2021-03-07 04:28:53 更新

概要

前回の続きです。前編を見てから、後編を見る事をオススメします。


前書き

(前回のあらすじ)
人間と深海棲艦の戦争が始まった理由は、人間の所為だった。
人間に対し、激しい怒りを持った改造された子供2人は自分達の遺伝子を引き継がせながら、人間を襲わせていた。
しかし、人間と戦う事をやめようとした深海棲艦が生まれ、戦争を止めようとした。
が、双方に問題が発生し戦争は終えられなかった…。


深海棲艦側の内部抗争が始まってから数年が経過した。

戦争終結のために、人間側はいつでも対話できる状態で待ち続けた。

だが、人間側も数年間の間、深海棲艦側との接触が出来なくなったため交渉の打ち切りを考え始めていた。


けれども、当時の元帥が交渉の打ち切りを認めなかった。

その当時の元帥は、祐樹の父親だった。

交渉を打ち切らなかったのは、「戦争の終結」という友人に頼まれた大切な約束を守るためだった。


そんな約束をしてから更に数年経った。

ようやく、友人との約束が果たさせる時がきた。

あの時、約束をした友人は、もうこの世にいなくなってしまっていたが。


再び、人間が犯した過ちの所為で。

祐樹の父親の友人であり、深海棲艦との初めての対話を行った提督がいた鎮守府にて、その事件は起きてしまった。


その鎮守府には、提督と提督補佐である2人がいた。

この2人は、異動した当初は何もなかった鎮守府を発展させ、海軍のために全力を尽くした。

異動してから数年経つと、2人は結ばれ2人の子宝に恵まれた。

1人目の子供が生まれた時、2人は海軍での仕事を一旦休止して子育てに力を入れていた。


4人は、幸せな家庭を築いていく…、ハズだった。


妹が生まれてからすぐ、深海棲艦が人間を襲い始めたという情報を海軍の友人から聞き、子供は鎮守府付近に住んでいた友人に任せ、急遽提督と補佐として復帰する事になった。

だが、2人も任せるのは流石に相手に負担が大きいと考え、妹は海軍の運営する施設に預けた。

また、深海棲艦の攻撃が日々増しているという事もあり、元艦娘の娘も総動員して国民を守るためその力を振るった。


そんな時に、海軍全員に衝撃を与えるニュースが入ってきた。

「深海棲艦と海軍の一部、手を組み秘密裏に人類支配を企む」

最初はよくある週刊誌とかの造られたフェイクニュースかと思われていたが、海軍の守りが薄い所がなぜか急に攻撃されたり、もう少しで深海棲艦を倒せるという所で深海棲艦が援護してきたり、等のおかしな事が多数発生していた事もあり、次第に信じる者が増えてきていた。


その所為か、海軍内では、提督同士が互いを怪しみ、変な噂話を聞いては多数に広め混乱が発生し始めていた。

この騒動を収めるため、元帥やその補佐を行う者が内通者などがいないかを必死で探した。

すると、数年前に海軍を追い出された1人の男が候補に挙がった。


その男は、数年前に無抵抗の深海棲艦を攻撃したとして、武器の製造会社の社長もろとも捕まった社長の息子だった。

提督時代からも、あまりいい噂は聞かず、むしろ悪名をよく聞くことになっていた。

だが、コンピュータなどには海軍内では一番精通しており、深海棲艦の接近などを知らせるシステムを作成したのはこの男だった。

この男が深海棲艦と繋がっていると考えられた理由としては、海軍を追い出された際、海軍に対し恨みを持っていたため、深海棲艦と繋がる事によって憎き海軍を支配し、復讐をするのが目的ではないかと考えられていた。

