2021-01-24 23:08:17 更新

概要

語彙力と一緒にストーリーの制作力もどっかに行っちゃいました。


前書き

・今の状況
白露(茜)→深海棲艦のように身体の半分だけなってしまっている。
      けれども、攻撃的になったりはしては無く、いつもの白露と一緒。
優斗→一時期、精神的に病んでしまっていたが今は回復している。


朝日がのぼってきている。海が太陽の光を反射して光っている。

そんな中、1人で少女は海上を走っていた。鎮守府に向かって。


白露「誰か起きてるかな…」


茜は、深夜にこの鎮守府を出た。自分自身が半分、深海棲艦化していたからだ。

このままだと、優斗や姉妹艦、鎮守府に残っている他の艦娘に影響を及ぼすと思ったからだ。

けれども、戻ってきた。


鎮守府を出てから少し経った後、自分と同じようになっている少女にとある事を言われたからだ。


「大切な人がいなくなった時の悲しみは…。言葉にはできないよ?」


この言葉が、茜の心の中でずっと残っていた。


白露「見えてきた…。けれども…。大丈夫かな…」


戻ってきたのはいいが、未だに不安が残っていた。

言われたように戻ってきたのだが、この姿は優斗や姉妹艦、心音以外には見せたことがない。

始めて見たら、あのバケモノに襲われて他の艦娘のように駒にされたと思うに違いないはずだ。


??「あー、よく寝た…。もう朝かぁ…」


鎮守府の近くで、1人でいると聞き覚えのあるいつもの声が聞こえてきた。


優斗「さて、今日も朝のランニング始めますか…」


白露「あ…」


声をかけようとした。

けれども、いくら優斗が相手だったとしても、自分が茜だと思ってくれるか。そう思うと、動けなくなった。

声も出せなかった。目の前にいるのに。


優斗「ん? なんだ、アレ…?」


まだ暗くて見えづらいが、海上に何かいる。

もしかしたら、あのバケモノが何か残していったのか?

そう思うと、不安になってくる。

近くにあった武器になりそうな木の棒を左手に持ち、懐中電灯を右手に持つ。

襲われたら、死ぬかもしれないが他の艦娘らに迷惑をかけるワケにはいかない。


一歩ずつ、そこにいるヤツに近づいていく。近づく度に、心拍数が上がる。


優斗(あのバケモノみたいなヤツじゃなきゃいいんだけれども…)


少しづつ姿が見えてくる。

けれども、そこにいたヤツは…。目を疑うヤツだった。


優斗「あか、ね…?」


白露「…。ゆーくん…」


目の前にいた茜は、昨日見た、元気な笑顔はもう無かった。

体の半分は深海棲艦のように、白くなってしまっていた。目は、片方だけ色が反転し、まるであのバケモノのようになってしまっていた。


優斗「ど、どうなって…」


白露(…やっぱり、こうなっちゃうよね)


