2017-03-11 23:46:40 更新

概要

裏と表

照らして歩く道が何時も歩きやすいとは限らない

辛い事も悲しい事もある

そして我慢出来ずに適応する為に人は変わってしまう良い意味でも悪い意味でも

裏が生まれて表が変わり、やがて裏も表も分からなくなってしまう

それでも一人の青年は歩みを止めず少しずつ照らし歩き続けるだろう

友と仲間がいる限り

そしていつか裏を認め表を信じる事が出来る事を願って


前書き

これは【捨てられた鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と捨てられた提督】の続編の【おんぼろ鎮守府と歩み続ける提督】の続編の【大切な鎮守府と歩み続ける提督】の続編の【大切な鎮守府と道を照らす提督】の続編の【君の居た鎮守府と道を照らす提督】の続きになります。まず、それらから見てもらわないと全く分かりません

増えるの!まだ増えるのかぁああ!

専門用語とかは全く分かりませんし、文章もおかしかったりしますが、中傷コメなどはせず、気にいらない方はそっと戻るボタンを押して忘れてください

それでも良い方はどうぞ見てやってコメントを残してやってください

キャラ崩壊注意ですよ!


おんぼろ鎮守府の人達


【おんぼろ鎮守府】


提督(夕立)《時雨、提督》


憲兵(未着任)


軍刀(不明)


【艦娘】


如月、不知火、まるゆ、鳳翔、電、間宮、


(未着任組)大井、曙、羽黒


【部分解体済み】


明石、夕張


【???】


(未着任組)北上、吹雪




5日目スタート


『今度はお前の番だぞ提督』


『僕達は何時でも君の側にいるから』


『君と共に居るから』


夕立『・・・・・・・・』








ー研修5日目ー


ー西鎮守府医務室ー


5日目の朝・・・・


何故か4日目の記憶が半分以上ない


最後に覚えていたのは黒髪にモンエナをあげた所まででそこからは起きていたのか眠っていたのかも分からない


眠っていたのかもしれないけど起きていた様な気もする


一つ言える事は眠っていたにしろ起きていたにしろ何かあったと言う事だ


だって起きたら医務室で西提督さんや妙高さんに黒髪や金髪とメガネまでみんなが居たのだから


そして布団の中には電と如月に三日月まで居た


もう何が何だか分からない状態だった


そして起きただけなのにみんなに喜ばれた


何か?俺が早起きするのがそんなに珍しいのか?


まぁ、滅多にないけど・・・それではないよな?


如月達や三日月が来た理由も何が起きたかも教えてもらえず


如月と電は元帥からの電話でおんぼろ鎮守府へと帰って行った


どうやら休みを利用してこっちに来ていた様だ


全く記憶はないけど・・・


電は半端嫌そうな顔をしていたが渋々帰った


如月は意外にも大人しく帰った。なんか寂しいけど


でも、如月は帰る前に西提督さんと黒髪に何か言っていた様だった


何を言っていたかは分からないけど二人は真剣な表情で頷いていた


どうやら俺は聞くべきではないなと思い見て見ぬ振りをした


三日月は多分仕事で来たんだろう


妙高さんと何かを話して何処かへ行ってしまったが


それにしても三日月の俺を見る眼差しが何故か前より優しく感じる


でも、不思議とそれがおかしくなくて・・まるで血の繋がった家族の様な感じがしたけど


ないなと自分に言い聞かせた


俺は一人っ子で母さんの唯一の子供で・・・・・


あれ?


そうだよね?何か思い違いを感じたがなんだろう?


不思議な感覚だった


それからみんなが医務室を出て俺は今日は安静にする様に言われた


と言われても何も不調はないしなと思ったが・・いきなり気分が悪くなり吐いた


頭がぐるぐる回る様な感覚と吐き気に全身に力が入らずにこのまま死んでしまうのではないかと言うくらいに苦しんだ


そして更に身体が謎のネバネバに襲われ文房具でお馴染みであるのりの匂いが身体中からした


何を言ってるかは分かっている


俺は正気だ


でも、本当にのりの匂いと全身に塗りたくられた様にネバネバしていた


汗とかではない・・初めての感覚だった


それが更に吐き気を誘発して朝は大変だった


それに気付いた黒髪はこの感覚がなくなるまでずっと側で看病してくれた


金髪やメガネも来てくれたが黒髪が追い返した。人が多いとそれだけ俺の負担になるからと気を利かしてくれた


危うく惚れそうになったのは秘密だ


それから昼前には徐々に楽になり昼飯は黒髪が作ってくれたおかゆを食べた


黒髪に案外料理出来るんだなと言ったら叩かれた


案外が余計だったらしい


それからあらためて金髪が暑苦しいお見舞いに来てくれたが黒髪に煩いと言われ退室させられた


心配してくれるのは嬉しいが西提督さん程ではないがその熱血は今は勘弁だ


でも、金髪が本来の自分になれた事が嬉しかった


金髪はミネラルウォーターを置いて行った


その後メガネが冷凍メガネを持って来てくれた


ひんやりとした


メガネは満足そうに帰って行った。その手に絵本と大量の飴を持って


何個か貰った


心配してくれたのが凄く分かった


昼を過ぎて朝の苦しさが嘘の様になくなり黒髪にも研修へ戻る様に言ったが


どうやら今日は好きな様に動けと言われているらしく


また放置かよと思ったが何かあったのかはずっと医務室に居た俺でも分かる


外を見れば他の艦娘達が声をあげて忙しく動いている


悲鳴に近いか?


俺に教えてくれないのは必要ないからだ。悔しいけど今は動けそうにないから・・


本当にやばい事ならきっと西提督さんは教えてくれる筈だ


そう信じてる


なので今日は休みって事で良いだろう。まだ明日と明後日2日間残っている。きっと何か出来る筈だ


今日はその為の休みだ。うん、そうだ!その筈だ!


そうだよね?信じるよ?


それにしても外からの声がよく聞こえる


やっぱり悲鳴に聞こえるな


まぁ、気にしても仕方ないか


悲鳴を子守唄に昼も眠りについたのだった


強い瞳を持つ少女


???『・・・・・』


君は誰?


目の前に女の子が居た


悲しそうな顔をしてこちらを見ている


そんな顔しないでこっちにおいでよ暇なんだ話し相手になってくれると嬉しいな


そう言って手を伸ばすと


???『っ!』ダッ


あ・・・逃げた


ちょっと・・いや、かなりショックかな・・そんな怖い顔していたかな?


いや、いきなり知らない人にこっちにおいでとか不審者だな・・馬鹿だな


どうするか?寝るか


夕立『もう寝てるっぽい!』


ん?誰?


夕立『っ・・誰とかどうでもいいっぽい!』


いやいや、駄目だろ。特にぽいとか曖昧な事しか言わない奴は特にやばいぞ?後で追加料金とか請求さー


夕立『うるさい!うるさい!とにかくさっきの娘を探すっぽい!』


夕立『さっさと起きるっぽい!いえ、起きろぉおお!』


提督「うわっ!」ガバッ


提督「え?え?ぽいぽい?」キョロキョロ


提督「夢か・・・」


随分とハッキリした夢だった


こうして起きてから夢をしっかり覚えてるのも珍しい


大体起きてから違和感とかに気付いてしまうが夢を見てる間は全くそれに気付かない


全く不思議だ


それはともかくとして


提督「もう眠くないな・・どうするかな?」


提督「言われた通り夢で見た娘でも探すか?って夢なのにいるわけなー」


???「・・・・・」ジーー


なんかジッと見られているのだが・・


いつの間に入って来たんだ?寝顔見られた?恥ずかしい・・


でも、この娘何処かで見た事ある様な?


提督「あ・・・・・ああ!」


???「っ・・・・・」ビクッ


夢で逃げた娘だ!


紺色のセーラー服に短めのおさげが2つで髪色は綺麗な茶髪の女の子だ


品の良さを感じるが西提督さんと同じ感じがした


西提督さんの様に汗まみれのムキムキと言ってるわけではない


筋肉とは無縁の普通の中学生くらいの女の子だ


なんと言うか目から力強さを感じてそれが西提督さんと似ている。強い瞳をしている


芯のしっかりした娘だってのが分かる


そう言える程真剣にこっちを見ていたが俺が気付くと明らかに焦りの表情に変わった


反射的とも言えるのか気付くと立ち上がり彼女へと近づく


???「っ!」ダッ


提督「あ、待って!ちょっと!」ダッ


彼女は逃げてしまった


でも、追い掛けた。またあのぽいぽいうるさい娘が夢に出てくると思ったからだ


とりあえず話しを聞こう


そうすれば文句ないだろう


でも、それだけじゃない様な気がしたけどそれが何なのかは分からなかった


ただ一つだけ言える事は信頼に似た何かを感じたと言う事だ


人だから変われる


ー西鎮守府廊下ー


提督「見失った・・・」


とりあえず追い掛けて医務室を出たのは良いが彼女を見失ってしまった


提督「黒髪に見つかる前に医務室に戻るか・・」


見つかったら煩そうだし面倒見てもらったのもあるし今日は従おう


怖いし・・・・


提督「ん?」


荒潮「ふふ・・・」部屋覗き


提督「何やってんだ?」


ドアを少し開けて誰かの部屋をこっそり覗いている様だ


荒潮さんに覗き趣味があるとは知らなかった・・だが、趣味だとしても他の人のプライバシーを覗くのはどうかと思う


此処は俺が言ってやるかついでに不気味に笑いつつ時折ふりふりしてるお尻を叩いてやろうか


まぁ、冗談だけど事案発生するし


でも、注意はしておくか


提督「荒潮さん」


荒潮「あら?提督さんもう身体は大丈夫なの?倒れたから医務室へ運ばれたと聞きましたけど」


俺って倒れたのか?ダメだ思い出せない


提督「この通り元気なったよ心配かけてすみません」


荒潮「そう、良かったわ」


提督「で?何してるのかな?覗きはいくら仲間同士でも駄目だと思うよ?」


荒潮「ふふ、提督さんも覗いてみる?大丈夫よ此処は自分の部屋だから」


提督「え?あ、本当だ」


覗きはプロともなれば自分の部屋も覗くのか


凄いなプロ


荒潮「ほらほらこっち来て静かに覗くのよ?中に朝潮ちゃんがいるけど」


提督「姉妹で覗きごっこか・・楽しいですか?」


荒潮「早く始まるわよ金髪もいるし二人きりよ」


提督「なんだと」覗き


金髪の奴め朝潮さんと二人きりで何をする気だ!これは上官として見ないと!


告白か?告白するのか!


荒潮「高いわしゃがんで?」


提督「ん?あぁ、分かった」


荒潮「えい」ピョン


すると荒潮さんが背中に乗って来た


四つん這いになってしまう


提督「うわっ、おー」


荒潮「重いって言ったら怒るわよ」


提督「おお〜」


荒潮「ふぅ・・重くない?」


なぜ聞く・・


提督「あぁ・・軽いよ」


それ以外言わせないだろうに・・


荒潮「ふふ、良かったわ」


ドアの隙間が僅かなのでこうしないと見れないのは分かるが俺が立って覗いて下からしゃがんで見ればいいと思うが口には出さないでおこう


提督「廊下で四つん這いの男とその背中に乗っている少女がドアの隙間から部屋を覗く・・」


誰かに見られたら恥ずかしい光景だな・・誰も通らないでくれよ


荒潮「さてさて、どうなるかな?機会を与えてあげたんだから頑張りなさいよ?ふふふ」覗き


提督「何をがんばー」


荒潮「はい、しー、よ?ばれたらお尻叩くわよ?」


提督「・・・・・・・」


応援したいけど・・いや、応援しよう!


頑張れ!金髪!


ー朝潮と荒潮の部屋ー


金髪「その・・朝潮さん用って言うのは?」


朝潮「・・・・・・」


朝潮「何とかするってこう言う事だったんですね」ボソッ


金髪「え?」


朝潮「いえ、何でもありません」


金髪「あ、はい・・」


朝潮「はぁ・・・・いきなりとは」


金髪「朝潮さん・・・・あの、俺何か」


朝潮「あ、すみません貴方に対してではありませんから」


金髪「は、はぁ・・」


朝潮「・・・・・・」


金髪「・・・・・・」


朝潮「変わりましたね」


金髪「朝潮さんのおかげです」


朝潮「っ・・そんな事はありません」


金髪「いえ、朝潮さんが言ってくれたから大将に全てを話せたんです。朝潮さんが応援してくれたから俺は出来たんです」


朝潮「やめて・・・それ以上言わないで」


金髪「だから感謝しています。本当にありがとうございました」


朝潮「っ!」


朝潮「違う!違う違う違う!」


金髪「あ、朝潮さん?」


朝潮「言わないで・・お礼を言われる資格なんてないんです。私は最低です・・裏切り者だとは思わないなんてよく言えましたよ・・前の私なら貴方を軽蔑してました」


朝潮「貴方に酷い事を言って!蔑んだ目で見て・・もしかしたら攻撃していたかもしれません・・」


朝潮「最近までそんな奴だっんです私は・・実際に貴方と同じ境遇の方を寄ってたかって酷い事をしました」


金髪「っ!」


提督「朝潮さん・・」


荒潮「ずっと悩んでたのよ・・真面目過ぎる娘だから」


提督「俺はもう気にしてないのに」


荒潮「でも、朝潮ちゃんは気にしてる金髪に言った自分の言葉が許せないのよ。そしてずっと自分を責めていた見てて辛かったのよ・」


提督「だから一層の事話してしまおうと」


荒潮「限界が近かったからこうするしかなかったのよ。そうすれば少しは楽になると思って・・ごめんね?提督さんの部下に面倒ごとを押し付けて迷惑よね?」


提督「ううん、俺もきっとそうしてたよ荒潮さんの判断は間違ってない。これが最良の手ですよ」


荒潮「提督さん・・ありがとう。でも、このまま見ていて大丈夫かな?そろそろ入っていった方が・・このままだと朝潮ちゃんが・・」


提督「大丈夫ですよ。まぁ、見ててくださいよ。あいつならきっとやってくれますよ」


荒潮「信じているのね彼を」


提督「大事な部下ですから。信じてますよ金髪も朝潮さんもそしてこの手を考えた荒潮さんもね」ニコッ


荒潮「っ!そ、そう・・あ、ありがとごじゃいまちゅ」顔真っ赤


提督「泣いてる娘を見捨てる様な奴じゃないよな?」


そうだろ?金髪


漢を見せろ!


朝潮「私は嘘つきで最低な・・ガラクタです・・応援するって言葉も言う資格なんてなかったんです・・」ポロポロ


金髪「・・・・・・・・」


朝潮「すみませんでした・・私は本当なら貴方に恨まれなければいけない存在なんです」


朝潮「今は誰も部屋には来ません・・殴るなりなんなりしてください。そうする資格が貴方にはあります。勿論誰にも言いません約束します」


朝潮「どうぞ!」


金髪「・・・・・」ゆっくり歩み寄る


朝潮「っ・・・・」目を瞑る


金髪「・・・・・ほらよ」ハンカチ


朝潮「え?」


金髪「まずは拭けよ涙をよ」


朝潮「要りません・・汚れますから」


金髪「そうかならじっとしてろよ拭いてやる」ふきふき


朝潮「っ!な、なにをハンカチが汚れますからやめー」


金髪「朝潮さん・・あんた馬鹿だろ?」


朝潮「なっ!馬鹿とは失礼ですね!馬鹿と言った人が馬鹿と言う言葉を知らないのですか!まぁ言われても何にも思いませんけど」ポロポロ


金髪「泣きながら言われてもな」ふきふき


朝潮「だから汚れますから・・離してください」


金髪「言わなければ良かったじゃないか言わなければこんな事をしなくて良かった」


朝潮「そんな事は出来ません!そんな自分を偽る真似なんて・・」ポロポロ


金髪「朝潮さんって案外泣き虫なんだな」ふきふき


朝潮「違います!これは涙じゃなくて汗です」


金髪「自分を偽らないんじゃないのか?」


朝潮「・・・・意地悪ですね」


金髪「これが俺だからな。あんたが偽る事を嫌うなら俺は俺で話す」


金髪「よく話してくれた朝潮さんはやっぱ良い女だ。普通なら黙ってるぜ?もう忘れてるまであるな加害者はすぐに忘れるからな逆に被害者はいつまでも覚えてるがな」


朝潮「違います・・最低のガラクタです。私はポンコツなんです!」


金髪「結局は俺もあんたも似たような境遇だったんだよ」


朝潮「スルーしないでください」ポロポロ


金髪「ふざけたこと言うからだ泣き虫さん」ふきふき


朝潮「ふざけてなんかー」


金髪「俺は前まで艦娘は兵器で人間の道具だと思っていた。でも今は違う朝潮さんも含めて艦娘達は人と何一つ変わらないって思える」


金髪「人そのものだって言える。寧ろそこらの人より人らしいって言える。そんな風に思い言う資格はないのか?俺には」


金髪「最近まで道具と思っていた俺は彼女達をずっと道具だと思わないといけないのか?」


朝潮「っ!ち、違う!貴方は変われました!だから!」


金髪「そう、変われた・・それはあんたもだ」


朝潮「え?私が変わる・・」


金髪「艦娘を道具だと言ってきた俺と裏切り者だと言ってきたあんたと何が違う?」


朝潮「そ、それは・・」ポロポロ


金髪「何も違わない同じなんだよ。人は変われる。現に俺は変われたそしてあんたも変われた」ふきふき


金髪「あんたも人だって証拠だ。難しく考えるなよ?要は考えを改めて良い方に変われたって事だ」


金髪「俺達は成長したんだよ」


朝潮「金髪・・私成長したのかな?変われたのかな?そう思うっておかしくないかな」ポロポロ


金髪「成長の変化に戸惑うのは変われるものの特権だ味わっておけよ」ふきふき


朝潮「金髪・・・」


金髪「お互い成長を喜ぼうぜ」


朝潮「はい・・・はい!」


提督「・・・・・・」


荒潮「良かったわ・・本当に良かった」ぶびー


提督「俺の服で鼻をかむなよ・・汚いな」


荒潮「あら?ごめんなさい」


提督「そろそろ降りてくれます?」


荒潮「もう良いの?此処から良いところなのに」


提督「だからだ。これ以上覗くのは野暮ってもんだろ?と言う事で荒潮さんも撤収」


荒潮「ふふ、嫌よ」


ガシッ


提督「聞いてませんよ強制ですから」荒潮担ぎ


荒潮「あれ〜強引なんだから私以外にしたら駄目よ?」


提督「分かってますよ」


金髪・・さっきのお前は凄くカッコ良かったぞ


お互いまた成長出来たんだな


提督「良いものが見れたよ」


荒潮「ふふ、そうね」


荒潮を担いだ提督はその場を去ったのであった


金髪「はは、ハンカチびしょびしょだな」


朝潮「ふふ、だから言ったんです」


金髪「スッキリしたろ?」


朝潮「はい、ですが・・」


金髪「よし、なら決別するか?」


朝潮「決別?」


金髪「朝潮さん」


朝潮「は、はい」


金髪「艦娘達を道具と見下したり数々の暴言すみませんでした」


朝潮「っ!金髪・・艦娘達を代表して許します。きっとみんな貴方なら許してくれます」


金髪「ありがとう、こう言う事だ謝っておけば楽だぞ?」


朝潮「はい、やってみます」


朝潮「金髪」


金髪「はい」


朝潮「今まで人の事をよく知ろうともせず勝手に決め付けて見下して軽蔑してすみませんでした」


金髪「許す。前に言ってしまった人もきっと許してくれる今のあんたなら」


朝潮「はい、ありがとうございます。凄く楽になれました」ニコッ


金髪「っ!」


お互いがお互い謝ることで過去と今を決別した


もうこの二人にあった溝は無くなっていた


朝潮の涙も笑顔に変わり


それを見た金髪はますます彼女に惹かれていくのだった


そして少し前進をする勇気が出た


金髪「あ、あの朝潮さん、そ、そのこれからお茶でもご一緒にどうですか」


朝潮「喉が渇いたのなら外にウォータークーラーがありますよ?」


金髪「いや、そうじゃなくて」


朝潮「自販機もありますのでどうぞ?タダですよ?一人一日三本までですが私のオススメは急須で淹れたような気がするわけでもないお茶の綾鳶です」


金髪「ははは・・そうだよな・・はぁ・・そうします」とぼとぼ


朝潮「?」


金髪は渋々部屋を出たのだった。そしてお茶の綾鳶を買おうとしてマヨコーラストロング〜わさび風味〜を押してしまい大変な事になった


金髪「ぶぅううう!」バタッ


艦娘達「「きゃぁああ!」」


朝潮「・・・・・・ごめんね」


朝潮は一人誰もいない部屋でそう呟いたのだった


誰に謝っていたのかは朝潮にしか分からない


届かない声


提督「部屋戻るかな・・・」


荒潮「あら?お持ち帰りされちゃうの?」


提督「しませんよ良い加減に降りてくれませんか?」荒潮肩車


荒潮「嫌よ〜〜♪」スリスリ


提督「このまま帰ったら面倒な事になりそうだな・・」


妙に気に入られてしまったのかあれから荒潮さんが離れない


流石にこのまま戻ったら色々と面倒な事になりそうだと俺の勘が言っている


てか、俺はどうして医務室から出たんだ?何か用事があった様な?


提督「あ、そうだ。あの娘を探さないと」


荒潮「あの娘?あら浮気?」


提督「そろそろ冗談も大概にしてください本気にしますよ」


荒潮「あら?あらあら、ふふ」


提督「冗談ですから・・」


荒潮「あら〜・・・ふふ」


どうも調子が狂うな・・・良いように遊ばれてる感がする


見た目に反して俺より大人なのかそれとも見た目通り子供なのか分からない


だがある意味ではこの姿で良かったと思う


まぁ、肩車で喜ぶのだからまだまだ子供って事だな


提督「・・・・・・・」


子供でも戦わなければいけない・・こんな時がいつまで続くのだろうか


終わらせないと・・いつか絶対に


荒潮「それであの娘ってなに?誰か探してるなら手伝うわよ」


提督「・・・・・・」


荒潮「提督さん?ねぇ無視しないで泣くわよ?ねぇ・・・」ツンツン


提督「やっぱり元帥をぶっ潰すのが一番か?でもどうする?やはり髪の毛を・・」ブツブツ


荒潮「ねぇ!提督さん!」


提督「っ・・あ、すみません。ちょっと考え事をしてました。それでなにかな?」


荒潮「もう、後少しで泣いていたわよ・・・探してる人がいるなら手伝うわよって言ってるのよ。迷惑じゃなければだけど」


提督「いえ、迷惑だなんて助かりますよ。でも、名前が分からないんですよ」


荒潮「どんな娘なの?」


提督「紺色のセーラー服を着ていて茶髪の短めのおさげが後ろに二本で中学生くらいだと思う娘です」


提督「そして目の奥から強さを感じました。西提督さんと同じ心の強さを」


荒潮「紺色のセーラー服ね・・・」


提督「分かりますか?此処に居たわけですから西鎮守府の艦娘だとは思いますけど」


荒潮「残念だけどそんな娘はうちには居ないわ。幻覚とか?」


提督「え?でも、確かに見てそれで追いかけていたんです見失いましたけど・・」


荒潮「でも、そんな特徴の娘は少なくとも西鎮守府には居ないわ。いるなら侵入者くらいだけど・・連日でしかも誰にも見つからずに侵入を許すなんて考えにくいわ。それに」


提督「それに?」


荒潮「その紺色のセーラー服に心当たりがあるわ。でも絶対じゃない」


提督「なんでも良いので教えください」


荒潮「もしかしたらだけど吹雪型の娘達は紺色のセーラー服が正装なんだけど吹雪型の娘達は真面目な娘が多いから他の鎮守に無断で侵入なんてしないと思うわ」


吹雪型か・・まだ会った事はないけど俺も真面目な娘が多いと聞いた


だからと言って見たのが吹雪型ではないとは言えない寧ろそれ以外にない


だとするなら吹雪型だとして無断侵入が間違いだ


もっと別の方法で


提督「なら、お客として来てるとかは?他の鎮守府から用事とかで」


荒潮「それならあり得そうね。でも、そんな報告は聞いてないけど・・」


提督「忘れてたとかは?昨日色々あったみたいですし伝え忘れもあるかもしれません」


荒潮「う〜ん、そうかしら?」


提督「とにかく西提督さんに聞いてみましょう」


荒潮「ええ、そうね。多分今なら執務室に居ると思うわ」


提督「なら執務室へ」


???「・・・・・・」テクテク


提督「ん?あ・・」


荒潮「どうしたの?」


探していた少女は目の前に普通に居た


此方へと何気ない顔で歩いて来ている


さっきの焦りはなくただ普通に歩いていたが


提督「あの娘だよ。声を掛けてみるよ」


荒潮「え?あ、待って」


提督「あの、さっきはいきなり追いかけるなんてしてすみません」


???「・・・・・・」テクテク


そのまま横を素通りされた


まるで俺がその場に居ないかのようにスルーされた


荒潮「提督さん?」


提督「あの、無視しないで欲しいかな。ちょっとで良いから話しをさせてくれないですか?」


追いかけて再度声を掛けるがスルーされてしまう


いきなり触れてしまうのもいけないと思うしどうにか声を掛けて止まってもらおうとするけど止まってくれないし反応すらしてくれない


もしかしたら怪しんでいるのかもしれない


当たり前だいきなり追いかけて来た奴が声を掛けて来たんだ警戒もしているだろう


俺一人がどう言っても怪しさは変わらないだろう・・だけど


提督「荒潮さんも一緒にお願いします。もしかしたら警戒しているのかもしれないので」


荒潮「提督さん・・・貴方・・」


提督「お願いします!荒潮さん」


荒潮「・・・・・そうなのね」


荒潮「良いわ貴方の好きにしなさい」


荒潮さんが言ってくれるならきっと話しくらいはしてくれるだろう


もう一度彼女に声を掛ける


足は止めてくれないので歩きながら話す


???「・・・・・・」テクテク


提督「俺は怪しい者じゃありません。おんぼろ鎮守府の司令官で提督と言います。此処には研修で来ていまして決して怪し者ではありませんから無視しないでください」


荒潮「・・・・・・」


提督「ね?荒潮さん」


肩の上に乗っている荒潮さんに声を掛ける


荒潮「・・・ええ、彼は信用に足る人よ」


ナイスフォロー!でも、荒潮さん相手を見て話そうな


そっちは壁


提督「それで良かったら君の名前を教えて欲しいんだけど」


???「・・・・・・・」テクテク


提督「ダメ・・ですか」


???「・・・・・・」チラッ


彼女は歩みを止めて一瞬こっちを見て少し顔をしかめた


嫌がっている様に見えるし何かを考えている様にも見えた


やがて彼女は顔を横に振ると再び歩きだしたのだった


分からない・・彼女は俺を見ていない


いや、見ない様にしている感じにも見えた


今の反応は俺に対してじゃなかった


俺の声は届いていない・・・


追いかける足は止まっていた


提督「君は一体・・・・」


彼女は一言も言葉を交わしてくれなかった


何故君は医務室に居たんだ何故俺を見ていたんだ


どうして夢に出て来たんだ


何故今は見ない様にしてるんだ


荒潮「・・・・・・・」


荒潮「これはまずいわね・・」


荒潮「よいしょっと」スタッ


やっと肩車から解放されて肩が軽くなったが今はそれより


提督「荒潮さん彼女は一体・・」


せめて名前だけでも知りたい


荒潮「ごめんなさい急用を思い出したわこれで失礼するわね」ダッ


提督「荒潮さんせめて彼女の名前を!」


荒潮「これは・・どうにかしないと」


荒潮「提督さんが馬鹿になってしまったわ!」


俺の言葉を無視して荒潮さんは何処かへと走って行ってしまった


罵倒を残して・・・


提督「馬鹿って・・・」


確かに本人からじゃなくて別の人から知ろうとするのは馬鹿かもしれないけど


提督「・・・・・・・・」


それでも・・・


提督「やっぱり気になる・・・せめて・・」


拒絶の言葉を言われたなら諦める


でも、まだ諦めるには早い


此処までして気になるのはきっと夢であったぽいぽい言ってる娘の言葉があったからなのだろう


信じたい・・いや、信じられる


そしてあの夢で見た悲しそうな顔もあるのだろう


あれは絶対に俺を見ていた。きっと何かある筈だ


根拠のない思いを持ちつつ少女の歩いて行った方へと向かったのだった


馬鹿で結構だ


提督「俺って相手から見たらうざい相手だな・・はは」


でも、それでも、分かってても気になるんだ


逃亡ダンボール?


提督「いないな・・何処に行ったんだ?」


すぐに追いかけた筈だが姿が見えない


その代わり


提督「ん?なんだあれ?」


大きなダンボール箱があった


提督「廊下のど真ん中にダンボール箱って不自然だな、しかも結構大きい」


幅も結構あり正直通りにくい一人くらいなら余裕で入れる大きさだ


邪魔だな・・


提督「誰が置いたかも分からないし勝手に触ってはいけないと思うけど」


せめて端に寄せて置くぐらいはしておこう


他の人が通るのも邪魔になるし


たく、一応病みあがりなんだぞ?俺


スティックのり症候群(勝手に名付けた)なんだぞ?


治ったけど、薬は黒髪が作ってくれたお粥だったりして


なんてな


提督「ふぬぬぬぬ!お、重い!」


全然持ち上がらない


ダンボール箱「」ガタッ


提督「ん?動いた?」


荷物が動くわけないよな?


提督「中身はなんだろう?それに・・ん?」


ダンボール箱の少し先に赤い液体が落ちている


提督「これは・・この色に匂い」クンクン


提督「ちょっとぺろっと」ペロッ


提督「うん、この鉄分っぽい味は・・血だ!」


しかも落ちてからそう時間は経っていない


出したてホヤホヤだ!


なんで血が?


そしてよく見るとダンボール箱に少し凹みがある


提督「何か事件の匂いがするな」


この凹みと血の跡は関係している


このまま無視しては行けない


提督「となると・・やはり中身が何かを確認しないとな」


出血者が出て居るんだ危険な物には違いない兵器か?


いや、流石にそんな物を廊下に置きっ放しにはしないだろう


他ならぬ西提督さんだ。そう言うのはちゃんと管理している筈だ


もっと別の可能性を考えろ


動いた気がしたが・・もし本当に動いていたとしたら


提督「もしかして生き物が入ってるとか?だとするなら安易に開けるのは危険だ」


確認してみるか


提督「おーい、なんか居るのか〜居るなら返事してくれ」ツンツン


ダンボール箱「」ガタッ


提督「なんか居るな・・」


どうするか?誰か呼ぶか?でも、その間に他の娘が開けたりしたら・・


開けそうな娘が何人も心当たりがあるから困る


でもダンボール箱に入って居るのだから凶暴だとしてもそんなに危険があるかは・・いやいや、そんな考えを持つからいきなりの事に対応出来ないんだ


常に最悪を想定しろ


提督「中には凶暴な何かが居る!」


ダンボール箱に収まる程の凶暴な何かだ


しかも肉食だ。もしかしたらこの血は・・・いや、それだけは考えたくない


でも覚悟はしておこう


これを野放しには出来ない!


正確には野には放たれてないけど


何かを確認してせめて開けないように注意書きをする必要がある


提督「怖いけど少し穴を空けてそこから覗いてみるか噛まないでくれよ」ズボッ


ダンボール箱「」ガタッガタッ


提督「おっと、怒ったか?」


その時空けた穴から指が出てきた


ダンボール箱「眩しい〜」指フリフリ


あれ?これって


提督「・・・・・・」指掴み


ちょっと逆に曲げてみたり


ダンボール箱「痛たた」


提督「・・・・・・」


ダンボール箱「・・・・・・」


提督「・・・・・・」ダンボールオープン


提督「何やってんですか?愛宕さん」


愛宕「は、はーい、提督さん」


中に居たのは愛宕さんだった・・え?なに?ダンボール箱に封印でもされてたの?


それなら責めて封って字くらい書いておいて欲しかったよ


好奇心で絶対に開けてたから


どうりで重い筈だとは死んでも口には出さない。そのくらいの気遣いは出来る


まぁ、無難な答えとしては


提督「もしかしてかくれんぼですか?」


愛宕「えっと・・そ、そうなのよ」


あ、違うなこれ


提督「へぇ・・・そうなんですか」


愛宕「え、えへへ」汗だらだら


提督「汗凄いですよ」


愛宕「あ、汗っかきなもので・・あ、ダンボール箱サウナって知ってる?最近流行ってるのよ」


提督「へぇ〜、それはそれは何処かの傭兵さんも喜びそうですね」


愛宕「そ、そうなのよ、提督さんもどう?」


提督「でも、ダンボール箱の予備はないですよ?まさか一緒の箱に入るのですか?」


愛宕「提督さんさえ良ければどうぞ」


提督「はは、それじゃあ遠慮なく」


愛宕「はい、どうぞ」ニコニコ


提督「・・・・・・・」ニコニコ


提督「で?本当は何ですか?正直廊下でこんな事されると邪魔なんですが」真顔


愛宕「ごめんなさい・・訓練が嫌で逃げてました」


提督「・・・・・・」


愛宕「何も言わないんですか?」


提督「いや、俺は一応研修生ですし他の鎮守府の訓練事情に口を出すのもどうかと思いまして、ですがやはりサボりはいけまんし・・言うべきかどうかと微妙な心境です」


愛宕「そ、そうなの、ならこのまま見逃してくれると嬉しいな」


提督「う〜〜ん・・いや、やっぱりサボりは良くないです行きましょう」


そう言ってダンボール箱から出て来ない愛宕さんに手を差し出すが


ダンボール箱「嫌〜!」蓋閉める


その手をスルーして篭ってしまった


少しだけメンタルにダメージ


提督「愛宕さん!出て来てくださいよ。もし気分が悪いとしてもサボりは良くないです!せめて言ってから休むとかしてくださいなんなら俺も言いますから」


ダンボール箱「提督さん・・もうダメなのよ・・もう・・」


提督「愛宕さん・・・」


泣いてる?そんなに身体の調子が悪いのか?


提督「分かりました。妙高さんを呼んで来ます」


もしかしたら動けない程苦しいのかもしれない


だとするならあの血は愛宕さんのもので


急がないと!


走り出そうとした時ダンボール箱から勢いよく出た愛宕さんに飛び付かれる


愛宕「やめて!」ピョン!


提督「うわっ!」押し倒され


愛宕「お願いそれだけはやめて!死んでしまいます!なんなら土下座でも何でもするのでお願いします!」涙と鼻水FEVER


提督「愛宕さん!とりあえず落ち着いて色々と当たって大変なんで!あー!鼻水が顔に!」


愛宕「昨日の失態の所為で!妙高さんは怒ってるし三日月さんと結託して格闘訓練と称して何度も何度も投げられるし!」


愛宕「最初こそは強くなる為に頑張ったけど格闘であの二人に勝てるはずもなく武器を持ち出す娘もいたけど勝てなくて・・」


提督「でも、愛宕さん訓練とは辛いものですよそれを乗り越えてー」


愛宕「もう!地面とキスするのは嫌なんです!初めては好きな男性とが良いんです!うわぁあああん!」ポロポロ


提督「ガチ泣きだ・・とりあえず落ち着いてくださいよ」背中ナデナデ


愛宕「ヒグッ・・グスッ・・三日月さん・・笑ってました・・怖かった・・」


愛宕「妙高さんは・・無表情で・・どっちも怖かったぁあああ」ポロポロ


提督「ははは・・それは怖かったですね。よしよし」ナデナデ


ある意味では無表情が一番怖いのかもしれない


笑顔が怖いのはよく分からないが


成る程医務室を出る前に三日月と妙高さんが話していたのはこの事だったのか


昨日何があったかはよくは分かっていない


でも、特別訓練をしなければいけない程の何かがあったのだろう


これは西鎮守府のこれからに関わる事で、だからこそ妙高さんは心を鬼にして訓練をしているんだ


本当は西提督さんとイチャイチャしたいのにだ


末長くお幸せに爆発しろ・・・


三日月さんも意地悪とかでこんな事しない


てか、三日月さんって強かったんだな


夕張さんはともかくとして明石さんも元艦娘だけど大和さんと互角だったし元艦娘って現艦娘より強かったりするのか?


いや、幾ら何でもそれはないか


明石さんが異常なだけだな


三日月は普通!


ともかく妙高さんも三日月も為を思ってやっている


でも、今の愛宕さんを連れて行けるか?


愛宕「うぅ・・・」ブルブル


提督「出来ないな・・・・」


愛宕「ふぇええん!ずびーー!」


提督「俺の服で鼻をかむな!」


荒潮さんもそうだけど俺の服はスコッティじゃねえぞ!


仕方なくほっとく事も出来ずどうするか考えた結果


匿う事にした


しかし、そのままは危険だバレないようにダンボールを上手く使いこの場を脱する


任務開始だ!ス◯ーク!


ダンボール箱「」こそこそ


提督「よし、誰もいないな・・そのままこっちへ」


提督「っ!いや、ストップ誰か来る」


ダンボール箱「」ピタッ


祥鳳「あ、提督さんもうお身体は大丈夫なんですか?」


提督「あ、祥鳳さん心配掛けてすみませんもうすっかり治りました」


祥鳳「良かったです倒れたと知ったのが朝だったので何も出来ませんでしたすみません」


提督「いえ、そう思ってくれただけで充分ですありがとうございます」


祥鳳「ふふ、提督さんは優しいですね。だからなんでしょうね皆さんから好かれています」


提督「逆です皆が優しいんですよ。本当にこの西鎮守府は良いところです」


祥鳳「ふふ、ありがとうございますね。それでこのダンボール箱は何ですか?大きいですね」


提督「俺の私物です部屋へ運ぼうと思ったんだけど重くてね少し休憩をしていたんですよ」


ダンボール箱「」ピクッ


ダンボール箱「重くない・・グスッ」


提督「っ!」


祥鳳「あれ?今動いたような?それに声が」


提督「えっと・・そう!俺実は腹話術の練習していまして」


提督「やぁ!僕愛宕!パンパカパーン!」腹話術擬き


ダンボール箱「提督さん・・似てない・・」指ピクピク


穴から指が出てる!


提督「そして動いたのはこうしたからです。せいっ!」軽く蹴る


ダンボール箱「っ!」指引っ込め


祥鳳「ふふ、愛宕さんの前ではやらないようにしてくださいね怒りますから」


提督「はは、分かってますよ」


後で怒られるだろうな・・


祥鳳「お荷物運び手伝いますよ」


提督「え・・いや・その・・」


祥鳳「遠慮しなくて良いですよ頼ってください」


提督「その・・見られると恥ずかしいものでして」


祥鳳「そんな嘘つかなくても良いですよ。提督さんがそんな人だとは思ってませんから」


提督「祥鳳さん・・」


なんて良い人なんだ・・このまま運んでもらうか?でも、万が一でもバレたら祥鳳さんの事だ問答無用で連行される


いや、多分持たれたら底が抜けて愛宕さん落ちてくるだろうな・・万が一ならず一が一?そんな言葉はないか


でも、このままだと俺のモラルが・・


提督「・・・・・・」チラッ


ダンボール箱「」ガタガタ


提督「っ・・・・」


覚悟を決めろ!震えてる女の子を見捨てられるかよ!


提督「金髪なら見捨てないよな」


祥鳳「え?」


提督「祥鳳さん・・俺は男です。それも思春期もビックリのレベルの男です」


祥鳳「えっと・・言っている意味が分からないのですが」


提督「この中には大量のピーーーーが入ってるんですよ!だから祥鳳さんに運ばれるのは非常にやばいです!」


祥鳳「じょ、冗談ですよね?提督さんが・・演習を勇敢に戦い抜いた貴方がピーーーーをそんなに持ってるなんて・・」


提督「・・・・・・」


祥鳳「答えて!本当なんですか!」


提督「あぁ・・そうだ」虚空を見つめ


祥鳳「そ、そうですか・・映像で見せてもらった貴方はもう居ないのですね・・すみませんが気分が悪くなったのでこれで失礼します」


祥鳳「今回は見なかった事にしますからさっさと運んでください」ボソッ


去り際にそう言って去って行った


提督「はい・・すみません」


嫌われた・・絶対に嫌われた・・・布団に篭って泣きたい・・


提督「はぁ・・・愛宕さん行きましょう」


ダンボール箱「っ・・ピーーーー持ってるの?」ビクッ


提督「妙高さーーん」


ダンボール箱「うぇええん!冗談ですから呼ばないで!」あせあせ


大切な何かを失ったが医務室へ連れて行き俺の寝ていたベッドに寝かせ顔が見えない様に布団を名一杯被らせた


これで愛宕さんは休めるし黒髪が覗いて来てもバレないと思う


そして少女探しを再開しようと思ったが


愛宕「行かないで・・・」ギュッ


手を離してくれない


無理矢理離す事は簡単に出来る程弱々しく握られた手を離す事が出来なかった


こうされてしまうと強く握られている時よりも離せないから困る


愛宕さんが寝付くまでずっと握られていない方の手で頭を撫でていた


疲れていたのかすぐに眠った


提督「よし、眠ったか」


布団を頭まで被せて医務室を出た


因みに後に分かった事だが、あの血は廊下を全力で走っていた荒潮さんがダンボール箱を飛び越えようとして足を引っ掛けて顔面から転けた時に出た鼻血だったらしい痛かっただろうな折れてないと良いが


輝く三日月


提督「あの娘を探さないと・・でも、その前に三日月を探すか運動場かな?」


黒髪に見つかる危険はあるが行くしかないな


一応愛宕さんが気分が悪くて訓練に出られない事を言っておかないと起きた時に愛宕さんが血を見る事になりそうだし


俺を信用して着いて来てくれたってのもあるし中途半端には出来ないよな


提督「甘いな・・俺は」


ー西鎮守府運動場ー


提督「なんだよこれ・・・・」


運動場に来たがそこは地獄と言っても良いかもしれない


運動場にはたくさんの艦娘達が倒れていた


みんなボロボロだった


この妙な静けさが怖い


でも、ある意味では天国とも言えるな・・大半の娘のスカートがめくれているし・・


提督「いやいや、俺は何を思ってんだよ!パンツよりみんなの安否だろうが!」


とりあえずスカートオープンを直しつつ安否を確かめる


提督「クマさん率高いな・・苺と良い勝負だ」


お子様が多いんだな


みんなとりあえずは大丈夫そうだ


それにしてもこの光景・・愛宕さんが逃げ出したのも納得だ


でも、妙に落ち着いている自分が怖かったりする


もう立っている娘は一人もいないし訓練は終わったのか?


