艦娘が為
私の前作のSSの続きの様なモノ
まぁボチボチ投稿していければいいかなぁ…
照りつける日差しに海水が反射し海は銀色に輝く、人間が支配し生活を営む場所の一つであったが深海棲艦の出現によりそれは過去の話になった。
そんななか海岸に1人ポツリと少女が打ち上げられている。
「…」
「……んっ」
「ゴホゴホッ!ゲホッ!」
「何処だ…ここ…」
「俺は…誰だ?」
大淀「落ちてたから拾ってきた?」
天龍「おう!」
大淀「あなたねぇ…ここがどんな所かわかってるの?」
天龍「鎮守府だろ?」
大淀「はぁ…そうよ、あくまで軍事基地なのよ?あなたの家でもなんでもないのよ?それなのに部外者を連れ込んで…」
不知火「大淀さんそんなに天龍さんばっかり責めないで下さい、不知火にも責任はあります。」
大淀「はぁ…」
大淀は大きくため息を吐き頭を抱える。
電「検査が終わったのです!」
電は少女の手を引いてドアの向こうからやってくる。
大淀「検査結果は?」
電「身体に異常なしなのです!」
大淀「それは良かった。」
天龍「でお前さ、誰なんだよ?」
天龍は少女を指差して言う。
黒髪でもう少しで腰まで届きそうな長髪な少女は答える。
少女「わからない。」
天龍「はぁ?」
電「記憶がないんだそうです。」
不知火「なにか思い出せることがあればいいのですが…」
少女「うーん…なにかといわれてもな〜…」
大淀「でもあなたは艤装を付けていたんですよね?」
少女「ぎそう?ああ、鉄の塊みたいな奴?」
大淀「そうよ。」
少女「気がついたら付いてたな、あとこのセーラ服みたいなのも最初から着てたな。」
不知火「本当に記憶が無いんですね…」
少女「まいったなぁ…ん?」
天龍「どうした?!なにか思い出したか?!」
少女はスカートの中を弄る。
不知火「なななな?!なにやってるんですか!」
少女「これ…」
少女はスカートの中から取り出したものを見せる。
天龍「タバコ?」
電「とライターなのです!」
少女はタバコを一本取り出す。
<カキン、シュボ
少女「……ふぅ〜…あぁ〜なんか懐かしいなぁ…」
一同は目を丸くする。
不知火(タバコ吸うの?!この歳で?!え?!え?!)
電(危ない人なのです?!危ない人なのです?!)
天龍(カッケー!ワルだ!本物のワルだ!カッケー!)
少女「あっ?ここ禁煙?」
大淀「え?…ああ!そうね、そうよ!ここは禁煙よ!」
少女「んじゃちょっと外に…」
少女はドアへと向かう。
少女「あっ!」
不知火「どうしました?」
少女「俺って…橘って名前だ。」
執務室にて二人が話をしている、片方は大淀、もう一方はこの鎮守府の提督である。ブルネイ鎮守府の提督であるこの人物はとても恰幅が良い。
大淀「新しく着任した『橘』のことでお話が…」
提督「いちいち言いに来るな!唯の駆逐艦なんだろう?!だったら適当に部隊に入れれば良いだろう?!」
彼の父は海軍上層部でありそのコネで今の地位についたという過去持ちである。
大淀「で、でもそれでは…」
提督「うるせえんだよ!」
提督は大きく手を振り上げると大淀の頬に向けて拳を振り下ろす。
大淀「キャッ!」
大淀は後ろに倒れる。口内を切ったのだろう、口から血を流している。
提督「俺は忙しいしいだ!黙って言うことを聞けばいいんだよ!」
提督は唾を勢いよく飛ばしながら怒声を発する。
大淀「わ…わかりました…」
提督「最初からそう言えばいいんだよ!クソアマ!」
提督はそう吐き捨てると大淀の腹部に蹴りを入れ部屋に入って行く。
大淀「ゲホッ!オヘェ!」
大淀「ゼェゼェ…ハァ…」
大淀(身体全体が痛い…肋骨が折れたかもしれないわね…)
大淀(とりあえず…部屋に…)
大淀は壁に手を付き歩いて行く。
大淀(目が眩んで…い、意識が…)
人形の糸が切れたかのようにドサリと音を立て大淀は倒れる。
