提督「山城の様子がおかしい」
キャラ崩壊注意!
最後はちょっと無理矢理なので、思う存分厳しい評価をお願いします。
「はぁ……」
最近、何故だか分からないけれど提督のことばかりが頭に浮かぶのよね……。
「何故なのかしら……」
「やましろさん、おこまりですか?」
妖精さんが話しかけてきた。
「えぇ、ちょっとね……」
「なんでですか?」
・・・
「あー、なるほど」
笑って頷く妖精さん。
「理由が分かるの?」
そう問いかけると。
「ええ。ま、よくあることですね」
「そうなの?」
「はい。いちおうおくすりだしておきますね」
「薬?」
私、薬は苦手なのよね……。
「はい、あすのあさにのんでいただければけっこうです。これですこしはらくになりますよ。あじは……さんまにしときます」
秋刀魚味の薬……。なんか嫌ね。
「ま、貰っておくわ。ありがとうね」
「いえいえー、おだいじにー」
妖精さんは笑顔で去っていく。
・・・
「ていとくさん、いますかー?」
「ああ、いるよ。どうしたんだ?妖精さん」
執務室にいると、妖精さんが入ってきた。
「いえ、あしたからおもしろいことになりそうなので、はやめにれんらくをと……」
「面白いこと?」
おかしいな、明日は特になにもなかったはず……。
「はい。まぁ、たのしみにしといてください」
「?……分かった、覚えておこう」
「では、しつれいしました」
「ああ」
出ていった……。なんだったんだ?
・・・
「……朝ね。またあまり寝られなかった、不幸だわ……」
寝る時になると決まってあの人の顔が頭に浮かぶ。
「山城?しっかり寝ないと、身体に悪いわよ?」
ああ、やはり姉様はお優しい……。
「いえ、大丈夫です!さ、ご飯食べに行きましょう!」
・・・
「ふう、やっぱりご飯は美味しかったわね、山城」
「はい、姉様!」
朝食を食べ終えたあと、本当に秋刀魚味だった薬を飲んで提督から指示をもらいに行く……ところまでは良かったの。
・・・
「お、来たな」
「はい、扶桑、参りました」
「同じく山城、来ました」
扶桑型姉妹。2人は本当に仲がいいな。
「提督、本日の出撃は……」
扶桑が促してくる。
「ああ、2人は……そうだな、演習するか。相手は伊勢と日向でいいか?」
「はい。扶桑姉様、頑張りましょうね!」
「ええ」
「よし、準備しててくれ」
「はい。失礼しました」
「……」
「……山城?」
何か様子がおかしいな……。
「姉様、先に行っててください」
「……?」
「いいから」
「……分かったわ。提督、失礼しました」
「ああ……」
扶桑が出ていき、山城と俺の2人きり。やはり何か様子がおかしいな……。
・・・
「提督、週末に2人で出かけませんか?」
気がつけば、そんなことを口走っていた。
「……え?」
「だから、デートですよデート」
自分が何を言っているのか分からない。勝手に口が動く。
「お、おう……いいけど」
提督も困惑している。
「ホントですか!?やったぁ、嬉しいです!」
……誰よ、こんなの私じゃないわ。絶対に別の誰かよ。そう、金剛さんみたいな……。提督Loveな感じ!?
「……でもなんで急に?」
「なんだっていいじゃないですか!とにかく、そういうことなので週末は空けておいてくださいね」
「あ、ああ」
「では、失礼しました!」
・・・
山城が急におかしくなった理由には心当たりが……。
「妖精さん」
「はい、どうしました?ていとくさん」
「面白いことって……」
「ああ、あたらしくはじまるあにめのはなしです」
「……そうか、邪魔したな」
「いえいえー」
……妖精さんじゃないだと?