茜は、その場から去ろうとした。しかし、優斗が腕を掴んだ。


白露「え…」


優斗「ど、どこ行く気だよ…」


声が裏返りそうになりながら、茜を引き留める。

もしかしたら、目の前にいるのは茜に似たバケモノなのかもしれない。けれども、このまま放っておくのはダメな気がした。


優斗「お前は、茜なのか? それとも…」


白露「…ゴメンね。ゆーくん…」


その呼び方で返すって事は、茜だ。これだけで確信するのは早いかもしれないが、俺にとってはこれだけで十分だ。


優斗「何があったんだ。ソレ…」


目の前にいる茜に聞く。

茜は、下を向いたまま話そうとはしない。


優斗「言いたくないなら、別に言わなくてもいいけれども。とりあえず、こっち来いよ」


白露「うん…」


茜が、鎮守府内に入ってくる。


優斗「まさか、こんな事になってるとはね…」


執務室に茜と戻ってくる。

鍵をかけ、誰も入って来れない状態にする。


白露「ねぇ、ゆーくん…」


優斗「なんだよ、茜」


白露「ゆーくんは、どうとも思わないの?」


優斗「…」


白露「別に、我慢してるなら言ってもいいよ。私は、どんな事を言われても大丈夫だから」


そう言われても、何も言う気にはなれない。


優斗「別に、茜に何かと言おうとは思ってないよ。ただ、俺はなんでこうなってしまったのか。ただ、それが気になってるだけ」


白露「まぁ、そうなるよね…。いいよ。言わなきゃいけないと思ってたし」


茜は、これまで起きた事を何一つ隠さずに言った。

自分が深海棲艦のようになってしまったワケ。1人でどこかに行こうとしたコト。そして、自分と似た状態になっていた娘と会ったことも。


優斗「そんな事があった、のか…」


白露「本当だったら、昨日にはここからいなくなるはずだったのにね…」


優斗「けれども、茜と会ったその娘の言ってた事は…。正しいのは事実だな」


白露「うん。今になって考えてみれば…。ちょっと自分勝手過ぎたと思ってる」


優斗「けども…。優香たちの事はどうするんだ?」


白露「そこは…。どうにかする」


優斗「どうにかって…」


まぁ、こうなるのも仕方ないかもしれない。

そもそも、昨日の夜にここから出ていく筈だったからな。


優斗「まぁ、そのことは後で考えようぜ。とりあえず、今はこの部屋にいなよ」


白露「うん。分かった…」


ただ、2人っきりで部屋にいるのはいいが、何もする事がない。

朝飯はもう食ったし、茜に聞きたい事はもう全部聞いた。

時間も、まだ皆が起きてくるまではまだある。


優斗「…」


白露「…」


この部屋に居づらい。

いつもなら、茜と楽しく話しているんだろうが、今日はそうはいかない。

そのまま、黙り込んでしまったまま数十分経った。


寮にいる艦娘らが起きてくる時間になった。

恐らく、何人かは執務室に来るだろう。優香たちもこっちに来るだろうけれども、どう説明するべきだろうか…。


時雨「優斗ー? いるー?」


色々な事を考えていると、ドアの向こうから声が聞こえてきた。


優斗「茜…。俺、どうすればいいと思う?」


何も思いつかず、茜にどうすればいいのか聞くハメになった。

茜も困惑している。まぁ、そりゃそうだろう。


白露「えっと…。まぁ、優香たちも説明すればいいと思うから、部屋に入れてあげてもいいよ」


優斗「わ、分かった…」


部屋の鍵を開ける。開けてからすぐに、優香が部屋に入ってきた。

優香の他にも、由衣や咲もいた。


時雨「優斗…。お姉ちゃんの事なんだけども…。…えっ?」


村雨「な、なんで茜お姉ちゃんがここに!?」


夕立「どこかに行ったはずじゃなかったっぽい!?」


白露「あ、あはは…」


優斗「まぁ、色々とありまして…」


部屋に入るや否や、驚いていた優香たちを見てこっちは苦笑いする事しか出来なかった。


時雨「昨日、どこかに出ていくって言ったのに…」


白露「ちょっと、ね…」


時雨「…何かあったの?」


白露「…うん」


優斗「…。ちょっと、外の空気でも吸ってくる」


