2023-01-13 00:15:17 更新

概要

ようやく稼働し始めた艦娘強化訓練島。
今、その第壱期生の娘達が新たな一歩を踏み出そうとしていた。


前書き

五月雨が艦娘強化訓練島に着任してから一月が経った。
廃墟と化していた大本営も無事、再建され稼働を始める。
さぁ、これより紡がれる物語は世界の運命に翻弄される少女達の半生。
彼女達の短くも永い日々をお楽しみください。


時が流れるのは早いもので。


真宵 「・・・完成したな。」


加賀 「そうですね。」


扶桑 「真宵ちゃんが頑張った御蔭ですねっ。」ウフフ


山城 「私も頑張りました。」ムフン


真宵 「お前は煉瓦の下敷きになって藻掻いていただけだろうが。」


山城 「ええ・・・。本当に頑張りました。」トオイメ


真宵 「災難だったな。」


山城 「」スッ


真宵 「・・・どうした?しゃがみこんで。腹下りか?」


山城 「ちがわい!」クワッ


山城 「ん!」ズイッ


真宵 「・・・はぁ。」ナデナデ


山城 「んふふ。」ニヨニヨ


扶桑 「山城だけ・・・狡い。」ムゥ


加賀 「あなた。ペットを可愛がるのも程々にしてくださいね。」


山城 「あ?」ビキッ


ダレガペットダッテ? カレノツマハワタシデスノデ


扶桑 「真宵ちゃん、真宵ちゃん。」コソコソ


真宵 「ん?いつものか?」


扶桑 「はい!」ソワソワ


ヨッコイセ


扶桑 「やっぱり、真宵ちゃんの抱き心地が一番ですね。」ウフフ


真宵 「誰と較べているのやら。」フッ


扶桑 「言葉の綾ですよ?」ムッ


真宵 「わかっている。こう見えて人生経験は豊富だからな。」ニッ


扶桑 「それは前に聞きました。」フフッ


真宵 「そうだったな。」クハハ


???「何、あれ・・・。」エェ


???「あたしゃ、もう慣れたよ。」



未来あるちびっ娘達。


???「真宵ちゃん、お手紙が届いてます。」トテトテ


真宵 「潮か。何処からだ?」


潮  「えっと。くろきり、ときあめ?さんから・・・。」ドウゾ


真宵 「潮よ。それはくろぎりしぐれと読むのだぞ。」ウケトリ


潮  「そうなんですか?勉強になりました。」ムフー


真宵 「しっかり覚えておいたほうがいい。お前の教官となる者の名だからな。」


潮  「遂に始まるんですね、私達の訓練が。」パァ


真宵 「楽しみか?」


潮  「はい!」キラキラ


真宵 「そうか。第七駆逐隊の娘達を呼んできてくれ。辞令を言い渡す。」


潮  「え・・・?真宵ちゃんと離れ離れになるの?」


真宵 「何か不都合があるのか?」


潮  「・・・うん。」


真宵 「言ってみろ。」


潮  「真宵ちゃんと離れたくない。」


真宵 「・・・。」


扶桑 「モテモテですね。」ウフフ


加賀 「あなた。こんな子供にまで手を出して・・・。」ユラァ


真宵 「俺がそんなことをするはずがなかろう。それから、山城はどうした?」


加賀 「そこに転がってますよ。」クイッ


山城 「」ゴフッ


扶桑 「嗚呼、山城。愛に破れてしまったのね・・・。」ヨヨヨ


潮  「私、離れたくないです。」ヒシッ


加賀 「あなた。」ジリッ


真宵 「よし、わかった。取り敢えず落ち着け。落ち着いて、頭を冷やしておけ。」シュンッ


加賀 「逃がしません!」ハッカン!


バババババッ


???「ひえー。まーたやってるよ。」ソラミアゲ


???「ほんと、よくやるわ。」



物事は始めと終わりが肝心です。


黒霧 「準備はいいかい?」


???「勿論だ。」フッ


黒霧 「いくよ。」


???「ああ。」


バサッ オォー


五月雨「誰だかわかんなーい!」ワァ


南方戦「アンタは憶えてないでしょうしね。誰かさんの所為で。」チラッ


集積姫「私の後ろには誰も居ないわよ?」クルッ


南方戦「アンタのことよ。」


集積姫「身に覚えがありましぇーん。」


南方戦「アンタねぇ・・・。まぁ、いいわ。」ハァ


五月雨「それを判断するのは私ですよね。なんで南ちゃんが決めちゃうんですか。」


南方戦「どうせ気にしてないでしょ?」


五月雨「当然。」ムフン


レ級 「なんか、やっと元に戻ったって感じがするな。」ヘヘッ


ヲ級 「蓮華ちゃんだけ、ず~と違和感があったの。」ヲー


三隈 「三隈達にしてみれば、寧ろ違和感の塊でしかありませんの。」


最上 「これからは呼び方も変えないといけないね~。」フフッ


黒霧 「それじゃあ、みんな。せ~の。」


一同 「おかえり!蓮華ちゃん!」


蓮華 「ああ。ただいまだ!」ニパッ


バァン!


龍驤 「ギリギリセーフ!」ズザァ


シーン


龍驤 「なんや?間におうたやろ?」ゼェ ハァ


蓮華 「アウトだ、龍驤。」フッ


龍驤 「・・・だれぇ!?」



偶には外に出るか。


龍驤 「ほんまに誰やねん。」


蓮華 「わからんのか?」


龍驤 「いや、わかるけどやな・・・。変わりすぎやないか?」


蓮華 「これが本来の姿だ。慣れろ。」フッ


龍驤 「中身は変わっとらんな。せや、元帥から手紙預かってきたで。」ホイ


黒霧 「ありがとう。」ウケトリ


五月雨「そういえば、大本営はもう再建したんですか?」


龍驤 「ああ。ばっちりな。」ニッ


三隈 「僅か1ヶ月で建て直すとは・・・。流石、魔族の長ですわね。」


最上 「クロさん。手紙、なんて?」ノゾキコミ


黒霧 「好感度が鰻登りで大変だってさ。」


五月雨「やっぱり、魔族には誑ししか居ないみたいですね。」


三隈 「ちょっと、もがみん?顔が近いですの。」グイッ


最上 「え~。手紙見てるだけなのに~。」ブー


南方戦「互いに潰し合ってくれると、楽でいいわね。」


集積姫「あれは一方的に遊ばれてるだけよ。南方ちゃんみたいにね。」フフ


南方戦「聞き捨てならないんだけど。」ネェ


レ級 「なぁ。異動拒否って書いてあるけど、いいのか?これ。」ヒョコッ


五月雨「なんだってぇ!!」クワッ


ヲ級 「折角歓迎会の準備もしたのに・・・。」ヲー


蓮華 「今日は私のお披露目会じゃなかったのか?」


ヲ級 「使い回せばお得なの。」ムフン


蓮華 「なんだと?」ジロリ


ヲ級 「って、五月雨お姉ちゃんが言ってたの。」タラー


蓮華 「お姉ちゃん。」ギラッ


五月雨「」ギクッ


蓮華 「誠意って言葉、知ってるか?」ユラァ


五月雨「ワタシニホンゴワカリマセーン。」


蓮華 「そうか。ならば教えてやろう。みっちりとなぁ。」フフフ


五月雨「私を捕らえるのは容易ではないぞ!」ダット


蓮華 「手伝え、レ級!」ダッ


レ級 「よっしゃ!ヲーちゃんも来い!」バッ


ヲ級 「なの!」タッ


五月雨「おのれ、裏切るか!ヲーちゃん!」クッ


ヲ級 「悪い娘にはお仕置なの~!」トテテテ


アハハ~ ツカマエテゴランナサ~イ キャラヲトウイツシヤガレ!



