2021-01-18 00:39:13 更新

概要

「遂にここに来れた…!」憧れの提督のいる鎮守府に着任した吹雪。しかしそこで吹雪が再会した提督は!?


前書き

提督は感情を出さない#エピローグからの続きなのでまだお読みで無い方は必ずそちらから
相変わらずクオリティはあれですが本当にしゃーねぇーなくらいの気持ちで見ていってください!


前編

「…もう…感情は出さないつもりだったんだが…」

その言葉を、その人をは悲しそうに笑いながら溢した…それは…

私の知っている…そして見たかった…提督の顔だった…


ーーー


ーー




話は遡る…



〜提督の自室にて


自室にて提督は考え事をしていた。つい先月着任した特型駆逐艦吹雪の事である。

吹雪が来た時、提督はもう艦娘達に感情を出すのをやめてそこそこの時が経っていた。

だが、感情を出さなくなったとは言え、彼は覚えていた。

吹雪との約束を…そう…感情を出さなくなったとは言え約束は約束。落ちこぼれの吹雪が、最優秀と言われる自分の鎮守府に着任する。

もし、着任出来たならまた、「頑張りなさい」と言ってあげる。彼女が自分の役に立てたなら…私は「頑張ったね」と言葉を送る。(※詳しくはエピローグ参考)その約束をしっかりと、彼は覚えていた…

しかし、その後彼は変わった…あの時と優しく、眩しいまでの笑顔を放つ彼の面影は無くなった。いや…自分の内側に引っ込めたのだ。

そうして自分から感情を出す事をやめた彼、だが約束は守る気でいた。しかし…感情を出さず、冷たく彼から送られる「頑張りなさい」が、

明るい彼しか知らず、その彼に憧れ、またあの眩しい笑顔でその言葉を掛けてもらう為に頑張ってきた吹雪に、どれだけ酷であるという事は、

提督が1番痛いほどに分かっていた。だがそれでも…彼は、約束を守り感情を込めずにその言葉を送ったのだ…


提督(約束は守ったが、感情は込めなかった…)


  (理由は簡単、それは許されない事だから…)


  (悪いな…吹雪、あの日、あの時から、俺はお前らに感情を出すなんて事は許されちゃ居ないんだよ…)



〜執務室にて


「特型駆逐艦吹雪、ただいま帰投致しましたっ!」


相変わらずの元気な良い挨拶をするのは先月より着任した吹雪だ。現在は、戦果の報告中である。因みにだが吹雪は今、ある護衛艦隊の旗艦を務めている。と言うのも、着任後の吹雪は


(もう1度提督の心を開きたい、その為にはまずは提督のお役にたとう)


そう強く思い、着実に戦果を上げ、遂には旗艦の位置にあるわけである。吹雪元々落ちこぼれだった。しかし提督の一言で救われた彼女は、

提督への思いだけで、見違えるように成長し、この最優秀と言われる鎮守府に着任したほどだ。そんな彼女だ。提督への想い一つで、ここまで

出来るのも、彼女の場合苦では無かった。


吹雪「では、失礼しました!」


報告を済ませた吹雪が自室を出ると…


如月「吹雪ちゃん、お疲れ様。」


睦月「吹雪ちゃんお疲れ様!」


夕立「お疲れ様っぽい」


彼女達は着任にしてから吹雪と特に仲がいい駆逐艦の子達だ。如月に関しては着任初日の出来事(※エピローグを参照)もあってとても信頼していた。


吹雪「皆んなありがとう〜」


如月「さっ、吹雪ちゃんの報告も終わったみたいだし、4人で間宮堂行きましょうか。」


吹雪「うん!」


睦月「もうお腹ペコペコだよ〜」


夕立「糖分補充するっぽい」


〜間宮堂にて

間宮堂に着いた後3人は甘味を楽しむ中、1人吹雪は考え事をしていた。


(着任してから1ヶ月、旗艦には選ばれ、提督のお役には立てていると思う。)


(だけど…提督の心を開くきっかけが全く見つからない…相変わらず提督が感情を出す様子はない…こっちの進展ゼロはだなぁ…)


