御姿勢!下手な体勢で爆撃くらったら一発大破するわよ!」


潮  「ぼ、防御姿勢!」フルフル


曙  「お莫迦!背中向けて縮こまってどうするの!機関部を損傷したら轟沈もあり得るのよ!」


モウ! チュドーン


潮  「・・・え?」


曙  「ったく。しょうがないんだから、あんたは・・・。」ボロッ


潮  「灯ちゃん・・・?」


曙  「お姉ちゃんでしょ?もっと堂々としなさいよ、莫迦。」フラッ


アカリチャン!


潮  「ごめん、ごめんね。私が、私が・・・。」ポロポロ


曙  「もう・・・。まだ演習は終わってないのよ?泣くのは、後にしなさい・・・。」


ブゥゥン


曙  「ほら、来たわよ。今度はあんたの番。頼んだわよ、姫お姉ちゃん。」フフ


潮  「うん。私、頑張る!」キッ



言語創造に手を出すとは・・・。


三隈 「結果発表ですの。」


イエー


三隈 「撫子さん、茜さん、共に小破。」


朧  「凌ぎきったのん。」ムフン


黒霧茜「いい運動になった。」キラキラ


バケモノメ


三隈 「次、澪さん中破。時雨さん無傷。」


漣  「なはは~。まさか普通に砲撃してくるとは思わなかったぜい。」


時雨 「最初の一発しか中てられなかったけどね。君の対応力の高さには驚かされたよ。」フフ


漣  「ふふん。蓮華たんから色々と教えてもらったもので。」ドヤァ


三隈 「最後に、灯さん、姫百合さん。轟沈。」


曙・潮「」チーン


龍驤 「すまん。やりすぎてもうた。」


最上 「折角姫ちゃんの顔つきが変わったところだったのにね~。」


龍驤 「」ウッ


三隈 「いえ、龍驤さんに否はありませんの。振り向いた拍子の顔面爆撃で一発轟沈判定だなんて、誰も予想できませんの。」


最上 「でも、結局姫ちゃんの恩恵はわからず終いだね。」


三隈 「ま、もがみんのような装甲強化系でないとわかっただけでもよしとしますの。そのうちわかりますの~。」


最上 「軽いなぁ。さっきまであんなに焦ってたのにさ。」アハハ



お見舞いイベントには一定の好感度が必要です。


蓮華 「母上~。」カチャ


五月雨「お見舞いに来ましたよ~。」ニコニコ


紫苑茜「あら、あんた達も来たのね。」


五月雨「お母さん。それに神命さんまで。」


神命 「やっほ。」フリフリ


南方戦「Zzz」


蓮華 「で、肝心の母上は寝ているのか。」


紫苑茜「ついさっきね。あぁ、起こしちゃ駄目よ?南方ちゃんはこれで結構繊細だから。」


神命 「精神的にかなりきてるみたい。最近は兄様関連で色々あったから・・・。」


蓮華 「そうか・・・。」


紫苑茜「自分の夫に好意を抱く者が立て続けに現れたり、古い友人の姿が変わったり。大変ね、南方ちゃんは。」フゥ


神命 「後者は師匠のことでしょ~。」


紫苑茜「前者はあんたよ、神命。」


ウヘーイ


紫苑茜「まったく、しーちゃんの嫁は気苦労が絶えないわね。」


神命 「それで諦めてくれたら、ライバルが減って助かるんだけどな~。」


紫苑茜「あら、わたしの愛は友情との天秤でも揺らがない程度には重いわよ。」フフン


神命 「うん、知ってる。」ハァ


五月雨「愛されてますね~、私達のお父さんは。」


蓮華 「父上の愛は、私達が独占するがな。」フッ


五月雨「娘の特権ですね。」ヘッ


フフフフ ゴウガフカイワァ



時間と心の余裕


紫苑茜「まぁ、娘としてしーちゃんに甘えるのはいいんだけど、少しの間は遠慮しなさいよ?」


五月雨「うえ~。なんでですかぁ。」ブー


神命 「さっきも言ったでしょ?南ちゃん、かなり参ってるって。」


五月雨「おぅ・・・。」


蓮華 「まさか、それほどとはな。」フム


紫苑茜「最近、やっとしーちゃんも心を開き始めたじゃない?カップルらしいこと、させてあげましょうよ。」フフ


神命 「今度はこっちの精神がやられそうだね。」ムス


紫苑茜「少しの間だけよ。南方ちゃんの精神状態が良好になり次第・・・。」フフフ


神命 「こわっ。流石、師匠。愛の狂い人なんてふたつ名は伊達じゃないよね。」ウワー


紫苑茜「ま、程々にするわよ。わたし達には永遠があるから。」


神命 「果てしなく師匠と争う羽目になるとか・・・つらいなぁ。」ボソ


ナニカイッタ? ベツニー



同性だって駄目なものは駄目。


三隈 「所変わって浴場ですの!」ズビシ


最上 「誰に向かって言ってるのさ・・・。」


カポーン


曙  「酷い目に遭ったわ・・・。」プカー


漣  「湯船で浮くとは、まぁ、器用なことしてんね。」ホエー


曙  「そう?このくらい普通よ。」


漣  「いや~。この角度だとあかりんのあかりんが丸っとぜん・・・。」


曙  「ふん!」ドゲシ


漣  「ぐはっ。」バシャン


曙  「ったく。こいつはほんとに。///」


漣  「今の、うち悪くないべな・・・。」



決めつけは良くない、何事も。


曙  「覗きは犯罪なのよ?見えてしまったにしても、見たほうに否があるに決まってるじゃない。」フンッ


漣  「だけどさ~。よく考えてみ?例えば、あかりんが部屋で全裸だったとして・・・。」


曙  「なんで全裸なのよ。」オイ


イイカライイカラ ヨクナイ!


漣  「向かいの家に住んでるお兄さんにぜ~んぶ見られちったとしよう。さぁ、悪いのはどっち?」


曙  「だから、見たほうが悪いに決まって・・・。」


漣・朧「ほんとに?」ズイ


曙  「う・・・うん。」コクリ


漣  「それじゃあ、撫子様より御言葉をいただきませう。」バッ


朧  「見られたくない格好で過ごすなら、カーテンくらい閉めやがれ。」ズビシ


・・・ア


漣  「遮光カーテンじゃなくてもさぁ。すっけすけのやつで充分、"見えちゃった"なんてことは防げるんだぜ?」


朧  「見られないようにする努力もしないで、他人に見ない努力を押し付けてんじゃねぇよ。」ゴゴゴ


曙  「撫子、あんたに何があったのよ・・・。」エェ



男子諸君、見えそうの誘惑に打ち勝つのだ。


漣  「つーわけで、うちは何も悪くないのだよ!」クワッ


朧  「無防備に浮かんでたあかりんが悪い!」


曙  「くっ!私は被害者のはずなのに!」


潮  「でも、澪ちゃんも身体を乗り出して見ようとしてたよね。」


ギクッ


曙  「へぇ・・・。」


漣  「あー。」ハハ


曙  「"見よう"としたのね。偶々"見えちゃった"じゃなくて、"見よう"って意志があったのね。」オォォ


漣  「いやぁ。見えそうで見えないギリギリのラインだったからにゃ。誘ってるのかと思って。」テヘ


曙  「んなわけあるかぁ!」ガシッ


フン! ガボボボ


朧  「いけない!殴っても悦ぶだけだからって湯船に沈めるのはいけない!」


潮  「やめて、灯ちゃん!澪ちゃんが死んじゃう!」ワタワタ


漣  「おう!待て、ごるぁ!あたしにそんな性癖はねぇってんだ!」バシャッ


曙  「温和しく沈んでなさい!」ゲシ


ガボボボ キャー! アカリチャン ヤメテ!


三隈 「好いお湯ですの~。」フゥ


最上 「取り敢えず、あれ止めなよ。」



スポドリといえば?


パシャ シュー


黒霧茜「・・・。」フー


時雨 「あっつい・・・。」ダラダラ


黒霧茜「無理をして付き合う必要はないぞ、眠よ。脱水を起こす前に出ておけ。」フ


時雨 「大丈夫。スポーツドリンク持ってきた。」つポ〇リ


黒霧茜「そういう問題ではなくてだな。」


時雨 「昼休みくらいじゃないと、ゆっくり話もできないからさ。多少の無理は大目に見てよ。」パタパタ


黒霧茜「そうか。そうまでして私と話がしたいか。そうか・・・。」テレテレ


時雨 「うん・・・にぃにの嫌がりそうなことが訊きたくて。」キラン


黒霧茜「今すぐ出ていけ。そして私の純情を返せ。」



頼み事を断るコツ。人としての評価は下がるかもね。


時雨 「いいじゃ~ん。にぃにの弱点教えてよ~。」ネェネェ


黒霧茜「ええい。鬱陶しいぞ、貴様。」ハナレロ


時雨 「教えてくれるまで離れてあげな~い。」ヒシ


近衛麗「何、してるの・・・?」


時雨 「新手の拷問。」フヒ


近衛麗「あっそ・・・。」


黒霧茜「手伝え、麗。此奴を引き剥がすぞ。」


近衛麗「・・・。」


黒霧茜「どうした。早くてつだ・・・。」


近衛麗「見返りは?」


・・・ハ?


近衛麗「だから、手伝った見返りは何って訊いてるの。」ウフフ


・・・フッ


黒霧茜「まったく、我が弟の周りには陸な女が居ないな。色々と心配になってきたぞ。」


近衛麗「あんたも大概だけどね~。」ケタケタ



またまた、ご立派ぁ!


時雨 「ねぇね、ちゃんと身体洗ってる?胸の下辺りからすっごい濃い臭いがする。」クンクン


黒霧茜「変な所に顔を押し当てるな!そして嗅ぐな!///」


近衛麗「あらあら、駄目よ~。あんたも御立派なモノ持ってるんだから、ちゃんとケアしないとぉ。」


黒霧茜「う、五月蠅い!後ろは時雨が洗ってくれるが、その・・・。前は・・・。」モゴモゴ


近衛麗「はぁ?私は前まで洗ってもらってたわよ?」


時雨 「そうだよ。女の子なんだからしっかりあらわ・・・て、違う。そうじゃない。」


黒霧茜「それは幼い頃の話だろう?やたらと細かく洗い方を指導された憶えがある。」


近衛麗「経験済みだったか。」チッ


時雨 「だったら、どうしてこんなことになってるのさ。」


黒霧茜「・・・。」メソラシ


近衛麗「面倒だったのね。」ハァ


黒霧茜「・・・細かすぎる彼奴が悪い。」ムス


時雨 「それだけ大事に想われてるってことでしょ?ねぇねに魅力的な女性でいてほしいからってさ。」


黒霧茜「しかしだな・・・。」


時雨 「これからはちゃんとしなよ。冗談抜きでヤバいからね?いや、マジで。」


黒霧茜「・・・。」


近衛麗「どうかした?」


黒霧茜「いやな。私は、ほら、肉体が既に生命活動を停止しているだろう?だから・・・。」


時雨 「だから?」


黒霧茜「代謝が、な。」


時雨 「あー。」オゥ


近衛麗「パパは殆ど臭いが無いってのに、どうしてあんたは・・・。」ヤレヤレ


黒霧茜「私達の肉体は、健全だった頃の肉体を再現しているのだ。私は、当時から湯浴みを怠けていたから・・・。」


時雨 「もう手遅れなのか。」


近衛麗「女として終わったわね、御愁傷様。」ハッ



手前の幸せは手前で決めるもんだ。そうだろ?


黒霧茜「知ったことか。私には私の幸せがある。"女として"などと簡単な言葉で括ってくれるな。」フン


近衛麗「逃げたわね。」


時雨 「ねぇね、くさ~い。」ウェ


黒霧茜「・・・私を虐めて愉しいか?」グス


時雨 「おっと。やりすぎたくさい?」


黒霧茜「くさい言うなぁ!」ブワッ


時雨 「えぇ・・・。」


近衛麗「まさか、パパのお姉さんが打たれ弱いタイプだったとはね。パパがサディストなのって、若しかしなくてもこの人が原因・・・。」


黒霧 「そう。だから、あまり虐めちゃ駄目だよ?姉さんは、僕の姉さんだから・・・さ。」フフ


時雨 「うげ。いきなり出てこないでよ、もう。今、裸なんだから。」サッ


黒霧 「それはお互い様でしょ?」


時雨 「裸の価値は人それぞれなんですぅ。男と女では雲泥の差なんですぅ。」イーダ


黒霧 「まぁ、日頃から魅力に溢れる女性の誘惑に曝されてるからさ。裸くらいじゃあ・・・ねぇ。」チラ


近衛麗「あら、やっと私の魅力に気づいたのね。」ウフフ


黒霧 「麗は昔から魅力的だったよ。寧ろ、素直で純粋だった昔のほうがよっぽど・・・。」


近衛麗「やめてよ。柄にもなく反省しちゃうじゃない。ていうか、内面の問題なの?」


黒霧 「外面だけの誘惑は、嫌というほど経験してきたからさ。」フゥ


近衛麗「ふ~ん。じゃあ、外面だけなら合格なんだ・・・。」ニマニマ


時雨 「ちょっと待った。それじゃあ、何?ボクの裸は、魅力に欠けるって言いたいわけ?」


黒霧 「ん~。今後に期待?」


時雨 「やっぱお前嫌いだ!」イヤナヤツ!



これが噂に聞く熱気の防壁というものか!


レ級 「むー。」ウロウロ


ヲ級 「レーちゃん、何してるの?サウナは苦手なんじゃなかったの?」ヲ?


レ級 「だからだよ。父ちゃんが起きたっぽいのに、中に入れねぇ。」クッ


ヲ級 「・・・。」トテトテ


レ級 「ヲーちゃん?」


ヲ級 「じゃ、ヲーちゃんだけで行ってくるの。レーちゃんはそこで爪でも噛んでるといいの。」フッ


レ級 「んなぁ!?」


オトウサーン


レ級 「・・・へへ。上等だぜ、ヲーちゃん。」


レ級 「とうとう正体を顕しやがったな、こんちくしょう!今までも陰で散々莫迦にしてたんだろうなぁ!」アァ!


レ級 「やってやんよ。姉としての意地、見せてやんよぉ!ひとつしか違わねぇけどな!」バーン


ウォォォ!


ヲ級 「まったく、手の掛かるお姉ちゃんなの。」ヤレヤレ


黒霧 「ヲ級は姉想いのいい娘だね・・・腹黒だけど。」ナデナデ


ヲ級 「褒め言葉なの。」フフー


近衛麗「この娘、才能あるわね。私が色々と仕込んでもいいかしら。」キラン


時雨 「これ以上問題児を増やさないでよ。ただでさえトップがこれなんだから。」ハァ


イクゼ! ガシ


レ級 「ふん!」グイ


ブワッ


レ級 「・・・。」ダラダラ


ヤッパリムリダァ!


