あきつ丸「監査であります!」
陸軍少佐の命令で、あきつ丸が色んな鎮守府に向かうことに。そこで目にしたのは…
どうも、かむかむレモンです。初めての方は初めまして。そうじゃない方は毎度閲覧ありがとうございます。
今回は現在同時進行しているSSがどっちもシリアス系なので、コメディ系でいきます。
仕事あるし他のSSもあって更新がクソ遅ですが、お兄さんゆるして!
陸軍少佐(以後少佐)「間↑諜↓って言うのはしたことある?」
あきつ丸「別の方をぶち込んであげましょうか?」
少佐「やめろ」
あきつ丸「はぁ…間諜って、敵国に潜り込むタイプのスパイであります。深海棲艦の巣窟に向かえと?」
少佐「…いや、違う。敵とはもっと身近にいる」
あきつ丸「ほう?」
少佐「言うまでもないが、それは…海軍だ!」
あきつ丸「…また始まったでありますな」
少佐「深海棲艦のお陰で我が国…いや、世界中が海へ力を注いでいるため海軍しか評価されん!我ら陸軍も同等に働いているにも関わらず、地味すぎて嘘つき呼ばわりされる始末!」
あきつ丸「…」
少佐「我らはあの化け物共に支配されていた陸地の制圧及び兵站の確保と縁の下の力持ちとなっている!奴らはそれに胡座をかいて毎日艦娘に囲まれ鼻の下を伸ばし色恋沙汰に明け暮れる日々!何故ここまで惨めな思いをしなければならんのだ!」
あきつ丸「そう思ってるのは少佐殿だけであります」
少佐「んなわけあるかぁ!」ウガ-!
あきつ丸「全く、他の将校殿や兵は海軍と仲が良いのに、少佐殿は僻んでばかりでありますな」
少佐「へ?」
あきつ丸「少佐殿が思ってる以上に提督とイチャついてる艦娘はそこまで多くありません。鎮守府の艦娘のアンケートだと提督ガチ恋勢はどこも1割程度であります。他の子は陸軍と多く交流していますし、何なら交際やケッコンも…」ペラ
少佐「俺は!そんな機会!無かったぞ!」
あきつ丸「少佐殿は口下手過ぎるのであります。睨みつけるように見てれば誰だってビビるであります」
少佐「うぐぐ…」
あきつ丸「…まあ嫉妬はともかく、提督に好色が多いのも事実であります。近頃はあまり通報が無くなったみたいですありますが、水面下で蠢いてる可能性もあります」
少佐「そうだよ(便乗)」
あきつ丸「…一応、艦娘である自分は調査が可能でありますが、逆恨みも大概にして欲しいであります」ヤレヤレ
少佐「逆恨みのどこが悪い!俺に教えてみろ!」
あきつ丸「少佐殿自ら行け、であります」
少佐「ド正論だな…」
あきつ丸「…まあ、抜き打ちならボロが出るやもしれません。自分も同胞が嫌がっていたら捨て置けませんから」
少佐「そうか!じゃ、気をつけて行ってこい!」
あきつ丸「了解であります」ビシッ
少佐「あ、それと」
あきつ丸「何でありますか」
少佐「お土産よろしく」
あきつ丸(…やっぱりやめようかな)ズ-ン
少佐「うそだよ!これがリスト」
あきつ丸「はぁ…」
あきつ丸「…最初の鎮守府は、ここでありますか」ザッ
あきつ丸「…やけに静かでありますな…ん?」
老人「…」
あきつ丸「一般人?何故鎮守府の中に…」
老人「…」
あきつ丸「失礼。あなたは関係者でありますか?」
老人「…」
あきつ丸「…質問に答えられませぬか?」
摩耶「あっ!そんなとこにいやがったか!」ドタドタ
あきつ丸「あれは、重巡洋艦摩耶…」