序章から抜け出せない現状。


最上 「それにしても、異動拒否か~。こんなことあるんだね~。」アハハ


三隈 「配属先に深海棲艦が居れば、そうもなりますわ。」


黒霧 「いや、理由は別にあるみたいだよ?そもそも、あの娘達にはこっちの状況を伝えてないしね。」


龍驤 「大丈夫なんか?それ。」ウワァ


集積姫「な~に?私達が此処に居ちゃ駄目ってこと?」ニタァ


龍驤 「そこまでは言わん。言わんけど・・・。一番の不安要素は君やで、集積。」


南方戦「ワタシが見張っておくわよ。」ダイジョウブヨ


三隈 「それはそれで心配ですの。」


南方戦「アンタ・・・。最近言うようになってきたじゃない。」ピキッ


三隈 「三隈はただ事実を述べただけですの。」フン


南方戦「そういえば、まだアンタの実力を見せてもらってなかったわねぇ。ちょっと表に出なさい。」クイッ


三隈 「・・・う、受けて立ちますの。」ハッ


最上 「声が震えてるよ?」


三隈 「武者震いですの!」ガタガタ


最上 「・・・はぁ。仕方ないなぁ。南さん、ボクとみっちゃんで組んでもいいかな。」


南方戦「いいわよ。ふたり掛かりでいらっしゃいな。」ニィ


三隈 「もがみん・・・。」ジーン


最上 「この貸しは高くつくからね?」マッタク


モツベキモノハモガミンデスノ ハイハイ


龍驤 「鬼級との演習か。最上もようやるわ。なぁ、クロさん・・・。て、居らんし。」


龍驤 「集積も居らんな。まさか大本営に?いやいや、まさか・・・。まさかな。」ハハッ



師匠も走る師走とはよく言ったもので。


集積姫「時雨ちゃんとふたりきりになるのも久し振りね。」


黒霧 「うちも賑やかになったからね。」フフ


集積姫「賑やかすぎるくらいよ。四六時中、時雨ちゃんの取り合いなんだもの。」


黒霧 「妬いてるの?」


集積姫「あら、わかってるじゃない。」


黒霧 「真宵ではないけど、経験は豊富だからね。」


集積姫「だったら、やるべきこともわかってるわよね?」


黒霧 「それじゃあ、失礼して。」スッ


集積姫「え?///」


ヨット ヒョイッ


黒霧 「このまま、大本営まで行こうか。」ニコリ


集積姫「待って。私を曝し者にする気?相変わらずのSっぷりね。」


黒霧 「集積にはぴったりでしょ?姫なんだから。」


集積姫「上手いこと言って誤魔化さない。」モウ


・・・


???「困りましたね。此処はいったい何処なのでしょう。」ハテ


???「羅針盤妖精の仕様になっているとのことでしたから大丈夫かと思ったのですが・・・。」


???「迷子ですね・・・完全に。」ドウシマショウ


???「まったく。羅針盤妖精は信用なりませんね。今や私も同類ですが・・・。」ハァ


???「さて、どうなることやら。」



読者を置き去りにするスタイル


集積姫「」~♪


黒霧 「ご機嫌だね。」


集積姫「んふふ。ふたりきりって、いいわね。」


黒霧 「素の君は本当に甘えたがりだね。まるで、茜姉さんみたいだ。」フフ


集積姫「あら。時雨ちゃんと茜ちゃんはそんな関係だったかしら?」


黒霧 「黒霧の茜じゃなくて、紫苑の茜だよ。」


集積姫「茜はふたり居るのね。初耳だわ。」フーン


黒霧 「」フフッ


集積姫「ちょっと。今、笑うところあったかしら。」ムゥ


黒霧 「いや、本当に茜姉さんは演技が下手だなって。」フフフ


集積姫「・・・いつから気づいてたの。」


黒霧 「あの日からだよ。自分を抑えられなくなってから、茜姉さんの素が表に出るようになっていた。」


黒霧 「始めは、まさかそんなはずがないと思っていたけど、信じずにはいられなくなった。」


黒霧 「だから、正直に言えば、気づいてはなかった。だけど、信じてよかったよ。」ニコリ


集積姫「そう・・・。あ~あ。嵌められちゃったわね~。」ハァ


集積姫「しーちゃんには敵わないわ。」ウフフ


黒霧 「神命の仕業かな?」


集積姫「分霊までは、そうね。でも、この肉体に宿ったのは偶然よ。分霊箱が次元の狭間に落っこちちゃったから。」


黒霧 「だからか・・・。やっと得心がいったよ。」


黒霧 「どうして茜姉さんが異物になることなく、この世界に存在できているのか。」


集積姫「まぁ、結果オーライじゃない。数百年振りに懐刀が揃ったんだから。」


黒霧 「それはいいんだけど、正導が終わってからはどうするの?集積はこの世界の住人だよ?」


集積姫「しーちゃんと一緒に帰れないって?大丈夫よ。正導が完了した後は何が起こってもおかしくないんだから。」


黒霧 「・・・性格変わったね、茜姉さん。」



散らかしっぱなしはよくないね。


???「久方振りですね。」ヒョコッ


黒霧 「霧島。久し振りだね。元気にしてたかな?」


霧島ミニ「はい。御蔭様で、姉妹共々元気に過ごせております。まぁ、若干1名元気が有り余って困る人も居ますが・・・。」


黒霧 「あはは。そこのところは紅蓮に任せるよ。偶にはうちに遊びにおいで。」フフ


霧島ミニ「ぜひ、お邪魔させていただきます。」フフッ


集積姫「貴女、いつから其処に?」


霧島ミニ「今し方です。見知った人影を見つけて、必死に追いかけてきたところですので。」キリッ


集積姫「方向音痴は相変わらずなのね。」


霧島ミニ「ええ。奇しくも羅針盤妖精の能力があてにならないことが・・・。いえ、ある意味では信用できることが証明されました。」


霧島ミニ「妖精の勘に従った結果、あなた方に出会うことができましたから。ところで、どちらへ?」


黒霧 「大本営だよ。駄々をこねてる訓練生の説得にね。」フフ


霧島ミニ「なるほど。奇遇ですね。私も定期連絡に大本営に向かうところでして、ご一緒してもよろしいですか?」


集積姫「いいわよ。時雨の肩で休んでなさい。疲れてるでしょう?紅蓮の島はかなり遠いから。」


霧島ミニ「実を言うと、かなり・・・。助かります。」フゥ


黒霧 「それじゃあ、行こうか。飛ばされないように気をつけてね。」


霧島ミニ「お構いなく。胸ポケットに収まっておりますので。」スッポリ


集積姫「身体が小さいと便利ね。運ぶのも簡単だわ。ねぇ、しーちゃん?」


黒霧 「本当に。」


集積姫「あらぁ。それじゃあまるでわたしが重いみたいじゃな~い。」ニコニコ


黒霧 「肉体が変わっても、変わらないね。」ニコリ


集積姫「あんた、昔からわたしにだけは気を遣わないわよね。」ムゥ


黒霧 「姉さんを泣かせた罪は重いよ?」フフ


集積姫「根に持つ男は嫌われるわよ~。」


黒霧 「暗殺者の性だね。」


ウフフ フフッ


霧島ミニ(・・・眠い。)ウトウト



イリュージョン


集積姫「流石に、このままの姿で顔を出すわけにはいかないわよね。」


黒霧 「事情を知ってるのは真宵と東だけだからね。」


集積姫「能力を使うのも久し振りだわ。上手くいくかしら。」


黒霧 「最悪、僕がどうにかするさ。」


集積姫「それはどうも。」


パァァ


紫苑茜「ふぅ。成功ね。」フフン


黒霧 「心なしか重くなった気がするんだけど。」


紫苑茜「ねぇ、質量保存の法則って知ってる?」ウフフ


黒霧 「集積と茜姉さんでは体格が違うでしょ。」


紫苑茜「御蔭で本来のわたしより小さく、って何言わせるのよ。」


黒霧 「細い茜姉さんは新鮮だね。」


紫苑茜「人が態々"小さく"って言葉を濁したのに・・・。」ワナワナ


黒霧 「女性らしくていいと思うよ。」フフッ


紫苑茜「今更言っても遅いのよ。」フン


黒霧 「南には敵わないけど。」


紫苑茜「わたしを虐めて愉しいかしらっ!」ブワッ



澪標


「ひとつ ならべて 母のため~♪」


「は なんだ」


「ふたつ ならべて 父のため~♪」


「あ どした」


「みっつ ならべて みおつくし~♪」


「あ よいしょ」


「よっつ ならべりゃ ひめゆりの~♪」


「は どっせい」


「いつつ ならべて なでしこは~♪」


「あ そ~れ」


「むっつ ならべて むらさきのえん~♪」


「よくできました~。」


「なんのなんの。」


「人の名前で遊ぶなぁ!」ドゲシッ


「ぶべらぁ!」ゴシャァッ


「おあとがよろしいようで。」



長らくお待たせ致しました。


???「紫苑ちゃんよぉ。もうちっとお淑やかにできんのかね。」サスサス


???「本名で呼ぶな。私は曙。あんたは漣。おわかり?」


漣  「ボーノに蹴られた所為で澪ちゃん、莫迦になっちゃった。」テヘ


曙  「あんたの莫迦は生まれつきでしょうが。」ハッ


漣  「人は生まれつき莫迦なんじゃい!そこから成長するから人間なんだい!」


曙  「じゃあ、あんたは人間になり損ねたわけね。」


漣  「だって艦娘だもの。ねぇ、撫子はん。」


???「おーともさー。」


曙  「朧、漣が付け上がるからやめてちょうだい。」ハァ


漣  「安心しな、ぼのたん。あたしゃ、いつだって平常運転だよ。」キリッ


曙  「だから質が悪いのよ。元帥の前で巫山戯始めたときは、本当に死を覚悟したわ。」


朧  「へーき。私達はまだ生きてる。」


漣  「そーだそーだ。元帥は善い人だー。あの姫百合ちゃんが懐いてるのだからー!」


潮  「その名前、久し振り。」ヒョコッ


曙  「潮。用事は済んだの?随分と掛かったじゃない。」


潮  「・・・うん。」


漣  「なになに?元気ないねぇ。あたすが慰めてあげようか?」


朧  「だいじょうぶ?おっぱい、揉む?」


漣  「姫百合ちゃんは寧ろ揉まれるほうだよね~。」ワキワキ


潮  「ふぇえ。」ウルッ


曙  「やめんかっ!」ドゴッ


漣  「ぐほぁっ。」ガクッ



最近、数年越しの正夢を見た。


チュドーン


南方戦「・・・痛いじゃないの。」ニィ


最上 「今、直撃したよね?大和砲だよ?なんで無傷なのさ。」エェ


三隈 「もがみん、その調子で装甲を削ってくださいまし。その隙に上から狙いますの。」シュバッ


最上 「体良く逃げただけだよね、それ。まぁ、どのみちボクは盾役なんだけど・・・。」ハァ


南方戦「ほら、いくわよ。」ボカーン


三隈 「ひっ!」サッ


最上 「よっと。」ブゥン バシャーン


三隈 「なんて巫山戯た射程をしてますの・・・。こちらのレールガンもギリギリですのよ?」クッ


最上 「おかしいな。設定は反射のはずなんだけど・・・。逸れただけなんてね。」


最上 「これが、自力の差ってやつなのかな~。」ハハッ


南方戦「もう終わりかしら?この程度であのひとと並んで闘おうだなんて、笑わせてくれるじゃない。」ニィ


三隈 「」ブチッ


三隈 「もがみん、下がってくださいまし。」ブゥン


最上 「・・・みっちゃん、それは流石にやばいんじゃ。」


三隈 「煽ったのはあっちですの。」


最上 「いや、だから・・・。」


三隈 「殺す気で撃ってやる。」シュンッ


最上 「だから話をって、あ~あ。南さんに怪我させて怒られるのはみっちゃんなのに・・・。」


最上 「ボクは庇ってあげないよ~。本気で怒ったクロさんに向き合う度胸はないからね。」ソソクサ


ソーラーレイデスノ!!


・・・


黒霧 「」ピタッ


紫苑茜「どうしたのよ。大本営はもうすぐそこよ?」


黒霧 「・・・手早く済ませよう。」バッ


紫苑茜「ちょっ!ほんとにどうしたのよ!」ネェ!



責任者は何処か。


加賀 「さて、お話といきましょうか。」セイザ


真宵 「それは構わんが、まずは縄を解いてくれんか。」ギチッ


加賀 「自力で抜け出しては如何です?」ジトッ


真宵 「そうだな。」フンッ


ブチィッ パラッ


加賀 「・・・。」


真宵 「どうかしたか?」


加賀 「いえ、まさか本当に引き千切るとは思わなかったもので・・・。」


真宵 「そうか?この身体を見れば・・・。そういえば、こっちに来てからはちゃんと服を着ていたな。」


加賀 「はい?」


ヌギヌギ


真宵 「ふぅ。やはりこれが楽でいいな。」キラキラ


加賀 (・・・上裸。///)ボタボタ


真宵 「・・・すまん。刺激が強すぎたな。」


加賀 「いえ、お構いなく・・・。」ダバー


真宵 「医療班は何処か。」



サーモンピンクのビーチクルーザー


ノックシテモシモーシ


漣  「お邪魔しま・・・した~。」クルッ


曙  「なんでよ。」バシッ


漣  「いや、これはマジなやつやって。」ヒソヒソ


曙  「・・・何を見たのよ。」ヒソヒソ


漣  「加賀さんが鼻血を出しながら元帥に迫ってるところ。」ヒソヒソ


朧  「おー。ついにいたしちゃうー。」


曙  「ば、ばっかじゃないの!?///」フンッ


漣  「いや~。やっぱり加賀さんはショ・・・。」


ガシッ ン?


加賀 「誰が、なんですって?」チミドロ


漣  「わ~お。スプラッタ~。」ダラダラ


曙  「あ、あああ。」ガタガタ


朧  「」ソローリ


潮  「」チーン


真宵 「医療班は何処か!」クワッ



ただ訊かれなかっただけだ。


扶桑 「もう。何をしているんですか。」フキフキ


加賀 「・・・不覚だったわ。」


山城 「姉様、私にもティッシュを。」ズビッ


扶桑 「あら、花粉症?建造組でもなるんですね。」


山城 「いえ、鼻血です。」ポタポタ


扶桑 「山城まで・・・。仕方ないですね。」モウ


漣  「いや~。マジで死んだと思った。」アハハ~


曙  「あんたと居ると心臓に悪いわ。」


漣  「退屈しないっしょ?」ニヒヒ


曙  「命が幾つあっても足んないわよ。」ハァ


漣  「それはそうと、撫子やい。」


朧  「は~い~。」


漣  「うちらを生け贄にして逃げたべな。」ジトッ


朧  「悔い改めるつもりはない。」キリッ


漣  「うらぎりもの~。」ポカポカ


朧  「あ~れ~。」


曙  「付き合ってらんないったら・・・。」ハァ


潮  「ん・・・。」パチクリ


真宵 「やっと起きたか、寝ぼすけめ。」ナデナデ


潮  「真宵ちゃん・・・。ちゃんと服着ないと風邪ひくよ?」ダイジョウブ?


真宵 「心配無用だ。鍛えているからな。」フッ


漣  「ほんとエグい筋肉してるよね~。私達と歳変わらないくらいなのに、どんな鍛え方したらそうなるのかにゃ~。」


真宵 「歳が同じくらいだと?」


潮  「違うの?」


真宵 「正確な数字は憶えていないが、千は裕に超えているぞ?」


加賀 「はい?」


扶桑 「・・・うそ。」


山城 「えぇ・・・。」


漣  「ジジ・・・。」


曙  「それ以上はいけない。」クチフサギ


朧  「ジジイじゃん!?」クワッ


曙  「思わぬ伏兵が!!」シマッタァ



一般常識の一般とは、何を指してるのかしら。


真宵 「魔族ならば皆、そんなものだぞ?」


漣  「魔族ぅ!?」


扶桑 「そんな・・・。」ヘタッ


山城 「姉様。お気を確かに。」ヨリソイ


曙  「ビックリ人間じゃなかったのね。」


加賀 「あなた。どうして黙っていたの?」


真宵 「知らぬが仏と言うだろう?」


加賀 「でしたら、最後まで黙っていてほしかったですね。」


真宵 「・・・すまん。思慮が足りなかったようだ。」


加賀 「ちゃんと向き合ってくださいね。特に、扶桑さんは・・・。」


真宵 「ああ、わかっている。」


チョット! セメテオロシナサイヨ! ネェ! ネェッテバ!!


黒霧 「邪魔するよ!」バァン


漣  「邪魔するなら帰ってや~。」


黒霧 「じゃあ、また来るよ。」クルッ


紫苑茜「待ちなさい!」グイッ


黒霧 「・・・耳、痛い。」


紫苑茜「あんた。今、本気で帰ろうとしたでしょ。」


黒霧 「僕は早く帰りたい。」ジッ


紫苑茜「そんな瞳で見ても駄目よ。仕事をしてからにしなさい。」


黒霧 「わかった・・・。」


漣  「・・・だれ?」


曙  「知らないわよ。私に振らないで。」


潮  「真宵ちゃんと同じ匂いがする・・・。」


朧  「海の香りだ。」クンクン


曙  「朧、直接嗅ぐのはやめなさい。」グイッ


朧  「あ~れ~。」ズリズリ


黒霧 「個性的な娘達だね。」


真宵 「お前達ほどではなかろう。時雨よ、その荷物を下ろしたらどうだ?」


紫苑茜「誰が荷物よ。うちの男共は嗜虐的過ぎていけないわ。」


真宵 「喧しい。貴様の犯した罪を考えれば軽いものだろうが。」


紫苑茜「・・・返す言葉もないわね。」


黒霧 「そろそろ本題に入ろうか。」


真宵茜「お前(あんた)が言うな。」


山城 「息ぴったり・・・。」



空を翔るはパオラ便。ならば私は海を往く。


真宵 「紹介しよう。白髪の男が黒霧時雨。横の紫が阿婆擦れだ。」


紫苑茜「ちょっと?」


漣  「そんなっ。まさか・・・。」タジッ


曙  「どうして私のほうを見てるのかしらぁ?」ビキッ


漣  「横の紫=ボーノ。」


朧  「紫苑ちゃんは、あばずーれ。」


曙  「歯ぁ食いしばりなさい!」


バチーン! アイタァ!!


