2021-01-20 17:50:46 更新

概要

艦娘強化訓練島の日常・登場キャラクターの設定集になります。
勿論ネタバレ全開ですが、本編で触れられていない部分は伏せてあります。
彼等の過去やその後を描いた物語も載せておりますので、本編と併せてお楽しみください。


前書き

物語の流れによっては、追加・変更もあり得ます。
その場の思いつきで書いてる弊害ですね。
"飽き"とは本来、満足したからもういいやという意味なのですが・・・。
私が正しい意味で"飽き"を使える日は来るのでしょうか。


黒霧 時雨


・基本情報

呼名:くろぎり しぐれ

特徴:白い髪・紅い瞳

身長:平均より少し高い程度

体格:痩せ型


性格:マイペース・温和(冷徹・サディスト)

表と裏の二面性を持つ多重人格者。

意図的に人格を創り出すこともできる。


趣味:裁縫

細かい作業が得意。

自身が身に付けるものは全てお手製。


嗜好:黒いもの

苦手:騒がしい場所


所属:魔王の懐刀

役割:暗殺・諜報

自称:僕


種族:魔族<黒霧の一族>

暗殺を生業とする一族。

神々との聖戦の果てに滅んだ。


能力:凶化

始祖の血を覚醒させ、肉体に秘められた力を解放する能力。

同時に始祖の残虐性と闘争本能が呼び覚まされる。


能力:原初の霧

万象の素である原初の霧を操る能力。

世界の始まりに関係する能力のひとつ。

<創造>

原初の霧から万物を生み出す。

ただし、構造を完全に把握しておく必要がある。

<崩壊>

万象を原初の霧に戻す。

魂や時間といった概念も、その例外ではない。

<再構築>

崩壊させたものを再び創造する。

構造の解析目的で行われることが多い。

<強化>

擬似筋肉を創造し、身体能力を向上させる。

状況に応じて肉体の性状を変更できる。

<恩恵>

原初の霧を他人に分け与え、能力を授ける。

原初の霧の譲渡には粘膜接触が必須となる。


武具:妖刀<烏羽玉>

自ら所有者を選ぶ、黒霧の妖刀。

始祖の魂が封じられている。


装束:黒外套・仮面

任務中は仮面を着ける。

特に意味は無い。



・黒霧と時雨


黒霧という一族は、何よりも血脈を護ることを良しとした一族だ。

始祖を崇め、始祖に近い存在であることを目指していた。

だからこそ俗世から隔絶した隠れ里に暮らし、不純な血が混じることを防いでいたんだ。

その結果、黒霧時雨は産まれた。

始祖に最も近い精神と能力を持つと言われた僕が・・・。


黒霧はその血脈を護る為、一族の中だけで契りを交わし、子を成した。

それも、能力の相性を鑑みて里長が決めた男女がね。

僕達には恋をするという概念が無い。

勿論、結婚という概念も。

里長に命じられるがままに契り、子を成す。

男女の組み合わせを変えて、何度も何度も・・・。

偶々生まれ持った能力が優れていた僕は、幾度と無く里長に頼まれていた。

何を、とは言わないよ。

言わなくたってわかるだろうし、何より僕にとってそれはあまり良い思い出じゃないからね。


黒霧の始祖は、それはもう残虐な暗殺者だったらしい。

文献が遺っている訳ではないから、噂の域を出ないけど。

彼に関わった者は皆、彼の手によって暗殺されているからね。

彼の為人を知っているのは、彼の奥さんだけだったはずだよ。

彼女の為人もはっきりしていない。

だけど、暗殺者の妻になるような人だ。

きっと素敵な女性だっただろうね。


僕達が始祖について知り得るのは彼の表面的な性質だけだ。

それも、凶化なんて能力の始祖還りによってね。

実は、黒霧が一族の中だけで血脈を紡ぐ理由は此処にあるんだ。

黒霧は始祖を崇める一族だから、始祖に近づくことのできる凶化は黒霧にとって無くてはならない能力だ。

でも、そんな能力が失われたことがある。

それが黒霧の血脈に不純な血が混じった時だった。

契った当人に影響は無いよ。

黒霧の始祖だって、別の種族の女性と契っているからね。

だけど、産まれてきた子供に凶化は使えなかった。

始祖の血が薄まった所為だと考えた黒霧は隠れ里に暮らし、一族の中だけで血脈を紡ぐようになったんだ。


黒霧の一族には陽気な者が多い。

どうしてそうなのかはわからないけど、皆明るい性格をしている。

その中で僕は少し、いやかなり異端な存在だった。

碌に口を利こうとしないし、常に無表情を貫いていた。

言語障害を持っているのでは?なんて勘違いされる程にね。

どうしてそんなことをしていたのか、今となっては僕にもわからない。

ただ、姉さんの前でだけは微笑んでいた。

そんな気がする。


感情が表に出ない僕は、暗殺者の才能がある。

黒霧の大人達はそう思ったらしい。

剣術、槍術、弓術、棒術、体術に暗殺術。

他にもあるけど、思い付く限りの武術は全て叩き込まれたよ。

そして、期待を込めてだろうね。

危険度の高い任務は優先して僕に回された。

原初の霧なんて能力を持っていた御蔭で何とか成功させてはいたけれど、始めの頃は本当に辛かった。

僕にだって人並みの感情はあるんだ。

命を失うことは恐いし、平気で生命を狩っている訳じゃない。

それでも、慣れとは恐ろしいものだね。

何度か死地を経験した後は、命ある者を斬って捨てる事に何の感情も抱かないようになっていた。


そんな時、神々との聖戦が始まった。

契機は多分僕だ。

その頃に僕が請け負った暗殺依頼の中には、神や魔神を対象にしたものが幾つかあったからね。

一介の魔族が神の領域を冒したことが余程赦せなかったのかな。

神々は対立関係にあったはずの魔神族とも同盟を結び、黒霧に戦を仕掛けて来た。


聖戦に於ける僕の役割は、神々の暗殺だった。

まぁ、暗殺者だからね。

だけど、重要なのはそこじゃない。

僕が標的にした神は、天界に暮らす比較的戦闘能力の低い神々だったんだ。


少し話は変わるけど、黒霧の暗殺者は異名を付けられることがある。

その実力が認められた者に限り、里長が銘々するんだ。

僕も異名を貰ったよ。

"真宵烏"という異名をね。

何でも、静寂の訪れた闇の中、音も連れずに死を運ぶ。

そんな意味が籠められているらしい。

要するに、気配を消すことに長けていたってことだよ。


そんなこともあって、戦闘には関係の無い神々の暗殺に僕が指名された。

見た目だけは幼い男神も、麗しい女神も容赦無く斬り捨てた。

恐怖に彩られたその瞳を見ると、時折始祖の血が騒いだ。

あの時は、本当に悪いことをしたと思うよ。

具体的に何をしたかは言わないけど、神が神でなくなる程の恐怖を刻みつけてしまったんだ。


もう何柱の神を手に掛けたかわからなくなった頃、僕はある少女に出会った。

天上の牢獄で・・・。

何故、僕が牢獄を訪れていたのかというと・・・。

まぁ、罪人を解き放ったら面白いことになるかなとか思ったからなんだけど。

牢獄に繋がれていたのは、その少女だけだった。

考えてみれば、世界の頂点に君臨する神が誰かに罰せられるはずはないよね。

鎖に縛られた少女の瞳に感情は宿っていなかった。

その虚ろな瞳を見ていると何だか、自分を鏡に映しているように思えた。

だから僕は少女を里に連れ帰った。

神々の暗殺という任務を放棄して・・・。


少女と過ごした時間はとても穏やかに流れていった。

里長は激昂していたけれど、本気で怒った僕は黒霧の者には止められない。

だって、僕は始祖に最も近しい存在みたいだからね。

黒霧にとっての僕は崇拝の対象だったんだ。

誰にも邪魔はさせないよ。


感情を失った少女は始め、自分の意志で行動しようとしなかった。

手を引かれなければ歩かない。

食事も食べさせて貰わなければ口にしない。

御風呂だって僕が世話をしなければ、ひたすらに湯船に浸かっているだけだった。

あっ、女の子と御風呂に入るのは慣れているよ。

姉さんとは昔から一緒に入っているし、乱入してくる娘が何人か居るからね。


そんな日々を過ごす内に、少女に変化があった。

少しずつ、本当に少しずつではあったけれど、少女の瞳に輝きが戻り始めた。

手を引かれずとも後ろを付いて来るようになったし、御飯も自分で食べるようになった。

まぁ、やたらと膝の上に座ろうとしてくるようにもなったけど・・・。

彼女が笑ってくれるなら、気にすることではないよね。


さて、そんな穏やかな日々を過ごしていた僕達だけど、今は聖戦の最中。

里の外では、数多の命が死花を咲かせていた。

何処ぞの平野やら里やらで繰り広げられていた争乱も、終に黒霧の里に及ぶ。

隠れ里の所在を暴いた神々が各種族の英雄を引き連れて里に傾れ込んで来た。


聖戦最後の決戦は、黒霧の里が舞台となった。

数多の英雄と凶化を発動させた黒霧が衝突し、英雄が倒れていった。

今更言うのもだけど、聖戦が始まってから現在に至るまで、黒霧の死者はほぼ零だった。

隠れ里の所在が暴かれていなかったというのもあるけれど、一番の要因は姉さんだろうね。

まぁ、それはそれとして。

凶化を発動させた黒霧の身体能力は、神の領域に達する。

英雄と誉れ高い者達も黒霧の相手ではない。

聖戦が始まった時から決まっていたようなものだけど、神々の敗北が確定した。


そして、神々は禁じられた兵器に手を出した。

嘗て古の神々を滅ぼした先の聖戦でも、神々は古代兵器に頼ったらしい。

無数の光矢が天上から降り注ぎ、黒霧の里を焼き尽くした。

黒霧最強と謳われた姉さんも倒れ、黒霧最凶と謳われた僕も倒れた。

それでも、少女だけは護り抜いた。

だから僕は満足だった。

命を奪うことしか知らなかった僕が、誰かの命を護れたんだから。


最期に見たのは、少女の涙だった。

哀しみの涙を流せるということは、喜びを知ったということ。

彼女の感情を取り戻せたようで、良かった。

願わくば、その涙が彼女の喜びを洗い流してしまわぬように・・・。


なんて、思っていたのに甦ってしまった。

まぁ、少女にとってはこの方が良いのだろうけど。

どうして甦ったのか、それはある少女の仕業とだけ言っておくよ。


何はともあれ、僕は故郷を失った。

少女にも帰る場所は無い。

僕達は新たな拠所を求めて旅に出る。

若しかすると拠所なんて、始めから求めていなかったのかも知れないけれど。


あぁ、そうそう。

生き残った神々は僕が滅しておいたよ。

特に思い入れは無かったけど、同じ血を分けた誼だ。

仇くらいは討ってあげないとね。



・・・黒霧と時雨 ~完~



黒霧 茜


・基本情報

呼名:くろぎり あかね

特徴:白い髪(腰程度の長さ)・紅い瞳

身長:女性の中では高め(時雨とほぼ同じ程度)

体格:痩せ型(グラマラス寄り)


性格:武士道・戦闘狂(泣き虫)

我が道を行く阿呆。

精神的に打たれ弱い。


趣味:鍛錬

体術の稽古ばかりしている。

と言うか、それ以外が何もできない。


嗜好:闘い

苦手:言葉責め


所属:なし

役割:なし

自称:私


種族:魔族<黒霧の一族>

暗殺を生業とする一族。

神々との聖戦の果てに滅んだ。


能力:凶化

始祖の血を覚醒させ、肉体に秘められた力を解放する能力。

同時に始祖の残虐性と闘争本能が呼び覚まされる。


能力:堕落

心の闇を解放し、支配する能力。

純粋な心の持ち主には効果が無い。

<闇の鼓動>

奥底に在る欲望を解き放つ。

欲が無い者、元から欲望に忠実な者には意味が無い。

<闇人形>

欲望に呑まれた者を操る。

欲望の内容までは操作できない。


武具:徒手空拳

体術の技量は黒霧でも随一。

怪力の剰り、武具をすぐに壊してしまう。


装束:黒外套・ロングパンツ

絶対にスカートは穿かない。

恥ずかしいから。



・茜と時雨


私には双子の弟が居る。

良く出来た弟でな。

姉である私を敬い、付き従ってくれる。

いつ如何なる時もだ。

朝餉も、昼餉も、夕餉も、弟は必ず私の隣りに座った。

常に私の後ろを歩き、夜は同じ布団で眠った。

弟は何かに抱き付きながら寝る癖があってな、いつも私に抱き付いてくるのだ。

可愛いものだろう?

風呂も一緒に入るぞ。

私は弟に背中を流して貰っている。

だが、彼奴は私に背中を流させようとしないのだ。

まったく、姉とは言え双子なのだから、そこまで気を遣うことは無いだろうに。


弟は私の後ろに付き従う、可愛い奴だ。

だが、そんな弟が頼もしく見える時もある。

それは、あの紫の悪魔が黒霧の里にやって来る時だ。

彼奴は私達姉弟を愛しているとかほざいているが、正直私は彼奴が苦手だ。

徒に抱き付いてくるし、身体中弄られるし、風呂にも乱入してくるし・・・。

剰りにも酷かったものだから、不覚にも私は泣いてしまった。

それも、ただ涙したのではない。

人目も憚らず、声をあげて号泣した。

弟の前では威厳ある姉で居たかったのだが、無様なものだ。

私は弟に失望されたと思っていた。

だが、違った。

弟はあの紫の悪魔に本気で怒ってくれた。

口数の少ない弟だ。

怒鳴り散らすのではなく、静かに怒った。

それが寧ろ、恐ろしさを際立たせていた。

こんな時、普通の乙女なら格好いいとでも思うのだろうか。

正直私は恐いと思ってしまった。

同時に、弟を怒らせることの無いようにしようと誓った。

だが、まぁ・・・。

弟に護られるのも悪くないとも思ったな。


私が姉としての威厳を保ちたかったのには理由がある。

優秀過ぎる弟。

これだけ言えば、何となくわかるだろう。

私は所謂、劣等生だったのだ。


暗殺者にとって、気配を消す術は何よりも先に習得すべき技能だ。

弟はいとも簡単にやってのけた。

普段から私の陰に隠れているからな。

当然と言えば、当然なのだが・・・。

一方で私は、全く上手くいかなかった。

悪い意味で目立ち過ぎるからな。


気配を消す術には二種類の方法がある。

まずひとつが、読んで字の如く「気配を消す」方法。

弟が得意とした手法だ。

更に彼奴は自然の気の中に自分の気配を溶け込ませることができたからな。

隠れ鬼では弟に勝った覚えが無い。

そしてもうひとつが、「気配に紛れる」方法。

気配を消すのではなく、周囲の気配に合わせ、その他大勢のひとりに紛れるのだ。

勿論、人が居ても不思議ではない場所でしか意味を成さない方法だがな。

気配の隠匿を苦手とする者は、気配を偽る方法を学ぶ。

私もそのひとりだった。

だが、それすらもできなかった。

私は常識が欠如しているが故に、悪目立ちをしてしまうのだそうだ。

まったく、納得がいかん。

それではまるで、私が莫迦と言われているようではないか!


そんな訳で、私は暗殺者の道を断念した。

決して断念させられた訳ではない。

暗殺者よりも私向きの道があったのだ。

それが、"闘士"だ。

武具に頼らず、己の身ひとつで闘い抜く。

どうだ、私にぴったりだろう?