・・・
いやー、あぶなかったです。すこしでもくちをすべらせていたらころされてました。やましろさんに『ていとくさんにたいしてすなおになるくすり』をもったことがばれたら……。
・・・
「ぁぁあ……」
「山城……?顔が赤いわよ?」
姉様が心配そうに声を掛けてくる。
「なんでもないです……」
「本当に?何かあったらすぐに私か提督に言うのよ?」
「はい……」
その提督が問題なんですよ……。なんでデートなんか……。
「……笑顔になっているわね、これなら心配いらないわ」
「……え?」
「だから、山城は今すごく嬉しそうな顔をしているもの、心配いらないと思うのだけれど……」
「……え、ええぇぇぇぇぇ!?」
……嘘、なんで!?私、今そんな顔をしているの!?デートなんて嬉しくないんですけど!?
「そそそそんな事より!早く演習場に行きましょう!」
「なんで焦っているの?」
「あああ焦ってなんかないですよ!?」
……あーもーどうしちゃったのよ私ぃ!
・・・
「えーと、結果は……扶桑たちがSの完全勝利か。良くやったな、扶桑」
「そ、そんな……照れてしまいます」
普段の山城なら『褒め殺して姉様に近づこうという魂胆ですね、そうはさせません!』とか言ってきそうなものだが……どうでる?
「……私は褒めてくれないんですね」
拗ねた!
「い、いや山城も凄く活躍していたな。うん、よくやったぞ山城」
「でしょう?もっと褒めてください」
あれ、なんかめんどくさいタイプのやつ?
「山城、提督に迷惑をかけるのは……」
よし、ナイスタイミングだ扶桑。
「……姉様ばっかりズルいです!私だって提督にたくさん見てもらいたいんです!」
あっれぇ〜?おかしいな〜、話が余計拗れたぞ〜?
「まぁ……」
扶桑が驚いている。俺も。
「もういいです!また後で来ますから、そのとき褒めてください!失礼しました!」
……えぇ……。
「……初めての喧嘩……あぁ、空はあんなに青いのに……」
「ふ、扶桑」
「……はい、なんでしょう」
「山城がおかしくなったら教えてくれ」
「はい……」
今日の山城は絶対におかしい。しばらく様子を見ておかなければ……。
・・・
「私は、なんてことを……」
さっきも、私が私ではなかった。あの人のことばかり考え、扶桑姉様を傷つけてしまった。
「何なのよ、もう……」
それに加えて『褒めて』発言。もう恥ずかしいったらありゃしない。
「山城?いる?」
「!はい、います!」
「そう、入るわね」
そう言って部屋に入ってきた姉様は、何故か笑顔。
「あの、姉様……」
「なぁに?」
「さっきはすみませんでした……姉様に嫉妬しているような発言に加えてあの態度……」
思い出せば思い出すほど辛い。自分を殴りたくなる。
「それはもういいのよ、私もちょっと驚いただけで、もう気にしてはいないわ」
「姉様……!」
ああ、なんてお優しい。だから、私は姉様が好きなのだ。
「それにしても……ふふ」
「姉様?」
姉様が急に笑い始めた。一体何が面白いのだろう……。
「……なんでもないわ、ごめんなさい」
「はぁ……」
・・・
山城に春が来た。さっきの出来事だけで分かる。私の妹は提督のことが好きなのだと。今は、ただ喜ぶ。……想い人が同じだという事実は置いておいて。
「それにしても……ふふ」
「姉様?」
「……なんでもないわ、ごめんなさい」
「はぁ……」
恐らくこの子はまだ自分の気持ちに気づけていない。それに気づくのはあなた自身よ、山城。
・・・
「来ました」
山城が来た。
「来ちゃったか……」
困ってしまうのも無理はないよな、うん。
「早速褒めてください」
しまった、先手を取られた。褒めるしかないか……。
「……分かった、なにかして欲しいことはあるか?」
褒めるときは何かを要求してくる場合が多い。ならいっそ先に何か要求させることにした。
「そうですね……あすなろ抱き、撫で撫で、耳元で囁く。この3つでお願いします」
ドギツいの来ちゃったかー。
「え、えーと……」
なんとかやんわり断ろうとした矢先。
「ダメ……ですか?」
涙目+上目遣い。コンボ入りましたわ。
・・・
コンボにやられた俺は、結局山城の要求を全てすることになった。
「……ほら、どこかに座れ」
「なら……ここで」
俺の椅子かよ……。
「……」
「早くしてください」
……えぇい、こうなりゃヤケだ!
