艦娘強化訓練島の日常 ~第参期訓練生 大和~ そのに!
日陰の想いを継ぎ、決意を新たにする訓練島の面々。今、全ての元凶が姿を顕す・・・。
メインストーリー三笠編も佳境となりまして、愈々黒幕が姿を現す運びと相成りました。嗚呼、やっと漣の伏線を回収できる・・・。三笠編とか言ってたけど、次の話、何にも考えてないな。蒼龍の件とかどうしよ・・・。ま、未来の自分がどうにかするか。では、本編ですよっ。
黒霧 「原初に帰せ。」スッ
サァァ・・・
紫苑茜「今度は"崩壊"を使うのね・・・火葬ではなくて。」
黒霧 「日陰にはもう還すべき魂さえ残っていないから。」
神命 「・・・。」
・・・ハァ
黒霧 「はい、辛気臭いのはここま・・・」
黒霧幻「へぶちっ。」クシュ
氷雨 「姉さん、風邪?」ハイ ティッシュ
黒霧幻「わかんない。」ズビッ
黒霧 「・・・ふふっ。だとしたら君が氷の雨を降らせたりするからだよ、氷雨。」
氷雨 「!?」ピシャーン
黒霧 「少しベッドで横になろうか。おいで、幻。一緒に休もう。」
黒霧幻「うん。」トテテ
氷雨 「僕も行く!」タッ
黒霧 「神命もおいで。」
神命 「・・・うん。」
ガラッ ピシャ
五月雨「何というか。重いですね~。いつもの元気は何処へいったのやら。」ヤレヤレ
蓮華 「流石の神命も親友の死は堪えたということだろう。父上も言っていたが、奴は黒霧で唯一、人並みの感情を持つ娘だからな。」
五月雨「いやいや、もう唯一ではないですよ?氷雨くんが居ますし。何なら幻ちゃんだって・・・。」
蓮華 「母親の葬儀中にくしゃみをするような奴がか?始めこそ号泣していたが・・・。見たか?つい今し方の奴の表情を。」
五月雨「・・・普通でしたね。」
蓮華 「そうだ。あれは母を亡くした絶望から心を閉ざし感情を封印したとかそういうものではない。」
蓮華 「ただただ平静を保っていた。まるで、自分に母親など始めから居なかったかのように・・・。」
蓮華 「私は鳥肌が立ったぞ。あれが純然たる黒霧の娘か・・・とな。」
五月雨「はあ・・・。ま、私達も黒霧の父を持つ娘ではありますけど、その血を継いでいるわけではありませんからね。」
蓮華 「まったく恐ろしいものだな。神すらも暗殺してみせる一族というものは・・・。」
ヘブチッ
黒霧幻「ずび・・・。」ビヨーン
氷雨 「姉さん・・・はい。」グイ
黒霧幻「ん・・・。」チー
クシクシ
黒霧幻「ばしゅっ。」ブフッ
氷雨 「あ・・・。」ベットリ
黒霧幻「ごめん。」ズビッ
氷雨 「いや・・・。」フキフキ
黒霧 「幻、おでこ出して。」
黒霧幻「あい。」
ピト
黒霧 「んー。ちょっと熱い・・・かな。昼寝の心算だったけど、今日はもう休みなさい。」ポム
黒霧幻「お父ちゃんもいっしょ?」
黒霧 「幻が眠るまではね。」
黒霧幻「じゃあ寝ない。」
黒霧 「体長を崩してるときまで無理をしない。明日元気になれば、もっと一緒に居られるから。」コラ
黒霧幻「わかった。」ムフー
黒霧幻「Zzz」スカピー
氷雨 「横になってまだ3秒くらいしか経ってないのに・・・。」エェ
黒霧 「それだけ疲れてたってことだよ。心の疲労は自分が一番鈍感になりがちだから。」フフ
氷雨 「・・・。」
黒霧 「氷雨は寝ないでいいの?」
氷雨 「いい。寝るためについてきたわけじゃない。」
黒霧 「そう。」
氷雨 「・・・。」ムー
黒霧 「不満げだね。」
氷雨 「不満。そう。父さんが居るから。僕は姉さんの拠所となるために生まれたのに。父さん、邪魔。」
黒霧 「ふふっ。辛辣だねぇ。ま、わかっててやってるんだけど。」ニィ
氷雨 「このままじゃ、姉さんは自立できない。」ムゥ
黒霧 「そうかな。幻は良くも悪くも日陰によく似ている。多少の依存癖はあったとしても、気づけば自立しているさ。」
氷雨 「僕の生まれた意味・・・。」
黒霧 「生きる意味に固執すると陸なことにならないよ。理由なんて後付けするくらいで丁度いい。」
黒霧 「で、君の言う生まれた意味が果たされた後はどうする心算なのかな?」
氷雨 「姉さんが自立した後・・・。」
黒霧 「そう。幻はこの世界の生まれじゃない。だから連れて帰る。でも君は違う。確かにこの世界で生まれた、この世界の住人だ。」
氷雨 「・・・。」
黒霧 「さぁ、どうする?世界の歴史に名前を残さない君なら、必ずしも此処に残らないといけないわけでもないけれど。」
氷雨 「ついていこうとは、考えて・・・ない。今は。」
氷雨 「父さんの仕事は正しく導くことだから。定められた道を歩み続けるだけ。それは、僕のやりたいことじゃない。」
黒霧 「わかりやすい反抗期だね。」
氷雨 「違う。自分で決めたいだけ。何処を目指すのか、どう辿り着くのか。」
黒霧 「充分反抗期だよ。」フフッ
黒霧 「でもまぁ、好いことかな。父は息子の自主性を尊重するよ。」ポム
氷雨 「なら、暗殺術を教えてよ。僕は世界を変える力が欲しい。」
黒霧 「奪うことに何かを変える力は無いよ。悪辣な権力者を排除したからといって、必ずしも状況が好転するわけじゃない。」
黒霧 「何しろ、もっと悪辣な輩が台頭しないとも限らないからね。だから・・・。」
黒霧 「世界を変えたいなら創り出すことを覚えたほうがいい。それは僕に教えられることじゃないけどね。」クスッ
氷雨 「・・・。」ジトー
黒霧 「父をそんな瞳で見ない。」コラコラ
神命 「ふむぅ・・・。」ユラユラ
黒霧幻「Zzz」クー ッ
ヘバシュッ ウワワッ
神命 「あー、吃驚したぁ。眠ったまま嚔をするなんて・・・。」
黒霧幻「Zzz」ズビ
神命 「鼻水が・・・。んもう。」フキフキ
ン・・・
黒霧幻「へっ・・・!」
神命 「」ビクッ
黒霧幻「Zzz」クー
神命 「ふぅ。」ホッ
バフシュ! アンギャアアア!!
黒霧 「何をやっているのやら。氷雨、よろしく。」ヤレヤレ
氷雨 「わかった。神命おばさん、どいて。」グイ
神命 「おばっ!?というか、私の服のほうが大惨事なんですけど!」
氷雨 「服なら脱いで洗えばいい。鼻水で窒息したら大変。姉さんが優先。」
神命 「おうこら、餓鬼んちょ。今此処で大人の色気魅せつけてやんぞ、こら。」オウオウ
黒霧 「やめなさい、恥ずかしい。大したスタイルでもないんだから。」
神命 「そうですか。私の肉体は見せるのも恥ずかしい肉体ですか、そうですか。」ズーン
黒霧 「だいたい、神命の魅力は目に見えるものじゃないでしょ?」
神命 「・・・具体的には?」
黒霧 「天然縦巻ロールの白髪。」
神命 「視覚美!ちょっと癖っ毛なだけだもん!」
黒霧 「から香る血の匂い。」
神命 「え、うそ。最近は返り血なんて浴びて・・・たか。じゃなくて!そこはもっと別の・・・花の、香りとか。」イジイジ
神命 「私だって、一応、女の娘なんだし・・・?」
黒霧 「一応って。しかも疑問形・・・!」プフッ
神命 「なっ、何が可笑しいのさぁ!」ムー!
黒霧 「自信を持ちなよ。君は可愛いんだから。」
神命 「か・・・わいい。///」エヘヘ
黒霧 「そもそも、僕達にとって香りのするものは御法度だろうに。黒霧の匂いは空気の香りであるべきだ。基本でしょ?」
神命 「うぇへへへ。///」クネクネ
キイテナイナ
黒霧 「まったく。君の魅力は、どんな巫山戯た話題にも乗り切って魅せる愛嬌だと伝えたかったのに・・・。」ハァ
氷雨 「神命おばさん、気色悪い。」
神命 「んなはっ!?」グサッ
黒霧 「あーあ、二重にダメージが。」ヤレヤレ
神命 「お姉さんは酷く傷つきました。」シクシク
黒霧 「はいはい、おいで。」
神命 「やたっ。」ヒシッ
ヨシヨシ ムフフー
氷雨 「お姉さん・・・。」ヘッ
神命 「こら、そこぉ。今、鼻で嗤ったなぁ?」
氷雨 「だって、魂の枷が外れかけてる。年寄りの証拠だよ。」
神命 「氷雨くーん、女性に年齢の話をしちゃいけないんだぞー?」ピキッ
氷雨 「事実は受け入れるべき。いい歳なんだから。」
神命 「痛い目を見ないとわかんないかー。じゃあ仕方ないなぁ!!」バッ
黒霧 「子供相手に本気にならないの。」グイ
神命 「ふぐっ!?く、くびっ!兄様!首、絞まってる!」ペシペシ
ゲホッ エホッ
神命 「あー、死ぬかと思った。」
氷雨 「自業自得。」
神命 「まだ言うか、この餓鬼。」キッ
黒霧 「君達、本当に相性が悪いね。」
氷雨 「父さん達には、時の概念が無い。だから、時間の経過が原因で老いることはない。でも、摩耗はしていく。使った分だけ。」
黒霧 「そうだね。」フフッ
氷雨 「特に、魔力。魂から放たれる波動には、顕著に年齢が出る。」
氷雨 「肉体が未成熟なうちは、一度に使用できる魔力量を抑えるための枷が強く働く。だから子供は強力な魔術が使えない。普通は。」
氷雨 「肉体が魔力の反動に耐えるくらいに成長すれば、枷はその役割を変える。流れを止める堰から、調整する弁に。」
氷雨 「でも、何度も開いたり閉じたりしているうちに弁は緩んでいく。必要以上の魔力が溢れ出るようになる。それが、"老い"。」
神命 「小難しい話を長々と・・・。パルちゃんの要素は何処へと思ってたけど、こんなところに顕れてるなんて・・・。」クッ
黒霧 「パオラも勉強ができるほうではないけれど、流石は元妖精族。魔力に関する知識は人一倍に豊富だ。」
黒霧 「ま、要するに、時間経過に起因しない変化は僕達にも生じるってことだね。魂の枷が外れかけているのも、そのひとつ。」
黒霧 「魔力を使えば使うほど一度に放出できる魔力量は増えるけれど、それは成長でなく老いだとする考え方がある。」
黒霧 「だからこそ晩年の魔術師が大魔法を大成させたりするわけだけど。肉体の許容値を超えた魔力の放出は寿命を縮める。」
黒霧 「老体には死をもたらしかねない。」
氷雨 「母さんのように・・・。」
神命 「それに関して気になることがあるんだけど・・・。」
神命 「日陰って、何にそんな魔力を使ってたのかな。」
黒霧 「さあ?少なくとも、氷雨を無事に誕生させるために相当の魔力を費やしたことは確かだね。」ポム
氷雨 「だから母さんの意志は僕が継ぐ。父さんは引っ込んでていい。」フ
黒霧 「中々言うじゃないか。」ウリウリ
氷雨 「任せろ。」フフフ
神命 「あー、うん。なんか、こう微妙に噛み合ってない感じ日陰にそっくりだわ。」ウン
デモサ
神命 「疑問はそれだけじゃなくて。幻ちゃんって、日陰の"浄化"を受けて正気に戻ったんだよね。」
黒霧 「そうだね。」
神命 「じゃあさ。なんで昔の記憶があるの?"浄化"は完全に記憶を消し去る荒業なのに。」
黒霧 「・・・。」
神命 「・・・兄様?」
黒霧 「これは僕の勝手な想像だけど・・・。」
神命 「魂の記憶を無理矢理繋げた・・・?」
黒霧 「うん。」
神命 「いや、でもそれって・・・」
黒霧 「できないはずだよ、本来なら。日陰の能力は今に干渉するものだからね。過去を保管して現在に繋げることはできない。」
黒霧 「直接は・・・ね。」
黒霧 「例えば・・・そう。一度、幻に憑依して記憶を覗き、間接的に自分の記憶として取り込んだものを植え付け直す・・・とか。」
黒霧 「これなら日陰の能力の範疇で記憶を補完することができる。」
黒霧 「ただ、母娘とはいえ他人に記憶を植え付けるんだ。それが自分の記憶と錯覚させるために、相当気合を入れただろうね。」
神命 「しかも氷雨くんに魔力を分け与えている状態で・・・か。日陰って、そんな子煩悩だったっけ。」ハァ
神命 「無茶しすぎなんだよ、莫迦日陰・・・。」
ヘップチョイ!
黒霧幻「んん・・・。」パチクリ
神命 「あらら。起きちゃった。」
黒霧 「嚔が酷いね。無理に魂を入れ込まれた拒絶反応でも出てるのかな。」
神命 「母娘なのに?いや、そもそも本当に日陰の娘なの?」
黒霧 「どうだろう。まぁ、今となっては確かめようのないことだから。日陰の言葉を信じるしかないさ。」ナデナデ
黒霧幻「んん~。」Zzz
黒霧 「それよりも・・・今は、これからのことを考えよう。」
神州丸「・・・。」
ア イタイタ
パオラ「神州丸~。」ブンブン
シュバッ ヘッ?
神州丸「パオラっ!」トウッ
ズドム
パオラ「おはぁっ!」
ドテッ
神州丸「見つけた。やっと見つけた!パオラパオラパオラぁ~!」スリスリ
パオラ「そ・・・そう。よかった、わね・・・。」プルプル
天龍 「何やってんだ、お前ら。こんな所で抱き合って。」
龍田 「あたしにはパオラちゃんが襲われているようにしか見えないのだけど~。お姉ちゃんにとっての抱き合うはこれなのね。」ウフフ
チゲェヨ
神州丸「やっと、見つけたのぉ!!」クワッ
パオラ「わ、わかった。わかったからっ。一旦、降りてちょうだい。息ができないわ。」コヒュー
神州丸「パオラぁ!!死んじゃいやあぁ!!」ユサユサ
パオラ「だ・・・から、おり・・・。」カクカク
天龍 「降りろよ!お前が重い所為で息ができないって言ってんだよ!」ガシ
神州丸「私が重い女だってことくらい知ってる。」ジト
天龍 「そうじゃねぇよ!?」
パオラ(あ、これ・・・結構ヤバいかも・・・。)ガクッ
チーン パオラ!?