摩耶「探したぞじいさん…って、なんだお前」
あきつ丸「監査役のあきつ丸であります」
摩耶「か、監査?何だっていきなり」
あきつ丸「抜き打ち故、連絡はしておりません」
摩耶「…へっ、ウチは何もねぇよ。それよりじいさん!起きろって!」
老人「…ん」パチ
あきつ丸(寝てたのでありますか…)
老人「…おや、べっぴんさんが二人も…ここは天国かえ?」
摩耶「あたしだよ!摩耶!」
老人「…あ、やんちゃ娘か。それと、この娘は?」
摩耶「…あきつ丸だってよ」
老人「…白いのう。貧血かえ?」
あきつ丸「…」
老人「飯でも食べてきなさい。わしも行くし…」ヨッコラセ
摩耶「いや、あんた食ったばかりだから」
老人「んなこたないわい。ここで寝るほど待ってたんじゃ」
摩耶「腹いっぱいになって寝てたんだよ!」
老人「うーん…そうなのかえ?」チラ
あきつ丸(自分を見られても知らないであります)
老人「…ま、ええか。戻るかの」ヨチヨチ
摩耶「あーほら、手ぇ貸しな」
老人「摩耶はええ子じゃのー。ほれ、駄賃じゃ」チャラ
摩耶「いらないって」
あきつ丸「…もしや、その老人」
摩耶「うちの提督だよ」
あきつ丸(…軍服も着てないとは、たるんでるであります!)
老人→老提督「…軍服は重たくて苦手じゃ」ヨイショ
摩耶「ワイシャツとズボンだけでいいからよ。この色白が睨んでくるし」チラ
あきつ丸(…悪かったでありますな!)
老提督「さて…あけち丸とやらは、どこの隊だっけ」
あきつ丸「あきつ丸、であります」
老提督「ほ、失礼」
あきつ丸「自分はこの鎮守府の者ではありません」
老提督「ほ!なら客人かい!摩耶、菓子と茶を」
摩耶「いやじいさん、客じゃないぞ」
老提督「ならなんじゃ?」
あきつ丸「…抜き打ちの監査であります」
老提督「ほーご苦労さまじゃ。ほれ、駄賃じゃ」チャラ
摩耶「だからウチの所属じゃないから小銭しまえって」
あきつ丸(…とんだボケ爺であります)
老提督「まぁまぁ、ゆっくりしていきなさい」ユッタリ
あきつ丸「…ふん」スタスタ
老提督「…摩耶、朝餉は?」
摩耶「…」ヤレヤレ
あきつ丸「全く、名前もろくに覚えられない者が提督となっているなど、人材育成がなってないでありますな」
あきつ丸「…というか、外に誰もいないでありますな。もしや皆出撃でしょうか」
佐渡「どけどけー!佐渡様がお通りだー!」ドタドタ
松輪「は、走っちゃダメ…」ゼェゼェ
佐渡「んがっ!」ドシ-ン
あきつ丸「うぁっ!?」ヨロ
佐渡「いてて…ん?何だあんた」
あきつ丸(海防艦…か)
佐渡「…まあいいや。まつ!じいちゃんとこまで競走だ!」ドタドタ
松輪「あ、ご、ごめんなさい、待って…」ハァハァ
あきつ丸(…何でありますか、この鎮守府は)
「じいちゃーん!新聞だぜー!」「おお、駄賃じゃ」「やった!まつ!菓子買いに行くぞ!」
あきつ丸「…元気でありますな」
あきつ丸「…施設内の状態は良好。しかし艦娘は今のところ3人しか見ていない。寮の部屋前には名札があるが…というか、変に多い蔵ばかり」
あきつ丸「…何故艦娘がこれほどまでに少ないのでありましょうか。それとも、消された…?」
あきつ丸「…まさか、『艦娘殺し』か?」
あきつ丸(…艦娘殺し…数年前、轟沈と違い地上で艦娘を殺害した凄惨な事件…依然逮捕者が出ていないという話だが…まさか、あの老人か…それとも、摩耶…?)
