2023-03-14 22:12:59 更新

概要

大量に出現した三笠との戦闘が繰り広げられる中、戦場を揺らめくふたつの影。彼女達の魂は、果たして救われるのだろうか・・・。


前書き

今回で三人目の主人公を迎えた三笠編。何故そうなったかと言えば、日常部分を引っ張って決戦を先延ばしにしていたから。だって日常ものだし。ま、それはそれとして陸に片づけも済まないうちにまた散らかした内容を拾いつつ、物語を紡ぐと致しましょう。


それは萌えるゴミだ。


黒霧茜「綾、琴。覚悟はいいな。」


那智 「勿論です。」フッ


足柄 「腕が鳴るわ。」フフッ


ヨシ


黒霧茜「お前達、よく聞け!私から指示を出すのはこれが最後だ。後は各々で考えて行動しろ。」


黒霧茜「長門と陸奥!お前達はまず一発、あの亡霊共の群れに撃ち込んでやれ。それが開戦の合図だ。後は好きに暴れろ。」


長陸奥「了解。」


黒霧茜「長門型の砲撃と同時に、私と海波姉妹で群れの中に突っ込み注意を惹く。羽黒と妙高は、釣れた奴を狙え。」


妙高 「どうして私があいつの指示書どおりになんて・・・。」チッ


羽黒 「お姉ちゃん、一緒に来てくれないの?」ウルウル


妙高 「っ!行くに決まってるじゃない!嗚呼、私の可愛い羽黒。貴女は絶対に傷つけさせないわ。」ギュ


羽黒 「チョロい。」ヘッ


足柄 「羽黒って、"はらぐろ"を縮めて"はぐろ"なんじゃないかしら。」


那智 「黒いのは腹だけではないがな。」


足柄 「それは那智姉でしょ。」


那智 「妙高には負ける。」


足柄 「あー。」


妙高 「誰の何が黒いですって~?」ウフフフ


潮  「何のお話?」


曙  「姫百合には一生縁が無くてもいい話よ。」


羽黒 「私、未使用だからちゃんとピンクだし・・・。」ムゥ



強者の傍に蔓延る弱者の慢心。


黒霧茜「続きだ。七駆は、はぐれた奴を集中して狙え。これは実戦訓練だ。試したいことは全て試せ。眠、監督は任せるぞ。」


時雨 「うん、任されたよ。」


漣  「うーし。やったったんぞー!」


朧  「うらー。」


潮  「頑張らなきゃ。」フンス


曙  「はいはい。はぐれる奴は私が未来予知して指示だすから、聞き逃すんじゃないわよ。」


黒霧茜「では・・・開戦だ。」ビキッ


長陸奥「てぇー!!」ドォォーン


シュンッ


黒霧茜「はぁあ!」ドゴッ


ギャアアア


足柄 「同時にって指示は何処へ・・・。」エェ


那智 「いいから行くぞ、足柄。あの方から教わった剣闘術。今こそ魅せる時。」スラッ


足柄 「どうせなら黒と並んで・・・。まぁ、いいや。後で稽古に付き合わせてやる。」チャキ


那智 「海波綾。参る!」


足柄 「海波琴。その血飛沫で私を飾りつけてちょうだい!」


羽黒 「また恥ずかしいこと言ってる。」


妙高 「足柄は厨二というあれなのでしょうか。」


潮  「ちゅうに・・・?」


曙  「澪のことよ。」シレッ


漣  「え?俺ってそんなに厨二くさい?」


朧  「ちゃん澪からはソースの香りがするくさい。」クンクン


漣  「あー、朝飯のときに溢してって違う。そうじゃない。」カグナ


紅華 (みんな、戦場に立ってるのに余裕だなぁ・・・。)



空想をリアルで論破して何が楽しいのか。


鳳翔 「」~♪


南方戦「随分と機嫌が好いわね。そんなに弓を引くのが楽しみなわけ?」


鳳翔 「ええ、本当に久し振りですから。」ウフフ


近衛麗「というか、その手で引けるの?指、殆ど動かせないんでしょ?」


鳳翔 「大丈夫です。動かせなくとも引っ掛けるくらいなら何とか・・・。」ビィン


鳳翔 「何とか・・・。」ビィン


エット・・・


鳳翔 「だ、大丈夫です!時雨さんに見せてもらった資料に因ると、口で弓を引く鳳翔も居るとか。きっと私も・・・。」アム


ンッ ンンー!


鳳翔 「いひゃい・・・。」アゥ


南方戦「時雨の隠し球・・・。めちゃ阿呆じゃない・・・!」クッ


近衛麗「ヤバい。キュンと来ちゃった。やっぱりこの娘食べちゃってもいいかしら。」アハ


レ級 「だから駄目だっての。」



明日が来ずとも悔いは無い。


レ級 「庵っちが弓を引けないってなると、愈々戦力が不安だな。」


ヲ級 「レーちゃんを筆頭に、最上型の下ふたりと麗お姉ちゃん。戻ってくれば、みっちゃんと五月雨お姉ちゃん。」


レ級 「そして南姉だろ?あと一応、母ちゃんと・・・。」チラ


ヲ級 「身重の・・・。」チラ


日陰 「これ以上、荷が増えるのは勘弁なんだけど。」ヤレヤレ


紫苑茜「実の娘の為でしょう?命張ってやろうじゃないの。」ポム


日陰 「一応でしか戦力にならないなら引っ込んでてくれないかな。」


紫苑茜「・・・。」ムカ


パァァ


集積姫「・・・。」ドヤ


日陰 「いや、だから何。」


集積姫「見てなさい。わたしひとりで三笠を蹴散らしてやるから。」ビッ


近衛麗「え、任せていいの?やった。髪が傷むから出撃したくなかったのよね~♪」


集積姫「あんたは来なさい。」


近衛麗「え~。」ブー



現代に専門家はいても天才はいない。


鈴谷 「あー。艤装着けるのめんどくさっ。」カチャ


熊野 「こんなときに自動艤装装着装置が故障するだなんて・・・。」カチャ


龍田 「人手不足の影響ね~。」


天龍 「三隈達のペンダントが羨ましいぜ。」カチャ


鈴谷 「結婚指輪まで貰っておいて、これ以上何が欲しいってぇ?」ケッ


天龍 「それとこれとは別だろうがよ。」


龍田 「因みに言うと"貰った"わけではないのよね~。」ウフフ


熊野 「あら、そうなんですの?」


鈴谷 「ちょっとそこのとこ詳しく。」ズイ


天龍 「お前らなぁ・・・。」ハァ



はっきりさせないお年頃。


鈴谷 「へぇ。たっちゃんが選んで天ちゃんが買って押しつけたんだ。」


天龍 「そんな言い方することないだろ?断るって選択肢も残して・・・なかったかも知れねぇけど。」


熊野 「天龍さんはあの方と結婚したという認識で宜しいんですの?」


天龍 「俺はそう思ってる。」


熊野 「つまり合意を得たわけではないと。」フム


天龍 「ぐっ・・・。と、ともかくだ!今は鎮守府を護ることに集中しようぜ!帰る場所が無くなったんじゃあ、あいつも・・・。」


龍田 「時雨さんの帰る場所は此処じゃないと思うけど。」


天龍 「うっせぇな!この場合、女が港なんだよ!俺の居る場所があいつの帰る場所だ!」クワッ


熊野 「ですが、あの方にはもう既に奥様が・・・。」


天龍 「俺を追い込むなよぉ!!今朝方頑張ったばっかりなんだぞぉ!!」ブワッ


ス スミマセン・・・



勿忘草


天龍 「いいよ、もう。戦闘に集中して忘れてやる。」グイ


龍田 「現実を受け止められない私、乙女なのよ。」アァ


天龍 「楽しそうだな、ちくしょう!つーか、なんで花は艤装着けてねぇんだよ。」


龍田 「私、薙刀より重い物を背負ったりなんてできないもの。」


天龍 「今更何のアピールだよ。黒のタイプはか弱い系とかじゃ・・・。」スカッ


バシャーン!


鈴谷 「あーあー。天ちゃんってば艤装を起動しないで進水しちゃって。ブランクありすぎて頭まで錆びちゃった?」


熊野 「まずは引き上げて差し上げては・・・。」


天龍 「」ガボボ


龍田 「そういえばお姉ちゃんって泳げなかったっけ。」


熊野 「っ!鈴谷!」


鈴谷 「えー。出撃前にびしょ濡れになるのは勘弁。」


熊野 「くっ!どうすれば!」


龍田 「どうして熊野ちゃんが助けるって選択肢が無いのかしら。」


天龍 (やばい。これ、駄目かも知んねぇ・・・。)ブクブク



穢れを知らぬ白い花。


天龍 「あー、死ぬかと思った。」グッタリ


南方戦「まったく、世話の焼ける・・・。」


天龍 「助かったぜ、南。持つべきは深海の友だな。」ヘヘッ


南方戦「艦娘が何を言ってるんだか。」ハァ


龍田 「お姉ちゃんはもう艦娘じゃないわよ?」


・・・ハ?


龍田 「だから、お姉ちゃんはもう艦娘・天龍じゃなくて、白咲里というひとりの女の娘なの。」


天龍 「いや、何を莫迦な・・・は?」


龍田 「お姉ちゃん、今朝私に言ったでしょ?若返ったように見えるって。事実、若返ってるのよ?艦娘になった、あの頃に。」


天龍 「ど、どういう・・・。」


龍田 「私も戻ってるの。白咲花という、龍田になる前の17歳の女の娘に・・・ね。」ウフフ



君の人生は君だけのものになっているか?


天龍 「ちょっと待て。理解が追いつかねぇ。なんでそんなことになってんだよ。」クシャ


龍田 「なんで・・・?そんなの自分の胸に訊いてよ。」


天龍 「は、花・・・?」


龍田 「どうしようもないことなのはわかるけど、それでも自分から生きる道を諦めることないじゃない。」


天龍 「・・・なるほどな。そういうことか。黒の奴、余計なことしやがって。」


龍田 「余計なこと?何が余計なことよ!お姉ちゃんの身体はもう限界なのよ!?あと一度でも艤装を起動させたら・・・!」


龍田 「死んでしまうかも、知れないのに・・・!」フルフル


天龍 「"かも"じゃねぇ。これが最後だ。俺はこの戦いで確実に死ぬ。死ぬはずだった。」


龍田 「どうして!?どうして、お姉ちゃんはそうやっていつも、私を置いてひとりで行こうとするの・・・!」グスッ


龍田 「艦娘になるときも、あの人とケッコンするときも、今回だって・・・!」


天龍 「お前の為だ。」


龍田 「私の?莫迦言わないで。私の為だって言うなら、ずっと傍に居てよ。私から離れていかないでよ!」


天龍 「なぁ、花。お前、自分の将来をちゃんと自分で考えたことあるか?」


龍田 「あるわよ。考えてるからこうやって今!」


天龍 「俺を引き止めてるだけじゃねぇか。それも、黒の策略に乗っかって。」


龍田 「なっ!?」


天龍 「龍田は姉愛が強いなんてよく聞くが、お前はそうじゃない。花のそれは愛じゃない。ただの依存だ。」


天龍 「俺を傍に置いて、俺の真似をして。お前は未だ、自分だけの人生を歩んでいない。ただ俺の後ろをついて歩いているだけだ。」


龍田 「そ、んなこと・・・。」


天龍 「いい加減、一歩踏み出せよ。俺に死別を覚悟させないような、そんな一歩を踏み出してみせろよ。」



鳴かぬなら


龍田 「でも、そうだとしても!何も死を選ぶこと、ないじゃない・・・。」ポロポロ


天龍 「鳴かぬなら 殺してしまえ 時鳥」


天龍 「表向きには刃向かう者は始末しろって意味らしいが、これの裏の意味を知ってるか?」


鳳翔 「生きる意味を失ったのなら、いっそのこと殺して楽にしてやれ。ですか?」キィ


天龍 「ああ。」


鳳翔 「あの世を極楽というのは、この世の苦しみから解放されて楽になるから。」


鳳翔 「生には苦があり、その苦を耐えるために人は自らの生に意味を持たせたがる。」


鳳翔 「ですが、その意味を失ったのであれば、ただただ苦しみを味わうだけならば、いっそのこと・・・。」


天龍 「俺は艦娘として生きる意味を失った。限界を迎えたこの身体じゃあ、解体したって寝たきりになるのが落ちだ。」


龍田 「私が面倒を見るわよ!」


天龍 「莫迦。俺と花は年子だろうが。今に花も・・・。だから俺は、あいつにお前を託して・・・逝こうと、思ったのになぁ。」ハハッ


天龍 「なんで、てめぇはそっち側に居るんだよ・・・莫迦野郎が。」



生きているだけの人生に意味はあるか。


鳳翔 「ねぇ、天龍さん。私を見て、何か思うことはありませんか?」


天龍 「鳳翔を見て・・・?」


鳳翔 「ええ。限界こそ迎えていませんが、戦えない身体となった点では天龍さんと同じです。でも、私は生きています。」


鳳翔 「ちゃんと生き甲斐を持って、生きています。どうしてだと思いますか?」フフッ


天龍 「どうしてって、そりゃ鳳翔には戦闘以外にも料理って道があったからで・・・。」


鳳翔 「いいえ。それは違います。私は弓を引けなくなったと同時に、包丁も握れなくなった。料理の道も失っていたんですよ?」


天龍 「そう、なのか・・・?」


鳳翔 「はい。ですが、幸運にも私には新しい道を示してくれるひとがいたんです。天龍さんも知っている、あのひとが・・・。」


天龍 「黒、か。」


鳳翔 「そう。私は時雨さんに救われました。命を助けられたというだけでなく、本当の意味で救われたんです。」


鳳翔 「天龍さんは今、龍田さんと時雨さんによって命を助けられました。ですが、まだ本当の意味で救われたわけではありません。」


鳳翔 「でもきっと、直ぐに救われると思います。天龍さんも、それに縋ったのではないですか?無意識に感じていたのではないですか?」


鳳翔 「きっとあのひとなら・・・。」


天龍 「俺を、救って・・・。」


南方戦「待って。アンタ、そういう打算があってあのひとに近づいたの?それでワタシと同じ嫁になるとか・・・」ハッ


南方戦「擂り潰すわよ?」オォォ


ヲ級 「レーちゃん、あの子供をなんとかするの。」


レ級 「りょーかい。さっ、南姉。出撃すっぞ~。母ちゃんが三笠に接近するまでの弾除けが欲しいってよ。」グイ


南方戦「それただの肉壁って、放しなさい!まだ話は終わってないの!」


レ級 「いーからいーから。」グイグイ


南方戦「ちょっ!アンタ、ほんとに膂力ついてきたわね。」


ハナセェー!!



どうでもいいことに嫉妬などしない。


鳳翔 「とりあえずは何とかなった・・・のでしょうか。」


ヲ級 「庵お姉ちゃんは頑張ったの。あとはお父さんに任せるといいの。」ニヘッ


鳳翔 「ふふ。そうですね。あとのことは時雨さんにお任せしましょうか。」ウフフ


ヲ級 「庵お姉ちゃん?なんだか機嫌が好さそうなの。」ヲ?


鳳翔 「そんなことはないですよ?」ニコニコ


ヲー?


ヲ級 「・・・あ。24歳はまだまだお姉ちゃんだから気にすることないの。」ポン


鳳翔 「その言葉がいつ世辞に変わるかと思うと・・・。」ズーン


鈴谷 「え?鳳翔さんって、年下だったの・・・?」


熊野 「年増のJKコス痛すぎワロタ。」パシャ


鈴谷 「鏡見て言えし。そして撮るなし。」オイコラ



目覚めさせてはならぬ者が在る。


・・・サーン


明石 「鳳翔さーん。お、居た。」ヒョコ


鳳翔 「明石さん。どうかされたんですか?」


明石 「どうかされた、ですか。」ニヨニヨ


鳳翔 「あ、明石さん?」


明石 「鳳翔さん。今、何か困っていませんか?」フッ


鳳翔 「え?まぁ、そうですね。困っています。」ハイ


明石 「ふっふっふ~。実はですねぇ。そんな鳳翔さんの困り事を解決しようと・・・。」


夕張 「黒霧教官に託された設計書を基に補助具を作ってみました。これで弓が引けますよ。」ドウゾ


鳳翔 「あ、ありがとうございます!」パァ


明石 「ちょっ!夕張、なんで言っちゃうの~!」ンー!


夕張 「だって、まるで全部自分の手柄みたいに話すんだもん。ちょっとムカついてさ。」


鳳翔 「これで時雨さんの期待に応えることができる・・・。」フフ


ヲ級 「戦力過多の予感なの。」ヲー



危ないひと~。


南方戦「・・・で、なんで元に戻ってるのよ。集積。」


集積姫「こっちの姿じゃないと"電脳"が使えないの。海上にだって立てないし。」


南方戦「"電脳"・・・ねぇ。」ジー


集積姫「なに・・・。」


南方戦「だからその悪趣味な艤装を着けてるのね。」ハァ


集積姫「失礼な!これはわたしの恩恵を最大限に活かす合理的な・・・!」


南方戦「あ~、はいはい。理屈はわかってるから、お黙りなさい。ワタシが言いたいのは、その電極を何処にぶっさす心算かってことよ。」


集積姫「はぁ?刺さる場所なら何処だっていいわよ。その為に先端を尖らせてるわけだし。」キラン


南方戦「あっそう。」フーン


集積姫「若しかして、【自主規制】とか【自主規制】に突き入れるとでも思ってたの?南方ちゃんって存外に変態なのね。」ウワァ


南方戦「そこまで考えてないわ!精々、目玉か耳の穴くらいよ。」フンッ


熊野 「どっちもどっちですわ・・・。」エェ


鈴谷 「身体に電極を突き刺すって発想がもう恐い。」



度が過ぎると大体同じ。


レ級 「なぁ、麗姉。」


近衛麗「ん~?」プカプカ


レ級 「グロとエロならどっちが許容されると思う?」


近衛麗「エロだと信じたい。」


レ級 「だよな~。麗姉の場合はエロを通り超してグロの領域に片脚突っ込んでるだろうけど・・・。」


近衛麗「なん、ですって・・・!」


レ級 「何すっとぼけたこと言ってんだよ。自覚あるくせに。」


近衛麗「あ、バレた?」ケロリ


レ級 「聞いたぜ?死刑囚の悉くを腹上死させたって。どんな性欲してんだよ、ったく。」ヤレヤレ


近衛麗「別に欲があってシたわけじゃないわよ?色香を武器にするなら性欲くらい管理できないといけないもの。」フフッ


レ級 「さいで。」


近衛麗「あ、でも~。」ウフフ


デモ?


近衛麗「快楽に溺れながら果てていく醜い顔を上から眺めると最っ高にアガるのよねぇ。」アハァ


レ級 「やっぱ、麗姉も父ちゃんの娘だわ。」ハハッ



社会を変えるのは思想。其れを現実にするのは労働。


黒霧茜「ふははは!脆いぞ、戦艦共!もっと気合を入れろ!」


ギャー!


那智 「一歩踏み込んだ、更にその一歩先。」グン!


三笠 「!」


ザシュ


那智 「砲撃の隙は其処にある。」グッ


三笠 「くぅ!」


足柄 「那智姉!壁!」


那智 「上手く隠れろよ。」ソイ


三笠 「」ポーン


足柄 「ちょ!?」


ドォーン


足柄 「このっ!」ギュン


チュドーン


足柄 「・・・もう!ちゃんと壁役やってよ!なんで投げるのよ!!」


那智 「何故私が貴様の為に砲弾を受け止めてやらねばならんのだ。」ハァ?


足柄 「お姉ちゃんだから、よ!」ブンッ


ヒュッ ザシュ


三笠 「がっ!」


足柄 「黒直伝のぉ。肘打!」ドフッ


三笠 「!!」フワッ


足柄 「か~ら~の~!引き抜き抜刀・紅桜!」ズバァ


ブシャァ


足柄 「くっさ。人工血液ってこんな臭いだったかしら。」ウェ


那智 「腐っているのだろう。身も心も・・・な。」


足柄 「何そのくさい科白。新手のボケ?」


那智 「私の発言を勝手にボケにするな、痛い女め。」ハッ


ナンダトー!!



未来、楽するために。


妙高 「あの娘達、剣が使えたのね。」


羽黒 「いつもよりよっぽど活躍してる。」


妙高 「本当に。」フフ


羽黒 「普段から使ってくれたら楽なのに。」ムゥ


妙高 「・・・羽黒。言いづらいのだけど。」エット


羽黒 「わかってる。だから言わないで?」


妙高 「ええ、わかったわ。」


羽黒 「・・・。」


黒霧茜「どうしたぁ!私はまだ全力を出していないぞ!!」


フハハハ!


羽黒 「わかってる。黒い人が惹きつけてくれてるからこそ突っ込んでいけるってことくらい、わかってるもん。」


ハァ


羽黒 「どうしてかなぁ。楽をしていたいのに、楽をするためにはもっと頑張らないといけないなんて・・・。」


羽黒 「世界って理不尽。」トオイメ



成功の一番の要因は、其の人だから。


妙高 「・・・。」グッ


時雨 「可愛い妹を困らせる世界なんて・・・とか、考えてない?」ユラァ


妙高 「」ギクッ


時雨 「やめてよね。その気になれば世界の在り方だって変えて仕舞える人達と繋がりを持っちゃってるんだから。」


妙高 「だ、大丈夫です。どう間違ってもあの男に頼るなんてことはしませんからっ。」


時雨 「それはつまり、にぃにでさえなければ頼ることも吝かではないってことだよね。」ジト


妙高 「・・・そんなことより!何故、時雨さんがこちらに?確か第七駆逐隊の目付役を任されていたのでは?」


時雨 「戦闘そっちのけで話し込んでた妙高さんがそれを言っちゃうのか~。」


妙高 「ぐ・・・。」


羽黒 「だって、危ないことしたくない。」ズイ


時雨 「戦場で集中を欠いてるほうが危ないって。でも、まぁ。」チラ


フハハハ!


時雨 「ねぇねがはしゃぎすぎてる所為で全然こっちに気が向いてないみたいだし。正直、暇だよね。」


時雨 「司令塔も居ないみたいだから連携も何もないし。もう三人だけで事足りるんじゃないかな。」ハハ


時雨 「ただそうなるとさぁ。七駆の娘達に不満が溜まりそうで怖いんだよね。そしてねぇねに影響を受ける阿呆が居そうで不安。」ハァ


妙高 「あぁ。」


長門 「なぁ、陸奥よ。私もああいう戦い方をしても・・・。」ウズウズ


陸奥 「絶対にやめて。」



生物共通の敵


漣  「撫子や。」


朧  「突撃か。」キリッ


漣  「儂に死ねと言うか。」オウコラ


漣  「そうでなくてさぁ。壁役になってくんね?後ろから投擲すっから。」


朧  「いいだろう。我が肉体を存分に使うがよいぞ。」フッ


漣  「うっし。交渉成立だ。そんじゃ、早速・・・。」


曙  「黒姉に睨まれても知らないわよ。」


ウグッ


漣  「で、でもさ。好きに暴れろって言ったの黒姉だし・・・。」


曙  「そういう指示だったんでしょ?父さんからの。」


朧  「最悪、わっちが黒姉の相手をするよの。それで解決なのねん。」フンス


曙  「私にはボロボロ泣いてるあんた達の姿が視えるんだけど?」


漣・朧「・・・。」ダラダラ


ドォーン パァン


漣朧曙「へ・・・?」


潮  「うんしょっと。」ガション


曙  「ひ、姫百合?あんた、何して・・・。」


潮  「あ、大丈夫だよ?今撃ったのは実弾じゃないから。支援砲撃なら怒られないかなって思って。」エヘヘ


漣  「なーる。その手がって、支援用の弾なんぞ持ってないっつーの。」テシッ


朧  「なんか・・・鼻痛い。」クシクシ


漣  「言われてみれば・・・。」ンー?


曙  「姫百合、何撃ったの。」


潮  「唐辛子の粉末を仕込んだ榴弾。」


ヒュゴッ


漣  「おあああ!!急に風向きがっ!」


朧  「眼がぁぁぁぁ!!」ウギャー!


曙  「私が視た未来はこれか・・・。私は姫百合のシールドの中に居たからよかったけど、これ黒姉達もくらってるんじゃ・・・。」


ア・・・


潮  「どうしよう・・・。」ガタガタ



全ての基本は息遣い。


足柄 「ちょっ!何よ、これ!」


那智 「涙で前が見えん。」クッ


黒霧茜「退け、ふたり共!邪魔だ!」


足柄 「退けったって前が見えないんじゃどうしようもないわよ!無茶言わないで!」


那智 「隊長は大丈夫なのか?」


黒霧茜「なに、瞳を閉じ呼吸を止めれば良いだけのこと。5分で片づけてくれる。」ニィ


黒霧茜「眠!!」


時雨 「はーい。わかってますよー。傀儡糸。」シュパッ


ピィン


時雨 「接続完了。」クイ


足柄 「か、身体が!?」


那智 「勝手に・・・。」オォ


妙高 「便利ですね、それ。」


時雨 「こういう使い方をするものじゃないんだけどな。ま、ボクの監督不行届もこれでチャラに・・・。」


羽黒 「なりませんよ?」ジトー


時雨 「ですよねー。」ハハ


黒霧茜「さぁ、終幕だ。私も長くは保たん。全力で潰させてもらうぞ。」オォォ



御姉様とお呼び!


曙  「あんた達~。いつまでもネタやってないでこっち来なさい。」


漣  「ネタじゃねっての。巫山戯たこと言ってっと目覚まし代わりに七味ぶっかけるぞ。」アァ?


曙  「・・・ごめん。」


潮  「こら。余裕が無いからって妹にあたらない。こういうときこそ心を落ち着けて。」メッ


漣  「それ、姫姉が言う?」


曙  「同感ね。あと、こいつの妹だなんて御免被るわ。」ハッ


漣  「なんだと~。」


曙  「なによ。」


潮  「お姉ちゃん、らしく・・・。」グスッ


朧  「よちよち。姫姉は少し頼りないくらいがいいのよ。」ナデナデ


潮  「お姉ちゃん、なのに・・・。」ウゥ



優先順位を過たず。


曙  「撫子、あんたもう平気なの?莫迦澪はあんたを盾にしてたから実はそんなに被害を受けてないみたいだけど、撫子は・・・。」


漣  「ちょーい。うちが悪者みたいな言い方はよしてもらおうか。あれはただタイミング的に運が良かっただけであって。」


曙  「それだけ口が回るなら大丈夫よ。」


漣  「・・・姫に諫められて改めた途端にこれだ。可愛くねー奴。」ケッ


曙  「何か言った?」ア?


漣  「なんでもございやせーん。ったく、眼ぇ開けてるのが限界なんだぞ。」チクショーメ


潮  「撫子ちゃん、瞳が真っ赤だよ?ほんとに大丈夫?」


朧  「らいじょーぶ。眼に入った唐辛子は水で洗い流したから。」


潮  「水・・・?撫子ちゃん、お水持ってきてたの?」


朧  「ううん。」フルフル


曙  「はぁ?じゃあ、あんたいったい何で・・・。」


漣  「いやいや、水ならいっぱいあるだろ?足許にさ。」


曙  「あ、あんた・・・まさか。」


朧  「えへへ。ちょーいたいのねん。」


曙  「莫迦じゃないの!?水なら私が錬成してあげたのに!少しは頼りなさいよ!」モウ!


漣  「あかりーん。お水出して~。」


曙  「あんたは潮水で洗ってなさい。」ギロ


漣  「ん~。もう怒っちゃうぞ~?」


潮  「いい加減にしなさぁい!!」


漣・曙「」ビクッ


潮  「撫子ちゃんが大変なときに喧嘩ばっかりして。ふたりとも、其処に正座しなさい。」


漣  「いや、艤装着けてても流石に正座は・・・。」


潮  「しなさい。」


アイ・・・


潮  「撫子ちゃん、少し待っててね。」


朧  「え?あの、お水・・・。」


イイデスカ?・・・ クドクド


朧  「お水・・・。」



金で買えるなら易い買物だ。


集積姫「・・・来た。」


南方戦「漸くお出ましなのね。待ちくたびれたわ。」フン


鈴谷 「鈴谷的にはもっと遅れてくれたほうがよかったかな・・・なんて。」ハハッ


近衛麗「そう?私は早く来てくれたほうがよかったわ。ずっと海に浸かってたら身体が冷えちゃうもの。だから一旦お風呂に・・・。」


レ級 「行かせねーよ。」ガシ


近衛麗「えー。南ママが居れば私が居なくても平気でしょ~?」ブー


南方戦「誰がママよ、誰が。」


レ級 「流石の南姉でも、あの数を相手にひとりで壁役はキツいって。麗姉の力が必要なんだよ。」


近衛麗「その程度の言葉で靡くような安い女じゃないわよ、私は。」


レ級 「父ちゃんの頼みならふたつ返事で請けるくせに。」


近衛麗「パパへの愛はプライスレスなのよ。」


熊野 「言ってることが滅茶苦茶ですわ。」



兵器として・・・。


夕張 「どうです?鳳翔さん。補助具の具合は。」


鳳翔 「好い感じですよ。変に力むことなく自然に弓が引けてます。」フー


バシュ ドガッ


鳳翔 「狙いもばっちりです。」ウフフ


ヲ級 「ヲー。」


明石 「コンクリにめり込んでる・・・。」エェ


夕張 「鳳翔さん、その弓について詳しくっ。」ズイ


鳳翔 「詳しく、ですか?えっと。この弓は時雨さんに頂いたもので、私専用に調整しているということ以外はちょっと・・・。」


夕張 「じゃあ、時雨さんが戻ったら紹介してください!」ムフー


鳳翔 「紹介。紹介・・・ですか。」


明石 「あ、大丈夫ですよ。この娘は重度の兵器オタクなだけなんで。恋愛云々は暫くお休みするって熱く語ってたんで。」


鳳翔 「いえ、そういうことではなくて・・・。その、あまり大きな声では言えないのですけど・・・。」


夕明石「・・・?」


鳳翔 「兵器の質が向上することで戦争が早々に終結してしまったら困るな・・・と。」


・・・エ?



偏った者の生きづらさよ。


明石 「え、え~と。少しだけ時間をください!」ターイム


明石 「ねぇ、鳳翔さんって"そっち"の気がある人だったっけ?」ヒソヒソ


夕張 「実力者とは聞いてたけど、狂ってるなんてのはない・・・かな?」ウーン


明石 「だよね。」チラ


鳳翔 「・・・?」


明石 「訊いてみる?」


夕張 「貴女は戦闘狂ですかって?私、まだ死にたくない。」


明石 「デスヨネ」


天龍 「なんで鳳翔は戦争が早く終わると困るんだ?」


夕明石(うおおおおい!!)


