橘「……」

橘「朝か……」

橘はベッドから体を起こす、隣には不知火がまだ寝ている。

橘「今日は大規模演習か…怠いなぁ…」

橘は大きなため息をつきながら着替えを始める。

橘「よし、着替え終わったな。」

橘「おい、不知火、起きろ〜」

不知火「…っん、あっおはようございます」ﾑﾆｬﾑﾆｬ

不知火は目をこすりながら布団を剥ぎ起き上がってくる。昨晩は着ていたはずの服を着ておらず、下着姿でノソノソと動く。

橘「服は？」

不知火「寝相が悪くてよく服が脱げるんです、全裸よりましです。」ｷﾘ

橘「ああそう、なんかもう見慣れたな…」ｶﾞｯｸﾘ

橘「じゃあ飯食いに行きましょう。」

不知火「橘さん？」

橘「ん？なに？」

不知火「スカートパンツの中に入ってて、パンツ丸見えですよ？」

橘「えっ////」

急いでスカートを出す。

橘「忠告ありがとう…食堂行きましょう…」

不知火「はい。」

二人は早足で食堂に向かう

不知火「それにしても…」ｽﾀｽﾀ

橘「なーに？」ｽﾀｽﾀ

不知火「可愛いパンツでしたねww」

橘「うるせーww」

たわいもない話をしながら廊下を歩いていく。

橘「ちょっと。」

不知火「はい？」

橘「なんでこんなに変な目で見られてるの？」

不知火「着任したてですぐに新人虐めにあう橘さんが気の毒なんでしょう。」

様々な駆逐艦の娘に畏怖や悲哀の目を向けられる。

ボソボソと話をしては笑っている艦娘もいる。

橘「おもしろくないね…」ｲﾗ

不知火「まあ気にしないのが一番でしょう。」

橘「まぁ…そうなるか…」

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〜食堂〜

長門「おーい！こっちだこっち！」

橘「おっ！長門さん達がご飯食べてる。」

不知火「電と天龍もいますね。」

橘「いきますか。」

不知火「そうですね。」

不知火と橘は長門達の近くに座る。

長門「今、天龍達と食べながら話をしていたところなんだ。」

橘「そうなんですか。」

陸奥「お邪魔しても？」

長門「おっ？陸奥か遅かったじゃないか？」

陸奥「遊んでたわけじゃないのよ？」ﾋﾟﾗ

陸奥は折りたたまれた紙を取り出す。

橘「……地図？ですか？」

陸奥「あら、橘ちゃんご名答！」

陸奥「大規模演習の行動可能範囲のマップよー」

陸奥「あげるわ。」

橘「ありがとうございます。」

橘「…随分広いですね」

陸奥「『大規模』ってだけあるわね。」

＜ガコン…あーあー…聞こえてるの？こちら提督だ。＞

聞き覚えのある声が館内放送として聞こえてくる。

＜ゴホンッ！え〜今日の1時より第四艦隊対第二遠征艦隊の大規模演習を行う、なおリアルタイムで放送されるので諸君是非見るように。＞

陸奥「あのめんどくさがりのデブがわざわざ報告なんて珍しいわね…」

疑問と皮肉いっぱいの言葉を浴びせる。

＜なお負けた方は相手の命令を聞くのがルールとなってたけど第四艦隊との話し合いの結果で追加で俺のおしおきも追加したから。＞

不知火・電・天龍「？！」ｶﾞﾀｯ

橘「……」

長門「やっぱりか…」

不知火「ｯ？！やっぱりってどういう！」

長門「まぁそう暑くなるな。」

長門「あの提督がわざわざ資材を消費するだけの大規模演習をタダでさせるわけないだろ？」

不知火「…私達を売ったと？」

橘「まあ除隊もできる上辱めも与えられるなんてあいつにとっちゃいいことばっかだよね？」

電「ず、ず、随分冷静なのですね？」

橘「冷静？いや、はらわた煮えくり返ってるよ？」ｷﾞﾛ

電「ヒッ…」ｶﾞｸﾌﾞﾙ

天龍「あいつの慰み者なんて死んでもなりたくねえなぁ…」ｶﾞｯｸﾘ

諸君にいる艦娘のほぼ全てがヒソヒソと話をしながら憐れみの混じった目で橘達を見る。

橘「…まぁいいや、俺は飯食うわ。」

不知火「俺って…橘さん…」

天龍「なんでこんな状況で飯が食えるんだ？」

橘「だって俺は勝つもん。」

橘「その前の腹ごしらえさね。」

長門「…」

長門「……フフ」

長門「……フハハ」

長門「アハハハ！よく言ったぞ！橘ァ！」