神州丸「じ、人工呼吸!」グイ
天龍 「莫迦!気道確保が先だ!」ドケ!
神州丸「いや!パオラは私が救う!」キッ
天龍 「追いこんでるのもお前だけどな!?」
ギャー ギャー
龍田 「こういうときは時雨さんを頼るのが一番かしら。」ウーン
ヨシ
龍田 「ちょっといってくるわね~。」ルンタッタ♪
コンコン
龍田 「お邪魔しま~す~。」チラ
黒霧幻「Zzz」
神命 「Zzz」
氷雨 「Zzz」
黒霧 「」クー
龍田 「あら、あらあらあらあらぁ。」ウフフフ
龍田 「仲良く抱き合って・・・はないわね。よく見ると。」
龍田 「時雨さんに背中から抱きつく神命ちゃんと、向き合って胸にしがみつく幻ちゃん・・・の隣の・・・。」エット
ダレカシラ
龍田 「それにしても・・・時雨さんの寝顔、きゃわわ~。///」ウフッ
龍田 「何でも見透かすような瞳がちょっと恐いけど。瞼って偉大ね。閉じるだけでこんなにも印象が変わるんだもの。」
龍田 「・・・。」ウズッ
龍田 「ちょっとだけなら・・・。」ソワソワ
ソーット
龍田 「ん・・・。」チュ
黒霧 「」スー
龍田 「むふ。むふふふぅ。」ンフッ
龍田 「しちゃった、しちゃった、やっちゃったぁ~。」キャー
龍田 「自分からした初めてのキス・・・ほっぺにだけど。」
ハァ
龍田 「キスっていいものね~。」ウットリ
サテト
龍田 「最後に写真撮っちゃお。こんな機会、滅多にないし。あたしの初めて記念だもんね。」ウフフッ
龍田 「こんなこともあろうかと明石ちゃんにスマホ風カメラを融通してもらってたのよね~。」フンフーン♪
龍田 「えっと、確かこれをこうして・・・。」ンー?
ア デキタ
龍田 「はい、ち~」
黒霧s「いぇい。」ピース
龍田 「ず・・・。」
パシャ
龍田 「あの・・・いつから・・・。」フルフル
神命 「部屋に着くちょっと前。」
氷雨 「お姉さんが入ってきたとき。」
黒霧 「僕はそもそも寝てなかった。」
黒霧幻「くしゅっ。」Zzz
黒霧 「幻はぐっすりみたいだね。」フフッ
龍田 「あぅ・・・。///」シュー
黒霧 「それにしても、花。君って案外、肉食系なんだね。」ニッコリ
龍田 「それ以上は言わないでぇ。///」ウゥゥ
龍田 「嗚呼、最悪よぉ。人知れずこっそり楽しむ予定だったのにぃ。///」ウゥ
黒霧 「こっそりって。好意は相手に届けてこそ芽吹くものだろうに。」
龍田 「いいの、知られなくて。あなたの知らない大胆な関係って、燃えるじゃない。」ムフー
黒霧 「君も大概歪んでるね。」アハハ
龍田 「はぁ・・・いいのよ、本当に。時雨さんのことは好きだけど、そういう関係になりたいわけではないし。」
龍田 「そもそも今のあたしに恋愛は無理。男の人と瞳を合わせるの怖いもの。」キッパリ
黒霧 「慣れてから恋しますって?花はもう29歳でしょ。幾つになってから恋を始める心算なのさ。」
龍田 「い・・・今は17歳だもん。」メソラシ
黒霧 「そこからの12年、あっと言う間だったんじゃない?」
龍田 「ぐ・・・。」ウッ
黒霧 「飛び込んでいかないと慣れるものも慣れないよ。あ・・・だから密かに大胆に・・・。」ナルホド
龍田 「」フイ
黒霧 「僕を練習台にするとは・・・。君も中々、恐いものを知らないね。」フフフ
龍田 「仕方ないじゃない身近な男性は時雨さんしか居ないしそりゃバレたら恐いのは知ってたけどでも外でなんて・・・」ブツブツ
黒霧 「あー。ごめん、花。練習ならいくらでも付き合うから、戻っておいで~。」
龍田 「・・・デート。」ボソ
黒霧 「一日しっかりと半日あっさり、どっちにしようか。」
龍田 「え?えっと・・・。ど、どうしよっかな。こんなにすんなりオッケー貰えるとは思ってなかったから。迷っちゃうなぁ。」エヘヘ
黒霧 「さ、パオラを救出にいこうか。心が決まったら誘いにおいで。」タッ
エ?
龍田 「誘う・・・?あたしが!?ま、待って!それは流石にハードルがぁ!!」
黒霧 「これも練習のうちだよ~。」スタコラー
オニィィィィ!!
神州丸「いぃやあぁ!私がするのぉ!!」
天龍 「漫画でしか人工呼吸を知らねぇ奴が駄々捏ねてんじゃねぇ!てめぇ、口窄めてただろ!キスとは違うんだぞ!」
神州丸「やあぁあぁ!」
天龍 「こいつっ!本当にパオラが大事なら、正しい知識を持った奴に任せやがれ!命が掛かってんだぞ!」ギラッ
神州丸「ぐっ・・・ぅうぅうううう!!」ギリッ
ポタッ ポタ・・・
天龍 「血が・・・。」コイツ
ハァ
天龍 「お前が本気なのはよくわかった。だから後は任せろ。パオラは必ず俺が・・・」
ヨーセッ
黒霧 「ふんっ。」ドッ
パオラ「がっはっ!」ゲホッ
ゴホッ アッハ
パオラ「はぁはぁ・・・。一瞬死んでた、あたし。」フゥ
天龍 「俺が・・・。」
黒霧 「おかえり、パオラ。」
パオラ「ええ、ただいま。というか、もっと他に起こし方なかったわけ?女に掌底打ち込むとか、どんな鬼畜よ。」
黒霧 「拳じゃ痣をつくるだけで内に衝撃を伝えられないから。効率的でしょ?」
パオラ「いや、そうじゃなくてね・・・?どうしてこう男って気持ちより効率を優先させるのかしら。」ハァ
天龍 「おれが・・・。」プルプル
龍田 「かっこよかったわよ、お姉ちゃん。」ヨシヨシ
神州丸「パオラぁ~!」トウッ
黒霧 「おっと。」グイ
アゥ
神州丸「うー。ぱおらぁ。」プラーン
黒霧 「死の淵から帰ってきたばかりの人に飛びついたりしないの。優しく、そっと・・・ね?」ニコリ
神州丸「・・・あい。」ウゥ
パオラ「へぇ。まさか時雨の口から"優しく"なんて言葉が出てくるとは・・・。あんたも丸くなったわね~。」シミジミ
黒霧 「僕は昔からこんなだけど。君は今まで僕の何を見てきたの?」ストーカーノクセニ
パオラ「あっは。ごめぇん、お姉さん最後のほうよく聞き取れなかったぁ。もう一度言ってもらえるかしらぁ~。」ニッコー
黒霧 「前々から疑問だったんだけど、パオラ自身は何の心算で付きまとってたの?」
パオラ「言い方・・・。そういうとこ本当そっくりね、あんた達。」マッタク
パオラ「あたしとしては、見て盗んでただけ。強いて言うなら・・・憧れを抱いた少女A?」
黒霧 「それなのに姉面してたんだ。」
パオラ「なに・・・不満だったの?」
黒霧 「まさか。ただ、よくもまぁ気持ちの整理がついたものだなって思っただけだよ。」
パオラ「不満だったんじゃない。」
黒霧 「ないって。」
パオラ「不満だったんでしょお。」ムゥ
黒霧 「だからないってば。」
パオラ「不満だったくせに。」ムー
黒霧 「しつこい・・・。」
パオラ「ふーんだ。」ツーン
黒霧 「そういうとこだけ17歳を演じなくていいから。」
パオラ「だからあたしの依代になった娘はって、この肉体に憑依させたのあんたでしょ!?」
黒霧 「いや、違うけど。」
エ ウソ・・・ チガウヨ?
黒霧 「だって、僕の能力じゃ魂をどうこうできないからさ。"崩壊"させることはできるけど。」
パオラ「そうだった・・・!色々と規格外だから失念してたわ。」ハァ
パオラ「となると、魂を操る能力を持った黒霧・・・は、神命か。あの娘ったらどうしてあたしを・・・」
黒霧 「それも違う。先に言っておくと日陰でもないよ。日陰の能力は自分の魂を別の器に移すものだから。」
パオラ「はぁ?じゃあ誰が・・・。」
黒霧 「名も無き青年A。」
パオラ「何それ。意味わかんないんだけど。」
黒霧 「正直、僕もよく憶えてないからさ。手に掛けた相手のことは特に・・・。」
パオラ「・・・あんた、これ以上踏み込んでほしくないときによく使うわよね。その断り文句。」
パオラ「はぁ。わかったわよ。この件に関してはもう訊かない。これでいいでしょ?」
黒霧 「うん。助かる。」フフッ
黒霧 「さて、それじゃあ本題に入ろうか。神州丸、よろしく。」
ハイ
神州丸「やっと見つけた。私達、"吉良の一族"が追い続けた宿敵。薄弱の亡霊、"鬼百合"。」
天龍 「鬼百合・・・?」
神州丸「陰陽師の家系が悉く潰える原因となった怨霊。お姉ちゃんの仇・・・。」オォォ
天龍 「お、おぉう・・・。こいつもあれだな。闇が深いタイプなんだな。」コソッ
黒霧 「君達艦娘は存在そのものが人類の闇みたいなものだろうに。改造組は特にさ。」
天龍 「まぁ、確かに俺も前向きな理由で艦娘になったわけじゃねぇけどよ。あんまり際どいこと言うなよな。ドキッとするぜ。」
龍田 「あらあら、もう奥さん気取り~?旦那様が不敬罪でしょっ引かれないか心配・・・みたいな?」ニィ
天龍 「気取りも何も嫁だっつの・・・。」チラッ
黒霧 「そこで僕を見ないの。」
天龍 「だってよ・・・。俺、まだちゃんとプロポーズされてない。」
黒霧 「そういえばそうだっけ。すっかりその心算だったから忘れてたよ。」フム
黒霧 「好きだよ、里。」キリッ
天龍 「お、おぉおおぉおまっ!///」ボンッ
龍田 「はいはい、ごちそーさま。」ヤレヤレ
パオラ「・・・くせに。」ボソ
黒霧 「で、話を戻すけど。薄弱の亡霊こと鬼百合は、人の生き死にを左右できる程度に力を持った怨霊。」
黒霧 「名のある数多の陰陽師が彼女に挑み、散らされた。そして魑魅魍魎が跋扈する時代が訪れ今や艦娘という不思議少女が・・・」
天龍 「ちょっと待て、こら。何自分から横道に逸れてんだ。」オイ
黒霧 「いや、神州丸が自分の世界に入り込んじゃってるからさ。場を繋ごうと思って。」
神州丸「ふふ・・・。鬼百合、やっと・・・見つけたぁ。」ニタァ
フフ フフフフ
龍田 「暫く戻ってきそうにないわね。」
黒霧 「でしょ?鬼百合について詳しいことは神州丸にしかわからないから・・・どうしようか。」
天龍 「正気に戻せばいいじゃねぇか。」
パオラ「無理よ。ああなったらもう勝手に戻ってくるのを待つしかないわ。あたし達でできる話を進めておきましょう。」
黒霧 「そう。例えば、どうやって霊体の彼女を倒すか・・・とか。」
パオラ「大問題ね。頼みの綱は神州丸だけど・・・。」チラ
神州丸「うふっ。ふふふふふふ!」
パオラ「鬼百合が絡むとどうにも理性がねー。せめてもうひとり霊体に干渉できる人材が欲しかったわ。」ハァ
天龍 「例えば、日陰の娘っ子とかどうなんだよ。」
黒霧 「幻は駄目だよ。確かに幻の能力なら霊体にも干渉できるだろうけど、精神が未熟すぎる。憑き殺されるのが落ちだ。」
龍田 「それ以前に、子供を矢面に立たせるってどうなの。」ジト
天龍 「た、例えばだよ。例えば・・・。」グ
黒霧 「氷雨なら任せられるんだけどね、精神的には。」
龍田 「より幼い子の名前を出してどうするの。」
黒霧 「黒霧に年齢制限は無いから。使えるものは使う。使えないものは使えるようにする。これが僕達の基本だよ。」フフッ
龍田 「状況が違えば良いことなんだろうけど・・・素直に感心できない。」
パオラ「せめて神命の能力が現世の霊体にも干渉できるものだったなら・・・あ、"御魂卸し"があるじゃない。」ソウイエバ
黒霧 「神命と陰陽師の英霊は相性が悪いと思うよ?」
パオラ「そこはほら、紫苑ちゃんとか。」
黒霧 「それ本気で言ってる?」
パオラ「わかってるわよ。運動能力が絶望的だから結局戦力にはならないってことくらい。でも一番の適任でしょ?」
龍田 「紫苑さんが自分で動けないなら時雨さんが背負って運んであげたらいいのに。」
パオラ「いいわね。採用っ。」ビッ
黒霧 「」エェ
パオラ「本当に嫌そうな顔するわね、あんた。紫苑ちゃんってそんなに重いの?」
黒霧 「うん・・・まぁ、でも。今、僕の背中に乗っている誰かさんよりはましかな。」
ネ級 「オゥ?」ヒョコッ
イツノマニ・・・
紫苑茜「何かしら。とてつもなく不愉快な気配を感じたわ。」イラッ
マジカルバナナ
漣 「バナナといったら黄色。」ヘイ
朧 「黄色といったら注意して進め。」ホイ
潮 「ちゅ、注意して進め!?と、いったら・・・えと、院長先生の部屋の前!」ハイ!
曙 「院長先生の部屋の前といったら悪巫山戯が過ぎて立たされてる莫迦ふたり。」
漣 「誰のことかにゃ~。」
朧 「撫子わかんな~い。」
蓮華 「莫迦ふたりといったら澪と撫子。」パンパン
漣・朧「なんか意味が変わってるぅ!!」ピシャーン
レ級 「澪と撫子といったら頭が良い。」パンパン
漣・朧「いやいやそれほどでもぉ。」テレテレ
ヲ級 「頭が良いといったらヲーちゃんなのぉ。」ムフゥ
五月雨「ヲーちゃんといったら天使。」ラストォ
鳳紅華「天使といったら・・・いったら・・・。あの善人気取りの高慢ちき共はいつか滅ぼす。」チッ
曙 「え?今、舌打ち・・・」
五月雨「はぁい!マ・ジ・カ・ル・バ・ナ・ナ!!」
五月雨「バナナといったらテ〇東!」
曙 「テ〇東!?て、テ〇東!?」
漣 「あかりん、アウト~!」
朧 「罰として今日が終わるまであっかり~んの刑に処ーす。」ウラー
ネ級 「オー。」プラーン
黒霧 「ネ級、背中に乗るならちゃんと乗ってくれないかな。ぶら下がられると余計に重い・・・。」ウッ
ネ級 「ウイ。」トウッ
ノシ フゥ
黒霧 「ま、それでも重いものは重いんだけど。」
ネ級 「キタエテルモノデ。」ムフゥ
天龍 「つーか、お前チビ共と一緒に遊んでたんじゃねぇのか?」
ネ級 「ウム。チョーイタカッタノネン。」ドヤァ
天龍 「・・・そっか。」
天龍 (何故にドヤ顔?)
