提督「ね、眠い……」
ズイ(ง ˘ω˘ )วズイ
下ネタ、キャラ崩壊、gdgd、文章構成が雑etc.....許容出来るお方は雁首揃えていらっしゃいませ
【艦これSS】
「……眠いなぁ」
春。柔らかく暖かい日光に照らされ、どうしても眠くなってしまう季節。
「瑞鶴、お前は眠くないか?……って」
瑞鶴は、それはもう気持ちよさそうに寝てた。
「……まだ寝かせとくか」
・・・
「……ん」
「お目覚めか?」
「……んぅ……てーとくさん……」
寝惚けた瑞鶴が、唐突に抱きついてきた。
「はぁ……起きろー」
「……すぅ」
また寝るのかよ。寝るなら寝るで離してほしいんだが。
・・・
「……はっ」
「やっと起きたか」
「提督さん、今何時!?」
「フタヒトマルマル」
「……ごめん」
「いや、いいよ。俺だって眠かったし、仕方ないさ」
「……ありがと」
ところで瑞鶴。
「そろそろ離してくれないと執務が終わらないんだが」
「え?……!?」
いや気づいてなかったのかよ。
「ご、ごめん!迷惑だったよね!?」
「いや、迷惑ではないけど……」
何がとは言えないけど柔らかかったし。え、柔らかいなんて有り得ないだと?AC版瑞鶴だよ察しろ。
「……お詫びに執務、手伝おっか」
「ダメだ。艦娘はフタヒトマルマルには寝るように言ってあるだろ?」
「ねぇいいじゃん!ずっと寝てたんだし、寝られる訳ないよ!」
「……仕方ないな、但し眠くなったらすぐに切り上げて寝ること!その約束が守れるのなら手伝ってくれ」
「分かった、約束ね!」
・・・
「提督さんが寝ちゃった……」
「……zzz」
「まったく、仕方ないなぁ……残りは私が……」
「ずい……かく……」
「?」
「……すき……だ……ぞ……zzz」
「!……もうっ」
「zzz」
「さって、布団に運んであげますか!」
・・・
「……ん……?」
「んへへぇ……てーとくさーん……」
「……え?」
目覚めると、そこは自室。いつの間にか執務中に寝てしまったようだ。瑞鶴が運んでくれたようだな。……その瑞鶴が俺に抱きついて寝てるが。
「起きろ、瑞鶴」
「……んゅ」
……んゅってどうやって発音したんだ?
「ほら、寝惚けてないで顔洗ってこい」
「わかった……」
・・・
「なっ、なななな!?」
洗面所から瑞鶴の声。
「ど、どうしたんだ!?」
「なんで私、提督さんの部屋で!?」
「知らないよ、お前が勝手に寝たんじゃないのか」
「……はっ」
『よし、提督さんの移動完了……ふぁあ、眠い。ここでもう1つ布団出して寝かせてもらお……あれ、ない。提督さんの布団でいっか……』
「心当たりがある様だな」
「……ごめん」
……助け舟でも出してやるか。
「あやまる必要は無いよ、眠くなったら寝るって約束を守っただけだろ?」
「……そ、そうよ!提督さんとの約束を守っただけよ!私は悪くない!うん、悪くない!」
「ならいいじゃないか」
「そうね……うん、そうよね」
「ほら、自分の部屋で支度してこい」
「うん!」
・・・
「あら、瑞鶴。朝帰り?」
「なっ、翔鶴姉!そんなんじゃないって!」
「本当かしらね?二人とも仲が良いし、怪しいわよ〜?」
「もー!違うってばぁ!」
・・・
「加賀さーん、カラオケ行きませんか?」
「あら、蒼龍。いいわよ、但し提督も連れてきなさい」
「提督を?」
「あなた達にも提督の歌を聴かせてあげるわ」
「あ、言い忘れてましたけど、五航戦の2人も来ますよ」
「……まぁいいでしょう、あの2人のお手並み拝見ね」
・・・
「と、いうことで!」
「俺が行く必要ないよな?」
「もー、提督!そんな釣れない事言わないでよー!」
「しかしな、飛龍。お前らが非番でも俺は仕事なんだ」
そう、艦娘全員が非番の日は秘書艦無しで1人執務をしなければいけないのだ。
「そうでもしないと加賀さん来てくれないの!お願い!ね?なんでもするから!」
「ん?今なんでもするって……」
言ったよね?