提督「余程厳しい訓練だったんだな」


倒れている娘の中には武器を持っている娘もいた


提督「ハリセンに木刀それにナイフか・・刀まであるしガチの殺り合いか?」


訓練ってこれが普通なのかよ・・真似はしないけど


阿武隈「」孫の手


提督「阿武隈さん・・・・」


逃げずに戦ったんだな・・・でも、なんで孫の手?


スカート直しておくか


提督「またクマさんか・・クマが優勢だな」


阿武隈「」ピクッ


てか、格闘訓練って聞いたんだけどなんで武器持ってんだ?


麻酔銃を持ってる娘もいた。と言うより駆逐艦の娘達はみんな麻酔銃を持っていた


麻酔弾が刺さってる娘や大きなタンコブが出来てる娘もいた


そしてその近くには


提督「メガネ・・お前は」


メガネ「」眼鏡に麻酔弾が刺さっている


文月「」お尻に麻酔弾が刺さっている


メガネは文月を庇うように倒れていた


メガネが漢だったと言う事が分かる


最後まで守ろうとしたんだな


提督「よくやったなメガネ」


麻酔弾を全て抜いて運動場の端に寝かせた文月も隣に寝かせた


起きた時にはきっと・・・


ついでに文月さんはちょっと大人な黒でした


提督「案外文月さんって・・・っ!」


ふと背後から殺気を感じて振り返ると


提督「三日月・・・・」


三日月「・・・・・・・」


ドーランで顔を迷彩柄に塗ってハチマキをしており目が血走っている


焦点が合っていない・・・


そして笑っている


確かにこれは・・・かなり怖い


提督「三日月、愛宕さんなんだけどー」


言い終わる前に俺は地面とキスをしていた


つまり投げられたのだ


提督「いてて」


そしてそのまま関節技をかけられる


提督「いたた!!三日月、痛い!やめてくれ!」


三日月「ふふふ、ひゃははは!」ギュッーー


提督「ぐっ!三日月やめろ!」


三日月「っ・・・」ピクッ


少し力が弱まりその隙に多少強引に離した


三日月「倒す倒す倒す倒す倒す」


提督「三日月俺だ!提督だ分からないのか!」


三日月「私が倒れたら・・・みんなが!みんながぁああ!」ダッ


提督「くっ!やるしかないのか!」


と言っても勝てるわけもなく


数十回と地面にキスをした


愛宕さんの言葉が蘇る


愛宕『初めてのキスは好きな男性とが良いんです!』


今なら・・・凄く同意出来る


男性の部分は女性に変えてだけどな


だって地面さん凄くザラザラで唇と相性が悪過ぎるリップクリームでどうにかなるレベルを軽く超えている


でも、初めてのキスはもう済ませた様な気がする・・・


いやいや、そんなのは今はどうでもいいだろ!一体どうしてしまったんだ・・三日月


提督「はぁはぁ・・やばいな・・」


このままじゃ、また倒れてしまう


これ以上西提督さん達に迷惑を掛けるわけにはいかない


三日月「・・倒す」ふらふら


提督「三日月・・・・」


もしかして・・・


俺が憎いのか・・・・


三日月「倒す倒す倒す!」


提督「・・・・・・・」


そんなに俺が憎かったのか・・なら受け入れるしかないのか


と諦めかけた時


阿武隈「提督さん!諦めたらダメ!」シュッ


三日月の頭に孫の手がコツンっと当たる


三日月「・・・・敵」孫の手


提督「阿武隈さん!」


阿武隈「三日月は今我を失ってるの!背中を見て投げた孫の手に夢中でこっちを見てないから背中を見れる筈よ」


三日月「倒す!」ガスッ


孫の手「」小破


提督「あれは!」


投げた孫の手と格闘している三日月の背中には大量の麻酔弾が刺さっていた


正直起きているのが奇跡と言える程の数だった


阿武隈「本当なら眠ってしまう筈だったんだけど三日月は気合いでそれを抑えてる。だから他の事に気を回す余裕もなくて」


提督「目の前の奴が全員敵に見えてると」


孫の手すら敵認識している事からかなりやばい事を物語っている


阿武隈「そう、少しでも気が緩めば眠ってしまう・・凄いよ三日月はきっと本気で戦えば誰も勝てない」


提督「どうすれば良い!更に麻酔弾を撃ち込むか!」


阿武隈「それをやってああなってしまったの多分何発撃っても倒れない」


提督「なら、気絶させるしか」


阿武隈「勝てる自信ある?」


提督「ない・・・そうだ!妙高さんは!」


阿武隈「三日月がこうなる前に西鎮守府を勝手に出ようとした荒潮ちゃんを追って行っちゃった」


阿武隈「なんか精神科の先生を呼ばないとって言ってたけど」


荒潮さん何やってんだよ!


提督「なんて事だ・・・西提督さんは!」


阿武隈「書類処理モードに入ってるから終わるまで余程の事がないと動かない。常に頭から蒸気が出てるから誰も不気味がって近寄れない」


提督「どうすれば・・・・」


阿武隈「どうするも此処で止めないと・・建物の中に入られたらお終い・・ごめんね巻き込んでしまって」


提督「やるしかないのか・・いや!やってやる!」


三日月「倒す倒す!」ググッ


孫の手「」大破


阿武隈「提督さん・・そろそろ孫の手(特注)が折れる。そうなったら今度はこっちを襲って来るよ!」


提督「挟み撃ちで飛びかかるぞ!阿武隈さんは三日月の背後へ」


阿武隈「了解!」


提督「折れた瞬間やるぞ!」


阿武隈「はい!」


バキッ


孫の手「」轟沈


三日月「ふっ・・・」ニヤリ


提督「今だ!飛びかかれ!」ダッ


阿武隈「とりゃぁああ!」ダッ


三日月「っ!」


不意をつけた!これなら勝てる・・そう思っていた


顔面に衝撃が走った。殴られたのだ


そしてその殴った勢いで背後の阿武隈さんに回し蹴りをお見舞いした


三日月「っ!」ドゴッ


提督「ぶはっ!」


三日月「っ!!」ゴスッ


阿武隈「ぶぎゅっ!」


二人とも吹っ飛ばされた


提督「うっ・・・歯が・・」


阿武隈「今のは効いた・・・」


三日月「・・・・・」テクテク


静かに阿武隈さんへと歩み寄る三日月


やばい!


提督「動け・・動いてくれ!」


無理に身体を起こして追いかけるが


提督「間に合わない!」ふらふら


誰か!誰でも良い!阿武隈さんを!


???「・・・それは貴方の役目です」肩貸し


提督「君は!いや、それよりありがとう!これなら!」


三日月「・・・・・・」


阿武隈「はは・・三日月は強いね。完敗だよ」


三日月「・・・・・・・」


阿武隈「抵抗はしないよ。好きにして・・でも、提督さんだけは見逃してあげてね。きっと後になって後悔すると思うから・・」


三日月「っ・・提・・・督?」ピクッ


阿武隈「うん、提督さんだよ大切な人なんでしょ?忘れるなんてダメだよ」


三日月「提督・・・提督さん!」


提督「三日月!いい加減にしろ!」羽交い締め


三日月「っ!」


阿武隈「提督さん!」


三日月「くっ!」


提督「三日月・・俺は鬼になれなかった・・殴って目を覚まさせてやる事も出来ない・・だけどお前の為なら!もう迷わない!」持ち上げ


三日月「っ!!」


提督「俺は!俺はぁああ!鬼になってやる!うぉおおおりゃぁあああ!」投げっぱなしジャーマン


ブンッ!


三日月「ふにゅっ!!」ゴンッ!!


三日月は受け身を取れずに地面へと激突した


提督「提督流奥義一の型・・・三日月」ブリッジ


【提督流奥義一の型《三日月》】


綺麗に仰け反る様に後ろへと全力で投げるプロレスでも危険視されており団体によっては禁止されている所もある元とは言え駆逐艦の娘にやる技ではない大人気なくえげつない奥義


軽い娘だからこそ出せるこの技は三日月への想いと信頼そして愛の鞭やらちょっとの好奇心などなどを表しており投げた後のブリッジの姿はまさに闇に包まれた夜を照らす三日月の様だった


提督は言うだろう・・俺は満月よりも欠けても尚輝く三日月が好きなんですと・・


大きな欠点があるとすれば技後の硬直時間(ブリッジ)が長いと言う事だろう


提督「阿武隈さん!麻酔弾を!三日月を麻酔弾の呪縛から解放してやってくれ!」ブリッジ


阿武隈「っ!今助けるからね!」麻酔弾全部抜き


三日月「っ!・・・・・・」


阿武隈「もう我慢しなくて良いんだよ」


提督「お疲れ様三日月・・ゆっくり休んでくれ」ブリッジ


三日月の目が二人をハッキリと捉えた


その目には覇気も戦意もなく俺の知っている優しい目だった


三日月「提督さん・・前髪の人・・ありがとう・・」


阿武隈「それってあたしの事?なんで前髪?ねぇなんで?」


そんな問いを無視してゆっくり瞼が閉じられた


三日月「すぅーー」zzzZZ


三日月は眠った。大きなタンコブを頭に生やして


スカート上がってるし直してやらないと


提督「ふぅ・・腰痛い・・これで三日月は大丈夫だろう」


提督(純白・・やりました)


阿武隈「なんでだろう?まぁいいか、それより提督さんありがとね。やっぱり強いんだね」


提督「そんな事ないよ阿武隈さんこそありがと助けてくれて君が居てくれたから勝てたんだよ」


阿武隈「そ、そうかな?お礼言われる事そんなにないから照れるかも・・えへへ悪くないです」


提督「君もありがとうって・・またいなくなってる・・」


阿武隈「ん?誰か探してるの?」


提督「さっきまで一緒にいた娘だよあの娘がいなかったら間に合わなかったよあの娘知ってますか?」


阿武隈「え?提督さん以外に誰も見てないけど?誰かいた?」


提督「え?そんな筈は・・」


黒髪「何かあったんですか!メガネどうしたの!文月さんも!起きてよ!ねえ!」


提督「っ!」


やばい黒髪だ!


阿武隈「あ、黒髪だ。相変わらず元気だね」


提督「阿武隈さん後の事はよろしくお願いします!それでは!」ダッ


阿武隈「あ、提督さん・・どうしたんだろう?まぁ良いや」


阿武隈「提督さんか・・・・・」


阿武隈「前髪少し整えた方が良いかな?その方がきっと・・うん!」


元野良艦娘だった阿武隈にとって生きる事に必死でおしゃれなど全く興味がなかったしそんな余裕はなかったのだ


西鎮守府に着任してからは余裕は出来たが興味を持てなかった


生きる上では必要ないと思っていた


それが今は少し興味を持ち始めていたのだった


それが誰のおかげだったのか知る者はいなかった


本人以外は


阿武隈「〜〜♪」前髪整え


黒髪「誰かぁぁああ!」


運動場に黒髪の助けを求める声が響くのだった


種を照らす光


ー西鎮守府正門ー


黒髪を避ける為に遠回りをしていたら正門に出てしまった


という事なので一応西憲兵さんに挨拶をして行こう


何時もの様に正門で偉そうに立っているのだが


何故かボロボロの姿だ何かあったのだろうか?


西憲兵「あの二人・・どこ行ったんだ?」


提督「西憲兵さん?」


西憲兵「ん?これは提督殿お身体は大丈夫ですか?倒れたと聞いてビックリしましたぞ」


提督「俺は大丈夫ですけど西憲兵さんは大丈夫ですか?なんかボロボロですけど」


西憲兵「聞いてくださいよ。昨日定時に帰っただけなのに今日朝来たら艦娘達に襲われまして・・艤装を展開していなかったとはいえボコボコにされましたぞ!ははは!」


提督「あの・・大丈夫ですか?何か口調がおかしい様な」


西憲兵「何時も通りです!何時も通り常に帰りたいって思っていますぞ今日は特に思っています!」


提督「あの、何かそうされる様な事に見覚えとかはないんですか?」


西鎮守府の艦娘達はみんな良い娘だ。何も理由もなし襲うなんて事はしない筈だと信じたい


西憲兵「うむ、全くないですぞ!ちょっと強引で止まってくれない配達業者を追いかけていたが途中で定時になったので帰った」


西憲兵「なんの問題もないです」


提督「あの・・その配達業者はそのままほって置いたんですか?」


西憲兵「うむ、ほって置いたぞサインを欲しがっていたけど出来ず終いでしたな」


提督「何してるんですか!それって侵入者ですよね?捕まえなかったんですか!」


西憲兵「捕まえようとは努力していました。ですが自分は定時までしか仕事はしないので過ぎたらそれは管轄外でありますぞ?」


西憲兵「給料以上の仕事はしないのが自分の流儀であります!」


当たり前だ・・それが働く者の上手いやり方と言える


でも、俺は・・理解出来ない


こんな流儀を!


提督「だとしても西鎮守府のみんなの事を考えなかったのですか?何があったかは詳しくは知りませんけど未だに立ち直れない娘も居ると聞きます。何故かは分かりませんがダンボールを見ると怖がる娘も居るぐらいとか」


提督「今回はどうにかなったかもしれませんが怪我じゃ済まない事だってあったかもしれません。それ程の事があったってのは分かります・・それでも流儀を選ぶんですか?」


提督「目の前の命よりも・・」


西憲兵「・・・・・・・」


提督「どうなんですか答えてください流儀ってのは守るべき命も差し置いて選ぶものなんですか?」


西憲兵「・・・・・・・」


提督「答えろ!自分がした事がどういう事か分かってるのか!仲間を見捨てて帰ったんだぞ!」


西憲兵「優しく言ってみたつもりですが・・流儀って言葉は如何にも提督殿が好きそうな言葉だったのだが・・ダメでしたか」


西憲兵「そこまではヒヨッコではないみたいですね。少しは見直しましたぞ」


提督「馬鹿にしてるのかよ!」


西憲兵「ふむ・・周りには誰もいないな」キョロキョロ


提督「ん?」


西憲兵「この際だから提督殿には言っておきますよ。自分は・・いえ、憲兵達を含む陸軍は海軍を良く思っていない」


提督「それは知ってる・・昔に艦娘を取り合って衝突したとかで・・でも、それは昔で今は協力して戦ってるじゃないか」


まだ、多少は対立関係にあるとは聞くけど・・


そんなに酷くはないと思いたい


憲兵「本当にそう思うか?今でもその火は消えていない隙あれば海軍を潰そうとしているのが現状だ。提督殿が思ってる以上に陸軍は良く思っていない。それこそ消えてしまえば良いと思っている奴等も少なくない」


提督「そんな・・・・じゃあ、西憲兵さんもそう思っているんですか」


西憲兵「・・・・・・・」


提督「答えてください」


西憲兵「命を懸けて守る価値はないと思っている」


提督「そうですか・・」


西憲兵「でも、仕事は仕事だと割り切ってやるのが軍人だ。時間内は守るし命も・・・・懸けてやるさ」


提督「西憲兵さんが分かりません俺には」


西憲兵「憲兵ってのは傭兵みたいなものだからな仕事なら命を懸けるのが当たり前なんだよ例えムカつく奴だろうと守れと言われれば守る」


西憲兵「その結果死ぬ事があれば仕方ない事だ。でも、時間外言わばプライベート時間にそいつに危険が及んでも俺は知らない」


提督「西鎮守府のみんなをそんな風に思っていたんですか・・みんな良い人達じゃありませんか!」


提督「そりゃあ、そんなにボロボロにされた西憲兵さんからしたら良くは思えないかもしれないけど・・」


西憲兵「・・・・・・」


西憲兵「いや、西提督も艦娘達もみんな良い人達だよ。それは提督殿と同じさ」


西憲兵「本当ならこのくらいで済まされる筈がない。俺は西鎮守府のみんなが・・・・」


提督「なら!なんで帰ったんですか。言ってる事とやってる事が違います!」


西憲兵「言ったろ?陸軍と海軍は仲が悪いって」


提督「西鎮守府が海軍だからって事ですか」


西憲兵「そうだ。どんなに良い人達だろうと仕事上の人物でしかない。過度に関われば陸軍から自分が危険な目に合う。地位も命も懸けて守りたいとは思えない」


提督「だとしても・・・・目の前で見捨てるなんて・・最低ですよ」


西憲兵「あぁ、最低だ。だから償いは甘んじて受ける。彼女達に病院送りにされても文句は言わない。なのに・・あいつら優し過ぎるんだよ・・これでも擦り傷もないんだぜ?」


西憲兵「あいつら事情を全部分かっててわざと悪者を演じてんだぜ?お陰で上からは同情されて貰いたくもないボーナスなんて貰って・・娘の病院代も払えて・・こんな事娘に言ったら怒られてしまう・・」


西憲兵「定時だって本当は憲兵になんてないんだ・・それを西提督が勝手に作って上に言って・・娘の所へ行ってやれなんて言うし・・だから俺は夜勤でもなんでも頼んでしたよ・・そうする事でしかいる事が出来なかったから彼女達や西提督の好意に甘えて被害者を演じているんだ」


西憲兵「知ってるか?憲兵達から西鎮守府はブラックだって特に忌み嫌われているんだぜ?だからこんな無能な俺が上司からも優しくされてる・・」


西憲兵「本当に情けなくて自分が惨めに見えてくる・・だから大っ嫌いだそんな彼女達のいる西鎮守府が・・でも、何よりも自分が大っ嫌いだ!」


西憲兵「だから・・こんな所命を懸けてまで守る価値はないんだよ・・守ろうとすれば西鎮守府のみんなの思いを不意にしてしまうから」


提督「そんなの自分に嘘を付いてるだけじゃないか・・どうにかならないんですか」


西憲兵「どうにかなるならしてるさ・・そうしないと俺は全てを失ってしまう。娘も地位も・・居場所もな!妻もあの人も亡くした俺には娘しかいないんだよ!」


提督「そうですか・・・」


西憲兵「すまん・・・・」


提督「・・・・いえ、此方こそ何も知らずにすみません」


西憲兵「・・・・謝るのかよヒヨッコ以下だな言い返してみろよ」


提督「今更分かるなんてまだまだですね・・俺は言い返せる程辛い道を歩んでいませんから」


西憲兵「そうは見えないがな・・そう言うならそうなんだろうな、ふふ、面白い奴だよ」


西憲兵「・・・・・・やっぱりお前なら」ボソッ


提督「ん?」


西憲兵「本当はな・・陸軍の事情なんてどうでも良いし西鎮守府のみんなの思いだって踏みにじってやりたい。仲間なんだから気を使うなと言いたい!でも、一つだけ許せない事が海軍にあるんだ」


西憲兵「それがなければ喜んで西鎮守府の人達の為に頑張れるし娘の事も借金でも何でもしてどうにかしたさ・・でもなそれがある限り陸軍は・・いや、憲兵達は海軍を許さない」


西憲兵「許しちゃいけない・・これだけは・・」


提督「それは・・」


西憲兵「俺達の大事な人を奪ったんだよ海軍は」


提督「大事な人・・・・」


西憲兵「俺達憲兵の師匠だよ。三式潜航輸送艇まるゆ・・知ってるよな?」


提督「っ!」


西憲兵「彼女は俺達憲兵にとって希望だった・・海軍ばかり優遇され陸軍の上の奴等も俺達を放置していた中でまるゆさんは俺達を見離さずに訓練してくれた・・厳しく更に厳しくそして時に優しくな」


西憲兵「陸軍でも俺達憲兵は屑の集まりだと言われててな。だから海軍の門番なんてやらされていたんだ。自分達がやりたくなかったから・・でも今は門番ではあるがちゃんと陸軍として同等に扱ってもらえるようになったんだ」


西憲兵「まるゆさんが陸軍の上層部に掛け合ってくれたから・・」


提督「まるゆが・・・・」


西憲兵「嬉しかった・・・俺達はまるゆさんの為なら命も惜しくないと本気で思えた・・一生着いて行くとみんながそう決めていた」


提督「・・・・・・・」


西憲兵「まるゆさんが昇格する度に俺達は自分の事以上に喜んで仲間が昇格すれば呑みに連れて行ってもらい、嫌な事があれば呑みに連れて行ってくれて、何もなくても呑みに連れて行ってくれた」


提督「呑み過ぎなような・・」


うちのまるゆからは想像出来ないな


なんか良い上司ではあるがおっさんみたいだ


西憲兵「お前も大人になれば分かる。飲みはな・・凄く大事な事なんだ。まるゆさんに誘われたら断る奴はいなかった。仕事をほっぽり出して来た奴なんかまるゆさんに殴られていたしな」


提督「そんなに慕われていたんですね」


西憲兵「あぁ、仏の様な方だった・・あの時の右ストレートは痛かったな・・・でも嬉しかった」


提督「え?それって・・まさか」


西憲兵「あぁ、俺だよ。そんな奴にまるゆさんは言ってくれたよ待っててやるから仕事を終わらせてから来いって・・はは」


西憲兵「その日は朝まで付き合わされて二人して遅刻して怒られたな・・そして夜に怒られたからってその日も呑みに連れて行かれた」


提督「色々と強い人だったんですね。肝臓とか」


呑み過ぎなのはあれだけど・・・まるゆさんって言われてるけど違和感を感じない


西憲兵「一度悪い女に騙されて借金まみれになって途方にくれてる俺にまるゆさんは手を差し伸べてくれた。そいつの家を突き止めて乗り込んで殴って借金を全部返させたんだ」


想像がつかない・・・


西憲兵「しかも!その騙した女もその後一緒に呑みに連れて行ったんだから器の大きさは計り知れない。そいつは泣きながら謝っていたよ・・まるゆさんの優しさが五臓六腑に染み込んだんだろうな」


提督「なんか・・呑みに行きたいだけに思えるが・・」


西憲兵「そんな事は・・ない!多分・・」


多分かよ・・・


提督「でも、器の大きな人だってのは分かるよ」


でも、泣いてたのはまるゆさんが怖かったからではと思う


西憲兵「そのお陰で俺は人生をやり直せて今の嫁さんに出会えた。まるゆさんも認める良い人だ」


提督「まるゆさんは何というか男の中の男って感じですね」


西憲兵「それをまるゆさんに言ったら笑いながら女だって怒るんだよな・・そんなの分かってるのにな・・」


提督「かっこいいですねまるゆさんは」


西憲兵「あぁ、かっこよくて憧れで・・惚れてた・・彼女が居たから俺達は海軍から何を言われても我慢出来た。従う事が出来た。だってあの人は何時も待っててくれた・・帰る場所だって教えてくれた」


提督「帰る場所・・・」


俺にとってのおんぼろ鎮守府だ。みんなは元気にしてるだろうか


こんな時携帯があればな・・絶対に買ってやる


西憲兵「でも・・ある時に大規模な作戦があったんだが・・まるゆさんが呼ばれたんだ」


提督「ん?でも、まるゆは」


正直言うと海上では余り戦力にはならない


それを作戦で呼ばれるなんて


西憲兵「まるゆさんは余り水中は得意ではないとよく言っていたがそこらの艦娘より強かった。だから呼ばれたんだと思った」


西憲兵「俺達は喜んだよ。これで海軍に恩を売れば俺達の待遇も良くなりいずれはお互い肩を並べる事も出来ると、まるゆさんはまさに希望だったんだ」


西憲兵「なのに配置されたのは念の為にと作戦海域の外だった。でも、それを聞いたみんなは喜んでいた。万が一があったらと心配していたからだ。作戦外海域なら万が一もない必ず帰ってくる・・・・そう思っていたんだ」


提督「なにかあったんですね」


西憲兵「襲われたんだ大隊レベルの敵にな。そしてまるゆさんは他の仲間を逃がす為に囮になって・・・」


提督「・・それで海軍を恨んで」


西憲兵「違う!まるゆさんが沈んだのは悲しい事だったけど仲間を助けて勇敢に戦ったんだ。誇りに思った」


提督「なら何故」


西憲兵「仕組まれていたんだよ・・後に知ったんだがあの作戦は囮を使って誘き寄せて囮ごと敵を殲滅する作戦だったんだ」


提督「っ!」


西憲兵「囮はまるゆさんの居た艦隊だった・・まるゆさんは敵にやられたんじゃない・・仲間だと思っていた奴等に背後からやられたんだ!」


提督「そんな・・そんな事が・・一体何処の鎮守府がそんな事を」


西憲兵「調べたらよ・・その作戦はとある鎮守府でされていたらしい・・それが君の居る鎮守府だよ」


提督「っ!」


それって・・・


西憲兵「提督殿の前の代がそれをよくやっていたらしい」


提督「父さんが・・・・あいつが!」


西憲兵「しかもまるゆさんの事をなかった事にして!それに加担したと思われる前元帥もその息子も姿をくらませてしまった・・」


西憲兵「今の元帥になってから謝罪の言葉はあったが・・もう遅いんだよ・・もう許せない!許すわけにはいかないんだよ!」


西憲兵「大事な仲間を殺されて侮辱されて!それを仕組んだ奴は行方不明!そんなのを許せるか!海軍全体を恨むのはおかしいと分かるけど・・それしか俺達には怒りの持って行き場所がないんだよ・・」


提督「・・・・・・」


西憲兵「だからすまない・・俺は海軍に命は懸けられない。懸けちゃいけないんだ」


西憲兵「まるゆさんが懸けた命は無駄になったんだ・・きっと俺達も・・」


西憲兵「最初に時間内なら命も懸けてやるとか言ったが・・きっとやばくなったら逃げるよ俺は・・」


提督「西憲兵さん・・・・」


西憲兵「っ・・・ごめん」


きっと西提督さんはそんな事をしないとは頭では分かっているんだ


でも、分かってても怖いんだ。命を懸けてもまるゆさんの様に何も残らないかもしれないと


命を懸け守ろうとしてもきっと身体はそれを拒否する


恐怖が刷り込まれているんだ


提督「西憲兵さん・・俺は」


俺が頭を下げても価値がないのは分かる


逆に怒りを買うかもしれない


でも、身体が勝手に土下座の姿勢を取ろうとする


俺も海軍でそれをやった奴の息子でもある・・西憲兵さんの恨む相手に変わりはない


前の俺なら父さんのやった事なんて俺とは関係なくて俺も被害者だと思っていた


父さんとは他人でいようと司令官になる前からずっと思っていた


なのに・・何故だろう。それだけは駄目だ他人と思ってはいけない


分からない・・分からないけど納得してしまう


あんな奴でも父さんで・・・俺は息子だ


この事実だけは変えられない


でも、だからと言って俺が謝っても許してはくれないのは分かる


もうそのレベルを遠に超えてるのも分かってる


でも、それを聞いて何もしないのが出来ない・・辛い・・苦しい・・何かしないとどうにかなってしまいそうだった


それで殴られるならそれも良いと思った


提督「父さんが・・すみませんでした・・」土下座


西憲兵「何してんだよ」


???「・・・・・・・」


西憲兵「立てよそんな事されても意味はないってぐらい分かるだろ」


提督「・・・・・・・」


西憲兵「おい!」


提督「分かってます!分かってますけどこうさせてください」


西憲兵「ダメだ・・すぐに立て・・」


提督「・・・・・・分かりました」


提督「っ!」


あれ?おかしい身体が動かない


西憲兵「おい・・立てと言ってる」


提督「た、立ちますから」


思う様に力が入らない


西憲兵「立ちやがれ!お前に謝られても意味なんてないんだ!頼むから・・やめろ!」


殺気を感じた


これは殴られるとかでは済まない


やばい!早く立たないと


でも・・・


提督「っ・・・・」


動けないし声も出ない震えが止まらない


駄目だ!腰が抜けた!


西憲兵「・・・そうか、お前もまるゆさんを侮辱するのか・・なら!」


これで良いのか?これで少しは楽になれるのかな?だとするなら・・


???「馬鹿!」ゴスッ


提督「ぶはっ!」


頬に強烈な衝撃が走る


例の彼女が顔面を蹴りに来ていた


少し見えた!ちょっと嬉しい


西憲兵「っ!」


でも、そのお陰で動ける様になった


痛みが硬直や恐怖を打ち破ってくれた


提督「うぅ・・・君は」


???「立って・・立ちなさい!」


提督「は、はい」


???「馬鹿なんですか?相手の傷に塩を擦り込むなんて馬鹿なんですか!挙げ句の果てに腰を抜かすなんて馬鹿なんでしょ!」


提督「だって・・勝手に」


???「違います!馬鹿が弱気になっていたからです!馬鹿の所為です!」


???「逃げないでください。馬鹿に西憲兵がどうしてこの話しをしたのか分かりますか?」


馬鹿馬鹿言い過ぎ・・・


提督「・・そんなの分かりませんよ」


もう手遅れの話しをしたのなんて理由があるとすれば怒りをぶつけたかったくらいしか


なら殴られるのが正解なんじゃ


西憲兵さんにはその資格がある・・・


???「ビシッと背筋を伸ばして胸を張って!貴方として彼の話しを聞いてください良いですね?彼が話してるのは海軍でも提督父の息子でもなく貴方なんです。その意味をよく考えて」


???「罪意識を持つのは勝手ですがそれで相手を更に追い詰めてしまうのは間違ってます。これは貴方の持つべき罪ではないんです。彼も貴方に持てる程の器を期待なんてしてません!自惚れるな!」


提督「自惚れですか・・はは、そうかもしれませんね・・それでも俺は忘れる事は出来ない関係ないなんて言えない!」


???「ならしっかりと覚えて起きなさい二度と起こさせないようにその怒りを忘れちゃダメですよ?これからの海軍は貴方達若い子が変えるのですよ」


提督「はい・・ありがとうございます。俺絶対に忘れませんから!」


???「頑張りなさい馬鹿な若人」


そう言うと彼女は何処かへ行ってしまった


俺はまた彼女に助けられたんだな


話しをしたかったけど今は追いかける時ではない


西憲兵さんの話しを聞こう


今度は加害者(海軍)でもなくあいつ(父親)の息子でもないただの俺として


馬鹿な若人で


西憲兵「提督殿今のは誰と喋って・・・いやそれより口から血が垂れて」


提督「これくらい大丈夫です。俺はまるゆさんを侮辱したのと変わらない事をしたんです。それに比べればこのくらい・・蚊にキスされた程度です」


歯が何本か逝ってるけど


西憲兵「そうか・・」


提督「改めてすみませんでした。俺が謝っても意味はないです。それは分かってましたけど苦しくて吐き出したくて逃げてしまいました。今度は逃げませんから受け止めますから聞かせてくれませんか」


そう言って軽く頭を下げた


きっとさっきよりも遥かに意味のある行為だと思う


西憲兵「提督殿・・・俺も済まない提督殿を責めているつもりはなかったのだが結果的にそうなってしまった」


西憲兵「ただ、提督殿には話しておきたい事があったんです。その為にはこの事も話さないといけなかった」


西憲兵「まるゆは提督殿の鎮守府にも居るだろ?」


提督「はい、大切な仲間です」


西憲兵「大切な仲間か・・彼女が如何にも好みそうな言葉だ」


西憲兵「だからなんだろう・・この感覚は嘘じゃないやはりまるゆさんは・・」ボソッ


提督「西憲兵さん?」


西憲兵「提督殿にお願いがありますと言うより知っておいて欲しい事があります」


提督「ん?なんですか?」


西憲兵「まるゆさんはいつも俺達を守ってくれた・・でも、俺達はまるゆさんを守ってやる事は出来なかった・・無能なばかりに」


提督「そんな事は・・・」


西憲兵「あるんだよ・・現にまるゆさんは一人で泣いてる時もあった・・知ってて誰も声をかけられなかったんだ自分達ではまるゆさんの隣には立てないって諦めてさ・・情け無い話しだろ?」


提督「・・・・・・・」


何も言えない・・俺も泣いてる母さんに声を掛ける事が出来なかった・・自分勝手な理由でだ・・


西憲兵「だから守られる事に憧れがあったと思うんです。そして甘えたかった・・まるゆさんは意外と乙女なんで・・って言ったら怒られるんですけどね、はは・・」


まるゆさんの話しばかりだ。今まで誰にも話せず溜め込んでいたのかもしれない付き合ってやろう


西憲兵「後、まるゆさんは日本酒が好きです辛口でないやつを熱燗にしておでんを食べながら呑むのが何よりの楽しみでした。今度好きな銘柄を教えるので覚えておいてください」


提督「え?は、はぁ・・よろしくお願いします」


オススメされても俺まだ呑める歳じゃないんだが・・


西憲兵「それにまるゆさんはー」


それからもまるゆさんの事を色々と話された


まるゆさんに対する愚痴だったり好みや癖などが大半だった


それを聞いてると本当にまるゆさんの事が大好きだったんだなと強く感じた


でも、その分後悔も多いようで何故こうしてやれなかったのかと嘆いていた


俺はそれを黙って聞く事しか出来なかった


だって今俺が何を言っても終わってしまった事で西憲兵さんからしたら何も知らない奴がどんな言葉を掛けても同情以外の何物にもならない


同情は・・・・嫌いだ


そんな自己満足なんか・・・


でも、なんで


西憲兵「水着はこのメーカーが好きでな高くても良い物だ」


こんなにまるゆさんの事を話してくれるのだろうか


夕日が眩しい・・・もう夕方か・・そろそろ戻らないとやばいかも


西憲兵「それとー」


提督「西憲兵さんそれくらいにしてもらえると助かります。西憲兵さんがまるゆさんが大好きなのは分かりましたから後日また機会があれば聞きますから」


西憲兵「ん?もうこんな時間かまだ半分も言えてないが・・まぁ良いか」


西憲兵「まるゆはまるゆであってまるゆさんじゃない。新たな種は提督と共に成長する事を望んでいる。これ以上種に要らない水をかけるのはやめておこう」


提督「あの・・もしかして今の話しには何か意味があるとか?」


西憲兵「ある・・が提督殿は知らない方がいい。いや、知らないでいてやってくれ。ただ聞いたままを覚えておいてくれればそれで良い」


提督「そう言われると気になるんですが・・」


西憲兵「・・・・・・・」


西憲兵「一つだけ言える事は彼女はもしかしたら終わってしまった希望をまた見せてくれるかもしれないって事だ」


提督「希望ですか・・」


西憲兵「信じられないか?」


提督「いえ、信じますよ。俺には少し眩しいかもしれませんが・・まるゆが希望になるなら俺はそれを支える影になれたら・・なって」


西憲兵「影か・・提督殿約束して欲しいまるゆをどんな事があっても守ると!もし彼女の身に何かあれば今度こそ終わりだ・・海軍も陸軍も全てがこのままで悪くはなっても良くなる事はなくなる」


提督「難しい事はよく分かりませんしまるゆにどんな希望があるかも価値があるかも分かりませんがそんなのなくても俺はまるゆもおんぼろ鎮守府の仲間達も守ります!どんな事があっても絶対に」


西憲兵「そうか・・それが聞けて良かった」


西憲兵「なら、提督殿の信じた道を進むと良い。まるゆさんは・・いや、まるゆはどんな事があっても提督殿の歩いた道を一緒に歩いてくれる」


提督「手を繋いで歩きますよ一緒に」


西憲兵「ふっ、頼むぞ希望を支える影よ」


提督「はい!お節介な憲兵さん」


西憲兵「はは、言ってくれたな」


その後西憲兵さんは定時だと言って帰って行った


心なしかその背中が何時よりやる気に溢れているように見えた


希望か・・・正直そんな大きな存在だとは思わない


まるゆはまるゆだ


ちょっと泳ぎが苦手で怒ると少し怖いプリンが大好きな普通の女の子だ


それで良いんだ


希望じゃなくてもただそれで


提督「みんなに会いたいな・・・」


夕日に向かってただ一言呟いたのだった


それを見ている影が一つ


雷「・・・・・提督ちゃん」


ー帰り道ー


西憲兵「・・・・・・・」


手を繋いで歩くか・・他の憲兵達が聞いたら発狂するな


現に俺もかなりやばかった・・


あいつは俺達には出来なかった事を平然とやってやろうとする


嫉妬で怒り狂いたい気持ちもあるがそれよりも


西憲兵「ふ〜んふふん〜♪」スキップ


小学生「きも!」


嬉しさが群を抜いている。こんな気持ちは久しぶりだ


西憲兵「期待してんのか?俺は?ははは!」


もしかすると本当の希望は・・それを分かっててまるゆさんは


いや、単に二人とも


西憲兵「お互いを好いてるだけなのかもな」


本当に殴ってやりたい程に


お似合いだクソ野郎


スキップをして帰るおっさんの姿は周りを不気味がらせたのだった


西憲兵「とぉ!」スキップ


荒潮「あれは西憲兵さん?」ボロボロ


妙高「いえ、ただの不審者です。帰りますよ」ボロボロ


ボロボロの二人はお互い支えつつ西鎮守府へと


帰還した


託された種


ー過去ー


西鎮守府との演習が終わり提督が入院している時


おんぼろ鎮守府の艦娘達は元帥から帰還命令を受けておんぼろ鎮守府へと帰ろうとしていた


西提督さん達と別れを終えて正門へと来ていた


彼女は最初見た時は何も感じなかった


でも、今は違う演習を終えた時から彼女からまるゆさんを感じた


もしかしたらまるゆさんかもしれない


そう思ったら自然と声を掛けていた


西憲兵「まるゆさん!」


まるゆ「・・・・・・」


まるゆさんは足を止めてくれない


鳳翔「まるゆちゃん呼んでるけど?無視はいけませんよ?」


一番大人な方が止めてくれた助かる


電「告白するつもりなのです!演習が終わった時からずっと変な目でまるゆを見てたのです!」


この娘はアホっぽい癖にちゃんと見てるのか侮れないな


不知火「成る程ロリコンですか?」ギロッ


この眼光は俺じゃなかったら漏らしていたな


あ・・・嘘だろ・・漏れて・・


夕張「ほほう!西憲兵さんはロリコンですか、ふふ」


何故そんなに嬉しそうなんだ


パンツの替えあったかな?


明石「ちっ、告白ならさっさとすれば?急いでるんだけど?」イライラ


告白をする方向で話しが進んでしまっている。てか、機嫌悪いな何かあったのか?


最悪西提督さんから借りるかパンツ


如月「・・・・・・」


西憲兵「・・・・・・」


二人(鳳翔さんとまるゆさん)を除いてみんなが茶化し半分で話している中で彼女だけはジッとこっちを見ている


その瞳からは何も感情を感じなかった・・


それが怖かった・・何者なんだ


パンツのジメジメした感覚も気にならなくなるくらいだった


如月「止めておきなさい」


西憲兵「え?」


如月「みんな行きましょ」


西憲兵「ま、待ってください!」


明石「あぁ?ジロジロ見てんじゃねえぞ」


夕張「ほら、突っかからない行くよ!」グイッ


何がそんなに気に入らないのだ彼女は


まるゆ「・・・・・」


まるゆ「みんな先に行っててくださいすぐに行きますから」


電「何かあったら大声をだすのです!そしたらその辛気臭い顔を殴るのです」


このアホ怖い


おんぼろ鎮守府の娘達は個性的な娘が多いのだな


如月「・・・・・・」


西憲兵「すみません・・少しだけ彼女を借ります」


如月「はぁ・・・・」


ため息を残して行ってしまった


良いのだろうか


不知火「まるゆを泣かしたら許しませんよ」ギロッ


良いようだ


西憲兵「だ、大丈夫だ」ビクッ


不知火「ぬい!」


ぬい?


鳳翔「すみませんでした。皆さん本当は良い娘達なのですがちょっと提督さんが入院してしまったり駆逐漢がボロボロになってたり元帥が剥げているとかで機嫌が悪いんです・・本当にすみませんでした」ペコペコ


西憲兵「いえ、気にしていませんので大丈夫ですから」


居るんだなこんな変な娘達の中にもまともな娘は


さぞ大変だろうな


大和「帰りも!軽トラだから荷台に乗って」


一同「「「まじすか!」」」


武蔵「ふはは!またよろしく頼むぞ!」


向こうから話し声が聞こえてくるが今はまるゆさんと二人きりだ


西憲兵「まるゆさん・・まるゆさんなんですよね!俺です西憲兵です!覚えてないですか!」


まるゆ「・・・・・・・」


西憲兵「なぜ黙っているんですかまるゆさんの記憶を持ってるんですよね!だったら」


艦娘は記憶をランダムで引き継ぐ事はまるゆさんの事を調べている過程で知った事だ


まるゆ「まるゆはまるゆです。それ以外の何者でもありません」


西憲兵「そんな・・でも確かにまるゆさんの感じが」


まるゆ「・・・・・・・」


いや、やっぱりまるゆさんだ!間違える筈がない


西憲兵「まるゆさん・・・俺は」


まるゆ「もし持っていたとしてもそれはまるゆさんじゃない」


西憲兵「え?」


まるゆ「まるゆの記憶はまるゆの物で誰のものでもないです」


まるゆ「まるゆ達艦娘は同じ姿の娘はたくさんいますが誰一人として同じ性格の娘はいません。それはそれぞれが先代から記憶と言う種を受け取ってそれを自分色に染めるからです」


まるゆ「そして新たな花を咲かせて輝くんです。最期は散る事で次へ繋げる種を作り託すんです」


まるゆ「まるゆさんも先代達から種を貰い自分の花を咲かせて散った・・そして次へと種を残したんです」


まるゆ「種は水がないと育たないんです。だからまるゆは自分と言う水をかけて花を咲かせるんです。先代の守りたかった者を海を守りまた次へと繋げる為に」


まるゆ「まるゆは受け取った種を枯らす真似だけはしたくない・・だから水をかけますこれから時間をかけて隊長と一緒に」


西憲兵「まるゆさん・・・・」


まるゆ「西憲兵あんまり情け無い事を言うな馬鹿者」


まるゆさん『ヒヨッコが情け無い事を言うな馬鹿者が』


西憲兵「っ!」


まるゆ「じゃあ、もう行くね」


西憲兵「あぁ・・時間を取らせてすまなかった」


まるゆ「では、お世話になりました」ビシッ


西憲兵「お気をつけて」ビシッ


まるゆ「立派になったな」ボソッ


そしておんぼろ鎮守府の娘達は帰って行った


西憲兵「・・・・・・・」


やっぱりまるゆさんは凄い人だよ・・本当に


だからこそあの場所に居て良いのか見極める必要がある


提督と一度話しておく必要があるな場合によっては・・


提督殿・・早く退院して来いよ


不敵に笑う西憲兵だった


恋する心


もう夕方か・・・


提督「なんか疲れたな・・・」


あの娘と話したかったがこれ以上は黒髪にばれてしまう可能性がある


まぁ、西鎮守府内の何処かにはいるわけだしまた会えるか


他の娘に聞いたりしても良いわけだし


会ってちゃんとお礼を言わないとな


提督「医務室に戻るか」


愛宕さんはもう起きてるかな?