コンピュータに関しての高い能力を生かせば、海軍の現状もいつでも盗む事ができ、艦娘の艤装などに異常を意図的に起こす事も可能だ。

海軍を破壊するためには、深海棲艦だって利用してもおかしくない。


この男を捕らえるため、海軍は捜索を始めたが、見つける事は出来なかった。

そのため、海軍内では不安が残る中、深海棲艦と戦わなければならず、数人の提督が離脱する事態が起きてしまった。


結果として提督の人数が減り、1人の提督が担当するエリアの増大なども発生してしまい、提督に対する苦痛は悪化してしまった。

そんな中でも、2人は新たに出来た命や国民を守るために働いた。


けれども、とある夏の日。

必死で働いていた2人は命を奪われる事になってしまった。


いつものように鎮守府で働いている時、サイレンがなり響いた。

深海棲艦の襲撃を告げるサイレンだ。その音を聞いて、提督と補佐官の2人は艦娘に指揮を執る。

だが、倒せない敵というワケではなかったため、誤報か何かと考えていた。…この時は。


避難していた住民らが家に戻り始め、深海棲艦の対処を終えた艦娘が鎮守府へと戻ってきていた。

そんな中、海の中から少し前に倒した深海棲艦と比にならないレベルの深海棲艦が現れた。

急いで戦闘準備をするも、間に合わずにその深海棲艦は、海上から陸に目掛けて砲撃を放った。


直撃した場所が、燃え、まわりに引火し燃やし始める。

悪夢が、始まった。

人が逃げ惑い、悲鳴や叫び声が響き渡る。

鎮守府に避難させようとするが、鎮守府付近にも同様の深海棲艦が出現した。

出現すると同時に鎮守府に攻撃を開始を始める。鎮守府は、火の海に飲み込まれ始めた。


1人の艦娘が、鎮守府へと急いで向かって来たが、鎮守府の目の前で深海棲艦に沈められた。

その艦娘が離脱したグループの艦娘も、続々と沈められていく。


提督と補佐官は、必死で皆を逃がした。

飛んでくる砲撃から皆を守るために。皆を、傷つけさえないために。


2人の努力の結果、鎮守府付近に住む人は全員無事で済んだ。


けれども、2人は逃げきれなかった。


深海棲艦の攻撃を逃がした人たちに向けさせない為に、囮となって攻撃を引き寄せた。

最初は逃げきれていたが、次第に体力も限界が近づいてくる。


少しずつ、重くなっていく足を引きずりながら逃げ回る。

すると、一瞬だけ痛みを感じた。腹部に視線を移す。


腹部を、貫かれていた。


そのまま、地面に倒れる。

血が、止まらない。薄れゆく意識の中、2人の大切な家族の事に、謝った。



修一「優斗…。心音…。スマン…、お前らを残して逝く、なん、て…」



そう言い残して、提督は息を引き取った。

補佐官も、その横で深海棲艦によって殺害されその場に倒れていた。


2人を殺害した後、深海棲艦は去っていった。

深海棲艦の耳元には、機械のようなものがついていた。

2人を殺害した深海棲艦がその場を去ろうとすると、機械が急に爆発した。

機械を付けていた深海棲艦は、頭が爆散し命を落とした。


鎮守府付近には、轟沈した艦娘の艤装の一部が浮かび、頭部がはじけ飛んだ深海棲艦の死骸があらゆる所にあり、異臭を放ちながら海を血で染めていた。近くでは、腹部を貫かれた2人の死体が発見された。


鎮守府は、炎に包まれ、海は所々血で染まり、提督と補佐官は命を落とす事になった。また、艦娘も10人轟沈し計12人の命がこの場で散ってしまった。深海棲艦も加えると、50を超える事になる。


ここまで見れば、謎の機械を付けた深海棲艦に襲撃され、提督と艦娘、深海棲艦が死亡した悲しい事件として捉えられるだろう。

けれども、実はあの男が仕組んだ最悪のシナリオ通りだった。


数体の深海棲艦を捉え、男が創り出した洗脳装置によって洗脳。

そして、「たまたま」、近くにあった鎮守府を襲撃するように仕向けた。運悪くも、その鎮守府が2人の勤める鎮守府だった。

結果として、鎮守府は大損害を受け提督と補佐官は死亡。艦娘も10人轟沈。

証拠を残さない為に、機械を爆破させ記録を消去。

深海棲艦は命を落とす事になるが、男にとって装置を付けた深海棲艦の命など、どうでも良かった。

男は深海棲艦を道具として見てなかったからだ。


こうして、男の海軍への復讐は幕を開けようとした。

が、爆破した機械のメモリを、調査に当たった友人や元帥らによって発見され、男は捉えられた。

その後、男は処刑されこの世から消えた。


けれども、男は処刑される前、自分自身の息子に海軍への復讐を命じていた。

その息子は海軍に入ったのちに、どこで手に入れたのか不明だが深海棲艦と身体を結びつける方法を見つけた。


そして、今。

優斗や祐樹、朱里を絶望に叩き落すバケモノと化していた。


(次回に続く)


後書き

次回、「絶望から這い上がれ」に続きます。


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