クリスマスなのにこれである。
何でクリスマスってカップルがイチャイチャする日になったんですか?
メリーボッチマス。
優斗「クリスマス、か…」
カレンダーを見ながら、呟く。
まーた、財布の中身が吹っ飛んでゆく…。
優斗「さて、今年は何にもないわけですし、ゆっくりと過ごしますか…」
ソファに腰掛けた瞬間、携帯が鳴った。
このタイミングで電話がかかってくると、去年の事を思い出す。
去年のは、俺が原因だけれどもなぁ…。
電話に出ると、聞き飽きた声が受話器から聞こえてきた。
祐樹『おーい、起きてるかー!!』
優斗「黙れ」
祐樹『酷くねぇか?』
優斗「色々と準備があるからさっさとしやがれ。そうじゃないと、電話切るぞ」
祐樹『いやー、色々と買いすぎてさー。何かもらってくんね?』
優斗「ゴミならいらんぞ」
祐樹『なんでゴミを友人に送り付けるんじゃ』
優斗「お前ならやりかねん」
祐樹『俺、お前に対して何かしたか!?』
優斗「特には何もしてませんね」
祐樹『なんで印象がこうも悪いんだ、おい…』
優斗「んで、何があるんだよ。どうでもいいモノはいらんぞ」
祐樹『えっと…。何か色々とプレゼントによさそうなモノが数点』
優斗「なんでそんなモノ持ってるんだ…」
祐樹『買い過ぎてしまいましたぁ…』
優斗「馬鹿ですか?」
祐樹『馬鹿です』
優斗「まぁ、いいよ…。貰ってやるから。金は取るなよ!!」
祐樹『それはないって…。相変わらず、俺に対しての印象が酷いなぁ…』
電話を切る前に、何か聞こえたような気がしたけれども、そんなモン知るか。
さて、取りに行きますか…。今日は忙しいぞ…。
車のキーを持ったまま、外に出る。
…寒い!! 寒すぎるぞ、今日!!
強風に吹かれ、降ってくる雪が肩に積もりながら車まで歩いて行く。
耳がドンドン冷たくなっていくし、鼻水は出るしで最悪だ。
車に何とか辿り着く。車に乗り込むと同時にキーを回す。
エンジンがついた後、すぐに暖房をつける。
優斗「あー、寒かった…。さて、少し暖かくなってから行くか…」
暖房で冷えきった体を暖めていく。
少しすると、手や耳が暖まってきたのでアクセルを踏む。
…動かない。
優斗「あり?」
もう一度、アクセルを踏む。
…やっぱり、動かない。それどころか、ビクともしない。
優斗「ええ…」
いったん降りる。こうなってしまったら、どうしようもない。
諦めて、別の手段で移動する事にした。荷物は祐樹にでも運ばせるか。
優斗「さて、駅まで移動か…。嫌だなぁ…。寒いし」
雪が降る中、歩いて駅まで向かう。寒いったらありゃしない。
気温は、5度ぐらいしかない。吐く息は、全て白く染まっている。
前日に積もっていた雪は、道の端っこにまとめられていた。この雪に向かって突っ込んでいったヤツがいたな、そういや…。
~~~~~~~~~~
夕立「雪が凄いっぽーい!!」
時雨「ちょ、咲! そこは…」
夕立「雪に向かって…。ダーイブ!!」ブフォ
時雨「あーあ…」
夕立「冷たいっぽい!!」
~~~~~~~~~~
優斗「まぁ、そんな事は置いとくか。さっさと移動だ移動」
まだ少しだけ残っている雪を踏みしめながら、駅まで歩いてゆく。
手が冷たく冷えてしまっていて、大変な事になってきている。
優斗「暖かいモノでも買ってけば良かったかな…。あー、手が冷てぇ…」
駅に何とか着いた。相変わらず、寒い。