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ーーーーーーー
ーーー
〜提督室〜
提督「どうしてこうも俺の周りには役立たずが多いんだ!クソ!」
提督「おい!大淀!酒を持ってこい!」
提督「…大淀!!居ねえのか?!」
提督「クソオオ!」
提督は壁を殴る。
提督「大淀の奴!次はもっと痛めつけてやろうか?」
提督「あー!イライラすんな!そうだ……こんなときは……グフフ!グヘヘ!」
≪鎮守府内放送、こちら提督だ至急…うーんそうだなー…今日は……誰に…よし決めた!時雨!相手をしてやるからすぐ執務室に来い!≫
放送の終わりを告げる間の抜けた独特の音が艦娘の寮にこだまする。
時雨「………」
時雨は極寒の地に丸裸で放り込まれたかのようにガタガタと震えだす。
時雨「…嫌だ…ぼ…ぼくは…」
眼には大粒に涙を溜め顔の色はいつにも増して青白くなっている。
周りの艦娘たちは自分が選ばれなかった安堵と時雨への同情の混じったなんとも複雑な視線で時雨を見つめる。
時雨はブツブツと言葉にならないと言葉を言いながら千鳥足で提督室へと向かう。
橘たちは自室で話し合いしていた。
橘「今の放送って何?」
天龍「言いたくもねえ!胸糞悪い!」
天龍は荒々しく立ち上がりどこかへ行ってしまう。
電「…」
電は何も言わずに俯いてしまう。
不知火「橘さん。」
橘「ん?」
不知火「耳を貸して下さい。」
橘「何々?」
不知火が橘の耳元で囁く。
橘「……軍ってのは嫌だね〜…」
不知火「…ですね…申し訳ありませんが橘さんも覚悟はしておいて下さい…」
橘「覚悟…ねぇ…。」
天龍「おい!」
不知火「なんですか?そんなに大声出して?」
天龍「大淀が!大淀がぶっ倒れてる!」
不知火「なんですって?!」
電「…もしかして提督に…」
橘「……酷い提督だな…」
不知火「…まずは大淀さんの手当てが先よ、すぐ運ぶの手伝って、」
橘「りょーかい。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
時雨(ぼくはなにか悪いことしたっけ…)
時雨(なんでぼくが…)
時雨(………)
時雨は今にも逃げ出したい気持ちだった。
思いに反して身体は着実に提督の待つ執務室へと足を進める。
足を一歩だし廊下の木目を踏みしめるたびに自分が壊れていくようだった。
執務室の前まで来た。来てしまったというほうが正しいのだろうか。
ノックをすると勢いよく扉が開き腕を掴まれ引きずりこまれた。
提督「お、遅いぞ!罰として今日はお仕置きをたくさんするぞ!」
提督の顔のは醜く歪みこれから時雨にする仕打ちを必死に思案しているようだった。
ただでさえデブで暑苦しいのに興奮で息が上がり額には脂汗をかき髪はじっとりと濡れている。
汗特有の酸味のある匂いが部屋に漂う。提督の息使いが手に取るようにわかる。野菜の腐った匂いが口から臭う。
提督「ここ最近執務が忙しくて風呂にはいってなくてな。」
提督はズボンのベルトをカチャカチャといわせパンツになる。
提督は時雨の身体は掴むと胸元に腕を入れ雑に制服を引きちぎる。
不思議と声は出なかった。
絶望で身体は動かず腰は抜けどうすることもできない。
提督の下半身が目の前にくる、
提督「咥えろ。」
体臭とか汗とかではない吐き気を催す臭うが鼻から頭の先まで抜ける。
時雨(…ああ…もうだめなんだな…諦めよう…)
時雨は涙を流しながらニコリと笑う。
時雨は提督のぼけた青色のパンツを下ろす。提督いきり立つモノが現れる。
時雨は目をつぶり提督の腰に手を回す。
提督の惚けたアホ面を握りこぶしが捉える身体が後ろに吹っ飛ぶ
時雨「……え?」
「着任のご挨拶に来ました。橘でーーーす!」
橘は窓の近くまでテクテクと歩いて行く、
時雨(えっ?今何が?っていうか誰?)