ヲ級 「やれやれなの。」ヘッ



そろそろ物語を進めようか。


飛龍 「・・・。」


蒼龍 「ん~。」ノビー


フゥ


飛龍 「相変わらず暴力的な乳ね。」


蒼龍 「何言ってるの!?///」サッ


赤城 「本当ですよ。偵察任務中なのですから、緊張感を持ってください。」ジト


蒼龍 「まったくだよ、もう!」プンスコ


蒼龍 「・・・待って。赤城さん、今何処見ながら言った?」


???「動いた。」


赤城 「出てきましたか・・・。」スッ


飛龍 「あれが、海軍の悲願。戦艦・三笠。」


蒼龍 「ほえ~。おっきい砲塔。大和さんのより大きいんじゃ。」


???「魂の色が変。何か、混じってる。」


赤城 「艦娘の魂に混じるといえば・・・。」


飛龍 「深海の因子でしょ。そういう研究があったって噂もあるし。」


蒼龍 「え?何それ、私知らない。」


???「気づかれた。」


赤城 「撤退しますよ。この距離なら、まだ射程外のは・・・。」


ドォーン・・・ バシャーン


蒼龍 「余裕で届いてるけど!?」


飛龍 「深海の力を得て、強化されましたって?冗談じゃないわ。」チッ


???「先に行って。足止めする。」


赤城 「駄目です!いくら陰陽の術が使えるとはいえ、揚陸艦である貴女ひとりでは・・・!」


???「ひとりじゃない、4人。充分な距離を取ったら、火力支援して。その隙に逃げる。」


赤城 「・・・わかりました。少しの間、耐えてください。」クルッ


イキマスヨ リョウカイ


赤城 「無茶はしないでくださいね、神州丸さん。」ボソ


神州丸「・・・私ひとりで終わらせてもいいよね、パオラ。」ニタァ



練り切れていない設定には、大抵パラドクスが生じている。


カチャカチャ


龍驤 「うーん。これか?・・・違うな。それじゃあ、こっち・・・でもない。」ムー


カチャカチャ


龍驤 「だーもう!こんなんやってられるか!あんの阿呆元帥、発注ミスで部品だけ届いたから現地で組み立てろとか・・・。」ワナワナ


龍驤 「組み立て式の家具とは違うんやぞ!設計図があっても素人に通信機の組み立てなんざできるかいな!」ウガー


龍驤 「だいたい、パオラの"風の便り"で情報共有はできるから通信機なんぞ必要ないわ、とか言ってたやろ。」クソゥ


蓮華 「何を騒いでいる?」ヒョコ


龍驤 「おぉ、蓮華か。丁度ええとこに来たなぁ。」


蓮華 「はぁ?」


龍驤 「ちょっち、これ組み立ててくれへん?」チョイチョイ


蓮華 「通信機か?この基地に限って言えば、電力の無駄としか思えんが・・・。」ドレ


龍驤 「せやろ?というか、部品見ただけでわかるとか、流石やな。」


蓮華 「出来たぞ。」カチ


龍驤 「はや・・・。」エェ


蓮華 「因みに、これは通信機ではなく、艦娘の通信を傍受する為の盗聴器のようだ。」


龍驤 「あの阿呆魔王、何の為にこないなもん・・・。」


・・・イ


龍驤 「ん?」


蓮華 「早速、何か傍受したらしいな。」


ハヤク・・・ナサイ!


蓮華 「これは・・・。」


龍驤 「蓮華。この通信、逆探知できるか?」


蓮華 「任せろ。たとえその機能がなくとも、私が追加してやる。」カチャカチャ


龍驤 「頼もしい限りやで。うちはクロさん呼んでくる。」タッ



この世は所詮、適材適所。


黒霧 「近くで誰かが戦ってる?」


龍驤 「せや。うちの探知に引っ掛からん程度には遠いけどな。」


蓮華 「聴く限り、その場に居るのは赤城、飛龍、そして神州丸。名前こそ出なかったが、恐らく蒼龍も居るだろう。」


黒霧 「パオラのところの・・・。ということは、三笠絡みか。こんなに近いだなんて聞いてないんだけどな。」マッタク


龍驤 「まさか、うちの後輩連中とはなぁ。・・・で、状況は?」


蓮華 「神州丸が敵に囲まれて孤軍奮闘中のようだ。予想以上に数が多く、撤退も支援もままならんらしい。」


龍驤 「・・・まずいな。これやと半端な援軍送っても無駄死にが増えるだけやで。」ウーン


黒霧 「そうだね。相当な実力者を送らないと・・・。」


蓮華 「行くのか?父上。」


黒霧 「いや、僕は行かない。対多数の戦闘は苦手だから。僕が出張ったところで、犠牲者が何人か減るだけだ。」


龍驤 「・・・は?クロさんでも無理って。それじゃあ、あの娘らは諦めろって言うんか?」ハァ?


黒霧 「まさか。単純な戦闘力で勝る者が、全ての要素に於いて他者に勝っているわけじゃない。」


黒霧 「僕にできないことは他の誰にもできないだなんて、そんな莫迦な話はないさ。」ポム


龍驤 「せやけど・・・。」


黒霧 「大丈夫。この基地には、彼女が居る。彼女なら、この状況は打破できる。」


黒霧 「複数の敵を同時に攻撃する手段を持ち、且つ回避能力に優れ、単独でも敵の追撃を振り切ることのできる彼女なら・・・。」



万能を目指して挫けるくらいなら、私の武器はひとつでいい。


神州丸「アハハハ!どうしたの?たかが揚陸艦の一隻も沈められないなんて。貴女、それでも戦艦?」


神州丸「もっと気合い入れないと、私に沈められちゃうよ!」イカヅチヨ!


ズガーン! アハハハ!


赤城 「神州丸さん!もうやめてください!貴女の力を以てすれば、撤退も容易に可能なはずです!」


飛龍 「無駄よ、赤城。完全にスイッチ入っちゃってる。置き去りにするか、一緒に沈むか。ふたつにひとつよ。」


蒼龍 「そんな!私まだ死にたくないよぉ!まだ、まだ・・・。」ウゥ


赤城 「わかっています!ですが!」


蒼龍 「時雨さんになでなでしてもらうんだもぉん!」ウァア


赤城 「ちょっと黙ってなさい!」クワッ


飛龍 「完全に物量で負けてる。こっちが艦載機出しても、悉く墜とされる。ったく、三笠は海軍の悲願じゃなかったの?」


飛龍 「いったい、何隻出してくる気よ・・・。」チッ



そこに信念はあるか。


神州丸「ウフフフ。痛い、痛いねぇ。もう全身血塗れだよぉ。」フフフ


神州丸「でも、まだやれるよねぇ。ね、三笠。」ニィ


三笠 「・・・。」


神州丸「だんまりかよ。」チッ


神州丸「ま、そうだよね。貴女の魂、かなり侵食されてるみたいだし?戦艦様が聞いて呆れるよ。」アハハ


・・・ハァ


神州丸「・・・武力には、絶対的な矛盾がある。それは護る為に殺すということ。誰かの幸せを護る為に誰かの幸せを壊すということ。」


神州丸「どれだけ奇麗事を並べたってその事実は変わらない。世にいう英雄の殆どは、敵からすればただの殺戮者。」


神州丸「でも、それでいいんだよ。全てを護るなんて夢物語だ。物語の主人公が言う"全て"には、悪の命まで換算されていないんだ。」


神州丸「だから私は、貴女を殺す。パオラが敵と認めた奴は全部敵。皆殺しにして、パオラに褒めてもらうんだ。」ニタァ


三笠 「・・・。」


神州丸「私の話、最後まで聞いてくれてありがとう。貴女はいい人だね。だけど、パオラの敵なんだよね。だから・・・。」


神州丸「全員まとめて、海に還してあげるよぉ!どうせ理解しちゃいないだろうしねぇ!」アハハ!


???「ソーラーレイ、ですの!」シュパッ


ギャァァァ


神州丸「誰!?」バッ


パシュ ウッ


神州丸「これ・・・ま、すい・・・。」バタ


???「まったく。仲間を危険に曝した果ての勝利では、怒られるだけですのに・・・。」フゥ


???『経験者は語る、だね。』


???「黙りますの、もがみん。」


最上 『はいはい。じゃ、後は手筈どおりに、神州丸を回収して離脱。赤城さん達に預けたら、危険海域を脱するまで三笠を足止めね。』


最上 『ヘマして鹵獲されたりしないでよ?みっちゃん。』


三隈 「心配には及びませんの。この三隈、逃げ足だけなら天下一ですの。」フフン


最上 『ま、そのときは助けに行くから、存分に暴れて構わないよ。って、クロさんは言ってたけど。』


三隈 「それはそれで・・・。」ムフフ


蓮華 『莫迦が。若し仮にそうなっても、貴様が充分に弄ばれた頃を見計らって、父上以外の面子で救出に行ってやるからな。』


三隈 「相変わらず三隈が一番嫌がることを的確に・・・。」


蓮華 『だから、ちゃんと帰ってこい。』


三隈 「蓮華さん・・・。そう素直に言われると、なんだか・・・気持ち悪いですの。」


蓮華 『死んで仕舞え。』ブチッ


・・・キラレマシタノ


蓮華 「もう二度と心配してやらん。」フンッ


最上 「みっちゃんて、ほんと莫迦。」ハハ



心配性も程々に。


赤城 「神州丸さん!」


三隈 「大丈夫ですの。眠らせているだけですの。」ドッコイショ


神州丸「っ・・・。」Zzz


赤城 「この娘は本当にっ。」モウ


赤城 「・・・三隈さん。救援、感謝します。」


三隈 「そういうのは後ですの。さ、三隈達の基地に向かってくださいまし。一応、もがみん達が後詰めで来ていますの。」


赤城 「ですが、三隈さんだけを残して退くわけには・・・。」


飛龍 「赤城、この人なら心配要らない。私達は退くよ。」クイ


赤城 「でも・・・!」


飛龍 「パオラにも連絡した。あいつなら、すぐに飛んでくる。」


赤城 「パルちゃんに・・・。」


蒼龍 「そう、だから心配ないよ。私達は撤退して、早く神州丸ちゃんの手当をしてあげないと。」


赤城 「そう・・・ですね。わかりました。撤退しましょう。三隈さん、後はお願いします。」


三隈 「ええ。お任せあれ、ですの。」フフン



より多くの生命を救うため、時に非情であれ。


チラ・・・ チラ・・・


蒼龍 「赤城さん、何度も振り返って。心配性が過ぎるんじゃないかな。」ヒソヒソ


飛龍 「神州丸が自分勝手に行動した挙句、危機的状況に陥るなんて莫迦な真似をしてくれたからね。」シカタナイ


蒼龍 「飛龍がパルちゃんに連絡してくれてなかったら、三隈さんが殿を務めることに納得しなかっただろうね。」キット


飛龍 「そうかもね・・・本当は連絡なんてしてないけど。」ボソ


ウェエ! コエガオオキイ!


蒼龍 「ちょっと。それ、大丈夫なの?三隈さん、本当に独りで殿を務めてるってことでしょ?」ヒソヒソ


飛龍 「後詰めで最上さん達も来てるって話だったでしょ。最悪鹵獲されても、どうにかなるわよ。」


蒼龍 「飛龍、流石にそれは冷たいんじゃないかな。」ムッ


飛龍 「冷たい?蒼龍、貴女ってほんと、莫迦な娘よね。」


蒼龍 「な、なにお~!」プンプン


飛龍 「三隈さんがこんな程度の低い嘘に気づかないわけないでしょ。」


蒼龍 「でも、やっぱり独りじゃ・・・。」


飛龍 「じゃあ、戻れば?赤城と一緒に。それで三隈さんの頑張りを無駄にしてくればいい。」ギロ


蒼龍 「そ・・・そんな言い方、しなくても・・・。」モゴモゴ


飛龍 「そういう無自覚な偽善で動く莫迦が一番嫌いなのよ。私達は戦場に身を置いているのよ?」


飛龍 「アニメや漫画じゃあるまいし、誰も欠けることなく、なんてありえないの。」


飛龍 「どんなに圧倒的な勝ち戦だって、味方の死者が零なんてことがあった?ないでしょ?」


飛龍 「時には生命を切り捨てる決断をする覚悟も必要なの。それが、どれだけ勇気の要ることか・・・。」


蒼龍 「でもでも、最後まで頑張って、頑張り抜いてからじゃないと・・・。その、諦めがつかない、と言うか。」ゴニョゴニョ


飛龍 「諦める?何を?誰も犠牲にしないことを?莫迦じゃないの?」


蒼龍 「むー!また莫迦って言ったぁ!」ンー!!


飛龍 「莫迦と言われたくないなら、もう少し考えてから言葉を紡ぎなさい。」オバカ


蒼龍 「うぅ。」グス


飛龍 「最後まで足掻いた先に待ってる結末は、"破滅"。それだけよ。全部救ってみせる。そんな言葉を口に出す奴は、本当に嫌い。」ギリッ



心の状態が作風に影響を・・・。


アー アー テステス


五月雨「え~。本日はお日柄も良く。光熱砲も絶好調かと存じますが・・・。」


三隈 『なんですの?用があるなら手短にお願いしますの。』


五月雨「面白くないですね~。もっと余裕を持ちましょうよ。」


三隈 『戦艦数隻を相手に無駄話をしながら戦えだなんて、無茶を言わないでくださいまし。』


五月雨「まったくぅ。三隈さんは"漆黒"の一翼を担う艦なんですよ?歌って戦うアイドルばりの働きを見せてもらいたいものですね。」


三隈 『つまり、那珂さんに並べと?』


五月雨「ま、冗談はこれくらいにして・・・。」


三隈 『スルーですの・・・?』


五月雨「ぶっちゃけ、援軍は誰がいいですか?」


三隈 『そんな決まりきったことを訊かないでくださいまし。勿論、ク・・・。』


五月雨「以外で。」


三隈 『クロ・・・。』


五月雨「以外で。」ニッコリ


三隈 『・・・機動力と火力を併せ持った方をお願いしますの。』


五月雨「逃げきりは難しい感じですか?」


三隈 『さぁ?』


五月雨「はっきりしませんねぇ。三隈さんなりの見解で構いませんから、断定してもらえませんか?」フゥ


三隈 『現在、戦線を下げつつ応戦中。敵艦に撤退の意志見られず。連携は不全。三隈撤退完了後、周辺海域に進軍の恐れあり。』


五月雨「なるほど。了解しました。では、私、五月雨の権限を以て本作戦の目的を敵艦の殲滅に変更します。」


五月雨「下手に散らばられると後が面倒ですからね。出てきている奴だけでも、此処で叩いておきましょう。」


五月雨「援軍には私とレーちゃんが先発して向かいます。最上さんは偵察部隊の皆さんを回収してから合流してください。」


最上 「了解。」ニッ


五月雨「ま、最上さんが到着する頃には終わっていると思いますが。行きますよ、レーちゃん!遅れたら置いていきますからね!」シュバッ


レ級 「あっ。おい!五月雨姉!ったく、勝手に決めやがって。」ハァ


最上 「早く行かないと、本当に置いてかれちゃうよ?」


レ級 「もう手遅れだって。だいたい、改造艦娘の速力に、ちょっと速いだけの戦艦がついていけるわけねぇだろ?」


最上 「確かに。」アハハ


レ級 「自分が暴れたいだけだぜ、あれ。」ヤレヤレ



死神の微笑み


オイ! サミダレネェ!


蓮華 「・・・いいのか?お姉ちゃんが暴走しているぞ。」


黒霧 「現場の判断に任せるさ。僕は教官であって司令官ではないからね。そこまで出しゃばる気はないよ。」フフ


蓮華 「教官以前に父親だろう?生き急ぐ娘を諭すのも、父としての務めだと思うが。」


黒霧 「人は失敗しなければ学習しない。本当の意味ではね。それは、艦娘も魔族も同じ。僕はただ、見守るだけ・・・。」トオイメ


蓮華 「ふ・・・。つれないな、父上は。もっと、愛に溺れてくれてもいいんだぞ?」ン?


黒霧 「遠慮しておくよ。愛は、時に刀を鈍らせる。」ハハ


蓮華 「愛は人を強くする、とも言うな。」


黒霧 「それは"護る"ときの話でしょ?僕が言ってるのは"奪う"ときの話さ。」


蓮華 「ほう?それではまるで今回の敵は父上の・・・。」ハッ


蓮華 「そうか・・・。そうなのか、父上。」


黒霧 「さぁね。」フフッ


蓮華 「笑顔が恐いぞ、父上・・・。」



気合い入れろ!俺達が丸腰だってバレたら終わりだぞ!


ボカーン


三隈 「ん~。」ヒョイヒョイ


三隈 「これが、あの戦艦・三笠の砲撃ですの?何と言うか、こう・・・。張り合いがないですの。」ムー


三隈 「ひょっとして、三隈・・・。強くなりすぎましたの?」


???「憑依。」


三笠 「!」ギラ


ン?