龍田 (撫子ちゃんの口調が移ってる。)
オーイ ン アレハ・・・
天龍 「長門じゃねぇか。どうしたんだ?お前まで。」
長門 「どうしたも何も、黒を捜していたのだ。」
陸奥 「まさか鎮守府内を端から端まで歩かされることになるとは思わなかったわ。」ハー シンド
龍田 「むっちゃん、艦娘なのに歩いただけで疲れたの?妊娠でもしたの?男性恐怖症なのに。」
陸奥 「違うわよ!ずっとネ級がくっついてきて離れなかったから疲れたの!肉体的にも精神的にも!」ビッ
ネ級 「モチモチハセイギ。」ムフー
天龍 「ほーん。ネ級は長門より陸奥のほうが好いのか。よかったな。初めての陸奥派だぜ。」ヘッ
陸奥 「重巡は守備範囲外なのよ・・・!」クッ
龍田 「じゃあ、むっちゃんの守備範囲って何処までなの?」
陸奥 「それは勿論、駆逐艦までよ!海防艦もアリねっ!あと、龍驤ちゃんも!」ムフゥ!
天龍田「憲兵さん、このひとです。」
黒霧 「ちょっと向こうでお話しようか。」ニッコリ
陸奥 「ひぃっ!ふたりきりはいやぁ!せめて姉さんが隣にっ!」ヒシ
長門 「そういえば以前、ヲ級が陸奥の涙腺がどうのと言っていたな。これがそうか・・・。」フム
長門 「よし。好い機会だ。独りで頑張れ。そして離れろ。」
陸奥 「なんでよ!?」
長門 「私には戦艦棲姫を護るという使命があるのだ。見ろ、お前の所為で怯えているだろう。早く離れろ。」
戦棲姫「むっちゃん、こわい。」フルフル
陸奥 「この・・・!」
ウラギリモノォォォォ!!
黒霧 「さてと、それじゃあ久し振りに本職を全うするとしますか。」コキッ
コホン
黒霧 「長門型戦艦弐番艦・陸奥。」スン
陸奥 「・・・はぃ。」サー
黒霧 「君の幼女趣味は少々行きすぎている。通報こそ無いものの、その機会と手段さえあれば今頃仕置部屋の中か或いは・・・。」フ
陸奥 「」ガタガタ
黒霧 「これまでの憲兵は人間と艦娘との諍いを収めるための存在だった。だけど、これからは違う。」
黒霧 「これからは、鎮守府を故郷とする子供達の為、艦娘間のいざこざにも介入していく。」ギラ
陸奥 「」ピゥ!
黒霧 「此処には僕の娘達も居るんだ。自重する心算無しと判断すれば、その首を鎖で繋ぐぞ。」オォォ
陸奥 「・・・は!ん・・・っ。はぁ・・・あ!」コヒュー
・・・フム
黒霧 「やりすぎた。」パー
天龍 「いや、どーすんだこれ。」
陸奥 「はぁ・・・!ふっ!うぅ・・・はぁっ!」カヒュー
黒霧 「過呼吸には・・・。」スッ
パオラ「掌底を打ち込もうとするはやめなさい。」コラ
黒霧 「なら人間呼吸で・・・。」
天龍 「嫁の眼前で何てことしようとしてくれてんだ。」オイ
イリョウコウイダヨ? ソウイウモンダイジャネェ
長門 「おい、陸奥?大丈夫か?深く息を吸うんだぞ。ゆっくり~。吸って~。吐いて~。」
陸奥 「ん・・・はぁ!ふぅ!あはっ!はぁっ・・・!」
戦棲姫「むっちゃん、かわいそ。」
チロッ
長門 「ん?」
ジワァ
長門 「陸奥、お前・・・。」
ハーイ ドイタドイタァ!
時雨 「眠ちゃんのお通りだぁらぁっしゃあ~!!」ダダダッ
ウオオオオオ!
時雨 「おぉっと手が滑ったぁ!・・・あ。」ツルッ
ブベッ バッシャーン
陸奥 「」ビッショリ
長門 「」スッポリ
戦棲姫「ながもんの頭にバケツが。」オォ
時雨 「くっそ。誰だよ、こんな処に石ころ撒いた奴。」イテテ
デーモ
時雨 「任務完了っ。やったね、眠ちゃん!」キャルン
黒霧 「君、そんなキャラだっけ?」
時雨 「いい加減、貴様と同じ名前で呼ばれるのが嫌になっただけだ。まったく、姿と異なる本名を持つと苦労する。」ヤレヤレ
陸奥 「・・・よ。」フルフル
長門 「陸奥・・・?何か言った・・・」
陸奥 「嗚呼、もう!最悪!ウォータプルーフ使ってないのに!顔見せられないじゃない・・・!」ンモウ
長門 「・・・ふむ。元気そうだな。」
オカゲサマデネ!
黒霧 「元気になったなら話の続きをしたいんだけど。」
陸奥 「ひっ!・・・あ!ひっ!ひっ!ひぅ・・・!」コヒュッ
黒霧 「まだ駄目みたいだね。」
時雨 「にぃに、むっちゃんに何したの。」
黒霧 「躾け。」
天龍 「脅迫の間違いだろ。」
ソウトモイウ イワネーヨ
龍田 「むっちゃ~ん。大丈夫よ~。ほら、こわくな~い。こわくな~い。」ヨシヨシ
陸奥 「んくっ・・・はぁ。ひー。ひー。ふ~。」ホゥ
龍田 「・・・ほんとに妊娠したの?」
陸奥 「こんなときにっ。わたしにツッコませないでっ。」
陸奥 「すー。はぁー。すー・・・っ!」ウッ!
ゲホッ! ゴホッ!
龍田 「もう、大丈夫~?」サスサス
戦棲姫「むっちゃん、かわいそっ。」キラキラ
陸奥 「そんな瞳を輝かせながら言うんじゃないわよ。」ハラタツワネ
黒霧 「うーん。」ジー
天龍 「おい、今度は何をしでかす気だよ。」ジト
パオラ「それがわかってるなら、ちゃんと手綱を握っておくことね。思いついたら即行動に移すわよ、この子。」
天龍 「言われてみれば・・・。」ハッ
黒霧 「」ハム
陸奥 「ん"っ!!」
天龍 「だぁあああああ!!早速かよ!」オイ!
黒霧 「」フー
陸奥 「んー!!」ジタジタ
陸奥 「んんっ!」フンッ!
ドゴッ ウ・・・!
陸奥 「はぁ・・・はぁ・・・!殺す気か・・・!」エホッ
黒霧 「戦艦の一撃は、流石に重かった・・・。」ウゥ
時雨 「にぃにって最近もの凄くお莫迦さんだよね。面白いからいいけど。」
黒霧 「それは僕の行動自体が?それとも僕が痛めつけられるのが?」
時雨 「そんなの決まってるじゃん。後者だよ。」ニッコリ
黒霧 「いい性格してる。」フッ
時雨 「それほどでも~。」フフン
陸奥 「おかしい・・・。この人達は絶対におかしい!」
黒霧 「ところで・・・。」ガシ
陸奥 「んにゅ!」ムニ
長門 「む・・・。」
黒霧 「」スッ
陸奥 「・・・!///」ギュッ
ピタ
黒霧 「・・・ふふ。」クス
陸奥 「・・・?」チラ
黒霧 「今、ちょっと期待したでしょ。」ボソ
陸奥 「なぁ!?///」カァ
黒霧 「ふふっ。やっぱり君は"陸奥"だね。たった一度の経験で慣れてしまった。本当にちょろ・・・手が掛からなくて助かる。」ニッコー
陸奥 「チョロいって言いかけたわね、この。」イラッ
黒霧 「だって、君のほうから舌絡めてきたから。ただの人間呼吸だったのに。」
陸奥 「ぅえ!?あれって深い・・・。ぇえ!?」
黒霧 「接吻だと思って絡めてきたんだ。君って本当に。」クフフ
陸奥 「なに?なによぉ、もぅ・・・。」
長門 「ずるい。」ムゥ
神州丸(何、やってるんだろう・・・。)
パオラ「あら、戻ってきてたのね。神州丸。」
神州丸「戻って?私はずっと此処に居た。」ウン?
パオラ「あー、まぁ、そうね。うん・・・。」
神州丸「パオラ・・・?」
パオラ「なんでもないのよ、なんでも・・・。」ハハ
パオラ(どうしましょう。鬼百合の説明をって頼んだらまたあっちの世界に行っちゃいそうなのよね。)ウーン
時雨 「ねぇ、にぃに。ちょっと訊いてもいいかな。」チョイチョイ
黒霧 「訊くだけなら何でも。」
時雨 「前にさ。色仕掛けは使わないって話、したの憶えてる?」
黒霧 「憶えてるよ。僕は仕事で色仕掛けは使わない。」
時雨 「じゃあさ。なんでむっちゃんにはしたの?何を、とは言わないけど。はぐらかされたくないし。」
黒霧 「それが信頼のスイッチだからだよ。」
時雨 「すいっ・・・え?」
黒霧 「君達艦娘に反乱なんて起こされたら、将校じゃ太刀打ちできないでしょ?だからそういう機能を付加してるんだよ。」
黒霧 「形はどうであれ、唇を重ねることで反抗できない潜在意識が生まれるようにね。」
黒霧 「男性恐怖症とか向き合うの面倒だし。何とかなったりしないかなってやらかしたら上手くいった。」シレッ
時雨 「此処にクズが居る・・・。」ウワァ
ン?
時雨 「唇を重ねることがスイッチ・・・?ってことはまさか。」ゲッ
黒霧 「自分から罠に嵌まってくれるなんて。可愛い弟子を持てて僕は幸せだよ、眠。」ニィ
スゥー
時雨 「くそったりゃああああ!!」
時雨 「まぁ、いいや。にぃに大好きっ!」キャピッ
黒霧 「そういう洗脳的な効果は無いから。」
時雨 「なんでぇ。面白くねーの。」ケッ
黒霧 「君、五月雨に毒されすぎだよ?」
神州丸「あのふたり、仲好いね。」
パオラ「そう・・・なのかしら?」
ネ級 「」ヨジヨジ
黒霧 「君はまた・・・どうして僕の背中によじ登ってくるのかな。」オモイ
ネ級 「タカイトコロ、スキ。」ムフー
黒霧 「それでいうと僕より長門のほうが背は高いと思うんだけど。」
ネ級 「ナガモンハカミガジャマ。」ノンノン
黒霧 「なら陸奥は?」
ネ級 「ムッチーハ・・・ナンカイヤ。」
陸奥 「一番傷つく理由なんですけど!?」チョット!?
ネ級 「コウスイガキツイノネ~。」
黒霧 「あー。」
陸奥 「え、うそ。わたし、臭いの・・・?」
ネ級 「クサイ、チガウ。キツイ。」
黒霧 「君、硝煙とか潮風とかで香りが飛ぶのを想定して多めに付けてるでしょ。」
陸奥 「あぁ、それで・・・。でも、それならまだ・・・。」
長門 「出撃後の陸奥は臭いぞ?香水の匂いに色々と混じってそれはもうわけのわからん異臭をだな。」
陸奥 「ならそのときに言いなさいよ!わたし、ずっと臭いって思われてたの!?何のための姉妹艦よ!!」ワッ
長門 「・・・スマン」
黒霧 「この頃はシャンプーだけで充分好い香りがするからね。臭いが付くのが嫌なら黒霧印の無香石鹸でも贈ってあげようかな。」フム
時雨 「無香って、匂いがしないんじゃなくて、臭いが付かないって意味だったんだ。」シラナカッタ
陸奥 「無香石鹸。これがあれば・・・。」オォ カミヨ
時雨 「崇め奉ってる。」
長門 「大袈裟な。」ヤレヤレ
フワッ・・・
時雨 「ふ~ん。長門さんは自然な好い匂いがするね。」スンスン
長門 「私は汗をかく機会が多いからな。臭いには気を遣っている。」
時雨 「へぇ。なんかちょっと意外・・・」
長門 「子供達に嫌われたくないからなっ。」ムフン
時雨 「でもなかった。」アハハ
長門 「そうだ。臭いといえば黒よ。次から黒のところのシャワーを使わせてもらってもいいだろうか。」
黒霧 「いいけど・・・。」ナンデ?
長門 「いやなに、私は風呂上がりは裸で過ごしたい派なのだがな。陸奥が嫌がるのだ。」ウム
黒霧 「・・・これは誘惑されてるのかな。それとも喧嘩を売られてるのかな。」
時雨 「どちらにしろ手を出したら負けだからね、にぃに。」ポン
ネ級 「ヌー。」ウトウト
戦棲姫「ネ級、眠いの?」
ネ級 「ウンヌ。」コテッ
黒霧 「僕の背中で寝ないの。」コラコラ
ネ級 「ン~。」ギュウ
黒霧 「甘えたがりめ。」マッタク
戦棲姫「そろそろ帰らないと・・・。」オロオロ
黒霧 「だってさ。」ホラ
ネ級 「・・・ヨロスコ。」Zzz
スカピー
時雨 「連れてけってことなのかな。」
黒霧 「行くには行く心算だったけど、せめて一晩くらいは置きたいんだよね。」ウーン
時雨 「ボクは元気だよ?」
黒霧 「夜の霊体ほど厄介なものはないからさ。全部任せていいなら置いてくけど。」
時雨 「巫山戯ろ。」オイ
最上 「」ホケー
三隈 「見事に呆けてますわね、もがみん。」
鈴谷 「そりゃだって初夜だもん。緊張くらいするよ。」シャカシャカ
熊野 「緊張・・・とはまた違うような気もしますけれど。」
鈴谷 「そうかな?」トクトク
三隈 「どうせ柄にもなく色々と考えちゃっていますの。まったく、大事なことほど独りで抱え込むんですから。」ヤレヤレ
熊野 「こういうときこそ鈴谷の出番ですわ。JKのノリで不躾に踏み込んでくださいまし。」
鈴谷 「だからJKじゃないし。礼儀作法は一通り叩き込まれてるし、御嬢様だから。」ハイ シンサク
三隈 「学園の問題児が何を偉そうに・・・。今度は地味な色合いですのね。」
鈴谷 「基本に立ち戻ろうと思ってさ~。まずはシンプルな組み合わせで・・・って、問題児でもないし。」
熊野 「充分に問題児でしたわ。弦楽器の演奏会にエレキギターで参加したり、舞踏会でマジックショーを開いたり・・・。」
熊野 「これで成績優秀、楽器の演奏も踊りもマジックも達者ときて先生方も強く言えないものですから本当に質の悪い。」ハァ
鈴谷 「なに、くまのんってば鈴谷のこと嫌いだったの?鈴谷、泣いちゃうよ?」
三隈 「なるほど。この苦味は差し詰め"鈴谷の涙"ということですの。」カラン
鈴谷 「おっ、いいね。それ採用。」
熊野 「私、鈴谷のこういう切換えの早さが失恋に繋がっていると思うのですけれど。」
三隈 「確かに、そうかも知れませんの。」フム
鈴谷 「・・・どゆこと?」
熊野 「好きなひとがころころと変わる女の"好き"は信用ならないということですわ。」
鈴谷 「いやでも私、誰にも"好き"なんて言ったことない・・・。」
熊野隈「・・・。」
鈴谷 「全部、告白する前に失恋してるから・・・。」
熊野隈「」ヤサシイマナザシ
鈴谷 「今夜はヤケ酒じゃああああ!」ウラァ!
