2022-08-19 15:21:57 更新

概要

総集編です。



???『健一さん、大好きっ!』



???『あなたのことが…す、好きよ!』



???『健一様…もっと愛して下さい』



???『私は君のことが……』



もしゲームの世界に生きることになったら…


推しから本当に愛されるようになったら………




俺の名は佐藤健一。まあ普通の高2である。ついでに言うとゲーヲタである。今日は『ストーリーズ』(俺がやっているゲーム)のイベントで外出している。さて、会場はこのへんか……っ!?



???『君!危ない!』



……えっ?


 


目の前にはおそらく俺と同じくらいの歳だと思われる女子学生、そして明らかに信号無視したであろう暴走車。



 違う。あの子って…アリ……っ!?



 体が勝手に動く。


 


 人は誰かを助ける為なら考えを捨てるらしい。



とっさにその子を押し、気づいたときにはーーー




         ドンッ!




…ああ、死んだな。本当、あっさりしてるなぁ。というか、会場の手前で死んだなんて、ファンとして恥さらしにも程があるだろうなぁ……




    あの子は……救われたのかな?





    『………シテ……ドウシテ……』



 えっ、声……?それもおそらく女子の……



  『ドウシテ、タスケタノ………?』



 えーっと、これは俺の中での仮定の話だ。多分この声はさっき助けた女の子の声だろう。仮にそれが合ってるとすると……



健一『あの状況で助けない訳ないよね?』



???『そう…私、あなたの世界の人じゃないのによく助ける気に…』



健一『ちょっと待ってわからないんだけど』



???『だろうね……私はアリス・ノブリス。私自身の世界の、あなたとは違う世界の住人。』



健一『えっ……アリス?』



(そうだ…俺が助けたのはアリスの服を着た…本物?)



アリス『ん?どうしたんだ?』



健一『いや、あのとりあえず、元の世界に帰して欲しいんですけど』



アリス『それは出来ない。なぜなら君は私をかばって死んだからだ。』



健一(やっぱり俺は死んだんだ…いやそんなことどうだって良い!彼女が本物のアリス…俺の推しだとするならば……)



アリス『全く…私のような人をかばって死を迎えるなんて…君も不運だな…ただ私はさっきも言った通り生き返してやる力はない…本当不運だな』



健一『いやSSクラスの癖に使えないな……』



アリス『そんな言い方……ちょっと待て、君はなぜ私がSSクラスだと知っているんだ?』



健一『あ、俺あなたの世界知ってるんで…全ルートクリアして、エンドロール世界謳歌中なんで』



アリス『……私はゲームの中の存在なのか?よくわからないが…とりあえず、君を死なせてしまったお詫びと、助けてもらったお礼として、私の世界に招待しよう。』



   


    『最高級の待遇をもって。』




健一『……ん?って、これ!』


 


この場所…この建物…知っている。どうやら俺はストーリーズの世界に転生したらしい。見る風景が基本それだからである。ところで、彼女の言っている『最高級の待遇』とは……?




アリス『どうも。君が“クリア”した世界へ。』



健一『んで、最高級の待遇って?』



アリス『君がクリアしたそのものにした。』



健一『強くてニューゲームってやつか。ん?』



???『健一さ~ん!』



健一『ちょっうわっ!痛て………って、リン!』



リン『そうだよ~!会いたかったよ!だって健一さん、ずっと帰ってこなかったんだもん!』



彼女はリン・ナタリア。俺の(ゲーム内での)ヒロイン2である。(えっ1?アリスでしょ。)



???『はあ……ずっとって、たかだか二時間とかの話じゃないのよ』



リン『も~う、ノートは健一さんに冷たすぎ!そんな態度とってると、リンが健一さんのこと取っちゃうよ~!』



ノート『なっ………!?』



彼女はノート。ヒロインその3。名字もないのを俺が拾ったら寄ってきた。



いや、それ以前に彼女らはそれぞれ『別ルート』のヒロインなはずであり、共存はありえないはずなのだが…どういうことだ?



アリス『あ、ヒロイン一人だと寂しいだろうから、全員呼んでみた。私も含めハーレム生活を楽しもうじゃないか。』



えっ……この作品でハーレムはまずくないか?


ゲーム自体が狂う、というか全員まとめて攻略するの無理ゲーじゃない?



アリス『安心しろ。全員攻略後にしておいた。』



 じゃ、安心だな。……ん?




モンスター『グルルル………』


さてどうするか……今俺の推測が当たっているなら、俺はクリア後の能力を使える訳だ。なら……



    


    『(手を前に出し)“消し飛べ”』




モンスター『ズウゥゥゥン………(倒れる)』



やっぱりだ…!俺のクリア後の能力はーーー



アリス『言ったことが現実になる能力。』



あっ。そういえば彼女の能力は相手の言動を予測するものだった。くそ、決める場面だったのに。



リン『あ~!デカブツだ~!』



ノート『言ってくれれば仕留めてあげたのに』



リン『そうやって好かれようとして~!』



ノート『そっ、そんなことないのに!』



アリス『そんなこと言うと思ったよ』



こんな人達と三人と同居するのか…一人でも結構つらいのに負担三倍どころじゃないよな……



2章


~この世界について~


健一『ゲームでも最強クラスの力が手に入っていたようだ。てかよく考えてみたら言ったことが現実になる能力って無双どころか下手すれば世界の支配すら可能じゃないか……』



アリス『誰に話しているんだ?』



健一『いや……って!聞こえてたのかよ!?』



アリス『聞こえてたも何も…全部だだ漏れだよ』



健一『あ、そう…(いや恥ずかしいな!)』



アリス『お前たまに空間に話しかけるよな』



健一『うっ…てか、リンとノートは?』



アリス『あいつらなら……』




リン『あ~!また負けた~……』



ノート『私が赤コウラを取ったのが運の尽きだったわね!』



健一『またマリカーかよ…(スマブラやれよ)』



(…あ、そういえばこの世界、能力やモンスター云々以外は基本的に元いた世界とほぼ同じだからこのようにネット回線もあればスイッチもあるからな…(ぶっちゃけこれがあるからこのゲームやってたんだよなぁ……))



リン『あっ!健一さんもマリカーやる?』



健一『俺?いや俺スマブラやりたいから』



ノート『ならやろうじゃないの!』



~大乱闘~


ノート『しかし、本当にこのスイッチというのは楽しいわね』



リン『本当にね~』



アリス『お前達、珍しく気が合うんだな』



健一『じゃ、セット終わったからファイター選んでくれ……あ、アリスはカウンター使い禁止な』



アリス『ちょっと待て私だけハンデ付きかよ』



健一『いやお前相手の動き読めるんだから全部カウンターで処理するだろ。というかこの前俺の攻撃全部カウンターで戻したじゃねーか』



アリス『まあ、そうなるとつまらないか……』



リン『じゃああれ使ったら?そのゴリラ!』



ノート『あ!今ドンキー馬鹿にしたわね!もう怒った!叩き落としてやる!\ドンキーコング/』



リン『じゃあリンは……\クラウド!/』



アリス『お前がそれ使うのかよ……じゃ条件付けられたし、これでいいか\ウルフ!/』



健一『じゃ俺はこれ使ってみるか\リュカ!/』



三人『『『それ使うの!?』』』


        


   (バトル開始)



リン『あっメテオで叩き落とされた!』



ノート『ふっふーん言ったでしょう?ドンキーを馬鹿にするなって』



リュカ『PKフリーズ!』(キーンッ!)



ノート『ああっ!(撃墜)』



健一『でかいからいい的だった』


        


        (数分経過)



ノート『それ!その炎がうざいのよ!』



アリス『全部リフレクターで跳ね返す!』



健一『カウンターとほぼ同じじゃねーか!』



ノート『てか掴ませなさいよ!ドンキーは掴むこ


とでその強さを発揮するのよ?』



リン『リミットブレイクから……凶斬り!』



アリス『……あっ(撃墜)』



リュカ『はあああっ…!』



ノート『あ!(撃墜)その上スマが強いのよ!』



リン『ためてためて……』



リュカ『PKフリーズ!』



リン『(キーン!)あぁ~……』




健一『あ、何か勝ってた』



リン『アリス全然本気出してない!』



アリス『負けたら可愛そうだと思って』



リン『む~!こんなの駄目もう一回!』



健一『もう俺疲れたから見てるわ』



リン『そうだ!この戦いで勝った人が健一さんを1日好きにできるってのは?それなら絶対本気でやるでしょ?』



健一『えっちょっと待って俺に拒否権は!?てかこんなので本気になるはずが…』



アリス『……全力で叩きのめしてやるよ』



健一『やる気ですか、そうですか……』



ノート『好きにって何してもいい、の……?』



リン『えっちなこと以外ならなんでも!』



健一(あ、俺に拒否権ないのね)



ノート『やる気出てきたわ!』




アリス『ふう…やりすぎたか』



リン『全部カウンターはずるいって!』



アリス『えっ?本気出していいのだろう?』



ノート『負けた…この私が?それもデートする権利を賭けた戦いに……?』



リン『じゃあしょうがないよねー』



アリス『あ、えっ…?』(こんなことで好感度上げたくないんだけど)



リン『早く行ってよねー』



アリス『…ということで、頼むよ』



健一『…ああ!分かったよ』



                3章


~買い物~


健一『さて、アリスはここで待っててくれと言っていたけど……』



アリス『待ったか?』



健一『いや…(うっ!何だこの可愛さは!流石ゲー


ム内での俺の最推しということはあるな…)』



アリス『服の数が他人より少ない私なりに選んだのだが、どうだ?』



健一『いや…めちゃめちゃ似合ってる』



アリス『そうか……じゃあ行きたい場所があるから付き合ってくれ』



健一『えっ付き合ってって…』



アリス『そこに反応するなよ……既に付き合っているようなものだろう』



健一『あっそうか!君がそうしてくれたんだ』



アリス『…?何を言っているんだ?』



健一(あれ?記憶が無くなってる?)



アリス『じゃあ行こうか』




健一『どこに行くんだ?』



アリス『服屋だ。流石にこの格好ではな……似合ってるって言ってくれたとは言え、人前でのお世辞なんだろう?』



健一『えっ?いや単純に凄く似合ってるからそう言っただけなんだけど』



アリス『えっ……そうか』



健一『ん?何でそんなに…っ!』

(あっやったわ似合ってるとか恥ずいなぁ!)



アリス『じゃあ、服屋はいいや。ならゲーセンなんてどうだろうか?』



健一『お前は本当にゲームが好きだなぁ』



アリス『リン達程ではないだろう』



健一『いや同じだわ。まあいいや。行くか』




リン『あの二人デートなんてずるいよ~』



ノート『そうね……』



リン『ノートは羨ましくないの?』



ノート『羨ましいわよ!これから何するのか…無いとは思うけど、えっちなことしたらすぐ止めるわよ!』



リン『了か~い』(尾行中)




健一『よっしゃフルコンボ!』



アリス『なかなかやるじゃないか』



健一『アリスって悔しがらないよなぁ』



アリス『めったに悔しいと感じないからな』



健一『じゃあリンやノートと遊んでるときのあの楽しそうな表情って』



アリス『それは…』



健一『気を取り直してクレーンやるか』



アリス『お、おう……』




ノート『あいつら何もしないじゃない』



リン『ノート的にはそれでいいんじゃな~い』



ノート『そうなんだけど……』




アリス『っ!またか…』



健一『あの…どうした?』



アリス『クレーンはなぜか動き読めないんだよ』



健一『無機物には効果ないのか?』



アリス『かもしれないなぁ』



健一『俺に任せろ。絶対取る』



アリス『えっもしや……』



健一『(手を出し)“このクッションは絶対取る”』



アリス『なるほどその手があったか!もっと早く頼んどけば良かったかもしれん……金残せたわ』



健一『(ボトッ)ほら取れた』



アリス『…まあ、とりあえずありがと(ニコッ)』



健一(笑ってくれると本当可愛いんだよなぁ)




健一『俺ちょっとトイレ行くわ』



アリス『そう。じゃあここで待ってる』



健一『すまんなぁ』



アリス『一人になってしまったか…ん?』



盗賊A『お嬢さん金持ってそうだな』



盗賊B『それに綺麗だ……兄貴、この子パーティーに入れるか』



A『お、いいなそれ!んじゃお嬢さん、俺のパーティーに来いよ』(ガシッ)



アリス(っ!相手の行動を読んで……振りほどいたら別の盗賊に襲われて……あと魔法使ってもいいけどそうするとみんなに迷惑かかるし…)



A『ほら行くぞ、お前は俺らの下で一生癒してくれたらそれでいいんだよ!』



アリス『(くっ、仕方ない……)』



『盗賊の手が離れる』



A『ん?ぐっ、か、体が勝手に!』



健一『俺のアリスに触るな』



アリス『遅いんだよ』



健一『助けておいてそれかよ……まあいいか』



B『兄貴大丈夫ッスか!?』



A『くっそ…てめえ邪魔しやがって……!(ナタを振りかざし接近)』



健一『吹き飛べ』



A、B『『う、ぐっ、ぐわあああ!(吹き飛ぶ)』』



アリス『……すまない、私がとっさに判断できな


かったばかりに』



健一『いいよ……助けられたし』



アリス『…最後にリン達へのお土産でも買って帰るか』



健一『そうだな』



アリス『………健一』



健一『ん?どうした?』



アリス『……好きだ』



健一『!?……急にどうした!?』



アリス『えっ?あ、いや、そう思ったから……』



健一『あ、これ俺も言わなきゃ駄目な感じ?』



アリス『駄目って言ったら?』



健一(あ、この人キャラ作ってるな…)