そんな事吹雪が考えていると、3人が心配そうにこちらを覗き込んでいる。


睦月「吹雪ちゃん、大丈夫?」


睦月「凄く難し顔してたけど…」


夕立「悩み事っぽい?」


如月「もしかして…提督の事?」


心配そうに見つめる3人に、吹雪はため息をつきながら返した。


吹雪「そ〜何だよぉ〜」


いつもと違い、珍しくやる気のない吹雪の声が響く


吹雪「提督の心を開くきっかけが全く見つからなくてさ…」


吹雪「それどころか、戦果報告以外で話せる事ほとんどないし…」


如月「んー…吹雪ちゃん、もっとぐいぐい行っても良いかもしれないわね」


吹雪・睦月・夕立「ぐいぐい?」


如月「そう、提督とそもそも関わる機会が少ないのは、そもそも提督が私達と距離をめっちゃ遠くに置くからじゃない?」


如月「だったら、多少無理矢理でもぐいぐい行った方が良いのかもしれないわね」


吹雪「ぐいぐい…かぁ…」


ふむふむっという感じの顔を吹雪がしていると


睦月「吹雪ちゃん、頑張ってね!私達も出来る事があったら手伝うし、それに」


夕立「私達も、吹雪ちゃんがよく言ってる明るい提督見て見たいっぽい。」


その言葉に吹雪は少しの笑みを見せ


吹雪「うんっ」


と答えた。吹雪は提督の心を開くと言う決意をもう1度再確認するのであった


〜自室にて


吹雪「あ…後、1週間後…」プルプル


カレンダーを持つ手をプルプルさせながら吹雪はそう言った。何故吹雪がこんな風になっているのか。

それは簡単、1週間後は吹雪の


「秘書艦担当日」


なのである。秘書艦、その日は提督の執務室で提督のサポートをする仕事。秘書艦には、執務能力、実戦での戦果、提督からの信頼度、

主にこの3つから何人かが選ばれ、ローテーションで回っていく訳だ。吹雪は最近戦果を積み重ね、先輩艦からの評価も高い。

そんな吹雪が秘書艦組に選ばれる事は誰もが予想していた。そして遂に1週間後、吹雪の秘書艦の日が迫ってきている訳である。

流石の吹雪もこれには緊張していたが、これは提督の心を開く機会になるかもしれない、そう思い自分を鼓舞していたのだが…


吹雪「やっやばい…秘書艦なんて初めて…もし何かやらかしたら…」


やっぱり結構緊張に負けていたのである。すると…


ギュゥーーー


吹雪は一瞬きょとんとして、数秒後抱きしめられていると気づいた。抱きしめているのは如月だった。


如月「吹雪ちゃん…大丈夫?」


如月「緊張で押し潰されそうな顔してたわよ?」


心配そうに如月が呟く。一方の吹雪は如月の包容力に当てられ平静を取り戻していた。そして吹雪は着任初日の事を思い出していた。


吹雪「如月ちゃん、ありがとう。もう大丈夫。」


吹雪「でも…こうしていると思い出すなぁ…」


如月「思い出す?」


吹雪「うん…思い出す…着任初日の事。」


吹雪「初日もそうだった…泣いてて、どうしようもない私を、如月ちゃんは抱きしめて、心配してくれて…」


吹雪「あの時は本当に救われたよ…」


吹雪「私、救われてばっかりだなぁ…」


その言葉に如月は抱きしめる力を少し強くしながら言った。


如月「そんな事ないわ…私だって吹雪ちゃんに沢山助けられてる…お互い様よ。」


吹雪「如月ちゃん…」


吹雪「ありがとう…だいぶ落ち着いたよ。」


吹雪「私、頑張って秘書艦のお仕事努めてくる!」


如月「そう、その元気こそ吹雪ちゃんよ。」


如月「それに、提督の心をもう一度開くためのチャンスよ?私も応援してる。」


如月「だから頑張ってね!」


吹雪「うん!」


その後緊張のほぐれた吹雪は久しぶりにぐっすりと眠れたのであった…




〜5日後


秘書の日2日前、いよいよ秘書艦の日が迫ってきていたが、吹雪は緊張をしていなかった。


(執務については秘書艦の中でもベテランの赤城先輩に大まかに説明も受けたし、後は寝不足などにならない様にしよう)