「えいっ」
「!」
まずはあすなろ抱き。
「で……」
「……♪」
しばらくしたら右手を撫で撫でへと移行。そして最後は……。
「……よくやった、山城。凄いぞ、さすがだな」
「……ふやぁ……」
今とても山城とは思えない甘い声が聞こえた気がするが……まあ大丈夫だろう。数分間はこのままにしといてやろ……。
「失礼するよ……って、え?……あぁ、失礼したね」
見られた。絶対見られた。時雨に見られた。
「や、山城……?今、時雨に……」
「んっ……っふ……」
……あれ?これ不味くね?
「ん……ぁっ……」
よく見ると、山城の顔は紅潮している。
「ぅ……ぁう……」
少し息も荒い。
「あっ……ふゃっ……!」
これは不味い!
「んぁぁっ……!」
「すまん、もう終わりだ」
「えっ……?」
危なかった、トロ顔になってやがる……。
「……もう、酷いです」
え、俺が悪いみたいな雰囲気に……。
「……いいですよ、続きは今度で」
「あ、あぁ……」
……ん?続き?
「週末、楽しみにしててくださいね!」
「お、おう」
・・・
ああああああああぁぁぁ!私はなんて事を!あの人に甘えて、しかもあんな声や顔まで……うぅーっ!
「大丈夫かい、山城」
「うぇっ!?……ってなんだ、時雨ね」
「さっきのあれは驚いたよ」
さっき……?
『や、山城……?今、時雨に……』
「!」
「え、まさか気づいてなかったの?」
「う……」
「う?」
「うわぁぁぁぁぁぁー!」
「えぇ……」
・・・
「ということがあってね……」
「あらあら、山城ったら……ふふ」
ことのあらましを扶桑に伝えると、扶桑は笑った。でもね?目が笑ってないのさ。これは目の前で見た人にしか分からないだろうけど、めちゃくちゃ怖いんだ。一体扶桑型姉妹になにが……?
「じゃ、じゃあ僕はもう行くね」
「ええ、ありがとうね。時雨」
・・・
あれやこれやと考えているうちに週末。
「デートです!」
「そ、そうだな」
ココ最近の山城は、以前と打って変わって俺に明るく接してくれるようになった。ちょっと距離が近すぎる節もあるが……。
「予定は立てて来ました!」
「お、おう……」
めっちゃ笑顔。
「提督とのデート、想像するだけでも楽しみです!」
・・・
誰かとめてぇぇー!
「デートです!」
「そ、そうだな」
いやぁぁぁぁ!恥ずかしいぃぃぃ!
「予定は立てて来ました!」
「お、おう……」
違うの提督!何故だか『デートならここに行きたい!』って頭に浮かんできただけなのぉぉぉ!
「提督とのデート、想像するだけでも楽しみです!」
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?楽しみになんかしてない、してないんだからぁぁぁぁぁ!
・・・
今日は朝から山城が笑顔で出掛けていった。
「おーい、扶桑」
「あら、どうしたの?時雨」
「提督を知らないかい?」
提督……?そういえば見てないわね。
「いえ、知らないけれど……」
「そうか、ありがとう……あれ、山城は?」
「朝から笑顔で出掛けていったわよ?」
「珍しいね、いつもなら『姉様、お出掛けしませんか?』とか『姉様!あんな男となんか話さずに私と話しましょう!』とか……」
「そうね、少し違和感があるわ」
……あ。
「……ん?どうしたんだい、扶桑。そんな怖い顔をして」
「いえ、少しだけ山城に話があるのよ。帰ってきてからだけれどね」
「そう?ならいいけど……じゃ、僕は提督探しに戻るから」
「あ、時雨?恐らくだけれど、提督は鎮守府にはいないわよ?」
「……なるほど、大体分かったよ」
流石時雨ね、もう私と同じ結論に。
「……時に扶桑、遊園地に行かないか?」
「あら、それはどうして?」
「憂さ晴らしと、もう一つは……」
・・・
「や、山城。最初はどこに?」
あまりハードルの高いところでないといいが……。
「そうですね……。提督、ショッピングモールと遊園地どっちがいいですか?」
な、なんだと!?週末だからショッピングモールには皆いるだろうし、いきなり遊園地はハードルが高すぎる!
