雨の日は流石にいないと思うじゃん?いるんだよなぁ、グレートな奴がよお ♯3
ちょっくらオリジナルキャラクター出してもいいだろお?グレートに書くからヨォ
3話
放課後、バイクを走らせ、とある和菓子屋にたどり着いた鬼塚。
「ふーん、『穂むら』ねえ?」
鬼塚は、高坂の家である和菓子屋、穂むらに入る。すると若々しい女の子が店員らしい掛け声を鬼塚にかけた。
「あれ?店員さん、えらく若くねえか?もしかしてお前が高坂穂乃果か!早く学校来いよ!学校ってのは悩むことはあってもめちゃくちゃ楽しい所で...ぎゃあ!!」
鬼塚はよく確認もせず店員に声を荒げながら駆け寄る。穂むらの店員は、突然のことで訳もわからず驚きながら鬼塚の頬を思い切り平手打ちした。
30分後...
「うちの娘が本当にすみません...ほら、雪穂も謝りなさい!」
「うっ、ごめんなさい...まさか音ノ木坂の先生とは知らずに...」
鬼塚に謝罪したのは、穂乃果の母と穂乃果の妹の雪穂だった。
「いや、こっちこそ高坂に妹がいたなんて知らなくてつい...いてて...」
鬼塚の様子を見た母ひ、尋ねた。
「鬼塚先生でしたよね?もしかして穂乃果のことで?」
「ええ、俺も今日赴任して来たばかりなんでまだ会ったこともないんすけど...随分と学校に来てないらしくて...」
鬼塚は、自分の目的を話した。しかし、穂乃果の母すらも詳しい事情を知らされてなく、ある日突然落ち込んだ穂乃果が帰宅し、登校しなくなったということしかわからなかった。
「そうすか...」
有益な情報を得られず困惑する鬼塚。しかし、雪穂が口を開いた。
「実は...お姉ちゃんが不登校になって間もないころ...ブツブツ独り言を言ってたんです。裏切られたって。」
雪穂の言葉にいち早く反応する鬼塚。
「そ、それ本当か?!」
「雪穂、何で言わなかったの?」
母の問いに雪穂は答えた。
「あんまり確証ないし、変な噂になったら嫌だと思って誰にも言わなかったの。でも、変だなって思うところがあって。」
「変なところ?」
鬼塚は、雪穂に話を続けるよう促した。
「よく聞き取れなかったんだけど...裏切られたの他に海未さんやことりさんの名前を言ってました。でも...聞いたことない名前も言ってました。康太さんって。」
僅かであるが有益な情報を鬼塚は雪穂から得ることができた。
「康太さん?聞いたことない名前ね?」
「私も。お姉ちゃんの卒アル見せてもらった時もそんな名前の人いなかったし」
穂乃果の母と雪穂も『康太』という名前を知らなかった。ここで鬼塚は学校での出来事を話した。母と雪穂はひどく驚いていた。さらに鬼塚は、母に尋ねた。
「お母さん、今高坂はどこにいますか?」
「えっと、自室ですけど...多分会ってくれないと思います。私達でもお風呂の時や食事の時しか顔を見せてくれないんです。」
穂乃果の母から1度は引き止められたものの鬼塚は、それでも構わないと穂乃果の自室に案内してもらった。
「穂乃果?学校の先生が来てくださったわよ。鬼塚先生っていう人で、今日から少しの間だけあなたの担任になったんですって。出てきて挨拶しなさい。」
母の呼びかけも虚しく、自室から返事はなかった。もしや最悪の事態になっているのでは?と鬼塚は一瞬思ったが、部屋からはゲームをプレイする音が聞こえ、どうやら無事な様子だった。
「よお、高坂。今日からお前の担任になる鬼塚英吉だ。少しでいいから話聞かせてくれよ。」
鬼塚の呼びかけにすら全く反応がなかった。すると鬼塚は続けた。
「康太さんって一体誰なんだ?」
「ちょっ!鬼塚先生!?」
雪穂は鬼塚を引き止めようとした。その時、部屋の扉に何かものを投げつける強い衝撃と音が響いた。
「もう私のことなんか放っておいて!あの人の名前も出すな!結局みんな裏切るんだ!」
部屋から聞こえた声は紛れもなく穂乃果のものだった。突然のことで3人は何もできず、鬼塚は穂むらを後にした。
「色々とすみませんでした、お母さん。」
「いえ、いいんです。今日はありがとうございました。もしよかったら、またいらしてください、あの子のこと少しでも気にかけてあげてください。」
鬼塚は、穂乃果の母の言葉を受け止め、穂乃果の身に何があったか必ず暴くことを決意した。
様々な可能性を考えながらバイクを走らせる鬼塚。
「しかしなあ、高坂があの様子じゃどう話せばいいか...」