雷「提督・・・・・ちゃん」


提督「雷?」


声を掛けられたのは良いが何か元気がない


恐る恐る声を掛ける感じだった


なんか苦しそうだ


提督「どうしたんだ雷大丈夫?」


雷「提督ちゃん・・私」ポロポロ


提督「っ!」


提督「何処か痛いのか!」


雷「胸が・・胸が痛いよ。苦しいよ」


提督「入渠だ!いや、病院だ!急げ!110番に119に連絡だ!」


雷「待って・・そう言うのとは」


提督「しまった!携帯を持っていない!」


電話は何処だ!執務室か!執務室にあるんだな!


提督「雷少し待ってろ!すぐに0120にかけるからな!」


走り出そうとしたが


雷「だから違うって!」ダキッ


雷に後ろから抱きしめられるように止められた


提督「雷・・離してくれ痛いんだろ?苦しんだろ?医者に診てもらわなきゃいけないんだよ。大丈夫一緒に着いて行ってあげるから注射の時は手を握っててあげる」


提督「側に居てあげるから」


雷「っ!」


雷「・・・・・・・」ギュッ


提督「雷?」


雷「お願い聞いて・・私にも分からない二日前から・・ずっと苦しくてそれでも一つだけ分かる事があるの」


雷「この痛みは提督ちゃんと関係があるって」


提督「俺が・・・」


雷「勘違いしないでね?別に私は提督ちゃんに何かされたとかではないから・・なんかね、提督ちゃんを見てると今まで感じた事ないような気分になれるの・・でも、それが恥ずかしくて・・その・・えっと」


提督「大丈夫ちゃんと聞いてるからゆっくり落ち着いて」


雷「それでね・・面と向かって話す事が出来なくなって・・嫌いじゃないの!寧ろ一緒に居たいって思うの」


雷「でも、恥ずかしくてこの感情が怖くて・・逃げた・・そしたらね胸がキュッーって痛くなって苦しくなって」


雷「これは提督ちゃんから逃げた罰なんだって自分に言い聞かせたけど・・もう限界で苦しさが強くなるばかりで」


雷「ねぇ・・提督ちゃん私どうなっちゃったのかな?提督ちゃんに会ってから初めての事ばかりでそれが嬉しくて提督ちゃんを甘やかせたいって思ったのに!私が提督ちゃんに甘えたいって・・こんなの私じゃないみたいで怖いよ!」ポロポロ


提督「雷・・・・・」


そうか、雷は初めて感じる感情に戸惑っているんだ


艦娘として今まで閉じ込めて来た気持ちを俺が開けてしまった


甘えさせたい気持ちを演習中に知った


その事で逆の感情も自ずと感じる様になった


そう、甘えたい


その甘えたい気持ちが出た事で今まで我慢して来た気持ちが爆発して一気に来てどうすれば良いか分からず苦しんでるんだ


そして雷が選んだ方法が


『こんなの私じゃない』


その気持ちへの否定


駄目だ!それはやってはいけない折角出来た正の感情を負の感情にするのは危険だ


下手をすれば壊れてしまう


雷「提督ちゃんと話せば何か分かるかなって思って・・でも、迷惑だよね?こんな変な娘・・でも、苦しい・・」


雷「提督ちゃん・・お願い我儘だってのは分かってる・・でも助けて」


提督「雷!」ダキッ


雷「っ!」


提督「もう我慢しなくて良いんだ。その気持ちはみんなが持ってる当たり前の気持ちなんだよ」ナデナデ


提督「甘えたいって思うのは雷くらいの娘は特にたくさん思う事なんだよ」


雷「変じゃないの?」


提督「変じゃないよ。雷が人として成長した証なんだ。甘やかす事と甘える事両方が出来るのは素晴らしい事なんだ。だからそんな自分を否定してはいけない」


提督「受け入れるんだよ。甘やかせたいと思う雷も甘えたいと思う雷も両方が君なんだ」


雷「でも・・良いの?我慢しなくて良いの?迷惑じゃない?」


提督「あぁ、迷惑なんて思わないし我慢もしなくて良い俺で良かったら甘えてくれ」


提督「だからその気持ちを受け入れてやってくれ。それを消してしまうのは勿体無いよ」


雷「提督ちゃん・・・・」ウルウル


提督「今は誰も見てない俺と雷だけだから」ナデナデ


雷「うぅ・・提督ちゃん・提督ちゃん!うわぁぁあああん」ポロポロ


提督「よしよし、よく頑張ったな」ナデナデ


提督「ん?」


荒潮、妙高「「じーーーー」」ボロボロ


提督「っ・・・・・・」事案ではないのサイン


荒潮「・・・・・ふふ」へぇ・・


妙高「・・・・・ふふ」微笑ましいですね


二人は小さく微笑みその場を後にした


空気を読んでくれた様だ


何故ボロボロだったのか荒潮さんの微笑みが少し怖かったかとかは後回しだ


雷「ずびーー!」


提督「あ〜・・もう良いか」


もうね・・カピカピだよ・・


雷「・・・・・」クンクン


それから少しして雷は泣き止んだ


雷「あの・・その・・服が」


提督「涙やら鼻水は気にしなくて良いぞ?今日結構付けられたから。それにこれは雷が甘えてくれた証だから飾っておきたいくらいだ」


雷「あぅ・・意地悪です」


雷「でも、ありがとう提督ちゃん」


提督「胸の痛みはどうかな?少しは楽になれたら良いけど」


雷「うん、治ったみたい!もう大丈夫よ!なんか胸の奥からポカポカしてきて凄く良い気分よ」


提督「何時もの雷になれた様だね。良かったよ目は涙で真っ赤になってるけどね」


雷「もう!そんな意地悪を言う口はここね!」グイグイ


提督「はにおする!(なにをする!)」


雷「ははは、変な顔!ほらほら!」グイグイ


提督「はにゃせ!(離せ!)」


これで雷はきっともう我慢する事は無くなる筈だ


そしてまた一つ成長出来たって事だ


今日はみんな成長してるな色んな意味で


おめでとう雷


でも、そうか・・なんか雷が妹みたいに思えてきたな


最初は西鎮守府の艦娘として、次はお節介な姉で甘やかし上手な母親そして甘えん坊な妹


凄いな・・雷一人で一般家庭の女性陣全員の役割を果たしてる


俺は真ん中の息子ってところかな?


雷「ねぇもう一つ聞いて欲しい事があるんだけど良い?あ、ナデナデは止めないで」


提督「なんでも聞いてくれ」ナデナデ


雷「今日ねずっと提督ちゃんを見てたんだけど」


提督「え?」


見てた?え?でも今日雷と会ったのは此処が初めてで


気付かなかった・・・・


提督「声を掛けてくれれば良かったのに」


雷「この胸の痛みが提督ちゃんに関係あると思って提督ちゃんを見てたら分かるかと思って・・ごめんなさい」


提督「いや、別に良いんだけど、それで聞いて欲しい事って?」


雷「もう、胸の痛みもないし今は感じないから良いんだけど一応聞いてみようと思って実はもう一つよく分からない気持ちがあって」


提督「それはいけないまた溜め込んでしまうかもしれないしどんなのだ?」


雷「ふふ、もうさっき一緒に飛んで行ったから大丈夫だよ溜め込んでないから。それに溜め込んだらまた提督ちゃんが甘やかせてくれるから」


提督「はは、甘えんぼめ」ナデナデ


雷「嫌?」


提督「嫌だと思う?」


雷「ふふ、思わないよ信じてるから言ってみただけよ」


提督「あぁ、ありがとな信じてくれて」ナデナデ


雷「〜〜♪」スリスリ


心なしか前より元気になった様に思える


きっと本来の雷がこれなんだ本当に良かった


雷「今日提督ちゃんを見て最初に荒潮ちゃんに会ってたでしょ?」


提督「まぁ、会ってたな」


二人で恋路を覗いていました


雷「凄くくっ付いていたよね?抱きついていたわよね」


雷(荒潮ちゃんスリスリしてたし)


提督「ん?そうだったかな?」


雷「嘘・・つかないでね?・・・・ね?」


提督「あ、あぁ、そうだった様な気がするよ。うん、する。してました」ゾクッ


なんだろう・・一瞬冷たい何かを感じたぞ


雷「その後は愛宕さんに会ってまた抱きついて・・」


雷(ダンボールにまで隠れて待ち構えるなんて・・私には出来ないわ)


提督「いや、あれは抱きついたと言うよりは」


襲われたと言った方が近いぞ?


雷「祥鳳さんには抱きつかなかったけど楽しそうに話してたよね」


提督「はは・・・・そうですね」


楽しそうに見えたんだ・・・実際は俺がメンタルダメージを受けただけだぞ?


祥鳳さんには確実に嫌われたと思うし・・


でも守れた者が居たんだ・・悔いはない


雷(去り際に祥鳳さん笑ってた・・あんな笑顔見た事なかったわ)


雷(あの時・・)


祥鳳『ふふ、分かりやすい人』


雷(って言ってたのはなんだったのかな?聞けないよね・・)


提督「雷?なんか凄く落ち込んでる様だけど大丈夫?」


雷「はぁ・・モテて良いね提督ちゃんは」


提督「お、おう、そ、そうなのかな?はは」


なんか怖い


でも、あの娘の事は言わないのか?俺が一方的に話しかけてはいたけど会ってはいるから見てる筈だ


次ぐらいに言うのかな?流れ的にナンパしてたとか言われそう


雷「阿武隈さんとも楽しそうに遊んでたよね?」


遊んでないから!てか、あの娘はスルーなのか


雷「三日月ちゃんには自分から抱き付いて・・」


提督「抱き付いたんじゃなくて技(投げっぱなしジャーマン)をかけただけなんだけど・・」


雷「うん、知ってるわ。あすなろ抱きって言うのよね」


あんな酷いあすなろ抱きなんて聞いた事ないぞ!


あ、でもクリスマスくらいはやれば良いと思う・・てか、やれ


雷「見てるのが辛くて・・途中で目を背けちゃったけど・・」ボソッ


提督「あの・・・雷?」


雷「みんな・・嬉しそうだったわね」


なんか色々と感違いされてる様だ。もしかして俺が彼女達をもて遊んでいると思っているのか?それで怒ってしまっている


当たり前だ。仲間をそんな風にされていたら怒るのが当たり前だ


でも、雷は優しいし俺には色々気にかけてくれる


俺を信じたい気持ちもあるけど怒りもある


その両方の感情が混ざり合ってよく分からなくなっているんだ


簡単だ。誤解を解けば解決する


提督「雷、あれは全てー」


雷「ううん、言わなくても分かるのよ」


提督「いや、雷これはなー」


雷「私ねそれらを見て思っちゃったの・・・・」


雷「あの娘達・・邪魔だなって・・」ハイライトオフ


提督「っ!」


ハイライトさーーん!


雷「西憲兵さんと話してる時は何も感じなかったのになんでだろう?みんな大好きなんだよ・・大好きなんだけど・・これとは別って言うかなんだろう?分かんないけど一つだけ分かる事がある」


提督「そ、それは」


雷「これも私なんだよね?受け入れなきゃいけないんだよね?提督ちゃんが教えてくれた事だから」


さっきの手前それはいけないなんて言えない!てか、これは俺にも分からない!


分からないから!凄く怖い!


提督「と、とりあえず・・落ち着こう!ハイライトさんを出勤させてね?」


雷「何言ってるの?提督ちゃん少しおかしいよ?どうしたの凄い汗よ?」近寄り


提督「だ、だだだだ大丈夫です!」後ずさり


雷「なんで逃げるの?」速度アップ


提督「え?いやいや、逃げてませんよ」ムーンウォーク


分からない!分からない!どうして雷はこうなってしまった!


どうやら俺は押してはいけないスイッチを押してしまった様だ


正気に戻さないと


それともこれが本来の雷なのか?


雷「あ、そうだ・・提督ちゃんってその・・パンツが好きなんでしょ?」


提督「へ?パンツ?」


雷「だってみんなの見てたじゃない・・あの時はさっき以上に胸が痛かったけど・・仕方ないよね?提督ちゃんも男の子なんだから」


なんか弁解しろ!否定しろ!


提督「あ、あ・・・せやな」


駄目だ!今の雷はなんか否定すれば更に厄介な事になりそうだ!


質問に意味はなく否定と言う結果だけがやばい気がする


今はイエスマンになるんだ!


俺はサラリーマン俺はサラリーマン俺はサラリーマン俺はサラリーマン万年係長クラスのサラリーマン!


禿げそう・・・・・


雷「でも、もう駄目だよ?傷ついちゃう娘もいるんだから」


提督「あぁ、気をつけるよ」


良かった。ただの仲間想いの雷に戻ったか


ハイライトさんも帰って来てるし


雷「でも・・どうしてもって言うなら」


ん?なんか嫌な予感


雷「私の見ても良いよ?」スカートたくし上げ


提督「いやいや!滅相もございません!そんな!俺はパンツなんかー」目逸らし


雷「私のは嫌なの?」


提督「っ!」


いくらイエスマンになると言っても此処で見たいですなんて言えば俺は最低ロリコン野郎に成り下がる


てか、此処以外でもやばい!


俺だけが成り下がるなら最悪良いが俺の部下達まで及んでしまう!


俺は!イエスマンをやめるぞ!


サラリーマン?辞表を叩きつけてやる!


提督「雷、もっと自分を大切にしー」


雷「・・嫌なんだ」ハイライトオフ


提督「いえ、寧ろ大好物です」キリッ


誰か俺を逮捕してくれ・・・・手遅れになっても知らんぞ!


雷「良かった・・少しならその・・触っても良いよ?」


提督「はは、そ、それは嬉しいな〜」バックステップ


雷「提督ちゃん・・ね?遠慮しないで」


提督「わーーい!」連続バックステップ


やばい!やばい!やばい!事案が迫ってる!スカートたくし上げた事案が!ピンクの小さなリボンの付いた事案が距離を詰めて来てる!


このままだと俺は!


雷に捕まる→触る(男なら仕方ない)→見つかる→西憲兵さんに捕まる→西提督さんに殴られる→入院そして退院→おんぼろ鎮守府の面々に見捨てられる→明石さん辺りに殴られる→また入院そしてまた退院→電に殴られる→またまた入院そしてまたまた退院→元帥の元へ連行→ハゲ具合を確認→元帥の髪の毛を引きちぎる(出来るなら全て)→死刑


になってしまう!


雷「・・・・・・」


無言で迫ってくるこれは本気だ!


ドンッ


提督「しまった!壁へと誘導されていたか!」


逃げ場所がもうない!


雷「・・・・・・」


提督「あわわわ!」


此処までなのか!此処で俺は!いや、諦めるな!


提督「来い!」目隠し


雷「・・・・・・」


雷「提督ちゃん・・私は提督ちゃんに私の事をもっと知ってもらいたい。そして私も提督ちゃんの事をもっと知りたい。他の娘と楽しそうに話してたりするのを見たりするとまた胸が痛くなる」


雷「変だってのは分かるし最低だってのも分かる・・仲間達を一瞬でも邪魔だって思ったりしたんだから・・でも、それでも、これが私だって自信を持って言えるから」


雷「っ!そうか・・私は」


雷「提督ちゃん今やっと分かった。私はきっと・・貴方に・・」


提督「お、俺になんだ?」


なんだ!なんなんだ!


雷「貴方に・・その・・えっと・・あぅ〜////」


雷「わ、分かるでしょ?」


提督「・・・・分からん!」


雷「い、意地悪・・」


提督「?」


顔を真っ赤にしてモジモジしている


熱でもあるのか?


提督「雷、大丈夫か?」おでこに手をやる


雷「ひゃっ!」ビクッ


提督「あ、ごめん!そんなに嫌がるとは思わなくて」


雷「ち、違うの嫌じゃなくていきなりだったから」


雷「だ、大丈夫だから!」ドキドキ


提督「でも、なんか辛そうだぞ?」近寄り


雷「ち、違うの辛いとかではなくて」後ずさり


提督「なんで逃げるんだ?それに顔を背けられるとなんか傷付くのだが・・」


スカートをこれでもかと言う位に押さえている


そんな事しなくても触らないのに・・


雷(この気持ちが分かった瞬間さっきまで自分のしていた事がどれだけ恥ずかしい事か気付いてしまったわ。私パンツを見せてなにやってんのよ!もう恥ずかしくて提督ちゃんをまともに見れない)


提督「もしもし?雷?雷さん?もしもーし」


雷(嫌われたかな・・そうよねこんなはしたなくて提督ちゃんを困らせてるだけの私なんて)ズキッ


雷「最低よ・・グスッ・・ふぇええええ!」ポロポロ


提督「え?え!どうしたんだ!」


いきなり泣き出してしまった


提督「雷、ど、どうしたんだ!俺が何かしたのか?大丈夫だから何もしないからさっきの事も気にしてないから」オロオロ


雷(その優しさが今は辛い!)


雷「もういやぁあああ!」ダッ


提督「あ、待ってくれ!」ダッ


反射的に追いかけてしまった。でも、このまま行かせてしまえば後悔してしまいそうな気がしたから


だから・・逃すわけにはいかない!


体力の続く限り追いかけてやる!


提督「待ってくれぇええ!」


所変わって窓から外を見ている一人の少女が居た


少女は夕日を眺めながら何度もため息をしていた


今日で100回を超えている溜息が


イムヤ「はぁ・・・・・」


200回を超えた


彼女は昨日の謎のダンボールさんが忘れられずに居た


上に乗っていた三日月は知っていたがダンボールの中に居たのが誰かは知らないと言うより覚えていない


三日月に聞いても知らないの一点張りで名も知らない誰かに恋をしていたのだ


意識が呑まれそうになった時暗闇から救ってくれたあの人に


そしてあの人のテクニックが忘れられない


名前がないのもあれなのでダンボールさんと勝手に名付けている


イムヤ「ダンボールさん・・もう一度会いたいな・・」


会ってその顔を見たい


イムヤ「ん?」


そんな恋真っ只中のイムヤの視界に外で走っている二人が入った


一人は提督でもう一人は雷だった


仲良く走っている様に見えた


まるでカップルのあはは、捕まえてごら〜んを見ている様だった


その姿は今のイムヤをイライラさせていた


それは例えるならクリスマスに一人で街を歩くのと同じくらいのイライラだ


イムヤ「ちっ・・・爆発すれば良いのに」


そう言ってイムヤは部屋へと戻って行ったのだった


雷「もうほっておいて!」


提督「泣いてる娘をほってなんておけるかよ!」


雷「どうせ他の娘にもそんな事言うんでしょ!」


提督「当たり前だろ!とにかく止まってくれ!」


雷「提督ちゃんなんて知らない!たらし!浮気者!たらし!」


提督「なんでたらしって二回言った!てか、誰の事言ってんだよ!」


雷「たらし!浮気者!鈍感!へたれ!」


提督「もうなんなんだよ!俺か!俺に言ってるのか!」


たらし?相手いねえよ!浮気者?相手いねえよ!鈍感?あり得んな!へたれ?否定しない!


雷「こんな変ではしたない娘なんてほっておいてもっと清楚で胸の大きな娘の所へ行ったら良いでしょ!」


提督「さっきからなんなんだよ!今はお前しか見えてないんだよ!お前以外の所になんか行けるか!」


雷「っ!」ピタッ


提督「はぁ・・はぁ・・確かに他の娘が泣いていたら追いかけるかもしれない!でも、ほっておいてと言われればきっとそこで追いかけるのをやめる!でも、雷だけはやめない!」


溜め込むタイプの娘は半端強引にでもしないと時間が経てば絶対に話してくれなくなってそのまま溜め込んでいつか爆発してしまう


今回の雷を見て学んだ事だ


雷「それって・・私だけ特別って事?」


提督「あぁ、そうだ」


雷「冗談じゃなくて?」


提督「こんな事で冗談なんか言わないよ本気だ」


雷「・・・・でも、私艦娘だし・・」


提督「そんなのは関係ないだろ!大切なのはどうしたいかだ。我慢しなくて良い自分に正直になってくれ」


提督「雷は俺の大切なの人(妹的な意味)だから」


雷「提督ちゃん・・私嬉しい・・でも本当に私で良いの?」ポロポロ


提督「当たり前だろ?雷・・さぁ」手を差し伸べ


雷「提督ちゃん!私!私は!」手を伸ばし


雷「っ・・・」ピタッ


提督「雷?」


雷「ううん、今の私にこの手を握る資格はないわ」


提督「そんな難しく考えなくても」


雷「私自身が許せないのこの手を握るなら私も覚悟を決めてもっと強くならないと」


提督「そうか、そう言われたら俺は信じるしかないな。でも、いつでも頼ってくれよ?また溜め込んだりするなよ?」


雷「うん、私頑張るから!いつか自分が強くなれたらその時に今回の続きをして良い?」


提督「さっきも言ったろ?いつでも待ってるって。でも、もう仲間を邪魔だなんて言ったらダメだからな」


雷「うん、もう絶対に言わない!提督ちゃん、ううん、提督さん!」


提督「え?」


さん付け?余所余所しくなってないか?


雷「・・・・・」


雷「私決めました!もう貴方には甘えません!少し距離を置こうと思います。自分の為にも」キラキラ


提督「へ?」


あれ?嫌われたの?でも、なんか生き生きしてる


雷「そして貴方の為に・・女を磨きます!」ダッ


雷「大好きです////」ボソッ


提督「あ、待っー」


いや、追いかけるのはやめておこう


嫌われたなら追いかけても逆効果だ


それにさっきの雷は凄くキラキラしていた様に見えた


何故キラ付けが付いたのかは分からないけど


きっともう大丈夫だ


俺がいなくても雷なら・・・


なんだろうな・・少し寂しいけどこれで良かったんだ


提督「雷・・頑張れよ」


雷「提督さん」タッタッタ


提督「ん?戻って来たのか?どうした?」


雷「私ねやっぱり不安で・・だから形を残したいの良い?」


提督「形?よく分からないけど俺で力になれるなら良いよ」


雷「ありがとう・・屈んでくれるかな?」


提督「こうで良いか?」


チュッ


提督「っ!」


雷「これで頑張れるから・・待っててね!それじゃあ////」ダッ


提督「・・・・・・」ポーーッ


提督「はっ!・・え?え!今なにされた!」


キスされたのか?お礼のつもりだったのだろうか?


だとするなら


提督「あまりやらない様に言っておかないとな・・はは」


でも、少し嬉しかったりした


それと同時に最近の娘のスキンシップは過激だなとそう思いつつキスをされた頬に手を当てるのだった


その後、医務室へ戻るとベッドに何故か愛宕さんだけではなく金髪まで入っておりベッドから引きずり降ろして少し説教をした


後に分かったのが自販機前で倒れてる金髪を数名の娘が医務室へ連れて行き俺の隣なら良いかと思いベッドにねじ込んだと言う


布団を全部被せていたので愛宕さんとは気付かなかったらしい


そう教えてくれた娘の手にはBL本が握られていたが他意はないと信じたい


それから日は沈み愛宕さんは見事に怒られて俺も黒髪に怒られて三日月からは熱っぽい眼差しでずっと見られていた


イムヤさんからは何故か睨まれた


荒潮さんからは笑顔とは裏腹に脛を蹴られた


みんな怒なの?


阿武隈さんは新しい熊手をホクホク顔で持っていた自慢された


メガネは無表情だったけど何か嬉しそうだった良い事でもあったのだろうか?


それから夕飯の時間になり、俺はあの娘の事を聞いてみた


でも、結局誰も知らなかった


こんな事があるのだろうか?俺が見たのは幻とか?いや、この蹴られた痛みはある


脛じゃなくて顔のね


まぁ、脛のも痛いけど


両方幻覚じゃない


西鎮守府を出るまでにはもう一度会えれば良いが


そして残り研修は二日だ


でも、最終日は片付けや色々とやる事があり実質研修が出来るのは明日が最後だ


そして西提督さんから明日の予定が発表された


それは西提督船でのクルージングだ


普通に聞けば研修じゃなくね?と思うが今海は一般の人は入れない様になっておりそれがもう何十年も続いている


つまり金髪達の歳の人達は海を見た事はあっても入った事がないのだ


海の上を船で走るだけでも鎮守府でしか出来ない大きな経験になる


しかもその船が前の演習で使われたと知ると金髪達の喜び様は尋常じゃなかった


勿論安全には配慮して船はちゃんと修理しているし艦娘達も同伴させるし万が一も考えて西提督船にも女神を付けておく


俺は何度も海に出たとは勿論言えないので喜ぶ振りをしておいた


そしてみんなは自由時間になり明日の事を話して消灯時間になると即座に眠った


明日を楽しみにして


俺も今日あった事を思い出しながら目を瞑ったのだった


別れの夜と新たな朝


夕立『起きて!早くしないと消えてしまうっぽい!このままじゃあまりに・・』


提督に呼びかける声は眠っている提督には届かなかった


絶賛爆睡中だ


夕立『そう、起きないの・・なら、嫌でも起こしてやるっぽい!ソロモンの悪夢、見せてあげる!』


ドクン!


深夜みんなが寝静まっている頃に提督がベッドから起き上がった


まだ日が昇るまで時間はたくさんある 。なのに提督は部屋を出た


その理由は


提督「トイレ〜」


夜が近い提督は偶にトイレに起きるのだ


研修生の眠る部屋から一番近いトイレで用を足して部屋へ戻りもう一度眠りについた


数分後


ドクン!


提督「トイレ〜〜」


またトイレに起きた。トイレの近い提督にとって二度目はよくある事だ


寝る前にコーヒーを飲んでしまったのが原因なのだろう


また用を足して部屋へと戻り眠った


そして数分後


ドクン!


提督「うぅ・・トイレ〜〜」


またまたトイレに起きた。トイレの近い提督でも三度目は初めてだった


今日は体内は深夜残業をしているようだ


休んでくれないかな?と思いつつトイレへ行き用を足して部屋へと戻り眠った


そして遂に数秒後


ドクン!


提督「まじかよ・・・」


またまたまたトイレに行きたくなった


いくら何でもおかしい。このままでは朝になる前に身体中の水分がなくなってしまう


これはやばいと思いトイレを済ませると食堂へと水分補給の為に向かった


今の時間は誰もいないだろうし此処は間宮さんがいないので背後を取られる事もない


まぁ、別に背後を取られるからなんだと言う話ではあるけど


提督「ん?あれは」


食堂へと向かう途中に部屋から漏れる光が見えた


それは執務室だった


提督「西提督さん起きてるのかな?」


クルージングでは西提督さんが運転すると言っていたが充分な睡眠を取っていない状態で朝を迎えて運転させるのは危険だ


もしまだ起きてるなら言った方が良いかもしれない。お節介だろうけど


でも、もし大人な時間の真っ最中だったら俺は完全に空気の読めない奴だ


そうだとしたらほっておきたい


少しドアが開いていた


そこから覗いて確認してみよう


提督「・・・・・・」


息を潜めてバレないように四つん這いになって隙間から覗く


昼間に荒潮さんとやった覗きで手に入れた覗きスキルが役に立った


でも、あの時は上に荒潮さんが乗っていたのでその重みがないと少し違和感を感じてしまっていた


覗きスキル(駆逐艦の娘を一人乗せる事)


でも、まだバレていないし大丈夫だろう


提督「これは・・・」


西提督さんが床に座り込み丁寧に何かを磨いているようだった


ゆっくりと何かを懐かしむように


その姿は何時もの西提督さんとはかけ離れているものだった


そしてその隣にはあの娘が居た


彼女も隣で西提督さんを優しい眼差しで見つめていた


西提督「お前をこうして時間をかけて手入れするのも久しぶりだな」


???「何時も簡単に手入れするだけでしたからね。でも、忙しかったんですから仕方ありませんよ」


西提督「司令官になったばかりの時は時間をかけて手入れしていたんだがな・・」


???「その代わり愚痴をたくさん聞かされましたけどね。それに何度涙で錆びそうになったか」


西提督「疲れたろ休んでくれ・・」


???「海に落とされたり時に乱暴に扱われた事もありました。でも、一番は演習で船に私を刺した事です。凄くビリビリしたんですから見てください髪の毛が少し焦げてます」


西提督「・・・・・・」


???「でも・・楽しかったです。色んな事があって色んな貴方を見て側で輝く事が出来た」


???「心残りがあるとするなら・・・ううん、言っても仕方ないよね」


西提督「お前は俺にとって最高のパートナーだった・・でも、お前はきっと俺を恨んでるよな・・」


???「っ!そんな事ない!私は恨んでなんかいない!」


西提督「本当にすまない・・」


???「っ、だから・・違うんだって・・」


提督「・・・・・・」


???「・・・・常に側にいたのに私の声は最期まで届かないんですね・・」ポロポロ


提督「っ・・・」


西提督「すまない・・すまない・・」


提督「・・・・戻るか」


二人がなんの話しをしていたのかはよく分からないが俺が横から入って良い話しではないことは分かる


大人しく見なかった事にするしかない


でも、二人の会話には何か違和感を感じた


それが気になって寝る気分ではなかったので外へ出て星を眺めていた


深夜になるにつれて星はたくさん見える


手を伸ばして見るが届かない。こんなにいっぱい目の前に広がっているのにだ


それと同じ様に目の前で泣いてる娘の涙を拭いてやる事も出来ない


そのもどかしさがため息ばかりを吐き出させる


提督「はぁ・・・」


???「覗きは楽しかったですか?」


提督「気付いていたんですか・・」


???「あれくらい空気の流れで気付きます。本来なら西提督さんも気付くのですが・・今はそれどころではなかったので・・あまり褒められたものではありませんよ」


提督「すみません・・こんな時間に明かりが点いていたので気になって覗いてしまいました」


???「見てて変だったでしょ?情け無いところも見せちゃったし・・」


提督「見てて変?」


???「あれ?まだ気付いてないの?さっきの会話変だと思わなかった?」


提督「違和感は感じたんですがそれが何かまでは分からなかったんです」


???「それで気になって眠れずに此処にいると」


提督「正解です」


???「貴方って分かりやすいから考えてる事も結構顔に出てたりしてますよ?」


提督「え!そうなんですか」


???「だからこそ貴方の周りには人が集まるのかもしれないですね。だからそのままでいなさい」


提督「う〜ん、そのままと言われても自覚ないですし・・要は今まで通りでという事ですね」


???「ふふ、そういう事です」


提督「はい!そう言う事ですね!」


提督「・・・・・・」


???「・・・・・」


沈黙・・・・


提督「星綺麗ですね」


???「聞かないの?気になっていたんでしょ?」


提督「話してくれるまで待ちますよ」


???「時には強引にいかないといけない時もあるんですよ?女の子はそう言うのに憧れてます」


提督「はは、俺には無理です。ただ待つしか出来ません」


???「ヘタレ」


提督「うっ、その言葉は中々メンタルに効きました・・でも、それが俺ですから」


???「はぁ・・折角話そうと覚悟して来たのに緊張していた私が馬鹿みたい」


提督「もし良ければ話してくれますか?」


???「うん、聞いてくれる?私ね軍刀なの」


提督「はい?今なんて?」


???「だから軍刀なの私」


提督「軍手?」


???「手じゃなくて刀です!怒りますよ」


提督「本当なんですか?」


???「本当です。私は西提督さんの軍刀なんです」


提督「軍刀って本当に艦娘だったんだ。しかもこうやって現れる事も出来る・・やはり艦娘って凄いんだな」


???「いえ、本来軍刀となった艦娘はこうやって自由に動けたりするなんてあり得ません。それに私の様に折れてしまえば消滅します」


提督「だったら君は・・っ!ちょっと待って今折れたって・・もしかして西提督さんがあの時拭いていたのは」


???「折れた軍刀つまり私です・・」


提督「そんな・・なんで折れてしまったんですか」


???「色々な偶然が重なってしまったの・・誰の所為でもなくてなるべくしてなってしまった」


提督「何があったんですか」


???「何もなかったって言えば嘘になるかもしれませんが一番の理由は私もそろそろガタが来ていたんです」


???「それだけなんです。だからこれ以上は聞かないでください」


提督「分かりました・・でも最後に一つ西提督さんは大丈夫なんですか」


???「彼なら明日の朝になれば元気になってます。彼は強い子ですから今だけはそっとしておいてあげてください」


信じているんだな・・当たり前か彼女は西提督さんと共に歩んで来たんだから


提督「そうですね。西提督さんならきっと乗り越えてくれますね」


西提督さんにはその強さがある


見習わないといけない強さだ


???「提督さん私は本来なら消えてしまっている筈なんです。それが今朝私は軍刀になる前の姿で目覚めました」


???「でも、私の声も姿も全てが他の人達には認識されず触れる事さえも出来ませんでした・・」


提督「でも俺は触れますよ?」


彼女の肩に触れてみる


???「っ・・」ビクッ


うん、やはり触れる


???「そ、そうなんです貴方だけは私を認識して触れる事が出来たんです。最初はビックリして無視してしまいましたがあの時はごめんなさい」


提督「いえ、そう言う事なら良いですよ。でもなんで俺だけなんだろう?」


???「それは私にも分かりません」


???(多分血が関係しているとは今の彼には言えないですね)


提督「だからかこの違和感は会話をしている様で会話のキャチボールが出来ていなかったから感じたのか」


普通なら相手の言葉に反応する事を言うが


さっきのは西提督さんの言葉を一方的に彼女が応えていただけだった


その証拠に彼女の言葉には西提督さんは反応しなかった


西提督さんは軍刀の事で自分を責めていた


彼女は必死に応えるけどその声は聞こえない


悲しいな・・・


どうにかしてこの声を届けてあげたい


俺なら出来るかもしれない代わりに声を届ける事なら


でも、その前に


提督「改めて俺はおんぼろ鎮守府の司令官をさせてもらっています提督ですよろしくお願いします」


出来なかった自己紹介をしよう


???「・・私は軍刀になった時から・・戦う事から逃げた時から名は捨てました」


提督「だったら艦娘だった頃の名前で良いです。俺はそう呼びます」


???「だからその名は・・」


提督「逃げないでください。その名は貴女が貴女である証です。凄く大切なんです捨てられるなんて馬鹿な事を言わないでください」


???「・・・・・・」


提督「言わないならバカって呼びますよ良いんですか?」


???「提督さんって意地悪なんですね・・」


提督「俺はただ知りたいだけです貴女の名前を」


???「これでも私貴方よりも西提督さんよりも大先輩なんですけどね」


提督「大先輩だろうと元帥相手だろうと間違ってる事は言います。相手の事を思えば尚更ね」


元帥は・・禿げろ


???「そう・・西提督さんが気に入るわけですね・・後悔してしまいそうです私も貴方達の周りに居たかったな・・きっと楽しかったんだろうな」


提督「さぁ、どうしますか?バカで良いですか?バカ先輩」


???「バカは嫌ですね・・本当にそう思えて辛くなるから・・」


???「私は吹雪型2番艦駆逐艦白雪です」


???→白雪「よろしくお願いしますね提督さん」


提督「はい、よろしくお願いします白雪さん」


提督「早速ですけど聞いて良いですか?」


白雪「なんですか?」


提督「西提督さんに伝えたい事はありますか?」


少し驚いた顔をした後にすぐにその言葉の意味に気付いた


白雪「ないです」


提督「でも、このままずっと見ているだけなんて・・」


白雪「今までそうでしたから大丈夫です・・それにずっとは無理なんです」


提督「え?何処かへ行くんですか?」


折角動ける様になったんだし行きたい所があるのかもしれない


なら、俺の鎮守府へも一度来てもらって案内しよう


丁重におもてなしをさせてもらおう。なんせ大先輩だからな


白雪「さっきも言いましたが本来なら消滅している存在なんです。それがこうやって動けている事がおかしいんです。おそらく私はもうすぐ本来の道を辿ります」


提督「それって・・」


本来の道・・折れた軍刀の行き着く道


白雪「なんとなくだけど分かるんです。もうすぐ消えるって」


消滅つまり死だ


提督「なんとかならないんですか!」


白雪「どうしてこうなったのかも分からないのにどうしろと?無理ですよ」


提督「だとしても探しましょう!俺も手伝いますから!」


これは寝ている暇なんてないぞ!


研修も何もかも後回しだ!


提督「俺協力してくれそうな人を探して来ます!」


白雪「待って」


提督「必ずどうにかしますから」


白雪「必要ないです」


提督「どうしてですか!このままだと消滅してしまうんですよね?なら」


白雪「それで良いんです。ただ消滅するだけだったのにこうやって動けて・・この鎮守府を見て・・頼もしい仲間達も見れた・・まだ、情け無いところはあるけど西提督さんも見れた」


白雪「そして頼もしい彼の友達にも会えた・・彼にはもう私がいなくても大丈夫です。それが確かめられて私は幸せです。西提督さんは軍刀の扱いも雑ですし愚痴も多いんです毎日毎日・・でも、最近は貴方の事ばかり愚痴がなくなったと思ったら今度は惚気ですか?付き合ってんですかっての!本当に彼のお嫁さんになる人は大変ですよ!」


白雪「なんせ今は男に夢中ですから!」


提督「俺と西提督さんはそんな仲ではないですから!」


白雪「どうだか・・精々お尻には気をつけてくださいよ?絶対に背後を取られないでくださいよ!」


提督「白雪さん!話しがおかしくなってますって」


白雪「・・もう聞き疲れたんですよ・・愚痴も惚気も・・静かな所で眠らせてください。私の役目は終わったんですから」


提督「白雪さん・・そんな事言わないでください!これからも西提督さんには貴女が必要です!まだこれからじゃないですか!なに一人休もうとしてんですか!これからも西提督さんの隣を一緒に歩いてあげてください!中途半端に消えるなんてダメです!」


白雪「そうですね・・中途半端はいけませんね」


提督「なら!」


白雪「提督さん後はお願いしますね。隣は暑苦しいですけど慣れますファイト!」


提督「なんのつもりですか」


白雪「引き継ぎですけど?」


提督「ふざけないでください!」


白雪「ふざけてなんていません!」


白雪「貴方にだから言えたんです!誰にも言えるわけないでしょ!バカ!」


提督「バカは白雪さんだろうが!なんで諦めてんだよ!最後まで足掻いてみろよ!」


白雪「煩い!禿げ!」


提督「なんだと!この頑固者!頭でっかち!貧乳!ぺったんこ!」


白雪「っ!言ってはいけない事を!」イラッ


提督「何か言い返してみろよ」


白雪「良いですよ・・その挑発受けてあげます!なら!貴方の血をくれますか!後!私は着痩せするタイプです!」


提督「血?着痩せ?良いよ血でもなんでもやるよ!それで助かるならいくらでもやる!着痩せはどうでも良い!」


白雪「っ!な、なら!半分!いえ半分以上ちょうだい!後、見た目よりありますから!」


提督「なんだよ!見た目って!」


白雪「ふん!ど、どうよ!」胸を張る


提督「??」


なにしてんだ?


白雪「もう良い!それより血よ!半分以上なんて無理よね!無理に決まー」


提督「無理なんてあるか!持っていけ!」


白雪「バカ!死ぬでしょうが!」


提督「それでも助かるなら!」


白雪「バカ!バカ!残された人の事考えなさいよ!貴方が死んだら西鎮守府のみんなも貴方の鎮守府のみんなも悲しむでしょ!」


提督「なら!その言葉そのまま返してやるよ!白雪さんこそ残された人の事を考えろ!」


白雪「私は誰もいないから・・良いのです!誰も私が此処にいる事なんて知りませんからいなくなっても・・気付きもしません!」


提督「っ!俺がいるだろうが!俺は此処で白雪さんと話してる!知ってるんだよ!此処にいるって事を!」


白雪「っ!・・でも!・・でも・・ダメなんです・・」


白雪「みんなが通って来た道を私だけが逃げるなんて出来ないんです。一度逃げてからもう二度と逃げないって西提督さんが誓ったあの日から私も誓ったんです。もしどうにか出来たとしても・・それをしてしまえば私は心が折れてしまう・・もう西提督さんの近くにいる資格はなくなってしまう・・それは軍刀が折れるより辛いから・・」


白雪「貴方にもいつか死は必ず訪れます。その時は受け入れないといけません・・歴史がそうして来たように・・私にはその時が来ただけです」


提督「っ・・なんだよそれ・・ふざけんなよ・・くそっ・・」


白雪「でも、さっき言った事を訂正します。私が居た証は貴方が覚えててくれる限りあります。ありがとうございます提督さん」


白雪「私に此処に居た証をくれて・・」


提督「・・・・・・」


白雪「もう・・時間みたいです」


提督「っ!」


白雪「提督さん・・最期になりますが背中の傷謝ろうと思ったんですが」


白雪「謝りません。その傷は私の居た証として持っておいてくださいね」


提督「ダメだ・・行っちゃダメだ!」


白雪「じゃあね提督さん」ニコッ


提督「白雪さん!」


伸ばした手は彼女をすり抜けて虚空を掴んだ


そしてその場には提督ただ一人立っているだけだった


まだ、西提督さんに何も伝えてないじゃないか!


お別れも・・名前も・・何も伝えていない!それで良かったのかよ!


こんな最期で幸せだったのかよ!


提督「最期に笑いやがって・・」


あんな良い笑顔をなんで俺なんかに見せたんだよ!


見せる相手が違うだろうが!


背中の傷が重くのしかかる


痛みでその場にうずくまる


でも、これは確かに彼女の居た証だ


俺は託されたんだ・・・この傷は背負っていかないといけない


覚えておくよ忘れたりなんか絶対にしないから・・


でも・・でも!俺はこんな最期を


提督「認めるかよ!くそがぁあああああ!!」


それから数時間後


日が昇り始めた時


ー西鎮守府執務室ー


西提督「・・・・・・」


西提督「いつまで立ち止まってはいられないな」


刀身のない軍刀を腰に下げて立ち上がり


西提督「まぁ、見ていてくれよ相棒」


歩き出したのだった


ー西鎮守府運動場ー


提督「・・・・・」


提督「眩しいな・・」


みんなが待ってるいつまでもこうしてはいられない


こんな様じゃ白雪にも黒髪達にも怒られてしまう


それに約束したから・・立ち止まってはいられない


提督「まぁ、見ててくれよ白雪さん」


いつの間にかあった軍刀を腰に下げて立ち上がった


提督「行こうぜ相棒」


軍刀を軽く撫でて歩き出したのだった


5日目の報告書


特に何かあったかと言われると特にはない


でも、絶対に忘れられない事があった


誰にも言えない大切な事だ


きっとこの先も誰にも言う事はないだろう


気になるか?元帥


絶対にお前には教えない絶対にな


禿げろ


ー6日目の夜ー


提督「・・・・白雪覚えておくからな」カキカキ


この5日目の夜の出来事は西提督さんにも誰にも話していない


でも、報告書にはそれっぽい事書いてやる教えないけど


精々気になってモヤモヤした気持ちになれそして禿げろ


提督「そして遂に今日あった事か・・」


此処まで長かったがこれで報告書はお終いだ


7日目は書けるか分からないし実質これが最後だ


時間もないし早く思い出すか


6日目の研修を・・いや、壮絶な今日を思い出すのだった


番外編【社会人適正面接(腐った漫画家秋雲)】


【秋雲(30歳)】


【職業(漫画家)】


【艦娘だった頃から絵を描くのが好きだった為に漫画を描く事がありコミケなどでも活躍していた。やがて漫画家に憧れを抱く様になり戦う事より夢を追う事を決心して漫画家の道へ】


【今では人気漫画家として雲風 秋(くもかぜ あき)と言う名前で数々の作品を世に出している。実は私もファンだったりする】


提督「・・・涙でレポートが見えませんあきつ丸さん読んでください」


あきつ丸「自分も涙で見えないでありますよ・・とにかく呼んでみるであります」


提督「そうだね・・名前はどうにか見えるぞ秋雲か、よし!秋雲さん入ってください」


秋雲「失礼しまーす。いやぁ〜長かったね待ちくたびれたよって二人共目赤いけど大丈夫?ハンカチ使う?ちょっと臭うけど」ガチャリ


提督「はは、結構です。ちょっとありましてもう大丈夫です」


秋雲「ふ〜〜ん」


あきつ丸「むむ・・・・」


改めてレポートに目を通す秋雲さんは今年で30歳になるアラサーで売れっ子漫画家だ


秋雲と言えば確か陽炎型の末っ子だったよね?少しは勉強したんだぞ


でも、30歳か・・不知火が見たら妹が歳上なのは複雑な気分ではあるだろうな


部屋の写真もあるがゴミしか写っていない掃除はしていない様だ


ゴミの間から誰か埋もれているのが見えるがレポートによればアシスタントの朧さん(30歳)らしい


アシスタントって大変だな・・


秋雲さんの見た目は不知火や陽炎さんの様にしっかりとした服装ではなく、くたびれたジャージを着て眼鏡をかけている


髪の毛はくしゃくしゃで女性には失礼だと思うけど少し・・臭うかな?


