ご主人様と漣の納豆戦争!
負けられない…この戦い絶対に!ご主人様だって納豆好きにできます!
これは私とご主人様の…納豆戦争だ!
※このお話は私のサブアカウント、お粥さんという名義のアカウントで出した作品です。この度お引越しという形でこのアカウントで公開する事になりました。お粥さんの方の活動報告で詳しくはご覧下さい。
こんにちは、かぴおさんです!
本日は漣さんと提督さんのお話……。
世界を変える戦い(?)が今始まる……かも?
それでは行ってらっしゃい!
「だ〜か〜ら!ほら食べましょうよ、私があーんしてあげますからねぇ?」
「ふざけん…!おまっ!そのネバネバの悪魔を近ずけるんじゃねぇ!」
昼下がりの執務室…そこでは異様な光景が広がっていた。
「あーんですよ?あーん!ご主人様男のロマンだって言ってたじゃないですか……!!」
執務室の机に身を乗り出し、椅子に座る男性目掛け、カップごと納豆をねじ込もうとするこの少女の名前は……
綾波型駆逐艦9番艦『漣』である。
「シチューエーションってのがあるんですわ漣さんや、このシチューエーションはお断りだっ!!」
かたや頑なに納豆を拒むこの男、応酬を繰り広げる漣が所属するこの鎮守府の提督である。
本来この時間はお昼休み、任務に出ていない艦娘達は各々和気あいあいと昼食を取り、提督もまた秘書艦とお昼を共にしながら午後の予定を確認しているはずだ。
の……はずなのだが。
今繰り広げられているのは、納豆を食べさせようとする漣と、頑なに拒む提督との熾烈な戦いである。
漣「ほら……食べてください!」
提督「絶対に断る……男には引けない場面がある……それが今だ!」
何故こんな事になったのか……。
話は少し前に遡る。
----
--
--
漣「ひぇ〜!書類に埋もれるゔ…。」
暖かい春の陽気、窓を覗けば桜の花びらが舞い散る春の鎮守府。
そんな暖かな空気とは真逆とも言えるほど悲痛な叫びが執務室に木霊する。
そう、この鎮守府において春のだらけたくなる陽気に浸れる筈もない。
寧ろ春は大変だ、新年という事で海軍上層部に挨拶に行ったり、上から新しいお仕事は来るわ、事務作業は当たり前のように積み上がるわで、正直猫の手も借りたいレベルなのだ。
そんな忙しい時期に、秘書艦である漣は悲鳴を挙げずにいられなかった。
もっとも……
提督「……書類燃やせないかな。」
悲鳴を上げたのは漣だけではなかった。
いや、どちらかと言うと業務のメインは提督なのどから、こちらの方が大変である。
漣「おっ?良いこと言いますね、燃やしちゃいます?」
漣「艤装持ってきますよ?」
目をキラキラとさせながらそんな事を言う漣。
割とマジでやりそうな顔をするのはやめて欲しい、提督はそう思いながら仕方なくツッコミを入れる。
提督「上から恐ろしい目に合うのは俺だからやめてくれ…。」
提督「全く……着任早々にこの量何てやってられないな。」
そう、実はこの提督、この春に着任したばかりの新米提督。
着任したばかりなのだから当たり前のように書類の山ができるというものだ。
正直、いきなりこんな仕事量何てパンクしそうだが…何とか鎮守府を回せているのは、隣の机で執務を手伝っている漣の存在が多い。
いつもネタに走ったり、いたずらを仕掛けたり、からかってきたりしているが、この初期艦…かなり仕事ができるのだ。
初期艦として選んで1ヶ月は経つが、秘書艦としての仕事は完璧にこなす、ご主人様という特殊な呼び方にも慣れたし、今となってはありがたい補佐役だ。
改めてこう自分の仕事量を嘆いてみると、初期艦が彼女で良かったなと提督は改めて思った。
漣「良かったですね〜ご主人様、漣を初期艦に選んで。」
エスパーなのだろうか。
エスパーの能力を持っているのだろうか、提督は心の中に浮かんだ疑問をギリギリの所でしまいこんだ。
提督「はいはい、そーですよ。漣のお陰で助かってます。」
提督「ありがとうな。」
何だかんだ助かってるので、ここは感謝の言葉の方が良いと思ったのだ。
漣「あっ…えっ、こういきなり言われると照れますね…。」
漣は少し恥ずかしそうにポリポリと頬をかいた。
提督「日頃の礼くらいはできる人間のつもりだよ。」
何だかんだ良い雰囲気で執務に戻る……
漣「じゃあ今度漣のお休みは増えるってことですね?」
提督「さっきまでの良い雰囲気を返せっ!」
訳でもなく、いつもの雰囲気でオチがつく。
これがいつもの2人である。
と……そんな事を話していると。
ゴーン、ゴーン、と時計が音を鳴らした。
2人は同時に時計に視線を送る。
時刻は12時30分…丁度お昼の時間だ。
提督「おっ、もうそんな時間か。」
漣「ご主人様、私が食堂から2人分持ってきますよ!」
提督「いや、お盆落としたら危ないだろ。」
漣「漣は艦娘ですよ?バランス感覚は完璧です!」
提督「……お前、その間執務サボれるからだろ。」
漣「ギクッ!」
漫画で見るような効果音が漣の口から発せられる。
案の定である。
漣「ぐぅ……!なんもいえね〜……。」
先程は褒めたが、こう言う合法的なサボりに抜け目ない所もある。ここまで含めて漣である。
とは言え、昼食を受け取りに行くのも労力、逆にありがとうと言いたいくらいだ。
結局の所、この子はどこまでも優しいなと提督は思った。