アリス『いや、別に言わなくてもいいけど』



健一『……あ、やっぱり俺も言いたいから言うよ?』



アリス『…別にいいよ』



健一『じゃあ……俺も好きだよ、アリス』



アリス『……誰も見てないよな?』



健一『誰も見てないと思うよ』



アリス『じゃあもう一度……あっ』




ノート『あいつら…公然でイチャついて……!』



リン『ず~る~い~!アリスばっかりあんな扱い受けて!』



アリス『……それで、その…そこにいる君達はいつまで尾行してるんだ?』



二人『『ええっ!?』』



                 続く


【おまけ】

リン『健一さんってやっぱりアリスのことが一番好きなんですか~?』


ノート『えっちなことはしてなかったとは言え、アリス一人だけあんなにいい扱いをしたというのはどういうことかしら?』


健一『元はリンの一言が原因だろ!?というかアリス、こいつら尾行してること知っててあんなこと言ったのかよ!なぁアリス!……アリス!?』


アリス『……(自分がとっさに言った好きという言葉に動揺している)』




健一『ぐう…ぐう……』


???『……んっ(モゾモゾ)』


健一『ん…何だよ……(寝返りを打つ)』


???『へっ?』


~目覚め~


健一『……ん…?』



リン『ん…おはようございます……』



健一『ん?……リ、リン!?』



リン『おはよ~…なあんだ健一さん、リンと一緒に寝たかったんだったらそう言ってくれたらよかったのにぃ…』



健一『お前が勝手に来たんだろ!?』



リン『え~そうだったっけ~?』



健一『まずいつ来たんだよ!?俺全然分かんなかったよ!』



リン『えっ……?(そっか…健一さんにとってリンってそれくらいの存在なんだ……)』



健一『あっ…(しまったしょんぼりしてる…)いや冗談だから!本当は気付いてたから!』



リン『そっか~!健一さんのことだからすぐ気付いてくれると思ったよ~』



健一『お、おう…(良かった……)それで、今日何か嬉しそうだな』



リン『ん?だって今日は健一さん、リンだけのものだから!』



健一『えっ、それってどういう…』



リン『だって今日、アリスは討伐クエストでいないし、ノートは市場のセールに行くって出ていっていないし』



健一『……(今までリンと二人っきりになったことなんてあったか?いや多分ない)』



リン『何考えてるの?リンと二人っきりで嬉しい?』



健一『いやまあ…あっ』



健一『あ、嬉しいよ!んでいつまで抱きついてるの?』



リン『ん~?リンが満足するまでず~っとだよ』



健一『あ、そう……(これ夜までずっと動けなくなって結局そのまま寝てしまうのでは……?)』



リン『(ぐうう~)ん?お腹鳴っちゃった……朝ごはんにしよっ!よいしょっと(手を離し立つ)』



健一『(やっと解放された……)』



リン『朝ごはん作ってあげるからちょっと待っててね!』



健一『あ、別に俺作るけど?』



リン『ん~?今日はリンが作ってあげるから健一さんは座って待ってくれたらそれでいいよ!』



健一『……じゃ、お願いします』



~味噌汁~


リン『ほ~らできたよ~』



健一『…15分しか経ってないな……』



リン『え~だってリン、何でも作れるから!』



健一『まあそうなんだけど……』



リン・ナタリア。“創造”の能力を持っており、生命以外の万物を一瞬にして創造できる!…にしては朝ごはん出るの遅くない?



健一『…あれ?これって……』



リン『それ?そうそう!味噌の場所が分からなくてちょっと時間かかっちゃったんだ~!』



健一『いやこれくらい一瞬で作れるだろ?』



リン『え~このお味噌汁の意味が分かんない?』



健一『味噌汁の意味……?』



リン『これから毎日作ってあげるね!』



健一『(味噌汁を…毎日……?)』



リン『えっやっぱり分かんない……?(そっか…健一さんにとってリンって全然そういう風に見られてないんだ……)』



健一『ん?はっ!(そうか!一瞬で作れるのにわざわざ味噌汁「だけ」作ったってことは…ここまでは分かるんだが…意味……?)』



リン『(結局リンはアリス達に勝てないんだ…そっか……じゃあここにいる意味も……)』



健一『(考えても分からん……とりあえず飲んでみるか……)』(ズズッ)



健一『んっ!旨い!リン、これ凄く美味しい!これからも作ってくれ!ん~本当に旨いな!』



リン『(まあ、美味しいって思ってくれたからそれでいっか!)』



健一『うん!これ最高だなぁ!』



リン『じゃあ毎日作ってあげるねっ!』



健一『おう!頼むよ!』



リン『(えっ?じゃあリン、健一さんとず~っと一緒ってことだ!やった~!)』



健一『ん?どうしたリン?何か嬉しそうだなぁ』



リン『えっ?(結局意味は分かってなさそうだけど……それでもいいや)』


その頃、商店街


ノート『(当たってしまった…遊園地のペアチケット……私達あの人を誘えるの……?というか、私絶叫系苦手なのになぁ……)』




~お誘い~


リン『あ~!下投げで埋めないでよ~!』



健一『そして上スマ!』



リン『(キーン!)あ~……また負けた~……』



健一『どうよ?これがロボットの即死コン!100超えてからやると確実にストック取れるんだよ』



ノート『(ガチャッ)た、ただいま……』



健一『おうお帰り…どうした?随分顔赤いが…まさか熱か!?測ってやるよ!』



ノート『えっ?(ピタッ)……へっ!?』



健一『熱はないみたいだな……』



ノート『いや、痛くない!どこも痛くない!』



健一『そうか……ん?それ何だ?』



ノート『えっ!?ああこれ?いやその…ゆ、遊園地のペアチケットが当たったから、その……良かったら、今度……ふ、二人で行く?』



リン『えっ、二人きり…?(健一さん、どうするのかなぁ……?)』



健一『おう、いいぞ!んじゃ予定開けとくわ』



二人『『えっ!?』』



ノート(まさか…本当に行くことになってしまうとは…絶叫系苦手ってバレたら嫌われないかなぁ…大丈夫かな…)



リン(行くんだ健一さん……味噌汁のときといい、もう少し敏感になってくれないかなぁ)




ノート『楽しみね!』



健一『そんなに楽しみ?』



ノート『当たり前よ!私、あなたと二人で遊園地行くの夢だったから』



健一『何か乗りたいのとかある?』



ノート『乗りたいのはないけど、花火が見たいわね!二人で花火なんてロマンでしょ?』



健一『そうか…じゃあ花火見ようか!あと俺はそうだな…あっそうだ!フリーフォールとか行きたいなぁ!俺あれ乗ったことないからさ』



ノート『えっ!フ、フリー…』



健一『ん?どうした?』



ノート『えっ?い、いや!何でもないから!』



健一『そうか?なら良いけど』



~それぞれの準備~


ノート(ついに夢だった二人で遊園地デートっていうのが叶うんだ……でもデートのときって何着てけばいいんだろう……)




健一『これか?いやこっちの方がいいか?』



アリス『ん?どうした?今日は随分服装にこだわるんだな』



健一『いや、今日ノートと遊園地に行くから、一応外行きの服装をした方がいいだろ?』



アリス『ん?それは二人で行くのか?』



健一『おう、チケットが二人分しかないらしい』



アリス『それはつまり、デートということか?』



健一『えっ?…(そうか!つまりそういうことになるのか!?じゃあリンの前で了承したのって相当不味かったか!?)』



アリス『お前まさかリンの前で了承したのか?』



健一『もうアリスに隠しごとはできないな…』



アリス『まあ今そこはいいだろう。しかし、二人きりでデートか……』



健一『ああ大丈夫。結局俺が一番好きなのはアリスだから』



アリス『なっ!?(そうだ、こいつの無意識な一言はいつも読めないんだった……)』



健一『ん?アリス、大丈夫か?』



~遊園地~


ノート(悩みに悩んだ結果、結局いつもとほぼ同じような服装になってしまった……というより持ってる服少なすぎるでしょ私!)



健一『おう、すまんな遅くなって。何か財布無くなってて探してたから』



ノート『あ、そうなの?』



健一『ところでその服装似合ってるなぁ』



ノート『えっ!?いやいつもとそんなに変わらないと思うけど…』



健一『そうだとしても何か今日はよく見えるな』



ノート『あ、そう?(良かった、三時間選びに選んだかいがあったなぁ……)』




ノート『結構混んでるわね…これじゃ乗りたいやつ全部乗れないかも……』



健一『大丈夫。このくらいの行列、俺の力があれば一瞬でどけられるから』



ノート『いや、あっ!私は待ってる時間も好きだから、このまま待ってもいい?』



健一『別にいいけど…お前も変わってるよな、待ってるのが好きだなんて。俺には全然分かんないや』



ノート『そう……(この人、どんだけ鈍いのよ)』




ノート(何でこの人は絶叫No.1のやつに乗りたがるのよ!)



健一『ん、どうした?怖いのか?』



ノート『い、いや!全然怖くないし!』



健一『ならいいんだけど』



ノート(本当は今すぐ心臓が口から出るくらい怖いわよ……でもここで怖いとか言ったら何か嫌われそうだし…)



健一『来るぞ来るぞ来るぞ……!』



ノート(やばい思ってたより全然高い……流石高さ60mは伊達じゃない!)



健一『(ヒュー)うおおおおおお!!』



ノート『いやああああああ!?』



健一『やべえなこれ!めっちゃ回るなこれ!すげえ楽しいなぁ!』



ノート『ぎえええええっっ!?』



健一『おい大丈夫か!?おい!?』



ノート『ああああ……』




ノート『おええええっ……』



健一『おい大丈夫か?ごめんな、無理させて』



ノート『無理なんて…(こんなので吐くなんて…どんだけ駄目なのよ私!)』



健一『ごめんな…お前が絶叫系無理なこと知らなくて、俺が乗りたいからって……』



ノート『大丈夫、全然行けるから……(ああ、余計な心配かけさせちゃった…私のせいで……)』



健一『じゃあ次は、あのメリーゴーラウンドに行く?』



ノート『えっ、でも昨日フリーフォールに行きたいって言ってたじゃないの!』



健一『いやあれかなり怖いよ?だから多分駄目だろうなって』



ノート『私に気を遣わないで』



健一『いや、でもなぁ……』



ノート『私は大丈夫。それに今日は予定開けてくれたんだから、乗りたいのに乗って欲しいの』



健一『い、いいのか…?じゃあ……』




ノート(さっきより全然高い……でもこれは落ちるだけ…そう落ちるだけ…)



健一『……』



ノート『(ビュー)ああああああ!?』



健一『うおわああああ!?』




ノート『うう……つらい……』



健一『大丈夫か?やっぱり、俺のせいで……そろそろ帰るか?』



ノート『それだけは嫌よ!私、今日は二人っきりで楽しむって決めたの!』



健一『……どうした?今日、何か変だよ?何か悩みごとでもあるのか?良かったら、話してくれないか?』



ノート『いや、私のことであなたに嫌な思いさせたくないし……』



健一『むしろ分からない方が嫌だよ』



ノート『…私、焦ってたの。あなたが他の人と仲良くしてるのを見て……』



健一『そんな焦ることしたかな?』



ノート『あなたは何も気付かないのね……』



健一『何かあったのか?』



ノート『うん……私、あなたがアリスとゲーセンに行ったり、毎日リンの作った味噌汁を飲みたいって言ったことを聞いて、そういえば私って対して思い出残してないし、それに予知できるわけでもないし、創造能力なんていい能力持ってないから、いずれあの二人のどっちかに置いて行かれて、前みたいに捨てられるんじゃないかって……だからチケット当たったとき、二人っきりで居られることが嬉しかったの。それで嫌われないように、苦手な絶叫系無理して乗ったり、あなたにずっと合わせてたりしたけど、それも限界で…私のこと、嫌いになったわよね?』



健一『そんな訳ないだろ!俺にとってノートは大切な人なんだよ!』



ノート『そ、そうなのね…』



健一『でも悪いことしたな…じゃあ最後に一つだけ、わがままに付き合ってくれる?』



ノート『えっ、わがままって……』



健一(手を握る)



ノート『えっ!?手……』




ノート『ここって…(ドーン)えっ!?』



健一『……どうしても君にこれを見せたかった』



ノート『ここ……最前席じゃない!どうやって取ったの!?』



健一『俺の力は“確率”すらねじ曲げられる』



ノート『…最前席で花火って……』



健一『前言ってただろ?一番近くで花火を見たいって。だから俺の力で取ってやった。でも……』



ノート『ん?』



健一『人の心だけは変えられないから……ごめんな、今までお前の気持ちに気付いてあげられなくて……(ギュッ)』



ノート『えっ!?』



健一『俺はお前と一緒にいたい…もちろんアリスやリンとも。だけど今は、お前だけのものだから何も気を遣わないでいい。むしろ俺に何でも言って欲しい…やれるだけのことは……』



ノート『一番いい場所で花火を見せて…その上こんなことして…こんなのずるいよ……』



健一『元々限りなくずるい方法でここの席取ったんだし』



ノート『……そうね』




ノート『…じゃあ私も一つだけ、わがままを言ってもいい?』



健一『……ああ、もちろんだ』



ノート『もう少し、このままいてもいい……?』



健一『…気が済むまでこうしてたらいいよ』



ノート『……あなたの体、あったかい…』



健一『…君の体もだよ』



ノート『……私、あなたに拾われて良かった…もしあのままだったらこんな思い出なんて無かったと思う…アリスやリンにも出会えないし、何よりあなたと出会えて無かったら……』