優斗「さて、時間は大丈夫かな…。って、もう電車来てるぅ!?」
改札口を通ると同時に気づいた。急いで階段を駆け上がる。そして、今度はホームに駆け下がる。
なんとか、間に合った。
優斗「はぁ…。はぁ…。な、なんとか…。間に合った…」
駅員「只今、信号待ちのため遅れて運行しております」
優斗「なんじゃそりゃあ!?」ヽ(・ω・)/ズコー
急いで飛び乗ったはずなのに、このザマだ。
酷いよ。本当に。なんで全力疾走したんだ、俺は。
電車に飛び乗ってから数分経ってから、電車が動き出した。
こんなに待ち時間あるんだったら、暖かい飲み物買えただろ…。
優斗「あーあ、ホントについてないなぁ…」
椅子に座り、揺らり揺られながら目的地まで移動していく。
電車の中は暖房が効いてて暖かった。
優斗(これだけ暖かいと…。眠くなってくるなぁ…)
少しだけ、ウトウトとしてきてしまった。
だが、ここで眠ってしまったらたぶん、終点まで起きない。
なんとかして起きておかねば。
(数分後)
優斗「zzz…。ハッ!?」
気がついたら、寝ていた。窓の外を見る。
良かった…。まだ、過ぎてなかった…。あぶねぇ…。
優斗「これ以上寝ないためにも、手の甲でもつねっとくか」
手の甲を痛いか痛くないかと言われたら、そこまで痛くないと言えるぐらいの強さでつねる。
眠くはならないだろうけれども…。
手の甲をつねり続けて約5分。目的地に到着した。
なんか赤く腫れてるけれども、痛くはないのでたぶん大丈夫だ。
優斗「はぁ…。またこのクッソ寒い中を歩かないといけないのか…」
駅からそんなには遠くはないのだが、相変わらず寒い。
雪もまた降り出した。まぁ、アホみたいに降ってきてるわけじゃないからいいけれども。
優斗「さて…。行くか」
駅から出て、目的地へと歩き始めようとした。
そんな時だった。目の前を車が通りすぎていったのは。
車は、雪を巻き上げて走り去っていった。
その横を歩いていっていた優斗には、大量の雪を被る事になってしまった。
優斗「…。なんでこうなるん?」
いくら厚着したところで、大量に雪なんか被ってしまったら意味がない。
身体が一気に冷えていく。寒いったらありゃしない。持っていたカイロも使い物にもならなくなった。
優斗「…仕方がない。行くか」
びしょ濡れの衣類に包まれたまま、歩き始める。
服が重い。身体が冷たい。正直言って、もう帰りたい。
けれども、約束してしまったもんだから行かねばなるまい。
なんとか歩いていく。身体がガチガチと震えている。
そんな状態でなんとか歩き切った。祐樹の鎮守府の門の前では、祐樹が車に乗って待っていた。
祐樹「お久さー…。って、何が起きたんだお前!?」
優斗「色々ありまひて…。あ、あの、寒いんで、お湯か何かくだひゃい…」ガチガチ…。
祐樹「ちょ、ちょっと待ってろ!! 何か持ってくる!!」
優斗「お願いひまーふ…」ガチガチ…。
祐樹が鎮守府内に戻る前に、車に載せられた。
暖房が効いてたおかげで、少しは身体が暖まってきた。けれども、まだ冷えている。
祐樹「お待たせ! とりあえず、これでも飲んでろ!!」
優斗「どうも…」
暖かい飲み物を渡された。一口飲み込むと、喉から食堂を通るだけで身体の中心からあったまっていっている気がした。
祐樹「それにしても…。相変わらずの運の悪さだな、お前…」
優斗「ホントになんでこうなるんでしょうかね…」