橘は濃い赤色のカーテンを雑にレールから引きちぎる。
橘「君大丈夫?」
橘はカーテンを時雨の身体に巻きつける。
橘「服がボロボロだから部屋に行くまではこれで我慢してね。」
提督「グッ…おい…そのカーテンはとても高いんだぞ…え?」
橘は提督のいい終わり前に提督の髪を掴む。
橘「うるさい。」
橘は髪を引っ張り壁に思い切りぶつける、鈍い音を鳴らし提督の鼻は潰れ壁を赤色に染め上げた。
橘「寝てろ、屑。」
提督はそのままドサリと崩れ落ちる。
時雨(…強い…それに…かっこいい…)
橘「立てる?君?」
時雨「…あ…うん。」
時雨は立ち上がろうとするが上手く立てない。
時雨「あれ…おかしいな…ちょっと待って…」
途中までは立てるものの膝がカクリと折れて座り込んでしまう。
橘「まぁビックリしたもんね。しょうがないよ。」
橘は時雨の脚と背中に腕を回し俗に言うお姫様抱っこをする。
橘「よっと。痛く無いかな?」
時雨「うん…でもちょっと恥ずかしい…かな////」
橘「ゴメンね〜。」
時雨「ううん、ありがとう。」
橘は時雨を抱えたまま部屋へと向かう。
橘「君名前は?」
時雨「ぼくは時雨、君は?」
橘「俺は橘って言うんだ。よろしく。」
時雨(橘って言うんだ…)
橘「っと、部屋に着いたよ。」
橘は部屋のベットに時雨を寝かせる。
時雨「わざわざありがとう…」
橘「まぁまぁ気にしないで、今は休んだほうがいいでしょ?それじゃ!」
時雨「ちょっとまって!」
橘「ん?なんだい?」
時雨「また…会えるかな///?」
橘「そりゃ同じ鎮守府なんだから会えないこたないでしょ?」
時雨「そうじゃなくて…個人的に…今回のお礼も兼ねて…///」
橘「いいけど。」
時雨「本当?!」
橘「ん。」
橘「まぁ今は休んだ休んだ。俺もいろいろ報告とかあるし、」
時雨「わ、わかったよ。」
橘「んじゃ!」
橘は黒髪を大きく揺らしながら駆け足で部屋から出て行った。
時雨「橘…かぁ…」
〜執務室〜
ボロボロの身体を引きずり微かな威厳を保つべく声を張る。
提督「貴様は何をしたかわかっているのか?!」
橘「…ん?…んああ〜」
橘はタバコを吹かす。
提督「きっさまあああ!!」
提督は橘に思い切り拳を叩きつける。
橘は顔面にもろにくらいのけぞる。頬は赤くなり口元から血が垂れる。
提督「ふっ…はは!言いザマだなぁ!橘ァ!」
橘吹き飛んだタバコを拾い上げ、血混ざりの唾を執務室の木製の床に吐き捨てる。
提督「…そんなに死にたいか?」
提督は再び拳を振り上げる。橘の顔面に向けてまっすぐ振り下ろす。
橘は提督の拳をヒョイと躱して胸元に入り込む。
提督「なっ?!」
橘は軽く提督の脚を蹴り上げる。
提督の巨体はクルリと回り地面に叩きつけられる。
提督「ガッハ?!」
橘「ってーなこの野郎…」
橘は提督の上に馬乗りになって提督に顔を近づける。
橘「二つ…」
橘「まず一つはお前さんが俺をぶん殴ったんじゃない、俺がお前さんに殴らせたんだ。」
提督「なんだと!嘘を言うなァ!」
橘は指を鳴らす、少し間があって執務室のドアから軍服を着た男二人が入ってくる。
?「憲兵です、通報がありましたので参上致しました。」
提督「嘘…だろ…」
憲兵「身柄を拘束させて頂きます。」
提督は手錠をはめられる。
橘「最後に二つ目はな…お前さんがぶん殴って吹き飛ばしてくれたこのタバコ…高いんだよね。やるよ。」