私は体術が得意だからな。

それに、"凶化"も私が一番上手く扱えるしな。


始祖の血を呼び覚ますことで力を得る"凶化"は、発動させると半狂乱の状態に陥る。

得られる恩恵こそ凄まじいものだが、それを制御するのは至難の業だ。

黒霧一の天才と謳われた弟でさえ、始祖の血を完全に抑え込むことはできない。

まぁ、彼奴の場合は始祖還りではなく、素が出ているだけのような気もしないではないが・・・。

ともかく、"凶化"を使いこなせる者は居ないという訳だ。

私を除いてな。


私は心の闇を操り、支配する能力を持っている。

心の闇とは、つまり欲望だ。

"凶化"による闘争心も、その範疇に含まれる。

そう、私は"凶化"によって半狂乱となった自分自身を支配し、意のままに操ることができるのだ。

だからこそ、私は暗殺者になれずとも、黒霧最強と謳われるまでになったのだ。


最も恐ろしい暗殺者と謳われた弟を持つ私は、最も強き黒霧と謳われた。

これで、姉弟としての釣り合いはとれただろう。

実力だけならばな。

どうにも私は涙脆くていかん。

別に感性が豊かという訳ではない。

鎧要らずのこの身体も、言葉の剣までは防げないということだ。

それはまぁ、弟に支えてもらうとしよう。

考えてみれば、これまでもそうだった。

姉である私は武を以て弟を護り、揺るがぬ精神を持つ弟は心で以て私を支えた。

肉体と精神、何ともバランスのとれた姉弟ではないか。

若し私達がひとつとなったなら、完全な生命体が生まれるのだろうな。


まぁ、そんなことは現実に起き得る訳がないのだがな。



・・・茜と時雨 ~完~



黒霧 神命


・基本情報

呼名:くろぎり みこと

特徴:白い髪(ボブ)・紅い瞳

身長:女性としては平均的

体格:細身(スレンダー)


性格:青天白日・楽天家(戦闘狂・マゾヒスト)

落ち込み知らず、阿呆の極み。

痛みに快感を覚える特殊な・・・うん。


趣味:兄様探し

いつも時雨を探し回っている。

迷子になっているのは神命の方。


嗜好:兄様

苦手:一人旅


所属:なし

役割:なし

自称:私


種族:魔族<黒霧の一族>

暗殺を生業とする一族。

神々との聖戦の果てに滅んだ。


能力:凶化

始祖の血を覚醒させ、肉体に秘められた力を解放する能力。

同時に始祖の残虐性と闘争本能が呼び覚まされる。


能力:魂の巫女

魂を自在に操る能力。

使役や精神操作は能力の範疇外。

<英霊召喚>

過去に存在した英霊を実体化させる。

ただし、主従の契約は無い。

<御霊卸し>

英霊の魂を肉体に卸し、能力を借り受けることができる。

肉体を乗っ取られないように注意が必要。

<融合>

複数の魂をひとつに纏め、魂の強度を向上させる。

融合には強い絆で魂同士が結ばれていることが前提となる。

<分霊>

魂を分裂させ、命のストックを増やす。

分霊箱に封じられた魂は、本体の消滅を感知すると近くに居る胎児に宿る。


武具:徒手空拳

体術は比較的得意。

不器用過ぎて武具が使えない。


装束:黒外套・ショートパンツ

スカートは恥ずかしくて穿けない。

でも、脚を魅せて兄様にアピールしたい。



・願い叶うまで


生物は恋をするものだ。

種族によってはただ単に子孫を残す為の感情であったりもするけれど、人間は違う。

だって、ふたりの間に産まれた子供を恋の結晶とは言わないでしょ?

人間は恋をする。

そして愛を育み、結ばれる。

それは魔族だって同じこと。

少し人間の常識から外れたところもあるけれど・・・。

これは私が恋をして、儚い願いを叶えるまでの物語。


黒霧の里には、有名な人物が三人居る。

暗殺者の才を持たずして、黒霧最強の称号を得た闘士・茜。

天賦の才を持つ、冷酷非情な最凶の暗殺者・時雨。

そして、黒霧の狂犬と呼ばれた私。

奇しくも同じ世代に生まれた私達は黒霧最強の三姉妹と謳われていた。


私達の出会いは何と言うこともない、至って普通のものだった。

組み手の訓練で偶々、一緒になった。

姉様の気まぐれで、何故か私が相手に選ばれた。

いつもは兄様と組み手をしているのに・・・。

それが契機となって、私は姉様と兄様と深い繋がりを持つことになった。

それは感謝している。

だけど、どうして私だったのかは未だにわかっていない。

だって、姉様自身が憶えていないから。

私が言うのもだけど、姉様は気まぐれが過ぎると思う。


姉様と兄様の組み手は、兄弟姉妹の中では見世物のようなものだった。

同時に始めたはずなのに、どの組よりも長く組み手をしているから。

自分の組み手を終えて、ふたりの組み手を眺めるのが私のちょっとした楽しみだった。

出鱈目な型で猛攻を仕掛ける姉様。

それを軽くいなす兄様。

そんな遣り取りが半時くらい続く。

最終的には体力お化けの姉様が勝利する。

だけど、私には兄様が姉様を勝たせてあげているようにしか見えなかった。

実際にふたりと組み手をするまでは・・・ね。


兄様との組み手は、何と言うかモヤモヤした。

だって、私のしたい動きを一切させてくれないから。

実力者同士の闘いでは、間合いの取り方が勝敗を分ける。

剣豪の間合いが剣の結界なんて言われるように、組み手の間合いにも絶対領域がある。

一撃必殺の攻撃を撃ち込める間合い。

普通は間合いの外に逃げる。

間に合わないなら、横にでも飛ぶ。

だけど兄様は前に出る。

その上で攻撃を躱し、受け止められる程度のカウンターを放つ。

だから、兄様の攻撃が私に中たることは無い。

それと同時に、私の攻撃が兄様に中たることも無い。

互いに決定打の無いままに時間は過ぎ、徒に精神だけが削られていく。

私が抱いた兄様の第一印象は、"いやらしい人"だった。


一方の姉様は真っ直ぐだった。

それはもう、気持ちのいいくらいに。

私がどう動こうが関係ない。

ただひたすらに、前へ、前へ・・・。

私は悟った。

だから兄様は、姉様に勝てないのだと。

兄様のとる戦法は考えない相手には通用しない。

予想外の動きをされた時の一瞬の躊躇いが、兄様の術中へと誘う片道切符だ。

姉様にはそれが無い。

強引にでも自分のペースを押し通す。

そんな姉様を相手にすれば、流石の兄様も後手に回らざるを得ない。

兄様の弱点はわかった。

後は、実践あるのみだ・・・。


それから私は考えることをやめた。

元々、私は頭で考えて動く質じゃない。

感覚に従って動くことは容易に習得できた。

その恩恵か、反応が早くなった。

相手の動きがよく見えるようになったし、組み手の勝率も格段に向上した。

今や姉様と兄様以外には負けない程だ。

だけど、それも今日までだ。

姉様には勝てる気がしないけど、兄様には勝つ。

勝ってみせる。


・・・負けた。

普通に負けた。

・・・なんで?


それからというもの、私は幾度となく兄様に挑んだ。

そして、悉く負けた。

あんまり兄様を独占したものだから、姉様に絞られたりもした。

でも、御蔭で漸くわかった。

姉様と私の差が・・・。

姉様に較べて私は、身体がひとまわり小さい。

だから、一撃一撃が軽い。

その分、動きは速いかも知れないけれど、兄様はもっと速い。

私が勝てる要素があるとすれば、耐久力くらいなもの。

だけど、攻撃が中てられないなら、敗北は時間の問題でしかない。

勝てる道理が無いと悟ってからは、兄様は憧れの人に変わった。

勿論、姉様にも憧れはある。

だけど、私がどう頑張ったって姉様のようにはなれない。

だって、姉様はあまりに力任せすぎるから。

私の戦闘スタイルは、どちらかと言えば兄様に似ている。

速さで圧倒し惑わせた後、不意の一撃をくらわせる。

比較的軽いその一撃も、防御体勢が整っていないのであれば、それなりに効果がある。

まだまだ兄様には及ばないけれど・・・。

頑張れば、いつか兄様と肩を並べることができるかな。


丁度、この頃からだったと思う。

私達が三姉弟とひと括りにされるようになったのは。

その理由は、単に一緒に居る時間が長いから。

正確に言えば、姉様の後ろを付いて回る兄様に私が付きまとっていただけ。

どうしてそうなったのか、そんなことは私にもわからない。

だって私は、感じるままに動く。

それだけだから。

兄様も嫌な顔をしないし、いいでしょ?

まぁ、姉様は露骨に嫌がってたけどね。


兄様への憧れが恋に変わるまで、そう時間は掛からなかった。

と言うか、一瞬だった。

始めはいやらしい人なんて思っていたのに・・・。

まぁ、組み手の時は相変わらずなんだけどさ。


兄様は基本的にされるがままだ。

私が腕に抱き付いても、背中に負ぶさっても、特に反応は返ってこなかった。

髪型を弄ってみても、姉様が爆笑するくらいのものだった。

だけど、無視をされている訳ではない。

腕に抱き付いた時には歩く速度を抑えてくれるし、背中に乗ったらちゃんと抱えてくれる。

その所為で、ひとり突き進んだ挙句に不機嫌になる姉様を宥めるのに苦労した。

兄様がね。


私と兄様の仲は決して悪いものではなかった。

それと同時に良いとも言い難いものだった。

だって、端から見た私達はまるでペットとその飼い主なんだもの。

私から近づいていけば、ちゃんと構ってくれる。

だけど、兄様の方からは何もしてくれない。

思い返してみれば、兄様の声を聞いた覚えが無い。

そんなことって、ある?


兄様は、元々口数の多い人ではなかった。

ちょっと聞き込みをしてみたけれど、兄様の声を聞いたことがある者は居なかった。

多分、姉様はある・・・はずだ。

と言うか、姉様も聞いたことが無いともなると、兄様が言語障害を抱えているのではないかと疑ってしまう。

幸い、姉様とふたりの時には一言二言程度喋っているらしい。

私には声を聞かせてくれないのか、と少しへこんだ。


兄様を振り向かせる為には、どうしたらいいのだろう。

よくよく考えてみれば、兄様が自発的に行動している姿を見たことが無い。

姉様の後を付いて回っていることを兄様が自発的に行っていることと言えばそうなのだけど。

人の後ろを追従することが、果たして自発的な行動と言えるだろうか。

う~ん。

なんで、こんなこと考えてるんだろ・・・。


結論、私が考えても答えは出ない。

だから、この手のことに詳しいであろう人に師事することにした。

その師匠とは、紫苑茜。

姉様が紫の悪魔と恐れる、愛の狂い人だ。

正直、彼女は兄様に歓迎されていない。

だけど、兄様に怒られた唯一の人物でもある。

兄様との関係を進展させるには、それくらい過激にならなければ駄目だと思う。

これは私の勘だ。

私の勘はよく中たるんだよ?


師匠に師事することになったその日。

早速私は師匠から指南を受けた。

その内容は・・・。


服を隔てるからいけないの。

肌と肌、直接触れあえば、嫌でも意識するわよ。


というものだった。

これは袖無しの服を着るなんて生易しい話じゃない。

師匠が言っているのは、兄様と一緒に風呂に入れということ。

要するに、裸の付き合いだ。

私はこの女に師事したことを早くも後悔していた。


とは言え、他に策が無いことも事実。

無い頭を使って考えるよりは、当たって砕け散った方が幾分マシかも知れない。

嗚呼、さっきから心臓の拍動が五月蠅い。

顔も・・・いや、全身が熱い。

湯船に浸かる前から既に茹で上がっている身体を奮い立たせ、私は浴室の戸を開いた。

湯煙の中、眼前に筋肉質な胸板が現れた。

恐る恐る視線を上げた私は、そのまま意識を手放した。


目が覚めた時、私は何故か水風呂に浸けられていた。

体温が高かったから、冷やすのが良いだろうと考えてのことらしい。

姉様が誇らしげに語ってくれた。

それはまぁ、いいとして。

氷風呂にする必要は無いと思うな。

翌日、私は風邪で寝こんだ。


莫迦は風邪をひかないという言葉がある。

自分で言うのもだけど、私は頭が回る方ではない。

だったら、どうして私は風邪をひいたのか。

それは私が莫迦ではなく、阿呆だという証明になるのではないだろうか。

そう・・・私は莫迦じゃないやい!


それは置いておくとして、この日は兄様が付きっきりで看病をしてくれた。

姉様が迷惑を掛けたからって。

こればかりは姉様に感謝だ。

姉様も看病しようとしてくれたみたいだけど、兄様に止められたみたい。

部屋の外に気配だけ感じていた。

ありがとう、姉様。


私の看病をする兄様は忙しなく部屋を出入りしていた。

あんまり部屋に長居すると姉様が拗ねるし、あんまり部屋を空けると姉様にしっかり看病しろと怒られる。

兄様は大変だ。

どうして、そんな理不尽に耐え続けることができるのか。

一度だけ、訊いてみたことがある。

兄様は答えなかった。

それは私に声を聞かせることを躊躇ったからなのか、特に理由は無いのか。

未だにわかっていない。

だけど、これだけは言える。

兄様は自ら望んで姉様の側に居るのだ。

そうでなければ、あんな顔で笑ったりしない。

姉様にしか見せない、あの笑顔。

私にもいつか、微笑んでくれるかな・・・。

なんてことを考えていた。

そうでもしなければ、到底耐えられなかったから。

兄様に背中を拭いてもらうことには・・・。

流石に、前までお願いする勇気は無かった。

師匠だったら・・・うん。

全身、拭いてもらうんじゃ・・・いや、なんとしても拭かせると思う。


そんなこともあって、どうにか混浴作戦は遂行できるようになった。

今となっては、三人で洗いっこをして一日を締めくくるのが恒例だ。

私的にはかなりの進歩だと思う。

だけど師匠に言わせてみれば・・・。


で、しーちゃんとの仲に変化はあったの?


・・・一蹴された。


それからの日々はこれと言って変化の無い日々だった。

師匠からアドバイスは受けていたけれど、内容が内容だったから・・・。

私にはそれを実行に移す気が起きなかった。

だけど、そうも言っていられない。

近々、子を成す組み合わせが発表になる。

兄様を襲うチャンスは、あと数回しか無い。


草木も眠る深夜。

私は兄様と姉様の部屋の前に居た。

ゆっくりと戸を開き、顔だけ覗かせる。

そこには大の字で寝こける姉様と、そんな姉様に抱き付いて眠る兄様の姿があった。

羨ましい・・・。

少し腹がたったからか、気恥ずかしさが和らいだ。

無防備な姉様の寝顔を睨み付けながら兄様の隣りに潜り込む。

兄様の背中・・・。

欲を言えば、兄様の胸に顔を埋めたかったかな。

でも、幸せ・・・。

こうして私の夜は更けていった。

翌朝、姉様に絞られたことは言うまでもない。


そして、運命の日はやって来た。

子を成す男女は同じ世代から選出される。

だから私にもチャンスはある。

あることにはあるのだけど、正直望み薄だ。

兄様は黒霧の始祖に最も近い精神を持つと謳われる、稀代の暗殺者だ。

その才能は計り知れず、より優秀な暗殺者を残す為、適切な相手が選ばれるだろう。

一方の私は、方向音痴の所為で暗殺者の才無しと判断された女だ。

暗殺術の習得が絶望的な姉様に較べたら、まだマシだとは思う。

だけど、暗殺者として優秀な娘は大勢とは言わずとも複数人居る。

案の定、兄様の相手に選ばれたのは暗殺術に長けた娘だった。


兄様を取り上げられた私達は、夜になるとふたりぼっちだ。

幸か不幸か、誰の相手にも指名されなかった私は兄様の代わりに姉様と寝るようになっていた。

因みに言えば、姉様は子を成すように里長から命じられていた。

だけど、相手の青年を殴り飛ばして拒否した。

自分より弱い男に抱かれる気は無いのだと・・・。

兄様が相手だったら、考えてやらんでもないと言っていたけど・・・。

まったく、姉様は恐ろしい女だ。


姉様と過ごす夜は暫く続いた。

黒霧の一族は生殖能力が低いから、子を成すにはそれなりの時間が掛かる。

それに子を孕み、無事に産み落とすまでは男が身の回りの世話をする決まりがある。

少なくとも、後三ヶ月は離れ離れだ。

昼間は兄様に会えるとは言え、夜に一緒に居られないのはかなり辛い。

何故って?

日に日に姉様の機嫌が悪くなっていくからだ。

もう・・・いや。


時は流れ、私が姉様を宥める仕事を放棄して寝た振りをするようになった頃。

兄様は帰ってきた。

嗚呼、これで心穏やかに眠れると思った矢先。

今度は姉様と兄様が子を成すように里長の命が下った。

実の姉弟なのに大丈夫なのかって?

そんなこと、私にわかる訳がない。

まぁ、心なしか姉様が乙女チックになってることだし、いいんじゃないかな。

これが契機になって落ち着いてくれたら、私の心労が減る。


それから暫くはひとりの夜を過ごした。

なんだか不思議な感じがする。

昔はひとりが当たり前だったけど、ここ最近は姉様が、そして兄様が近くに居ることが私の普通になっていた。

人の温もりが無いというのは、こうも寂しいものなのだろうか。

ひとりの夜は、酷く寒いように感じた。


そして、ふたりは帰ってきた。

不思議なことに、ふたりは契りを交わして猶、姉弟だった。

どんな神経してるんだろ・・・。

寧ろ、心配になった。


黒霧の三姉弟が揃った。

と、思ったのも束の間。

再び兄様は別の娘に宛がわれることとなった。

また、姉様の不機嫌に付き合う日々が続くのか・・・。

私は憂鬱だった。

更に悪いことに、その日々はひとり分では終わらなかった。


いったい、何人の娘を孕ませたのか・・・。

なんなら同じ世代の娘全員と契ったのではなかろうか。

私を除いて・・・。

まぁ、兄様が自らの意志でそうしている訳ではないから、怒るに怒れないのだけど。

里長に文句でも言ってやろうかな。

そんなことを考えていたら、私に兄様の相手の指名が下された。

嬉しいことは嬉しいのだけど、手放しには喜べないよね。

私は皮肉たっぷりに兄様に言った。


コンプリートだね、兄様。


兄様はもの凄く不機嫌な顔になった。

私、何かまずいこと言ったかな?