漣  「何故にあちきだけ・・・。」ヨヨヨ


紫苑茜「ねぇ、あなた。」チョイチョイ


朧  「は~い~。」


紫苑茜「何処でわたしの名前を知ったのかしら。」ズイッ


朧  「・・・は?」キョトン


漣  「うっは。撫子のあんな顔初めてみたぜい。」


潮  「思考が停止してる顔だ。」


曙  「紫苑は私の名前よ。あんたじゃないわ。」


紫苑茜「あっそ。でも奇遇ね。わたしも紫苑なのよ。苗字がだけどね。あんたは?」


曙  「私のは名前よ。物心つく前に孤児になったから、苗字は知らないわ。欲しいと思ったこともないけど。」フン


紫苑茜「あんた、生意気ね。年上から嫌われるタイプでしょ。」


曙  「あんたこそ、碌に友達もいないんじゃないの?」ハッ


紫苑茜「わたしはしーちゃんと一緒に居られるならそれでいいもの。他には何も望まないわ。」


曙  「そうやって誤魔化してきたわけね。いつまで保つか、見物ね。」フッ


ナニヨ アンタコソナニヨ


漣  「あ~あ。ま~た始まったよ。ぼのたんの捻くれ祭り。それで何回泣かされたんだっけ?」ハァ


朧  「丸ボーロは喧嘩が滅茶弱い。」


曙  「あんた、今なんつったぁ!!」クワッ


紫苑茜「うふふ。勝負の前に降参してもいいのよ~。」フフフ


黒霧 「自分が無様を曝すかも知れないからね。」


真宵 「子供との組み手で本気になった挙句、敗北した実績があるしな。」


紫苑茜「そういうことは黙ってなさいよ。」チッ


真宵 「良い勝負になりそうだな。」クハハ


漣  「応援してるぜ~。」


漣・朧「ボーノ ボーロ 丸ボーロ~♪」


曙  「後で憶えてなさい。」イライラ


漣  「そんなこと言われてもねぇ。」


朧  「ぼのりんは非力だから。」


漣・朧「蹴られたところで痛くねぇ。」キリッ


曙  「」っ金槌


漣  「・・・持てんの?」


曙  「今、頑張ってるのよ!」ナミダメ



檻の中の女神


曙  「だらぁぁぁ!!」プルプル


漣  「1ミリも動いてね~べ。」


朧  「ある意味才能。」ウム


黒霧 「長くなりそう?」


曙  「待ってなさい。今に持ち上げてやるから。」グギギ


漣  「目的変わってるぞ~。」


真宵 「無様を曝さずに済んだな、紫の。」


紫苑茜「あのさぁ。もう少しまともな呼び方ないわけ?」


真宵 「髪の色で呼ぶほうがわかりやすいだろうが。」


紫苑茜「そのシステムが適用されてるのわたしだけなんだけど。」


真宵 「名前で呼んでほしくば信頼の回復に努めることだな。」


紫苑茜「・・・わかってるわよ。」


曙  「こなくそぉぉ。」フンヌゥ


漣  「子供用のに換えようか~?」


曙  「けっこう!」


黒霧 「・・・。」ハァ


黒霧 「続きは基地に行ってからにしようか。」スッ


曙  「え?」


ヒョイッ


曙  「あ、あにするのよ!///」ジタジタ


黒霧 「茜姉さんは背中に。」


紫苑茜「はいはい。」


ヨット ノシッ


黒霧 「肩に座らないでほしいんだけど。」


紫苑茜「どうせ飛んで帰るんでしょ?後ろ向きに座らないと息ができないのよ。」


黒霧 「真宵、窓開けて。」


真宵 「それはいいのだが、狭いぞ?」キィ


黒霧 「心配ないさ。霧はどんな隙間もすり抜ける。」


シュンッ バサッ ベチッ アダッ


真宵 「行ってしまったか・・・。」


漣  「・・・え?ぼのたん、誘拐された?」


朧  「売られてゆ~く~の~♪」


霧島ミニ「あいたた・・・。」


真宵 「霧島、居たのか。」


霧島ミニ「はい、時雨さんの胸ポケットに収まって寝ていたのですが。いったい何が?」


真宵 「忘れられたらしいな。」


霧島ミニ「なんと・・・。まぁ、目的は達せられましたので。閣下、定期連絡に参りました。」ビシッ


真宵 「お前はそれでいいのか。」



空の旅へ


潮  「霧島さん・・・ですか?」


霧島ミニ「はい、私は霧島ですが?」チマッ


潮  「妖精さんの羽根が・・・。」


霧島ミニ「今の私は羅針盤妖精ですので。」キリッ


霧島ミニ「方向音痴ですが。」ボソリ


潮  「・・・え?」


イエ ナンデモアリマセン


真宵 「それよりだ。お前達、曙を追いかけなくていいのか?」


漣  「いいんでないの?」


朧  「ついてこいとは言われてない。」


真宵 「現代っ子か!時雨はお前達の教官だ!辞令を言い渡す。今すぐ追いかけろ!」クワッ


漣・朧「あらほらさっさぁ!!」ビシッ


漣  「いくぜぇ、撫子!」


朧  「おーともさ、澪ちゃん。ところで、何処に行くんで?」


漣  「知らねぇな!」


朧  「こんなときは・・・。」


漣  「部屋でゲームだな。」トテトテ


朧  「華麗なるリュカ捌きをとくと見よ。」フッフッフー


真宵 「島まで吹っ飛ばしてもいいんだぞ?」ゴゴゴ


朧  「それはそれで楽しそう。」ボソッ


真宵 「そうか。時雨が受け止めてくれることを祈るのだな。」ガシッ


朧  「」サー


ウラァ! イヤァァァ!!


漣  「撫子ぉぉぉ!!」


真宵 「」クルッ


漣  「いや・・・!来ないで!」タジッ


真宵 「潮、道案内をしてやれ。」ポム


漣  「ありゃ?」パチクリ


潮  「道案内だけでいいの?」


真宵 「残る残らないの判断は任せる。お前の知らない世界を見てこい。」


潮  「・・・わかった。いってきます。」


真宵 「よし。」フフ


漣  「実はちょっと飛んでみたかったりして。」


真宵 「潮をひとりにする気か?」


漣  「ですよね~。」


霧島ミニ「あの~。定期報告をしたいのですが。」


加賀 「私が聞きましょう。元帥には後で伝えておきます。」


霧島ミニ「そうですか。では・・・。」


霧島ミニ「紅茶分が切れたお姉様が暴れて大変なので、至急紅茶を支給されたし、とのことです。」キリッ


加賀 「・・・は?」ジロッ


霧島ミニ「私は伝令役ですので・・・。睨まないでください。」フルフル


加賀 「紅茶中毒が。」チッ


霧島ミニ「ひぃっ。」ビクビク



※彼女にそんな趣味はございません。


漣  「亜麻色の~ 長い髪を~ 風がや~さしく包む~♪」


潮  「澪ちゃんは歌が上手いね。」フフ


漣  「カラオケじゃあ90点を連発だぜい。」ドヤァ


潮  「カラオケ、行ったことあるの?」


漣  「これからそうなるのさっ。」フフン


潮  「そうだといいね。」ウフフ


漣  「悪意のない言葉ってなぁ、こうも心に刺さるものなのかねぇ・・・。」トオイメ


漣  「なでしこぉ~。あたしゃ、あんたが居ないと駄目だよぉ~。」オイオイ


潮  「大丈夫?何処か痛いの?」アセアセ


漣  「痛いねぇ。嗚呼、胸の奥がいてぇよ。姫百合よぉ、さすってくんない。」


潮  「こ、こう?」サスサス


漣  「いいねぇ。嗚呼、いいよぉ。段々、イケナイ気分に・・・。」ハァ ハァ


潮  「ふぇえ!///」マッカ


漣  「百合って、いいよね。だって君の名は姫百合だもの。」フフフ


潮  「いやぁぁぁ!」ダット


マテマテ~ コナイデー!


???「」チャプッ


???「・・・はぁ。」チャプン



年齢は倫理観の要素がひとつ。


扶桑 「マヨイチャン・・・」ブツブツ


山城 「嗚呼、お労しや姉様。」ヨヨヨ


真宵 「さて、どうするか・・・。」フム


山城 「どうするんですか?」


真宵 「それを今考えているのだ。」


山城 「取り敢えず、抱かれてみます?」ウデヒロゲ


真宵 「膝の上に座ると言え。」ヨッコイセ


山城 「最近、抵抗しなくなりましたね。」ギュッ


真宵 「無駄なことはしない主義でな。素直な子供のほうが楽だろう?」


山城 「あんまり手が掛からないのも寂しいような。」


扶桑 「」ブツブツ


真宵 「普段の扶桑なら・・・。」


山城 「代わってくれとせがんでくるところですが・・・。」


真宵 「重症だな。」ハァ


山城 「ですね。」ナデナデ


真宵 「おい。俺を子供と勘違いしてないか?」


扶桑 「真宵ちゃんは子供でいいんです!」クワッ


山城 「姉様?」


扶桑 「真宵ちゃんが年上だなんて・・・。私、信じませんからぁ!!」ウワァァン


山城 「それが引っ掛かってたんですか!?」ネエサマ!


真宵 「加賀よ。」


加賀 「何か?私は今、紅茶をどれだけ仕入れるか計算するので忙しいのだけど。」カタカタ


真宵 「人は何故、些末なことで悩んでしまうのだろうな。」


加賀 「私にとっては、それも些末なことなのだけど?」カタカタ


真宵 「そうだな。」


加賀 「それから、私はあなたを子供扱いなんてしませんから。」


真宵 「嫁に子供扱いされた日には、いくら俺でも泣くぞ?」フフッ


加賀 「ええ。だから・・・。今夜、待ってますね。」ニコリ


真宵 「そうか・・・。」フゥ


真宵 「・・・東に相談するか。」


ナニカ? イヤ ナンデモナイ



こんなの? 初めて!


真宵 「と、いうわけなのだが。」


近衛東「そんなことのために俺を呼んだのか?」


真宵 「そんなこととはなんだ。これは最重要案件だぞ。」


近衛東「お前の口癖は何だったか・・・。」ハァ


真宵 「喧しい。我ら久遠に子孫を残すという概念は無いのだ。経験がないのは寧ろ道理とも言える。」フンッ


近衛東「で、何を悩んでいるんだ?求められたのなら、応えてやればいいだろうに。」


真宵 「いやな。上手くできるか・・・不安でな。」


近衛東「誰でも最初は拙いものだろう?」


真宵 「それは尤もなのだが、普段の俺の振る舞いからして、加賀の抱いている理想が高そうで怖い。」


近衛東「知ったことか。」


真宵 「参考までにお前とゴーヤの話を聞きたい。教えろ。」


近衛東「教えを請う者の態度ではないな。それに俺とゴーヤの間に爛れた関係は無いぞ。」


真宵 「おい。夫婦の愛情表現を爛れた関係と一緒にするな。というか、お前達は結婚して暫く経つのではないのか?」


近衛東「そうだな。かれこれ一年は経つか・・・。」


真宵 「その間、1回もないのか?」


近衛東「ない。ゴーヤは清廉潔白だからな。」


真宵 「お前に遠慮しているだけだろ。偶にはお前から歩み寄ってやれ。」


近衛東「これは真宵の相談話ではなかったか?」


真宵 「始めはな。だが、お前では話にならんことがわかっただけだったのでな。」ハァ


近衛東「女性関係の相談は時雨に限る。結婚やら子育てやらは、奴にしか経験のないことだからな。」


近衛東「それを承知で、何故俺に相談した?」


真宵 「時雨が長けているのは女を堕とす技術であって愛の伝え方ではないからな。」


真宵 「あれに相談したら、それこそ爛れた関係に陥りかねん。」


真宵 「知ってるか?時雨はな、自分から女に手を出したことがないのだ。これまでの関係も全て、女が時雨に惚れて始まっている。」


近衛東「今回に限って言えば、俺も真宵も同じだと思うが?」


真宵 「懐刀の男共は揃いも揃ってポンコツだな。」


近衛東「魔性、とも言えるな。」


真宵 「お前の場合は特にな。」


近衛東「違いない。」フッ


???「真宵ちゃんはまだ、子供。まだ・・・子供。」フフフ



君はまだシンデレラさ~♪


近衛東「さて、俺は席を外そう。」スッ


真宵 「まぁ、待て。もう少しくらいよいのではないか?」


近衛東「充分に時間はあっただろう。誠実に向き合え。なるようになるさ。」


真宵 「逆に言えば、なるようにしかならんということだろうに。」ハァ


近衛東「そうとも言うな。」フッ


デハナ アア


真宵 「・・・いい加減に出てこい、扶桑。」


扶桑 「気づいていたんですね。私が居ることに・・・。」ヒョッコリ


真宵 「まぁな。取り敢えず、座れ。」


扶桑 「はい。」スッ


真宵 「今回は、向き合って座るのだな・・・。」


扶桑 「ええ。だって、真宵ちゃんにはちゃんと向き合ってほしいですから。」ウフフ


真宵 「ああ・・・。」


扶桑 「」ニコニコ


真宵 「・・・俺の何が不満だ?」


扶桑 「もう・・・。直球過ぎますよ?」ムゥ


真宵 「回りくどい訊き方をして齟齬が生じてはつまらんだろう。だから単刀直入に訊く。何が不満だ?」


扶桑 「真宵ちゃんに不満なんてありません。だって、真宵ちゃんは私達を救ってくれたんですもの。」


真宵 「そうか。不満がないというのは結構なことだ。だが、思うところはあるのだろう?」


扶桑 「ええ。まぁ・・・。」


真宵 「この際だ。遠慮なく言え。」


扶桑 「・・・私は、真宵ちゃんが本当に子供だと思っていました。ちょっぴり優秀で、特殊な能力を持った子供なんだ・・・と。」


扶桑 「でも、違った。艦としての年齢で考えても、私の何倍もの時を生きている大人だった。」


扶桑 「それがショックだったんです。」


真宵 「そうか・・・。」


扶桑 「真宵ちゃんに出会って、あの笑顔を見て・・・。嗚呼、この笑顔を護りたいって。これが母性なんだって・・・。」ウゥ


扶桑 「私のこの母性は、これからどうすればいいんですかぁ!!」ブワッ


真宵 「俺に向ければよいのではないか・・・?」


扶桑 「無理です!私は真宵ちゃんが子供じゃないって、知ってしまったからっ!」


真宵 (雲行きが怪しくなってきたな。)ムゥ


扶桑 「だから・・・私、母を卒業することにしました。」グスッ


真宵 「そうか・・・。」


扶桑 「でも、真宵ちゃんが大人になる瞬間を見届ける前に卒業するわけにはいきません。」スクッ


真宵 「俺は大人ではなかったのか?」ン?


扶桑 「まだ、子供の部分がありますよね。」ジリッ


真宵 「まさか・・・。」タラー


扶桑 「私で大人の階段を上ってみませんか?」ニコリ


真宵 「・・・詰んだな。」ハハッ



主人公は誰か。


扶桑 「真宵ちゃん・・・。」ジリジリ


真宵 「少し、時間をくれ。」


扶桑 「嫌です。」ニッコリ


真宵 「万事休すか・・・。」ハァ


扶桑 「覚悟は出来たみたいですね。」ウフフ


真宵 「そうだな。魔王ともあろう者がこうも振り回されるとは・・・情けない話だ。」


扶桑 「もう。今はそんなことどうでもいいではないですか。真宵ちゃんは真宵ちゃんです。」


真宵 「いや、関係はある。魔族を統べる者として、器も懐も大きいことを示さねばならん。」


真宵 「この世界に魔族は居らずとも、俺に付き従う懐刀の面々は居るのだからな。」


真宵 「それに、俺はただでさえ身体が小さい。せめて心は大きく在りたいと思うのも道理ではないか?」


扶桑 「それはまぁ、確かにそうかも知れませんね。」


真宵 「だから俺は、覚悟を決めた。」


扶桑 「はい。」


真宵 「扶桑、お前を妻に迎える。序でに山城もだ。」


扶桑 「・・・はい?」


真宵 「3人まとめて愛してやる!加賀に殴られる覚悟はもう出来ているぞ!」フハハ


山城 「まーちゃん!」バァン


扶桑 「山城!?」


山城 「今の話は本当ですか!?」クワッ


真宵 「ああ、本当だ。指輪は今から買ってくる。少し待っていろ。」


山城 「奥さん。私が、まーちゃんの奥さん・・・。」ウフフフ


扶桑 「どうしましょう。山城が壊れてしまったわ。」アラアラ


山城 「扶桑姉様。」


扶桑 「何かしら?」


山城 「私、もう姉様に遠慮しませんから。」フフ


扶桑 「そう・・・。でもね、山城。今まで遠慮してたと思ってるなら、それは貴女の勘違いよ?」


山城 「なんてこと。」ガーン


扶桑 「これからは一緒に幸せになりましょうね。」ウフフ


加賀 「あなた。」チョイチョイ


真宵 「2、3発は覚悟している。」


加賀 「違うわ。」


真宵 「そうか。」ホッ


加賀 「扶桑さんに山城、そして私は同じ苦しみを味わった仲間。」


加賀 「正直、私ひとりで幸せになっていいものか、後ろめたさもあったの。」


加賀 「だから、今回のあなたの選択をどうこう言うつもりはないわ。」


真宵 「だが、条件があるのだろう?」


加賀 「当然よ。」


真宵 「誓おう。俺はお前との約束を必ず守り抜く。」


加賀 「聞く前に、そんなことを言ってしまっていいのかしら?」


真宵 「俺なりに誠意を示したつもりだ。何でも言え。俺はその全てを受け入れよう。」


加賀 「そう。では、お言葉に甘えて・・・。」


加賀 「愛に順位を付けないで。」


真宵 「・・・それだけか?」


加賀 「これは大事なことよ?特に、子供を産める産めないの差がある、私達にとっては・・・。」


真宵 「・・・そうだな。わかった。俺はお前達を平等に愛そう。公平ではなく、平等にな。」ニィ


加賀 「やっぱり公平に愛する方向でお願いするわ。」


真宵 「ああ。精々自分を磨くことだ。」フフッ


加賀 「随分と上からものを言うのね。」ムッ


真宵 「許せ。今日は俺も疲れた。」


加賀 「今日だけよ?」


真宵 「ああ・・・。」


山城 「姉様、私達かなり出遅れてませんか。」


扶桑 「ええ。これは由々しき事態よ。」ドウシマショウ


山城 「襲いますか?」ヒソヒソ


扶桑 「既成事実ね。」ヒソヒソ


加賀 「一番は譲れません。」ズイッ


扶桑型「」ビクッ


加賀 「今夜は私が貰います。明日、明後日は譲りましょう。」


扶桑 「なるほど。一日交替ですか。」


山城 「では、明日は私が。」


扶桑 「明後日は私ですね。」ウフフ


真宵 「・・・大丈夫。このためではないとはいえ、俺には鍛えた肉体がある。大丈夫だ、きっと。」


真宵 「取り敢えず、指輪を買ってくるか。」トテテ



朧のなが~い空の旅


アババババ


紫苑茜「好い風ね~。」フゥ


曙  「どこがよ!風圧の所為で碌に息もできんわ!」クワッ


紫苑茜「あんた、この風の中よく聞き取れたわね。」スゴイワ


曙  「えぇ!?聞こえない!」


紫苑茜「しーちゃん、趣味が悪いわよ。」


黒霧 「ふたりには啀み合ってもらってたほうが面白いからさ。」


紫苑茜「言い切ったわね・・・。」コノコハ


・・・アァァ


紫苑茜「ねぇ、何か飛んでくるわよ。」ナニアレ


黒霧 「・・・真宵め。」


曙  「ちょっと!いい加減、何処に連れていくのか教えてくれてもいいんじゃないの!ていうか、放せぇ!」ジタジタ


黒霧 「お望みとあらば。」パッ


曙  「へ?」


イヤァァァ!!