橘は提督のおでこにタバコを押し付ける。
提督「あ゛あ゛っずう!!」
橘「おっ?いい顔になったじゃん。」
橘は憲兵の階級章にチラリと目をやる。
橘「軍曹さんに少佐さんね、」
憲兵「はい、お疲れ様でした。傷のほう大丈夫ですか?」
橘「大丈夫じゃないっていうと?」
憲兵「国の方から補助金が…」
橘「大丈夫じゃない。」
提督「どっどうも!この度ブルネイ鎮守府の提督になりました!よ、よろしくお願いします!」
若い、十代ぐらいの男が純白の第2種海軍制服に身を包み艦娘達の前で挨拶をしている。
提督「…私は提督になったばかりなので至らないところもあるかもしれませんが、サポートお願いします!」
艦娘達から拍手が上がる。
❇︎
大淀「お疲れ様様でした…提督。」
提督「あっ、大淀さん、ありがとうございます。」
大淀「早速ですが、仕事の方が…」
大淀が資料の山を指差す。
提督「えぇ…」
大淀「前任の提督が全く仕事をやらなかったので…」
提督「そうなんですか…」
大淀「私も手伝いますよ。」
提督「ありがとうございます。」
提督「ん?これは。」
提督は小さな冊子を手に取る。
提督「艦娘一覧…この色が違うのは…」
大淀「色?ああこれはまだ着任したてで着任報告の住んでいない艦娘のことです。」
提督「橘…ですか…」
❇︎
橘「…国の金で吸うタバコは美味いなぁ…」
タバコを吸いながら海を眺めている、キラキラと銀色の海は見ていると吸い込まれてしまいそうだ。
?「またタバコですか?身体に悪いですよ?」
橘「?…不知火か。」
不知火「提督…ぶん殴ったんですってね?」
橘「ああ。」
不知火「あのクズいい気味ね…鎮守府のみんなも喜んでたわ、」
橘「そっか…」
不知火「記憶の方は?戻った?」
橘「いや…まだ自分が橘ってこと以外は…なにも…」
不知火「そう…」
不知火「新任の提督どう思う?」
橘「どうって?」
不知火「性格も良さそうだし顔だって悪くない、結構競争率高いわよ。」
橘「興味ないなー。不知火はどうなの?」
不知火「不知火も興味ありません。」
橘「じゃあなんで?」
不知火「いや橘って男に興味あるのかなとおもったので。」
橘「ふーん…」
橘は不知火の前まで歩いて行く、そのまま不知火の顔を見つめる。
不知火「えっ?なんですか?」
橘「タバコ吸う?」
不知火「お気持ちだけで結構です。」
橘「なーんだ。」
≪橘、執務室まで来てください≫
不知火「橘さんあなた何か悪いことでも…」
橘「してないよ!」
❇︎
〜執務室〜
橘「橘です、入りますよー。」
提督「ど、どうぞ。」
橘が扉を開けて入ってくる。特徴的な長い黒髪が光を反射させて艶やかに光る。歩みを進めるごとに髪が揺れる。
提督(うわぁ…美人な人だなぁ…匂いがここまで…)
橘「俺に何の用ですか?」
提督(『俺』って言うんだ…変わってるな…でもそこが…)
橘が提督のそばに歩み寄る、目を除きこむ。
橘「おい、提督さん?大丈夫か?」
提督「おあ!だだだだいじょうです!」
提督(白い肌してるなぁ…)
大淀「橘さんは着任の挨拶まだだったでしょう?」
橘「なるほど。」
橘は一歩下がると足を揃え右手で敬礼をする。
橘「橘型の駆逐艦です。よろしくお願いします!」
橘は軽く笑顔を浮かべる。
提督「あ…ああ…よろしく…」
橘「そいじゃ、失礼します。」