ズドドーン ボカーン


三隈 「なっ!?」


バシャーン


三隈 「今のは危なかったですの・・・。」フゥ


三隈 「もう、なんですの?急に一斉射だなんて、ドッキリか何かですの?」ジト


???「対空射撃。」


三笠 「!」ババババ


ピタッ


三隈 「小口径の機銃では、この重力の障壁は破れませんの。異世界の魔王直伝ですのよ?早々に諦めてくださいまし。」フフン


三隈 「でないと、そろそろ三隈はガス欠ですの・・・。」ボソ



名前って、軽々に教えていいものじゃないと思うの。


「能力は固有のもの。そういう能力でもない限り、他人に継承なんてできない。何か仕掛けがある。」ジ


「御人形に戦わせておいて、自分は安全な所で見物かしら?」ユラァ


ビクッ


「誰・・・?」ミガマエ


「他人に名前を尋ねるときは、まず自分からって教わらなかった?」ンフフ


「不審者に教える名前なんて、無い。」タジ


「あら、警戒されちゃった。ま、そうよね~。私みたいな好い女に声を掛けられたら、吃驚しちゃうわよね~。」クネクネ


「危ない人・・・。」



友達の誕生日をどうしても覚えられない私は薄情者。


???「で?どうして黒霧のお嬢ちゃんが、こんな所に居るのかしら?」ンフ


黒霧娘「・・・。」キッ


???「そんなに警戒しないでよ。白い髪に紅い瞳だなんて特徴的な外見しておいて、バレないとでも思ってるの?」


黒霧娘「それも、そう・・・かも。」


近衛女「因みに私は近衛の女よ。あぁ、別に覚える必要はないのよ?私も覚える気ないから。」ヒラヒラ


黒霧娘「む・・・。」イラッ


近衛女「私が訊きたいのはひとつだけ。貴女の父親の名前は、何?」


黒霧娘「知ら、ない。私に、父親は、いな、い。」


近衛女「それは死んだってことかしら?それとも、蒸発した?」


黒霧娘「しつ、こい。憑き、ころす、ぞ。」オォォ


近衛女「へぇ。いっちょまえに脅しのつもり?でも残念ね。貴女には自我がはっきりしている者に取り憑くほどの力は無い。違う?」フフフ


黒霧娘「・・・。」キッ


近衛女「あ~、駄目駄目。そんな瞳じゃ染みのひとつもできやしないわ。もっと、こう・・・蔑むように。そう、ゴミを見るように!」ハァ ハァ


黒霧娘「本当に、危ない人・・・。」ヒキッ


テ チガウチガウ


近衛女「そうじゃなくて、私が訊きたいのは貴女の・・・。」


黒霧娘「だ、から、知ら、ない。」


近衛女「その喋り方、な~んか引っ掛かるわね・・・。まぁ、それはいいとして。じゃあ、黒霧時雨。この名前に聞き覚えは?」


黒霧娘「・・・あ、る。」


近衛女「貴女との関係は?」


黒霧娘「わから、ない。黒霧時雨は、一族の英雄。名前、知らない者、居ない。」


近衛女「ふ~ん。嘘を吐いてる感じじゃないし、これ以上は訊くだけ無駄か。後は直接パパに訊くしかないかな~。」ヒョイ


黒霧娘「は、はな、せ。」ジタジタ


近衛女「貴女、黒霧の割に随分と非力ね。それともパパ達が異常なだけ?・・・どっちもありえるわね。」スーイ


ハナセー!


三隈 「急に三笠の動きが良くなったと思ったら、また悪く・・・。そして今度は人攫いですの?」エェ


五月雨「あはは!まるで案山子ですねぇ!ちょっとは生物らしく抵抗してみたらどうですか?まぁ、どうせ無駄ですけど!」


アハハハハ!


三隈 「五月雨さんはあんなですし。どうしましょう、この状況・・・。」


蓮華 『莫迦は無視して帰ってこい。因子を大分消費しているだろう。補給が必要だ。』


三隈 「補給?それはつまり、クロさんと熱いベーゼをっ!」キラキラ


スグニモドリマスノ!


黒霧 「僕の唇を勝手に売らないでもらえるかな。」


蓮華 「今更何を言うか。それに、私は一言も"補給してやる"とは言っていないぞ。」フッ


黒霧 「因子切れの脱力感ってかなり凄いんだけど。君は三隈に対して本当に容赦がないね。」フフ



いっき、いっき、フェニックス~。


漣  「っべ~。教官達、マジやっべ~わ。」ウハー


朧  「五月雨教官、おそろしあ・・・。」オゥ


曙  「普段は巫山戯た感じだけど、戦場ではあんななのね。」


潮  「もがみん教官の活躍が見られなかった・・・。」ショボン


ヲ級 「」ムー


紫苑茜「あら、どうしたの?ヲーちゃん。若しかして、戦場に行きたかった?」


ヲ級 「違うの。新人に現実を見せつけて大丈夫なのか心配してるの。お姉ちゃん達の戦闘はちょっと特殊すぎるの。」


紫苑茜「ヲーちゃんは何も心配しなくていいのよ~。」ニコニコ


ヲ級 「お父さんは色々と考えているようで実は何も考えてなかったりするの。だから、お父さんには頭脳派の補佐役が必要なの。」


ヲ級 「ヲーちゃんみたいな!」フンスッ


紫苑茜「・・・しーちゃんには後で説教が必要ね。」



悩みを相談できる先輩の存在は貴重。


龍驤 「よぉ。今回もしぶとく生き残りおったなぁ。」ニシシ


飛龍 「龍驤・・・。」


蒼龍 「それ、生き残っちゃ駄目って言われてるように聞こえるんだけど?」ムゥ


龍驤 「ただの軽口や。聞き流しといたらええ。で、そいつが神州丸か。」マジマジ


赤城 「ええ。今は眠っていますが・・・。」


神州丸「Zzz」


龍驤 「ほ~ん。揚陸艦か。パオラが空母以外の娘を泊地に迎え入れたっちゅうことは、訳ありか。」


赤城 「詳しくは私達も知りません。ですが、十中八九そうでしょうね。」


赤城 「ところで、その・・・。三隈さんは・・・。」


龍驤 「安心し、無事や。文字どおり"マッハ"で帰ってきとるって。」フゥ


赤城 「そうですか。」ホッ


龍驤 「ま、この基地の娘らは心配要らん。みんな賢いし強い。それにクロさんも居る。」


龍驤 「今、うちらが気に掛けんといかんのは・・・。」チラリ


赤城 「神州丸さん・・・。」


龍驤 「それと・・・。」チラッ


飛龍 「なに・・・。」


龍驤 「べっつにぃ?」ニィ


飛龍 「ムカつく。」ボソッ


龍驤 「ええ機会やし、クロさんに相談してみ?愚痴るだけでもええで。クロさん、聞き流し上手やから。」


飛龍 「それ、何の解決にも・・・。」


龍驤 「まーまー。騙されたと思って一回話してみ。案外、自分の考えを誰かに聞いてもらいたいだけかもわからんで?」


飛龍 「・・・。」チッ


龍驤 「舌打ちしたな、今。まぁ、ええわ。クロさんもどっちかっちゅーと飛龍寄りの人や。遠慮せんとぶちまけてこいや。」ニカッ



時折、来てしまう。やる気の無い波が。


五月雨「戦果ほうこ~く。」


黒霧 「はい、どうぞ。」


五月雨「敵戦艦・5隻を撃沈。謎の美少女を鹵獲。そして・・・。」


三隈 「」チーン


五月雨「力を使い果たした三隈さんが大変なことになっています、です!」ビシッ


蓮華 「ざまぁないな。」フッ


三隈 「また、謀られましたの・・・。」ガクッ


黒霧 「そのうち治るから。」フフ



消しゴムは要らんかえ?


近衛麗「で、この娘はだぁれ?」ツンツン


黒霧娘「さわ、るな。」ムゥ


黒霧 「・・・。」ジー


黒霧娘「な、なに・・・。」オロオロ


黒霧 「ん~?なんでも?」マジマジ


黒霧娘「あ、あんまり、見ない・・・で。」ウゥ


黒霧 「ふふ・・・。」ポム


ウリウリ ヤーア


黒霧娘「なんなのぉ・・・。」グス


黒霧 「よし、満足した。」スッ


近衛麗「ちょっと、パパ?何処行くの?」


黒霧 「少し考え事をしに・・・ね。ついてきちゃ駄目だよ?特に麗は。」カチャ


近衛麗「いや~ん。麗ちゃんの心が崩壊すんぜ~ん。」クネクネ


パタム


近衛麗「・・・。」フゥ


近衛麗「ちょっと慰めてくれない?」ガシッ


黒霧娘「」ヒッ


五月雨「顔が怖いですよ~。」


蓮華 「この頃の父上はいつにも増して素っ気ないからな。致し方ない。」ウム



心と体、あなたはどちらが強い?


ンア・・・?


南方戦「おはよう。」


神命 「ん・・・。寝てた?」クァ~


南方戦「アンタも好きね。人の温もりがそんなに恋しいかしら?」


神命 「ん~ん。どちらかと言うと私は兄様の愛が欲しいかな。」ポワポワ


ゴツッ アダッ


南方戦「目、覚めた?」ニコニコ


神命 「あい・・・。」ウー


南方戦「ったく。嫁の前で堂々と・・・。嗚呼、胃が痛い。」キリキリ


神命 「でもさぁ。私だって兄様との間に子供が居るんだよ?ちょっとくらい時間つくってくれたっていいじゃん。」ムスッ


ガシ イタッ


神命 「な、なに・・・?」


南方戦「は・つ・み・み、なんだけどぉ?」ニッコリ


神命 「あ、あはは。」タラー


黒霧 「浮気性の旦那を持つと大変だね。」コンコン


神命 「兄様!」サッ


タスケテ! オット


南方戦「アンタ・・・。普通自分で言う?それ。」ハァ


神命 「兄嫁が虐める。」


黒霧 「それは大変だ。」


南方戦「よし。取り敢えず、"ワタシの"旦那の後ろから出てきなさい。ぶちのめしてあげる。」ウフフ


黒霧 「今から怒ってると身が保たないよ。これからもっとキツい話をするから。」フフフ


神命 「うわ~。」


南方戦「精神的にクるのはやめて。せめて肉体的なやつにして・・・。」アァ



常識は誰かに教えられて身に付けるものではない。


黒霧 「心の準備はいいかな?」


南方戦「ちょっと待って。」モゾモゾ


ヨシキタ


神命 「いや、それ心の準備ちがう。なんで兄様の胸に寄り掛かってるの。」


南方戦「今のワタシには安らぎが必要なのよ。」フン


黒霧 「まぁ、南から安らぎを奪ってるのも僕なんだけどね。」フフ


南方戦「本当よ。」モウ


神命 「はぁ・・・。それで?話って、なぁに?」


黒霧 「んー?これからどうしようかなって話。」


神命 「異物を排除して、クゥちゃんの許に帰る。」


黒霧 「まぁ、そうなんだけど・・・。」


黒霧 「その異物が、実の娘だと思うと・・・ね。」


南方戦「・・・。」ギュ


黒霧 「大丈夫。蓮華達のことじゃないよ。」


神命 「まさか、黒霧の?生き残りが居たってこと?」


黒霧 「みたいだね。茜姉さんも次元の狭間を通ってこの世界に"来ちゃった"みたいだから、ありえない話ではないでしょ?」


神命 「そうだけど。そんなに都合良く次元に穴が空くかなぁ。」


南方戦「話についていけないんだけど、今考えるべきはそこじゃないってことだけはわかるわ。」


ソウカモネ ソウヨ


神命 「取り敢えず、その娘が誰で何を目的に・・・。」


南方戦「何処の女と浮気してつくった娘よ?」グイッ


神命 「そっち?」エェ


黒霧 「多分、"日陰"かな。慣れていない人と話すときの喋り方とか、顔を近づけたときの反応がそっくりだから。」


南方戦「へぇ。いい女だったの?」ジト


黒霧 「からかい甲斐のある可愛いひとだったよ。」フフ


南方戦「ふ~ん。」


神命 「はい、そこまで!黒霧の里では長老が決めた男女が子を成す決まりだから浮気なんかじゃないの!この話、終わり!」


南方戦「あら、そうなの?」


神命 「そう!だから兄様は、し・か・た・な・く契ってたの!」


南方戦「神命とも?」


神命 「・・・え?」


黒霧 「・・・。」


神命 「兄様・・・?」ウルウル


黒霧 「神命。この間、僕が言ったこと、憶えてる?」


神命 「えっと。それは眠ちゃんと兄様が模擬戦をする前に話した、あれのこと?」


黒霧 「うん。それが答えだよ。」フフ


神命 「そっか・・・。///」テレテレ


南方戦「何かしら。果てしなく不愉快な気分だわ。」イラッ



娘が多いな。


南方戦「話を戻すけど、その日陰って女とはまだアンタが生きた肉体を持っていた頃に契ったんでしょ?」


南方戦「だったら、その娘とアンタはちゃんと血が繋がってるってことよね。蓮華とは違って。」


黒霧 「そうだね・・・。」


南方戦「やっぱり、違う?ちゃんと血の繋がった娘と、そうじゃない娘は・・・。」


黒霧 「まさか。遺伝子的な繋がりこそないけれど、蓮華は確かに僕の娘だ。建造組の五月雨だって・・・みんな、大事な娘だよ。」


南方戦「そう・・・。」フフ


黒霧 「だから、"仄"のことも助けたい。あの娘には、何もしてあげられなかったからね。」


神命 「ほのか?仄って、あの?」エ?


黒霧 「うん。いつも独り隅っこに居て、兄弟姉妹とも陸に関わろうとしないあの娘。」


神命 「へぇ~!仄ちゃんて、日陰の娘だったんだぁ。」


黒霧 「仲良かったよね。神命と日陰。」


神命 「うん。唯一の同い年だったから。末っ子同盟だよ!」グッ


南方戦「そんなに仲が良かったのに娘が誰か知らなかったの?」


神命 「それは・・・致し方ないことって言うか、何て言うか。」アハハ


黒霧 「黒霧の里では、子と親が一緒に暮らさないからね。自分の子供が誰かすら知らないのが普通だったんだよ。」


南方戦「何もしてあげられなかったって、そういうこと・・・。」


南方戦「でも、アンタはその仄って子が自分の娘だって知ってたのね。」


神命 「あー。」ハハ


ナニヨ イヤ・・・


黒霧 「あの世代の子供達は殆ど僕の子だから。」シレッ


南方戦「・・・は?」


黒霧 「観察してると何となくわかるよね。この子は自分の子じゃないなって。それが数人わかったら、他は全員僕の子供だから。」


南方戦「・・・はぁ?」


神命 「あーあ。言っちゃった。まったく、なんで兄様は自分で仕掛けた地雷原に突っ込んでいくような真似するかなぁ、もう。」ハァ



別に全てを知る必要はないのではなかろうか。


南方戦「どういうことなのかしら?アンタ、いったい何人の女を孕ませたの?」ゴゴゴ


黒霧 「・・・たくさん?」キラッ


南方戦「良い笑顔で誤魔化そうったって無駄!絞めてやる!」ギチッ


黒霧 「あ~。」


神命 「完全に入ってる・・・。まぁ、兄様には無意味だけどさ。」ウワァ


南方戦「掟だか何だか知らないけど、限度ってものがあるでしょうが!」グググ


黒霧 「いや~。次から次へと宛がわれてね~。種馬の気持ちがわかった気がするよ。」アハハー


南方戦「反省の色が見られない!」ギルティ!


