提督「離婚後の修羅場」
修羅場もの第2作目です。前作『寺男(元提督)「後の修羅場」』での修羅場不足を痛感して書いたリベンジ作です。よろしければお付き合い願います!
なお、今回は何回かに分けて書きますので、ご了承下さい。
漣「なんか…おかしくないですか?この絵?」
提督「へ?何が?」
始まりは秘書艦として長い付き合いの漣の一言だった。
鎮守府の提督として日々働くある日のこと、遠く離れて暮らす妻から『父の日に娘が書いた』絵が送られてきた。絵には『パパだいすき』と書いてあり、あまり帰れず寂しい思いをさせているにも関わらず、すまないと思うと同時に待っていてくれる有り難さを噛みしめていた。
休み時間にそれをニヤニヤ眺めながらお茶を啜っていたら一緒にいた漣が後ろから覗きこんできて放ったのがその一言だった。
提督「おかしいって…子どもが書いてるんだから多少はおかしな部分はあるだろ?」
漣「いえ、そうじゃなくて…なんというか…」
提督「何言ってるんだ?」
漣「ほら、よくみて下さいよ、『他の部分より顔に使われている肌色のクレヨンが濃いように見えない』ですか?」
提督「子どもの書く絵なんだ、きっと思い出して書くうちに濃くなったんだろう」
漣「そうですか?それにしては妙に濃いような…」
提督「妙な勘ぐりはするな、お前の気のせいだ」
漣「……はい」
提督「まったく…」
ーーーー夜
提督「漣にはああ言ったが…確かに濃いような…」
提督「それに『パパだいすき』って…俺は『お父さん』と呼ぶように言ってあるのに…」
チラッ
気になればなるほど集中できずたまらずに
提督「確認…確認するだけだ…」
鉛筆を持ち出して、特に濃い部分をなぞっていった。
ーΟ⌒Οー
………浮かび上がったのは、眼鏡だった。
俺は昔から眼が良いのが自慢で、だて眼鏡すらかけた事がないし、家にある写真の中にも俺が眼鏡をかけたものはない。
提督「い、一体、どういう事だ…こりゃあ…」
次の日から執務に身が入らず、度々ミスをしては漣に説教をくらい、そのうち
漣「前々からご主人様は働きすぎだと思っていました!ここは一度家に帰って家族にゆっくりと癒されてきて下さい!」と進言され、ちょうど娘の誕生日が近かった為、サプライズで一度家に帰ることにした。
ーーー
提督「大丈夫…大丈夫だ…」
自分にそう言い聞かせて、妻と娘へのプレゼントと花束を抱えて、自分の年代としては頑張って買った一軒家に…見なれない車があった。
妻はオートマ車しか乗れないのにマニュアル車、しかも2シートのスポーツ車、妻の父の趣味とは違う。
外にカーテン越しに見える妻と娘、そして『見なれない』影が写っていた。
パパー!アリガトー!
娘の嬉しそうな声が聞こえた。
可笑しいな?俺はここにいるし、パパじゃなくて『お父さん』って呼んでくれって言わなかったっけ?
あれ?
あれ?
あれ?
じゃああそこにいる『パパ』は
<○><○>「誰?」
ーーー
気がついたら、プレゼントと花束を握りしめたまま、少し離れた公園のベンチに腰かけていた。
信じられなかった、いや、信じたくなかった。
幼いころ両親を深海の連中に殺され、頼るべき親戚に両親の遺産を食い潰され、人間不信に陥っていた俺を救ってくれた妻が…妻が…
提督「浮気…か…」
あまりにショックが過ぎると涙も出ないというが、本当なんだなと思いつつ、軍人としての性なのか、とにかく冷静にやるべき事を考え、選択した。
そして、昔から良く面倒をみてくれた先輩(ガチホ○)に連絡し、先輩の知り合いの興信所と弁護士事務所に依頼し、その日から家にいるはずの休暇はネカフェで時間を潰し、やがて鎮守府に戻って、皆に土産を渡しつつ、再び執務に勤めた。
ーーーー
「真っ黒です」
3週間後、鎮守府近くのファミレスで先輩と共に来た興信所の所長が告げた。
先輩は眉をひそめて腕を組み、無言だった。
渡された資料を見せながら
「普通はある程度カモフラージュするものなんですが…あまりにも堂々としていて仕事が楽でして…」
予定していた日にちより早い段階で証拠があがりまくった為、『値引きしておきますね』と言われた。
資料によると妻の浮気相手は妻が勤めている会社の取引先の会社に単身赴任している既婚の会社員で、妻とは何年もの付き合いらしい。
単身赴任の寂しさから、自分と同じように夫が家から離れて居ない妻と関係を持つようになったんだろう、と所長は言っていた。
さらに家の鍵を渡して詳しく調べてもらった結果、夫婦で貯めていたはずの預金は毎月振り込まれているのは俺の分だけで、妻は一円も入れてなかった。さらに通帳は毎月かなりの額が引き出されていて空っぽ寸前だった。
幸いにも夫婦共通の預金の他に自分で使う分の金を貯めていたので、すぐに生活に困る事はない(というか、鎮守府での生活費は国に出してもらってるんだから自分が楽なのは当たり前だが)。
先輩「さあて……ここでちょっと考えがあるんだが」
提督「え?」
先輩「離婚は確定事項として、あの二人には『最高の瞬間に最悪の絶望』って奴を味わわせてやらなきゃな?」
先輩<●><●>「俺の可愛い後輩に舐めたマネした救えないほどのアホどもに…少しキツメのお灸が必要だよな?」