「うん、なんでも。提督になら、別に……ナニ、されてもいいよ?」
よし、これは……。
「じゃあ俺を連れていくのを諦めろ」
勝ったな。
「ケチ!変態!露出狂!」
「違うわ!」
「来ないならキャーって叫ぶよ?」
「えぇい、まどろっこしい!分かったよ、行けばいいんだろ!?」
「やりぃ!」
・・・
「あら、提督。来てくれたのね」
「呼んだのは加賀さんなんだろ?」
「ええ、まあ」
「俺人前で歌うの苦手って言ったよね?」
「あら、憶えてないわ」
誰もいないと思って歌ってたら加賀さんに聴かれていたことがあり、そのときから加賀さんが時々カラオケに俺を誘うようになった。いつも断っているが、今回は飛龍の策に乗せられた。
「まあまあ提督さん、そうカッカしないの」
「瑞鶴、お前も来てたのか」
「うん、カラオケなんて来るの初めて」
意外だな、加賀さんですら来たことがあるのに。
「それより提督、何か食べますか?」
「なんでカラオケに来て食事してんだお前は」
パフェやらケーキやらが大量にテーブルに並べられ、それを片っ端から赤城が平らげている。
「はぁ……」
「……お前も大変だな、翔鶴」
翔鶴は空母のまとめ役だ。キャラが強すぎる一航戦や二航戦を、1人でまとめている。そのせいでいつも苦労していて、よくため息をついている。
「ねーねー蒼龍、デュエットしようよ!」
「おっ、いいねー!」
・・・
「ねぇ蒼龍、提督の歌すごかったねー!」
「そうね、確かに!」
「翔鶴姉も上手いじゃん!」
「私はいいって言ったのに……」
「赤城さん、これはなに?」
「いやー、なんでしょうねー。提督、これは提督に預けます」
「いらねぇよ、そんな伝票!なんで10万も食いもんだけで払わにゃならんのだ!」
・・・
「ねぇ、提督さん。今日は楽しかったね」
「そうだな、人前で歌ったのは久しぶりだった」
「……無理しないでね」
「分かってる、何とかしてみせる」
目の前には、大きな山。本来なら終わっていたはずの、書類の山だった。
・・・
「……はっ」
何かが焼ける音で目が覚めた。どうやら、仕事を終えた瞬間机に突っ伏して寝てしまったようだ。
「あ、起きた?」
何かが焼ける音の正体は、ベーコンだった。見ると、何故か部屋に備え付けられたキッチンで瑞鶴が朝食を作っていた。
「ああ、おはよう」
「おはよっ!提督さん、朝ご飯はパンとベーコンエッグ、レタスにコンソメスープよ」
「わざわざ作ってくれたのか、ありがとう」
「別にいいわよ、このくらい。それにしても、よく終わらせたねー」
「終わったのは深夜の3時だけどな……」
「えっ、そうなの?まだ完成まで時間あるし、寝ててもいいわよ?」
「いや、いいよ。せっかく瑞鶴が作ってくれてるのに寝るなんて失礼極まりないだろ?」
「そう?ありがとね!」
それにしても……。
「エプロン姿、似合ってるぞ。お前ならきっといい嫁さんになれるな」
「な、なっ!?何言って……」
「……ああ、違う違う。そういう意味じゃないって」
「もう、ビックリしたじゃない!……本気にしちゃうわよ?」
瑞鶴は顔を真っ赤にして怒る。
「ごめんごめん」
「……もうっ」
あれ、さっきより機嫌悪い?
「ちょっとくらい、本気にさせてよ……」
「ん、何か言ったか?」
「べっつにー。ほら、朝の支度でもしてきたら?」
「そうだな、時間は有限だ」
・・・
「さって、やりますか!」
「おう!」
朝飯が済んだらすぐに執務。無駄な時間を作らなければ、大体は夕方には終わる。
「……あー、疲れたー」
「まだ始めて1分も経ってないぞ」
「ぬわああああん疲れたもおおおおん」
こいついつも疲れてんな。
「仕方ないなぁ、最初の10分は休んでていいぞ」
「ホント!?ありがと!」
・・・
「で?」
「休んでていいんでしょ?だから、提督さんの前で仕事ぶりを拝見させてもらってるの」
果たして休むうちに入るのだろうか。というか近い。こんなに密着して座る必要あるか?
「何?もしかして、照れてるぅ?」
……なるほど、コイツ俺が『照れてない!』とか言うのを楽しみにしてるな。なら!