鳳翔 「それは、だって、戦争が終わってしまったら艦娘の兵器としての存在価値が無くなってしまうではないですか。」


明石 「あ、そっち・・・。」


夕張 「焦ったぁ。」フゥ



火種は燻り続ける。


鳳翔 「兵器は、どう解釈しようと戦争の火種であることを否定できません。」


鳳翔 「深海棲艦という脅威が失われたそのとき、希望であったはずの私達艦娘は平和を脅かす存在になってしまいます。」


鳳翔 「平和を守るはずの存在が、恐怖の対象に。そんなこと、あっていいはずがありません。だからせめて・・・。」


鳳翔 「せめて艦娘が平和の象徴となるような道が見つかるまでは。或いは人間に戻る術が確立されるまでは。」


鳳翔 「人類にとっての脅威は、深海棲艦であってもらわなければ困るんです。人類同士が争う。そんな悲しいことを防ぐ為にも・・・。」



背丈より座高が気になる。


天龍 「艦娘を人間に戻す方法なら、もうあるじゃねぇか。」


龍田 「お姉ちゃんやあたしが艦娘になる前の状態に戻ったみたいな?」


鳳翔 「それでどうにかなるのは改造組の娘達だけですから。」


天龍 「・・・そう、だな。」ウーン


明石 「ていうか、天龍さん。なんか小っさくないですか?前からそんなでしたっけ?」


龍田 「本当はあたしのほうが背が高いの。山椒は小粒でもって、口癖みたいに言ってたわよね~。」ウフフ


天龍 「うっせ。身体が軽くなって清々すらぁ。」ケッ


夕張 「ほんとだ。御立派様が萎んでる。」


天龍 「萎んだとか言うな。これは整っただけだ。」フン


鳳翔 「天龍さん・・・。」ギュ


天龍 「ど、どうしたんだよ。急に手なんか握ったりして・・・。」


鳳翔 「仲間ですね。」キラキラ


天龍 「俺はまだ成長期・・・。」クッ


龍田 「その身長で巨乳はバランス的にちょっと。」エェ


天龍 「背は伸びないこと前提なのかよ。」チクショウ



恋愛遭難コーナー


鳳翔 「では、そろそろ行きますね。」スチャ


龍田 「お気をつけて。」


天龍 「本当なら俺も前線に立ってたはずなのにな。」


龍田 「まだ言うか、この姉は。」


天龍 「俺が傍に居ると花の為にならねぇだろ?」


龍田 「それはもう話を着けたじゃない。あたしは彼についていく。お姉ちゃんは此処に残る。」


天龍 「そうそう。俺は此処に残って花嫁修業をって、逆だろうが普通。」オイ


エー エー ジャネェ


鳳翔 「ふふっ。もう大丈夫なようですね。」クスッ



何歳からなら子に護られても良いだろう。


ドォーン


南方戦「ふっ!」ガキン


バシャーン


近衛麗「よーせっ!」クルッ


チュドーン


南方戦「やるじゃない、麗。砲弾をそのまま投げ返すなんて。」


近衛麗「南ママこそ、砲弾を殴り墜とすなんて凄いわぁ。よくそれで骨折しないわね。」


南方戦「生まれつき頑丈なのよ。あとママって呼ぶな。」


近衛麗「じゃあ何て呼べばいいのよ。」


南方戦「母様。」


近衛麗「柄じゃないわ~。」


南方戦「ワタシがそう呼ばれるのが?それともアンタがそう呼ぶのが?」


近衛麗「どっちだと思う?」ニィ


バチバチ


レ級 「余裕があるのはいいけど、三笠との距離を詰めないといつまで経っても終わんねぇぞー。」


集積姫「レーちゃんの言うとおりよ~。早くわたしを電極の有効射程まで連れていってちょうだい。」


南・麗「自力で行きなさいよ。」


集積姫「痛い返しね。」


レ級 「最悪、俺が盾役になってやるよ。」ヘヘッ


集積姫「ありがとう。その気持ちだけ受け取っておくわ。」フフ



おいと言われ、あ?と返す。


ヒューン ガキン バシャーン


南方戦「・・・鬱陶しい。」チッ


近衛麗「私、潜って背後に回るわね。あとよろしく。」ザパッ


南方戦「あ、こら勝手に!ってもう居ないし。」ッタク


南方戦「レ級、アンタ煙幕か何か焚けたわよね。頼めるかしら。」


レ級 「煙幕じゃなくて雷雲な。」


南方戦「どっちでもいいから、早くする。」


レ級 「・・・。」ジト


南方戦「何。」


レ級 「別に・・・。」ハァ


レ級 「暗雲に呑まれよ、"絶雲"。」ゴアッ


モクモク


レ級 「これ、俺達も砲弾が見えないんじゃ・・・。」


南方戦「勘でどうにかする!」ビッ


レ級 「無茶言うな!」



彼は本物を手にしたか。


三笠 「」ドーン


ザパッ


近衛麗「やっはろ~。」ニッ


三笠 「!」


フン! ドゲシ


近衛麗「もういっちょ!」カカトオトシ!


ボコッ


近衛麗「うげ。目玉飛び出た。気持ち悪っ。」


ガション


近衛麗「あれ。この程度で全員釣れちゃう感じ?あんたら結構チョロいのね。」フーン


ン?


近衛麗「何、あの黒い雲。まさか、あれで姿が見えなくなったから狙いが私に・・・?」エェ


近衛麗「魂が無いとこうも阿呆になるのね。まるで音に釣られて彷徨うゾンビそのものじゃない。」ヤレヤレ


三笠 「」オォォ


近衛麗「あ、ものを考える頭は無くても莫迦にされてることはわかるんだ。」アッハ


近衛麗「いいわよ。掛かってらっしゃい。私に注意が向けば向くほど・・・。」


南方戦「こっちが動きやすくなるのよ!」シュウセキ!


集積姫「電極射出。」パシュ


プス


集積姫「ハッキング開始。」ビビッ


三笠 「!!」バチッ


集積姫「支配完了。全砲門、開け!一斉射!」テェ!


ドォォーン ギャアアア


集積姫「ふ、ふふふ。あははハハハハ!」


レ級 「母ちゃんが壊れた。」


南方戦「放っておきなさい。スイッチが入るといつも"ああ"なのよ。」



何も変わっていないわけがない。


真宵 「ざっと済みたり・・・か。」フゥ


近衛東「やはり指揮官が不在では張り合いがないな。的中ての練習にもならん。」


ゴーヤ「死屍累々・・・。」


夕立 「これ、私達が片づけるの・・・?」


雷  「人工血液も漏れちゃってるし。環境汚染はんた~い。」ブー


真宵 「ならばさっさと片づけろ。こうしているうちにも汚染は進んでいるぞ。」


雷  「もっと倒し方を考えろって言ってるの!後始末をする身にもなってよね!」モウ


真宵 「戦闘中にそこまで頭が回るか、莫迦。汚した分はきちんと浄化する。それで文句は無いだろう。」


近衛東「いや、文句ならある。一時的とはいえ、汚染された影響で失われたものは元の状態に戻しただけでは還ってこない。」


近衛東「元に戻した程度では汚染が無かったことになどならんのだ。だから、汚すなら元より好い状態にして返せ。」


真宵 「・・・大海の支配者に言われては従わないわけにいかないな。」クハハ


真宵 「これを機に環境浄化事業にでも手を出してみるか。」フム


雷  「私達、海の掃除屋になるの・・・?」


夕立 「壊し屋になるよりはマシっぽい。」


ゴーヤ「海を綺麗に・・・。」キラキラ



自分の人生を自分の為に生きて何が悪い。


近衛東「乗り気なようだな、伊58。」フッ


ゴーヤ「もっちろん!ゴーヤは綺麗な海を泳ぎたくて艦娘になったんだもん!」ムフー


真宵 「ではまずは、目標を設定しなくてはな。"綺麗"を定義せねばならん。」


近衛東「ゴミの無い科学的に"綺麗"な海か。生物の溢れる"美麗"な海か。」


雷  「なんか話が進んでるんだけど。」


夕立 「海軍は慈善団体にでもなるっぽい~?」


真宵 「今も大して変わらんだろう。命を賭して深海棲艦と戦って、お前達に何の利がある。」


雷  「何の利がって。そんなことを考えて戦ってるわけじゃ・・・。」ア


真宵 「そらみろ。」クハハ



貪欲であれ。さすれば上が見えてくる。


真宵 「戦争が終われば、お前達艦娘は行き場を失う。何故ならお前達は、自分だけの欲を持って生きるように設定されていないからだ。」


真宵 「無欲なことは美徳のように語られることが多いが、欲の無い者は困難に立ち向かう力に欠ける。そんな者に未来は掴めん。」


真宵 「深海棲艦という敵を失ったとき、お前達はどう生きる。何を為す。それを考えたことがあるか?」


雷  「ない・・・けど、今はそんなことを考えてる場合じゃ。」


真宵 「莫迦。終わってからのことを終わる前に考えずして何時考えるのだ。」


真宵 「お前は大会が始まってからどの種目に参加するかを決めるのか?」


雷  「ぐ・・・。」


真宵 「何事にも準備期間は必要だ。なに、今すぐに結論を出せとは言わん。何なら俺が考えてやる。だが、いつかは必ず答えを出せ。」


真宵 「それまでは責任を持って、お前達の面倒を見よう。俺には愛する嫁も、産まれてくる娘もいるからな。」ニッ


雷  「今それ関係あるかしら・・・。」ムゥ


真宵 「ところで、夕立は何がしたい。」


夕立 「楽して生きたい。」


真宵 「正直でよろしい。」ウム



成績が上がっても良い成績になるわけではない。


神命 「だぁあああ!」ラァッ!


メギョ!


神命 「はぁ、はぁ・・・。」フゥ


神命 「終わり!」キラッ


鳳紅蓮「己が身ひとつで闘う奴は大変だな。」スチャ


神命 「どの口が言うか!自分だって最近までなまくら振り回してただけなくせに!」キッ


鳳紅蓮「俺は今、研ぎ澄まされた長剣の素晴らしさに感動している。」フッ


神命 「くっそ。ちょっと魔力操作が巧くなったからって調子に乗ってからに。」クッ


鳳紅蓮「おい。仲間の練度が上がってんだぞ。もう少し歓迎してくれてもいいんじゃねぇか?」


神命 「・・・ない。」ボソ


鳳紅蓮「あ?」


神命 「・・・いらない。」フルフル


鳳紅蓮「あのなぁ。俺はお前ら黒霧みたいに耳を鍛えたりしてねぇんだ。もっとはっきり喋れ。」


神命 「私だけ置いてきぼりにされてるみたいで気に入らないって言ってるの!」ワッ


鳳紅蓮「されてるって。差をつけられたなら追い縋ってこいよ。誰も待ってやくれねぇぞ?何言ってんだ?お前。」ハァ?


神命 「ど正論!というか、鉱物が無いのになんで長剣を生成できてるの!?意味わかんないんだけど!!」


鳳紅蓮「海には鉱物の成分が溶けてるんだよ。それを結合させて剣にしたら・・・好い感じになってな。」キラッ


神命 「成長おめでとう!すぅぐに追い抜いてやる!」ムゥ!


鳳紅蓮「なんで神命はそう俺に張り合おうとするんだよ・・・。」



育つことと育てること。


最上 「・・・終わったねぇ。」ジャキン


蓮華 「そうだな。神命が余計な意地を張った所為で何事も無く終わってしまった。」ヤレヤレ


最上 「何事も無くって・・・。まるで何かあったほうが良いような言い方をするね。」


蓮華 「当然だ。何の為に金剛を騙して的に仕立てたと思っている。」フン


金剛 「What!?」


最上 「あはは。最近、本当に容赦ないね・・・蓮華ちゃん。」ハハ



嘘の中にも真実はある。


金剛 「私がよく見えたほうが紅蓮の為になるって言ってたのに、あれは嘘だったンですかー!?」ンー!


蓮華 「嘘なわけあるか。私は嘘だけは吐かないと評判の父上の娘だぞ。騙すにしても真実しか口にせん。」


最上 「質悪いな~。」アハハ


金剛 「えーと?ちょっと待ってください?騙してるけど、嘘じゃなくて。真実だけど、騙してて・・・。」グルグル


金剛 「どういうことデスか・・・?」ウゥ


最上 「騙されたってことでいいんじゃないかな。」


金剛 「はっ!そうです!私は騙されたンです!もう、怒っちゃいますヨー!」プンスコ


蓮華 「よかったな、金剛。貴様の御蔭で紅蓮は大活躍だ。」シレッ


金剛 「そうですか~?」ニヘラ


蓮華 「阿呆は扱いやすくて助かる。」


最上 「荒れてるなぁ・・・。」



一番近くに居てくれたひと。


神命 「」ブツブツ


鳳紅蓮「おい。ほんとにどうしたんだよ。らしくねぇぞ?」


神命 「"らしく"って何?紅蓮に私の何がわかるの?」ジト


鳳紅蓮「わかるに決まってんだろ。何年一緒にいると思ってんだ。」


神命 「・・・口説いてるの?ごめん、紅蓮だけはないわ。」


鳳紅蓮「この遣り取りも何回目か・・・。」フッ


神命 「ふ、ふふっ。そうだったね。」クスッ


神命 「私が壁にぶつかったとき、一番近くに居てくれたのは紅蓮だった。兄様ではなくて・・・。」


鳳紅蓮「お前の愚痴は散々聞かされたからな。俺以上に神命のことを知っている奴はいない。」


神命 「いつもお世話になってまーす。」


鳳紅蓮「ああ。だから感謝されこそすれ、嫌われる道理は無いと思うんだが。」


神命 「何言ってんの?紅蓮のことは嫌いに決まってるじゃん。」


鳳紅蓮「あのなぁ・・・。」


神命 「嫌いだよ。私の心をこんなに掻き乱す紅蓮なんて・・・大っ嫌い。」ニヒッ


鳳紅蓮「おいおい。勘違いしてんじゃねぇよ。俺はただ、お前に笑っていてほしいだけだ。」テレッ


神命 「紅蓮のツンデレ、きも~い。」


ンダト! ヤーイ ツンデレボーイ ヤーイ



Everyday Fool


神命 「・・・ありがとね、紅蓮。色々と、支えてくれて。」


鳳紅蓮「急にしおらしくなるなよ。調子狂うだろうが。」


神命 「これで最後にするから・・・我慢してよ。」


神命 「紅蓮は、さ。なんで、私を気に掛けてくれるの?」


鳳紅蓮「・・・重なるんだよ、あいつと。報われたくて、報われなくて。救われたくて、救われなかった、あいつと。」


神命 「それって、ルミナさんのこと?」


鳳紅蓮「ああ。そっくりだろ?報われない恋をしているお前と・・・。だから。」


神命 「だから、俺が代わりに報われる恋をさせてやろうと。」フーン


鳳紅蓮「違うっつーの。」


神命 「えー?ほんとにぃ?一瞬でも考えなかったぁ?」


鳳紅蓮「・・・。」フイ


神命 「そういう反応やめようよ。こっちが恥ずかしくなるからさ。」ムゥ


鳳紅蓮「ならまず変に茶化すのをやめろ。自分のことだろうが。」


ヘーイ コイツ・・・!


神命 「ま、どのみち私は兄様と添い遂げる道を諦める気なんてないんだけどね。」


鳳紅蓮「ったりめーだ。何の為に俺がお前を応援してやってたと思ってんだ。」


神命 「・・・は?」


鳳紅蓮「俺は、時雨の傍に居るときのお前が好きなんだ。本気で笑って、本気で泣いて、本気で怒って、感情を剥き出しにしたお前がな。」


神命 「・・・。」


鳳紅蓮「だから、俺で妥協しようだなんて間違っても考えんじゃねぇぞ。莫迦が頭使って出した結論は大概碌なものじゃないからな。」ヘッ


神命 「好き勝手言いおって、この野郎。莫迦はそっちだっつの、ばーか。漢なら俺のものになれくらい言えってんだ、ぶぁーか。」


鳳紅蓮「お前、俺のものになりたいのか・・・?」


神命 「女を物扱いする輩はぶっとばーす。」ビキッ


鳳紅蓮「言ってることが滅茶苦茶だぞ。くそっ。やっぱり女はわからん!」



妻が言う 貴方はどうでも いい男 -好楽-


ギャーギャー


最上 「なんか、喧嘩始めてない?あのふたり。」


蓮華 「放っておけ。どうせただの欲求不満だ。」


最上 「欲求不満て・・・。」


金剛 「つまり今夜はムフフというわけデスね!」キラキラ


蓮華 「そうだなー。」


最上 「金剛ちゃんの扱いが雑すぎるよ、蓮華ちゃん。」ハハ



心の傷さえも庇って魅せて。


神命 「うるぁ!」グン


鳳紅蓮「ちぃ!」サッ


ゴッ メキィ!


鳳紅蓮「くっそ。この元気っ娘め。てめぇの体力どうなってんだよ!」


神命 「喧しい!紅蓮が潔くフラれてさえいれば丸く収まったのに!変に格好付けるからこうなってるの!!」フン!


ドゴォ


鳳紅蓮「く・・・!なんで俺がフラれる側なんだよ!お前にとって俺は"拾う神"だろうが!」


神命 「誰が兄様に捨てられたってぇ!?これでもちゃんと愛の言葉くらい囁いてもらっとるわ!」


鳳紅蓮「はっ!体良くキープされてるだけなんじゃねぇのか!?今、時雨の周りに居る女で抱かれてないのはお前くらいだろ!?」ヘッ


神命 「大切にされてるだけですぅ!なんか穢してはいけない気がするっていうあれですぅ!」


鳳紅蓮「一度は穢された身で何言ってんだ!」バーカ


神命 「うるさぁい!」


ギャーギャー


最上 (これ、金剛ちゃんに聞かれるとまずいよね。神命ちゃん、無線切り忘れてるし。金剛ちゃんにインカム渡してなくてよかった。)フゥ


蓮華 「金剛、あれ止めてこい。旦那の尻拭いは嫁の務めだろう。」クイ


金剛 「わかったネー!」フンス


最上 「ちょおおおおい!」



時代についてこられていないのは誰かな?


???「」ブツブツ


日陰 「ま~ほろ。」ヌッ


黒霧幻「うひゃい!」ビクッ


日陰 「駄目だなぁ。最近の若い娘は。暗殺者が簡単に背後をとられちゃいけないよぉ?」ニシシ


黒霧幻「・・・。」ポー


日陰 「ん~?」


黒霧幻「お母ちゃん?」


日陰 「さ~あ、どうだろうね~?どっちだと思う?」


黒霧幻「ど、どっち?ど、どどどど。」グルグル


日陰 「ぷっ。あはははは。やっぱり母娘だね~。昔の私そっくり。時雨くんの面影は、目許・・・かな?」ンフフ


黒霧幻「あ・・・あぅ。///」


ギュ


日陰 「独りにして、ごめん。寂しかったよね。仲間が欲しかったよね。もう、独りにしないからね。ママが、パパが傍に居るからね。」


黒霧幻「う、うぁ・・・。あぁあああ!」ボロボロ


日陰 「ごめん。ごめんね・・・。」ヨシヨシ


アアア・・・


黒霧幻「はぁ。つまんないの。」スン


ドスッ



どこまで他人を信用すべきか。


アアアア!


黒霧幻「痛い!痛いよぉ!」ボタボタ


日陰 「うーん。やっぱり駄目かぁ。ごめんね、鳳翔ちゃん。嫌な役目を任せちゃって。」


鳳翔 『いえ、慣れていますから。日陰さんこそ大丈夫ですか?実の娘が目の前で傷付く姿を見せつけられて。』


日陰 「心配してくれるなら言わないでほしかったなぁ。ま、平気なんだけど。」


黒霧幻「なんで?なんで!?お母ちゃん!」


日陰 「ひと~つ、最悪を想定して行動すべし。そもそも母娘の絆だけで全てが解決するなんて思ってないんだな~。」アハハー


日陰 「幻はまだ自分の能力を上手く使いこなせてないし?肉体の主導権を幻が握ってるなんて期待してないわけで。」


日陰 「無理矢理にでも取り込んだ魂共を追い出してやらないとかなぁ・・・とか?考えてたわけで。」


日陰 「ま、取り敢えずさぁ。早く、うちの大事な大事な愛娘の中から出ていってくれないかなぁ。」オォォ



根拠の無い自信も天上を超えれば魅力となる。


黒霧幻「鬱陶しい蠅共ですね。」チッ


日陰 「娘の声で汚い言葉を使わないでもらえるかな。」ビキッ


黒霧幻「貴女こそ、私だけの特別なひとに色目を使わないでいただけますか。勝手にふたりめを孕んで。引き摺りだしてやりましょうか。」


日陰 「私"だけ"?いつから時雨くんが君だけの特別になったの?時雨くんは、みんなの特別だよ。」


黒霧幻「仲良くシェアしましょうってことですか?巫山戯ないでいただけます?」


日陰 「大真面目ですけど?だいたい、あの時雨くんが誰かひとりのものになんてなるわけないじゃん。」ハッ


日陰 「あんな超絶自由人を誰が繋ぎ止めておけるってのさ。」


黒霧幻「それは私が・・・。」


日陰 「できてないよね。だからこうして幻の中で未練たらしくこの世に縋ってるんじゃないの?」


黒霧幻「・・・。」ギリ


日陰 「ねぇ、わかってる?幻は、私の娘であると同時に、時雨くんの娘でもあるんだよ?」


黒霧幻「ええ・・・そうでしょうね。ですが、私の娘ではありませんから。」


日陰 「あ?」ブチ


鳳翔 「言ってはいけないことを言ってしまいましたね、狭霧ちゃん。」


黒霧幻「庵・・・。」


鳳翔 「日陰さん、時間稼ぎご苦労様です。ここからは私が。」スッ


日陰 「うん、お願い。肉体欠損までは目を瞑るけど、殺さないようにね。」クシャ


鳳翔 「心得ています。お任せを。」キッ



力があるから護るのではない。


鳳翔 「」スッ


黒霧幻「よーく、狙ってくださいね。此処ですよ、庵。」トントン


鳳翔 「・・・。」


黒霧幻「私の中には島風ちゃんが居ます。その一発を外せば、貴女に次はありませんよ。」


鳳翔 「狭霧ちゃん。貴女、戦場の私を知りませんね?」


黒霧幻「知っていますよ?"小さき鬼神"の伝説は、あまりに有名ですから。」フッ


ピク


鳳翔 「後悔、しますよ。」


黒霧幻「・・・。」ニタァ


バシュ!



護りたいものがあるから力を求めるのだ。


スカッ


黒霧幻「狙いが正確すぎますよ!庵ぃ!」グン


ズアッ


鳳翔 「っ!」


黒霧幻「終わりです!」ゴッ


ザシュ・・・


黒霧幻「・・・こほっ!」カクン


鳳翔 「ふっ!」ドゴッ


黒霧幻「くぅ・・・!」バシャ


ハァ ハァ


黒霧幻「弓を使わず直接、矢を・・・。随分と野蛮になったものですね、庵。」


鳳翔 「昔からですよ。貴女が知らないだけで。」


黒霧幻「それにしても足癖が悪いようですけど・・・?」コフッ


鳳翔 「私が得意なのは"弓術"でなく、"弓闘術"ですから。」


鳳翔 「残念でしたね、狭霧ちゃん。私が、間合いを潰した程度で折れるような甘い女ではなくて・・・。」フッ


黒霧幻「うぅ・・・。ぅううあああああ!!」


アアアア!!



充実した毎日では身体が休まらない。


黒霧茜「・・・っ!」プハァ


ハァ ハァ フゥ・・・


黒霧茜「何とか、倒しきったな。」


時雨 「お疲れ、ねぇね。」


黒霧茜「本当に疲れたぞ。もう魔力が底を突きそうだ。」フッ


時雨 「魔力?凶化ってそんなに魔力消費が激しいの?」


黒霧茜「いや、凶化はかなり燃費が良いぞ。何せ、魔力量の少ない黒霧が為だけに開発された秘術だからな。」


時雨 「じゃあなんで・・・。あっ。若しかして、身体を動かすための・・・。」


黒霧茜「今回だけだがな。普段は空中を漂う原初の霧を取り込んで原動力に変えている。呼吸で酸素を取り込むのと同じように。」


時雨 「あー。」ハハッ


黒霧茜「何か、言い訳はあるか?」


時雨 「面目次第も御座いません。」ハハー



激写ガール現る。


足柄 「あー。漸く痛みが抜けてきたわ。」


那智 「久方振りに涙を流した。」フゥ


足柄 「久方て。私、那智姉が泣いてるところなんて見たことないんだけど。」


那智 「当然だ。泣き虫の前で涙など見せるわけがないだろう。」


足柄 「・・・羽黒~。写真とか撮ったりしてな~い?」ネー


那智 「何を莫迦なことを。」ハッ


羽黒 「撮ってるけど足柄お姉ちゃんにはあげない。」サッ


足柄 「なんでよ!?」


那智 「・・・は?おい、羽黒・・・?」


羽黒 「うふっ。やっと、那智お姉ちゃんの弱みを握れた。」ウフフフ


那智 「」ピシャーン


羽黒 「この写真にお姉ちゃんがどれだけの価値を付けるのか、期待してるね。」ニコー


足柄 「何と言うか。災難だったわね、那智姉。」ポン


那智 「莫迦が。お前も他人事ではないぞ。」ドヨーン


羽黒 「ねぇ、妙高お姉ちゃん。この写真とか黒いひとに高く売れたりしないかな。」


妙高 「うっ。足柄、貴女・・・。」ドンビキ


足柄 「え?何?私、何を撮られたの?そんな反応されるようなことした憶えないんだけど!?」



謝罪のできる大人で在れ。


ギャー ギャー


黒霧茜「元気だな。彼奴らは。」フフッ


時雨 「ねぇねが背負いすぎなだけだよ。」


黒霧茜「弟に頼られたのだ。張り切ってしまうのも道理だろう?」


時雨 「・・・ぶらこん。」


黒霧茜「それが何かは知らんが、褒め言葉として受け取っておこう。」フッ


時雨 「ま、それはそれとして。」チョイチョイ


潮  「」


セーノ


潮時雨「ごめんなさい。」ペコー


黒霧茜「私のほうこそ、すまなかった。」スッ


潮  「え?」


黒霧茜「元はといえば、私が過ぎた真似をしてお前達の役割を奪ってしまったことが原因だ。暇だったろう。すまなかったな。」ポム


潮  「そんなことは・・・。見て学ぶのも大事、だから。」モジモジ


黒霧茜「そうだな。だが、私の真似はしてくれるなよ。」ハハハ


ウリウリ


潮  「・・・えへへ。///」


・・・ゴポッ



為せば成る。為さねば成らぬ。


時雨 「・・・なんか、空気が。」ピク


黒霧茜「ああ、上がってくるぞ。」


ゴポポポ!


???「」ザパァ


タパパ


???「」コォォ


潮  「し、深海棲艦・・・!」


妙高 「あれは・・・戦艦棲姫!」


戦棲姫「」ジー


スッ


長門 「ん?」


陸奥 (長門を指差した?)


戦棲姫「相手をシろ、戦艦。」ニタァ


長門 「ほう。」ニィ


ザパパ


深海勢「」ギギ


戦棲姫「蹂躙セよ。」バッ


ギャオオオ!!


黒霧茜「さぁ、仕事だぞお前達。」


黒霧 「この場の活躍次第で今後の訓練内容が決まると覚悟して最善を尽くすこと。期待してるよ、娘達。」フフ



成らぬは人の為さぬなりけり。 -上杉鷹山-


黒霧 「それじゃあ僕は幻のところに行ってくるから。後のことは任せたよ。今度こそ・・・ね、眠。」


時雨 「はは・・・。了解祭り。」アイサー


黒霧 「灯、澪、撫子、姫百合。いつもどおりにね。」ポンポン


曙  「ん・・・。気安く触らないでよ。///」


漣  「反抗期か?」


朧  「今更なのねん。」


潮  「頑張りますっ。」ムン


黒霧 「綾、琴。少し休みなさい。妙高、君には何も言わない。」


那智 「どのみち今の私には戦う気力なんて無いさ。」ズーン


足柄 「私は暴れたりないけど。」


妙高 「賢明な判断ですね。」フン


羽黒 「・・・。」


黒霧 「写真の交渉は後でゆっくりと・・・ね。」コソッ


羽黒 「」キラキラ


足柄 「嫌な予感が・・・。」ゾワッ



死と隣りあわせの"しあわせ"。


長門 「」ジー


黒霧 「どうかした?」


ペタペタ


長門 「私の好みには少し足りないが良い筋肉だ。」フム


陸奥 「破廉恥な。」


サワサワ・・・


黒霧 「いい加減にしないと僕も触り返すからね?」ニッコリ


長門 「触りっこ・・・!」ツー


陸奥 「ああ、もう。姉さんったら、鼻血。」ンモウ


戦棲姫「・・・無視?」



戦場に揺れるは毒蜂の針。


潮  「障壁展開。射撃姿勢、良し。装填、良し。いつでも撃てるよ、灯ちゃん!」ガション


曙  「重巡クラスを優先して狙ってちょうだい。手前の奴からでいいわ。一隻ずつ、確実に!」


潮  「わかった!」ジャキ


ドォーン


ネ級 「!」


チュドーン


ネ級 「ガッ・・・!ァア!!」キッ


潮  「ど、どうしよう、灯ちゃん!全然効いてないよ!」アワワ


曙  「んなわけあるか!澪!とどめ!」


漣  「はーい!呼ばれて飛び出てさようなり~!」トウ


サクッ


ネ級 「ッ!」ビクッ


ネ級 「ナ・・・!ナ!」ガクガク


漣  「吃驚した?うちら艦娘にはさ、艤装の操作を司る命令器官があるのよね~。それを潰されると、まともに動けなくなるってわけ。」


漣  「な~んでそれをあちしが知ってるかは置いといて。つまり何が言いたいかって~と、駆逐艦舐めんなよってこったぁ!」ハッハー


漣  「ありがとう、時雨たん!俺はやるぜぇ~!!」ヒャッハー


潮  「よかったぁ。澪ちゃんの攻撃は効果があって。」ホッ


曙  「だから、姫百合の砲撃も充分効いてるっての。なんで効いてないだなんて思うのよ。」


潮  「だって、黒姉は一撃でやっつけてたし・・・。」


曙  「あんた、さっき真似をするなって言われたばかりじゃない。比較対象は選びなさいよ。」マッタク



鼻血注意報発令中。


長門 「待たせたな!」バーン


戦棲姫「本当に待っタ・・・。」


陸奥 「ごめんなさいね。うちの姉が変態で・・・。」ハァ


長門 「変態とは失礼な。私ただ、ほんのすこ~し性に興味があるだけだ。」ムッ


陸奥 「本当に少しだけなら鼻血を出すほど妄想しないわよ。」


長門 「それだけ純ということだ。お前もそう思うだろう?」ナッ


戦棲姫「え?ワタシ・・・?」


長門 「深海棲艦にも性欲くらいあるだろう?そういえば、お前達はどうやって処理しているのだ?深海にもそういう概念はあるのか?」


戦棲姫「そ、ソうイう・・・?」


長門 「む。はっきり言わねば伝わらぬか?【お察しのとおり】だ。月に何回だ?私は毎日しているぞ、筋トレを。」キラン


陸奥 「姉さんにとってはもう筋トレが自慰行為なのね・・・。」


戦棲姫「なっ・・・!?なぁ!?///」カァァ


長門 「意外と初心なのだな。鈴谷あたりにこの話題を振ると火が点いて止まらないのだが。これが艦娘と深海棲艦の違いか?」フム


陸奥 「だとしたらわたしは深海側がいいわ。」


戦棲姫「やっパり、艦娘はコワい・・・!」フルフル


ン? ヤッパリ?



あなたは私の黒歴史。


長門 「そうか・・・。幼い時分に虐められた経験が・・・。」フム


陸奥 「そりゃあ、幼いとはいえ戦艦棲姫だもの。複数で対抗しないと、こっちがやられちゃうわ。」


戦棲姫「そう、じゃなくテ。執拗に撫でくりまわされタというか。ナ、なめまわされたというか・・・!」ガタガタ


長門 「撫でる。舐める・・・。幼い深海棲艦を・・・?」ン?


陸奥 「・・・。」


長門 「なぁ、陸奥。」


陸奥 「わたしは何も知らないわ。」フイ


長門 「まだ何も言っていないのだが・・・。やはりお前か。」ハァ


陸奥 「可愛いものは仕方ないじゃな~い!我慢できなかったのぉ!」


長門 「まったく。災難だったな、戦艦棲姫。妹が迷惑を掛けた詫びだ。愚痴があれば聞くぞ?」ドレ


戦棲姫「う、うん・・・。」


長門 「此処は騒がしいからな。場所を移そう。」ポン


陸奥 「あ、ちょっと姉さん!抜け駆け!」


戦棲姫「アナタは来ないで!!」ワッ


陸奥 「そんなっ!?」ガーン



カプセルホテルのシャワーが最高だった件。


長門 「しかし、よかったのか?指揮官が戦場を離れて。」


戦棲姫「構わなイ。これはタだの演習。ワタシにはワタシの目的がある。」


長門 「・・・なに?」


戦棲姫「トラウマの、克服・・・!コワいけど。でも、頑張る!」ムン


長門 「それは私も応援しよう。その前にだな。聞き捨てならん科白が聞こえたのだが。」


戦棲姫「・・・そんなのあっタ?」ウン?