長門「しっかり食ってしっかり勝ってこい！」

天龍「駆逐艦にここまで言わせたんだ…俺もやるぜ！」

不知火「…馬鹿ばっかですね…」

天龍「うるせーよお前もその一人だバーカ。」

不知火「ウフフ…そうでしたね…」

電「電の本気を見るのです！」

陸奥「あら？やる気ね？がんばってね！」

橘「じゃあ作戦会議しましょう。」

不知火「そうですね。」

天龍「あんま難しいの勘弁な。」

電「電もお手伝いするのです！」

そう言って四人は出撃前の待機部屋へと入って行った。

陸奥「がんばってもらいたいわね…本当に…」

長門「もしものことがあったらあのデブのチリすらこの世に残さない…」

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青葉「さてさて！始まりました！新人虐めもとい大規模演習！」

青葉「実況は毎度おなじみ青葉でございます！」

青葉「第四艦隊、第二遠征艦隊ともに揃ったらしいのでインタビューに行きたいとおもいます！」

青葉「ドモー青葉です！第四艦隊旗艦の叢雲にお話お伺いします！」

青葉「意気込みをどうぞ！」

叢雲「フン！夕方までには終わらせてとっとと橘にはここを出て行ってもらうわ！」

青葉「今回の相手は第二遠征艦隊ですが？」

叢雲「相手？アハハ！遠征すらまともにできない艦隊にどうやったら負けられるのよ？逆に教えてもらいたいわね！アハハハ！」

青葉「勝つ気十分と言った感じですね！ありがとうございました！」

青葉「次に第二遠征艦隊旗艦の不知火さんです！」

不知火「……」ｷﾞﾛ

青葉(こえぇ…)

青葉「何か一言お願いします！」

不知火「…」ｷﾞﾛ

青葉(なんかいえよ！)

不知火「……ｶﾞﾝﾊﾞﾘﾏｽ」ｷﾞﾛ

青葉「あっ、ありがとうございました！以上両艦隊の意気込みでした！」ｱﾀﾌﾀ

青葉「次にお互いの装備が支給されます！」

青葉「叢雲さんと時雨さんには12.7cm連装砲、61cm五連装酸素魚雷、22号水上電探…」

青葉「足柄さんには20.3cm連装砲に22号水上電探、61cm五連装酸素魚雷…」

青葉「木曾さんには新型高温高圧缶、14cm連装砲、五連装酸素魚雷、22号水上電探…」

青葉「さすが大規模演習！装備にも気合いが入っていますね！」

青葉「続きまして第二遠征艦隊の装備は…えっ？…」

青葉「不知火さん、電さん、橘さん、天龍さんみんな同じ…」

青葉「12cm単装砲…7.7mm機銃…61cm三連装魚雷…？！」

青葉「なんですかこの装備は？！」

青葉「この大規模演習は装備が支給制のはず…なんでこんな差が？」

青葉「おかしいですよ！」

叢雲「提督が勝手に選んで支給したんだしおかしくないでしょ？私達を勝たせたいんでしょ？アハハハ！」

青葉「そんな…公正な演習じゃぁ…」ｶﾞｯｸﾘ

橘「青葉さん。」

青葉「…はい？」

橘「いいんです。」

青葉「でもそれじゃあ…」

橘「それ以上言及すると貴女も目標にされかねません。」

青葉「そんな？！でも橘さん達は？！」

橘「私達は私達のベストを尽くします、それだけです。」

青葉「ただでさえ練度の差があるっていうのに…これじゃあ一方的な…」

不知火「見くびらないでもらえる？」

青葉「えっ…」

不知火「私達にもプライドはあるの、やるといったらやるわよ！」

青葉「わ、わかりました！すみませんでした！健闘を祈ります！」

橘「ありがとう青葉さん」ﾆｺ

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青葉「こちら放送の青葉です！損害状況などは放送でご報告します！ちなみに戦闘中は加賀さんの艦載機によるLIVE中継を食堂にあるモニターでご覧になれます！」

青葉「それでは両艦隊位置に着いてください！」

橘「よし、第四艦隊をぶっ潰すぞ…」

天龍「ったりめえよ！ぶっ殺してやる！」ｳﾃﾞﾎﾟｷﾎﾟｷ

不知火「ｺﾛｽｺﾛｽｺﾛｽｺﾛｽｺﾛｽ」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

電「NANODEATH！」

青葉「戦闘開始！」