黒霧 「茜姉さんも一旦降りて。」


紫苑茜「せめて高度と速度を落としなさいよ。わたしはあんた達と違って頑丈じゃないんだから。」


黒霧 「問答無用。」フリオトシ


紫苑茜「あ!このっ!後で憶えてなさいよ~!!」ヒューン


黒霧 「さて、と。」クルッ


朧  「あい うぉんと~。」ビューン


ドゴッ


黒霧 「くっ・・・。頭突きすることないだろうに。首、大丈夫?」


朧  「救急車・・・。いや、霊柩車・・・。」ガクッ


黒霧 「ボケのために命を懸けるとは、五月雨みたいな娘だね。人に迷惑を掛けるところもそっくりだ。」ハハッ


チョット! ナニカワスレテナーイ!


黒霧 「ごめん。今、動けそうにないや。」ズツキノダメージガ・・・


アンタ フザケルノモタイガイニッ バッシャーン


黒霧 「あ、そうだ。集積に戻っておいてね~。」


・・・キコエテナイカナ?



人の性格はそう簡単には変わらない。


朧  「いってぇ・・・。マジ、首いってぇ。」サスサス


黒霧 「無茶するから。ほら、ちょっと診せて。」


朧  「ん。」


黒霧 「・・・うん。捻挫してる。」


朧  「なんと。」オゥ


黒霧 「応急処置して暫く安静にするのと今すぐに治すの、どっちがいい?」


朧  「もち、後者。」キリッ


黒霧 「みんなには内緒だよ?」スッ


ンンッ


朧  「」ホケー


ハッ


朧  「また怪我してくりゅ!」キラキラ


黒霧 「程々にね。」フフッ


曙  「あにやってんだか・・・。」プカプカ


集積姫「あの子は昔から倫理観がズレてるのよね~。」プカプカ


曙  「あんた達、付き合い長い・・・の。」チラッ


集積姫「まぁね。わかりやすく言えば、幼馴染みってところかしら。」


曙  「・・・けて。」フルフル


集積姫「なぁに?何か言った?」


曙  「だずげで、撫子ぉぉぉ!」ビェェ


集積姫「ちょっと。泣くことないでしょ?別に取って食べようってわけじゃないんだから。」


曙  「・・・食べるの?」ウルウル


集積姫「それもアリな気がしてきたわね。///」ウフフ


曙  「ばぁぁぁぁ!!」ダバー


ジョウダンヨー


黒霧 「昔は泣き虫だったのかな?」


朧  「ちゃん澪が矯正するまでは、あんな感じ。」


黒霧 「姫級に出会したくらいで泣いてもらっちゃあ、困るな~。」フフフ


朧  「・・・鬼教官の予感。」オーウ



自分を変える契機は外からやってくる。


曙  「ひっく。えぐっ。」グスッ


朧  「おーよちよち。」ナデナデ


曙  「うぅ。」ヒシッ


集積姫「ねぇ、これってわたしが悪いの?」


黒霧 「茜姉さん以外に加害者が居るとでも?」


集積姫「少なくともあんたはこっち側よ、しーちゃん。」


黒霧 「何のことやら。」


集積姫「まったく。そうやって今までどれだけの女を泣かせてきたのかしら。」ヤレヤレ


黒霧 「星の数くらい?」


集積姫「いっかい死んで人生やり直してみたら?」


黒霧 「死んだところで過去が変わるわけじゃない。それは茜姉さんも経験済みでしょ?」


集積姫「・・・そうね。」


黒霧 「それにあんまり優しく接してると、いざというときに役目を全うできなそうで恐い。」


集積姫「へぇ。それが本音?てっきり、そういう趣味なんだと思ってたわ。」


黒霧 「女性の泣き顔は好きだよ?」


集積姫「あんた、それ冗談でもわたし以外の人の前では絶対に言っちゃ駄目よ。」


黒霧 「わかってるよ。」フフッ


集積姫「ほんとにわかってるのかしら・・・。」フアンダワ



私にもわからない苦悩がそこにはある。


集積姫「そもそも、しーちゃんの言ういざというときって愛する者を手に掛けるときのことでしょ?そんなことあるかしら。」


黒霧 「間宮のこと・・・忘れたとは言わせないよ。」オォォ


集積姫「彼女を愛したしーちゃんは偽りの人格だったんじゃなかったの?殺気出てるわよ。」


黒霧 「新たな人格を創ることは僕の十八番と言ってもいいくらいの技能さ。だけど、僕は人格の消し方までは知らない。」


集積姫「じゃあ、しーちゃんは今でも間宮ちゃんのこと・・・。」


黒霧 「"愛してる"よ。」


集積姫「言っちゃうのね、その言葉。生前には一度も言ってあげなかったくせに。」


黒霧 「言葉の力には凄まじいものがあるからね。それで選択を誤ってしまっては元も子もないでしょ。」


集積姫「そう・・・。つらい役割を押し付けてごめんなさいね。おいで。お姉ちゃんが抱き締めてあげるわ。」ホラ


黒霧 「さて、そろそろ出発しようか。」スック


集積姫「ちょっとー?」


黒霧 「慰めは不要だよ、茜姉さん。そんなことされたら、好きになっちゃうでしょ?」フフッ


集積姫「ばっちこいよ。」ホレホレ


黒霧 「冗談だよ。」ニコリ


集積姫「何よ。つれないわね。」ムゥ


黒霧 「撫子。紫苑。おいで。」


朧  「あいあい。」スーイ


曙  「だから、本名で呼ぶなっての。」グスッ


黒霧 「まだ泣いてたの?」


曙  「う、うるさい!///」


黒霧 「次、君が泣くようなことがあったら・・・。」


朧  「ら~?」


黒霧 「二度と泣けないように、その涙を枯らしてあげるよ。」ニコォ


曙  「」ピゥッ


黒霧 「はい、しゅっぱ~つ。」ダキカカエ


朧  「おしんこー。」ダー


曙  「・・・コロサレル」ガタガタ


・・・


集積姫「わたしは!?」オキザリー



相手に合わせると意外になんとかなったりする。


漣  「まてまて~。」ウエヘヘ


潮  「いやぁぁぁ!」


???「いい加減にするでち!」ガシッ


漣  「うわっ!」バシャーン


潮  「ゴーヤさぁん!」ヒシッ


ゴーヤ「もう大丈夫でちよ。この色情魔はゴーヤがとっちめてやるでち。」ヨシヨシ


漣  「あたたた。水面って結構痛いんだ。初めて知ったぜい。」ハナガ


ゴーヤ「まったく。どうしてお前は問題を起こさないと行動ができんでちか。」


漣  「だってぇ。個性が死んじゃうんだもん。」


ゴーヤ「軍人に個性は要らんでち。」


漣  「澪ちゃんってば軍人だったんだ。」ワーオ


ゴーヤ「こいつっ。」イラッ


潮  「うぅ。」グスッ


ゴーヤ「取り敢えず、潮に謝罪するでちよ。」


漣  「あーはいはい。め・・・。」


ゴーヤ「巫山戯たら、わかってんだろうなぁ。」ゴゴゴ


漣  「誠に申し訳御座いませんでした。私にそのような趣味は御座いません。どうか御安心下さい。そして今まで通りに接して下さい。」


ゴーヤ「どうするでちか?潮。」


潮  「・・・うん。澪ちゃんの性格はよく知ってるから。あれが本気じゃないってことはわかってたよ?」


潮  「だけど、これからは控えめにしてくれると嬉しいな。」フフ


漣  「有り難き幸せ。」ハハァー


ゴーヤ「よし。それじゃあ行くでちよ。ここからはこのゴーヤ姉さんが先導してやるでち。」ムフン


漣  「お、マジで?やりぃ!なら、あちきは後ろに下がっとくんで、よろしくでーす。」ソソクサ


ゴーヤ「ん?どうして後ろに下がる必要があるでち?」


潮  「ゴーヤさん・・・。後ろ。」フルフル


ゴーヤ「後ろ?」クルッ


集積姫「ねぇ、しーちゃんったら本当にわたしを置き去りにして行きやがったの。流石に酷いと思わない?」


ゴーヤ「そうでちか。それは災難だったでちな。」


集積姫「でしょ?後でとっちめてやらなくちゃ。」ムフー


ゴーヤ「手を貸すでちか?」


集積姫「あら、いいの?悪いわね。助かるわ。」フフ


ゴーヤ「困ったときはお互い様でちからな。」


潮  「凄い。ゴーヤさん、深海棲艦と普通にお喋りしてる。」


漣  「見る目がないねぇ、姫百合ちゃんよぉ。苦瓜姉さんの瞳を見てみな。」


潮  「瞳?」


漣  「ありゃあ、人生を諦めた瞳さね。」ハッ


潮  「ヤケクソだったんだね・・・。」


漣  「そーさね。その証拠に、苦瓜姉さんと呼んでも魚雷が飛んでこない。」キリッ


潮  「ほんとだ!」


集積姫「言われてるわよ?」イイノ?