長門 「いや・・・なんとなくわかった。お前が流暢に此方の言語を操ることといい、演習の設定になっていることといい・・・。」


長門 「それを繋げる要素を私はひとつしか知らん。」ハァ


長門 「戦艦棲姫よ。"黒霧時雨"、この名に憶えはあるか?」


戦棲姫「・・・ダレ?」


長門 「違った、だと・・・!」ピシャーン



何となく話してたけど、君は何方?


戦棲姫「ワタシがお世話になったの・・・女の子。髪、白くて。瞳、紅くテ。カワイイ・・・。」ニヘ


長門 「白い髪に紅い瞳か。似ているな。ということは、縁者か・・・?」


長門 「まったく。黒の周りには他人の生き方を変えてしまう者ばかり揃っているのだな。」ハァ


戦棲姫「そうナの!彼女の御蔭でワタシは変わる契機を!契機を・・・。」


長門 「どうかしたか?」


戦棲姫「そういえバ、彼女の名前、知らなイ・・・。」アレ?


長門 「今、気づいたのか・・・。」


ウン・・・



やりたいことができるのが充実。


アアアア!


鳳翔 「・・・。」キュ


黒霧幻「あぁぁ・・・ははっ。あははは!あのときと同じ状況だねぇ!庵ぃ!」アハハ!


深海勢「コォォ」ズラァ


鳳翔 「数で潰しにきましたか・・・浅ましい。」フッ


黒霧幻「っ・・・!」ピク


鳳翔 「私が何故、鬼と呼ばれたか。その理由を教えてさしあげましょう。」スッ


鳳翔 「かかってきなさい。」ギン


黒霧幻「強がりを・・・!擂り潰しなさい!」


ギャオオオオ!!



やるべきことが多いのが忙殺。


鳳翔 「ふ!」バシュ


グギャ!


鳳翔 「はぁ!」ドゴ


ギィ!


イ級 「ガァ!」ガブッ


鳳翔 「つっ!んん!」ザシュ


イ級 「ギャオオ!」ガション


鳳翔 「っ!」


チュドーン


黒霧幻「あははは!油断したね、庵ぃ。その子の狙いは始めから自爆だよぉ。」ニタァ


鳳翔 「」ボロッ


黒霧幻「ふふふっ!数の差を前に、その傷は致命的だよねぇ。どうする?諦めるぅ?」ニタニタ


鳳翔 「・・・。」スン


黒霧幻「死に損ないが。鬱陶しい。」チッ


黒霧幻「遠慮は要りません。屍肉まで貪り尽くしなさい。親友としての情けです。せめて、愛するひとに無様を曝すことなく逝きなさい。」


バシュ! ズドドッ


黒霧幻「・・・は?」


鳳翔 「私、言いましたよね。私が鬼と呼ばれる所以を教える、と。ここからが鬼の刻です。」オォォ


黒霧幻「ヒッ」


鳳翔 「喰われるのは、貴女ですよ。」



糖分と油分を受けつけない身体に・・・。


ガァ! ギェ!


鳳翔 「」ザシュ ドゴッ


ギャアア!


黒霧幻「数の暴力を、ひとりで・・・!」ギリ


黒霧幻「静かに怒る者が一番恐いと言いますけれど、今の庵は将に・・・。」


鳳翔 「」バシュ ドカッ


黒霧幻「静かなる鬼神・・・。でも、そろそろ・・・。」ユラァ


鳳翔 「ふー。いっ、つぁ。」ズキン


黒霧幻「限界ですよねぇ!」ズァ!


ドゴォ!


黒霧幻「かっは!」


鳳翔 「貴女なら、とどめは自分で刺しにくると信じていましたよ。狭霧ちゃん。」


黒霧幻「・・・私も、信じていましたよ。庵!」ガシ


鳳翔 「!」


イ級 「グギャオ!」バッ


黒霧幻「爆ぜなさい!」


チュドーン・・・



所詮は人間基準の害獣。


パラパラ


黒霧幻「な・・・に、が。」


・・・


明石 「中たった?」ンー?


夕張 「一発命中。流石は私。兵装実験の天才。」フフン


明石 「ほー。やるねぇ。補助装置がついてるとはいえ、この距離を。練習だと外しまくるのに、ここ一番ってときに強いよね、夕張。」


夕張 「それは私が下手なんじゃなくて兵装の出来が悪いだけ。事実、私が造った兵装だと命中率高いでしょ?」


明石 「いや、そのデータ持ってないし、知らないけど。他のみんなは同じ条件でしっかり中ててるじゃん。」


夕張 「そんな私でも一発命中させられるほど、この可動式固定砲台が優秀だってことよ。」フン


明石 「こいつ、開き直った上に自分の未熟さを棚にあげやがりましたよ。」


夕張 「いいから、早く弾の装填してよ。次が撃てないじゃない。」


明石 「え~。自動装填装置とか付いてないの~?」メンド


夕張 「そんな時間なかったの!」


明石 「ていうか、何処に弾あるの~?」


夕張 「工廠。型は用意してるから。」


明石 「今から造れってか!」



身の程を知れっ!


天龍 「・・・。」フム


龍田 「あれなら俺にも・・・。」ボソッ


天龍 「」ギクッ


龍田 「あたし、お姉ちゃんには普通の女の娘として幸せになってもらいたいな~。」


天龍 「お、おう・・・。」


龍田 「その返事は納得してないわね?あのねぇ。艦娘だった頃ならまだしも、ただの少女になった今じゃ、高望みが過ぎるわよ。」


龍田 「護られ上等。護り返す力なんて身につけようがないんだから、支えてあげればいいの。愛を捧げる者として・・・ね?」ウフッ


天龍 「///」カァ


龍田 「今、やらしいこと考えたでしょ。」


天龍 「考えてない。」フイ


龍田 「はぁ。あたしの知っているお姉ちゃんは、もう何処にもいないのね。」ヨヨヨ


天龍 「それはこっちの科白だ。」



内は変化し、外は劣化する。


黒霧幻「くそ、外面だけの木偶共が。工作艦の排除もできないだなんて・・・!」チッ


鳳翔 「いつまで、くっついている心算ですか?」


黒霧幻「っ!」バッ


鳳翔 「はぁ・・・。今のは危なかったですね。夕張さん、ありがとうございます。助かりました。」


夕張 『いえいえ、助けられてるのはこっちですよ、鳳翔さん。私達じゃ、そういう"規格外"の相手はできないですから。』


鳳翔 「そう・・・かも、知れませんね。」


夕張 『かも、じゃなくてそうですって。あ、それから次の砲弾が出来るまで暫く掛かりそうなんで、支援は期待しないでください。』


鳳翔 「大丈夫ですよ。もう、終わりますから。」


黒霧幻「舐めた口を・・・!」ギリ


日陰 「」ユラァ


ガシッ フガ!


日陰 「実際、舐められる程度の実力しかないじゃん。真正面から近づいてあげたのに全然気づかないしさ。」


黒霧幻「んー!んー!」ジタジタ


日陰 「そろそろ幕引きにしようよ。全部忘れて、還るべき場所に還れ、残り滓が。"浄化"!」カッ


アアアア!!



本当の危機は音も無く訪れる。


黒霧幻「ぁ・・・。」ハタ


日陰 「」フゥ


日陰 「終わり~!」ンー!


鳳翔 「お疲れさまです、日陰さん。」


日陰 「庵ちゃんもね。」ニヒー


日陰 「ところで、その傷大丈夫~?なんか黒っぽくなってるけど、それ結構な重症なんじゃない?」


鳳翔 「そうですね。痛みも無いですから、火傷の中では一番の重症だと思います。きっと、痕も残るでしょうね。」ソッ


鳳翔 「はぁ。これではもう、お嫁に行けませんね。」ウフフ


日陰 「その割には嬉しそうに見えるけど・・・。」


鳳翔 「ええ、日陰さんの旦那様には責任を取ってもらわないとです。」ウフフフフ


日陰 「あはは。私と時雨くんは、そういう関係じゃないんだけどな・・・。」


鳳翔 「あ、別に結婚したいわけじゃないですよ。ただ、彼の居場所になってあげたいだけです。私の名前みたく。」


日陰 「それただの不倫・・・。というか、時雨くんは隠居なんてしないから。庵はお呼びじゃないから。」


鳳翔 「」クスン


ア・・・ ゴメン



画竜点睛


ユラァ


日陰 「」ゾワッ


鳳翔 「日陰さん!」


黒霧幻「」シュッ


日陰 「くっ!」バッ


黒霧幻「」グンッ


日陰 (やばっ。避けきれない・・・!)


ドゴッ


黒霧幻「・・・!」


???「まったく。相変わらず君は詰めが甘い。息の根を止めたとしても戦場では気を抜かない。」


日陰 「・・・ごめん。ありがとう、時雨くん。」


黒霧 「あとは僕に任せて、ゆっくり休んで。」


日陰 「うん。」


黒霧 「それから、庵。やせ我慢も程々にね。」


鳳翔 「・・・はい。」


黒霧 「さて、随分と待たせてしまったね。これで終わりにしよう、間宮"だった"ひと・・・。」



傷は完治しない。心は特に。


黒霧幻「うぅあ!」ブン!


黒霧 「記憶を失って尚、君を突き動かすものは何だろうね。恨む相手を忘れ、恨む理由を忘れ、恨んでいたこと自体も忘れ・・・。」パシ


黒霧 「それでも君は他人に敵意を向け、拒絶する。」シュ


黒霧幻「!」バッ


黒霧 「本当は、寂しいはずなのに。想い合える誰かと一緒に居たいはずなのに。」


黒霧幻「っ!」ギリ


黒霧 「そんなに恐いか?傍に居たはずのひとが離れていくことが。」


黒霧幻「」ピクッ


黒霧 「たとえ記憶を全て失ったとしても、心に刻まれた傷が消えることはない。たとえ頭が憶えていなくとも、身体が覚えている。」


黒霧 「二度と同じ苦しみを味わわないために、ブレーキを掛ける。最後の一歩を躊躇わせる。」


黒霧 「君の傷は、"孤独"。独り置いてきぼりにされた悲しさ。頼る者のいない絶望。進むべき道の見えない恐怖・・・。」


黒霧幻「」フルフル


黒霧 「今、君の目の前に居るのは誰だ。」


黒霧幻「お・・・とう、ちゃん。」グスッ


黒霧 「今、君が僕にぶつけるべき言葉はなんだ。」


黒霧幻「会い、たかった・・・!」ヒグッ


黒霧 「他には。」


黒霧幻「どうして幻を独りにしたの。」


黒霧 「他には。」


黒霧幻「どうして幻を迎えにきてくれなかったの!」


黒霧 「他には!」


黒霧幻「どうして!幻を助けてくれなかったの!!」ブワッ


黒霧 「さぁ、幻。君の全てをぶつけてみせろ!僕はその全てを受け止めよう!」


黒霧幻「うぅぅぅ!!」


ウアアア!!



火計・水計・滑稽


黒霧幻「Zzz」スー


黒霧 「」ナデナデ


日陰 「・・・。」ジー


黒霧 「・・・。」


日陰 「・・・。」プルプル


黒霧 「なに。」ムッ


日陰 「ぷふっ!ちょ、その顔やめて。面白すぎる・・・!」


鳳翔 「もう、不謹慎ですよ、日陰さん。時雨さんは文字通り、幻ちゃんの想いを受け止めたんですから。」


日陰 「だからって、本当に全部受けることないじゃん!ボロボロの時雨くんとか、初めてっ。」プフー!


黒霧 「むぅ。」プクー


鳳翔 「ん"っ!」ブッ


黒霧 「庵・・・。」ジト


鳳翔 「なんでもないです。気の所為です。」サッ


日陰 「あーははは!もう駄目!笑い死ぬっ!」ヒー! ヒー!


黒霧 「・・・てろ。」ボソッ


日陰 「は・・・。」ピタ


鳳翔 「では、私は入渠のほうに・・・。」ソー


ガシ ヒッ


黒霧 「入渠だと時間が掛かるでしょ?僕が治してあげるよ。」ニコニコ


鳳翔 「いえ、でも・・・。」タラー


黒霧 「遠慮しないで・・・ね?」ニコー


ハ・・・ハイ


日陰 (はは・・・。調子に乗りすぎた。)ヤッベ



公開までして頑張ったんだから。違う、そうじゃない。


鈴谷 「ねぇねぇ、鳳翔さ~ん。」ニヨニヨ


鳳翔 「」ツップシ


鈴谷 「ねぇ、今どんな気持ち~?」グフフ


鳳翔 「うぅ。///」シュー


鈴谷 「みんなの前で公開ディープキスされて、今どんな気持ちぃ~?」グフフフ!


鳳翔 「うぅ~!!///」プシュー


熊野 「やめなさい。」テシッ


アダッ



こちら神だが異常はないか。by Kusuo


南方戦「」ムー


集積姫「ねむ・・・。」フア~


南方戦「」フン!


メキィ


集積姫「こぉら、物に中たらないの。」


南方戦「中たりたくもなるわよ。何あれ。仲良く川の字になってお昼寝なんてしちゃって。」


集積姫「川の字というよりはサンドイッチって感じだけど。幻ちゃん、完全に潰れてるし。」


南方戦「それも外で・・・。日陰も平然と、あんなに、くっついて・・・。」ワナワナ


集積姫「ダニとか大丈夫かしら。」


南方戦「そのメンタルが羨ましい!」ダン!


集積姫「あ、そっち・・・。」


フゥ・・・


南方戦「ちょっと、蓮華呼んでくる。」スック


集積姫「じゃあ、わたしは灯を連れてくるわね。それから五月雨にレーちゃんにヲーちゃん・・・。」


集積姫「どうしましょう。これじゃあ、サンドイッチじゃなくてハンバーガーね。」アラアラ


南方戦「子沢山め!」


トイウカ ナニソノタトエ イイエテミョウジャナイ?



スカートは長いほうが安心する。


黒霧幻「Zzz」ウミュ


黒霧 「」スー


日陰 「・・・。」モゾ


グイッ


日陰 「うっ・・・。時雨くん、起きてるね・・・?」クッ


黒霧 「僕が本当に眠るのは姉さんの隣りだけだから。」


日陰 「これだから実力者は。もっと他人を信用してもいいんじゃないの?」


黒霧 「自分を犠牲にしてでも護りたいものがあるってことだよ。」ギュ


日陰 「ちょっ。幻が潰れてるからっ。窒息したらどうするの!」ヒソヒソ


黒霧 「窒息するほどないくせに。」


日陰 「な・ん・だ・と~!」


黒霧幻(お母ちゃん、楽しそう・・・。)フフ



新たな未来に過去の栄光も挫折も必要ない。


天龍 「なんか、複雑な気分だな。」


龍田 「旦那様をとられたから?あれ?でも、お姉ちゃんと時雨さんって正式な夫婦じゃ・・・。」ンー?


天龍 「そうじゃねぇよ。あいつは・・・仇だろ。」


龍田 「あ~。そういえばそうだっけ。」


天龍 「お前な・・・。仮にも好きだった相手だろうが。忘れんなよ。」オイ


龍田 「別にどうだっていいじゃない。そんな昔のことなんて。」


龍田 「折角やり直す機会を貰ったのに、やり直す前のことに縛られてたんじゃ、勿体ないわ。」ウフフ


天龍 「そう・・・かもな。」フッ


龍田 「そうよ。」フフッ


龍田 「それに、あの娘が居なかったら、お姉ちゃんと時雨さんは巡り会ってないわけだし。」


天龍 「だから複雑だって言ったんだよ。」ハァ


天龍 「俺にとってあいつは、夫を奪った悪魔であると同時に、新たな出会いをもたらした天使でもある・・・。」


神州丸「あの。」ヌッ


ウオッ


天龍 「び、吃驚したぁ。」ドキドキ


神州丸「御節介かもですけど、聞こえてしまったので、ひとつだけ。あの娘、誰も殺してません。魂の色でわかります。それじゃ。」クルッ


エ・・・?


龍田 「つまり、幻ちゃんはお姉ちゃんにとってただの天使だったと。」


エェ・・・



個性を無視した平等は嫌いだ。


武蔵 「ぅ・・・。」パチ


ココハ・・・


大和 「Zzz」クー


武蔵 「・・・助かった、のか?」


ガラッ


五月雨「あ、もう起きたんですか。流石は超弩級の戦艦様ですね。普通なら数日は目覚めないような傷だったのに。」


武蔵 「お前は・・・五月雨か。久しいな。少し、顔つきが凜々しくなったのではないか?」フッ


五月雨「少しとは心外ですね~。私、これで結構強いんですよ?」フフ


武蔵 「そうか。ならばその言葉が嘘偽りでないことを確かめてやりたいところだが・・・。」


五月雨「はい、それはまた後日にでも・・・。ところで、あれを見てどう思います?」ユビサシ


武蔵 「ん?そうだな。心温まる光景だとは思うが、些か緊張感に欠けるな。此処は戦場の最前線だぞ。」


五月雨「ですよね~。許せませんよね~。娘の間に優劣をつけるだなんて、あってはならない行為ですよ。」プンスコ


武蔵 「・・・なに?」


五月雨「というわけで、私も交ざってきますね。そろそろレーちゃん達も戻ってくると思うので。」デハデハ


五月雨「さぁ、行きますよ!ヲーちゃん!新たな姉妹を歓迎しましょう!」


ヲ級 「幸せの御饅頭なの~!」ヲー!


イェー!


武蔵 「・・・。」フー


武蔵 「いかんな。少し血を流しすぎてしまったようだ。人の子と深海棲艦を見紛うとは・・・。」ハハッ


トーウ! ウビャアア!!


武蔵 「・・・寝るか。」



愛あればこそ。


黒霧 「五月雨、君はまったく・・・。」ハァ


五月雨「いや~。姉妹が増えると思うと、テンションがですね。」タハハ


黒霧 「そのテンションについていけるならいいけど、幻はそういうタイプの娘じゃないから。」


黒霧幻「お、おと、ちゃん・・・!」グスッ


黒霧 「これしきで半べそをかくのもどうかと思うけど。」


黒霧幻「!?」


日陰 「幻、こっちにおいで。母が甘やかしてあげる。」


黒霧幻「うん。」フラフラ


ポスッ


日陰 「よしよし。いきなりで吃驚しちゃっただけだよね~。」ポンポン


黒霧幻「う~。」スリスリ


五月雨「日陰さんって、案外子煩悩なんですね。」


ヲ級 「あれは単に甘いだけだと思うの。黒霧の血を継ぐ者としては失格なの。」ヘッ


五月雨「言いますね、ヲーちゃん。て、いつの間にお父さんの膝の上に・・・。」


ヲ級 「ヲーちゃんの定位置は誰にも譲る気はないの。」フフン


黒霧 「いつから僕の膝はヲ級の定位置になったのやら。」


ヲ級 「生まれたその瞬間からなの。」


黒霧 「そういえばヲ級が生まれてからだっけ。五月雨が僕の膝に座らなくなったの。」


五月雨「まぁ、お姉ちゃんですから。妹に譲るのは当然です。」エッヘン


集積姫「レーちゃんには譲らなかったくせに何を言ってるんだか。」


五月雨「何のことだかさっぱりですね。」ハッハ



ゴルシ・ウィークの再来よ。


五月雨「というか、なんで深海化したままなんですか?」


黒霧 「そのほうが身体が軽いからでしょ。」シレッ


集積姫「だから質量保存の法則って、もういいわ。」ハァ


集積姫「五月雨、いらっしゃい。」


五月雨「は~い。」ストッ


ン?


集積姫「なに、どうしたの?」


五月雨「いえ、ふくよかさが足りないと思いまして。」キリ


集積姫「あんた達はもう・・・!」ワナワナ


パァァ


紫苑茜「これで文句ないでしょ!」フン


五月雨「ふっ。最っ高ですね。」


紫苑茜「まったく。集積の姿でいたほうが親子関係を説明しやすいと思って、あのままでいたのに・・・。」


黒霧 「今更だよね~。」


ヲ級 「ね~。」


日陰 「元凶が何を言ってるんだか。」


黒霧幻「・・・動いた?」ウン?


五月雨「マジですか!?私にも聞かせてください!」


ヲ級 「ヲーちゃんも!ヲーちゃんも!」ピョンコピョンコ


黒霧幻「う、うぁ・・・。」ビクビク


日陰 「頑張れ、娘よ。母は違えど同じ姉妹。普通に会話ができるくらいにはなるんだぞ。」ファイト



コミュ力の上達は実践あるのみ。


レ級 「何、やってんだ・・・?」


五月雨「命の尊さを体感しているところです。」スリッ


ヲ級 「ヲ~!」キラキラ


日陰 「あんまりくっつかれると暑いんだけどな。」ハハ


レ級 「まぁ、それはそれとしてよ。ひとり、顔面蒼白の奴が居るけど、大丈夫か?」


黒霧幻「お・・・ぉお・・・。」ピクピク


日陰 「幻ってば、私以上に重症だなぁ・・・。時雨くん、お願い。」


黒霧 「うん。幻、おいで。」ヒョイ


黒霧幻「」チーン


黒霧 「これは、日陰と同じ手は駄目かな・・・。」ウーン



見栄えか、心地か。


レ級 「すげ~。ほんとに動いてるぜ。」オォ


五月雨「まだ二日目なのに、とんでもない成長速度ですね。」


日陰 「そりゃ、元々妊娠期間が短いのに、今回は時雨くんの特別製で身籠もったわけだしね。」


紫苑茜「にしては腹の膨らみがないようだけど?」


日陰 「・・・鍛えてるから?」


サワッ


日陰 「ひゃっ。い、いきなり何!?」チョット!


紫苑茜「」クッ


五月雨「私は好きですよ?お母さんの柔らかいお腹。」


紫苑茜「慰めは不要よっ!」フン



作者の人生観が見える作品は味があって面白い。


レ級 「それにしても元気な子だな。ずっと同じリズムで動いてるぜ。」


五月雨「ダンスの才能でもあるんでしょうか。困りましたね。私、ダンスの守備範囲は盆踊りまでなのですが・・・。」ムー


紫苑茜「何を言ってるのよ、あんたは。そもそも、胎児が一定のリズムで動き続けるなんてあるわけないじゃないの。」


紫苑茜「レーちゃん、ちょっと其処変わってちょうだい。わたしが確かめてあげる。」


レ級 「おう。」スック


ドレドレ・・・ ン?


紫苑茜「これ・・・もしかして、心音?いやでも、こんなに大きいはずが・・・。」


日陰 「だよね~。この私の子供が強心臓なわけないんだよ。」ウンウン


紫苑茜「あんたはある意味誰よりも度胸があるでしょうが。しーちゃんをおちょくってやろうだなんて、あんたくらいしか・・・。」


ジャナクテ!


紫苑茜「・・・ゴリラでも孕まされたのかしらね。」ハァ


日陰 「失礼な!」



誰しもが陰と陽の二面を持つ。


パパ~


漣・朧「たで~ま~!」ワー


潮  「ただいまです、ぱぱ。」エヘヘ


曙  「・・・ただいま。」ムッ


黒霧 「おかえり、娘達。」フフ


キャイキャイ


曙  「で、そいつ誰。」ジト


黒霧 「僕と日陰の長女、幻だよ。」


潮  「まほろ、ちゃん・・・。」オォ


曙  「あっそう。」ムス


漣  「ていうか、死にかけてね?まほまほ、大丈夫か?」


朧  「おーう。」ツンツン


黒霧幻「」グッタリ


黒霧 「どうも他人が苦手みたいでね。五月雨の圧に耐えられなかったんだ。」


漣  「あー。さみちゃんって陽キャのオーラあるもんね。」


曙  「どの口が言うか。あんたも撫子も似たようなもんでしょうが。」ハッ


朧  「流れ弾なのねん。」オゥ



人は既に持っているものを欲しいとは思わない。


黒霧 「そういうわけだから、幻との距離感には気を遣ってもらえると助かる。五月雨は容赦がないから。」ハハ


漣・朧「あいあいさー。」ビシ


黒霧 「幻のこと、頼んだよ。特に、灯。」


曙  「なんで私が・・・。」


黒霧 「嫉妬する相手ほど傍に居てみると面白いものだよ。これまで見えなかったものが見えてくる。」


曙  「・・・嫉妬なんてしてないし。」フン


黒霧 「多分、姫百合には直ぐに懐くだろうから、架け橋になってあげて。任せたよ、お姉ちゃん。」フフ


潮  「はい!」キラキラ


トコロデ


黒霧 「後ろに居るのは・・・。」


ネ級 「ハジメマシテ。」オイッス


漣  「鹵獲したネ級ちゃんです。」


朧  「略して、ローちゃん。」


曙  「それもう別人じゃないの。」



印象に残る自己紹介とは。


時雨 「ごめんね、にぃに。なんかついてきちゃってさ。」アハハー


黒霧 「それは別に構わないけど、吐くならもう少し考えて嘘を吐こうか。」


時雨 「なんのことやら。」メソラシ


黒霧 「ネ級。」


ネ級 「ハイ、ネーチャンデス。」


黒霧 「どうしてついてきたのかな?」


ネ級 「メシガウマイトキイテ。」キラン


黒霧 「そう。なら、お昼の用意をしてくるよ。暫くしたら食堂においで。」


ネ級 「ウイ、ネーチャンデシタ。」


黒霧 「眠、手伝って。」ニッコリ


時雨 「お腹下しても知らないぞ~。」ニコニコ


曙  「待って。それ被害受けるの私達なんだけど!?」



美しいのハードルは異性より同性のほうが高い。


黒霧幻「」ポツーン


潮  「」ニコッ


黒霧幻「」ビクッ


潮  「」ニコニコ


黒霧幻「」タジッ


潮  「あっ。」シュン


黒霧幻「・・・。」


潮  「」イジイジ


黒霧幻「あの・・・。」


潮  「」パァァ


黒霧幻「」ヒゥッ


潮  「あ、ごめんなさい。」シュン


黒霧幻「おと・・・ちゃん!」フルフル



話し上手より聞き上手。


ド・・・


潮  「どどどどどうしよう!灯ちゃん!心の距離を縮められてる気がしないよ!」ワタワタ


曙  「私に言われても知らないわよ。」


潮  「灯ちゃんのときはこれで上手くいったのに!」ウゥ


曙  「はぁ!?そんなわけないでしょ!?」


潮  「あるもん!話しかけられて嬉しいって顔してたら落とせたもん!」ムゥ!


曙  「落とすとか言うな!もっと、何か他に・・・!他に、あるわよ!心を開いた理由が!」


潮  「あるの!?」パァ


曙  「あ、いや・・・。」タジ


潮  「教えて!灯ちゃん!!」キラキラ


曙  「あぅ・・・。」グルグル


潮  「灯ちゃん?」


曙  「む・・・。」


潮  「む?」


曙  「胸・・・とか?」ヒクッ


漣  「それはねーべ、あかりん。」ウワァ


朧  「さいてーなのねん。」アーア



有無を言わせぬ包容力よ。


潮  「よし!やってみる!」フンス


漣曙朧「え?」


潮  「幻ちゃん!」


黒霧幻「!」ビクッ


潮  「えいっ!」ギュッ


黒霧幻「んぶ!」ムギュウ


漣  「あ~あ。やっちまったよ。どうすんだ、これ。姫が拒絶されたら終わりだべ?俺達じゃ、まほまほの心は開けねーでよ。」ジト


曙  「わかってるわよ!でも、やってしまったものは仕方ないじゃない!」


朧  「およ?」


黒霧幻「お、おぉ・・・。」キラキラ


漣・朧「喜んでいる、だとっ!」ピシャーン


曙  「ほ、ほら!私の言ったとおりじゃない!」フフン


漣  「あ、そっか。日陰っちがちっぱいだからその分感動が大きく・・・。」ナール


朧  「それ以上はいけない。」オゥ!


曙  「あんた、後でどうなっても知らないわよ・・・。」



得意って何だろう。


黒霧 「さてと、何を作ろうか。」フム


時雨 「にぃにの得意料理でいいんじゃないの?ネ級ちゃんは美味しい料理が食べたいみたいだし。」


黒霧 「得意料理か。基本、レシピどおりにしか作らないから、何が得意かと言われると困るな・・・。」ウーン


時雨 「にぃにって若しかして、基本に忠実なだけで別に料理が得意ってわけじゃない・・・?」


黒霧 「そうだよ?」ケロリ


時雨 「どうしたものかな。」ハァ



食べたいものを思いつく人は太らない人らしい。


パオラ「あたし、胡桃パイが食べたい。」ヒョコ


時雨 「またそんな好みの分れそうなものを・・・。」エェ


パオラ「いいじゃない、胡桃パイ。美味しいのよ?」


時雨 「ネ級ちゃんが美味しいと思わないと意味ないでしょ?だから、万人受けする無難なものをだね。」


パオラ「何それ。つまんないの。」


時雨 「つまらなくて結構。初めての料理で色物を出されるよりはまし。」


パオラ「はぁ?」ジロ


時雨 「なにさ。」アァ?


バチバチ


黒霧 「麗は僕の料理で何が好き?」


近衛麗「オムハヤシ。」


黒霧 「じゃあそれで。」


パオラ「ちょっと!?」


時雨 「勝った。」フフン


パオラ「少なくともあんたには負けてないから!」


近衛麗「何が好きか訊かれたら、パパって答える心算だったのに。」チェ


黒霧 「期待が表に出すぎだよ。もう少し平静を装う練習が必要だね。」フフ


近衛麗「はーい。」ムゥ



ふんぬらば~!


長門 「・・・。」


戦棲姫「」コソッ


陸奥 「・・・ねぇ。」イライラ


戦棲姫「」ビクッ


サッ


長門 「おい、何をそんなに苛ついている。戦艦棲姫が怯えているだろう。」


戦棲姫「」ジッ


陸奥 「あぁ、もう。昔のことはわたしが悪かったわよ。それは謝罪したじゃない。だからもう不必要に警戒するのはやめてちょうだい。」


戦棲姫「やっ。」


陸奥 「」カチン


陸奥 「あのねぇ・・・。」ワナワナ


陸奥 「わたしが好きなのは幼い女の子なの!わかる!?何処も彼処もでっかい女は守備範囲外なの!興味ないの!」


陸奥 「何とも思ってない相手に警戒されたり、変に意識されると凄い腹立つの!ストレスなの!だからやめなさい!今直ぐにぃ!!」


ハァハァ


戦棲姫「・・・。」


陸奥 「何よ。言いたいことがあるなら、言ってみなさいよ。」


戦棲姫「ダイナマイトばでぃだなんて、照れる。///」テレテレ


陸奥 「そんなことは言ってなぁぁぁい!!」



蘇生魔法を覚えたので、即死魔法をかけてもいいですか?