うん、間違いなく言ったよね。

だけど、兄様が嫌々関係を結んでいたことがわかってほっとした。

それに兄様が感情を顕わにする瞬間が見られて少し嬉しかった。

まぁ、反応如何によっては殴り倒すことも考えてた訳だけど・・・。


私はひとりの子を身籠もった。

身の回りの世話をしてくれる兄様は、旦那さんというより家政夫さんという感じだ。

だって、兄様の仕事ぶりはあまりに出来過ぎているから。

ストレスフリーなんて、夫婦生活では考えられない。

そんなこんなで時は流れ、私は無事に男の子を出産した。

産まれた子は里の育児施設に預けられる。

そして親は日常に戻る。

私の場合は、黒霧の三姉弟という日常にだ。


あれから私達の間で関係性が変わることは無かった。

相も変わらず姉弟として過ごしている。

その原因は兄様だ。

あまりにも態度が変わらない。

後から訊けば、姉様もその変わりなさ様にかなり戸惑ったらしい。

だからこそ、元の関係に戻れたというのもある。

だけど、私はそんなことは望まない。

もっと深く、兄様の心に入り込みたい。

それが私の願いだ。


今の私は兄様にとって、ただの妹でしかない。

だから私は彼を"兄様"と呼ぶ。

だけど、この関係はいつか変えてみせる。

多少は私にも話しかけてくれるようになった。

微笑みかけてくれるようにもなった。

そして最後には、言わせてやるんだ。


"愛してる"って。



・・・願い叶うまで ~完~



久遠 真宵


・基本情報

呼名:くおん まよい

特徴:黒い髪・黒い瞳

身長:小学生並み

体格:普通・超筋肉質


性格:悪戯好き・気遣い上手

鋭い観察眼の持ち主。

細かい変化によく気付く。


趣味:読書

哲学書や学術書を好む。

独学で帝王学を修めている。


嗜好:甘いもの

苦手:恋愛・書類仕事


所属:魔王の懐刀

役割:長・魔王

自称:俺


種族:魔族<久遠の一族>

孤高を重んじる一族。

転生により、魂を受け継ぐ。


能力:転生

魂の情報を転写する能力。

久遠の生命活動停止と共に発動する。


能力:惑星

重力を操る能力。

物理法則?何それ、美味しいの?

<惑星の抱擁>

局所的に重力を強める。

超重力の力場を発生させると、ブラックホールが出現する。

<惑星の別離>

局所的に斥力を発生させる。

斥力を強めると、時空に歪みが生じる。

<小宇宙>

無重力空間を形成する。

移動に便利。


武具:なし

能力のみで闘う。

魔力量だけは神の領域に達している。


装束:黒外套・紅玉の首飾り

外套を羽織り、上裸で過ごすことが多い。

首飾りは母の形見。



・孤高の代償


久遠の一族は、何よりも崇高なる孤独を重んじる。

人はそれを孤高と言った。

目的を持って、敢えて独りになる事を選ぶ。

人が離れていくのではない。

自ら離れていく。

それが孤独と孤高の違いだ。

而して、独りである事に変わりはない。

ただ独りになるだけならば良い。

だが、久遠の掟は違う。

血の繋がりさえも絶ち、真なる孤高を求める。

俺はこの掟が大嫌いだ。


久遠の一族には巫山戯た掟が幾つかある。

ひとつ、孤高を重んじる事。

ひとつ、他の一族と無闇に関わらぬ事。

ひとつ、久遠は魂で繋がる一族である事。

ひとつ、久遠はひとつの時代に独りである事。

訳するに・・・。

崇高な目的の為、敢えて孤独を選びなさい。

一族の問題に首を突っ込むものではありません。

子供をつくってはなりません。

親族を持ってはなりません。

早々に排除しなさい。

そんなものだ。


代々の久遠はこの掟を遵守し、転生を繰り返す事で魂を受け継いできた。

だが、魂の転写は完全には行われない。

回数を重ねる毎に魂の情報は欠落していく。

魂の記憶、人格、情愛、信念・・・と、挙げだしたら切りが無い。

久遠は崇高な目的の為に孤独を選ぶと言うが、崇高な目的とは何だ?

嘗ての久遠達は、それを憶えていたのかも知れない。

而して俺は、その一片だって憶えていないのだ。

ならば俺が敢えて独りの道を選んだとて、果たしてそれは孤高と言えるのだろうか。

言葉にするまでもない。

答えは、否だ。


それをもっと早くに気付くべきであった。

自身が久遠であると自覚した時、俺の頭にはある言葉が響いていた。

"崇高なる孤独"

その言葉に促されるまま、俺は動いた。

里に響く怒号と悲鳴。

舞う血飛沫と滴る涙。

俺はその光景を忘れない。

多くの者が恐怖に顔を歪める中、母だけは微笑みを浮かべていた。

自分を殺そうとしている者を前にして、よく笑えるものだ。

母の瞳に映る殺人鬼の頬には一筋の雫が伝っていた。

・・・莫迦者が。

もう手遅れだ。

俺には人を癒やす権能など無い。

ここで躊躇っては母の苦しみを引き延ばすだけだ。

俺は瞳を見開き、この手に力を込めた。

母の最期をしかと焼き付ける為に・・・。

俺の罪をしかと刻み付ける為に・・・。

事切れる寸前、母は僅かに唇を動かした。


あなたの信じる道を行きなさい。

誰に決められたものでもない。

あなた自身が選んだ道を・・・。


その言葉を遺す為に。


永く生きれば生きる程、人は十字架を背負うことになる。

後悔と言う名の十字架をな。

幾千の時を生きる俺ならば猶の事・・・と、言いたいところだが、俺の十字架はひとつだけだ。

それは母の言葉をこの胸に刻んでいるからなのだろう。


母は偉大だ。

而して考えてみれば、どんな母も始めは生意気な小娘に過ぎない。

それが子を産み、母となり、生命を育む事で偉大な母となる。

何とも不思議な話だ。

それに較べて父と言うものは、背中で語ろうとする輩が多い。

口下手なのか、気恥ずかしいのか。

俺が久遠となる前の事を思い返しても、父と言葉を交わした記憶は少ない。

まぁ、俺が思うに男と言う生き物の根っこが莫迦だからなのだろう。

勉強ができるできないに関わらず、男とは本当に莫迦な生き物だ。

勿論、俺も含めて・・・な。


血族を皆殺しにした後、俺は様々な男に出会った。

俺と同じく十字架を背負う者。

姉との間に確執を持つ者。

そして、多くの女に愛されながらもその愛を拒む者。

皆、何かしらの葛藤を経て後悔をしながらも今を生きる者達だ。

魔族と言えど、悪意だけで心が作られている訳ではない。

それは俺と母の話で幾分伝わっているだろう。


若しも母の言葉が無かったなら、若しも母をこの手に掛ける事が無かったなら・・・。

俺が久遠の掟を破り、こいつらに出会う事も無かっただろう。

俺は友と呼べる者達と出会い、幾つかの事を学んだ。

それは決して多くない。

若しかすると意味のないものなのかも知れない。

俺と奴等は別人だからな。

例え同じ言動をとったところで、受け手に与える印象は大きく異なるだろう。

だが、新たな知見を得るというのは愉しいぞ。

嘗ての久遠はこの愉しみを知らんだろうがな。


俺がこの生に於いて導いた解はひとつだ。

孤高なんざ、糞くらえ。


俺は決めたぞ。

久遠の掟、その全てを破ってやる。

魔王となった今、ふたつの掟は破った。

残すふたつを破るには、結婚をする必要があるな。

・・・不安だ。

そこはまぁ、友の知恵を借りるとしようか。


久遠が孤高たる時代は、俺が終わらせてやる。



・・・孤高の代償 ~完~



近衛 東


・基本情報

呼名:このえ あずま

特徴:淡い金髪・蒼い瞳

身長:高め

体格:細身


性格:真面目・誠実(女性不信)

不埒を赦さない正義漢。

規律に厳しいが、頭は堅くない。


趣味:盤上遊戯

智略に長け、搦手が得意。

東を相手にすると、気づかぬ内に自滅の道を歩まされる。


嗜好:地形図

苦手:女性(特に行動の読めない人物)


所属:魔王の懐刀

役割:参謀

自称:俺


種族:魔族<近衛の一族>

要人の警護を生業とする一族。

実力は確かだが、怠け癖のある者が多い。


能力:性愛

異性を魅了し、欲求を解放させる能力。

自身でも調整ができない為、どちらかと言うと体質に近い。


能力:海神

海を召喚し、自在に操る能力。

海生生物と心を通わせることも可能。

<大海>

魔力を海に変換し、召喚する。

召喚した海は重力の制約を受けない。

<渦潮>

海流を利用した防壁。

物理、魔力共に高い防御性能を誇る。

<海鞠>

海水の玉を形成する。

圧縮率に応じて、玉の硬度が変化する。

<海刃>

海流の刃。

金属程度であれば、軽く切断できる。

<海鳴>

海生生物と心を通わせる。

海鳴の一族から教わった能力。


武具:海神の霊弓

魔力の矢を放つ弓。

放たれた矢は、自在に軌道を変更できる。


装束:黒外套・眼鏡

海鳴の一族から隠れ、暗い場所で魔術書を読み漁った結果、視力が低下した。

時雨お手製の黒外套をかなり気に入っている。



・雲行水流ように


どうしてこうなった。

俺はただひたすらに己の出自を恨んだ。

若し、近衛の一族に産まれていなければ・・・。

若し、始祖の血を別の形で受け継いでいたら・・・。

或いは、こんな目に遭うことなど無かっただろう。


俺の産まれた近衛の一族は、七つの大罪が一柱、怠惰の罪・ベルフェゴールを始祖に持つ一族だ。

その罪が如く、近衛の一族はとにかく怠け癖が酷い。

それも実力がある者程怠け癖が強い、どうしようもない一族だ。

だが、最低限やる時にはやる。

それだけが救いと言えるだろう。


俺が近衛を毛嫌いする最大の理由は別にある。

それは、性に開放的なことだ。

特定の相手を持たず、夫婦という概念すら持たない。

やりたい時に目についた者を誘ってやる。

無理矢理襲うことをしないだけまだマシなのだろうが、実の姉に迫られた時は吐き気がした。


そもそもの話。

そういう常識の下で暮らしていた俺自身、それが特殊なことであると知っているはずがなかった。

だが、どういう訳か本能的に受け付けなかった。

それは恐らく、俺に受け継がれたベルフェゴールの血と姉の所為だ。


ひとまず、近衛が始祖・ベルフェゴールについて話しておこう。

ベルフェゴールは七つの大罪に数えられる悪魔が一柱だ。

怠惰の罪を背負っており、殆どの近衛がその罪を受け継いでいる。

多くの女性の間に爛れた関係を持っていたという伝承もあるが、近衛の連中を見る限りは事実なのだろう。

しかし、その一方で全く反対の伝承がベルフェゴールにはある。

それは女性不信だったという伝承だ。

ベルフェゴールには、女性が心の奥底に隠した醜い部分を表面化させる能力があったらしい。

その能力の所為で現実を知り過ぎてしまったベルフェゴールは女性不信に陥ったのだとか。

稀に、近衛の一族には潔癖な者が産まれる。

それはもう数千年に一度あるか無いかというくらいの確率なのだが、俺が中たってしまったようだ。


さて、女性不信などと言う才能を持って産まれた俺だが、その才能に拍車を掛けたのは言うまでもなく姉だ。

俺と姉は歳の離れた姉弟で、俺が物心つく頃にはもう姉は所謂、適齢期の女性だった。

近衛の血を引くだけあって、性には開放的。

口を開けば、やれムラつくだの、やれお腹の奥が疼くだの、やれ良い男は居ないかだの・・・。

態々俺を捕まえて膝の上に乗せてからブツクサ、ブツクサ・・・。

終いには、部屋の鍵は開けておくからね・・・だと?

外から錠前付けてやったわ。


それから姉のアピールは過激の一途を辿った。

朝も昼も夜も、一日を通して俺の視界に姉が映らない時間が無かった。

仕事はどうしたと言いたくなるくらいに俺の周囲をチョロチョロしていた。

そして風呂には乱入し、布団に潜り込み、これでもかとすり寄って来た。

夕餉に薬を盛りやがった時には本当に絞め殺してやろうかと思った。

だが、俺は耐え抜いた。

耐え抜いてみせた。


それで姉に訊いてみた。

どうして俺なのか。

他にも男は居るだろう・・・と。


姉は言う。

私はさ、一途に愛してくれる人が良いんだよね。

近衛の男はねぇ、顔は良いけど薄情でいけない。

その点あんたは誠実でしょ?

これだけお姉ちゃんがアピールしても、全然靡かないんだもの。

まぁ、身体はちゃんと反応してたみたいだけど。


誠実な男が良いなら、別の一族の男を探せば良いだろうが。


それもそうね。


・・・と、この会話を最後に姉とは会っていない。

近衛の里を離れ、何処ぞの男でも漁りに行ったのだろう。


数日後、結婚報告の手紙が届いた。

俺は女という生き物が益々わからなくなった。


そのすぐ後だ。

俺が海鳴の一族の許に預けられることになった・・・いや、海鳴の悪夢が始まったのは・・・。


海鳴の一族とは、魔力操作を得意とする女性だけの一族だ。

線が細く、白兵戦を苦手とする点を除けば、アマゾネスとなんら変わりない。

そう、なんら変わりないのだ。


彼女達は女性だけの一族だ。

男児を身籠もることもあるようだが、その場合産まれてくる男児に海鳴の姓は与えられないらしい。

なんでも、男児には海鳴の一族としての能力が受け継がれないのだそうだ。

自立できる状態にまでは面倒を見てもらえるものの、結局里から追放されるのだとか。

そもそもだ。

この里には男が居ない。

産まれたところで追放されるからな。

では、どうやって子孫を残していくのか。

答えは簡単だ。

他種族の男を襲うのだ。


海鳴の里には女性しか居ない。

そんな中に俺は投げ入れられた。

此処は海の底。

逃げようと思えば、逃げられないこともない。

だが、帰ったところで魔術の苦手な近衛の連中に修行はつけてもらえない。

この里でどうにか研鑽する他、道は無い。

このギラついた瞳に囲まれた里の中で・・・。


さてはて、私は今何処に居るかと申しますと・・・。

居候先の水瓶が中に御座います。

水は全部捨てた。

俺が操れるのは海水であって、純水ではないからな。

何故こんなところに隠れているのか。

それはお察しの通りと言うやつだ。


あ~ら、東ちゃん。

こんなところに隠れて。

お姉さんと遊ばない?


・・・そんな日々だ。


俺は何の為にこの里に来たのだったか。

そうだ、修行の為だったな。

それがどうだ。

毎日毎日、海鳴の女共から逃げ回ってばかり。

まったく、何の修行をしているのだか。

そんな俺にも転機が訪れた。


やぁ、弟よ。

童貞守ってる?


莫迦姉が来やがった。


いや~、近衛以外の男と結婚したは良いけど、あいつら本性隠してやがってさ~。


・・・"ら"?


結婚したら豹変しやんの。

ま~、やんなっちゃうわ。

で、私なりに結論付けたんだけど。


嫌な予感が・・・。


やっぱあんたしかいないわ。

結婚しようぜ、弟。


断る!


そんな訳で、姉が居ついた。


う~ん。

難しいわね、これ。


何故か姉も一緒に修行をしていた。

しかも癪なことに、その御蔭でまともに修行ができるようになっていた。

姉が近くに居ることで、姉が俺にちょっかいを掛けることで、それが周囲への牽制となった。

大した魔力も持っていないくせして、俺よりも魔力操作の習得が早かった。


ふふん。

お姉ちゃんが直々に教えてあげようか。

手取り足取り、じっくりねっとり。


貴様、枷を外した魔力がどれだけ危険か。

その身体に教えてやろうか。


あっは。

それ隠語?

センス無いわね、あんた。

・・・ちょっと、魔力を溜めながら近づいて来ないでくれる?

あの・・・それ何処に向けて放つ気なの?

ごめん・・・謝る、謝るから。

お姉ちゃん、頑丈な方だけどあんたの全力を受け止められる程じゃないから!

いやぁぁぁぁ!


と、そんな感じの日々だった。

言いたくはないが、姉の御蔭で修行も完遂できた。

魔力操作を覚えた俺は外の世界へと踏み出していく。

その隣りに姉の姿は無い。

弟弄りに飽きたんだと。

まったく、一番移り気なのは姉さんじゃないか。



・・・雲行水流ように ~完~



近衛 麗


・基本情報

呼名:このえ うるは

特徴:淡い金髪(セミロング)・蒼い瞳

身長:かなり高い(東と同じ程度)

体格:ふふ、脱がなくても凄いでしょ?