「ま、今日行かなかったほうは今度行くんですけどね」
はい詰み。もういいや、キツいのは早めに……。
「じゃ、じゃあ今日は遊園地に行こうか」
「はいっ!」
・・・
「着きました!」
「遊園地なんて久々に来たな」
「早速中に入りましょう!」
ああ、遂に着いてしまったわ……。しかも、券を買う場所に誰も並んでいないから直ぐに入ってしまう、不幸だわ……。
・・・
「私、あれに乗りたいです!」
コーヒーカップか……。まさにデートって感じだな。
「いいぞ、行こう」
・・・
「やっぱりいたね、僕の勘の通りだ」
「ええ、時雨の幸運は凄いわね」
あの後時雨が言ったもう一つの理由は、勘が遊園地に行けと騒ぐからだそう。……勘が騒ぐってなんなのかしら。
・・・
「楽しかったですね!」
「おう!」
なんだろう、この高揚感は。久々の遊園地にテンションが……!
「次はあそこ!あそこがいいです!」
「おう、行くぞー!」
・・・
「えらく楽しそうだね」
「ええ、本当に……」
僕は今扶桑と一緒にコーヒーカップで回っている。コーヒーカップに乗るのは初めてで、本来なら楽しいんだろうけど、あまり楽しくないように感じる。
「楽しいですね、提督!」
「あ、ああ」
恐らく、あのカップルのイチャイチャを見せつけられているからだろう。
「扶桑」
「何?」
「なんでだろう、今あの二人を殺したい衝動に駆られているよ」
「奇遇ね、私もだわ」
・・・
「そろそろお昼時ですね」
「そうだな、えーと……」
MAPを見てどこに飲食店があるか確認。
「よし、見つけた。行くぞー」
「あっ、待ってください!ご飯を食べたあとだとまずいので、今の内に酔いそうなやつ全部乗っちゃいましょうよ!」
「お、いいな!」
さて、まだまだ楽しむぞー!
・・・
「……お腹が空いたわね」
「僕もさ」
「どうしてあの二人はあんなに動けるのかしら……」
「さあ、分からないけど……」
「とても楽しそうね……はぁ」
不幸だわ……。
・・・
「さて、昼飯だ昼飯。はよ食うぞ」
「はい、あの……」
「ん?どうした、山城」
「あーん、してもいいですか!?」
おおう、凄い勢い……。
「もちろんいいぞー」
「ありがとうございます!」
あぁ、すっごい嬉しそう……。
「では、遠慮なく……どうぞっ!」
「おう……んむ」
「どうですか?」
「美味いな」
「売り物ですし」
「そんな夢のないこと言うんじゃない」
「そんなことより、あーんの感想ですよ!」
「……うん、嬉しかったぞ」
なんか照れくさいな……。そういえばこれデートだったな、遊びすぎて忘れてたわ。
「ふふっ、私も嬉しいです!」
……。
・・・
「……時雨」
「言うんじゃない、解るから……」
・・・
「美味しかったですね!」
「そうだな」
ああ、どんどん雰囲気がデートっぽく……。
「次はどこに行きます?」
でも、提督と色々回るのは楽し……はっ!楽しくない!楽しくなんかないわよ!
「まだ行ってない奴……緩めに観覧車でも行くか?」
「あ、そこは最後がいいです」
そこ最後にって完璧デートじゃない!……悪くnじゃない!なんでなのよ!
「そ、そうか……」
「あれ行きましょあれ!」
「あれ?あぁ、鏡のやつか。よし、行くぞー」
うぅ……何なのよこの変な気持ちはぁぁぁ!
・・・
そろそろやましろさんのくすりのこうかがきれますね……あたらしいくすりもいちおうじゅんびしておきますか。
・・・
「ねぇ、時雨」
「どうしたんだい?」
「私、そろそろ仕掛けてもいいと思うの」
「仕掛けるって?」
「それは……」
・・・
「なんか変な感じだったなー」
「そうですねー、自分が何人もいると不思議な感じになります!」
……おかしい。さっきまでは楽しめてたのに、急に山城のことだけが頭に……。
「あら、提督に山城?こんなところで何をしているの?」
……えっ?