そんな事を考えながら吹雪がベットに入ろうとした、その瞬間だった。

鎮守府に警報が鳴り響いた。しかもこの警報は聞く事は一度も無いと、そう思っていたものだった…

他の艦娘達も起き上がる。


睦月「吹雪ちゃん!今のって…」


吹雪「うん間違いない…この警報は…」


吹雪「鎮守府が襲われた時の警報…!」


如月「これはまずいわね…」


夕立「深海姫凄艦がここまで来るなんて予想外っぽい…」


その瞬間、館内放送が流れた。」


⁇「鎮守府にいる艦娘は直ちにに集合!出撃せよ!」


⁇「繰り返す!こちら旗艦長門、直ちに迎撃せよ!」


長門「私もこれより出撃する、後は提督の指示を信じるのみだ。」


長門「各員、一層奮励努力せよ、以上だ。」


吹雪「皆んな行こう!」


睦月「うん!」


如月「ええ!」


夕立「1人残らず追い払うっぽい!」


吹雪(絶対…ここで追い払わなきゃ…まだ…私は何も出来てない…)


  (だから絶対守り通すし、沈まない、絶対に…!)



…戦闘は熾烈を極めてた。生憎、戦艦と空母がタイミングよく出払っており、こちらの戦艦は長門のみ。後は駆逐艦が多数を占めていた。

また唯一鎮守府で、待機していた空母である赤城も殆ど艦載機を使い果たしている。それでも提督の指揮もありなんとか防衛ラインを保った。

その後も彼女らは必死に戦ったが数に押されそうになったその時、出払っていた艦隊が到着し、敵は撃滅された。

しかし、それでも被害は大きい。幸い、沈没艦がいなかった事はここの提督の優秀さを表している。だがそれでも駆逐艦の殆どが大破。

吹雪も例外でなく、他の子達と入沐しようと風呂に向かっていた。その途中吹雪は一瞬だけだが提督と目が合った。

向こうはこちらに気づいたのかすぐに去っていったが、吹雪はある事に気づいた。それは…


吹雪(あの目…いつもの感情のない冷たい目じゃない…)


  (あれは…確実に私達を心配する目…)


大破した駆逐艦達を見る提督の目は、一瞬だけであるが、心配していることが伝わったし、何より昔の提督の目だった。

そして…それに気付いたのは吹雪だけでは無かった…


〜執務室


長門「報告は以上です、私自身は小破ですが、その他の艦は殆ど大破です。」


提督「了解した…下がっていい…」


長門「提督が、駆逐艦を心配そうに見つめるとこを見ました。」


提督「…」


長門「提督…もう良いのではないですか」


長門「罪悪感を、責任を感じるのは分かります。ですが…」


長門「ですが、もう充分です…」


長門「貴方は…何かあったら心配して、楽しい時は笑って、そうしている貴方が、本当の貴方です。」


長門「だからもう…感情を出さないなんて…」


提督「長門…」


提督「それ以上は…良い…」


それからの発言は長門に向けての物ではなく、自分に、戒めの様に言い聞かせる物であった。


提督「私には…許されない…」


提督「あの子達を表立って心配し労うことも、あの子達と仲睦まじく笑い合う事も、許されていない…」


提督「長門…今日はもう下がれ…」


その言葉に長門は何も言えず…部屋を去った。


ーーー


ーー




〜次の日


夜になりようやく修復を終えた吹雪は先日の事を思い出していた。


吹雪(昨日の提督の心配そうな目、やっぱりそうだ…)


  (提督は…本心では私達の事を思ってくれてる…ただ感情を出そうとしない…何かの戒めの様に…)


  (明日は秘書艦の日…あの事件…提督が感情を出さなくなった原因…)


