俺とサヨナラ (第5話)
相変わらず、読みづらい! そして、今週も遅刻だよ…。 あ、コメント等待ってます。
今回は、一気に時間が飛びます。また、茜と優斗ばっか出てきます。
そして、読みづらさが治らない!
3月のとある朝。俺は、茜の父さんと母さんと家にいた。なぜかというと、俺以外の10人はとある検査を受けに行っているからだ。まあ、俺にはあんまり関係ない話なんだけれどもな。暇だったので、窓から外を覗いてみると、桜が咲いていた。
優斗「俺も、もう卒業か...。ここまで色々あったよなぁ…。まあ、ホントに色々ありすぎて全然覚えてないんだけどもな。しっかし、あいつら、もう検査終わったはずなんだけどもな…。ちょっと遅すぎねえか?」
検査が終わる予定の時間から、もう30分以上経っている。いくらなんでも遅すぎる。なんかあったのか? なんて考えている真っ最中に、茜たちの声が外から聞こえてきた。俺は外に出る。外では、検査結果かなんだか分からないが、何か紙を持って帰って来ている茜たちがいた。あいつらは笑顔で帰ってきた。1人を除いて。
優斗「どうしたんだよ、そんな満面の笑みなんか浮かべて...」
咲 「どうしたもこうしたもないっぽい! 私たち、艦娘になれるっぽい!」
優斗「…。へ?」
いやいや、待て待て、こいつらが艦娘? 聞き間違いだよな。まだ小学校卒業するぐらいだぞ。俺と同い年ぐらいのやつもいるらしいけども。しかも、今『私たち』って言ったよな。え、じゃあ、あの紙持ってる奴ら全員、艦娘になるってことか!? だめだ、理解が追い付かねぇ。
優斗「えっと、一応聞くけどさ、その紙持ってるやつ全員、艦娘になるってことか?」
優香「まあ、そういうことだね。それにしても、まさか艦娘になれる素質が僕たちにあったなんてね…」
由衣「けれども、艦娘になったらみんなを守れるってことだし、艦娘になるか、ならないかって聞かれたら、断る理由が無いよね」
春香「これで、私たちみたいな子が増えないようにできますね! はい!」
優斗「…」
優香たちは、深海棲艦が攻めてきた時に親を失った。だから、自分たちみたいな境遇の子供たちを増やしたくないという気持ちはみんな、強い。もちろん、俺だってその気持ちだ。親を失う悲しみなんか、だれにも味合わせたくはない。
優斗「まあ、良かったじゃねーか。みんなを守れる、最高の職業だし」
愛海「けれども、問題が1つあって…」
優斗「問題? なんだよ、それ」
愛海「艦娘になったら、もうここには帰ってこれないかもしれないんです…」
優斗「え...」
言い終える前に茜の方を見ると、茜は下を向いたまま黙り込んでいた。今にも、泣き出しそうな顔をして。
優斗「あ、茜? 大丈夫か?」
茜「…」
茜は黙ったまま動こうとしない。まあ、そうなるだろう。艦娘になってしまったら、もう優斗とは会えない。ここにはもう帰ってこれないから。だからといって、艦娘にならなかったら、艦娘になることを決めている、優香たちとサヨナラである。
艦娘になって、みんなを守るか、艦娘にならずに、ここに残るか。
そんなことを考えるのは、小学6年生の娘には荷が重すぎる。
優斗「茜…」
茜 「みんな、ごめん。少しだけ、一人にさせて…」
茜が口を開くも、言葉に力がない。たぶん、ここまで帰ってくるまでそうとう考えたのだろう。けれども、そんな簡単に決められることではない。どっちを選んでも、サヨナラしなきゃならないから。
優斗「…分かった。とりあえず、部屋に戻ろうぜ。お前らも。俺はちょっとリビングにいるわ」