ゾクッーーー
先輩から立ち上る怒りのオーラが見えそうなほど、その瞳には一片の情けすらない。
そういえば、先輩と同期の人が『アイツは狼みたいな奴だ』と笑って言っていたのを思い出した。
仲間にはとても優しく、頼れるから上司から後輩まで様々な人が先輩を慕っていて、上と下の世代の橋渡しになっているが、自分や仲間に害をなす者には容赦しない。
そして先輩が示した策は……
ーーー
俺が妻と娘に再び会ったのは、某鼠の、夢の国のお城の前だった
妻「なんで…なんでいるの…?」
調査から少し後、妻宛に夢の国行きのチケットとホテルの宿泊券を3人分送り、その後『都合が悪くて行けなくなったから、二人で楽しんできて』と連絡した。
案の定、バカ面さげた浮気相手と来ていた。
その様子を隠れて見ていた。
妻も娘も目一杯楽しんでいた。
浮気相手もタダで夢の国を満喫していた。
あまりの悔しさに叫びたくなるが、先輩が肩を抱いて『まだだ、最高の瞬間まで待て』と抑えてくれた。
そして夜、パレードとラストの花火が終わると同時に、俺は声をかけた。
提督「楽しめたかい?」
妻「なんで……なんでここに?」
提督「目一杯楽しんでくれて良かったよ……何せ」
提督<●><●>「夢の国でお前達の夢が終わるんだからな、最後の情けで楽しませてやったんだ」
妻「あ、あの、あの、この」
提督「知ってるよ、浮気相手の○○さんだろ?はじめまして!妻の夫の提督です!」
○○「あわ、わ、わわわわ」
提督「さあて……ホテルで話し合いといこうか」
妻「ち、ちが、違うの!これは!これは!」
提督「話はホテルで聞こう、こいつを見ながらな」
分厚い封筒に入れられた浮気の証拠の数々をみて、妻はうつむき、浮気相手はその場に足から崩れ落ちた。
バシッ!
気がついたら娘が買ってもらったのであろうぬいぐるみで俺を叩いていた。
娘「えい!えい!えい!パパとママをいじめるな!悪者め!」
バシッ!バシッ!
提督「へ?ちが、待っ…」
娘「うるさい!お前なんか知らない!パパはいい人だもん!」
娘「パパは寂しい時にいつもいてくれる!遊んでくれる!」
バシッ!バシッ!バシッ!
娘「お前なんか知らない!あっち行け!行っちゃえ!行っちゃええええ!」
提督「……………」
バシッ!バシッ!バシッ……
ーーー
その後妻が娘をなだめていたが、娘が疲れて眠るまで待ち、その後話し合いが始まった。
とはいってもこちらの要求を提示し、受け入れさせるだけだったが。
妻は終始謝罪と言い訳に徹し、浮気相手はただ震えていた。
こちらの要求は
慰謝料・財産分与・養育費無しの離婚、使い込み分は養育費がわりに取らなかった。
実は話し合うまでは養育費は出そうと考えていたが、娘が俺の顔すら忘れ『お前』呼ばわり、さらに浮気相手を父親だと認識していた為、そんな娘に金を出すのが馬鹿らしくなり、辞めた。
そして、俺の持ち家(全額俺負担で一括購入していた)を浮気相手に相場より多少高値で買い取ってもらい、『妻との再婚』を要求した。既婚者とは知っていたが、そこは伏せて『娘に父親は必要だから』という俺なりの親心が理由である事を説明した。
妻は承諾したが、浮気相手はさらにガクガクブルブルと震え始めた。
どうやら浮気相手は妻に独身と嘘をついていたらしい。
○○「お金は言われた額を払いますから!それだけは!再婚だけは!勘弁して下さい!」
妻「え?」
提督「おいおい、こちらの家庭を壊しておいて『自分のとこは嫌』なんて言うつもりか?(ニヤニヤ)」
妻「自分のとこ?え?どういう事?○○さん独身だって…」
提督「逆玉で金持ちのお嬢を嫁にして子ども作ったまでは良かったが、家に帰れば嫁さんの実家住まいで肩身のせまいマス○さんだぜ?そいつ」
妻「嘘!何で!?嫌!?な!?なあは?!!な!たああああ!!??」
バシッ!バチッ!バチッ!
妻「なあ?!なん!何で!?何で!?」
妻は浮気相手を叩き始めた。
しばらくそれを眺めていたが、こりゃ長くなりそうだし、もう関わりたくないから、先に書いてもらった必要な書類(離婚届けと『今後一切、接触やお金の無心をしない、娘も同様とした念書など)を持って、「もう二度と俺に近づくな、何も求めるな、後は弁護士を通してくれ」と告げて、
バチッ!バチッ!
と叩く音がガツッ!ガツッ!と拳で殴る音に代わった部屋を後にした。
ホテルに部屋は取ってなかったので、そのまま街に繰り出し、先輩と入った居酒屋で、俺は泣きながら飲んで飲んで飲みまくってた。
飲んでる最中、いろいろと面倒をみてくれた先輩(ガチホ○)に酔った勢いで、「抱いて下さい、それくらいしかお礼が…」と言ったら
先輩「俺はお前を助けたくて助けたんだ、礼なんていらないよ。そんな事より風俗でも行って気分を少しでも晴らしてこい!」
と微笑みながら、財布から少なくない額のお金を出して俺に渡してくれた。
俺が女で先輩がガチホ○でなかったら、俺は先輩にプロポーズしていただろう。……いや、そうだとしたら競争率高過ぎて無理だな。先輩は正に男も女も惚れる『いい男』だから。
その後、修羅場を越えた俺は仕事を優先する仕事人間になった。妻と娘と浮気相手のその後は知らない、知りたくもない……
ドンドンドンドン!