提督「まっ!待ってください!」
橘「なんすか?」
提督「わ…私の!」
橘「提督の?」
提督「私の秘書艦になってください!」
不知火「…で秘書艦になったの?」
橘「うん。」
不知火「えぇ…」
橘「まずいのか?」
不知火「いえ別に橘さんがいいならいいですけど…」
橘「資料の整理があるからじゃあまた。」
不知火「頑張って下さい。」
橘「ありがとう。」
※
橘「提督、手伝いに来ましたー。」
提督「あっ…橘!」
橘「それにしても凄い資料の山ですね…」
提督「そ…そうだねぇ…」
提督「僕は資料に目を通して印を押すから…」
橘「俺は資料整理っすね。」
提督「よろしく。」
黙々と作業を続ける二人、ちょうど20分ほど経ってから休憩に入る。
提督「お疲れ様橘。」
橘「いえ提督こそ。」
提督「あっそうだ…」
提督が椅子から立ち上がる。
提督「あの…その…」
橘「何か?」
提督「いや…大したことでは無いんだけど…///」
橘「?」
提督「今度の…!」
提督は大きく手を広げ橘に話を切り出す…つもりが大きく広げた手は見事資料の山に直撃する。
橘「あっ?!」
提督「まずっ?!」
床一面真っ白な資料の海が広がる。
提督「ごっごめん!」
橘「大丈夫っすよ〜…ん?」
提督「どうした?」
橘「この封筒…緊急って…」
提督「えっ?どれどれ…」
※
一面に広がる海を白い波を立てて疾走する影が5つ。
天龍「つまりなんだ?前任のあのクソ提督が緊急の指令をすっぽかしてた尻拭いをしろってか?!」
不知火「そうですね。鎮守府から南方の孤島の制海権奪取。」
時雨「簡単に言うけど…」
電「前回に一回失敗してるのです…」
橘「まぁやる前から諦めちゃ駄目でしょ。」
天龍「おいおい橘、そうは言っても俺たちはあのクソ提督のシモの世話だけでまともに訓練なんざしてねぇんだぜ?」
不知火「演習も遠征も全くと言っていいほどさせて貰えませんでしたし…」
時雨「『反逆の芽を積む』だっけ?僕たちが力をつけるのを極端に嫌ったからね。」
橘「そうなのか…」
不知火「橘さんは戦闘には自信があるので?」
橘「自信も何も記憶が無いから…なんとも…」
電「大丈夫なのです?この任務…不安になってきたのです…?」
天龍「俺もだ…」
時雨「橘?」
橘「……」
時雨「どっ…どうしたの?そんな怖い顔して…?」
橘はゆっくりと12.7㎝単装砲を握る右手を上げる。
時雨「えっ?」
発砲による轟音と水飛沫が当たりを覆う。
天龍「っるせえ!ビックリすんだろうが!」
不知火「…どうしたのですか?」
橘「敵。」
電「敵?!」
天龍「適当言ってんじゃ…」
グチリという嫌な音をたて橘の身体が軽やかに宙を舞う。
不知火「え?」
バシャリと音を立て橘の身体は水面に叩きつけられる。ドクドクと首元から流れ出る血によって辺りは文字通り血の海になる。
天龍「ウワァ?!何が?!おい!橘!」
電「い…いや…いやあああああ!!!!」
不知火「敵襲!」
時雨「橘?橘?ねえ!橘?!」
時雨は橘をの肩をもち激しく揺する。橘の頭はガクガクと揺れる。橘の瞳は鈍った光を帯びただ虚空を見つめる。
天龍「おい…」
時雨「橘!橘ァ!嫌だよ!ねえ!」
天龍「おい!時雨!敵だ!」
時雨「嫌だよぉー…グスッ…」
時雨は橘の頭を膝に乗せたまま座り込んでしまう。
不知火「天龍さん!私たちだけでも応戦しないと!」