いつも助けられている漣の仕事量をこの取りに行っている時間で少し減らすのも悪くは無い。
そう思った提督は…
提督「分かった、頼んだよ。」
と、漣を送り出すのだった。
……これが戦争の始まりと知らずに。
-----
---
--
提督「なぁ……漣。」
異変は…すぐ起こった。
提督は苦々しい顔で机に置かれた食事を見つめている。
漣は何に顔をしかめているのか分からず首を傾げて聞き返す。
漣「どうしましたご主人様?」
提督「この献立の内容を聞いてもいいか?」
漣「はい!我が鎮守府の食堂メニューの中でも私の1番のお気に入り!納豆たくわん定食ですよ!」
漣「いや〜実は私こう見えて納豆が大好きなんですよ!」
漣「ご主人様、そういえばこのメニューは頼んでるとこ見たこと無いので、ここは漣の計らいでこの素晴らしいメニューをご堪能してもらおうかと!」
キラキラとした顔で納豆への愛を語る漣…。
それとは対照的に提督の顔はだんだんと引き攣って来ていた。
提督「そっ…そうか〜!それはありがたいな、しかし部下の好物なら尚更味わってもらいたい、この納豆は漣に渡すよ。」
漣「え?そしたらご主人様のおかずがたくわんオンリーになっちゃいますよ?」
提督「ぶっ……部下の為だ!致し方ない!それも提督としての務めだ。」
漣「……。」
ジト目で提督を見つめる漣。
漣は段々と違和感を覚え始めてきていた。
ただ確証が得られない、漣は疑問を確証に帰る為動き出す。
自分のお盆の上に乗った納豆の皿を手に取り、提督の前につきだす。
漣「えいっ。」
提督「ヒッ!!」
提督は思わず後ろに仰け反る。
ここで漣の疑問は確信に変わる。
なるほどこのご主人様……
漣「ご主人様…もしかして納豆苦手なんですか?」
提督「苦手なんじゃない!絶対食べられないんだ!」
漣「もっとダメじゃないですか!!」
思わず反射的に突っ込む漣。
漣「因みにそれ……まさか"食わず嫌い"じゃないですよね?」
そう、大事なのはそこである。
口に入れてどうしてもダメなものはある、それは漣も理解出来る。
だが納豆愛好家の漣にとって食べずに嫌いになるのは認められないのだ。
提督「……。」
沈黙……このご主人様やっていやがる。
食わず嫌いだ。
漣「ご主人様!食わず嫌いって1番勿体ないんですよ知ってました?」
提督「うるさい!!納豆だけは……納豆だけは絶対食べんぞ!」
漣「日本が誇る最高の食じゃないですか、せめてチャレンジしてから言ってくださいよ!?」
提督「いーや!いやだね!!」
提督「俺は納豆何てごめんだ!!」
漣「子供見たいな事言わないでくださいっ!」
漣「あっ分かりました、じゃあこう言うのはどうですか?」
漣「漣があーんしてあげます、これで美味しさ2倍ですね!」
はしを持ち、漣は納豆をかき混ぜ始める。
提督「要らんわ!」
即座に拒否する提督……。
その一言に…漣も段々と腹が立ってきたようで。
箸を置くと…皿を手に取りそのまま納豆を口に流し込まんと身を乗り出す。
漣「良いから食べろこのご主人様!!」
提督「おまっ!それはあーんじゃなくて暴力だろうがっ!!」
漣「問答無用です!納豆は日本の誇る発酵食、腸内の悪玉菌を減らして腸内環境を整え、免疫力アップ、血栓の予防、骨折の予防、更年期障害の改善、血糖値の上昇を抑える納豆を漣さんのあーんのともに思い知らせてあげます!」
漣「だ〜か〜ら!ほら食べましょうよ!私があーんしてあげますから!ねぇ?」
こうして……現在に至るのである。
納豆愛好家と納豆アンチによる壮絶な……くだらない戦いが今この執務室では繰り広げられているのだ。
とは言え……時間をかけすぎるとそもそもご飯が食べられなくなる。
漣もこの場に置いてはタイムリミットが来た事を悟り、一旦机の上から降りる。
そして…提督分の納豆も含め、かき混ぜてご飯にかけると。
鬼のような勢いでご飯をかきこんだ。
そのスピード……早食い選手権でもあれば優勝間違い無しである。
提督はその様子をたくわんをポリポリと食べながらただ見ている事しか出来なかった。
そして漣は食べ終わると……勢いよく箸を置き…
漣「ご馳走様でした…。」
そう言って立ち上がり、ずいずいと提督の元に歩み寄る。
漣「ご主人様!!私決めました!」
提督「はぁ……?」
漣「この漣…来年の春までに……ご主人様を大の納豆愛好家に仕立てあげます!!」
漣「絶対ご主人様に納豆を食べさせますから!!」
提督「お前…何言って…。」
漣「これは宣戦布告です、ご主人様。」
漣「漣がご主人様に納豆を食べさせるか、それとも1年間ご主人様が納豆アンチで居続けるか。」
漣「納豆愛好家として、この戦いに勝利を。」
提督「漣……俺はな……、納豆だけは食わん!!その宣戦布告受け取った、やってやろうじゃねぇか!!」
こうして……1年間に及ぶ納豆戦争(?)の幕が切って落とされたのだった…。
……
執務室の扉前…
電はその一部始終を見届けていた。
電「……。」
電「意味が分からないのです♪」
続く……??
どもどもかぴおさんです!ここまで読んでくれてありがとうございました!今回は続き未定の軽い短編になります!気が向いたら続きも書こうかな!
取り敢えずここまで読んでくれて、本当にありがとうございました!それではまた!
このSSへのコメント