ドンドンドンドン!
提督「どうしてこうなった………」
テートクー!シレー!シレーカーン!
ワーワー!ギャーギャー!
というか、鎮守府で起こっている『第2の修羅場』に身を置いていてそれどころじゃなかったからだ。
離婚以後、俺は仕事に打ち込みまくった。勤務時間以後も、仕事に関連する書籍を読み、自主トレに励み、休日は講習会に参加し、頭の中を仕事でいっぱいにした。
そうでもしなければ、心が押し潰されそうだったから。
だがあまりに仕事に没頭していた為、艦娘の皆に心配されてしまった。
艦娘の皆は俺が離婚した事を知らない。先輩から「できるだけ離婚の事は伏せろ、聞かれたら答える程度にしておけ」と言われた。
その時は俺の心を心配してあまり思い出さないようにしろという意味で言ったのだと思っていた。
だがそれは半分正解で半分違っていた。
ーーー
離婚から月日が過ぎ、第2の修羅場は年末から始まった。
俺は毎年鎮守府で忘年会に参加した足で家に帰り、大晦日に鎮守府に戻ってきて、元日に祝辞を述べるのが恒例だった。
だが忘年会を過ぎても仕事をしていた。皆には「どうしてもやらなきゃならない書類がある」と言っておいた。が……
提督(上司が居たら心が休まらないよなあ…)
と思い、近くを旅行しようかとも考えたが、どこも宿はいっぱいで泊まりがけなんて無理だった。
提督「どうしたもんかな…」
ベッドに寝そべり、買ってきた旅行雑誌に目を通す。
提督「仕事は結構先のものまで片付けちまったから、やる事がないし、だからと言っていつまでも鎮守府に居たら怪しまれるし…」
提督「またネカフェのお世話になるかな…」
コンコン!
提督「やべ!」
バサバサ!
俺はとっさに雑誌をベッドに隠した。
提督「いいぞ、入れ」
漣「失礼します、ご主人様」
ゾロゾロ……
提督「なんだなんだ、曙に潮、朧まで一緒に来て。ははーん、お菓子のストックが無いんでたかりにきたのか?ここにゃ餅しかねーがそれで良ければ…」
漣「……鎮守府の艦娘一同を代表して、ご主人様にお話があります」
提督「……まあ座れよ、茶を入れよう」
ーーー
グビッ!
提督「ふぅ…で、話ってなんだ?福利厚生の改善要求か?」
曙「…単刀直入に聞くわよ、『提督』」
俺の心拍数がはねあがった。
あの曙が挨拶がわりにつける『クソ』をつけずに俺を呼んだ、という事はかなり厄介な案件か?と思った。
曙「………家族と何かあったの?」
提督「!?」
曙は悲しそうな、でも真剣な眼で俺を見つめている。
漣「あの日…送られてきた絵を見て以後、ご主人様の様子がおかしいって事はわかっていました。でも仕事はいつも通りしていたから、些細な事かと思っていました」
漣「でもそれからしばらくしたら、ご主人様はとりつかれた様に仕事に打ち込むようになって…それにいつもならもう家に帰っているはずなのに…交通に支障が出てるわけでもないのに帰らない…」
漣もまた真剣な瞳で見つめてくる。そこにはいつものおちゃらけた雰囲気はない。
潮「わ、私達は、直接はまだまだ人間の世界を知りません。だ、だけどテレビやインターネットで、ある程度は勉強しています…こういう時は…か、家族と何かしらの…トラブルがあると出ていました」
朧「…何かあったんですか?最近はあれだけしていた娘さんの事も話題にしなくなりましたし…」
提督「………」
漣「沈黙は肯定したものと認識しますよ、ご主人様」
『退役後に困らないように』と色々教えていたのが仇になった。
漣「ご主人様…私達は…産まれた時からこの姿で、姉妹や鎮守府にいる皆は仲間であると同時に『家族』なんです。そしてそれにはご主人様も含まれているんです」
漣「…辛いなら…言ってくださいよ…苦しかったら…(グスッ)助けてって言ってくださいよ…(グスッ、グスッ)それが…『家族』なんでしょ?ご主人様…」
漣の眼に涙がたまって、今にもこぼれ落ちそうだ。
気がつけば他の3人も泣き出す寸前だった。
俺は何をやってるんだ。
いくら強いと言ったってこの娘達はまだまだ幼い、そんな娘達に心配かけて…悲しい思いをさせてしまうなんて……
提督「すまない、皆に心配をかけるなんて…提督失格だな」
漣「そんな事ないです!ご主人様が皆の為に日々業務に勤しんでくれるから漣達は戦えるんです!ご主人様だから!ご主人様が帰りを待っていてくれるから漣達は命をかけて戦いに行けるんです!」
提督「……ありがとう。じゃあ、聞いて……くれるか?俺の愚痴と弱音を…幻滅したって知らないぜ?」
漣「バッチこいです!」
ーーー
提督「という訳だ。お前達には余計な事で心を乱して欲しくなくて黙っていた。本当にすまな」
ギュッ!
提督「へ?さ、漣?」
気がついたら漣に真正面から抱きつかれていた。柔らかく、良い匂いがする…って違う!!
提督「おい!おい!漣!なにやってるんだ!?離せ!流行らせ!こんな場面を憲兵さんやら長門に見られたら俺の人生が!」
ギュウウウウウウ!