「僕もいるよ」
え?
「あら、扶桑姉様に時雨」
・・・
ままま不味いわ!なんで2人がここに……!?
「私たち、デートしてるんです!」
ちょっ。
「あらまぁ」
「2人ってそんなに仲がよかったのかい?」
ああ、不幸だわ……。よりにもよって2人にバレてしまうだなんて……。
「ええ、それはもう!」
それにしても……はやく『私』を止めないと不味いわね、このままじゃ私本当に提督と……ふふって違うから!別に嬉しくなんかないから!
「あら、それじゃあ私達はお邪魔ね。時雨、行くわよ」
「分かった。提督、また今度僕ともデートしてねー」
・・・
……さて、観覧車に着いた訳だが。
「提督、はやく行きましょう!」
「あぁ……」
つけられてるな……。誰だ?この気配……なんだ、あいつらか。
「提督?」
「すまん、すぐ行く」
・・・
「バレた?」
「ええ、恐らく」
「あちゃー、もう?」
「でも、こちらに干渉する気はないみたいよ?」
「じゃ、まだ大丈夫だね。まだついていこう」
・・・
「……」
「……」
……やっぱり、俺は山城が好きなようだ。この変な感覚は、昔に味わったことがある。近所の姉さんに、一目惚れだったな。そのあとすぐに姉さんは引っ越したけど。……さて、そろそろ勇気を出すか。昔みたいにならないように。
「……山城、話がある」
・・・
「……山城、話がある」
……え?これ、もしかして……。
「はい、なんですか?」
「俺は……」
ここここ告白!?私、提督から告白されちゃうの!?今の『私』は、絶対OKしちゃう……!
「俺は、お前のことが好きだ。ケッコンしてくれ」
「……」
……あれ?『私』が……私に戻った?
「返事を、聞かせてくれないか」
……最後は、私の本心をってわけね。
「……」
「……私、最近おかしかったんです」
今日のデートで分かった。
「……?」
「提督といると、自分が自分じゃない感じで」
『私』は紛れもない私自身だったのだと。
「はぁ」
「今日のデートも、まるで私とは別の人が勝手に提督とデートをしているみたいで」
……まぁ、提督は悪い人ではないみたいだし。
「……」
「……それでも、それは私。心のどこかに、提督のことが大好きな自分がいたんでしょう」
今は……その告白を、受けることにしましょう。
「……!」
「……だから私も、提督のことが大好きです」
・・・
「……だから私も、提督のことが大好きです」
……良かった、断られるかと思ってヒヤヒヤした。
「こちらこそ、不束者ですが」
「……そうか、ありがとう。書類一式は鎮守府に置いてあるから……ん?」
ポケットには、指輪が。
「……ま、いいか。山城、指をだせ」
「はい!」
初デートでケッコンカッコカリとか、これもう分かんねえな。ノリだノリ、勢いに任せちゃえ!
「……よし」
「……ありがとう、ございます!」
山城は、涙目になりながら笑っている。俺も泣きそうだが、ここは男の意地でこらえた。
「……あ、そうだ」
「なんですか?」
「もう俺に対しては敬語じゃなくていいからな」
「え、でも……」
「てか俺がそうしてほしい」
「……そう、ならそうするわ」
親しい人に敬語を使われるってのはなんか合わないからな。これでよし。
「じゃあ、これからもよろしくな、山城」
「ええ、こちらこそよろしく、提督」
艦!