龍驤 「なんやなんや。何の騒ぎや?」


長門 「おお、龍驤か。大本営に出向してから小間使いとして扱き使われていると聞いたが、本当らしいな。」フム


龍驤 「ぶっとばすで、君。」


陸奥 「龍驤ちゃ~ん!」ガバッ


龍驤 「うわっ!相変わらずやな、君は!ええい、放さんかい!」グググ


陸奥 「ああ~ん。小さいのを気にしてパッドまで入れちゃって。かぁわぁいぃ・・・本物ぉ!?」


長門 「なんだと!?」


龍驤 「よぉし、喧嘩やぁ!戦艦がなんぼのもんや!ふたり纏めてぶっと・・・!」チラ


戦棲姫「」ジー


龍驤 「ばすのは紅華に任せて、うちはクロさんの手伝いでもしてくるかな!」ハッハー


鳳紅華「私ですか!?」



過ぎた謙遜は侮辱と知れ。


鳳紅華「えっと。ぶっとばすというのは流石にあれなので、腕相撲で勝負しませんか?」


長門 「私は構わんが。本当に私達を相手取るのか?そんな細い腕で大丈夫か?折れるぞ?」


鳳紅華「多分、大丈夫だと思います。頑丈さには自信があるので。」フンス


長門 「そうか?」


鳳紅華「はいっ。」フフ


デハ・・・


陸奥 「ふたりとも、準備はい~い?」


長門 「ああ。」ギュ


鳳紅華「大丈夫です。」キュ


陸奥 「じゃあ、いくわね。」レディ・・・


陸奥 (加減しなさいよ。)チラ


長門 (わかっている。心配するな。)


陸奥 (本当かしら・・・。)ハァ


ゴッ


長門 「ふっ!」グッ


鳳紅華「・・・。」


シーン


長門 「・・・は?」


鳳紅華「?」


長門 「冗談だろ・・・。」タラー


鳳紅華「あの、手加減しなくて大丈夫ですよ?私、人間じゃないですから。」


長門 「それを先に言ってくれ・・・。」ハハ


エイ アッ



教えないことは教えること以上に難しい。


長門 「まさか、ふたり掛かりでも勝てないとは・・・。」クッ


陸奥 「姉さんが必要以上にくっついてくるからでしょ。気が散るったら。」ンモウ


長門 「そのほうが踏ん張りが利くのだから仕方ないだろう。お前だって、私の耳に吐息を吹きかけてきたではないか。」


陸奥 「姉さんの身体が大きい所為で横にずれないと手が届かなかったの!」


龍驤 「三戦三勝。流石は紅蓮の娘やな。戦艦程度じゃ相手にもならんか。」


鳳紅華「えへへ。そんなことは・・・。」テレテレ


戦棲姫「私も、やってい?」


鳳紅華「はい、勿論ですっ。」ニコッ


ガシ


鳳紅華「」ピクッ


戦棲姫「」ニギニギ


龍驤 「ほないくで~。」レディ


ゴゥ! 


鳳紅華「ふぅ!」


戦棲姫「ん!」


バコォ!


長陸奥「あ・・・。」


龍驤 「艦娘用のテーブルが、壊れた・・・やと!」ピシャーン


鳳紅華「ごごごごめんなさい!べ、弁償なら私の臓器を幾つか売って、それで!」ヌギッ


陸奥 「ちょ!こんな所で脱がないの!臓器なんて貰っても困るから!」


鳳紅華「私の身体は、お金を払う価値も無いってことですか!?」


陸奥 「誤解を招く言い方はやめなさい!それより早く服を!」


パシャ


陸奥 「え・・・?」クル


鈴谷 「おっと。フラッシュ切り忘れてた。」ポチポチ


熊野 「まったく、鈴谷は詰めが甘いんですから。」ヤレヤレ


陸奥 「鈴谷?今、何を撮ったのかしら・・・?」ヒクッ


鈴谷 「何って、そりゃあ・・・犯行現場?」


陸奥 「そのスマホを寄越しなさい!」ダッ


鈴谷 「やなこった~。」ピューン


アハハハ~ スズヤァ!



彼女は何時だって。


龍驤 「変わらんなぁ、鈴谷は。もうええ歳やろうに。」


熊野 「年齢のことは触れないであげてくださいまし。あれでかなり気にしてますのよ?」


龍驤 「そんな風には見えへんけどな。」


熊野 「そう見られないように振舞っているだけですわ。毎晩、愚痴を聞かされる身にもなってくださいまし。」


龍驤 「どうせ聞いてへんくせに。」


熊野 「当然ですわ。」シレッ


龍驤 「・・・というかやな。歳のことでいうと君も他人事ちゃうで?同い年やろ。君と鈴谷。」


熊野 「それが何か?私は、本当に好きだと思った相手なら確実に自分のものにする自信がありますわ。鈴谷と違って。」


龍驤 「言いおる、小娘が。理想が高いと婚期が遅れるで。今更やろうけど。」ハッ


熊野 「私、別に理想は高くありませんわ。ただ悪癖が抜けてくれないだけですの。」ハァ


龍驤 「悪癖・・・?」


熊野 「ええ、そう例えば・・・先程の陸奥さんの一件を一部始終隠し撮りしていたり。」スチャ


龍驤 「何と言うかもう流石やわ。」



日本語でドドスコ。そしてたぬき。


漣・朧「アメンボ紅いな、あいうえお!」


ネ級 「オ!」


曙  「ん?」


漣・朧「柿食や鐘鳴る法隆寺!」


ネ級 「ホリュ・・・ジ!」


曙  「やっぱり・・・。」ハァ


漣・朧「さんでい まんでい ちゅーしてぇ!」


ネ級 「チュッシテェ!」


曙  「ちょっとあんた達!」ガシ


漣・朧「何しやがんでぃ てやんでい!」オウオウ!


ネ級 「新関西国際空港」テヤッ


曙  「何故それを!?」


漣・朧「破廉恥か!」


潮  「幻ちゃんは真似しちゃ駄目だよ。」メカクシ


黒霧幻「やら・・・ない。」


潮  「ふふ、いい娘だね~。」ギュウ


黒霧幻「おぉふ・・・。」キラキラ


曙  「本格的に懐いたわね、あの娘。」


漣  「あかりんには一生懐かないだろうなー。」ジー


朧  「来世に期待。」グッ


曙  「ぶつわよ。」イラッ


ネ級 「わたしま~つわ いつまでもま~つわ」~♪


曙  「こいつ、本当に深海棲艦なの?」エェ


漣  「知らね。」



後払いでお願いします。


近衛麗「パパ~、お米炊けた~。」


黒霧 「ん。じゃあ、ほぐして蒸らしておいて。」


近衛麗「は~い・・・めんどくさ。」ボソッ


黒霧 「あ~んするのとされるの、どっちがいい。」


近衛麗「どっちも!」


黒霧 「なら頑張る。」


近衛麗「はぁい!」ムフー


時雨 「ねぇ、にぃに。ご褒美で釣るのはどうかと思う。」


黒霧 「労働に対価を支払うのは普通のことでしょ?大切な娘に下っ端根性が染みついてしまうだなんて、僕は耐えられないな。」トオイメ


時雨 「対価が安いなら結局一緒じゃん。」


黒霧 「僕のあ~んは安いと。」フーン


時雨 「・・・なんか、デミグラスソースの色濃くない?」


黒霧 「そう?」


時雨 「ちょっと味見。」アー


ハイ ンッ


時雨 「ほら安い。」ニッ


黒霧 「それはどうだろうね。」パク


時雨 「なっ!?」


黒霧 「ん~。パイナップル食べた?」


時雨 「なんでわかるのさ!///」モウッ!



好青年ほど秘める闇は深い。


蓮華 「随分と楽しそうなことをしているな、父上。」ヒョコ


黒霧 「味見をして上手くできてるってわかったときが一番楽しいよね。」ハイ アーン


アー


蓮華 「ん・・・。上々だな。」キラッ


黒霧 「それはよかった。」フフ


時雨 「ちょっと待って。なんで居るの。」


蓮華 「母上に捕まってな。連行された。」


アッソウ・・・


黒霧 「で、その南は?」


蓮華 「ネ級に絡まれている。」


時雨 「見捨ててきたんだ。」


蓮華 「見捨てたのではない。見守ると決めたのだ。」フッ


時雨 「此処に居る時点で見守ってないって。」


蓮華 「案ずるな。母上の勇姿は後でゆっくりと観賞する。」


時雨 「え?・・・盗撮してるの?」


蓮華 「思い出を記録していると言ってもらおう。」キリ


時雨 「やっぱり駄目だ、この娘。」



痩せ目的の筋トレでこうはならない。


南方戦「ねぇ・・・。」


ネ級 「ネェ、チガウ。ネーチャン。」ノンノン


南方戦「・・・ネーちゃん。」


ネ級 「ウィ、ネーチャンデス。」


南方戦「どうしてワタシに抱きついているのかしら?」ヒクッ


ネ級 「ソコニ南ガイタカラ。」キリッ


南方戦「そう・・・。まぁ、それはいいのよ。いや、よくはないけど。」


ネ級 「ウィッス。」ポフポフ


南方戦「ワタシが言いたいのはね・・・。」プルプル


ネ級 「オゥ?」ポフポフ


南方戦「そのぽふぽふするのをやめなさい!あと、体重かけるな!地味に重いのよ、アンタ!」


ネ級 「キタエテルモノデ。」


南方戦「限度があるでしょうが!もう乳房が胸板になっちゃってるじゃない!」


ネ級 「オムネガコイシイノネ~。」フニフニ


南方戦「ええい、揉むなぁぁ!!」ウガー



見られたくないものは記憶として保存すべし。


ジー


最上 「ん~。」


三隈 「もがみん?こんな所で何をしてますの?というか、いつの間に来てましたの?」


最上 「お、いいところにみっちゃんはっけ~ん。はい、パ~ス。」ポーイ


三隈 「え?ちょっ!とっ、たっ!」パシ


フー


三隈 「ちょっと、もがみん!いきなり放らないでくださいまし!危うく落とすところでしたの!」ンモウ!


最上 「それ、蓮華ちゃんのだから。壊したら酷いよ。」


三隈 「なら投げるな!」クワッ


最上 「ところで、クロさんが何処に居るか知らない?」


三隈 「クロさんなら、厨房で昼食の準備を・・・。」エット


最上 「料理中かぁ。どうしよっかな・・・。ん?」クンクン


最上 「先に汗流してこよっと。」スタコラー


三隈 「は?ちょっと、もがみん!?」


三隈 「あの娘が臭いを気にするだなんて、珍しいこともありますの。」フゥ


三隈 「それにしても・・・何ですの?このハンディカメラは・・・。」ンー?


三隈 「いったい何を撮っ・・・てぇ!?」ピシャーン


パタム


三隈 「三隈は何も見てませんの~。」オホホ



置いて朽ちられるよりはましさ。 -泥沼の魔女-


鈴谷 「どぉーん!!」バッ


三隈 「ぎゃああああ!」ビクゥ!


三隈 「なんですの!もう!」ワッ


鈴谷 「いやぁ、な~んか面白そうな気配を感じてさぁ。野次馬ってみました。」ナハハ


デ


鈴谷 「それ何?」


三隈 「ハンディカメラですの。先に言っておきますけど鈴谷にだけは貸せないものですの。」


鈴谷 「おおっと。言う前に制されてしまったぁ。しか~し、これしきで諦める鈴谷ちゃんではないのだ~。」ワキワキ


三隈 「な、何を・・・!」タラー


鈴谷 「それ~!鈴谷ちゃん必殺のぉ、擽り地獄ぅ!」コチョコチョ~


三隈 「やっ!ちょっ!」


オリャー! イヤー!!



窓を開けて虫と闘うか、電力と金を消費するか。


熊野 「無事でして?みっちゃん。」


三隈 「これが、無事に、見えますの・・・?」グッタリ


熊野 「見えませんわね。」


鈴谷 「おっほぉ。これは中々・・・。」ウェヘヘ


熊野 「みっちゃんて、むっつりでしたの?」


三隈 「違いますの!あれはれ・・・んじゃなくて、もがみんから預かったものですの!」


鈴谷 「ほんと!?これ、もがみんのなの!?」ウッソー!?


三隈 「もがみんのとは言ってませんの。」ゴニョゴニョ


熊野 「当のもがみんの姿が見えないようですけれど・・・?」


三隈 「もがみんなら、さっきお風呂に・・・。クロさんに会う前に汗を流しておこうって。」


鈴谷 「え?」ピタ


熊野 「まぁ。」アラアラ


三隈 「なんですの?その反応は。他人と会う前に自身を整えておくのは当然のマナーで・・・。」


鈴谷 「いやいや、確かにそうだけども。ねぇ。」チラ


熊野 「そうですわね。これは完全に・・・。」


鈴谷野「抱かれる前準備だよね(ですわ)。」


三隈 「・・・遂に!?」ピシャーン


鈴谷 「この間も言ってたけど、本当にまだだったんだね。」


熊野 「やはり長女には先陣をきってもらいませんと。」


鈴谷 「そういえばそうだ。」オォ


三隈 「となると次は・・・。」モンモン


鈴谷 「姉妹が三人以上の次女って婚期逃しがちだよねー。」


三隈 「今その科白を口走った意図を3文字以内で述べやがれ。」オォン?


鈴谷 「・・・ごめん。」



時間以上にやる気が足りない。


鈴谷 「ま、それはそれとして。このカメラ、ちょっと借りてもい~い?」ニヒー


三隈 「三隈には許可を出す権限がありませんの。というか、鈴谷は確か自分のスマホを持って・・・。」


鈴谷 「あぁ、それね。さっき、むっちゃんにへし折られた。」ベキット


三隈 「また何をしましたの・・・。」ハァ


鈴谷 「別に悪いことはしてないよ?鈴谷はただ社会的に問題のある犯行現場をばしっと激写・・・あ、明石だ~!」


三隈 「今、もの凄いことが聞こえたような・・・。ところで、その犯行現場って陸奥さんはいったい何を・・・。」


鈴谷 「おーい、明石~!」ブンブン


三隈 「聞けよ!」ダン


鈴谷 「え?なに?」


三隈 「もういいですの・・・。」フン



女の友情には人数制限があるんだよ。by Mayumi


明石 「鈴谷さ~ん、私に何か御用ですか?」テッテッ


鈴谷 「カメラ的なさむしんぐ持ってたりしな~い?むっちゃんにスマホ壊されちゃってさ~。」アハハ~


明石 「カメラですか?まぁ、あるにはありますけど・・・スマホ壊されるって、いったい何しでかしたんですか・・・。」エェ


鈴谷 「まぁ、細かいことはいいじゃん?」


明石 「決して細かくはないと思いますけど。対人関係の面倒事は嫌いなんで流しますね。」サラット


鈴谷 「さっすが明石。わかってる~。」


明石 「いやいや、それほどでも。」フフン


夕張 「友情クラッシャーが何か言ってるよ。明石の発明の所為でいったいどれだけの仮面友達が破局を迎えてきたと・・・。」ハッ


明石 「だって気持ち悪いじゃん。裏では嫌い合ってるのに打算で付き合ってるとかさ。」


夕張 「・・・ごめん。それ、どっちで言った?」


明石 「どっち?どっちって何?」ウン?


夕張 「あぁ、マジだこれ。明石ってば悪意を以て友情をぶっ壊してたんだ。流石の夕張さんもドン引きだよ。」ウワァ



個性的な歯車は扱いづらい。


明石 「え~?私、そんなにおかしなこと言ったかなぁ。」ウーン


夕張 「いるよね~、偶に。こういう女社会に反逆する猛者がさ。」ネェ


鈴谷 「そうかなぁ?でも、鈴谷は結構好きだよ。そういう裏を隠さない感じ。」


鈴谷 「だってさ。逆に言えば明石は、好意を持ってる人としか関わりを持たないってことでしょ?わかりやすくていいじゃん。」


夕張 「そうは言ってもね~。」


熊野 「曖昧な部分も残しておきませんと、女の世界を生き抜いていけませんわ。」


夕張 「そういうこと。」ウンウン


明石 「だからほぼ男子校の工業高校に進学したんだけどね。」


夕張 「そんな理由だったんだ。」ハツミミダワ



而してそれが噛み合えば新たな世界が生まれる。


三隈 「ですが、結局女の世界に戻ってきているではないですの。」


明石 「そうなんです!聞いてくださいよ!この莫迦が余計なことを口走った所為で艦娘への改造が決まっちゃったんですよ!」ビッ


夕張 「・・・私、何か言ったっけ?」


明石 「こいつっ。本気で忘れてる。あのねぇ、そもそも私は艤装技師志望で艦娘になる心算なんてなかったんだからね?」


夕張 「それは知ってる。」


明石 「なら憶えてるでしょ!?私と夕張が艦娘になれって言われた契機が何だったか!」


夕張 「ちょい待ち。思い出すから。えーと?何だったっけかな・・・。」ムー


明石 「兵装開発!朝礼!学長!」


夕張 「あぁ!兵装の開発もこなせる艦娘が居れば効率いいのにって学長に聞かれたあれか!」ポン


明石 「よりにもよって朝礼のときに言うかね!それも学長に反論する形で!何が聞かれた、よ!ほんと巫山戯んなよ、おっぱいメロン!」


夕張 「そうカリカリしなさんなって。あんまり興奮すると練乳が出ちまうよ?換えのパッド、使う?」ホレ


明石 「なんで持ってるの!?」カクシテルノニ!


ギャアギャア


鈴谷 「これが艤装開発に革命をもたらしたふたりのルーツかぁ。」ヘェ


三隈 「何も言えねぇですの。」


熊野 「彼女達の技術力には随分と助けられていますものね。」フフッ



貴様が深淵を覗くとき、深淵もまた貴様を覗いているぞ。


鈴谷 「でさでさ。カメラってどんなのがあるの?」


明石 「おっと。すみません、すっかり忘れてました。こちらでございます。」ヘヘー


鈴谷 「・・・スマホ?」


三隈 「明石さん、貴女・・・捕まる心算ですの?」


明石 「いや、流石にそこは弁えてますって。それ、ただのスマホ風カメラですんで。」


夕張 「だったら普通にカメラでよくない?なんで態々スマホ風にしたのよ。」


明石 「だって、普通のカメラだと撮ってるのバレるじゃない。」


鈴谷 「ふ~ん。これ盗撮用なんだ。」ニヤッ


三隈 「一番渡してはいけない者の手に・・・。」


明石 「実は色々とギミックがあってですね・・・。」ペラペラ


鈴谷 「なるほどなるほどぉ。」ホホウ


夕張 「なんか、明石の発明コンセプトがわかった気がする。」



何処に向かうというのだろう。


紫苑茜「・・・何やってるの、南方ちゃん。」


南方戦「コイツらに訊いてちょうだい。」


ネ級 「ヒンヤリパイパイ~。」スリスリ


漣  「もちもちでひえひえ。それはつまりっ!」


朧  「雪〇大福!!」


潮  「!!」ギラッ


南方戦「姫百合・・・?」


漣・朧「今なら南ままのミルクも付いてくる!」


潮  「練乳がけっ!」ジュルリ


南方戦「ま、待って?姫百合、アナタ瞳が本気よ?で、出ないからっ。ワタシ、出ない質だからっ!」


潮  「いただきます~!!」ガバッ


イヤアアアア!


紫苑茜「灯、止めてあげなさい。」


曙  「無理。」バッサリ



あなたの罪は何ですか?


南方戦「食欲こわい。姫百合こわい。食欲の権化こわい。」フルフル


潮  「あ、あの・・・。」


南方戦「ひぃ!」ズザァッ


潮  「あぅう。」ウルッ


漣  「なんだこのカオス。」


曙  「そのカオスを引き起こしたのはあんたよ。」ベシ


アダッ



私はきっと傲慢。


紫苑茜「はいはい、こわかったわね。もう大丈夫よ。」ヨシヨシ


南方戦「・・・ちょっと出ちゃった。」グスッ


紫苑茜「なに、母乳が?そりゃ出るでしょうよ。南方ちゃんは母なんだから。」


南方戦「でも、これまで出なかったのに!」


紫苑茜「出そうとしたことあったのね。」


南方戦「ま、まぁ・・・。やっぱり、自分の娘はちゃんと自分で育てたかったし・・・。」モゴモゴ


紫苑茜「その割にはしーちゃんに任せっきりだったような気がするんだけど。」


南方戦「そ、それは・・・。」ウグ


紫苑茜「抱っこしただけで本気泣きされてたものね、南方ちゃん。」


南方戦「憶えてるなら蒸し返さないでよ。」クッ



実際のところ、赦されてるかどうかなんてわからない。


曙  「ほら、姫百合。謝ってきなさい。」トン


潮  「うん・・・。」グス


トテトテ


潮  「あ、あの・・・南まま。」オズ


南方戦「・・・。」ジト


潮  「ぴぅ!」ビクッ


紫苑茜「南方ちゃん、大人げない。」コラ


南方戦「はぁ、わかったわよ。」モウ


南方戦「姫百合。ワタシはもう気にしてないから、安心しなさい。」


潮  「ほ、ほんと・・・?」ウルッ


南方戦「本当よ。ワタシも出るんだってわかったし、寧ろ・・・感謝してるくらいよ。」プイ


潮  「」パァァ


潮  「じゃあ、左のほうも吸っていいですか!」ムフー


南方戦「次やったら殴るから。本気で。」オォォ


潮  「あっ、はい。」ゴメンナサイ



説明書があればわかるはわからないと同義。


鳳紅華「」ブツブツ


陸奥 「・・・まだ立ち直ってなかったのね。」


長門 「もうひとっ走りいってきたらどうだ?」


陸奥 「莫迦言わないで。胸は痛いし、足は挫くし、陸なことにならないんだから。」フン


龍驤 「ほぉ、でっかいもんにはでっかいもんの苦労があるんやな。」ケッ


陸奥 「そうなの。だから龍驤ちゃんはそれ以上大きくなっちゃ駄目よぉ。」ヨシヨシ


龍驤 「あ~アカン。久し振りにキレそうやわ。折角陸奥の喜ぶ物を持ってきたったのに・・・。捨てたろうかな。」フフフ


陸奥 「えっ。うそ~。龍驤ちゃんからのプレゼント~?」キラキラ


龍驤 「ちゃうわ、阿呆。これはうちからやなくて・・・。」チラ


長門 「む?」


龍驤 「ほれ、君から渡したり。」ホイ


長門 「うむ・・・。」パシ


ポクポクポク


龍驤 「ん?どないしてん?」ウン?


陸奥 「姉さん・・・?」


長門 「これは、いったい何だ。」チーン


龍驤 「どう見てもプレイヤーやろ。」


陸奥 「姉さん・・・。」ハァ



模試に出たときの衝撃たるや。


陸奥 「ごめんなさいね、非常識な姉で。」


龍驤 「ええよ。いつものことやし。」


長門 「む。私の何処が非常識だというのだ。」ムッ


陸奥 「全部よ。そのバキバキの肉体も、ピンクに染まった頭の中も、ぜ~んぶ非常識。」ハッ


長門 「ふたつではないか。」


陸奥 「外と内のふたつよ。ほぼ全部じゃないの。」


長門 「確かに・・・。だが、要はこの筋肉と妄想癖をどうにかすればよいのだろう?」


陸奥 「そうだけど・・・。できるの?姉さんに。」


長門 「当然だ。私のこの筋肉は性欲を紛らすためのトレーニングが故、そしてこの飽くなき妄想は現実を知らぬが故のこと。」


長門 「ならばその原因を取り去ればいいのだ。」


長門 「性欲は別の方法で解消する。妄想は現実を知れば収まる。これらを同時に満足する方法はただひとつ!」グッ


長門 「せっ」


陸奥 「お黙りなさい!」バシーン!


長門 「くす・・・。」グハッ


陸奥 「ほんっと非常識!」フー! フー!


鳳紅華「なんですか?その、せ・・・なんとかって。」


龍驤 「こんなときに復活せんでも・・・。」ハァ


コホン


龍驤 「”生物的性別”って意味や。わかったな?わかったらこれ以上調べたらあかんで。ええな?」ビッ


鳳紅華「え?はい・・・わかりました。」キョトン


鳳紅華「書庫は何処にあるのでしょう。」コソッ


龍驤 「調べたらあかん言うたよな~!」グリグリ


鳳紅華「あ~!ごめんなさい!調べません!調べませんからっ!もうやめ・・・いたっ!痛いです、龍驤さん!」ジタジタ


アアアア!!



君はパセリだな。


最上 「」シャー


ゴシゴシ


最上 「・・・ちょっと香りが強いかな。」ンー


五月雨「黒霧御用達の無香石鹸、使います?」ヒョコ


最上 「ありが・・・なんで居るの。」


五月雨「私がお風呂場に居ることがそんなに不思議ですか?」


最上 「うん。」


五月雨「心外ですねぇ。私、これでもかなりのお風呂好きなんですが・・・。そんなイメージ無かったですか?」


最上 「いや、好きなんだろうな~とは思ってたよ?でもさ。此処、鈴谷に借りた個室シャワー・・・。」


五月雨「流石にふたりで入ると狭いですね。」


最上 「ちょっと今ナーバスになってるからそっとしておいてくれないかな。」ハァ


五月雨「今夜が初夜なんですから、きれいきれいしましょうね~。」


最上 「話聞いてー。」モゥ



選ばないことが許される世界なら。


最上 「ねぇ、五月雨ちゃん。」


五月雨「なんですかー?」ワシワシ


最上 「今更だけど、お父さんが色んな女性と関係を持つことに抵抗とか無いの?」


五月雨「本当に今更ですね。というか、そんなことを気にしてナーバスになってたんですか?」


最上 「まぁ・・・。いざ自分がってなると、色々と考えちゃって・・・。」


五月雨「そうですか。・・・真面目に答えるとですね。正直、何も気にならないかっていうと嘘になります。」


最上 「やっぱり?」


五月雨「そりゃあ、世間一般に言えば不貞行為をはたらいているわけですし。お父さんが何を考えているのか、気になっちゃいますよ。」


五月雨「でも、それが原因で関係が壊れたりはしてないじゃないですか。寧ろ、笑顔で溢れているように感じます。」


五月雨「だったら、それでいいかなって思うんです。誰も特別にならない。だからこそ特別になることを諦めなくていい。」


五月雨「そんな非現実的な現実が続く限り、私はお父さんの隣りで笑っていますよ。」ニコリ



道化を演じるのも楽じゃない。


最上 「そっか。五月雨ちゃんも色々と考えてるんだね。」フフ


五月雨「ちょっと莫迦にしてません?」ムッ


最上 「ごめん。してたかも。」クスッ


五月雨「酷いな~。こんなにもみんなの為に働いている五月雨ちゃんに対して、何も考えてないただのお調子者だなんて・・・。」


五月雨「失礼しちゃう!」プンスコ


最上 「そこまで言ってないって。」アハハ


最上 「・・・ありがとね、五月雨ちゃん。少し、気が楽になったかも。」


五月雨「ここまでして"かも"ですか。色恋には空気を読まない最上さんは何処に行ったんですか~?もっとしゃきっとしてください!」パァン


イッタァ!


五月雨「装甲強化されてるの忘れてた・・・!」オァア


最上 「だ、大丈夫?凄い好い音したけど。」


五月雨「ご心配なくっ!私だって装甲強化されてますからっ!最上さんほどではないですけど・・・。」プルプル


最上 「あ~。」ハハッ


五月雨「そんなことよりです!私のお父さんに手を出すからには、ちゃんと幸せいっぱいになってきてくださいね!」ビッ


五月雨「さもないと赦しませんからっ!」ムゥ!


最上 「りょ~かい。幸せになってくるよ。」ニッ



命をいただきます。


黒霧 「さて、みんな揃ったかな?」


ハーイ


黒霧 「ん。じゃあ、五月雨。よろしく。」


五月雨「あいあいさー。」ビシッ


デハ


五月雨「てをあわせましょー。」


漣・朧「あわせましたー。」パン


曙  「小学生か。」ハッ


潮  「小学生だよ?」


曙  「うん。そうだけど、そうじゃなくてね?」


五月雨「こらー。五月蠅いですよ、そこー。」


潮  「ご、ごめんなさい・・・。」ウゥ


曙  「はーい、すみませーん。」


五月雨「まったくもう。では、改めまして。」コホン


五月雨「この世の全ての食材に感謝を籠めて・・・。」


五月雨「いたぁだきます。」


漣・朧「いたぁだきます。」


曙  「毎度毎度長いったら。」ハァ


五月雨「とまぁ、冗談はこれくらいにして祈りの言葉を・・・。」


曙  「もういいわよ!姫百合が待ちきれないでしょうが!」


潮  「私!?」


グゥ~


潮  「あ・・・。///」カァ


曙  「ほら見なさい。」


潮  「うぅ。灯ちゃん、ひどいよぉ~。」グスッ


五月雨「では、感謝はそれぞれ心の中でするということで・・・いただきまーす。」


イタダキマース



どうせなら自分で作ったものを。


近衛麗「はい、パパ。あ~ん。」アー




黒霧 「おかえし。」ハイ


ンッ


近衛麗「んふっ。おいし。」フフッ


黒霧 「それはよかった。」


日陰 「自作自演って、こういうのをいうのかな・・・なんて。」アム



苦手は時間が解決してくれる。


ヲ級 「レーちゃん、あ~。」


レ級 「お、ヲーちゃんが食べさせてくれるのか?」アー


ン ・・・ン"ッ


レ級 「うえぇ。グリーンピースばっか。」マズ


五月雨「あれ?ヲーちゃんってグリーンピース苦手でしたっけ。」


ヲ級 「ううん。苦手なのはレーちゃんなの。」


五月雨「なるほど。では私も・・・。」


レ級 「やめろよ、五月雨姉。人が嫌がることをしちゃいけねぇんだぞ。」


蓮華 「何を言う。人が嫌がるからこそ嫌がらせをするのだろう。ほれ、食え。」


レ級 「てめぇ、態々ソース拭いやがったな?せめて卵くらいサービスしろよ、こら。」オイ



苦手と嫌いの境界は許容できるかどうか。


蓮華 「無駄な抵抗はよせ、レ級。」グググ


レ級 「うるせぇ。代わりにデザートを寄越すなら食ってやらんこともねぇな。」ヘッ


蓮華 「莫迦か、貴様は。寧ろ苦手の克服に協力してやっている私にデザートを献上しろ。」


レ級 「暴君か!」クワッ


南方戦「は~い、ストップ&リターン。」パシ


ングッ!?


蓮華 「っ~!!」ジタジタ


南方戦「あ~もう暴れるな。自分の苦手なものを他人に押しつけて処理しようとしたアンタが悪い。ほら、呑み込む。」


ゴックン


蓮華 「・・・。」フラッ


ゴツッ


蓮華 「」チーン


南方戦「よくできました。」ヨシヨシ


レ級 「苦手っつーか。もう"嫌い"の領域だよな、その反応・・・。今度からグリーンピース食ってやるよ、デザートと引換えだけどな。」


蓮華 「・・・頼む。」


ヲ級 「蓮華ちゃんがレーちゃんに頭を下げたの。」ヲー


五月雨「余程嫌いなんですね、グリーンピース。」



おにぎりは握る人に因る。


妙高 「・・・。」ムムム


那智 「なんだ。まだ変な意地を張っているのか?もう何度も口にしているだろうに。」


妙高 「これまでが大丈夫だったからといって、これからも大丈夫という保障は何処にも無いでしょう。」フン


足柄 「なに。妙高姉ったら何か盛られるんじゃないかって心配してるの?そんなことあるわけ・・・。」


妙高 「あります。他人の用意する食事には手をつけない。常識です。」


足柄 「そんな常識初めて聞いたわ。」エェ


那智 「どんな人生を送ってきたのやら。」ヤレヤレ


妙高 「聞きたいですか?夕食には必ず媚薬が混ぜられて出てくる生活のあらましを・・・。」フフフ


足柄 「ほんと碌な人生じゃないわね。」


那智 「流石は元死刑囚だな。」ウム



好意か厚意かで変わってくる。


足柄 「そんなに黒が信用できないなら私が一口食べてあげるわよ。それで大丈夫なら安全ってことでいいでしょ?」


妙高 「どうして私のものを貴女に分けてあげなければならないのですか。」ハァ?