健一『俺もお前に出会って無かったら…こんな風に思えなかったと思うから…だから……』



健一『ノート…』



ノート『はい』



健一『…お前が好きだ』



ノート『………はい。私も大好きです』


続く


5

~挑戦~


健一『ふああ…眠いな…あれ?アリス?リン?ノート?誰もいないのか?ん?何これ?(ピラッ)』



???『お宅の娘さん達は頂いた。返して欲しいなら指定した場所に来い。 オーザー』



健一『……』


一つだけ分かっていることがあるならこれは多分罠だ。頭では分かっている。頭では……



~サイン遺跡~


健一『(ここに来ると嫌な思い出しかないな……それにしても、ここはゲームでやってたときより大分狭く感じるなぁ…)』



バー『そこの者……見覚えがないな』



ナウル『誰だ?我が主の邪魔をする者なら立ち去ってもらおう!』



健一『俺はお前ら見覚えあるよ?それと君らの言っている主から聞いてない?』



バー『ということは……我が主の妃になる者達を取り返しに来た者だな?』



健一『だいたいそうだな』



ナウル『なら……帰ってもらおう!』(攻撃開始)



健一『…っ!速いな……あいつの動きを……』



ナウル『させるか!爆発!!』



健一『(ドンッ!)くっ…命令する暇もないか』



バー『恨みはないが、我が主の命令とあれば!』



健一『体力が……あいつらは!?』



~王の遊び~


アリス『ん?ここは……』



オーザー『目覚めたか。ここは俺の王宮だ』



アリス『君は一体……』



オーザー『俺はオーザー。ここの……王だ。』



リン『う~ん……あれ?ここどこ?』



ノート『ていうか縛られているのにそんな悠長に行くのね……っ!あなたは…オーザー!』



オーザー『No.9171。奴隷に王が言う言葉ではないが……お帰りと言っておくか』



リン『ノート、この人知ってるの?』



ノート『知っているも何も、私はこいつの奴隷として利用させられ欲求の捌け口にされていたときにあの人に拾われたんだもの……』



オーザー『そんなこともあったな』



ノート『はっ!まさかまた!?』



オーザー『いや、今回はそんなことじゃない。というのもお前らに俺の妻になってもらいたい』



アリス『嫌だ、と言ったら?』


オーザー『俺の洗脳能力で強制的に妻となってもらう。ただ俺は強硬手段は嫌いだからね……』


(指を鳴らす)



触手『ジュルルル……』



ノート『これは!?』



オーザー『こいつらと遊んでもらおう。そしてその遊びっぷりで最初の妻を決めることにする』



リン『こんなの……えい!(ミサイル錬成)』



触手『(ドーンッ!)ジュルルル……ヌポッ!』



ノート『再生した!?』



オーザー『こいつらは倒しても再生する。そして無限に増殖する!』



アリス『これだけ多いと予知が使いものにならないか……なら!範囲爆発!』



触手『(ドン!)ウウ……ヌポッ!』




健一『(…隙がないな)』



ナウル『バー、あの技で終わりにしよう!』



バー『あれか!お前はこれで終わりだ!』



健一『(隙が…今だ!)お前ら俺の命令に従え!』




アリス『きりがない……』



リン『(バシッ!)う~何か力が抜ける…』



オーザー『はい脱落~。残りは……』



ノート『くっ……(バシッ!)うっ、ああ~っ!』



オーザー『ふむ……決めた!』



アリス『何だ?くっ、数が……』



オーザー『最初の妻はお前にする!触手共、いっぱい追い詰めてやれ!』



アリス『ここまでか…すまないな、健一…』


 


    『扉開けッ!』(バタンッ!)



健一『俺のものに手を出すな』



オーザー『何っ!?あの二人は?命令できない程の高速攻撃は!?トラップはどうなった!?』



健一『こいつらに外させた』



バー、ナウル『……』



オーザー『なぜだ!?お前は人の心を操作できないはずだ!』



健一『そうだよ。だからこいつらの“動き”を操作してるだけだ…こいつらに意志はない』



オーザー『そいつらに隙はないはず!』



健一『なかったよ。だから作った』



オーザー『ならお前も洗脳してやる!』



健一『お前の洗脳は無効だ』



オーザー『なっ…だがこいつらは!?』



健一『お前ら…俺の命令に従え』



触手『ウッ…ウウ……』



健一『そいつらから離れろ』



触手『ジュル、ジュル……』



リン『(スルッ)う~…(倒れる)』



ノート『やっとか……』



オーザー『あ、あ…』



健一『触手……(クイッ)餌の時間だよ』



オーザー『なっ…このくらい!』



健一『ざっと数えて150本…これを一人で捌けたら褒めてやるよ』



オーザー『くそ……くそぉ!(バシッ)離れろ、離してくれ!うわああああ……』




健一『大丈夫か?』



ノート『私は大丈夫…』



リン『リンはちょっと無理…』



健一『そうか……なら担ぐわ。肩貸せる?』



リン『えへへ…』



ノート『なっ……!(疲れたふりをすればあの人の肩に乗せてもらえるの!?でも嘘をつくのは嫌われそうだし…)』



健一『んじゃ、行くか。』



ノート『あ、あの!』



健一『ん?どうしたノート?』



ノート『い、いや何でも……』



健一『そうか?ならいいんだが』



ノート(うう…あの人と距離を縮めるチャンスだったのに…)




~お風呂~


リン『うう、ぬるぬるする……』



アリス『そりゃ触手と戦ったからな』



ノート『気持ち悪い…やだぁ……』



健一『帰ったらお風呂入れよ』



ノート『そうね…これ早く取りたいし…』 



リン『じゃあ今一番ぬるぬるしてるリンが最初に入る~!』



ノート『はぁ!?一番は私よ!だから私が!』



リン『リンが一番最初に入るの!』



ノート『いいや私よ!』



アリス『間を取って最初に入ろうか?』



ノート『何の間よ!?』



健一『……もう全員で入れよ』



二人『『えっ…全員……?』』



健一『ん?…あ、いやおいちょっと待て』



リン『健一さん確か今日はリンと一緒に入る日なんだよね?』



ノート『はぁ!?そんな訳ないでしょ私よ!』



アリス『そもそもそんな日ないだろう?』



リン『え~?アリス忘れちゃったの?一週間に一回誰かと健一さんが一緒に入れる日を作ったじゃん!あ、アリスは健一さんに興味がないから忘れちゃったんだね!』



アリス『お前もう一回触手の所行くか?』



リン『それは…うえぇ、ごめんなさい……』



健一『まあ何でもいいけどとりあえず三人で入ってこいよ』



リン『えっ?健一さんも含めて全員でしょ?』



健一『いやそうはならないだろ』



アリス『いやこの場合は大体そうだろう』



健一『……嫌って言ったら?』



リン『ミサイル作って当ててあげる!』



健一(いやこの子怖っ!ひえぇ)



ノート(えっ、ってことはあの人がこれを了承したら私はあの人と一緒に…お、お風呂!?えっ、てことは私の…は、裸が!?)『うわあああっ!?』



健一『どうしたノート大丈夫か!?』



アリス『んで?どうするのか?』



健一(これ断ったらリン…だけじゃない他のメンバーにもミンチにされるのか……仕方ない)



~おふろ~


健一(確かゲームだと入浴シーン結構湯気で覆われてたからな…これつまり無修正verってこと!?)



ノート『何ボーッとして…はっ、まさかえっちなこと考えてたんじゃないでしょうね!?』



リン『そんなこと考えてるノートが一番えっちなんだよね~』



ノート『はぁ!?誰がえっちよ!』



アリス『というか今日風呂熱くないか?』



健一『そうか?それでノートはどこを見てるんだよ。そこ壁しかないだろ』



ノート『えっどこって…はっ!あなたは何私の裸


見ているのよ!何あなた変態なの!?』



アリス『お前の体で欲求晴らすやつなんていないだろう』



ノート『何ですって!?私の胸部が寂しいって言いたいの!?』



アリス『誰もそんなこと』



ノート『言ってないとしてもよ!心の中では確実に思ってるわね!』



リン『何かもうついて行けないよ~』



ノート『あなたはいいわね!その自慢の体であの人にアピールできるんだから!』



アリス『それで行けるならどんだけ楽だか…ってあいつほどではないだろう』



ノート『た、確かにそうだけど…』



健一『(…何かもう疲れた)』



リン『んふふ~!隙あり!(バシャッ!)』



健一『うおっ!急に抱きつくな!』



ノート『なっ!何してるのよリン!』



アリス『……後で私の部屋に来い。遊んでやる』



リン『すぐ離れるから許して~!』



ノート(リン程あの人に堂々と抱きついたりできるなら絶対楽なのになぁ…)



アリス『……お前もう出た方がいいだろう』



健一『ああそうだな……』



リン『じゃあリンが背中洗ってあげる!』



ノート『あなたいい加減にしなさい!』



健一『……アリス?』



アリス『何だ?』



健一『洗ってくれ』



三人『『『はぁ!?』』』



アリス『お前のぼせておかしくなったか』



ノート『なっ!?本当何であなたはそう普通に好きな人に対して暴言を放てるのよ!?』



リン『もう出る!健一さんのえっち!』



ノート『本当よ!後で私の部屋に来なさい!』



健一『えっ、あ、はい…』



アリス『いや面倒くさいな』




アリス『……さて、君はときどきこうやって自分のことを犠牲にして無理やり揉めごとを完結させているのだが…それを見る度悲しくなるよ』



健一『お前だけは悲しくなるなよ…それに今回はただの本音なんだし』



アリス『……?』



健一『本当に俺はお前に洗って欲しかった、ただそれだけだよ』



アリス『わざわざハーレムルートを提供してあげたというのに、結局私を選んでしまうんだな…』



健一『そりゃお前が…って、俺をこの世界に導いたこと、覚えてたのかよ!じゃああの時の反応はどういう意味だよ!?』



アリス『あれはただからかっただけだ』



健一『えっ、ああそうか…』



アリス『……痛くないか?もう少し強くした方がいいか?』



健一『気持ちいいよ…ありがとな』



アリス『別に…それと、さっきは私達が弱いばかりに敵に捕らわれてしまったこと、謝りたい』



健一『いいよ…無事ならもう』



アリス『それと…いつもひどいことばかり言ってしまって…素直になれないで』



健一『あいつらの前で素直になったらまた揉めるだろ?だから二人きりのときだけでいいよ』




健一『おう、じゃ交代だ』



アリス『頼んだ』



健一『(ゴシゴシ)どうだ?気持ちいいか?もう少し強くした方が良いか?痛くないか?』



アリス『いやちょうど良くて困るくらいだ』



健一『困る要素どこ?』



アリス『……なぁ』



健一『ん?』



アリス『…私、本当は、君のことが……』



ノート『(バタン!)こらーっ!!』



健一『ノート……リン!?』



ノート『二人っきりで洗いっこして、何が起こるのか見てたら、何いい雰囲気で抱き締めようとしてるのよ!』



リン『アリスって健一さんと二人っきりだと素直になるよね~えっちだね~』



アリス『……』



健一『もうそろそろ上がるか』



アリス『…ああ』




アリス『(私はああやって素直に抱き締められるリンが羨ましい。ああやって本心から今の気持ちが言えるノートが羨ましい)』



健一『もっと素直になっていいんだよ』



アリス『(そうなったら…楽だなぁ)』



ビュオオオッ


???『やっと会えますね……健一様』



                 続く




ノート『ここからメテオで!』



健一『(ビシッ!)ああ!本当ドンキーは空中メテオが強いなぁ!何とかしてドンキーに制空権を取りたいな…エルがいれば答え分かると思ったんだけどなぁ』



ノート『そういえばエル、帰って来ないわね…』



健一『王族限定で行われる食事会やら何やらで結構忙しいらしいな…(ガチャ)ん?』



    

      エル『ただいま帰りました』




健一『おおエル!お帰り!今回は随分長かったから結構心配してたんだよ』



エル『貴方様に心配されるなんて…エルは非常に嬉しいです』



健一『あ…そうだエル、聞きたいことがあるんだけど、帰って早々いいか?』



エル『ええ。エルは貴方様に頼りにされることが一番の生き甲斐でありますから』



健一『対ドンキーのコンボ教えてくれ!』


ノート『……は?』



健一『さっきからドンキーに空中制されて三連敗なんだ!助けてくれ!』



ノート『いや帰って早々聞きたいことそれ!?』



エル『分かりました。検索致します…』



ノート『エルはそれでいいの?』



エル『はい。エルは健一様に聞かれて頼られるなら何でもいいのです。』



ノート『あなたも変わってるわよねぇ…』


エル『検索結果が見つかりました』



健一『早速教えてくれ!』



エル『はい。ネスを使用します。まずつかんで下に投げます。そこで浮き上がるので空中前を出し空中上を繋げます。そこで下Bを出すと回転させられるのでそのタイミングで空中下を出せば落として上がれなくできます。以上です。』