神命 「兄様、笑い話にして済ませる気だ。同世代の女性全員と契ってる時点で全然笑えないのに・・・。」


黒霧 「里の掟があるんだから、断れるわけないでしょ?そもそも、当時の僕にとってはそれが普通だったわけだし。」


南方戦「それでも!それでも、納得いかないの!」


神命 「断るといえば、姉様は拒否してたよ?相手の男、殴り倒して。」


南方戦「断れるんじゃない!」ユサユサ


黒霧 「姉さんは特殊な例だから・・・。」ユスラナイデ


南方戦「アンタも充分特殊な存在でしょうがぁ!」ウガー


ギャー ギャー


蓮華 「修羅場だな・・・。」


五月雨「態々、盗聴器を仕込んで得たものがこれですか。まったく、お父さんは絶倫なんですかね。」ヤレヤレ


近衛麗「まさか、パパがそんなに大勢の女に手を出していたなんて・・・。どうして私には手を出さないのよ!?」クッ


蓮華 「娘だからじゃないか?」


近衛麗「でも、義理よ?何の問題もないのよ?」


五月雨「倫理的に問題しかねぇですって。」



あんまり何年前とか明確にすると後々面倒臭い。


黒霧仄「・・・。」ポケー


五月雨「どうしました?」


ビクッ


黒霧仄「い、いや・・・。あの・・・。」オドオド


五月雨「だ~めですよ~?私達は姉妹なんですから、遠慮はなしですっ。」メッ


黒霧仄「っ~。///」プシュー


五月雨「あれ・・・?」


近衛麗「酷いコミュニケーション障害ね。腹違いの妹相手にこれとは・・・。」


五月雨「妹?私のほうがお姉ちゃんじゃないんですか?背丈的にも私が・・・。」ンー?


蓮華 「黒霧の里が滅んだのは数百年も昔のことだからな。お姉ちゃんもお姉ちゃん。歳の差だけなら何世代遡ることになるやら。」


五月雨「魔族、恐るべしですね。」ハエー


ン? トイウコトハ


五月雨「麗さんって、いく・・・。」モガッ


近衛麗「それ以上は駄目よ~?」ウフフ


蓮華 「乙女の秘密だな。」フッ


五月雨「おふぉめってふぁらでふか。」フガフガ


近衛麗「なんですって?」スッ


五月雨「乙女って柄じゃねぇだろって。」


近衛麗「パパの娘でも容赦しないわよ?」フフフ


五月雨「望むところ。」フフン



盗聴は二十歳になってから。


南方戦「むー。」ブッスー


神命 「拗ね方が子供・・・。」


黒霧 「神命みたいだね。」


神命 「そんなことないも~ん。」ブー


黒霧 「ほら、そっくり。」フフッ


南神命「むー!」


黒霧 「」プフッ


アハハハハ ワラウナ!


黒霧 「は~あ。笑い疲れた。」フゥ


南方戦「アンタはほんとに・・・。」ハァ


黒霧 「南・・・。」ダキッ


南方戦「何よ、急に。こんなことじゃ、誤魔化されないわよ。」


黒霧 「それでいいよ。僕がこうしたいだけだから。」ギュッ


南方戦「ん・・・。ちょっと強い・・・。」


黒霧 「・・・。」ゴソゴソ


南方戦「ちょっ。何処触って・・・!///」


黒霧 「見つけた。」スッ


南方戦「ええ?」


黒霧 「盗聴器。」


南方戦「なんでそんなものが・・・。って蓮華しかいないわね。」アイツ



他人を注意するのは苦手。ただ、怒らないとは言っていない。


蓮華 「まずいな。」


五月雨「どうしたんですか~?」


蓮華 「盗聴器が父上に見つかった。」


五月雨「一大事じゃないですか。」オゥ


蓮華 「どうするか。」


五月雨「どうしましょうね。」


蓮華 「まぁ、父上ならばどうにか・・・。」


黒霧 『流石の僕でも娘に情事を垂れ流す気はないからね。こういうのは見逃せないかな。』


蓮華 「どうにか・・・。」


黒霧 『ま、怒ったりはしないけど。』


蓮華 「」ホッ


黒霧 『僕は・・・ね。』バキッ


ザー


蓮華 「」ダラダラ


五月雨「まぁ、そうなりますよね~。」ハハッ



夏は海派?山派?


黒霧 「ん~。」ポフポフ


南方戦「・・・いつまでワタシを抱き締めてるつもり?別にいいけど。」ボソ


黒霧 「南はさ。僕の思い描く理想のデートが何かわかる?」


南方戦「デートって。そんなのわかるわけないじゃない。一度だってしたことないんだから。」フン


黒霧 「こんな風に、ただ寄り添ってほのぼのするデート。」


南方戦「そう・・・。」


黒霧 「初めてのデートだね。」フフ


南方戦「言わないでよ、莫迦。///」カァ


神命 「それを見せられてる私。いや~ん!不幸だわ~!」クネクネ


南方戦「五月蠅い!今、いい雰囲気なのがわかんないの!」クワッ


神命 「だからだよ!こういう精神的な責めは守備範囲外なの!」


黒霧 「肉体的なのは?」


神命 「ばっちこいだよ!///」ムフー


南方戦「変態・・・。」サゲスミノメ


黒霧 「姉さんに開発されちゃったんだね。」


神命 「だからそういうのは守備範囲外だってば!」ンモウ!



私は家派。


蓮華 「お姉ちゃん。」


五月雨「なんですか?妹よ。」


蓮華 「母上に怒られたことはあるか?」


五月雨「そんな場面を見たことがありますか?」


蓮華 「・・・ないな。」


五月雨「というか、うちの大人達はあんまり怒ったりしないですよね~。」


蓮華 「そうだな。」


五月雨「ヲーちゃんは身の振り方をわかっていますし、レーちゃんはいい娘ですからね。莫迦ですけど。」


蓮華 「そうだな。」フッ


レ級 「誰が莫迦だって・・・?」ユラァ


ヲ級 「ヲーちゃん達の中に莫迦と呼ばれる娘はひとりしか居ないの。」ヘッ


レ級 「五月雨姉、最近ヲーちゃんが辛辣だ。」ヒシッ


五月雨「まぁ、本性を隠す必要がなくなりましたからねぇ。これから大変ですね。」ニコッ


レ級 「慰めろよ・・・。お姉ちゃんだろぉ。」グスッ


五月雨「いいんですか?私がその役になっても。お父さんに甘える理由が減ってしまいますよ?」


レ級 「・・・。」スッ


トテトテ


五月雨「何処に行くんですか?」フフ


レ級 「・・・とこ。」ボソ


五月雨「なんですか~?」ニヨニヨ


レ級 「父ちゃんのとこだよ!五月雨姉が行けって言ったんだろ!///」


五月雨「え~?別に私、お父さんの所に行けだなんて一言も言ってませんよぉ?」ニヤァ


レ級 「っ~!!///」カァァ


ヲ級 「どうでもいいからさっさと行くの。姉妹のアシストを無駄にするつもりなら許さないの。」


ヲ級 「二度とお父さんに甘えられないようにしてやるの。」ニィ


レ級 「ひっ!」ゾワッ


蓮華 「わかったら早く行け。私達も後で行く。甘えられるのはその間だけだぞ。」


レ級 「行ってきます!」シュバッ


タタタ・・・


五月雨「流石ですね、ヲーちゃん。」フフン


ヲ級 「汚れ役を演じるのも楽じゃないの。」フッフー


近衛麗「いいわぁ。やっぱりこの娘、私が仕込んでも・・・。」


蓮華 「静観していたのなら最後まで黙っていろ、色情魔。」チッ


近衛麗「青〇?此処は室内よ?」


蓮華 「無理矢理猥談に持っていくな。一般的にはアオだろうが。」


近衛麗「あら~。どうしてそんなことを知っているのかしら~?」ウフフ


蓮華 「その手の挑発には乗らんぞ。私は父上の情事を盗撮するような娘だからな。」フ


近衛麗「・・・パパはもう少し娘に厳しく接するべきじゃないかしら。私が言うのもだけど心配になってきたわ。」



知り合いの前でイチャつく勇気はない。


ダダダダ


レ級 「父ちゃん!」バァン


黒霧 「どうしたの?」


レ級 「ヲーちゃんが虐めてって、何してんだよ。」


黒霧 「デートだよ。」フフ


レ級 「南姉を膝に乗っけてか?重くねぇのか?」


南方戦「ちょっと?」


黒霧 「まぁ、多少は。」


南方戦「ちょっと!?」


レ級 「で、神命姉は何してんだ?」


神命 「いじけてるの。」ムッスー


レ級 「父ちゃんの背中に負ぶさりながら?」


神命 「そうだよ。」スリスリ


レ級 「・・・なんだこれ。」エェ



これが命の重み。


南方戦「ねぇ、ワタシって重いのかしら・・・。」ドヨーン


黒霧 「重いよ。南の命は僕にとって、とても重い。」


南方戦「最近、誤魔化し方が雑になってきてない?大丈夫?」


神命 「ねぇねぇ、兄様~。私は?私は重い?」ノシッ


黒霧 「重い・・・。」ウッ


神命 「なんか反応が違う!?」ヒドイ!



全然話が進んでない件。


レ級 「なぁなぁ、俺は除け者扱いなのかー?」テシテシ


黒霧 「そんなことはないよ。おいで。場所はないけど。」


レ級 「おう。」モゾモゾ


南方戦「また蓮華に弄られてたの?」


レ級 「いや、今回はヲーちゃんが・・・。」


南方戦「へぇ。愈々本性を隠さなくなったのね。これから大変ね~。ご愁傷様。」


レ級 「五月雨姉にも言われたぜ、それ。」ハァ


黒霧 「強く生きるんだよ、レ級。」ナデナデ


レ級 「偶には助けてくれよぉ。」ウー


???「」チラ


???「あの人が、私の・・・。」ジー


神命 「兄様。あの娘、凄い見てる。」ヒソヒソ


黒霧 「うん、そうだね。」フフ



君の普通は私の異常。


紫苑茜「んばぁ~。」ヌーン


黒霧仄「ひゃああああ!!」ビックゥ


ハァ ハァ


黒霧仄「な、なに・・・?」ビクビク


紫苑茜「貴女、しーちゃんの娘にしては鈍いわね。気配に疎いだなんて、暗殺者としてやっていけないわよ?」


黒霧仄「そ、れは、考え、ごとを、してた・・・から。」イジイジ


紫苑茜「それにしたって、ねぇ。」チラ


黒霧 「仄は他人に関心が無いからね。存在ごと無視しちゃってた弊害で気配に疎いんだよ。」


黒霧仄「」ビクッ


紫苑茜「あら、そうなの。でも、流石に自分の父親には興味があるみたいね。」ウフフ


黒霧仄「///」モジモジ


黒霧 「そうかな?里に居た頃は避けられていたような気が・・・。」ウーン


黒霧仄「ち、ちがっ!あ、ありぇは!」ワタワタ


紫苑茜(噛んだわね。)


黒霧仄「うぅ~。///」カァァ


黒霧 「あはは。誰かもわからない父親に頼ろうと思わなかっただけだよね。ごめん。」ヨシヨシ


紫苑茜「それはしーちゃんでしょ。」


黒霧 「みんな同じだよ。黒霧の一族に親子の絆なんてものはないからさ。一部を除いて。」


南方戦「歪んでるわ~。ワタシの旦那。」ヤレヤレ


神命 「それが私達の普通だから。別に不幸だったわけじゃないってことは強調しとく。」


南方戦「そう・・・。ところで、あのひとにひっつけなくなったからってワタシにくっつくのはやめてもらえるかしら。」ウットウシイワ


神命 「いいじゃん。私の愛を受け取って?義姉様~。」ピットリ


南方戦「離れなさい。」ドゴッ


ブッ


神命 「顔面に裏拳はないって・・・。」イッタァ


南方戦「肉体的なのはウェルカムなんでしょ?」


神命 「痛ければ何でもいいってものでもないから・・・。」サスサス


南方戦「難しいのね。」フーン



これは誰の復讐か。


黒霧 「」ウリウリ


黒霧仄「あぅ・・・。」ウー


紫苑茜「いい加減にしたら?いつまで弄くってるのよ。」


黒霧 「仄が僕に馴れるまで。」チラッ


紫苑茜「それは、まだまだ掛かりそうね。」ハァ


チラッ


神命 「」フリフリ


南方戦「何?今の合図。ムカつくんだけど。」ジト


神命 「魂の鑑定をしてほしいってね。兄様から耳打ちされてたの。」カンテイカイシ


南方戦「そんなこと、さっきの間にやっておけばいいじゃない。」


神命 「ふたりに並んでもらわないと見比べるのが面倒なの。っと、鑑定完了。あー、これは・・・。」アハハ


南方戦「・・・。」


神命 「訊かないの?どうかした?って。」


南方戦「聞きたくない。それに今回のことは黒霧一族の問題でしょ?だったら、ワタシの預かり知らぬところでさっさと終わらせて。」


神命 「さては、義姉様。・・・怒ってるね?」


南方戦「言葉にしないとわからないかしら?」ニコォ


神命 「だよねー。ま、その件については兄様に丸投げするとして。取り敢えず結果を伝えないとね~。」ンー テイッ


神命 「あっ。兄様、ウインクしてくれた。これは永久保存モノだね。」キュピーン


南方戦「ねぇ、神命。」ガシッ


神命 「え?・・・何?」


南方戦「アンタ、あのひとの子供を産んだんですってねぇ?」


神命 「あ・・・。その話、しちゃう感じですか・・・?」ハハ


南方戦「当然。今夜は寝かさないわよ。」ウフフフ


神命 「助けて、兄様・・・!」タラー



交通費の関係で、そもそも移動が困難です。


テイッ


黒霧 「・・・。」ウリウリ


黒霧仄「や~あ~。」ウー


紫苑茜「ねぇ、しーちゃん?わたしには、嫌がってるように見えるんだけど・・・?」


黒霧 「嫌よ嫌よも好きの内。」ウリウリ


紫苑茜「やめてあげて!?」チョット!?


黒霧仄「う~。」フルフル


紫苑茜「あぁ、もう。ほら、こんなに震えて可哀想じゃない。」


黒霧 「まるで茜姉さんの過剰な愛情表現に精神的ダメージを受けた姉さんみたいだね。」


紫苑茜「うっ・・・。」グサッ


黒霧 「今まで自分が何をしでかしてきたか、これで理解できたでしょ?」


紫苑茜「ええ、それに関しては謝るわ。ごめんなさい。だけど、仄ちゃんを巻き込むのは違うと思うの。」


黒霧 「・・・そうだね。ごめんよ、"日陰"。」



私の伏線は最早伏線と呼べる代物ではない。


黒霧仄「うー。許して、あげ、ない。」プイ


・・・アレ?


黒霧仄「今、なんて・・・。」タジッ


紫苑茜「しーちゃん?これはいったいどういう・・・。」


黒霧 「神命は"魂の巫女"だよ?魂を鑑定して、ある程度の血縁関係を明らかにすることはできるさ。」


黒霧 「まぁ、君は知らなかっただろうけどね。そんなことをする必要がなかったから。」


黒霧仄「ち、ちが・・・。私・・・。」


黒霧 「僕はね。神命に頼んで、里の子供達全員を鑑定してもらってたんだ。だから、どの子が誰と僕の子かってことは把握してる。」


黒霧 「仄は、確かに僕の娘だよ。だけど、仄の母親は日陰じゃない。」


黒霧仄「私、自分の、お母さんが誰か、なんて、言って、ない・・・!」キッ


黒霧 「そうだよ?あれは"憑依"を使っても流暢に話せないくらいにあがり症だってことを誤魔化せるように助け船を出してあげただけ。」


黒霧仄「・・・!」


黒霧 「親と子が似るのは必然だからね。生活環境によって人格は変化するものだけど、やっぱり根幹は同じなんだよ。」


黒霧仄「でも、でも・・・。」ウゥ


黒霧 「そもそも、仄の能力は"憑依"じゃない。それは君オリジナルの能力だ。ねぇ、日陰。」ニィ


日陰 「・・・そこまでわかってて、泳がせてたんだ。」


黒霧 「泳がせてたってよりは、遊んでたってほうが正しいかな。君の中身が仄じゃないことは始めからわかってたから。」


日陰 「そっか。変わらないなぁ、時雨くんは・・・。」アハハ



年下に諭されたとき、最低の自己嫌悪に陥る。


黒霧 「久し振りだね、日陰。」


日陰 「うん、久し振り。神命も、久し振り。」フリフリ


神命 「ごめん!今ちょっと忙しいかも!」グググ


南方戦「さぁ、詳しく訊かせてもらおうじゃないの!」グググ


イヤー!