ゴーヤ「演習用の魚雷ならまだしも、実弾は洒落にならんでち。ゴーヤはまだまだ東とイチャコラしたいでち。軍法会議は勘弁でち。」


集積姫「あんた、東と深い仲なの?」


ゴーヤ「深いも何も夫婦でち。そっちこそ、ゴーヤの旦那を知ってるでちか?」


集積姫「知ってるも何も、わたしと東は懐刀の仲間よ。」


ゴーヤ「は?深海棲艦が懐刀ぁ?」


集積姫「まぁ、そうなるわよね。でも困ったわ。この姿じゃないと海の上に立ってられないのよね・・・。」ドウシマショウ


集積姫「・・・取り敢えず、目的地に向かいましょうか。」


ゴーヤ「そうでちな。ふたりとも、行くでちよ。」


ハーイ


潮  「このままついていっても大丈夫なのかな。」ヒソヒソ


漣  「どっちにしたって、うちらの実力じゃあ逃げ切れねーべ。今はただ、前進あるのみってな。」


潮  「澪ちゃんがかっこいい。」


漣  「姫、私の瞳をよく御覧下さい。」キリッ


潮  「・・・魚が死んだ瞳をしてる。」ヤケクソダ


漣  「そゆこと。でも、流石に言いすぎでないかい?」キズツクゼ



やっぱり好きなんだ。


「灯りを点けましょ 摩天楼~♪」


「ぽい」


「水辺に咲くのは 彼岸花~♪」


「ぽい」


「雑木林の古井戸を~♪」


「ぽぽい」


「覗けば けんちゃん おいわさん~♪」


「ぽぉぉい」グスッ


「貴女、大好きだったものね。」


「今でも大好きっぽい~。」ウアァ


「存分に泣くといいわ。そして前を向くのよ。」ヨシヨシ


「違うの。これは笑ってるの。」ポイ


「紛らわしいわ!」



時間軸を乱立させるのも程々に。


加賀 「お取り込み中申し訳ないのだけど、仕事よ。」コンコン


???「やっとお仕事が始まるのね。まったく。待ちくたびれちゃったわ。」ムフー


加賀 「くたびれている割には気合いが入っているようね、雷。」フフ


雷  「当然よ。久々だもの。」フフン


???「私はちょっとおセンチっぽい~。」ウゥ


加賀 「そんな夕立に朗報があるのだけど・・・。」


夕立 「な~に?」


???「やぁ。」ヒョコッ


加賀 「新しい同居人よ。仲良くしてあげなさい。」


夕立 「時雨っぽい~!」バッ


時雨 「うわわっ!ちょっと。いきなり飛びついたら危ないじゃないか。」モウ


夕立 「えへへ~。」スリスリ


時雨 「聞いてないな・・・。」アハハ


雷  「それで、お仕事は?」ソワソワ


加賀 「仕事は逃げたりしないわ。落ち着いて聞いてちょうだい。」


雷  「わかったわ。で?で?」ズズイ


加賀 「全くわかってないわね。まぁ、いいでしょう。貴女達にお願いする仕事は、この娘の護衛よ。」


霧島ミニ「どうも。」


雷  「・・・ちっちゃい霧島さんだ!」


夕立 「霧島さんは妖精さんっぽい!?」ビックリ


時雨 「へぇ。こう見ると戦艦の霧島さんも可愛いものだね。」


霧島ミニ「そうですか。元の私は可愛くないですか・・・。」ズーン


時雨 「あ、いや、そんなつもりじゃ・・・。」


霧島ミニ「いいんです。学生だった頃もあいつにフラれたら終わりだなんて言われてましたから。」ドヨーン


霧島ミニ「なんですか。私は恋愛の最終防衛線かってんですよ。」ケッ


時雨 「・・・どうしよ。地雷、踏み抜いちゃった。」


雷  「大丈夫!霧島さんは可愛いわ!私が保証する!」


霧島ミニ「」ブツブツ


夕立 「聞いてないっぽい。」


加賀 「放っておきなさい。そのうち勝手に立ち直るわ。霧島を胸ポケットに収めて、この島まで護衛をお願いするわね。」つ海図


雷  「了解したわ。」ウケトリ


加賀 「それから、時雨。」


時雨 「何かな?」


加賀 「元帥からの勅令よ。ある人物に会ってきなさい。護衛任務が終わった後にね。」


時雨 「うん。わかったよ。」


夕立 「それ、ついていっちゃ駄目っぽい?」


加賀 「護衛任務が終われば、貴女達は非番よ。」


夕立 「じゃあ。」キラキラ


加賀 「好きになさい。」


夕立 「やったぁ!時雨と一緒っぽい~!」キャイキャイ


雷  「こ~ら。まずは任務に集中しないと駄目でしょ?」メッ


夕立 「わかってるっぽい。」ムフフ~


時雨 「これは・・・。」


雷  「わかってないわね。」ハァ


加賀 「頼みますね、ふたりとも。」


雷時雨「了解!」ビシッ


夕立 「ぽい!?」



自らを演しゅつする乙めのかい


五月雨「どうして、こんなことに・・・。」


ヲ級 「南お姉ちゃんっ。」ヒグッ


レ級 「泣くな。泣くんじゃねぇ、ヲーちゃん。」ズビッ


蓮華 「ぐちゃぐちゃな顔をして何を言うか。」ハッ


レ級 「うるせぇ!これは・・・花粉症なだけだ!」ブワッ


レ級 「だいたい、なんでてめぇは平気そうな面してんだよ。」


蓮華 「あ?これが平気そうに見えるか?」オォォ


レ級 「」ビクッ


蓮華 「私にはまだやることが残っているのでな。涙を流している暇などないのだ。」ギラッ


三隈 「」ヒッ


最上 「白装束の用意でもしておこうか?」


三隈 「もがみん、助けてくださいまし。」ヒシッ


最上 「ボク、止めたよね?それを聞かなかったみっちゃんが悪い。ボクはこの件に関して一切擁護しないからね。」プイ


三隈 「そんなっ。」


最上 「まったく。クロさんに何て言って謝ればいいのさ。」


三隈 「あぁ。」ヘタッ


蓮華 「安心しろ。父上が貴様を罰することはない。」


三隈 「・・・。」


蓮華 「その前に、私が貴様の息の根を止めてやるからな。」オォォ


三隈 「」


南方戦(ふふふ。大分堪えてるみたいね。いい気味だわ。)


南方戦(少しお灸を据えすぎた気がしないでもないけど、これで多少は温和しくなるでしょう。)


南方戦(しかしまぁ・・・。起きづらいわね。まさか蓮華があそこまで怒ってくれるなんて、予想外だったわ。)


南方戦(なんだかんだ言って、ワタシのことが大好きなんじゃない。)フフッ


五月雨「・・・ん?」ワラッタ?


南方戦(さて、どうやって起きようかしら。あんまり普通に起きると怒りがワタシに向きかねないわ・・・。)


五月雨「南ちゃん、起きてますよね?」ヒソヒソ


南方戦「」ギクッ


五月雨「みんな蓮華ちゃんのほうに気がいってますから、起きてるなら私の手を握り返してください。」ヒソヒソ


ギュッ


五月雨「やっぱり。で、どうするんですか?この状況、そう簡単には収まりませんよ?」


南方戦「それを今考えてるのよ。アンタも手を貸しなさい。」


五月雨「え~。私は別に?ぜ~んぶ南ちゃんの演技だったって、みんなにバラしてもいいんだけどな~。」チラッ


南方戦「・・・何が望みよ。」


五月雨「それはこれから考えます。」


南方戦「わかったわよ。なんでもいいから手伝ってちょうだい。」チッ


五月雨「交渉成立ですね。」フフー


ヲ級 「ヲーちゃん、いいこと聞いちゃった。」ニマニマ


南方戦「くっ・・・。もうひとりくらいなら。」


レ級 「それ、どうにかふたりに増やせねぇか?」ニィ


南方戦「蓮華に気が向いてるんじゃなかったの?まぁ、わかっ。」


ガラッ


黒霧 「ただいま。」


朧  「ただまー。」オッス


曙  「・・・コロサレル」プラーン


五月雨「あらら。起きるタイミング逃しましたね。」


南方戦「だったら、さっきの・・・。」


レ級 「今更なしにはさせねぇよ?なぁ、五月雨姉。」


五月雨「そうですね。少なくとも私とヲーちゃんの分は同意を貰ってますから。」ニタァ


ヲ級 「ふっふー。」ムフン


南方戦「憶えてなさいよ、この娘狐共。」ワナワナ


五月雨「上手く切り抜けられるといいですね。」ニコニコ


ヲ級 「健闘を祈るの。」ニパッ


レ級 「また、仲間外れか・・・。」ズーン



状況把握は冷静に。


黒霧 「随分と荒れてるみたいだね、蓮華。」


蓮華 「当然だろう?この女が、母上を・・・母上をっ!」クッ


三隈 「」


黒霧 「」チラッ


五月雨「」ニコニコ


ヲ級 「」ムフフー


レ級 「やっぱり俺は虐められっ娘。」イジイジ


最上 「あのさ、クロさん。なんて言ったらいいか、わかんないけど・・・。」


黒霧 「最上が気に病むことじゃないさ。なんとなく状況はわかったから、後は任せてよ。」フフ


最上 「え?・・・うん。」キョトン


黒霧 「さて、蓮華。南が今どんな状態なのか、説明してくれるかな。」


蓮華 「母上は今、意識不明の重体だ。肉体の損傷も激しい。今夜が峠だろう。」ギリッ


黒霧 「そう・・・蓮華は知らなかったんだね。まぁ、闘ってる南の姿を見たことが無いだろうから、当然と言えば当然か。」


蓮華 「何がだ?父上。」


黒霧 「南はね、驚異的な自己再生能力を持ってるんだよ。即死さえしない限り、危篤状態にだってなりはしないさ。」フフッ


蓮華 「・・・は?」


黒霧 「良かったね、南。蓮華は君のことが大好きだってさ。」


南方戦「そうね。あんまり父上父上うるさい娘だから、安心したわ。ワタシも蓮華が大好きよ?」フフフ


蓮華 「はぁ!?///」カァァ


五月雨「あはは~。引っ掛かってやんの~。」プークスクス


蓮華 「趣味が悪いぞ!お姉ちゃん!」マッカ


五月雨「私の趣味が悪いのはお父さんの遺伝ですー。文句ならお父さんにどうぞ。」


蓮華 「くぅっ!」キッ


黒霧 「カメラがあれば良かったのに。」ボソッ


蓮華 「父上のあほぉ!!」ポカポカ


アハハ


三隈 「助かった・・・。」ホッ


黒霧 「あ、三隈は後で僕と演習ね。」ニコリ


三隈 「神様ッ。」アオザメ


五月雨(シンパシーを感じる!)ムムッ



あの天使は何処へ・・・。


五月雨「よかったですね、なんとかなって。」


南方戦「ほんと、時雨の勘が良くて助かったわ。」ハァ


五月雨「約束、忘れないでくださいね。」ニコー


南方戦「はぁ?アンタ達は何もしてないでしょうが。」


五月雨「やだな~。ドッキリ首謀者の汚名を被ってあげたじゃないですか~。」


南方戦「・・・そうね。」


五月雨「チョロい。」ボソッ


ナニカイッタ? イエイエナニモ?


南方戦「でも、ヲーちゃんは本当に何も。」


ヲ級 「ヲ?」ウルウル


南方戦「何も・・・。」


ヲ級 「」ウルウル


南方戦「この場に居てくれたものね。」クッ


ヲ級 「なの!」ムフー


レ級 「」ツップシ


五月雨「レーちゃんは何も要求しなくていいんですか?」


レ級 「どうせ俺はハブられる運命なんだよ。」モゴモゴ


五月雨「何を言ってるんですか。私達はレーちゃんにお父さんを譲っただけですよ?」


レ級 「は?」


五月雨「これを口実にして、お父さんに甘えてくるがいいです。」フッフー


ヲ級 「レーちゃん、ファイトなの。」ニパッ


レ級 「五月雨姉、ヲーちゃん・・・。」ジーン


レ級 「おう!ふたりとも、ありがとな!行ってくるぜ!」ニカッ


トウチャーン! バッ オット ドウシタノ? エヘヘー


五月雨「存分に甘えるといいですよー。私達は南ちゃん経由で、もっとすんごいことを要求するので。」ニコニコ


ヲ級 「なの。」ニコニコ


南方戦(集積。アンタの娘はとんでもない化け狐みたいよ。責任をとって再教育しなさいよね。)トオイメ


南方戦「と言うか、集積は何処に消えたのよ。」



嫌われたほうが記憶に残る現実。


集積姫「あ~。自分の足で移動すると遠いわね~。浮島のままだったら、もう着いてたでしょうに。」ヨロヨロ


ゴーヤ「浮島でちか?」


集積姫「そう。後ろのふたりが着任するはずの訓練基地は元々、急設された浮島だったのよ。」


漣  「ほ~ん。浮島だってさ。移動要塞みたいに動くのかね。」


潮  「引っ張って?」


漣  「無茶言うない。いくら浮島とは言え引っ張ったくらいで動く訳が・・・。」


集積姫「動くわよ。実際に引っ越しの時も、何人かで引っ張ったんだから。」


漣  「わ~お。引っ越し後の着任で助かったぜい。」


集積姫「ほんと、あんな肉体労働は二度と御免だわ。」ゲッソリ


潮  「浮島と綱引き・・・面白そう。」ボソッ


漣  「せんせ~い。ここに体力莫迦が居ま~す。」


集積姫「あら、ほんと?丁度良かったわ。目的地までわたしを負ぶっていってちょうだい。体力の限界だったのよ。」ノシッ


潮  「うえぇ!?」ワタワタ


集積姫「よろしく~。」ダラー


漣  「すっげ、姫百合の頭にメロンが乗ってやがる。ただでさえでっかいのをぶら下げてるってのに。」ワーオ


潮  「もう!澪ちゃん!///」ムー


ゴーヤ「さっさと行くでちよ~。」


漣  「苦瓜姉さん、そろそろ元の姉さんに戻りましょうぜ。」


ゴーヤ「3発。」


漣  「ほへ?」


ゴーヤ「基地に着いたら演習用の魚雷を3発ぶち込んでやるでち。覚悟しとけ。」ギロッ


漣  「うはは~い。」フルエゴエ


潮  「苦瓜姉さんなんて呼ぶから・・・。」


ゴーヤ「1発、追加でち。」


漣  「なんで!?言ったの姫百合じゃん!!」


龍驤 「何を話しとるんや?君ら。」


漣  「あ、Cカップ先輩。おはざ~す。」ペコッ


龍驤 「泣かすぞ、コラ。」アァン?