最上 「ボクにも一杯貰えるかな。」ユラァ
鈴谷 「あぁああ!・・・吃驚したぁ。」フゥ
三隈 「いいんですの?もがみん、貴女お酒はあまり強くなかったでしょう?」
最上 「うん・・・燃料追加。」
熊野 「かなり追いこまれてますわね、これは。」
最上 「あー、いや。別に追いこまれてるわけじゃないんだけどさ。余計なこと考えたくなくて・・・。」ヨッコイショ
最上 「今夜はね。集中したいんだ、クロさんに。」クスッ
鈴谷 「お~。今の笑顔いいね。なんか、大人の女って感じ。本当にバーに居るみた~い。」イッタコトナイケド
最上 「ありがと。」フフッ
最上 「みっちゃん、それ一口ちょうだい。」
三隈 「これですの?かなり強いですわよ?」ヤメタホウガ・・・
熊野 「因みに、何を混ぜてまして?」
鈴谷 「ジンライムとスピリタス。」シレッ
三隈 「やめましょう、もがみん。一口でも命に関わりますの。」
最上 「うん・・・。というか、なんでみっちゃんは平気なの。」
羽黒 「これは・・・こっちで。あれが・・・これもか。」ペラッ
妙高 「羽黒ったら、いつの間にこんな写真を。」アラアラ
那智 「妙高にはこれが写真に見えるのか・・・。」トオイメ
足柄 「うーわ。何よ、この表情。いかがわしい・・・。」ヤラシイワ
羽黒 「それ、虫刺されにム〇塗ったときの那智お姉ちゃん。」
妙高 「凄い記憶力。流石は羽黒だわ。」ウフフ
足柄 「顔だけ見るともう・・・ねぇ?」
那智 「莫迦を言うな。私がそんな女々しい表情をしてイクわけがないだろう。もっとこう荒ぶるような・・・。」タケダケシイヨウナ
足柄 「それはそれでどうなのよ。」
羽黒 「こっちは足柄お姉ちゃんの恥ずかしい表情。」ピラ
妙高 「パンク系ね。」
足柄 「ちょっと待って。私それ知らない。」
羽黒 「だって合成だもん。」アタリマエ
足柄 「なんてもの生み出してくれてるのよ、あんたは。黒に見られたらどうするのよ。」マッタク
羽黒 「因みに合成元はデーモ〇閣下の真似をする〇っさん。」
足柄 「知らないわよ。」
羽黒 「・・・と、お独り様で盛り上がってる足柄お姉ちゃん。」キュピーン
足柄 「・・・はい?」
羽黒 「で、素材がこちら。」シュバビン
那智 「どれ。琴のプライベートを覗き見てやるとしよう。」
足柄 「こら、姉。妹のプライベートなら守りなさいよ。」
妙高 「随分と落ち着いているのね、足柄。恥ずかしいところを撮られているというのに。」アラ
足柄 「それはだって、羽黒が嘘吐いてるのバレバレだし。」
羽黒 「・・・む。」
那智 「そうか?確かに肝心の部分は写っていないが、そういう場面に見えなくもないぞ?」ンー
足柄 「私、ひとりでしたことないもん。」シレッ
妙高 「・・・なんですって?」
足柄 「だから、したことないんだってば。」
妙高 「・・・何を?」
足柄 「ひとりえっち。」
妙高 「」
那智 「」
羽黒 「年増が清純ぶらなくていいから。」ジトォ
足柄 「事実なんだから仕方ないじゃない!ていうか、4つしか変わらない奴に年増とか言われたくないんですけど!?」
妙高 「自分を慰める必要がないくらいに充実した毎日を過ごしているようね、貴女の妹は。」トオイメ
那智 「私にばかり押しつけるな。今は貴様も姉妹だ。共に面倒を見ていこうではないか。」フ
曙 「ムー」ポクポク
潮 「・・・Zz」カクン
曙 「寝るな。」スパーン
潮 「アウッ」
曙 「勉強に付き合えって言ったのは姫百合でしょ?なんで先に舟漕いでるのよ。」ジト
潮 「ごめん・・・なさい。」ウゥ
曙 「ま、わからないでもないけどね。呪文みたいな問題文を読んでると眠たくなるわ。」ハァ
曙 「ったく。どうして算数の問題なのに、こう問題文が長いのかしら。」
紫苑茜「必要な情報を整理して考えることも算数の技能に含まれるからよ。」
潮 「茜まま・・・。」
紫苑茜「わたしが教えてあげるから、もう少し頑張りなさい。」トナリ シツレイスルワネ
潮 「うん。」
曙 「ぇえ。母さん、難しい言葉ばっかり使うから嫌なんだけど。」
紫苑茜「こぉら。人の厚意に対して嫌とか言わない。」メッ
近衛麗「それなら私が教えてあげようか~?こう見えて算術は得意よ?」ウフフ
曙 「・・・。」ジー
近衛麗「前にも言ったけど、そんな見詰め方じゃ濡れないわよ。」ウフッ
曙 「」ヘッ
近衛麗「今、鼻で嗤ったわね?」
曙 「いや?別に・・・?」プフッ
曙 「ねぇ、麗姉。この問題教えて~?」スリッ
近衛麗「・・・急に態度が変わるわね。まぁ、いいわ。見せてごらんなさいな。麗姉様が華麗に解説してあげ・・・。」ピタ
アゲ・・・
曙 「どうしたの~?まさか、わからないの~?」ニヨニヨ
近衛麗「そうね。わからないわね。」
曙 「え~!?自信満々に出しゃばっておいてわからな・・・!」
近衛麗「これ、なんて書いてあるの?」
曙 「は?」
紫苑茜「そういえばあんた、わたし達と同じ世界の生まれだったわね。普通に日本語で話してるから忘れてたわ。」
近衛麗「ものを覚えるのは早いほうだから。で、これなんて書いてあるわけ?」
紫苑茜「単純なわり算の問題ね。」エット
近衛麗「わり算?わり算って何。」
紫苑茜「大きな数を均等に分けるときに使う計算よ。かけ算の反対。」シラナイノ?
近衛麗「かけ算の反対ってことは数が減るのよね。なんでそんな計算が必要なのよ。減るのはひき算だけで充分だわ。」
紫苑茜「あんた、面倒臭いわね。」ワカッテタケド
曙 「麗には他人と物を分け合う概念を学んだことがないって視えたから、わり算を知らないかもって思ったのに・・・。」
曙 「それを莫迦にする前に思わぬところで躓いたわ。」チッ
コンコン
紫苑茜「はーい。」
黒霧 「お邪魔するよ。」ガチャ
近衛麗「パパぁ。この世界の言語を教えてっ。」
曙 「この変わり身の速さ・・・。あんたは私に算術を教えるんでしょうが。」
近衛麗「文字が読めないのに教えるも何もないじゃない。1時間で覚えるから、ちょっと待ってなさい。」
曙 「何、その自信。ムカつく。」ケッ
黒霧 「勉強はまた今度。撫子と澪は・・・居ないみたいだね。」
潮 「澪ちゃんと撫子ちゃんなら、五月雨さんに連れられて道場に行ったよ。」
黒霧 「五月雨と道場か。あんまり扱いてないといいけど。姫百合は算術の勉強かな?頑張ってるみたいだね。」ポム
潮 「うん。」エヘヘ
曙 「さっきまで舟漕いでたくせに。」
潮 「あ、灯ちゃんっ。」
曙 「あによ。事実じゃない。」フン
黒霧 「それじゃあ僕は道場の様子を見てくるよ。これは姫百合にプレゼントね。」コトッ
潮 「これ・・・は?」
黒霧 「ム〇。眠くなったら目の下に塗るといい。眠気が覚める。」ニッコリ
潮 「虫刺されの薬にそんな使い道が。」ゴクリ
紫苑茜「しーちゃん、純粋な姫ちゃんに変な入れ知恵しないでちょうだい。」
曙 「そーよ。姫百合ばっかり狡いわ。」
紫苑茜「灯・・・。」アンタ・・・
黒霧 「そう言われてもな。気持ちが昂ぶると"なに"が"あに"になる癖の直し方なんて知らないし。」ウーン
曙 「んな!?///」カァ
黒霧 「あ。それじゃあ艤装収納用アクセサリのデザインを決めさせてあげるよ。」ソウダ
黒霧 「"漆黒"の3人は揃ってペンダントでデザインも勝手に決めちゃったけど、灯の好みで創ってあげる。」
曙 「・・・ほんと?」
黒霧 「ほんと。」
曙 「やった。」ヨシ
黒霧 「うん。4人分のデザインを頼んだよ~。」ソレジャ
バタム
曙 「今、4人分って言った?」ハ?
潮 「言ってたね。」ウン
曙 「そう。あーそう。どうあっても私を甘やかす心算は無いってか、くそ。それなら私にも考えがあるわよ、クソ親父。」フフフ
近衛麗「あらあら悪い顔。そういうとこだけはパパにそっくりなのよねぇ、この娘。」
ハイ ソコマデェ!
漣・朧「はぁ、はぁ・・・。ありあとやしたっ。」
南方戦「はい、お疲れさま。頑張ってたわね。」
漣・朧「ぁあざぁっすぁ!!」ウッス!
南方戦「・・・なんて?」
五月雨「駄目ですよ、南ちゃん。ボケは乗るか流すかの2択です。聞き返す、深く追求するはNGです。」ブッブー
南方戦「あっそう。ところでアンタ達、やれば真面目にできるんじゃない。」
漣・朧「おっふ。」
五月雨「あのー。私のはボケじゃないので流さないでほしいのですけれども・・・。」
南方戦「ならもっとわかりやすくしなさい。ボケじゃなくても巫山戯るから判断に困るのよ、このふたりみたいに。」
漣・朧「ぎくりんちょ。」
五月雨「"みたいに"とは失敬な!私のほうが先ですよ!」ムゥ!
南方戦「・・・今のはどっち。」
五月雨「私にもわかりません。」
漣・朧「だめだこりゃ。」
レ級 「あっちは賑やかだな。」
ヲ級 「なの。向こうのふたりは巫山戯る余裕があるくらいには優秀なの。」
レ級 「それに比べてこっちは・・・。」チラ
蓮華 「脇が甘い。」フンッ
ドウッ
武蔵 「ごはっ!!」ガクッ
ク・・・
蓮華 「最強の戦艦も武装が無ければこの程度か。やはり艦娘は艦娘だな。」
武蔵 「何が・・・言いたいっ!」ゼェ ハァ
蓮華 「戦力の8割は武装の性能に左右されるということだ。貴様ら艦娘には地力がなさすぎる。」
蓮華 「だからこそ、この私と父上の業が光るというものなのだがな。」フッ
武蔵 「くそ・・・!あまり、艦娘を舐めるなよ。深海棲艦の娘ぇ!!」ズアッ
蓮華 「図体のでかい奴が小柄な者を相手に大振りするな、莫迦が。それでは自ら懐に招き入れているようなものだぞ。」ユラァ
武蔵 「なっ!?」
蓮華 「少し寝ていろ。」ズドッ
武蔵 「ぐ・・・ぁ。」フラッ
ドサ
レ級 「荒ぶりすぎなんじゃねーの、蓮華よぉ。お前が本気出すとマジで洒落になんねーぜ?」
蓮華 「知ったことか。それで素直になるなら万々歳だ。」フン
ヲ級 「恐怖政治なの・・・。」ヲー
レ級 「よし、それじゃあ大和の姉ちゃんは俺達とやろーぜ。」
大和 「えっ。私も・・・やるの?」
レ級 「そのために道場に来たんじゃねーのか?」ウン?
大和 「いや、私は・・・そのぉ、武蔵の付き添いというか、何というか・・・。」イジイジ
ヲ級 「安心してなの。レーちゃんもヲーちゃんも、蓮華ちゃんほどの莫迦力は持ち合わせてないの。」ニパッ
蓮華 「聞こえたぞ。」ムッ
レ級 「なんだ。自分が怪力なの、まだ気にしてたのか?別にいいじゃねぇか。見た目には普通なんだし。」
ヲ級 「南お姉ちゃんからの遺伝なの。」
蓮華 「だから嫌なのだ。私まで腕っぷしだけの女みたいではないか。」
南方戦「だぁれが腕っぷしだけですってぇ?」ユラァ
大和 「ヒッ」ビクッ
蓮華 「流石だな。その筋肉から放たれる腕っぷし感で最強の戦艦もたじたじだ。」フム
南方戦「あ?」ビキッ
レ級 「いや、腕っぷし感ってなんだよ。」
レ級 「大和の姉ちゃんは格闘技の経験とかあるのか?」
大和 「・・・ないです。」
レ級 「そっか。じゃあ基本の構えからだな。まず拳はな。こんな感じで軽く・・・」ウンヌン
大和 「こ、こう?」
レ級 「お、いいじゃねーか。んで、足の位置は・・・」カンヌン
コレデイイ? オウ カンペキダナ
南方戦「誰あれ。ほんとにレ級?何かに取り憑かれてるんじゃないの?」
ヲ級 「んーん。組み手の練習をしてるときのレーちゃんはあんな感じなの。」
蓮華 「そうだな。誰よりも基本に忠実で、このときだけは私の助言すら素直に聞き入れるからな。」
南方戦「へぇ。家族でも知らない顔ってあるものなのね。」フーン
黒霧 「それは南が稽古を嫌がって道場に来なかったからでしょ?」
南方戦「は?ワタシがいつ嫌がったってのよ。蓮華が来るなって五月蠅いからワタシは・・・何それ。」
黒霧 「何って、灯だけど。」
南方戦「それは見ればわかるわよ。なんで幼稚園児みたいな抱き付き方をしてるのかって訊いてるの。」
曙 「」ヒシッ
黒霧 「・・・さあ?」
漣 「おやおやぁ?あかりんったら、ぱぱ様らぶなんですかぁ?」デュフフ
朧 「だいしゅきなんですかぁ?」ヌルフフ
曙 「・・・。」ジトォ
漣 「な、なんて圧だ・・・!嘗て、これほどの圧を感じたことがあったか!?」クッ
朧 「落ち着け、ちゃん澪。いつもより目線が高いだけだっ。」
漣 「な~る。抱っこされてるもんにゃっ。」コノコノォ
曙 「」シラー
漣 「・・・どした、あかりん。なんかあったんけ?」
朧 「いつもなら口汚く罵ってくるはず。」オーウ
曙 「・・・。」
黒霧 「ほら、灯。澪と撫子が心配してるよ。」
曙 「私・・・ぱぱ、だぁいすきっ!」キャルン
漣・朧「・・・は?」
曙 「ん~!ちゅっ。」チュッ
漣・朧「はぁああああああ!?」ホッペニチューダト!?