性格:移り気・淫猥

興味の対象が巡りに巡る妖艶な美女。

猥談なら任せなさい。


趣味:男漁り

生命力に溢れる男を募集中。

精気を吸い尽くし次第、さようなら。


嗜好:誠実な心

苦手:身体目当ての輩


所属:近衛兵団

役割:王都の警備

自称:私


種族:魔族<近衛の一族>

要人の警護を生業とする一族。

実力は確かだが、怠け癖のある者が多い。


能力:性愛

異性を魅了し、欲求を解放させる能力。

仕草や格好で、ある程度の調整は出来るらしい。


能力:淫魔

他人の精気を吸い取り、自身の魔力に還元する。

色香を自在に操り、魅惑の罠に嵌める。

<淫紋>

欲望を増幅させる痕を刻む。

淫紋を刻まれた者は、常に精気を吸われる状態となる。

<魔性>

自身の魔力をフェロモンに変換する。

朴念仁もこれでイチコロ。

<魅了>

思考を鈍化させ、判断力を低下させる。

君も彼女の奴隷になってみないか?

<甘美>

精気を吸い尽くす魔の口吻。

違う口だと命も危うい。


武具:特になし

決まった武具は持たない。

何を使ってもそれなりに戦える天才肌。


装束:近衛兵団服

白を基調とした、近衛兵団の制服。

自ら改造を施している為、色々と危うい。



・魅せられて


Wind is blowing from the Aegean~♪

女は海~♪


乱雑に檻の並ぶ部屋の中、優雅な歌は響く。

儚くも散って逝った仲間を悼み。

これから散らされる私自身を憂い。

嗚呼、どうして今日に限って真面目に仕事をしてしまったのか。

仲間だと思っていた男に裏切られ、むくつけき男共に囲まれて、寄って集って私を・・・てのは嘘。

実際は単に捕まっただけ。

まぁ、売られた先で似たような目に遭う事は明白なんだけどさ。


私は王都警備隊の隊長を務めていた。

どうして過去形なのかと言うと、これから私の身に起きる事の所為で殉職扱いになってしまったから。

嗚呼、私の働き口が~。

なんて仕事をしない事で有名な私が嘆くはずはなく。

寧ろ職場の方も良い厄介払いが出来たと喜んでいるんじゃないかしら?

そういう意味では、あの男に感謝しないとね。

私を警備隊から除隊させてくれてありがとう。

私とパパを巡り会わせてくれてありがとうってね。


私達を裏切った男は、私と同じような能力を持っていた。

信頼を勝ち取る程、他人の心に入り込めるのだとか。

正規の方法で警備隊に入隊し、真面目に働いて上司の信頼を得、後輩だけでなく同輩からの尊敬を集める完璧超人を演じた。

いや~、私の趣味じゃないわ。

正直気持ち悪い。

だって、それを私に語って聴かせるんだもん。

あんたの武勇伝なんざ興味無いっつーの。


男がこう面倒な真似をしてまで警備隊に入り込んだのには理由がある。

それはそうよね。

楽に成果が挙げられるなら、そっちの方が良いに決まってるもの。

重要なポイントはふたつ。

まず、男の能力は信頼を得る事で効果が増すという点。

そして、警備隊での地位を確立する事で仕事がしやすくなるという点。

だから男は多大な時間と労力を費やしてでも、面倒な道を歩んだ。

まぁ、結果私を捕らえるって目的は達成してる訳だし?

ごくろーさん。

よく頑張ったわね~。


しっかし、これからどうしようかね。

逃げるにしたって、私の能力はあの男には効かないし。

他の連中だって、私の能力が効かないように洗脳済みだろうし。

精神支配系の能力ってや~ね~。

孤立無援になった時点で、もう何も出来ないんだもの。

性格も歪んじゃうし。

それは私だけだって?

そんな事ないわよ。

少なくとも、この男だって相当のクズ野郎よ。

そうでしょ?

異論は認めないわ。


さて、それじゃあこの男が如何にクズ野郎かってのを聞かせてやろうじゃない。

男は私を捕らえた後、特に何もしませんでした。

それは商品価値を下げない為。

男は私の記憶を消去するようです。

それは私に能力を使わせない為。

私の能力は精神支配だもの。

封じない手は無いわよね。

そして男は私の身体を子供の状態に戻すようです。

これも私に能力を使わせない為。

私の能力は、女としての魅力に比例して効力を増す能力だから。

記憶を奪っても、無自覚の内に能力を発動してしまう恐れは充分にある。

男はそれを理解し、対策を講じた。

その周到さが気持ち悪い。

真のクズってのは、こういう輩のことを言う・・・と、私は思う。


パパ、お膝。

パパ、抱っこ。

パパぁ、おやすみのちゅー。


突然どうした?

と、言われそうなくらいに急な場面転換。

いや、あの男について言いたい事は全部言っちゃったから。

もう良いかなって。

まぁ、簡単に説明すると。

私は記憶を奪われ、ないすばでぇも奪われた。

後は出荷されるのを待つばかりって時に救われた。

誰にって?

パパに決まってるでしょ?


(修正中)


記憶を失った私は、本当にただの子供だった。

あの檻から解き放ってくれた青年を父と慕い、しつこいくらいに付きまう。

はぁ・・・。

今思えば、どうしてあんなに懐いてしまったのか。

後悔しか無いわ~。

だって私は、パパの言葉にだけは逆らえないから。


私には父親が居ない。

それは近衛の一族の宿命と言うか何と言うか。

日常?

まぁ、そんな感じ。

私を産ませた父と弟を孕ませた父は違う人だしね~。

ともかく、私は父の温もりを知らなかった。

だからパパに甘えてしまった。

そういう理由もあるのかな。


私が初めて見たパパは、格子越しに商品を見下ろす御人形。

黒い装束を身に纏い、妖艶な刃から血を滴らせる。

その細い指に触れられた格子は黒い塵となって消えた。

私を封じ込め続けた障害をいとも簡単に消し去ったそれの進撃は止まらない。

あと数回の瞬きで私の存在も塵に変えてしまうだろう。

死の予感とは年齢に拘わらず人を縛る。

震える小さな身体は宙に舞い、温かな胸に抱きとめられる。

初めて感じる温もりに私は埋もれてしまった。

逃れるなんてできる訳がない。


パパ、私に剣術を教えて。

パパ、私も行く。

パパぁ、行っちゃいやぁ。


パパは暗殺者。

世界で一番の暗殺者だ。

誰もパパの刃からは逃れられない。

だけど・・・だからこそ?

ずっと一緒には居られない。

いくらパパでも私を連れて御仕事はできない。

でも一緒に居たい。

当時の私にとって、家族と呼べる人はパパだけだったから。

パパが御仕事に行ってしまったら、私は孤独だ。

すぐに帰ってきてくれるけど、子供には僅かな時間だって耐えられるものじゃない。

じゃあ、どうするか。

私が御仕事に付いて行けるくらいに強くなれば良い。


それで稽古をつけてもらう訳だけど、全然駄目だった。

私に暗殺者の才能は無いみたい。

パパから宣告を受けた時にはボロボロ泣いた。

人にはそれぞれの才能があると言うけれど。

自分にできる事で支えれば良いと言うけれど。

子供心に言わせてみれば、同じでなければ意味が無い。

同じ土俵で隣りに並ばなければ意味が無い。

あまりに子供で、あまりに我儘な願い。

だけど幼い私にとってそれは、今後の人生全てを捧げるに値する願いだ。


パパ、この服作れる?

パパ、料理教えて?

パパぁ、おっさんの視線がウザい。


年頃の女子に成長した私は、女子力を気にするようになっていた。

何の為に?

それは勿論、パパを籠絡する為・・・ではなく。

家事万能なパパの娘が家事下手って、どうなの?

なんて考えが頭をよぎったから。

パパ自身の評価はパパが築いて来たものだ。

それは私が何をしでかそうと覆るものじゃない。

だけど、パパのパパとしての評価は?

パパ自身よりも、私を通して見られる事の方が多いよね?

だから、パパが誇らしく思ってくれるような娘になりたかった。

見た目、家事、そして男の視線。

あんまりジロジロ見られるのは嫌だけど・・・。

それでパパが私をもっと大事にしてくれるなら・・・なんて。

ファザコンだって?

ええ、そうよ。

私はパパのことが大好きなファザコン娘よ。

胸張って言ってやるわっ!


パパ、背縮んだ?

パパ、ぎゅってして?

パパぁ、背中流して~。

あ、序でに前もお願~い。


魔族の寿命は永い。

それは成長が遅いという事ではなく、青年の期間が異様に永いというだけの事。

実は子供の成長は早いのよ?

幼子にまで戻された私の身体は数年で元の状態にまで成長した。

大人の私はパパよりも背が高い。

それにパパよりもお姉さんだ。

子供に戻りさえしなかったならね。


自分で言うのもだけど、大人の私はかなりスタイルが良い。

それはもう、どんな男だって堕とせるくらいに・・・。

パパ以外はね。

幼い頃から一緒に過ごしているとは言え、パパと私は本当の親子じゃない。

結婚だってできるし、子供をつくったって誰にも咎められない。

だから、欲情させられないかなぁ。

とか思ってちょっかい掛けたりしたけど、パパの私に向ける瞳が変わる事はなかった。

ちょっと、複雑?

だけどまぁ、良いかな~。

だってパパはパパだから。


さてと、身体は元に戻った訳だけど。

記憶は?

実は戻ってるのよね~、これが。

多分、記憶は奪われたんじゃなくて、封じられてたんでしょうね。

身体が元に戻った頃に少しずつ思い出した。

と言う事は・・・お別れの時が来たって事なのよね。

もう少し、黙ってちゃあ駄目かしら・・・。


パパとのお別れが否応無しに訪れた。

朝、目覚めた時。

私を抱きながら眠っているはずのパパの姿はなかった。

そして机には丁寧な文字が並べられた紙切れが一枚。


男漁りも程々にね。


うっさいわ!

大体、私が男漁りに興じるのはパパの所為なんだからね!

パパが私を女として見てくれないから!

じゃあ、せめてパパみたいな人と一緒になりたいって理想だけが高くなって!

もう・・・どうしてくれるのよ。

近衛麗は、その色香で男を惑わせ手玉に取る魔性の女よ?

それがパパに救われて、同じ時を過ごして・・・。


貴方に魅せられたこの数年で、近衛麗は死んだ。

もう二度と経験したくはないわね。


ねぇ、パパ。

若しまた会う事ができたなら、甘えても良い?

でもね、パパ。

私がパパの娘だった時の事は誰にも話しちゃ駄目だからね?

約束だよ?

破っちゃ嫌だからね?



・・・魅せられて ~完~



鳳 紅蓮


・基本情報

呼名:おおとり ぐれん

特徴:紅い髪・金の瞳

身長:平均より少し高い程度

体格:標準・筋肉質


性格:単純・激情家

誰に対しても莫迦正直にぶつかる熱血漢。

東とは馬が合わない。


趣味:筋トレ

四六時中、身体を鍛えている。

何たって、暇だから。


嗜好:血湧き肉躍る闘い

苦手:細かい作業


所属:魔王の懐刀

役割:なし(命令違反の常習犯である為)

自称:俺


種族:魔神族<鳳の一族>

焔の魔神・スルトの肉片から生まれた一族。

強靱な肉体と異常な再生能力を誇る。


能力:超再生

一片の肉片からでも完全に復活できる再生能力。

鳳の生殖機能を兼ねる。


能力:大地

地脈エネルギーを操り、地殻運動を意図的に引き起こす能力。

紅蓮は魔力操作が未熟な為、上手く能力を使えない。

<蠢く大地>

プレートや断層を操作し、地震を引き起こす。

地震の発生要因となるものが無い地域では無能。

<大地の怒り>

マグマを地表面に噴出させる。

本来であれば、魔力をマグマに変換することも可能。

<大地の遺産>

地中の鉱物を寄せ集め、形あるものを創造する。

本来であれば、精錬といった錬金術の真似事が可能。

<大地の息吹>

数千度にも達する熱エネルギーを放出する。

細かい調整はできない為、近寄るな危険。


武具:鉱物の大剣

自身の能力で創造した大剣を使う。

不純物が混じっている為、非常に脆い。


装束:黒外套・月夜の耳飾り

耳飾りは深い関係にあった女性の形見。

時雨に暗殺された月の女神・ルミナのもの。



・大地と月


俺とそいつの出会いは最悪だった。

何たってそいつは俺の始祖である魔神・スルトを滅ぼす為に勇者を遣わした月の女神その人だったからな。


焔の魔神は勇者とその仲間達の手によって討たれた。

だが、滅びはしなかった。

勇者の放った渾身の一撃で散り散りとなった肉片から俺達が生まれたからだ。

俺はその時のことをよく憶えている。

焔の魔神が抱いた勇者への怨みもな。


何処ぞへ吹き飛ばされた肉片から生まれた奴らも、それは同じだった。

鳳の一族として復活した俺達は勇者を探す為に世界中を渡り歩いた。

道中、仲間に出会うことがあった。

その度に情報交換をしては、それぞれの道を歩んだ。

俺達はどうも群れることが苦手らしい。

お互いに何を言うでも無く、自然と別の道へと歩を進めた。


そんな旅が暫く続いて、漸く勇者を見つけ出した。

野郎、王都で優雅な暮らしを送っていると思ったら、田舎に引っ込んで幼馴染みと家庭を築いていやがった。

村ごと灼いてやったよ。

焔の魔神を倒した勇者様も寄る年波には勝てなかったようだ。

碌に剣も握れねぇ老体相手に仇討ちなんざ・・・。

釈然としなかった。


俺達の存在意義は失われた。

勇者への復讐は果たしたからな。

まぁ、知らねぇ内にくたばるなんてことにならなかっただけマシってもんだ。

しかし、これからどうするか。

俺達が存在する理由は、俺の手で葬っちまったからなぁ。


そんな時だ。

あいつが俺の前に現れた。

それはもう、怒りなのか恐怖なのか。

感情が渦巻き過ぎて、何がなんだかわからねぇ表情をしたあいつ。

月の女神・ルミナがな。


ルミナ自身の戦闘力は然程高くない。

弱体化の能力を持ち、双剣の腕前も中々のものだ。

だが、それだけだ。

一片の肉片からでも甦る俺達を相手にするには、圧倒的に火力が足りない。

ルミナには、鳳を滅することなどできるはずがなかった。


生きる目的を失った俺は抵抗しなかった。

棒立ちでルミナの剣撃を受け入れた。

再生するとは言え、当然痛みはある。

だが、それが唯一俺が生きていると実感できるものだった。

それ程に、あの時の俺は空虚だった。


暫くして、肩で息をするあいつが俺に言った。

何故、私を攻撃しない。

俺は言った。

攻撃する理由がねぇ。

その言葉を聞いて、あいつは激昂した。

では、私の母は殺される理由があったのか・・・と。


聞けば、ルミナの母はスルトの手に掛かって亡くなったらしい。

勇者への怨みで形作られた俺にそんなことを言われても、どうしようもないがな。

焔の魔神が手に掛けた者の顔を一々憶えていると思うか?

答えは、否だ。


俺は問う。

ならば、俺は何をすれば良い。

何をすればお前は満足する。

あいつは答える。

私の手で滅び行け。

俺は言う。

無理な話だ。

あいつは叫ぶ。

ならば闘え!闘って、私を終わらせてくれっ!