漣  「間に合ってま~す。」シュバッ


集積姫「ちょっと、あまり脇腹に触らないでもらえる?くすぐったいわ。」


漣  「へ~。」ニヤッ


潮  「澪ちゃん、それだけは駄目だからね。」ジッ


漣  「あちきの魂が騒ぐんでい。笑いに命を懸けろと。」クッ


集積姫「若しくすぐったら、この娘の命は無いわよ?」グイッ


潮  「ひっ。」サー


漣  「やめろ!姫に手を出すな!やるならまず俺からにしろい!」クワッ


集積姫「そういう科白はわたしと向き合って言いなさいな。いつまで後ろに隠れてる気よ。」


漣  「Cカップ先輩の怒りが収まるまで。」


龍驤 「だったら呼び方を改めんかい!君は他人を貶める以外の笑いを覚えなあかんでぇ!」


漣  「いや、このスタイルは先輩方にしか使わないんで。」


伊龍驤「猶悪いわ!」



視力の低下につき、人の顔を認識できません。


集積姫「で、あんたは大本営に帰還中かしら?真宵は艦娘使いが荒いわね~。」


龍驤 「せやねん。嘆願状でも出そうかと今こっそり、てそうやなくてな。」オイ


漣  「流石は先輩、姫級を前にしても笑いを忘れないその根性。尊敬しまーす。」


龍驤 「・・・莫迦にしとらんか?」


漣  「そんな莫迦な。」エェッ


龍驤 「ま、ええわ。それよりもや、南のねえちゃんが意識不明の重体やて。」


集積姫「南方ちゃんが?何が原因よ。」


龍驤 「三隈の光熱砲に全身貫かれたらしいで。うちは直接見たわけやないから、詳しくは知らん。」


集積姫「そう。なら大丈夫でしょ。南方ちゃんは頑丈だから。」


龍驤 「そうか?蓮華が血相変えて飛び出して行きよったからな。大事やと思ったんやけど・・・。」


集積姫「へぇ、あの蓮華ちゃんがねぇ。良いこと聞いたわ。」フフフ


潮  「あのー。」


龍驤 「ん?どないしたんや?」


潮  「龍驤さんとこの深海棲艦さ・・・。」


集積姫「集積地棲姫よ。集積でいいわ。」


潮  「・・・集積さんはお知り合いなんですか?」


龍驤 「知り合い・・・か。まぁ、知らん仲ではないな。」


集積姫「そうかしら。わたしはあんたの顔くらいしか知らないけど。」


龍驤 「そらお互い様や。」


集積姫「だったら、知らない仲じゃない。」フフ


龍驤 「んなこと言い出したらキリがないやろ?知り合いでええやんか。」


集積姫「納得いきましぇーん。」ブー


龍驤 「めんどくさっ。」


潮  「仲良しさんみたいだね。」


漣  「これが作戦の内だったら大したもんだぁね。」ウム



最高記録 ほろ酔い2本


ゴーヤ「それで姐御は何処に向かってるでちか?」


龍驤 「ん?ああ、せや。クロさん呼びに行こう思うてこっちまで来てん。クロさんは何処や。一緒に居ったんと違うんか?」


集積姫「一緒だったわよ。ちょっと前まではね。わたしだけ置き去りにして先に行きやがりましたの。」ムスッ


龍驤 「なんや荒れとんなぁ。でも、うちはクロさん見てへんで?」


集積姫「はぁ?そんなわけないでしょ?しーちゃんは真っ直ぐ基地に飛んでったのよ?」


龍驤 「しーちゃん?」


集積姫「そこは気にしないでちょうだい。」オット


龍驤 「そう言われてもなぁ。見てないもんは見てないからな。」ウーン


集積姫「訓練生の娘をふたり連れてたのよ?あんたの電探に引っ掛からなかったわけ?」


龍驤 「せやな。君ら以外の反応は感知してへんで。」


集積姫「ふ~ん。てことは瞬影でも使ったのかしら。」


龍驤 「まっ、クロさんが基地に戻っとるならええわ。ほな、うちは大本営に帰らしてもらうわ。」ヒラヒラ


集積姫「やっぱり帰るんじゃない。パシリは大変ね。」


龍驤 「喧しい。パシリにはパシリの矜持があんねん。小間使い舐めんな。」ハッ


集積姫「かっこよくないわ~。」


漣  「先輩、ダサ~い。」


龍驤 「姫のねえちゃんとは気が合いそうで良かったなぁ、漣。とことん可愛がってもらいや。」ニィ


ホナ サイナラ


漣  「はっは。名誉を捨てて爆弾置いて行きやがりましたよ、あのCカップ。」


ゴーヤ「ゴーヤからもプレゼントでち。」ポイッ


漣  「・・・なんすか、これ。」マジマジ


ゴーヤ「お手製、小型爆弾でち。」ポチッ


チュドーン


ゴーヤ「姐御が信用する相手ならゴーヤも信用するでち。後は任せるでちよ。」チャプン


集積姫「あいあい。」ヒラヒラ


漣  「なんてぇ先輩よ。一発中破レベルの爆弾を新人にくらわすとか、ほんと莫迦でないの。」ケホッ


潮  「集積さん、重い・・・。」


集積姫「女性に重いなんて言っちゃ駄目よ。目的地はもうすぐだから、ほら頑張って~。」ダラー


潮  「自分で立ってよぉ。」ウゥ



忍び寄る影。それは海鳴の悪夢。


ゴーヤ「姐御。あの深海棲艦は本当に信用できるでちか?」


龍驤 「さぁ?」


ゴーヤ「さぁって、知り合いじゃなかったでちか?」


龍驤 「んなこと言われてもなぁ。うちは姫のねえちゃんをよく知っとる人のことを知っとるだけやし。」


龍驤 「正直、あれのことはわからん。普段は緩い感じやけど、腹の中で何を企んどるか・・・。」


ゴーヤ「ゴーヤ、そんな奴に新人を預けたでちか・・・。」


龍驤 「大丈夫やろ。最悪、クロさんがどうにかしてくれるわ。」


ゴーヤ「件の暗殺者でちか。」


龍驤 「なんや、クロさんのこと知っとるんか?」


ゴーヤ「東からそれとなく聞いてるでち。でも、詳しくは知らんでちから、姐御に聞かせてほしいでち。主に、為人の部分を。」


龍驤 「クロさんの性格かぁ。ちょっち長くなるで?」


ゴーヤ「どうせ暇でち。構わんでちよ。」


龍驤 「なら、遠慮なく。」


マズアノヒトハ・・・ デチデチ


???「東・・・ね。ふ~ん。こんな所に居たんだ。ふふ。久し振りの再会といきましょうか。」ゴポッ


・・・


夕立 「潮風が気持ちいいっぽい~。」ワフー


時雨 「そうだね~。」フフ


雷  「これで髪がベタつかなければ最高なんだけど。」オフロガタイヘンダワ


霧島ミニ「」ブツブツ


夕立 「霧島さん、まだいじけてるっぽい?」


雷  「余程暗い学生時代を過ごしていたみたいね。」


時雨 「ほんと・・・ごめん。」


雷  「時雨が気にすることじゃないわ。加賀さんも言ってたじゃない。そのうち立ち直るって。」


時雨 「でもさ。」


夕立 「む~。折角の海なのに雰囲気が台無しっぽい!時雨も霧島さんも気にしすぎっぽい!」ブー


時雨 「君はもう少し気にしたほうがいいと思うけど。」アハハ


夕立 「こんなときは思いっきり身体を動かして、汗をかくのが良いっぽい!紅蓮の孤島まで競争っぽい!」シュバァァ


雷  「あっ、こら!スタートの合図も無しに始めるのは卑怯よ!」シュバッ


時雨 「競争自体はいいんだ。」


霧島ミニ「妖精サイズとはいえ、私も負けませんよ!」バビューン


時雨 「ほんとに立ち直ってるし。霧島さんって意外と脳筋なのかな。」エェ


シグレモハヤククルッポイー


時雨 「はぁ、わかった。今行くよ。」ヤレヤレ


オッソーイ! イカヅチ ソレイジョウハイケナイ!



お姉ちゃんが来た!


龍驤 「ゴーヤ、気づいとるか?」チラッ


ゴーヤ「ばっちり気づいてるでちよ。」


龍驤 「なら、やることはわかっとるな?」ニィ


ゴーヤ「当然でち。」ニッ


ゴーヤ「水雷投下!からのダイブでち!」シュパンッ


龍驤 「ノースプラッシュ・・・10点。」ウム


ゴーヤ「捕まえたぁ!」バシャッ


???「いったぁ。もう、何すんのよ。」


龍驤 「どうしてうちらをつけとったんや?」


???「あっは。やっぱりバレてた?」


ゴーヤ「あんな御粗末な尾行に気づかないはずがないでち。莫迦にしてるでちか?」アァ?


???「うんにゃ?別に気づかれても不都合無かったし?」ニヒヒ


龍驤 「そうか。ま、取り敢えず真宵に突き出すで。海に潜っとったちゅうことは、懐刀の関係者やろ。」


???「真宵?懐刀?何それ。」


ゴーヤ「真宵を知らんでちか?現魔王でちよ?」


???「そういえばそんな名前だったっけ。ま、私は東に会えたらそれで充分だからさ。」


ゴーヤ「東とどんな関係でち?」ギロッ


???「睨まないでよ。私はあいつのお姉ちゃんよ。」ケタケタ


伊龍驤「は?はぁぁぁぁ!?」


近衛姉「以後お見知りおきをってね。」ニヒヒ



まさかこの人が再登場するなんて・・・。


夕立 「到着っぽいぃ!とと、うにゃぁぁぁ!」ズザー


雷  「あ~あ。止まることを考えてなかったのね。まったく、砂浜で良かったわ。」ハァ


夕立 「口の中がジャリジャリっぽい~。」ペッペッ


霧島ミニ「はぁはぁ。おぇっ。」ウプッ


時雨 「大丈夫?霧島さんって体力無いんだね。」サスサス


霧島ミニ「違います。身体が小さいので貴女達より飛行距離が相対的に何倍か長いだけです。」ゼェ ハァ


時雨 「そう・・・だね。」アハハ


コウチャハマダネー!!


夕立 「うわぁ~。」ポイ


雷  「想像以上だわ。」


時雨 「荒れてるね。」


霧島ミニ「お姉様・・・。」ハァ


榛名ミニ「霧島!戻っていたのね!」フワフワ


比叡ミニ「お姉様とドッジボール大会だー!」ワー


金剛 「紅茶ぁぁぁ!!」フヌヌヌ


榛名ミニ「お姉様!その大岩は洒落になっていません!」オチツイテクダサイ!


比叡ミニ「霧島、受け止めますよ!」ムフー


霧島ミニ「はい、比叡姉様。」ニィ


榛名ミニ「この脳筋共が!皆さんは逃げてください!」


雷  「逃げるったって・・・ねぇ。」


時雨 「あはは・・・。」


夕立 「もう手遅れっぽい。」


榛名ミニ「え?」クルッ


大岩< ヒューン


榛名ミニ「いやぁぁぁ!」


比叡ミニ「霧島!」


霧島ミニ「はい!」


鳳紅蓮「莫迦か、お前ら。人間が一軒家を持ち上げるようなものだぞ。潰されるのがオチだ。」


榛名ミニ「紅蓮さん!」パァ


鳳紅蓮「こういうときは、全力で殴り飛ばすに限る。」フッ


榛名ミニ「へ?」


ボコォッ イヤァァァ! ハヘンガ!


榛名ミニ「此処には脳筋しか居ないのですか・・・。」ボロッ


榛名ミニ「もう、いやぁ!家出してやるぅ!!」ウアァァ


時雨 「どうしよっか。」


雷  「護衛任務は達成したし、帰る?」


夕立 「こっそり行くっぽい。」


雷  「そうね。行きましょう。」


コソコソ シツレイシマース ポイ



蒼の再会


近衛東「・・・。」


近衛姉「やぁ、弟。貞操守ってる?」ニコニコ


近衛東「・・・。」イラァ


ゴーヤ(空気が重いでち・・・。)


真宵 「ほう。姉が居たのか、東。てっきり兄弟姉妹は居ないものと思っていたぞ。」フッ


近衛東「この女には良い思い出が無いのでな。できれば存在ごと記憶から消し去りたい。」


近衛姉「あ~ら、失礼しちゃうわね。そんなにお姉ちゃんのことが嫌い?」


近衛東「嫌いだ。」


近衛姉「はっきり言ってくれるじゃないの。お姉ちゃん、傷ついちゃうわ~。」シクシク


近衛東「で、要件はなんだ?さっさと済ませろ。そして帰れ。」


ゴーヤ(本当にお姉さんのことが嫌いでちね。)


近衛姉「もう、相変わらずつれないんだから。私の要件なんて訊かなくてもわかるでしょ?けっ・・・。」


近衛東「断る。」カエレ


近衛姉「ちょっと、せめて最後まで・・・。」


近衛東「聞く価値が無い。」カエレ


近衛姉「何よ~。仮にも私はあんたにとって初めての女なのよ?ちょっと冷たすぎるんじゃな~い?」ムゥ


近衛東「お前を女として見たことなどな・・・今、なんて言った?」


ゴーヤ「初めての・・・女?」ヘ?


真宵 「未経験ではなかったのか?東よ。」


近衛東「そのはずだ。俺は誰とも・・・。」


近衛姉「何?憶えてないの?ふ~ん。へぇ~。」ニヤニヤ


近衛東「なんだその顔は。俺はお前と床を共にした憶えは無いぞ。」


近衛姉「いやね。やけに積極的だな~とは思ってたのよ?それがまさか魅了の効きすぎが原因とは思わなかったわ~。」


真宵 「ほう。お前達近衛の一族が持つ能力か。確かあれは自分に気がある者に対してしか効果が無いのだったな。」フッ


近衛姉「あんた、お姉ちゃんのこと大好きなんじゃない。」ウフフ


近衛東「///」チッ


ゴーヤ「」マッシロ


近衛姉「あの海鳴の夜を再現してあげましょうか?///」フフ


近衛東「やめろ。もう何人の男に抱かれたかわからんその身体で俺に近寄るな。」


近衛姉「は?あんた、私のこと阿婆擦れか何かと勘違いしてな~い?」


近衛東「現にそうだろうが。」


近衛姉「は~。見る目がないのね、あんた。い~い?よ~く聞いておきなさい。」


近衛姉「私はね。身体の相性よりも心の相性を大事にしたいの。結婚したからといって、簡単に股を開くような女じゃないわ。」


真宵 「開いてもいいと思って結婚するものではないのか?」チラッ


加賀 「私をこの話に巻き込まないでもらえるかしら。何のために今まで黙っていたと思ってるの?」ジトッ


真宵 「そうだな。これは飽くまで、あいつ独自の理論だ。聞き流すとしよう。」


加賀 「賢明な判断ね。」


近衛姉「私がこれまで身体を許したのは、あんただけよ。」フフ


近衛東「それは・・・本当なのか?」


近衛姉「お姉ちゃんのことが信じられないの?」ン?


近衛東「何度も求婚しておきながら、結局は他の男と結婚するような女の言葉を信じろと?」


近衛姉「はは~ん。あんた、嫉妬してたんだ~。もう、可愛いところあるじゃな~い!」ギュッ


近衛東「そんなこと・・・ある、かも知れないな。」フッ


近衛姉「うふふ。ねぇ、東。改めて言うわね。私と、結婚してちょうだい。」ジッ


近衛東「・・・認めよう。俺は姉さんが好きだ。」ハァ


近衛姉「じゃあ・・・。」


近衛東「だが、その感情は"愛"に遠く及ばない。」


近衛姉「・・・は?」


ゴーヤ「ふぇ?」


近衛東「俺は、ゴーヤを愛している。俺の隣りはもう埋まっている。」


ゴーヤ「あずま・・・。」ウルウル


アズマァァァ!! ダキッ


近衛姉「あら~。」


近衛東「今度は立場が反対だな、姉さん。」ニッ



私の心はシリアスに囚われている。


近衛姉「へ~え。あんたが結婚ね~。おめでとう?」


近衛東「一応、礼は言おう。だが、何故疑問形なんだ?」


近衛姉「さぁ?素直に喜べないから?それとも諦めるつもりがないからかな~?」ンフフ


ゴーヤ「むっ。ゴーヤは東を譲る気はないでちよ。」ヒシッ


近衛姉「私だって、貴女に譲ってもらおうなんて考えてないわよ。貴女の後を引き継ぐのよ。」


ゴーヤ「なんでちか。離婚の予言でちか。そんなものは現実にさせないでちよ。」フルフル


近衛姉「自信は無いのね。」フルエテルワヨ


近衛東「大丈夫だ、ゴーヤ。俺はお前を放さない。たとえ、誰が立ちはだかろうとも・・・な。」オォォ


近衛姉「あら、怖い。でも安心なさい。あんた達の関係が続いている間は温か~く見守ってあげるから。」


ゴーヤ「そうでちか。」ホッ


近衛姉「た~だ、私達魔族とゴーヤちゃんとでは寿命の概念が違うでしょう?」


ゴーヤ「・・・ん?」


近衛姉「貴女の葬式を挙げた後に私が東を貰うわね。」ウフフ


ゴーヤ「上等じゃ、ごるぁ!!意地でも長生きしたらぁ!」ジャァ!