曙 「えへへっ。」ニッコー
黒霧 「ま、こういうわけなんだ。」
南方戦「・・・何が!?」
漣 「ずりぃぞ、あかりーん。俺も抱っこされたい~。」ナァ
朧 「ぱぱにちゅーしたい~。」ナァ
曙 「だめっ!ぱぱは私のぱぱだもん!」
レ級 「どーしたんだ、あれ。灯姉らしくもねぇ。」
ヲ級 「普段が普段なだけにちょっと気持ち悪いの。」ドンビキ
曙 「うっ・・・。ぱぱ、すき~。」ヒクッ
漣 (お・・・?)
ハハーン ソウイウコトカ
漣 「なんでぇ。急にぶっちゃってよぉ。ツンばっかのあかりんがやっても可愛くねぇっつーの。」ケッ
曙 「あ?・・・じゃない。私、可愛くない・・・?」ウルウル
朧 「裏がありそうで恐いのね。ぱぱも大困惑なのね。」ノンノン
曙 「・・・ぁ・・・しろってのよ。」フルフル
漣 「なんてぇ?」
曙 「じゃあ、どうしろってのよ!!待ってても甘やかしてくれない!甘えてみれば気持ち悪い!ふっざけんじゃないわよ!」
漣・朧「おぉふ。」タジ
曙 「あんた達はいいわよねぇ!普段から巫山戯てるから?ちょっと過激なことしたって笑い話で済むんだもの!」
曙 「で?私がやったら何?裏がありそうですって?裏しかないわよ、ぶあ~かぁ!!」
曙 「でも・・・それでもっ。こうでもしなきゃ、変えられないって思ったんだもん・・・!」グスッ
曙 「父さんは私の父さんなのに!ちゃんと血の繋がった父さんなのにぃ!」
曙 「どうして私は、父さんの一番になれないの・・・?」ポロポロ
蓮華 「今、“血の繋がった”と言ったか?」
五月雨「言いましたね。」ハイ
蓮華 「ということは、あれか?灯は、黒霧の生き残りということか?」
五月雨「いえ、神命さんの鑑定ではお母さんの縁者ということでしたから、違うんじゃないですか?」
ヲ級 「つまり灯お姉ちゃんはお母さんとお父さんの娘ということなの。」
レ級 「なんだよ。知らなかったのか?」
五月雨「知りませんよ!」ワッ
蓮華 「知るわけないだろう!」クワッ
漣 「俺っちも初めて知ったぜい。」
朧 「こんなときはどうするか。」フム
漣 「叫ぶか。」
朧 「是非もなし。」ウム
娘ーズ「うあああああああ!!」
ダダダダ バァン
紫苑茜「喧しぃ!!向こうの部屋まで響いてるのよ!御蔭で姫ちゃんがぐっすり寝ちゃったじゃない!」
五月雨「五月蠅くて寝ちゃったとは、斬新なキレ方ですね。」
漣 「いや、姫姉は静かすぎると眠れねぇのよ。」
朧 「小さな物音が気になって寝付けなくなるらしいのね。」
五月雨「なるほど。それで昼寝をいっぱいするのですね。」ナットク
漣・朧「それはただの育ち盛りです。」キッパリ
ソウデスカ・・・
曙 「うぅうう・・・。」グスッ
紫苑茜「なに、灯ったらまた泣いてるの?」
曙 「泣いてない!」ブワッ
紫苑茜「思いっきり泣いてるじゃない。凄い顔してるわよ。」マッタク
紫苑茜「ほら、こっちに来なさい。わたしが抱き締めてあげるから。」
曙 「嫌。父さんがいい。」プイ
紫苑茜「はぁん?」カチン
紫苑茜「あ~そう。そんなこと言う。へ~。ふ~ん。」
曙 「あによ。」ジト
紫苑茜「もう一緒に寝てあげないから。」
曙 「はぁ!?・・・じゃなくて。な、何よ、それくらい。母さんの添い寝がなくったって私は・・・」
紫苑茜「あんたの分のご飯もつくらない。優しい優しい“父さん”に頼むなり、麗に料理を習うなりすることね。」フン
曙 「・・・!」ウルウル
黒霧 「灯って、悪巧みすると全てが裏目に出るタイプだよね。」
曙 「~!」ボロボロ
五月雨「お父さん、そろそろフォローしないと灯ちゃんが限界です。」ミテラレマセン
黒霧 「フォローと言われてもね。正直、かける言葉が見つからない。」
五月雨「だとしても、元凶はお父さんですので。何とかしてください。」
フーム
黒霧 「灯、明日は母さんと三人でお出かけしようか。」
曙 「・・・ふたりがいい。」
紫苑茜「まだ言うか。」イラッ
黒霧 「意地にならないの。明日は灯だけの父さんになってあげるから。」
曙 「・・・うん。」
黒霧 「ん。次は、茜。」
紫苑茜「っ・・・!な、名前で呼んだくらいで絆されない、わよっ。」ムフフ
漣 「すっげぇ顔緩んでっぞ。」
朧 「だぬ。」ウンム
黒霧 「大人げない。灯を虐めていいのは僕だけです。」キリ
紫苑茜「・・・大人げないのはあんたでしょ。」
曙 「虐めてたんだ。」
蓮華 「好きな娘ほど虐めたい、というあれだな。」ウム
レ級 「言うな。鳥肌が立つ。」ゾワッ
ヲ級 「蓮華ちゃんはレーちゃんのことが大好きなの。御愁傷様なの。」
五月雨「それはそれとして、お父さん。折角道場に来たなら一本やりませんか?」
黒霧 「そうしたいところではあるけど、これから外に出る用事があってね。日付が変わるまでには戻りたいから、また今度。」
五月雨「・・・日付が変わるまでに戻りたい理由って若しかしなくても最上さんですよね。」
黒霧 「何としても戻ってこないとね。」フフッ
五月雨「その返しは娘として複雑です・・・。」ヤレヤレ
南方戦「・・・ふん。」ムスッ
レ級 「拗ねるくらいなら貸し出さなきゃいいのに。本妻面して余裕ぶってると本当に父ちゃん盗られちまうぞ。」イイノカヨ
南方戦「ぐ・・・!」
蓮華 「ま、多少は目を瞑らざるを得ない状況にあるのは事実だがな。改造手術を受けた娘は色々と不安定になりやすい。」
蓮華 「艦となった娘を提督という男が使う構図は、つまりそういう意図の許で形作られたものなのだ。」ビシッ
南方戦「知ってるわよ、そのくらい。だから・・・っ。もういいわよ。ワタシが我慢すればいいだけの話だもの。」ギリッ
レ級 「なぁ、蓮華。これ結構まずくねーか?」コソコソ
蓮華 「なに、やきもきが積もるほど燃え上がるものもあるというものだ。そして私に可愛い妹を・・・!」キラッ
レ級 「そうじゃねーだろ。」オイ
ヲ級 「可愛い妹ならヲーちゃんで充分なの。」ドヤァ
レ級 「そういうことでもねーよ。」
武蔵 「ん・・・。」パチ
大和 「あ・・・武蔵。痛いところは無い?大丈夫?」
武蔵 「痛いところ・・・?そうだな。大和の膝に包まれている後頭部以外は全身が痛む。」フッ
大和 「もう・・・武蔵ったら。」ウフフ
大和 「そんなにお姉ちゃんの膝枕がきもちい・・・」
武蔵 「太ったな、大和。」
大和 「」ピシィ
武蔵 「前々から肉付きの好い質ではあったが、更に肉が付いたな。少しは鍛えたらどう・・・」
大和 「」スッ
武蔵 「だっ!?」ゴチッ
大和 「ちょっと、用事を思い出したから・・・鳳翔さんのところ、行ってくるね。」フラフラ
武蔵 「あ・・・あぁ。」イタイ
ガラッ ピシャ
武蔵 「なんだったんだ?」
大和 「と、いうことがありまして。」ズーン
鳳翔 「はぁ・・・。それは、何と申し上げてよいやら・・・。」アハハ・・・
大和 「食べる量は必要最低限に抑えているんです。だから、余剰には食べてないから、ふと・・・る、なんてことは・・・。」ゴニョゴニョ
鳳翔 (丼十杯が必要最低限・・・。)エェ
大和 「今、絶対食べ過ぎが原因だって思いましたよね!?」ガシッ
鳳翔 「ええ!?い、いえ、決してそんなことはっ!あ!そうだ!運動!運動なんて良いんじゃないですか?ほら、健康的ですし!」
大和 「運動なんてしたら身体が引き締まっちゃうじゃないですか!?」クワッ
鳳翔 「それが目的なのでは!?」
大和 「あ・・・そう、でした。」
鳳翔 「・・・あまり深くは訊きませんが、過去に囚われすぎてはいけませんよ?今はもう、取り巻く環境の何もかもが違うのですから。」
大和 「そう・・・ですね。でも、直ぐには難しいかも・・・です。求められることが、私にとって唯一の存在価値の証明だったから。」
大和 「もっと肉付きが好いほうが好みだとか、下着の好みがどうだとか。望まれるままの自分をつくっていって・・・。」
大和 「そうなろうとしてなったはずなのに。いざ“太った”と言われるとショックだなんて・・・ほんと、私・・・。」グスッ
鳳翔 「えっと・・・その。あの・・・えっと。」ウー
鳳翔 (どうしましょう!普段から皆さんの相談を受けたりはしていますが、これは流石に荷が重すぎます!)ダラダラ
鳳翔 (というか、私はこの基地で最年少なのですけど!?そんな人生経験豊富そうに見えますか!?老けてますか!?)キー!
鳳翔 (こういうときは時雨さんに丸投げして・・・。)アレ?
鳳翔 (若しそれでふたりが肉体の関係になったりでもしたら、大和さんは時雨さんの沼に嵌まってしまうのでは・・・?)
鳳翔 「どうしてよりにもよってあんなひとの許に・・・。」ハァ
大和 「・・・?」
鳳翔 「いえ、何でもないです・・・。」
鳳翔 (それだけは何としても阻止しなければ・・・!ふぁいとですよっ、庵!)ムン
鳳翔 「とはいえ、いったいどうすれば・・・。」ムー
大和 「あの、鳳翔さん?」
鳳翔 「すみません。少しだけ待っていただけますか。」サッ
大和 「ぁ・・・はい。」
鳳翔 (大和さんと時雨さんがそういう関係にならないために・・・。)ウーン
エー ベツニイイジャーン
鳳翔 (ん?あれは・・・。)
最上 「駄目なものは駄目。ボクだって初めてのことなんだから、大切にしたいって気持ち、わかるでしょ?」
鈴谷 「そうだけどさぁ。ひとりもふたりも変わんないじゃ~ん。」ブー
熊野 「ひとりでアタックする度胸が無いだけでしょうに。」
鈴谷 「ぎくっ。」メソラシ
三隈 「鈴谷、冗談でも言って良いことと悪いことがありましてよ。三隈だって、どさくさ紛れに押しかけ倒したいですのに。」
最上 「本気なら言って良いってものでもないからね、みっちゃん。」
鈴谷 「みっちゃんって実は肉食系だったんだ。昔は興味無しって感じだったのに。押しかけ倒したいとか、どんだけ・・・。」
三隈 「何か文句でも?」
鈴谷 「いや、別に。」
熊野 「溜まってますのね。」
三隈 「吐き出す先が無ければ溜まるのは当然ですの。何というかこう・・・ざわざわしますの。」
最上 「あれだけの戦闘があってまだ足りないの?」
三隈 「三隈は戦線に参加していませんの。不完全燃焼ですの。ですから演習を・・・」
最上 「やだ。」
三隈 「そこを何とか。」
最上 「無理。身を清めた後に汚れたくないもん。」
三隈 「ですの・・・。」ハァ
鈴谷 「・・・性欲の話じゃなかったんだ。」
熊野 「ストレートに言うのはやめてくださいまし。」ハシタナイ
鈴谷 「もがみんもみっちゃんもさ。なんかこう“艦娘”って感じだよね~。」
最上隈「はぁ?」
鈴谷 「いやほら、溜まってるって言葉から真っ先に思い浮かぶのが戦闘欲でしょ?」
鈴谷 「私達くらいの年齢だったらさ。性欲が浮かびそうなもんじゃん?」
三隈 「そういうものですの?」
最上 「いや、ボクは性欲が浮かぶ派だよ?みっちゃんなら戦闘欲求が主語だろうなって思っただけでさ。」
三隈 「何ですの。三隈だけ仲間外れですの?」ム
鈴谷 「因みにくまのんは何が浮かぶ派?」
熊野 「私は溜めない派ですわ。」
三隈 「そういところは流石ですわね。昔から自己管理が完璧ですの。感心しますの。」
熊野 「淑女として当然のことをしているだけですわ。」フフン
鈴谷 「そりゃまぁ、“そういう”エステでガス抜きしてればねぇ。」
熊野 「・・・は?」ピシィ
最上 「うそ、熊野ってそういう感じ?」
三隈 「そういう・・・?」ウン?
熊野 「い、いえ・・・その。」ダラダラ
鈴谷 「・・・なぁんて、冗談っ。冗談に決まってるじゃ~ん。いくらくまのんでもそんな金持ちの道楽みたいな・・・くまのん?」アレ?
熊野 「」メソラシ
鈴谷 「うわーお。まーじすかー。」トオイメ
最上 「淑女って何だっけ。」ハハッ
三隈 「何の話をしていますの?三隈にもわかるように言ってほしいですのっ。」ムゥ
鈴谷 「やっぱりあれなのかな。本物を知ってると偽物じゃ我慢できないのかな。これ、喜んだほうがいいとこなのかな。」ウツロ
熊野 「どうして鈴谷がダメージを受けてますの。発狂したいのは私のほうですのに。」
最上 「熊野って大人の玩具も持ってるの?それなら幾つか貸してほしいな。今夜使うから。」ケロリ
熊野 「もがみんはもがみんで色々とおかしいですわ。」
三隈 「何の話かはわかりませんけれど、卑猥な話をしていることは理解しましたの。」フンス
鳳翔 「熊野さんは性豪なんですか?」
熊野 「至って普通ですわ!」クワッ
鈴谷 「月一って普通なんだ。自慰行為は月一が普通っていうよね。月経周期も月一だし。そっか。自慰行為と同じ扱いなんだ。そっか。」
熊野 「毎度毎度そっちのエステに行っているわけではありませんわ!本当に偶にですの!」
鳳翔 「そんな熊野さんを見込んでお願いがあるのですが。」ズイ
熊野 「見込み違いですわ!?というか、いつの間に交ざっていましたの!?」
鳳翔 「時雨さんの夜のお相手をお願いしたいんです。できれば毎晩。」ズズイ
エ・・・?