そう言って、部屋から出る。今は、茜たちだけにしてあげた方がいいかもしれないからな。

春香たちは、後で優香たちに話してもらうか、茜自身が話すかどっちかだろう。


さて、俺は俺で例の病院を探す事にしますか。

早くあのバケモノの対処方法を探さなきゃならないからな…。


優斗「茜、大丈夫だといいんだけれども…」


少しだけ、心配だけれども、茜の事だから大丈夫なはずだ。

ちょっとだけ、辛いかもしれないけれども…。


執務室に残された茜たちは、黙っていた。

話し始めようとするけれど、あまりにも重すぎる空気の所為で話し始められない。


白露「…ゴメンね。皆に辛い思いさせる事になって」


時雨「…別に、大丈夫だよ。会えなくなる事よりも…。こっちの方がましだから」


白露「…優香? 由衣? 咲?」


優香の声が震えているのに気がつく。

そもそも、優香たちがこっちに顔を向けないこと自体がおかしい。いつもなら、笑顔でこっちを向いてくれるのに。


時雨「…だって、もう、会えないと、思ってたからぁ…」ボロボロ…。


白露「優香…」


夕立「もう、何処にも…。行って欲しく…ないっぽいぃ…」ボロボロ…。


白露「咲も…」


村雨「お姉ちゃぁぁぁん!!」ダキッ


白露「ちょっ、由衣!?」


由衣が泣きながら抱きついてきた。


時雨「…僕も!!」


夕立「私もっぽい!!」


優香と咲も、由衣に続くように抱きついてくる。

茜は、3人に抱きしめられて身動きが取れなくなってしまっていた。


白露「ちょっ、3人とも…! 重いって!! あと、咲は力加減考えてってば!!」


夕立「離れたくないから、これぐらいがちょうどいいっぽい!!」


こんな状態のまま、5分程経った。なんとか茜は脱出出来た。


白露「まったく…。甘えん坊さんにも程があるでしょ…」


時雨「はい…」


村雨「はい…」


夕立「ぽい…」


白露「まぁ、とりあえず、私がどこかに行っちゃうなんて事はないから安心していいからね」


時雨「うん…」


白露「あ、そういえば春香たちにも説明しなきゃならないんだった…」


村雨「また、大変な事になっちゃうわね」


夕立「けども、みんな、茜お姉ちゃんの事が大好きって事っぽい」


時雨「まぁ、僕たちにとっては血がつながっていなくても、本当のお姉ちゃんみたいなものだからね」


白露「だからと言って、あれはやりすぎだってば…」


部屋の中に漂っていた、重い空気はもう去っていた。

いつものような、ほのぼのとした空気に戻っていた。

ちなみに、春香たちにも同じような対応をされた。おかげさまで、茜はボロボロになった。



…けれども、こんな幸せな時間はすぐに終わる事になる。



ーー祐樹の鎮守府ーー

祐樹「深海棲艦の反応が…。優斗の鎮守府に?」


襲われた鎮守府全てに、深海棲艦が接近した時にこっちに信号を送るための機械を設置したのはいいが、朝からずっと、優斗の鎮守府から信号が出ている。

けれども、優斗からは連絡も何もない。どう考えてもおかしい。

ハッキングなどもされないようにシステムなどを改良しているので、ハッキングなどの可能性はほぼ無い。


祐樹「…もしかして」


嫌な予感が頭に浮かぶ。

もしかしたら、優斗の鎮守府はすでに壊滅していて深海棲艦が拠点としているかもしれない、と…。

けれども、その可能性も低いはずだ。

もしそうなら、優斗の鎮守府付近にも被害が出始めるはず。しかし、優斗の鎮守府付近でそのような事が発生しているという事は報告されていない。


祐樹「ちょっと、行ってみるか」


祐樹は、優斗の鎮守府に向けて車を走らせた。不安を抱えたまま。

一方、優斗は例の病院を探す事に没頭していた。


優斗「これでもないし…。これでもない…」


限られた情報の中で調べなければならないのは辛いが、これ以上引き出せそうな感じでもないので仕方がない。


優斗「どうしたもんかな…」


ありとあらゆる病院を探すも、春香がいたと思われる所は全く出てこない。

もしかしたら、もう無くなってしまっているというという可能性もあるが、そんな簡単に病院が無くなる事なんかあるか?