漣「………や、です」
提督「や、ですじゃな」
ガチャ!
長門「入るぞ、提督」
<(^q^)>ナンテコッタイ!
長門「そのままにしてあげてくれ、提督」
提督「へ?」
長門「実は先ほどから話は『皆』で聞いていた」
提督「フアッ!?」
長門「漣は『鎮守府の艦娘一同を代表して』と言っただろう?全員で押し掛けては迷惑だから漣に小型マイクを持ってもらって、その声を講堂で他の皆が聞いていた」
提督(やだ…俺の艦娘達、抜け目無さスギィ!)
長門「それに漣でなくても、ここの艦娘なら皆漣と同じ事をしていただろう」
長門「提督、貴方がされた事が、私達にとってはどういう事になるか解るか?長年の戦友に、戦闘中に後ろから攻撃されたに匹敵する事なんだ」
長門「それがどれ程辛く、悲しい事か…貴方なら解るはずだ、提督」
長門「本来なら私だって抱きしめてやりたいところだ」
提督(お前の全力ハグを喰らおうもんならあばらの5~6本はイっちまいそうだな)
俺は冷や汗が止まらなかった。
提督「気持ちは解った、だが、もう済んだ事だし、元を辿れば俺にも責任はあるんだ。前々から高雄や陸奥に『たまには家に帰らないと家族に忘れられてしまう』と忠告されていたのに帰らなかったんだから」
提督「だから…もういい…」
ビーーーッ!ビーーーッ!ビーーーッ!
緊急事態を知らせる警報が鳴り響いた。
ーーー工廠、艦娘発着場
オチツケ!
ハナシテ!ハナシテクダサイ!
ワーワー!ギャーギャー!
提督「どうした!?敵襲か!?」
大淀「あっ、提督!それが…」
朝潮「離しなさい!霞!満潮!」
霞「離すわけないでしょ!この馬鹿姉!」
満潮「何トチ狂ってんのよ!?」
愛宕「あらあら、離してくれないかしら?摩耶?」
摩耶「艤装に弾薬満載してどこ行く気だよ!」
愛宕<・><・>「もちろんあのクソビッ○をパンパカパーン♪しに…」
摩耶「可愛く言っても殺意が隠せてねーよ!」
時雨「そこを退いてくれるかい?吹雪」
白露「白露達がいっちばんにたどり着けなくなっちゃうよ!」
夕立「素敵なパーティーに間に合わなくなっちゃうっぽい!早く退いて!!ぽいじゃないよ!!!」
村雨「それとも改二になったこの四人の…ちょっといいとこ見てみたい?」
吹雪「何があっても行かせる訳にはいきません!」
叢雲「どうしても通るって言うのなら……」
綾波「綾波達が…」
暁「レディとしてお相手するわ!」
吹雪<●><●>「どうしますか?特型と白露型、お互い4対4の改二同士、闘り合いたいならお相手しますけど?」
時雨<●><●>「いい度胸だね」
夕立<●><●>「あのクソビッ○より先にパーティーしたい?『血祭り』っていうパーティーだけど?」
提督「あれ?そこかしこから穏やかじゃない会話が聞こえるんだが、気のせいかな?」
大淀「提督、現実逃避しないで下さい!」
提督「したくもなるわ!」
朝潮「あっ!司令官!霞と満潮に離すように言って下さい!朝潮は『司令官に仇なす者は死あるのみ』というルールに従っているだけなのに止めるんです!」
提督「何その超物騒なルール!?知らないんだけど!?」
朝潮「?朝潮が自分に定めたルールですが??」
提督「そんな危ないルール定めちゃ駄目ーーー!」
提督「いいかお前ら!過ぎたことで今さらあーだこーだやって何になる?それに深海悽艦の脅威から人間を守る艦娘が人間に害をなしてみろ!本末転倒だわ世間の目は冷たくなるわで洒落にならん事態になるぞ!」
朝潮「ですが!」
提督「ですがも巣鴨もない!俺はもう吹っ切った!気にしてない!だからお前らも気にするな!いいか!」
朝潮「司令官…(ウルウル)」
提督「だが、お前らの気持ちは正直嬉しいと思っている!こんな指揮官の為に怒ってくれる仲間を持てて俺は三国一の幸せ者だと自認する!」
提督「わかったか?わかったら艤装を戻して部屋に帰るんだ!」
朝潮「司令官…司令官!」
ギュッ!
白露「あー!ズルい!」
時雨「僕らも行くよ、夕立!」
夕立「ヨーソロー!」
ワーワー!ギャーギャー!