あきつ丸(いや、有り得なくはない…あんなボケ方、芝居にも見えるほどだ。本当はそうやって油断した艦娘たちを殺し、隠している…?)
あきつ丸(なんのメリットが…まさか、深海棲艦…?奴らは暗に取引を済ませ、ここを拠点とする…そこまで行くか…?)
あきつ丸(…海防艦たちは、恐らく騙されている。助け出すか…いや、まずは証拠が無ければとぼけられておしまいだ。それに、自分の命も保障できていない。ならば、まずはこの蔵を…)
摩耶「ったく、プライバシーもお構い無しにズカズカ入り込みやがって」
あきつ丸「っ…何か?」
摩耶「知らなくてもいい事もあんだよ。とっとと帰んな」
あきつ丸「…ふむ、隠し事があると言ってるようなものでありますな」
摩耶「…お前何言ってんだ?あたしは何も隠しちゃいない」
あきつ丸「…俄然、興味が湧いたであります」スタスタ
摩耶「おい、どこに…あ」
あきつ丸「…どうしましたか?」ピタ
摩耶「…」
あきつ丸「…ふむふむ、この部屋に何かあると?」
摩耶「…離れろよ」
あきつ丸「嫌であります」ギィィィ
摩耶「おい!」
あきつ丸「…おやおや、怪しい容れ物がありますな」ニヤリ
摩耶「やめろ!開けるな!」
あきつ丸「…残念ながら、そうはいかないのでありますよ!」ガパッ
摩耶「おいいい!途中で開けんなよぉぉぉ!!やっと手入れ終わったのにぃぃぃ!!」
あきつ丸「…へ?」
摩耶「おい!早く閉めろ!湿気っちまうだろうが!」
あきつ丸「は、はい」バタン
摩耶「ったく、漬物はデリケートなんだよ」
あきつ丸「…漬…物?」
摩耶「あんだよ。あたしが作った漬物に何か文句あんのか?」
あきつ丸「…いや普通は薬物とか死体とか何か隠蔽しなきゃならないものとか隠してるものでありましょう!何でありますかこのオチは!」
摩耶「はぁぁ!?やっぱりお前そういうタチか!あれか!?一丁前に犯罪者しょっぴきたい夢見がちな憲兵か何かなのか!?」
あきつ丸「う、うるさいであります!」
摩耶「残念だったな!ウチはそんなん何もねぇんだよ!初めに言ったろうが!」
あきつ丸「いやあの声のトーンだと絶対悪事を隠してるものだと」
摩耶「アホくさ。別に知ったとこで面白くもなんともなかったろ」
あきつ丸「…というか、何故艦娘が少ないのでありますか。名札がある以上所属しているでしょう」
摩耶「近所の農家の手伝いしに行ってんだよ。それでちょっとお裾分け貰って一部を漬物とかしてんだよ」
あきつ丸「…なぜあなたと海防艦は行かないのでありますか?」
摩耶「そりゃじいさん見てなきゃどっか行っちまうかもしれねぇだろ。チビたちはまだ手伝えるほど力がねぇよ」
あきつ丸(…普通にいい子ちゃんな鎮守府でありました)ガクッ
摩耶「わかったらとっとと帰んな。ここ居てもお前の望む展開は無い」
あきつ丸「…そうするであります」トボトボ
老提督「…ん、おや、なつき丸」
あきつ丸「…あきつ丸、であります」
老提督「なんじゃ、もう帰るのかえ?」
あきつ丸「…はい」
老提督「なら、お土産じゃ」スッ
あきつ丸「…これは?」
老提督「うちの艦娘が作ったキュウリの漬物じゃ」
あきつ丸「…はぁ」
老提督「なかなか美味いぞ。それじゃ、達者でな」ヨチヨチ
あきつ丸「…」ポリポリ