日陰 「大変そうだね・・・。」


レ級 「父ちゃん・・・。」クイッ


黒霧 「ん、おいで。」スッ


チョコン


日陰 「その娘は?」


黒霧 「娘だよ。」


紫苑茜「わたしとしーちゃんのね。」ムフン


日陰 「貴女、紫苑の毒師・・・よね。やっと相手にされるようになったんだ。」


紫苑茜「喧嘩売ってるのかしら~?」ニコォ


日陰 「ご、ごめんなさい!つい、本音が・・・。」アセアセ


紫苑茜「」バッ


黒霧 「どうどう。」ガシ


紫苑茜「止めないで、しーちゃん。こう莫迦にされて黙ってたんじゃ、女が廃るわ。」グググ


黒霧 「日陰に悪意は無いから。そういう娘だと思って流して。だいたい、茜姉さんが日陰に敵うわけないでしょ。」グイッ


ポスッ


紫苑茜「ふー!ふー!」ギラッ


日陰 「本当にごめんなさい。私、思ったことをそのまま口に出してしまう癖があって・・・。」


紫苑茜「やっぱりはったおす!」バッ


黒霧 「だから無理だって。」ガシ


レ級 「母ちゃん、俺を抱えた状態の父ちゃんに片手で止められてるんだぜ?身の程を弁えようぜ?」


紫苑茜「ぐはっ。」グサッ


黒霧 「娘に諭されたんじゃ、しょうがないよね。」


紫苑茜「それもレーちゃんにだなんて。」ズーン


レ級 「おい、そりゃどういう意味だ。」アァン?



少しばかり時を戻そう。


龍驤 「い~い湯だっなっ♪」


漣・朧「アハハン♪」


龍驤 「い~い湯だぁな♪」


漣・朧「アハハン♪」


龍驤 「・・・。」ホケー


曙  「どうしたのよ。」


龍驤 「ここまでしか知らんねん。」


漣・朧「右に同じく!」


曙  「あっそう。」



ごめん。忘れてた。


神州丸「んぁ・・・。」パチクリ


赤城 「目が覚めましたか?」


神州丸「此処は?」


赤城 「パルちゃんの弟(仮)が指揮を執っている訓練基地です。普通、意識が戻るまでは医務室に寝かせておくのですが・・・。」


赤城 「今回はそのままドッグに叩き込ませていただきました。ある種のお仕置だと思ってくださいね。」ウフフ


神州丸「お仕置?暑いのは苦手だけど、お風呂くらいどうってことない。」ウン?


赤城 「その言葉を聞いて安心しました。この程度で苦痛を感じてもらっては危なっかしくてお仕置どころではないですから。」


神州丸「・・・?」


赤城 「さぁ、行きましょう。蒼龍さんも飛龍さんも待っていますよ。」


神州丸「うん。」チャポ


・・・


神州丸「あ、赤城?」ダラダラ


赤城 「なんですか?」ニコニコ


神州丸「こ、これ・・・。」


赤城 「サウナですよ?」ウフフ


神州丸「わ、私・・・。あっちの湯船に浸かって・・・。」クルッ


赤城 「駄目ですよ。言ったじゃないですか。これはある種のお仕置だって。」ガシ


神州丸「」ヒィッ


赤城 「蒼龍さんと飛龍さんが中で待っています。"先に行って"待っているんですよ?」ウフフフ


イヤアアアア!!



チーム単位で評価が決まるなら、責任を押し付けたところで保身にはなり得ない。


キィ


赤城 「お待たせしました~。」フフフ


神州丸「い~や~!」ズリズリ


飛龍 「うっさい。頭に響くから喚かないで。」ギロ


神州丸「ご、ごめん。」


蒼龍 「遅いよ、神州丸ちゃん。私、もう限界・・・。」グデーン


赤城 「あら、それはいけませんね。経口補水液でも用意してもらいましょうか。」


蒼龍 「いや、その前に此処から出してよ。」


赤城 「駄目です。神州丸さんへのお説教が終わっていませんから。」


蒼龍 「私達、関係ないじゃ~ん。」ウー


赤城 「関係ないだなんて、そんなっ。私達はチームじゃないですかっ。」ヨヨヨ


蒼龍 「うぇ~。」


飛龍 「諦めなさい、蒼龍。口答えしてると、その分長くなるわ。」


ウィー


神州丸「」ソローリ


赤城 「何処へ行かれるのですか?神州丸さん。」グリン


神州丸「い、いや。蒼龍の為に水分を取りに・・・。」アハハ


赤城 「龍驤さんに頼んでありますから、心配は無用ですよ?」ウフフ


神州丸「でも、龍驤だけじゃ運べないかな・・・なんて。」


赤城 「七駆の娘達にも頼んでおきました。心配無用です。」ニコニコ


神州丸「でも・・・。」


飛龍 「神州丸?」ギロッ


神州丸「」ヒゥッ


飛龍 「こちとらあんたの数倍サウナに入ってるの。ぐだぐだ言い訳並べてないでさっさと座りなさいよ。」ゴゴゴ


ヒャイ


神州丸(なんでこの人、律儀に赤城の言いつけを守ってるんだろう。)ガタガタ



年功序列も実力主義も縦社会であることに変わりはない。


蒼龍 「だ~。長かった~。」ツップシ


飛龍 「もう二度と付き合ってやんない。」グデッ


潮  「お、お疲れ様です。お水、どうぞ。」スッ


蒼龍 「ありがと~、潮ちゃん。」エヘヘ


プハァ イキカエルー


龍驤 「赤城の説教は長いやろ。よう最後まで我慢したなぁ。」ニシシ


飛龍 「抗議するより我慢したほうが短くて済むのよ。逃げたらまた長くなるし。聞き流すしかないじゃない。」


龍驤 「まぁな。それにしても先輩相手に説教とは、赤城もようやるわ。」


飛龍 「・・・は?先輩?誰が。」


龍驤 「あん?なんや、知らんかったんか?赤城より君らのほうが先輩やで。あの娘は社会人経験者やからな。艦娘歴は長くないねん。」


飛龍 「へぇ・・・。なんだ、赤城ったら後輩だったんだ。」フーン


飛龍 「今度の説教が楽しみね。」フフフ


龍驤 「あー。これは余計なこと言うてしもうたかな。ごめんな、赤城。」ガッショウ



"頑張れ"には、"普段以上に"という意味が含まれている。


神州丸「あぅ・・・。」フラフラ


神州丸「赤城・・・さん。なんて、恐ろしい人。」ウゥ


時雨 「・・・。」ジー


神州丸「な、何?」


時雨 「別に?ちょっと顔を見に来ただけ。ボク達が救った命がどれほどのものか、確かめるために。」フフ


神州丸「え?・・・え?」


時雨 「んー。でも残念。少し期待外れかな~。」


時雨 「君、実力だけはありそうだけど、それ以外がね~。ま、良い出会いがあれば変わるかも知れないし。頑張ってみてよ。」ソレジャ


ポツーン


神州丸「・・・本当に、何。」エェ


飛龍 「あんた。」ユラァ


ヒャイッ


飛龍 「丁度良いところに居たわね。少し付き合いなさい。」ガシ


神州丸「え?付き合うって何に?ていうか、力強い。引っ張るのやめて!」アーレー



これは"そのさん"に突入か?


日陰 「へぇ。瞳が紅いのはお父さん譲り?それとも元から?」マジマジ


レ級 「何だよ。あんまり見るなよ。」テレッ


日陰 「いいじゃない。時雨くんの面影を探させてよ。」フフ


レ級 「う~。父ちゃ~ん。」ヒシッ


黒霧 「レ級が人見知りをするとは、意外だね。」ヨシヨシ


紫苑茜「これまでレーちゃんに対して積極的な人が居なかったから。」ウフフ


トコロデ


紫苑茜「貴女、あがり症はどうしたの?随分と流暢に話しているようだけど。」


日陰 「あぁ、それ・・・。」メソラシ


紫苑茜「なぁに?その反応。別に嘘だったとしても怒ったりしないわよ?」


日陰 「ううん。あがり症だってことは嘘じゃないの。ただ・・・。」


紫苑茜「ただ?」


日陰 「あがり症を克服するって名目でやってた特訓を思い出しちゃって・・・。」モジモジ


紫苑茜「あぁ?」ビキッ


黒霧 「どうかした?」


紫苑茜「そこのとこぉ。」


神命南「詳しく訊かせてもらおうかぁ。」フフフ


レ級 「父ちゃん、母ちゃん達が恐いぞ。」フルフル


黒霧 「大丈夫。レ級は僕が護るよ。」ギュ


深海嫁「矛先が向いてるのはアンタでしょうが!」


ギャーギャー


日陰 「時雨くんと一緒に手当たり次第に兄弟姉妹に話しかけて・・・。でも結局上手く話せなくて・・・。」


日陰 「私ってば本当に、もう。どうしてああなのかな・・・。」ドヨーン



え?そこなの?


日陰 「時雨くんも一緒に居るだけで何の手助けもしてくれないし。段々と怒りが湧いてきて・・・。」


日陰 「だけど、その怒りの御蔭か、少し詰まりながらだけど何とか自力で話せて。それからは普通にみんなと・・・。だから・・・。」


日陰 「時雨くんには、感謝してて・・・。ていうか、時雨くんの声、初めて聞いたなってちょっと感動でって・・・。」アレ?


日陰 「何、してるの?」


神命 「プロレスごっこ!」


南方戦「もうちょっと表現を自重しなさい!」


レ級 「その前に否定しろよ。」


紫苑茜「あら、レーちゃん。そういう知識はあるのね。いったい何処で覚えたの?」


レ級 「そういう、知識?」ウン?


紫苑茜「え?」


レ級 「は?」


紫苑茜「レーちゃん?その、プロレスごっこってどういう意味か、わかってる?」


レ級 「そりゃあ、あれだろ?男と女が夜な夜なくんずほぐれつ・・・。」


紫苑茜「ちゃんとわかってるじゃない。何処で引っ掛かってるのよ。」


レ級 「だから、そういう知識ってどういう知識なんだよ。」


紫苑茜「そこなの?あんた、莫迦は莫迦でもかなり捻くれた莫迦なのね。」


レ級 「三回も莫迦って言った・・・。」グスッ


紫苑茜「あ・・・。つい・・・。」


レ級 「もう母ちゃんなんて嫌いだ!」


ゴメーン シラネェ!


日陰 「賑やかな家族だね。」アハハ


黒霧 「退屈しなくていいでしょ?」フフ


南方戦「アンタの退屈凌ぎに付き合わされる身にもなりなさいよ!」クワッ



ゴルシ・ウィークも終わりですねぇ。


南方戦「特訓の件については、疚しいこともないみたいだし、流してあげる。」フン


黒霧 「それはどうも。」


南方戦「だけど!アンタ達の馴れ初めについては詳しく訊こうじゃないの。ワタシより好い仲だったら承知しないわ。」ゴゴゴ


日陰 「え~と。貴女と時雨くんの関係がどの程度かは知らないけど、何が良いか悪いかなんて当人の価値観次第かなって・・・。」


南方戦「だから、ワタシが直接審判を下してやろうって言ってるのよ。」ズゴゴ


日陰 「・・・はい。」


神命 「ごめんね、日陰。この人、兄様の正式な奥さんで、過去に兄様と関係を持った女が最近立て続けに現れてるから気が立っててさ。」


日陰 「な、なるほど・・・。」


神命 「まぁ、私も日陰が兄様とどんな擬似夫婦体験をしてたのか気になるし。簡単にでいいから話してあげてよ。」ネッ


日陰 「うん。神命からお願いされたんじゃ、話さないわけにもいかないけど・・・さ。聞いても面白くないと思うよ?」


南方戦「んなこた百も承知なのよ。いいから黙って全部吐きなさい。」


日陰 「黙ってたら話せないとお・・・。」


南方戦「何か言ったかしら?」ギラッ


日陰 「・・・なんでもございません。」フルフル


紫苑茜「あらあら。荒ぶってるわね、南方ちゃん。これは反動が凄いわよ~。受け止める覚悟は出来てるのかしら?ねぇ、しーちゃん?」


黒霧 「う~ん。まぁ、覚悟を決めること自体は簡単なんだけど・・・。流石に煽りすぎたかな、とは思ってる。」


紫苑茜「自業自得よ。しっかり慰めてあげなさい。これは"集積"としてのお願い・・・。いいえ、命令よ。」フフ


黒霧 「承知。」フッ



彼と彼女と時々嫉妬


日陰 「え~と。それじゃあ、私と時雨くんの出会いからだけど。私達がお互いを認識したのがいつかっていうのは、ちょっと・・・。」


南方戦「詳しく話せって、言ったわよね?」アァ?


日陰 「少なくとも私が時雨くんのことを認識したのは、時雨くんがお姉さんを魔獣から護って怪我をしたあのときです!」ハイ!


南方戦「アンタは?」


黒霧 「僕は養育舎に居た頃から知ってたよ。」


日陰 「そうなんだ。意外だなぁ。いつも独りで隅っこに居た私なんかを知っててくれたんだ。なんだか少し、嬉しいかも。」フフ


南方戦「へぇ~。」ヒクッ


紫苑茜「落ち着きなさい。今から飛ばしてたら後半まで保たないわよ。」ドウドウ


神命 (多分、姉様に危害を加える可能性のある危険分子が居ないか観察してただけだよね・・・。言わないけど。)


黒霧 「交流を持つようになったのは、パートナーに任命されてからだね。」


日陰 「うん。まぁ、正確にはその期間だけのお付き合いだったんだけど。」


神命 「そりゃそうだよ。兄様はいつだって姉様に夢中なんだもん。」


南方戦「やっぱり一番の敵は義姉さんなのね。」クッ


紫苑茜「高すぎる壁だわ・・・。」ハァ


レ級 「母ちゃんがそっち側に回ったら誰が場を纏めるんだよ。」オイ


紫苑茜「親の役目はいずれ娘に受け継がれるものなのよ。五月雨ちゃんはボケだし、ヲーちゃんはあれだから。任せたわよ、レーちゃん。」


レ級 「・・・ヤだ。」



私には一徹が限界だったよ。


黒霧 「日陰との初夜は散々だったね~。」


日陰 「時雨くんがそれを言うかな。」


黒霧 「全然、目を合わせてくれなかったし。」


日陰 「それは!・・・時雨くんが無言のままずっと私を見つめてるからで。」モジモジ


黒霧 「近づいたら逃げるし。」


日陰 「笑顔のまま距離を詰めてくるからでしょ!誰だって逃げるよ!」


黒霧 「何もないまま寝ちゃうし。」


日陰 「それ時雨くんだよね。腕ごと抱き締めて動きを封じておいて、何もしないままに寝ちゃってさ。」


日陰 「私、覚悟を決めてたのに。一睡もできなかったのに。時雨くんは、時雨くんは・・・。」フルフル


黒霧 「その後、三日間同じ状況が続いたね。」ニッコリ


日陰 「御蔭様で三徹だったよ!?」


南方戦「仲がよろしいようで何よりだわ~。」ウフフフ


レ級 「まるで夫婦漫才だな。」


南方戦「」グサッ


紫苑茜「レーちゃん?ツッコミは人を傷つけるものじゃないのよ?」


レ級 「俺には荷が重いんだって。」


神命 「で、四日目はどうだったの?」


日陰 「ぐっすりだった。」キラン


神命 「里の掟、完全に無視してるよね?それ。」



三人寄れば姦しい。


日陰 「そうだ。神命も時雨くんとパートナーになってたよね。」


神命 「え?・・・うん。まぁ、なったけど・・・。」サイゴニ


日陰 「・・・どっちからだった?」ズイ


神命 「どっちからって、何が?」エェ


ダカラ


日陰 「どっちから迫ってヤったのかって訊いてるの。」ジッ


神命 「なに訊いてくれちゃってるの!?///」


南方戦「み~こ~と~?」ゴゴゴ


神命 「ほら、こうなるじゃん!矛先が私に向いちゃうじゃん!」モウ!