  (聞くなら…明日しか無い…)


吹雪はそんな決心を固め、眠りについた…


ーーー


ーー




〜執務室


吹雪「本日の秘書艦を務めます!吹雪です、よろしくお願いします!」


提督「書類が溜まっている…3分の1くらいがそっちにある。」


提督「それが今日の仕事分だ…」


その後はお互い沈黙の中書類仕事を進めていた。昨夜、決心を固めた吹雪だが、中々言い出すタイミングが見つからない…

そんな状態が続き、気づけばお昼休みとなっていた。


吹雪(この時間なら、仕事から一旦離れる…言い出すなら今しか無い…!」


吹雪「提督!」


提督「なんだ…」


吹雪「担当直入に言います…何故私達に感情を見せないんですか…」


提督「…!」


僅かな提督の動揺が見えたが、提督はすぐに冷めた表情になり、


提督「これは仕事だ…仕事に私情は挟まない…」


提督「これで満足か?」


その言葉に吹雪は叫んだ。


吹雪「ウソです!!!!」


吹雪「だったら、昨日のあの目は何ですか!提督の言う通りなら、何であんな心配そうな目をするんですか!」


提督「」


返答はない…吹雪はさらに大きく叫びながら言葉を紡いだ。


吹雪「私は知ってます!提督が優しくて皆んなを大切にしてるって!」


気付けば吹雪には涙が流れていた、それでも吹雪は言葉を紡ぐ


吹雪「提督は、私を救ってくれました…あの眩しい笑顔と、優しい言葉で…」


吹雪「私には、落ちこぼれと言われて、どん底にいた私には、それがどれだけ救いだったか…」


吹雪「だから、今度は私が提督を救いたいんです…」


吹雪「貴方に…もう一度…笑って欲しい…」


吹雪「貴方のその眩しい笑顔は…そして貴方自身が…私の光だから…」


吹雪「だから話してください…あの事件の事を…」


吹雪「全部…全部…どんな事であろうとも…私が受け止めます…」


しばらくの沈黙が続いた…その後提督はぽつりぽつりと、言葉を溢した…


提督「もう…感情は出さないつもりだったんだが…」

その顔は笑っていた…とても…とても悲しそうに笑っていた…でもその目は、吹雪がよく知っていて、そして見たかった、優しい目だった…


提督「君には…話さなきゃ行けない気がする…あの事件の事…」


提督「だから話そう…あの事件を…」


そうして…提督は語り出すのだった…





過去編


提督「あの日の事は今でもよく覚えている…」


ーーー


ーー




提督「んー疲れたぁぁぁぁぁ」


出向から戻ってきた私は、執務室にて背伸びをしていた。に、してもだ。吹雪という子だったか。あれは期待の新人だな。


提督「フフッ」


期待が高まり思わず笑みが溢れる。


「何か良い事でもあった?」


提督「ん?あぁかなり期待の新人を見つけ……!」


提督「お…前…」


そうあの日、それはあいつと俺が再開した人だった…


ーーー


ーー




〜現在〜


吹雪「あいつ…?」


提督「あぁ…まずはそこから話した方が良さそうだな。」


提督「あいつ…」


提督「瑞鳳との出会いを…」



俺が、まだ駆け出し提督の時だ。提督って言うのは着任して最初は初期艦を選ぶ。

基本的に駆逐艦なのだが、俺の場合少し事情あり、ある一隻の軽空母が初期艦として就いた。名前は…


瑞鳳


ーーー


ーー




〜過去〜


瑞鳳「この度、初期艦として配属されました。軽空母の瑞鳳です。よろしくね、提督さん。」


提督「あれ?初期艦は確か駆逐艦のばずだけど…」


瑞鳳「それが何か向こうで不都合があったらしくて…異例だけど私が配属される事になったの。」


瑞鳳「それとも、私じゃ嫌だった…?」


提督「いや、別にそんな事はないよ。瑞鳳、これからよろしく。」


瑞鳳「うん!よろしくね!提督さん。」


これが、あいつと俺の出会いだった



〜現在〜



提督「そのあと、俺達は鎮守府に到達した。」