健一『落下死には落下死か!ありがとう!』



エル『貴方様とお礼を言われることがエルにとって最高のご褒美でありますから。これからも何かあれば言ってください!』



ノート『…いい雰囲気なところ申し訳ないけれどそれをドンキー使いの私の前で言っていいの?』



二人『『……あ』』




健一『さて、そろそろ寝るか…』



エル『(ガチャ)すみません。エルです』



健一『お、どうした?』



エル『二ヶ月違う場所で寝ていたせいで、今の寝所で寝られなくなってしまいまして……』



健一『ああ、俺の力で寝かせてって?』



エル『いえ…それで検索したのですが、貴方様と一緒の布団に入れば確実に寝られるという結果が得られたので、添い寝をお願いしたいのです』



健一『…は?いや何で?お前の検索エンジンぶっ飛んでんの?大体俺の力でボンッてやった方が早いし、絶対他の奴らに怒られるわ』



エル『どうしてですか?貴方様はエルとの添い寝に好感を得ていたのではないですか。』



健一『いや…そんなことしたら多分翌日辺り俺が殺されるわ』



エル『大丈夫ですよ…もしそうなったらエルが彼女達を殺してでもお守りしますので』



健一(この子怖っ!やばい、ここで拒否したら俺殺されるよね?いやもう仕方ない……)




~添い寝~


エル『今日のこの時間貴方様はずっとエルのものです。誰にも邪魔されたくないですね』



健一(もう下手なことしたら俺殺されるのではなかろうか?手を出してどかせられるっちゃそうなんだけど……でもその…何か悪い気はしないな)



エル『あの…久しぶりに貴方様の隣で寝ることができてエルは非常に嬉しいです。ほら、エルの心臓も喜んでいるかのように鳴っております』



健一『(ピトッ)…っ!?(俺は今女の子の胸を触らされてるのか?夢か?俺もう夢の中なのか!?)』



エル『貴方様がエルの体を触っているなんて、これ以上嬉しいことはありません……エルはずっとこの感じを求めて生きていましたので』



健一『えっと、君が触らせてるんだよね?』



エル『このまま貴方様がエルの背中に反対の手も当てて、一言好きと言ってくださるだけでエルは寝られるのです』



健一(そんなことしたら俺が生きてられない!というか今の状況誰かに見られたら……)



アリス『(ガチャ)おいお前ら何やってるんだよ』



健一『えっアリス!?いやこれはだな!』



アリス『全部読んでたから分かってたわ……まあ他の奴らが見たら話は別だが』



健一『えっ?……あ』



リン『健一さん!何女の子の胸触っているの?』



ノート『はっ!何えっちなことして……ていうかあなた、やっぱり大きい方が好きなの!?』



アリス『はあ、おいエル……』



健一(やばいここで殺し合いが始まる…!)



アリス『何抜け駆けしてんだよ』



健一『……は?』



リン『そうだよ!リン達に内緒で健一さんを独り占めして!』



ノート『本当よ!エルはそういう所あるから私は油断できないのよ!』



アリス『……という訳で、入るよ』



健一『ん?ちょっと待ってお前ら来たら俺が横の奴に殺されるんだけど』



エル『エルが貴方様を殺す真似をする訳ないじゃないですか…皆様、エルの横にどうぞ』



健一『あ、そう……』



アリス『ていう訳だからそこどけ』



エル『え?エルは健一様のずっとおそばにいるので無理ですね』



リン『だめ!健一さんはリンのだからリンが隣で寝るの!』



ノート『いや!この人は私のものよ!この人の隣で寝るのは私よ!』



健一『ノート今日は攻めてるな』



ノート『えっ?……あ!隣で…あ、いやそうよその人と寝るのは私よ!』



エル『健一様はエルただ一人のですので残念ですが、ここを譲ることはできません』



アリス『これじゃあ寝れんな…』



リン『じゃあスマブラ!スマブラで決めよう!』



健一『寝れなくなるから止めとけ』



ノート『そうよ!この前私ドンキーをマスターするために夜中スマブラしまくったから寝られなくなったの!だから翌日辛い!もう私やだ!』



健一『だから急にメテオ上手くなったのか』



エル『ならエルがここで寝るから皆様は好きな場所に寝てください』



ノート『だからそれが嫌だって言ってんのよ!』



健一『もう俺があっちで寝るから全員ここで適当に寝てくれよ…』



アリス『そうなったら本末転倒だろう』



リン『あっそうだ健一さん!健一さんは誰と寝たいの?』



健一『それを答えると残りのメンバーから殺されるから絶対言わない』



アリス『ふう、もう私は適当な所で寝るから残り二人で決めてくれ』



健一『っ!?そら待ってくれ、待ってアリス!』



ノート『…その反応的に私達はお邪魔なようね』



リン『待ってよリンは健一さんと寝るの!』



健一『…じゃあもう四人で寝るか?』



三人『『『……えっ?』』』



その後健一の四隅で四人が寝ることで解決した。



               続く




健一(え~、四人の女の子に囲まれて全員に二人きりでのいちゃいちゃを望まれています佐藤です)



リン『健一さんはリンだけのものだよね?』



ノート『何ですって!?私のよ!』



エル『貴方達は分かっていませんね。勇者と王女の組み合わせって定番じゃないですか』



ノート『はあ!?それどこからの情報よ?』



リン『時々エルの検索って胡散臭いよね~』



エル『エルの結果は完璧ですよ』



健一(抱きしめてる者一名。それを阻止している者一名。漁夫の利を狙っている者一名。……えっ?三人じゃないかって?)



アリス『お前は何故振りほどこうとしない』



健一(あ、残り一名来た)



アリス『全く…こんな暑い中抱きしめたりしたら暑くてたまらんだろう』



リン『アリスは抱きしめたくないの?』



アリス『別にそんなことしたくない』



健一『えっ?』



リン『そうなの?じゃあリンまだこうしてる!』



ノート『アリスが良くても私が駄目なの!』



健一『耳元で喧嘩するなうるさいんだよ』



アリス『そう思ったなら能力で喧嘩止めろよ…お前自分の能力もまともに使えんのか』



健一『あ、いや…』



ノート『そんな言い方ないでしょ!』




健一(最近アリスの俺に対する言い方がきつくなっている気がする…何でだ?あいつにそんな構ってなかったからか?いやそんなはず…)




ノート『にしてもさっきの言い方はないでしょ!本当にあなたは酷い当たり方をするのね』



リン『もしかしてアリス、健一さんのことが嫌いになったの?』



エル『それは好都合ですね。だってライバルが一人減るんですもの』



ノート『エルはエルで酷いわよね…』



エル『あら、貴方達にとっても同じことが言えるのではないですの?』



ノート『まあ、それはそうなのだけど……』



リン『んで?結局アリスは健一さんのこと嫌いになったの?』



アリス『いやまあそんなことないが』



エル『まあそれはそれとして、エルは他国のお土産を貰ったのを忘れていました』



リン『お土産!?』



ノート『早く見せて!』



エル『(箱を開ける)隣国のチョコですよ~』



リン『わあ~!食べる!』



ノート『とってもおいしそうね!』



エル『では皆様でいただきましょう』



アリス『……私はいらん』



エル『あら残念。皆様で食べようと珍しいの貰ってきたんですよ?』



アリス『チョコは嫌いなんだ。私は別室で作業しているから勝手に食べてな』



エル『そうですか。では皆様、食べましょう』



リン『わ~い!』




アリス(私はこのメンバーに居ていいんだろうか…まあ私がそうしたのだが…だが私はあいつらに比べて弱いことはまあ分かっている。私はリンのように何でも作れる訳ではないし、ノートのように異常に速い訳でも、エルのように何でも知っている訳でもない。ただ事実を予知するだけだ……)


『……ん?何か嫌な予感がする…』




(回想)


リン『あ、あれ~?』



ノート『何か…ふわふわするわね……』



健一『お、おいどうした!?』



リン『あ、健一さんだぁ~』



ノート『こっち来てよねぇ~』



エル『健一様~…エルのものにぃ~』



リン『早く、してえ~!』



健一『う、うわあああ!?』



(回想終了)


アリス(ま、まずい!)



エル『では早速いただき……』



アリス『(バタンッ!)待て!それを食べるな!』



リン『アリス?どうしたの~そんなに慌てて』



アリス『その…予知して分かったが、そのチョコには毒が入っている!』



ノート『そんな訳ないでしょ!』



アリス『おそらく王族の一人であるエルを死に追いやり、国を混乱させる敵国の戦法だろう』



エル『なるほど…ですが、その場合彼らは何故そのようなことをしたのでしょう?』



アリス『それは…今はまだ分からん』



リン『じゃあこのチョコ捨てなきゃだね!』



エル『非常に勿体ないですが……(ポイッ)』




アリス(とりあえず酔って云々の問題は回避したのだが、これから私はどう接すれば?)



健一『おいアリス』



アリス『ん!?何だよ?』



健一『今みんなで宴をやろうって感じになって、みんなで集まってるんだけど』



アリス『…ん?まさかそれって酒もあるか!?』



健一『酒か…エルのお土産の中にあったな、開けてみるか?』



アリス『おい止めろ!』



健一『どうしたそんなに慌てて…まあ俺も酒は好きじゃないからな』



アリス『お前リアルだと高校生だったから飲んだことないだろう?』



健一『本当俺の状況把握してるな……』



アリス『まあそうだな』



健一『……んで?何か悩みがあるのか?』



アリス『いや、特に何も』



健一『俺はお前に何もできない、お前の悩みを聞いてやれないのが……悔しいんだ』



アリス『そうか…なら話そうか』



健一『あ、ありがとう、でいいのか?』



アリス『……私はリンやノートに比べて使える能力がかなりしょぼい。何か作れる訳でもなければノートのように異常スピードやスーパーアーマーがある訳でもない。加えてエルのように役に立つ訳でもないから、その……ずっと気になっていたんだよ、君が何故あんな魅力の塊である三人を捨て、私のような低能力者を選んだんだ?』


健一『……えっ?何言って…』


アリス『それも君へのお礼とお詫びにわざわざこのハーレムルートを開放してやったのに…君はそれでもなお、役に立たない私を選んでいた。もはや私のやったことは全く意味のないお礼だったのか?それとも…』



健一『…意味か、そんなものないな。というか別に俺が誰を選んだっていいだろ。お前が一番いいと思ったからお前を選んだ。それで良いんじゃないかな』



アリス『意味なんてない、か。…なら私が意味もなく君を好きになってもいいのか?』



健一『当たり前だ!』



アリス『なら私に好きと言ってくれ』



健一『えっ流石にちょっと分からないんだけどその、ど、どういうこと?何で?』



アリス『意味なんていらないんだろう?』



健一『じゃあいいか、言うよ?』



アリス『あ、案外すぐ言ってくれるんだな』



健一『まあな……アリス、お前が好きだよ』



アリス『ん?いやちょっと待って嘘だろう?私は好きと言ってくれたらそれでいいんだよ!?』



健一『意味なんていらないんだよな?』



アリス『……言質取ったみたいに言うな』




(盗み聞きメンバー)


リン『仲いいね~』



ノート『何やってんのよあの二人は!』



エル『ひょっとして既にあんなこととか…』



ノート『なっ……!もう我慢できないわ!』



リン『リンも我慢できない!行くよ!』




ノート『(バタンッ!)ちょっと何してんのよ!』



健一『見てたのかよ!?』



アリス『……あ、お前詰んだな』



ノート『アリス!あなた私達に内緒で何抜け駆けしてんのよ!』



リン『健一さんも何励ましに気軽に好きとか言ってるのー!』



エル『エル達に内緒でこんなことして…どうなるか分かっていますか?』



健一(殺され…はしないだろうけど意識持つか?)



ノート『…とりあえず私達一人一人に好きって言ったら今回はチャラにするわ。それでいい?』



リン『う~ん…りょーかーい!』



エル『そうですね』



健一(殺されなくて良かった……)



ノート『それからちゃんとそれらしいシチュエーションでやること!』



健一『はいよー』




健一(とは言ってみたものの、それらしいシチュエーションってどうしたらいいか?)