足柄 「あ~そう。そんなこと言う。へ~。ふ~ん。」


那智 「・・・謝るなら今のうちだぞ、妙高。」


妙高 「何故、私が謝る必要が?」


那智 「莫迦が。足柄としての琴しか知らない貴様に忠告してやっているのだぞ。」


那智 「本気でキレた琴は・・・。」


南方戦「ねぇ、アナタ。」ユラァ


妙高 「はい?」


南方戦「子供達を人質にとって、あのひとに【※自主規制※】したって・・・本当?」オォォ


妙高 「・・・は?」


近衛麗「へぇ、それは聞き捨てならないわねぇ。」ゴキッ


南・麗「ちょっと表出なさいよ。」ゴゴゴ


妙高 「」


那智 「恥も外聞もなく全力で虎の威を借るから質が悪い、とな。」


黒霧 「僕にも流れ弾が来てるんだけど。もっと他にあるでしょ、南達を焚きつける理由。」


足柄 「知らない。」プイ


黒霧 「まったく。根っこの部分は幾つになっても子供のままなんだから。」ヨシヨシ


足柄 「・・・。///」フンッ



あなたと居る毎日が。


足柄 「ところで、姿が見えないと思えば黒の足許に潜り込んで何をしてるのよ、あんたは。」ジト


羽黒 「交渉だけど。」


足柄 「何の。」


羽黒 「写真。」


足柄 「あぁ、さっきの・・・。」


デ


足柄 「テーブルの下に隠れてる理由は?」


羽黒 「妙高お姉ちゃんに見つかると面倒だから。」


足柄 「納得したわ。」


羽黒 「じゃあ、そういうことで。」ソソクサ


足柄 「逃がすわけないでしょうがっ。」ガシ


ウッ


羽黒 「膝・・・。鳩尾に・・・。」プルプル


足柄 「あ、ごめん。」スッ


ガチャ


足柄 「・・・ん?」ジャラ


羽黒 「うんしょっと。」モゾモゾ


パンパン フゥ


羽黒 「じゃ、そういうことで。」スタコラー


足柄 「そういうことってどういうことよ!?この足枷はずしっ!羽黒ぉぉ!!」



言ってあげるべきか、否か。


足柄 「ああもう、最悪。なんでこいつなんかと足枷で繋がれないといけないのよ。」ハァ


黒霧 「能力を使って外せって言わないところ、嫌ではないみたいだね。寧ろその逆も・・・。」


足柄 「わかってるなら一々言葉にしないで。他人に言われると、何だか、恥ずかしいわ・・・。///」


黒霧 「・・・。」パチン


サァァ


足柄 「・・・なんで外すのよ。」


黒霧 「気持ち悪い。」


足柄 「」ピシィ


黒霧 「まさか、琴がこんなに痛い女だったなんて。」ヤレヤレ


足柄 「あんたねぇ。私だって泣くときは泣くんだから、ちょっとは言い方ってものを考えなさいよ。」フルフル


黒霧 「胸でも貸そうか?」


ブチッ


足柄 「表に出なさい、黒。決闘よ。」ゴゴゴ


黒霧 「へぇ。」ニィ


足柄 「私が勝ったら、今夜だけ私の願いを何でも何度でも叶えてもらうわ。」


黒霧 「僕が勝ったら?」


足柄 「私の全部をあんたにあげる。」


黒霧 「・・・同じことだよね、それ。」



五月雨を あつめてはやし 最上川


最上 「ク~ロ~さん。」ダキッ


オット


黒霧 「最上、急にどうしたの?」


最上 「さ~て、どうしたのかな~?」ンフフ


黒霧 「この香り・・・。五月雨の仕業か。」


最上 「匂いでわかるのかぁ。」アハハ


黒霧 「嗾けられでもした?」


最上 「嗾けられたというよりは背中を押してもらったって感じかな。」ウーン


黒霧 「そう。なら、今夜だね。」


最上 「うん。よろしくお願いします。」フフッ



自分で仕掛けた罠に嵌まるタイプ。


足柄 「ねぇ、何か忘れてるんじゃない?」イライラ


黒霧 「・・・何かあったっけ?」


最上 「なんだろ。ボクにはわからないかな。」


足柄 「わ・た・し・と・の!決闘!というか、この扱いの差は何なの!?」


黒霧 「人によって扱いを変えるのは普通だと思うけど。」


足柄 「嫌なやつ!」ムゥ!


最上 「そうかな?ボクはクロさんのそういうとこ好きだよ。」


足柄 「すっ・・・て、あんた。本人を前にしてよくそんなこと言えるわね。」


最上 「だって、ちゃんとその人のことを見ていないと上手く扱いを変えるなんてことできないでしょ?」


足柄 「上手く・・・ね。こいつのそれが上手なのかどうかは知らないけど。私はその程度の扱いが相応しい女ってことなのかしらぁ。」


黒霧 「からかって遊んでるだけだよ。」ニッコリ


足柄 「・・・こいつの何が好きだって?」


最上 「ん~。」



綺麗なものは遠くで眺める。


三隈 「嗚呼、もがみん。貴女は今夜、女になりますのね。」トオイメ


鈴谷 「なら明日は女子会だね~。初体験を終えた長女に根掘り葉掘り訊いてやろうぜ~。」ニシシ


熊野 「私は結構ですわ。三人で楽しんでくださいまし。」


鈴谷 「なんでさ~。くまのんも一緒に盛り上がろうよ~。」ネー


熊野 「お断りしますの。私はまだ沼に嵌まりたくありませんので。」


鈴谷 「沼・・・?なに、どういうこと?」


熊野 「あの方のことですわ。」チラ


鈴谷 「クロさんのこと?」


熊野 「ええ。あの方の包容力には何か裏を感じますの。何か、企んでいるような・・・。」


三隈 「考えすぎですの。クロさんはそういう計画性とは無縁。基本的に思いつきで行動している方ですの。」


鈴谷 「ふ~ん。詳しいんだね、みっちゃん。」


三隈 「当然ですのっ。伊達にクロさんへの愛を公言してませんの。」フフン


熊野 「それで大事な部分を見落としていなければいいのですけれど。」



人は誰しも無数の命の上に立っている。


戦棲姫「温かいご飯・・・至福。」ムフフ


ネ級 「ウマシ。」ムフー


長門 「そうか。それはよかった。」フフ


陸奥 「」シャカシャカ


長門 「どうだ、陸奥。気に入ってくれたか?」


陸奥 「」シャカシャカ


長門 「・・・陸奥?」


陸奥 「」Zzz


長門 「食堂で眠れるなら、もう寝不足に悩まされることもなさそうだな。」フッ


コテッ


長門 「偶には私の肩で眠るといい。」


プスッ


長門 「・・・艦橋は外しておくか。」



女性声優さんの味がするぅ。


鳳紅華「」ジー


神命 「つっかれたぁ。」グデッ


鳳紅華「あ、神命さん。お疲れさまです。」ドウモ


神命 「う~。紅華ちゃ~ん。」ノシッ


ワッ


鳳紅華「ちょっ。どうしたんですか・・・もう。」


神命 「兄様成分が足りない。」ウゥ


鳳紅華「それなら本人のところに行けばいいじゃないですか。」


神命 「・・・紅華ちゃんだって声掛けづらいなって思ってたくせに。」ボソ


鳳紅華「うっ。・・・見てたんですか。」


神命 「まぁね。それ、一口ちょうだい。」アー


鳳紅華「・・・はい。」


ムグムグ


神命 「兄様の味がする。」ハァ


鳳紅華「やめてくださいよ。食欲失せるじゃないですか。」チョット



その人を理解したいなら同じ時間を過ごすしかないだろう。


神命 「そういえば紅華ちゃんって、紅蓮の記憶を受け継いでるんだっけ?」


鳳紅華「ええ、まぁ。風景の記憶だけですけど。」


神命 「風景だけ?紅蓮の感情とかは・・・。」


鳳紅華「無いです。その御蔭か私には勇者に対する怨みも無いですし。父さんの背負う十字架も・・・。」


神命 「そっか。じゃあ、紅華ちゃんには紅蓮が何を見てきたかはわかるけど、何を思ったかはわからないんだ。」


鳳紅華「そうなんです。だから、ちょっと怖いんですよね・・・。その、時雨さんのことが・・・。」


神命 「兄様が?それまたどうして。」


鳳紅華「多分ですけど、父さんと時雨さんって、そんなに接点ないじゃないですか。」


神命 「まぁ、そうだね。兄様と紅蓮は役割が正反対だから。」


鳳紅華「だからか、強烈に残ってるんです。父さんが十字架を背負うことになった、あのときの記憶・・・。」


鳳紅華「ルミナさんの形見を受け取ったときの、時雨さんの瞳が・・・。」ゾワッ



夏服がない・・・。


鳳紅華「嗚呼、思い出しただけで震えが・・・。」フルフル


神命 「そんなに?でも確かに、紅蓮も兄様のこと怖がってる節があったような。」ウーン


鳳紅華「そうなんですか?」


神命 「うん。鳳の一族って基本、不老不死でしょ?」


鳳紅華「はい。"超再生"がありますから、余程のことがない限りは不死ですね。」


神命 「でもさ。その余程のことに兄様は当てはまっちゃうんだよね。"崩壊"の能力があるから。」


鳳紅華「・・・?」キョトン


神命 「何、その顔。ちょっと可愛いじゃん。」チッ


鳳紅華「舌打ちですか・・・。」エェ



何処で何をしているかわからないほうが余程恐い。


パオラ「なになに、やさぐれ神命ちゃん出現中?」ニヒヒ


神命 「おら~。あんまりからかってると噛みついちゃうぞ~、こんにゃろ~。」ウー


パオラ「子犬の威嚇なんて可愛いものよ。」ウリウリ


神命 「あっ、ちょっ。髪ぼさっちゃうからっ。」アゥ


パオラ「それで?何の話してたの?」


神命 「兄様が怖いって話。あぁ、もう。髪がぐちゃぐちゃ。」クシクシ


パオラ「ふ~ん。貴女、時雨が怖いの?」


鳳紅華「はい・・・少しだけ。」


パオラ「へぇ。少しだけ。凄いじゃない、貴女。」


鳳紅華「え・・・?」


パオラ「時雨は、ほら。必要とあらば恋人だって斬り捨てて仕舞えるような子だから。その刃がいつこっちに向くかと思うと・・・。」フゥ


パオラ「あたしだって怖いもの。そんな時雨が少ししか怖くないだなんて、貴女は凄いわ。」ウフフ


鳳紅華「そう・・・あ。」


パオラ「なに、どうかした?」


神命 「パルちゃん、はぐはぐ~。」トーウ


パオラ「もう、急にな・・・によ。」ハッ


神命 「んふふ~。」ギュウ


パオラ「み、神命?あたしの後ろに誰か居る気がするんだけど・・・。あんた、あたしを挟んで誰に抱きついてるの・・・?」タラー


神命 「さぁ?」ニィ


黒霧 「誰だろうね。」


パオラ「」


鳳紅華(やっぱり怖い人なのかな・・・!)ガタガタ



初心者とは。


神命 「ぷっ、ふふふっ。あははは。紅華ちゃんってば、怖がりすぎ。大丈夫だよ。私達には兄様の標的になる理由はないから。」ハー


鳳紅華「え?若しかして、今までのは全部・・・。」


パオラ「ドッキリではないわよ。全部本当のこと。ただ、あたし達には標的にされる"必要"がないってだけ。」


神命 「そういうこと。」フフ


鳳紅華「それ、何も解決してないじゃないですか・・・。」エェ


黒霧 「"懐刀"がそういう組織だから仕方ないさ。僕達は意気投合して集った仲間ではなくて・・・。」


パオラ「真宵が魔界の秩序を正すために招集した、駒の寄せ集めに過ぎないから・・・ね。」


パオラ「そう考えると、よく仲違いせず今までやってこられたわね、あたし達。」


神命 「クゥちゃんが居たからじゃない?」


パオラ「そうかも。あの娘、頑張り屋さんだけど努力の方向性が迷子だから、見てて飽きないのよね。」フフッ


紫苑茜「わたしはあの娘のこと苦手だわ。やたらライバル視されるのよね。」ヌッ


パオラ「それは紫苑ちゃんが時雨を独占しようとするからでしょ?クゥも時雨のお世話がしたいのよ。」


紫苑茜「ケチャップとタバスコを間違えるような奴にしーちゃんを任せられるわけないでしょうが。」


神命 「そういえば、お茶を淹れてきてって頼んだら、そこら辺で拾った落ち葉で淹れてきたっけ。」アハハ


黒霧 「初めてのことなんだから、教えてあげないとわからないだろうに。」


紫苑茜「初めてでもそのくらいはわかるでしょ?」


黒霧 「それすらもわからないから"初心者"なんだよ。」


鳳紅華(なんか盛り上がってる・・・。)



神頼みしなければ受からないような所に行っても苦しいだけだよ。


黒霧 「それで、君が紅蓮の・・・。」


鳳紅華「あ、はい。娘の紅華です。」ペコリ


黒霧 「ん、これからよろしくね。」


ヨロシクオネガイシマス


黒霧 「じゃ、僕は初対面の娘達に挨拶回りしてくるから。」


パオラ「挨拶回り?何それ。」


紫苑茜「根回しのために挨拶して回ることよ。あんた、そんなことも知らないで提督やってるの?部下の苦労が窺えるわ。」ハッ


パオラ「む、ちょっと莫迦にしすぎじゃない?あたしだってそれくらい知ってるもん。あれでしょ?"お礼参り"ってやつ。」


紫苑茜「・・・は?」


パオラ「龍驤に教えてもらったんだから。間違いないわ。」フフン


紫苑茜「龍驤・・・。」ジト


龍驤 「初めて前の元帥に会うたとき、帰り際にパオラがお礼参りにいってきますって満面の笑みで言いよってな。」


龍驤 「あんときの元帥の顔ときたら・・・今思い出しても爆笑もんやで。」フッ


紫苑茜「あんたの所も陸な部下がいないわね。」


パオラ「え、そう?うちの娘はみんな優秀だと思うけど。」


神命 「"お礼参り"って何?」


鳳紅華「わかりません。書庫で調べておきましょう。序でに生物的性別とやらも・・・。」


龍驤 「調べたらあかん言うたよなぁ、紅華ぁ!」グリグリ


鳳紅華「あぁあああ!ごめんなさいぃ!」


神命 「紅華ちゃん、なんかキャラ変わったね。」



一息吐いて、仕事の残りを思い出す。


夕張 「ねぇ、明石。」


明石 「ん、なに?」モグモグ


夕張 「私達、此処に何しに来たんだっけ。」ボー


明石 「はぁ?何を寝惚けたこと言ってんのさ。そんなの・・・そんなの。」アレ?


明石 「何だっけ。」


夕張 「思い出せないでしょ。」


明石 「ちょっと待って。今、記憶を辿って・・・。」ムムム


ムゥ


夕張 「思い出せた?」


明石 「駄目だ。パステルグリーン夕張の失恋話しか思い出せない。」


夕張 「変なふたつ名を付けるな、淫乱ピンク。」


明石 「誰が淫乱だ、こら。」


夕張 「そっちこそ。私の何処がパステルグリーンだってのよ。そんなに髪色明るくないでしょうが。」


明石 「別に髪色の話なんてしてませんけど。」


夕張 「は?じゃあいったい何処の話を・・・。」


明石 「」チラ


ガシ


夕張 「今、何処見た?ねぇ、何処を見た・・・。」メリィ


明石 「あだだだだ!めり込んでるっ!指めり込んでるぅ!」ジタジタ



エナメル線みたいなのが混じってる。


明石 「あ~、いった。まったく、陰毛の一本がパステルカラーだってことがそんなに恥ずかしいかね。」サスサス


夕張 「恥ずかしいに決まってるでしょうがっ。私だって知らないのにっ。」ゴソゴソ


ピラッ


夕張 「・・・無いけど。」


明石 「いや、あるって。」


ドコ ココ


夕張 「うーわ。ほんとだ。無駄に綺麗。」ハァ


明石 「でしょ?」


夕張 「にしても、よく気づいたわね。他人のなんてそんなにまじまじと見る機会ないでしょうに。」


明石 「え・・・?あぁ、うん。そうね。日頃の機械弄りで培われた観察眼が活きたのかなぁ?」アハハ


夕張 「」ジト


明石 「あ、あはは・・・。」メソラシ


夕張 「てめぇ、夜な夜な私を実験台に何かやってんな?」グイ


明石 「夜な夜なはやってないです。二日に一回くらいです。」


夕張 「結構な頻度じゃねーか!こんにゃろぉぉ!!」ユサユサ


明石 「あああ!ばりぃちゃん、おちつっ!落ち着いて!そ、そんなに揺らされると・・・は、吐く。」ウプッ


夕張 「口の中で爆発させなさい!」


明石 「んな無茶な!!」ワッ


ウ・・・! オロロロ



空梅雨もいいところ。


黒霧 「他人の吐瀉物を処理するのは二度目だよ、まったく。」ハァ


明石 「ごめんくさい。」ウゥ


夕張 「ほんっと信じられない。こいつ、私をつかって・・・。」ブツブツ


黒霧 「君、彼女に何したの・・・。」


明石 「いやぁ、何と言いますか。その・・・。」ハハ


夕張 「聞いてくださいよ、教官!この苺ミルク!私を使って、どうしたら痛み無く膜を破れるか実験してたんですよ!」ビッ


明石 「せめて快感指数と苦痛度数の関係性についての研究って言って!?それから苺ミルクはやめて!」イヤァ!


夕張 「研究と言えば何でも許されると思うなよ!この友情クラッシャーが!本気で怒ってるんだからね!?私!!」


明石 「ご・・・めん、なさい。」シュン


夕張 「ったく。私との友情までぶち壊してくれるとは思わなかったわ。」フン


明石 「う、うぅ・・・!ごべんなざいぃ!」グズグズ


夕張 「泣いた振りしても駄目!」


明石 「バレたか。」チッ


夕張 「あんた、本当に頭おかしいんじゃないのぉ!?」グリグリ


明石 「おぁああああ!!へこむ!へっこんじゃう!頭蓋がへっこんじゃうぅ!!」ギャアア



正しい知識を身につける機会が欲しい。


黒霧 「どの程度の快感があれば破瓜の痛みを和らげることができるか、夕張で実験していた・・・と。」フム


明石 「はい・・・。」ボロッ


夕張 「ほんと信じられない。自分の身体でやればいいものを。他人の身体で、それも無断でやるとか。」ハッ


明石 「だって、自分でやるの怖いし・・・。」


夕張 「私に頼めばいいでしょうが。」


明石 「いや、夕張に頼んだらそのまま膜突き破りそうじゃん。」


夕張 「よくわかってるじゃない。」


明石 「」ジー


黒霧 「そんな、私悪くないでしょ?みたいな顔で見ないでもらえるかな。」


黒霧 「大体、破瓜の痛みには個人差があるし。そんなことしてる暇があるなら、病院で膜の性状を調べてもらったら?」


黒霧 「膜が柔らかいなら、そもそも破れたりしないし。逆に固いなら、どうしたって痛いから。」


夕明石「そうなの!?」


黒霧 「此処には経験者が大勢居るから、訊いてみたら?ま、相手は大抵僕だけど。」シレッ


夕明石「・・・え?」



整理する時間をおくれ。


明石 「という話を聞いたんですけど、はか・・・」


夕張 「初めての相手が黒霧教官というのは本当ですかっ。」ズイ


明石 「えー。」


紫苑茜「まぁ、そうね。」


神命 「今居る中だと麗ちゃんくらいかな。初めての相手が兄様じゃないの。」


明石 「マジですか!?」キラッ


神命 「興味津々だねぇ。」アハハ


紫苑茜「これだけ面子が揃うのも珍しいし。ちょっと整理しましょうか。」


パオラ「時雨を取り巻く女性関係について?あっは。かおす~。」ニシシ


神命 「元ストーカーがよく言う。」ヘッ



誕生日、おめでとうございました。


紫苑茜「最初はやっぱり、南方ちゃんかしらね~。」


明石 「南方ちゃんというと、南方棲戦鬼さんですか?」


紫苑茜「そうよ。しーちゃんの嫁で、そこに座ってる蓮華の母。」


蓮華 「・・・うん?」ケロリ


紫苑茜「あんた、グリーンピースのダメージはもう抜けたの?」


蓮華 「ああ、レ級からデザートをぶんどったのでな。」フフン


五月雨「仲良く半分こしてるくせに何を言ってるんですか。」


レ級 「そんなに俺と仲良くしてる事実を認めるのが嫌なのかよ。」


蓮華 「認めてしまったら歯止めが利かんだろうが。」


ヲ級 「所謂"好き避け"なの。」


レ級 「こんな恐怖しかない好き避けがあってたまるか。」


紫苑茜「とまぁ。南方ちゃんとしーちゃんの悪い部分を受け継いでしまった残念な娘なのよ。」


明石 「そうですか・・・。」



除湿のほうが涼しい気がする。


神命 「じゃあ次は師匠の番ね。」


紫苑茜「わたし?そうね、わたしは・・・」


パオラ「頭のおかしい変態でしょ。」


紫苑茜「頭の弱いストーカーには言われたくないわ。」


パオラ「誰が莫迦だってぇ?」アァ?


紫苑茜「せめて平仮名くらいは書けるようになって出直してきなさいよ、パラオ泊地提督(笑)さん?」フフフ


バチバチ


レ級 「やめとけよ、母ちゃん。パル姉に敵うわけないだろ?」


紫苑茜「敵う敵わないじゃないの。わたしがこいつらと対等であるために退けないだけよ。」


五月雨「喧嘩以外で張り合えばいいのに。」


ヲ級 「自分の苦手な土俵で相手に食い下がることに意味があるの。」


曙  「そういうところはしっかり受け継がれてるのね。」



高嶺の花も泥水の花も、花は花。


神命 「ちょこっと話が逸れたけど、この人が兄様の初めての相手ね。」


夕明石「うえぇ!?」


紫苑茜「なに、その反応。しーちゃんの初めての相手がわたしじゃ悪い?」オォォ


明石 「い、いやぁ・・・。」ハハ


夕張 「確かに美人だし、スタイル好いし、色気も・・・。でも、初めての相手にはハードルが高いような・・・。」ウーン


紫苑茜「あのねぇ。どんなに色香漂う好い女にだって初めてがあるのよ?わたしだって・・・緊張、したんだから。」


夕張 「ふたりとも初めてだったんですね。」ヘー


神命 「自分で色香漂う好い女なんて言うかな。流石は師匠。」ハハッ


明石 「初めて・・・初めて?ああ!忘れてた!初めては痛かったですか!痛くなかったですか!」ズズイ


紫苑茜「そういえばそういう話だったわね。わたしは痛くなかったわよ。神命は?」


神命 「ん~。あんまり?」


日陰 「神命の言うあんまりは信用ならないな~。」


パオラ「確かに。」フフッ


神命 「なにを~!そういう日陰とパルちゃんはどうなのさ~!」ムー


日陰 「全然痛くなかった。」


パオラ「あたし、経験ない。」


エ ソウダッケ・・・?


神命 「なんか、ごめん。」


パオラ「・・・?なんで謝るの?」キョトン


神命 「そうだった。パルちゃんはそういう女だった。」



或る幼馴染みの話。


日陰 「パオラさんって、そういうの気にしないタイプなんだ。」ヒソヒソ


神命 「気にしないというより、それをステータスとする文化に触れたことがないって感じかなぁ。」


日陰 「な~る、純粋なんだね。」


神命 「そうだね~。ところで、日陰の下腹部に色がついて見えるんだけど・・・。」


日陰 「・・・にひっ。」ニマッ


神命 「また先越されたっ。」クゥッ!


日陰 「なんか期待してた反応とちが~う。」


神命 「なにさ。がっくし項垂れたほうがよかったってぇ?」


日陰 「うん。絶望に染まった顔が見たかった。」


神命 「日陰の思考回路ってさ。結構兄様と似てるよね。お似合いカップル?」


日陰 「夫婦と言ってちょうだいな。私達と関わると不幸になっちゃうよぉ。」ニタァ


神命 「はいはい。私がその被害者壱号ですよーだ。」ケッ


日陰 「神命が成長しててつまんなーい。」


神命 「うるへー。こちとら色々あったんでい。」


ワイワイ


紫苑茜「あのふたり、あれで超仲良いの。莫迦でしょ?」フッ


明石 「その問いに"うん"と答える度胸はないです。」



苺とメロンの冒険譚。


鳳翔 「あら、どうかしましたか?」


鳳翔 「え?初体験の話!?い、いえ。何と言いますか・・・私はその、まだ・・・。///」テレテレ


鈴谷 「へー。鳳翔さんもまだなんだ。」フーン


熊野 「ええ。鳳翔さん"も"。」


三隈 「嫌な強調をしないでくださいまし。」


最上 「ボクは今夜が初めてだよ~。」フフッ


・・・


長門 「初体験?何のだ?」ウン?


陸奥 「予想どおりの反応でしょ?」


陸奥 「えっ。わたし?わたしは、そのぉ・・・。」アハハ


長門 「予想外の反応だろう?」フッ


陸奥 「うるさいっ。」


・・・


那智 「初体験の話か。」フム


足柄 「那智姉の初めてって確か、中学の先輩じゃなかったっけ。」


那智 「ああ、そうだったな。今思えば、何故あいつに時めいたのか・・・。」フ


足柄 「那智姉、事に及んでる最中に獣が目覚めて、彼に逃げられたのよ。」


那智 「それからだ。私が強い男を求めるようになったのは。」


足柄 「そこが原点だったのね・・・。」


那智 「しかし、初体験の話ならば琴に訊くべきなのではないか?こいつの初めて且つ唯一の相手は、あの方だからな。」


足柄 「唯一とか言わないでくれる?事実だけど・・・。というか、あいつ。あの一度きりで・・・!」ワナワナ


那智 「あの方の部屋に行く度にやたら気合を入れていたのは、やはりそういうことだったか。」


足柄 「そうよ!でも、あいつはぁ!!」キー!


足柄 「なに、初めては痛かったかって!?すっごい好かったわよ!」


・・・


南方戦「・・・ワタシに何か用?」


南方戦「はぁ?初めては痛かったか?愛を確かめ合う行為が痛いわけないじゃない。何言ってるの?」


近衛麗「ふ~ん。あんなに激しくシてるのに痛くないんだ。パパってそんなにてく・・・あ。」ピコーン


近衛麗「ねぇ、南ママ。処女膜見せて。」ガシ


南方戦「は!?ちょ!処女じゃないんだから処女膜なんてあるわけないでしょうが!放しなさい!」


近衛麗「はっは~ん。南ママ、経験はあるくせに知識は無い口だぁ。」ニヒッ


南方戦「なんですってぇ!?」キッ


近衛麗「い~い?処女膜はね、破れはしても無くなったりはしないの。だから処女じゃなくても処女膜はあるものなの・・・よっ。」ソイ


アッ


近衛麗「はい、お尻こっちに向けて。足は肩幅、背中を反らす。」ペシペシ


南方戦「くっそ。なんでワタシがこんな・・・。///」ムゥ


ンー


近衛麗「やっぱり。パパってば変なところで優しいわよね~。初めての相手がパパで、痛いって言った奴はいないんじゃない?」


南方戦「なに。どういうことよ。」


近衛麗「パパ、処女膜を破るんじゃなくて、"崩壊"させてるのよ。痛みを感じないように。」


・・・


天龍 「俺、すげぇ痛かった・・・。」


龍田 「変な意地を張ったからでしょ?優しくしてって言った後は~。」フフ


天龍 「///」プシュー


龍田 「この反応から想像してちょうだい。」ウフフー



人生そんなもん。


夕張 「色々と訊いてはみたけど・・・。」


明石 「結局わかったのは、クロさんが特殊な人だってことだけで・・・。」


夕明石「あんまり参考にならなかったなぁ。」ガックシ


明石 「でも、クロさんに頼めば、夢の無痛開通が・・・!」グッ


夕張 「なんで明石はそんな痛みに拘るの?誰が相手かじゃなくて。」


明石 「気持ちよくなるために我慢するっておかしいじゃん!」


夕張 「冗談のつもりだったんだけど・・・。いつから淫乱に成り下がった、このピンク。」



大和編なんだけどな。


大和 「んん・・・。」パチクリ


武蔵 「やっと起きたか、寝ぼすけめ。」


大和 「むさし・・・?」ンン


武蔵 「まったく。どうして重症だった私のほうが・・・」


大和 「武蔵ぃ!」ガバッ


ゴチッ ガッ!


武蔵 「大和ぉ、貴様ぁ・・・。」ジンジン


大和 「あああああ!むさしぃいい!!」バァァ


武蔵 「・・・。」ムゥ


ポム ナデナデ


大和 「ああああ!」ボロボロ


武蔵 「これではどちらが姉か、わかったものではないな。」フゥ



はじめまして、さようなら。


武蔵 「で、お前が元帥の言っていた・・・。」チラ


大和 「うぅう。」グズグズ


武蔵 「その・・・暗殺者というのは本当か?」コソッ


黒霧 「真宵ってば、そんなことまで話したんだ。」ヘェ


武蔵 「私にだけだがな・・・。その意図は察してくれ。」ハァ


黒霧 「そう言われると掻き乱してみたくなる。」フッ


武蔵 「・・・。」


黒霧幻「お父ちゃん、悪い顔。」オゥ


黒霧 「幻も練習してみよっか。真似してごらん。」フッ


黒霧幻「こ、こう・・・?」ギギ


黒霧 「表情筋が硬い。」ムニムニ


黒霧幻「あぅ~。」


武蔵 「他所でやってくれないか。」



一番好きな笑顔は大野くん。


黒霧 「はい、まずは笑顔の練習から~。」


黒霧 「口角を上げて、素敵な笑顔で他人を騙くらかしましょ~。」


武蔵 「その掛け声はどうなんだ。」オイ


サン ハイ


黒霧 「に~。」ニパー


黒霧幻「に、にー。」


武蔵 「・・・。」


黒霧 「に~。」


武蔵 「・・・。」


黒霧 「に~。」


武蔵 「・・・にー。」ヒクッ


黒霧 「こういう笑い慣れていない女性が笑顔の練習をしているときの表情って、最高に素敵だと思わないかい、娘よ。」


武蔵 「何を言っているのだ、貴様は!///」カァ


黒霧 「笑顔の練習をしているところをうっかり見られてしまったときの赤面は尚好し。これをギャップ萌えといいます。」


黒霧幻「もえ?」ウン?


武蔵 「こっ・・・!///」マッカ


黒霧 「ほら、口角は下げない。あと、顔に力入りすぎ。もっと力抜いて。」クイ


武蔵 「なっ!おい、あんまり気安く・・・!」


黒霧 「支えててあげるから。顔の力抜いて。こう、に~。」ニコリ


武蔵 「・・・。」


武蔵 「・・・ふ。これで、いいか・・・?」フッ


黒霧 「やればできるじゃないか。」フフッ


武蔵 「覚えは早い質でな。これくらいは容易い。」


黒霧 「それじゃ、大和が抱きついた所為で開けたその服を直して本題に入ろうか。」


武蔵 「そういうことは先に言えっ!!///」サッ



武蔵編に改編したくなってきた。


黒霧 「改めまして、僕がこの鎮守府を一時的に預かっている提督代理の黒霧時雨だよ。そしてこの子が・・・」ヒョイ


黒霧幻「黒霧・・・まほろ、です。」アゥ


黒霧 「僕の娘。仲良くしてあげてね。」フフ


武蔵 「ああ。私は大和型戦艦二番艦・武蔵だ。よろしくな、幻。」スッ


黒霧幻「」ビクッ


武蔵 「」サッ


黒霧幻「」ホッ


スッ ビクゥッ


黒霧幻「」フルフル


大和 「武蔵は顔が怖いから。」


武蔵 「うるさいっ。///」キッ



同類でも違いは出る。


大和 「私は大和。よろしくね、幻ちゃん。」ウフフ


黒霧幻「・・・。」ジー


大和 「・・・?」


黒霧 「幻、大和に抱っこしてもらおうか。」


黒霧幻「・・・うん。」コク


ヨイショッ ポフ


黒霧幻「おぉ~う。」キラキラ


ポフポフ


大和 「うふふっ。くすぐったいわ、幻ちゃん。」フフフッ


武蔵 「この差は何だ・・・。」クッ



胸が好きなんじゃない。胸の大きな君が好きなんだ!