あきつ丸さんを見ただけで分かる


あれは怒ってる


秋雲「それじゃあ、時間もあんまりないんでさっさとよろしく」


あきつ丸「おい!貴様なんだその服装は!それに提督殿に対しての口の利き方も知らんのか!」


やっぱり怒ったか・・正直敬語でなくても良いし服装もその人の個性なわけで俺は気にしていないけどあきつ丸さんは許せないんだろうな


でも、今回は服装はともかくとして多分三日は風呂に入っていないであろう状態はよろしくない


ハエさんが飛んでるぞ


秋雲「え?何かおかしい?一番綺麗なジャージで来たんだど?動きやすいし良いよジャージ」


あきつ丸「そんな汚い格好で来て恥ずかしくないのでありますか!」


秋雲「ん?別に?なんで?裸で来たわけじゃないし」


あきつ丸「臭うのでありますよ!貴様の臭いで提督殿が不快な思いをしているのであります!」


秋雲「え?臭う?別に臭わないけど臭う?」クンクン


そう言いながら近寄ってくる


来るな!と心の中で叫ぶ


秋雲「どう?」


かなりすっぱい臭いがする


やばい


でも、女性に対して臭いなんて言えるわけがない


提督「う、うん、少しだけ臭うかな、はは」


秋雲「ふ〜〜ん、少しなら良いじゃん風呂に一週間入ってないだけだし」


提督「い、一週間!うっ!」


秋雲「どうした?ハンカチ使うか?」


ハンカチはカビが生えていた


柄がカビなのかカビが柄なのか分からない


提督「い、いえ、大丈夫なんで」


その兵器を早くしまってくれ


てか、待ってる間他の娘達は大丈夫だったのだろうか


秋雲「遠慮しなくていいのに」


あきつ丸「貴様・・・」ブルブル


やばい・・あきつ丸さんが怒りに震えてるこのままでは怒りが爆発して即陸軍行きにしてしまいかねない


いや下手したら斬り捨て御免とかもあるかも


最悪秋雲さんを守れる様に動ける準備だけはしておこう


あきつ丸「う、うぅ・・これはきついであります。もう良いでありますから離れて欲しいであります!さっさと始めるのです!提督殿!」


提督「あ、はい」


怒る気力を奪った!秋雲さんやるな・・


秋雲「はーーい、早く描きたいから早くね早く早く」


これくらいの距離なら臭いに慣れて来た


慣れって怖いね


提督「じゃあ、始めますね」


秋雲さんは何本も連載を抱えているらしく寝る間も惜しむわけではないが描くのが好き過ぎて風呂などは一ヶ月に一回だけだとか女性としての生活、いや、人としての最低限の生活をも捨てて描いている


風呂はアシスタントさんが無理矢理入れてるとか


もう漫画中毒と言っても良いかもしれない


いくら売れてるとは言えこんな生活を続けているのは社会人としてちゃんと生活が出来ているのか?と疑問に思う


と言うよりアシスタントさんが心配だ


いつか身体を壊してしまいそうだしこのままでは貰い手もなくなってしまう


此処は一度陸軍に行ってもらって特訓を通じて治す必要があるかもしれない


アシスタントさんの為にも


一度漫画と離れれば落ち着くだろうし


漫画のない生活をさせてみるのが良いかもしれない


さっきから大人しいあきつ丸さんにその事を伝えると


あきつ丸「え・・そ、そうでありますが・・今は大丈夫そうでありますし問題ないかと」


提督「ですが、この一日のスケジュールを見てもどうかと思いますよ」


ほぼ全部が漫画を描くになっている


あきつ丸「うぐ・・ですが・・」


提督「まさかですけど、秋雲さんだから嫌だとか言いませんよね?」


あきつ丸「ぎくっ!そ、そんな事はないであります!臭いがやば過ぎて嫌だとかは思ってないであります!」


思っているんだな


提督「はぁ・・あきつ丸さん一度お風呂に入らせれば臭いなんてなくなりますよ?それから連れて行けば良いじゃないですか」


あきつ丸「っ!」


あきつ丸さんならそれくらい気付きそうな気がしたんだけど余程嫌なのだろうあきつ丸さんは臭いにはめっぽう弱いらしい


やっぱりあきつ丸さんも陸軍で屈強な男達に囲まれているとは言え女の子なんだな


提督「では、陸軍行きと言う事で」


あきつ丸「初めて意見があったな提督殿秋雲は喜んで陸軍で預かろう。勿論!お風呂に入れてからですが」


提督「じゃあ、決まりですね」


秋雲さんには悪いけど少し漫画と離れてもらおう


提督「秋雲さん」


秋雲「う〜〜ん」カキカキ


提督「秋雲さん漫画を描くのは家に帰ってからにしてもらえますか?」


秋雲「あ、ごめん、良いアイデアが浮かんだもので、それでもう終わり?帰って良い?」


あきつ丸「ふふ、提督殿が言ったでありましょう家に帰ってから描けと」


秋雲「ん?だからもう終わりならさっさと帰って描くよ?」


あきつ丸「帰れたらでありますよ・・帰れると良いな家に」ニヤリ


秋雲「だから帰るよ?」


あきつ丸「提督殿言ってやれ」


なんか言いにくいな・・でも、言うしかないな


提督「秋雲さん陸軍行きで」


秋雲「へ?」ポトッ


彼女の持っていたペンが床に落ちた


漫画家にとってペンは命であり相棒である


しかし、その相棒が落ちたにも関わらずその場でただ驚愕の表情を浮かべていた


秋雲「嘘でしょ?嘘だよね?」ウルウル


提督「秋雲さん、貴女は一度漫画から離れた方がいい少し、いえ、かなり漫画に執着していますこのままでは危険と判断しました」


秋雲「そ、そんな・・・・」


提督「辛いでしょうが頑張ってください」


不合格の判子を持ち押そうとしたその瞬間


秋雲「させない・・・こんな事を」


あきつ丸「はっ!嫌な予感!総員退避!」


提督「へ?相違堆肥?」


秋雲「させるかぁあああ!!」ガバッ


提督「うわぁあ!」ガシャーン


あきつ丸「うっ!提督殿!」全力で離れる


秋雲さんが飛びかかって来た


アラサータックルだ


倒れた俺に彼女は乗りかかり懇願するように抱きつく


普段なら喜ぶべき場面であろう


しかし、彼女は一週間風呂に入っていない


その臭いは離れていても凄まじい


それが密着しているとなれば


提督「あばばばばばば」泡ぶくぶく


想像を超える程の臭いだ


秋雲「蟹の真似なんてしても喜ぶのは朧だけだよ!まぁ、朧もよく泡吹いてるけど・・それより!ね?良いでしょ?合格にしてよ〜」ギュッ


あきつ丸「提督殿!負けるな!」更に離れる


秋雲「なんならキスしても良いからね?ね?どうせした事ないでしょ?してあげるから合格にしてよ!これ逃したら一生出来ないよ!」


なんで所々煽る様な事を言うのか・・


秋雲「チューーーー」


提督「はわわわわ!や、やめろ!」ガタガタガタガタガタ


あきつ丸「提督殿!くっ・・今助けるでありー・・ん?」


あきつ丸「これは?さっき秋雲が描いていた漫画でありますか?・・っ!この独特の絵は」


あきつ丸はレポートに目を通す


そこには彼女のペンネームである雲風 秋と書かれていた


あきつ丸「な!この方は!」


そう、何を隠そうあきつ丸は彼女の漫画のファンだったのだ


あきつ丸にとってこの漫画は唯一の楽しみでもうすぐ新巻が出るのも今か今かと待ちわびている


もし今彼女が陸軍行きになれば連載は止まり新巻もハ◯ターハ◯ターと同じ不定期連載になってしまう


そうなれば次回の新人提督(♂)と屈強な筋肉男との恋の行方が当分見れなくなってしまう


下手をすれば一生見れないかもしれない


あきつ丸にとってそれは死活問題だ


因みに秋雲の描く漫画は全てがBL本である


そう、彼女は腐っているのだ


しかし、その腐っている女子は世の中にたくさんいる寧ろ腐ってない方がおかしいと言っても過言ではない


つまりあきつ丸は女の子として普通なのだ


あきつ丸「・・・・・・」


あの雲風先生を陸軍に連れて行こうなど愚の骨頂


そんな事恐れ多くて出来ない


そう思うとこの臭いも良い香りに感じる


もっと吸っていたい


提督殿はやはり女性を分かっていない


だってこんな良い香りで拒絶するなんてあり得ないのだから


秋雲「んむぅ・・・・」チュッ


提督「むぅーーー」ビクビクビクビクビク


なんて羨ましい光景なのだろうか


あきつ丸「提督殿は正常な判断が出来ない状態であります。今は自分がルールであります」合格判子


床に落ちている雲風先生の面接シートに合格判子を押させていただいた


そして雲風先生からハグとサインを貰った


嬉しさのあまり鼻血が出た


雲風先生を丁重に送り執務室へと戻った


途中で他の面接の娘がファブリーズを渡して来たのでその娘は面接抜きで陸軍行きにした


なんと失礼な奴なんだ


こんな失礼で最低な奴でも陸軍は見捨てないのだ


顔と名前は覚えたので楽しみでありますな


あきつ丸「はぁ〜〜」ウットリ


ハグにサイン・・今日来て良かったと心から思った


あきつ丸「一生の宝物にするであります」


提督「」


あきつ丸「・・・・・・」


あきつ丸は思った今キスをすれば間接キスなのでは?と


あきつ丸「ゴクリ・・・・」


その後あきつ丸がどう動いたのか知る者はいなかったが


提督が気付いた時には提督は秋雲のところの記憶だけ綺麗になくなっていたと言う


提督「なんかこの部屋臭わない?」


あきつ丸「気の所為であります」


提督「そうかな?」


あきつ丸「そうであります」


提督「あきつ丸さん何か良い事あったんですか?なんか嬉しそうですけど」


あきつ丸「気の所為であります」ニコッ


まだまだ社会人適正面接は終わらないのだった


提督「俺が臭い?」クンクン






番外編没作品【吊るされた男】




これは5日目の西憲兵との話しでしたが、色々な理由により没となりました


結構書いていたので消すのも勿体ないので使います!


続きはないですが暇な方はどうぞ!







ー5日目ー


ー西鎮守府正門ー


黒髪を避ける為に遠回りをしていたら正門に出てしまった


という事なので一応西憲兵さんに挨拶をして行こうと思ったのだが


提督「いないな・・」


何時もここら辺に偉そうに立っていたのに


誰かいないとお客とか来たら対応出来ないけど良いのだろうか?


まぁ、うちは憲兵いないから執務室まで態々来てもらう事になるけど


敵ならアウトだな


提督「屯所の方かな?」


もしかしたら休憩しているのかも


ー西憲兵屯所ー


提督「すみません、誰かいますか?」


シーーーーン


提督「いないな・・・」


来ていないのだろうか?でも、ドアは開いている流石に開けっ放しにはしておかないだろ


来てはいる筈だ


少し待ってみるか?またの機会にするか?


提督「それにしても・・」


少し・・いや、かなり散らかっている


まるで荒らされたかの様だ。書類などもそこら辺に散乱している


提督「いや!これ荒らされてるじゃないか!」


いくら西憲兵さんが整理整頓が出来なさそうな顔をしていても職場であるこの場を此処まで酷くしておく事は出来ない


西提督さんが見たら絶対に怒るから絶対に出来ない


これはもしかしたら西憲兵さんの身に何か起きたのかもしれない


よく見れば西憲兵さんの物であろう荷物が床に落ちている


悪いと思いながら中を見させてもらうと昼過ぎなのに弁当がそのままだ


日の丸弁当にたくあんだけというかなり質素な弁当だ


西憲兵さんの母親が見たら泣きそうだ


でもこれで分かった


最低でも昼前には西憲兵さんの身に何か起きている事は確定だ


提督「くそっ!みんなに知らせないと!」


でも時間が経ち過ぎている誘拐だとしたら手遅れかもしれない


くそっ!医務室で聞こえた悲鳴は西憲兵さんだったのかもしれない!


なのに俺は何も考えず眠った


馬鹿野郎が!


提督「自分を責めるのは後だ!西提督さんに報告をー」


ガシッ


提督「っ!誰だ!」


ふと手を掴まれた。犯人が戻って来たのかと一瞬思ったが


小さな手に柔らかい感触がそれを否定した


女の子の手だ


???「・・・・・・・」


提督「君は・・・悪いけど今は相手に出来ないんだ手を離してくれるかな?西提督さんに知らせないといけないんだ」


何度も呼び止めようとしておいてこんな事を言うのも嫌だけど仕方ない


今は一刻を争う


???「探している彼なら無事だからそんなに慌てないで近くにいます」


提督「え?」


???「こっちです」


戻って正門前


???「あれを見て」


提督「あれは・・」


さっきは気付かなかったが正門前にポールが立てられていた


それは国旗を掲げる時に使われている太く長いポールだ


高さからして軽く十メートルは超えている


よく見ると立てられていると言うよりは地面にそのままぶっ刺した感じになっている


空高く地面にそそり刺さっていると言うべきだろう


でも、なんでこんな所にポールなんて立てる必要があったのだろうか西鎮守府の旗でも立てるのだろうか?


だとするならどんなデザインなんだろう?これは参考にも見ておこう。そう思いポールの上を見上げると


西憲兵「」ぶら〜ん


提督「・・・・・・・」


ポールの先に紐が垂らされており西憲兵さんが吊るされていた


斬新なデザインだ・・・これなら遠くまで見渡せる


いやいや!


提督「へ?なんであんな高い所に吊るされているんだ」


???「今朝艦娘達が出勤して来た西憲兵を捕まえて吊るしていました。態々専用のポールまで用意してね」


提督「あの娘達が・・そんな酷い・・止めなかったんですか!君はただ見ていただけだったんですか!」


???「・・・・・・」


提督「君は・・ずっと分かってて放置してたんですね」


いくら西憲兵さんがなんか悪い事しそうな顔でもいきなり吊るすなんて酷過ぎる・・


???「ねぇ、さっきから君って・・私は君じゃない」


白雪「白雪って名前があります。失礼ですよ」


俺が自己紹介をした時は無視した奴が何を言ってるんだと思ったが声には出さないでおこう


提督「なら、白雪さん」


白雪「さん付けは要りません敬語も必要ありません。貴方にそう呼ばれる資格はありません」


棘のある言い方だった


さっきまで無口だったのに喋ると注文の多い娘だな


提督「・・白雪何故今の今まで助けてあげなかった西提督さんに言ってどうにかする事も出来た筈だ」


白雪「・・・・・・・」


提督「それとも・・言ったら白雪が今度は虐められるからか?」


白雪「虐め?」


思いたくはないが虐めのグループがあるとするなら助ける真似などしようものなら今度は自分が標的になってしまう


だから誰も何も出来ない


自分を守るので精一杯なんだ


艦娘達は人と変わらない・・だからこそ人と同じ様にヒエラルキーは存在している


おかしな事ではなく必要な事でもある


だけど・・それを使って相手を見下したり危害を加えたりするのは間違っている


上は下を導き下は上を敬う。それが本来のあるべきヒエラルキーだと俺は思っている


これでは加害者も被害者もお互いの道を閉ざしてしまう


可能性を未来を消してしまう


だから・・俺は見て見ぬ振りは出来ない!


かつて逃げた自分だからこそ・・向き合わないといけないし向き合わせてやりたい


提督「虐めをする娘がいるんだな・・誰なんだ答えてくれ。良いか?隠す事はその娘の為にならないからな」


最悪・・お尻ペンペンも辞さない!


例えそれが西提督さんだとしてもだ!


白雪「っ!うちの娘達にそんな娘はいません!冗談でも言わないで!」


提督「なら・・なんでこんな事になってんだよ!遊び半分とでも言うのか?なら尚更!」


白雪「黙りなさい!」


提督「っ・・」ビクッ


白雪「少し落ち着きなさい!貴方は司令官としての自覚はあるのですか?もう少し考えて判断する事は出来た筈ですよ。貴方も鎮守府を任された司令官なら常に冷静に判断をしてください。少しの事で感情が揺らぐ様ではいけませんよ」


白雪「決めつけて怒鳴るなんて言語道断です!どうですか?私の言ってる事は間違ってますか!」


提督「い、いえ、その通りです・・すみませんでした」


白雪「大体貴方がそんな人だから西提督も調子に乗って演習に出るなんて言い出したんです!心配で心配で仕方なかったんですよ!前はもう少し冷静な人だったのに・・そりゃあ・・前よりも元気になって少し暴走気味ではありますけど私としても嬉しい事ではありますよ。友達がいなかった西提督に友達になってくれた貴方にも感謝してますし・・でも、操縦桿に刺すなんて何を考えているんですか・・凄くビリビリしたんですから」


白雪「これ見てください髪の毛少し焦げてます酷いと思いません?阿武隈にも迷惑掛けて・・本当あの人は」


提督「あ、あの白雪?話しが結構斜めに行ってるような・・最後の操縦桿に刺すのところは全く見に覚えが・・俺何かしましたか?」


白雪「そりゃあ、演習中の話しですし・・知らないのも無理はありませんし貴方に言っても仕方ないですが貴方のおかげなんですよ」


白雪「貴方が本来のあの人を呼び覚ましてくれたんです。良い言い方で生き生きとしている。悪い言い方で熱血筋肉馬鹿です」


熱血筋肉馬鹿は多少なりと否定しにくかったりするが馬鹿ではないと思う


と言うか演習の時白雪を見かけていないけど・・隠れていたのだろうか


白雪「でもそれが嬉しくて提督さんには感謝してんですよ」


提督「いや、それ程でも?」


白雪「ふふ、なんで疑問形なんですか」


提督「う〜ん、感謝されるような事をした自覚がなくて」


白雪「面白い人ですね」


提督「はは、どーも」


白雪「まだ未来はあったのに・・なんで私は逃げてしまったのでしょうか」


提督「白雪?逃げたって?」


白雪「・・・独り言です気にしないでください」


悲しそうに白雪は言った


提督「そうか・・分かった気にしない」


白雪「よろしい!」ニコッ


怒ったり笑ったりと本当に最初に見かけた彼女なのか?


もしかしたらこれが本来の白雪かもしれない表情豊かで感情に素直でそう言うところが誰かに似ている


そう、西提督さんだ


きっと白雪は西提督さんの事を大切に思っているんだ


嬉しそうに時に怒りながら西提督さんの事を話している白雪からはそう感じられた


昔からよく知っていて大事にしている存在だって


でも・・さっきもそうだけど笑っていても怒っていても時折悲しそうな目をしているのは何故なのだろう


何に逃げたのだろうか?どうしてそんなに悲しんでいるのか


でも聞く事は出来なかった


提督「白雪・・それで西憲兵さんの事は」


その目をこれ以上見てるのが辛い・・だから話題を元に戻させてもらおう


逃げる様で悪いけど


白雪「っと、今は西憲兵の事でしたね。虐めなんてありません。見て来たと言うより感じて来た私が言うんですから間違いありません」


提督「感じる?」


白雪「その証拠にあれを見てください。彼がああなった理由が分かります」


白雪は西憲兵さんの胸辺りを指差す


何か張り紙が貼ってあるが


提督「高過ぎて見えない・・・てか、普通は見えないだろ」


一つ分かる事は紐が揺れるのと一緒に西憲兵さんが揺れて張り紙がひらひらしている事くらいだ


白雪「登って見て来たら良いです」


提督「これを登れと?」


白雪「登り棒くらい登った事あるでしょ?」


提督「そりゃあ、あるけどこれは登り棒じゃないしその何倍もの高さがあるんだぞ落ちたら大変だ」


白雪「男が情け無い・・」


普通は男でもポールは登らないと思うが・・


提督「なんて書いてあるんだ?知ってるなら教えてくれないか?」


白雪「登りなさいそれしか言えません」


提督「いや、だからー」


白雪「登りなさいポールの先に答えがあります」


提督「危ないしそれにー」


白雪「登りなさいそれしか残された道はありません」


提督「落ちー」


白雪「登れ。あんな事を言った罰です私にとって仲間を侮辱されたんですから嫌とは言わせません」


提督「それを言われると・・分かったよ登りますよ」


登り棒に登るなんて何年ぶりだろうか


と言っても登り棒じゃないんだけどねポールに登るなんて初めてだ


普通は登らないから当たり前か


提督「折れたりしないよね?」


白雪「丈夫な鉄で出来てるので折れませんよ。彼女達も安全対策はしてます。頑張ってくださいね」


提督「お、おう・・」


二人目が登る対策はされているのだろうか?


白雪「GO〜♪」


提督「はぁ・・・」


病み上がりに無理をさせるなよ・・


提督「よっ!お、いけそう」登り始め


この鉄の冷たい感触が懐かしく感じる


太さも登るには丁度良い


白雪「・・・・・」ジー


提督「ほっ!身体は結構覚えてるもんだな」登り中


裸足だと楽だ


白雪「ふむ・・・・」ジー


提督「高い・・・・あ、足が動かない」中間付近


思わず下を見たらやばかった・・


白雪「・・・・・」手ふりふり


提督「はは・・・・・」手ふりふり


白雪「・・・・・・」早よ行け


提督「うぅ・・鬼だ鬼がいる」


白雪「大丈夫そうですね」


ゆっくり慎重に下を見ないようにして上がった


提督「あと少し・・・・」


西憲兵「(( _ _ ))..zzzZZ」ぶら〜ん


西憲兵さんが風に吹かれてゆらゆらしている


身体にはしっかりとロープが縛ってある


落ちないように厳重に尚且つ痛くないようにしてある


白雪がかなり小さく見える


あくびしてやがる


提督「ぬぬ!届け!」


吊るされている西憲兵さんへ手を伸ばして貼ってある張り紙を取った


提督「やった!」


さてなんて書いてあるのか


《私は敵を前にして定時退社した臆病者です。夕方まで反省させるのでお手を触れないように【西鎮守府吊るし上げ委員会】》


提督「はい?何これ?吊るし上げ委員会?」


白雪「取ったらさっさと降りて来てください」


提督「あ、はい、うわっ!」


落ちそうになりながらもスルスル〜と降りました。少し股が痛い


提督「あ〜地面だ・・俺は地面に立っているんだ」


地面って素晴らしいと思った


白雪「これで分かってもらえましたね」


提督「白雪・・さっきの事かなり根に持ってたりする?」


白雪「ふふ、それはもう大事な仲間達の事ですからね」


提督「うぅ・・ごめん」


白雪「昨日彼は敵に突破されたのにも関わらず定時と言う理由で帰ってしまい彼女達の怒りを買ったんです。早朝からずっと彼が来るのを待っていた娘も居たくらいですから」


提督「確かに西憲兵さんが悪いですけどやり過ぎなような」


白雪「運動場の訓練と言う名の惨劇を忘れたのですか?あれも元を正せば西憲兵さんがちゃんと仕事をしていれば防げていたかもしれません」


白雪「まぁ、貴方にとっては天国だったのでは?下着見放題でしたもんね」


やばい!見られていたのか!


提督「見たくて見たんじゃなくて・・その仕方なくで・・けして天国だなんて思ってないです!クマさんが多かったなんて知りませんから!」


白雪「へぇ〜クマさんね・・好みはクマさんですか?」


提督「えっと、クマさんが多かっただけで・・その・・苺も・・」


白雪「ふ〜〜ん」


やばい俺が見ようとして見たと勘違いしてる


そりゃあ、少しばかり嬉しい気持ちもあったけど心配する気持ちの方が大きかった


提督「そのままには出来なかったし・・安易な行動だとは反省はしています」


後悔はしてないけど


白雪「次はないですよ?直してあげるのは良いですがまじまじ見るのは無しでお願いしますね」


提督「はい・・以後気を付けます」


男だから仕方ないと言うのは言い訳なのだろうな・・


それにまじまじとなんて見てないし・・ちょっとチラッとだし・・


白雪「・・・・・・・・」


白雪「そうだ私の見ます?」スカートチラ


提督「あ、見まー、・・もう勘弁してくれ・・」


白雪「ふふ、まだまだお子ちゃまですね」


男心をもう少し考えてくれ!


白雪「話しを戻すけど理解してくれた?私は彼が非があると思いますから自業自得だと思っています」


提督「昨日の事は俺は何があったかは詳しくは知らないけど西鎮守府の艦娘達はみんな優しい。その娘達が怒るくらいだから余程の事があったと考えれば仕方ない事なのかな」


そして今日の特訓・・ああ、これは完全に西憲兵さんが悪いな


提督「なら、このままにするのか?」


白雪「でも、彼もこの西鎮守府で頑張ってきた大切な仲間なんです」


白雪「仲間を見捨てるのは私の流儀に反します」


提督「降ろしてやるのか?」


白雪「いえ、このままです。夕方まで吊るして置きますよ」


提督「じゃあどうするんだ?」


白雪「私偶に思うんです彼の行動が全て計算された事じゃないのかなって」


提督「ん?それはどう言う」


白雪「こうなる事を分かっててそうしたとか?じゃなかったら今日普通に来るなんてしない筈だし此処に来ずに逃げる事も出来たのではと思うのです」


提督「考え過ぎじゃないか?もしそうだとしたら昨日帰ったのもわざとって事になるけど?仲間達を危険に晒したって事だぞ」


誰が襲撃して来たとかも全然知らないけどあんなキツイ訓練をするくらいだ余程の事があったのは聞かなくても分かる


それをもし分かってて見逃したのなら憲兵として軍人として失格だ


白雪「・・そうですね考え過ぎですよね」


白雪「どちらにせよあの娘達の決めた事に口を出す事は出来ないから助ける事は出来ないけど・・」


提督「けど?」


白雪「最後くらいは計算外の事を起こさせたいなって思ったんです」ニヤリ


なんか悪い顔してるよこの娘


白雪「あの嘘くさい顔を本気で驚かせてみたいんです。考え過ぎだとしても見たいんです」


白雪「折角のチャンスだから・・・」


提督「っ・・・・・・・」


またその目だ・・・


提督「それで?結局降ろすことはせずに何をするつもりなんだ?」


白雪「私は何もしませんよ?するのは貴方です」


提督「はい?」


白雪「もう昼過ぎですしお腹空いてるかもしれませんね。 どうです?お昼を食べさせてあげませんか?きっと彼はこのまま夕方まで何もないと思ってますから」


提督「え?西憲兵さんにか?どうやって?縛られていてポールの上でぶら〜んってなってる人に食べさせる方法なんて・・まさか」


白雪「さっき登れるのは確認出来ましたから次は昼食を持って登ってください」


提督「いやいや!無理に決まってー」


白雪「提督さん・・お願いします私にはやりたくても出来ないんです。我儘だってのも分かってます・・でも!頼れるのは提督さんだけなんです」


白雪「後もう少しだけ私に付き合ってください!」


提督「そんな事言われても・・」


白雪「提督さん・・・もう後悔したくないんですお願いします」ウルウル


提督「白雪どうしてそこまで」


白雪「・・好奇心では駄目ですか?」


提督「好奇心か・・・その言い方だと別の理由がありそうだけどな」


白雪「それも含めて好奇心なんです・・やっぱり駄目ですよね」


提督「好奇心・・良いじゃないか。その好奇心にもう少しだけ付き合うよ」


白雪「良いの?」


提督「あぁ、ポールに登っていい歳したおっさんにあーーんしてくれば良いのだろ?」


白雪「はい!あーーんして来てください!」


おっさんにあーーんか・・・おんぼろ鎮守府のみんな・・ごめん・・俺は汚れてしまいます色んな意味で・・


でも、白雪にとっては大切な事なのかもしれない


それとも単に西憲兵さんが心配だからせめて飯だけでも食べさせたかったのか


なら隠さなくても良いのに・・ツンデレかな?


まぁ、やるしかないよな・・正直ポールを登るより嫌だけど


提督「で?そのあーーんする昼食は?」


白雪「はい!用意してください提督さんが」


満面の笑みでさも当たり前に言う白雪


提督「少しは手伝おうよ!」


白雪「手伝えないです・・ごめんなさい・・私・・」


まただ・・その目は見たくない


提督「もう!分かったやれば良いんだろ!だから・・」


白雪「だから?」


その悲しそうな目をやめてくれ


何故だろう怖い・・・まるで自分の事の様に恐怖を感じてしまう


でも、それがなんなのかが分からない


俺も白雪も何を怖がっているんだよ


提督「っ・・なんでもない」


言ったとして直るのか?違う隠してしまうだけだ


きっとそれはもっと辛くなる


提督「・・・・・・」


話してくれるまで待とう


そして話してくれた時は全力で力になろう


屯所の西憲兵さんの荷物の中に確か弁当があった筈だ


それを回収して戻る


白雪もそれくらい持って来てくれたら良かったんだけど


提督「あ・・」


白雪「どうしたの?」


提督「弁当箱ちゃんと閉めてなかったからカチコチになってる」


白雪「どれどれ・・ご飯がカピカピになってますね」


白雪「と言うか・・今の時代に日の丸弁当だけってのもどうなんでしょうか彼らしいと言えばそうかもしれませんが」


提督「まぁ、栄養はあまり取れないな」


軍人の昼としては最低だ


白雪「西提督が何度も自炊しろと言っていたのに自炊には変わりないですがこれは酷いですね。やはりあの時西提督が持って来たお見合いを受けるべきだったんですよ変に強がって・・相手はちゃんとした人だったのに・・」


白雪「これじゃあ安心出来ないよ・・・安心して離れられない」


離れられない?何処かへ行ってしまうのか?


提督「どうする?これを食べさせる?」


白雪「勿体無いですがこれは食べられません。だから何か作ってあげましょう提督さんが」


提督「そう言うと思った」


もう一々何も言わない


やれと言うならやろう


なんか社畜の考えだな


提督「じゃあ、食堂で何か作って来ますか」


白雪「待ってますね」


提督「はいはい一人で行ってきますよ」


白雪「・・・・・・」


西憲兵「(( _ _ ))..zzzZZ」


白雪「これで・・少しでも返せるかな・・」


白雪「償いは必ずしますから・・」


一人呟く白雪だった


これはあったかも知れない別の未来としてこの先どうなるかは貴方の妄想にお任せします!



番外編




出撃?


6日目が始まった


睡眠時間一時間と言う凄く怠い朝を迎えた


夜に一つの物語が終わり朝に新たな物語が始まる


その物語を託された


怠いし眠い・・だけどそんな事は言ってられない


目を覚ますと黒髪達は既に起きており養成学校の制服なのかな?なんか凄い堅苦しい服を着ていた


俺を見ると黒髪達は敬礼をした


黒髪「おはようございます先輩、遂に今日ですね」ビシッ


金髪「自分達は準備は万全です!いつでも行けます大将」ビシッ


メガネ「・・・・・・」ビシッ


眼鏡がキランってなっている・・これはかなりテイションが高い証拠だ


みんなテイションMAXの様だ


それに言っている事はまるで戦いに赴く兵士の様だが今日は別に戦うわけじゃない西提督船でのクルージングだ


まぁ、それは黒髪達も分かっている


要は形から入りたいのだろう海に出るなんて戦う為以外にないからな


ましてや人が海に出るなんて鎮守府に着任している海軍の人達でも中々ない。それが出来るのだから嬉しいのだろう


声の調子からも楽しみで仕方ないと言うのが伝わってくる


たく、そんなセリフ笑いながら言うもんじゃないと思うが良いだろう


提督「みんな、今日の作戦必ず成功させるぞ!そして皆でまた此処へ戻って来よう良いな!」ビシッ


研修生達「「「はい!」」」


まさかこう言うセリフを艦娘以外に言う事になるなんて思いもしなかった


本当・・ただの茶番だ。でも嫌いじゃない寧ろ大好きだ


黒髪達のお陰で眠気なんて吹っ飛んでしまったな


西提督さん責任重大ですよ


自然と笑みが溢れる


いつも以上に賑わう鎮守府の朝


工廠では西提督船の最終調整が行われており何でも前より少し改良されて大きくなったとかでクルージングコースで警護してくれる艦娘達の装備の点検も同時進行でされていた


工廠が出入り禁止(俺限定)じゃなかったら手伝おうと思っていたんだけど残念だ。でもなんで俺だけ出入り禁止なのだろうか?まぁ、他の鎮守府の司令官に見られたくない物もあると言う事だろう


食堂では、俺達や警護してくれる艦娘達の弁当作りに少しの間でも西提督さんが鎮守府を空けてしまうのでその分鎮守府の警備を強化する必要があり、余計時間を減らす為に朝のうちに今日の食事を全部作っていた


今週の当番全員がキッチンに立っている少しキツそうだけど・・


でも、みんながみんな何をすれば良いのかを理解してるのかぶつかったりお互いがお互いを邪魔していないのは凄いと思う


その中には黒髪もおり他の当番の娘達とも連携を取れていて手伝おうと思ったが輪に入れなかった


まさに戦場と言えるだろう彼女達の声が此処まで聞こえてくる


〈ゴキブリですよ・・・


〈忙しいので放置で・・・あっち行けしっしっ


黒髪「ジャガイモの皮むき終わりました!」


〈誰よ!おにぎりにチョコ入れたの!


〈梅おにぎりってどれだっけ?


雷「じゃあ次こっちお願い」


〈あ、塩と砂糖間違えた!どうしよう


〈味の素入れとく?あ、ゴキさんだ


イムヤ「・・・・・」そぉ〜と


〈ん?あ・・・ゴキー・・踏まれたな


〈なんか踏んだけど嫌な予感がするから見ない


黒髪「そこ!つまみ食いは禁止です!」


雷「・・・・・・」ギロッ


イムヤ「はは・・ごめんなさい・・」


黒髪「ん?なにこれ?・・きゃぁああ!潰れたゴキブリがああ!」


ガシャーーーーン!!


「「「きゃぁああああ!」」」


もう立派な西鎮守府の一員だな黒髪


入渠ドッグでは何時でも使える様に金髪がメンテナンスの手伝いをしていた


妖精さんはみんな工廠で忙しいのでこっちは機械関係に強い娘達が集められていた


その娘達に教えてもらいながら頑張っていた


もう、最初の艦娘を物と言っていた彼はいない


今は目の前の彼女達を先輩として上司として憧れの存在として見れている


父親が入渠ドッグで働いていたらしいけどもう大丈夫なんだな


朝潮「バケツの数も大丈夫そうですね。後はー」


金髪「・・・・・(横顔も綺麗だ)」ジーー


朝潮「なんですか?顔に何か付いてますか?」


金髪「あ、いえ、なんでもないです。ははは」


朝潮「なんか顔が赤いですよ?熱でもあるのでは?少し失礼します」おでこに手を当て


金髪「なっ!(ひんやりしてサラサラする!)////」


朝潮「更に赤くなりました!これは一刻を争う事かもしれません医務室へ来てください」


金髪「はい・・何処までも////」ポーーッ


乙女だ乙女がいるぞ!


朝潮さんには異性として見ているな頑張れよ応援してるからな


他にも配置の確認をしている娘や走り回っている娘とみんながみんな忙しそうだった


その中でメガネは救命胴衣などの緊急時の道具の点検をしていた


本来人は海には出ないので必要ない物だが今回は違う万が一を考えてちゃんと使えるかを点検している


それらの道具の点検方法などは学校では教わらないらしくさっきまで文月さんに教えてもらっていたが覚えが悪いのか


メガネ「・・・・むぅ」シュン


文月「此処はこうだよ〜プク〜って膨らますの」プク〜


メガネ「・・・・・・」プク〜


付きっ切りで教えてもらいながら一緒にやっていた


なんかわざとの様にも思えるが・・気の所為だよね?いちゃいちゃしてるだけとかじゃないよね?


信じるからなメガネ!


メガネ「・・・・・ふっ」眼鏡キラン


文月「・・・・・ふふ」ニヤリ


何はともあれみんなそれぞれ頑張ってるな


ちなみに俺はと言うと西提督さんとのミーティングが終わった後はする事がなく何かないかと探し回っていた


西提督さんは工廠で操作方法の確認


黒髪は食堂と言う名の戦場で戦闘中


金髪は医務室?


メガネはロリコンで


結局俺の入れる隙間は何処にもなかったけどなんか嬉しいな


みんなが一つになった気がする


提督「あれ?俺だけぼっち?そんな事ないよね?うん!」


そんな現実を見て見ぬ振りをする


三日月「提督さん」


提督「三日月」


ぼっちを堪能していると三日月が声をかけてくれた


こんなぼっちにも声をかけてくれるんだから三日月の器の大きさはきっと器の域を超えているのだろうな


三日月「皆さんから聞いたのですが海に出るんですよね?」


提督「あぁ、研修の一環でな安全な海域を西提督船で走るだけさ」


三日月「そうですか・・ですが私は余り良いとは言えません。研修の域を超えていますし海に安全な海域なんてありません。海は危険なんです場所なんて関係なく」


三日月「私はこれでも元艦娘です海の怖さは嫌と言うほど知っていますから・・あの場所は万が一が当たり前に起こるんです正直言うなら止めたいくらいです」


三日月「やめませんか?」


提督「三日月・・」


三日月は俺達を心配して本気で止めようとしている


自分が元艦娘が鎮守府の事で口出しをするその意味を知ってだ


本来ならそんな事をすればその場で捕まってもおかしくない。海軍の奴等から言わせれば元艦娘は戦場から逃げた臆病者で


そんな奴等に今更口を出されれば腹も立つのだろう


俺には理解出来ないが


だって俺は元艦娘達が逃げたとは思わないからだ。彼女達は自分の道を見つけただけだ


戦う事だけが艦娘の人生じゃない


軍に残るのも新たな道を見つけるのもどちらも大変な事なんだ


それはきっと普通に産まれた人間よりも遥かに大変でそれでも尚生きている彼女達を俺は尊敬している


余計な口出しなんて思わない


三日月は本当に強い娘だ


でも・・やめてしまうわけにはいかない


三日月「すみません・・口が過ぎましたね」


提督「ううん、ありがと心配してくれて」


三日月「怒らないんですか?」


提督「なんで?心配して言ってくれたのに怒るわけないじゃないか、それに言ってる事は正しい」


三日月「そう思ってくれるなら」


提督「でも、俺は黒髪達の為に今回の研修は必要だと思う」


三日月「どうして?必ず必要な事じゃないのに」


提督「海を知らない奴にこれから何が出来る?海の怖さを楽しさを知るって言うのは指揮官として必要だと思う。知ってるからこそ的確な指示が出せるようになると思う」


三日月「現場を知る事も必要だと?でも下手をすれば」


提督「分かってる黒髪達も楽しみにしている。でも、同時に不安もある。俺はその不安から逃げて欲しくないんだ。怖いかもしれない危険かもしれない万が一だってあるかもしれない」


提督「だからこそ知って欲しいんだ海を世界を彼女達の目からではなく自分の目で」


提督「その為に俺も西提督さんも西鎮守府の艦娘達も全力を尽くすつもりだ。その価値が今回のクルージングにはあると思うんだ」


三日月「そこまで考えていたんですね少しでも遊び半分だったのかと提督さんを疑った私が恥ずかしいです」


提督「いや、それが普通さ海に研修生を連れて出るなんて正気とは思えないからね」


三日月「そうです正気じゃありませんよ!知った時はビックリして気絶しそうになったんですから!」


三日月「でも、提督さんはやっぱり提督さんなんだなって・・なんか安心しちゃいました。同時に不安にもなります・・そんな提督さんが心配です」


提督「安心するけど不安で心配って矛盾してないか?」


三日月「だから複雑なんです・・無理矢理にでも止めるべきなんでしょうけど・・出来そうにありません。だから」


提督「だから?」


三日月「私も行きます連れて行ってください!今は海の上を浮く事も艤装を展開する事も出来ませんが絶対に役に立つのでお願いします」


三日月「私も提督さんの力になりたいんです。沈む時は一緒に!」


提督「三日月・・分かったこっちから頼みたいくらいだよ三日月が居れば俺も安心出来る」


西提督さんも三日月なら許可してくれるだろう今は工廠に居るから後で言っておこう


提督「でも、沈む気はないからな?冗談でもそんな事言わないでくれよ?」


三日月「はい、こんな冗談は言いませんから大丈夫です」


提督「なら、よし!」


三日月「そうとなれば準備ですね!ん?電話?」ピッ


不意に三日月の携帯が鳴る


三日月「もしもし?どうしたの望月」


望月からの様だ


三日月「あ・・・・」


さっきまでとは打って変わり三日月から笑顔が消えた


そんなに暑くないのに汗が出ている冷や汗だ


これは只事ではない事態が起きたと言う事だ


三日月「はい・・はい・・・すぐに戻ります」ピッ


提督「どうした何かあったのか」


三日月「今日・・仕事の日だったの忘れてた・・おやっさんが凄く怒ってるって」ウルウル


と思ったらただの無断欠勤だった


でも、様子から見て三日月にとってはただの無断欠勤ではない様だ


提督「今からでも休みは取れないのか?有給とかはないの?ブラックなの?」


三日月「あるにはありますけど申請しないと・・おやっさんは優しいですけど約束事や仕事の事になると・・妥協を許さない・・」ブルブル


震えてる?そんなにおやっさんは怖い人なのか


三日月「提督さん・・言い出しておいてこんな事を言うのはいけないんですが・・」


言わずもがな早く行って誠心誠意謝るしかないね


提督「こっちは大丈夫だよ。来てくれたら助かっていたけど三日月は三日月のやる事を優先してくれ」


三日月「ありがとうございます!この恩はまたいずれ!」ダッ


恩って・・別に何もしてないのだが・・


三日月「あ、必ず連絡くださいね!ずっと待ってますから」


携帯を持ってフリフリする三日月


あ、落とした


提督「おう、必ずするから気長に待っててくれ!」


三日月「はい!」


三日月は西鎮守府を後にした


選んだ道からは逃げられないって事なんだろうな


いや、逃げたくないのだろう例え辛い道だろうと


本当に三日月は強いな・・だからこそ疑問にも思う


どうして三日月は元艦娘になってしまったのか


艦娘達からも海軍からも元艦娘になるのに良いイメージは持たれない


いくら自分の道を決めたとしても心の奥底にはある筈だ


逃げてしまったと言う気持ちが


気になるけど踏み込んじゃいけない事なんだろう


でも、少しだけ昔の三日月が知りたいと思ってしまった


それが自分の強さに繋がる気がしたから


提督「いつか聞けたら良いな・・」


話してくれるかな?それで嫌われたくないな・・


黒髪「先輩そろそろ行きますよ!」


提督「もう時間か・・分かった今行くよ」


提督「・・・・・・」


提督「頑張れよ三日月」


走り去って行く彼女の背を見て呟いた


三日月「っ!!」ダッダッダッダッダッダッダッダッ


西憲兵「待って!出るなら此処にサインして!お願い待って!!」ダッダッダッダッダッダッ


てか、走って帰るのか・・頑張るな


こうして準備を終えて西提督船に乗り込み西鎮守府を出発したのだった


研修生達のクルージング


西提督船(クルージング仕様)が走り出してから二時間が経ちテイションの上がっていた研修生達もやっと落ち着いて海を見る事が出来る様になった


クルージングコースでは各場所に艦娘達がおり安全優先に動いている


西提督「次のポイントにそろそろ着くがそっちはどうだ?」


阿武隈『敵影なし他安全を害するものなしです。安全に航行出来ます』


西提督「了解!何かあれば随時連絡せよ通信終了」ピッ


俺も万が一を考えて周りを一応確認する。こっちが先に見つける事が出来ればどうにでもなるからな


まぁ、その前に警護で後ろから着いて来てる娘が気づくと思うけど


後ろの娘達は無線ですぐに駆けつけられる距離を保って着いて来ている


万が一襲われても無線一本で大丈夫!