一応、無くなった病院についても調べるが、それでも出てこない。


優斗「うーん…。詰んだか、コレ…」


机に突っ伏す。ここまで調べても出てこないとなると、難作業だ。


優斗「あ、そうだ。祐樹のトコになら、何かあるかも…」


ここにはなくても、大本営である祐樹の鎮守府には何かしらあるかもしれない。

祐樹に連絡しようとすると、逆に祐樹から連絡がきた。


優斗「なんで祐樹が連絡してきたんだ…? まぁ、いいや。ちょうどいいし」


優斗「もしもーし」


祐樹『あ、良かった出てくれて…』


優斗「? どうかしたのか?」


祐樹『いや、ちょっと気になる事があってな…』


優斗「気になる事…?」


祐樹『いやー。お前の鎮守府に深海棲艦が接近した時に、こっちに信号送る機械を設置したんだよ』


優斗「なんだソレ!? そんなもん聞いてないぞ!?」


祐樹『用心のために勝手に置いたからな』


優斗「だからと言って、勝手に置くんじゃねぇ!!」


祐樹『んで、その機械がさ…』


祐樹『お前の鎮守府からずっと信号を送り続けてるんだけれども』


優斗「…え?」


その言葉を聞いた瞬間、手から汗が止まらなくなった。

深海棲艦がこの鎮守府にいる、という事。

その深海棲艦が、茜の事を示しているならば、茜は…。


祐樹『おーい、優斗ー? どうかしたのかー?』


優斗「…いや、何でもない」


祐樹『とりあえず、何かあったら連絡くれ。俺も今そっちに向かってるから』


優斗「!?」


マズい、祐樹が今の茜を見てしまったら…。


優斗「ちなみに、あとどのくらいでここに着くんだ?」


祐樹『え? もう着くぞ?』


優斗「わ、分かった…」


マズい。本当にマズい。

茜は今、優香たちといるはずだ。だからと言って、逃がしてしまったらこの鎮守府から発している信号が消える。

それは、この鎮守府から深海棲艦が逃げたという事に捉えられるかもしれない。

そして、そのような事が発生するという事は、俺が深海棲艦を匿っていたとも考えられる。


優斗「クッソ…。こんな時に限って何で祐樹はそんなモン置いていきやがったんだよ…」


祐樹が用心深い性格なのは知ってたけれども、こんな時に限ってそれが俺の首を絞める事になるなんて…。


優斗「どうすればいいんだよ…。このままじゃ、茜は…」


逃げ道が無くなってしまっている。


優斗「説明したら…。なんとかいけるか…?」


流石に説明すればどうにかできるかもしれない。

実際、茜は見た目は半分だけ深海棲艦のようになってはいるが性格などは変わっていない。

そもそも、深海棲艦の支配下にされているんだったら他の艦娘に攻撃を仕掛けてきてもおかしくないはず。

けれども、そんな事は茜はしていない。


優斗「…。祐樹が何らかの処分を出さないといいけれども…」


そんな事を考えていると、携帯が鳴る。

恐らく、祐樹だろう。


優斗「…もしもし」


祐樹『あー、優斗? 今着いたぞー」


優斗「そっか。分かった…」


祐樹『じゃ、今から執務室来るからなー』


祐樹がそう言って電話を切る。

電話を切ってから少し経った後、言ったとおりに祐樹は、執務室に来た。


祐樹「うぃーっす」


優斗「…」


祐樹「…テンション低いな」


優斗「祐樹。実は、言わなきゃいけない事があるんだ」


祐樹「言わなきゃいけない、事…? 深海棲艦関連か?」


優斗「あぁ。お前が言ってた事も関係してるからな」


祐樹「電話で言ってた事か」


無言で頷く。


優斗「実はな、俺の鎮守府にいる艦娘…。1人だけ深海棲艦化してるんだ」


祐樹「…は?」


優斗「半分だけ、な」


祐樹「オイ待て、それってどういう事だよ…」


優斗「コレは嘘じゃない。本当の事なんだ」


祐樹「その、半分だけ深海棲艦化した艦娘ってのは…」


優斗「…白露」


祐樹「おい、ここの白露って…」


優斗「俺の嫁、だな…」


祐樹「…ちなみに、今何処にいるんだ」


優斗「駆逐艦寮にでもいると思う」


祐樹「そっか」


優斗「それで、お前に聞きたい事があるんだ」


祐樹「聞きたい事ってのは…。白露の事か?」


優斗「まぁ、うん…」


祐樹「もちろん、処分する」


優斗「…え」


あっさりと、祐樹は言い放った。いつものような声で。何とも躊躇いもなく。


祐樹「んで、お前ももちろん、な」


優斗「…は?」


祐樹「そりゃあ、深海棲艦を匿ってたとなると、重罪になるって事知らなかったのか?」


優斗「いや、でも、茜は身体の半分だけが深海棲艦化してるとは言っても、それ以外は異常は無いんだぞ!?」


祐樹「じゃあ、それが自分自身の意思でそうしてると言い切れるのか? 急に俺らを襲わないなんて確証は持てるのか?」


優斗「そ、それは…」


祐樹に反論する事が出来ない。


祐樹「大切な人のために、どうにかしようとするのは分かる。けれども、だからと言って決められたルールを破っていいなんてワケ無い」


祐樹「お前も、お前の嫁さんも、ここにはいれなくなる。これがお前らに対しての処分だ」


優斗「なんでなんだよ! そんなにルールが大事か!? 異常がなくても、お前は排除するのか!?」


祐樹「…当たり前だ。決められたモノを壊す事は、許さない」


淡々と返してくる祐樹を見てると、嫌になってくる。

コイツは、ルールから外れた行動はなんで必ずNGを突きつけるんだ!?

何も問題がなかったとしても、ルールはルールだからの一言でまとめてんじゃねぇよ!!


優斗「…ざけんなよ」


祐樹「…は?」


優斗「テメェは、ルールの中でしか生きられないのかよ!」


祐樹「あのなぁ…」


祐樹「お前の中の物差しで、全てを図ってんじゃねぇよ」


優斗「…っ」


祐樹「何もかも、お前が中心なのか? 全てがお前のために動いてるワケじゃねぇんだからな?」


俺の言い分は、全部間違い。そう言われているように感じた。

けれども、祐樹が言ってる事は全部、正論。

俺がやっているすべてのコトは…。間違い、なのか?


祐樹「じゃ、俺は白露がいるトコ行ってくるから。処分はその後言い渡す」


優斗「…」


けども、このままじゃ茜はどうなるのか分からない。

祐樹がどこまでもルールを厳守していくというならば…。

俺は…。

ルールをぶち壊してでも、茜を助けるだけだ!!