「ああ、とっても照れている。なんせ、瑞鶴みたいな可愛い子が俺に密着してきてるんだからな。嬉しいけど恥ずかしい」
「えっ……ちょ」
勝ったな。
「その……あの……あ、ありがと」
……ちょっと想定外の反応だ、どうしよう。
「そ、そんなことより!そろそろ10分経ったんじゃないか!?」
「……ねぇ、あと少しだけ、こうしていても……いい?」
……。
「……好きにしろ」
・・・
「……あれ、ここは?」
目覚めたのは、見覚えのない場所。真っ白な空間だった。
『……』
目の前には、瑞鶴。何か話しかけて来ているようだが、まったく聞こえなかった。
「瑞鶴、ここはどこだ?」
『……』
やはり聞こえない。どうやらこちらの声も聞こえていないようで、瑞鶴も不思議そうな顔をしていた。
「……どうしたもんか」
『……』
恐らく瑞鶴も同じようなことを考えているのだろう、顔に手を当て考えている。
「うーん……」
『!』
何かに気づいたのか、瑞鶴はこちらに歩み寄ってきた。
「どうしたん……だ……!?」
なんと、瑞鶴は唐突にキスをしてきた。
「ん……っ……ぷはっ!何を……!」
『……!……!』
相変わらず何を言っているのかは分からなかったが。す・き・だ・よ、と、瑞鶴は言っているようだった。口の動きで、分かったのだ。
「……俺も、好きだ」
『!』
こちらの言葉も瑞鶴に伝わったようで、顔を真っ赤にしつつも、笑顔を浮かべていた。
『……、……!』
何を言っているかは聞き取れないままだが、瑞鶴は、何故か脱ぎ始めた。
「お、おい瑞鶴?何を……」
言い終わる前に、また口を塞がれる。
「……!……っ!」
全裸の瑞鶴は、俺の口を塞いだまま、俺のズボンのジッパーに手をかけ……。
・・・
「……はっ」
目覚めると、そこはいつもの執務室。どうやら執務中に眠ってしまったようだ。
「……んー」
瑞鶴も、横で寝ていたのか。同じタイミングで、目が覚めたらしい。
「……瑞鶴」
「……て、提督さん!?」
俺の顔を見るなり、瑞鶴は後ろに飛びすさった。
「な、なんだ?」
「……なんでもないわ。ちょっと、恥ずかしい夢を見ただけ」
恥ずかしい夢……?その瞬間、先程まで自分が見ていたであろう夢が脳裏に浮かぶ。
「……」
「……」
とてつもなく気まずい空気。
「……執務、しよっか」
「……そうだな」
・・・
「終わったー……」
昼寝をしてしまったこともあり、執務が片付いたのは深夜だった。
「瑞鶴、お前はもう寝ろ。明日も早いぞ?」
「んーん、まだいいや。お昼にあんなに寝ちゃって、眠くないもん」
「……仕方ない、しばらくは起きててもいいぞ。ただし……」
「分かってるってー」
「なら、ここでゆっくりしていくといい。俺はもう寝る」
「えっ」
「じゃ、おやすみ」
「ちょちょちょ、ちょっとまって!」
「ダメです」
瑞鶴と2人でいると、さっきの淫夢がフラッシュバックしてどうも落ち着かない。
「1人で起きてても寂しいって!ちょっとくらいお喋りしようよー!」
「……」
「……もう、分かったわよ。私も寝るわ」
・・・
「……」
一睡もできなかった。いざ寝ようと目を瞑ると、あの淫夢が瞼の裏に映り続けるからだ。
「……おはよ、提督さん」
その弱々しい声に顔を上げると、体調の悪そうな瑞鶴がそこにいた。
「……お前、ちゃんと寝たか?」
「……寝てない」
「あれだけ寝ろと言ったのに……」
「提督さんだって同じでしょ……?」
お互い、よっぽど顔に出ているらしい。
「あれ、瑞鶴先輩?それに……あなたはどうしてそんなにお疲れなの?」
見ると、そこには葛城が。
「「いや、ちょっとな(ね)……」」
被った。
「……?」
葛城は何かを考え始めた。そして、しばらくすると。
「つ、つかぬことをお伺いしましたぁ〜!」
顔を真っ赤にして走り去った。
「……ねえ、提督さん」
「……ああ」
「「待てー!」」
・・・
葛城の捕獲に成功した俺たちは、取り敢えず事情の説明。瑞鶴も、同じように昼間の恥ずかしい夢に悩まされていたようだ。
「……それって、あながち間違いでもないんじゃ……」
まだ顔の赤い葛城がつぶやく。
「ほぉー、ナニと間違えてたの?」
「そ、それは……」
瑞鶴が爆弾投下。着弾した模様。
「てっきり、瑞鶴先輩と提督が……そ、その……」
「その?」
「うぅ……」
「瑞鶴、そろそろ止めてやれ。葛城が可哀想だ」
「はーい……」
葛城は、とても頬を紅潮させ、目に涙を浮かべていた。これ以上は流石に見ていられなくなり、瑞鶴を止めさせた。
「うぅ……」
さて、この哀れな空母はどうしようか。
「葛城ー」
「あ、天城姉……」
「天城か。ちょうど良かった、葛城を引き取ってくれ」
「て、提督?……ああ、はい。何となく分かりました」
天城は息の荒い瑞鶴と涙目の葛城を見て、全てを悟ったような顔になった。