この時のルミナの顔は今でもはっきりと憶えている。

様々な感情が入り交じった表情。

無力な自分への怒り。

魔神への怒り。

母を失った哀しみ。

そして、終わりを与えられないことへの絶望。


俺はルミナと刃を交えた。

だが、俺の刃がルミナを捉えることは無かった。

別に、手加減をしている訳じゃない。

剣術なんて碌に習ったことのない俺が、母の仇を討つ為に幾年も修練を積んできたあいつに一太刀さえ浴びせられないのは寧ろ道理だ。

俺とルミナの決闘はルミナの体力が尽きるまで続いた。

膝をついたあいつは決まってこの言葉を口にした。

終わりにしてくれ。

そして俺は決まって言う。

お前はまだ、負けてねぇ。

そんな遣り取りが幾度となく続いた。


ルミナの瞳が絶望に支配されていくのがわかった。

だが、俺はルミナが終わることを許さなかった。

あいつに何を思っていたのか、俺にもわからない。

新しい生き甲斐を見つけて欲しかったのかも知れない。

だがその為には、俺を倒す必要がある。

あいつには決して為し得ることのできない壁が、そこにはある。

だから俺はルミナに何もしてやれなかった。


俺に対して怒りと怨みをぶつけていたルミナも、いつしか終わらせてくれと懇願するようになった。

涙を流しながら・・・。

それはもう、仇を討ちに来た娘のする表情ではなかった。

ルミナはただ、死に場所を求めていた。

始めはきっと違ったのだと、俺は思う。

ルミナをそこまで追い詰めたのは、どう考えても俺だ。

哀れだったよ。

母の仇に殺してくれとせがむあいつも、何もしてやれなかった俺も・・・。


暫くして、ルミナが俺に決闘を挑みに来ることは無くなった。

終に自害でもしたのかと思っていたが、違った。

これは後からわかったことだが、時雨が終わらせてくれたらしい。

俺が魔王の懐刀に招集された時に、時雨から直接聞かされた。


死に際にありがとうと微笑む女神が居たことを・・・。


そしてそいつが、俺の暗殺を依頼したことをな。

幸い、その依頼は依頼主が死んだことで無効となった。

崩壊の能力を持つ時雨なら、本当に俺を殺せるからな。

助かったと言えば、助かったのだろうか。

その時、時雨から耳飾りを渡された。

きっとそれは俺の十字架なのだろう。


俺はあいつを忘れない。

終われない苦しみは、これから俺が背負って行く。



・・・大地と月 ~完~



パルテ・ハオ・ライト


・基本情報

愛称:パオラ(パルちゃん)

特徴:緑の髪(ポニーテール)・緑の瞳

身長:女性の中では高め(時雨より少し低い程度)

体格:細身(グラマラス寄り)


性格:好奇心旺盛・自由人

興味が向いたものにはしつこいくらいに付きまとう。

周囲を振り回す元気っ娘。


趣味:観葉植物

珍しい植物の育成に凝っている。

食肉植物が最近のブーム。


嗜好:心地良い風

苦手:時雨の仕置


所属:魔王の懐刀

役割:諜報・偵察

自称:あたし


種族:魔族<世界樹の精霊>(元妖精族)

世界樹と命を共有する聖域の守護者。

世界樹が魔界樹に改変されたことで魔族堕ちした。


能力:生命の樹

魔力を流し込み、植物を操作する能力。

遺伝子を組み換え、新種の植物を創ることもできる。


能力:風の舞姫

風を操る能力。

世界の始まりに関係する"起源の能力"のひとつ。

<辻風>

風の刃を放つ。

不可視の刃を躱すことは困難を極める。

<舞風>

風の揚力を利用して空を舞う。

急な方向転換には向いていない。

<嵐>

暴風による防壁。

体重の軽い者であれば、吹き飛ばすこともできる。

<凩>

凍てつく風。

大気中の水分が凝固し、氷の礫となる。

<凪>

風の流れを静め、特定の波形を強調する。

遠くの音声を盗み聴くのに便利。


武具:宿り木の魔弓

何処までも真っ直ぐに飛ぶ魔力の矢を放つ弓。

普段は手の甲に刻まれた紋章に収納されている。


装束:黒外套・ショートパンツ

空を飛ぶのにスカートなんて有り得ない。

パオラにそんな趣味は無い。



・自由の風と根差す草花


世界樹の精霊は、世界樹によって縛られている。

世界樹とパスを繋ぎ、生命力を分けてもらっている。

だから、あたし達世界樹の精霊は世界樹が健在な限り何度でも蘇ることができる。

言ってしまえば、不老不死の存在だ。

だけど、あたしにはそれがどうしても受け入れられなかった。

何度でもやり直せる命。

どれだけ彩りに溢れた人生を送ったとしても、決して塗り尽くすことのできない生涯。

始めの内は良いのかも知れない。

だけど、永く生きる程に思う。

これ程空しい生があるのか・・・と。


世界樹の精霊は、世界樹によって縛られている。

世界樹の聖域から出ることも叶わず、尽きることの無い生涯を過ごす。

世界樹が健在な限り・・・。

時に死者甦生の権能を持つ世界樹の葉、治癒の権能を持つ世界樹の雫を狙う盗賊と戦い。

時に邪悪から世界を護る為に立ち上がった勇者一行を歓迎した。

祝勝の宴、歓迎の宴は華やかなものだったけれど、あたしの生涯を彩るにはあまりに淡いものだった。


もう何度、蛮勇の者達を送り出したか知れない。

世界を救うのは自分だ。

自分にはその力がある。

そう信じる者達。

確かに彼らは、魔神を討ち果たし一時の平和を世界にもたらした。

だけど、邪悪は滅びなかった。


ひとつの邪悪を討つ度に、またひとつ邪悪の灯火が世界の何処かに灯る。

その頃にはもう嘗ての勇者は居ない。

例え居たとしても、世界を救うだけの余力は残っていない。

世界に平和をもたらした勇者は何人も存在する。

いや、したのだろう。

だけど、本当の意味で世界を救った者は居ない。

居るはずがない。


善が悪を討ち、善が衰え悪が盛る。

この堂々巡りだ。

今宵もまた勇者を送り出す宴が開かれている。

神に導かれ、世界の調和を乱す一族を討つのだとか。

彼がその使命を全うするかしないかは問題じゃない。

どうせまた、勇者を送り出す宴は開かれるのだ。

世界を救う?

やれるものならやってみろ。

あんたの言う世界とは、あんたの瞳に映る世界でしかないのだろうに。


世界樹の精霊は、世界樹によって縛られている。

だからあたしは、この聖域で起こった出来事しか知らない。

偶に訪れる来訪者に外の世界について話を訊くことはあった。

だけど、あまりに時代錯誤があるものだから要領を得なかった。

あたしにとっての世界は、この聖域に収まってしまう。

その程度のものでしかなかった。


勇者様御一行が聖域から旅立つその日。

招かれざる客人が聖域へと足を踏み入れた。

危機察知能力に長けた小鳥達が最大級の警報を鳴らす。

勇者一行は武器を構え、世界樹の精霊も警戒態勢をとった。

だけど、侵入者は現れなかった。

正確には、その姿を捉えることができなかった。

またひとつ、またひとつと精霊の気配が消えてゆく。

それなのに、誰の瞳にも異物の姿は映らない。

そしてあたしの喉元に冷たい何かが押し当てられた。


失血死をした時、肉体が機能不全に陥った状態でも脳は暫くの間、生きているらしい。

勇者一行を相手に、仮面の青年が舞っている姿をあたしの瞳は映していた。

勇者の剣技、戦士の痛烈な一撃、魔道士の多彩な魔法。

その全てを紙一重で躱しつつ演舞を魅せる黒い影。

致命傷にはならないような浅い傷を、僧侶の魔力が尽き果てるまで刻み続けていた。

人は自身の魔力が尽きた時、生命力を代償として魔法を行使できる。

僧侶の魔力が尽きたであろうその時から、黒い影は一転して深い傷を刻むようになっていた。

僧侶には傷を癒やすような魔力は残っていない。

だからと言って、回復の手を止めたら全滅は必至。

僧侶には最早、選択の猶予など残されていなかった。


結局、僧侶は命尽き果てるまで回復魔法を行使し絶命した。

生命力を使い果たした者は、世界樹の葉と言えども甦らせることはできない。

恐らくはこれが黒い影の目的だったのだろう。

世界樹の精霊は、世界樹を斬り倒すだけで一網打尽にできる。

しかし人間は別だ。

ただ殺しただけでは甦生してしまう。

だから死者甦生の権能を持つ僧侶を真っ先に潰した。

それも世界樹の葉を以てしても甦生が叶わない遣り方で・・・。

だったら、世界樹を先に斬り倒せば良いのではないかと思う訳だけど。

どうにも黒い影は、あの状況を愉しんでいるように見えてならなかった。

当然、仮面で表情はわからなかったけれど・・・。

何故だか、あたしは確信めいた何かを感じていた。


あたしが憶えているのは、そこまでだ。

その後、勇者一行がどうなったかは結末しか知らない。

まぁ、それさえ知っていれば充分な気もする。

何せ、あたしには勇者に対して何の思い入れも無いのだから。


端的に言えば、全員亡くなった。

僧侶の少女は仲間を護る為、犠牲になった。

戦士の男は僧侶の想いも空しく口無き遺骸となった。

勇者の骸は魔界樹に磔にされていた。

魔道士の少女はと言えば、あたしを受肉させる為の受け皿となった。

勿論、彼女としての人生を終わらせた上で・・・。


妖精族は魔素で己の肉体を形成する。

だから本来であれば、他人の肉体を借りる必要なんて無い。

だのにあたしが彼女の肉体を借りているのには理由がある。

と言うか、理由もなくこんなことをする意味がわからない。

それは一旦置いておくとして、あたしを受肉させたのはあの黒い影の仕業だ。

何を思ったのか、あたしを世界樹・・・いや、魔界樹の束縛から解き放ってくれたのだ。


生命の根源たる世界樹は彼の手によって、魔界樹へと創り変えられてしまった。

あたしが伝え聞いた話では、世界樹が倒れた時、海は荒れ、大地は裂け、天の裁きが下されるらしい。

だけど、どうやらそれは人々の信仰が創り出した妄想に過ぎなかったようだ。

世界樹が司る生命は聖域で暮らすものに限られる。

その証拠に、世界樹と命を共有する精霊達は魔族に堕ち、聖域の植物は魔界の植物へと姿を変えた。

聖域の外には、恐らく健全であろう世界が広がっていたのだ。


理由はどうあれ、あたしは彼の御蔭で翼を得ることができた。

果て無き世界へと羽ばたく為の翼を。


どうして妖精族を受肉させたのか。

どうしてあたしだったのか。

その問に彼は答えない。

秘密主義なのか、それとも理由は無いのか。

暫く彼と過ごしてみると後者のような気がしてくる。

彼は頭の回転は早いけれど、時折突拍子もないことをしでかしてくれる。

きっとあたしのことも単なる気紛れだったのだろう。

それでも感謝はしている。

だって彼は、そよ風に吹かれるばかりだったあたしを大空に解き放ってくれたのだから。



・・・自由の翼と根差す草花 ~完~



紫苑 茜


・基本情報

呼名:しおん あかね

特徴:紫の髪(腰程度の長さ)・紫の瞳

身長:女性としては平均的

体格:肉付きが良い(グラマラス)


性格:お淑やか・一途

妖艶なのは見た目だけで、中身は至って真面目。

恋愛のいろはを知らない所為か、愛情表現が過激。


趣味:研究

勉強熱心で数多の薬・毒を開発した実績を持つ。

最近は黒霧姉弟の生態調査に御執心。


嗜好:黒霧姉弟

苦手:怪談話・カナヅチ


所属:魔王の懐刀

役割:御意見番

自称:わたし


種族:魔族<紫苑の一族>

薬の調合を生業とする一族。

茜の功績により、その名は魔界中に広まった。


能力:錬成

物質を構成する成分を原子単位で組み換える能力。

合成獣の研究にも応用されていた。


能力:英知の瞳

知識を蓄えることに特化した能力。

ただし、情報の処理は能力の範疇外。

<解読>

あらゆる言語を一瞬で読み解く。

聴覚を介しての言語習得は不可。

<分析>

物質を構成する元素の種類と体系を見抜く。

化学・生物学の知識があって初めて意味を成す能力。

<封書>

得た知識を物体に転写する。

魔力文字によって刻字が為される。


武具:暗剣

あくまで護身用。

戦闘能力は皆無。


装束:黒外套・ロングスカート

ロングパンツを穿いて、時雨に卑猥だと注意された。

ミニスカートを穿いて、時雨に蔑んだ瞳で見られた。

泣いた。



・紫苑の呪い


その日、わたしの人生は変わった。

これまで灰色だった世界が、再び真白く輝き、彩りが描き加えられていった。

わたしの心を捕らえて放さないのは、陽光に煌めく白髪と純真無垢な紅い、宝石なんかよりも余程美しい瞳だった。


わたしは幼い頃から勉強漬けの日々を送っていた。

誰に強制された訳でもないのに・・・。

ただ、わたしにとってそれが最善の行動だと信じていたから。


わたしの生まれた紫苑という一族は、始祖の時代から薬の調合を生業としているらしい。

だからなのだろうか。

戦闘能力は皆無なのだ。

多少の運動ができる連中は確かに居る。

でも、その程度だ。

体術を教える者が居ないこの紫苑の里で、戦いに身を投じる段階に到達できる訳がない。

不思議なことに戦闘向きの能力を持って生まれてくる者も居ない。

これは始祖からの御告げなのだろう。

戦いに関わるな、というね。


だからわたしは勉強に励んでいるのだ。

年の近いであろう子供達が遊んでいる時も、わたしはひとり図書館の研究書を読み漁った。

そこいらに生えている雑草を抜いてきては、錬成術の練習をした。

元素を組み換えるイメージを掴むのには苦労した。

だって、目に見えないものをそうイメージしろと言うのよ?

なんて悩んでいたのに、元素モデルをイメージしたら・・・できちゃった。

今まで費やした時間を返して欲しいものだ。

それから、わたしが勉強に掛ける時間はどんどん増えていった。


努力は裏切らないというけれど、それは自分を自分で評価する場合に限られる。

だって、他人はわたしの努力を知らないのだもの。

人は誰かを評価する時、どれだけ努力してきたかではなく、何ができるかを見ている。

つまりは目に見えてわかる成果を求めている。

わたしが出した成果は、皆からの評価を得るに充分過ぎる代物だった。


現在、紫苑の里で調合されている薬の改良。

そして数多の新薬の開発。

ここ暫く停滞していた調合技術の発展を数百年分は早めたとか言われていた。

正直、そんな評価はどうでも良かった。

わたしはただ、もっと良いものを作ることができるという事実に気づき、それを実行しただけだ。

何も特別なことはしていない。

・・・つまらない。

紫苑随一の薬師と持て囃されてはいるけれど、わたしの心が満たされることは無かった。

若しあの時、皆に交じって遊んでいたら・・・どうなっていただろう。

少なくとも、今のような名声は得られていなかっただろう。

だけど同時に、こんなにも空しい気持ちを抱かずに済んだのではなかろうか。

わたしの心には後悔にも似た感情が渦巻いていた。


そんな時だ。

わたしは運命の双子と出会った。

この世の者とは思えない程の美しさに、わたしの心は一瞬にして奪われた。

嗚呼、なんて美しい姿なのだろう。

調べたい。

その肢体の隅々まで、調べ尽くしたい。

どうしようもなく湧き上がるこの感情は・・・何?

嗚呼、きっとこれが・・・愛、なのね。


愛しているからこそ、その人のことを知りたいと思うのは普通のことだろう。

何もおかしなことではない。

そう何もおかしくなどないのだ。

例え服を剥ぎ取り、軀中をまさぐったとしても・・・。

彼らの味を直接確かめたとしても・・・。

何もおかしくなどないはずだ。


最近、彼らの反応が冷たい。

あーちゃんはわたしを見ると直ぐにしーちゃんの後ろに隠れる。

そして獣でも見るかのような瞳を向ける。

しーちゃんは基本的に反応が薄いことで有名だけど、わたしが側に行くと露骨に嫌そうな顔をする。

何故・・・。

わたしの愛が足りないから?

だったら、もっと愛してあげないと!


そうしてわたしが手を出したのが、毒薬の研究だった。

暗殺を生業とする彼らならきっと、薬よりも毒の方が馴染み深いはず。

任務に使うことだってあるだろう。

それをわたしが改良して、より強力な毒を開発できたなら、彼らも喜んでくれるだろう。

わたしは毒薬の調合に没頭した。

寝食も忘れて、ただひたすらに調合を繰り返した。

そして完成させた。

血球と同化することで、体内で生成・保存することができる毒を・・・。


わたしが開発した毒は、生命を脅かすようなものではない。

体内に侵入した別の毒素を攻撃し、無効化する免疫機能を備えている。

謂わば、毒を殺す毒なのである。

この毒を体内に取り込めば、一切の毒が効かなくなる。

これはわたし自身の軀で実証済みだ。

開発の過程で偶然生まれた毒薬は全て試した。

しかし、わたしは生きている。

性能評価には充分過ぎるデータだ。


早速、彼らにわたしの毒を届けに行くことにした。

しかし、できなかった。

黒霧が神々と対立してしまったからだ。

わたし達、紫苑は戦う術を持たない。

黒霧との繋がりが知れたら、神々の矛先が紫苑にも向けられることは想像に難くない。

若しそうなってしまったら、紫苑は簡単に滅ぼされてしまうだろう。

二、三日に一度は黒霧に薬を卸しに行くはずの行商も完全に止められていた。

孤立無援。

黒霧の置かれた状況が正にそれだった。


わたしは己が如何に無力かを思い知った。

愛する者達が窮地に立たされている今、わたしは何もできないでいる。

黒霧の里に出向くことは簡単だ。

今や"妖艶の毒師"と恐れられるわたしに近づく者は居ない。

触れるだけで毒気に冒されると噂されるわたしだ。

紫苑の里にわたしを止める勇気のある者は居ないだろう。

だけど、彼らの許へ行ったところで、わたしに何ができる?