真宵 「東の言葉はそういう意味ではないのだがな・・・。」フゥ


真宵 「まぁ、俺も他人事ではないからな。少し、気合いを入れておくか。」オォォ


加賀 「」ビクッ


真宵 「・・・すまん。」


加賀 「いえ。私も、慣れなくて・・・。」モジモジ


近衛東(俺達の覚悟は既に出来ている。後はお前次第だ、時雨・・・。)


・・・


時雨 「」クシュッ


夕立 「時雨、風邪っぽい?」


雷  「ちょっと、大丈夫?」


時雨 「大丈夫だよ。さ、見えてきたよ。あれが目的の城さ。」


雷  「・・・城?」


夕立 「時雨、ほんとに大丈夫?」


時雨 「うん・・・今のは忘れて。///」カァァ


テイウカ フツウニシャベレルノネ アナタ



構想が練りきれていないのです。


バシュッ スカッ


黒霧 「ほら、どうしたの?掠ってもないよ?」フフフ


三隈 「っ~!」


黒霧 「隙あり。」バンッ


三隈 「ひっ!」チュイッ


最上 「ほえ~。クロさんって射撃もできるんだね~。それも狙って掠らせるなんて、流石は化物。」


五月雨「こら~。お父さんを化物呼ばわりすると、私がオコですよ~。」


最上 「でも、事実だし。」


五月雨「そうですね。」ケロリ


レ級 「ちゃんと否定してくれよ、五月雨姉。」


三隈 「くっ!ここは一旦距離をっ!」シュバッ


黒霧 「あらら。逃げられてしまった・・・なんてね。」ニィ


三隈 「この高度まで逃げれば、いくらクロさんといえども・・・。」


黒霧 「魔族には翼が付きものだよ?」シュンッ


三隈 「更に上ですの!?」


黒霧 「ちょっと痛いよ!」フンッ


三隈 「がっはぁ!」ドゴォ


レ級 「うお~。完全に入ったな、あれは。」オー


最上 「なんで飛べるのさ。」エェ


五月雨「翼があるからじゃないですか?」テキトー


ヲ級 「お父さんに翼なんて生えてないの。お風呂で見たお父さんの背中は綺麗だったの。」


五月雨「ヲーちゃん、お風呂で見たことは自分の内に秘めておくものですよ。」


ヲ級 「うん、わかったの!」ニパッ


最上 「で、なんで飛べるの?」


蓮華 「あれは原初の霧の権能を組み合わせたものだ。翼を創造し、飛行に適した肉体に強化する。そうして父上は空を翔る。」


最上 「なるほど。能力って便利だね~。」フーン


蓮華 「・・・そうだな。」


三隈 「だー!もう!!レールガンでは埒が明きませんの!」


三隈 「クロさん、三隈は貴方を信じますの。絶対に躱してくださいまし。」クッ


三隈 「ソーラーレイですの!」ブゥン


シュバァッ


黒霧 「」ヒラッ


ザシュッ クアッ


三隈 「流石・・・クロさんですの。」ハァ ハァ


黒霧 「駄目だよ、三隈。たとえ僕が相手でも殺す気で撃たないと。」グッ


ウァァァァ!


最上 「あー。若しかして、クロさん。かなり怒ってる?」


五月雨「案外愉しんでるだけとかじゃないですか?」


レ級 「うへぇ。痛そ・・・。」


ヲ級 「脇腹を刃が貫いてるの。」ヲー


蓮華 「・・・。」


南方戦「蓮華、随分と元気が無いみたいね。何をそんなに悩んでるのよ。」


蓮華 「悩んでいるのは私ではない。父上だ。」


南方戦「あっそ。だったら、アンタも気にしないことね。」


南方戦「ワタシにも相談しないようなことも、アンタにだけは話すのよ?それがひとりで抱え込んだら、もうどうしようもないわ。」


蓮華 「違うぞ、母上。私は父上の悩みを知っている。だからこそ心配なのだ。父上がいったいどちらの道を選ぶのか・・・。」


南方戦「そう・・・。あのひとの悩みが何なのか、癪なことにワタシは知らないけど・・・。」


南方戦「取り敢えず、アレ止めるわよ。三隈が大変なことになってるわ。」


蓮華 「やれやれ。始祖の血が騒いでしまったか、父上。」シカタナイナ


朧  「・・・グロい。」ウェ


曙  「コロサレル」ガタガタ



未来を失ったちびっ娘達。


漣  「姫姉様、あれは何ですかや。」


集積姫「さぁ?公開処刑かしらね。」


漣  「姫様、あれは何ですかや。」


潮  「」チーン


漣  「姫姉様、姫様がご逝去遊ばされました。」ガッショウ


集積姫「良かったわね、楽に逝けて。次は誰が餌食になるのかな~。」ウフフ


漣  「いやだぁ!!俺はまだ死にたくないぃ!!」ウアァ


・・・


雷  「ねぇ、目的地って此処であってるのよね?」


夕立 「間違ってると思いたいっぽい・・・。」


時雨 「残念ながら、あってる・・・かな。」アハハ


雷  「長居は無用ね。さっさと済ませて帰るわよ。」ハァ


夕立 「賛成っぽい。あの人はおっかないっぽい。」ウー


雷  「で、元帥が時雨に会わせたがってる人は誰だかわかってるの?」


時雨 「多分、あの白髪の人。」


雷夕立「・・・。」ウワァ


時雨 「ボク、行ってくるよ。」


夕立 「時雨、気をつけてっぽい。」フリフリ


雷  「行っちゃったわね・・・。ねぇ、夕立。」


夕立 「ぽい?」


雷  「どうして時雨はあの人が目的の人だってわかったんだと思う?」


夕立 「それは、元帥から特徴とか聞いて・・・ないっぽい。」アレ?


雷  「私達はある人物としか聞かされてない。なのに時雨はどうして・・・。」ウーン


夕立 「時雨に直接訊けばいいっぽい。」


雷  「私達も行く?」


夕立 「それは勘弁っぽい。」


アンタ ハクジョウネ ソノクチトジルッポイ


・・・


曙  「コロサレル コロサレル コロサレル・・・」ガタガタ


朧  「しっぺ でこぴん 馬場ちょっぷ!」トウッ


ゴチッ イッダァァァ!


曙  「あにすんのよ!莫迦撫子!」ヒリヒリ


朧  「いい加減、現実を見るヨロシ。此処で生き抜く術を身に付ける以外に道は無いアベシ。」


曙  「巫山戯てるくせにまともなこと言ってるのが腹立つ。」クゥ


朧  「合言葉はひとつ!」セーノ


朧・曙「覚悟完了!」ビシッ


曙  「こうなったら、もう自棄よ!やってやろうじゃないの!たとえ腑かっさばかれようが最後まで喰らいついてやるわ!」アハハハハ!


朧  「チョロい。」フッ



録画の消化に追われる日々よ、こんにちわ。


南方戦「少しは落ち着いたかしら?」


黒霧 「僕はずっと冷静だよ?」


南方戦「莫迦ね。普段のアンタだったら徒に痛めつけるようなことはしないわよ。」


黒霧 「そうかな。肉を斬る感触と苦痛に歪む顔はけっこう・・・。」フフフ


南方戦「はい、この話はここまで!ったく。アンタのその嗜虐性はどうにかならないわけ?」ネェ


黒霧 「負の遺産ってやつだよ。元々そういう素質もあったんだろうけど、僕はあまりに多くの死際を見てしまった。」


黒霧 「心が壊れた結果か、それとも壊れないように防衛機能が働いた結果か。どちらにしろ積み重ねた歴史が歴史だからね。」


南方戦「それ、ワタシの温もりでどうにかできない?」ソッ


黒霧 「嫌なことを言うようだけど、僕にとって君は何人目の妻だと思う。」


南方戦「ホントに嫌なこと言いやがるわね、アンタ。まぁ、言わんとすることはわかるわ。」


南方戦「これまでも、何人もの女がアンタの傷を癒やそうとしたんでしょ。今のワタシみたいに。」


南方戦「それで悉く失敗した。で、アンタ自身も諦めてしまった。違う?」


黒霧 「大当たり。」フッ


南方戦「言っとくけど、ワタシは違うから。これまでに誰も成し得なかったことも、ワタシは果たしてみせる。」


黒霧 「その科白は聞き飽きたよ。」ボソッ


南方戦「だからアンタも信じなさい。信じられないなら、ワタシを信じるアンタを創り出してでも信じなさい。」ビシッ


黒霧 「」キョトン


黒霧 「・・・ぷっ。」フフッ


南方戦「な、何よ!莫迦にしてるの!?ワタシはアンタのことを想って!」バッ


黒霧 「ごめんごめん。予想の斜め上を行く返しだったからさ。」アハハ


・・・ハァ ワライツカレタ アンタネェ


黒霧 「今夜・・・君の部屋に行くよ。」


南方戦「ぅえ!?///」ボンッ


黒霧 「相談にね。」ニコリ


南方戦「ま、紛らわしいのよ!///」


ギャーギャー


蓮華 「気張れよ、三隈。もう少しで父上の唇がやってくるからな。」


三隈 「そ、それで丸め込まれる自分が、恨めしいですの・・・。」ゴフッ


五月雨「うはー。これ内蔵見えてるんじゃないですか?」ツンツン


三隈 「は、はは・・・。これが、黄泉の國ですの・・・。」ハー


最上 「クロさん、早く!みっちゃんがあの世に逝っちゃう!」



ふたりの時雨


ンー


黒霧 「・・・三隈?もう傷は治ってるよ?」ハナレテ


三隈 「まだ治ってませんの。三隈の心はまだ~。」グググ


蓮華 「それ以上は追加料金が発生するぞ。さっさと離れろ。」グイッ


三隈 「む~。名残惜しいですが、致し方ありませんの。」ズリズリ


黒霧 「風俗か何かなのかな?」アハハ


トスッ


黒霧 「ん。」


時雨 「」ジー


ジー・・・


黒時雨「君と僕の心音は同じだ。」


プフッ


時雨 「あはは。なんで被るのさ。変わってるね、君。」フフフ


黒霧 「君ほどではないよ。」フフッ


時雨 「どうしてかな。君とは初めて会った気がしないや。」


黒霧 「名前が同じだからじゃないかな、時雨。」


時雨 「へぇ。君も時雨なんだね。まぁ、ボクの場合はただの識別名みたいなものだけど。」


黒霧 「なら、新しく名前を付けてみたらどうかな?君は建造組でしょ?」


時雨 「いいね、それ。と言うか、どうしてボクが建造組だってわかったの?」


黒霧 「真宵に聞いたから。」


時雨 「なるほど。で、君はボクにどんな名前をくれるのかな?」ソワソワ


黒霧 「そうだね・・・"狭霧"、なんてどうかな。」


時雨 「狭霧・・・か。その名前は・・・ちょっと、嫌・・・かな。」


黒霧 「どうして?」


時雨 「わからない。だけど、何と言うか、心がザワつくんだ。」


黒霧 「そう。じゃあ、別の名前を考えてみるよ。少し、時間をくれるかい?」


時雨 「うん。楽しみにしてるね。」ニコッ



まずい。録画を消化する前に今期のアニメがっ!


五月雨「え~、皆様。この度はお集まりいただき、誠にありがとうございます。」E.マイク


五月雨「てめぇ、誰だ。と言ってやりたい方も何人か居るようですが、これより新人歓迎会を開催いたしま~す。」


五月雨「無礼講だ、こんチキショー!さぁ!飲めや、騒げや、暴れろやぁ!取り敢えず、私を抱き締めて~。お父さ~ん!」ウハハーイ


ハイハイ オイデ


レ級 「ああ!抜け駆けはなしだぜ!五月雨姉!」ガタッ


ヲ級 「ヲーちゃんもぎゅってしてほしいの!」ワーイ


五月雨「今だけは遠慮しませんからね!お姉ちゃんは欲望全開ですよ!」ムフー


黒霧 「それは構わないけど、大事なことを忘れてるよ?」


五月雨「そうでした。酒は飲んでも呑まれるな!そんでもって、未成年飲酒は禁止じゃあ!」ソコォ!


雷  「いいじゃな~い。私達が幼いのは見た目だけなんだから~。///」


夕立 「ぽい~。///」ケプッ


時雨 「あはは。ボクは止めたんだけど・・・聞かなくて。」


五月雨「まっ、私も飲むんでいいですけど。」ヨッ


黒霧 「駄目に決まってるでしょ?」ガシッ


五月雨「冗談ですよ~。だから、手を放してく~ださい。」ニコニコ


黒霧 「君が酒瓶から手を放したらね。」フフフ


五月雨「」チッ


蓮華 「何をしているんだ、お姉ちゃんは。」ハァ


南方戦「アンタこそ、ワタシの隣りで何してるのよ。あのひとの傍に行かなくてもいいの?」


蓮華 「偶には母上の隣りに居てやろうと思ってな。」フッ


南方戦「へぇ。そんなにワタシのことが好きなの?」ニィ


蓮華 「ああ。大好きだぞ、母上。」ジリジリ


南方戦「・・・気持ちワルっ!」ゾワッ


蓮華 「素直に喜べ、母上。私を近くに感じるのは、それこそ私が乳飲み娘だった頃以来だろう?」


南方戦「だからこそよ。ワタシとアンタの距離感はそのくらいで丁度良かったの。それがいきなり縮まってみなさいな。ゾッとするわ。」ハッ


蓮華 「まぁ、昔に戻ったと思って受け入れろ。何ならその乳吸ってやろうか。」ン?


南方戦「此処で曝せってか。」アァ?


蓮華 「ほれ、幼い娘の世話をしろ母よ。」ヨッコイセ


南方戦「膝に乗るな。」コラ


蓮華 「父上お手製の唐揚げを食わせろー。」ホレホレ


南方戦「そこはワタシお手製のにしなさいよ。別にいいけど。」ハイ アーン


アーン ムグムグ


蓮華 「美味い!」キラキラ


南方戦「そう、よかったわね。」フフ



緊急指令:胃袋を掴め。


集積姫「あんた達、しっかり食べてるかしら~?」


漣  「ふぁったりふぇ~よ。」ムグムグ


朧  「うんふぇ~。」キラキラ


曙  「口に物入れながら喋るんじゃないわよ。汚いわねぇ。」バッチィワ


潮  「」パクパク モグモグ


集積姫「あ~ら。良い食べっぷりね~。」


曙  「食べ過ぎなくらいよ。どんだけ皿に盛ってんのよ、まったく。」モウ


漣  「あれだけ食べて太らないのが不思議だよな~。」


朧  「栄養が全部乳に行ってる。」


漣  「またでっかくなったんだって?」


朧  「なんと脅威の1メートル超え。胸囲だけに。」フッ


漣  「美味い!牛乳一杯!」カンパーイ!


朧  「医学的根拠は御座いません!」カンパーイ!


・・・プハァ


漣  「カルーアミルクだ、これ!」キタコレ!


朧  「将来が楽しみだ!」ヘパパイヤ!


アハハハ!