「瑞鶴先輩、あまり葛城をいじめてあげないでくださいね?」
「……分かってるわよ」
「ほら、葛城。行くわよ」
・・・
「……葛城なんか庇ってさー、提督さんは葛城みたいな娘が好みなの?」
「……どうだろうな」
好きな人に好きなタイプを聞かれたことはあるか?あったらそれはさぞ答えにくいと思ったことだろう。
「逆に、瑞鶴はどんなのが好みなんだ?」
「……さあね、気になるの?」
大いに気になる。
「ま、多少はな?」
「ふーん……いつか教えてあげる。その時には提督さんの好きな人も教えてね」
「……心得た」
……つまり告白しろってことですね分かります。
・・・
昼下がり。
「あの……お弁当作りの練習をしていたら、自分でも食べきれないほどの量になって……瑞鶴先輩、食べてください!」
「えっ、いいの?」
「はい!」
葛城が、2つの弁当を持って部屋に入ってきた。そしてその内1つを瑞鶴に。
「……ほ、ほら、あなたにもあげるわ。べ、別にわざわざ作った訳じゃないただの余り物なんだから、感謝はしなくていいわ!」
もう1つは俺に差し出してきた。
「いいのか?」
「……いいって言ってるでしょ、早く受け取りなさい!」
何故か耳まで真っ赤にした葛城が、無理矢理弁当を掴ませてくる。
「なら遠慮せずに受け取っておくよ。ありがとうな」
「〜っ!失礼しました!」
早足で部屋から出ていったあと、外から盛大に転んだ様な音が聞こえてきた気がしたが無視した。まぁ、取り敢えず頂こう。
「……」
「瑞鶴、これ美味いな。後で何かお返ししようぜ」
「……そうね」
「……?」
・・・
「ねぇ葛城、ちゃんと提督に渡すお弁当は作れたの?」
「あ、天城姉!そりゃもうバッチr……なんでもない」
「……ふふ、そう。なんでもないのね」
「……天城姉には敵わないや」
・・・
「……提督さん、料理が出来る娘は好み?」
「うーん……まあ、そうなるな」
瑞鶴は料理出来るし。
「お弁当を作ってくれる娘は?」
瑞鶴が俺に弁当を作ってくれる光景を思い浮かべる。
「……どストライク、かな」
「……!」
……家庭的、という点では瑞鶴に勝る艦娘はそういない。瑞鶴と張り合える艦娘も、葛城程度のものだ。
「……これから頑張らなきゃ負けちゃうよ」
「何を頑張るんだ?」
「えっ、いやいやー、なんでもないよ?」
「そうか?ならいいが」
・・・
「五航戦、1ついいことを教えてあげるわ」
「……いいこと?加賀さん、何を言い出すの?」
「もしあの人が気になっているのなら、自分を一言で表してもらいなさい。相手に今の自分がどう映っているかが分かるはずよ」
「……なるほど、それもそうね。ありがとね、加賀さん」
・・・
「ん……」
「おはよ、あなた」
……あれ?
「かつ……らぎ……?なんで、ここに……?」
「別に?少し早起きしちゃって目が覚めたからあなたの顔を見に来たの。悪い?」
「そうか……」
「まだ寝ててもいいわよ、だいぶ早いし」
時計を見ると、時刻は三時を少し過ぎたあたり。朝とはとても言い難い時間だった。
「葛城は、寝ないのか?」
「そうねー、じゃ、寝させてもらおうかしら?」
そう言って、葛城は俺が今入っている布団に無理矢理入ってくる。
「……何を」
「私も眠いの、少しくらいいいでしょ?」
「はぁ……こっちも眠くて否定する気すら起きん。好きにしろ、俺はもう寝る。……zzz」
「ふぁぁ……私も寝よ」
・・・
「提督さーん、朝だよー!起きt……」
「すぅ……すぅ……」
「……ん」
瑞鶴の声で目が覚める。
「……」
「すぅ……すぅ……」
「ず、瑞鶴?」
ズイカク の こわいかお !
テイトク に こうか は ばつぐん だ !
「提督さん、まさか葛城に手を……」
「……んゅ」
「出してない出してない」
必死に否定。
「……んー」
あ、起きた。
「……ちゅっ」
そのまま俺の頬にキスをして、再び眠りについてしまった。
「……提督さん?」
「……」
恐らく俺の顔は茹でダコのように赤く染まっているだろう。
「やっぱり、提督さんは葛城が好きなんだ……へぇー……」
弓を構えた瑞鶴が、じわりじわりと遠ざかっていく。ある程度の距離が開いたところで、瑞鶴が立ち止まる。同時に、葛城も目を覚ましたようだ。
「んっ……」
「ず、瑞鶴?一旦落ち着こう、な?」
「この状況で落ち着いていられるのは提督さんだけだよ」
言いながら、瑞鶴は矢を放つ。その矢は俺の横を通り過ぎ、壁に突き刺さる。
「なっ……」
「……先輩、何を……?」
「私を選んでくれない提督さんなんて、もう要らない」
さらに放たれる矢。
「葛城、見るなっ!目を、瞑っ……」
「……え」
その矢は寸分違わずに俺の眉間を貫き……。
・・・
「……はっ」
目覚めると、まず眉間の辺りを触る。傷はないようだ。
「……んー」
隣では葛城が寝ている。さっきのアレは夢だったのか?