優香「う、うん…」
重い空気が俺たちを包み込んでいく。 それにしても…
優斗「俺って、ホントにこんな時に無力だよなぁ…」
自分の恋人がこんなにも苦しんでいるのに、かける言葉を見つけられない。
茜は泣きそうなほど苦しんでるのに。 俺は何にもできてない。
優斗「どうしたらいいんだよ…」
茜は、いっつも元気だった。だから、こんな事なんて一度も経験したことなんてない。
茜の心がのぞけるもんならのぞいてみたいよ。…今は、真っ黒だろうけども。 考えているうちに、もう1時間も経っていた。茜はまだ部屋の中だ。
優斗「このまま、考えても埒が明かねぇ…。いっぺん、茜と話すしかねぇのか…?」
正直言って、今は茜と話すのは得策ではない。むしろ、逆効果になるかもしれない。けれども、俺にできることは茜と話すぐらいしかない。そう思った俺は、部屋のドアに手を掛けた。そんな時だった。ドアが開いてきたのは。
茜 「あれ、ゆーくん…。どうしたの?」
優斗「えっと、いや、その...」
急に部屋から茜が出てきたものだから、なんて言えばいいのか分からない。とりあえず、茜と顔を合わせようとする。けれども、茜がなかなか顔を合わせようとしてくれない。
優斗「茜? どうしたんだよ、今さっきからずっと顔逸らして」
茜 「…。今、顔合わせられないから。だって、だって…」
言い終える前に、茜の目から涙が流れ落ちた。この1時間、ずっと考えていたんだろう。俺か、妹達か。
優斗「茜...」
とりあえず、茜の手を引きながら部屋へと入る。茜の顔は涙でぐしょ濡れだった。
優斗「とりあえず、涙拭けよ。ほら、タオル」
茜 「…ありがと」
優斗「…。別に無理しなくてもいいんだぜ。 一応、まだ期間はあることだし。けども...」
俺が次の言葉を言いかけた時。茜はとある質問をしてきた。
茜 「ゆーくんはどう思ってるの? 私が艦娘になれること」
優斗「…」
何も言えない。俺は茜が艦娘になるってことに対して何とも考えてなかった。ただ、いい事じゃないか、としか言いようがなかった。
茜 「何にも考えてなかった。…でしょ」
あっさりと心の声を読み取られてしまった。何で、こういう時にはこいつは頭の回転が異常に早くなるんだよ。
優斗「ばれてた、か。 …まあ、俺には決められねえよ。俺が、お前の立場ならな」
茜 「…」
優斗「まあ、お前の人生だから、お前の好きなようにしろよ。…。俺は、艦娘になるってなら、応援するからよ」
茜 「…。 やっぱり、ゆーくんは優しすぎるよ…」
優斗「え?」
茜が何かを呟いた後、俺に抱きついてきた。多分、茜の出せる全開の力で。
茜 「何で…。 何で、そんな優しい事言うの! そんな事言われたら…。私…。もう、ゆーくんともっと離れたくなくなっちゃうよぉ…」
優斗「茜…」
茜 「ゆーくんのバカ! バカバカバカァ!」
茜が泣きながら思いっきり叩いてくる。いつもなら、痛くないけども、今日は一発がクッソ重く感じる。
優斗「お、おい…。落ち着け、茜。そもそも、離れるっつても、完全に会えなくなるわけじゃないんだよ…」
説明しようとしてるのに、茜が叩いてくるせいで説明ができない。茜たちにまた会えるかもしれない、唯一の方法が。とは言っても、咄嗟に思いついた案なんだがな。
優斗「茜、頼むから、一回落ち着け!」
茜 「…。分かったよ…。それで、完全に会えなくなるってどういうことなの…?」
ホントに、この方法が茜たちにもう一度会えるかもしれない方法かどうかは分からない。けれども、言ってみる価値はあるはずだ!