提督「おい、コラ!待ちなさい!俺の身体は一つしかない…誰だ!俺の尻触ってるのは!?」
ーーー
結局この後「提督慰め飲み会」が開催され、飲んべえどものオモチャにされた。翌日参加した全員揃って二日酔いして、隼鷹と密かに参加してた響が迎え酒でウォッカをあおっていたが、非番だったから咎めなかった。だが、これからはあの二人は『ウルトラ馬鹿酒飲み』と呼ぶ事にしよう。
結局離婚がバレて出かける必要がなくなり、年末年始は駆逐の遊び相手や軽巡の買い物の荷物持ち、重巡以上の皆の飲み相手をしながら普段とは違う年頃の少女らしい彼女達を見た。
ーーー
先輩「いいか?これだけは必ず守れ」
年があけて、俺は大本営の新年会に参加し、そこで先輩と挨拶を交わした。
その時離婚がバレた事を告げると先輩は言った。
提督「な、なんでしょうか?」
先輩「いいか、艦娘とは何があっても最後の一線、『肉体関係だけは持つな』戦艦だろうが空母だろうが一切の艦種を問わずだ」
提督「ヘ?いや、その…自分にとっては艦娘は今や娘みたいなものですから、流石にそんな関係は…」
先輩「今まで多くの提督が誕生しては辞めていった、そしてその辞めた理由の大半がそれなんだ」
提督「わ、わかりました…」
先輩「いいか?我慢はしないで風俗行くなり、人間の相手を見つけるなりしろよ。じゃないと大変な事になるからな!」
提督「は、はい…」
その時は先輩の言ってる事の意味が解らなかった。俺と皆が肉体関係?あり得ないと思った。
いくら皆が好きでもloveとlikeで言えばlikeだし、長い付き合いで、好きな有名人を聞いて男の好み位は理解している。
そう思っていた。
思わされていた。
あの時までは
何事も始まりは些細なものだ。そしてその些細なものが集まるととてつもなく巨大な力となる。
上に立つ者はそれに対して機敏に反応し、それが自分の身に害を及ぼす前に対処できる事も資質の一つに数えられる。
春まだ遠いある日の夜、談話室で皆と見ていたテレビの番組が、いつもと違っていた。
毎週その時間はジョニーズ事務所の若手タレントが出演するので、海防から駆逐や軽巡の娘らがキャーキャー言いながらあの人がいい、この人がいい、と人間の女の子らしくはしゃいでいたのに、その日は他のバラエティー番組になっていた。
最初は『特番でもあったのか?』位にしか思わなかった。
だが、バラエティー番組が毎週になって、ジョニーズの番組を見なくなった。
今思えばそこで先輩に相談していたら…と思わずにいられない。
そこから段々と皆が変わっていき
気がついた時にはどの娘達も姉妹艦と居る事が多くなり、以前はよく一緒にいた吹雪、夕立、睦月の3人が並んだ姿をいつの間にか見なくなった。
そして大淀や明石や夕張、島風のような姉妹艦の居ない娘は工廠に居る時間が増えた。
だが、表だって争っているわけではなかったので、もう少し様子を見ようと決断した。
それが最大の間違いであると気付きもせずに。
そして、運命の日、ホワイトデーがやってきた。
バレンタインは『全員分貰うと身体がやばくなるから』という事で、皆でチョコフォンデュパーティーを開催し、それを全員からの分とした。
ホワイトデー前日、俺は馴れない手つきでクッキーを焼いていた。俺から皆に渡すものだからと、1人で作り、ラッピングして、全員分ある事を確認した時、時間はもうすぐ日付が代わる頃だった。
俺は余ったクッキー(形が悪かったり、欠けたもの)を夕飯がわりに食べながら、インスタントのブラックコーヒーを飲み、『皆に喜んでもらえたらいいな…』とニヤついていた。
妻と娘が去って以来、俺は鎮守府の艦娘は『自分の娘だ』と思うようになり、最近の皆の変化が少しでも昔の、元の姉妹も艦種もない賑やかな鎮守府になってくれればと願った。
カチッ!
ボーーーン…ボーーーン…
「日が変わったか…」
片付けをして部屋に帰ろうかな?とした時
ガラガラ!
「ご主人様!」
あわてた様子で調理場に漣がやってきた。
「なんだ、まだ寝てなかったのか?心配しなくてもホワイトデーのお返しは用意…」
「ご主人様!早く!早く逃げて下さい!」
「はあ?」
「説明は後でしますから!早く!」
「どうしたんだ?まさか深海の奴等か!?」
「ある意味それよりタチが悪いのが来るから!早く!」
訳がわからない。そう思っていたら
「提督…」
「司令官…」
「司令…」
ぞろぞろと皆が入ってくる。
漣は皆から俺を守るかのように前に立ちはだかった。
「おいおい、皆気が早いぞ?クッキーあげるのは午後から…」
「いりません」
「は?」
「いりません」
うつむきながら吹雪が答えた。
「いや、だってせっかく作ったのに今さらいらないって…」
「私は…いえ、『私達』はもっと別のものが欲しいんです」
「ワガママ言うなよ、高いものなんて人数分用意できないぞ!」
「大丈夫です、司令官なら必ず用意できるものですから」
「なんだ?その欲しいものって…」
「家族、本物の家族が欲しいんです」
「か、家族!?」
その瞬間、身体中を冷たい感覚が走った。
ヤバいヤバいヤバい!
逃げろ、逃げろ、逃げろ!
頭が命令を出しても身体が言うことを聞いてくれない!全く、ピクリとも動かない!
「司令官…」
「私達は…ずっと我慢していたんですよ?」
「が、我慢、だと?」
あまりの恐怖にやっとかすれた声が出せるだけだった。
「私達はずっと…司令官が、奥さんや娘さんが羨ましかった。司令官がいつもいつも嬉しそうに…二人の事を自慢してきて…」
「そんなつもりは…」
「あろうと無かろうと関係無いんですよ!」
ビクッ!
身体がこわばる。
殺気を宿した眼は鈍く輝いていた。
たとえ女・子供の姿だろうと、見た目相応の行動をしてても、彼女達は歴戦の兵(つわもの)であり、また人と人ならざる間(はざま)に生きる存在なのだと思い知らされる。
「でもそれはもういいんです。終わった事ですから」
「でも…ふと思ったんです、『司令官の家族が去ったなら、私達が司令官の新しい家族になれるんじゃないか?』って…そしてその考えが皆をバラバラにしてしまいました」
「でもそれはある事に気づいたら無理なんだってわかりました」
「そう、『司令官は人間で私達は艦娘』なんだと。人と人ならざるものは一緒にはなれない」
ガクガク、ブルブル!