鳳翔 「勿論、無理にとは言いません。身体が保たないようであれば私も一肌脱ぐ覚悟ですので・・・!」グルグル
熊野 「な、何を言っていますのぉ!?」
最上 「断るって選択肢は無いんだね。」
鈴谷 「鳳翔さん、すっごい瞳してる。発明スイッチが入って三徹してるときの明石みたい。」
三隈 「どうして熊野が・・・。三隈だって・・・。」ムスッ
鳳翔 「すみません。少々、取り乱してしまいました。」コホン
熊野 「少々・・・?」
三隈 「程度のことはさておき、クロさんの夜の相手が何ですの?三隈でしたら喜んで引き受けますの。」ムフン
鳳翔 「いえ、三隈さんでは恐らく、時雨さんを満足させるには足りないかと。」
三隈 「そんなことありませんの!クロさんの為ならば、この三隈、どんな責め苦にだって耐えてみせますの!」ムン
鳳翔 「・・・え?」
最上 「みっちゃん・・・。」ウワァ
三隈 「何ですの?ドSなクロさんのことですの。きっと夜の営みも想像を絶するような・・・!」モンモン
鳳翔 「あの、最上さん。三隈さんの中で時雨さんはいったいどういうことになっているのでしょうか。」ヒソヒソ
最上 「気にしないでいいよ。ただの妄想だから。」
最上 「南さん関連でやらかしてクロさんにお仕置されてたから。それで目覚めちゃったのかなぁ・・・。」ヤレヤレ
熊野 「で、本題は何ですの?私に、その・・・夜の相手をしろというのは。」ソワソワ
鈴谷 「何。くまのん、乗り気なの?乗ってやる気なの?それとも乗られてやる気なの?」
熊野 「ぁあなたは表現を自重することを覚えてくださいまし!///」
最上 「へぇ。熊野でもそんなに焦ることがあるんだね。」イガーイ
三隈 「ちょっと、熊野?貴女、まさか本気でクロさんを狙って・・・。」ゴゴゴ
熊野 「ち、違いますわ!ただちょっと興味があるといいますか。何というか・・・。」モジモジ
鈴谷 「何それ。くまのんってば鈴谷の応援をする傍らこっそり狙ってたってわけ?」
鈴谷 「恋の相談を請け負った序でに恋泥棒しちゃいましたってわけ。」ゾゾゾ
熊野 「・・・近い。」ウゥ
最上 「鳳翔さん、あっちで話しよっか。この三人に付き合ってると話が進まないから。」
鳳翔 「・・・そうですね。」アハハ
最上 「で、熊野をクロさんに宛がおうとした理由って?」
鳳翔 「実は・・・この話には大和さんが関係していまして。」
最上 「大和さんが?」
鳳翔 「はい・・・。その、大和さんって、依存癖が、あるじゃないですか。」
最上 「そう、だね。」シラナイケド
鳳翔 「だから、若し時雨さんを頼ったりなんてして身体の関係になったりでもしたらもうどっぷり嵌まってしまうのではないかとっ!」ズイ
最上 「うん・・・で?」チカイ
鳳翔 「ですので!時雨さんの身体のほうを埋めてしまえば大和さんと交わることもできなくなるのではないかと。」グルグル
最上 「・・・その相手に熊野を選んだ理由は?」
鳳翔 「時雨さんの全力を引き出せる方でないと大和さんも纏めて食べられかねませんので、性豪の熊野さんにとっ!」ムフー
最上 「それ、南さんでいいんじゃ・・・。」
鳳翔 「あ・・・。」
最上 「そもそも大和さんにその気があるかも・・・ねぇ。」チラリ
大和 「私、東さん一筋なので。でも・・・執拗に迫られると、断れない・・・かも。意志薄弱ですみません!」ウゥッ!
最上 「大丈夫だよ。クロさんは無意味に迫ったりしないからさ。」ヨシヨシ
大和 「それは意味があれば迫ることもあるということでしょうか!?」
最上 「あー、ははっ。そうきますか。」
鳳翔 「どうやら私の考えすぎだったようです・・・ですよね?」
最上 「ボクに訊かれても。」
明石 「う~い。泉ちゃん、飲んでるぅ?」デヘヘ
夕張 「寄るな、酔っ払い。私、お酒の臭い苦手なのっ。」グイ
明石 「あ~ん。つ~れ~な~い~。」ブー
夕張 「こいつっ。工廠じゃ酒類禁止にしてるから知らなかったけど絡み酒だったのね。」ウザイ
鈴谷 「はいはーい。追加のカクテル持ってきたよ~。」ヒョコヒョコ
夕張 「ちょっと、鈴谷!明石しか飲まないのに次々持ってこないでよ!まだ残ってるの見えるでしょ!」
鈴谷 「え?あ、ほんとだ~。困っちゃうなぁ。鈴谷のペースに合わせてもらわないと。」
夕張 「だったら一緒に水も持ってきて。カクテル一杯に対してバケツ一杯の割合で。」
鈴谷 「誰が得するの、その拷問。」ヨッコイセ
明石 「ん~。鈴谷ぁ~。」スリッ
鈴谷 「うっ!酒くさっ!まだ3杯目くらいなのに、なんでこんな・・・!」ギュム
黒霧 「そりゃあスピリタスなんて劇酒を莫迦みたいな割合で混ぜていたらこうもなるよ。」
エ・・・?
明石 「あ、クロさんだぁ~。」ニヘラ
夕張 「黒霧教官、こいつどうにかしてください。」
黒霧 「縛ってベッドに放り投げておけば朝には解決するさ。それより鈴谷、スピリタスの入手経路について後で話がある。」
鈴谷 「・・・はーい。」ハハ
明石 「奏、脱ぎま~しゅ!」ウェーイ
夕張 「脱いだら秘密がバレるぞ、お莫迦。」E.スタンガン
アバババ
明石 「キュウ」
黒霧 「ところで、夕張は下戸なんだね。」
夕張 「いや、下戸ってわけではないんですけど。臭いがどうにも苦手で。」
黒霧 「油の臭いは?」
夕張 「正直あんまり。」
黒霧 「・・・珍しいね。」
夕張 「よく言われます。」
鈴谷 「そろ~り。」
黒霧 「鈴谷、逃げたら押し倒す。」
鈴谷 「よっしゃ。滾ってきたぁ~!!」ダダダ
夕張 「・・・ほんとに襲うんですか?」
黒霧 「襲うとは人聞きの悪い。僕は確かに“押し倒す”と言ったけど、それ以上のことは言っていないからね?」フフッ
夕張 「悪い顔をしてらっしゃる。」アラアラ
夕張 「あ、そうだ。黒霧教官、鳳翔さんの弓についてなんですけど・・・。」
黒霧 「庵の・・・?あぁ、ゴリラ並みの握力と腕力がないとまともに扱うこともできないあれか。」
鳳翔 「時雨さ~ん?今何か不快な言葉が聞こえてきたのですが~。」ウフフフ
黒霧 「君を戦線から退かせるためだけに悪意を込めてつくったあれを簡単に引いてしまう君はもう充分にゴリラだよ。」
鳳翔 「・・・夕張さん。ちょっとこの阿呆をお借りしますね。」ガシ
夕張 「ど、どうぞ。」
サァ イキマスヨ アーレー
夕張 「そういえば私、まだちゃんと黒霧教官と話したことないんだよね・・・処女膜のこと以外。」
夕張 「んー。我ながらヤバいわ・・・。どーしたもんかなぁ。」ハァ
鳳翔 「被告は此方へ。」
黒霧 「いったい何を裁かれるのやら。」
最上 「心当たりしかないんじゃない?」ニィ
黒霧 「だからだよ。」フフッ
ナルホド
鳳翔 「今回は大和さんの件についてです。あと序でに私の件についても。」
黒霧 「序ででいいんだ。」
鳳翔 「よくはないです!よくはないですけど、物事には優先順位がありますから。」
最上 「鳳翔さんってば、おっとな~。」
鳳翔 「慣れただけですよ・・・悪い意味で。」
大和 「あの・・・私、時雨さんに何かされた憶えはないのですが・・・。はっ!若しかして、これからすることについて予め!?」
鳳翔 「そうですね。」シレッ
黒霧 「全く信用されてない・・・。」アハハ・・・
最上 「実際やるんでしょ?」
黒霧 「それで解決できるならね。」
鳳翔 「誓ってください。」
黒霧 「私、黒霧時雨は、如何な理由があろうとも、求められない限りは、大和に手を出さないと・・・」
鳳翔 「求められる状況をつくらない、に変えてください。」ジト
黒霧 「・・・個性死んじゃう。」
鳳翔 「サキュバスですか、貴方は!」
黒霧 「男性はインキュバスだよ?」
ドッチデモイイデス!
最上 「クロさんって、自分から口説きにいったりとかしないよね~。」アンマリ
鳳翔 「誰かひとりに狙いを定めてもらえると、こちらとしても楽なんですけど・・・ね!」ギン
黒霧 「庵に定めてもいいの?」
鳳翔 「既婚者が何を言っているんですか。捻り潰しますよ。」ゴゴゴ
最上 「真面目だな~、鳳翔さんは。」
鳳翔 「本当に真面目なら今夜のことを黙認したりしません。」ジッ
最上 「あはは~。何のことやら。」シラッ
鳳翔 「まったくもう。南さんが許可した以上、私は何も言いませんけれど、程々にしてくださいね?」ハァ
黒霧 「程々にねぇ・・・。ところで、大和。武蔵にちょっかい掛けてもいーい?」
大和 「え・・・はい、構いませんけど。」
鳳翔 「言ったそばからああああ!!」ベシベシ
イタイ イタイ・・・
鳳翔 「次から次へと・・・。このひとは本当に・・・!」ワナワナ
黒霧 「それだけ皆が魅力的ってことだよ。」
鳳翔 「良いように話をすり替えないでください。結局は時雨さんの自制心と南さんへの愛情の問題でしょう。」
黒霧 「それはそうなんだけどね。」
鳳翔 「いい加減、他人の深い処に入り込んで滅茶苦茶に引っかき回すその悪癖はどうにかしてください。」
黒霧 「え・・・無理。」
鳳翔 「その首、鎖で繋ぎますよ?」ジャラ
最上 「なんで持ってるのさ。」ハハ・・・
大和 「仲が好いんですね、おふたりとも。」
鳳翔 「ええ。まぁ、それなりに。」
最上 「あっれ。そこは照れながらキレるところじゃ・・・。」
黒霧 「庵は大人な女性だから。」
鳳翔 「貴方にそう言われると悪意を感じるのですけど。」ム
黒霧 「気の所為、気の所為。」ヒラヒラ
大和 「あの、こんなこと訊くと勘違いされるかも・・・ですけど。どうして私ではなくて、武蔵なんですか?」
最上 「それは大和さんのほうが色気あるのにってこと~?」ニヨニヨ
大和 「いえ。私のほうが簡単なのに、という意味で・・・。」
最上 「あー。ごめん、ボク酔っぱらってるみたいだ。」
大和 「大丈夫です。慣れてますから。」
黒霧 「そういうところだよ。」
大和 「えっ?」
黒霧 「僕はね。“葛藤”のあるひとが好きなんだ。心が揺れ動いている様を、僕は美しいと思うから。」
黒霧 「それぞれ状況は違うけれど、南も里も、庵も、武蔵も、自分の置かれた現状に抗って魅せた。」
黒霧 「彼女達のそういった姿を僕は美しいと思う。自分には無いものを持った彼女達に、どうしようもなく惹かれてしまう。」
黒霧 「ただ、それだけのことだよ。」フフッ
大和 「・・・。」
鳳翔 「///」シュー
最上 「ま、そうなるよね~。みっちゃ~ん、鳳翔さんに飛びきり濃い日本酒~!」オーイ
黒霧 「さて、それじゃあ僕は行くよ。日付が変わる頃には帰るようにするから、少しだけ待っていて。」ポム
最上 「うん・・・え?何処か行くの?」
黒霧 「最後の大片付けにね。」
最上 「ふ~ん。ま、いいよ。ボクとの約束を後回しにするくらいには重要なことなんだろうし?」ニィ
黒霧 「・・・要望があれば聞くけど。」
最上 「それは今夜のお楽しみ。期待してるから、裏切っちゃ・・・ヤだよ?///」クス
黒霧 「君は本当に・・・魔性の女だよ。」
最上 「行っちゃったね~。」フゥ
鳳翔 「最上さん、恋愛上手なんですね。後手に回っている時雨さんは初めて見ました。」
最上 「恋愛?鳳翔さんから見ても、ボクとクロさんってそういう風に見える?」
鳳翔 「いえ・・・正直、仲の深まりすぎたお友達にしか見えませんけど。でも、身体から始まる典型のようにも見えます。」
最上 「でしょ~?一線引いてるからこそ対等に駆け引きができるっていうか~。でも根底には淡い恋心があるっていうか~。」キャー
最上 「ん~!ノってきたぁ~!!今日は飲んじゃうよぉ~!!」ムッフー
鳳翔 「え・・・?でも今夜は・・・あれ?」エット
ウタゲダー! モガミサン!?