「……起きろ、葛城。朝だぞ」
一旦葛城を起こす。
「……んー」
「おはよう、葛城。しっかり眠れたか?」
「……あなたっ!」
唐突に葛城が泣きながら抱きついてくる。
「な、なっ……どうした?」
「怪我は!?痛い所はない!?」
「お、おう……」
一体どうしたというのか。
「良かったぁ……」
「……取り敢えず、離していただければ幸いなんだが」
「えっ?……あっ」
飛び退く葛城。
「ご、ごめん……」
「別にいいよ。それより、どうして急に?」
「……少し、怖い夢を見てしまって……あなたが……先輩に……!」
うつむきながら、ポツリポツリと話し出す葛城。俺と同じ夢を見ていたようだ。
「安心しろ、瑞鶴はそんなことする奴じゃない」
「分かってはいるんだけど……」
「それに、だ。俺はお前らを置いてくたばるつもりは毛頭ないぞ?」
艦娘を残して死ぬなんて無責任なこと、絶対にしない。なんとしてでも生き延びて、この戦いを終わらせるのだ。
「……ふふっ、信じてもいいのね?」
「もちろんだ」
「そろそろ準備してくるわ。あなたも早くした方がいいわよ」
「……な、もうこんな時間か!」
・・・
「葛城……夜這い?」
「違う違う、夜中に目が覚めたからあの人のところに行ってただけ!」
「あの人、ねぇ……」
「もう、からかわないでよ天城姉!」
・・・
「あっ、提督さん!おはよっ!」
「ず、瑞鶴か。おはよう」
瑞鶴の顔を見ると、さっきの夢が浮かぶ。そのせいか、少し言い淀んでしまった。
「……怯えてるね。どうしたの?何か怖いことでもあった?私に出来ることはない?」
「……実は」
・・・
「私がそんな自分勝手で酷いことする訳ないじゃない!私はいつだって提督さんの味方よ?」
「そうか、そいつは心強いな。ありがとう、瑞鶴」
やはり、瑞鶴はいつもの瑞鶴だった。
「……もっと、私に頼っていいのよ?」
「そんなんじゃダメよ!もっと甘えたくなるように!あと、おはよう司令官に瑞鶴さん!」
御本人の登場。
「あら雷ちゃん、おはよう」
「さっきの話を聞くに、司令官は夢の中で瑞鶴さんと葛城さんの2人が出てきたのね?」
「そうだ」
「私には、なぜ司令官がその夢を見たか分かるわ!」
「何?」
「でも、答は司令官が見つけるべきよ!それじゃ、またね!」
……俺が見つけるべき?
・・・
「ねえねえ電、司令官ってば瑞鶴さんと葛城さんの2人が好きみたいなのよ!」
「はあ……中々に優柔不断なのです。アレは絶対『こっち!』とかの答を出さないタイプなのです」
「やっぱりそう思うわよね!」
・・・
あれから葛城との距離が一気に縮まった。というよりは……。
「あなた、はい!お弁当よ!」
「お夕飯を作ってあげるわ!何が食べたい?」
「今日もお仕事お疲れ様!お風呂にする?ご飯にする?それとも……なーんて、冗談よ!さ、ご飯出来てるから私の部屋に来てよ!」
正妻空母。その一言に尽きる。
「ねー、提督さん。葛城と最近仲がいいみたいだけどさー……ちょっとくらい、私に構ってくれてもいいんじゃないの?」
瑞鶴も最近ずっとこの調子だ。俺に一体どうしろと?
「あー……ごめん。今度時間を作るから、それで勘弁してくれ」
「むー……約束だかんね?」
・・・
「提督さん、今の私って一言で表すとどんな感じ?」
唐突だな。
「んー……幼なじみ?」
「幼なじみ、か……。じゃ、葛城は?」
「そうだな……」
……全くわからん。あの例えしかないよな。
「正妻空母ってところだ」
「正妻!?」
・・・
「加賀さーん、助けてぇー!」
「弱音を吐くのはやめなさい。時期が違うとはいえ、仮にも同じ一航戦の名を冠したものとして情けないわ」
「でも!後輩の葛城に提督さんがとられちゃうよ!」
「はぁ……いいこと?あの人は異常なまでに鈍感よ。中途半端なアピールでは、気づきすらしないわ。じわりじわりと攻め寄るのではなく、一気に距離を詰めるべきよ。現に葛城もそうしていたでしょう?」
「なるほど……」
「貴女は今『幼なじみ』まで上り詰めている。あと一押しでゴールインよ」
「でも葛城なんて正妻だよ?もう嫁じゃない」
「それは唯の印象よ、まだ貴女に分があるわ。モタモタしていたらどうなるかは分からないけれど」
「ほうほう……って、私今とってもマズい?」
「ええ」
「ど、どうしよ加賀さん!」
「そうね……五航戦、今から私の知るレパートリーの幼なじみシチュを全て叩き込むわ。全て覚えて、隙を見つけたらすぐに使いなさい」
・・・
最近、気がつくと葛城のことばかりを考えている。
「提督さん、手が止まってるよ?」
「ああ、すまない」
「最近ボーッとしてること多いよ?ちゃんと休んでる?」
「……多分」
瑞鶴が好きだと自覚するまでに患っていた症状によく似ている。もしや俺は葛城のことが……?
「……ねぇ、提督さん。現状で、提督さんが気になってる娘は何人いる?」
唐突だな。(デジャヴ)
「……そうだな、2人くらい」
言わずもがな瑞鶴と葛城だ。
「……私も、気になってる人がいるんだ」
……誰だ?整備士か、はたまた工事のおっちゃんか?