身体の震えが止まらない!怖くて怖くて話の先を聞きたくない!でも逃げられない!
いつの間にか俺と漣は戦隊ものの戦闘シーンのように周りを囲まれていた。
「私達は解体されない限りこの姿のままで、貴方だけが年老いて…やがて海軍からも、この世からも去ってしまう。そんなの…」
「許せない!許せる筈がない!私達の家族が!大事な人が!そんな!そんな!私達の手の届かない所へ行ってしまうなんて!そんなの絶対に、絶対に許せない!」
俺は皆の眼が吹雪と同じようになっている事に気づいてしまった。
「その事に気づいて、私達はある結論にたどり着きました。奇しくもそれが私達をまた一つにまとめたんです」
「け、結論?」
「はい!」
「司令官に『人ならざるもの』になってもらえば、私達は永久に一緒です!ああ!!なんて素晴らしい考えでしょう♪」
「は、はあ?」
「既に準備は整いました!逃げ道もふさいで、通信なんてどこにもできません!後は……」
ズシャッ!ドチャッ!
俺達の前に投げ出されたのは、血まみれの曙・潮・朧だった。
「お、おい!お前ら!」
「そんな!皆!」
「私達の明るい家族計画を邪魔する最後の1人を始末するだけです♪」
ハー…ハー…
3人はかろうじて息はあるらしく、小さく身体が上下している。
助けてやりたいが、今はこちらもピンチでどうにもできない。何とも歯がゆい。
「さぁ、漣ちゃん?選んで?司令官を渡して協力するか、ここで私達に半殺しにされるか」
「ハア…」
ポリポリと頭をかきながら漣はめんどくさそうにため息を吐く。
「吹雪ちゃん…」
漣は髪止めの玉を触り
ブチッ!ボン!
玉を引きちぎり床に叩きつけると一瞬で調理場が煙に包まれた。
「ご主人様!こっちです!」
俺は漣に手を引かれた。
ガシャーン!
ガラスが派手に割れる。
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ま、まさか髪止めの玉に煙玉を仕込んでいたなんて…みなさん!追って下さい!」
ダダダダダダダダダダ……
「絶対に逃がしませんよ司令官…」
「いえ……あ・な・た♪ウフフフ…」
タッタッタッタッタッ……
…………………
「誰も居ないようですね」
「ああ、そうだな」
「びっくりしたぜ、手を引かれたと思ったら机の下に隠れるなんて。ちょっと頭打ったぞ(イテテテ!)」
「捕まらないだけマシでしょ?それにいくら漣でも全員相手じゃ分が悪いです、ここは煙玉で姿を隠して、外に逃げたように見せかける為に残りの玉をガラスに投げて割って、全員が散った後に逃げるのが吉ですよ♪」
漣は髪止めを全部使った為にツインテールではなく、ストレートになっていた。なかなか新鮮な感じだ。
「さて、ご主人様は早く逃げて下さい!漣は皆を治療しなきゃならないんで!」
「な!?おい!俺1人で逃げられるかよ!」
「心配無用です!なぁに、後から必ず追いかけますから!」
「何死亡フラグ立ててんだよ!」
「そうですよね、立てるなら恋愛フラグの方が…」
「ふざけてる場合か!」
ガシッ!
チュッ!
「ンム!」
漣は俺の胸ぐらを掴み、そのまま唇同士のキスをしてきた。
「さ///漣///!?」
「……///無事に解決したら…ご褒美にキスの続きを///教えて下さい、ご///ご主人様…」
「漣…」
「さぁ、ご主人様!早く!」
ここまでやらせてしまったら、もう逃げない訳にはいかない。
「………キスの続きは…お前が大きくなったらな。任せたぞ、漣!」
「大きくなったらって私達は成長しな…ハッ!!はい!♪」
………良くできた秘書艦だ。最初期からの付き合いなだけはある、そう想いながら調理場を後にした。
ーーー
漣と別れ、俺は一路自室を目指した。要所要所は固められてるだろうから、スマホで先輩に助けを求める為だ。
スマホは俺の鍵つきの机に入れてあるから無事だろうし、最悪見つかっても窓の周りには何も無いから入ろうにも入れないし、鍵を閉めれば、ドアからだって入れない。
心臓がバクバク音をたてている。いつ見つかるかという恐怖に苛まれつつ部屋に向かい、やっと自室に…
「あっ!いた!皆ーーー!いたよーーー!」
しまった!
あわてて部屋に飛び込み、腕に捕まえようとした手がカスった感触に全身の血が凍りつくような感覚を感じながら、鍵をかける。
ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
テートクー!シレーカン!シレー!
「ハア…ハア…」
ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
「どうしてこうなった…」
俺はただ、昔のような鎮守府に戻って欲しかっただけなのに…
気を取り直して机をあけ、スマホを取り出す。
早く、早く、早く先輩に!
プルルルルルルルル!プルルルルルルル!
早く、早く、早く出てくれ!
プツッ!
「もしもし!先輩で…」
『只今、電話に出ることができません…』
「クソ!早く伝言になってくれ!」
『……メッセージをどうぞ』
ピーッ!
「もしもし!先輩ですか!た…」
ガシャーン!!
「何!?馬鹿な!窓からは…」
ガシッ!
「うわっ!は、離せ!離せよ!」
バチッ!
「グアッ!」
首筋にスタンガンらしき電撃をうけて、俺の意識は途切れた。
ーーー
チクッ!