リン『(ガチャ)健一さ~ん』



健一『リンか……何か面接みたいだな』



リン『んじゃ、早くしてねっ!』



健一『分かった…(うむ、これなら!)リン…』



リン『は~い』


健一『あの後味噌汁の意味を調べてみた…なるほどそういう意味があったんだな、それで味噌汁だけ手作りしたんだなって……だからそれを踏まえてもう一度言う、またリンの味噌汁が食べたい』



リン『……うん!また作ってあげるねっ!』



健一『ああ、待っているよ』



ノート『(バタン!)次は私よ!退きなさい!』




健一(ノートは…あれが使えるな…!)『えー、ノート……』



ノート『あっ、うん……』



健一『この前行った遊園地、楽しかったな』



ノート『そうね……』



健一『何かお前と行くと、順番待ってるときも楽しく感じたなって』



ノート『私もあのとき同じこと感じてたの』



健一『あの時見た花火が忘れられないなって』



ノート『そうね…あの時あなたはとっても素敵だったんだなぁ……』



健一『…また一緒に見に行こう、二人きりで』



ノート『……はい、もちろんです』



エル『あの…入ってよろしいでしょうか?』



健一『ん?あ、ああいいぞ』




健一(うーむ、エルに関しては思い出ほぼないんだけどどうすれば……とりあえず)



エル『しかし、こう二人になると何だか緊張してしまいます』



健一『そうだな…よし、エル?』



エル『はい』



健一『お前が帰ってくることをずっと待ってた…いつかみんなで揃う日がくるって……』



エル『……それはエルも同じことです。貴方様にまた会える日を待ちわびていました』



健一『エル…おかえり』



エル『はい。ただいま……やっぱり、エルもう我慢できません!』



健一『ん?(ガバッ)えっ!?(何だこの残りのメンバーにはない“質量の暴力”か!?…てかこれ思っていたより痛い!)』



エル『今までできなかった分、たっぷり抱きしめてあげます!』



健一『分かったから力を弱めてくれ!潰れる!』




ノート『(バン!)ちょっと何やってんのよ!』



リン『あ~エルずる~い!リンも~!』



健一『えっ(ガバッ!)おいちょっ待っ』



ノート『もうリンまで…!でも……私も抱きしめたい!行きます!』



健一『待って(ガシッ)(ドンッ!)痛って…お前ら倒れる勢いで抱きしめにくるの止めない!?』



リン『健一さんが全然こないから!』



ノート『一人だけ抱きしめるのは間違いよ!』



健一『抱きしめられたの間違いじゃない!?』



エル『健一様…エルが一番好きなんですよね?』



リン『そんなことないよ!リンだよ!』



ノート『いいえ私よ!』



健一『ねえもう全員好きじゃ駄目?』



三人『『『駄目っ!』』』



リン『ね~結局リンが一番おいしく料理作れるんだよ?』



ノート『私はちゃんと待てるし一番あなたのこと好きだって思ってるわよ!』



エル『この豊富な知識で一番役に立つエルが一番ですよね?』



アリス(あいつら何やってんだろうな…あいつに迷惑かけてなきゃいいんだが)(ワイワイ)『ん?』



健一『ちょっと待って痛い腰と尾てい骨痛い』



アリス『入るぞ(ガチャ)……?』



リン『能力は何でも作れるリンが一番強い!』



ノート『シンプルに速いの便利よ!特売間に合うのよ!?』



エル『でもやはり材料と作る力があってもレシピがなければ成り立ちませんよ』



健一『うう…!アリス、良かった助けてくれ!』



アリス『……(ガチャ)』



健一『アリスーーー!!??』



                 続く


【おまけ】

健一『うう……腰と尾てい骨…』


アリス『もうお前自分で治せよできるんだから』


健一『はいはい…俺の腰と尾てい骨が治る』


アリス『お前せっかく最強クラスの能力持ってんだからさ、私に言われなくてもやれよ』


健一『そうだな……』


アリス『この言い方でいいか?傷ついてないか?すまないな……私の言い方毎回ひどくて』


健一『別に気になるようなことでもないし』


アリス『そうか、なら良かった…昨日あいつらに混ざって抱きついてたら』


健一『あのメンバーでも辛いのに加えるな』


アリス『何か私って、あのメンバーに比べてお前との関係変化ないなぁ』


健一『いや、俺はこの位がいいよ。あのメンバーに妙に格好つけてるより楽だから』


アリス『……えっ、お前格好つけてたのか?』


健一『100%のうち20%位な』


アリス『2割格好つけてるにしちゃ…でもお前の素の状況見るとその位かもな』


健一『それ褒めてる?』


アリス『100%のうち40%ぐらいだな』


健一『もういいや…何か本当に無理しなくていいし、ずっといても疲れないから俺はこのまま適当にしてくれたらいいよ』


アリス『適当ではないよ…まあそう思ってくれるなら私も気が楽だ』


健一『俺はもし自分が』


アリス『フラグになるから止めとけ』


健一『ですよね…てかお前が言うと重みが違う』


アリス『予知はあてにならないよ』


健一『お前の件があって俺はみんなへの愛を言葉にできた、まあお前は狙ってないだろうけど…結局そうなったから、とりあえずありがとう』


アリス『全く狙ってないが……まあ、私は君にありがとうと言われるのが一番好きなんだ』

健一『……意外だな』


アリス『だがそれと同じくらい言うのも好きなんだ、だから…ありがとう』


健一『えっ、お前どうした?』


アリス『……意味は内緒だ』 


健一『…そうか』        つづく


~エル・ローゼンは甘えたい~


健一(さて……この世界に来て半年が経つが、意外と暇なものだな…)



エル『健一様。』



健一『お、エルか。どうした?』



エル『最近その……健一様がエルのこと、甘えさせてくだされないので、その…不満なのです』



健一『お、おう…急だな』



エル『なので…今日は少し、甘えさせてくださると大変ありがたいのですが……』



健一『えっ、いやどうやって、というか人ってそんなに甘えたいものなの?』



エル『いやどうって、貴方様、エルのこといつも甘えさせてくださっていたではないですか?それなのに、エルが王族が集まる晩餐会から帰ってきたときからずっと甘えさせてくださらないのですよ?だから、今日くらい良いではないですか』



健一『晩餐会…はっ!』(その辺りだ、俺がアリスに導かれて転生してこの世界に来たのが…それじゃあエルは俺が『転生する前』の俺だと思っているんだ…!)



エル『早くしてください。それともこのエル自身が誘った方が良いですか?(上を脱ぎ始める)』



健一『うわああああ!?やめてくれ!他の人が通る廊下だここ!』



エル『えっ…ああ、そうでしたね。すみません、我慢できずに…ですが、やはりここはエルが満足するまで甘えたいのです』



健一(とりあえず、誰もいなくて良かった……ていうか、他の三人は?)『なあエル、三人は?』



エル『えっ?ああ、確かショッピングと言ってました』



健一(本当かなぁ……)



エル『まあ確かに、他の人が見ているかもしれませんね……とりあえず、場所を変えましょうか』



健一『あ、ああ…じゃそこの部屋で』




健一『それで、俺は何をすればいいんだ?』



エル『いつも通りやってくだされば』



健一『お、おう…』(いやその「いつも」が分からないんだよ!ゲームだとこんな展開ないもん!原作こんなことしないもん!R18ver以外!)



エル『ではまず、キスから行きましょうか』



健一『おう……えっ、キ、キス!?』



エル『そんなに動揺しなくても……いつもエルにやってくださっていたではありませんか』



健一(エル世界の俺どんだけ変○なんだよ!)『…いや、いきなりキスっていうのは…俺はムードとかあると、思うんだよなぁ~』



エル『確かにそうですね…ではキスは一旦お預けにして、まずはぎゅって、抱きしめてください』



健一(何か妥協してるっぽく言ってるけど、その超乙pに飛びこむの?いやレベル高くない!?)



エル『あっすみません、甘えるのですからエルが自分から抱きしめなければなりませんね!』



健一『そう…ちょっと待て!』



エル『(ぎゅっ)むふぅ…健一様ぁ…』



健一『うっ!?』(な、何だこの感触、俺は今脂肪の塊と腕に挟まれてるのか!?つか何だよこの質量という名の暴力!?これ製作者100%好意で作ってますよね?この子だけデザイナー違いますよね!?他の三人にはないこの質量…無理だ)



エル『……ん?健一様、どうされたのですか?やたら股関節の辺りが膨らんで』



健一『やめろ!それ以上言ったらこのSS18禁指定かかるからそれ以上は言うな!』



エル『何の話ですかぁ~?あっ、もしかして健一様、このエルに(ピー』



健一『ピー音だ!今の間違いなくピー音だ!』



エル『ピー、音……って?検索して分かってしまいましたが、今貴方様は精神的に興奮しているのでしょう?』



健一『何?この能力って精神内の検索とかできるの?それもうメンタリストの領域じゃん!』



エル『ええ。なのでエル、トランプ強いんです』



健一(よし、何とか話を逸らせた!後は……)



エル『そんなことはどうでもいいのです。今エルは、貴方様のことで頭がいっぱいなのです』



健一(完全に錯乱状態だ…とりあえず…)『落ちつけ![キィィィィン]』(……よし、これで正気に)


 


  エル『なったとでも思ったのですか?』



健一(っ!…まずい、シラフだったのかよ!?)



エル『今エルはとても嬉しいのです…今エルが貴方様を独り占めできるってことが……』



健一(だったら…時よ止まれ!)

[キィィィン]

(…時計の針は…止まってるな、今のうちに……)



エル『(ガシッ)時止めの対策も検索済みですよ』



健一(つ……詰んだ。)



エル『(押し倒す)ほんの少しだけ…お付き合いください、そのくらい……』



健一『もうR18の覚悟は決めたけど…あのせめてその、上下が逆じゃありません?』



エル『この体勢が好きなのです』



健一『……分かった』



エル『…では』



  


   健一『うわあぁぁぁぁぁっ!?』


  エル『んっ…ああぁぁぁんっ……』




エル『…だいぶ、吹き飛びましたね』



健一(疲れた、痛い…爆散した……)



エル『ずいぶん……溜まっていたのですね…まあこれはエルもですけど…』



健一『ま、まあ……』



エル『やっと…してくださった……』



健一『あ、ああ』(ほぼ不可抗力でしたけど…)



エル『お礼と言っては何ですが、その、痛みを和らげてあげますね…』



健一『ん?お前そんな能力持って』



        (ちゅっ…)



健一(!?えっ、どういった展開?お留守番してたらピーさせられてキスされるって)



エル『んっ、んっ…じゅるっ!』



健一(……詰んだ)



エル『じゅるっ…じゅるるっ……ぷはっ!』



健一(やばいこれ、今の一連の流れで万が一エルが妊娠でもしてたら……)



エル『大丈夫ですよ。避妊の方法も検索済みですから』



健一『あっ、良かった!』



エル『実行するかは、エル次第ですけどね』



健一『………えっ?』




~お楽しみ~


健一(昨日は…俺、何してたんだ?いや、分かるのよそりゃ、エルと変なことしたってこと。いや全て分かるのよ…だけどなあ……)



リン『ゆうべはお楽しみでしたね』



健一『!?っ、おい、いきなり何だよ!』



リン『……って、どういうこと?』



健一(ん?あ、分かってないのか……)



リン『結局どういうことなの?』



健一『う、うん…(これは説明するの難しいよ!)ま、まあいいことだよ』



リン『いいこと?ん~……じゃ、それリンにもやってよ!』



健一『えっ?(ああ~!そうなっちゃいます?想定


の範囲ではあったけど、いや~そうだよね~!そうなったら……)』



リン『いいことなら早くやってよ~!』



健一(えっと…駄目だ、もう逃げ場はない…そうだ、何か抱きしめてやればいいか!)『分かったよ。それじゃあ、始めようか……』



        ぎゅっ……



リン『えっ…ええ~っ!?』



健一(間違ってない、何も間違ってない……はずなのに、何か全然抱き心地が違う!ちっこい…)



リン『健一さんの言ってた「いいこと」って、ハグのこと?』



健一『えっ、そうだよ』(バレちゃ駄目だ、バレたらこの人の能力的に消される……!)



リン『本当?』



健一『お、おう』



リン『でもリンこれじゃ満足してないから、健一さん、ちゅーしてよ!』



健一『えっ?あ、うん、そういうものはちょっと早くない?』



リン『リンを子ども扱いしちゃ駄目だよ!健一さんがしてくれないならリンがする!』



健一『えっ、どうえっ?…あ』



       ちゅーーーーっ!



リン『気持ちいいね……もう一回する!』



健一『は?あっ』(ちゅっ)



  じゅるるるっ、じゅるっ、じゅるっ……




健一(何か、またこんなことするのかよ!ってなったけど、エルとリンとじゃ感覚全然違う!慣れだもうこれ、慣れだ!)



リン『健一さんの唾、入っちゃった……』



健一『あ、そうだね…』



リン『とっても気持ちよかったねっ!健一さんもう一回しよ!』



健一『もういいです~!』  



続く


9


~ディナータイム~


ノート『はぁーーーーっ!?』



アリス『うるさいなぁ……』



ノート『いやちょっと待ちなさいよ!リン、あなたあの人とき、き、キスしたんですって!?』



リン『え~っ?そうだよ~?』



ノート『ま、まさかそれ以上の、その…えっ、えっちなこととかしてないでしょうね?』



リン『ん?ちゅーしただけだよ』



ノート『リンでキスって…っ!(まさかエルはそれ以上のことを?そう彼女ならありえるのよ!)だ、誰か私達の留守中にエルが何したか分かる?アリス、ねえ予知で何も出てなかった!?』



アリス『お前の大○の達人に付き合ってたんだからそんな暇ある訳ないだろう』



ノート『何なのよこの役立たず!』



リン『そんな何焦ってるの?』



ノート『エルよ!彼女があの人と留守中に何してたかよ!彼女なら絶対何かしてるわよ!……もうこうなったらあの人に直接聞いてくるわ!』




健一(はあ…もう散々だよ……二人にキス強要されるわ巻きこまれるわどんな日だよ)



ノート『(バタンッ!)ちょっと話があるのよ!』



健一『へっ!?ドア壊れる開け方するな!んで何なんだよ!?』



ノート『あなた昨日エルと何したの!?』



健一『……えっ?』



ノート『あのエルがあなたと二人きりで何もしない訳ないじゃない!ねえ何?何があったの!?』



健一『何もなかった!(これバレると絶対ここに居られなくなる、バレては…)』



ノート『その焦り方…嘘!私に嘘付かないで!』



健一『あ…』(駄目だ、もう逃げられない!くっ、もう真実を告げるしかないのか?)