執務室から、祐樹を突き飛ばして出ていく。


祐樹「っ…!? アイツ、まさか…」


駆逐艦寮に向かって掛けて行く。


祐樹「待ちやがれ、優斗!!」


祐樹「こんな事しても、お前の罪が重くなるだけだぞ!!」


そんな事言われても、何とも思わない。

俺がどうなろうと関係ない。茜が何かされるんなら、こっちの方がマシだ。

必死で走っていると、駆逐艦寮に着いた。茜の部屋の中に、駆け込む。


優斗「あか、ね…」


白露「ゆ、ゆーくん!? ど、どうかしたの…?」


優斗「逃げるぞ、今すぐに!!」


白露「え、えぇ?」


優斗「いいから早く!!」


茜の手を握り、駆逐艦寮から出る。

祐樹は、方向音痴なのでしばらくこっちに来ることは出来ないだろう。祐樹の叫ぶ声が聞こえるが、駆逐艦寮とは間反対だ。


白露「ゆ、ゆーくん…。もしかして、何かやらかしちゃったの…?」


優斗「…」


白露「黙ってないで、答えてよ…」


優斗「このままじゃ、茜はどこかに連れて行かれる。それが嫌なだけだ。だから、逃げるぞ。ここから」


白露「…え? いや、でも…」


優斗「でも、とか言ってる場合じゃねぇんだよ。今は」


白露「けれども、皆が…」


優斗「祐樹なら、ルールを守らない奴にはどんな事しても、罰を与えるのがアイツだ」


白露「だからと言って、逃げるって…」


優斗「もう、ここには居られないんだよ」


白露「…え?」


優斗「祐樹は、深海棲艦を心底嫌ってる。アイツの母親、深海棲艦に殺されてるからな」


白露「そう、なんだ…」


優斗「しかも、人間の仲間のフリをしている深海棲艦にな…」


白露「それって、裏切られたって事?」


優斗「そういう事だ。だから、似たような状態になっている深海棲艦であっても…。アイツは信用してない」


白露「じゃあ、私も…」


優斗「処分って言ってるけれども、殺すって事だろうな」


白露「そんな…」


優斗「だから…。辛いだろうけれども、もうここにはいられない」


白露「…」


優斗「死にたくないなら…。ここから出ていくしかない…」


白露「…分かった」


優斗「ゴメンな。巻き込んじまって。これも全部、俺の所為だ…」


白露「大丈夫だよ。優香たちにも、言ってくるからちょっと待ってて」


茜はそう言うと、駆逐艦寮にいったん戻っていった。

祐樹は、まだ鎮守府内にいるはずだろうが、これでは執務室に戻るのは不可能だろう。


少し経つと、優香たちと一緒に茜が戻ってきた。


優斗「ホントにスマン…。こんな事になっちまって」


時雨「大丈夫だよ。こっちもこっちで、何とかするよ」


夕立「けれども、茜お姉ちゃんが捕まらないようにしてほしいっぽい」


優斗「…分かってる。祐樹の事だから、意地でも俺らを捕まえようとするだろうけれどもな」


少し経つと、祐樹の声が聞こえてきた。

恐らく、鎮守府内から脱出したのだろう。


優斗「悪い。皆。しばしのお別れだ…」


白露「みんな…。元気でね」


時雨「絶対に、捕まらないでよ」


優斗「そっちも、祐樹に何かされるかもしれないけれども…」


夕立「何かされそうになったら、こっちもこっちで抵抗するっぽい」


優斗「そうか…」


春雨「あの病院の事は…」


優斗「逃げながらでも、探す事はできる…。たぶん」


白露「そろそろ行かないと、危ないんじゃ…」


優斗「…そうだな。じゃあ、行こうか。みんな…サヨナラ」


そう言って、2人は鎮守府からどこかに向かって行った。

もう、この鎮守府にあの2人が戻って来ることは無い。


「ただいま」と言える場所は、もう2人には…。無くなってしまった。


(次回に続く)


後書き

優香「お姉ちゃんたち、無事だといいね…」

由衣「今の私たちは…。願うしか出来ないから」

咲 「茜お姉ちゃんと、本当に会えなくなるのは…。辛いっぽい」

春香「けれども、こうしないと、茜お姉ちゃんたちとは二度と会えなくなるかもしれませんから」

愛海「絶対に、会えるって。そう、私たちはずっと願い続けます」

(次回、「縮まる逃げ場」へと続く)


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