逆に無線がなかったら気付いてもらえなかったり・・なんてないかレーダーがあるし


提督「綺麗な海が続いてる大丈夫そうだな」


波も穏やかだ。クルージング日和と言ったところだ


黒髪「先輩、海ってこんなに気持ち良いんですね潮の匂いも最高です」


髪の毛が風でくしゃくしゃになってしまっているがそれは良いのだろうか


喋るたびに髪の毛が何本か口に入っている


風の吹く角度によっては髪の毛が前に垂れて貞子みたいになるしで大変だな


本人は気にしてない様だけど


提督「そうだな。もう二度とないかもしれない経験だからよく目に焼き付けておけよ」


そしてそれをこれからの経験に役立てて欲しい


黒髪「はーーい!了解であります♪司令官殿」ビシッ


提督「ふっ、まるで小さな子供みたいだな」


まだ興奮の熱が冷めない様だ


黒髪とは反対に大人しく海を眺めている坊主だから髪の毛がファサーってなる心配もない金髪へと向かう


正直一番はしゃぐと思ったけど違った最初だけだった


眺めている隣で俺も静かに海を眺めた


金髪「大将・・今自分がどれだけちっぽけな存在なのか思い知らされたよ」


提督「そう思うだろ?俺もそう思ったよ。海って凄いだろ?」


金髪「あぁ、凄えよどんなに進んでも先が見えないんだぜ?これ全てが海なんだテレビで見たのとは全然違う壮大な世界だ」


金髪「此処を自由に走り回って戦っている艦娘達はもっとだもっともっと凄え!でも・・・」


金髪「俺はそんな艦娘達をこの大きな海を・・守り戦う事が出来るのだろうか・・こんなちっぽけな存在の俺が」


金髪「俺達人間って・・何が出来るんでしょうね」


提督「・・・・・・」


何が出来るかか・・・


俺自身その問いに対して自信の持てる答えを持っていない


それが正解なのかも分からない


いや、正解不正解はない


するしかないんだ


でも、それにはまだ時間が掛かる


これは自分自身で見つけて答えを正解にしないと意味はない


だから・・


金髪「大将俺はどうすれば・・」


提督「そぉい!」背中バシッ


金髪「いたっ!大将何をするんですか」


提督「難しく考え過ぎなんだよ。それにそれはな人に聞くものじゃないんだよ。自分で見つけないと意味がない」


金髪「でも・・どうやって」


提督「金髪、先を見据えての考えを持つのは良い事だ。でも、それは今が出来るからであって今が見えてない人がどんなに考えたって答えは出ない」


暗闇を歩きながら先の光を見るのは暗闇を上手く歩けるからこそ出来る


足取りも不安定な状態で先の光を見ても眩しいだけで何も見えない


そして転んでしまう


そして光は遠退いて歩くのも困難になる


提督「まだ一年生だろ?難しく考えずに今出来る事をしろ」


金髪「今出来る事・・」


俺って確か四年生って設定だったよな?折角だし使わせてもらおう


提督「偉そうに言ったけど俺だってまだ四年生だけど答えに自信が持てない。でも、焦っても仕方がないからこれから実際に鎮守府での生活を得ていつか自信を持って言えるようにする」


金髪「大将はもう行く鎮守府が決まっているんでしたよね?なのにそう思えるなんて凄いです。俺は多分焦ってしまいます。不安はないんですか?」


提督「不安はたくさんあるよ・・でも、それは部下達には見せられない見せちゃいけないんだよ」


提督「だからもし見つからなくても裏で泣いて表で笑える人間になれ」


そしたらきっとお前の頑張りを見てくれている奴が必ず居るはずだから


裏も表知ってくれる人が


そしたらきっと見つかるよ


でも、この言葉は悪いけど口に出してはいけない


その時金髪自身が見つけないといけないから


金髪「大将・・・・」


提督「ごめんな同じ研修生なのに偉そうに言って」


金髪「いえ、大将の言葉心に響きました。俺決めました!自分が今出来る事をやってみます後の事は後で考えます」


提督「応援してるからな」


金髪「はい!俺入渠管理士になろうと思います」


提督「入渠管理士?」


金髪「はい、あまり周知はされていませんが入渠ドッグの管理や艦娘達の入渠管理などもする入渠管理のスペシャリストです。親父がそれだったんです」


提督「親父さんが?でも、それって」


金髪「はい、俺は親父が嫌いです・・だから親父の様にはならないって決めてました。でも、そんな親父が逃げたとは言え長年やって来た入渠管理士に興味はあったんです」


金髪「興味はあっても一歩が踏み出せなかったんです。でも、この海を見て親父も見てたのかなって思うと親父の通った道を歩いてみるのも悪くないかなって思えたんです」


金髪「親父が何を見て何を感じたか・・やっぱり俺・・嫌いになれないのかもな親父の事・・」


提督「・・・・・・」


俺は・・・・どうなんだろう


嫌いな筈なのに・・そう感じない


金髪「そして最後に背中を押してくれたのが大将の言葉です。俺は俺の出来る事をやります。そしていつか大将の鎮守府に」


提督「俺の鎮守府に?」


金髪「いえ、なんでもないです。こんなの卑怯ですね実力で選んでもらいますから大将も鎮守府を任される司令官になってくださいね」


提督「あぁ、必ずなってやる」


もうなってるとは言えず


提督「入渠管理士頑張れよ」


金髪「はい!よし!やる気が出て来たぁああ!」


黒髪「なに!大声出して勝負?勝負なの!やっほぉおおお!」


金髪「俺はなるぞぉおおおお!」


黒髪「なんにぃいいいい!」


西提督「うぉおおおおお!俺もまぜろぉおおおお!」


金髪、黒髪「「っ!」」ビクッ


三人「「「やっほぉおおお!!」」」


何故か大声合戦が始まった元気だな黒髪は西提督さんも


ともあれ金髪が元気なって良かった


そう言えばメガネは何処に


周りを見るがいない船内かな?と思い入ると青い顔をして座っていた


どうやら船酔いの様だ


眼鏡が曇っているし体調不良なのは確かだ


隣に座り眼鏡を拭いてやる曇りが取れた


少し顔色が良くなった様な気がした


提督「大丈夫か?」


メガネ「・・・・・・」コクリ


顔色からしても大丈夫ではなさそうだが・・


提督「本当に大丈夫か?そうは見えないんだが・・」


メガネ「・・・・・ちょっと酔った」


提督「だと思ったよ。だったら外へ出て海を見た方が良い」


メガネ「・・・・此処で良い」


提督「どうして?此処じゃあ海もあんまり見えないし折角海へ出たのに」


メガネ「・・・・此処からよく見える」


そう言って西提督さんのいる場所を見た


操縦桿がある所だ


提督「成る程なメガネは船に興味があるんだな」


メガネ「・・・・・・」コクリ


メガネ「・・・・海も楽しみにしていた。それ以上に船を一度で良いから乗れなくても見て見たかった」


メガネ「・・・・見るだけで良かった。でも、乗せてもらえて提督さんにも西提督さんにも感謝しています」


提督「良かった。つまらないと思われていたらどうしようかと思ったけどそう思ってくれるなら俺も西提督さんもやった甲斐があるよ」


メガネ「・・・・これまで見せてくれた」


そう言って分厚い本を取り出した


提督「これは?」


メガネ「・・・・この船の説明書」


提督「分厚!もしかしてずっと読んでたのか?」


メガネ「・・・・この船は凄い。耐久性もあり速さもある」眼鏡キラキラ


提督「本当に船が好きなんだ」


メガネ「・・・・演習でこの船と対をなした船があると聞いた・・それも見たい!」


提督「はは、そんなのがあったんだ」


それは確実に我が鎮守府の駆逐漢だろうな


それを見せる事は出来ないけど


提督「よし、運転してみるか?」


メガネ「・・ん?なにを?」


提督「この船を」


メガネ「っ!良いの?」


提督「西提督さんに頼んでみるよ。だから外へ出て酔いを覚まして来いよ」


提督「万全の状態でしたいだろ?」


メガネ「はい!提督さん!ありがとうございます」ダッ


メガネもあんな風に笑うんだな


良い顔だ


説明書を読んでみる


難しい言葉ばかりで本当に好きじゃないと読めないのはすぐに分かった


提督「鳳翔さんと気が合いそうだな」


西提督「ずっと後ろで見ていたからな試しに説明書を渡したら喜んで読んでいた俺には覚えるのが大変で苦痛だったがな」


提督「それ程好きなんですよ」


西提督「あいつ多分俺より良い運転すると思う。あいつさえ良ければ運転させてやろうと思うんだがどうだろ?」


提督「えぇ、やらせてやってください喜びますよ」


西提督「そうか喜ぶか」


提督「はい」


西提督「なぁ、提督」


提督「なんですか?」


西提督「研修もあと僅かだ俺は研修生達の良い見本となれただろうか?」


西提督「あいつらに此処へ来て良かったと思わせる事は出来ただろうか」


提督「西提督さん・・・・」


西提督「すまん、研修生を取るのは俺の代で今回が初めてでな・・」


提督「それは俺にも分かりません彼等がどう見て何を感じたのかは彼等にしか分かりませんから」


提督「でも、あいつらの顔を見て一つだけ確信出来ますよ」


西提督「ふっ、そうだな」


船外ではしゃぐ三人を見ながら提督と西提督は同じ事を思った


退屈はしていないんだろうなって


それだけでやった甲斐はあったって事だ


提督「俺は来て良かったって思ってますよ西提督さん」


西提督「ありがとな・・友よ」


近くにある死


更に一時間が経ちそろそろ折り返し地点に来た時


それは起きた


提督「そろそろメガネに運転させてみますか?」


西提督「そうだな。後は帰るだけだし危険もないだろう」


後は帰るだけ・・そう思っていた


しかし


黒髪「先輩!大変です!」


西提督「ん?」


提督「どうしたんだ」


金髪「あれを!彼処に人が!」


メガネ「浮いてる・・・」


それは力なくただ海に浮いていた


初めて如月と会った時と同じ・・死んだ様に


提督「っ!西提督さん!」


西提督「分かってる!船を寄せる!」


海から引き上げて船内へと連れて行ったが


彼女はピクリとも動かなかった


彼女が生きてるかどうかなど見ればすぐに分かった


血色のない肌色に無数の銃弾跡


両脚は欠損してしまっている


もう亡くなってしまっている


西提督「・・・・・・」


提督「・・・・・・」


黒髪「酷い・・誰がこんな事を」


金髪「そんなの分かってるだろ・・俺たちの敵である奴等だろ」


メガネ「・・・・許せない」


黒髪「酷い酷いよ・・・」


提督「西提督さんこの娘の名前分かりますか?」


西提督「すまない此処まで変わってしまっては見当がつかん・・」


提督「そうですか・・・」


せめて彼女の名前を呼んであげる事も出来ないのか・・


冷たい海の上でよく頑張ったなって名前を呼んで言ってやる事も出来ない


冷たくなった彼女の頬を撫でながら言った


提督「ごめんな・・もっと早く見つけてやれば良かったよな・・ごめんな」


目を瞑り彼女に黙祷を捧げる


これが俺に出来る唯一の君への敬意だ


西提督「悲しい事だがこういう事はよくある事なんだ・・一々悲しんでいたら切りがないぞ」


提督「はい・・分かってます」


黒髪「西提督さん!そんな言い方」


金髪「死を悲しむのは当たり前だろ!」


メガネ「・・・・・」コクリ


西提督「だったら海軍になろうとなど思うな!俺達はなんだ!葬儀屋か?違うだろうが!仲間の死は辛い・・だが、そこで立ち止まってウジウジしていたら今度死ぬのはお前達だ」


黒髪「っ・・だけど」


金髪「そんな・・すぐに忘れるなんて出来ない」


メガネ「・・・・・・」


西提督「すまない・・研修生のお前達に言う事じゃないな・・だが、これからお前達は海軍になるなら死は身近に常に付いてると思え自分に自分の周り」


西提督「軍人は周りの死に慣れる事が必要なんだ」


黒髪「私には・・無理です。死んでいった人達を当たり前に見るなんて出来ません!」


西提督「彼女は艦娘だ。艦娘なら死ぬ事は承知の上で海へ出る。彼女も良い死に方はしないと覚悟はしていた筈だ。こうやって見つけてもらえただけでも彼女は喜んでいるさ」


西提督「悲しむなとは言わない。でも、立ち止まるなお前達が立ち止まれば他の着いて来た者達はどうする?不安にさせるのか?後悔させるのか?違うだろ?」


西提督「涙を見せるな!前を見ろ!そして勇敢に戦った彼女に敬意を」ビシッ


西提督「泣くのは全て終わって一人で泣け・・だから絶対に忘れるな」


黒髪「グスッ・・すぐには・・無理ですけど・・私忘れません絶対に」


西提督「あぁ、覚えててやってくれ」


金髪「西提督さんは・・何度も見ているんですか」


西提督「あぁ、顔が分からない程グチャグチャだったり原型をとどめていない者と色々見てきた・・その傷や顔を見ると涙が止まらなかった」


西提督「苦しかったろ・・辛かったろ・・ってよく泣いた。もう慣れてしまったが・・」


金髪「そうですか・・・・俺も慣れるようになります」


西提督「本当ならこんな事は言いたくない・・」


メガネ「・・・・・」黙祷


西提督「そうだな・・彼女を床に寝させるのは可哀想だメガネ運ぶのを手伝ってくれるか?」


メガネ「・・・・・・」ジーー


提督「俺は大丈夫だから・・彼女を運んであげてくれ」


メガネ「・・・・・・」コクリ


西提督とメガネが二人して運ぶ


彼女は見た目はただの女の子かもしれない


しかし、その重さは見た目とは程遠い


ボロボロになってるとは言え艤装展開状態なのでかなり重い


メガネ「っ!」


西提督「すまんな一人でもどうにか持てたんだが知って欲しくてな」


メガネ「?」


西提督「艦娘は同じ顔の娘がたくさん居る。数も工廠で増やす事が出来る。それが使い捨てにされる理由でもある」


西提督「でもなそう言う奴等は知らないんだ。同じ顔でも性格は違っている事を彼女達にも意思がある事を・・そして命がある事を」


メガネ「・・・・・・」


西提督「この重さは彼女の命の重さだ。この重さの中に彼女の人生の全てが詰まっている。それを忘れるなよ」


メガネ「はい・・・・」


彼女をベッドへと寝かせた。寒くない様に毛布も被せておく


クルージングはまだ続く


立ち止まるわけには行かないから


立ち止まる・・わけには・・







提督「・・・・・・」


もしかしたら如月もこうなっていたかもしれない


そう思うと気になって彼女の元へ来てしまった


腐敗の所為なのかそれとも艦娘特有なのか彼女の肌は真っ白になってしまっている


髪の毛もピンクだったのが白色になってる


もう何も出来る事はない


悲しいけどこれ以上は何もしてやれない


してはいけない


みんなが前を向こうとしてるのに俺がしてしまえばそれは・・・


でも・・最後に


彼女を抱きしめた


提督「っ!」ギュッ


どんな最期だったのか、最期に何を思ったのか、誰を思ったのか


もう少し早く来てたら間に合っていたのでは?


そう思うだけで悲しくて辛くて苦しくて力一杯抱きしめた


駄目だ黒髪達に見られたら幻滅されてしまう


分かってる分かってるけど・・・・


如月の様に助けられたかもしれないと思うと・・涙が止まらなかった


彼女の手が提督を触れた


提督「え?」


駆逐棲姫「ニンゲン・・・・コロス!」


提督「っ!」


彼女の姿は艦娘にも見えるがその禍々しいオーラと目の濁りそして不気味な生き物の様な脚


その可愛い姿を残してはいるが紛れもなく彼女は深海棲艦そのものだった


提督「やばっ!!」


駆逐棲姫


ガシャーーーーン!!


黒髪「きゃっ!なに!」


西提督「提督!」


抱きしめられた状態から投げられ早々に船外へと吹っ飛ばされる


提督「ぐっ!」


駆逐棲姫「ニンゲン・・コロスコロス!」ダッ


提督「うぅ・・なんで彼女が」


やばい来る!!


西提督「どうした!こ、これは!」


黒髪「な、なに!生き返ったの!」


金髪「おいおい!やばそうだぞ!」


メガネ「っ!」


駆逐棲姫「ニンゲン・・イッパイ!」ダッ


黒髪「っ!」


ターゲットが黒髪になった!


提督「黒髪逃げろ!」


黒髪「え!え?何処に?海?船内?空?いやぁあああ!」


金髪「さ、させるか!」サッ


メガネ「・・・・・っ!」サッ


二人が黒髪を庇うように前へ出る


黒髪「二人共何してるの!」


金髪「ま、任せろ!な、メガネ」ガクガク


メガネ「・・・・あぁ!」眼鏡カタカタ


黒髪「バカ・・・・」


西提督「二人共上出来だ!だが、後は任せろ!」


研修生達「「「西提督さん!」」」


更にその二人を庇う様に前へ出た西提督さんの筋肉が唸った拳が彼女の顔面を襲った


西提督「ふぬっ!」ドゴッ


駆逐棲姫「フフフ?ナニシテルノ?」


が、効果はなかった・・・


西提督「ぐっ!やはり無理か・・お前達は隠れていろ!」


金髪「でもそれじゃあ!西提督さんは!」


西提督「任せろと言っただろ!隠れたら無線で応援を呼んでくれ!」ガシッ


金髪「無線?無線何処だ!」


黒髪「え!分からないよ!」


西提督「俺の頭突きを受けてみろ!!」ゴンッ!


駆逐棲姫「?」


西提督「うぐっ!俺の頭の固さは妙高も認めているぞ!おらっ!」ゴンッ!


駆逐棲姫「??」


西提督「ぐっ!やるな!だが!これはどうだ!」ゴンッ!


駆逐棲姫「???」


西提督「ぐぁ!し、しつこいぞ!俺は!三連打!!」ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!!


駆逐棲姫「オマエ・・ツマラナイ」


西提督「うぅ・・頭が痛い・・・固過ぎだろ」


駆逐棲姫「オマエカラ・・シネ!」


西提督「くっ・・目が霞んで」 ふらふら


提督「やめろぉおおお!」ズザァアア!


西提督さんの前へと滑り込み咄嗟に軍刀に手をかけた瞬間


軍刀「」ピカッ!


提督「へ?」


バシュッ!!


軍刀が射出された吹っ飛ばない様に手を離さずその勢いを利用して横へ振ったと言うより


勢いが強過ぎて持ってるだけが限界だったので後は勝手になったグキリと変な音を立てて


ズシャっと音を立て彼女に当たった


駆逐棲姫「イタイ・・イタイ!!」


提督「ぎゃぁああ!腕がぁああ!」


彼女は船から飛び降りた


駆逐棲姫「ユルサナイ・・アイツユルサナイ!」


金髪「逃げてくれないのかよ!」


メガネ「・・・・乗られなければ平気逃げる!」


黒髪「そうよ!あいつ主砲とかは持ってなさそうだし」


金髪「早く無線を探さないと!」


黒髪「もう何処なの!」


メガネ「しっ、何か聞こえる」


無線『イ級のむ群が接近中!そちらが何もなければ応援に向かおうと思いますと言うか向かってます!レーダーを見る感じではそちらは大丈夫そうですね』


金髪「え!ちょっと!まっー」


彼女はレーダーに反応してないって事なのか!


駆逐棲姫「クラエ・・・」機銃


メガネ「伏せろ!!」ドン


金髪「うわっ!」ゴスッ


黒髪「ぐぇ!」バタッ


金髪「すまん!黒髪!」


ドドドドドドドド


西提督船「」中破


無線『西提督さん?』ズザァアア


金髪「あった!」


メガネ「・・・無線が海に落ちそうだ」


金髪「誰か取ってくれ!」


黒髪「うぅ・・お腹が・・溝に・・入った・・」ピクピク


西提督「お、俺は大丈夫だぞ!まだ・・まだ行ける!(混乱)」くらくら


無線『はい、分かりました』ズザァアア


提督「ああああ!腕がぁあああ!」グルグル


無線『では、何もない様なので交信を終了します。西提督さん達はそのまま迂回して西鎮守府へ戻ってください。交信終ー』


チャポン


金髪「落ちた!」


黒髪「金髪・・覚えてろよ・・」


メガネ「っ!」


駆逐棲姫「シズメ・・・・」主砲


金髪「今度は主砲かよ!こいつ戦いの中で進化してやがる!」


あんなの当たったら一発で轟沈だ


駆逐棲姫「シズメェエエ!」ドンッ!


金髪「うわぁああ!来るなぁあ!」


メガネ「動いてくれ!」グイッ


西提督船「」ブロォオオオオン!


バシャーーン


船を動かしたお陰で攻撃を回避出来た


金髪「うわっ!っとっと」


メガネ「このまま逃げるぞ」


金髪「あぁ!」


駆逐棲姫「ニガサナイ・・・っ!」ドンッ!


西提督船「」大破


提督、西提督「「ひゃぁああ!」」


メガネ「しまっ!」


黒髪「あ〜海に落ちる〜」スルーー


金髪「おっと!メガネ、黒髪は大丈夫だ行けぇえええ!」ガシッ


メガネ「っ!!」ブロォオオオオオオン!!


駆逐棲姫「・・・・・・」


走り出してから結構な時間が経ったと思う


正直どれくらい経ったか分からない常に周りに警戒していたから時間を見る暇はなかった


姿が見えない事を確認して一先ず危機は去ったと思い船を止めたと言うよりガスンと音を立てて止まった


それと同時に緊張の糸が切れた


金髪、メガネ「「はぁ〜〜」」グテ〜


疲れがどっと来た。多分一週間分は動いたくらいに


金髪「ふぅ・・危なかった・・それにしてもよく運転なんて出来たな」


メガネ「・・・・・運転を見ていた」


金髪「そうだったのか俺は海ばかり見ていたから全くだった・・メガネに救われたな」


メガネ「・・・・・・」


金髪「ありがとよメガネかっこよかったぜ」スッ


メガネ「・・・・金髪もな」パチン


二人でハイタッチを交わしたのであった


黒髪「少し楽になって来たかも・・」お腹押さえ


西提督「うぅ・・気分が悪いが立てそうだ」頭押さえ


提督「右腕が動かない・・・多分外れた」右腕押さえ


金髪「とりあえずはみんな無事で良かった・・」


しかし安心したのもつかの間だった


人は無事だったが・・・


西提督船「」大破


船は轟沈寸前だった


軍医見習い黒髪


金髪「船は動かないし無線を落として連絡も取れないから救援もなし・・」


メガネ「・・・・どうしよう」


金髪、メガネ「「はぁ・・・・」」


西提督「そう悲観するな。みんな無事で済んだんだ喜ぶべきだ。それに二人のおかげで助かったんだ」


西提督「改めて礼を言うありがとう」


金髪「西提督さん・・そんな俺はなにもメガネのおかげですよ」


メガネ「・・・・いえ、西提督さんや提督さんが身を削って敵と戦ってくれたおかげです」


西提督「俺達は当たり前の事をしただけだ礼などいらない。それにあの場で敵から逃げる事が出来たのはお前達のおかげだ俺には無理だっただろう」


西提督「正式に海軍になったら上をどんなに守ろうがお礼なんて言われない。それが当たり前だからな・・だから今のうちに礼は受け取っておけ」


金髪「西提督さん・・はい!」


メガネ「・・・・確かに受け取りました」


黒髪「じゃあ、私からも二人共ありがとね。金髪は後で殴りますけど」包帯巻き巻き


西提督「ふっ・・怖いな」


金髪「黒髪・・勘弁してくれ」ガグブルガグブル


黒髪「ふふ・・痛かったな〜お腹」


金髪「ご、ごめんよ・・わざとじゃなくてだな悪かったと思ってる」


黒髪「わざとじゃないなら良いんだ・・痛かったな・・」お腹サスサス


金髪「うぅ、あ、俺ちょっと船のエンジン見て来るよもしかしたら動かせるかも!メガネ行くぞ」ダッ


メガネ「・・・・・・」コクリ


黒髪「逃げた・・ふふ、冗談なのに」


西提督「仲が良いな。良い事だ。それとも付き合ってるのか?なら気にせずいちゃいちゃして良いぞ」


黒髪「絶対にないですから!あり得ません!」


西提督「うむ、そうか・・付き合ってると思ったんだがな・・」


黒髪「万に一つないです。金髪やメガネはそう言うのではなくて仲間ですから・・そう言う意味ではそこらのカップルより信頼してます」


西提督「よく分からんが提督は違うのか?仲間だと思ってやってないのか?」


黒髪「え、いや、そう言うわけではないですけど・・その、なんと言うか先輩は・・」


西提督「ほう・・・・」


黒髪「その、尊敬出来る先輩ではあるんですよ!大事な仲間だって思いますけど・・それだけじゃない様な・・なんなんでしょうか?」


西提督「成る程な分かった」


黒髪「え、なんですか何が成る程なんですか」


西提督「いや、なんでもない提督は良い部下達に恵まれたと思ってな」


西提督(如月の言っていた事も案外合っているのかもしれないな)


黒髪「え?まぁ、私ほど良い部下はいませんからね感謝してもらわないとですね」


西提督「そうだな(部下達と言ったんだが聞こえてなかったか?それとも・・)」


西提督「黒髪、色々と頑張れよ。あいつは一筋縄ではいかんぞ」


黒髪「色々?あいつ?何のことですか?」


西提督「いつか分かるだろう。その時どうするか楽しみにしてるぞ」


黒髪「ん〜・・よく分かりませんが頑張ります」


西提督「はは、正直だな!お前達は退屈しないな」


西提督(やはり此奴らは守る価値がある。俺の命を懸けてもな)


黒髪「よし、応急処置終わりました。すみません此処にある物ではこれぐらいしか出来ませんが」


西提督「充分だありがとう。次は提督を頼む一番重症だと思うが」


黒髪「と言っても先輩は・・」


提督「もういきなりあんな事しないでくれよ相棒・・」軍刀


黒髪「先輩!良い加減に見せてくれませんか!」


提督「ん?いや、俺は大丈夫だから!はは・・いてて・・」右腕ぷら〜ん


黒髪「ああやって嫌がって触らせてもくれないんですよ。多分肩が外れてると思うんですけど・・」


西提督「なんだと?提督それはほっておくとやばいかもしれない見せてみろ」


提督「いや・・そんなに痛くないし・・大丈夫です」


凄く痛いです・・・・だからこれ以上触られるのは勘弁


提督「帰って入渠ドッグとか入ったら治るかもしれませんし・・はは」


と冗談を言ってみたり


西提督「確かにそうだが今は帰れるかも分からない状況だ何が起きてもおかしくないんだぞ?その時お前は動けるのか?」


黒髪「そうです!確かに入渠すれば治るでしょうけどそのままにして最悪船が沈んだ時泳げるんですか?」


提督「え?・・うん、そうですよね」


入渠ドッグは人が入れるわけないだろとかのツッコミはなしですか・・


まぁ、何故か俺は平気だけども・・


知ってたのかな?それとも遠まわしに禿げろって言われてる?


西提督「提督よ見せろ」


提督「うぅ・・・・」


西提督「見せるんだ・・良いな?」


提督「で、でも・・・・」


西提督「提督よ・・分かったお前の為に無理矢理にでも!」


提督「ひぃ!」


黒髪「待ってください西提督さん」


西提督「なんだ止めるなよ?このままだと腕が使いものにならなくなるかもしれない」


黒髪「分かってます。ですが此処は私に任せてくれませんか?」


西提督「分かったやってみろ」


黒髪「はい、任せてください」


黒髪「先輩ちょっと見せてくれませんか?」


黒髪は凄く優しい声で囁いた


此処まで心配させて情けないな俺は・・


優しくされると惚れるぞ?


でも、凄く痛いし研修生である黒髪にどうにかなるとは思えない


下手をすれば悪化しそうな気がする


最悪今の状態なら動ける(多分)これ以上悪くなる事は避けたい


折れてるわけじゃないからどうにかなると思う・・


決して痛いのが嫌だとか怖いとかではない!


提督「本当に大丈夫だから」


黒髪「先輩・・私が信用出来ませんか?」


提督「っ!」


黒髪「確かに私は研修生ですけど・・これでも親が軍医だったんですよ?それに私も医療の勉強をしてますから・・」


提督「そ、そうだったのか?」


黒髪「心配なんです・・先輩の力になりたいんです!今やっと勉強してきた事が役に立てそうだって・・思えたんです。いえ、確信を持って言えます!この時の為に私は勉強して来たんです!」


提督「黒髪・・そこまで俺の事を」


黒髪「先輩・・私の事信用してくれますか?」


提督「・・ずるいよ黒髪そんな事言われたら」


黒髪「そうですよね・・私なんか信用出来ませんよね・・」


提督「違う!俺は黒髪を信用してる!分かったよ覚悟を決めるよ見てくれるか?黒髪」


黒髪「良いの?私で」


提督「君じゃなぎゃダメなんだよ」


黒髪「っ!・・そ、そう、なら見せてもらいますね」


そう言って黒髪は優しく俺の腕を触った


痛くしないように細心の注意を払いながら触ってくれているのが分かった


その隣で気難しそうに見ている西提督さん


なんか怖いな


黒髪(外れてるだけかな?・・これなら私でも・・出来るかな?ううん、やってやるんだから)


提督「もう良いかな?外れてるだけだから大丈夫だと思うけど」


西提督「うむ、その様だが・・そのままにはしておけないが生憎俺は戻し方を知らない」


提督「大丈夫ですって」


西提督「と言ってもだな・・何かはしないと固定でもしておくか・・いやだが・・」


黒髪「よし頑張れ私、あ、先輩謝る事があります聞いてください」腕に寄りかかり


黒髪(確か・・こうやって腕を持って)ガシッ


西提督「お?」


提督「ん?」


黒髪「私の親が軍医って言いましたよね?軍医は軍医でもメンタル関係でした言わば精神科ですね」


提督「へ?どう言う事?そしてその腕を掴んでる手は一体・・まさか!」


黒髪「そして私・・医療関係の勉強をしていると言っても歯科医学です!しかも歯石取るくらいなら楽勝です!」


提督「な!ダメじゃないか!手を離せ!」


西提督「お、お!お!!」


黒髪「でも!外れた腕を元に戻す方法はずっと前に本で見ま!」 グイッ


提督「や、やめ!」


黒髪「した!!」グキッ


提督「ーーーーーーーっ!!」


変な感覚から激痛が提督を襲った


その痛みは不知火に腕を折られた程ではないがそれに近い程だった


黒髪「から安心してくださいね。はい、お終い♪」


西提督「上手いな黒髪流石だ!」


黒髪「ありがとうございます。やっぱり本は読んでおくべきですね」


西提督「俺も読むかどんな本だ?」


黒髪「提督が如くシリーズです!私あれのファンなんです」


西提督「おお!あれか今度買っておこう」


提督「うぎゃぁあああああああ!!」ゴロゴロ


ーエンジンルームー


〈うぎゃぁああああああああ!!


〈あ、先輩!そんなに暴れると!


ジャバーーーン!


〈提督!くそ!海に落ちたぞ!


〈先輩ーーーー!救命胴衣の使い方分かりますかーー!


金髪「ん?何か聞こえないか?気の所為か?」


メガネ「・・・・素晴らしい」キラキラ


金髪や「聞いてないか・・どうだ?直りそうか?」


メガネ「成る程・・此処はこうなってるから・・此処はこうしたら」ブツブツ


金髪「おーいメガネ!」


メガネ「まさに芸術と呼んでも良い・・ん?なんだい?」


金髪「いや、直りそうなのかなって思って」


メガネ「・・ああ、そういう事か」


メガネ「・・・・妖精さん達の技術は凄い知らない部品ばかりで全く分からない」


金髪「え?でも、さっきなんか色々分かってる様な事を言って」


メガネ「・・・・勘だ。実際はどうかは分からないけど何と無く分かるレベルで触るのは危険だ」


金髪「じゃあ・・直せないのか」


メガネ「・・・無理だ」


金髪「何も分からないのか・・」


メガネ「・・・・一つだけ分かる事がある。修復不可だと言うことだ」


金髪「これってもしかして・・」


メガネ「・・・・遭難したと言うことだ」


金髪「そんな・・」


こうして提督達は海の上で遭難したのだった


何処へ行くのかそれは誰にも分からない


提督「はぁ・・はぁ・・あれ?腕が動く・・治った・・」ポタポタ


西提督「感謝しろよ黒髪に」


黒髪「えっへん!」


提督「はは・・・・」


運が良かったのかな?


腹が減っては考える事も出来ぬ!


どうにか人員の怪我は黒髪の活躍(一部強制)により事なきを得たが船の怪我はどうにもならずただ波に揺られていた


波が少し大きくなり潮の流れも速い様で船は当てもなく進んでいる


どうにか救難信号だけは生きており出してはいるが、まず相手にする者はいないだろう


だって海から船の救難信号などまずあり得ないからだ


だって態々船など出して海に出る者などいないからだ


気付いても何かしらの罠か機械の故障かと思われ相手にされない


それこそ好奇心で来てくれる人が居たなら別だがないだろう


西鎮守府の誰かが気付いてくれるのを待つしかないが基本元野良艦娘ばかりの西鎮守府はみんな機械に弱い


気付いてくれるかも分からない


気付いてくれたら良いな〜って程度で出した救難信号だった


そろそろ昼になりこんな時でもお腹が空くものでとりあえず昼を食べようと言う事になったが


西提督「むぅ・・・・」


提督「これって・・・え?」


金髪「まじかよ・・」


メガネ「・・・・・・」


黒髪「えへへ・・好きなの選んでね」


この先どうなるか不安になる俺達を少しの時間だけでも忘れさせてくれるであろう楽しみにしていた昼飯は


カップ麺だった


提督「黒髪?確か食堂で色々作ってた様に見えたんだけど?それは?」


黒髪「カップ麺ですよ。ちょっとアクシデントがありまして・・全部パァになっちゃいました。てへ」コツン


提督「・・・・まじか」


金髪「・・・・はぁ」


メガネ「・・・・・・」眼鏡にヒビ


西提督「・・・・・・」グ〜〜


提督「一応理由を聞こうかな冗談抜きで」


黒髪「っ!そ、その・・最後の方で全部落としてしまって作り直そうとはしたんですが時間がなくて・・」


黒髪「一応おにぎりだけでも作ろうと思ったんだけどイムヤさんがやってくれるって言って・・頼んだら」


提督「頼んだら?」


黒髪「床にあった潰れたゴキブリがなくなっていたんです。それでイムヤさんがおにぎりを渡して言ったんです。タンパク質豊富だよって」


メガネ「・・・・・」ブルブル


西提督「あいつ・・まだその癖治ってなかったか・・しかし、人にあげるとは成長はしたのか?」


金髪「そのおにぎりは・・・」


黒髪「イムヤさんが処分するって・・持っていきました。中身は怖くて見れませんでした」


西提督「見なくて正解だ多分入ってる」


黒髪「結局中身が本当にそれだったかもわかりませんでしたが万が一も考えて持って来ませんでした」


提督「そうだったのか・・楽しみにしてたんだが仕方ないよな」


黒髪「っ!そこまで楽しみにしててくれたのに・・私・・全部私の所為なんです!だから食堂の当番の娘達は怒らないでください!」ウルウル


黒髪「すみませんでした!罵倒でもなんでも受け入れますからどうぞ好きに!」


提督「さて、どれにしようかな?味噌かな」


金髪「俺は醤油が良いです」


メガネ「・・・・とんこつ」


西提督「この豚キムチとか言うのが美味そうだな」


黒髪「みんな何も言わないんですか・・」


提督「ん?なんでだ?折角の昼飯だぞ?そんな事言ってないで黒髪も選べよ。アクシデントがあったんなら仕方ないだろ?謝らなくて良いよ」


西提督「そうだぞ別に謝る事はないぞ?俺カップ麺好きだからな!何時もは妙高に怒られて食べられないから良い機会だ」


メガネ「・・・・とんこつがあれば文句無い」


金髪「まぁ、海の上でカップ麺食べるなんて俺達以外にない事だしこれも良い思い出になるだろ。俺達誰もした事ない初めての事やってんだから凄い事だぞ」


提督「そうそう、教科書に載るレベルだぞ?」


メガネ「・・・・偉人」


黒髪「・・・・・みんな」


西提督「黒髪、うちの娘達はなお前一人に責任を押し付けたりはしない。もし俺達が怒ると分かっていたら先に謝罪に来るだろう。でも来なかったこの意味が分かるか?」


黒髪「それって怒らないって知ってた・・って事ですか」


西提督「そうだ。なんか言ってたろ?あいつら」


黒髪「気にせずカップ麺出して何食わぬ顔してれば良いって言ってましたけど・・」


西提督「ふっ、ならそうしておけば良いんだ文句言う奴には食わせなくて良い無論そんな奴はいないがな」


西提督「今回は誰も悪くないそれで良いだろ?難しく考えるのは苦手だからな」


黒髪「西提督さん・・はい!」


提督「ほら、泣きそうな顔してないで選べよ。もう味噌と塩しかないけど、ちなみに俺は塩があまり好きではない」


黒髪「味噌でお願いします!」


提督「ねぇ!聞いてた!」


金髪「大将俺のと交換しますよ」


メガネ「・・・・塩もまた美味」


提督「いや、良いよ塩にする。何処かの後輩が味噌取ったし・・」


金髪「なんて後輩だ」


メガネ「・・・・鬼」


黒髪「なんか私悪者になってない!好きに選んで良いって言ったじゃないですか!」


提督「え?言ったっけ?幻聴じゃないか?もうしっかりしてくださいよ黒髪お婆ちゃん」


黒髪「へぇ・・そんな事言うんだ。先輩!もう一回肩外して戻してあげます!」ダッ


提督「ちょっ!それは勘弁!」ダッ


金髪「お湯は?」


メガネ「・・・・さぁ?」


黒髪「捕まえましたよ先輩!」ギュッー


提督「いたた!そこはダメ!そこは曲がらないから!いや!だめ!あああああああ!!」


金髪「ないとかじゃないよね?」


メガネ「・・・・・それも運命」


金髪「最悪・・バリバリ食うか?ラーメンにバリカタって言うのもあるし」


メガネ「・・・・それもまた・・それは無理だ。何故ならボリボリだからだ」


金髪「そう言えばそうだなボリボリだな」


西提督「お湯出来たぞ」


金髪「良かったボリボリはなかった」


メガネ「・・・・歓喜」


提督「」チーーン


黒髪「じゃあ、塩もらいますね〜♪仕方ないので先輩には味噌あげます」


西提督「ふっ、本当に退屈しないなお前達は・・ははは!」


西提督「そろそろ覚悟を決めるか・・どんな手を使ってでもお前達を・・」


昼食は少しの時間だったけど今の状況を忘れる事が出来た


でも、それも終わりだ。次もまたこうやってみんなで笑って食事をする為にこの状況をどうにかしないと


救援はもう期待出来ない船もやばい


このどうする事も出来ない状況を前に西提督さんが言った


西提督「最終手段だ!この船を破壊する!」


研修生達「「「ええええ!!」」」


これに作戦名を付けるなら《気まぐれな不死鳥作戦》と言っておこう


気まぐれな不死鳥は現れてくれるのだろうか


気まぐれな不死鳥作戦


不死鳥を知ってるだろうか?そう、名前の通り鳥だ


海外ではフェニックスと呼ばれている


この鳥なんと寿命が尽きると自ら焼き鳥になりまた復活するのだ。そうやって永遠に生き続ける鳥だ


どんな感じか簡単に言うと自殺願望を持ち実行する危ないデカイ鳥だ


今回の西提督船も不死鳥もといフェニックスになってもらう


一度轟沈させて復活させると言うのが今回の作戦だ


え?馬鹿なの?頭逝ったの?船は船だからな?と思った貴方その通り


でも、別に頭は逝っていない


この船にはあるものを積んでいるそれが重要だ


そう、女神だ


艦娘に持たせておくと轟沈してしまった時に女神が助けてくれると言う危ない宗教とかが売ってそうなくらいの辛気臭さがある御守りだ


それの下が要員なんだから更に怪しさが増す


でも、実際本当に助けてくれるらしいが見た事がないのでなんとも言えない


そして今回の作戦名《気まぐれな不死鳥作戦》


その気まぐれと言うのが、艦娘以外でも発動するのかと言う意味を込めて付けた


気まぐれでも良いから出てきてくれと言う意味もある


もし、破壊して轟沈させても女神が現れなければ俺達は海のもずくになる


でも、これしかもう手はない


みんな最初は不安そうにしていたが覚悟を決めてくれた


研修生達には辛い覚悟だけど一人でも嫌がるなら反対するつもりだったがそうはならなかった


強いよお前達は


作戦概要は


まず、西提督さん以外全員海へ飛び込み船から離れる


この時必ず妖精さん製の救命胴衣の準備を忘れない事


妖精さん製と言っても普通のより頑丈だと言うくらいだ


そして何故かある自爆スイッチを西提督さんが押す


西提督さんも飛び込んで離れる


爆発する


女神出現


助けてもらう


帰る


上手くいけばこうなる


正直不安しかない


でも、やるしかない。何もしないで死ぬより何かして死ぬ方が良い


そして決められた作戦開始時間が近付いて来た


提督「そろそろ時間だ」


黒髪「大丈夫・・絶対大丈夫・・大丈夫」


金髪「・・・・・・・」瞑想中


メガネ「・・・・空が青い」


空気が重い・・当たり前だ死ぬかもしれない作戦なんだ


これが普通だ


西提督「みんな・・済まないこんな事になってしまって」


西提督「こんな選択しか選べない俺を責めてくれ憎んでくれ」


黒髪「憎めませんよ・・絶対に」


金髪「そう言うのは無しで行きましょう。もうみんな覚悟してるんです」


メガネ「・・・・・一蓮托生」


提督「俺ならきっと色々考えてそれでも選べません最良だと分かっていても・・西提督さんは最良の選択をしたんです誰も責めません」


西提督「お前達・・・・」


提督「仲間なら友なら遠慮は無しです!やりましょう!」


研修生達「「「西提督さん」」」


西提督「っ!これから作戦を開始する!」


そう言うと一升瓶の酒を取り出し口に含み


西提督「ぶっーーー!」


手に持っている女神の御守りに吹きつけた


西提督「気合い入れてやった!これで絶対に出てくる!」


酔って出てこないとかないよね?と思ったが口には出さない


提督「よし!飛び込め!潮の流れが少し早い流されない様に気を付けろよ!」


俺達は海へ飛び込み離れた


軍刀は濡らさない様に頭に括り付けている何時もより軽いのはきっと彼女なりの配慮なのだろう


少しして西提督さんが海へ飛び込んだ


自爆スイッチは作動した様だ一分で爆発する


女神はちゃんと船に置いて来た


西提督「おお!浮いたぞ!救命胴衣は凄いな」


提督「西提督さん!早くこっちへ!」


黒髪「早く早く!」


西提督「おお、そうだった」バシャバシャ


西提督「あれ?進まない?」バシャバシャ


西提督「うむ・・泳ぎとは難しいな」


提督「ちょっ!西提督さん早く!」


金髪「おいおい!後三十秒!」


提督「くそ!」バシャバシャ


メガネ「っ!待て!もう時間が!」


提督「このままに出来るか!」バシャバシャ


黒髪「先輩!」


金髪「ダメだ!行くな!」ガシッ


黒髪「離して!先輩が西提督さんが!」


金髪「ダメなんだ・・耐えてくれ」


黒髪「いや、いやぁああ!」


提督「西提督さん!」


西提督「っ!来るな!もう時間が俺の事は良い引き返せ!」


提督「出来ません!」


西提督「このまま二人して死ねばあいつらはどうするんだ!馬鹿者!」


提督「俺は死ぬ気はないです!」シャキン


自分の救命胴衣の空気を抜いて軍刀を抜き西提督さんの救命胴衣を斬った


西提督「っ!」


提督「沈みますよ!大きく息を吸って!」ガシッ


西提督「うわっあぷっ!」ブクブク


とにかく西提督さんを掴んで下へ泳いだ


西提督「っーーー!!」


提督「っ・・・・」


西提督さんは抵抗しなかった苦しい筈なのに怖い筈なのに俺に全てを委ねていた


やがて大きな爆発音と衝撃が襲った


提督「っ!」


西提督「っ!」


意識が持っていかれそうになるがどうにか耐えて西提督さんを掴んだ手を離さない事だけを考えた


でも息が限界だった


やばい救命胴衣に空気を入れられない


西提督さんを置いて行けばどうにかギリギリ海面には出られるだろう


だけど、そんな選択肢はない


最後まで足掻いてやる!