ノート『何?結局何したの?』



健一『…留守中に…エルと、その…や、やらしいことしました』



ノート『や、やらしいことって……』



健一『……ご想像の通りです』



ノート『な、な…嘘、よね?』



健一『正確には巻きこまれた、って感じだよ』



ノート『な、何であれ私の想像が事実なら!エルを探して串刺しにして…』



健一『待て早まるな!それにあの時は曖昧な態度取った俺も悪い』



ノート『そういうこと?あなたは何も悪くない!エルよ!あの時エルが留守したいって言ったのは全部そのためだったのね!?あのエル……!』



健一『……分かった!このことは俺にも責任がある!だから何かしてやる!それで許してくれ!』



ノート『何かって、何でもいいの?』



健一『まあ、指定が入らない程度に』



ノート『……誰も居ない場所で、二人で食事をしたいの』



健一『…あ、そんなのでいいんだ?』



ノート『えっ、それ以上していいの?でも最近二人で食事なんてしてないし』



健一『ん~…(二人きりだとまた何か起こる気がするけど、もう俺の責任だし)分かった、何かいい店取っておくよ』



ノート『じゃ、お願い!…って、あの3人はどう説得するつもり?』



健一『ま、リンとエルは何とかするわ。んでアリスはあいつ…どう出るんだろうか』



ノート『じゃ、説得はお願いね』




リン『えーっ!?ノートとご飯いくの~?リンと行こうよ健一さん!』



健一『あはは、どうしても聞かなくてな…(20%くらいお前のせいだよ)』



リン『む~…しょうがないね、分かった!でも絶対埋め合わせ?してよねっ!』



健一『あ、分かった……』




エル『健一様が、エル以外の女と食事?それも二人きりですか?』



健一『あ、ああ例のことを彼女に話したらこうなってな…』




エル『そうですか……ではエルに抱きついてもう一回あれをしてくだされば』



健一『元々お前のせいだからな!?』



エル『……まあ、貴方様と会えない夜を楽しむのも一興かもしれませんね』



健一『ああ、そう…』




アリス『おう、行ってきなよ』



健一『あ、いいんだ……(何か、もう少し粘って欲しかった)』



アリス『どうせ他の二人が嫌がってたから、私があっさり承諾したことに驚いてるんだろう?』



健一『…あ、そうです』



アリス『まあ君が問題をそうやって解決することは知っているし、私が君を一番大切に思っていると思うから、何も心配ないよ』



健一『……そう言ってくれると嬉しいな』




健一(あれ、こんなところだっけ?)



ノート『あの、この店…』



健一『写真だともう少しシンプルだったけど…』



ノート『いや私ここまでいい店予約しなくて良かったのよ!?せいぜい回転寿司くらいだと思ってたのに……入りづらいわよ』



健一『別にいいだろ?それに、いい店取っといてって頼んだのはノートだろ?』



ノート『いやでも、出身が出身だから何か悪い気がしちゃって…』



健一『もうお前は俺の家族みたいなものだから心配いらないよ』



ノート『えっ?家族って…』(つまりこの人は私のことをそんな風に…)



健一『どこに驚いてるんだよ…もう行くよ』



ノート『あ、そうね!』




店員『佐藤様、ご予約は承っておりませんが』



ノート『えっ……!?』



健一『あ、どういうわけですか?』



店員『おそらくその日は新人の店員が電話を取っていたので、記録ミスか手違いか…』



ノート『あ、どうしよう……』



健一『任せろ…(手を出し)予約はあった』



ノート『……あっ、そうすれば!』



健一『あの、もう一回予約の確認をしていただけませんか?』



店員『いやですから……あ、予約がある。すみません、どうやら見間違いだったようです。承っておりますので、ご案内致します』



健一『便利だよな、この能力』



ノート『でも私は、このまま一緒に待つことになっても良かったけどね』



健一『そう?俺はあんま待ちたくないんだけど』



ノート『あなたはそういうとこ鈍感よね』



健一(そういうもんなのか……?)




ノート『何か、私には勿体ないくらい本当に良い雰囲気の店ね……』



健一『そうか?ぴったりだと思うんだけど』



ノート『えっ?それって私がそれぐらい雰囲気の良い人ってこと?』



健一『そういうことになるか』



ノート(うう、それって、私のこと綺麗って、大人っぽいって思ってるのと同じってことよね?)



健一『頼まないのか?』



ノート『えっ?あ、ああ頼む!頼むわよ!じゃあえっと……このコースにしようかしら!』



健一(あ、そこそこ高いやつだ)



ノート『私、あなたとこんないいレストランに来ることができるなんて思ってもなかったから』



健一(ノートルートの俺は貧乏くさいんだな)



ノート『にしても、最近あなた性格変わった気がするのよ…何か、下手になったというか』



健一(えっ?もしかして、バレた?いやそんなこと…)『元々こんなじゃない?』



ノート『……まあ、そんな気もするわね』



健一『じゃあ俺はこれかな?』



ノート『相変わらず節約思考なのね』



健一『お前達に使うのはいいんだよ……ただ自分が使うかって言うとそうでもないからな…』



ノート『私達に使うのはいいのだけど、もうちょっと自分にお金を使いなさいよ』



健一『はいはい』




店員『お待たせしました』



ノート『凄い……』



健一(6000の価値はある…)『あ、俺の来た』



ノート『うわあ…!そっちのシチューも美味しそうね!……えっと』



健一『あ、食べたい?』



ノート『えっ?いや!そんなことないわよ?』



健一『……(スッ)ほら、食べなよ』



ノート『えっ?』


(ちょっとちょっと待って!これよく恋愛系の何かでよくある【あーん】ってやつ!?絶対そうよね?いやすぐに食べたい!食べたいけど…私が見た資料だともう少し焦らしてたわよね?いやでも食べたい!あーでもすっごく恥ずかしい!う~…)



健一『ん?食べないのか?』



ノート『いやだって…これ、あーんってやつじゃない……』



健一『えっ…あ!いや違う!そういうことで出したわけじゃなくて!』



ノート『…じゃあその、さ、冷めちゃったら勿体ないし、それじゃあその、あーん…』(ぱくっ)



健一『……美味しい?』



ノート『うん、とっても美味しい…』



健一『あ、じゃあ俺も食べるか…あ、旨い!』



ノート『あ、あのさ!』



健一『どうした?』



 


  ノート『(スッ…)私のも、食べる……?』




健一『……?いいの、それ?』



ノート『えっ?あ、いや!そういう意味じゃないのよ!ただこの料理が美味しかっただけで、別にあーんしたいとか、思ったわけじゃないのよ!』



健一『俺達レベル一緒だなぁ』



ノート『冷めちゃったらまずいでしょ?ほら!』



健一『じゃ、いただきます……』



ノート『何かごめんね、払わせちゃって』



健一『別に喜んでくれるならいいよ』(二人で8000は安くはないけど……もう何かこんな顔見れたしもういいか)



ノート『あ、あとお礼がしたいの』



健一『ん?お礼って?』



ノート『う、後ろ向いて…』



健一『えっ?ああ…』



 


      ぎゅっ…ちゅっ……




健一(このパターンか~!いや何かなるほど強くなくて、丁度いいんだなぁ、もう胸部の薄さについては何も言わないでおくとして、何で後ろ向かせたんだ?)『なぁノート』



ノート『こっち向かないで!』



健一『えっ、何で?』



ノート『今の私の顔、とっても赤いから…』



健一(そういう意味か…)『帰るか…ん?』



ノート『すう、すう……』



健一(このまま寝かせておくか)




リン『ねー何で健一さんの背中にいたの?』



エル『胸部の欠片もない貴女が健一様にくっついているなんて』



ノート『いや、ちが、そういうわけじゃ…!』



健一(……やってしまった)




~マッサージされたい~


健一(結局あの後、リン達に問い詰められて全て話した。何か許されたんだけど、今日もまた寝る位置が決まらない……)



リン『だ~か~ら!今日はリンが健一さんのとなりで寝るの!』



ノート『はあーっ!?違う!今日は私よ!』



エル『貴女昨日、健一様に寝かせてもらっていたではありませんか』



リン『そうだよ~!』



健一(俺みたいなやつを巡って争わないでくれ)



アリス『全く…ん?どうした?』



健一『んあ?ああ、何か肩痛くてな』



アリス『いやお前の場合』



リン『えっ?健一さん肩痛いの?』



健一『入ってくるな…』



リン『じゃあリンが肩もんであげる!』



健一『えっ?ああ、気持ちは嬉しいんだけど、俺自分でどうにかできるから』



エル『抜け駆けは良くないですよ』



ノート『そうよ!今日は私の日だったはずよ!』



健一(というかもう治したんだけど)



リン『う~ん……あっ!じゃあ、みんなで健一さんをマッサージして、健一さんが一番気持ちいいって感じた人がとなりで寝るってのは?』



ノート『なるほど!それなら公平ね!』



エル『このマッサージテクニシャンと呼ばれたエルに敵うとでも?』



健一『どんな異名だよ』



エル『えっ?健一様が名付けてくださったのではないですか?』



健一『えっ?あ、そうだったな!』(いやどんなセンスしてんだよ!)



リン『何か最近の健一さんおかしいよ?やっぱり疲れてるんだ!早くしよう!』



健一(別に疲れてないんだけどなぁ)



アリス(まずいな、そろそろこの世界に歪みが生じて始めてるようだ…とすると……)




リン『じゃあまずはリンからね!』



健一『おう、頼む』



アリス『お前最初じゃなくていいのか?』



ノート『一番最初ってことは、後でいくらでも更新されるってこと!そして最後の方だと他が気持ちいいからもう忘れるのよ』



エル『なるほど……では、エルが最後でいいんですよね?』



ノート『はあー?絶対私でけど?』



エル『言わなければこうならなかったのに』




リン『ん~どうかな~?』



健一『おう…まあいいんじゃない』(いや思ったより力ないんだなぁ…普段あんなミサイルとかハンマーとかぶん回してるからもっと力強いんだと思ってた…俺がしっかりしなくちゃな)



リン『はあ、はあ…リンちょっと疲れちゃった』



健一『ん、だいぶ気持ち良くなったよ』



リン『え~っ?普段の健一さんならもっとやってとか言うはずなのに~…何か最近の健一さん、ちょっとおかしいよ』



健一『えっ?』(彼女にとっての俺どんな人だ!)



アリス(まずい…少しずつこの世界にズレが)



ノート『次は私よ!』




ノート『それじゃ行くわ…っ!』(うっ…そうだ!よく考えてみたら、私今からこの人の体に触れてしまうのか…!そ、それって、それって……)



健一『どうした?やらないのか?』



エル『やっぱり貴女のようなお子様に、健一様の体をほぐすことなんてできませんね』



ノート『はあーっ!?うっ、や、やってやる!やってやるわよ!』



健一『意地にならなくても…』



ノート『べ、別に意地なんかじゃないから!』



健一(やるなら早くしてくれないかなぁ……)



ノート『じ、じゃあ始めるわよ!』(ぐっぐっ)



健一『っ!うう……』



ノート『ごめん!ちょっと強かった!?』



健一『ん?あ、ああちょっとな…』



ノート『(ぐっぐっ)こ、このくらい?』(ねえ今、私この人の体に触れてる!こ、こんなの…!)



健一(ぐっ!)『っ!痛って……』



ノート『はっ!ごめん!強くしすぎた!』



健一『あ、ああ大丈夫……』



エル『はあ…二人とも駄目ですね。そんなことでは健一様の体を癒すことなど無理ですよ』



リン『むー!ならエルはできるの~?』



エル『ええ。では、代わってください』



ノート『うう……分かったわよ!』




エル『では、行かせていただきます。』



健一『はいはい』



エル(くっくっ)



健一(……!おい、何なんだこれ?とんでもなく気持ちいいんだけど!?凄い、これがマッサージテクニシャンの実力か……あ)



二人『『……』』



健一(まずい、ここは平静を装って)



エル『どうですか?』



健一『うう…ま、まあまあ、かなぁ?』



エル『彼女達のことを考えて遠慮なさっているのですね。でもこのエルに遠慮は要りませんよ』



健一(いやめっちゃ気持ちいいよ!でも本音言ったら二人に捨てられる!)



エル『もう我慢なさらなくても』(むにゅ)



二人『『なっ…!』』



健一(やめろ!その質量の暴力を押しつけるのは止めてくれ!ほらもう横の二人の視線が死んでる!)



エル『最後に…ふーっ…』



健一(うっ!?も、持たない…!)



ノート『ちょっと!流石にやりすぎよ!』



エル『でも健一様、非常に気持ち良さそうです』



ノート『だとしてもっ!!』



エル『…で?誰のマッサージが気持ち良かったのですか?』



リン『まあリンのマッサージが一番だよね?』



ノート『いいや!私のよ!』



エル『お二人とももうお分かりでしょう?健一様の体はこのエルを求めているのですよ?』



ノート『その若干卑猥な言い方止めなさいよ!』



エル『それで?結局健一様はどなた様のマッサージが一番気持ち良いのですか?』



健一(うう、そりゃエルのが一番気持ち良いよ?でも本音言ってしまうと他の二人が傷ついてしまうんだよなぁ…あれ?そういえばもう一人忘れているような…)



   (ぎゅうううっ)『痛ったあ!?』



アリス『浮かれてるんじゃねーよ』



健一『あああ!?止め、止めろぉ!』



アリス『と言いつつちょっと喜んでないか?』



健一『いや…そんなこと……』



ノート『何か気持ちよさそう…』



リン『健一さん、すごく喜んでる…』



エル(健一様…あの程度で精神的に興奮する人でしたっけ?)