熊野 「久し振りに見ましたわね、あのもがみんは。」
三隈 「遅れてきた恥ずかしさに負けて騒ぎ出すんですから。鈍感も程々にしてほしいですの。」マッタク
鈴谷 「鈍感ってそういう意味だっけ。というか、クロさん追いかけてくれなかったんだけど。体良く追い払われただけだったんだけど。」
三隈 「それでも“押し倒す”とは言われたのでしょう?だったらそのうち実現しますの。」
鈴谷 「え、まじ?どーしよ。不意打ちされると心臓破裂するかも。」ヤッベ
三隈 「それは良いことを聞きましたの。クロさんには事故を装うように三隈から伝えておきますの。」
鈴谷 「くまの~ん、みっちゃんがいじめるぅ~。」
熊野 「・・・。」
鈴谷 「くまのん?」
熊野 「鈴谷、この件、私が預かってもよろしくて?」
鈴谷 「どったの、急に。」
熊野 「少し、試してみたいことがありますの。」フフ
黒霧 「では点呼をとる。番号!」
五月雨「ばんごう!」
蓮華 「いち。」
紫苑茜「に。」
パオラ「さん。」
神州丸「しー。」
ネ級 「・・・んご。」Zzz
戦棲姫「ろく。」
漣 「しち!」
朧 「はーち!」
時雨 「きゅう!現在員玖名、総員拾名、幽霊が紛れ込んでいます!」
黒霧 「もう一度・・・番号!」
五月雨「ばん、ごう!」
黒霧 「幽霊は君か。」グニィ
五月雨「ふみまふぇんっ!」アイヤー
黒霧 「この面々で鬼百合討伐に赴くわけだけど、澪と撫子は泳ぎに自信はあるかな?」
漣 「普通のプールならそれなりに泳げっぺ。」
朧 「海女さんより長く潜れるっす。」ウッス
黒霧 「潜水に自信があるなら丁度良い。澪と撫子は僕が抱えて潜る。なるべく急ぐけど、2分は息を止めててね。」
漣・朧「え・・・?」
蓮華 「目的地は海の底だ。人間であれば意識を失う危険がある深さだが、艦娘ならば何とかなるだろう。」
漣・朧「だろう!?」
黒霧 「パオラは神州丸と茜姉さんを。戦艦棲姫はネ級と眠を。蓮華は五月雨を頼むよ。」
蓮華 「任された。」ウム
戦棲姫「えっと。ねむ・・・ちゃんって。」
時雨 「ボクだよ~。よろしくね、姫お姉ちゃん。」ニパッ
戦棲姫「」ズギューン
戦棲姫「はぁ・・・眠ちゃんは俺の嫁。」ハフゥ
黒霧 「澪、あまり変な言葉を教えない。」
漣 「ノーモーションできたっ!?」
朧 「事実、犯人は澪ちんなのねん。」
紫苑茜「わたし、集積に戻れば自力で潜れるんだけど。」ネェ
パオラ「あたしが運んだほうが早いからでしょ。風の防壁ならひとりもふたりも変わらないから素直に甘えておきなさいよ。」
紫苑茜「釈然としないわ。」ムゥ
五月雨「夜の海上散歩というのも乙なものですね~。」
蓮華 「呑気なものだな、お姉ちゃん。これから恐怖の深海ツアーだぞ?」
五月雨「いやぁ。私、水の中で目を開けられない系女子ですから。どちらかというと廃墟ツアー・・・。」タハハ
蓮華 「嘘を吐け。訓練島の頃にしっかり水中で目が合ったと父上から聞いたぞ。」
五月雨「あの時は吃驚して目が開いちゃっただけですぅ~。普段なら絶対に目を開けたりしません~。」イーダ
紫苑茜「敵の本拠地に乗り込もうってのに限りなくいつも通りね、あのふたり。」フゥ
黒霧 「耳許で息を吐くの止めてもらえるかな。」クスグッタイ
紫苑茜「背負って行くって聞かなかったのしーちゃんでしょ?わたしは集積の姿で行くって言ったのに。」
パオラ「そうだよ、時雨。いくら紫苑ちゃんが運動音痴でトロいからって、自分が言った以上は責任持ってやり遂げなさい。」メッ
紫苑茜「パオラぁ。わたしが運動音痴なのは認めるけど、態々言葉にすることないでしょう?後で覚えときなさいよ。」チッ
パオラ「うわ。本気の舌打ちしてくれちゃって、この。紫苑が嫉妬深い家系だってこと忘れてたわ。」
紫苑茜「家系じゃないわよ!わたしの個性よ!」
黒霧 「背中で喚くの禁止。」ウルサイ
ア ゴメン
漣 「なーなー、いくさひめ~。これから行く所って戦姫の棲んでる所なんだよな~。」
戦棲姫「そうだけど・・・なに?」
朧 「どんな所なのねん。」
戦棲姫「どんなって、普通の研究施設だよ?」
漣 「じゃあさ!施設の周りに罠とか仕掛けられてねーの?」ワクワク
朧 「水雷とか機雷とか爆雷とか!」ヌフー
戦棲姫「それ、大体全部同じ・・・。うちは防衛設備とか付いてない・・・と思う。特に機雷は、寝惚けてぶつかる娘がいるから。」
ネ級 「クカー」Zzz
漣・朧「あぁ・・・。」ナットク
パオラ「神州丸、気配が近づいたら教えてちょうだい。」
神州丸「うん。今、丁度真上。」シレッ
パオラ「え・・・何が?あたし達が、上?それとも、あっち?」
神州丸「私達のほう。真下に基地が在る。500mくらい。」
パオラ「そういうのは、もっと早く言って?」ヒクッ
神州丸「聞かれなかったから。わかってると思ってた。」ゴメンナサイ
紫苑茜「上がポンコツだと下もポンコツね。」ヘッ
パオラ「うっさい。」クッ
黒霧 「これから潜るけど、無理はしないようにね。特に撫子。気絶するまで堪えるなんてことのないように。」ツン
朧 「うぉう。」ムガッ
時雨 「はーい、せんせー。苦しくなったときはどーするんですかー。」
黒霧 「第一段階は僕が人間呼吸で保たせる。それでもキツくなったらパオラの防壁に叩き入れる。」
時雨 「パオラさんの防壁って?」
パオラ「風で海水を吹き飛ばすの。球体の潜水艇に乗っていくようなものよ。」
時雨 「海中で活動できるひと以外はそれでよくない?」
パオラ「申し訳ないけど、それは無理ね。この人数が入るくらいの防壁となると、あたしの魔力が保たないから。往きが限度かしら。」
時雨 「・・・にぃにの仲間って、皆こんななの?」
黒霧 「魔力量が少ないって?パオラは多いほうだよ。元妖精族だし。ただ歳が歳だから。」
パオラ「だから精霊は歳をとらないから永遠の十七歳だって言ってんでしょうがっ!」スパーン
紫苑茜「歳はとらなくても色々と莫迦になってるのよ。魔力の放出量を調整する機能とかね。」
黒霧 「その分、強力な魔術が使えたりもするけど、無駄に放出してしまう魔力も増える。」イタイ
パオラ「だから直ぐに消耗しちゃうの。ただでさえ深海の水圧に耐えるだけの風圧を起こさないといけないのに。」ツカレルワ
五月雨「はーん。歳をとるとそこかしこで屁をこくようになるようなものですか。」
パオラ「全然ちがう!!」
黒霧 「さぁ、行くよ。撫子は後ろ、澪は前。300mくらいで息継ぎさせるけど、その前にキツくなったら抓って知らせること。」
漣・朧「ういっす。」ピシッ
蓮華 「お姉ちゃんは首を掴んでいけばいいな。」ガシ
五月雨「猫じゃないんですから。ちゃんと抱えてくださいよ。」
蓮華 「そうなると、両脇か。」フム
五月雨「擽るのはなしですよ。本当に死にますから。」
蓮華 「仕方ない。今回は自重しよう。」
紫苑茜「じゃ、よろしくね、パオラ。」ヨッコイセ
パオラ「うっ・・・。背中に感じるこの大質量・・・腹立つ。」チッ
紫苑茜「それぞれを浮かせるよりも纏めて浮かせたほうが節約できるんでしょ?だったら文句言わない。」ノシッ
パオラ「あーはいはい。役得ですよ、まったく。終わったらあんたのおっぱい枕にして寝るからね。」
紫苑茜「胸を枕にって、どんな体勢で寝るつもりよ・・・。」イイケド
パオラ「ほら、神州丸も来なさい。」
神州丸「ん・・・。」スッ
パオラ「いや、腕広げて待たれても・・・。後ろ、向いてもらえる?抱えていくから。」
ウン・・・
時雨 「・・・よく寝るね、ネーちゃん。」
戦棲姫「成長期だから。」
ネ級 「ウニャ」Zzz
時雨 「ボク、何処に掴まればいいかな。」
戦棲姫「・・・お腹?」
時雨 「そうなると、胸に顔を埋めることになるけど・・・大丈夫?」
戦棲姫「だいじょ・・・」
ネ級 「」ズリズリ
ポフン
時雨 「前に移ってきたね。」
戦棲姫「この娘、おっぱい大好きだから・・・。」
紫苑茜「着いたわね。」
パオラ「ええ、着いたわ。」
五月雨「」チーン
時雨 「やばい。耳鳴りがやばい・・・。耳、終わった。」キーン
ネ級 「カー」Zzz
朧 「海水、飲み過ぎた・・・。」ウップ
漣 「初ちゅー。初ちゅー、やっべぇ!」フオー!
蓮華 「流石に到着寸前でもまずかったか。」フム
戦棲姫「ちょっと速く潜りすぎた?」ゴメンネ
黒霧 「撫子は無理に舌を絡めようとするから。澪、敵地では静かにね。」メッ
パオラ「戦力の半分を犠牲にして。」
紫苑茜「ただ自滅しただけの気もするけど。どうするつもりなのやら。」ハァ
紫苑茜「それにしても、頭の悪い設計してるわね、この施設。」
パオラ「後から増設したんでしょ。そうでなきゃ出入口に培養ポッドなんて並べないって。」
黒霧 「上手く工夫すれば賢い設計にもなるだろうけどね。」
蓮華 「全部空だな、父上。防衛システムも機能していないと見える。お姉ちゃんは置いてきても良かったな。」フム
五月雨「大事な姉を殺しかけておいてこの扱い・・・ぐれてやる。」フフフ
漣 「なー、ぱぱん。そっちに居るのかー?澪ちんから見て右ー?左ー?上ー?下ー?」キョロキョロ
黒霧 「後ろかなー。」ヨット
漣 「うぉう。」ダッコ
黒霧 「撫子、右斜め前に三歩進んで背中に掴まって。配線だらけだから足許に気をつけてね。」
朧 「あいあい。いーち、にーい、さんっ。とうっ。」ピョン
ドフッ ウッ
朧 「吐きそ・・・。」ウップ
黒霧 「全力で耐えてねー。」サァ イコウ
戦棲姫「眠ちゃん、動ける?」
時雨 「なんとか・・・でも手繋いでて。周りに気を配る余裕・・・ないから。」ヨロヨロ
戦棲姫「うん。わかった。」ギュ
神州丸「・・・どうして皆、普通に動けてるの。真っ暗なのに。」ナニモ ミエナイ
飛龍 「ねぇ、私の仕事、日に日に増えてる気がするんだけど。気の所為かなぁ。」カリカリ
蒼龍 「きっ!気の所為じゃ・・・ない、かなぁ~。」アハハー
赤城 「終わらせる仕事よりも入ってくる仕事のほうが多いんですよ。」カリカリ
大鳳 (息をするように嘘を・・・。)
飛龍 「あっそう・・・パオラも大変なのね。」フーン
大蒼龍(納得したっ!)
飛龍 「今頃どんぱちやってるのかしら・・・。」ペラ
飛龍 「私も身体動かしたい。」ハァ
赤城 「・・・演習、付き合いましょうか?」
蒼龍 「え゛・・・!?」ビクッ
大鳳 「駄目ですよ、赤城さんっ!飛龍さんのそれはそういう意味じゃ・・・!」ヒソッ
赤城 「・・・?」
飛龍 「それじゃ、お言葉に甘えようかしら。」カタッ
赤城 「飛龍さん?どちらへ・・・?書類は・・・?」アノ
飛龍 「もう終わったわよ。身体温めてくるから、先に失礼するわ。日付が変わる前までには部屋に来てよね。」ソレジャ
・・・ア ソウダ
飛龍 「赤城は挿入れたい派?挿入れられたい派?」
赤城 「え・・・?えっ?いったい何の話をして・・・!?」ガタッ
飛龍 「ま、どうせ襲うの私だし。ふたりとも挿入れたらいっか。」パタム
赤城 「」ダラダラ
赤城 「!」バッ
大鳳 「明日の分もやっちゃおうかなぁ~。」フイ
赤城 「!!」バッ
蒼龍 「うちの飛龍ちゃんを、どうか宜しくお願いします。」スッ
赤城 「いやああああああ!!」ウワアアアン
時雨 「あ゛ー。ちょっとずつ治ってきた。」ポンポン
戦棲姫「ごめん・・・ね?ワタシが、急いだ所為で・・・。」
時雨 「ううん。君の所為じゃないよ。大体全部、にぃにが悪い。」
黒霧 「こらこら。本当のことを言っちゃ駄目でしょー。」
時雨 「ねっ?」
戦棲姫「あー。」ハハ
五月雨「ところで、静かすぎませんか?此処って三笠を建造していた施設なんですよね。機械音も何も聞こえないんですが。」
戦棲姫「この区画は放棄されてるから。ワタシ達が暮らしてるのは、もっと下。でも、其処まで行くと皆の身体が保つかどうか・・・。」
紫苑茜「此処まで来るのだって、半数が脱落したものね。」
五月雨「それは余計なことをしくさるからでは。」
時雨 「そう言われるとボクの立つ瀬が無いなぁ。」
スミマセン アヤマッチャイヤダヨ
パオラ「・・・!無駄口を叩けるのもここまでみたいよ。」ピクッ
神州丸「妖しきを照らせ、“篝火”。」ポゥ
鬼百合「・・・?」
黒霧 「さぁ、物語に幕を下ろそう。」
鬼百合「だぁれ?」ユラユラ
神州丸「虚空に杭を、“魂縫”。」バリッ
バチィ!
鬼百合「・・・?」
神州丸「御符じゃ駄目か。」チッ
鬼百合「あなた。あなた、知ってる。恐い娘。雷を落とす、恐い娘。」
神州丸「雷よ!!」
ズガーン!
鬼百合「恐い。こわい。こわい・・・。こわいね。こわいの。こわいよ・・・。」フルフル
神州丸「ぁあ!?」ブチィ
黒霧 「パオラ、神州丸を。」タッ
パオラ「嫌だと言いたい。んもう!」ガシ
神州丸「ん~!!轟け!“雷轟”!!」
パオラ「ちょっ!」
黒霧 「“避雷針”。」ガッ
ドォーン! バチィッ
黒霧 「・・・はぁ。間一髪。」ヤレヤレ
神州丸「はなしてぇ~!!」ジタジタ
パオラ「ああ、もう!暴れないの!」
ンー!!
黒霧 「君、大丈夫?」
鬼百合「・・・へーき。ごろごろはこわいけど。こわくない。」
漣 「何言ってっかはわかんねーけど綺麗な顔してんのな。ほんとにお化けさんけ?」
朧 「ちょー美人なのねん。」
鬼百合「あなたも・・・そう、だった?」
朧 「おぅ?」
漣 「撫子、言われてんぞ。今は美人じゃねぇってよ。」
朧 「なにおう!?」ウォウ!