黒髪「っーーー!!」


黒髪が見えた。必死にこっちへと向かって来ていた


その姿は天使にも見えた


いや、天使に見えるなんて黒髪に失礼だなと何と無く思った


黒髪「っ!」ガシッ


黒髪「ーーーっ////」


チュッ


提督「んむっーーーー」


キスされた。正確に言うと人工呼吸だ


薄れかけた意識が回復する


西提督さんを見ると


西提督「っーーー!////」フルフル


メガネ「っ!!」ガシッ


チュッ


西提督「っ!!!!」


メガネ「・・・・・」眼鏡バリーーン


メガネが西提督さんに人工呼吸をしていた


メガネ・・・・


金髪「ふぅーーー!」


金髪が救命胴衣に空気を入れている


でも、足りない


提督「ふぅーーー!」


肺の空気を全て出す勢いで出したいけどギリギリの一歩手前までにした


まだ足りない


西提督「ふぅーーーーーー!」


救命胴衣が破裂しそうなくらいに膨らんだ


西提督さんはまだ酸素には余裕があった様だ流石西提督さん


黒髪が来てくれなかったら西提督さんにされていたのかと思うと・・


メガネ「・・・・・」


これってメガネは人工呼吸必要なかったと思うがそこは見なかった事にしよう


救命胴衣の浮力で上へと上がり始めた


西提督「っ!」ガシッ


メガネ「・・・・・」ガシッ


金髪「ーーっ!」


西提督さんはメガネを掴んだ


メガネは金髪を掴んだ


提督「ーーーっ」ギュッ


黒髪「うぅーーっ!」


黒髪め限界まで吹き込みやがって・・自分の事は二の次かよ


絶対に助けてやる!離すものか!


西提督「ーーーーーっ」コクリ


提督「ーーーーっ」コクリ


俺は西提督さんを掴んだ手を強く握り


黒髪を抱える


もう限界は超えてる・・でも、それでも此処で離すわけにはいかない


みんな俺を信じて全てを預けてくれんたんだ!


ただ!上を向いて進んだ


この手にみんなの命が掛かってんだ!大切なみんなの!


誰一人欠けずに絶対に!


提督(絶対に!みんなで帰るんだ!)


ドクン!


提督(諦めてたまるかぁああ!)赤眼


提督「っ!」


殺気?









女神「ふぅ・・・・」


西提督船「」キラキラ


女神「ん〜〜」キョロキョロ


女神「誰もいない?逃げた?」


女神「ふ〜ん、逃げちゃったか・・ちっ!」


女神「まぁ良いや仕事はしたし次があればその時にでも・・ふふ」


女神「それにしてもなんか酒臭い・・まぁ良いや」クンクン


女神は消えた。次の仕事場所へと向かったのだ


残ったのは誰も乗っていない西提督船だけだった


さっきまで大きかった波は小さくなり静かに船が揺られている


そこから声が聞こえる事はなかった


互いの譲れない思い


何時の場所に立っている


夢の世界だ


そして目の前には、ぽいぽいさんがいる


なんかこれにも慣れて来たような気がする


提督『よっ!』


夕立『バカ・・・』


提督『いきなり酷いな・・』


夕立『提督・・あんた本当にバカ!』


夕立『女神なんか使って死にたいの!』


提督『え?死ぬ?女神は助けてくれるんだろ?そんなのも知らないのか?今時小学生でも知ってるぞ?』


最近まで女神の事を知らなかった俺が言ってみる


夕立『小学生以下に言われたくない!』


提督『小学生以下はないだろ!』


夕立『もう!少しは自分の事を知りなさい!いい加減知らないじゃ済まない事もあるの!大体何時も提督はー』


ぐちぐちと姑の様に色々と言ってくる


それがまた的確過ぎて言い返せず


知り過ぎてて怖い気はするが


だが、それよりも今はいい加減にぽいぽいさんの名前を教えてもらおう


なんかこれからも長い付き合いになりそうだし


なんとなくそう感じた


ただ、もう一人誰か居たような気がするが気の所為だろうと自分を納得させた


なんか今無性に甘いものが食べたい


黄身しぐれが食べたい


夕立『ちょっと!聞いてる?』


提督『黄身しぐれってどうやって作るんだっけ?』


夕立『・・・・・・は?』


提督『あ、いやいや、忘れてくれそれより君の事を』


夕立『君って!・・夕立!名前くらい覚えてなさいよ!時雨は覚えてる癖に!』


提督『覚えてるもなにも初めて聞いたよ!黄身しぐれだって作り方知らないからな!それに今日はぽいぽい言わないのか?』


せっかく考えたあだ名ぽいぽいさんが無駄になってしまう


夕立『このアホが!なら!』


提督『な、なんだ?』


夕立『ぽいっ!』腹パン


提督『ごはっ!うぅ・・何を』


夕立『これで良い?少し黙って聞く!知ってるんだからね提督はこうしたら大人しくなるって』


提督『なるわけねぇだろ!下手したら吐くぞ!』


野太い声と異臭を提供するぞ!


夕立『よく聞いて二度と女神なんて使わないで女神も妖精の上位種っぽい。戦う力を持たない妖精さんなら提督を怖がるだけ。でも、女神は違う・・戦う力を持ってる夕立達じゃ勝てない絶対的力を』


提督『えっと・・よく聞いたけど意味がちょっと・・』


夕立『妖精さんから嫌われてるの!反吐を吐くくらい』


提督『っ!・・そうか、俺は嫌われてるのか・・妖精さん達に・・でも、反吐を吐くくらいってのがどのくらいなのかイマイチで』


その時が偶々具合が悪い時とかもしれないし・・それだったらそんなに嫌われてはー


夕立『例えるなら提督と元帥みたいなものっぽい』


提督『あ、視界に入れたくないし同じ空気も吸いたくないし隙があれば髪の毛を引きちぎるて事か分かりやすい例えだよ』


夕立『ちょっとおかしいけど大体そう、だから使わないで絶対に・・絶対に仲良くなれない存在だから』


提督『そうか・・納得したよ。だから鳳翔さんも艦載機が飛ばせなかったんだ』


俺の所為で鳳翔さんは・・だったらやはりおんぼろ鎮守府に居るべきでは・・いや、鳳翔さんを信じよう


俺を選んでくれた鳳翔さんを


夕立『あと、もう疲れた・・当分休ませてもらうっぽい・・だから絶対に死なないで無茶をしないで』


夕立『もう、この身体は提督だけのものじゃないから』


提督『分かってるよ。俺がいなくなればおんぼろ鎮守府の仲間達のこれからに関わるって事くらいには』


夕立『何も分かってないっぽい!文字通り貴方だけの身体じゃないの!一心同体っぽい!』


提督『え?それってどう言うー』


夕立『ふぁ〜、眠い〜お休みっぽい』


提督『なぁ!夕立教えてくれ俺はなんなんだ!俺に何が起こっているだよ!』


夕立『煩い!アホが考えるなっぽい!』


提督『あのな!俺は本気で』


夕立『大丈夫・・夕立達はどんな事があっても提督の味方だから』


それは今まで聞いた事ない程の優しい声だった


何も言えなくなった


提督『・・・・・・・』


俺は夕立へと無意識に手をー


瞬間視界が変わった


「今助けるからな!友よ!」


提督「へ?」


西提督「っ!」顔近づき


提督「あ!ちょっ!」


ブチューーー


提督「っ!!」


西提督「んむっ・・・・」人工呼吸中


それはそれは力強く先程とは程遠い男のキスだった


でも、上手かった・・


西提督「ふぅーーー!」


提督「んむぅうう!!」ジタバタジタバタ


黒髪「っ!先輩が目を開けました!」


金髪「大将がキスで目を覚ました!」


メガネ「・・・・・仲間」


西提督「おお!良かった無事だったか」


提督「うぇええ・・ゲホッゴホッ・・うぇ!」


最悪の目覚めとはこの事を言うのだろう


西提督「よし、水は吐けたようだなこれで大丈夫だ」


提督「気持ち悪い・・・」


主に口周りが


黒髪「先輩!心配したんだから!」ギュッ


提督「黒髪・・ごめんな。あの時助けてくれてありがと黒髪がいなかったら俺は此処にはいなかったよ」


黒髪「えっと、あの時って・・////」


提督「あ、ごめん・・デリカシーなかったな////」


黒髪「ううん、先輩がいなくなると思ったら勝手に動いてた・・自分の事なんて何も考えてなかった」


黒髪「私・・初めてだったから」


提督「黒髪・・・・」


黒髪「先輩・・・・」


西提督「すまんがいちゃいちゃするのは後にしてくれ」


提督「あ、すみませんそんなつもりはなかったんですが」


黒髪「そ、そうです。べ、別にいちゃいちゃなんて・・ご、ごめんなさい」


西提督「すまんな水を差してしまって、しかし今はそうは言ってられないんだ。提督話しがある」


提督「話し?」


黒髪「・・・・・・」チラッ


金髪「・・・・・・」コクン


メガネ「・・・・・・」眼鏡装着


金髪「おいメガネ、黒髪が女の顔してたぞ」こそこそ


メガネ「・・・・凄くレア」


黒髪「な、なんですって!そこ聞こえてるから!」ダッ


金髪「逃げろ!恋する乙女が怒ったぞ!」ダッ


メガネ「・・・・やはり鬼、いや、乙女!」ダッ


黒髪「まじでそれは冗談じゃ済まないから!べ、別に恋なんかしてないから!」


提督「あ、おい!みんな」


西提督「気を使わせたか・・すまん」


提督「え?」


西提督「提督・・いや、友よ」


提督「な、なんですか改まって」


友と言う言葉とは裏腹に空気が重くなる


身体が少し震えた


西提督「起きたばかりですまないとは思う・・だが、一発だけ許して欲しい。歯を食いしばれ!」ドゴッ


提督「ぐぁっ!」


いきなり殴られた。いや、言ってから殴ったからいきなりではないか


西提督「馬鹿者が!何故無茶な真似をした!何故見捨てなかった!」


提督「ぐっ・・」


無茶な真似をしたのを怒られるのは分かる・・殴られる事も覚悟していた


でも、見捨てなかった?何を言ってるんだ?


西提督「俺は怒っている!何故か分かるか?」


提督「分かりません・・分かりたくありません!」


認めたくなかった。見捨てなかったから怒っていると言う事実を


西提督「何の為に俺が船に残ったと思ってる!最悪自爆スイッチが作動しなければ手動で爆破する為もあったが何か不測の事態が起きてもお前達だけでも生きて欲しかったからだ!」


西提督「なのに俺の失態でお前は何をやっているんだ!司令官としての自覚はあるのか!」


提督「なんだよそれ・・」


思った事より更に酷い


最初から何かあれば一番に死ぬ気だったのかよ


西提督「俺が死んでもお前ならどうにかしてくれると信じてたんだ」


ふざんなよ・・


西提督「お前達が生き残れるなら俺は命など惜しくはなー」


ブチッ


提督「ふざけんなコラァあ!」ドゴッ


本気で顔面を殴った。西提督さんにはダメージなどほぼないだろうが


それでも殴らずにはいられなかった


西提督「ぐぁ!提督!貴様!」


提督「何が死んでも良いだ!何が俺ならどうにか出来るだ!ふざけた事を言うのも大概にしろ!」


西提督「ふざけてなどいない!俺は本当に心からそう思って言ってるんだよ!」


提督「そんな事思われても迷惑なんだよ!」ドゴッ


西提督「ぐっ!迷惑だろうがなんだろうが俺は信じてる!」


提督「っ!いい加減に!」シュッ


西提督「どうやら・・一発だけでは無理か・・頑固な奴だ。俺も人の事は言えないがな」サッ


提督「っ!」スカッ


西提督「さっきの言葉は撤回させてもらう!そんなに元気なら徹底的にやらせてもらうぞ!」シュッ


殴り返された。どうやらまだ自分の言ってる事がふざけた事だと気付いてない様だ


提督「っ!」シュッ


そっちがやる気なら良いだろう・・演習の続きだ!


ドゴッ!!


お互いの拳が当たる


提督「ぐはっ!買い被ってんじゃねえぞ!」


西提督「ぐっ!買い被ってなどいない!俺はそう信じてる!何故自分を信じられない!」ゴンッ


提督「いてっ!頭が・・」クラクラ


西提督「ぐぬぬ・・怪我していたのを忘れていた」フラフラ


提督「っ!俺は!西提督さんが思っている程出来た人間じゃない!」ドゴッ


西提督「ぐわっ!」


提督「分かったか!俺はー」


西提督「ぐぬぬ!分からん!分からんぞ!分かってやるか絶対にな!」


提督「ぐっ!この石頭が!こっちだって分かってやるか!」ドゴッ


西提督「ならそれまで殴るまでだ!」ドゴッ


提督「上等だ!」ドゴッ


西提督「ぐっ・・おらっ!」ドゴッ


提督「っ、おらぁああ!」ドゴッ


殴って殴り返してが続く


お互い頭に血が上ってしまっていた


このままだとやばい


早く認めてくれ!


西提督「っ!」片膝をつく


怪我をしている所為か西提督さんは本来の半分も力を出せていない


だけどそんな事は知った事ではない


悪いがこれだけは譲れない!


提督「いい加減に認めろ!」ドンッ


西提督「ぬわっ!」


タックルからの倒れた西提督さんに乗り掛かり何度も殴った


西提督さんが俺を信じてくれた事の嬉しさはあった


けど、言われた事は今の俺には到底出来ない事で


信じて言ってくれた事を出来ない自分が悔しくて情けなくて


それを何度も何度も言われる事で怒りが溜まった


俺は自分への怒りで西提督さんを殴った


出来ないと思っている俺と出来ると信じてる西提督さん


そう思える差が俺には羨ましかったのかもしれない


提督「俺は!一人じゃ何も出来ないし!実戦経験だってそんなにないんだよ!ヒヨッコ以下で!あの時西提督さんが死んでたら・・俺は何も出来なかった・・自分を責めて・・そのまま死んでたよ」


西提督「提督・・お前・・」


提督「助かったとしても残された俺達はどうするんだよ!西鎮守府のみんなは!信じて着いて来てくれたみんなを裏切るのかよ!俺は耐えられないよ!」


西提督「俺はそれでも出来ると!」ガシッ


提督「なっ!」


馬乗りの状態から掴み上げられた


馬鹿力にも程がある


西提督「お前ならお前達なら乗り越えてくれると信じて!」


片手に俺を持ち振りかぶて


提督「うわぁああ!!」


西提督「いたんだこらぁああ!」ブンッ


やはり西提督さんには勝てない様だ・・


安心している俺と悔しいと思う俺がいた


今更言うが今俺達は何処かの島の浜にいる


お互い砂まみれになりながら殴り合って


そして最後に俺は海へと投げられた


バシャーーンと大きな水飛沫を上げて落ちた


水の冷たさと塩で染みる傷の痛みが頭に血が上った俺を落ち着かせた


西提督「はぁ・・はぁ・・もっと自分に自信を持ってくれ・・」


西提督(じゃなければお前は簡単に折れてしまう。いつまでも見守る事は出来ない・・お前は俺より長く生きてくれ)


西提督「出来る出来ないではないんだ・・やろうとするかしないかだ提督」


西提督「その時が来たらあいつらなら・・妙高達なら・・受け止めてくれる俺はそう信じてる」


目から流れる一筋の涙と口から垂れる血に気付き


西提督「っ・・・・・痛いな」バタッ


倒れた。その顔はさっきまでの怒りの顔はなく晴れ晴れとした嬉しさが全面に出た優しい顔だった


西提督「ありがとな・・嬉しかった・・凄く」


それでも助けてくれようとした提督に嬉しさがあった


提督「太陽が眩しい・・」プカ〜


提督「俺だって・・信じたいですよ・・でも、もう何も出来ず失うなんて耐えられないんです・・」


その時自分がどうなるかも分からない


冷静に動きその場をどうにかしようとするか、それとも我を失い無駄に暴れて命を散らすか


なってみないと分からない


分からないからこそ信じられない


知らない事は恐怖にもなるが知りたいと思う好奇心を持つ事もある


つまりは知らない事は負にもなれば正にもなる


でも、俺はどっちになろうともこれを一生知りたくないんだ


提督「見てるだけは嫌なんですよ・・臆病だと言われても・・」


浜に倒れる一人の男と海に浮かんでる一人の男


少しの間それを遠くから見ている研修生達


黒髪「男の子って分からないな・・」


メガネ「・・・・分からなくて良いんだ。ただ、見守るだけで」


黒髪「はぁ、救急箱もないし此処が何処かも分からないのに・・そりゃあ、先輩のあの行動は無茶でしたけど言葉だけじゃダメなんですか?」


金髪「時に言葉だけじゃ分からない事もあるんだよ男には」


メガネ「・・・・譲れない思いがぶつかればそうなる・・相手をお互いが信じてるからこそ出来るんだ」


黒髪「面倒です・・でも、知りたいとは思います」


金髪「真似するなよ?男だけの特権だからな」


メガネ「・・・・・」コクリ


黒髪「やっぱりずるいな・・」


二人の戦いを見て彼等は肉体言語と言う言葉が本当にあるのだと知ったのだった


軍刀「」地面に刺さっている


軍刀《白雪》「」隣に寄り添う様にある


二振りの軍刀は静かに二人を見つめていた


そして強く輝いた様な気がした


軍刀「(錆びそう・・)」



見捨てる覚悟、助ける弱さ


西提督「すまん、痛かっただろ?」


提督「いえ、痛かったですけどお互い様ですよ。それに少しだけ分かったかもしれません」


提督「すぐには無理かもしれませんが少しずつ自分に自信を持ってる様に生きていけたら良いなって思います」


西提督「お前ならそうなれるさ」


提督「はい、なってみせます。何十年掛けても・・だからそれまでお願いしますよ西提督さん」


提督「俺は覚えは悪いですから最後まで教えてくださいよ?」


西提督「提督・・あぁ、それまではどう足掻いても生きてやるさ」


西提督「鎮守府の仲間の為にそしてお前の為にな」


西提督「だが、もしまたこんな事があった時は司令官として動いてくれ。無茶だけはせずに目の前の命を優先してくれ」


提督「西提督さん・・なら、西提督さんもそうしてくださいよ?」


西提督「・・・・・・」


提督「場合によっては俺を見捨ててください約束ですよ」


西提督「・・・・あぁ、約束だ」


西提督さんと話し合い(肉体言語)は指きりをして終わった


お互い万が一の時は二の次と言うおかしな約束を交わした


黒髪に怒られながら休憩した後に軍刀達を回収して改めて流されて来たと思われる島を調べてみる事にした


西提督さん達も気付いたら此処に流されていたらしい


みんなが無事で本当に良かった


どのくらい経ったのかは分からないが日はまだ上っているし、だからと言って夕方でもない


まさか、丸々一日経ったわけでもなければそんなに時間は経っていない


軽くだが周りを見ても人が居そうな感じはしなかった


無人島の可能性も考えた方がいい様だ


とりあえずは島の探索から始めた浜を歩いて少しして見つけたのがなんと木で造られたイカダだった


提督「大きいですね」


西提督「まだ、途中の様だが完成間近だな」


黒髪「これが海に浮くとは思えないですけど・・」


メガネ「・・・浮くと・・思う」


金髪「俺イカダなんて初めて見たけどそんな俺でも分かる。これは凄く丁寧に造られてるな」


西提督「うむ、結び目もしっかりしてるし使っているツタも千切れにくい物を選んでいる。これが完成すればきっと浮くだろう」


提督「て事は俺達の他にも誰かいるって事ですよね?」


西提督「そうだな。そしてイカダを造ってるという事は此処にはやはり何もないのかもしれない」


金髪「無人島って事ですよね?」


西提督「うむ、この島はあまり大きくない無人島であっているだろう」


黒髪「なんで分かるんですか?」


西提督「浜の広さで大体分かるのだ。後は勘だがな」


黒髪「勘ですか・・」


メガネ「・・・・頼んで乗せてもらおう」


西提督「そうだな。もし此処が無人島ならいてもどうにもならないからな」


黒髪「でも海は危険ですよ?イカダで出るなんて」


西提督「何もない島では時期に死ぬ。それよりも海に出れば他の鎮守府の艦娘達に見つけてもらえるかもしれない。無人島では艦娘達も寄らないからなそれに賭けるしかない」


提督「また賭けですか・・」


西提督「すまない・・」


提督「西提督さん謝るのなしで」


黒髪「先輩の言う通りです。研修生に謝ってばかりだと威厳に関わると思いますし堂々としていてください」


西提督「う、うむ・・分かった」


言い負かされている時点で威厳も何もないと思うけど・・


金髪「でも、誰もいないなメガネ誰か見たか?」


メガネ「・・・・見ていない」


西提督「日が暮れてからは危険だ少し辺りを探してみるか」


こうして二手に分かれて漂流者を探す事になった


俺と西提督さんは別々になりグーパーと言う小学生の頃よくやった懐かしい方法でグループが決まった


俺と黒髪グループと西提督さんと金髪とメガネグループと言うこっちに不安の残るグループだ


西提督「良いか?辺りを調べるだけだからな?奥まで行くんじゃないぞ?危険と分かったらすぐに戻って来い分かったな」


提督、黒髪「「はい!」」


西提督「少ししたら此処に集合だ」


何処だかも分からない探索は危険だ


でも俺だって鎮守府を任された司令官なんだ


西提督さんも信じてくれているから二手に分かれると言う手を使っている


自信を持て俺!


提督「行くぞ!黒髪」


黒髪「守ってくださいね先輩」


歩き出して数分後


少女「っ!」ダッ


第一漂流者を発見した


髪はボサボサで服もボロボロ


漂流者だってのを主張している


でも、此方を見た瞬間逃げた


提督「追いかけるぞ!黒髪」ダッ


黒髪「あ、待ってください!」ダッ


浜から先へ進むとジャングルかと言うくらいの木々の生い茂る森林が広がっている


あまり奥へは行くなと西提督さんに言われているが仕方ない


提督「待ってくれ!君に話しがあるんだ!」


少女「来ないで!」


黒髪「はぁ・・はぁ・・先輩!」


そこを転けそうになりながらも目の前の少女を追いかけて走る


提督「頼むから止まってくれ!俺は君に何かするわけじゃないんだ!ちょっと頼みがあるんだよ!」


黒髪「はぁはぁはぁはぁ・・先輩〜・・うぇ・・」


黒髪が吐きそうな顔をしている頑張れ


少女「貴方達海軍関係の人間よね?そんな人の言葉が信用できるわけない!捕まえる気でしょ!」


提督「捕まえる?確かに海軍関係の人間だけど俺達は流されて此処に来たんだ。捕まえるってなんのことなんだよ!君は捕まる様な事をしたのか?」


少女「っ!う、煩い!もう軍の人達は信用出来ないのよ!来ないで!」


提督「頼む話しだけでも聞いてくれ!」


少女「嫌よ!」


黒髪「・・・・・・」真顔


黒髪が真顔で走っている。もう限界の様だ


いつ吐いてもおかしくない


提督「イカダの事で話しがあるんだよ!」


少女「っ!」ピタッ


やっと少女は足を止めた


黒髪「もう・・だめ」グテェ〜


少女「あれには触らないで」


提督「触ってはいない。実は俺達もー」


少女「嫌です。もう追って来ないで」ダッ


提督「あ、最後まで聞いてくー」


ガタッ


少女「しまっー、きゃっ!」ピューー


瞬間目の前の少女が空を飛んだ足を上にして逆さに


天使的な人で天界的な所へ帰ったのかと思ったが


すぐ上を見ると


少女「助けて!降ろして〜」ぶら〜ん


頭上二メートルくらいを逆さまに浮いていた


よく見ると片足に紐が引っ掛かっており逆さ吊り状態だった


自分で仕掛けた罠にでも掛かったのだろうか


少女「お願いちょっと降ろしてもらえませんか?」


さっき程の強気は何処へ行ったのだろうか


このままにもしておけないし助ければ少しくらい話しを聞いてもらえそうだ


でも、どうやって降ろせば良いのか?


紐がピンッとなってそれが上へと続き少女を吊るしている


一番簡単なのはそのピンッとなってる紐を切れば良いんだが少女が落ちるし


結構高い所で吊るされているから落ちたら痛いだろうな


それは最終手段だな


提督「ん〜どうすれば良いんだろ?」


少女「早く!早くしないと彼女達が来る!」


提督「彼女達?他にも仲間がいるのか?」


「誰かいるのか!」


黒髪「誰か来るよ!」


少女「っ!違います!原住民です!彼女達は余所者を嫌っています。それが人間なら尚更です問答無用で殺されます!」


少女「私は一度見逃してもらってます!次はないって・・お願い助けて!」


黒髪「こ、殺されるって!先輩逃げましょう!もう近くまで来てます!」


提督「だけど助けないと」


黒髪「そうですけどこのままみんな仲良く殺されるなんて嫌です。しかも私達の話しも聞かず逃げた人となんてもっと嫌です」


少女「っ・・・・」


提督「黒髪!そんな言い方はないだろ!」


黒髪「そうでも言わないと・・」


「こっちか?」


声が近くなって来ている


黒髪「先輩早く!この事を西提督さん達に知らせないとみんなが危険に」


少女「お願い・・助けて」


提督「だけど!」


黒髪「先輩!!これ以上幻滅させないでください!先輩なら!提督さんなら!最善の選択をしてください!」


黒髪「両方は無理なんです。私達とその人どちらを選ぶんですか?」


そんなの答えは出ている


もう悩んでる暇はないのか・・


提督「っ!逃げるぞ・・ごめん!」ダッ


黒髪「ごめんなさい!」ダッ


少女「あ!待って!お願い見捨てないで!」


提督「ぐっ!」


少女の声が聞こえる


でも、俺はそれを無視して走った


黒髪「ごめんなさい・・」ポロポロ


黒髪を悪者にする形にしてしまった本当なら俺が決めなきゃいけなかったのに


黒髪に無理をさせてしまった


最悪だ!


少女の声はまだ聞こえた。聞きたくない!でも聞こえる!その声が一文字一文字が鮮明に聞こえた


少女「北上さんを残して死ぬなんて・・お願い見捨てないで・・どうしても私はおんぼろ鎮守府へ行かないといけないんです!」


提督「っ!」


おんぼろ鎮守府だって!


逃げる足を止めて少女の元へ走った


提督「黒髪先に行け!」


黒髪「先輩!何処に!駄目です!もう間に合いません!」


提督「良いから!行け!この事を西提督さんに伝えてくれ!頼んだぞ着いて来たら怒るからな!」


黒髪「駄目です!戻って!」


提督「俺を信じろ!黒髪!必ず戻るから待っててくれ」


黒髪「っ!先輩の馬鹿!」


あぁ、本当に馬鹿だよ。悩んでないでささっと動けば良かったのに


理由がないと動けなかった


少女は確かに言ったおんぼろ鎮守府だと


何の用があるかは知らないけどお客さんを見逃すわけにはいかない


少女「なんでもしますから・・」


提督「おい!」


少女「っ!戻って来てくれたんですね!ありがとう!ありがとう!」


提督「ちょっと痛いかもしれないけど我慢しろ!」シャキン


軍刀を抜いて紐を切った


少女は重力に導かれて地面へと逆さに落ちた


少女「ひゃぁああ!」


提督「とぉ!」


このまま落ちるとやばい!受け止めー


ドシン!


少女「いたた・・強引なんですから」


提督「ふにゅ〜〜」下敷き


少女「ちょっと!何してるんですか!まさかそんな趣味が!駄目です私には北上さんがいるんですから貴方なんて眼中にもないです!」


提督「北上さんだか北風さんだか何か知らないけど無事ならさっさとどいてくれ!重いんだよ!」


少女「北上さんです!間違えるなんて失礼です!それに女性に重いなんて」


提督「俺達今こんな事してる暇ないだろうが!早く逃げないと!」


少女「分かってますよ!でも、腰が抜けちゃったんですから仕方ないでしょ!」


提督「なんだと!ふぬぬぬ!本当に重いな!全然動かねえよ!てか、このままだと俺が潰れる」


少女「はぁ・・貴方・・モテないでしょ」


提督「んな事言われなくても分かってんだよ!ふぬぬぬ!」


少女「はぁ・・・・北上さんが心配」


提督「悠長に俺の腰に座ってないで少しくらいは動こうと努力をしろ!」


少女「落ち着かないと動かないでしょ腰が抜けるってそう言う事です」


提督「それもそうなのか」


じゃあ気長に待つしかないか


提督「って!そんな時間ないから!」


少女「煩い人・・」


???「お前も結構煩いがな」


提督、少女「「っ!」」


やばい・・


???「で?何してるんだ大井」


少女→大井「て、天龍・・」


少女は大井って言う娘らしい。で、向こうの眼帯をして刀を持ってる危ないお姉さんが天龍らしい


???→天龍「二度と顔を見せるなって言ったよな?」


大井「これにはわけがありまして・・その・・」


天龍「聞いてない次会ったら斬ると言った筈だ」シャキン


大井「ひぃ!ごめんなさい!ごめんなさい!」


天龍「じゃあな!」


提督「・・・・・・っ!!」


提督「待ってくれ!」


天龍「あ?何処だ?」


提督「下だよ大井さんの下」


天龍「ほう・・お前人間か」


提督「え?当たり前だー」


大井「違います!彼は人間じゃありません!」


提督「は?いや、人間だから!」


大井「ちょっと黙ってて!」


提督「なんだよ人間否定かよ泣くぞ・・」


天龍「人間じゃないならなんだって言うんだ?まさか艦娘なんて言うんじゃないだろうな?」


大井「えっと・・ハーフ・・そう!ハーフよ!艦娘と人間のハーフです!だから人間じゃありません!」


天龍「へぇ、そうなのかそれなら納得だな・・って!なるか!艦娘は子を成さないってことぐらい知ってんだよ!」


今まででそんな事例を聞いた事がないしハーフなんているならお目にかかりたいくらいだ


何故人間だとダメなのだろうか?


天龍「あまり俺を舐めるなよ?そいつは間違いなく人間だ!」


人間肯定された嬉しい


大井「・・ごめんなさいダメでした」


提督「なんで謝るんだよ」


天龍「教えてやるよ俺達はな人間が大っ嫌いなんだよ。だから人間なら問答無用で斬るって事だ」


前言撤回


成る程人間だったら斬られるからか


大井さんは俺を助けようとしてくれたのか


でも、無理だったし・・あれ?やばくない?俺・・


でも、人間嫌いって事は彼女は


提督「もしかして君は艦娘なのか?」


天龍「そうだ。お前ら人間が見捨てた艦娘だ!お前らの言葉で言うと野良艦娘だ」


提督「野良艦娘・・」


深海棲艦を倒した時に偶にドロップ艦として生まれる


普通は連れて帰り鎮守府に所属させたり艤装を外して人間社会へと出る為に援助しなければいけないがドロップ艦がダブったり目当てのと違う場合そのまま置いて行ってしまう事がある


そうなると何処にも所属していない野良艦娘になってしまう


そうなれば燃料が尽きて沈んでしまう娘が殆どだが稀に生き延びる事がある


そうなった野良艦娘は人を恨む


目の前の彼女はそう言う事なのだろう


大井「此処は人間達に見捨てられた娘達が集まって暮らしている島なんです」


提督「彼女達の住処に土足で入ってしまったって事か・・」


でも、だったら


提督「大井さん君も艦娘なんだろ?俺達以外に海へ出ている人間なんて居そうにないからな」


大井「え?貴方・・気付いてなかったの?」


提督「ん?何が?」


大井「私は・・」


天龍「おい、もういいか?こっちも暇じゃないんでな大井を斬って人間は一度来てもらう」


大井「北上さん・・ごめんなさい」


天龍「せめて苦しまない様に一太刀で!」シャキン


提督「その一太刀待った!!」


天龍「うっせいぞ!人間!」ゴスッ


顔を蹴られた。足癖の悪い娘だな・・一部の方にはご褒美かもしれないが俺には苦痛でしかない


提督「ぐっ!人間人間って!俺には提督と言う名前があるんだよ!それよりおかしいだろうが!」


天龍「あ?なんだよ」


提督「大井さんは艦娘だろ?お前達の仲間だろ?なんで斬る必要がある」


大井「提督さん・・・」


提督「斬りたいだけなんじゃないのか?」


天龍「仲間?違うな!大井は鎮守府に所属してる軍の犬なんだよ!お前達海軍が野良艦娘を見つけた時処分するのは誰だと思う?お前ら人間か?違うよな?お前ら無能じゃ何も出来ないよな!」


提督「・・彼女達は命令で仕方なく」


天龍「それで沈んでいった仲間達が納得すると思うか?どんな理由があろうと俺達を撃った・・そんな奴ら仲間じゃない!そして此奴はその軍に所属していた。今更逃げて来たと言ってももう遅いんだよ!もう此奴は敵で俺は斬らなければいけない!」


提督「だとしても!艤装も展開出来ない状態の娘を!無抵抗な娘を斬るのかよ!どんな立場でも同じ艦娘だろ!」


天龍「無抵抗の仲間を沈めたのは彼奴らも同じだ!軍の艦娘達はよくて俺達はダメなのか?あぁ?」


提督「っ・・それは・・」


やられたから同じ事をする


やられた側からすればちゃんとした理由になる


天龍「けっ!だけど俺達はお前らの様にはならない。抵抗しないなら見逃ししてやった数日分の水と食料をやってな。どうだ?お前らは絶対にしないだろ?」


提督「・・・・・・」


大井「・・・・・・」


何も言えない・・それが正解だから・・


天龍「だが、次はないと警告した。なのに俺の前に現れた・・もう見逃す気はねえ。馬鹿だよチャンスをやったのによ」


天龍「まぁ、お前はチャンスなんてやらねぇがな!すぐに死ねると思うなよ?提督」


提督「・・・・・・」


天龍「ビビって声も出ねぇか!ははは!お前達人間にどれだけ仲間が苦しめられたか!此処で斬りたいが他にも恨みを持つ奴等がいる。そいつらの前でお前を!はははは!」


大井「・・・・・ごめんなさい提督さん・・貴方が軍の追っ手だと思って逃げてしまったんです・・逃げるのに夢中で彼女達の領域に入ってしまった」


提督「軍から追われているんですか」


大井「えぇ、この際だから言うけど南提督を襲いました。それで私達は追われていたんです」


提督「・・・・・・」


大井「怒らないの?軍に逆らったのよ?」


提督「確かにいけない事ではあるけど何かわけがあるんじゃないんですか?俺は大井さんが何もなしに人を襲うとは思えない。さっきだって俺を助けてくれようとしていたし」


それこそ誰かを助ける為とか


大井「っ・・もし、生き残る事が出来たら全て話します・・無理でしょうけど」


提督「他にも誰か」


大井「今寝ぐらにしている所に北上さんが居ます。怪我をして動けませんが・・北上さんを置いて死ぬのが心残りです・・北上さん・・」


成る程もしかしたら北上さんと言う娘を助ける為に・・


でも、大井さんと北上さんそれに南提督・・何処かで聞いた事があるような


いや、それよりも現状をどうにかしないと


でも・・・・


大井「はぁ・・北上さんごめんなさい先行く不幸をお許しください」


提督「最後まで諦めるなよ」


大井「え?」


提督「最悪俺達に何かあっても北上さんは俺の仲間が見つけだしてくれる。大丈夫悪いようにはしないから」


大井「・・信用して良いの?」


提督「みんな良い人達だよ。艦娘と人間関係なく接する事が出来る。って言ってもいきなり信じられないよな」


大井「ううん、貴方を見ていたら信じて良いような気がします・・」


提督「大井さんありがとう信じてくれて」


大井「なら・・もう此処で死んでも悔いは・・」


提督「諦めたら試合終了って有名な言葉があってだな。人生終了のホイッスルが鳴るまではまだ終わってない。俺は此処で死ぬ気はないし貴女も死なせない」


提督「もう動けそうか?」


大井「え、えぇ、もう大丈夫だけど・・彼女は速いし逃げてもすぐに追いつかれるし貴方は起き上がる時間もあるし絶対に逃げられない」


大井「どちらかが囮になるしか」


提督「まぁ、一か八かでって事で囮側になっても恨みっこなしでチャンスをどうにかつくります。合図したら逃げてください」


大井「ですが貴方は・・」


提督「分かってますよ。でも、大丈夫です俺だって男なんですからカッコつけさせてくださいよ」


大井「分かりました提督さんに任せます。カッコ良いところ見せてくださいね」


提督「あぁ、惚れるなよ?」


大井「絶対にあり得ませんから大丈夫です」


ちょっとメンタルにダメージ


天龍「はぁ、笑い過ぎて苦しいぜ・・やっと人間にこの刃が届くんだからな!」


天龍「じゃあ!そろそろ終わりだ!」シャキン


大井「っ!」


提督「その一太刀待った!!とにかく待った!!」


天龍「もう待たない!」


二度あることは三度あると言う言葉を知らないのだろうか


二度と待ったのだから三度目も待てよ


しかし、やばい何か相手の一太刀を止める言葉を考えろ!


相手は人間の俺を恨んでる


なら!


提督「良いのか!そんな勿体ない事をして!」


天龍「あ?」ピタッ


よし!食いついた!この欲しがりめ!


提督「なんで俺が海と言う危険な場所を通ってまで此処に来たか分かるか?人間の俺がだぞ?鎮守府で偉そうに指揮まがいの事をしていれば良いのにだ」


提督「なんの理由もなく此処には来ないよな?お前らの処分なら軍の艦娘達に任せれば良いんだしな」


提督「お前らの知ってる人間は傲慢で自己中で禿げてて童貞で自分の手は汚さないんだろ?なのに此処にいる、気にならないか?」


大井「そう言えば後頭部が少し・・」


提督「黙ってろ!髪の毛が人より少し細いだけだ!髪の量は変わらない!」


大井「すみません・・」


天龍「・・・・何が言いたい」


提督「禿げてはいないって事だ」


天龍「そっちじゃねえよ!お前は何故危険を冒してまで此処に来たかって話しだ」


提督「大事な人を探しに来たんだよ。こればかりは誰にも頼めない俺自身が探したかったんだ」


天龍「で?なんだよそれ」


俺は目線を上にあげて俺の上に乗っている大井さんを見る


大井「なに?」


提督「大井さんだよ」


天龍「は?」


大井「え?私?」


提督「恋人だからな」


大井「はい?」


天龍「え?虎威人?」


提督「俺と大井さんは将来を約束した男と女!もう普段はいちゃいちゃしまー」


大井「そんなわけないでしょ!私には北上さんと言う人がいてですね!」


提督「嘘は言わなくて良いんだよ?見せつけてやろうぜ?な?お、お、い」


大井「誰がこんな禿げ男なんて好きになるもんですか!」


提督「おいこら!もういっぺん言ってみろ!」


大井「禿げ!禿げ!変態童貞禿げ!」


提督「ぐはっ!言ってはいけない事を・・三回も」


大井「なんでこんな男の恋人なんかに」


提督「あぁん?素直になれよ」


大井「はぁ?いい加減そのあり得ない妄想から帰って来てくれませんか?」


天龍「お、おい、落ち着けって何がなんだか虎威人じゃなくて恋人?え?人間と艦娘が?そんな物好きがいるのか?え?嘘なの?本当なの?どっち?どっちなんだよ!」オロオロ


天龍は持っていた刀を落として頭を抱えた


提督「っ!」 キュピーン!