アリス『あ、それとお前達が揉めてる間にこいつ一人で回復したからもうマッサージとか必要ないんだよなぁ』



三人『『『ええっ!?』』』



健一『あ、あの……さっき肩強く揉まれて痛いんで、お願いしても良いですか?』



リン『えっ?やった~!んじゃリンに任せて!』



ノート『はあ!?私の番よ!』



エル『結局体は正直に求めているのでしょう?』



アリス『…あれ?これ何の話だっけ?』



健一『添い寝の話だと思う』



三人『『『……あ』』』



ノート『そうよ!こんなことしてる場合じゃない


わ!今日は私の番よね!?』



エル『えっ?いや貴女は昨日寝ていたではありませんか』



健一(無限ループ突入……)




リン『てゆーか健一さん、リンが言ったら絶対添い寝してくれたのに~、何か変わった?』



ノート『そういえば、あなたこんなに積極的な人だったかしら?』



エル『薄々感じてはいましたが、そこにいる健一様は、エルの知ってる健一様ではないのでは?』



健一(……えっ?)



エル『教えてください。貴方は誰なのですか?』



ノート『いやエル、急に何言って…』



リン『でもよく考えたら、健一さん毎日リンの味噌汁食べてるはずなのに、初めて食べたみたいな感覚してたし』



ノート『……言われてみればあなた遊園地楽しむような人じゃないし、お詫びして食事に連れて行くような格好いい人じゃないわよね』



エル『まあこんな感じで色々誤差が生じているわけです。そして検索したところ、空間のズレが発生していることも分かりました。これを踏まえて改めて聞きます。』



   


    『貴方は一体誰なのですか?』




健一(何でこんなことになったんだ…)



アリス(そろそろ教えてやるか…)



   


    (私がなぜ君達を呼んだのか)



                  続く




10


エル『貴方は一体誰なのですか?』



健一『いや、誰って、そりゃ君達の…』



エル『検索を続けて分かったことがあります。この世界は、本来存在しない世界だと。』



リン『どういうこと?』



ノート『ていうか、何言ってるのよ!?』



エル『貴女達は気づいていないのですか?この世界の“違和感”に』



ノート『……確かに言われてみたら、あの人こんな積極的な人じゃないような』



リン『そういえば、健一さん最近、リンに甘えなくなったような…』



健一(逆じゃない?)



アリス『……』



エル『アリスその表情、何か知ってそうですね』



アリス『ああ』



エル『話してください。貴女が知ってることを』



アリス『分かった。だがその前に、健一、お前はこの場から離れてくれ』



健一『えっ、何で?』



アリス『……君には話したくない』



健一『…分かった(バタン)』




~真実と~


アリス『ふう…さてあいつもいなくなったし、全て話してやるか』



ノート『それで?エルの検索は事実なの?』



アリス『ああ、全て事実だ』



リン『ええっ?じゃあこの世界って本当はなかったの?』



アリス『……存在しないよ』



ノート『じゃあ、何であなたが知ってるのよ!』



アリス『簡単だ。』




    私がこの世界を創ったからだ。




ノート『えっ、それって……』



アリス『少し語弊があるか。正確には、私が君達をこの世界に呼んだ、と言ったところか』



エル『そういうことでしたか…』



リン『でも、何でそんなことしたの?』



アリス『少し長くなる…




数ヶ月前、私は世界同士の“歪み”を見つけた。その歪みはやがて世界を融合させ、全ての世界を無に帰すものだった。その前に私は手を打った。


私は別の世界に飛んだ。この歪みを止めることのできる者…私の“代わり”を探すために。


 だが私は簡単な真実に気づいていなかった。向こうの世界では、自分の能力を使えないことだ。


 そして私は不運だった。飛んだ場所に偶然車が接近していた。1回目は避けられたが、2回目ーー



       


        ドンッ!




 私は出逢ってしまった。“佐藤健一”という、ある意味『奇跡』のような存在に。



私は彼に異世界転生=私の世界への来訪を提案した。彼は承諾した。私は彼に私の能力の一部を授け、リン達を含めたメンバーとの同居をさせた。



ノート『ちょっと待ちなさいよ!だったら私達を呼ぶ必要ないじゃない!』



エル『ええ。エル達にとっては、知らない間に知らない人を愛した人として接することになるのですよ?』



アリス『君達を呼んだのは、反らすためだ。』




正直、私一人だといざ歪みを止める、といった時に嫌がる可能性があった。それどころか私自身がとても後悔する可能性すら残っていた。だから融合しようとしていた世界から同じ健一を愛していた君達を呼んだ。



 


  彼を慕うちっちゃい『リン・ナタリア』


  ツンデレ貧乳名字のない『ノート』


  表は全知、中身は○乱『エル・ローゼン』




ノート『誰が貧乳よ!』



エル『誰が○乱ですか…』



アリス『そこに関してはどうだっていい。とにかく、こんなに性格も体格も違う人を三人も集めれば、健一もどこか一人くらいならなつくだろうと、そう思った訳だ。そして世界が分離する時に記憶を消して元の世界に返せば全てなかったことになるのでハッピーエンドって訳だ』



ノート『ちょっ、ちょっと待ちなさい!大体私達を呼ぶくらい力があるのなら、直接あなたが歪みを直せばいいじゃないのよ!』



アリス『それは無理だ……私はそれくらいの力は持っていない。平行世界にアクセスし、君達を連れて来るので精一杯だった。そしてこの禁忌の方法は私のような“創造者”にはとても犠牲が多すぎた。何せ止めた時、おそらく生じるであろう歪みの余波で死ぬ恐れがあるからだ。そして私=創造者の死と同時にこの世界は無条件で消滅する。この世界、果ては5つの世界の全てを失うのと、たった一人の犠牲、どっちがいいか?』




リン『え?じゃあアリスが死んだらこの世界は消滅するってこと?』



アリス『そうだ』



ノート『ちょっと待って!じゃああなたがあの人に冷たい態度を取ってたのって…』



アリス『ああ、好かれたら困るからな』



エル『もしかして、ゲーセンの時も…』



アリス『お前いなかっただろう…まあ、あの時は予定外だったよ。あ、転生して最初のモンスターは私が召喚した訳だが、あれはチュートリアルみたいなものだ』



リン『え?じゃああの時は?』



アリス『奴の件か。思い出したくもないが、結果的にあいつの能力レベルを上げられたからオーライだったよ』※5章参照



ノート『じゃあ何!?今までの数ヶ月は、あなたの計画通りってこと!?』



アリス『計画、か。まあところどころ予想と異なっていたのだが、結果的にはそういうことになるか。だが私が選んだあいつには3つの計画外な素質が備わっていた。』


 



 1つは、彼が私達のことを知っていた、ということ。まあこれはこの世界に慣れやすいから結果良かった訳だが。



 2つ、彼の能力に対する“容量”と成長の速度が予想以上だったこと。本来はもう少し準備の時間を想定していたが、既にこの時点で十分な力とその慣れがある。



エル『では、結果オーライということですか?』



アリス『そうでもないんだよ…肝心なのはもう1つ、これが私の予想に大きく反していた』



 


   ……彼が私を選んだということだ。 




ノート『えっ、そうならないために私達を呼んだ訳よね?じゃあ私達を呼んだ意味って』



アリス『意味自体はあったんだよ、ただそれでも彼は私を選んでしまったんだよ。もちろん私は彼に嫌うように冷たい態度を取ってたんだよ、ただどうもそれが彼に刺さったらしく…という訳で今私自身も非常に嫌なんだよ…なぜかって?私が彼のことを好きになってしまったんだよ。本来犠牲になるだけの存在なのに……私も馬鹿だよなぁ』




健一『そういうことか』



リン『えっ健一さん?』



ノート『全部聞いてたの!?』



エル『盗み聞きとは人聞きが悪いですね…』



健一『いやあんなやり方で除外されたら嫌でも聞きたくなるわ』



アリス『まあそうだよな』



健一『じゃ俺は歪み止めればいいのか?』



ノート『ていうか、世界の歪みって止められるようなものじゃないでしょ!』



アリス『そうでもないんだよ。というのも…』



      


       ゴゴゴゴゴゴ……




リン『えっ?』



ノート『な、何よこれ!?』



エル『うう……こわいです(キュ)』



健一『えっ!?』



ノート『ちょっと、何やってんのよ!』



リン『じゃあリンも!(ダキッ)』



健一『おいおいリンもかよ!』



ノート(えっ、私も行きたい……!でも恥ずかしいわよ…)



健一『ていうかこの揺れ何だよ!?』



アリス『ずいぶん早く来た……!』



ノート『…って!何よこれ!?』




アリス『歪みの正体だ。私は仮にXとしている』



リン『じゃああれを壊せばいいの?』



アリス『そうだ、それが健一、私がお前を呼んだ理由だ』



健一『そういうことなら!』



エル『ですが、あれを壊せば世界は再び別れる、つまりエル達は離れ離れになるのでは?』



三人『『『ええっ!?』』』



リン『嫌だ!健一さんと離れ離れなんて!』



健一『おいくっつくな!』



ノート『私も嫌よ!アリス、私達でどうにかできないの!?』



アリス『無理だ』



エル『もしそうなったら、エル達の記憶はどうなるのですか?』



健一『俺の能力でどうにかできる!』



リン『だめ!健一さんと離れたくないよう!』



ノート『そうよ!嫌よ!』



エル『(ぐぐぐ…)離れないでください』



健一(…アリス、頼みがある)



アリス(……分かった)



リン『世界がなくなっても、健一さんはリンとずっと一緒!』



エル『このエルのものですよ』



ノート『どっちも違う!私のよ!』



健一『お前らしばらく寝てろ!』(キイイイイン)



リン『あ、あれ?何か眠く……(バタッ)』



三人『『『zzz…』』』



~こんな結末を予想しただろうか~


健一(何て大きさだ……)



  100kmはありそうだった。止められるのか?


 迷っている暇はない。俺は叫んだ。



      『止まれ!』



止まる気配はない。他の能力がぶつかっている。時を止める能力。万物を燃やす能力。何かよく分からない能力。なら、俺も…



      『止まってくれ!』



駄目だ。俺は彼女に選んでもらったのに…



   


    『創成:全包囲ミサイル!』




『リン!?お前何で……』



『アリスが起こしてくれたんだ!リンが少しでも頑張ったら、健一さん死なないと思うから』



『ああ…』(リンに負担をかける理由には…!)


 


 


  『加速“限凸”(リミットブレイク)!!』




『ノート、お前もか!?』



『あなたが頑張ってるのに、私が何もできないなんて、そんなの嫌よ!』



『なら、外周バリアを頼む!』



『ええ!』(飛んで行く)



『なら……』(とはいえ、もう体力が…)



    『全回復(オールヒール)』



(体力が…そうか、エルの力か…これなら!)



(……健一、そうだよ。もうお前はこの世界にいていいんだ。私が巻き込んだことと、こんなことをさせていることのお詫びだ。創成者の力の全てを、お前に託して……!)


  


   


   『創成者技:フルスロットル!』




(……アリス、俺に託してくれるのか?なら、託されたんだ、俺は、これで全てを終わらせる!)



   


   


    『止まれええぇぇぇっ!!』





 その瞬間、Xは消え去り、世界崩壊の危機は去った。俺は全てを使いきり、このもうすぐ終わりを迎える世界での役割を終え、倒れた。



(ああ、終わったんだな…俺の役割、俺がここにいる理由もなくなった。そうだ……終わったんだな)



                  続く



終章


健一(ああ、もう駄目だな俺…周りに誰もいないんだし、こんなに愛されたのに、結局死ぬのは一人でかよ…日頃の行いとか、もっと愛してあげればよかったなぁ……ん?)




リン『健一さん!ねえ健一さん!』



ノート『嫌よ!あなたが死ぬのだけは!』



エル『悔しいですが貴方達と同意です。健一様が死なれては困ります』



ノート『ずいぶん落ち着いてるわね』



エル『本心では怖いですよ……でも健一様にそのような感情を見せたくありませんので』



健一『うう…丸聞こえだよ…』



リン『健一さん!生きてたの!?』



健一『まあな…でももう駄目そうだよ…能力使いきったみたいだし』



エル『回復能力も通じません……』



リン『えっ?じゃあ健一さん死んじゃうってこと?』



エル『悔しいですが持って、数時間…ううっ』



健一『何だ泣くなよ…』



エル『涙を拭いてもらうのは久しぶりですね』



リン『やだ、やだぁ……』



ノート『何で、何でよ!何であなたが…!』



健一『元々俺はこうなる運命だったんだよ』



エル『しかし、死ぬことはないのですよ?』



健一『はぁ、だいぶ言い残していることもあるのに、やりたいこともあるのになぁ…じゃ、言い残したことは言っておこうか』




健一『リン……』



リン『なぁに?』



健一『何かあっという間だったよな、でも料理得意だったなんて知らなかったよ。またお前の味噌汁が食べたかったんだけど、もう駄目そうだ』



『抱きしめた時思ったんだ。こんなに小さいのに色々抱えて…こんな子を残して死ぬのか……』



リン『ううっ、健一さん!味噌汁なんていくらでも作ってあげるから!だから絶対!絶対に死んじゃ駄目だよ?約束だよ…?』



健一『絶対、か。そうだなぁ…約束、その約束、俺に守れるかなぁ…』



リン『絶対に守れるよ!』



健一『そうだといいよなぁ』




健一『ノート……』



ノート『何?』



健一『何か一番苦労をかけた気もするよ。お前も辛かったよな?遊園地行ったり、料理食べに行ったり…花火、綺麗だったなぁ…』



『あの日のノートは花火よりずっと綺麗だった…その、せめて俺がもう少しちゃんと気付ける人だったら、もっとノートはいっぱい笑えてたよなぁ、何かもう今更謝っても謝りきれないよ…』