すると、鬼塚の携帯に着信が来た。鬼塚は、バイクをコンビニの駐車場に停め、電話に出る。
「どうしたんだよ龍二。」
それは、鬼塚の高校時代からの親友である弾間龍二だった。吉祥寺でカフェを経営しているがチェーン店として音ノ木坂の近くに出店したという連絡だった。
「お前今度は音ノ木坂にいるんだってな。仕事終わりについでに寄ってけよ。」
「ああ、そうさせてもらうわ。丁度聞いてほしいコトもあるしな。」
龍二の誘いを受け、鬼塚は龍二のカフェNAGISAに足を運んだ。
鬼塚は、龍二に今の状況を説明した。
「お前ってほんと問題のあるクラスばっかり任されるよな。」
「うるせーな、詳しく知ってそうな奴らはみんなだんまりだしよ、どうすればいいかわかんねーんだよ。」
龍二の皮肉にそう返す鬼塚、すると龍二は微笑みながら言った。
「でもよ、お前のやることはもう決まってんだろ?」
「あ?まあな...とりあえず今は情報収集ってとこだ。」
出された紅茶をすする鬼塚、するとNAGISAに来客が現れた。
「いらっしゃ...あ!お前たしか...」
「なんか聞いたことある名前のカフェだと思って来たけどまさかお前のやってるとこだとはね。彼女にゾッコンじゃねえか。」
龍二は、来客の顔を見て驚愕した。それは鬼塚もだった。
「に、二宮じゃねえか!お前こんなとこで何やってんだよ!」
二宮は、かつて伝説と呼ばれた鬼塚達と縄張り争いを互角に渡り合った男だった。お互い暴走族から足を洗ってからは連絡をたまに取り合っていたが実際にあったのは数年ぶりだった。
「なんとなーく話聞こえちまったんだけどよ、お前先公やってんのに守秘義務とかいいのかよ」
「うっ、しゃあねーだろ。1人じゃ解決できる気しねーんだから。」
教師としての守秘義務を二宮に思い切り指摘された鬼塚。すると二宮が鬼塚に話した。
「俺実は隣町で、でかくはねーけど会社やっててよ。古い付き合いだし、少し助けてやるぞ。昔は情報通としても有名だったしよ。」
二宮はそう提案したが鬼塚はあまりいい顔はしなかった。
「ありがてーけどよぉ、いくらお前の情報網でも今回ばかりは無理だろ。康太なんて名前だけじゃあよ。」
鬼塚の発した名前、『康太』、二宮はその名前に聞き覚えがあった。
「康太?そういや昔の話だけど俺の舎弟に同じ名前のやつがいたな。」
「同じ名前ってだけじゃねえのか?」
龍二は二宮にそう言葉を返した。
「その可能性の方が高えが、そいつ俺が舎弟やめさせたんだよ。かなりやべえやつでよ。」
「何がやべえんだ?」
二宮の話を少し気になった鬼塚は、二宮に話を続けるよう促した。
「そいつ、喧嘩の方はからっきしダメなんだけどよ。なんて言うか、言葉とか態度とか...とりあえず精神的に人を追い詰めるのが得意なんだよ、しかも本人はめちゃくちゃ楽しんでる。」
「なんだそれ、怖えな。」
鬼塚は、二宮のかつての舎弟にドン引きしていた。二宮は話を続けた。
「あぁ、それだけなら良かったんだが、他の奴らがそいつから段々と距離おきはじめてな。だから、俺そいつと少し話したんだ。そしたらそいつ...」
『僕、人が苦しむ姿を見るのがめちゃくちゃ好きなんすよ。家でもよくスプラッターの映画とかよく見るし...なんかゾクゾクっとしちゃうんすよね』
「笑いながらそんなこと言う奴をこれ以上組には置いておけねえと思ってな。それで足を洗わせたんだよ。」
龍二と鬼塚は引きつった表情をしながら、聞かなきゃ良かったと後悔していた。
「まあ、そいつと今回の穂乃果ちゃんの言ってた奴が同一人物なら話は繋がるが...証拠が何もないんじゃあな。」
龍二はそう言うが鬼塚は違った。
「いや、二宮...なら古い付き合いとして協力してくれ。その元舎弟の居場所を探してくれ。」
「本気か?英吉。」
龍二は、鬼塚の行動に驚いた。しかし、龍二はすぐに鬼塚を見て腑に落ちた。こいつは昔からそういうやつだったと。
「わかった、とりあえず少しでも何かわかったら連絡する。龍二、今度コーヒー2杯頼むから今回はすまねえな。」
そう言うと二宮は店を出て行った。
「しかし、英吉お前はどうすんだ?」
「明日行動にでる。何、心配すんな。グレートに決めてやっからよお。」
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