隙を見せたな!


そして!閃いた!手に力を込めて!


提督「舞い散る想い!届け!響け!提督流奥義二の型!」砂掴み


天龍「っ!」


提督「その目にしかと焼き付けろ!吹雪!」バサァア!


【提督流奥義二の型《吹雪》】


手に掴んだ砂を目に投げつけ相手を高確率でムスカ状態にする事が出来る奥義


その手に込められた想いを乗せた舞い散る砂は吹雪が如く相手を無情にも呑み込む


提督は言う『俺の吹雪は寒くはないが少し痛いぜ』と


弱点としては拾う動作があるのでバレる可能性があるが倒れている状態で尚且つ相手が油断している状態に出すと大抵当たるダメージはそれほどない


しかし、色んな理由から禁忌とされている危険な奥義だ


その反面最後まで油断しない事を教訓として相手に教える事の出来る相手への優しさもある


砂の状態にも左右されるギャンブル要素の高い奥義だ


しかし、この奥義の背景に見えるのは太陽照らす熱い夏の日


砂浜で一人もくもく潮干狩りをしている少女の姿だった


首に巻いたタオルで汗を拭きながらもくもくとただしゃがみ込み貝を探す


でも、この娘が誰なのかは分からない


だからこそ想いよ砂と共に届け(目に入ったら十分くらい水で洗い痛みがある場合は眼科へ行こう)


提督はそう想い砂を天龍の顔面に容赦なく投げつけた


天龍「ぐっ!目が!目がぁああ!」


ムスカ状態になった!


提督「大井今だ!走れ!」


大井「え?もしかして今のって演技?」


提督「当たり前だろうが!それより早く走れ!転けても置いて行くからな!」


大井「あ、はい!提督さんこそ転けても置いて行きーきゃっ!」ズテン


提督「すぐに転けてどうする!」


大井「いたた、足の紐が絡まって」


提督「ぐぬぬ!うぉおお!」ダッ


スパッ


提督「紐を切ったぞ!立って!そら走れ!」背中バシン


大井「いたっ!助けないんじゃなかったの!」


提督「初回はサービスなんだよ!言わせんな恥ずかしい早よ行け!」


大井「動けるなら良かった・・言われなくても行きますから!提督さんも早くね!」ダッ


提督「後ろは絶対に振り返るなとにかく走れ俺も必ず行くから!」


叫ぶように言った。きっと聞こえた筈だ


提督「・・・・・はぁ」


どうにか大井さんは逃す事が出来た


その場に座り込む


俺も逃げなきゃいけないのは分かってる


残って天龍を説得しようだなんて微塵も考えてない


俺が何を言っても無駄な事は分かっているからだ


寧ろ早くこの場から脱したいくらいだ


でも、出来ない・・・・


大井さんは腰を抜かして動けなかった


しかし、すぐに回復して動く事が出来た


戦場慣れしているからなのだろう


でも、俺は違う・・


俺は最初に天龍を見た時から・・あの冷たい目を見た瞬間から腰が抜けていた


今までで見た事もない様な冷めたあの目に震えも止まらなかった


あれは人を・・生きている者を見る目ではない


大井さんが上に乗っていたから震えはばれなかった


後は声に出ない様に平然を装って恐怖を紛らわす為にとにかく喋ったり別の事を考えたりした


黙ったらきっと恐怖に呑み込まれていたから


大井さんは震えに気付いていた


あの時一瞬だけでも動けて良かった


もう動けると勘違いしてくれたから


肩貸してもらえば良かったかな・・貸してもらえるかも分からないし追いつかれるかもしれなかったし


何よりカッコつけたかっんだよな・・


提督「俺って馬鹿だな・・」


このまま回復するまでムスカさんをやっていて欲しいけど・・


首筋に冷たい鉄の様な感触がする


刀の刃だ


天龍「ふざけた事やってくれたな・・」眼帯外し


提督「もう片方も見えるのかよ・・」


天龍「やはり人間は卑怯だ!大井には逃げられたか・・俺様から逃げようなんてな」


首筋に当てられた刃が奥へめり込む


少し切れて血が垂れる


提督「っ・・・・」


天龍「大井を呼び戻せよ。そしたら少しの間は生かしてやる」


天龍「そう遠くへは行っていないから叫べば声は届くだろうよ」


提督「・・呼び戻したらどうするつもりだ」


もう声が震えてるのが丸わかりだ


天龍「ふふ、震えてるのか?俺が怖いか?もし来たらお前は今は殺さない。大井を斬った後に別の場所に来てもらう」


要は大井さんの命で少しでも生きたいなら叫べと


天龍「軍の艦娘は人間に従順なんだろ?代わりはいくらでもあるんだろ?呼べ」


提督「・・・・・・・」


大井さんは守りたい人がいる


俺が呼んでも来ないだろう


会ったばかりの人より大事な人を選ぶのが普通だ


あの時置いて逃げたのもその為だ


大事な人達の事を優先した


でも、万が一があるかもしれない


だって軍の人間は信用出来ないとか言ってすぐに信用してくれたお人好しだ


だから俺は


首筋に当たられた刃も気にせず大きく息を吸って深呼吸をした


首が痛い・・その痛みが恐怖を和らげてくれた


提督「断る」


覚悟を決める事にする


金髪・・頼むから俺の様な馬鹿にはならないでくれよ。お前はお前の道を貫いてくれ俺の背を追うのだけはやめてくれ


もうそれは幻影になってしまうから・・


メガネ・・コンタクトは落としたら大抵見つからないし乾燥するしでよくない眼鏡を貫いてくれよ。コンタクトの背を追うのだけはやめてくれ


もうそれは落としたら使えないから・・


黒髪・・ごめん約束守れそうにないや。先輩失格だ・・医療の道へ進むのかは分からないけど歯医者の勉強してる奴が他の医療に首を突っ込むのはやめてくれ


凄く・・凄く痛かったから・・


西提督さん・・研修生達を頼みます。どうか復讐だけはしないでください。俺の事は忘れて・・いや、頭の片隅にでも置いて妙高さんと幸せになりやがれ


友として願います


如月・・電・・不知火・・まるゆ・・鳳翔さん・・間宮さん・・夕張さん・・後ついでに明石さん・・


ごめん・・


天龍「ほう・・もういっぺん言ってみろ」


更に刃がめり込む


後は引けば確実に死ぬ


でも不思議と死ぬのは怖くない


向こうでも一人じゃない気がしたから


でも、残していく人達の事を思うと涙が出た


提督「・・・・断ると言った」ポロポロ


天龍「お前・・正気か?人間なんだろ?なのになんで・・」


提督「人間にだって色々いるんだよ艦娘達だって顔は同じでもみんな違うのと同じ」


提督「艦娘との違いって結局は見た目の種類の多さってだけだろ?人間にはたくさん種類があるからダブらないだけで天龍だって天龍でまた違うんだ」


提督「天龍お前は視野が狭いんだよ」


天龍「っ!」


提督「あまり人間舐めんなよ?」


天龍「言ってくれるな・・面白いよお前・・名前覚えておいてやるよ!」


提督「あぁ、頼むよ。それだけで生きた証になるから」


天龍「なっ!」


白雪さんの様に俺も証を残せたんだな


天龍の背中に軍刀で斬り傷でも付けられれば最高なんだけど


まぁ、チャンスがあってもやらないけど


俺は満面の笑みで言った


提督「提督だ!覚えておけよ」


天龍「なんなんだよ・・なんで笑って・・お前・・怖い!お前怖いよ!狂ってる!」


天龍は焦り刀から手を離そうとした


おいおいこれでは折角の俺の生き様が残せないぞ!(混乱中)


天龍の手を掴み刀をしっかり持たせて刃を首にしっかり当てる


後は引くだけだ


提督「さぁ!引け!俺の生き様を証を受け取ってくれ!」


天龍「いや・・そんな怖いよ・・嫌だ!手を離してくれ!そんな重いのいらない!」


こっちは覚悟まで決めて来世の計画まで立てたのに何を言ってるんだ?此奴は


提督「殺すと!斬ると決めたなら!最後までやれ!それが出来ないなら!」


いつの間にか動く様になった身体を動かし天龍に向き合い間近まで顔を近づけて言う


提督「最初から言うんじゃねえよ・・なぁ・・」


低い声でゆっくりと聞き取りやすい様言った


刃を握っている所為で手から血が垂れる


汗が邪魔なので手で顔を拭いたら顔が血まみれになった


提督「なぁ・・やるの?やらないの?どっちなの?お前も刀を持つなら覚悟ぐらいしてるよな?今まで斬ってきたんだろ?なら・・やれよ」


そう、優しく問いかけた


天龍の顔が段々と歪み目が赤く腫れて


もうさっきまでの冷たい怖い目はなく


天龍「ご、ごめんなさい!本当は一度もないんです!もう許してー!うわぁああん!」ポロポロ


遂に座り込んで泣いてしまった


提督「あれ?」


それを見た瞬間


正気に戻ったと言おう。いや、元から正気だけど


自分の今までしていた事に股が冷やっとしたのだった


落とした刀を拾い泣いている彼女に向ける


天龍「ひぃ!」


提督「・・・・・・」


相手にもう戦意はない


なら、チャンスをあげよう。天龍が大井さんにしてくれた様にチャンスを


提督「俺はもう行く。追って来ないなら見逃す。だからー」


???「だからなに?」スッ


また首筋に冷たい感触が・・みんな首筋好きだな


天龍「龍田〜」ポロポロ


???→龍田「天龍ちゃんがお世話になったみたいね〜お礼しないと」


提督「はは・・いや、お礼なんてそんな」


もう、覚悟も全部ふっ飛んだんですけど・・


龍田「大人しくしてね〜うっかり切っちゃいそうだから」


もう一回覚悟を決めるのはもう無理そうだ


俺は刀を離して両手を上げて降参ポーズをした


相棒は勘弁してくれないかな?


提督「何処へでも行くから殺さないでくれ・・」


龍田「どうする?天龍ちゃん」


天龍「えっと・・」チラッ


提督「天龍・・頼む」ニコッ


今度は怖くない様に笑顔で


天龍「っ・・い・・や・・」ビクッ


龍田「天龍ちゃん?」


天龍「いや!殺したくない!斬りたくない!いやぁああ!」ダッ


天龍は泣きながら逃げて行った


トラウマを植え付けてしまった様だ


悪い事をした


だが、人とは追い詰められると何が起こるから分からない


今回は学んでくれ


臆病な野良犬を虐めていたら最後の最後で噛まれたと言う感じかな?


龍田「あら〜これはちょっと色々とお話しをしないといけないみたいね〜貴方の身体に」ツンツン


提督「痛いです・・やめてください」


そう言われつつ薙刀でツンツンされながら何処かへと連れて行かれたのだった


勿論相棒は没収された・・


首筋の血はいつの間にか止まっていた


傷の治りが早いのだけが取り柄だなと改めて思うのだった


番外編【教えて提督先生!】



提督「第一回教えて提督先生の時間だよ〜・・はぁ・・なにやってんだろ・・」


提督「どーもこんにちはこのコーナーでは、本編などで出てきた疑問に思った事をゲストに教えていくコーナーです」


提督「第一回と言っても次があるかは分かりませんが仕事なのでやります」


提督「じゃあ、今回のゲストに来てもらいます。駆逐棲姫さんどうぞ」


提督「・・・・・・・」


提督「あれ?駆逐さん?駆逐棲姫さーん!」


春雨「・・・・・・」ニコニコ


提督「返事ぐらいしてくださいよ。なんか笑顔怖いですよ?」


春雨「凄く失礼な人なんですね轟沈してみますか?」ニコニコ


提督「じょ、冗談だよ、はは、えっと春雨さんです!」パチパチ


春雨「・・・・・・」ニコニコ


提督「すみませんでした!ついカッとなって!だって休みの日にいきなり呼び出されて先生の真似事しろとか言われて・・ごめんなさいです!」


春雨「もう良いですよ・・」


提督「それじゃあ!」


春雨「許すわけないですよ?でも今回は見逃してあげます。艤装が修理に出されていて良かったですね!」ニコニコ


提督「っ・・・・」ゾクッ


つまり艤装があったら沈めていたと


もう帰りたい・・


提督「で、では気を取り直して春雨さん今回の議題を」


春雨「はい!今回はこれですVTRがあるのでどうぞ」


天龍『ふふ、これで終わりだ提督!』


知らないおじさん『ワシは・・ワシは負けんぞい!』


知らないおじさん『閃いたのじゃ!』キュピーン!


知らないおじさん『うぉおお!提督流奥義二千八百六十五の型!』


知らないおじさん『・・なんじゃったかの?』


天龍『えっと・・入れ歯クラッシャーです。春雨、撮り直しか?』台本読み


春雨『いいえ、もう面倒なのでオーケーです。お疲れ様です』


提督「・・・・・・」


春雨「今回はこのVTRを見て分かる通り提督さんが使ってる厨二病丸出しの提督流奥義とか言うヘンテコ技についてです」


提督「あの、このVTR俺じゃないよね?誰あの人」


春雨「提督さんですよ?」


提督「いやいや、俺じゃないよ!」


春雨「おかしいですね?似ている人を探したんですが二丁目の重松さん(85歳)」


提督「あんなに禿げてないし全然似てねえよ!てか、お年寄りに無理させてんじゃねえぞ!」


春雨「提督奥義ってなんですか?」


提督「あのな?せめて使うならイケメン俳優とかをだな」


春雨「提督流奥義ってなんですか?」


提督「いや、まだ話がー」


春雨「提督流奥義ってなんですか?」


提督「もう良いや・・」


春雨「提督流奥義!って言ってて恥ずかしくないですか?言ってる暇があるならさっさとやれば良いのにって思いませんか?」ニコニコ


提督「春雨さん・・俺が悪かったから許してください!」土下座


春雨「別に怒ってませんよ?疑問を言っているだけですよ。早く教えてくださいよ」ニコニコ


提督「うぅ・・」


とりあえず落ち着け


春雨さんにこれ以上流れを持っていかれないように冷静になれ俺


提督「よし、来い!」


春雨「じゃあ、まずは、提督流なんですから師範は提督さんですよね?ちゃんと認定されて師範を名乗っていますよね?」


提督「別に師範ではないし誰かに教える事でもないし流とは言ってるけど流派とも違います」


春雨「じゃあ、提督流奥義はなんですか?」


提督「一言で言うなら人生です」


春雨「提督さんのクソみたいな人生ですか?」


提督「女の子がクソとか言わない!」


提督「提督流は皆が元から持っている人生なんだ」


春雨「提督流とか付けられた皆の人生に謝ってください」


提督「走馬灯って知ってますか?」


春雨「馬鹿にしないでください。死ぬ前に今までの人生が見えるんですよ。そうやって人は自分の人生を振り返って亡くなるんです」


提督「ふっ、お子ちゃまだな」


春雨「じゃあなんですか?」イラッ


提督「走馬灯はな危機的状況になった時に脳がどうにか回避しようと記憶を辿って見せている映像なんだ」


提督「つまり脳は諦めてないって事であり死ぬ前に見えるんじゃない」


提督「脳がお前のこれまでの人生の経験を使い回避してみよろとチャンスをくれているんだ」


提督「俺の提督流奥義も同じで危機的状況や何かのきっかけで急に閃き出す奥義なんだ」


春雨「でも、奥義って言うのは何度も特訓して初めて出せる技です。閃いて出せるなんてゲームじゃないんですから」


提督「いや、特訓はしてるよ人生と言う特訓をね」


春雨「何言ってるの?そしたら皆特訓してるって意味ですよ?」


提督「あぁ、だからこそ提督流奥義は人生なんだ。俺の今までの経験がそれを可能にさせているお前なら出来るってな」


提督「人生は特訓で閃きは成長なんだよ」


提督「そこまで来たら後はちょっとの勇気と自分を信じて動くだけだ」


提督「閃いたらやってみる出来ない事は絶対に閃かないから」


春雨「要は賭けですね」


提督「そうかもしれないけど現にこれで何度も助かったんだ奥義ってのは言い過ぎかもしれないけどな」


春雨「ふ〜ん、まぁ、言い過ぎではないと思いますよ?私には無理そうですし。提督流奥義は人生ってのは分かりました。で?一の型とか言ってるのは何ですか?型なんてないですよね?」


提督「それはまぁ・・閃いた回数を残したいなと思ってで」


春雨「無駄じゃないですか?無言でやればいいのでは?」


提督「言う事で自分を奮い立たせるみたいな?あと、かっこ良いし」


春雨「厨二病ですね。眼帯はしないんですか?後、穴あき手袋」


提督「馬鹿にするな!これは人生の記録です!」


春雨「ふふ、やっぱり男の子ですね!お子ちゃまです!」


提督「そう言う春雨さんは大人ですか?ならお婆さんかな?肩でも揉んでやろうか?ははは」


春雨「・・・・・・」ブチッ


提督「ははは、あれ?春雨さん?ニコニコもしなくなったけど・・冗談だからね?ね?」


春雨「・・・・・・」


提督「あ、もう時間だよ!ほら!ほら!号令かけようか?起立!気を付け!礼!」


春雨「・・・・・・」テクテク


提督「いや、あのなんで無言で近寄って!出口は向こうですから!こっちじゃない!い、いやだ!来ないでくれ!」ドン


提督「っ!」


しまった!後ろは壁だ逃げ道がない!


春雨「・・・・・・」ドンッ!


提督「か、壁ドンだと!」


春雨「・・・・・・」ジーー


提督「ひぃいい・・」プルプル


その後一時間ずっと至近距離まで顔を近づけられての無言の壁ドンをされた


しきりに指でツンツンされ更に冷や汗が流れる


極限の緊張状態危機的状況


しかし、何も閃かなかった


提督流奥義は結局のところは最後の賭けに過ぎない


頼ってはいけない諸刃の剣


それが提督流奥義だ


ないものと思うのが正解だ


次回があるのか!それは誰にも分からないのだった


ちなみに春雨さんは帰りにパフェを奢ったら許してくれました


高いやつを五個も食べて・・ね


春雨「ご馳走様でした♪提督さん大好き」ニコニコ


提督「諭吉さん二人が・・・・野口さん一人に・・」


残った野口さんが不気味に笑っている様に見えたのは気の所為だろう


番外編【社会人適正面接(三十路達の夢)】



【朧(30歳)】


【職業(漫画家アシスタント)】


【漫画家である雲風 秋(くもかぜ あき)のアシスタントをしており、それだけではなく日々雲風 秋である同じく元艦娘の秋雲(30歳)の世話などもしている苦労人である】


【秋雲と朧は同じ時期に別々の場所で元艦娘へとなり朧は夢を諦めて途方にくれている時に偶然秋雲と出会った事から二人で漫画家への道へ進んだ。しかし、朧は絵が下手で秋雲を支えるアシスタントの道へと進んだ】


【今では忙しいながらも今の生活を気に入っている。悩みがあるとすれば出会いがないという事と白髪が増えたという事らしいが!】


【本当にそれだけかな?私の目には見えますよ!真実が】


本当誰が書いてんだ?このレポート


それに真実は書いてくれないのな


まぁ、良いや


提督「大変な人なんだな・・だけど・・雲風 秋・・秋雲・・何処かで聞いた事があるような」


なんか鼻の奥から臭い匂いがする様な?


あきつ丸「次は誰で・・っ!こいつは!」


あきつ丸(秋雲の面接の時にファブリーズを渡して来た奴だ!問答無用で陸軍行きにしたが書類を取っておくのを忘れていたであります!)


提督「う〜〜ん・・何か思い出しそうだ!」


あきつ丸(やばいであります!このまま思い出したら秋雲を合格にした事がばれてしまう!)


あきつ丸「て、提督殿!この方はもう面接は終わー」


提督「秋雲!思い出した!漫画家で凄く臭かった娘だ!」


何で忘れていたんだ


あきつ丸「ああ!思い出してしまったでありますか!」


提督「なんで合格印が付いてる!あきつ丸さん!」


確か俺は不合格にするつもりだった筈だ


あきつ丸「し、知らないであります!提督殿が付けたのであります!」


提督「本当に?」ジト〜


思い出したと言っても記憶が曖昧だから強くは言えない


あきつ丸「う、嘘は付かないであります!嘘つきの化身の海軍の奴らとは違うのです!」


一言多いんだけど・・何故煽る


押した記憶ないんだけどな・・


提督「はぁ・・なにはともあれ押してしまったものは仕方ないか・・」


まぁ、社会に不適切と言うわけでもないし良いか


提督「次が待ってるし始めよう」


あきつ丸「ほっ・・・・」


朧さんか・・あの秋雲さんのアシスタントなんだから結構苦労してんだろうな


秋雲さんの部屋の写真にゴミに埋もれてる所が写っていたし


上手く社会人をやれているかと言われれば健康的な意味で心配だけど大丈夫だろう


余程の事がない限り愚痴を聞いてやって合格にするか


てか、秋雲さん一人にするのは危険だし


せめて臭くないと良いな・・・・


提督「朧さん入って来てください」


あきつ丸「あ、やば」


シーーーーン


提督「あれ?朧さーん!入ってください!ドア開いてますよ!引いたら開きますよ!」


あきつ丸(朧は今頃外にある陸軍行きのバスの中であります)


提督「朧さーーん!朧さーーんったら!朧さーーーん!怖くないからおいでーー!」


ー陸軍行きバスー


朧「・・・・・・」


朧「はぁ・・休み取れるかな・・」


戻って執務室


提督「おかしいな・・秋雲さんが来ているなら朧さんも来てそうだと思ったんだけどな」


どうしても来れない場合は連絡も来る筈だし


いや、もう此処に書類がある時点で今日来てる娘だけの筈だから


確認作業は確か・・如月に任せている筈だから確かだ


如月『ん〜この娘はっと・・あ、居たわ。随分と顔つきも変わってるわね。ふふふ』


これが電だったら少し疑うが如月はちゃんとしてくれるからな


確認作業の時には確かに居た筈だ


て事はだ


秋雲の件では俺が押したと言っていたし


あきつ丸さんしか怪しい人がいないんだよな・・


提督「あきつ丸さん、朧さんの件なんですが」


あきつ丸「提督殿は確かに見ていたであります!不合格にしていたのです!」


提督「へぇ〜覚えてないんだけど」


あきつ丸「それは提督殿が海軍だからでありますよ。海軍は記憶力がないに等しいですからな」


あきつ丸「陸軍を見習って欲しいものだ!ははは!」


提督「・・・・・・」


あきつ丸「ははははは!愉快だ!」


提督「朧さんを何処にやったんですか?」


あきつ丸「は?」


あきつ丸「なにを言って」


提督「いやいや、もうそう言うの良いですから朧さんは何処にやったんですか?」


あきつ丸「り、陸軍を疑う気でありますか!」


提督「いや、陸軍は疑いませんしあきつ丸さんも疑ってるわけではありません」


あきつ丸「な、なら」


提督「疑いじゃなくて確信ですから・・言っておきますが後で確認は出来ますし、その時嘘だと分かれば陸軍は嘘つきだと言うことになりますが・・それでも良いですか?」


提督「今なら・・許してあげますからね?なんせ海軍は」


提督「記憶力がないですからね・・そう言う事にしてあげますからね?」ニヤリ


あきつ丸「ぐぬぬ!」


提督「さぁ!白状しろ!」


三十路を返せ!


ー陸軍行きバスー


運転手「まだ一人か・・もっと増えないかな〜ね?嬢ちゃん」


朧「そうですね・・・・てか、嬢ちゃんって呼ぶな。朧って名前がありますし、もう三十だから嬢ちゃんとか嫌味か・・」


運転手「おっと、すまねぇな朧さん陸軍へようこそだ!時間になったら丁重にお連れしますぜ」


朧「そりゃどうも・・・はぁ・・」


何でこんな事になったんだろう


秋雲が何か粗相をしていないか心配で心配で・・でも、本人は大丈夫だからって信じていたら


あんな汚い格好で来て・・匂いも半端なくて急いでファブリーズを買いに行って係りの人?に渡したら問答無用で陸軍行きになるし・・


何故か秋雲は合格になってるし


このまま私が陸軍に行ってしまうと・・まともに生活も出来ない秋雲が・・一人・・恐ろしい事になる!


部屋は更に荒れて・・お風呂なんて絶対に自分からは入らないだろうし・・食事だって倒れるまで気づかないかもしれない


ちゃんと見てないと関係ない絵を描き出したりもするし、何よりあのゴミ屋敷を他の担当さんに見られるわけにはいかない!


ただでさえ前の単行本には雲風 秋の部屋とか言って適当に描いた部屋(すごく綺麗)も載せてるし


外面は一応ちゃんとしている


だからこそ色々と優遇もされている


ばれてしまえば・・下手をすれば・・


考えただけで恐ろしい事に!


朧「はぁ・・・・」


思えば昔から不運ばかり続いてるとは思っていたけど此処までとは・・


艦娘だった頃は遠征に行けば一人大破して帰るし出撃すれば敵は私ばかり狙ってくるしで勿論大破


不幸艦と呼ばれる艦娘達を差し置いて大破する・・まぁ、そのお陰で不幸艦達からは良くしてもらったけど・・それでもプラマイゼロなわけもなくマイナス!


今日だって面接を待ってる時に此処の鎮守府の曙に会って割とマジなトーンで心配されたし


曙『その・・苦労してるみたいですね』


朧『敬語やめてよ曙!』


これが歳の差だと嫌でも理解出来た・・


本来私は叶えたい夢があって元艦娘になった・・


でも、諦めた・・そして秋雲と出会い漫画家の道を選んだ


絵が下手で全くダメだった私に秋雲は言った


秋雲『なら、アシスタントとして支えて欲しいな他でもない朧に』


その言葉にホイホイ着いて行き今に至る


後悔してるか?と言われればそうではないけど偶に思う・・本来の夢通り進んでいったならどうなっていたのか


私の夢・・それは海の男達や元艦娘や現役の艦娘達がやっている海軍公認の漁の団体【結束の乙女と時々おっさん漁業組合】通称《結女漁組合》に入って


その中でマグロ漁より過酷なカニ漁へと行くのが私の夢だった


昔、まだ深海棲艦が現れる前にあったと言われるカニ漁


中でもベーリング海でのカニ漁の動画を見た時身体全体が震えた


常に死と隣り合わせの状態で皆が協力してカニを取る


時に争い、時に助け合い、彼ら彼女らはカニへと辿り着く


感動した・・私もその中に入りたいと本気で思った・・しかもかなりの額が貰える


危険なのは分かってる・・死ぬかもしれない・・でも、私は昔の人間達の様に生身の身体で行きたい!


艦娘ではなく人間として海に落ちれば待ってるのは死


船の上での死闘、友情、カニ!、そして達成感!


それを感じたい!


でも、私は試験に落ちた・・・・何故かと言うと私は特別枠になってしまうのだ


朧枠として・・・・


そう、全国の朧達が受けていたのだ・・あまりに数が多く応募しても人数オーバーで相手もされず・・試験に落ちたと言ったが選考に落ちたのだ


数ヶ月間の勉強の意味もなく元艦娘になった意味もなくなり・・心にポッカリと大きな穴が空いていた・・人生を舐めていた


一層の事船を買って個人で行こうかとも考えた・・


でも、止められた。理由は何処かの鎮守府の司令官が船で自ら出撃するらしくこれ以上出られると真似する馬鹿が出るからだとかで《結女魚組合》を除いて船で海へ出る事を禁止されている


勿論その司令官もだけど勝手に出るらしい


その司令官マジで禿げろと思った・・


それから秋雲と出会い彼女の夢を私の夢として漫画家のアシスタントになった


今でも声を掛けてくれた秋雲には感謝している


もし、あの時声を掛けてくれなかったらと思うとゾッとする


でも、30歳になっても彼氏すら出来ず・・家に帰れば一人ただいまと言って返事はなく泣きそうになる事は多々ある


仕事が恋人だと言い続けて(休みがない)もう30・・・・


艦娘は子を成さないが元艦娘は徐々に身体が人間へと近づくので5年もすれば人との間に子が出来る確率は高くなる


5年は仕方ないと言い続けて・・もう10年以上経っている


近くに同士(秋雲)がいるとしても虚しいものは虚しい


しかも知人からは何かおばあちゃん家と同じ匂いがするとか言われたし・・


私はこのままおばあちゃんになってしまうのだろうか・・いえ、もう既におばあちゃんと変わらないと言う事で・・カニも追いかけられず女としての幸せも掴めず


何も残せず・・終わるのかな?


私って何の為に生きてんだろう?


何もない・・・・そう何も・・・


朧「本当なにやってんだろ私・・」ポロポロ


運転手「・・・・・・」


運転手「陸軍のみんなは優しい・・きっと君を受け入れてくれる。悲しむ暇なんてない程にね」


朧「運転手さん・・・・」


運転手「さぁ、涙を拭きなさい君には涙は似合わないよ」ハンカチ


あ〜もう、こんなおっさんでも良い気がしてきた・・もう・・陸軍でも


朧「運転手!私、私は!」


「そのハンカチ待った!」


ガシッ


運転手「っ!」


提督「その汚いハンカチはしまっておけ。それはトイレに行って手を拭いている事は知っている」


提督「そんな汚いハンカチ渡そうとしてんじゃねえぞ!タマキン運転手」


運転手「くっ!小僧が!」


あきつ丸「ちっ、間に合ったか・・」


朧「私何の為に生きてるんだろ・・」


提督「っ!」


泣いていたのか!この運転手が泣かしたのか!いや、それは今阻止した


提督「・・・これは」


彼女の顔を見た瞬間何に泣いているのか分かった


きっと疲れてしまったんだ


何の為に生きてるのか分からなくなっている


今までは忙しさが考える時間を良い意味でなくしてくれていた


でも、この時間で考えてしまったんだ


そして現実を知ってしまった


長い間働き詰めの人に長期休暇を与えると鬱になってしまうのと同じだ


深く考えて今に疑問を持ってしまう


そして生きてる意味を見失って・・


苦しくなって何も見えなくなって・・


昔の自分がそうだったから痛い程に分かる・・


そして欲しい言葉も


提督「朧さん!」


朧「貴方は・・・」


提督「此処の鎮守府の司令官の提督です。こんな事になってすみません」


朧「もう良いですよ・・陸軍でも何処でも行きますよ」


提督「いえ、貴女は此処にいるべきではない秋雲さんを支える仕事があります」


朧「提督さん・・・でも、私は不合格で」


提督「言ったでしょ?俺は此処の鎮守府の司令官です言わば俺がルールなんです」


提督「貴女の様に頑張っている人は向こう(陸軍)に行く必要はないんです」


朧「っ!」


今・・頑張ってるって言った!


提督「苦労されている様ですね。大変でしょうがこれからも秋雲さんを支えてあげてください。きっと秋雲さんが此処まで来れたのは朧さんの頑張りのお陰なんですから」


提督「必要なんですよ朧さんは」


朧「あ・・ああ・・私を・・」ポロポロ


私を認めてくれる人がいた


私の頑張りを見てくれた人がいた!


私を必要な存在だと言ってくれた!


朧「うぅ・・うわぁあああん!」ポロポロ


提督「もう大丈夫ですから怖かったですね朧さん」ナデナデ


朧「ありがと・・ありがと!」ポロポロ


提督「さぁ、帰りましょう貴女のあるべき場所へ・・でもその前に執務室で少しお茶でもどうですか?休憩も必要でしょう?」


提督「落ち着いて考えればきっと良い道も見えてきますから俺で良かったら愚痴でも聞きますし相談にも乗りますから」


朧「良いんですか?提督さん」


提督「俺が頼んでますから嫌なら嫌って言ってください。それに俺の方が歳下なんですからさん付けなんて必要ないですよ?」


朧「ううん、そう、呼ばせてください提督さん」


提督「分かりました。なら好きに呼んでください」


朧「はい、それで・・お話し聞いてもらえますか?」


提督「勿論です。貴女の話しを聞かせてください」


朧「はい!提督さん」


あきつ丸「けっ!折角カニの真似が得意って言うから向こうで存分にさせてやろうとしたのによイチャイチャしやがって大変遺憾であります!」


運転手「やはり海軍は甘いな!甘過ぎてヘドが出る!」


あきつ丸、運転手「「ぺっ!」」


ツンツン


あきつ丸、運転手「「あぁ?誰だ?」」


まるゆ「表出ろやお前ら」


あきつ丸、運転手「「っ!」」


まるゆ「隊長!この二人をいえ、二匹を少し借りて行きますね」


提督「あぁ、二匹の世話は頼んだ。さぁ、行きましょう朧さん」


朧「あ、あの・・ちょっと緊張してしまったみたいで・・手を握ってもらえませんか?」


提督「それくらいならどうぞ」スッ


朧「はい・・はぁ〜若い子の手だ」ギュッ


提督「ははは・・・」


朧「あ、提督さん顔に傷が」


提督「ん?あぁ、これは此処に来る時に何人か憲兵がね」


朧「倒したの?結構人数居たと思うけど」


提督「えっと・・まぁ、はい」


確かに成り行きで殴りかかったが返り討ちにあって通りすがりの明石さんに助けられたとは言えないな


あきつ丸さんは見て見ぬ振りするし


朧「凄い・・強いんですね提督さん」


提督「う、うん」


憲兵数人にボコボコにされていたとは言えないな


危うく靴を舐めさせられるところだった


そして助けられたと言うが正確に言うと助けられたのは憲兵達の方だったらしい


なんでも、明石さんが言うには鎮守府内からいくつもの殺気を含んだ視線が憲兵達を捉えていたらしい


あと少し遅かったら俺が血まみれになってたとか憲兵達の血で


なにそれ怖!


俺は視線に気付かなかったけど一体誰だったのか


朧「カットバンありますから」ゴソゴソ


小さなポシェットから両手にいっぱいの大量のカットバンを出される


四次元ポケットかな?


提督「多いですよ・・そんなに貼ったらカットバンそのものになりますよ」


朧「えへへ、私よく怪我するので持ち歩いているんです」


これでも足りないくらいとか言うんだから凄い


軽く千枚は超えてる


その中の一枚を取ろうとしたら


朧「貼ってあげますから動かないで」ペタッ


最初から渡す気は無かった様だ


朧「はい、お揃いですね、えへへ」


提督「っ!」ドキッ


それで無邪気に笑うんだから大人の女性と言うのはずるい


いかん!何時もの俺に戻るな!紳士な司令官だぞ俺!


提督「そ、その行きましょう。あまり時間もかけられないので」


朧「はい♪」


俺に出来たのはこのドキドキを不整脈だと思い続ける事だけだった


俺って本当・・チョロいな・・


そして、執務室へ朧さんと手を繋いで向かう途中に何か恐ろしい視線を感じて振り返るけど、うちの鎮守府の艦娘しかおらず


優しく微笑んでいた目が少し濁ってた様な気がしたけど気の所為だ


それが何回か続いた


みんなどうしたんだろう?


朧さんが何かを察して手を離すと視線は感じなくなった


そして今度は身の危険(主に尻に)を感じて振り返ると


電さん20歳(第5章社会人適正面接にて登場)職業、介護士の皮を被った変態が荒く息をはぁはぁ言わせながら浣腸しようとしていた


間一髪それを回避二発目とか洒落にならない


電(20歳)『提督さん・・一回だけ!一回だけお願いします!私にもさせてください!先ちょだけ!先ちょだけでいいのです!』ハァハァ////


提督『電さん・・どうして』


朧『えっと・・お邪魔かな?』


暗黒面に落ちてしまった電の合格を本気で取り消そうかなと思ったが、うちの電の所為でこうなってしまった手前何も出来なかった・・


丁重にお帰り頂いた


それから無事に執務室へ着き


面接と言う名のお茶会を開始した


緊張をほぐす意味も込めて俺が紅茶を入れた


そう、くまのん大先生から教えてもらった秘技くまのん落とし(勝手に命名)を使ってな


【くまのん落とし】


くまのん(熊野)が本当に仲の良いティータイム仲間にしか見せない特に味は変わらない究極の紅茶入れ術なのだ


床に置かれたカップと椅子の上に立って高い所から注がれる紅茶


そして《とぉぉお↑おおう↓!!》と言う気合い注入!


最初見た時は何?その奇声と言ってビンタされたが今では俺も出来る!


みんなに迷惑を掛けない為に深夜に練習していたらドアからこっそり覗いていたつもりの鳳翔さんが凄く悲しそうな顔をしていたのは記憶に新しい


提督「とぉぉお↑おおう↓!!」紅茶入れ中


朧「提督さん?」ポカーーン


提督「どうぞ、スーパーの安い紅茶です」スッ


朧「あ、はい、ありがとうございます」


提督「ふふ」


うん、良い感じにほぐれたな。ありがとうございます!くまのん大先生!今度のティータイムでは最高の紅茶を入れてみせます


朧「薄い・・・」ボソッ


そして紅茶を飲んでいると徐々に話し始めてくれた


カニ漁の漁師になる為に元艦娘になったが選考で落ちて諦めてしまった事や途方にくれていた時に秋雲と出会った事


連載が決まり二人で喜んだ事など色々話してくれた


でも、愚痴は一つもなかった。なんやかんやで楽しくやってるようだ


苦笑いを交えながらも嬉しそうに語る彼女に俺は何も言う事はないと思った


さっきのは気持ちが沈んでいたからネガティブになっていたんだな


彼女が苦しんでるなんてのは俺の思い過ごしだ


充分人生を歩んでいる合格だ


後はこれからをどうするかだ


答えは決まってるみたいだけどね


朧「あの時バスの中でゆっくり考えて分かったんです。自分は後悔してないつもりだったけど本当は違ってて後悔はしていたんです・・でも、それを認めたくなくてずっと夢を諦めた事から逃げていたんです」


朧「もう無理だと・・叶わない夢だと思っていたから・・」


提督「・・・・・・」


レポートの真実ってこういう事だったのか確かに最初から書かれていてもどうする事も出来なかった


逆に変に慰めてもおかしな事になっていたかもしれない


だってこれは自分自身で見つける事でしか解決出来ないからだ。他人から言われてもそれはその人の意思じゃない


他人に決められた道はちょっとした事ですぐに崩れてしまう


崩れてもリスクは少ないかもしれないけどそこに自分の意思はなく得るものも少ない


でも、それを知って理解して向き合おうとしているならそれは他人の言葉だろうと夢だろうと自分の意思になり得るのかもしれない


そこに確かな目的があるのなら


要は他人が造った道を自分が歩きやすい様に補装してしまえば良い


でも、それは簡単じゃない最初から自分で造るより難しいかもしれない


だけど今の朧さんならどちらを選んでも俺は応援するつもりだ


挫折をしても支えてくれる人(秋雲)がいるから


朧「でも、やっぱり諦めきれません!私もう一度夢を追いかけてみます。勿論アシスタントも続けますけど」


提督「っ!」


その言葉がまるで自分様に嬉しくてニヤけてしまいそうになるが平然を装って一応聞いてみる


愚問だろうけど


提督「今以上に大変になりますよ?」


朧「だからですよ。大変だからこそ今しか出来ないと思うんです。もう三十路ですし・・二十代の様には動けないかもしれませんけど後悔するならやってみようかなって」


朧「気付いたんです艦娘だった頃の私はまだ消えてない此処にいるって」


そう言って自分の胸を叩いた


胸が揺れる・・着痩せするタイプだと気付く


朧「これだけはどれだけ歳をとってもなくなりません。みんなの想いが此処に確かにあるから・・だから!朧はもう逃げません!」


その瞳からは強さを感じた。艦娘達にも負けない強さを


元艦娘は艦娘としての力を全て失ってしまう。でも、一つだけ失わないものがあったんだ


どんな状況でも最期まで諦めず戦おうとする艦娘としての魂が


今も色あせず残っているんだ


今の朧さんは凄く輝いているキラ付状態だ


どうしてだろう・・どうしてこんなに嬉しいんだろ


やばい泣きそう・・堪えれろ俺!


提督「っ・・応援してますよ朧さん」


朧「はい!提督さんにはお世話になりました。何もお礼は出来ませんが・・また会えますか?」


提督「俺はいつでも此処にいます。何かあったら会いに来てください話しくらいなら聞きますから」


彼女には俺もまた会いたいから


きっとその時には聞けるかな夢を叶えた朧さんの話しが


朧「それじゃあ名残惜しいですけど・・」


うん、名残惜しいけど最後は司令官らしく彼女を送り出そう


提督「綾波型駆逐艦、朧さん貴女の健闘を心より祈ります」ビシッ


朧「提督さん・・・はい!綾波型駆逐艦、朧、行きます!」ビシッ


俺も朧さんの様になりたいな・・そう思いながら去って行く彼女の背を見送った


ドアが開いた時秋雲の姿が見えた


彼女はドアが閉まる前に此方に頭を下げた


朧をありがとう。そう言ってる様だった


提督「はは、心配だったんだな」


良い相棒じゃないか


それから数ヶ月後大量のカニが届いた


鎮守府内ではお祭り騒ぎだ


焼き派とボイル派とカニかま派とで争っている


てか、カニかま派は買ってこいよ・・


そしてカニだけじゃなく写真も数枚入っていた


それは船の上で仲間達とカニを掲げて楽しそうに笑っている彼女の姿だったり船内の写真だ。俺にとってはそっちの方が嬉しかった


周りの仲間達は朧ばかりで現役の朧さんや元艦娘でも十代や二十代それに四十代と様々な朧さんが写っていた


四十代の朧さんはカットバンからピップエレキバンに変わっているから分かりやすい


十代のは子供が喜びそうなキャラの絵のカットバンだ


二十代はちょっとおしゃれなキラキラしたカットバンだ


あの朧さんは普通のカットバンだ。三十代は色々試してやっぱり普通のカットバンが一番と気付くんだな原点回帰って言うのかな?