何も・・・だ。

彼らに薬は必要ない。

どんなに優秀な薬でも治せないような傷をしーちゃんは治してしまうから。

彼らに毒は必要ない。

毒が回るよりも早く、彼らは息の根を止めてしまうから。

わたしは無力だ。

力が欲しい、とは思わない。

どうせ、そんな願いは叶うはずがないのだから。

まだまだ成長段階にある軀ならまだしも、育ちきった軀のわたしが今から戦闘訓練を始めたところでたかが知れている。

だからわたしは資格が欲しい。

戦場で共に並び立つのではない。

彼らがわたしと共に居たいと・・・。

そう求められ、彼らの側に居ることを許される資格が・・・。


わたしは決して犯してはならないことをした。

彼らから求められたいが為、必要とされたいが為に・・・。

彼らに呪いを掛けたのだ。

お姉ちゃんが側に居ないと駄目になる呪い。

あーちゃんと肉体を共有しているしーちゃんにはあまり意味がないかも知れないと思ったけれど・・・。

やはり肉体があるのと無いのとでは違うらしい。

温もりを感じることが側に居るという定義みたいだ。

しーちゃんとわたしはいつも一緒に居た。

流石に任務にまではついていけなかったから、パオラに代わりを御願いしていた。

あーちゃんの肉体を創造するのは疲れるだろうし、神命ちゃんは妹だもの。

彼女くらいしか、任せられる人は居なかった。

でも、わたしにはそれがどうしても受け入れられなかった。

彼らの隣りに居るのは、例えそれが戦闘の時であっても、わたしでなければならない。

そんな想いに支配されて、わたしは呪印の複製を試みるのだった。


呪印の複製には成功した。

だけど、わたしの精神が呪印に耐えることができなかった。

自我を失い、暴走してしまった。

瞳に映る者全てに襲いかかるわたしを、しーちゃんが鎮めてくれた。

わたしは取り返しのつかない過ちを犯してしまった。

愛する彼らに消えることのない呪いを遺した挙句、自分が先に居なくなるだなんて・・・。

お姉ちゃん失格ね。

ごめんなさい。

後は、パオラに任せるわ。

しーちゃんとあーちゃんを宜しくね。

勝手なお姉ちゃんを赦してね・・・?



・・・紫苑の呪い ~完~



クラウ・リッパー


・基本情報

愛称:クゥ

特徴:銀の長髪(ふたつに括って垂らしている)・蒼い瞳

身長:小学生並み(歳相応)

体格:華奢


性格:意地っ張り・嫉妬深い

男女を問わず、時雨が誰かと一緒に居ると拗ねる。

必死に背伸びをしているが、努力の方向性がおかしい。


趣味:ゲーム

暇過ぎてハマった。

育成・RPGがお気に入り。


嗜好:時雨の膝枕

苦手:人付き合い


所属:時の番人

役割:歴史の正導

自称:私(素が出ると、クゥ)


種族:タイタン族<古の神>

時の支配者・クロノスと人間の間に産まれた半神半人。

先の聖戦で滅んだ一族の末裔。


能力:神の系譜

不滅の魂と永劫の肉体を持つ。

寿命の概念は無いが、死の概念はある。


能力:時の羅針盤

時を操り、在るべき未来を示す能力。

定められた歴史を正しく導くことがクラウの役目。

<時の崩落>

時間という概念を崩壊させる。

朽ちることの無い魂と肉体を与えることができる。

<不動の秒針>

世界の時が止まる。

指定された人物のみが能力から逃れることを許される。

<約束の未来>

世界の在るべき未来を予見する。

歴史を正しく導く為、魔王の懐刀は異世界を渡り歩く。

<時渡り>

過去、現在、未来を自由に行き来する。

歴史の改変は禁則事項ですって。

<世界の扉>

異世界への扉を開く。

見送りの抱擁は御約束。


武具:時の大鎌

クロノスから受け継いだ神器。

突き立てたものの時を自在に操ることができるが、重過ぎて持てない。


装束:黒の修道服

時雨に作ってもらった服。

汚れないように能力で時の概念を奪っている。



・非情の温もり


小さな風車小屋と一面に広がる麦畑。

絵画にすれば多くの人の心を掴むであろう風景の中に私は暮らしていた。

閉ざされた世界の中、母とふたりで・・・。


私の暮らしは貧しかったのだろうか。

較べるものが無いのだから、結論は出ない。

だけど、少なくとも私は幸せだった。

母の作る焦げ付きのパンに、不揃いなサラダ。

偶に肉が出る時、決まって母の顔は青ざめていた。

料理も肉の解体も苦手な母が、私の為に頑張っている。

自分が愛されていると知って、幸せを感じない事があるだろうか。

私は無いと信じたい。


ところで、私の父はいったい誰なのだろうか。

銀の髪に蒼い瞳。

これは母から受け継いだものだ。

私の外見に父の面影は無い。

母が言うには、目許がそっくりらしいのだが・・・。

その証拠は何処にも無い。

だって、私は一度たりとて父に会った事が無いのだから。


なんて考えていたら、父の正体を知る羽目になった。

知らぬが仏とは言うが、無知は免罪符になり得ない。

それが変えようの無い事実であれば尚更だ。

私の父は、時の支配者・クロノス。

ガイアとウラノスの子にして、オリュンポスの神々が父。

嘗て神々と対立し滅んだタイタン族の長だ。

今では実の子にして天空の支配者・ゼウスに切り刻まれ、タルタロスの奥底に封印されているのだとか。

天上の遣いから、そう聞かされた。

私はこれから天上の牢獄に幽閉されるらしい。

母とはもう、二度と会う事は叶わないだろう・・・。


冷たい石に囲まれた部屋。

黒い格子の先に見えるのは、また別の牢獄。

小さな窓から入り込む明かりは月光のように弱く、心を蝕んでいく。

何故、私がこんな目に・・・?

それは言うまでもなく、父の所為だ。

私が、タイタン族の血を引いているから・・・。

しかし、それだけならばゼウスを始めとする力ある神々も同じ事だ。

私だけが疎まれ、幽閉された理由は他にある。


ひとつは、私が人と神の血を継ぐ"半神半人"である事。

神話に名を残すような英雄も皆、半神半人だ。

ゼウスが妻・ヘラに試練を与えられたヘラクレス。

誰だったかは忘れたが、とある女神の放った蠍によって星となったオリオン。

彼らは確か、ゼウスが人間の女性と不倫した結果生まれた英雄だ。

そう、半神半人が疎まれる理由は単純明快。

不倫の果てに産まれた子供達だからだ。


私が疎まれる理由は今し方話した通りだが、幽閉された理由はまた別にある。

それが"神器"だ。

なんでも父・クロノスが神器・時の大鎌が私の身体に封印されているらしい。

まったく、傍迷惑な話だ。

いつか娘の役に立つだろう。

そんな安易な考えで私に神器を授けてくれたのだろうが、その所為で私は幽閉される羽目になった。

しかも取り出し方がわからない。

どう責任を取るつもりだ、莫迦親父。


天上の牢獄に入れられて幾星霜。

何度陽が昇り沈んだのか、最早数える気力も尽きた。

きっと母はもう、物言わぬ骸と化しているだろう。

此処に鏡が無くて良かった。

今、私自身の姿を見てしまったら・・・。

生きる気力さえも無くしてしまいそうだ。


そしてまた陽は巡った。

最近、食事の頻度が減っている。

外で騒ぎが起きているのか、ただの虐めなのかは知らないが・・・。

いい加減、力尽きるぞ?

こんにゃろう・・・。


そこで気づいた。

格子の向こう側に、私を見詰める存在が居る事に・・・。

声を掛けるでなく、ただ私を見詰める・・・。

黒く澱んだその瞳に映る私は、殊の外美人だった。


白髪に紅い瞳の青年に救われた私は、彼に連れられて茅葺きの屋敷で優雅に御茶を嗜んでいた。

もとい、嗜まされていた。

幽閉生活が永過ぎた弊害か、筋力の衰えた私は自力で湯飲みを持ち上げる事すらできなくなっていた。

だから、御茶を飲ませてもらっている。

御飯も食べさせてもらっている。

歩く時には支えになってもらっているし、風呂では身体を洗わせてやっている。

存分に尽くすが良いぞ。


此処は良いな。

暖かな陽光、薫る微風に、清らかな潺。

飯は美味いし、量も申し分ない。

母が如何に料理下手だったかが良くわかった。

嘗ての暮らしが貧しいものであったという事も・・・。

だが、此処には絶対的に足りないものがある。

・・・"温もり"だ。


どんなに気候が穏やかでも、その暖かさは心まで届かない。

心を解すのは人の温かみだ。

愛、とまではいかずとも人の情が温もりになるのだろう。

その肝心な情がこの青年には欠落している。

惜しい・・・実に惜しい。

情とは則ち心。

心を開かぬ者に、情を届ける事などできはしないのだ。

これは矯正が必要だろうか。

母よ、見ていてくれ。

私はこれから、非情なる者に愛を教えてやるぞ。

母が私に愛をくれたように。


まずは淡々と世話だけをするこの悪習をどうにかせねばな。

ほれ、口を開けろ。

私からもお返しをしてやろう。

どうだ?美味いか?

美味いだろう。

何せ、絶世の美少女である私が食べさせてやったのだから。


次はそうだな。

偶には私が背中を流してやろう。

おお・・・これは中々・・・。

と、いかん。

煩悩退散!

しかし肌理の細かい肌をしおってからに。

女子か?こやつは。


ふぅ。

御茶は良いな。

心が落ち着く。

こやつの膝も中々座り心地が良い。

もう少し体温が高ければ申し分無しだな。

私の体温は心地良かろ?

何たって、絶世の美少女だか・・・。

おい?何処へ行く?

私はまだ満足していないぞ?

こりゃ!待たんかっ!


と、まぁ。

愛を教えよう大作戦を推し進めて来た訳なのだが・・・。

こやつは本に手強いのぉ。

未だに濁った瞳をしておるわ。

折角、美しい紅色をしていると言うのに・・・。

勿体ない。

心にも無い微笑みを貼り付けおってからに。

愈々、本腰を上げて取り組まねばならんかの。

ほれ、そこに直れ。

私が直々に"なでなで"というものを実演してやろう。

嬉しかろ?

何たって私は絶世の・・・。

これ。

何故にお前が私を撫でるのだ?

・・・中々気持ちが良いな。

て、そうではない!

私が貴様を撫でるのであろうが!

そこに直れぇ!

・・・そこに跪けぇ!!


こやつと過ごした日々は本に穏やかなものであった。

一言も喋らぬからな。

風に木の葉が揺れる音がよう聞こえた。

それがどうじゃ?

今や、何の音も聞こえはせん。

戦火の燻る臭いだけが漂っておるわ。

のう・・・。

お前は終ぞ、私に声を聞かせる事無く逝ってしまうのだな。

まったく。

本に勝手な男だのう。

勝手に私を救っておいて、勝手に生きる目的を与えて、それで勝手に逝くのか?

私はまだ、お前に何も返していないぞ?

私はまだ、お前に愛を教えきれていないぞ?

私は!クゥはまだ、お前と一緒に居たいのだぞ!


生命の拍動を失った里に美少女の嘆きが木霊した。

この瞬間だけは、その愛らしい顔をぐしゃぐしゃにして・・・。


結局、青年と一緒に居たいという私の願いは叶った。

感情の豊かな者と肉体を共有している影響か。

以前に比べれば、かなり表情が豊かになった。

非情なる者に人並みの情が宿った。

だが、私は知っている。

非情なる者が、非情だからこその方法で温もりをくれた事を。


非情の温もりを・・・。

私は、クゥは知っている。



・・・非情の温もり ~完~



五月雨


・基本情報

愛称:ミーさん

艦種:魔改造駆逐艦

身長:駆逐級

体格:駆逐級


性格:明朗・妹ラブ(戦闘狂)

底無しの明るさで妹達を引っ張るお姉ちゃん。

ドジっ娘属性は訓練の果てに消え失せた。


趣味:トランプ

就寝前の御遊戯が日課。

密かにマジックも練習中。


嗜好:姉妹との戯れ

苦手:砲撃


所属:訓練基地

役割:回避機能訓練の教官

自称:私(お姉ちゃん)


系譜:建造組

時雨と集積によって建造された改造艦娘。

血の繋がりは無いが、一応長女。


恩恵:感知能力と思考速度の向上

異常な回避能力を身に付けている。

また、時雨と集積の魔改造により戦艦並みの装甲を誇る。


艤装:大鎌

反重力の弾を撃ち出せる折りたたみ式の大鎌。

持ち運びに便利。


装束:黒外套・ショートパンツ

黒外套は時雨とお揃い。

動きやすさ重視の格好。



・五月雨より愛を込めて


皆様、おはこんばんちわ。

五月雨ですよ。

今日は何を思ったか、手紙を書いてみました。

早速本題に・・・と思ったのですが、挨拶を縮めるなと南ちゃんが五月蠅そうですねぇ。

大丈夫ですよ。

皆の前で読む時には省略せずに読みますから。

でも、そうなるとこの文章の意味が無くなりますね。

ま、いっか。

どうせ読み終えたら棄てる予定でしたし。

ではでは気を取り直して本題ですよ。


愛する家族へ


まずは、ヲーちゃんからいきましょうか。


ヲーちゃん。

貴女は私にとって、天使のような存在です。

それはきっと私だけでなく、皆にとっても同じはずです。

貴女のその笑顔。

お姉ちゃんはそれだけで三日は生きていける気がします。

事実、水無しでも三日は保つらしいので。

おっと、これは余計な事でしたね。


ヲーちゃんは私達姉妹の末っ娘です。

末っ娘と言えば、甘え上手なイメージがありますが、ヲーちゃんは人に甘える天才だと思います。

貴女の笑顔を見てしまったが最後。

誰もがその笑顔の為に行動するでしょう。

貴女の瞳が涙に濡れる事があれば、人はその涙を止める為に邁進するでしょう。

貴女はそれを理解している。

理解した上で利用しているのだから、質が悪い。

まったく、誰に似たのやら。

最近のヲーちゃんは天使と言うよりは小悪魔です。

その小さなお尻には尻尾が生えてるんじゃないですか?

やっべ、小悪魔ヲーちゃんマジ天使。

まぁ、結局ヲーちゃんは可愛いのです。

カワイイは正義。

ならば良し。


はい次、レーちゃん。


レーちゃん。

貴女は私にとって、可愛い妹です。

何が可愛いって?

決まってるじゃないですか。

からかい甲斐のあるところですよ。

お父さん絡みの事になるとすーぐ顔を真っ赤にするんですから。

嗚呼、もう!

どうして貴女達はこんなに可愛いんですか!


失礼。

取り乱しました。

最近のレーちゃんは少しだけ素直になってきました。

甘えたいという感情を恥ずかしがる事無く伝えられるようになりましたね。

御蔭でお姉ちゃんの娯楽がひとつ減ってしまいました。

知ったこっちゃないって?

大丈夫。

お姉ちゃんは娯楽を見つけるのが上手いんです。

またすぐに遊んであげますから、心配しないでください。


次~。


蓮華ちゃん。

貴女は私にとって、先輩なのに妹みたいなよくわからない存在です。

何しろ私は記憶を失っていますからね。

誰かさんの所為で・・・。

まぁ、それは一旦置いておくとして。

蓮華ちゃんと再会した時、私と貴女の立場はあべこべになってしまいました。

貴女は上司であるクロさんの娘でしたし、何より態度が大きかったですから。

記憶喪失なのをいい事に偉ぶっているのかと思いきやですよ。

まさかそれが素だったなんて、お姉ちゃんは吃驚仰天です。


不遜なんて言葉がぴったりの貴女にも、実は可愛いところがいっぱいあります。

例えば、私のことをお姉ちゃんと呼ぶところとか。

実は南ちゃんのことが大好きで、とっても寂しがりなところとか。

顔・・・真っ赤ですよ?

さて、これ以上やると訓練装置にどんな細工されるかわかりませんからね。

このくらいにしておきましょう。


南ちゃん。

もう少し大人の余裕を身に付けましょう。


終わり。


姫ちゃん、もといお母さん。

大好きです。

私を造ってくれてありがとう。

私をお姉ちゃんにしてくれてありがとう。

お父さんのことが大好きなお母さんが好きです。

南ちゃんをからかって遊んでいるお母さんが好きです。

案外直球に弱いお母さんが好きです。

実は運動が苦手なお母さんが好きです。

あの時、私が本当に殴りかかっていたら、きっと私が勝っていたと思います。

割とマジで。

お父さんは南ちゃんにぞっこんだから、あんまり構って貰えないかも知れないけど・・・。

それは娘特権でなんとかします。

この後すぐに。

だから、娘には見せられない事もガンガンやっちゃってください。


ヲーちゃん、耳塞いでた?

頷いたって事は聞いてたなチキショー。


はい、ラスト。


お父さん。

クロさん、なんて呼んでいた頃が懐かしいです。

貴方は本当に趣味が悪いです。

女性を虐めて愉しいですか?

え?レーちゃんを弄ると面白いでしょって?

なるほど。

これは一本取られましたね。

お父さんのそういうところは私にも受け継がれているみたいです。

血は繋がっていないのに不思議ですね。

まぁ、どうせ訊かれてないからと言ってない事があるんでしょうけど。

別に訊く気もありませんが。


お父さんに伝えたい事。

改めて考えてみると、難しいものです。

だって私は思い立った時にちゃんと言葉にして伝えていますから。

今更手紙に書くような事も無いんですよね。

だから、お母さんの秘めきれていない想いを代弁することにします。


今夜"も"お楽しみですよ?

男なら両手に華を抱えて魅せなさいな。


ヲーちゃん、耳塞いでた?

聞こえなかった?