あきつ丸「…普通に美味いであります」
***
少佐「おー帰ったか。それで、何かあったか?」
あきつ丸「…はい」コトッ
少佐「何これ、浅漬け?」
あきつ丸「…はい」
少佐「なんだお前、親戚の家にでも行ってきたのか?さてはサボりか!?」ガサガサ
あきつ丸「んなわけないでしょう!行ったとこの提督がお年寄りだっただけでありますよ!」
少佐「…あー、そんなんいたっけ。お、うま」ポリポリ
あきつ丸(…ちょっと大捕物とか考えてた自分も馬鹿だったであります)ポリポリ
あきつ丸「…あの、このリストあてになりませんな?」
少佐「そ、そんなわけあるか!俺が徹夜して作ったのに!」
あきつ丸(…てことはそれだけ突発的に考えたと言うことでありますか)
少佐「つ、次はちゃんと備考あるやん?」
あきつ丸「…艦娘たちが何やら良からぬ雰囲気?」
少佐「そうそう!何か怪しくね?」
あきつ丸「こんなの主観でしかないじゃないですか」
少佐「いや、これ近隣住民の評判だから…」
あきつ丸「…ま、そういう事なら見過ごせませんな。では、行くであります」
少佐「生きて帰れよ~」ヒラヒラ
あきつ丸「…は?」
***
あきつ丸「…着いたけど、そんな雰囲気全く感じられませんな」ザッ
榛名「…」
あきつ丸「…またサボりでありましょうか…もし!失礼!」
榛名「…?」
あきつ丸「抜き打ちで監査に来た、あきつ丸という者であります。施設に立ち入らせてもらうであります」
榛名「は、はい!」ビク-ン
あきつ丸(…?)スタスタ
あきつ丸「鎮守府は似たような構造でどこがどの部屋かわかりやすい所がいいでありますな…さて」コンコン
あきつ丸「失礼します」ガチャ
提督A「はっ…だ、誰?」ビク
如月「っ!」ビク-ン
あきつ丸「抜き打ちの監査であります」ペラ
提督A「か、監査!?ぼ、僕は何も…」
如月「そ、そうですよ!私たちは何も悪いことなんて…」
あきつ丸「…別にここが何か疑いがあるから来たわけではありません。他の鎮守府でも行っているであります」
提督A「そ、そうか」フゥ
あきつ丸(…この焦りよう…何かありますな?)
如月「…ほっ」キラ
あきつ丸(…ん?何か光った?)スタスタ
あきつ丸「ここは以前と違って艦娘をよく見ますが、何故か活気がありませんな…」
あきつ丸「…提督の焦りように何か関係が…ん?」
睦月「…」トボトボ
あきつ丸「失礼。今よろしいでありますか?」
睦月「ほぇ?」
あきつ丸「監査のあきつ丸であります。いくつか質問がありまして…」
睦月「な、何ですか?」
あきつ丸「近隣住民からの評判があまり宜しくないといった報告があります。中でも良くない雰囲気と…」
睦月「い、いえ、睦月たちは普通に…」
あきつ丸「…ほう、普通でありますか」
睦月「は、はい…」ビクビク
あきつ丸「…もう1つ、ここの提督は、何か隠していますな?」
睦月「っ…!」
あきつ丸(お、反応ありですか)
睦月「…」コク
あきつ丸「何でありますか。その隠し事というのは!」ズイッ
睦月「その…本人たちは隠しているようにゃんですか…」
あきつ丸「ほほう…!」
睦月「…いえ、これは見てもらった方が早いです!静かに着いてきてください!」コソコソ
あきつ丸(…んん?)