黒霧 「幻は本当に女性らしい胸が好きだね。・・・日陰があんなだから。」


日陰 「あんなで悪うござんしたねぇ。」ユラァ


黒霧 「居たんだ。」ワァオ


日陰 「よく言うよ。私が来たのに気づいて付け加えたくせに。」


黒霧 「大丈夫。僕達は仕事の都合上、無いほうが何かと有利だから。」


日陰 「仕事の話にすり替えられてもね~。それに、身近な例外をひとり知ってるからさぁ。」


黒霧 「例外ではないさ。能力で胸板に変えられんかって、本気で相談されたことあるから。」


日陰 「何やってんの、茜姉・・・。」ハァ


日陰 「でも、変えてはあげなかったんだね。」


黒霧 「枕が無いと眠れない質だから。」


日陰 「それ、若しかしなくても本人に言ったよね。」


黒霧 「すっごい難しい顔してた。」


日陰 「何と言うか、時雨くんって昔からずっと時雨くんだよね。悪い意味でさ。」ハハッ



わけワカメ。


武蔵 「お前は確か、中庭で・・・。」


日陰 「あぁ、見てたんだ。さっきのあれ。って、うわ。此処からだと丸見えじゃん。」ヤダワー


黒霧 「そういう趣旨だったからね。」


武蔵 「ということは・・・なるほど。それでその距離感というわけか。」ナットク


黒夫婦「別に夫婦じゃないけど。」ピットリ


武蔵 「そこまで息が合っていて信じるわけがないだろう。夫婦でないなら何だというんだ。」


黒霧 「兄妹。」


日陰 「子供がいるのに?」


黒霧 「事実婚状態の兄妹。」


日陰 「なら夫婦じゃん。」


黒霧 「確かに。」フム


黒夫婦「夫婦でした。」


武蔵 「何なんだ、お前達は・・・。」



投票、お疲れさまでした。


黒霧幻「お母ちゃん。」トテトテ


日陰 「はいはい、おいで。」ヨイショット


ポフ


黒霧幻「ん~♪」スリスリ


大和 「やっぱり、お母さんが好いみたいですね。」フフッ


日陰 「私は甘々だからね~。」ウリウリ


黒霧幻「あぅ~。」


日陰 「その分、他人には容赦しないけど。」ボソッ


ゾワッ


武蔵 (一瞬、空気が変わったような・・・。)ブルッ



卵も割れない私 乙女なのよ by Mayoi


ガチャ


真宵 「戻ったぞ、ふそ・・・う。」ピタ


加賀 「おかえりなさい、あなた。」


山城 「まーちゃん、おかえり~。」グデーン


扶桑 「おかえりなさい。」


真宵 「ああ・・・。」パタム


デ


真宵 「その大荷物はなんだ。」


加賀 「未来への投資です。」キリ


山城 「加賀ったら子供服まで買いに行こうとするのよ?まだ性別だってわからないのに。そもそも妊娠してるかだってあやし・・・」


加賀 「してます。たとえしていなかったとしても、します。」


山城 「だから、確定してから動いたっていいじゃ・・・」


加賀 「準備を早くして悪いですかっ!」クワッ


山城 「せめて最後まで言わせなさいよ!あんた、最近おかしいわよ!」


ギャーギャー


扶桑 「ずっとこの調子で・・・。」


真宵 「そうか・・・。」ハァ


真宵 「取り敢えずだ。少し落ち着け、ふたりとも。」クイ


フワッ


山城 「おぉう。この浮遊感。漏れそ・・・。」モジッ


加賀 「酔いました・・・。」ウプッ


真宵 「こいつらはっ。早くトイレに行ってこい!」カッ



魅力は人それぞれ。


真宵 「まったく、あのふたりは。もう少し扶桑みたく淑やかにできんのか。」ハァ


扶桑 「淑やか・・・。///」ポッ


真宵 「しかし、加賀がああも思い詰めていたとは・・・。」フゥ


真宵 「俺もまだまだ未熟だな。」ガチャ


ジー ジー


扶桑 「真宵ちゃん?どちらに電話を?」


真宵 「女を弄ぶことに関しては一家言持ちの男の処だ。」



電話対応って難しい。


プルルルル ガチャ


???『はい。』


真宵 「ん、秘書艦か?悪いが、提督代理の時雨に代わってもらえるか。」


時雨 『時雨はボクだけど。』


真宵 「提督代理の、と言ったはずだが?」


時雨 『だから、提督代理の任を代理で預かってる時雨がボクなんだってば。』


真宵 「貴様、いつからそんな冗談を言うようになった。」


時雨 『さぁ?いつだと思う?』


真宵 「大方、五月雨が裏で糸を引いているのだろう?始めに電話に出た者と声が違うからな。」


時雨 『わー。バレてるー。』アハハー


真宵 「気が済んだなら時雨に代わってもらえるか。相談事があるのでな。」


時雨 『りょーかーい。あ、こっちから掛け直してもいいかな。にぃには今、大和さんと話してるから。』


真宵 「ああ、構わん。だが、なるべく急いでもらえると助かる。」


時雨 『はーい。え、それ言うの?もー、仕方ないなぁ。』


コホン


時雨 『かしこみ かしこみ もーすっ。じゃーね、元帥。雷と夕立によろしく言っておいてっ。それじゃ。』ガチャ


ツー ツー


真宵 「・・・時雨と五月雨を会わせたのは間違いだったかも知れん。」ムゥ


扶桑 「・・・?時雨さんって、舞鶴で有名だった憲兵さんですよね。五月雨ちゃんと出会って、そんなに変わられたんですか?」ウン?


真宵 「いや、そっちの"時雨"ではなくてな・・・。ややこしいな、まったく。」ヤレヤレ



救いの手を差し伸べて。


時雨 「あー、緊張した。大丈夫かな、あんなに気安く元帥と話したりして。打ち首になったりしないかな、ボク。」ハハ


五月雨「打ち首て。いつの時代の話をしてるんですか。大丈夫ですよ。知らない仲でもないんですから。」


時雨 「それはにぃにと元帥が、でしょ?ボク達は殆ど接点ないじゃん。」


五月雨「ま、過ぎたことは置いておいて。お父さんの所に行きましょー。」スタコラー


時雨 「あっ、こらっ!んもう!悪いところばっかり似ちゃって!お姉ちゃんはオコですよー!!」プンスコ


五月雨「子は親に似るものですよ~。」アハハハー


マテー!



君には期待以上がないんだよ。


レ級 「五月雨姉が妹してる。」


蓮華 「質の悪い妹だ。」フッ


ヲ級 「特大ブーメランなの。」ヘッ


レ級 「それもブーメランだろ。」


蓮華 「つまらん好い娘ちゃんめ。」


ヲ級 「予想の範囲内で生きてる好い娘ちゃんなの。」


レ級 「ヲーちゃんがいじめるっ。」ヒシッ


曙  「っ・・・。」ギロ


レ級 「な、なんだよ。なんで、そんな瞳で俺を見るんだよ。灯姉・・・。」ウッ


曙  「別に。」ゴゴゴ


レ級 「なんだよぉ~。」ヒグッ


漣  「レーちゃんが予想以上に育ってて僻んでるだけだろ。」


朧  「ばい~んなのねん。」ファーオ



これまで自分がしてきた努力を信じなさい。


ヨイヨイセッ


黒霧 「さぁ、どっちだ。」


黒霧幻「んー。こっち!」ビッ


黒霧 「本当に?」ニィ


黒霧幻「やっぱりこっち!」サッ


黒霧 「意志が弱い。始めのほうが正解だよ。」パッ


黒霧幻「のぅ!」ガーン


日陰 「あっはは。残念だったね、娘よ。」ヨシヨシ


黒霧幻「うー。お母ちゃん。」ウゥ


日陰 「よーし。それじゃ、母が幻の仇を取っちゃおうかなぁ!」ムン


黒霧幻「お母ちゃんっ。」キラキラ


黒霧 「親莫迦だなぁ。」


日陰 「時雨くんには負けるよ。」フフッ



それが自信です。


黒霧 「さぁ、どっち。」


日陰 「んー。そうだなぁ・・・。」


ポクポクポク


日陰 「うん、決めた。"どっちでもない"。」


黒霧 「・・・。」キョトン


日陰 「なぁに?私がこの答えを選ぶことがそんなに意外?」ニヒッ


黒霧 「いや・・・君らしい答え、かな。他人の用意した選択肢は選ばないあたり・・・。」フフ


黒霧 「それで、君の選んだ答えって?」


日陰 「んふふ~。それはねぇ。」スッ


日陰 「私の左手に誓って?"あなた"。」クスッ



鍵を解放して、ハプニングフラグを立てる! by Aria


五月雨「さぁて、医務室の前に着いたわけですけど・・・。」


五月雨「医務室といえば、むふふなどっきりはぷにんぐぅ!」クワッ


時雨 「何を言ってるの・・・。」エェ


五月雨「というわけで、ノックはしないでごか~いちょ~!」ガラッ


黒夫婦「」ン ハァ


日陰 「・・・あら、恥ずかしいところを見られちゃったわね。」フフッ


黒霧幻「ぉおぉおおぉう。///」キャー


五月雨「娘の前でなぁにをしさらしとるか!おんどりゃー!」コラー!


武蔵 「///」プシュー


大和 「私もいつか、東さんと・・・。///」ウフフ


時雨 「あーあ。こっちにも流れ弾が。」ヤレヤレ



未来の私へ、メッセージ。


時雨 「で?何がどうしてこうなったのさ。」


黒霧 「・・・さあ。どうしてだろうね。」


時雨 「なんか、間があったね。一大事?」


黒霧 「そんなところかな。」


時雨 「かるっ。ボク、にぃにのそういうとこ嫌~い。」


黒霧 「結構なことだよ。」


ムッ


時雨 「あのさぁ。前から思ってたけど、にぃにってどうしてそう他人に恨まれることを率先してやろうとするの?」


時雨 「色んな女性に手を出してさぁ。あ、先に言っておくけど、自分から手を出したわけではないって言い訳は聞かないから。」


黒霧 「単なる独占欲。」


時雨 「・・・どうした。お前、本当におかしいぞ。いったい何があった。」


黒霧 「これから起きるんだよ。」ポム


時雨 「あ・・・。ちょっと・・・。」ムゥ


黒霧 「僕が駄目になったときは・・・頼むよ、眠。」


時雨 「にぃにが駄目になるような状況をボクが打破できるわけないじゃん。しっかりしてよ。」ンモウ


黒霧 「確かにそうだ。」フム


時雨 「同意されるとムカつくっ。」フン



主人公って何だっけ。


五月雨「まったくもう!このばかちん共はっ!」プンスコ


日陰 「ごめんって。でも、ほら。どうしても盛り上がっちゃうときってあるじゃない?」


五月雨「それはわかります!」ムン


時雨 「同類め。それより本題本題。」ハイハイ


五月雨「そうでしたっ。お父さん、元帥閣下もとい真宵さんからお電話ですっ。」ビシッ


時雨 「もといの使い方が逆。」


黒霧 「真宵から?珍しいね。」


時雨 「相談したいことがあるんだってさ。」


黒霧 「ふ~ん。仕事は落ち着いてるし。となると、女性関係かな。僕に相談だなんて、相当追い詰められてるみたいだね。」フフッ


時雨 「血迷ったか、元帥。」トオイメ



話しかけることはできる。


五月雨「さてと、お父さんも送り出したことですし。さぁ、幻ちゃん!お姉ちゃんの胸に飛び込んでおいで!」サァ!


黒霧幻「やっ。」プイ


五月雨「なにゆえ!?」ガーン


日陰 「ごめんね~。幻ってば人見知りだから、ぐいぐい来るタイプが苦手みたいで。」アハハ


時雨 「そうかな?ボクには単に、五月雨のことが嫌いなだけに見えるけど。」


五月雨「なんですとぉ!」


時雨 「幻ちゃん、に~。」クイ


黒霧幻「・・・にー。」クイ


時雨 「ほらね。」ニヤァ


五月雨「勝ち誇った顔を・・・!」クゥッ


黒霧幻「お父ちゃんといっしょ。」キラキラ


日陰 「そういう判断基準なんだ。」ハハ



ただ、そこからが続かない。


大和 「幻ちゃ~ん。」オイデ


黒霧幻「ん~。んんん・・・。」チラ


日陰 「行っておいで。」ニコリ


黒霧幻「あい。」


トテトテ ポスッ


黒霧幻「ん~♪」スリスリ


大和 「私に娘がいたら、こんな感じなのでしょうか。」ウフフ


時雨 「へぇ、大和さんには懐いてるんだね。」


五月雨「やはり胸か。」チィ


時雨 「いや、そうでもないみたいだよ。だって、ほら。」


武蔵 「幻・・・。」ソー


黒霧幻「」ビクッ


武蔵 「うっ。」グッ


黒霧幻「」フルフル


武蔵 「うぅ。」シュン


時雨 「武蔵さんは拒絶されてるみたいだし。」


武蔵 「私と大和の何が違うというのだ・・・。」


五月雨「揉み較べてみましょうか?」ワキワキ


大和 「・・・え?」


武蔵 「・・・頼む。」


大和 「ぇえ!?」



待ち時間も楽しめるって素敵ね。


ジリリリリ


真宵 「やっとか。」ガチャ


真宵 「随分と待たせてくれるな、時雨よ。」


黒霧 『お願いする側なら少しくらい我慢しなよ。こっちは大和のことだってあるんだから。』


真宵 「そう・・・だったな。すまん。ところで、大和の様子はどうだ。落ち着いているか?」


黒霧 『娘が上手く緩衝材になってくれてる。今のところは大丈夫かな。』


真宵 「そうか。それは何よりだ。」フゥ


黒霧 『武蔵は武蔵で弄り甲斐がありそうだし。』フフフ


真宵 「・・・程々にしろよ?」



私の瞳には何が映ってる?


真宵 「そんなお前に相談するのは些か不安なのだが・・・。」


黒霧 『なら切るけど。』


真宵 「待て待て。俺が悪かった。是非とも相談にのってくれ。」


黒霧 『冗談だよ。それで、相談事って?』


真宵 「本気で切る心算だったろうに。まぁ、いい。相談事というのはだな・・・」


黒霧 『加賀の妊娠絡みのことかな?』


真宵 「相変わらず耳が早い。龍驤から聞いたのか?」


黒霧 『娶ったとこまではね。後はただの推測。で、何事?』


真宵 「加賀が妊娠を焦っていてな。若干ヒステリーも入っている気がある。赤子用品を大量に買ってきてそれはもうてんやわんや・・・」


黒霧 『別に何もおかしなことはないと思うけど。』


真宵 「いや、あの加賀だぞ?」


黒霧 『僕は普段の加賀を知らないから。会ったこともないし。それは抜きにしても、焦りが原因で過敏になるのは普通のことでしょ?』


真宵 「まぁ、そうなのだが・・・。今の状態が続けば仕事にも支障がだな・・・。」


黒霧 『続かないさ。妊娠が確定すれば、少なくとも現状の問題は解決する。』


黒霧 『真宵が頑張ることと、後は時間が解決してくれるのを待つばかりかな。』


真宵 「・・・そうだな。」


ガチャ


真宵 「冷静でなかったのは俺のほうだったか。要らぬ時間を使ってしまった。」ハァ



誰だって普通の恋がしたい。


真宵 「扶桑、加賀は何処に居る。」


扶桑 「えぇと、その・・・。おそらくまだ・・・。」


真宵 「加賀はそんなに三半規管が弱かったか?まさか・・・悪阻か?」


扶桑 「変な期待はしないほうがいいと思いますよ、真宵ちゃん。」


真宵 「言ってみただけだ。まだ、そんな時期ではないからな。」


山城 「私達も妊娠できたなら、加賀の負担を減らせるのにね。」ヒョコ


真宵 「そう・・・。」ア


真宵 「その相談を忘れていた。」ハァァ


山城 「まーちゃん、大丈夫?疲れてるんじゃない?私と一緒にサボる?」スリッ


扶桑 「駄目です。仕事は山積みなんですから、今サボってつらいのは自分ですよ。」


山城 「えー。姉様のおにー。」ムー


扶桑 「そもそも!山城が仕事をしないから真宵ちゃんの負担が増えているのですけどね・・・。」ジトォ


山城 「うぐ・・・。」


真宵 「少し休む。山城、隣に座れ。」


山城 「え、はい・・・。」チョコン


ポフッ


真宵 「お前の隣が、一番落ち着く・・・。」ボソ


山城 「えっ。///」


真宵 「」Zzz


山城 「えぇぇぇ。///」シュー


扶桑 「山城・・・?顔が紅いけど、どうしたの?」


山城 「なっ、なんでもないですよぉ。なんでも・・・。」アハハ



戻り梅雨ってなにさ。


黒霧 「ただい・・・。」ガラッ


武蔵 「あ・・・。」


五月雨「おかえりなさ~い。相変わらず最高のタイミングですね。若しかして狙ってました?」ニシシ


黒霧 「入っても大丈夫な合図を聞いてから入ってきたつもりだったんだけど、僕の聞き違いだったかな。」


五月雨「騒がしくしてましたからね~。ま、お父さんでもそういうときがあるってことですね。」ウンウン


黒霧 「平然と嘘を吐くのはこの口か~。」グニグニ


五月雨「わらひうひょなんれふいれまふぇ~ん。」アウアウー


武蔵 「おい。女の裸を見ておいて、何か言うことはないのか。」ワナワナ


黒霧 「・・・ごちそうさまでした?」


武蔵 「」バッ


大和 「どうどう。」ガシ


武蔵 「止めてくれるな、大和。一発殴ってやらねば、私の気が収まらん!」フー!


大和 「でも、故意ではないんだし。ここは抑えてっ。ねっ?」


武蔵 「妹が裸を見られたのだぞ!姉として思うところはないのかっ!」


大和 「何よ。胸を見られたくらいで騒いじゃって・・・。私なんて・・・。」ブツブツ


武蔵 「ぁあ!」キッ


大和 「武蔵にはわかるの?身体を捧げるしかなかった私の気持ちが。」スン


武蔵 「あ・・・いや・・・。」オズ


大和 「ねぇ、わかるの?」


武蔵 「いや、あの・・・。」


ネェ イヤ・・・


黒霧 「これって、僕の所為なの?」


時雨 「責任取ってどうにかしようか、にぃに。」ポン


日陰 「今から難しい話をするから、私達は外で待ってようね~。」


黒霧幻「うん。」トテトテ



その孤独に意味はあるか。


黒霧 「大和、五月雨でも抱いて少し落ち着きなさい。」ヒョイ


五月雨「アニマルセラピーならぬ五月雨セラピーですか。ふふん。いいでしょう。私は、効きますよ?」ドヤァ


大和 「はい・・・。」ギュ


五月雨「おぉう。これはなかなか・・・。」ムフッ


時雨 「五月雨が癒やされてどうするのさ。」


五月雨「これは癒やされてるのではありません。いやらしくされてるのです!」キリッ


時雨 「尚のこと駄目じゃん。」エェ


五月雨「ふかふかさいこー。」


大和 「もう、五月雨ちゃんったら。」ウフフ


黒霧 「これが大和と武蔵の違いです。」


武蔵 「私の身体は硬そうだとでも言いたいのか。」アァ?


黒霧 「うん。」


武蔵 「こいつ・・・!」ワナワナ


時雨 「ちょっと、にぃに。余計に煽ってどうするのさ。」モウ



同じ名前がクラスに三人居ました。


武蔵 「時雨、ちょっと来い。」


黒時雨「ん。」


武蔵 「・・・何故、貴様まで来る。」オイ


黒霧 「僕も時雨だから。」シレッ


武蔵 「ややこしい・・・!だが、わかるだろ!私が呼んだのは艦娘のほうの時雨だ!誰が貴様を名前でなぞ呼んでやるものか!」


黒霧 「ならクロさんで。」


武蔵 「拒否するに決まっているだろう!莫迦なのか貴様は!」クワッ


五月雨「何と言うか。既視感があるのは私だけでしょうか。」


時雨 「いいや。ボクも同じこと考えてたよ。なんだか・・・」


露姉妹「天龍さんを思い出す。」


ヘブシッ


龍田 「お姉ちゃん、風邪?またお腹出したまま寝てたんでしょ。」ンモウ


天龍 「お腹どころか全裸だったな、昨日は。一晩中、黒と・・・。」ポワポワ


龍田 「幸せだった?」


天龍 「うん。」パー


龍田 「なら、よろしい。時雨さんにお姉ちゃんの看病をお願いしてくるわね~。」スタコラー


天龍 「うん・・・え?ちょっ。待て、花!そんなことされたら、違う熱が上がっちまうから!って、相変わらず足速いなっ!」クソッ


ハナァァァ!!



世界を壊し、世界を創った反逆者よ。


時雨 「それで?ボクは何をすればいいのさ。」


武蔵 「私の膝に座れ。そして感想をそこの莫迦に伝えてくれ。」ポンポン


時雨 「ふーん。それ、本当にボクで後悔しない?ボク、正直に言っちゃうタイプだけど。」


武蔵 「臨むところだ。働きながらも日々の鍛錬を怠っていない私が、大和に劣るはずがないのだからな。」フン


黒霧 「勝る、劣るで考えてるから駄目なんだろうに。」


武蔵 「なんだと!」


時雨 「はいはい。座りにくいから前のめりにならないで。」グイグイ


ヨッ ポス


時雨 「んー。」


武蔵 「どうだ。悪くないだろう。」


時雨 「まぁ、長門さんとか元帥みたいに筋肉の塊って感じじゃなくて筋肉質なだけだから、悪くはないけど・・・。」ムー


武蔵 「けど・・・なんだ。」


時雨 「張りが強すぎて、すっごい押し返される。全然、安まらない。30点。」


黒霧 「そんな反抗的な肉体をしてるから幻に怖がられるんだよ。」


武蔵 「肉体が反抗的ってなんだ!」



人は其れを弛みという。


大和 「張りの強い身体は怖がられる。ということは、私の身体は張りのないだらしない肉体ということなのでしょうか・・・。」ズーン


五月雨「何を仰いますやら。武蔵さんと大和さんでは張りの質が違うだけで、ふたりとも張りのある好い肉体をしてますよ。」


大和 「そうでしょうか・・・。」


五月雨「そうですとも。言うなれば武蔵さんは高反発、大和さんは低反発のマットレスです!」ムフー


大和 「ま、まっとれす?」


五月雨「確実に支えてくれるという信頼感。そして、全てを受け止め、包み込んでくれる安心感・・・。」アァ


五月雨「それらを体現するお二方の身体は大変魅力的ですっ!!」キラッ


大和 「そ、そう?・・・ありがとう。」アハハ


五月雨「というわけで、今夜は一緒に寝てください。」


大和 「・・・え?」


時雨 「あ!五月雨だけずるい!ボクも大和さんと一緒に寝たい!」スタッ


武蔵 「あっ。」


ワイワイ


武蔵 「・・・。」ギリ


黒霧 「今夜は僕も先約があってね。ごめんよ。」フ


武蔵 「誰が貴様となぞ。願い請われても御免被る。」フンッ



心に入り込むには気安さも必要。


黒霧 「それは残念。僕、結構人気あるんだけどな~。」


武蔵 「図に乗るなよ、顔が好いだけのクズが。色欲に溺れた者は陸な運命を辿らんぞ。」ケッ


黒霧 「顔が好いとは言ってくれるんだね、ありがとう。お礼に抱き締めてあげよう。」ホラ


武蔵 「よせ、寄るな。幾人の女を抱いたか知れん身体で私に触れるんじゃない。」


黒霧 「職業病だから、と言いたいところだけど。今思えば、単なる道楽だったのかも知れないね。」フフ


武蔵 「だから寄るなと・・・」


ギュッ


黒霧 「よしよし。子供達に逃げられて悲しかったね~。」ポンポン


武蔵 「・・・どうすればいいと思う。」


黒霧 「真剣な相談は勘弁してもらえると助かるかな~。」


武蔵 「貴様は本当に・・・!」イラァ


黒霧 「恥を恐れないことだよ。」


武蔵 「・・・そうか。」


黒霧 「格好良さに憧れはしても近寄りがたい。少し抜けてる、可愛げのある人のほうが距離を詰めやすいでしょ?」


武蔵 「そうだな。」フッ


黒霧 「それじゃ、これから少し騒がしくなりそうだから僕はこれで失礼するよ。」パッ


武蔵 「ああ。」


黒霧 「艤装の細かいあれこれについては蓮華に任せてるから、後で来るように伝えておくよ。」ジャ


パタム


武蔵 「五月雨よ。」


五月雨「はぁい。なんですか~。」グデッ


武蔵 「だらけすぎだぞ。」


五月雨「知ってます。で、なんですか~?」


武蔵 「・・・あいつの心音が聞こえなかったのだが、私の耳はおかしくなったのだろうか。」


ダダダダ! オイ!ハナァ!!


武蔵 「騒がしいな。」


五月雨「よかったですね。武蔵さんの耳は正常みたいです。」



大人達の子守唄。


龍田 「時雨さ~ん!」トウッ


黒霧 「おっと。」


龍田 「匿って!」コソッ


黒霧 「それは構わないけど・・・。」


天龍 「あぁ、くそっ。一歩が小せぇ・・・!」ゼェ ハァ


黒霧 「もう居るよ?」


龍田 「大丈夫。会わせるまでがあたしの仕事だから。」


黒霧 「後は僕の好きにしていいって?」


龍田 「しっかり構ってあげてください。」ムン


天龍 「勝手なこと言ってんじゃねぇよ。」ッタク



成人は神の子から人に成る儀式。


黒霧 「それにしても・・・。」ジー


天龍 「なんだよ・・・。」


黒霧 「色々と小さくなっちゃって。」アラマァ


天龍 「・・・やっぱり、大きいほうがいいのか?」シュン


黒霧 「・・・。」


龍田 「今、時雨さんが何を考えてるか、中ててあげよっか。」ウフッ


黒霧 「中てるまでもないでしょ。」スッ


ヨッ ウワワ


黒霧 「かわいい。」


天龍 「う、うるせぇ!小っ恥ずかしいこと言ってんじゃねぇよ!ってか、腋から抱えるのやめろ!餓鬼みてぇだろうが!」ワッ


黒霧 「18歳は大概餓鬼だよ。さ、道場にでも行こうか。小太刀の稽古に付き合ってあげるよ。」スタスタ


天龍 「ほんとかっ!?」パァ


ジャナクテ!


天龍 「まずは下ろせぇぇぇ!!」


龍田 「あー。なんだか、扱いがお嫁さんから娘に変わってるような・・・。」アハハ


マ イッカ



合法的に休み隊。


漣  「うーし。いくぞ~、ネーちゃ~ん。」フリフリ


ネ級 「バッチコイ。」イエー


漣  「せーのっ!」ソイ


ギュン!


ネ級 「ノゥ!?」ヘブッ


ズデッ テンテン・・・


曙  「顔面セーフ。続行。」ピ


潮  「だ、大丈夫!?ネ級ちゃん!」


ネ級 「ネ級チャン、チガウ・・・ネーチャン。」プルプル


潮  「こんなときまで拘らなくていいの!」


ネ級 「ウィ・・・。」ガクッ


ネーチャァァァン!


漣  「俺っち、そんな強く投げたつもりないんだけども・・・。」


朧  「嫌な予感がするのねん。」オゥ



ルールは逆手に取ってなんぼ。


潮  「ネ級ちゃんの仇は、私がっ!」ムン


漣  「頼むぜ、撫子ぉ。姫姉の本気はわっちじゃ受け止めきれねぇでよ。」ヘヘッ


朧  「任されたん。」グッ


朧  「さっ、こぉい!!」バーン


潮  「えい!」ブン!


ギュオッ! ベチーン!


曙  「顔面セーフ。続行。」ピ


朧  「ふっふっふ。効かないのね。」ニタァ


潮  「そんなっ!」タジ


漣  「よくやったぁ、撫子!反撃開始じゃあ!!」イケェ!


朧  「そっくりそのままお返ししますのん!」テイ!


ヒュゴッ ガシッ


漣・朧「んなぁ!?」


漣  「嘘だろ。姫姉の球をそっくりそのまま返したんだぜ?それを片手で・・・。」タラー


戦棲姫「ん~?これ、投げ返せばいいの?」


潮  「え?う、うん・・・。」


戦棲姫「いくよ~。」


漣  「撫子、頼む!」サッ


朧  「かしこまり!」タッ


戦棲姫「よーせっ。」ギュオッ!


漣  「へ?」


朧  「ほげっ!」ベシ


漣  「んがっ!」バシ


テンテン・・・


漣  「撫子の能力でも勢いを殺しきれないなんて・・・。」グハッ


朧  「とんでもびっくりなの・・・ねん。」カハッ


戦棲姫「いぇい。」ピース


潮  「あ、あはは・・・。」


曙  「顔面セーフ。続行。」ピ


漣・朧「鬼め・・・!」クッ



選ばれた者に弱者などいない。


天龍 「む~。」チャキ


黒霧 「眉間に皺、寄ってるよ?」


天龍 「慣れねぇんだよ、逆手の感覚に。なぁ、どうしても逆手じゃないと駄目か?」


黒霧 「順手でもいいけど、剣道経験者の君には小太刀の順手持ちはお勧めできないよ。」


天龍 「なんで。」


黒霧 「仕合えばわかる。」スッ


天龍 「口で言えばわかることを態々・・・。てめぇ、俺を虐めたいだけだろ。」ジト


黒霧 「聞いただけじゃ、わかったつもりにしかならないから。大事なことは身体に覚えさせないと、いざというときに間違える。」イクヨ


天龍 「うちの旦那様は容赦ねぇなぁ。その裏には優しさがあるって信じてるぜぇ!」オラ コイ!


黒霧 「いや、ただの趣味だけど。」


天龍 「言うなよ!そこは都合良く信じさせとけよ!」


龍田 「"旦那"って部分を否定されなくて飛び跳ねるほど嬉しいのよね~。」


パオラ「乙女ね~。」ニヨニヨ


天龍 「五月蠅いぞ!外野ぁ!!///」


黒霧 「隙あり。」スパーン


イッテェエエエ!!



怪我するかどうかだけが問題なのではない。


天龍 「竹刀って、こんなに痛かったか・・・!?」オアァ


龍田 「あたし達はもう艦娘じゃないんだから、痛みを感じやすくなってるだけよ。がんば、お姉ちゃん。」


天龍 「そうだった!って、それじゃあ防具着けねぇとまずいじゃねぇか!」ピシャーン


黒霧 「今頃気づいたの?」


天龍 「・・・そういうてめぇは気づいてて嫁に面打ち込んだのか。」オイ


黒霧 「うん。」


天龍 「うん、じゃねぇ!!竹刀はささくれ立ったりするから生身に打ち込むのは危ねぇんだぞ!」


黒霧 「知ってる。だから原初の霧で"そういう"竹刀を創った。」


天龍 「竹刀自体が健全ならいいってものでもないだろ。ちょっとそこ座れ。」


黒霧 「」スッ


天龍 「あのなぁ。俺はお前の趣味嗜好に口を出すつもりはねぇけど限度ってもんが・・・。」クドクド


龍田 「お姉ちゃん、あの時雨さんに説教してる。成長したのね・・・。」


パオラ「これは南ちゃんもうかうかしていられないわね~。」フフッ



涼しくなりましたね。


天龍 「だいたいお前は嫁に対する思いやりが足りねぇんだよ。惚れられた相手なら何してもいいってもんじゃねぇだろ?」


黒霧 「里って僕に惚れてたんだ。」


天龍 「真面目に聴け。」コラ


ハイ


天龍 「なぁ、黒。お前、時々わざと俺達を遠ざけようとするよな。足柄なんて特にそうだ。・・・なんでだ?」ジッ


黒霧 「そんなことな・・・」


天龍 「あるんだよ。わかってんだろ、自分でも。お前は、黒は、周りに居る連中が思うほど、強くねぇってこと・・・。」


黒霧 「・・・。」


天龍 「なぁ、黒。俺はお前にとって何だ?てめぇの道楽にまんまと嵌まった莫迦な女か?あ?」ズイ


黒霧 「・・・。」


天龍 「違うだろ?いや、違うと言ってくれ。」


黒霧 「・・・。」


天龍 「言えよ!?」


ダキッ ウオッ!?