頷いたって事は聞こえてたなチキショーメ。


私の手紙はこれで終わりです。

ですが、最後にひとつだけ・・・。


私の家族がお父さんで、お母さんで、南ちゃんで、蓮華ちゃんで、レーちゃんで、ヲーちゃんで、本当に良かった。



・・・五月雨より愛を込めて



日向


・基本情報

本名:蓮華(れんか)

艦種:工作艦

身長:小学生並み(歳相応)

体格:細身


性格:自由人・父上ラブ

達観したような口振りの時もあれば、子供らしさ全開の時もある。

謎多きファザコン幼女。


趣味:艤装弄り

熱が入ると倒れるまで工廠に籠もる。

倉庫にはよくわからない発明が山積みになっている。


嗜好:風呂

苦手:身長に関する発言


所属:訓練基地

役割:工廠担当

自称:私


系譜:オリジナル

時雨と南方の娘。

南方にとってはひとり娘だが、時雨にとっては次女。


恩恵:空間認知能力と演算能力の向上

独自の艤装製造を支える能力。

実は、戦闘も得意。


艤装:なし

戦闘には参加しない。

だって、工作艦だもの。


装束:黒外套・ロングパンツ

当然、父上とお揃い。

工廠での作業時に肌の露出は有り得ない。



この世で一番好きなのは、父親である時雨。

愛していると言っても過言ではない。

二番目は茜。

武士っぽい格好良さが好き。

次に五月雨、ヲ級、集積地棲姫の順。

五月雨は、なんだかんだお姉ちゃんだから。

ヲ級は天使。

集積地棲姫は発明家として気が合うから。

実の母である南方棲戦鬼の順位は低め。

なんたって恋のライバルだから。

レ級に対して好きという感情は無い。

同い年だからか、玩具としか認識していないからなのかは想像にお任せ。



間宮


・基本情報

本名:長瀬 狭霧

艦種:給糧艦

身長:女性として平均的

体格:細身・筋肉質


性格:温和・明朗(無慈悲)

優しく明るい間宮は偽りの顔。

人類滅亡を目論んだ咎人。


趣味:武術

始めは護身術として習わされていたもの。

いつの間にか、自ら進んで稽古に励んでいた。


嗜好:最新家電

苦手:男性との直接的接触


所属:大本営(訓練基地)

役割:物資輸送(衛生管理)

自称:私


系譜:改造組<クローン>

海軍元帥の孫娘として育てられた、海軍元帥の娘・長瀬狭霧のクローン。

自ら志願し、艦娘となった。


恩恵:なし


艤装:なし


装束:例の前掛け



・間宮の手紙


愛する貴方へ。


私は今、真白い世界を漂っています。

これが天国というものなのでしょうか。

極楽とは良く言いますけれど、辛いことの無い世界では娯楽も無いのですね。

だって、心も体も疲れることが無いのですから。


ところで、私が書いているこの手紙は貴方の許に届くのでしょうか。

まぁ、それはひとまず置いておきましょう。

私は今、天国に居ます。

もう知ってる?

ええ、そうでしょうね。

だって、私をこの場所に送ったのは貴方なんですもの。

私は地獄に落とされたっておかしくないことをしました。

それなのに、私が送られた先は天の国でした。

きっと貴方が、私の罪を消し去ってくれたのですね。

ありがとう、なんて言いませんよ?

こんな退屈な世界に送られて、私は少し怒っているくらいです。

うふふ、冗談です。

手紙に「うふふ」だなんて、変な感じですね。

でも、良いじゃないですか。

間宮として私が遺せる物は、もうこれくらいしか無いのですから。


思い返せば、色々なことがありました。

海軍元帥の孫娘として産まれた私は、幼い頃から権力を欲する者達の視線に晒されながら生きてきました。

私と結婚すれば、海軍を手中に収めることだって夢ではないですからね。

ですが、孫が可愛いお爺さまは私を嫁に出す気なんてありませんでした。

貴方とのお見合いをした時だって、もの凄い剣幕だったんですよ?

悪い虫が付かないように護身術を習わされもしましたね。

空手に、柔道、合気道、剣道、薙刀に弓道も、後は・・・何でしたっけ?

貴方に訊いても詮無いことですね。

懐かしいものです。

御蔭で筋肉が付いてしまって、危うく女性らしさを失ってしまうところでした。

貴方は良く御存知ですよね?

だって、あんなに激しい夜を過ごした仲なんですもの。

なんて、貴方と肌を重ねたことはありませんでしたね。

もう、貴方が奥手な所為で私は経験をしないままに生涯を終えてしまったじゃないですか。

若し来世があるのなら、きっと奪いに来てくださいね。

これは冗談ではありませんよ?


そういえば、貴方はとっても力持ちでしたね。

私が運んでいる荷物を代わりに持って、平気な顔をしていたのは貴方と日向ちゃんくらいなものです。

他の方々は持てないか、顔を真っ赤にして踏ん張るのが精々でした。

私が他の方に比べて少し、本当にちょっぴり力持ちだってこと。

実は気付いていました。

皆は必死に取り繕っていましたけれど、気付かないはずがないじゃないですか。

私はそこまで莫迦ではないですからね。


ねぇ、あなた。

憶えていますか?

私達が初めて会った時のことを。

勿論、憶えていますよね。

知っています。

だって、貴方から言い出したことですもの。

貴方が私の最期を看取ってくれたあの時に。

あの言葉に私は負けてしまいました。

貴方のことを本当に愛してしまったのだと、自覚させられたのです。


貴方と初めて会ったあの日。

それは私の身を守る為に仕組まれたお見合いの場でした。

海軍の高官であるお父様が仲人を務めたあのお見合いは、陸軍の憲兵だった貴方にとっても息苦しいものだったでしょう。

そういえば、貴方は私の瞳に感情が宿っていなかったと言いましたね。

まったく、貴方に隠し事はできませんね。

本当は気付いていたのではないですか?

私が以前から企てていた、あの計画のことを。


幸か不幸か、海軍元帥の孫娘として産まれた私は、大人の世界に触れる機会が他人よりも早く、多かったのです。

自分の欲望を満たす為に他人の幸せを踏みにじり、のうのうと生きているあの連中が幼いながらに赦せませんでした。

その中には私のお爺さまも、お父様も含まれています。

血の繋がった家族でさえも信じられなかった私は、仮面を被って生きることを憶えました。

皆の瞳に映る私は、誰にでも優しい和やかな少女だったことでしょう。

私はそんな間宮を演じていましたから。

貴方だけでした。

本当の私を見てくれていたのは。

だからなのでしょうね。

私自身も気付かない内に、私は貴方に惹かれてしまったみたいです。


お見合いを終えてからの私は本当に頑張りました。

貴方をメロメロにする為にです。

これが冗談でないことは、貴方が一番知っているでしょう?

舞鶴に勤める貴方と大本営に勤める私の間には、どうしようもない距離の隔たりがありました。

それなのに、それなのにです。

私は甲斐甲斐しく舞鶴に通っては御弁当を届け、夕飯を一緒に食べましたよね。

今思えば、それを辛いと感じたことはありませんでした。

不思議ですね。

私には恋愛感情なんて無かったはずなのに。

うふふ。

これは思い出し笑いです。

あの頃の私は初心でしたね。

男性を口車に乗せることは得意でしたけれど、直接触れられることは苦手でした。

箱入り娘の弊害でしょうね。

貴方との距離が一向に縮まらないことに痺れを切らした私は、御風呂に乱入したことがありました。

水着があれば良かったのですが、急に思い付いたものですから、バスタオル一枚の無防備な姿にならざるを得ませんでした。

本当に恥ずかしかったです。

できることならば、時を戻して自分を諫めてあげたいくらい。

結局、背中を流してあげることさえできなかったのですよね。

緊張しすぎて倒れてしまった私を、貴方はずっと看ていてくれました。

普通なら、こんな絶好の機会、逃す手はありませんよ?

夜中に目が覚めて、座ったまま眠っている貴方を見た時は何だか少し悔しかったのを憶えています。

嗚呼、私に女としての魅力は無いのかな、なんて。

貴方は本当に罪な人です。

そんな調子では、地獄に落ちてしまいますよ?


おっと、話が逸れてしまいました。

私が躍起になって貴方を堕とそうとしていたのは、身の安全を確保する為でした。

あの頃の私は命を狙われる立場でしたから。

誰からって、海軍の将校達に決まってますよね。


彼らの悪行は法で裁けるものではありませんでした。

当然です。

裁きを下す立場にある者までもが、腐りきっていたのですから。

孫娘からの進言であれば、或いは・・・なんて、甘い考えでした。

反省します。

だから私は、自ら裁きを下すことにしたのです。

金銭的に破滅させたり、口車に乗せて同士討ちさせたり、深海に情報を流したりして。

幸いにも、口は達者な私です。

暴力に頼らずとも、人を貶めるのは簡単でした。

あまりに事が上手く運んだものですから、私は調子に乗ってしまったのでしょう。

暗殺計画が持ち上がるまでに、男達を弄んでしまいました。


実を言えば、私の身を守ることこそが貴方とのお見合いに於ける最大の目的でした。

若し貴方と結婚することができたなら、私は舞鶴の真宵烏と謳われる貴方の妻になる訳です。

憲兵隊隊長の妻ともなれば、海軍の将校だってそう易々と手は出せません。

それに私は海軍元帥の孫娘でもありますからね。

貴方とのお見合いを断る理由はありません。

まぁ、持ちかけたのはこちらですけれど。

しかし、貴方を堕とすのには本当に苦労しました。

良く頑張ったね、と私を褒めてください。

婚約まではお父様が強引に持っていきましたが、貴方から「結婚」の二文字を引き出すのに何年掛かったことか。

貴方が海軍に転属してきてからですから、えっと、何年でしょう?

忘れてしまいました。

でも、貴方が子供をつくって帰って来たこと。

これだけは忘れませんからね!


私というものがありながら、他の女と夜を共にして。

しかもそれが深海棲艦だなんて!

まぁ、そういう計画だったということは理解していますから、大目に見ますけど。

聞いた話によると、婚約を破棄させる為にお爺さまが貴方を指名して計画に巻き込んだらしいですね。

お爺さまの思惑通りになんてさせてなるものですか!

そんなこともあって、貴方が連れてきた日向ちゃんとも仲良くなろうと必死だったのです。


日向ちゃんは難しい娘でしたね。

貴方のことが大好きだから、私をライバルのように見ていました。

ある程度、婚約者として振る舞うことは許してくれていましたけれど、内心穏やかではなかったでしょうね。

貴方が結婚を決意してくれた時も、最後まで反対していたのは日向ちゃんでした。

涙を流しながら貴方に抱き付いていた日向ちゃんの姿は、今でもはっきり憶えています。

それからは早いものでした。

幸せが壊れる時はいつだって、あっと言う間の出来事なのですね。


時々、違和感は感じていました。

まるで自分が自分でないような、そんな感覚です。

ですが、まさか私が操られていただなんて思いもしませんでした。

集積さんを利用するはずが、私が彼女に利用されてしまったのですね。

彼女が思い描く、楽園を創り上げる為に。

そうして私は貴方の手によって、生涯を終えることになりました。

恨んでなどいません。

これは絶対です。

寧ろ、これで良かったのだと思っています。

だって、私の計画では貴方も始末することになっていましたから。

貴方が居なくなってしまったら、日向ちゃんが哀しんでしまいます。

貴方のことが大好きな日向ちゃんですから、きっと貴方の後を追って自ら命を絶ってしまっていたでしょう。

ええ、絶対にそうなっていました。


居なくなるのは私ひとりで充分です。

これは悪いことではありません。

特に、私にとっては。

だって、貴方のことを本当に愛してしまったのだと気付くことができたのですから。

だから貴方が気に病むことは何もありません。

貴方は幸せを掴んでください。

そして来世では、きっと私を幸せにしてくださいね。

約束ですよ?


私はこれから「転生」というものをするみたいです。

魂に刻まれた記憶も全てリセットされるのだとか。

でも私はきっと忘れません。

いえ、絶対に忘れません。

私が本当に愛する人は、貴方だけだということを。


この願いが叶うなら、どうか私を見つけてくださいね。

若しかすると、私の方から会いに行くかも知れませんが。


では最後に。

愛しています。

これまでも、これからも、ずっと。


愛するあなたへ。



・・・間宮の手紙 ~完~



最上


・基本情報

愛称:もがみん

艦種:重装巡洋艦

身長:重巡級

体格:戦艦級


性格:温厚・厚顔無恥

普段はのんびりしているが、実は色々と考えて行動している。

恋愛に興味が無い所為か、普通は恥ずかしいことを平気でやらかしてくれる。


趣味:武器マニア

どちらかと言うと、原始的な武器の方が好み。

収集癖は無いが、知識がかなり豊富。


嗜好:原始的な武器

苦手:朝


所属:訓練基地

役割:砲撃指導

自称:ボク


系譜:改造組

三隈とは幼馴染み。

両親は流れ弾が家に直撃して他界した。


恩恵:筋力強化・骨格強化・装甲強化

筋力が強化され、骨が丈夫になっている。

戦艦並みの装甲を手に入れた結果、鼻を塞がれて起こされるようになった。


艤装:重艤装

火力重視の重量級艤装を採用。

重すぎる為、反重力の力で浮いて移動する。

<大和砲>

大和型の火力を再現した長距離砲。

全身で支えないと腕がもげる。

<反重力の大盾>

重力の力場を発生させ、砲弾を受け止める大盾。

出力を調整すると、停止、誘導、反射の三種類の機能を使い分けることができる。

<迫撃砲>

殲滅戦用の装備。

榴弾、炸裂弾、焼夷弾、信号弾等の弾を装備しているが、蓮華が独自に開発した殲滅弾はエグいと評判。

<自律型迎撃衛星>

AIを搭載した自律型の迎撃衛星。

機銃しか装備していない為、威嚇射撃程度の用途に留まる。


装束:黒外套・ロングパンツ

銃火器中心の装備である為、火傷対策に長袖を採用している。

ロングパンツにした理由が、なんか似合いそうだからだったら多分怒っていた。



三隈


・基本情報

愛称:みっちゃん

艦種:航空機動巡洋艦

身長:重巡級

体格:重巡級


性格:高飛車・臆病

御高くとまりたい根っからの御嬢様。

過保護に育てられた為、怒られることに慣れていない。


趣味:クラシックバレエ

始めた理由は、なんか御嬢様っぽかったから。

バレエで得た柔軟性は意外と戦闘でも役立った。


嗜好:御嬢様ぽいこと

苦手:家事全般・下世話な話


所属:訓練基地

役割:座学教官・小隊指揮教官

自称:私(本当は、三隈)


系譜:改造組

最上とは幼馴染み。

仲は良いが、喧嘩が絶えない。


恩恵:動体視力強化・情報処理速度向上

音速を超えた速度で移動するものも正確に視認できる。

頭の回転が早くなった結果、自力で艤装を制御できるようになった。


艤装:飛行艤装

反重力の力場を発生させ、空中を浮遊する。

機動力は駆逐艦のそれを上回る。

<鋼の翼>

刃を仕込んだ折りたたみ式の翼。

飛行自体にはあまり関係無い。

<光熱砲>

太陽光を収束させた光熱兵器。

反射衛星を用いて射角を調整する。

<反射衛星>

プリズムを埋め込んだ衛星。

角度調整は恩恵により三隈自身が行えるようになった。

<電磁小銃>

小型のレールガン。

弾丸の径が小さい為、殺傷能力は低い。


装束:黒外套・ホットパンツ

機動性重視の格好。

制服のまま空を飛んで、下着を見られたことがある。



南方棲戦鬼


・基本情報

愛称:南・南方ちゃん

身長:高め(時雨と同じ程度)

体格:ダイナマイトばでい


性格:勝ち気・淡泊

他人に譲られて何かを得ることが嫌い。

執着はしないが、自分が一番でないと気が済まない。


趣味:自分磨き

時雨の気を惹く為の努力が習慣化した。

昔は何もできなかったが、現在の家事スキルは中々のもの。


嗜好:家族の時間

苦手:自分の内に秘める乙女な部分を自覚すること


所属:訓練基地

役割:実戦演習

自称:ワタシ


系譜:???

時雨の妻。

蓮華の母。


恩恵:自己再生

驚異的な自己再生能力を誇る。

即死でさえなければ、数時間で復活する。


艤装:???


装束:革のジャケット・ロングパンツ

パンク系の格好を好む。

色は勿論、黒。



・南の奮闘記


しくじったわ。

仲間を逃がす為とはいえ、人間に捕まってしまうだなんて。

このワタシが、人間の捕虜。

笑えないわ。

こんなこと、集積に知られでもしたら・・・。

これ以上は止めておきましょう。

ワタシの精神に毒だわ。


数日後。

集積が捕まった。

格子を挟んで顔を合わせたワタシ達は盛大に笑い合ったわ。

文字通り、"莫迦笑い"というやつね。


実験のモルモットにされることは覚悟していた。

それこそ、死んだ方がマシと思うような実験の。

でも、実際は違った。

研究者達がワタシにしたのは身体検査くらいのものだった。

まぁ、多少血を抜かれたりもしたけれど。

あまりに拍子抜けだった。

集積なんて部屋の出入りを制限されていなかったのよ?