〜山城改二〜
「あ、ふそうさん。やましろさんしりませんか?」
「あら、今は提督とデートをしているわよ?」
「またですか……」
「本当に、仲がいいわね……」
少しだけ、妹が憎いと思ってしまう。ああ、私はなんて情けないのだろう……。
「そうだ、ふそうさんにはつたえておきますが、やましろさんのようすがおかしかったのは、すなおになるくすりをのませたからなんです」
「まぁ……そうだったのね」
今度私も貰おうかしら……。
「ほう、それは初耳だな」
「そうね、詳しく聞かせてもらいたいわ」
……。
「かんべんしてくださいぃ!」
「ふざけんな!山城になんてもん飲ませてんだ!」
「提督、落ち着いて。私は別に嫌な思いはしてないから、ね?」
「……取り乱した、すまない」
「そうだそうだー」
「調子にのんな」
「姉様、この妖精からは何ももらっちゃ駄目です。分かりましたか?」
「ええ」
……ごめんなさい、山城。後でもらうわ。
「そういえばやましろさんにようじがあったんでした。改二のはなしなんですが……」
「お、やっとか。遅かったな」
「改二?」
「ああ、改二というのはだな……」
・・・
「取り敢えず改装はしてみたんだけど……」
「……」
山城改二が俺に話しかけてくる。
「なんで目を合わせてくれないの?」
「……目のやり場に困る」
そう。なんか……エロい。
「もう、なに照れてるの?既婚者のくせに」
近寄ってくる気配。
「……まだカッコカリだろう?」
「ケッコンには違いないわよ。というわけで、えい」
無理矢理顔を山城のほうに向けさせられる。
「……」
「真っ赤ねー」
「うるせえ……」
目を合わせていられない。ずっと合わせていたら理性が……。
「ところで提督」
「……ん、どうした」
「姉様改二は?」
「練度が足りん」
「あっ……ふーん」
〜時雨改二〜
「時雨ー」
「どうしたんだい?」
「練度が改二の条件に達したから、時雨も改二にしたいんだが……」
「改二か……」
「どうだ?」
「面白そうだね、いいよ」
・・・
「どうだい?新しい僕は」
「……なんというか、犬?」
「え」
「ほらこれ」
「ひゃうっ」
「どう見ても耳だろ」
「か、鏡ない?」
「ある」
「見せて!」
「ほれ」
「……ほんとだ、耳が生えてるように見える」
「だろ?」
「つまり、僕は提督の犬ってことでいいのかな」
「え」
「僕は提督の忠犬。頼りたくなったらいつでも頼ってね」
「はあ……」
「じゃ、山城たちにも見せてくるよ。改二、ありがとうね」
「おう」
「……またね、ご主人様」
「!?」
〜扶桑改二〜
「扶桑」
「はい」
「改二だ」
「はい」
・・・
「どうだ?」
「いいですね」
「だろ」
「……何あれ」
「ああ、山城は知らないか。時々提督はあんな感じになるんだ」
「え、1度もなったことないわよ?」
「それは山城に対してだけさ。機嫌がいい時はあんな感じだよ」
「あれで機嫌がいい……?あの無口なのが?」
「うん」
……まぁ、私だけ特別ならいいか。
〜練度MAX!〜
「やったな、山城」
「ええ、長かったわね」
「なにか欲しいものとかあるか?」
「じゃあ、前みたいに褒めてほしいわ」
「え、あれをまた?」
「ええ。今度は……その先までいってもいいんですよ?」
「なっ」
・・・
「姉様、聞いてください」
「どうしたの、山城?」
「子供が、出来ましたー!」
「まあ、おめでとう」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、艦娘は引退するの?」
「いえ、育児休暇だけ頂いて、落ち着いたらまた戦います。護るものがあると、それだけで強くなれますから」
「あら、山城も成長したわね」
「まぁ、そういう訳なのでよろしくお願いします」
・・・
「とうさん!」
「ん、また勝手に入ってきたのか。愛い奴め!はっはっは!」
「……あなたもすっかり親バカね」
「どうした?こいつが懐いてくれないのか?」
「いえ、最近あなたに構って貰えないから寂しいのよ」
「……そうか、すまない。お前は俺の大切な嫁だもんな」
「分かってくれればいいんですよ」
「また今度、3人で一緒に出かけるか!」
「はいっ!」
今度こそ艦!
平成30年『防衛白書』86頁
💀韓.国.🇰🇷💀
19年連続で『軍拡』実施
特に『ミサイル・海軍・空軍』の『軍拡』が顕著である。
極めて危険な『兆候』
かが『流石に気分が高揚します。』