天龍 「お、おい!何だよ、急に!」


黒霧 「これから話すことは、南にも話していないことだ。心して聞いてほしい。」ボソ


天龍 「・・・おう。」キュッ



永き時の中で。


黒霧 「僕は、この永遠にも等しい生涯の中で、多くの者に出会い、そして見送ってきた。」


黒霧 「或る者は手の届かない所で、或る者は目の前で、また或る者は自らの手で・・・。」


黒霧 「僕と深く関わった者は皆、若さを残したまま逝ってしまう。」


天龍 「まるで死神・・・てか。はっ、阿呆らし。」ヘッ


黒霧 「最も死に近く、最も死から遠い者。よく、僕はそう揶揄される。他人には死をもたらすくせに、僕はもう死ねないから。」


黒霧 「それでも隣に並んで歩んでくれる者を探すことをやめられなかった。」


黒霧 「次こそは。次こそは・・・。幾度となくそれを繰り返した果てが、今だよ。」


天龍 「おう。俺は今、此処に居るぜ。黒の腕の中に。昨日で終わったはずの運命を乗り越えて。」


黒霧 「そうだね。君は死の運命を乗り越えた。」


天龍 「だから心配すんな。俺は何処にもいかねぇ。最期まで、お前の隣に居てやるからよ。」ニッ



今時、結婚式もしなくなったね。


龍田 「ではここで、誓いのキスを~。」タタタターン


パオラ「汝、病めるときも健やかなるときも。」タタタタン タタタタン タタタタン タタタタン タンターン


天龍 「いきなりなんだっ!?///」


黒霧 「そういえば、結婚式ってやったことないな・・・。」


天龍 「よし、今やろう!直ぐにしよう!」ガシ


黒霧 「積極的だね。」アハハ


天龍 「ったりめーだろ。ただでさえ俺は南に遅れをとってんだ。俺にも何か勝ってる部分が欲しいんだよ!」クワッ


南方戦「ワタシに隠れてな~にをしてるのかしら~。」ウフフフ


天龍 「げ・・・南。」タジ


南方戦「アンタのことは認めてるところ"も"あるけど、何もかもを許したわけじゃないのよ・・・?」ゴゴゴ


天龍 「う、うるせぇ!俺達は"対等な"嫁だろうが!全部負けっぱなしじゃいられねぇんだよ!」


南方戦「ワタシだって二番目のアンタなんかに負けてられないのよ!悪いけど、あのひとの一番は全部ワタシが貰うから!」


ギャー ギャー



それは運命の悪戯か・・・。


パオラ「あれ、止めなくていいの?」クイ


黒霧 「止めたって止まらないものはどうしようもないでしょ。それに、僕の一番はいつだって、ひとりだけだから。」


龍田 「そこのところ詳しく聞きたいな~。」ウフフー


黒霧 「言葉のとおりだよ。」


龍田 「そうかしら?時雨さんの言う"ひとり"が特定の人物を指して"ひとり"なのか。それとも・・・」


龍田 「人数としての"ひとり"なのかでは、随分と意味が違うように思うんだけど。」ウフッ


黒霧 「・・・そうだね。」


龍田 「でしょう?」フフッ


黒霧 「そこまで考えが及んだ花に、いいことを教えてあげる。」


龍田 「何かしら~。」ニコニコ


黒霧 「僕が伴侶に選んだ女性は皆、天命を全うすることなく果てていった。だけど・・・。」


龍田 「だけど?」


黒霧 「僕が護れなかった女性は、いつだって"ひとり"だけだ。」


龍田 「それって、どういう・・・。」エ?


黒霧 「言葉のとおりだよ。」フッ


パオラ「ね?恐いでしょ?この子。」ポン


龍田 「えぇ・・・。」



デレるくらいが丁度好い。


黒霧 「ほら、続きをやるよ。」テシッ


イッテェ!


天龍 「なんで俺だけ!南も同罪だろぉ!?」オイ!


南方戦「ワタシは特別なのよ。」フフン


黒霧 「そんなことはない。」ピンッ


イッタァ!


南方戦「ただのデコピンなのに・・・!なんて威力・・・!」オァア


南方戦「というか!ワタシが特別じゃないってどういうことよ!最近あんまり構ってくれないし!ワタシには飽きたってわけ!?」


黒霧 「誰かを愛するって感情は、別に特別なものではないでしょ?だから特別じゃない。愛してる。」


南方戦「っ~!」クネクネ


天龍 「なぁ、南。今のお前、かなり気持ち悪いぞ・・・。」


南方戦「今のワタシの気持ちがわからないだなんて、時雨への愛が足りてないんじゃないの?」ハッ


天龍 「いや・・・うん。今の南みたいになるくらいなら、俺の愛は程々でいいわ。」


黒霧 「言っておいて何だけど、僕もどうかと思う。」


南方戦「そんなっ!?」ガーン



彼の好きは・・・。


龍田 「あの、パオラさん。時雨さんがさっき言ってたのって・・・。」


パオラ「護れなかったのはひとりだけってやつ?そうねぇ。その"ひとり"ってのが誰なのかは心当たりがあるけど・・・。」ウーン


パオラ「あんまり気にしないほうがいいと思うわよ。どうせあたし達じゃ、あの子は止められないし。」


龍田 「それじゃあ、お姉ちゃんは時雨さんに・・・。」


パオラ「さあ?どうかしらね。確かに、歴史の正導が終わった後に、戯れに敵を演じてみるって展開は多かった気がするけど。」


パオラ「命まで奪ってるところなんて見た憶えがないのよね~。そもそも時雨の言う"天命"って本来の意味と少し違うし。」


龍田 「そうなんですか?」


パオラ「ま、なるようになるわよ。時雨は変な子だけど悪い子ではないから。不幸のまま終わりにすることはないわ、多分、きっと。」ニッ


龍田 (どうしよう。何も安心できない・・・。)



今回の台風は本当にまずい。


オートーウー


五月雨「さぁん!!」ズザァ


ゼェ ハァ


五月雨「あー、吐きそ。」オェ


黒霧 「背中でも擦ろうか?」


五月雨「お願いします。」


サスサス ア~


五月雨「て!和んでる場合じゃないんです!大変なんですよ!」バッ


南方戦「うっさいわね。何がそんなに大変なのよ。」


五月雨「日陰さんが倒れたんです!」


南方戦「ふーん。あの女がねぇ。」


五月雨「・・・若しかして南ちゃん。ライバルの不幸を喜んでます?」ジト


南方戦「ワタシがそこまでのクズに見えるなら、その腐った瞳を刳り抜いて綺麗に洗浄してあげてもいいのよ?」フフフ


天龍 「こえぇよ・・・。」


五月雨「いいから早く来てください!さぁ、早くっ!」グイグイ


黒霧 「わかったから、あんまり引っ張らないで。」


ホラ ハヤク! ハイハイ



もう全力疾走なんてできやしない。


五月雨「ほら、どいたどいたぁ!野次馬が多くちゃ緊急車両が通れないでしょうがっ!!」クワッ


黒霧 「はーい、緊急車両通りまーす。」ヒョイ


ウワット


五月雨「おぉ、肩車も中々いいものですね。」キラキラ


黒霧 「しっかり掴まってなよ。飛ばすから。」ギュンッ


シュタタタタ オォ~


五月雨「は~やぁ~い・・・いっ!」ゴッ


ブベッ


五月雨「おぉおおおお。」ゴロゴロ


黒霧 「あ、ごめん。鴨居の高さを考慮してなかった。」


五月雨「絶対にわざとだっ!」キッ


黒霧 「痛がってるのも振りでしょ?君の装甲はそんなに柔じゃない。」


五月雨「まぁ、そうですけど。」ケロリ


五月雨「そういう問題じゃないんですよね~。」ヤレヤレ



この命、尽きるまで。


黒霧 「日陰。」シャッ


日陰 「あぁ、時雨くん・・・。」


黒霧幻「お父ちゃん・・・!」グスッ


ウゥ ヒシッ ヨシヨシ


黒霧 「・・・。」ソッ


日陰 「えへへ。時雨くんの手は冷たいなぁ。」ニヘ


黒霧 「君は少し熱いくらいだ。無茶をしすぎだよ。」


日陰 「うん・・・。でも、幻をひとりにしたくなかったから。」


黒霧 「僕が居る。」


日陰 「駄目だよ。それじゃあ幻がいつまで経っても自立できないじゃない。」


黒霧 「そうかも・・・知れないね。」


日陰 「そうだよ。いつまでも護られる側に居ちゃ駄目。女の子はね。護りたいもののためなら、何にだってなれちゃうんだから。」フフッ


黒霧 「君を見ていればわかるさ。君は本当に・・・。」


日陰 「褒めても何も出ないぞ~。」ニシシ


黒霧 「褒めてないし期待もしてないよ。」サラッ


日陰 「ひどいなぁ~。」ンモウ


ナデナデ


日陰 「ん~。なぁに?」ウフフッ


黒霧 「よく、頑張ったね。」


日陰 「・・・うん。私、頑張ったよ?だから、後はお願いね?あな・・・た。」


黒霧幻「お母ちゃん?」


日陰 「」


黒霧幻「お母ちゃん・・・。お母ちゃん!お母ちゃん!!」ボロボロ


ウアァァァァ!!



彼女の遺したもの。


黒霧 「さぁ、仕事だ。神命、手伝って。」


神命 「・・・うん。わかってる。」グイ


黒霧 「姫百合、幻を頼む。」


潮  「はい・・・。」ギュッ


黒霧幻「うぅ・・・!」ヒシッ


黒霧 「胎児の位置はわかる?」


神命 「うーん。眩しくて輪郭がわかりづらい・・・。魔力が集まりすぎてて・・・。」ムー


黒霧 「感覚でやるしかないか。」チャキ


神命 「股から手突っ込んでみる?」


紫苑茜「子宮口が開いてないのにどうやって引きずり出す気よ。下手したら首が抜けるわよ。」オバカ


神命 「わかってるって・・・。兄様、お願い。」


黒霧 「もうやってる。」


ア・・・ ハイ


黒霧 「・・・よし。見えた。」


紫苑茜「ちょっと。これって・・・。」


神命 「魔石じゃん。しかもこれ里の宝物庫にあったやつ。さては盗んだな?」コイツメ


黒霧 「何でもいい。魔石には魔力を増幅する効果もある。これで胎児の成長に必要な分が賄えられれば・・・。」


パァァ


???「けぷっ。」アウ


黒霧 「日陰の願いを叶えられる。」



こんにちは、世界。


黒霧 「後は、僕の魔力を注げば・・・。」スッ


紫苑茜「ちょっと待ちなさい。」ガシ


黒霧 「・・・なに。」


紫苑茜「なに、じゃないでしょ。ただでさえ日陰の魔力を莫迦みたいに注ぎ込んでるのに、しーちゃんの魔力まで注いだら・・・。」


神命 「とんでもないばけも・・・」


黒霧 「神童。」


神命 「・・・神童。」


紫苑茜「化物が誕生することになるでしょうが!」クワッ


神命 「うわ。言ったよ、このひと。言っちゃったよ・・・。」ウワァ


黒霧 「別にいいでしょ?実力のある子供が増えるんだから。」


紫苑茜「性格までしーちゃんに似たら手に負えなくなるって言ってるの。」


神命 「お母さんが日陰だしね。」


パオラ「あんたら中々言うわね。娘ちゃん達の前で・・・。」



熱意を理論で匿うな。


五月雨「あの~。ご歓談のところ申し訳ないんですけどぉ。その子、なんか光ってません?」


紫苑茜「魔石の魔力を糧に成長中なのよ。この様子だと、2歳か3歳くらいにはなるんじゃないかしら。」


黒霧 「幻は幾つだっけ。」


黒霧幻「・・・わかんない。」グスッ


神命 「中学生くらいじゃない?身体は小さいけど、魂の成熟具合でいうとそんな感じ。」


潮  「え・・・年上?」エッ


黒霧 「それならもう少しこの子も成長させたほうが・・・。」スッ


紫苑茜「だからやめなさいって。やるにしてもしーちゃんは駄目よ。」コラ


パオラ「なら、あたしがやるわよ。」ヨッコイセ


???「あぅ?」チョコン


パァァ


???「おぅお~。」


神命 「日陰とパルちゃんのミックスか~。どんな子になるんだろうね。」ニシシ


黒霧 「僕の子なんだけど・・・。」


紫苑茜「つまり問題児なのは確定なのよね。あ~、頭が痛い。」ヤレヤレ


五月雨「失礼なっ。私の何処が問題児だって言うんですか!」ムゥ!


紫苑茜「しーちゃんと肩並べて裏工作やってる時点で大問題児でしょうが。」


五月雨「蓮華ちゃんよりはましだと自負しています。」ムフン


紫苑茜「母親が南方ちゃんだもの。」


神命 「師匠も大概だと・・・。」


紫苑茜「何か言った?」ジロ


ナンデモナイデース



服屋に服を買いに行けだなんて無茶な・・・。 by Miyako


???「ぷふぅ~。」シュー


神命 「パルちゃん、結構注ぎ込んだね。大きくなっちゃって、まぁ。」マジマジ


紫苑茜「何処見ながら言ってるのよ。むっつりすけべ。」ベシ


アダ


神命 「子供のを見たって何とも思わないって。どれだけ兄様のを見てると・・・。」サスサス


紫苑茜「普段は霧の所為で見えないでしょうが。」


神命 「私の記憶に刻まれてるんですぅ。」イー


紫苑茜「あんた、ほんといつからそんな変態に・・・。」ウワァ


神命 「え、師匠にだけは言われたくない。」


パオラ「どうでもいいけど。神命、ちょっと代わって。あたし、もうへとへと。」ハァ


神命 「は~い。さぁ、こっちにおいで~。えっと・・・。」


紫苑茜「そういえば、まだ名前をつけてなかったわね。」


五月雨「はーい!はいはいはーい!私に妙案があります!」バッ


紫苑茜「・・・聞くだけ聞こうじゃない。」


五月雨「なんですか、その反応。全然期待してませんね?いいですよ、別に。お母さんのためにつけるわけじゃないですし。」フン


紫苑茜「あ~はいはい。わたしが悪かったから言ってごらんなさいな。」


五月雨「ずばり、"氷雨"なんてどうでしょう!」ムフー


黒霧 「その心は?」


五月雨「え・・・?」ピタ


黒霧 「名前に意味を込めるのは大事なことでしょ?この子が一生背負っていくものに大人の道楽を割り込ませるわけにはいかない。」


黒霧 「蓮華も灯も、きちんと考えた上でつけた名前だ。五月雨、君は"氷雨"の名にどんな意味を込める?」


五月雨「・・・言っても怒りません?」



哀しみを哀しみと気づける貴方に。


五月雨「まず言葉の意味から入りますとですね。"氷雨"って、雹とか冬に降る特に冷たい雨のことをいうじゃないですか。」


五月雨「私は後者の冷たい雨のほうを採用しまして。雨が"哀しみ"の表現に用いられることと掛けたんです。」


神命 「つまり・・・?」


五月雨「自分自身が母の命と引換えに生を受けた、哀しみの象徴であること。そして・・・。」


五月雨「雨の冷たさを・・・哀しみを・・・正常に感じることのできる、まともな感性を持った大人に成長してほしいなと思いまして。」


五月雨「お父さん達とは違って。」ジッ


黒霧 「僕達とは違って・・・か。」


五月雨「はい。日陰さんの亡骸を放置して談笑している貴方達とは違って、です。」



笑って逝ける最期なら。


神命 「手厳しいねぇ、五月雨ちゃんは。」ニシシ


五月雨「む。また笑いましたね、神命さん。それが親友の死際を看取った者の態度ですかっ。」


神命 「親友だから、だよ。」


五月雨「・・・どういうことですか。」


神命 「私はさ、ほら。"魂の巫女"なんて能力を持ってるからさ。感じるんだ。日陰がまだ、この場所に漂っているのを。」


神命 「だからさ・・・無様に、泣いてなんか、居られないじゃない。」フルフル


神命 「日陰は笑って逝ったのにっ。残った私が、後ろ手を引くようなことっ!」グスッ


紫苑茜「神命、もう少し耐えなさい。日陰がまだ見てるんでしょ?再会したときに何を言われるか、わかったものじゃないわよ。」ソッ


神命 「もう・・・会えないよ。知ってるでしょ、師匠。魔力を使い果たして死んだ者の魂は天に昇らず、ただ無に帰るってこと。」


紫苑茜「そうね。でも、親友に見せる最後の顔がそんなのでいいの?」


神命 「いいよ、別に。」ズビッ


神命 「おら、日陰!この表情が見たかったんだろ?いいぜ、見せてやるよ。しっかり瞳に焼きつけとけよ・・・?」


神命 「存分に笑えよ・・・?これが神命ちゃんの・・・泣き顔だぜ?こんにゃろう。」ニッ


???(・・・じゃん。)フフッ


神命 「うぅっ・・・!」ポロポロ


ウアアアア!



アンドロイドは夢を見るか。


五月雨「あー、えっと。何と言うか・・・その。すみません。」ペコリ


黒霧 「その言葉は神命に言ってあげて。神命は、黒霧で唯一、人並みの心を手に入れた娘だから。」ポム


五月雨「・・・はい。」


ン? ユイイツ?


黒霧 「そう、唯一・・・。」


五月雨「ということは、お父さんは・・・。」


黒霧 「哀しいと思わないわけじゃない。心が痛まないわけじゃない。でも、その感情も痛む心も、僕本来のものじゃない。」


五月雨「えっと・・・。」


黒霧 「少し、席を外す。戻ったら日陰を弔うから。それまでに別れを済ませておいて。」ソレジャ


スタスタ


五月雨「本来のって。自ら創り出した感情だとしても、それを感じていることに変わりはないじゃないですか・・・。」


五月雨「考えすぎですよ・・・お父さん。だって、それが偽りの感情なら・・・本当にただの偽物だったなら・・・。」


五月雨「お父さんがそんな表情、するはずないじゃないですか・・・。」



死神は死を刈り取る。


コツッ コツッ


南方戦「あ・・・。」バッタリ


黒霧 「・・・。」


南方戦「えっと。その、日陰は・・・。」


ダキッ フガッ


南方戦「ちょ、痛い・・・。」


黒霧 「」ギュウ


南方戦「もう・・・仕方ないわね。」ギュ


ンー! ンー!!


南方戦「ワタシは・・・ワタシ達は、何処にも行かないから。」


黒霧 「・・・。」


アノー


南方戦「何?今いいところなんだけど。久し振りに夫婦らしいことができて盛り上がってるところなんですけど。」ムッ


龍田 「まぁ、それは理解しているのだけど・・・。早速、何処かにいってしまいそうなひとが・・・。」チラ


天龍 「」ピクピク


南方戦「あら、ワタシの胸で溺れてたのね。全然気がつかなかったわ。」スッ


ドサッ チーン


南方戦「・・・時雨、人工呼吸。」


黒霧 「任された。」



他人を助けるには、助ける誰か以上の実力を持たなければならない。


ハム ン・・・ ンー!


天龍 「殺す気か!」ドゲシ


黒霧 「ぐっ。」ガクッ


龍田 「あら~。駄目よ、お姉ちゃん。折角、時雨さんがお姉ちゃんのために人命救助を・・・。」


天龍 「何処がだ!莫迦みたいに息吹き込みやがって!窒息するかと思ったわ!」


黒霧 「元気そうで何よりだ・・・。」


天龍 「元気がねぇのはお前だろ。ったく、こういうときくらい素直に甘えやがれってんだ。」バカ


龍田 「え?お姉ちゃんにはもう甘えられるようなものなんてないじゃない。」エッ


天龍 「おう、花。それならお前の身体貸してくれよ。俺は頭を撫でる役。お前はそのデカい胸でコイツを慰める役な。」イラッ


龍田 「あら、胸だけでいいの~?あたしは別に"全て"を捧げても~。」ウフフフ


天龍 「やっぱ今のなし。花はすっこんでろ。俺と南で慰める。」


龍田 「まぁ。あつあつなのね~。妬けちゃうわ~。でもぉ、当の本人はもう何処かに連れていかれちゃったみたいだけど~?」ウフッ


ナンダト!?


天龍 「南ぃ!!抜け駆けはなしって約束しただろぉがぁ~!!」マテコラー!


南方戦「莫迦ね。深海棲艦が艦娘との約束を律儀に守るわけないじゃない。」スタコラー


黒霧 「脇に抱えるのは勘弁してほしいんだけど。荷物みたいだから。」プラーン


南方戦「なら、お姫様抱っこにする?」ニィ


黒霧 「・・・これでいい。」ハァ


ミナミィィ!!



私以上の覚悟で以て。


榛名 「様子を見に戻ってみれば・・・。」


金剛 「んへへへ。」クカー


鳳紅蓮「」ゲッソリ


榛名 「なんですか。この状況は。」ジトォ


霧島ミニ「完全に事後ですね。」キリ


比叡ミニ「姉様、幸せそう。」フフッ


榛名 「私の知らない間に何という・・・。」ハァ


榛名 「そこの全裸男、生きてますか。」


鳳紅蓮「なんとかな・・・。」


榛名 「では、これまでの経緯を説明してください。何がどうなって現在に至るのかを。」


鳳紅蓮「その前に服を・・・」


榛名 「そのままで。」


鳳紅蓮「・・・なんだと?」


榛名 「そのままで。少しでも反応させたら潰しますから。」オォォ


鳳紅蓮「あのなぁ。この状況を見りゃわかるだろ。こっちは神命の憂さ晴らしに付き合わされて疲れてる上での行為だったんだぞ。」


鳳紅蓮「金剛も加減を知らねぇし、今日はもう・・・」


榛名 「そうですか。なら、服を開けさせても問題ありませんね。暑いと思っていたので丁度よかったです。」ハラッ


鳳紅蓮「なっ!?おい!」


榛名 「今日はもう勃たないのでしょう?だったら好いじゃないですか。それとも、榛名の肉体は魅力的すぎますか?」ウフフッ


鳳紅蓮「ぐ・・・っ。」


榛名 「反応すれば潰す。これまで私が全てを犠牲にして護ってきた姉様の伴侶となる方には、この程度耐えてもらわないと・・・。」ニィ



隠れた部分にこそ、妄想という魅力が宿る。


比叡ミニ「あちゃ~。榛名、相当キレてるね。」アハハ


霧島ミニ「事実、大本営闇の時代に姉様を将校達の魔の手から護ってきたのは榛名ですから。」


霧島ミニ「知らぬ間に穢されていたことが赦せないのでしょう。」


比叡ミニ「それにしても、寝てるとはいえ金剛姉様の前でよくやるねー。半分くらい見えちゃってるじゃん。」


霧島ミニ「所謂、"チラリズム"というやつですね。一部界隈では全部見えている状態よりも煽情的に映るとか映らないとか。」キリ


比叡ミニ「・・・霧島って、何処でそんな情報を仕入れてくるの?」


霧島ミニ「昔、近所に住んでたお兄さんに被写体にさせられたことがありまして。そのときに・・・。」


比叡ミニ「え・・・脱いだの?」


霧島ミニ「好きだったのに・・・。しかも、お前の身体は見る専だからとか訳のわからないことを言って・・・!」


霧島ミニ「だから彼女のひとりもできんのじゃー!今なら、うちが養っちゃるけん。下手なプライドはさっさと捨てんねー!」ワー!


比叡ミニ「霧島が壊れたー!」


榛名 「五月蠅いですよ、そこぉ!」カッ


ゴメンナサイ!



下乳スタイルが流行るかもしれん! by Shino


ダダダダッ ガチャ バン!


南方戦「」フー フー


クソ! ドコイキヤガッタ ミナミィ!


南方戦「」


タタタタ・・・


南方戦「ふぅ・・・里ってば、ほんっとしつこい。」ダラッ


黒霧 「・・・。」グデーン


南方戦「ちょっと。今、息を整えてるからお腹に圧掛けないでちょうだい。」モウ


黒霧 「・・・。」モゾッ


南方戦「下乳に顔を埋めるな、こら。」ズム


黒霧 「ん・・・!」ムギュ


ペシペシペシ プハッ


黒霧 「さっきの里もこんな感じだったのか。」ケホッ


南方戦「何を今更。ワタシの胸の具合なんて知り尽くしてるでしょうが。」


黒霧 「凶器としての胸の具合なんて知らない。」


南方戦「そうかもね。」クスッ


南方戦「で、どうだった?」


黒霧 「対象がパニックに陥ることを前提に置けば有効な暗殺手段だと思うけど、自分も無防備になってしまうのがどうも・・・。」ウーン


南方戦「そういうことを訊いてるんじゃないわよ。」バカ



黒は何色にも染まらないのではない。


南方戦「アンタ、ワタシとふたりになった途端、平常運転に戻ったわね。逆なんじゃないの?普通。」


黒霧 「南用の人格が強く出てるだけだよ。さっきまでは日陰用だっただけさ。」


南方戦「用って・・・流石、何人もの女を同時に愛する男は言うことが違うわね。」フン


黒霧 「逆だよ。」


南方戦「・・・逆?」


黒霧 「僕はひとりしか愛せない。だから、そのひとだけを愛する人格を創り出す。それが幾つも重なって、僕になる。」


南方戦「よくわかんないんだけど。」


黒霧 「わからなくていいさ。元々の色が何色だったかなんて、もう僕にだってわからないんだから。」


南方戦「余計にわからなくなったわ。」


黒霧 「いいんだよ、それで。どんな芸術家だって、出鱈目に色を混ぜた黒い絵の具を見て、元の色なんて言い当てられやしないから。」


南方戦「若しかして、本当の気持ちなんて誰にもわからないって言いたいの?」


黒霧 「・・・南のそういう変に察しが良いところ嫌い。」


南方戦「アンタがもう少し素直に気持ちを表現してくれさえしたらワタシは嫌われなくて済むのに、ねっ!」ムギュ


ンー シバラクハンセイシナサイ!



既に染まりきっているだけだ。


南方戦「ねぇ。ひとつ、訊いてもいいかしら。」


黒霧 「んーん。」モゴモゴ


南方戦「どうして・・・ワタシを受け入れてくれたの。」


黒霧 「んんんんん。」


南方戦「そう・・・やっぱりワタシとはただの遊びだったのねっ。」ウゥ


黒霧 「ちょっと邪魔。」ムンズ


ンッ・・・


南方戦「たまには乱暴なのもいいじゃない。///」ムフー


黒霧 「・・・南には強くしてる心算だったんだけど。あれで足りないの?」エッ


南方戦「え・・・?冗談・・・よね?」


黒霧 「ごめん。質問に答える前に南の言う"乱暴"が何処からなのか確認させて。」グイ


南方戦「あ、ちょっ。」


ヤッ ァア・・・


黒霧 「なるほど。このくらいでやっとって感じか。そうなると凶化も使って・・・。」ブツブツ


南方戦「はぁ・・・はぁ・・・んっ・・・!///」ンクッ


黒霧 「ねぇ、南。明日から本格的に南の好きな力加減を探っていこうと思うんだけど。」


南方戦「無理!死ぬ!」ワッ



それが伝わればいいけどね。


南方戦「そんなことより!まずはワタシの質問に答えなさいよ!」


黒霧 「いや、これもかなり大事な話だと思うよ?満足できないで破局するカップルも多いって聞くし。」


南方戦「いつも満足してます!ありがとうございます!だから質問に答えなさい!」


フー! フー! ドウドウ・・・


黒霧 「なら答えるけど・・・。質問、何だっけ。」アレ?


南方戦「どうしてワタシを受け入れてくれたのかって話!」


黒霧 「あぁ、そんなこと。」


南方戦「そんなことって!大事なことでしょう!?」


黒霧 「だって、あれだけ好き好きアピールされたら受け入れるしかないでしょ。」


南方戦「すっ・・・きではあるけど、そんなにじゃない・・・わよ。///」モゴモゴ


黒霧 「そんなにでした。テレながらも必死にアピールしてる南は、とても可愛かったよ。」フフッ


南方戦「うぅ。///」シュー


ナデナデ クッ


南方戦「あーもうっ。子供扱いしないでよ。アンタがそういう態度だからいつまで経っても対等になれないんじゃない。」ムー


黒霧 「対等・・・?あぁ、そっか。だから僕は・・・。」


南方戦「なに?何か言った?」


黒霧 「ううん。何も・・・。」



守るべきもののためならば、他人の幸せだって奪ってみせる。


サテ


黒霧 「それじゃ、そろそろ戻ろうか。日陰のことも整理がついたから。」スック


南方戦「随分と早いのね。こっちは余計にわからなくなったってのに。」ハァ


黒霧 「僕の仕事は、何処かの誰かの幸せを奪うことだから。自分の幸せがひとつ壊れたくらいで立ち止まっていられないさ。」


南方戦「一夫多妻なんて認めた憶えはないんですけどね、ワタシは。」ジト


黒霧 「奇遇だね。僕もそんな制度を導入した憶えはないよ。」


南方戦「どの口が言うか。集積に里。予備群も含めたら、三隈、最上、神命、大鳳、蒼龍、麗、鳳翔に足柄、その他諸々。」


南方戦「いったい何人の女の心に踏み入ればアンタの気は済むのかしらぁ。」フフフ


黒霧 「さぁ?僕は何を求めて他人の人生を引っかき回しているのだろうね。」フフッ


南方戦「こいつっ。」イラッ


黒霧 「南、僕は君を忘れない。この先、どんな女性と出逢っても・・・。」


南方戦「何よ、急に。」


黒霧 「君は僕を憶えていてくれるかな。」


南方戦「・・・はぁ。」スック


ン・・・


南方戦「当たり前よ、莫迦。そのどんな女性と出逢ってもって仮定は気に入らないけど。」


南方戦「最初で最後の愛を捧げた相手を、忘れるわけないでしょうが。」フッ


黒霧 「うん・・・。」フ


黒霧 「そうだと・・・いいな。」



哀しみで洗い流して。


黒霧幻「」グスッ ヒグッ


日陰 「」


黒霧幻「おか・・・ちゃんっ!」ウゥ


氷雨 「・・・。」ポム


ナデナデ


黒霧幻「ぅうう!」ヒシッ


氷雨 「」ギュ


アアアア!


氷雨 「」ジー


日陰 「」


氷雨 「大丈夫。僕が護るから。」


・・・イネ


氷雨 「うん。」キュ



You raise me up


神命 「氷雨くん、君も泣いていいんだよ?」


氷雨 「・・・なんで?僕は姉さんを護るために産まれたのに。」


神命 「いや、そうかも知れないけど・・・悲しい、でしょ?」


氷雨 「泣いても母さんは帰ってこないから。」


神命 「一緒に泣いてあげるとか・・・。」


氷雨 「僕が泣いちゃったら、誰が姉さんの涙を受け止めるのさ。」ジッ


神命 「純粋な瞳・・・。あー駄目だ、これ。何の疑いもなく本心で言ってらっしゃる。」ハハッ


クルッ


神命 「ねぇ、兄様の要素強すぎない?パルちゃんの要素、何処いったの?」ヒソヒソ


パオラ「あたしが魔族堕ちしたのって時雨が原因だからねぇ。混じっちゃってるのかしら。」ウーン


五月雨「哀しみを哀しみと理解できるようにって名付けたのに・・・。なんて冷めた子にっ。」ヨヨヨ


蓮華 「そうか?私には、情に溢れた奴に見えるがな。」


氷雨 (僕の代わりに天が泣いてくれるから・・・だから・・・。)


氷雨 「だから僕は泣かないよ、母さん。」


ポツッ サァァァ


五月雨「おや、雨が・・・。」


パオラ「さっきまで晴れてたのに。」


ワー キャー


五月雨「何やら外が騒がしいですね。」


紫苑茜「そうね・・・。あっ、洗濯物!」ハッ



放任は自由でなく、責任の放棄に等しい。


鳳翔 「鈴谷さん!澪ちゃんと動きを合わせてください!傘が全く意味を成してません!」


鈴谷 「私じゃないって!ちゃん澪が雨乞いの踊りをしてるからっ!」


漣  「ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ らんらんる~♪」ヨイセッセ


ナンカチガウケドモ!