南方戦「どっちから!どっちからよ!さぁ、吐きなさい。因みにワタシは自分からよ!」ガシッ


神命 「みんなそうだよ!?兄様は基本受け身だから!自分から手を出したりしないから!」イタイッテ!


南方戦「そう・・・。」ホッ


神命 「そうだよ。」フゥ


黒霧 「そうだっけ?神命のとき"だけ"は僕からいった気がするけど・・・。違った?」ウン?


南方戦「」ピシィ


神命 「もう!兄様はちょっと黙ってて!」


黒霧 「あぁ、思い出した。あのとき、神命をパートナーにしろって里長に直談判したんだ。」ポン


エ・・・?


黒霧 「余程好きだったんだね、神命のことが。」フフ


神命 「兄様・・・。それを聞いたのが今でさえなかったなら、どんなに嬉しかったことか・・・!」フルフル


南方戦「」サァァ


神命 「南ちゃん!飽くまで過去の話だから!今じゃないから!しっかりして!・・・て、こんなこと私に言わせないでよ!」ウワァン



入る度胸もなければ、立ち去る勇気もない。


蓮華 「・・・。」ムー


近衛麗「入らないの?」


五月雨「この状況でそんな科白を平然と言ってのける貴女の精神はどうかしてますね。」


近衛麗「まぁ、人間関係を崩壊させることに関しては近衛に並ぶ者はないとか言われてるし?このくらい普通よ。」スッ


ガシッ


近衛麗「何よ・・・。」


五月雨「行かせませんよ?」


蓮華 「今回に限り、私も自重するほうに賛成だ。」


近衛麗「あっそう。でも、あの娘は違うみたいね。」チラッ


エ?


ヲ級 「」ガチャ


黒姉妹「ヲーちゃん(ヲ級)!?」


蓮華 「待て!およそ娘が聞いていいような内容ではないぞ!」タッ


五月雨「そうです!いくらヲーちゃんが手遅れとはいえ、これ以上闇に染まることはないんですよ!」タッ


ヲ級 「でも、レーちゃんは聞いてるの。あと、五月雨お姉ちゃんは後で憶えておくの。」ムッ


五月雨「そんなっ!」ガーン


蓮華 「レ級は聞いたところでどうせ理解できんから構わんのだ!」クワッ


レ級 「喧嘩売ってんのか!」オラァ!



最終決戦て、やたら人が集まる割に一騎打ちで終わらせがちだよね。


神命 「私は過去の女なんだぁ~!」ボロボロ


南方戦「」マッシロ


日陰 「泣かないで、神命。私に較べたらまだマシでしょ?」ネ?


神命 「日陰は兄様のこと好きでも何でもないからそんなことが言えるんだよ!」


日陰 「それは・・・。そうだけど。」


神命 「私は好きなの!大好きなの!今も!昔も!これからも!ずっと、ずっと、好きなままでいるのぉ!」バァァ


南方戦「・・・よ。」ワナワナ


南方戦「いい加減にしなさいよ!アンタ達ぃ!好き勝手喚き散らして・・・。いいこと!"今の"パートナーはワタシなの!」バァン


南方戦「これまでがどうだったとか。これからどうだとか。んなこた知ったこっちゃないわよ!大事なのは今!」


南方戦「今はワタシが彼の嫁であるという事実!彼が今、ワタシを愛してくれているという事実よ!そうでしょ!」ブワッ


黒霧 「・・・。」


南方戦「どうして、黙ってるのよ。こんなときくらい、ちゃんと言葉で伝えてよ。」グスッ


黒霧 「おいで、南。」ウデヒロゲ


ウアアアアア! ボスッ グフッ


黒霧 「南・・・。肋骨が逝った、かも・・・。」ピクピク


南方戦「これがワタシの想いよ。」ギュウ


黒霧 「あの、僕は特別身体が頑丈とかじゃないからさ。南に全力で抱き締められると、色々終わっちゃう・・・。」プルプル


南方戦「受け止めて。身体強化を使ってでも、凶化を発動させてでも、受け止めて。全部。」グッ


黒霧 「・・・うん。」ビキッ


黒霧 (八割解放して、やっと受け止められるかどうか・・・か。受け身主義のくせして情けないったら。)フゥ



少女の復活


南方戦「Zzz」スゥ


紫苑茜「最近よく寝るわね、南方ちゃん。これ以上成長してどうするつもりなのかしら。」


黒霧 「中身はまだ子供だからね。それより、寝てるのに凄い力なんだけど・・・。」オレソウ


紫苑茜「それだけしーちゃんを想ってるってことでしょ?ちゃんと受け止めてあげなさい。しーちゃんは南方ちゃんの旦那なんだから。」


黒霧 「わかってる。」


紫苑茜「だったら、もう少し手加減してあげてもいいんじゃない?」マッタク


紫苑茜「ま、そんなことは言っても無駄として・・・。神命!」


神命 「なぁに?師匠。」ヒグッ


紫苑茜「あんたはしーちゃんにとって過去の女よ。それは否定できないし、"今"しーちゃんを振り向かせることもできないわ。」


紫苑茜「だって、しーちゃんに選ばれたのは他でもない南方ちゃんだから・・・。」


神命 「うぅ。」ウルウル


紫苑茜「だけど!これからは違う。この世界ですべきことを全部終わらせて元の世界に戻ったら、わたし達の天下よ!」グッ


神命 「でもぉ。」ズビッ


紫苑茜「あんたがそんな調子なら、わたしがしーちゃんを独り占めしてやるからね!それでもいいの!」ビシッ


神命 「絶対、駄目!」


紫苑茜「なら、今は耐えなさい。妹として振舞いなさい。ひとりの女になるのは、その後よ。」


神命 「・・・うん!」クシクシ


神命 「ありがとう、師匠。もう大丈夫だよ!神命ちゃん、復活の巻ってね!」バーン


紫苑茜「その意気よ。だいたい、しーちゃんが節操なしなのがいけないのよ。」


神命 「そうだよ!兄様のスケベ!絶倫!」ベーダ


日陰 「絶倫といえば、時雨くんて・・・。」ゴニョゴニョ


紫苑茜「そうなのよ。それで・・・。」ゴニョゴニョ


神命 「ほんとに!?でもでも、(※自主規制)。」ピー


五月雨「てめぇら、娘が居ること忘れてんじゃねぇだろうなぁ!!忘れてなかったとしてもはったおすぞ!うらぁ!!」


黒霧 「流石にレ級には聞かせられないかな。」ミミフサギ


レ級 「おう。やっと俺の扱いがマシになってきたな。でも、夜の知識ならある程度は知ってるぜ?」ミミフサガレ


黒霧 「その"ある程度"に収まらないから、聞かせられないんだよ。」フフ


レ級 「・・・?聞こえねぇよ。手を外してから喋ってくれよ、父ちゃん。」


黒霧 「だ~め。」ニコニコ


蓮華 「///」プルプル


ヲ級 「蓮華お姉ちゃんも意外に純情なの。」ヘッ



長座体前屈36センチはまずい。


紫苑茜「娘の前でする話じゃなかったわね。それは認めるわ。」デモネ


紫苑茜「本当に殴ることないんじゃない?」ジンジン


五月雨「鎌でぶってもよかったんですよ?」ジャキン


紫苑茜「勘弁してよ。丈夫な黒霧の娘ふたりはいいけど、わたしは死んじゃうから。」


日陰 「いや、黒霧は魔族の中で割と打たれ弱い一族だからね?神命と茜さんが特殊なだけだからね?」


神命 「やめて?そうやって私をキワモノ扱いするの。」


日陰 「でも事実だし。」


神命 「凶化を発動させたとき限定だから!平時の私は普通の女の子だから!」


日陰 「よく言うよ。時雨くんに組み手で関節極められたときの痛みがたまらないって散々私に・・・。」


神命 「わー!!わー!!」


黒霧 「神命・・・。」


神命 「ち、違うの!これはっ!」


黒霧 「南が起きちゃうから、静かにね。」シー


ア・・・ ハイ


黒霧 「それに、神命は靱帯がゆっくりと伸びていく感覚が好きってことくらい知ってるから。」


神命 「・・・ですよね。」ハハ



軽口を叩き合えるくらいが丁度良い。


神命 「そういえば・・・。日陰と兄様の夫婦生活がどんなだったか、まだ聞けてないんだけど?」ネェ


日陰 「もう勘弁してよ。私の場合、人見知りを直すのに充てた期間が長すぎて、時雨くんをパートナーだと思えなくなってたし・・・。」


日陰 「親戚のお兄ちゃんが面倒見てくれてた感じだったよ。」


神命 「そんなものかなぁ?」ウーン


日陰 「神命だって、時雨くんのこと"兄様"って呼んでるじゃない。」


神命 「それは・・・私なりのけじめだよ。」ボソ


日陰 「けじめ、ねぇ・・・。」


神命 「聞かれてるし。サボり魔だったくせにちゃんと耳がいいとか。そういうところあるよね、日陰って。」ブー


日陰 「要領が良いと言ってよね。」フフッ



三笠編を終わらせに掛かろう。


日陰 「さてと、もういいかな?時雨くん。」


黒霧 「ん。いいんじゃないかな。」


神命 「え~。もう少しお話してたい~。」


日陰 「駄目だよ。私の決心が鈍っちゃうでしょ?」


神命 「それが主な目的だったりして。」ニッ


日陰 「そういうところあるよね、神命って。」ハァ


デモ


日陰 「今更止まれないよ。・・・時雨くん!」


黒霧 「何かな?」ナデナデ


日陰 「取り敢えず、その手を止めて聞いて?」


黒霧 「やっと力を緩めてくれてね。余裕が出てきたところなんだ。」ヨシヨシ


日陰 「そっか・・・。じゃあ、話進めるけど・・・。」


日陰 「時雨くんは、どっちに付くの?」



ノーヘッド・オートマタ


黒霧 「どっち・・・か。それは"人間"か、"深海棲艦"かってことかな?それとも、"君"と"世界"・・・かな?」


日陰 「世界だなんて。大袈裟だなぁ、時雨くんは。」クス


日陰 「愛しあった仲でもないんだから、そこまでのことは望んでないよ。もっと、単純な話・・・。」


日陰 「私が訊きたいのは、時雨くんが私の敵か味方かってこと。」


黒霧 「・・・君の敵が何かによるね。それ次第で今後の全てが決まる。」


日陰 「そう・・・だよね。期待なんてしてなかったけど、何も訊かずに手を差し伸べてくれたりはしないか・・・。」


黒霧 「・・・。」


日陰 「わかった。話す。すご~く簡単にだけど、質問はなしでお願い。長くなるから。」


神命 「大丈夫。長くなったら頭が受け付けなくなるから。自動的に。」


日陰 「そんなだから脳無し自動人形なんて渾名が付くんだよ。」


神命 「何それ!?私知らない!」



帰宅部を体育以外で走らすな。


日陰 「黒霧の里が襲撃されたあの日。物陰に潜んでた私は古代兵器の直撃を免れ、この世界に飛ばされてきた。」


日陰 「気づけば何処かの海岸に倒れていて、数人の少女が私を囲んでた。」


日陰 「可笑しな形の筒を向けて、怯えた瞳で見下ろしてさ。」


日陰 「リーダー格の娘が何か話してたけど、その内容は理解できなかった。言葉がわからなかったから。」


日陰 「それで無視して行こうとしたら・・・撃たれた。」


神命 「よく死ななかったね。日陰、虚弱体質なのに。」


日陰 「死にかけたよ。街中に逃げ込んでも、ずっと追いかけてきたし・・・。」


紫苑茜「大方、深海棲艦に見紛われたんでしょう。あなた達黒霧の外見は深海棲艦よりだから。」


神命 「それで?どうやって落ち延びたの?」


日陰 「そんなの決まってるじゃない。全員まとめてあっちの世界に送ってあげたの。私に関わったことを後悔させてからね。」フン


神命 「う~わ。陰湿~。流石は霊能力者。」


日陰 「それは関係ないでしょ?ともかく、私の敵はその"艦娘"って女共。」


日陰 「この私に全力疾走させた恨み。絶対に晴らしてやるんだから。」オォォ


神命 「・・・ちっさ。」



価値観の違いを理由にするなら、ちゃんと説明しないとね。


日陰 「始まりはどうであれ、ことあるごとに突っかかってくるんだもん。私の穏やかな日常の為にも滅ぼしてやらないと。」


近衛麗「物騒な話ね~。敵は皆殺しって?」


神命 「・・・え?」


日陰 「何を言ってるの?近衛のくせに。」エェ


近衛麗「近衛の"くせに"って何よ。"くせに"って。それに別段間違ったことを言った覚えはないんだけど?」


黒霧 「考え方の違いだね。僕達黒霧は敵とみなしたもの全てを狩り尽くすまで歩みを止めるなと教わってきたから。」


近衛麗「どうやら私が間違ってたみたいね。」フッ


神命 「もう洗脳の域だよ。ちゃんと責任とりなよ?兄様。」ウワァ


黒霧 「教育なんて洗脳の親戚みたいなものでしょ?」フフ


神命 「知らないけど。そんなこと言っちゃ駄目だよ・・・。」


紫苑茜「最近の神命はツッコミ役なのね。可愛らしい阿呆の娘は何処にいったのかしら。常識のある神命なんて神命じゃないわ。」


神命 「弟子の成長を褒めようよ。師匠でしょ?」


紫苑茜「"恋愛"の師匠よ。あんたに常識を教えた覚えはないわ。」ハッ


神命 「そうでした・・・。ん?ってことはまさか。師匠のくれたアドバイスは全部、非常識ってこと!?」


紫苑茜「今更気づいたの?やっぱり神命は阿呆の娘ね。安心したわ。」ウフフ


神命 「そんな・・・!だから兄様は嫌な顔を・・・してなかったかも?」ウン?