よく見ると何枚かの写真では後ろの方で秋雲さんが吐いてる姿が見える


一緒に行ったんだな・・お疲れ様です


でも、お互いがお互いの夢の為に付き合えるって中々出来ない事だ


お互いがお互いを信じてるからこそ出来るんだ


秋雲さんもあんな感じだけど朧さんの事ちゃんと考えていたんだな


これからも色々と大変だろうけどそれでもこの笑顔の奥にはきっと最初より大きな夢が見えているのだろう


いや、もう夢ではないんだろうな


少し眩しいかな・・


でも、俺はそんな彼女の笑顔が瞳が・・・


秋雲さん、朧さん、これからも頑張ってください


二人ならきっとどんな壁も飛び越えられますから


二人で二つの夢を追ってください


そう手紙に書いた。一緒にカットバンでも送るか


提督「・・・・・・」写真見つめ


提督「はぁ・・この笑顔・・好きだな」


気付くとそう呟いていた


でも、言ってる本人は気付いていないのだった


故にそれが恋なのか不整脈なのかそれとも別の何かなのか知る者は誰もいなかった







時間は遡り



社会適正面接はまだまだ終わらないのだ


さて、朧さんは帰ったしあきつ丸さんが戻って来たしで再開だ!


提督「さぁ、次だ!あきつ丸さん!」


あきつ丸「っ!」ビクッ


あきつ丸「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」ポロポロ


提督「え!あの!あきつ丸さん?」


あきつ丸「あきつ丸はダメな娘なんです!!うわぁああん!」ポロポロ


提督「あきつ丸さーーん!」


なんかおかしな事になっているのだが!


それから一時間くらいあきつ丸は出来る娘と言い続けてやっと元に戻った


疲れた・・・


【君の居た鎮守府と裏と表を行く提督】




次回【帰るべき鎮守府と裏と表を行く提督】に続く


後書き

第7章も無事終われました!皆さんの応援やコメのお陰です!此処まで続くとは驚きです・・次も第8章もよろしくお願いしますね!

元艦娘社会人適正面接編も募集しております

そして他のリクエストも受け付けております!やるかは分かりませんが期待せずしてくださいね!

コメントなどくれると凄く喜びますぜ!

その他リクエストなどありましたら書くだけ書いてみてください


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82件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-10-30 13:29:27 ID: I8BgnTyW

待ってました…さてここからどうなっていくのか楽しみで仕方ありませんね…

2: ポテ神 2016-10-30 22:49:47 ID: Gwux8mNX

1番さん!

期待せずこれからも見守っていただけると嬉しいです!

あ、でも、コメとかはくださいよ?無駄に喜びますから

3: SS好きの名無しさん 2016-11-02 17:16:46 ID: dlRgC7-H

三途の川ウォーズも面白かったけど、僕はやっぱりこういう平和なほのぼの感がある方が好き

4: ポテ神 2016-11-03 20:37:29 ID: H-cn2_UZ

3番さん!

俺もほのぼの感が大好きです!この物語もほのぼの系を目指していたのに・・何故かシリアスさんやら色々なものが・・

ほのぼのを目指します!多分・・

5: ゼロシステム 2016-11-05 02:00:44 ID: Fbl-Uv-s

第7章の更新お疲れ様です!

更新まだかなと待ってて覗いたら来てたので変な声出して踊っておりました。

朝潮と金髪良かったですねぇ。2人の関係がどうなっていくかも楽しみです!

これからも更新頑張ってください!応援してます!

マヨコーラのわさび風味かぁ…友人に作って飲ませてみるか。

6: ポテ神 2016-11-05 20:42:07 ID: 1cOxx_18

ゼロシステムさん!

それ程待っていてくれたとは歓喜です!オススメもありがとうございます!これからも頑張っていくのでよろしくお願いしますね!

金髪と朝潮のこれからはどうなるのか俺すら分かりません!

そして!もうやめてやれ・・君の友人のHPはゼロを超えてマイナスへと逝ってしまうぞ。楽しむなら個人でしなさい

無茶はするな・・・・

7: SS好きの名無しさん 2016-11-07 05:45:49 ID: ZrxhoDtL

キター!金髪お前は漢や!
マヨコーラのわさび風味……なんか進化してる((驚愕))

8: ポテ神 2016-11-08 00:19:15 ID: Fdw8QwWc

7番さん!

俺もあんな漢になりたいです!まずは口調からかな?

マヨコーラは日々進化しているのです!一部のファンの為にね!

9: こっぺ 2016-11-08 02:06:46 ID: aZFTj4d3

お久しぶりです‼

いやぁ〜ついに7巻まで来ましたか…早い物ですね。

そして何ヶ月ぶりかの西提督の鎮守府ですね…金髪ってでたとき誰?って思ってしまいました。

今回も面白かったので、次の更新もがんばってください。

10: ポテ神 2016-11-08 22:40:49 ID: Fdw8QwWc

こっぺさん!

お久しぶりです!こっぺさん!

此処まで来れたのはこっぺさんや皆さんがコメントなどをしてくれるお陰です!本当にありがとうございます

金髪と黒髪とメガネがいますからね!研修生達を忘れないでくださいね!

オススメもありがとうございます!安定感なんて勿体無いお言葉感謝感激です。これからもよろしくお願いします

11: 春雨麻婆豆腐 2016-11-09 22:38:34 ID: HD1XjP7t

更新お疲れ様です!

金髪…お前のこと見直したぜ…漢の鑑よ…。

マヨコーラわさび風味…味はどうか?わさびの味しかしねえよ…(白目)

12: ポテ神 2016-11-10 19:46:06 ID: U-XPos0Q

春雨麻婆豆腐さん!

因みに自分は学生の時は男のヘタレと呼ばれていました!ぐはっ!

わさびの量がみそですぜ!風味だからね〜入れ過ぎ注意やで〜(混乱)

オススメありがとうございます!磨き続けてなくならないか心配ですが・・頑張ります!

13: にゃんだふる 2016-11-22 22:57:30 ID: OtKHoPLW

更新おつです!

荒潮さんカワイイ!

マヨコーラofWASABIうちの隊長と青年くんにプレゼントしときまっせ!

あれ?こんな時間に誰か来たようです。

続き楽しみにしときます!

14: ポテ神 2016-11-23 22:35:34 ID: smBT2bYt

にゃんだふるさん!

オススメありがとうございます!代表作だなんて嬉し過ぎます!!

これからもどうぞコメなどをたくさん残して応援してくれると嬉しいです!

荒潮さんが可愛い!同意です!

案外隊長ならマヨコーラを喜ぶかもしれませんね!青年はまぁ・・ご愁傷様という事で・・おんぼろ鎮守府からマヨコーラ送りますね!

そしてにゃんだふるさんにも・・ご愁傷様です!

15: 春雨麻婆豆腐 2016-11-25 23:14:45 ID: i6biPxl7

更新お疲れ様です!

ss執筆の合間に毎度見させてもらってます!

もうね…傷んだ心が癒されるね…特に駆逐k…オッホン!

続きを楽しみにしておきます!

16: ゼロシステム 2016-11-26 02:56:30 ID: nziVyJ7G

更新お疲れ様です!

愛宕さんがスネーク化したと思ったら相変わらず可愛いって…最高じゃないですか!
更に駆逐艦等も可愛いくて癒されます。

これからも更新頑張ってください!応援してます!!

眼鏡に麻酔銃が刺さるっていったい………

17: ポテ神 2016-11-26 07:56:21 ID: 9SkNzWOl

春雨麻婆豆腐さん!

お互い執筆頑張りましょうぜ!

そして分かってますぜ!貴方が俺と同類だと言うことは!

さぁ、恥ずかしがらずに駆逐艦が大好きだと言ってしまえ!!

輝け三日月の所を少し文章を追加したので見直してくれると嬉しいです!

ファイトーー!

ゼロシステムさん!

随分と泣き虫なスネークでしたけどね

駆逐艦達は基本気絶していただけですよ。まぁ、それも良いけどね!

メガネは本体が眼鏡なのでなんらおかしな事ではないのですよ?

輝け三日月の所にパンツの話しを追加したのでもう一度見直してくれると嬉しいです!

これからも応援よろしくお願いします!

18: SS好きの名無しさん 2016-11-26 12:07:33 ID: AsdN-y9S

これからも応援してますぞい!文月は黒で三日月は白か……おっと誰かがk(ry

19: ゼロシステム 2016-11-26 21:06:13 ID: nziVyJ7G

更新お疲れ様です!

文月は黒で三日月は白と……いいですねぇ!(歓喜)

文月さんって以外と大胆なんですかねぇ。バレたらふみぃ!ふみぃ!って叫びながら走り回りそうですけど。

これからも更新頑張ってください!陰なが
ら応援してます!

やっぱり駆逐艦は最高だぜ!

20: SS好きの名無しさん 2016-11-27 00:31:17 ID: J5CVnXAM

自分は現在人間の体の勉強をしています
どんな体を目指したいのかを言ってくだされば力になれるかも(* ̄∇ ̄)ノ

21: ポテ神 2016-11-27 10:12:02 ID: tavyUCor

18番さん!

無茶しやがって・・思っても口に出してはいけないのに!文月と三日月が黒と白だなんて言ってはーん?誰かがk

ゼロシステムさん!

文月も女だって事ですよ!もしかしたら誰かを誘っていたのかもしれませんね。それとも大人ぶりたかったのか

真相は闇の中です

一つ言える事はやっぱり駆逐艦は最高だぜ!!

20番さん!

おお!人間の身体は複雑怪奇!勉強大変でしょうが頑張ってくださいね!

医療関係の仕事を目指しているのかな?

目指しているのは・・そうですね。まずは腕周りを太くしたいですね。それから胸筋と腹筋、ミット打ちで腰が痛くなるので腰回りも鍛えたいですね

今まで運動をしてこなかったのでガリガリの弱そうな体型をどうにか大きくしたいってところです

要は全体的に大きくなりたいです!身体もメンタルも

こんな感じですかね

23のおっさんにはもう手遅れなのでしょうか・・

22: SS好きの名無しさん 2016-12-04 01:38:27 ID: KzykUjIL

いえ、まだいけますよ!

腕を鍛えるのならまず二頭筋からやりましょう!自分が重いと思えて大体10回出来るくらいの重さでやるのがいいと思います。
食事は運動後にはタンパク質を多くとることやカルシウムもきちんととることも大事になります
運動後30分以内がベストと言われています

パンチした時腰が痛むならまずジョギングをしたり足を良く動かすと腰回りの補強にもなります、炭水化物も絞るのでなければどんどんとっていいと思います、体に栄養が足りないと脂肪や筋肉を分解してエネルギーに変えてしまう機能が人にはありますので(^_^;)

腕立てもいいですよ!三頭筋という二の腕をつけるのにも使えますので、一気に器具などで負荷を掛けすぎても体が壊れてしまいますので自分の体重を利用したトレーニングがおすすめです
腕立てでは胸が着くくらい下げるのが効果あります(* ̄∇ ̄)ノ
最初は効果でないなと思うかもしれません、人は大体3週間続けた辺りから変化が大きく出てきます

23: SS好きの名無しさん 2016-12-04 01:42:58 ID: KzykUjIL

追記

セットでやるといいですよ!
インターバルを15秒くらいにしてやるときついですがきつい分だけ効果出ます


メンタルは筋肉が付いてくるとおのずと大きくなります( ≧∀≦)ノ


筋肉がついたということはそれだけ努力した証なのですから

24: ポテ神 2016-12-04 10:01:46 ID: UesGDotw

22.23さん!

成る程!まずは脂肪をつけないとやばいと言う事が分かりました!

腰が痛くなるのでジョギングもやってみます

腕立ては少しだけやっていたので回数を増やしてみようと思います

ジムに入って一ヶ月あまり成果出ている実感は湧きませんが書かれている事を実践してみたいと思います

よし!やる気出てきました!

メンタルと筋肉は比例するんですね!

参考になる事を書いていただきありがとうございます!

勉強頑張ってくださいね

25: SS好きの名無しさん 2016-12-10 01:37:09 ID: A1rgpfOk

孫の手(特注)…無茶しやがって…お前のこと、絶対忘れねぇからな!

更新お疲れ様です!

26: ノーネーム 2016-12-11 04:01:00 ID: IytdHavA

更新お疲れです!

西憲兵さんのスキップの後の小学生のツッコミ?に(゜д゜)ってなりましたけどもあれですね最近の小学生は口悪いですからね(遠い目)

じゃなくてもうすぐおんぼろ鎮守府で捕まった少年?が出てくるのかな?
楽しみです!

それと羽黒さん所の思春期真っ盛りだった少年は今頃どうなっているんですかね(ゲス顔)

27: ポテ神 2016-12-11 08:24:45 ID: StGKIGN1

25番さん!

覚えてて、此処に居た事を・・・

そうすれば孫の手(特注)は君の心の中で生き続けるのさ

ノーネームさん!

最近の小学生は挨拶をしても無視しますからね・・俺のメンタルがボロボロになるんですよ・・

おんぼろ鎮守府の彼はもう少し後になると思います。提督がおんぼろ鎮守府へ帰って来た時くらいに羽黒も出てくるかも?

例の少年は・・・・・・秘密だ!

28: ゼロシステム 2016-12-12 03:19:19 ID: wKeauWPv

更新お疲れ様です!

西鎮守府って漢多いですね…!やはり西提督さんに影響されてるんですかね。かっこいいからウェルカムですけどね!

まるゆにもあんな過去があったとは……軍隊って奥が深いんですねぇ(小並感)

不知火とか久々に出てきた気がします!
「ぬい!」を聴いて懐かしい気持ちになりましたw

これからも頑張ってください!寒い日々が続いているので体にはお気をつけくださいね…?

……提督と話してた謎の少女は一体誰なのか…?

29: ポテ神 2016-12-13 07:02:42 ID: owISFHo-

ゼロシステムさん!

娘ばかりですが、その分漢はマシマシでございますぜ!

まるゆの過去と言うよりまるゆさんの過去ですが、受け継いでいると言う事で過去と変わりませんね

不知火久しぶり登場でやりたかった「ぬい!」が出来て満足です!

ゼロシステムさんもお体に気をつけてくださいね!自分は絶賛風邪引き中インフルじゃないだけマシかな?

そしてあの謎の少女の正体は!勘のいい人ならもう分かっているかもしれませんね

30: こっぺ 2016-12-17 23:21:51 ID: lb9M8YzE

更新お疲れ様です。

まるゆさんと聞いてとある方の漫画を思い出しましたが・・・。

もうすぐ今年が終わりますね・・・いや~ss書いて私は1年たちそうですがポテ神さ
んはどれくらい経ちますか?私の予想だと2年くらいですかね?

これから寒くなるので寝るときにはしっかりとあったまって寝てくださいね。次の更新もとても楽しみにしてます。

31: ポテ神 2016-12-19 01:14:59 ID: 9yqt62d3

こっぺさん!

実は自分もそれを意識してしまったりしていたりしなかったりですよ!

社会人になると一年なんてあっという間で・・学生の頃の一年が恋しいです・・

歳をとるごとに一年とは人生の中で短くなります

二歳なら一年は人生の半分です。そりゃあ長いよ

でも、五十になれば一年なんて人生の五十分の一です・・そりゃ短く感じますわ

あくまで例えですよ?

SSを書き始めて多分四年くらいだと思います

艦これSSは二年くらいだけど、その前にもドラえもんSSを書いています。今は途中で執筆を止めていますが・・・

なんやかんやでそんなに経ちました・・本当にあっという間ですよ・・こっぺさんも悔いのない人生を・・

インフル?風邪ひいたからもう大丈夫!多分・・

32: ゼロシステム 2016-12-22 02:12:20 ID: HluO1o40

更新お疲れ様です!

甘えん坊の雷もいいですねぇ!読んでる途中で「ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」って声出して悶えてました!
ロリコンに目覚めたらどうしてくれるんですか!目覚めたんで責任取ってください!

これからも頑張ってください!応援してます!
まだまだ寒い日が続いてるので気をつけてくださいね?あと、インフルやノロとかにも!

雷に追いかけられたいなぁ……(切実)

33: ノーネーム 2016-12-23 17:04:33 ID: b399PnEG

更新お疲れです

フゥあれですね ロリコンに目覚めたら責任とって下さいね/////

とまぁ冗談は置いといてあと少しでクリスマスデスネ(遠い目)
本当に爆発すればいいのにボソッ

34: ポテ神 2016-12-23 20:50:48 ID: djgQX443

ゼロシステムさん!

目覚めてしまったか・・いや、貴方はもう目覚めていたんですよ!

責任?ふふ、取る必要はない!何故なら!それが本来の貴方であるからだ!後は受け入れるだけだぜ?

大丈夫、こっちにはたくさんの同志達がいます。俺を含めてね、ふふふ!

風邪は引いたから!もう大丈夫!ジムにも行ってるしで多分・・大丈夫!

ゼロシステムさんもヘソ出して寝るなよ〜ではでは

ノーネームさん!

ふぅ、って!目覚めとるやないかーーい!!

とまぁ、ツッコミは置いといて後少しで・・ん?クリスマス?なにそれ?食えんの?(現実逃避)

ははは!後少しで今年も終わりますねの間違いですよね!







爆発すれば良いのに・・

35: 春雨麻婆豆腐 2016-12-29 19:19:56 ID: 9fEi-KS5

更新お疲れ様です。

さらば白雪…。お前は軍刀の中で、提督の中で永遠に生き続けるだろう。

そして…やっぱり可愛いなぁ゛くちk…(ここからは血溜まりで読めなくなっている。

36: ノーネーム 2016-12-29 22:54:52 ID: UdKbGeCP

更新お疲れです

白雪たそ…(´;ω;`)

胸を張ってるとこを想像してニヤニヤが止まらなくなりました!

ふぅ駆逐艦は最高だzピチューーん

37: ゼロシステム 2016-12-30 01:15:26 ID: DPJLOyHu

更新お疲れ様です!
白雪ちゃん……着痩せするタイプだったのか…。貼る胸が無いのに無茶しやがって……
今回も素晴らしい感動回でした!最近更新来てないかハイエナのように嗅ぎ回る日々です。
軍刀を相棒って呼ぶの凄いかっこよくて好きです!

これからも更新頑張ってください!応援してます!
それと、良いお年を。来年も素晴らしい作品を期待して待ってます!

やっぱり駆逐艦は最高だぜ!!

38: yazora 2016-12-30 03:13:11 ID: 2o-XhIOm

更新お疲れ様です。


続きを期待しながら年を越しますね

39: にゃんだふる 2016-12-31 15:47:02 ID: FbFiEoqc

更新おつです!
白雪のくだりで涙腺が危なかった………。

続き待ってます!

40: ポテ神 2016-12-31 19:04:51 ID: Jv8Bd76U

春雨麻婆豆腐さん!

そうですね提督が覚えている限り彼女は生き続けます

そして春雨麻婆豆腐さんの事も忘れませんから!生き続けてください!

ノーネームさん!

胸を張るしぐさって良いですよね!個人的には小さい方が良いです!

ノーネームさん・・忘れませんから・・さようなら

ゼロシステムさん!

張る胸がないか・・白雪さんが無表情でそちらへ行きましたので・・さようなら

来世でも見てくださいね!

そしてこれから提督達と相棒達を見守ってください

そしてそして!今年もたくさんお世話になりました!来年もまたよろしくお願いしますね!

yazoraさん!

がんばりますね!来年もよろしくお願いします!

にゃんだふるさん!

泣いても良いんやで!次も期待せず待っててくださいね!

41: ゼロシステム 2016-12-31 22:49:07 ID: oXZv1j68

恐らく今年最後の更新お疲れ様です!

慣れって怖いですね……自分はまだコミケ行ったことないのでいつか行ってみたいです!

来年も面白く、素晴らしい作品を楽しみにしてます!頑張ってください!良いお年を!

白雪さんこっちに来るのか…一緒に年越し蕎麦食べませんか?刻む?ネギですか?違う?何でこっち向かってくるんですか。うわ何をするやm(ザクッ

42: ノーネーム 2016-12-31 23:03:04 ID: Ej1hFVpB

今年最後の更新お疲れです

1週間入ってない秋雲……(; ・`д・´)ゴクリ

来年も 素晴らしい作品楽しみにしてますね良いお年を

43: ポテ神 2017-01-02 13:22:50 ID: fWjZ3rKa

ゼロシステムさん!

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いしますね!

大丈夫です自分もコミケに行った事はないです!いつか行ってみたいです

そして、ゼロシステムさんは新年を迎えられたのか心配です!刻まれていない事を願います

ノーネームさん!

あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いしますね!

まさかの匂いフェチの方ですか?靴下の匂いとか大好きですか!

でもね、あれはそんな耐えられる匂いではありません

やばいです!!

でも、それでも良いなら・・頑張ってください!

44: SS好きの名無しさん 2017-01-06 23:40:59 ID: dgatr4FE

何度読み返しても飽きない艦これssの名作ですね!これからモスクワの方から寒い気圧←(理科知識など無いので名前は知らないが)がやって来るらしいので一段と寒くなるそうです。御身体に気をつけて..応援してます!(執務室の早く出しすぎた炬燵で嫁艦の加古と寝たい)←切実な願望

45: SS好きの名無しさん 2017-01-07 00:56:25 ID: UYRa5Ph-

駆逐艦..あ^~癒されるんじゃ~ハイエースで誘拐しt...(遺体から見つかった手記はここで途切れている

46: ポテ神 2017-01-07 12:25:34 ID: vdQnVnTH

44番さん!

オススメありがとうございます!

そう言ってもらえるとやる気アップです!

名作なんて言われて凄く嬉しいですぜ!!これかもよろしくお願いしますね!

そしてもう風邪引いてるので大丈夫です!

あ〜嫁艦と炬燵良いですね〜うっかり寝てしまっても風邪なんて引きませんね!!

45番さん!

またなのか・・何故此処にコメをしてくれる方達はみんな安易な行動をとるんだよ・・

死ぬと分かってるのになんで・・

いや、違う分かってるんだ!分かってて尚もやっているんだ

そんな彼等に敬礼!!

でもな、これだけは覚えておいてくれ死んだら嫁艦も抱きしめられないと言うことを・・

47: SS好きの名無しさん 2017-01-08 16:54:08 ID: rtDg-mET

寒くなって来ましたね...我が鎮守府ではもう雪が降っています。ポテ神さんも風邪をもう引いたからと慢心せずインフルや胃腸炎、ノロウイルスに注意して下さい。自分は駆逐艦達の笑顔で暖まr..ちょっ白雪!?あの..その手に持っている雪玉(三式弾in)をどうするつもりなの?ちょっストップ!やm...ドカーン

48: SS好きの名無しさん 2017-01-08 23:27:52 ID: rtDg-mET

え?火力も高くデカい(いろんな所が)戦艦が良いって?      確かに戦艦は良い.....   
でも今の駆逐艦はスゴいぞ(いろんな所が)!最高dデデーン
次の更新で駆逐艦が沢山出てくる事を願います!応援してます!
そしてやっぱり駆逐艦はさいk..ピチューン

49: ポテ神 2017-01-09 18:29:13 ID: vs1ZaboB

47、48さん!

慢心の結果かは分かりませんが弟が胃腸炎になりました!ざまぁ!!

ゴホン!、さて、うちの鎮守府では寒くなっていますが雪は降りません

なので投げられる事もないのです!

このコメを読んでる時にまだ生きてるかは分かりませんが投げられるなんて羨ましい!!

そしてそして!次回は!あまり駆逐艦の出番がないようです・・

ごめんなさい!

ちなみに俺は大きいのより小さい方が好みです

50: SS好きの名無しさん 2017-01-09 23:04:18 ID: S_f6D1gT

更新お疲れ様です!駆逐凄姫..もうやめて!西提督さんの船のライフはもう0よ!序盤に出てきた「チョコ入りおにぎり」は誰が握ったのですか?今回も駆逐艦がいっぱいで嬉しいです!まさかポテ神さんも小さい方が好みとは...貴官とは良い酒が飲めそうだよ...広い海は(リアル世界で)あまり見たことがありません..ぶっちゃけると某お洒落な重巡の誕生市在住なので瀬戸内海位しか見たことがないのです...次回作に超期待!はたして西提督船はどうなるのか!気になって眠れません!

51: ゼロシステム 2017-01-09 23:37:10 ID: BaHuTNCj

更新お疲れ様です!

金髪……乙女になってる……金髪乙女って語呂いいですね!(白目)

航海してる所を読んでる時頭の中でウィーアー!!が流れてました!なんででしょう?

遂に深海棲艦も出てきましたね!これからもどんどん出てくるんでしょうか?楽しみです!

これからも更新頑張ってください!自分は年明けすぐに風邪をひいて倒れてたのでポテ神さんも気をつけてください!

最近摩耶さまの魅力に気づいて取り憑かれました

52: SS好きの名無しさん 2017-01-10 01:27:43 ID: EwjqfVUr

更新お疲れ様です!
序盤から駆逐艦に栄養を貰ったので少なくともこの冬は風邪にかかる事は無い(フラグ)それはともかく、毎日面白く読ませて貰っています!続きがとても楽しみです!応援してます!

53: SS好きの名無しさん 2017-01-10 01:33:49 ID: EwjqfVUr

更新乙でーす!え?47は白雪さんに雪玉(三式弾in)を投げられてミンチ肉になったんじゃって?残念だったな、トリックだよ。(舞風式回避術で何とか避けた)西提督の船が!続きが気になります!

54: ポテ神 2017-01-11 00:59:13 ID: qjB18Z-b

50番さん!

チョコ入りおにぎりを作ったのは誰か!それは貴方のご想像にお任せしますぜ!きっとお菓子が大好きな駆逐艦じゃないかな?

貴方とはいつか一緒に酒が呑めたらいいですな!

特定しましたぁああ!!言ってみたかっただけです。自分は元みかんの国です!

海は良いよ〜一度で良いからスキューバーダイビングしてみると良いよ?去年自分はオーシャンダイバーの資格を取りました!

続き程々に楽しみにしててくださいね

ゼロシステムさん!

金髪乙女・・・・良い!!

ちなみに別にお宝を探したりグランドラインとかには行かないので悪しからず

正直言うと戦闘描写は苦手です・・でも、避けては通らないので書きます!敵も程々に出てきます!

自分も年明けに風邪ひきましたよ・・・最高

摩耶か・・・・悪くない!

55: ポテ神 2017-01-11 01:05:52 ID: qjB18Z-b

52、53番さん!

流石ですな!フラグは回収するものだ!風邪薬を買っておくのだな!

えっと、踊りながら避けたのかな?多分相手を怒らせるだけだと思うけど・・(てか、避けられてないよね?)ミンチどころか灰も残るか・・多分今頃千の風になっていると思いますが、またコメくださいね!

更新は遅いですが気長に待ってくれると嬉しいです!

56: ノーネーム 2017-01-11 05:26:30 ID: jvOL-JZL

更新お疲れです

一々悲しんでたら切りがない……
確かにそうですよね艦娘たちは死と隣り合わせの所に行ってる訳ですから

西提督本当強いですね自分だったらわかってても無理ですな 。

それに深海棲艦に頭突きってそんな発想はなかった!

ホントに寒いんでポテ神さんも体調管理はしっかりとしてくださいね?

自分の鎮守府は未だに嫁艦が決まらないんですよね。皆かわゆす とりあえず自分は山風か神風を抱いて暖まr(バキッ

57: ポテ神 2017-01-12 00:06:45 ID: _bSnrVre

ノーネームさん!

死ぬと分かっていても言って来いと言わなければいけない司令官達はある意味でブラック鎮守府の様な司令官ではないと務まらないのかもしれないですね

ですが、それでもやる事に意味はあります

殴られようと何をされようとその抱こうとしてる手を止めず強く離さない様にしてくださいね

ちなみに俺は職場では寒さ対策として顔が隠れるほどの装備の為に誰か分からねえよと他の人に言われたくらい対策はしてるので大丈夫です!

ジムにも言ってますしね!(筋肉痛が・・)

更に!俺も嫁艦はいません!だって!みんな可愛いもん!!

58: SS好きの名無しさん 2017-01-13 17:12:25 ID: n46qxT1s

続きあざっす  楽しみにしてるのでがんばってください

59: ポテ神 2017-01-14 12:40:00 ID: RPgEaqEv

58番さん!

コメあざっす!続き程々に楽しみにしていてくださいね!過度な期待はノーです!

60: SS好きの名無しさん 2017-01-15 00:44:59 ID: M3DpM6qd

更新お疲れ様です!
やっぱり発想力が違いますね....何時も凄いと思いながら読んでいます
実は最近階段から転落して腕を骨折してしまったんです..黒髪に頼めば何とかなるかな..はい、素直に病院行ってきます。潰れたゴキ入りおにぎり..........ヒェッ..そちらの方では雪は降ってませんか?我が鎮守府では明日5cm積もるとの事です。寒いので気をつけてお過ごし下さい!次の更新も期待して待ってます!

61: ポテ神 2017-01-17 00:29:15 ID: NX3HHfT0

60番さん!

コメも60になりました!評価や応援が章を跨ぐごとに減っていってる事に若干の焦りを感じていますが!見てくれてコメをしてくれる人がいる限り例え評価や応援が1なくても頑張ります!・・多分!

発想力と言うよりかは他よりアホなだけです!俺はもっとアホになりたいです!

骨折ですか・・なった事ないので分かりませんが痛いですよね?黒髪でも骨はくっつける事は出来ないので悪しからず・・ちなみに提督がもし骨折だった場合は軍刀を支えにして固定するつもりでした!

骨折するとギブスでかゆかゆですが耐えてください!それしか言えません!慰めじゃないけど俺の友人は犬小屋から落ちて骨折しましたから

ゴキさんって綺麗好きらしいですから食べても大丈夫です!多分・・

うちの県は雪が中々降りませんだから降ると凄くはしゃいだ記憶があります。ですが今は仕事の邪魔になるので降らないで欲しいです!降るなら積もれ!!

と言う事で次の更新も程々にお楽しみに

62: SS好きの名無しさん 2017-01-18 20:57:30 ID: NzdNykeM

ポテ神さん!返信ありがとうございます!
人気が無いことなんて無いですよ!コメが60を越えたのもその証拠です!
この作品は面白いです!次回も応援してます!
追記:ゴキブリは食べると体内繁殖して内臓を食い荒らすと聞いた事があるので絶対に食べないで下さい!
骨折は殆ど治りかけです!心配有り難うございます!
また次回会いましょう!

63: ポテ神 2017-01-20 23:36:25 ID: zgo3LH5x

62番さん!!

その言葉だけで俺は頑張れます!最近ジムに行って仕事をしてで書く気力が落ちてしまいモチベーションも落ちてました・・ですが俺が頑張ります!

ジムも仕事もSSも頑張ります!

ゴキさん・・怖い・・でも、いつか食べ物に困った時そして死にそうな時にゴキさんがいたら・・俺は正気を保てるのだろうか・・

その光沢が上質な黒糖飴に見えるのだろう

きっと・・胃の中が荒れるのかな

治りかけが一番危険ですから気をつけてくださいね

次回もよろしく!!

64: こっぺ 2017-01-22 01:59:00 ID: iP7Zv3F0

遅れましたがあけおめです。今年もよろしくお願いします。

いやぁ~最後の人工呼吸のシーンを見たとき思わずお~ってなってしまいました

よ、どうしてくれるんですか!参考にしますよ!

まあ、それは置いといて、駆逐棲姫は春雨ですよね。足がない史実まで入って

いてとてもよかったです!

これから風が吹いたり、雪が降ったりしますが、インフルエンザには気おつけて

くださいね。私の住んでるM県ではまだ氷点下いってないです。

65: ポテ神 2017-01-23 01:21:58 ID: YrZ4Am-b

こっぺさん!

こちらこそ遅れましたがあけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いしますね!

人工呼吸は参考にしてくださいね!俺もCカードを取る為に海中で人工呼吸ではありませんが似た様な事をした事がありましたが、隣でやってるグループがカップルで本当に最悪でした・・ちなみにこっちの相手は男でした・・

駆逐棲姫が誰なのかはあえて言わないでおきますね!その娘が大好きな人達を敵にまわしたくないので・・ご想像にお任せします!

風邪などは一通り引いたので多分大丈夫です!

こっちの日本最古の温泉がある所でも氷点下はいってないですね!

寒いけど

66: ノーネーム 2017-01-24 01:46:38 ID: UQauSopj

更新お疲れです

女神様はそんなに強いのか(驚愕)それよりも!黒髪まじ乙女!本当カワイイの〜

本当に西提督さんと提督さんはいい友ですねお互いを信頼できるとか本当凄いと思いましたね〜

とある友人がですね1人が選べないなら全員選べばいいじゃない! と言ってて(; ・`д・´)ナン…ダト!?と思いましたねまあ気長に艦娘達とカッコカリして行こうと決めましたね

あと最近目が揺れる?視界が揺れる?感覚がほぼ毎日あるんですよね原因は分からないけどポテ神さんも気を付けて下さいね

67: ポテ神 2017-01-25 23:49:40 ID: OZjwVpT0

ノーネームさん!

女神最強ですよ!!なんせ女神ですから!そして黒髪は黒髪だ!

提督と西提督

俺もこんな友人が欲しいです!殴り合いは勘弁ですけど

そして!ノーネームさんの友人は最後には刺されるタイプですね!夜道に気をつけてくださいね!

そしてそして!ノーネームさん!手遅れになる前に病院へ行け!!

絶対に行け!!いいな!行けよ!!

68: ゼロシステム 2017-01-26 23:37:21 ID: 2OfH__M9

更新お疲れ様です!
天龍…ガチ泣き見てみたいです…
最近天龍にも目覚め始めていたので嬉しい限りです!

提督も相変わらず熱い人間で感動しました!カッコイイ……

春雨さん…多分怒らせたら怖いんでしょうね…

これからも更新頑張って下さい!応援してます!

69: ノーネーム 2017-01-27 02:10:33 ID: iMe_N6Ei

更新お疲れ様です

天龍もかわいいの~相変わらず提督さんはかっこいいですな!

これからも応援してます!

春雨に壁ドンされながらツンツンされたいな(遠い目)

絶対に行けってフリかな?w

70: ポテ神提督 2017-01-28 23:50:16 ID: pn2yOZgR

ゼロシステムさん!

ツイッターの放置アカをとりあえず直して名前を変更したポテ神提督です!

天龍さんのガチ泣きですか・・良いですね!普段あんな感じな娘が自分の前でだけ見せる涙・・たまらない!

自分も提督の様にかっこいいと言われてみたいものです・・

普段笑顔ばかりの娘ほど怒ると怖い娘はいませんからね

次の更新が最後になると思いますがこれからもよろしくお願いしますね

ノーネームさん!

かっこいい!その言葉だけで書いた意味はあります!俺がそうではないのでせめて物語の主人公はかっこよくしたいんですよ!

天龍はかわいい!異論は認めない!

瞳孔の開いた春雨さんにツンツンされたいと?とんだドMな方だ

そしてそして!フリ?何を言ってる!そんな下手をすれば命に関わるフリを誰が言うか!

良いかい?毎日目眩が起こるこれは尋常ではない!

病院に行くんだ何もなければそれで良いんだよ!

ノーネームさんに何かあったら!コメントしてくれる人が減るじゃないですか・・

フリでもなく病院へ行く事を強くオススメします!

71: ポテ神提督 2017-01-28 23:54:11 ID: pn2yOZgR

オススメの6番さん!

そんな一気に読んでいただけるなんて感激です!貴方のオススメを見てガッツポーズをして周りの上司達に驚かれてしまいました責任をとってください!

小説家になれるなんてあり得ないけど言われて嫌ではなかったですありがとうございます!

もし良かったらこれからもコメントなどを残してくれると嬉しいです!

貴方のコメが俺にとっての女神です

如月に手を出したら・・ね?分かってるよね?

72: SS好きの名無しさん 2017-01-29 00:16:31 ID: IgtdLYBM

更新お疲れ様です!
天竜のガチ泣きシーンはと提督のシーンは心にぐっと来ましたよ
ブラ鎮の人間と呼ぶ価値のない提督は死すべし
でも人間には西提督さんや研修生の皆さん、そして提督などいろいろで
今回の回は正に十人十色を主としたのかな?(あくまで第三者視点の考え
)と思いました!
これからも頑張って下さい!応援しています!
追記:ノーネームさんと同じく春雨ちゃんに壁ドンされながらツンツンされたい(命知らず)

73: ポテ神提督 2017-01-30 00:30:40 ID: 07o2Fi05

72番さん!

こんなクソSSが心にグッときてくれたのなら書いている自分としては嬉しい限りです!

まさにその通りです。人にはそれぞれ違った考えがあり提督は一括りにするのは間違っていると言いたかったんです

世の中には色んな人がいます。自分の考えを理解してくれる人間がいれば貶す人間もいます

それが個性であり考え方の違いです。どちらも悪くなく仕方ない事だと考えるのが良い人生の生き方だと思っています。自分はまだ出来ていませんが・・そうなれたらなと思っています

だからこそ視野を広く持とうという事です!

程々に頑張りますね!

ちなみに、提督はジッと一時間耐えたからこそ無事でしたが、春雨さんがツンツンしてる時に指なんて触ろうものなら胸に七つの傷が付けられていましたがそれでも良かったのですか?

いえ、聞くだけ無駄ですね

74: ゼロシステム 2017-02-08 01:54:59 ID: XVDg5bKd

第7章完結、更新お疲れ様です!

早い事にもう7章も終わったんですねぇ…
こんなに長い間続けているのにまったく変わらないクオリティで凄く感動しました!

なんやかんや自分もこのSSにお世話になっているので最後までお付き合いさせて頂けたらなと思います!

次の第8章の更新も楽しみにしてます!これからも頑張ってください!!

朧さんも着痩せするタイプなのか……駆逐艦とは奥が深い……

75: ノーネーム 2017-02-08 06:23:45 ID: PPNslCip

更新と完結 お疲れ様です!

運転手さんカッコイイと思ってたら奈落に突き落とされました…良い人だと思ったのに!

とぉぉお↑おおう↓と気合いを込めれば究極の紅茶が入れられるのか…金剛とやらねば!(謎の使命感)

あ、これからも無理せず頑張って下さい8章も楽しみにしてます!

目の件ですね…アレですね病気じゃなかったです! 画面などで目の疲れが溜まってたらしいです 最近はまだ起きてないです!

76: SS好きの名無しさん 2017-02-09 17:53:01 ID: xR_JySqt

七章完結お疲れ様です!ほう....神戸生まれ神戸育ちの俺が
熊野お薦めの紅茶の淹れ方を知らなかったとは....何たる屈辱!
これは早速実践だ!
一時間後、調子に乗った結果火傷しました(自業自得)
でもポテ神さんのせいじゃないですよ!自業自得ですから...
八章も楽しみにしてます!
追記:小説家目指しては如何ですか?(推薦)

77: SS好きの名無しさん 2017-02-09 17:53:42 ID: xR_JySqt

七章完結お疲れ様です!ほう....神戸生まれ神戸育ちの俺が
熊野お薦めの紅茶の淹れ方を知らなかったとは....何たる屈辱!
これは早速実践だ!
一時間後、調子に乗った結果火傷しました(自業自得)
でもポテ神さんのせいじゃないですよ!自業自得ですから...
八章も楽しみにしてます!
追記:小説家目指しては如何ですか?(推薦)

78: ポテ神提督 2017-02-09 21:42:23 ID: tw0ozGZt

ゼロシステムさん!

早いものです・・一体何章まで続くのか

これもゼロシステムさんがコメをくれたおかげです!ありがとうございます!

此方こそ最後まで付き合ってもらえると嬉しいです!

駆逐艦には可能性が眠っているのです!

第8章もよろしく!

ノーネームさん!

陸軍は上げて落とすのが大好きです!運転手も例外ではありません

くまのん落としをやると金剛さんにビンタされますよ?紅茶術は奥が深いです

金剛さんには金剛さんの紅茶術があります。彼女に聞いてみましょう。その為にまずはティータイム仲間になりましょう

そして心配していたんですよ!なんともなくて良かった・・ブルベリーをたくさん食べてアントシアニンとりまくろう!

あと、夜更かし禁止で!

第8章もよろしくお願いしますね!

79: ポテ神提督 2017-02-09 21:52:27 ID: tw0ozGZt

76番さんと77番さん!

まったく同じコメにビックリです!きっと同じ事を考える人なんですね!双子かな?

くまのん落としはくまのんからちゃんと教えてもらわないとただのキチガイな方になってしまいます

くまのん大先生をまずは見つけよう!やるのはそれからだ!

でも、書いた俺に責任はあります。一つ紅茶は難しいので緑茶で試してみよう!

第8章もお楽しみに!

そして小説ですか・・・・オリジナルって難しいですよね

特に名前とか・・うん!無理!

神戸牛食べたい!!

80: 春雨麻婆豆腐 2017-03-12 18:34:15 ID: vUqopGsx

ID同じだし、連投では?(マジレス)

81: ポテ神提督 2017-03-15 21:28:03 ID: BaAVCnpK

春雨麻婆豆腐さん!

世の中にはですね?同じ顔の人が三人はいると言います

なら!同じ文面の人もいたって良いじゃないか!

同じIDだって!いるかもしれない!

間違って二回押したなんて事は絶対にない!!













多分・・

82: SS好きの名無しさん 2017-03-20 00:26:36 ID: gg45D7N6

残念、間違って2回押しただけなんだよなぁ......


このSSへのオススメ

8件オススメされています

1: ゼロシステム 2016-11-05 02:01:55 ID: Fbl-Uv-s

ずっと読んでられる作品です、ネタも豊富なので飽きることがありません!

2: こっぺ 2016-11-08 02:07:11 ID: aZFTj4d3

安定感

3: 春雨麻婆豆腐 2016-11-09 22:27:42 ID: HD1XjP7t

一作目からどんどん磨きがかかってる! perfect!

4: にゃんだふる 2016-11-22 22:58:04 ID: OtKHoPLW

艦これSSの代表作ですね

5: SS好きの名無しさん 2017-01-06 23:31:32 ID: dgatr4FE

最高ですね!飽くことのない物語設定や文章は脱帽ものです!

6: SS好きの名無しさん 2017-01-26 09:15:38 ID: QRDHn8fL

投稿お疲れ様です!昨日、2100(フタヒトマルマル)から、一気に読まさせていただきました。
小説家になることを少し、いやかなり、いや凄く、いや怪物級にオススメします!てか、俺の睡眠時間返して欲しいでち!ww
黒髪可愛いっすね、如月、貴様はお持ち帰りだ拒否権は無いwww
これからも、轟沈しない程度にss投稿頑張って下さい。(*^^*)b

7: SS好きの名無しさん 2017-01-30 23:55:10 ID: 39emxoNr

腕前はプロの小説家級!もう少し自分の腕に自信を持って欲しいです!

8: SS好きの名無しさん 2017-02-15 14:16:10 ID: U0aF7vk2

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