鳳翔 「熊野さんは傘から出てください!それは洗濯物を濡らさないためのものですよ!」


熊野 「撫子さん、私を濡らさないでくださいましね。」ニッコリ


朧  「お・・・おぉふ。」タジ


クマノサン!


三隈 「灯さん、貴女は確か物質の状態を自在に操ることができましたわね。」


曙  「まぁ、できるけど・・・。まさか先生、私に乾かせって言わないわよね?」


三隈 「明日2倍の洗濯物を干すのと今日頑張るの、どちらがいいですの?」ウフフ


曙  「いや別に明日でも・・・。」


三隈 「明日が雨なら明後日に3倍ですの。」ニコニコ


曙  「・・・やらせていただきます。」ハイ


最上 「女社会を生き抜いて来た猛者はやっぱり恐いね~。あ、姫ちゃんはそのまま立ってていいからね~。」


潮  「は、はい。」


最上 「よろしい。自分も洗濯物を入れるかごも濡らさないようにね。」ニッ


潮  「了解ですっ!」ムフー



私が聞かされているのは説教か?それともただの自慢話か?


三隈 「もがみん、点数稼ぎですの?あまり甘くしては子供達のためになりませんわよ。」ジト


最上 「点数稼ぎだなんてそんな。子供に好かれて何の得があるのさ。」


曙・潮「え?」


最上 「ボクはただ、みっちゃんがムチの役をしているからアメを演じているだけだよ。」


三隈 「そうですの。だったらいいですの。」フフッ


曙  「えぇ・・・。」


潮  「優しいひとだと思ってたのに・・・。」


三隈 「騙されては駄目ですわよ、姫百合さん。もがみんはこう見えて、人らしい感情の欠落した薄情女ですの。」


最上 「そういうみっちゃんこそ。他人のことをミジンコか何か程度にしか思ってないくせに。」


三隈 「確かにそういう時期もありましたの。ですが、クロさんと出会って三隈は変わりましたの。」


最上 「ボクだって変わったよ。少しは他人に合わせるってことを覚えたし、恋らしい感情も知った。」


三隈 「今・・・何と?」ン?


最上 「だから、恋らしい感情もって・・・あぁ、なるほど。なんかごめんね~。後から好きになったのに先を越しちゃって~。」ニヒッ


三隈 「ぁあ?」ブチッ


最上 「明日、じっくりと聞かせてあげるから。夜のクロさんがどんな感じなのか、さ。」ニィ


三隈 「・・・そういえば、もがみん。艤装を新しくしてからは、まだ演習をしたことがありませんでしたわね。」


最上 「あー、そういえばそうだっけ。」


三隈 「ぶっ潰してやりますの。表出ろや、こら。」ゴゴゴ


最上 「上等だよ。返り討ちにしてあげる。」フフフ


バチバチ


曙  「姫百合、さっさと洗濯物を片づけて避難するわよ。傘なんて差してる場合じゃないわ。」セッセッ


潮  「う、うん。わかった!」イソイソ


ギソウテンカイ! チョッ ココデハジメナイデ!!



律無き集は能有る個に及ばず。


三隈 「一撃で終わらせて差し上げますの!ソーラーレイですの!」シュバァ


最上 「設定変更、"誘導"。」ブゥン


ギュイン ジュワッ


最上 「へぇ。光って重力で曲がるんだ。というか、出力設定が甘いんじゃない!?」ガション


ドォォーン!


三隈 「重力障壁!」キィィ


バチィ!


三隈 「ちぃっ!」クルッ


ズァッ


三隈 「殺す気か!?この!!」


最上 「みっちゃんの出力では大和砲を逸らすこともできない・・・と。殲滅弾、セット。」カチ


三隈 「ちょお!」


最上 「発射。」ポンッ


三隈 「っ!!」チャキ


パシュウ チュドーン


最上 「設定変更、"反射"。」ブゥン


シュバッ


三隈 「んなっ!?」


シュパパ


三隈 「弾の破片を・・・!本気ですのね、もがみん!」ギラッ


最上 「ボクはいつだって本気だよ。本気で、みっちゃんの実力を見定めようとしてる。」


三隈 「随分と上からものを言ってくださいますのね、くそったれ。」ニィ


最上 「口が悪いよ、みっちゃん!」ニッ


ドォーン! パパパパッ


漣  「ひえー。おっかねー。」


朧  「がく ぶる ぶる ぶるぅ」キャー


潮  「もがみん教官、かっこいい。」キラキラ


鈴谷 「いや、何あれ。ちょっと見ない間に、あのふたりに何があったのさ。」エェ


熊野 「まったく頼もしい限りですわねー。」


曙  「悪天候じゃ光熱砲の威力も出ないのに。どうカバーする気かしら、みっちゃん先生。」ンー



外に出た瞬間に降り出す。


ドォォーン・・・


明石 「ひゃ~。おっかなびっくりな艤装だこと。これは狂乱の艤装技師さんもうかうかしてられないねぇ。」ニシシ


夕張 「狂乱って・・・まぁ、否定はしないけど。あんたも同類だからね?」


明石 「いやいや、艤装はばりぃちゃんの領分じゃないですかぁ。」


夕張 「細かい調整は明石のほうが得意でしょうが。私だけじゃ、あそこまで精巧な艤装は仕上げられないわよ。」


明石 「・・・。」ムー


夕張 「なに。あんた若しかして怖じ気づいてるの?稀代の開発変態と謳われたあんたが。」


明石 「変態って何さ!絶対、今適当に考えたでしょ!?」


夕張 「先に喧嘩をふっかけてきたのはそっち。で?怖じ気づいてるの?どうなの?」


明石 「正直言うと、少し・・・。」


夕張 「今更何を・・・。使い道の無いくせして無駄に高性能な不要品を散々つくってきたじゃない。」


明石 「そういうことでなくてね?というか、落込んでるときにガチな駄目だしするのやめてくんない?」


夕張 「事実、要らないじゃない。いい加減、無駄なことに才能を使ってないで、ちゃんと役立ててほしいものね。」


明石 「おぉ・・・ばりぃちゃんに褒められた。こりゃあ槍が降るかな~。」


パララッ ン・・・?


夕張 「雹が降ってきたわね。」


明石 「さっきまで晴れてたのに、いきなり雨になったかと思えば今度は雹?どうなってるのさ、もう。」エェ



わかろうとしてもわからないことだってある。


夕張 「それで?技術の面で気後れしているわけじゃないなら何なの?」


明石 「親友なら察しておくれよ、ばりぃちゃ~ん。私ってば血が苦手なんだよ~?」


夕張 「自分でその友情を壊しておいて何言ってんの。私、本気で怒ってるって言ったよね。」ジト


明石 「・・・ごめんなさい。」オォゥ


夕張 「ま、今はいいけど。親友だって所詮は他人なんだから、言わなきゃ伝わらないこともあるわよ。」


明石 「んー。そっかぁ。伝わらないかー。」ツップシ


夕張 「なに、そんなに察してほしかったの?明石にも可愛いところがあったのね。」


明石 「私は可愛いでしょ~?」


夕張 「中身の話をしてんのよ、お莫迦。人体実験するような女の何処に可愛げがあるってんだか。」


明石 「何も言い返せない・・・。」チッ



少ない出逢いを勝ち抜いて。


ガラッ


夕明石「ん・・・?」


武蔵 「お・・・。」


大和 「明石さんに夕張さんじゃないですか。こんな所でいったい何を?」


夕張 「ちょっと考え事をしたかったもので。此処が一番眺めが好いと羽黒さんに聞きまして。」


武蔵 「私達と同じではないか。」


夕張 「そうなんですか?」


武蔵 「ああ、大和型の艤装改造案について蓮華から聞いてな。ふたりで整理しようと思って此処に来たのだ。」


大和 「病室は今、居づらいですから・・・。」


夕張 「なるほど。それは確かに・・・。」


明石 「人増えた・・・。また話しづらくなった。」ウゥ


夕張 「明石が話を渋って先延ばしにしたからでしょ?ほら、観念して吐きなさい。艤装の話は私達も無関係じゃないわよ。」ポン


明石 「私の話が終わらないと次に進めないって?いいよ、仕事の話が先で。私もそっちのほうが気が紛れるし。」ハァ


夕張 「私がモヤモヤするのよ。いいから、はよ吐け。」オラ


明石 「わーい、強引ー。」アハハー


大和 「ねぇ、武蔵。夕張ちゃんって雰囲気こんなだっけ?」ヒソヒソ


武蔵 「夕張にとって明石が特別な存在ということだろう。素を曝け出せる相手など、そう巡り会えるものではないからな。」


大和 「ふーん。」ジー


武蔵 「・・・なんだ。」


大和 「武蔵にとっての特別は、"あの人"になるのかなって。」


武蔵 「なっ!?誰があいつのことなど!!///」カァ


大和 「"あの人"で伝わるなら自覚があるのね。誰とは言わないけど。」


武蔵 「///」クッ


明石 「私もあっちに交ざりた~い。」ブー


夕張 「後でね。」


武蔵 「やめろ!この話を広げるんじゃない!///」クワッ



彼女のお話。


明石 「私さ、昔っから血が苦手でさ~。まぁ、何が契機かってのは憶えてないんだけど。それはもう見ただけで卒倒するような・・・」


夕張 「長い。」


ア ハイ


明石 「そういうわけでですね。誰も血を流さないでいいように、護るための艤装を造りたくて技師を目指しましてですね。」


明石 「始めは深海棲艦を倒す・・・じゃないな。"殺す"武器を造ることに躊躇いはなかったわけですよ。」


明石 「でもさ。大本営から異動してさ。南さん達に出会って。嗚呼、深海棲艦にも血は通っているんだなって・・・。」


明石 「思っちゃったんだなぁ~これが。そしたらもう駄目ってのなんの。震えが止まらないのよ。」


明石 「明石さんが造った武器で、見知った人達が傷つく姿が・・・さ。想像が、止まらない。」キュ


夕張 「ま、艤装技師の宿命みたいなものよね。兵器を造るからには、誰かの命を奪う手助けをしてるわけだし。」


夕張 「それに耐えられないってなら、辞めたら?この仕事。」


・・・エ?


夕張 「昔なら兎も角、黒霧教官や蓮華ちゃんが居る今、あんたが居ようが居まいが大して変わりないのよ。」


夕張 「だって見たでしょう?黒霧教官の描いた、あの緻密な設計図。そして、それを形にする蓮華ちゃんの技術力。」


夕張 「到底、私達の及ぶものじゃない。だから、苦しい思いをしてまで明石が残る必要はない。」


夕張 「勿論、私は残るわよ?ふたりの技術を盗みたいし。何より私自身が好きだから。ああいうぶっ飛んだ艤装。」


夕張 「それでも残るって言うなら・・・そうね。趣味の延長程度に不要品の開発を続けてたらいいんじゃないの?」


夕張 「今回の、CCDPだっけ?あれも必要とする人が居たわけだし。何が何処で役に立つかわからないんだから。」


夕張 「明石が背負えなかった分は、私が背負ってあげるわよ。」



一人暮らしに慣れると自制心が緩む。


明石 「ばりぃちゃん・・・ううん。夕張、ありがと。私、もうちょっと頑張ってみるよ。」


夕張 「そう?私、明石が要らないって割と本気で思ってたんだけど。」


明石 「うぉい!さっき自分だけじゃ、あそこまで精巧な艤装は造れないって!私が必要だ、的なこと言ってたじゃん!」


夕張 「それは私達ふたりで仕事をする場合の話。あれを造った当人が居るなら何も問題ないじゃない。」


明石 「確かにそうだけども・・・。まったく、私の感動を返せってんだ。」ケッ


夕張 「あんたはまず信用を取り戻すことね。私の股を弄くってくれたこと・・・きっとこれ以上に他人を恨むことはないでしょうね。」フフフ


明石 「その件に関しましては本当に申し訳ございませんでした。謝ることしかできませんです、はい。」


大和 「あのー、股を弄くったとはいったい・・・。」


武蔵 「訊くな、大和。脳が穢れる。」


大和 「・・・武蔵って、意外とこういう話題は苦手なのね。男性が居ても、お風呂上がりはパンツ一枚で彷徨くタイプかと思ってた。」


武蔵 「そんなわけがあるかっ!!///」



会長は下が濃い。


陸奥 「ちょっと姉さん。」イライラ


長門 「む、なんだ?随分と機嫌が悪いようだが。」ウン?


陸奥 「えぇ、それはもう。目の前に女子力の欠片も無い肉体を女子力の欠片も無い格好で曝され続ければ機嫌も悪くなるわよ。」ジトォ


フム・・・


長門 「ハイレグは嫌いか?」


陸奥 「そうじゃないわよ!いや確かに苦手ではあるけども!」


長門 「お前が穿くにはまず手入れをする必要があるからな。」フッ


陸奥 「姉妹なのになんでこんなに違いがって、ちがぁ~う!!」


長門 「何なのだ、さっきから。今日は一段とおかしいぞ、陸奥。」


陸奥 「見せつけてくれちゃってぇ!絶対にわたしのほうが母性を感じる体つきをしてるはずなのにっ。どうして姉さんばかり!」クッ


陸奥 「い~い!?お風呂上がりだからって今度わたしの目の前でその肉体を見せびらかしたらタダじゃおかないからね!?」ビッ


長門 「しかしだな、陸奥よ。風呂上がりに衣服を身につけるのはどうにも気持ちが悪くてだな・・・。」


陸奥 「どうしても裸になりたいなら提督代理の前で脱いできなさいよ!確か彼の部屋にもシャワーあったでしょ!」


長門 「・・・それはそれで面白そうだ。」ムフッ


陸奥 「絶対やめてぇ!?」


長門 「どっちなのだ・・・。」マッタク



未だに名前と顔が一致しない。


明石 「そういえばさ。夕張の本名って何だっけ。」


夕張 「は?あんた、軍学校から今の今まで一緒に居たこの私の名前を忘れたっての?」


明石 「いや、忘れたっていうか・・・そもそも憶えてない。」


夕張 「・・・なんでこんな奴のこと親友だと思ってたんだろ。」ナイワ


明石 「ごめんて。これから心を入れ替えるからさ。教えてよ、夕張の名前。」ネ?


夕張 「一回で憶えなさいよ?そんなに難しい名前でもないから。」ハァ


明石 「もちろんさ~。」ニシシ


夕張 「私の名前は、"なぎ いずみ"。夕凪の"凪"に、一文字で"泉"。で、あんたは確か"しちみや かなで"だっけ。」


明石 「そうそう。七の宮に、奏でると書いて"七宮 奏"。」ヨクゴゾンジデ


夕張 「改めて、これからよろしく頼むわよ、"明石"。」


明石 「え~、折角自己紹介し直したんだし名前で呼んでよ~。」ブー


夕張 「またあの頃みたいに、あんたのことを親友だと思えるようになったら呼んであげるわよ。それまで私に尽くしなさい、明石。」フフッ


明石 「ちぇっ。なんでぇ、ピン子のくせして生意気な。」ケッ


夕張 「・・・。」ゴトッ


明石 「い、いずみちゃーん?そのごっつい掘削機的なサムシングは何かなー、なんて。」アハハ・・・


夕張 「これであんたの膜ぶち抜いてあげるから、股開きなさい。」ギュイイイ


明石 「無理無理無理無理!!膜どころじゃなく裂けちゃうから!!骨盤まで砕け散っちゃうからぁ!!」


イヤァァァ!!



最近、寝るというより落ちている気がする。


武蔵 「・・・羽黒には此処が一番静かだと聞いて来たのだがな。」


大和 「まぁ、いいじゃない。賑やかなほうが気が紛れるわ。」


武蔵 「気が・・・な。紛らせたところでどうなる。詰まるところ、先延ばしにしているだけではないか。」


大和 「先に延ばして時間をつくることも大事な処世術のひとつよ。武蔵は強い娘だから必要なかったのかも知れないけれど。」


大和 「でも、今結論を悩んでいるのは武蔵のほうでしょう?」フフッ


武蔵 「ぐっ・・・。///」チッ


大和 「貴女にも、可愛いところがあったのね。お姉ちゃん、何だか嬉しい。」ウフフ


武蔵 「こんなときだけ姉ぶるのはやめろ。そもそも何なのだ、あの巫山戯た条件は。私を莫迦にしているのか。」クソガ


大和 「接吻はお嫌い?何なら私がその好さを教えて差し上げましょうか。」スッ


パシッ アラ・・・


武蔵 「・・・本当に、変わってしまったのだな。」


大和 「仕方がないでしょう?こうでもしないと、壊れてしまいそうだったんだもの。」


武蔵 「だが・・・!」


大和 「やめて。言わないで。私には受け入れることしかできなかったの。受け入れて、堕ちていくしか・・・なかったの。」


武蔵 「強くなればいいだけの話だろう。」


大和 「簡単に言うのね。」


武蔵 「事実、簡単な話だ。心の持ちようなどいくらでもっ!」


ピシィ


武蔵 「・・・!」


ムサシ・・・?



単純であるが故に。


武蔵 「身体が動かん・・・!」クッ


大和 「どうしましょう。金縛りって立ったままでもなるものなのね。ひっぱたいたら治るかしら。」オロオロ


武蔵 「違う!これは金縛りなどではない!もっと別の・・・。」


???「はーい、だーいせーいかーい。」ペチペチ


武蔵 「時雨・・・!」キッ


時雨 「んー、まぁ確かに今の姿は駆逐艦・時雨なんだけどさ。ボクのことは本名で憶えてほしいな~。」


時雨 「というわけで、"長瀬 眠"だよ。眠ちゃんって呼んでよねっ。」キャルン


武蔵 「そんなことはどうでもいい。さっさと私に掛けた術を解け。」


時雨 「ぇえ?嫌ですけど。」ヘッ


武蔵 「なんだと・・・?」


時雨 「だって、強くなればいいだけの話なんでしょ?"傀儡糸"の拘束に負けないくらい強く・・・さ。」ニタァ



逃げるにも勇気が必要。


時雨 「ほらほらぁ、どうしたの~?ぴくりとも動いていないよ~?」フフフ


武蔵 「く・・・そ、がぁ!」グギギ


時雨 「はい、気をつけっ。」


武蔵 「!」ビシ


時雨 「おすわり。」クイ


武蔵 「くっ!」チョコン


時雨 「お手、おかわり。」


武蔵 「~!///」サッ


時雨 「ん~。好い子好い子~。」ポフポフ


武蔵 「///」クゥ!


時雨 「んふふ。大人の女性を子供扱いする・・・か。にぃにの言ってたこと、ちょっとわかったかも。///」アハァ


明石 「いや、子供扱いっていうか・・・。」


夕張 「犬でしょ。」


大和 「・・・ちんちん。」


武蔵 「はぁ!?」


時雨 「そい。」ホッ


ヤメロォォォ!



普段失敗しない人がやらかすと大惨事になりがち。


武蔵 「くそ。憶えていろよ、時雨。」キッ


時雨 「だからボクのことは名前で呼んでって・・・まぁ、いいけどさ。」


デ


時雨 「ちょうど関係者も揃ってることだし、大和さんと武蔵さんの艤装について話をしようか。」


夕張 「あ、その話し方教官っぽい。」


時雨 「そうかな?ボクは時雨らしく振舞ってるだけの心算なんだけど。」


明石 「振舞う・・・?そっか、時雨ちゃんも改造組だから素が残ってるんだ。」


夕張 「改造手術を受けた直後は酷かったよね。自分の中に知らない誰かが居るみたいでさ。」


明石 「そうそう。慣れた後も元々の私ってどんなだっけって。」アハハ


夕明石「改造組は大変だな~。」ハッハッハー


大和 「元があるだけ幸せですよ、貴女達は。」ボソ


エ・・・?


大和 「・・・?あっ。若しかして、声に出てました?」


時雨 「うん。思いっきり。」ニッコリ



Trick and Treat


時雨 「ま、改造組建造組どうこうって話は置いておいてさ。今は艤装の話をしようよ。」


武蔵 「その前に、いい加減この拘束を解け。いや、解いてください。」チンチーン


時雨 「"傀儡糸"ってどうして細かい筋肉の支配が上手くできないんだろうね。口とか眼とかさ。」


時雨 「神経に直接接続してるからできないはずはないのに・・・。ボクが未熟ってことなのかな。」ウーン


武蔵 「生意気言ってすみませんでした!せめてこの恥ずかしい姿勢から普通の状態に戻してください!」


時雨 「恥ずかしい?何が?どんな風に?スカートを穿いてるわけでもあるまいし。」ヘッ


武蔵 (スカートすら穿いていないんだが!?)ピシャーン


夕張 「本当に黒霧教官そっくりだわ。」


明石 「一度顔を合わせた程度でクロさんの何を知ってるのさ。」



仕事の仕方が気に入らない。


時雨 「でね。蓮華ちゃんからの伝言なんだけど、どうせならすんごい艤装を造りたいから肉体づくりをしておけってさ。」


武蔵 「肉体づくりか。それなら任せておけ。何なら今直ぐにでも試運転できるぞ。」フフン


時雨 「試運転も何も、装着する艤装が未だ出来てないし。というか、武蔵さんの鍛え方じゃ蓮華ちゃんの要望に足りないからね。」


武蔵 「・・・なんだと?」


時雨 「せめて紅華ちゃんと腕相撲して引き分けるくらいにはなれってさ。まったく、何を相手にしようとしているのやら。」ヤレヤレ


明石 「紅華ちゃんって、あの髪の紅い娘だよね。すらっとした感じの。」


夕張 「そんなに腕相撲強いんだ、細身なのに。」ヘェ


時雨 「それはもう。長門型のふたりが束になっても敵わなかったみたいだし。戦艦棲姫さんとは引き分けたって聞いたけど。」


明石 「なんか・・・笑うしかないって感じだね。」ハハ


大和 「武蔵でも足りないだなんて・・・。あの、その艤装、私に扱えるでしょうか。なんだか自信が・・・。」オズ


時雨 「大丈夫だよ。裏技があるから。でも、可能な限りは鍛えててほしいかな。結構疲れるらしいんだよね、あれ。」


夕明石「あれ・・・?」


時雨 「直にわかるよ。」フフッ


・・・ア ソウダ


時雨 「武蔵さんは下からでもいーい?」ニッコニコ


武蔵 「何故!?」


明石 「あー。なんかわかっちゃったかも。」


夕張 「・・・すけべ。」


明石 「語るに落ちてるぜー、いずみーん。」ヘッ



代わりが居るからこそ気合が入るってものさ。


氷雨 「・・・。」


黒霧 「・・・。」


黒霧幻「うぅ・・・。」ヒシ


ズビッ


鳳紅華「あの方々はいつまで見詰め合っているのでしょうか。」


神命 「さぁ?」


紫苑茜「しーちゃんは幻ちゃんを抱いて動かない。氷雨ちゃんはしーちゃんを睨んで動かない。」


パオラ「なんか、殺気にも似た気配を感じるんだけど。大丈夫なの?あの親子。」


神命 「何しろ"あの"日陰の息子だからね~。どうなんだろ。」


紫苑茜「そこにパオラの執着癖まで合わさったとなると、幻ちゃんを巡って諍いが起きても不思議じゃないわね。」


パオラ「何か莫迦にされた気がするんですけど。」ムッ


神命 「執着心なら師匠が一番だけどね。」ヘッ


紫苑茜「わたしのそれはしーちゃんとあーちゃん限定よ。」


パオラ「あたしは見境が無いって?失礼な。人よりちょっと好奇心が旺盛なだけですぅ。」


パララッ ン?


神命 「雹・・・?」


紫苑茜「神命、雹なんて言葉を知ってるの?少し見ない間に成長したのね。師匠として誇らしいわ。」


神命 「常識を教えた憶えはないって前に言ってなかったっけ・・・。というか、莫迦にしすぎ。私だって雹くらい知ってるもん。」ムゥ


鳳紅華「へぇ。これが雹というものなんですね。」キラキラ


紫苑茜「この娘が知らないってことは・・・。」


神命 「紅蓮も知らないってことだ。今度、莫迦にしてやろ。」



安らかに・・・。


黒霧 「幻、日陰にお別れは言った?」


黒霧幻「ううん・・・まだ。」


黒霧 「なら、お別れをしようか。」


黒霧幻「やぁ。」ヒシ


黒霧 「・・・幻、日陰の顔を見てごらん。どんな表情をしてるかな。」


黒霧幻「・・・笑ってる。」


黒霧 「そう、笑ってる・・・満足そうに。日陰のこんな笑顔、初めて見た。」


黒霧幻「うん・・・。」


黒霧 「日陰は笑顔でいってきますをしたよ?幻は、どうする?」


黒霧幻「笑顔で・・・いって、らっしゃい・・・をっ!」グスッ


黒霧幻「ずるぅう・・・!!」ボロボロ


黒霧 「うん、偉い。」ヨシヨシ


黒霧 「・・・氷雨は、どうする?」


氷雨 「僕は母さんから姉さんを託された。だから、まずは父さんから姉さんを取り返す。」


黒霧 「君にそれができるの?本当に。」フ


氷雨 「父さんにできて僕にできないことはない。」キッパリ


黒霧 「言いきったね。確かにそうかも知れないけど・・・できないほうがいいことだってあるものだよ。」ポム


氷雨 「・・・。」


黒霧 「幻のこと、頼んだよ。」フフッ


氷雨 「言われなくとも。」パァ



姉弟の行方。


黒霧 「日陰、この子達は連れて帰ることにするよ。氷雨は別だけど、幻はこの世界の生まれではないからね。」


黒霧 「成人するまでは面倒も見るつもり。里の掟では、親が直接面倒を見てはならなかったけど・・・。」


黒霧 「もう存在しない里の掟をいつまでも守り続けるだなんて、可笑しな話だからさ。」


黒霧 「まぁ、里の掟を律儀に守ってきた憶えもないけどね。」フフッ


黒霧 「・・・日陰、君は可愛らしい女だよ。陰湿なくせに陽気で、人見知りなくせに人懐っこくて。」


黒霧 「自分を偽ることを覚えてからの君は本当に・・・。これ以上はよそう。」フゥ


黒霧 「約束する。君が護ろうとしたものは、必ず僕が護る。僕が・・・ね。」チラ


氷雨 「」ムッ


黒霧 「まずは人見知りをどうにかするところから、かな。それに関しては氷雨に任せるよ。」


黒霧 「歳も近いし。完全な隠れ蓑にはならないだろうからね。」


氷雨 「」ムムムッ


黒霧 「それはそれとして、幻を狂わせた元凶はどうしようか・・・。」


黒霧 「黒霧の里では普通、養育舎の時代に能力の判別が行われ、個々の適性に応じて訓練が施される。」


黒霧 「だけど神命に日陰、幻のような霊魂を操る能力者だけは、成人するまで能力使用が禁じられる。」


黒霧 「幻はまだ未成年。有り得ないんだよ。誰かが教えでもしない限りさ。幻が能力を使うだなんて・・・。」ギラッ


・・・


神州丸「見つけた。」


後書き

三笠編も佳境、漸く諸悪の根源を明らかにするところまで物語を紡ぐことができました。当初の予定では漣編で明らかにするはずだったのに・・・。さてはて、今回は主人公を大和に代えてお送りしたわけですが、我ながら思うのです。主人公って何だっけ・・・と。大和の科白少ないし。何なら武蔵のほうが脚光を浴びてるし。キャラもぶれぶれだし・・・。ま、環境が変われば人も変わるのですよ。ではでは、キャラ紹介をば・・・。


近衛東・・・大本営所属。元帥付筆頭補佐官。前元帥の時代から海軍に潜り込み、その類い稀な知謀・策謀で元帥補佐にまで登り詰めた。而してその正体は代々近衛兵として魔王の身辺を警護してきた魔族で、真宵を次期元帥に据えるために色々と裏工作を行っていた。白兵戦に特化し、奔放な性格をした者が多い近衛の一族としては異端で、魔術に長け誠実な性格をしている。元々、性に奔放な近衛の在り方が気に入らなかった東だが、近衛の中でも取り分け奔放な姉の所為で女性不信に陥り、魔力操作の修行で訪れた海鳴の里での経験に因り更に拗らせた。現在では伊58を妻として迎えている。結婚の決め手は、裏表の無い純真な心とストレートな愛情表現だったらしい。
金髪。蒼瞳。魔王の懐刀のひとり。

近衛麗・・・近衛の一族。東の姉。母親は同じだが、父親は違う人物。自由が過ぎる奔放な性格をしているが、その実力は本物で、嘗ては近衛兵団の隊長を務めていた。部下の裏切りに遭い、売り飛ばされそうになっていたところを時雨に拾われ、暫くの間、共に暮らした過去がある。歳を重ねるほど強力になるという能力の性質から子供の姿に戻されていたため、時雨とは父娘の関係になっている。現在でもそれは変わっていないが、本心ではもっと違った関係を望んでいる。

黒霧神命・・・黒霧の一族。極度の方向音痴。独りで外出すると、まず無事に帰ってこられない。そのため黒霧の里に居た頃は、任務に就かず養育舎の手伝いばかりしていた。時雨や茜とは兄弟姉妹の関係で、日陰とはほぼ同い年。末っ子同盟なるものを組んでおり、昔から仲が好かった。黒霧としては珍しく人並みの感情を手に入れており、本気で笑い、哀しみ、喜ぶことができる。而して暗殺者としての才に乏しいわけでもなく、時には冷淡に斬り捨てることもできる。頭は弱いが、実は結構できる娘。

黒霧日陰・・・黒霧の一族。現世の霊魂を操る能力に目覚めており、他人の精神に干渉、崩壊させることができる。陰湿な性格で、受けた恨みはどんな小さなことでも忘れない。而して愛情は深く、本当に大切に想っている相手には自分の全てを捧げてでも尽くし果てる。娘・幻のため、その命を賭して道を切り開いた。

鳳紅華・・・金剛と紅蓮の娘。鳳の一族は分裂により種を保存するため、金剛と遺伝子的な繋がりは無い。紅蓮の記憶をそのまま受け継いでおり、父・紅蓮にできることは大抵できる。反対に紅華にできることは紅蓮にもできるわけであり、「紅蓮の娘にしては優秀だ」と父の評価が低いことが不満。時雨のことがちょっと恐い。
紅髪。紅瞳。魔王の懐刀がひとり。

時雨・・・本名、長瀬眠(ながせ ねむ)。前元帥の一人娘・長瀬狭霧を母体にして生み出されたクローン人間。同じく長瀬狭霧のクローンである、前元帥の孫娘・長瀬狭霧(後の間宮)を護衛するために暗殺術を叩き込まれた影に生きる存在。間宮の死後、改造手術を受け白露型駆逐艦2番艦・時雨となり、仇討ちのため黒霧時雨の前に姿を現した。現在は仇討ちを保留にし、黒霧時雨を慕う者達の笑顔を護るため、修行に励んでいる。


では、また次回に・・・。


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2022-05-02 11:36:16

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2022-02-25 15:54:29

SS好きの名無しさんから
2022-02-21 23:25:28

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