紫苑茜「よかったわね。優しいお兄様で。」ニィ


神命 「そうだけど、そうじゃない・・・!」クッ



過去が繋がる。


日陰 「」ジー


五月雨「なんですか・・・?じっと見つめて・・・。」


日陰 「貴女、艦娘ね。でも違う。不思議な波動を感じる。」ホホエミ


五月雨「電波・・・?」コソッ


黒霧 「どうして僕の背中に隠れるのさ。」フフ


五月雨「ああいう笑顔には裏があるものなんです。」


日陰 「う~ん。どうしよっかなぁ・・・。」


黒霧 「どうするも何も。仄の肉体を介してでは生者に干渉できないでしょ?」


日陰 「そうだね。」ニコリ


黒霧 「五月雨を"敵"と見なすなら、僕は君に容赦しないよ。まぁ、どのみち君とは戦わざるを得ないんだけど・・・。」


日陰 「」ニコニコ


黒霧 「君、艦娘を狩るときに何人か民間人も巻き込んでるね?それも意図的に。」


日陰 「ん~。どうだろ。私も必死だったからさ。巻き込んでしまったかも知れないことを否定はできないかな。」


神命 「嘘吐き。自分に関わったことを後悔させてって言ったよね。それって、"怨嗟の牢獄"を使ったってことじゃないの?」


神命 「死者の怨念を強制的に聞かされるあれを、陸に訓練も受けていない少女が耐えられるわけないじゃん。」


神命 「精神崩壊を起こして、良くて廃人。最悪、命を落とすこともある。そんなことができる日陰が普通の艦娘相手に必死って。」


神命 「莫迦言わないで。」キッ


日陰 「・・・。」


黒霧 「偶然近くに居た三笠を操って、民家ごと吹き飛ばしたね?」


日陰 「だったら・・・どうする?」ニタァ



言葉の弾丸。その恐ろしさたるや。


神命 「艦娘の評判を落として、反対派を焚きつけて。ほんと、日陰らしい陰湿な作戦・・・。」


日陰 「私が得意とするのは社会的抹殺だから。戦闘力で劣る分、工夫しないとやっていけないの。神命達とは違って・・・ね。」


神命 「私、日陰との組み手で勝った憶えがないんだけど?」


日陰 「負け戦はしない主義だから。今やったら神命が勝つよ。」


日陰 「ま、それはそれとしてさ。結局、私達は相容れないってことでいいんだよね?」


黒霧 「そうだね。君に母親を殺された娘の許しも得ないで、身内ってだけで和解するわけにもいかないから。」


日陰 「手を下したのは私じゃないよ?」ケタケタ


黒霧 「君が、手を下させた。自らの手を汚さない遣り方は、君の良いところであると同時に悪いところでもある。」


黒霧 「日陰、君は命が失われる感覚を知ってるかい?」


日陰 「・・・。」


黒霧 「その身を以て知るといい。人生最後の経験としては悪くない。」


日陰 「そっか。じゃあ、待ってるね。」フッ


バタッ


黒霧仄「」



越えられない壁を壊すのは殊更に難しい。


パチッ バチッ


紫苑茜「珍しいわね。しーちゃんがちゃんと火葬するなんて。」


近衛麗「別に火葬が標準ってわけでもないでしょ?近衛じゃ葬儀すらなかったわ。」


紫苑茜「そうじゃないわよ。いつもなら"崩壊"で原初の霧に戻すだけなのにって話。」


黒霧 「仄はこの世界の住人ではないからさ。原初の霧に戻してしまったら、仄だった霧はこの世界に留まり続ける。」


レ級 「でもよ。燃やしたって世界の壁は越えられねぇぜ?」


黒霧 「ただの気安めだから。そんな気がするってだけで充分さ。」ナデナデ


レ級 「・・・おう。」エヘヘ


蓮華 「葬儀中にその表情はどうかと思うがな。言葉を交わしたことすらないとはいえ、私達の姉妹なのだぞ。」


レ級 「うっ・・・。悪かったよ。」


五月雨「不思議なものですね。殆ど他人みたいなものなのに、身内というだけで涙が・・・。」ウゥ


ヲ級 「タウリン配合の涙なんて聞いたことないの。」ジト


五月雨「なんのことですかねー。」サッ


蓮華 「まったく、真面目に臨んでいる者は居ないのか。父上の気持ちも考えろ。」


紫苑茜「ところで、この娘の本当の母親って誰なの?どうせ聞いたところでわたしの知らない女だとはおも・・・。」


黒霧 「姉さんだよ。」


紫苑茜「・・・ごめんなさい。」


神命 「師匠・・・?」ゴゴゴ


紫苑茜「悪かったわよ。今のはわたしが全面的に悪かったです!ごめんなさい!」


飛龍 「・・・。」


飛龍 「話しかけるタイミングがないわね。」


神州丸「飛龍でもそういうこと気にするんだ。」


飛龍 「何か言った?」ギロッ


神州丸「なんでもないです・・・!」ヒィイ



向かい風を追い風に?逆走じゃねぇか。


漣  「フリー フライ」


朧  「フリー フライ フロー」


漣・朧「クンムラッタ クンムラッタ クンムラッタ ビスタ」


漣・朧「オーノ ノーノ ノース ビスタ」


漣・朧「ビスタ!ヴィスタ!」


漣・朧「ヴィスタぁああああ!!」ウオー!


曙  「・・・。」


漣  「ツッコんで?」ズンチャ


朧  「困ってるよ。」チャッチャ


漣  「ツッコんで?」クイッ クイッ


朧  「ほんとに困ってるよ。」


漣・朧「やっぱりダンスタイム!ここでダンスタイム!みんなでダンスタイム!」ヘイ!


曙  「私にどうしろと・・・。」



おかえり。姿の見えぬ人。


潮  「」ポケー


曙  「ねぇ、ちょっと姫百合?呆けてないで、あんたも手伝いなさいよ。こいつら、もう私ひとりの手に負えないわ。」


潮  「・・・うん。少しだけなら、いいよ。」


曙  「少しだけって、あんた。家族なんだからがっつり関わりなさいよ。」ハァ?


潮  「あんまり激しいのは、ちょっと・・・。恥ずかしい・・・。///」モジモジ


曙  「何の話よ?こいつらの悪巫山戯を止める手伝いをしろって私は・・・。」クルッ


潮  「」キラキラ


曙  「・・・。」


潮  「ぱぱ様にご挨拶しなきゃっ。」ルンルン


曙  「・・・誰?」ポカーン



平和に徒花は似合わない。


三隈 「これは、いったいどういう状況ですの?」


最上 「もう。みっちゃんが無茶した所為で置いてかれちゃってるじゃん。」


三隈 「三隈の所為ですの?こうなるように仕組んだのは蓮華さ・・・。」


蓮華 「呼んだか?」


三隈 「なんでもないですの~。」オホホ


最上 「で、なんでキャンプファイヤー?」


蓮華 「ほう。最上にはあれが焚き火に見えるのか。」


最上 「いや、どう見たってそうじゃん。」


五月雨「あれはですね。"煙となりぬ"ってやつですよ。」


三隈 「煙って、犠牲者が出たんですの!?」


蓮華 「まぁ、"出た"という表現が適切かどうかはわからんがな。父上の娘がひとり・・・な。」


三隈 「そんなっ。レ級さんがっ!?」


レ級 「おい。どうして俺確定なんだよ。」


三隈 「いえ、他の御三方は意地でも自分の最期を皆の記憶に刻みつけるだろうと思いまして・・・。」


レ級 「どーゆー意味だ。」アァン?


ヲ級 「精々、野垂れ死にしないように気をつけるの。」ヘッ


レ級 「ヲーちゃんが虐める。」ヒシッ


五月雨「はいはい。強く生きましょうね~。」ヨシヨシ



誰でもいいわけじゃない。


黒霧 「」


神命 「・・・。」


近衛麗「声、掛けないの?」


神命 「そこまで踏み込んでいけないよ。今はまだ・・・。」


近衛麗「あっそ。じゃあ、私が行ってくるわね。」


紫苑茜「待ちなさい。」ガシッ


近衛麗「・・・何よ。」


紫苑茜「あんたじゃない。あんたじゃないのよ。」


近衛麗「わかってるわよ、そんなこと。でもねぇ。だからって遠慮してらんないでしょうが!」


近衛麗「あんなパパ、見てらんないったら・・・。」ギリッ


紫苑茜「・・・。」クッ


ハァ


紫苑茜「せめて、あーちゃんが慰めてあげられたら・・・。」


神命 「あ・・・。」


近衛麗「なに・・・。」


紫苑茜「どうしたの。」


神命 「それ・・・できる。私の能力なら、できる。」


近衛麗「あぁ、そういえばあんた・・・。」


パパサマ ・・・エ?


潮  「ぱぱ様。」ウフフ


紫苑茜「姫百合ちゃん・・・?」


近衛麗「あの娘も本格的に養子になったのね。」ヘェ


神命 「・・・違う。あれは。」


黒霧 「仄?」


潮  「うん・・・。仄だよ?」ニコッ



君と最後の物語


黒霧 「また随分と性格が変わったみたいだね。」


潮  「最後くらい、自分の気持ち、ちゃんと伝えたかったから。」エヘヘ


黒霧 「そう・・・。」ポム


潮  「ん~ふふ~。」ニヨニヨ


潮  「ぱぱ様の手、あったかい。」


黒霧 「仄は、あったかいのが好き?」


潮  「・・・うん。」コクリ


黒霧 「じゃあ・・・。」ダキッ


潮  「わっぷ。」


黒霧 「これは、どうかな。」


潮  「うん、好き~。」ニヘラ


潮  「・・・ぱぱ様。仄ね。ずっと、ずっと、こうしたいって思ってたんだよ?」ギュウ


黒霧 「うん。」


潮  「いっぱい、お話したかった。」


黒霧 「うん。」


潮  「お稽古も、つけてほしかった。」ウゥ


黒霧 「ああ。」


潮  「もっと、仄の名前、呼んでほしかった・・・。」ヒグッ


黒霧 「」ギュッ


潮  「うっ。うぅ・・・。うああああああ!!」ボロボロ


潮  「やっと会えたのに!やっと近くにこられたのに!もうお別れなんて、嫌だよぉ!」


黒霧 「・・・。」


アアアアアア!!



世界は神をも包括する。


近衛麗「ねぇ、神命。あれ、どうにかしてやれない?」


神命 「どうにかって?」


近衛麗「しらばっくれてんじゃないわよ。あんたが"魂の巫女"だってことくらいは知ってるんだから。」


神命 「なんで知ってるのさ。気持ち悪いな~。」ウェ


近衛麗「このアマっ。」ワナワナ


紫苑茜「無駄よ。神命がこういう態度をとるってことはつまり、そういうことだから。」


近衛麗「神殺しの一族が、聞いて呆れるわね。」チッ


神命 「神もまた万能ではないってことだよ。あいつらを超えた私達もね・・・。」



母の腕に眠る。


黒霧 「仄、こっち向いて。」


潮  「ん・・・。」クシクシ


黒霧茜「・・・お?」


潮  「まま様?」


黒霧茜「ちょっと待て。思い出すからな。」ウーン


黒霧茜(こんなに発育の良い娘が私にいたか?)


潮  「まま様~!」ウアア


黒霧茜「おおい!待て!まずは説明してくれ!」


シグレェ!!


神命 「う~わ。兄様、姉様に全部投げて引っ込んだよ。」


紫苑茜「あーちゃんにも会わせてあげたかったんじゃないの?」


近衛麗「私にはパパの心理がわからないわ。」



ネタ枠主人公


漣  「さてさてさ~て。あたいらもそろそろ交ざりますか。」ニシシ


朧  「おーともさ。」


曙  「交ざる前に説明してちょうだい。」チョット


漣  「い~や、無理無理。あたすにもさっぱりぱ~ですわ。ノリで乗りきるべ。」


朧  「ノリだけに。」キラン


曙  「あんた達のそういうとこ、偶に羨ましく思うわ。」ハァ



どうせ、できることしかやれないのさ。


漣  「く~ろ姉。困ってんねぇ。加勢してやろーか?」ニヒヒ


朧  「姫百合側にな。」フッ


黒霧茜「勘弁してくれ。此奴だけで私は手一杯だ。」


潮  「まま様・・・。」ギュウ


黒霧茜「」ムゥ


漣  「本気で困ってんね。どうするべや。」ヒソヒソ


朧  「致し方なし。」ウム


漣  「そーだな。」


曙  「取り敢えず事情を訊いてやりなさいよ。」バシッ


アダッ


曙  「姫百合は私達にとって大事な家族なの。その身体を使われてるんだから、説明を求める権利くらいあって然るべきでしょ?」


漣  「ほ~。あかりん、然るべきなんて言葉知ってんの。やるねぇ。」


朧  「見直した。」ウム


曙  「こいつらぁ・・・。」イラッ



中学時代のテストでは、五割の確率で満点をとりました。


曙  「で、あんたは何処の誰なのよ。」


潮  「仄は仄なの。」


曙  「"何処の"って聞こえなかったかしら?」ヒクッ


潮  「・・・ごめんなさい。」シュン


漣  「おぉい。やべぇって。中身が誰かは知んねぇけど、外身はあの姫姉だぜ?」


朧  「理不尽な莫迦力で捻り潰される未来が見える・・・。」オゥ


曙  「あ・・・。」サー


漣  「ほんとそういうとこだよなぁ。変なところで頭回るくせに、ちょ~と血が上ったくらいですぐこれだ。」ヤレヤレ


朧  「直結思考め。」ハッ


曙  「それ意味違うでしょ!」クワッ


漣・朧「へぇ。」ニヤニヤ


曙  「は、嵌めやがったわねぇ。///」ワナワナ


漣  「あかりんてさ。保健体育の保健だけ点数良いタイプだよね~。」


朧  「間違いない。」


曙  「それは私がムッツリだってことかぁ!!」ウガー



知識は使ってなんぼ。


潮  「まま様。」ジッ


黒霧茜「そんな瞳で、見るな・・・。」ウッ


潮  「仄は、誰でしょう?」ウフフ


黒霧茜「・・・仄?」


潮  「せいか~い。」ニパッ


黒霧茜「そうか。仄か・・・。そうか・・・。」ハハッ


潮  「えへへ。まま様ふかふか~。」モフモフ


黒霧茜「ああ、こら。そんなに押しつけるな。に、臭う・・・からな。」ボソボソ


潮  「まま様のにおい。強くて、優しい、血に塗れた黒霧の香り。ちょっと、酸っぱいけど。」


黒霧茜「」グサッ


潮  「絶対に、忘れない。」スーハー


黒霧茜「頼むから忘れてくれ・・・。」


潮  「最期に会えてよかった。」


黒霧茜「ん?最期だと?」


潮  「ぱぱ様と仲良くね。」フフ


黒霧茜「おい、ちょっとまっ。」


潮  「」フラッ


ドウシタ!? ダキッ


潮  「ん・・・。」パチクリ


黒霧茜「大丈夫か?仄。」


潮  「・・・仄ちゃんなら、もう逝っちゃったよ。」


黒霧茜「はぁ?」


潮  「よかったね、仄ちゃん。」トオイメ


黒霧茜「もう、何がなんだかわからん。」グッタリ



大人の十年は子供の一年。


神命 「姉様。」


黒霧茜「神命か。何だったのだ?今のは。」


神命 「やっぱり何もわかってなかった。兄様、適当すぎ・・・。」ハァ


黒霧茜「仄とは誰だ?ちゃんと説明してくれ。」


潮  「・・・え?」ピシッ


紫苑茜「あーちゃん。若しかしてさっきまで寝てたの?」


黒霧茜「時雨に叩き起こされた。」


紫苑茜「それで何の説明もなしに代わったのね。ほんとにしーちゃんはもう。」ヤレヤレ


神命 「いいですか?姉様。仄ちゃんっていうのは・・・。」


潮  「まま様とぱぱ様の娘です。」ズイッ


黒霧茜「・・・娘?」


潮  「そうです・・・。黒姉と!黒霧教官の!娘さんです!」ダンッ


黒霧茜「そ、そうか・・・。」タジ


潮  「そうか?そうかってなんですか!仄ちゃんは黒姉の娘なんですよ!黒姉がお腹を痛めて産んだ、本当の娘なんですよ!」


潮  「やっと自分の父親が誰かわかって。母親の存在も知って。でも、もう彼女には触れあうための身体がなくて・・・。」


潮  「残された僅かな時間だけでも、家族の温もりを感じていたいって!」


潮  「それなのに、それなのに。"誰だ"なんて・・・。あんまりです!」ブワッ


潮  「ひどい。ひどいです・・・。」ポロポロ


黒霧茜「・・・すまん。」


潮  「私に謝らないでください!」クワッ


黒霧茜「」ビクッ


潮  「仄ちゃんにも、謝らないでください・・・。謝ってしまったら、認めることになっちゃうから・・・。」


潮  「そんなの、仄ちゃんが可哀想すぎます!」


黒霧茜「しかし、もう・・・。」


潮  「それでもです!」


黒霧茜「はい・・・。」


潮  「ちゃんと、仄ちゃんのことを知ってから謝ってください。」ムン


黒霧茜「結局謝るのか。」


潮  「当然です!」ビシッ


ソコニナオッテクダサイ! モウナオッテ・・・ ゴタゴタイワナイ! ハイ・・・


曙  「誰よ、あれ。」エェ


漣  「いやいや、あれは姫姉っしょ。」


朧  「やるときはやる。かっこいいお姉ちゃんなのね。」ドヤァ


曙  「私はあんな姫百合知らないんだけど?あんた達、ひょっとして悪巫山戯が過ぎて本気で姫百合を怒らせたことが・・・。」


漣・朧「」メソラシ


曙  「あるのね。」ハァ



何の為に生きるのか。生きるとは何か。


シャアアア


飛龍 「・・・。」


神州丸「・・・。」チラッ チラッ


赤城 「どうしたのでしょう、神州丸さん。さっきから飛龍さんの顔色ばかり窺って。」ヒソヒソ


蒼龍 「飛龍もだよ。ふたりして何処に行ってたかと思えば、急に帰ろうって。」ヒソヒソ


シャアアア


蒼龍 「私、クロさんとお話したかったのにな~。」


飛龍 「」ギロッ


蒼龍 「」ビクッ


飛龍 「」プイ


蒼龍 「・・・何あれ超恐いんですけどっ!」ガシッ


赤城 「蒼龍さん、痛いです。」


飛龍 「ねぇ、赤城。」


赤城 「はい。なんでしょう?」


飛龍 「あんた。後輩、なんだってね。」


赤城 「ええ、そうですけど・・・。」


飛龍 「"後輩"なんだってねぇ。」ジー


赤城 「」ゾワッ


飛龍 「こ・う・は・い、なのよねぇ。」ジー


赤城 「ご、ごめんなさい!」


神州丸(この人にだけは逆らっちゃいけない!)ガタガタ


蒼龍 (飛龍、どうしちゃったんだろう。いや、前から割と変だったけど・・・!)