優斗「俺が…。 提督になることだ」
茜 「え…? どういう、こと?」
優斗「艦娘って聞いたあと、少しだけだけれども父さんと母さんの事、思い出してたんだ。俺の父さんは、提督だった。そして、父さんは艦娘を率いてた。つまり、俺が提督になりゃ、また会えるかもしれないって話だ!」
茜 「で、でも…。提督になったところで、会えるとは限らないんだよ! しかも、提督になるには難しい試験とか受けないと…」
優斗「そん時は…。努力で何とかしてやらぁ! んで、俺が提督になったら、最初にお前を迎えに行ってやる! いっちばん最初にな!」
茜 「ゆーくん…。分かったよ…。私、決めた。私、艦娘になる! そして、ゆーくんにいっちばん最初に迎えに来てもらう!」
優斗「じゃ、俺は勉強頑張んないとな...。まあ、大事な彼女のためだしな!」
茜 「もー、彼女ってこんなタイミングで言うのー?」
そう言う、彼女の顔を見ると、いつもの笑顔が戻ってきていた。俺のいっちばん好きな顔だ。
優斗「お前、いつの間にか笑顔戻ってんじゃん!」
茜 「えへへ…。やっぱり、私には笑顔がいっちばんだよね!」
優斗「あったりまえだろ!」
俺たちは、この後、一緒にこの夜を過ごした。たくさんの思い出を話して、笑った。 翌日、茜は茜の両親、優香たちに艦娘になることを伝えたらしい。
そして、茜が艦娘になることを伝えた、数日後。ついに一時的だが、『俺とサヨナラ』する日がきた。
(駅のホームにて)
茜 「ついに、この日が来ちゃったね…」
優斗「ああ...」
茜 「でも、何故か寂しくないんだ。ゆーくんが迎えに来てくれるって信じてるからなのかなぁ?」
優斗「さあな。あ。そういえば、渡すもんがあったのすっかり忘れてた。ほらよ」
優斗が何か入ってる袋を手渡してきた。袋の中からその何かを取り出す。中には黄色いカチューシャが入っていた。
茜 「どしたの、コレ?」
優斗「いや、本当はお前の誕生日プレゼントにしたかったんだけれどもな…。間に合わないねえもん。だから、今、渡したってわけ」
私の誕生日は4月5日。けども、出発する日は3月末。ギリギリ間に合わない。
茜 「じゃあ、今、コレ私につけて?」
優斗「何で今? 別に…。」
茜 「だって、本の中でよくあるじゃん。王子様がティアラをお姫様にかぶせてあげること。それに似たようなことしたいなー、なんてね!」
優斗「りょうかーい。じゃあ、こっち向いて。コレつけるから」
茜 「…うん///」
優斗「何で照れてんだよ。こっちも恥ずかしくなるじゃねーか」
茜 「だって、あんな事言っちゃったから余計、意識しちゃって…」
優斗「ったく...。じゃ、つけるぞ」
茜 「…うん」
優斗は優しく、茜の頭にカチューシャを着けていく。ゆっくりと。
そして、茜の頭に黄色いカチューシャがつけられた。
茜 「似合う?」
優斗「ったりめーだ。なんだって、俺が選んだやつだからな!」
茜 「え?」
優斗「あ」
茜 「へー…。私の事、考えてくれてたんだ...。」
優斗「な…。何だよ。悪かったな!俺が選んだやつで!」
茜 「ううん。嬉しいに決まってるよ! だって…。 いっちばん大好きなゆーくんにもらったやつなんだもん!」
優斗「お、おう…。クッソ恥ずいからやめてください…」
茜 「えー。別にいいじゃん。だって、最初に駅に着いたんだからまだ誰も来ないでしょ!」
優斗「いや、まあ、そうなんですが。色々あるんだよ、こっちだって…」
茜 「はいはい…」
優斗(それにしても…。こいつと一緒に何年住んでたっけ。確か、6歳の時だから…。6年間か。長かったなぁ…。)
茜 (6年間、かぁ…。でも、小5の時に色々ありすぎたなぁ…。手つないだり、キスしたり…。)
茜 「ねえ、ゆーくん? もうしばらく会えないんだし…。最後に、キスしちゃう?」
優斗「何を急に言い出してんだ!?」
茜 (ホントに何言ってんの私!?)