「その人は……」
「あなた!今帰ったわ!」
「おう、おかえり」
「……なんて間の悪い」
「瑞鶴先輩、後でお話が……」
「話?」
「はい……」
「すまんが先に報告だ、戦果は?」
「はい、戦果はSの完全勝利で……」
・・・
「で、話ってなによ。こんなところに呼び出して」
「その、ですね……私、あの人のことが好きなんです」
「……それで?」
「あの、多分なんですけど……瑞鶴先輩も、あの人のことが……」
「ええ、好きよ」
「やっぱり……そのことについてなんですけど」
「何?私に手を引けって?」
「違います、そんなアンフェアなことはしません。宣戦布告をさせていただきます」
「……宣戦布告?」
「はい、その……あの人の隣は、いずれ私が頂きます。先輩には、渡せません」
「へぇ、私を敵に回すんだ。いいわ、その喧嘩買ってあげる」
・・・
「とは言ったものの、このままじゃ勝ち目ないよ……」
『隙を見つけたらすぐに使いなさい』
「そうだ、加賀さんが教えてくれた……」
・・・
「ふわぁ……」
眠いなぁ。最近執務が多すぎないか?
「……提督さん、眠いの?」
「……ん、少しだけな」
「……膝枕、してあげよっか?」
「な」
何……だと……!?
「ほら、おいで」
そう言って瑞鶴はソファへ移動し、座って膝を叩く。
「……いいのか?」
「いいのよ、だって提督さんだもん。提督さん以外にこんなことしないよ」
……ちょっとドキッとした。いや、ドキドキはさっきからずっとだな。一層強くドキッとした。
「……そうか。じゃあ、お言葉に甘えて……」
……天国か。好きな人に膝枕されてるんだぞ?顔も近いし。……これが蒼龍なら顔は見えなかっただろうな。
「提督さん、なんか失礼なこと考えてない?」
「そんなわけないじゃないか」
「怪しいなー……そんなこという人には、こうだっ!」
言って、瑞鶴が覆いかぶさってくる。
「……提督さん、前に言いそびれたけどね……私、気になってる人がいるんだ」
またそれか。
「……そいつは誰だ?」
想い人の気になっている人を知りたいのは当然のことだろう。
「……海軍に属してて、結構いい御身分かな」
なるほど、元帥とかか?
「あっ、言っとくけど元帥さんみたいなおじいちゃんじゃないからね?」
な、違うのか。
「……鈍感」
「え?」
「……今日はここまで!ほら、せっかくの膝枕なんだし、寝たらどう?」
「……おう、すまんな。おやすみ……zzz」
「えっ、もう寝た!?」
・・・
「……」
目が覚めた。
「はあ……まったく、加賀さんが言ってたとおりだよ……鈍感にもほどがある」
瑞鶴がつぶやく。そこでやっと、瑞鶴が俺の頭を撫でていることに気づく。
「このままじゃ提督さん、葛城にとられちゃうよ……」
俺が?
「どうしたら葛城みたいに提督さんとイチャイチャできるのかなぁ……」
……なんて悩みを抱えているんだ、瑞鶴。というか、俺と葛城がイチャイチャ?そんなこと、まったくしていないと思うが……。
「葛城ほど大胆にアピールしないと、やっぱり好意は伝わらないかな?」
好意……?
「いや、提督さんのことだし葛城のアピールすら『なんか最近優しいな』くらいにしか思ってないかも……」
まさにそう思ってるんだよなぁ……。
「それにしても、なんで加賀さんは提督さんが鈍感なの知ってるんだろ」
……ああ、それは瑞鶴が来る前まで加賀さんが秘書艦やってくれてたからだな。
「まさか、加賀さんも提督さんのことが……!?」
……ん、加賀さん『も』?『も』ってことはつまり……。
「加賀さんがライバルだったら終わりだよ……」
……え、待って?これまさか瑞鶴も葛城も俺のことが?え、は?
「ま、今はこの時間を楽しみますか!」
……2度寝、と洒落込むか。
・・・
「……きて」
……ん?
「……さん、起きて」
……まぶしい、朝か?