飛龍 「何か、失礼なこと考えなかった?」ジト


蒼龍 「エスパー!?」


飛龍 「考えてたんだ。」


蒼龍 「しまったぁ!」


赤城 (蒼龍さん!!)


神州丸(これ以上燃料投下しないで!!)


飛龍 「あー。イライラする。」チッ


赤城 (遂に口に出したっ!)


神州丸(味方に沈められるのだけはっ!)


蒼龍 「あ~、飛龍?何か悩んでるなら、力になるよ?」


飛龍 「あんたに相談して解決するような悩みなら、端っから悩んでないわよ。」ハッ


蒼龍 「」パリーン


赤城 (蒼龍さん!!)


神州丸(次は私だぁ!!)ウアア


ハァ


飛龍 「もう、寝取ってやろうかな。」ボソッ


・・・エ?


赤城丸(何の話ぃ!?)ピシャーン



波があるのは仕方ないけれど。


パオラ「おかえり~。」フリフリ


飛龍 「ただいま。出迎えどうも。」スタスタ


パオラ「え?・・・うん。」


スタスタ・・・


パオラ「何?どうしたの?」


赤城 「いえ、私達にも何がなんだか・・・。」


蒼龍丸「恐かったよぉ!!」バッ


パオラ「ほんとにどうしたのよ・・・。」エェ


蒼龍 「飛龍が、飛龍がぁ。」ボロボロ


神州丸「誰かを寝取るって・・・。」フルフル


パオラ「はぁ?いやいや、あの飛龍に限ってそんなこと。ねぇ、赤城?」


赤城 「」メソラシ


パオラ「嘘でしょ・・・。」


パオラ(飛龍と関わりのある男で、恋人がいるとなると・・・。時雨しか居ないわよね。)


パオラ「は~。勘弁してよ。あたしそういうの得意じゃないのにぃ。」ハァ



他人を巻き込むのはやめなさい?


パタム ボフッ


飛龍 「結局、何も得られず・・・か。」フゥ


飛龍 「龍驤はあんなこと言ってたけど、怪しいものね。」ゴロン


飛龍 「彼ほどの実力があれば、理想だって現実のものに・・・。」


飛龍 「時には捨てる覚悟も必要。全てを護るなんて、ただの妄想・・・。」


飛龍 「私は、そう信じたいだけなのかも、知れないわね。」フッ


コンコン ヒリュー?


飛龍 「開いてるわよ。」


ガチャ


パオラ「ちょっと様子を見に来たんだけど・・・。大丈夫ではなさそうね。」


飛龍 「そうかもね。」


パオラ「何があったの?聴いてあげるから、話してみなさい。」スッ


飛龍 「・・・。」


パオラ「そんなに話にくいことなの?」


飛龍 「そりゃ、ね。」


パオラ「そうよね。気軽に話せるような内容なら、こんなことにはなってないものね。」


パオラ「・・・飛龍。あたしには、その、そういうことはよくわからないけれど、正々堂々ぶつかっていけば、応えてくれると思うわ。」


飛龍 「・・・うん。」


パオラ「ライバルは多いけど、頑張るのよ。」ファイト!


飛龍 「は?」


パオラ「・・・え?」


飛龍 「あんた、さっきから何の話してるの?」


パオラ「いや、だから。飛龍が時雨を寝取るって・・・。」


飛龍 「はぁ?」


パオラ「えぇ・・・。違うの?」


飛龍 「ちげーよ。誰だよ、んなこと言った奴。」ゴゴゴ


パオラ「飛龍が言ってたって、三人が・・・。」


飛龍 「言ってね・・・。あー。言ったわ。そういえば。」


パオラ「やっぱり言ってるんじゃないの!自分が言った内容くらい憶えてなさいよ!」


飛龍 「うっさいわね!んなこと本気で言うわけないでしょうが!察しなさいよ!」


パオラ「不機嫌モードのあんたは恐すぎるのよ!それはもう、寝取りさえ平気でやりかねないくらいにね!」


飛龍 「私をあんたら阿婆擦れと一緒にするなぁ!!」


パオラ「誰が阿婆擦れだぁ!!あたしはまだ処女だっつーの!!」


シーン


飛龍 「・・・なんか、ごめん。」


パオラ「謝らないでよ・・・。あたしが惨めになるじゃない・・・。」



永遠の・・・。


パオラ「で?恋の悩みじゃないなら何なのよ。」


飛龍 「・・・。」


パオラ「黙るのはなしよ。あたしはこの泊地の長なんだから。あんた達の面倒を見る義務があるの。」


飛龍 「勝手にやってなさいよ。私達には、あんたらに面倒を見られる義務はないのよ。」


パオラ「あっそう。いいのね?このあたしを自由にさせても。神州丸に頼んで、あんたの過去探ってやるわよ?」


飛龍 「・・・。」


パオラ「いいのね?」


飛龍 「あぁ、もうわかったわよ!話すから。勝手に詮索するのはやめて。お願いだから。」


パオラ「少しはあたしを頼りなさいよね。この世界の常識なんかはよくわからないけど、これでも人生経験は豊富なのよ?」


飛龍 「はいはい、そーですね。ったく、だったら頼りがいのあるところをもっと見せろっての。」


パオラ「相変わらず口が悪い。そんなんじゃ、嫁の貰い手がなくなるわよ。」


飛龍 「大きなお世話。つーか、生娘に言われたくないわ。」ハッ


パオラ「経験がないのはお互い様でしょうが。」


飛龍 「生きてる年数を考えなさいよ。あんたいったい幾つなのよ。」


パオラ「・・・十七。」


飛龍 「」シラー


パオラ「そんな瞳で見るなぁ!あたしの依代になった肉体は本当に十七歳なの!精霊は歳をとらないから嘘じゃないもん!」


飛龍 「もんって・・・。」エェ


パオラ「嘘じゃないも~ん!!」



何がわかるというのか。


パオラ「って、あたしのことはどうでもいいの。さぁ、話してちょうだい。あんたの悩みってやつを。」


飛龍 「悩み・・・。悩みねぇ。果たしてこれを悩みと言っていいものかしら。」フゥ


パオラ「そういうのはいいから。結論先行で端的に。」ハイ


飛龍 「・・・あんた、私が着任したての頃、憶えてる?」


パオラ「忘れるわけないでしょ?飛龍はうちの建造組第弐号なんだから。まぁ、あの頃のあんたはもう少し可愛げがあった気がするけど。」


飛龍 「でしょうね。私だって自覚してるわ。」


パオラ「・・・何があったの?」


飛龍 「私ね。蒼龍を・・・沈めたのよ。」


ハァ?



嗚呼、真っ赤だ。


パオラ「莫迦なこと言わないでちょうだい。蒼龍は今だってちゃんと居るじゃないの。」


飛龍 「そうね。だけど、確かに沈んだのよ。蒼龍はあのとき、確かに・・・。」


パオラ「それじゃあ、何?今の蒼龍は偽物だって言うの?」


飛龍 「そんなのわからないわよ。海の底に沈んでいったと思ったら、いつの間にかそこに立ってたし。それに・・・。」


飛龍 「あの娘には、沈む前の記憶が・・・あったの。」


パオラ「どういうことよ。そんなこと、あり得るはずが。あんたの見間違いじゃ・・・。」


飛龍 「見間違いなんかじゃない!あの娘は!蒼龍は!私が沈めたの!」ガタッ


パオラ「沈めたって、あんた・・・。」エェ


飛龍 「整備不良で爆弾を固定するアームが緩んでたの。発艦の拍子にそれが外れて、それで・・・。」


パオラ「そう・・・。どうして、報告しなかったの。」


飛龍 「できるわけないでしょ。あの娘には蒼龍の記憶がちゃんとあって、それに私に沈められたことを知らないのよ?」


飛龍 「そんな状態のあの娘に、お前は誰だなんて・・・。そんな視線を向けさせるわけにいかないもの。」



この手が届く限り。


飛龍 「私は、一番護りたかった者を失った。それも、自分の手で・・・。」


飛龍 「艦娘の存在意義は戦って護ることにあるのに・・・。嗤っちゃうわね。戦わずして失うだなんて・・・。」ハッ


飛龍 「これじゃあ、私が生まれてきた意味が無いじゃない。たったひとりの親友すら護れない力に意味なんて無い・・・。」


パオラ「飛龍。あんた、今までずっとそんなことに頭を悩ませてたの?」


飛龍 「そんなことって何よ。」アァ?


パオラ「そんなことはそんなことよ。親友を失うのはつらい。だけど、それをいつまでも引きずっちゃ駄目。」


パオラ「勿論、忘れてしまうのは論外。でも、飛龍の場合は固執が過ぎるわ。最早呪いの域よ。」


飛龍 「随分と簡単に言ってくれるじゃない。」


パオラ「そりゃあ、伊達に長生きしてませんから。」フフン


飛龍 「・・・。」


パオラ「あんたも・・・。建造組なんだから、今後こういうことは増えていくわよ?」


飛龍 「わかってる。」


パオラ「なら、区切りをつけなさい。そうやってくよくよしてるから、あの娘も心配で傍を離れられないんじゃないの?」


飛龍 「蒼龍が?私を?・・・はっ。ないわ。」ヘッ


パオラ「なんでよ~。あんた達、仲良かったじゃない。」


飛龍 「違うわよ。そうじゃなくて、私は蒼龍に心配されるほど落ちぶれちゃいないってこと。」フッ


パオラ「そう・・・。」フフッ


飛龍 「もう、同じ過ちは繰り返さない。絶対に・・・。」



ふぉろ方 歳しふぉろー


パオラ「さて、飛龍が立ち直ったところで本題に入りたいんだけど・・・。」


飛龍 「私の相談は序でってか。」ヘェ


パオラ「仕方ないでしょ?今の蒼龍は何者なのか、なんて大問題が発生しちゃったんだから。」


飛龍 「そうね・・・。でも、いいんじゃない?放っておいて。」


パオラ「なんでよ。深海棲艦が化けてたりでもしたらどうするの。」


飛龍 「深海棲艦が、皆悪とは限らないでしょ?」


パオラ「時雨のとこの話?あれは例外よ。」


飛龍 「いいの。あの娘のことは私が見張っておくから。迷惑は掛けないわ。」


パオラ「・・・あんたがそこまで言うなら、任せるけど。若し裏切られたら、どうするの?あんたに蒼龍が殺せるの?」


飛龍 「一度も二度も変わらないわよ。それにあの娘は私を裏切らない。」フフ


パオラ「その根拠は?」


飛龍 「私があの娘を"信じていない"からよ。」ニィ



次なる物語へ


ヒタッ ヒタッ


「あなた・・・。何処・・・。あなた・・・。」


ヒタッ ヒタッ


・・・


「だぁー!もう!やってられっか!」バァン


「あらあら~。まだ仕事を始めて半日しか経っていないわよ~。」ウフフ


「半日もだろ!俺達は社畜じゃねぇんだぞ!前線で戦うのが本業なんだよ!なのに・・・。」ギロ


「あはは。こっちを見ないでもらえるかな。」


「いい加減主力部隊に戻せよ、こら。こちとら限界突破済みなんだよ。」オォン?


「それだけ大事にされてるってことでしょ~。」


「///」プシュー


「わかってくれたかい?天龍。」


後書き

三笠編、完結せず。そしてそのまま新章へ。
色々と放置したままですが、更に新要素をぶっ込んでいく予定です。
回収し忘れないようにしなくては・・・。

では、簡単なキャラ紹介をば・・・。

久遠真宵・・・転生を繰り返すことで種を保存する一族、久遠の末裔。圧倒的な魔力を以て、魔王の座に登り詰めた。転生体の母親を手に掛けた過去があり、その経験から久遠の掟である"孤高であること"を放棄。"懐刀"を組織し、"歴史の正導"に努めている。現在は海軍元帥として海軍を統治しており、大胆な綱紀粛正を行った。結果、大半の海軍将校が厳罰の対象となったため、人手不足に頭を悩ませている。
黒髪、黒瞳の青年。見た目は小学生。

加賀・・・大本営所属。真宵の正妻。赤城に憧れて艦娘を志した改造組。海軍闇の時代を経験しており、ちょっかいを掛けられたことも屡々。感情表現が苦手で、声色も平坦だが、その瞳は実に雄弁。真宵の妻となってからは、些か依存している嫌いがある。因みに、加賀の憧れる"赤城"はパラオ泊地の赤城ではない。

扶桑・・・大本営所属。真宵の妻。海軍闇の時代を経験しており、男性不信の嫌いがある。当時のトラウマから、夫である真宵と一線を越えられずにいるが、山城と結託して乗り越える予定。子供が好き。真宵の実年齢を知ったときは、色々と酷かった。

山城・・・大本営所属。真宵の妻。海軍闇の時代から大本営に籍を置いていたが、独房に入れられていたため、初めての相手は真宵だった。元は姉狂いの妹だったが、扶桑のことも自分のことも大切にしてくれる真宵に惹かれるようになり、優先順位が変化した。加賀とは何かと張り合うことが多いが、実は仲良し。嫁の中では、最も真宵との距離感が近い。

漣・・・訓練基地所属。本名、澪(みお)。母子家庭で育った、戦争孤児。普段は悪巫山戯ばかりしているが、陰で努力しているタイプ。目的を果たすためならば、友を切り捨てることも厭わない。暗殺者の才を見出され、現在修行中。彼女の父親は既に登場したあの人。

朧・・・訓練基地所属。本名、撫子(なでしこ)親の顔も憶えていない、戦争孤児。漣の後ろに引っ付いて悪巫山戯に付き合っているが、漣同様に超優秀。但し、漣とは反対の何でもそつなくこなしてしまう天才タイプ。因子の恩恵により、力学的エネルギーを自在に蓄積・保存・放出できるようになった。ひとりド〇ゴンボールごっこが楽しくて仕方がない。

潮・・・訓練基地所属。本名、姫百合(ひめゆり)。みんなのお姉さん。引っ込み思案で臆病。それでも、家族の為なら後先考えずに頑張れる。勉強は好きだが結果が伴わないお莫迦。運動は得意で、筋力の値は異常。大食らいでもあり、ご飯が美味しければ、それだけで幸せ。因子の恩恵により、幽霊を認識し会話できるようになった。

曙・・・訓練基地所属。何故かこの世界に迷い込んだ、紫苑の末裔。本名、紫苑灯(あかり)。紫苑茜の妹・・らしい。姉妹揃って非力で、姉とは違い勉強が苦手。でも、戦略を立てるのは得意で司令塔の役目を担っている。姉に毒を盛られた結果、能力に覚醒し"過去を見る能力"を得た。実際は未来を見ることもできるが、まだまだ使いこなせていない。最近、漣と朧がノリだけでボケるようになってきたため、ツッコミが大変。

では、また次回に・・・。


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2021-01-29 15:59:34

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