「イテッ!」
両手に何かが刺さった痛みで目が覚める。
寝かされていて、さらに身体をバンドで固定されてて動けない!
「ここは…」
「工廠ですよ、司令官♪」
横を見ると吹雪が満面の笑みを湛えていた。
「工廠?工廠で何をする気だ!?」
「司令官の『改修』です♪」
「か、改修?」
「はい♪司令官の腕に刺した針についた管を見て下さい!」
管は延びに延びて、大人並みに大きな2つのガラス製らしきタンクに繋がっていた。だが、一つは空で一つは何か赤黒い液体で充たされていた。さらに言えば液体で充たされているタンクの方が空のタンクよりもデカい。
「な、なんだそれは!」
「私達の『血液』です」
「な!?け、血液!?」
「はい。今から、司令官の身体の中の血液をこちらの空のタンクにぜーーーーんぶ抜き取って…」
「こちらの私達の血液と交換します!さらに血液交換が終わったら…」
ボコボコ、グツグツ…
「こちらの高速修復剤をベースにした改修剤で司令官の身体を作り替えちゃいまーす♪」
「な!?おい!嘘だろ冗談だろ!?て言うか実験とかしたのか!?いやそれ以前に血液型は!?おい!聞いてるのか!?」
「心配ありません!愛の力は全てを可能にします!」
「答えになってねーよ!早く離せ!冗談もいい加減にしろ!」
「大丈夫ですよ!改修が終わったら、『第2の誕生日』として誕生日パーティーをしてあげますからね?バースデーケーキも皆で作っていますから期待しててくださいね♪」
「クソ!さ、漣ー!漣ー!助けてくれー!」
「あら?漣ちゃんならそこにいますよ?」
「え?」
吹雪が指差した先には、工廠の柱に姉妹と共に鎖で縛られた漣が、うつむいて動いてない姿だった。
「あ、ああ…漣…」
ポロポロと涙が零れた。
ペロッ!
「ウフフ…司令官の涙…美味しいですよ♪」
「漣…漣…」
「さあ司令官!始めましょう!」
「ハッ!ま、待て!吹雪!」
「では司令官…」
「やだ!やだ!やだ!誰か!誰か助けてくれ!」
「改修開始です♪」
カチッ!ブイイイイイイイイン!
機械の作動音が工廠に響く
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
恐怖に耐えられなくなった俺は、再び意識を失った。これが夢であってくれと願いながら。
ーーーー
「ん、んん…」
気がついて最初に目にしたのは白い天井だった。
「た、助かった…のか?」
ふと辺りを見回すと、誰かが世話してくれていた様子がある。
とりあえず起き上がって周りを確かめる。病院というにはいささか狭い、まるで保健室のようだ。
「あれから俺は…俺はどうなったんだ?」
身体の具合が悪いとか違和感があるとかはないが、不安で不安でたまらない。
「おーい!誰か居ないか!」
動きたいところだが、天井から吊るされた点滴で繋がれている為、動けないので誰か居ないか呼んでみる。
ガラガラ!
「あ、お目覚めになりましたか。良かった」
「君は?」
「私は『戸利合鎮守府』第1秘書艦の大淀と申します」
「戸利合鎮守府!?な、なんで!?じゃあここは…」
「はい、ここは戸利合鎮守府です」
「一体、どうして…」
「実は我が鎮守府の提督代行と先輩提督は同期で、昔から先輩提督には助けてもらったそうです」
「そして以前から『後輩の鎮守府がヤバいみたいだから、何かあったら一番近いお前の鎮守府で助けてやってくれ』と頼まれていたそうです」
「そして、1週間前の夜に先輩提督から連絡があって、私達が鎮守府に出向き、貴方を救助しました」
「い、1週間前!?」
「はい。私達が着いた時には鎮守府の皆さんは縛られていた第7駆逐隊を除いておらず、貴方は眠ったままの状態でした」
「鎮守府内をくまなく探してみたところ、遺書が置いてあり、『改修をして、司令官を死なせてしまった、この上は、戦って死んで、全員であの世でお詫びする』と書いてあり、四人を除いた全員分の艤装が…無くなって…いました」
「そ、そんな!じゃあ何故俺は生きてるんだ!?」
「それが……私達が着いた時にはすでに貴方は眠った状態で…医師が言うには、恐らく一時的な仮死状態になっていたのを勘違いして、それを悲観して…」
「そんな…そんな…」
ポロポロと涙が溢れ、握りしめた手の甲に落ちた。
「なんで…(グスッ!)なんでだよ…(グスッグスッ!)俺はただ…昔の鎮守府に戻って欲しかった(ウウッ!)だけなのに…」
「……心中、お察しします」
ガラガラ!
「ご主人様!」
「漣…」
「ご主人様!ご主人様あ!ウワーン!」
「漣…漣!」
バタバタバタ!
「ハア!ハア!クソ提督!」
「提督!」
「提督!」
後から入ってきた曙、潮、朧も皆、俺と抱き締め合いながら泣いた。
生きていた喜びと
仲間を失った悲しみ
その2つがごちゃ混ぜになった複雑な思いを抱えて。
空もまた、俺達のように涙雨を地上に流していた。
ーーー
あれから時はたち、俺と第7駆逐隊のメンバーは辺境の鎮守府に異動した。
自分の意思では無いとはいえ、あれだけの騒ぎを起こしたのだから処分も覚悟していたが、今まで『人間に艦娘の血を輸血したり、修復剤を使用した例が無い』事や、先輩と戸利合鎮守府の提督代行が弁護してくれたお陰で、辞めずに今に至る。
しばらくは俺も皆も、暗い雰囲気ですごしていたが、長い時間と、何もないけど綺麗な浜と青い空と海に心を癒され、少しずつ調子を取り戻しつつある。
またここから始めよう。
今はただそれしかない。
残された、漣、曙、潮、朧と共に。
俺は生きていく。
命が尽きる時まで。
完
ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました!