「提督さん、起きてよ!もう夕方だよ!」
「はっ」
飛び起きて辺りを見回すと、外は綺麗な夕焼けだった。
「ごめんなさい」
「まったく……」
と、2度寝前に聞こえた瑞鶴の独り言を思い出す。
「……提督さん、顔真っ赤だよ?」
「そ、そうか?な、なんでだろうな」
・・・
そして、謎の気まずさを抱えたまま過ごした数日後に事件はおこる。
「ケッコン」
「カッコ」
「カリ?」
「はい。ケッコンカッコカリとは……」
大淀に呼ばれ作戦室に集まったのは、俺と瑞鶴と葛城。
「……以上です。何か質問はありますか?」
「あっ、はい!」
「はい、葛城さん。どうぞ」
「えっと、ケッコンカッコカリできるのは1隻だけなんですか?」
「いえ、違います。何隻でもOKですが、ケッコン指輪は最初に配布されるもの以外はご自分で買っていただかないといけません」
「なるほど、ありがとうございます」
「他に質問はございますか?」
「私はないわ。提督さんは?」
「そうだな……なぜ、俺たちだけがあつめられた?」
「はい、先程お話ししたように、ケッコン出来るのは練度が最大に達した艦娘だけです。この鎮守府には、練度が最大に達した艦娘が瑞鶴さんと葛城さんのお二人。他の皆さんには伝える必要がないので」
「そうね、伝える必要はないわ」
「私もそう思います」
……地獄が始まる気がする。
・・・
「提督さん!今日は提督さんの為にお弁当作ってきたよ!」
「え、でも葛城が作ってくれt……」
「食べてくれるよね?」
「……いただきます」
・・・
「あなた、私になにか渡す物はないの?」
「と、特には……」
「えっ、指輪とか指輪とか、あるいは指輪とかさー!ホントにないの!?」
「……ごめん」
・・・
と、俺の身体も心もボロボロになるような猛烈なアタックが続く。いや俺を好いてくれるのは嬉しいよ?嬉しいけどさぁ……。
「あっ、提督!頼まれてた例の品、届きましたよ!」
「遅かったな……」
「すいません、中々に入手困難でして……」
「まあいい。ありがとう、明石」
「いえ!是非今後ともよろしくお願いします!」
……やっと地獄から抜け出せる。
・・・
「葛城、瑞鶴。後で工廠裏に来い、話がある」
「……ねえ葛城」
「はい、先輩」
「これってさ」
「ええ、恐らくは」
・・・
「……提督さん、こんなところに呼び出して一体なんの用?」
瑞鶴が聞く。
「……単刀直入に言うぞ。俺はお前達2人が好きだ」
「……そ、それで?」
葛城に問われる。
「ジュウコンでも構わないなら……俺と、ケッコンしてくれ」
「……葛城は?」
「えぇ、私はいずれこうなる気はしてましたしOKです。瑞鶴先輩は?」
「……そうね、私も別に構わないわ」
「なら……!」
「ええ。葛城、喜んでお受けするわ!」
「不肖瑞鶴、不束者ですが末永くよろしくお願いします」
「……ヘタレでごめんな」
結論が出せず、最悪手に走ってしまったのだ。どんなにボロクソに言われようとも、仕方の無いことだが……。
「なーに言ってんのよ、あなたは二人とも選ぶという答を出しただけ!ですよね、瑞鶴先輩!」
「そうよ、おかしいところは何もないわ!提督さんは勇気あるわよ!」
……二人とも、ありがとう。
「さっき買った分の指輪が届いた。二人とも、手を」
2人は無言で左手を差し出してくる。その手に慎重に指輪を填める。
「……提督さん、この指輪すごいわ。まだまだ強くなれそうな気がする」
「あなた、ありがとねっ!」
・・・
どうして、
「んぅ……zzz」
「せんぱーい……zzz」
「すぅ……すぅ……」
こうなってしまったのか。
「……てーとくさーん……zzz」
「せんぱい……てーとくを……とらないでー……zzz」
「すぅ……すぅ……」
よし、一旦整理してみよう。
・・・
「提督さん、今日私の部屋に来てよ」
・・・
あ、原因が垣間見えた気がする。よし、続きだ。
・・・
「瑞鶴の部屋に?いいけど、なぜだ?」
「それはねー……」
と、どこにいたのか葛城が。
「お泊まり会よ!」
・・・
……原因はこれか。こうなった経緯は……。
・・・
「お泊まり会?それ俺が行っちゃいかんだろ」
「それが、加賀さんの発案だから誰も逆らえないのよ……」
悔しそうに呟く瑞鶴。加賀さんの意見に逆らおうとすると、なんと泣き出す。一体一航戦の誇りってなんなんだろうな。
「……仕方ないな」
「来てくれるの!?」
「いや、加賀さんあやしてくる」
「えぇ……」
・・・
で、この後加賀さんのとこに移動して……。
・・・
「……ということだ、今回は諦めてほしい」
「……ここは譲れません」
「ほ、ほら提督さん!加賀さんもこう言ってることだしさ!」
「そ、そうよあなた!諦めて一緒に寝ましょ?ね?」
よほど加賀さんを泣かせたくないのだろう、二人とも加賀さん側に回るようだ。
「しかしだな、お前ら。もちろんお誘いは嬉しいが、それはつまり異性として見られていないから。それが、男にとっては屈辱なんだ」
「……いいえ、それは違うわ」
「なに?」
「私は、提督が男性だと認識しているからこそ今回のお泊まり会に誘ったのです」
……今なんて言った?
「……え?加賀さん、ちょ」
「ちょ、ちょっと加賀さん!それって……」
「そういうことですので、ちゃんと来てくださいね。来なければ……泣きます」
そう言って加賀さんは去っていく。
・・・
そうだ、それで強制参加の流れになって……。
・・・
「……瑞鶴、葛城。俺はどうすればいいと思う?」
「これは……」
「諦めなさい、あなた。もう私たちでは加賀さんは止められないわ」
そげな殺生な。
「……まあいい、とりあえず時間を教えてくれ」
「あ、結局来るんだ。時間ね、はいはい……えーと、フタマルマルマルに私の部屋に来てくれればそれでいいわ。メンバーは……誰だっけ?」
「先輩、忘れたんですか?赤城さん、加賀さん、蒼龍さん、飛龍さん、翔鶴さん、瑞鶴先輩、雲龍姉、天城姉、そして私ですよ」
「多くない?」
「多いわね、男女比率が1:9よ」
「そのうち俺が行くかもしれないことを知ってるのは?」
「既に全員知ってるわよ、みんな許可は出してくれたわ」
「やっぱり男として見られてないのか……?」
・・・
それで確か……。
・・・
「はい、皆さん!本日はお集まりいただきありがとうございます!早速で申し訳ないのですが、乾杯しましょう!」
雑だな赤城。はやくツマミを食いたいのがバレバレだ。
「それでは……今日という日を過ごせたことに、乾杯!」
・・・
……宴会したのか。
・・・
……どうして俺はツマミを作らされているんだ?