提督「それはそれは、ちっぽけでオンボロな鎮守府だったよ。」


提督「でも…今でも覚えてるよ…そん時のオーバーリアクションなあいつの顔といったらな。」クスッ


提督は、少し悲しげな目をしながらも昔を懐かしむ様に小さな笑みを溢した。


その笑みに、吹雪は気持ちが少し嬉しくなるのを感じた。

当たり前である。今までずっと見たかった提督の笑顔、それを先程やっとみることができばかり…

こうやって小さな笑みをこぼす事でさえ、吹雪にとっては嬉しいものだった。


提督「さて、話を過去に戻そう。」



〜過去〜


瑞鳳「えぇぇぇぇ!?」


驚愕の声が響き渡る。


提督「なんだよ、静かにしてくれ。」


瑞鳳「いやいやいや。」


困惑顔で瑞鳳が詰め寄る。


瑞鳳「何も思わないんですか!?何ですかこの執務室は!」


瑞鳳「ダンボールだけって!ダンボールだけって!」


その様子はもはや漫才のツッコミのそれである。

対する提督は冷静に物を言う。


提督「んまぁ、当たり前だろうな。」


瑞鳳「当たり前?私達まだ駆け出しなんですよ!?」


提督「駆け出しだから、だろ。」


瑞鳳「ふぇ?」


瑞鳳が疑問符を浮かべる。


提督「よく考えても見ろ、今は戦争中だ。」


提督「普通、良質な装備、環境を駆け出しのやつに提供するか?」


提督「いいやしない、するわけもない、そんな事するより上位の奴らに提供するのが当たり前だ。」


瑞鳳「そ、そんなぁ…」


がっくしと肩を落とす瑞鳳。


提督「まぁ、みんな最初はそうだからな。」


提督「ていうか、今上位にいる奴らも相当な努力してるからな、元はあいつらもダンボールからスタートしてる。」


瑞鳳「そうなの!?」


どびきりの衝撃を受けた顔で瑞鳳が答える。


提督「お前…随分と感情豊かなんだな…」


瑞鳳「そういう提督は冷静すがない?」


瑞鳳「なんて言うか、感情が表に出てないと言うか。」


提督「感情はあまり出さないタイプだ。」


瑞鳳「え〜?勿体無いよ。もっと感情出してこうよ〜」


提督「勿体ない…ねぇ…」


瑞鳳「そう!勿体無いんだよ!」


瑞鳳「だってさ、感情出さないって事は皆んなと喜びあったり、一緒に泣いたりとかできないんだよ?」


瑞鳳「言わばそう、人生に色が無くなっちゃうの!」


提督「色が無くなるか…」


瑞鳳「そうだぞ〜灰色の人生になっちゃうぞ〜」


手でお化けのポーズを作りながらそんな事をいう瑞鳳。


提督「一応訂正しておくが…別に意図して感情を出さない訳じゃない…」


瑞鳳「へ?そうなの?」


提督「苦手なんだ…感情を出すのが…どうやって感情を表現したら良いのか昔から分からない…」


提督「皆んなと喜びあったり、泣き合ったり、そう言うことをしてみたいって思いはあるさ…」


瑞鳳「そっか…」


瑞鳳「ならこれから一緒に頑張ろう!私と一緒に感情豊かになってこ!」


提督「ふむ、期待はしないが、そうなる事を望むとするよ。」


瑞鳳「きっとそうなるよ。」


瑞鳳「さっご飯食べよ、2人だから私が作るね!」


提督「料理作れるのか?」


瑞鳳「卵焼きだけなら…」


提督「いやなんで卵焼きだけなんだよ…」


瑞鳳「たっ卵焼きの道を極めてるから…」


提督「絶対それ今思いついたろ。」


瑞鳳「とっとにかく、私は卵焼きマスターだから任せておいて!」ドヤっ


提督「フッ…何だそれ。」


瑞鳳「あー!今笑った!笑った笑った!」


ぴょんぴょんと跳ねながら瑞鳳がそんな事を言う。


提督「…」


提督「気のせいだ…」


瑞鳳「気のせいじゃないよ、ほらもっかい笑って!」


提督「そんな事言われても分からん…」


瑞鳳「え〜。」


提督「分からないもんは分からないんだよ。」


瑞鳳「まっ!これから感情豊かになっていけば良いんだよ!だから…」


瑞鳳「これからよろしく、提督!」