睦月(いいですか、音を立てずに、こっそり見てください)ギィィ
あきつ丸(何が…)コソッ
提督A「…そ、その、さっきは、離してすまない」モジモジ
如月「い、いえ…こちらこそ…」モジモジ
提督A「…」ピト
如月「んっ…やっぱり、大きいですね…」
あきつ丸(な、何でありますか!まさか、執務室内で…!)ワナワナ
睦月(ち、違います!そう聞こえてもしょうがにゃいですけど、よく見て!)グググ
如月「…安心します」ギュ
提督A「そ、そりゃどうも…ふふ、恥ずかしいな」
如月「ええ…」
提督A「…ごめんな、こんな、その、積極的じゃなくて」
如月「…いいの、司令官。こうして、『手を握る』だけでも、温かさを感じられて、何だかこっちも温かくなるの」
提督A「そ、そうか。しかし意外だな。初めて会った時とはまるで…」
如月「…少しずつ、意識してから、その、有耶無耶にしたくなくなって…でも、はっきり言おうとすると、恥ずかしくて…」モジモジ
提督A「…そっか。でも、ありがとう。僕を選んでくれて」
如月「き、如月だって…ふふ、ありがとうございます」
あきつ丸(…)プルプル
睦月(…わかりましたか?)
あきつ丸(…何でありますか、このコッテコテに初心を極めた光景は)デロ-ン
睦月(その…提督と如月ちゃんがケッコンカッコカリしてから一月ぐらい経つんですけど、ずっとあんな感じで…)
あきつ丸(あの光は…そういう…というか、艦娘たちの活気が無いのは、これを見てるからでありますか)ウップ
睦月(…まあ、そんなとこにゃし。報告書とか出す時様子を毎回窺うので…)
あきつ丸(…確かにこれはキツイであります)
睦月(ちなみに夜戦もまだにゃし…1回大きく動けば多少マシになる気がするんですけど…)
あきつ丸(えぇ…)ズ-ン
如月「…司令官、あの、如月…」
提督A「ん?」
如月「…今日、お仕事終わったら…その…」
あきつ丸(お!?こ、これは!?)
睦月(つ、ついに!?)
如月「へ…部屋に…」ボソボソ
あきつ丸(言うであります!早く!)
提督A「な、何?ヘアー?」
如月「へ…んん…」ポス
提督A「ほぁ!?」
あきつ丸(如月殿が提督の胸の中にぃぃ!!!焦れったいでありますなぁ!!!)
睦月(如月ちゃん!ファイト!あと一歩!)
如月「しょ、しょの…如月と…」
提督A「お、落ち着いて、深呼吸して」
如月「ひぃっ、ふぅー、ひぃっ、ひいっ、ふぅー…」
あきつ丸(ラマーズ法とはベタ過ぎるでありますな…)
如月「し、司令官…」
提督A「…何だ」
如月「…ゃ…」
提督A「?」
如月「ゃせ…したぃです…」ボソボソ
提督A「や、痩せたい…?何で?」
如月「ちが…んん…」
あきつ丸(…)ムカムカ
睦月(…あ、あきつ丸さん、落ち着いて…!)
あきつ丸(皆が苦しむのも理解したであります。ベタ過ぎて吐きそうであります!早く解放しなければ!)グググ
睦月(あきつ丸さぁん!!!)グググ
あきつ丸(離すであります!これはあなた方ではいけません!自分が最も適した役回りなのであります!)
睦月(如月ちゃんには睦月から言いますから!やめてください!)
あきつ丸「こんなの…我慢できるかー!!!」
あきつ丸「んがぁ!」ドアバ-ン!