優斗「ま、まあ…。少しの間、会えないんだし…。俺は大丈夫だぞ」
茜 「じゃあ…。しちゃう?」
優斗「おう…。じゃあ、こっち向いて」
(ホームの外にて)
??「あれ? お姉ちゃんたちどこ行ったっぽい?」
??「もう、ホームにいるんじゃない?」
??「見に行って見ますか?」
??「まあ、あの2人のことだからホームにいるっているオチだろうけども...」
(ホームでは)
茜がこっちを向いて立っている。俺からのキスを待ちながら。そっと、顔を近付けていく。
(ホーム外)
??「じゃあ、ちょっと荷物置いてってうわぁ!」
??「また…。荷物ぐちゃぐちゃになっちゃった...」
??「何やってンだよ、姉貴!」
??「見た目はそっくりだけど、ここだけはあたいと似てないんだよな…」
??「話してないで、片付けないと…」
(ホーム内)
俺は、茜の唇に俺の唇を近づけていく。ゆっくりと。ゆっくりと。 そして、俺の唇は茜の唇に重なった。 この時間がずっと続いてくれればいいのに。 けれども、もう、『サヨナラの時間』は近づいている。 俺は茜の唇から唇を離す。
茜 「…。次のキスは、ゆーくんが提督になって、私が艦娘になってから…だね」
優斗「…。だな。」
(ホーム内が見えやすいところにて)
優香「あの2人…。また、キスしてるよ…」
由衣「やっぱり、最後までラブラブカップルさんみたいね」
咲 「砂糖が口から出てきそうっぽい」
春香「でも、4人は見ちゃダメです! はい!」
愛海「もう、遅いと思うよ…」
七海「あわわわ…」
里奈「茜お姉ちゃん…。嬉しそう…」
愛香「うわー。アッツアツじゃン」
鈴奈「見てるこっちが顔が真っ赤になりそうだよ…」
(ホーム内)
優斗「…。もう、サヨナラなんだな…」
茜 「うん...。でも、絶対に会えるよね。いつか…ね。」
俺たちが色々してから数分経ってから、優香たちがホームにきた。なんか、顔が赤いけど気のせいだろう。
…少しづつ、時計の針が約束の時間に向かって動いていく。
ついに、その時間がきた。ああ、もう、一時的だけど、『サヨナラ』なんだ。
…苦しい。辛い。ホントは茜と別れたくない。だって、寂しくなってしまうから。
けれども、あいつは決めたんだ。艦娘になって、みんなを守るって。
だから、俺だって覚悟を決めてやる。提督になって、茜を迎えに行くって。
少し経つと、海軍の服を着た人が駅に来た。人数を数えていく。10人全員、揃っている。
電車がホームに入ってくる。みんなが乗っていく。みんなが手を振る。俺は、思いっきりの笑顔で手を振る。腕がちぎれそうなほど。
発車を告げる笛が鳴り響く。電車のドアが閉まっていく。俺は、腕を振り続ける。笑顔で。
電車が動き出す。走って電車を追いかける。どんどん、茜たちが遠のいていく。俺は思いっきり、大声で叫んだ。
優斗「お前らー! 頑張れよ! そして、茜! 絶対に迎えに行くから、待ってろよ!!!!!」
茜(電車内にて)「バカ。叫ばなくても、分かってるよ…」
次回。
最終回。 「俺と 白露型一番艦 白露」へと続く。
また、遅刻してしまいました。誠に申し訳ありません! 来週こそ守ります!
次の投稿予定は、5月26日(日)です。
また、第何話か分かりずらいので、タイトルを少し変更します。まあ、番号つけるだけなんですけどもね。
次回は、いよいよ最終回です! また、第1話(俺とあの娘)の冒頭部分にようやく戻ってきます。
果たして、優斗は茜に会うことができるのか!?
改になると何故か赤になるあのカチューシャ。
つまり再会するまで無改修のままの可能性が有るのか
※1さん、コメントありがとうございます!
さぁ、どうでしょうねぇ…。