提督「よろしく、瑞鳳。」



ーーーーーー



ーーー





〜現在〜



提督「これが、俺と瑞鳳の出会いだ。」


提督「そしてあいつは宣言通り、俺を感情豊かにしていった。」


提督「日を重ねるごとに、自分の生活に色がついていくのがわかった。」


提督「そんな頃だ、俺には転機が訪れた…」



ーーーーーー



ーーーー



ーー



〜過去〜


瑞鳳「提督、お昼の卵焼きだよ!」


お昼時、元気よく瑞鳳が卵焼きを運んでくる。提督にとって、最近になっては見慣れた光景だ。


瑞鳳「食べりゅ?」


提督「プッ…相変わらずそこは噛むんだな。」クスクス


瑞鳳「また馬鹿にして…」グヌヌ


提督「まっお前の卵焼きは相変わらず美味しいけどな。」


瑞鳳「本当!?」


瑞鳳がぴょんぴょんと跳ねる


提督「本当だよ。」


提督「に、してもさ。」


瑞鳳「ん?」


ちょこんと、瑞鳳が小首を傾げる。


提督「着任当日、お前が卵焼きマスターとかなんとか言ってたけどさ。」


瑞鳳「ちょ!?それは忘れてよぉ!」


実はあの日、瑞鳳は自信満々で卵焼きを作ったのだが…結果は丸焦げ。結局提督がレトルトを買ってくるという羽目になっているのである。

言わば、黒歴史、である。故に瑞鳳にとっては掘り返される度に、頬を赤く膨らませるのだった。


提督「まぁ確かに、あの時の卵焼きは凄かったが…」


提督「今はこんなにも美味しい。」


提督「案外、今は卵焼きマスターなのかもしれんし、俺からすれば立派な卵焼きマスターだ。」ニコッ


瑞鳳「そっそれって…褒め言葉なの?」


提督「もちろんだとも。」


瑞鳳「そっか!なら嬉しい!」


瑞鳳「提督、よく笑う様になったよね。」


提督「お前のお陰だよ。」


提督「お前には色々と教わった、人と何かを共有できる嬉しさ、笑うことの気持ち良さ、辛い時にそれを仲間に吐き出せる安心感…」


ニコリと瑞鳳に笑い掛けながら提督は言葉を紡ぐ。


提督「全部お前が教えてくれた、お前のお陰で人生に色がついた気がする。」


提督「お前のお陰だ、ありがとう、瑞鳳。」ニコッ


瑞鳳「…何か、急に言われるとむず痒いね。」ニコッ


提督「それは俺もだ、こうやって正直に気持ちを伝えるのは今でも恥ずかしいしむず痒さはあるよ。」


瑞鳳「ねぇ、提督。」


提督「なんだ?」


瑞鳳「最近、提督の軍人としての評価が上がってるのは知ってるよね?」


提督「まぁ、それなりに戦果は上げたが…」


瑞鳳「大本営からは、最優秀指揮官の呼び声も高い、未だにこの小さな鎮守府において置くわけにはいかない。」


提督「…」


瑞鳳「ねぇ提督、来てるんでしょ?」


瑞鳳「昇進と…転属のお話。」


提督「どこで…それを知った…」


驚いた顔をしながら提督が問う。

瑞鳳は、苦笑をこぼしながら答えた。


瑞鳳「分かるよ、それくらい。」


瑞鳳「と言うより、私からも説得しろってお話が来てるんだよね、上から。」


提督「余計なことを…」


瑞鳳「…」


少しの沈黙が流れる。このような気まずい雰囲気は、2人にとって初めてだ。


少し悲しそうな笑みを作りながら、瑞鳳が静寂を破る。


瑞鳳「悪い話じゃ無いんじゃ無い?」


提督「…俺は転属するつもりはないよ。」


瑞鳳「どうして?昇進転属なんて軍人として喜ぶべきことじゃない。」


瑞鳳「これは大出世のチャンス、勿体ないよ。」


提督「お前を置いてか?」


瑞鳳「…私がついていけないのは仕方ないでしょ…」


提督「なら行く必要はない、お前が居なければ今の俺はない。」


提督「お前を置いてどこかに出世して行くよりも、ここでお前といる方がいい。」


瑞鳳「その気持ちは嬉しいけど…」


瑞鳳「上は…きっとあなたの転属拒否を認めない…」


瑞鳳「そりゃもちろん、私もついて行きたいけど、それは出来ない。」