曙  「酔っぱらってんじゃないの?こいつら。言ってることが滅茶苦茶だわ。」ヤレヤレ


集積姫「姫百合ちゃん。ケーキ食べる?」


潮  「」パァァ


集積姫「うふふ。わたしのお手製よ~。」アーン


パクッ ムグムグ


潮  「んふっ。」キラキラ


集積姫「気に入ったみたいね。」フフッ


曙  「餌付けされとるがな。」エェ



笑顔の訳


曙  「ったく。うちの連中はどうしてこう・・・チョロいのかしら。」ハァ


曙  「確かに料理は美味しい。それは認めざるを得ないわ。だけど此処には深海棲艦が居るし・・・何より。」チラッ


ネムイノ? レキュウ バーロォ オレハマダマダ・・・ Zzz ネマシタネ ソウダネ


曙  「あの悪魔が居る。」ジー


ヲ級 「お父さんがどうかしたの?」ヒョコッ


曙  「うっひゃぁぁぁ!」ビクゥッ


曙  「ど、どっから顔出してんのよぉ!」


ヲ級 「股の間なの。」


曙  「態々口に出さんでいい!///」


ヲ級 「何をそんなに怒ってるの?」クビカシゲ


曙  「べ、別に怒ってないわよっ!」


ヲ級 「怒ってるの。ヲーちゃん、何か悪いことしちゃった?」ウルウル


曙  「あ、いや、ほんとに!本当に怒ってないから!」ワタワタ


ヲ級 「ほんとに?」グスッ


曙  「本当よ。ほら、お姉ちゃん笑ってるでしょー。」ニコー


ヲ級 「下手なつくり笑いなの。」ヘッ


曙  「なんですってぇ!!」クワッ


ヲ級 「女の武器は笑顔と涙なの。こうやって笑うの。」ニパッ


曙  「こ、こう?」ヒキツッタエガオ


漣  「キモっ。」ウワァ


曙  「うっさいわ!あんたもやってみなさいよ!結構難しいんだから!」


漣  「いいぜ~。澪ちゃんの~営業スマイル!」ニコッ


朧  「撫子の微笑み!」ニコリ


漣  「そんでもってぇ!」


漣・朧「姫百合の癒やし!」


潮  「ふぇ?」


漣  「生クリームを頬に付けたままケーキを頬張るその姿。」アァ


朧  「癒やされる。」


潮  「や、やだ!言ってよ!うぅ、恥ずかしい。///」フキフキ


漣  「耳まで真っ赤にして恥ずかしがるその姿。」アァ


朧  「癒やされるぅ。」


曙  「趣旨が変わってる・・・。」


ヲ級 「つくり笑いならお父さんに習うといいの。お父さんは笑顔の仮面を被る天才なの。」ムッフー


曙  「あんた・・・それ、褒めてないからね?」



さぁ!サービスタイムだ!絵があればなっ!


カポーン


漣・朧「うおお~。ひれぇ~。」キラキラ


集積姫「蓮華ちゃんが大改造してくれたからね~。此処だけは豪邸並みよ。」ウフフ


漣・朧「泳いでもいい?」ソワソワ


蓮華 「この湯船は半身浴仕様だ。泳げるものなら泳いでみろ。爪が割れても知らんからな。」


漣  「うえ~。深い湯船とかねぇの?」


朧  「でーぷなばっすですいみんぐぅ~。」


蓮華 「そんなに泳ぎたいなら表に出るといい。何処までも広がる水風呂が待っているぞ。」フッ


漣  「それ海やないか~い。」


朧  「無限の彼方へ~。さぁ、行くぞ~。」ダー


漣  「撫子や。流石のあちしも真っ裸で外には行けねぇぜ。」ガシッ


朧  「おーうのー。」


集積姫「ほら、駄弁ってないでこっち来なさい。頭洗ってあげるわ。」


漣・朧「うはは~い。」トテテテ


曙  「すっかり懐いちゃったわね、あいつら。」ハァ


ヲ級 「ヲーちゃんはお母さんをとられて、ちょっと複雑なの。」ムー


曙  「あっそ。それは災難だったわね。ところで・・・あの人、誰?」


・・・


五月雨「お客さん、凝ってますねぇ。そのでっかい重りの所為ですかぁ?」モミモミ


黒霧茜「ここ暫くは身体を動かせていなかったからな。鈍っているのだろう。」モットウチガワダ


五月雨「茜さんって、ストレス発散とかどうしてるんですか?」ココデスカ


黒霧茜「早朝にな。時雨と組み手をしているのだ。しかしこの頃は能力を使う場面が多かっただろう?だから少し溜まっている。」アア ソコダ


五月雨「へ~え。お父さんも大変ですね。茜さんの相手をさせられるなんてっ。」グリッ


黒霧茜「っ!!」ビクッ


黒霧茜「今のは、痛かったぞ。」ゴゴゴ


五月雨「許してヒヤシンス。」テヘッ


黒霧茜「交代だ、五月雨。今度は私が貴様を揉みほぐしてやろう。」ボキッ ゴキッ


五月雨「はっは。揉み砕くの間違いじゃないですか?」


黒霧茜「いいから寝ろ。」


五月雨「・・・あい。」


・・・


ヲ級 「茜お姉ちゃんなの。お父さんのお姉ちゃんなの。怒らせちゃ駄目な人なの。若し怒らせると・・・。」


曙  「怒らせると?」ゴクリ


ウギャァァァァ!!


ヲ級 「五月雨お姉ちゃんみたいになるの。」


曙  「肝に銘じておくわ。」



五月病ならぬ、正月病を発症中。


雷  「露天風呂に浸かりながらの月見酒も乙なものね~。」


夕立 「ぽい~。」


時雨 「もう。いい加減にしたら?飲み過ぎだよ?」


雷  「まだまだ序の口よ~。」フフフ


夕立 「ぽ・・・Zzz。」スカピー


時雨 「これの何処が序の口なのかな。」マッタク


南方戦「失礼するわよ。」ガラッ


雷  「あら、南方さんじゃな~い。一杯、ど~お?」


南方戦「遠慮しとくわ。ワタシ、お酒弱いの。」チャプ


雷  「それは残念。」クイッ


レ級 「南姉・・・眠い。」フラフラ


南方戦「溺れても助けないわよ。」シッカリナサイ


レ級 「深海棲艦が溺れるかっての。」フア~


時雨 「それで、ボク達に何か用でも?」


南方戦「別に用ってほどのものでもないの。ちょっと様子を見にきただけよ、"間宮"。」


レ級 「あ?」ピクッ


雷  「も~。何を言ってるの~。この娘は時雨。白露型の駆逐艦よ~。」ヘベレケー


時雨 「・・・うん。ボクは、時雨だよ?」ニコリ


南方戦「そう・・・。邪魔したわね。」ザバッ


レ級 「なぁ、南姉。今のって・・・。」


南方戦「なんでもないわよ。忘れなさい。」


レ級 「忘れろったってよ~。」ナァ


雷  「へ~んなの~。南方さんも酔っぱらってたのかしら~。」アハハ~


時雨 「そう・・・かもね。」


雷  「どうしたの?名前を間違えられてそんなにショックだった~?だいじょ~ぶよ。私が居るじゃな~い。」フッフー


時雨 「あはは・・・。」


夕立 「もう食べられないっぽい~。」ムニャムニャ


時雨 「君はいいね、夕立。無邪気なままで居られてさ。」


・・・


南方戦「・・・どう思う?」


三隈 「演技をしているようには見えませんの。貴女の早とちりではなくて?」


南方戦「そうだといいんだけど、万が一ってこともあるでしょう?」


最上 「ボクも演技をしていないって点はみっちゃんと同じかな~。ただ・・・。」


三隈 「ただ、何ですの?」


最上 「な~んか引っ掛かるんだよね~。」ウーン


南方戦「その何かがわからないことにはどうしようもないわね。」


最上 「クロさんにも相談してみたら?」


南方戦「言われずとも今夜するわよ。」


三隈 「羨ましい。」ムー


南方戦「アンタの想像するようなことは一切ございませ~ん。」


三隈 「ふたりきりの時間があるというだけで羨ましいですの。そもそも、三隈に夜の営みはまだ早いですの。」フン


最上 「お~。成長したね、みっちゃん。」


三隈 「羞恥心は棄てましてよ。」フフン


最上 「身の程を弁えてるって意味だったんだけど。」


三隈 「喧嘩なら買いますわよ?」ムカッ


南方戦「元気ねぇ。あのひとに殺されかけた後だってのに。ま、ふたりでやってなさいな。その間にあのひとはワタシが戴くわ。」ジャ


最上 「いってらっしゃ~い。」フリフリ


三隈 「今に見てますの。いずれ三隈もクロさんの隣りに登り詰めてみせますの。」グッ


レ級 「みっちゃ~ん。洗いっこしよ~ぜ~。」オーイ


三隈 「今行きますの~。」タタタッ


最上 「みっちゃん。お風呂で走るとあぶな・・・。」


ツルッ ズデッ アイタァ!


最上 「言わんこっちゃない。」ヤレヤレ



データが消えなくてよかったわ。


五月雨「嗚呼、身体がかる~い。」クネクネ


ヲ級 「茜お姉ちゃんに絞られてたんじゃなかったの?」ヲ?


五月雨「ヲーちゃん、タイ古式マッサージって知ってます?」


ヲ級 「理解したの。」


五月雨「ヲーちゃんは賢いですね~。」ウリウリ


ヲ級 「えへへ~。」ニヨニヨ


レ級 「やベぇ。全然眠くねぇ。」パッチリ


蓮華 「夕時に寝るからだ。マッサージでもしてやろうか?リラックスすれば、多少眠くなるだろう。」


レ級 「お前にマッサージされるとか・・・恐怖しか無いわ。」ヘッ


蓮華 「ならば鍼にするか?」キラッ


レ級 「別に何処も悪くねぇよ。」


蓮華 「お灸は?」ボッ


レ級 「だから何処も悪くねぇって、しつけぇな。つーか火力おかしいだろ。」ボッテナンダヨ


蓮華 「折角この私が貴様に尽くしてやろうというのに、我儘な奴だな。」ヤレヤレ


レ級 「・・・頭でも打ったのか?」


・・・


漣  「ママ~。ご本読んで~。」ネェネェ


集積姫「誰がママよ。一緒に居るのはあんた達が寝るまでだからね。」


朧  「Zzz」スヤァ


集積姫「・・・あんたが寝るまでだからね。」


漣  「俺はそう簡単にゃあ、眠らねぇぜ?」フッフー


集積姫「ふーん。」カチッ


~♪


漣  「お、おれは・・・ね、な・・・Zzz」スカピー


集積姫「我ながら凄い効き目ね、これ。それじゃあ、帰りますか。あんた達も早く寝なさいよ~。」


曙  「言われずとも寝るわよ。」ウッサイワネ


集積姫「その生意気な顔が苦痛に歪んでいくのを想像すると、ゾクゾクするわぁ。」ウフフ


曙  「やれるもんならやってみなさい。」ハッ


集積姫「しーちゃんの訓練は甘くないわよ~。」ガンバリナサイ


曙  「そうだった・・・。」ズーン


潮  「」カキカキ


曙  「何してるのよ、潮。」


潮  「真宵ちゃんにね。お手紙を書いてるの。」フフッ


曙  「ふーん。あんたも物好きね。あんな筋肉達磨の何処がいいのやら。」


潮  「真宵ちゃんは善い人だよ?」


曙  「知ってる。で、どんな恋文を書くつもり?」ニィ


潮  「こっ!恋文!?///」ボンッ


漣  「なんだってぇ!・・・Zzz。」ポスッ


潮  「ち、違うよ。此処に残るって書いてただけだよ。」ヒソヒソ


曙  「は?そんなの当たり前じゃない。何の為に此処まで来たと思ってるのよ。」ヒソヒソ


潮  「そ、それは・・・。」アハハ


曙  「ま、いいわ。で?どうして残ろうと思ったの?」


潮  「・・・笑わない?」


曙  「何よ。笑うような理由なわけ?」


エットネ・・・



本当に今更気づいたこと。


南方戦「・・・。」


黒霧茜「・・・。」


南方戦「なんで時雨じゃないのよ。」


黒霧茜「三隈の治療で疲れたようだ。ぐっすり眠っている。」


南方戦「あんの莫迦っ。」ギリッ


黒霧茜「何、心配は要らん。貴様に話すべきことは時雨からしかと聞かされているからな。」フフン


南方戦「つまり、それ以外の話はできないってことでしょ。」ハァ


黒霧茜「・・・そうだな。」シュン


南方戦「いいわよ。義姉さんが闘いに特化した女だってことは承知してるから。」


黒霧茜「私がいつ貴様の姉になったのだ。」ウン?


南方戦「アンタの弟と結婚してるんだから義理の姉妹でしょうが。」ナニイッテルノヨ


黒霧茜「・・・。」ハッ


黒霧茜「お前は私の義妹なのか!」


南方戦「今頃気づいたの!?」


黒霧茜「ということは、私には幾人もの義妹達が・・・。」ナント


南方戦「その話はやめて。さっさと本題に入るわよ、忘れる前にね。」


黒霧茜「・・・莫迦にしてないか?」ムッ


南方戦「気の所為よ。」


黒霧茜「まぁ、いい。時雨が言うには、時雨に間宮と近しい気を感じるらしい。時雨自身も確信があるわけではないようだがな。」


南方戦「時雨が多くてわかりづらいわ。時雨がなんですって?そもそも、時雨ってどっちの時雨よ。」


黒霧茜「私に訊くな。私はただ、時雨の言葉をそのまま伝えただけなのでな。」


南方戦「使えない。」ボソッ


黒霧茜「聞こえたぞ。」


南方戦「聞き流してもらえると助かるわ。で、結局あの娘の中に間宮の魂が入ってるってことでいいのかしら?」


黒霧茜「さぁな。だが、時雨は"近しい気"と言った。記憶が曖昧だからなのかは知らんが、少なくとも今は間宮でなく時雨なのだろう。」


南方戦「ってことは、今のところ何とも言えないわけね。」


黒霧茜「そういうことだ。」


南方戦「・・・。」


黒霧茜「・・・。」


南方戦「もう帰っていいわよ?」


黒霧茜「私と寝るのは嫌か?」


南方戦「嫌に決まってるじゃない・・・。」


黒霧茜「寂しいことを言うな、義妹よ。」


南方戦「どうしたのよ。ワタシ達、今までそんな距離感じゃなかったでしょ?」


黒霧茜「いやな。昔から私は時雨と共に眠っていただろう?」


南方戦「知らないわよ。」


黒霧茜「時雨には抱き付き癖があってな。毎晩、彼奴に抱き付かれながら寝ていたのだ。」


南方戦「それは知ってる。緊張で睡魔も吹っ飛んだワタシを胸に抱きながら寝息を立てるアイツにイライラしたのをはっきり憶えてるわ。」


黒霧茜「だからな・・・。私も、誰かに抱き付かれながらでないと、眠れなくなってしまったのだ。」


南方戦「は?」


黒霧茜「義妹よ。義姉を助けると思って、この胸に飛び込んでこい。」バッ


南方戦「やーよ。子供部屋にでも行けば?」


黒霧茜「・・・。」


スクッ スタスタ


黒霧茜「邪魔したな。」バタム