天龍「クソッ!行くぞ!」
天龍たちは推力を最大にする。大きな水飛沫を上げ敵に向かう。
電「敵発見!あれは…」
不知火「ル級に…」
天龍「タ級だと?!こんなところに!」
電「ル級1タ級1それに駆逐イ級が2なのです…」
不知火「とても今の戦力では…」
天龍「来るぞッ!散れェ!」
天龍たちがつい2秒前に居た場所には戦艦クラスの鉛球が飛んで来る。
天龍「クソオオオ!!」
天龍は刀を両手でもち腰元で構え全力で突っ込む。
天龍「オラァァァァ!!!」
ル級に向かって刀を切り上げる、刀はル級の手に持った主砲に弾かれる。
天龍「なっ?!」
体制を崩してよろけた天龍に敵の一斉射撃をもらう。
天龍「グハァッ!」
橘よろしく天龍も似たような動きで水面に叩きつけられる。
電「天龍さん?!」
電は素早く天龍の元に駆け寄る。
電「天龍さん?天龍さん!」
天龍は腹部にもろに砲弾をくらい左腰の肉が丸ごとなくなっていた。
天龍「ハハッ…ダメだ…こりゃ…早く…逃げ…」
天龍はがくりと首をうなだれると動かなくなった。
電「天龍…さん…」
不知火「この海域を離脱します…電さん早く。」
電「…」
不知火「時間がありません。」
不知火は電の腕を掴み無理やり引っ張る。
不知火「時雨さん!あなたも早く!」
時雨「僕は…ココに残るよ…橘置いていけないから…」
不知火「時雨さん…」
不知火は右手の手袋を外す。
時雨の頬を思い切り引っ叩く。
時雨「ッ?!」
不知火「甘えたことを言わないで下さい。辛いのは私も…」
不知火は糸の切れた人形のようにぐしゃりとその場に突っ伏す。
時雨「は?」
不知火の背中には大きな朱色のシミができていた。
電「…もう無理なのです…もう…」
時雨「………」
単装砲の発射口を確認、砲弾の装填、安全装置の解除、時雨は淡々と砲撃の準備を進める。
時雨「…よし。」
時雨は自身の頭に砲を向ける。
ズドン
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想、アドバイス貰えると嬉しいです。
↓橘を使ってくれました。
http://sstokosokuho.com/ss/read/2022
橘のタバコのメーカーありがとうございました。
久々に投稿できてよかった、これもみなさんのコメと応援のおかげです。
橘…お前…生きていたのか!?
なんで橘が行く鎮守府は全部提督がクズなんですかねぇ…?
ごめんなさいww私の趣味ですww
えっと・・・もう一度転生し直したのか、また最初からなのか、強くてニューゲーム的な感じなのかわかりませんが、橘キターーー!
全く...橘はいつも通りですね...
葉巻かタバコかどちらがいいですか?
個人的になバニラ風味なのが良いと思うんですが
橘「タバコがいいですなぁ…いかんせん葉巻は吸うまでに頭を落とさなきゃなんでめんどくさいですよ。」
それならJTのCASTERがバニラな風味ですよ。
タバコなら、MEVIUS SUPER LIGHTS 6
なんてどうでしょうか?
私のイチオシです!
橘「甘さが少ない渋いタバコですね。ありがとうございます。」
とても面白かったです!!
新任の提督の挨拶が終わった後の大淀の「お疲れ様でした」の所が「お疲れ様様でした」になっていたので直しておいた方がいいと思います
次のSS楽しみにしておきます!!