瑞鳳「でもそれでも、提督は行くべきだよ。」


提督「それでも、俺は行かな…「分かってるでしょ」


瑞鳳が提督の言葉を遮る。


瑞鳳「これは命令、逆らえないんだよ…」


苦笑しながら瑞鳳は言葉を紡ぐ


瑞鳳「ねぇ提督、貴方はもう大丈夫。」


瑞鳳「きっと向こうでもやっていける、今の感情豊かな提督ならきっと向こうの子達とも仲良くなれるよ。」


提督「それでも…俺は…お前が…!」


帽子で顔を覆う提督から、一筋の光が見える。

そう、もう彼の中で瑞鳳はかけがえのない存在となっていた。


今まで提督と言う人物は、周りに誰も寄ってこなかった。

感情の出さない彼は、周りの人から見ればただの冷たい人間としか見れなかったからだ。


しかし瑞鳳は違った。そんな事何一つ感じず真正面から提督に関わってきた。

感情の出し方が分からない提督を、色のない牢獄から、感情の色に染まった世界に引きづり出した。


初めて感じた人の優しさ、初めて感じた嬉しさ、初めて感じた辛さ、そんな時に人がいることの安心感

全て、全て、瑞鳳が教えてくれたものだ。


だからこそ、提督にとっては受け入れがたい別れなのだ。昇進などどうでもいいのである。


瑞鳳はもう提督にとってはかけがえのない存在なのだ。



初めて…涙を流すほどに…



瑞鳳は、提督を見て目を見張っていた。

提督が涙を流すなど初めてだし、しかも自分との別れが嫌で泣いてくれてからだ。


瑞鳳「嬉しいな…そんなにも大切に思ってくれてたなんて。」


瑞鳳「ねぇ提督?一つ約束しよっ 。」


提督「約…束…?」


瑞鳳「うん、約束。」


瑞鳳「私がきっと、貴方のところへ行く。頑張って戦果を上げて昇進する。」


瑞鳳「だから、また会う時まで頑張ろ?」ニコッ


その言葉に、提督は涙を拭い、目を赤く晴らさせながら


提督「あぁ、約束だ。待ってるから、お前が来るのを。」ニコッ


瑞鳳「うん、約束だよ…提督。」


そうして、2人は指切りを交わすのだった…








後書き

はい皆さん、こんにちは。更新頻度が結局いつも通り遅くなって結局ノロマなかぴおさんです。
さてさて、ここでようやく瑞鳳との出会いの全容が分かるわけですね。そしてこの後の再会…
そして遂に、提督が感情を出さなくなった事件へ…提督の過去のお話はあと少し続く…
暫く過去の提督視点で進んで行きます。次の更新?いつか分からんw
まぁ気長に待ってくれると嬉しいです

ここまで読んでくださりありがとうございました!厳しい意見、アドバイス等お待ちしております!


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2021-01-15 23:34:28

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2021-01-10 23:28:38

RIYさんから
2020-12-06 08:10:22

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2020-11-11 09:10:16

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2020-10-31 02:02:57

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2021-01-15 23:34:29

昌一さんから
2020-11-11 09:10:20

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1: SS好きの名無しさん 2021-01-15 23:34:33 ID: S:uRfhYN

たのしみ


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