それどころか、彼らの研究に参加しちゃってるし。

何なら、集積の立案した実験が一番酷かったくらいだわ。

というか、何でワタシは外に出ちゃ駄目なのよ!?


彼ら人間のワタシ達に対する扱いが丁寧だったのは、和解交渉を前提にした実験だったからみたい。

人類と深海の不毛な争いに終止符を打ち、お互いに手を取り合っていける未来を模索する。

その為の研究をしているのだとか。

ワタシ達、深海棲艦が陸上で不自由無く生活が送れるかどうか。

そして、人間との間に愛を育むことができるのかどうか。


ワタシにとって、一番辛かった実験がこれよ。

研究施設の中に作られた1LDKの家。

そこで彼と暮らすことになった。

プライバシーの保護だとか言って監視もつけないで。

ワタシを舐めているのかしら。

例え丸腰の状態でだって、人間如き、簡単に捻り潰せるんだから。


驚いたわ。

素手でワタシを組み伏せる人間が居るだなんて。

というか、彼、人間じゃないんですってね。

料理は上手だし、必要以上に干渉してこないし、ベッドは譲ってくれるし、最高じゃない。

深海で暮らしていた時より、よっぽど快適だわ。

でも、何か腑に落ちないのよね。

研究者達からの事前説明によれば、これは愛を育む実験。

確かに彼は、生活を共にする相手としては文句無しの好青年よ。

それはワタシが保障するわ。

だけど、今の彼は恋人というより家政夫なのよね。

ワタシが言うのもアレだけど、このままで良いのかしら?


集積がのんびり外で昼寝をしている姿を、ワタシは部屋の中から見ていた。

その時、ワタシがどんな感情を抱いていたか。

言葉にするまでもないでしょう。

この状況に苛立ちを覚えない者なんて居るのかしら?

ああ、居るかも知れないわね。

鼻歌混じりに昼食の用意をしている、この人なら・・・。


現状を整理すると、ワタシは今、愛を育む実験の為に軟禁されている。

ワタシと愛を育む相手は、絶賛家政夫の彼。

彼からのアプローチは一切無いし、手を出す気配も無い。

それ以前に、女として見られているのかさえ怪しい。

何それ、腹立つ。


ワタシ達の格好は、人間からすれば、かなり際どい格好のはず。

研究者達の視線を見ればわかる。

胸元を凝視しながら話すんだもの、あれでバレてないとでも思ってるのかしら。

でも、彼にはそういった行動が見られない。

話す時はちゃんと瞳を見て話すし、事故を装って身体に触れようともしてこない。

かといって、身体的な接触を拒むような様子も無い。

女として見られていないのか、単にそういう欲求が薄いのか。

どうして彼が選ばれたのかしら?

どう考えても、この実験に向いてないわ・・・彼。


まぁ、それは良いとして、ワタシに無関心を貫くその態度はいただけないわね。

ふふ、今に見てなさい。

ワタシが本気になれば、どんな朴念仁だってイチコロなんだから!


さて、何はともあれ、心の距離を縮めるにはまず身体の距離からよね。

さり気ないボディータッチで視線を誘導。

そして、上目遣いのコンボ!

どうよ、流石の彼もこれでって。

え?

微笑み返して、終わり?

嘘でしょ。

この男、予想以上だわ!


だったら、これはどうかしら?

料理中、無防備な後ろから突然のハグ。

ワタシはそれなりに大きい方だから、この密着感はかなり効くはず。

さぁ、どうよ!

え?

もうすぐできるから、待っててね?

いや、別に催促してる訳じゃ・・・ないんだけど。

何だろう、この敗北感。

ワタシって、そんなに魅力が無いのかしら?

確かに、ガサツだし、家事とか全然できないし、集積には身体だけの女とか言われたことあるし・・・。

身体だけって何よ!失礼ね!

って、待ちなさい。

そうよ。

ワタシにはまだあるじゃない。

あの集積が認めた、女の武器が!


その夜、ワタシはソファで眠る彼に迫った。

透過率マシマシのネグリジェを着て。

さぁ、本性を見せなさい。

ワタシにこんなことまでさせておいて、ただ済むと思ったら大間違いよ!

今夜は寝かせてあげないわ。

そして、ワタシ無しでは生きていけないようにしてあげる。

初めてだけど・・・。

ワタシならできる!きっと!


目を覚ました彼は、ワタシを抱えて言った。

そんな格好してると、風邪引くよ?


ベッドにワタシを寝かせて布団を掛け、言った。

おやすみ。


そしてそのままソファに戻り、寝息を立て始めた。


何よ。

そんなにワタシは魅力が無いっていうの?

こんな恥ずかしい格好までして、莫迦みたいじゃない。

初めてだったのよ?

それでも勇気を振り絞って!覚悟を決めて!

何よ、何なのよ、この気持ち。

何でワタシが・・・アンタに振り向いて欲しいって思ってるのよ!


ワタシは泣いた。

それはもう無様に泣いた。

その泣き声は当然、彼の耳にも届いたようで、彼はワタシを抱き締めて優しく頭を撫でてくれた。

何も言わず、ワタシが眠りに落ちるまで、ずっと。

ワタシは彼にしがみつき、放さなかった。

眠っているのだから、意識は無かったわ。

だけど、やっと彼の方から近づいて来てくれたことが嬉しかったのでしょうね。

放してなるものか、と身体が勝手にワタシの心を汲み取り、動いてしまった。

結局のところ、これがワタシ達の始まりだったのかも知れない。


翌朝、泣き腫らした瞳をこすりながらワタシは彼に宣言した。

ワタシはアンタが好き。

だけど、きっとアンタはそうじゃない。

だからワタシは、アンタを惚れさせる。

アンタの心を奪ってみせる。

だから、覚悟して待ってなさい!


ワタシと彼が結ばれたのは、それから暫く経ってからのことだった。

本当に、彼の心を奪うのには苦労したわ。

今では可愛い娘と、愛する彼と三人、幸せに暮らしている。

この幸せはきっと、ワタシが死ぬまで続くわ。

彼も娘も、ワタシの瞳が黒い内は絶対に死なせたりしないんだから!



・・・南の奮闘記 ~完~



集積地棲姫


・基本情報

愛称:集積・姫ちゃん

身長:女性としては平均的

体格:グラマラス


性格:利他主義・ロマンチスト

自分の幸せよりも他人の幸せを優先する。

意外と夢見がちなところがある乙女。


趣味:研究・実験

気になることがあると確かめずにいられない。

南方棲戦鬼の反応が面白くて、色々とやらかした前科がある。


嗜好:南方弄り

苦手:ストレートな愛情表現・戦闘


所属:訓練基地

役割:衛生管理

自称:私


系譜:???

五月雨、レ級、ヲ級の母。

紫苑茜の魂を宿している。


恩恵:電脳

生体電流を操り、他人の脳を支配する。

思念を電波に変換し、発信・受信が可能。


艤装:???


装束:黒外套・ヘッドホン

懐刀と同じ黒外套を纏っている。

ヘッドホンは能力による盗聴用の装備。



戦艦レ級


・基本情報

愛称:レーちゃん

艦種:戦艦

身長:小学生並み(歳相応)

体格:普通


性格:単細胞・天邪鬼

考えることが苦手で、感じるがままに行動する阿呆。

父ちゃんのことが大好きだが、素直に甘えられないでいる。


趣味:訓練

少しでも憧れの父ちゃんに近づく為に努力している。

将来の夢は暗殺者だが、時雨に姉さんそっくりだと宣告を受けた。


嗜好:かっこいいもの

苦手:頭を使うこと


所属:訓練基地

役割:訓練生

自称:俺


系譜:オリジナル

時雨と集積地棲姫の次女。

蓮華とは同い年。


恩恵:身代わり

自身の生命力を他人に分け与える。

他の生命体と感覚を共有することもできる。


艤装:生物艤装

思考力を持たない独立した艤装生命体を操る。

感覚共有による連携は、正しく阿吽の呼吸。

<自律型迎撃衛星>

最上の艤装と同じ型の艦載機。

立体機動を得意とする。

<生物砲台>

砲門を有する艤装生命体。

普段はレ級の腕輪に収納されている。


装束:黒外套・腕輪

黒外套を着た蓮華が羨ましかった為、時雨にせがんで作ってもらった。

腕輪は艤装収納用の飾り。



空母ヲ級


・基本情報

愛称:ヲーちゃん

艦種:空母

身長:ちみっ娘

体格:華奢


性格:無邪気・純粋(負けず嫌い)

悪気無くキツいことを言い放つ純粋な幼女。

ヲ級の笑顔はどんな疲労も吹き飛ばす。


趣味:訓練

レ級に誘われたことが契機となり、毎日欠かさず訓練に励むようになった。

音速を超える艦載機の運用は努力の賜物。


嗜好:お父さんの温もり

苦手:手加減


所属:訓練基地

役割:訓練生

自称:ヲーちゃん


系譜:オリジナル

時雨と集積地棲姫の末娘。

レ級とはひとつ違いの年子。


恩恵:超軟体

骨格を崩壊させ、軟体動物と同じ構造を得る。

隙間さえあれば、どんな場所でもすり抜けることができる。


艤装:魔改造艦載機

音速超えでの飛行ができるように改造された艦載機を複数操る。

銃火器を積んでおらず、突進攻撃が基本。

<制御型特攻艦載機>

特攻用に剣の形状をした艦載機。

音速超えで駆動する艦載機が交差することで、衝撃波が干渉し互いに強め合う。


装束:黒外套

ヲ級用にミニサイズで作られている。

例の被り物は持っていない。



大鳳


・基本情報

特徴:まな板

艦種:装甲空母

身長:低め

体格:華奢


性格:純粋・真面目

任された仕事はきっちりとこなす有能な少女。

恋愛には奥手で、瞳が合うだけで気絶しかける程。


趣味:書き物

妄想癖の果てに自作小説に手を出した。

密かに自分が主人公の恋愛小説を執筆している。


嗜好:細やかな妄想

苦手:裸の付き合い


所属:パラオ泊地

役割:秘書艦(初期艦)

自称:私


系譜:改造組

内陸の農村で育った純朴少女。

両親に楽をさせる為、艦娘になった。



赤城


・基本情報

特徴:大食らい

艦種:正規空母

身長:空母級

体格:何故、太らない?


性格:お淑やか

普段は控えめで一歩引いて周囲に気を配る出来た秘書。

そういう人程、怒らせると以下略。


趣味:バードウォッチング

小さな軀で大空を舞う鳥の姿に感動を覚えるらしい。

海で鳥に出会えなくなった事が寂しい。


嗜好:自然

苦手:パソコン


所属:パラオ泊地

役割:第一部隊・提督代理

自称:私


系譜:改造組

元キャリアウーマン。

機械音痴の所為でクビになった。



蒼龍


・基本情報

特徴:ドタプ~ン

艦種:正規空母

身長:低め

体格:ふくよか


性格:天真爛漫

元気が取り柄の阿呆の娘。

悩み事は三歩歩けば忘れてしまう。


趣味:料理

花嫁修業の一環で始めた。

決して上手ではない。


嗜好:皆と過ごす毎日

苦手:虫


所属:パラオ泊地

役割:第一部隊

自称:私


系譜:建造組

飛龍と同時に建造された。

龍驤に次ぐ、古参メンバーのひとり。



飛龍


・基本情報

特徴:冷めた瞳

艦種:正規空母

身長:空母級

体格:空母級


性格:淡泊

他人との距離感が一定で、特別誰かに懐いたりしない。

羞恥心が希薄なのか、混浴でも堂々としている。


趣味:なし

これと言った趣味が無い。

艦娘として生を受けたことに悲観的な部分がある様子。


嗜好:静かな時間

苦手:悩みの無さそうな人


所属:パラオ泊地

役割:第一部隊

自称:私


系譜:建造組

蒼龍と同時に建造された。

龍驤に次ぐ、古参メンバーのひとり。



龍驤


・基本情報

特徴:自慢の膨らみ

艦種:軽空母

身長:かなり低い

体格:細身


性格:姐御肌

砕けた口調で人との距離を詰めるのが上手い。

よく新人の相談に乗っている。


趣味:スポーツ観戦

比較的マイナーなスポーツを好む。

場所を問わず全力で応援する彼女の周りには、大概人集りが出来る。


嗜好:日本酒

苦手:お化け屋敷


所属:パラオ泊地(大本営)

役割:御意見番(物資輸送)

自称:うち


系譜:建造組

パラオ泊地に於いて、最初に建造された艦娘。

初期艦の大鳳に次ぐ、最古参のメンバー。


恩恵:探知機能向上・豊胸

水平線の向こう側まで探知できる。

主な目的だった豊胸にも成功し、Cカップの胸を得た。



加賀


・基本情報

特徴:雄弁な瞳

艦種:正規空母

身長:空母級

体格:空母級


性格:冷静沈着・不器用

如何なる時も冷静に物事を判断する胆力の持ち主。

感情表現は苦手だが、彼女の瞳は大変に雄弁。


趣味:弓道

赤城への憧れから始めた。

今や、赤城をも超える腕前と賞されている。


嗜好:渋めのお茶

苦手:高いところ


所属:大本営

役割:筆頭秘書艦

自称:私


系譜:改造組

赤城に憧れて艦娘を志した。

現海軍元帥・真宵の妻。



扶桑


・基本情報

特徴:真宵ラブ

艦種:航空戦艦

身長:戦艦級

体格:戦艦級


性格:お淑やか・臆病

基本的に受け身であり、押しに弱い。

信頼できる者が側に居ないと挙動不審になる。


趣味:刺繍

嫌なことがあった時は、刺繍に没頭して現実逃避する。

その時の作品は、超大作になりがち。


嗜好:子供

苦手:大人の卑しさ


所属:大本営

役割:秘書艦

自称:私


系譜:建造組

大本営では比較的古参の艦娘。

山城の存在が心の支えだった。



山城


・基本情報

特徴:姉様ラブ

艦種:航空戦艦

身長:戦艦級

体格:戦艦級


性格:怠惰・捻くれ者

作戦には嫌々参加するが、基本仕事をしない。

素直に感謝を伝えるのは、なんか負けた気がして嫌。


趣味:写真

四六時中、姉様の写真を撮ってアルバムを作っている。

最近は真宵が映り込んだ写真が増えてきた。


嗜好:サボり

苦手:真面目に働くこと


所属:大本営

役割:秘書艦

自称:私


系譜:建造組

着任は扶桑よりも遅かった。

姉様の受けた仕打ちを知り暴れた為、長い間牢に入っていた。



伊58


・基本情報

愛称:ゴーヤ

艦種:潜水艦

身長:潜水級

体格:潜水級


性格:一途・怖いもの知らず

女性不信の嫌いがある東を堕とす程に一途で誠実。

権力には屈しない胆力の持ち主。


趣味:爆弾作り

火薬類取扱保安責任者等々、火薬類の製造と取扱いに関する資格を持っている。

魚雷や水雷といった自身の装備は大体お手製。


嗜好:花火

苦手:人の顔を憶えること


所属:大本営

役割:潜水艦の纏め役

自称:ゴーヤ


系譜:改造組

海で泳ぎたかったから艦娘になった。

元帥の補佐を務める東の妻。


装束:黒外套・ハンカチ

東から貰ったハンカチをいつも持ち歩いている。

昔はマイクロビキニを制服に指定されていた。



金剛


・基本情報

特徴:金剛喋り

艦種:高速戦艦

身長:戦艦級

体格:戦艦級


性格:純真無垢・天真爛漫

皆に希望と元気を与える阿呆の娘。

大人の世界を彼女はまだ知らない。


趣味:ティータイム

午後の茶会は欠かすことのできない日課。

改造組の妹は、最近ちょっと体重が・・・。


嗜好:妹達の笑顔

苦手:料理


所属:大本営

役割:第一部隊

自称:私


系譜:建造組

大本営では割と新参者。

妹達の御蔭で大本営の闇に触れることは無かった。



榛名


・基本情報

称号:苦労人

艦種:妖精さん

身長:妖精サイズ

体格:体重計が怖い


性格:腹黒

表向きは和やかな少女を装っているが、内面はかなりドス黒い。

陰謀の渦巻く社交界で身に付けた生存戦略のひとつ。


趣味:絵画

現実逃避の為、筆を走らせることが多い。

自分の世界に没頭する時、一番の敵は比叡。


嗜好:物分かりの良い人との雑談

苦手:実力で敵わない相手


所属:紅蓮の孤島

役割:纏め役

自称:私


系譜:改造組

元は高貴な御嬢様。

太りやすい体質で、毎日の茶会が苦痛。



比叡


・基本情報

称号:飯テロ

艦種:妖精さん

身長:妖精サイズ

体格:スレンダー


性格:青天白日・厚顔無恥

下心を一切持たない純粋な少女。

恋とはなんぞや。


趣味:ひなたぼっこ

陽光を浴びることが好き。

温和しく浴びるとは言っていない。


嗜好:陽当たりの良い場所

苦手:寒さ


所属:紅蓮の孤島

役割:なし

自称:私


系譜:建造組

金剛姉妹の中では一番の古参。