「提督、早くしてください!お腹が空きました!」
「だーもう、分かったから静かに待ってろ!騒がしいやつにはやらん!」
「……」(グギュゥゥゥゥゥッ!!!!!ギュルルルルルルルルルル!!!!!)
急に大人しくなるとそれはそれで怖い。てか腹まで五月蝿いのか。
「提督、手伝います」
加賀さんが調理場に乱入、瞬く間に料理を作り上げる。
「てーとくさーん、早くこっちに来てよー!」
「そうよー、あなたも呑みなさーい!」
外野がうるさい。
「暑いわ……少し脱がせてもらおうかしら」
「ちょ、ちょっと雲龍姉さん!脱いだら駄目!」
天城も大変だなぁ……。素面は誰だ?
「蒼龍、これどうしよ。翔鶴潰れちゃった」
「……翔鶴はもうリタイアね、とりあえず介抱しましょっか」
二航戦か。あと天城と加賀さんもだな。
「提督、私達もそろそろ呑みませんか?」
加賀さんが一升瓶を持って話しかけてくる。そんなに呑めない。
「少しだけな。酔ったら明日の執務に影響が出る」
そう言って、加賀さんに酒を注いでもらう。
「えっと、ツマミは……」
「うぇ?」
全て赤城が平らげたようだ。
「……まあいいか、とりあえず呑も」
・・・
……あれ、この後どうなった?憶えてない、思いっきり酔ったのか?仕方ない、このペン型録音機で……。
・・・
『提督、もっと呑んでください』
『ちょっ、加賀さんこれ以上はぐほぉ!?』
・・・
……加賀さんの仕業か。
・・・
『……ふぅ、これで提督も潰れましたね。提督は私が引き取りますので、皆はまだ呑んでいるといいわ』
・・・
……で、俺の部屋に運んできたのか。
・・・
『……やっと、二人きりになりましたね』
『………………ヒック』
『私も、随分と甘くなったものね』
『……ウップ』
『五航戦なんかに貴方を譲るなんて、本当は癪に障るのだけれど』
『……ヒック』
『貴方はもともとあの子が好きだったようですし、仕方のないことだとは分かっています』
『……zzz』
『でも、どうしても諦めきれない。あの子に嫉妬すら覚える始末』
『…………zzz』
『なので、今ここで想いを伝えます。提督、私は貴方のことが好きです。今はまだ五航戦達に好き勝手させていますが、ケッコンカッコガチは譲れません』
『……zzz』
『……眠くなりました。ここで寝させていただきます……zzz』
・・・
……恥ずかし過ぎて聞いていられんが、なぜ瑞鶴達がここで寝ているかが分からない。続行だ……。
・・・
『……あれ〜?かつらぎぃ、わらひのへやってろこらっけ〜』
『やらなぁせんぱぁい、ここれすよぉ〜』
・・・
なるほど、酔ったまま入ってきてそのまま寝たのか。
「……提督、おはようございます」
「あ、加賀さん。おはよう」
「提督が酔い潰れてしまったので、こちらの部屋で介抱させていただきました」
嘘つけ、潰したのはお前だろ!という言葉は飲み込み。
「そうか、わざわざありがとうな」
「鎧袖一触ね、心配いらないわ」
なんで飲み込んだ、だって?そりゃ俺が加賀さんの告白知ってるって言ったら加賀さん泣いちゃうだろ。
「……んぅ、提督さん?」
「……おはよ、あなた」
二人とも起きた。
「あら、おはよう」
あっ、加賀さんが返事しちゃまず……。
「「!?」」
……やっぱり。
「……提督さん?どういうことなの?」
「私も知りたいわ、あなたがどうして加賀さんと一緒に寝てたのかをね」
……これは、録音機を渡すしかないな。
「ほら、これ聴いてろ」
・・・
「加賀さん!駄目よ、提督さんは私のものなの!」
瑞鶴が右腕に抱きついてくる。
「いいえ、私のです!」
葛城は左腕。
「ここは譲れません」
加賀さんは背中から。
「……頼むから離れてくれません?」
「「「嫌よ(です)!」」」
……ああ、もう限界。何この天国、昇天させる気満々じゃないか……。あ、やば、意識が……。
「……ってちょ、提督さん?なんで倒れるの?提督さん?提督さぁーん!?」
艦!
友人に広められると踏んでいたのですが、意外と口は固かった模様。心置き無く書けます
いい友人を持ちましたね(^ら^)
糖分高めの良いss