鬼百合「ふふ。ふふふふ。」クスッ
神州丸「どうして止めるの!?あいつは!鬼百合はっ!私の家族の仇なのに!」ワッ
パオラ「神州丸がどれだけあいつを恨んでるかは知ってる。でも、問答無用ってわけにもいかないのよ。」
神州丸「あいつの答えなんて要らない!“答え”は私の中に在る!」
パオラ「鬼百合のこととなると本当に話を聞かないわね、この娘。」ハァ
紫苑茜「ちょっと眠ってなさい。」ギュム
神州丸「むがっ!?」
・・・カクン
神州丸「Zzz」
紫苑茜「やっと静かになった。」ヤレヤレ
パオラ「一応訊いておくけど、紫苑ちゃん。それ、ヤバい薬ではないわよね?」
紫苑茜「艦娘に効く薬がヤバくないわけがないでしょうが。」
パオラ「勘弁してよ、もう・・・。」
鬼百合「似てる。似てる。捜してた、あのひと。でもちょっと違う。ちがう。」マジマジ
黒霧 「・・・?」
鬼百合「殺されても死んでやらないと言った、あのひと。残された、あのひと。わたしが置いていった・・・。」
鬼百合「隣に居たのに。気づかなかった、あのひと。あのひと・・・〇〇〇。」
黒霧 「!?」
鬼百合「そう。わたしは残した、あのひとを。残された、あのひとに。世界を渡る“赤髪の勇者”に。」
黒霧 「何処に姿を隠したのかと思えば・・・。敢えて同じを道を辿るのは自分は失敗しないという当てつけかな。」
黒霧 「失敗なんてしたことないけどね・・・残念なことに。」ボソッ
鬼百合「あなた。」ポフポフ
朧 「おぉう。ぶるっとするのね。」ゾゾッ
漣 「幽霊なのに触れてる・・・。やっぱり幽霊ではない何かっ!?」ヒョエ
鬼百合「触れる。同じ血が流れてるから?細い髪・・・あ、枝毛。」
朧 「んのぅ!?」ガーン
漣 「あー。撫子ってば偏食なところがって何ですとぉ!?」
黒霧 「同じ血?撫子が、君の血族・・・?」
鬼百合「関わりの深いひとは、干渉しやすいの。記憶、血、繋がりのあるひと。」サワサワ
朧 「んにゅ~。」ムニムニ
漣 「どちらかってーと姫百合のほうが繋がり強そうだけどにゃ。名前的に。」
黒霧 「いや、鬼百合は本名じゃないと思うよ?」
漣 「そうなんけ?」
鬼百合「・・・忘れた。」
曙 「」シャコシャコ
ガラガラ ペッ
曙 「」イー
・・・ヨシ
潮 「灯ちゃん?」ヌッ
曙 「うわっ!び、びっくりしたぁ。」ドキドキ
潮 「今、どれくらい歯磨きしてた?」ジッ
曙 「どれくらいって・・・に、2分くらい?」
潮 「短い!やり直し!こっち来て!」グイ
曙 「え、ちょっ!力つよっ!」ウワワッ
潮 「はい、ごろんして。」ポンポン
曙 「ごろんって、お母さんじゃないんだから。」
潮 「む。」ジト
曙 「・・・。」ゴロン
潮 「よろしい。」
曙 「ねぇ、姫百合。膝枕は別にいいんだけどさ。」フカフカダシ
潮 「なぁに?灯ちゃん。」
曙 「あんたのおっぱいしか見えないんだけど、これで歯磨きなんてできるの?」
潮 「・・・セクハラ。」
曙 「そういう返しもできるようになったのね、あんた。」チョットハラタツ
潮 「灯ちゃん、あーん。」クイ
曙 「ちょ、開ける!自分で口開けるから指突っ込まないで!」
マッタクモウ
曙 「ここ最近、ほんっと強引になったわよね。父さんの影響かしら。」ヤレヤレ
潮 「そうかな?灯ちゃんには前からこんな感じだったと思うよ?」
曙 「私にはってどういうことよ、私にはって。」チョット?
潮 「だって、構ってあげないといつも独りだったから。」
曙 「私を寂しい奴みたいに言うのやめてくれる?」
潮 「寂しかったのは事実でしょ?」
曙 「それは父さんと母さんが居なかったからであって決して友達が出来なかったからでは・・・」
潮 「はい、口開けて~。」アーン
曙 「最後まで聞きなさいよ!」
ンガッ!
潮 「ねぇ、灯ちゃん。見てわかるくらいに磨き残しがあるんだけど、どういうこと?」
曙 「・・・ごめんなふぁい。」フガッ
潮 「次、べーしてみて。」
曙 「んべ。」ベー
潮 「白い・・・くっさい。」
曙 「」グサッ
潮 「もう。お口の臭いは舌の磨き残しが原因だからちゃんと磨きなさいって何度も・・・あれ?」
ゴシゴシ ンヴァ!
曙 「ちょっと・・・!私、嘔吐きやすいんだから優しくしてよ・・・!」ウェ
潮 「灯ちゃん、鏡・・・。灯ちゃんの舌・・・。」
曙 「鏡?自分の舌を見ろって?何だって他人に見せない部分を気にしなくちゃ・・・。」ンベ
・・・エ?
曙 「ほのあふぁ・・・。」
潮 「撫子ちゃんと・・・ぱぱと同じ・・・。」
曙 「あった・・・あったんだ。私にも、血の証・・・!」フルフル
曙 「よかった・・・。よかったぁ!」ウゥ!
ウアアアア!!
鬼百合「でも、残念。あなたはあのひとじゃなかった。似てるのに。こんなにも、似てる。」ジー
黒霧 「“赤髪の勇者”って、紅い髪に碧の瞳をした青年のことでしょ?天使の羽根を模した刻印のある剣を携えてる・・・。」
鬼百合「知ってるの・・・!?」キラキラ
黒霧 「幼少期の彼のことはね。旅立った後のことは何も。そっちは寧ろ君のほうが詳しいんじゃないかな。」
鬼百合「そう・・・だったのかも、知れない。」
黒霧 「・・・彼の何を憶えてる?」
鬼百合「名前と輪郭、剣の刻印・・・後は。」
黒霧 「彼を愛していたこと?」
鬼百合「」コクリ
黒霧 「あの子も君を愛していたと思うよ。何しろ僕を反面教師にしていたからね。最期まで君を愛し抜いたはずさ。」
鬼百合「知ってる。よく、知ってる。最期まで・・・そう、最期まで。」オォォ
黒霧 「この世界にあの子はもう居ない。あの子の性格上、同じ世界で別の伴侶をつくるとは思えないし。」
黒霧 「何より、撫子を放っておくはずがない。」ポム
朧 「うにゅ?」
鬼百合「あのひとは、もう居ない。そう、居ないの。知ってる。知ってた。知ってたはず・・・なのに。」
鬼百合「忘れて、思い出して。忘れて、気づいて。何度も、何度も・・・!繰り返した。」
鬼百合「寂しい。そう、寂しいの。わたし・・・さびしいの!!」グワッ
黒霧 「」カチ
鬼百合「ねぇ、あなたは一緒に居てくれる・・・?」
黒霧 「澪、撫子は後ろに。」
漣・朧「あいあいさ。」サッ
黒霧 「パオラ、神州丸は?」
パオラ「ぐっすりね。」
神州丸「」Zzz
黒霧 「今直ぐ起こして。」
紫苑茜「3分ちょうだい。意識がはっきりするまで少し時間が要るわ。」ガポッ
神州丸「むがっ!?」
黒霧 「きっついなぁ、もう。」ハァ
五月雨「頑張れ、お父さ~ん。」
蓮華 「父上ならやれるぞ~。」
時雨 「なんかよくわかんないけど、ふぁいお~。」マダミミナリガ
黒霧 「どうしてこの人選にしたんだっけな・・・。」
鬼百合「わたしの想いを受け止めて・・・?」ボォ
黒霧 「それが愛情なら歓迎してたかもね。」パアァ
???「・・・と、こんなものかな。」
鬼百合「・・・!」ピタッ
???「やあ。君の探し人は、僕で合ってるかな?」ニコリ
鬼百合「」ガバッ
???「」スカッ
ア・・・レ?
鬼百合「ちがう。あのひとじゃ・・・ない。わたしの想いが、すり・・・ぬけたっ!」キッ
???「やっぱり空真似じゃ駄目か。」パアァ
黒霧 「何秒稼いだ?」
パオラ「20秒くらい?」
鬼百合「赦さないっ!」ズアッ
黒霧 「肉体を失ってなお外見に囚われている君の落ち度じゃないかな。」ガッ
鬼百合「!?」
ヨーセッ ドシャッ
鬼百合「かはっ!」
黒霧 「・・・ふぅ。」
パオラ「あんた、霊体に干渉できるなら始めから言っておいてよ。」
黒霧 「僕も今知ったよ。やれば何とかなるものだね。」
パオラ「怨霊を背負投げする奴なんて初めて見たわ。」
鬼百合「き・・・さまぁ!」ギラッ
黒霧 「そういうわけで、神州丸が覚醒するまでは僕が相手をするよ。死んだ者同士、仲良くしよう・・・。」ニィ
アアアアア!! ドォーン
時雨 「あー、やっとましになってきた。」トントン
五月雨「珍しいですよね、姉さんが何の不手際もなしに不調になるの。」
時雨 「ボクが貧弱みたいな言い方やめて?確かに君達と比べると打たれ弱いかもだけどさ。」
蓮華 「どうせ耳抜きを怠ったのだろう?己の無知を肉体の所為にするな。」フン
時雨 「・・・耳抜きって?」チラ
五月雨「こう鼻を抓んで・・・ふんってするんです。」タラッ
時雨 「そんな汚い作法、ボクは知らない。」ハナミズデテル
蓮華 「だが必要なことだ。醜く生きるか無様に死ぬか、ふたつにひとつだ。」
時雨 「どの道な気はするけど・・・で?ボク達は何をするのかな。ボクの回復待ちだったんだよね?」
五月雨「それは蓮華ちゃんから説明が。」ドウゾ
蓮華 「三笠の設計図を回収しに行く。父上が踏ん張っている間にな。」
時雨 「え~。この暗闇の中?」
蓮華 「だから貴様の回復を待っていたのだ。帰りの歩数を憶えておけよ。貴様だけが頼りだ。」
時雨 「その頼られ方は嬉しくない。」
鬼百合「わたしの前から消えて!!」グワッ
黒霧 「消えてとは随分だね。これで僕は君にとって義理の父に当たるんだよ?」ヒョイ
鬼百合「赦さない・・・わたしを弄んだこと。赦せない・・・あのひとの面影を残したその顔。切り刻んでやる!」
黒霧 「やれるものなら。」ニィ
アアアア!!
漣 「ぱぱんのノリが普段と同じすぎて笑えねー。なんぞ、これ。命のやりとりってこんなだっけ?」
紫苑茜「永く生きてると色々と感覚が狂ってくるのよ。あの子、肉どころか内蔵まで喰わせて息の根を止めるところあるから。」マネシチャダメヨ
漣 「真似したくてもできねーつの。」ケッ
紫苑茜「いーや、あんたならやる。やってのける。」
漣 「・・・それ、褒めてるんけ?」
紫苑茜「莫迦にしてるのよ。」
ピシャ パシャ
蓮華 「しかし酷い状態だな。」
五月雨「踝辺りまで浸水してますからね。しかも海水じゃないっぽい。」カキカキ
時雨 「海の底で海水の浸水って笑えないから。というか、これ触れても大丈夫なやつ?なんか、粘っこい気がするんだけど。」
蓮華 「知らん。速効性でなければ何とかなる。今は急ぐことだけを考えろ。」イクゾ
五月雨「ちょっと待ってくださいよ、蓮華ちゃん。私マッピングしながら進んでるんですから、ペースが変わると困ります。」
時雨 「そうだよ。ボクだって歩幅が変わると正確な距離の把握がって、マッピング?ねぇ、今マッピングしてるって言った?」
五月雨「言いましたけど。」ナニカ?
時雨 「ボクが歩測しながら進んでる意味は・・・?」
五月雨「私作のマップがより完璧なものになります。」キリッ
時雨 「いや、1マスの規格が違ったら寧ろ完成度落ちるじゃん。」
五月雨「まぁ、どっちかがミスったときの保険ってことで。」
戦棲姫「あの・・・施設の案内なら、わたし、できるよ?」
露姉妹「・・・。」
五月雨「さーて、余計なことは忘れて身軽にいきますかー。」ポーイ
時雨 「ボクの記憶容量返してくれないかなぁ・・・。」ハァ
赤城 「来て・・・しまった。」ズーン
ハァ・・・
赤城 「まさか飛龍さんがそっちの気があるひとだったなんて・・・蒼龍さんはともかくとして。」
???「」ムッ
赤城 「思えばふたりの距離感は親友というには少しズレていたような・・・。今、合点がいきましたね。」ヤレヤレ
赤城 「きっと毎晩お楽しみだったのでしょう。」トオイメ
???「毎晩ではないからぁ!!」クワッ
???「ちょっ!蒼龍さん!?」
赤城 「やはり居ましたね。」スタスタ
ガシ
蒼龍 「え・・・?あれ?」
赤城 「さぁ、ともにいきましょう・・・蒼龍さん。」ニッコリ
蒼龍 「いやだあああああ!!」ダッ
赤城 「っ!?往生際が悪いですね!潔く道連れになってください!」グイ
蒼龍 「嫌だよ!こういうときの飛龍って恐いんだもん!自ら立候補した赤城さんが犠牲になればいい話でしょ!?」
赤城 「事情を知らない私を嵌めたのは貴女達ではないですか!!」
蒼龍 「止める前に突っ走られたらどうしようもないって!」
大鳳 「ふたりともっ、落ち着いてくださ・・・あ。」
蒼龍 「なに?どうしたの・・・あ。」
赤城 「?なにか・・・」ピシィ
飛龍 「何よ。」
大鳳 「ちゃんと服を着てください!飛龍さん!!///」
飛龍 「いいでしょ、別に。どうせ直ぐに脱ぐんだし。最低限の配慮はしてるし。」
大鳳 「確かに大事な所は見えてませんけど・・・。パンツ一枚に首からタオルは駄目です!乙女として!せめて巻いてください!」
飛龍 「タオルは巻くより羽織るほうが実は防御力たかい・・・」
大鳳 「いいから!部屋に戻ってください!」グイ グイ
・・・! ・・・マル!
神州丸「・・・ん。」
パオラ「いい加減に起きなさい!」コノッ
スパーン! アウッ
神州丸「痛い・・・。」ヒリヒリ
紫苑茜「それはこっちの科白。」ジンジン
パオラ「紫苑ちゃん・・・。」ウワァ
紫苑茜「何よ。文句ある?」
パオラ「別に無いけど。」
漣 「今の、あかりんにそっくりだったべな。」
朧 「母娘だもの。寧ろあかりんがせん姉にくりそつなのね。」
黒霧 「漸くお目覚めかな。随分とお寝坊さんなんだね。」
神州丸「薬を盛られた所為。そうじゃなきゃ仇の前で眠りこけたりしない。」スッ
黒霧 「僕達は薬を盛られたとしても眠ったりなんてしないけど。」
神州丸「一緒にされても困る。私は普通の艦娘。」
黒霧 「・・・そうかもね。」
神州丸「後は任せて。鬼百合は、私が滅する。」ギラッ
鬼百合「また・・・あなた?雷の娘。恐い・・・雷の、娘。」
神州丸「撃たれて焦げろ、薄弱の亡霊。」バサッ
イカヅチヨ!