祐樹「んで、買い過ぎたモノだけれども。この車に既に積み込んでるから」
優斗「ついでに俺も送ってくれ…」
祐樹「へいへい…。というか、そんな状態でお前を返す事なんかできんからな」
行きは電車に揺られ、帰りは祐樹の運転する車に揺られていた。
なお、祐樹は機械音痴でもあり、方向音痴でもあるので迷いに迷いまくった。
カーナビ操作ぐらい任せてくれりゃいいのに…。
祐樹「えっと、このボタンを押せばいいのか?」
ーーデータを消去しています…ーー
祐樹「えぇ!? どうしてそうなった!?」
優斗「馬鹿野郎…」
そうして、本来だったら30分ぐらいのところを2時間近くかかって戻ってきた。
コイツ、1人で旅行とか行ったら二度と帰ってこれねぇな。
優斗「なんとか着いたぞ…」
祐樹「いやー、ここまで苦戦するとは」
優斗「お前にカーナビ操作も任せたのは間違いだったな」
祐樹「それは…。スマン」
優斗「まぁ、いいや。じゃ、荷物降ろすか。祐樹も手伝えよ?」
祐樹「りょーかいっと…」
トランクから、荷物類を降ろす。降ろした後は、俺の鎮守府内に運び込む。
これを何回か繰り返して、なんとか荷物を運び込む事ができた。
優斗「お前、結構買い過ぎてないか?」
祐樹「今俺も思った」
優斗「馬鹿か?」
祐樹「馬鹿ですいませんっした!」
そんなくだらない事を話し、祐樹と別れた。
鎮守府内に戻ると、執務室辺りが何やら騒がしかった。
優斗「なんだ、アレ?」
白露「あ、ゆーくん! どこ行ってたの!」
優斗「悪い悪い、少し用事があってさ」
白露「クリスマスパーティーの準備するって言ってたよね!」
優斗「あ…」
時雨「その反応からして、完全に忘れてたって感じだね」
優斗「誠に申し訳ございません」
白露「もう!!」
優斗「マジですいません」
白露「謝る暇があるんなら、手伝ってよね!」
優斗「あ、ハイ」
しまった…。思いっきり忘れてた。
まぁ、クリスマスプレゼントになるモノは色々と持ってきたからいい…、ハズ。
手伝いを始める頃には、もう半分ぐらいは準備が完了している状態だった。
冷え切っていた身体は、車の中であったまっていたので特には問題はなかった。
手伝いを始めてから、1時間ちょいでクリスマスパーティーの準備は終わった。
優斗「これで…。よしっと」
クリスマスツリーの上に、星型のパーツを取付けた。
これで、完成のハズ。なんか色々と余計なモノがくっついている気がするけれども。
誰だ、短冊を付けたバカは。
白露「よーし、後は夜を待つだけだね」
優斗「そうだな」
時雨「ところで、祐樹のとこから持ってきたコレってラッピングとかするの?」
優斗「…あ」
そういやそうだった。プレゼントって…。普通はラッピングとかするよな…?
今は…。何もついてない状態だ。
優斗「ちょっと急いでラッピングしてくる!!」
荷物を執務室に移動させる。執務室内で、あるものでなんとかする。
リボンを結んでみたり、なんかシール貼ってみたりしてみた。
なんとか、パーティー開始前ギリギリに出来上がった。
優斗「お、終わった…」_(:3 」∠)チーン
荷物をまた移動させる。今さっきから、行ったり来たりの繰り返しの気がする。
パーティー会場では、たくさんの娘が揃っていた。
優斗「…あれ? 茜たちがいねぇぞ?」
執務室に行く前までは、会場内でゆっくりと過ごしていたはずなのに見当たらない。
どっかに移動するなんて話は聞いてないぞ?
