雨の日は流石にいないと思うじゃん?いるんだよなぁ、グレートな奴がよお ♯11
11話
翌日、鬼塚は、凛とことり、穂乃果、海未を除いたμ'sメンバーと共に龍二の店に来ていた。μ'sメンバーは、大皿に盛られた龍二の手料理をモリモリと食べていた。
「龍二さん!すっごく美味しいです!」
「おお、ありがとな。」
花陽は、龍二の手料理を絶賛していた。鬼塚は、震える手で財布から金を取り出し龍二に渡した。
「よーし、おめえら。俺のなけなしの金で奢った飯だ。頼みがある。」
鬼塚は、珍しく頭を下げた。
「ちょっと何よ、らしくないわね。」
真姫は、鬼塚らしくない行動に疑問を抱くが鬼塚は即答した。
「南の弱点を教えてくれ。」
鬼塚の言葉に唖然とする真姫達。
「弱点だなんて物騒な話やんな?」
「南を説得したいんだけどよ、高坂の時みたいにはいかねえと思ってな。弱点さえわかれば説得しやすいだろ。」
希にそう答えるが皆はあまりいい表情をしていなかった。
「弱点なんてやらしいこと考えてないでビシッと言ってやりゃいいのよ!」
にこは鬼塚にそう答えた。
「まあ、そう簡単にはいかないから先生もこんなこと言ってるんだろうけど。」
真姫は髪を指でくるくる巻きながら言った。
鬼塚は、頭を抱えながら必死にことりの攻略法を考えていた。
「そういえばことりちゃんは今なにしてるんだろう?」
花陽は、ことりの現状を気にしだした。ことりいじめが始まってまだ2日だがもはやことりは学校に来ていなかった。その後、幸い、落書きなどのことりへの嫌がらせは見られないが理事長も穂乃果のことがあったからか心配していたことを鬼塚は花陽達に話した。
「家にいるのがわかってるならこれからみんなでことりの家に行ってみない?」
絵里は穂乃果と海未と合流し、ことりを説得することを提案した。しかし、鬼塚はそれに反論した。
「いや、それはダメだ。あーいうのに慰めは逆効果だ。園田や高坂がいたらなおさらな。」
「じゃあ、どうするのよ?」
にこの疑問に鬼塚は答えた。
「なぁに、俺に任せとけよ。グレートに決めてやるからよ。」
その日の夜、鬼塚は1人で南の自宅に訪れた。玄関から出てきたのは理事長だった。
「お、鬼塚先生!」
「うっす、理事長。家庭訪問にきました。」
鬼塚の突然の訪問に唖然とする理事長。ひとまず鬼塚を部屋に招く。
「うおお、さっすが理事長っすね。こんなでかいアパートの部屋見たことないっすよ。」
「これでも一応学校の運営を任されてますからね。それで、先生...ことりのことですよね?」
理事長は、鬼塚の考えをなんとなくだが察していた。
「はい、南は部屋っすか?」
「ええ、でも...こう言ったら失礼ですけど穂乃果ちゃんのような感じで部屋に引きこもってるんです。」
理事長は、ことりのことを説明しながら困惑する様子を見せた。自分の運営している学校で自分の娘がいじめにあっていることをなかなか受け入れられずにいた。すると鬼塚は、ことりの部屋の前に立った。
「南〜、ずっとここにいんのか〜?」
「ち、ちょっと先生!」
理事長は、鬼塚の行動に驚きながらもことりの反応を伺った。しかし、部屋の扉が開いたかと思うと、ことりからは、思いの外明るい声での返答があった。
「先生、私なら大丈夫ですよ!明日からまた学校行きますから!」
鬼塚と理事長は、声が出なかった。想像よりも事態は深刻ではなかったのではないかと思うほど、ことりは明るい様子だった。
「そ、そうか。心配して損したぜ。待ってるからな。」
「はい!ありがとうございます!」
鬼塚に笑顔でそう答えることり。一切おかしな様子を見せることなく部屋の扉を閉めた。
「こ、ことり...昨日はあんなに泣いてたのに。」
理事長は、そんなことりに違和感を隠せなかった。それは、鬼塚も一緒だった。
翌日、ことりはいつもと変わらず明るい様子で登校してきた。幸い、鬼塚の指導のおかげで悪さをする生徒はいなかったがあんな仕打ちを受けた者とは思えない明るい様子に穂乃果や海未を含めたクラスメイトはことりに困惑した。
「ことり...無理をしてるようには思えませんが...」
海未は、穂乃果と共にことりの様子を観察したが特に変わった様子を見せなかった。その日はそれで終わった。しかし、翌日、ことりは自宅で首を吊ろうとしているところを理事長に発見された。
ここのサイトで、μ'sのメンバーでss書いてる人を数年振りくらいに見かけたので、思わず1話から一気に読みました。
むかーーし単行本で読んだ(約20年前の方)鬼塚のまんまで、なんかこう懐かしくなりましたw
μ'sのメンバーも、脳内再生余裕でした!