ノート『今更そんなこと言わなくていいのよ!だったら、もっと生きなさいよ!そして私にもっとちゃんと謝って、もっと私を笑顔にしなさいよ!そうするまで、絶対、生きてもらうんだから……っ!』



健一『はぁ、そうだよな…正論だよなぁ』 



ノート『そう思うならちゃんと生きなさいよ?』




健一『はぁ…エル……』



エル『何ですか?』



健一『お前は俺にいろんなことを教えてくれたよな、スマブラとか、そしてあんま言いたくないこともやってしまったよなぁ…てかスマブラやってたときはこうなるって思ってた人は今いないよなぁ…俺もエルに、何か一つぐらい教えてやれたらなぁって、そう思うんだ…』



エル『せめて生きる方法を教えてあげられたら良かったのに、すみません』



健一『謝らなくて良いよ…人はいつか絶対死んでしまう、それが早いか遅いかの違いだよ…』



エル『そんなこと言う人ではないでしょう?それぐらい分かっていますよ…?』



健一『…お前らもう泣かなくていいよ…多分アリスが記憶消してくれるよ』



リン『あれ?そういえばアリスは?』



健一『そういえば…』(バシュンッ)



三人『『『えっ?』』』



~その思いは神のみぞ知る~


健一『あれ?ここどこだ?ベッド?』



アリス『……久しぶりだな』



健一『俺は何でこんな所に来たんだ?』



アリス『私が連れて来たんだ』



健一『何でそんなこと……』



アリス『別に何でもいいだろう?』



健一(本当はもっとあいつらに言いたいことあったんだけどなぁ…まあ多分彼女なりに目的があるんだろうな)



アリス『…空間の分離が始まっているな』



健一『じゃあ頼むよ』



アリス『いよいよ自分が死を迎えるというのにずいぶん余裕そうだな』



健一『……もう終わりで良いんじゃないか?』



アリス『はっ?』



健一『どうせその冷めた態度も、俺に好かれたくないから仕方なくやっているんだろ?』



アリス『…全てお見通しって所か』



健一『うう、お前の姿が見えなくなってきた…俺もそろそろ終わりかな』



アリス『記憶は私がどうにかしてやるよ』



健一『じゃあ頼む』



アリス(もちろん本当は忘れたくなんてない…だけどこれが結局こいつの為なんだな、私だけが辛い思いをしてればいい…そう、私だけが……)



健一『ア、アリス…』



アリス『ん、どうした?』



健一『俺は…お前のことが……』(ガクッ…)



アリス『健一?おい!』




健一(どこだ?…ん?あれ、秋葉原駅か?えっ救急車?そうか…俺はあっちの世界だったら死んでそんな時間ないってことか…じゃあ今なら影響なく帰れるのか。なら…)


      


     



      『健一、健一っ!』





(えっ、アリス?そうだ、俺言えてたのか?)



『私は、今までずっと我慢してたんだよ……でも今失ってやっと後悔したんだよ!』



(ごめんな、俺…)



『健一、私は君を失ったらもう誰も隣にいなくなるんだよ…?』



(……元々のパートナーぐらいいるだろ)



『君の前で言える訳無かったけど、私の世界の健一はもう既に死んでるんだよ』



(そういうこと?てか聞こえてんの?)



『だから……寂しかったんだよ。それで君に代わりになって欲しかった、でも他のメンバーを呼んだから、もう無理だったんだよ』



(そうか…ならごめん、代わりになれなくて、君のために何もできないで、本当駄目な人だよなぁ)



『でも君は私には勿体ない人だ。だから他のメンバーの誰かとなら、幸せになれると思ったよ。でも私が君のことを好きになったんだよ…こんなこと、生きてるうちに、増してや他の人がいるときに言える訳なかった…だからこの世界が崩れる、私が君のことを忘れてしまう前に…言うんだ』




(そうだ、そうだよ……アリス…俺はお前に言いたいことがある!いくらでも、何個もある!何時間だって君の魅力を話せる!だから俺は絶対に生きる!アリス、俺は帰るよ、帰って言うよ!)




(俺は、アリスのことが…)




         


         『私は、健一のことが……』



     


   


      『『大好きだって!』』







~True end~


健一『ん、んっ…』



アリス『健一?おい、健一!?』




健一『アリス…アリスっ!』(ギュッ)



アリス『ど、どうした!?』



健一『ただいま!それと…大好きだアリス!』



アリス『…うん!私も健一のこと大好きだよ!』



健一『体に違和感がない…何でだ?』



アリス『私にも分からない!だけど今はとにかくもう生きてるだけ良いよ!』



健一『ああ…じゃあ帰るか!』



アリス『うん、でも帰る前に…』



 


          ちゅっ……





健一『ん?……ん~っ!?』



アリス『んっ、今まで我慢していたんだよ?これぐらい許してよ?』



健一『まあ、いいけど…(何今の!?めっちゃ気持ち良かったんだけど!もう一回したいけど、でも…いや、我慢する理由なんてないよなぁ)』



アリス『おい、どうし(ちゅっ)…ん?んっ……ああっ、何だ、やっぱり君も気持ち良かったんだな』



健一『…ああ、ときどきまた、な』



アリス『…まあこの世界も、恐らくもう無くなってしまうんだけどな』



健一『大丈夫だよ(両手を掲げ)』この世界はずっと残り続ける!”』(キイイイインッ…)



 


    『この世界はずっと残り続ける!”』


  (キイイィィンッ…)




アリス『……世界の分離が止まった?おい、お前の能力は尽きたんじゃないのか?』



健一『今の俺の能力は“未来を創る能力”だよ、その力で止めたんだよ』



アリス『なるほど…じゃあまあ帰るか』



健一(この状態で手を差し伸べてみたら…)(スッ)



アリス(手繋いで欲しいのか…じゃあ)(だきっ)



健一『はっ?いや俺は手を繋いで欲しいだけで何も抱きついてくれ、とは言ってないよ!?』



アリス『予想の先を行くのが神の能力だよ』



健一『ていうか、こんな状況誰かに見られたらどうするんだよ?』



アリス『誰も見てないから大丈夫だよ…いっそ見せ付けてしまえば良いんだよ』



健一『ええっ…まあ、良いけど』




(その頃)


リン『健一さん……』



ノート『どこに行ったのよ…』



エル『人は死ぬと天に召されると聞いたことがあります』



ノート『何で、何でそんなこと言うのよ…!』



リン『健一さん死んじゃったら、この先みんな離れ離れになるのかな……?』



ノート『そうかしらね』



リン『リン達生きてるのかな……』



エル『そうですね…ん?この反応……はっ!皆様、健一さんは生きていますよ!』



ノート『嘘っ!?どこ?どこにいるのよ!』



エル『そんなに遠くありません、7kmぐらい先の地点です!』



ノート『なら私先に行くわ!加速:限界突破!』(ギュンッ!)



リン『待ってよ~!創造:飛行機!』



エル『このエルも乗せてください』



リン『分かった!行くよ~!』(ドギュンッ!)




アリス『何か欲しい物とかある?』



健一『え~っ…壊れたプロコン』



アリス『…夢ないな』



健一『ノートが徹夜で勇者対策したせいで十字キーがぶっ壊れたんだよ』



アリス『というかこの腕絡める姿勢、意外と疲れるんだな』



健一『じゃあ外せばいいじゃない』



アリス『どうせ君が外したくないだろうから…私もこの姿勢がいいし』



健一『お見通しってことか……ん?』




ノート『(ドドドド)何やってんのよぉぉぉ!!』




健一『えっノート!?って、ちょっと待って止まってくれ…うわぁぁっ!』


   


         (ドカァァン!)




健一『…あ、あのノート、お前大丈夫?』



ノート『あなた達さっき腕絡めてたじゃない!何なの?ねえアリス、あなたどういうつもりよ!』



健一『と、とりあえず、体、大丈夫?』



ノート『スーパーアーマーだからダメージないの知ってるでしょ?ていうかアリス、あなたそういう人だったかしら?』



アリス『いや、こいつが生きてたことにまず突っ込もうと思わないのかよ』



ノート『そうだった、あなた生きてたなら真っ直ぐ帰ってきてよ!もう心配したのよ!死んじゃったんじゃないかって!』



健一『ごめんな…心配させて』



ノート『(ぎゅっ)死なれたら…困るんだから』



健一『はいはい』



リン『あっ!健一さ…ねえノート!』



エル『何をしているのですか?』



リン『ん~!健一さんはリンがぎゅってする!』



エル『このエルも混ぜてください』



健一(ぎゅっ)(ガシッ)『っ!(ドサッ)お、お前達、もっと勢い抑えられないのか!?』



リン『約束、守ってくれたねっ!』



エル『何かこの世界残り続けるみたいですしもう心配いりませんね…』



健一『お前達…もう泣くなよ……』



リン『泣いてなんて、ないもん…』



ノート『ていうかあなた達、どきなさいよ!』



エル『貴方が退くべきですよ』



リン『二人とも退いてよ!健一さんはリンのものなんだよ!』



ノート『はぁーっ!?私のよ!』



エル『健一様はどちらのものでもありません。このエルのです』



健一『もめるな人の前で…っ!?』



ぎゅーっ!



リン『あ、あれ…?』



アリス『健一は私のものだ。絶対離さないよ』



健一『あ、アリス…?』



ノート『ち、違うわよ!』



健一『お前達帰ってスマブラで勝負しない?』



ノート『いいわね!ならそれで勝った人が今夜添い寝するってことで!』



健一『勝手に決めるなよ!』



リン『負けないよ~!』



エル『ぶちかましてあげます』



アリス『負ける覚悟しな』



健一『もう帰ろうよ』



リン『!ねえリンちょっとトイレ行くね!』



ノート『なら私も行くわ!』



エル『では私は手を洗ってきます』



健一『おう』




 (私は別に使い潰すつもりで「誰か」を呼んで、他の三人に惚れさせて、それこそ私のことは意識させないし、別に覚えてなくていいと思ってた。でも今は違う。健一、君で良かった。君を、リンを、ノートを、エルを、ここに導いて良かった。私は初めて誰かを好きになった。誰かに愛された。健一、君が私の「運命の人」で良かった。もし再び転生しても私は君を選ぶし、君も私を選んでくれるのだろう。こんな気持ちになったのはやはり君が…健一、だから…ありがとう)



リン『あっ、健一さん!帰るよ~』



健一『分かった~』



エル『では行きましょう』



リン『あっ、帰る前に……』




リン『帰る前に…健一さん、大好きっ!』



ノート『なっ!なら……大好きよ!』



エル『では…健一様、貴方が大好きですよ』



健一(えっ何やばい、俺死ぬの?)



エル『そういえば、健一様は結局誰のことが一番好きなのですか?』



健一『えっ、えっ急に?』



ノート『そうよ!そろそろ選びなさいよ!』



リン『そうだよ~』



健一(やばい、やっぱ俺死ぬの?)



ノート『ねえ誰、誰なのよ!』



エル『そうですよ…』



健一(分かったけど絶対選びきれない…でも何か答える必要あるよなぁ…もうこれが答えだ)


     


  


     『じゃあ…全員好きじゃ駄目?』




リン『……もうそれでいいよ』



健一『いいの?』



ノート『でもそのうちちゃんと選びなさいよ』



エル『ではそのうち』



リン『じゃ、帰ろうか!』



健一『おう!』



リン『手繋いで!』



ノート『駄目よ!私が繋ぐのよ!』



エル『いえいえこのエルですよ』



健一(誰がいいかな…)(きゅっ)『…えっ?』


 


   アリス『残念だな。こいつは私のだよ』




三人『『『ええっ!?』』』



健一『……はっ?』



ノート『あなたそんな人だった?』



エル『本当ですよ』



健一『もうみんなで繋げば解決するんじゃね?』



リン『じゃあおんぶして~!』



健一『ぐぼぉ!?おい急に乗るな!』



ノート『なっ…!じゃあ私右手!』



エル『ではエルは左手を』



健一『はいはい』




健一(この世界は幸せに包まれている。それは多分これからも続くのだろう。さて、この話は一旦終了という訳ですが、多分)



アリス『トゥルーエンド、ってことだな』



健一『ハッピーエンドでいいだろ』



アリス『いや……私の想定するハッピーエンドは君やリン達を元の世界に返して全て忘れることだった。でも君はそれを超越するどころか私も幸せにしてしまった訳だから…だから、これが私と君にとって本当のエンディングなんだと思うよ』



健一『…えっ?』



アリス『健一…お願いがあるんだ』



健一『ん?珍しいな、何だ?』


    



   アリス『私を一生幸せにしてくれる?』




健一『えっ?あ、はい…』



アリス『これで君は私のものだ』



健一『えっ?何そういうこと!?』



アリス『そういうことだ』



健一『じゃあ、元々アリスは俺のだったら?』



アリス『……その答えが一番嬉しいよ』




リン『あっそうだ!この気持ちは言葉にしたいからやっぱりもう一回言うね!』



ノート『そうね!何度言ってもいいものね!』



エル『悔しいですが、みんな思っていることは同じみたいですね、では…』



アリス(それが答えか。この気持ちはちゃんと言うべきだよな。だから…)


 




『健一さんっ……』


           『ねえあなた…』


 『健一様…』


             『健一……』




      『大好きだよっ!』


      『大好きよ!』


      『大好きですよ』


      『大好きだ』



                 ~fin~





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