リベンジと意気込んだはいいが、後半の失速と迷走が今回の大きな反省点と痛感しております。
せめて始まりと終わりはきちんと作るべきだったと反省しきりです。
ですが、これで終わらせる訳にはいかないと思っています。
駄文ばかりの私ですが、これからもお付き合いいただければ幸いと思っています。
さて、次の単発作はいよいよB提督が帰ってきます!
あのガチホ○提督がどうなるか?それは発表をお待ち下さい!
改めて、ご覧いただきありがとうございました!またお会いしましょう!
これが噂の昼ドラ艦これ…!
そして、ホモは世界を救う…はっき。わかんだね!
1氏、ご覧いただきありがとうございます!
昼ドラ並みのドロドロ目指して頑張ります!
この先輩たぶんB提督の親戚だな!
あと妻が浮気相手殴っているのがケンシロウに見えた。この後の展開がきになるので毎秒書いてください!
3氏、ご覧いただきありがとうございます!
毎秒はやめてくださいしんでしまいます
(^q^)
どうもです。
浮気は万死に値する....。
冗談はさておき....、浮気をするような、
薄っぺらい家族の絆だったなら、
提督には悪いですが、
これで良かったのかもしれませんね....。
これからは、提督を慕ってくれる
艦娘達と真の"家族の絆"で固く結ばれた
出来事の数々を楽しみにしております。
更新頑張って下さい。
失礼しました。
黄鼬狐氏、ご覧いただきありがとうございます!
さて、提督と艦娘の『絆』はどのような変化を見せていくか?ゆっくり更新ですが、ご期待に添えるように頑張ります。
改めて、ご覧いただきありがとうございました!
ま~たドロドロしてんんなぁ・・・
って思って読み始めてたらいつの間にか読み終わっちまってた!w
続きが気になって仕方がねぇぜ!
茶を飲む時の効果音といい、アンタ才能の塊かよぉ!(称賛)
艦娘、それも駆逐艦とヤッちゃうのは確かにマズイ。
発育の良い白露姉妹ですら人によるだろうけど基本中学生くらいの
認識だろうしなぁ。
7・8氏、ご覧いただきありがとうございます!
7氏、気に入っていただけたなら幸いです。自分は才能があるのではなく、ただ書いて口に出して読んでみて、気に入ったものを書いてるだけです。非常に時間がかかる為、やはり才能と呼ぶほどではありません(笑)
8氏、駆逐どころか海防という手を出したら完全にアウトな娘もいます(笑)
改めて、ご覧いただきありがとうございました!ゆっくり更新ですが、よろしければまたお付き合い願います!
めっちゃ続きが気になるンゴね
ドロドロましましでお願いしますw
10氏、ご覧いただきありがとうございます!
やっぱり修羅場ってやつは見てる分には皆、大好きなようですな(ゲス顔)
マシマシ、畏まりました(笑)
ドロドロと言うか血生臭いと言うか.......
12氏、ご覧いただきありがとうございます!
なるべくグロ成分は控えめにしようとは思ったのですが…ストーリーの関係上、ちょっと出しました。ご了承下さい。
まだまだ手探りでドロドロを模索中ですので、ご意見は非常にありがたいです。
今作はそろそろクライマックスに近づいています!皆様の期待に添えるよう、頑張っていきますので、何とぞ、宜しくお願いいたします。
改めて、ご覧いただき、ありがとうございました!
ラストがあっけなさすぎてなんとも言えない気持ち
コノハ氏、ご覧いただきありがとうございます!
ラストのあっけなさは自分も心残りではありましたが、次回作は良く内容を練ってから頑張ります。
改めて、ご覧いただきありがとうございました!
初めまして、この提督に起きた浮気って確かにまとめで出ていたやっですかね?
たしか子供は男の子で突入したのはたしか子供の誕生日だったはずしばらくして妻は復縁しようとしたけど子供が完全に父親の顔を忘れてご破算になった話が元ですか?
16氏、ご覧いただきありがとうございます!
そうです、まとめに出ていたものをそのままはまずいので、変更してあります。
自分にはそういった経験が無いので(本来そんな経験はすべきじゃないのですが)まとめ等は助かっています。
改めてご覧いただきありがとうございました!
何故、吹雪等、毎回、病む艦娘は決まっているのだろうか?
意外に陸奥・矢矧・霞辺りはあまり病まない。むしろ常識人である。
18氏、ご覧いただきありがとうございます!
やはりそういうキャラとして使い方やすいという点があるかと…
常識人枠もまたしかりだと思います。
改めて、ご覧いただきありがとうございました。
不倫されて艦娘にって言う展開いいねー
わいもヤンデレ艦娘に追いかけ回されたいな
20氏、ご覧いただきありがとうございます!
私も一度だけならされてみたいです(涙)
どうして漣たち7駆の面々は正気でいられたんだろうか?
22氏、ご覧いただきありがとうございます!
七駆の面々は…どちらかと言えば恋人より家族といった考えだった為…と言えば聞こえはよいのですが、これを書いていた時期はかなり精神的にキテいて、『とにかくラストまで持っていこう!』と無理やり修めました。今後はそういう事がないように精進する次第です。改めて、ご覧いただきありがとうございました!他の作品もよろしければお付き合いをお願いします!
浮気はクソ!