白露「あ、こっちだよ、こっちー!」
茜の声がした方向を向く。
そこには、いつもの白露型の服装ではなくクリスマス関連の衣装に身を包んだ茜たちがいた。
白露「たまにはこういうのも、ね…。それで、どう、かな…?」
優斗「…」
白露「…ゆーくん?」
優斗「」(気を失っている)
白露「ちょっ!?」
時雨「あー、コレは…」
夕立「可愛すぎて耐えきれなくなったってやつっぽい?」
白露「ちょっ、おーい!?」
優斗「」ユサユサ…。
村雨「駄目ね、コレは」
春雨「完全に再起不能ですね、はい」
海風「とりあえず、どこかに寝かせておきましょう」
茜や優香で、優斗を踏まれそうじゃない所に寝かせる。
優斗は、笑顔のままで気を失っていた。
五月雨「でも、これじゃクリスマスパーティー始められないんじゃ…」
涼風「じゃあ、あたいたちでどうにかするぞ!!」
江風「了解だー!!」
山風「大丈夫かなぁ…」
こうして、クリスマスパーティーは白露型がどうにかして始める事になった。
パーティーは、特に何か問題が発生する事も無く進んでいった。
プレゼント配布の時は、茜たちがどうにかして配り切った。
なお、優斗は始まってから1時間経ってもまだ起きない模様。
時雨「優斗、放っておいても大丈夫かな」
村雨「さぁ?」
夕立「けれども、起きる気配さえもないっぽい」
優斗「zzz…」
時雨・村雨・夕立「って、寝てるぅー!?」
白露「どうかしたの?」
時雨「いや、優斗がさぁ…」
優斗「zzz…」
白露「ちょ、ゆーくん、ここで寝ないでよ!」
優斗「…え? あ、寝てたわ」
白露「まったく…」
優斗「ワリィワリィ。じゃあ、あとは任せろ」
時雨「もうほとんど終わってるけれどもね」
優斗「Oh...」
村雨「まったく…」
優斗「完全に爆睡してしまってたのか…」
白露「まぁ、いいや。さて、ゆーくんも起きたことだからパーティー楽しんでいくよー!!」
優斗「え、お、おう?」
この後は、起きたばっかりで回り切ってない頭の状態でパーティーを楽しんだ。
寝起きで肉類を口に突っ込まれるのはたまったもんじゃないな。うん。
(パーティー終了後)
優斗「ふぅ…。疲れたなぁ…」
白露「途中まで寝てたじゃん」
優斗「そうだけれどもなぁ…。後半に急に始まったダンスゲーム大会であんなに踊らされるとは思わなかったぞ」
白露「けども、割とノリノリだったじゃん」
優斗「やれって感じの目線が痛かったもん」
白露「まぁ、今日はゆっくり休めばいいと思うよ」
優斗「そうだな。あ、忘れてた」
白露「?」
優斗「ほらよ、コレ」
茜に執務室に置いてあった箱を手渡す。その箱だけは、綺麗にラッピングを施されていた。
少し困惑しながら箱を茜が開けていく。中からは、手袋が入っていた。
優斗「去年、マフラー編んでくれたろ? だから、そのお返しも兼ねてのクリスマスプレゼント。まぁ、俺は編み物は出来ないから買ってきたやつなんだけれどもな…」
白露「ううん。それでも嬉しいよ!」
優斗「そうか。良かった良かった…」
白露「あ、でも…。私、今何も持ってない…」
優斗「別にいいよ。色々といっつもお世話になってるしな」
白露「じゃ、じゃあ、クリスマスプレゼントは私で!!」
急にとんでもない事を言いだすので、優斗はひっくり返りかけた。
優斗「おま、ちょっ…」
白露「別に、何でもいいんだよ?」
優斗「じゃあ…」
ムギュッ。
優斗は、茜に抱きついた。
抱きつかれた茜は、少しだけ困惑の表情を浮かべたが、特に言葉を発する事もなく抱きしめ返した。
優斗「俺にとっては、これだけで最高のプレゼントだから」
白露「ゆーくん…」
優斗「さて、今日ももう遅いし、寝るか」
白露「じゃ、じゃあ、一緒に寝よ?」
優斗「そうだな。じゃ、よっと…」
茜を軽く持ち上げてゆっくりとベッドに横にする。その横に、寝転ぶ。
優斗「じゃ、俺は疲れたんで寝るよ。お休み」
白露「あ、その前に…」
チュッ。
茜が、優斗の唇にキスをした。
白露「もう一つの、クリスマスプレゼントってことで♡」
優斗「はは…。また凄いプレゼント貰ったな、こりゃ…」
そのまま、2人は手を繋いだままぐっすり眠るのであった。
優香「急な話だけれども、来週にも特別編を出すみたいだよ」
由衣「次回の特別編が、今年の最終投稿予定ね」
優香「内容は、去年を参考にしたら分かると思うよ(白目)」
由衣「去年は…。まぁ、アレはねぇ…」
優香「とりあえず、次回もお楽しみにってことで」
由衣「今回もありがとうございましたー!」
クリスマス。
2019年はインフル。
2020年は、普通の風邪を引いてダウン
体調管理はしっかり行いなさい。
とサンタからのお告げと言う、プレゼントでした。
※1
サンタさんからのプレゼントにしては酷すぎる…。