提督A「はっ!?」ムギュ
如月「はうっ!?」
あきつ丸「お前ぇぇぇ!!はっきり言わんかぁぁい!!!それでも軍人か!」
提督A「あ、あんた、覗いて…」
あきつ丸「問答無用!貴様の優柔不断で艦隊の士気が下がっているのだ!誰とケッコンカッコカリしようが愛そうが構わないが、後ろめたくコソコソするな!」
提督A「は、はい」
あきつ丸「分かればよろしい!今夜抱け!外泊なら領収書の発行を忘れるな!以上!」
提督A「は、はい」
あきつ丸「あースッキリした、であります」
睦月「あきつ丸さん…その…」
あきつ丸「ん?ああ、気にする必要はありませんが…ただ、一つ心残りがあるとすれば、やはり横槍を差したので気まずくなりかねない…ところでしょうか」
睦月「あ、それは大丈夫にゃし。如月ちゃんは提督のビックリハグからずっとトリップしてるにゃし」
あきつ丸「え」チラ
提督A「…ま、参ったな…って、如月?」
如月「はぅぅん…///」ダラ-ン
睦月「ね?」
あきつ丸「…もう帰るであります」トボトボ
***
少佐「おう、大丈夫だったか」
あきつ丸「…やることはやりましたが、心身共に疲弊したであります。報告書であります」バサッ
少佐「お、おう。そうか」ペラ
あきつ丸「少し休むであります…」トボトボ
少佐「…え、何これは(困惑)」
少佐「おいおいおい、何でラブホの領収書がウチに回ってきてんの?」ヒラヒラ
あきつ丸「よぉし!あいつヤッたのですな!」
少佐「お前の入れ知恵かよ!」
あきつ丸「少佐殿はアレを見てないからそんな事言えるのであります。自分の行動は最善でなくとも間違っては居なかったのであります」
少佐「…つーかこれ申請通るのかよ」
あきつ丸「書類は揃えてありますので後は結果次第であります」バサッ
少佐「うーん…まあお前が処理すんなら構わねぇが、次の仕事だぞ」
あきつ丸「正直どこも平和そうな感じがするのですが」
少佐「次はちょいと厄介だぜ?何せ、誰も行きたがらないと噂の鎮守府らしいからな。怖いねぇ…」
あきつ丸「ほう?」
少佐「俺は暇すぎて忙しいから、頑張れよ~」
あきつ丸「一度三途の川を見た方がいいですな?」ゴゴゴ
少佐「う、嘘です仕事します」
あきつ丸「全く…では」スタスタ
***
あきつ丸「…なな、何でありますかこれは~!?」
あきつ丸「ち、鎮守府の外観が丸ごと武家屋敷みたいになってる!?なぜ!?」
あきつ丸「…と、とりあえず中へ…」コソコソ
看板『関係者及び玄人以外立ち入り禁止』
あきつ丸「何でありますかこれは…バカバカし…ん?」ズボッ
あきつ丸『のわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』ドシン!
あきつ丸「お、落とし穴!?なぜ!?」イタタ
『ハッハッハッ!よくぞ来られたな!だが、その程度の罠を乗り越えられない未熟者は回れ右して立ち去ってもらおう!』
あきつ丸「んななっ…」ブチッ
あきつ丸「ゆ、許せません!」ヨジヨジ
『ふふ、登ってこれたか!さぁ、まだ進む気かね!?』
あきつ丸「当たり前じゃー!」ズカズカ
あきつ丸「出てこいコラァ!あまりふざけてるとしょっぴ…あれ?行き止まり?」ピタ
『おやおや、道が見当たらないかな?なら、回れ右して立ち去ってもらおう!』
あきつ丸「…ぶっ壊してやる!」ドンドン!
あきつ丸「出てこーい!…って、どんでん返し?」バタ-ン
『成程、少しは出来るようだが、まだ序の口』
あきつ丸「うるさーい!」ウガ-!
あきつ丸「に、忍者屋敷でありますかここは!」ズカズカ
『壁に耳あり、障子に目あり!君の居場所は全てお見通し!』
あきつ丸(…無視無視!)ドタドタ
あきつ丸「コラー!何処にいるでありますうわあああ!!」ズボッ
あきつ丸「ま、また落とし穴…ゆ、許せん!」
あきつ丸「こ、こうなれば、虎の子の内火艇で本当に破壊するでありますぞ!」ゴソゴソ
あきつ丸「いでよ!特二式内火艇!」ズモモモモ
あきつ丸「出てこーい!!」キュルルルルル
川内「ふぁぁ…あ?」ウトウト
あきつ丸「あっ!艦娘発見!」
川内「んな、何事!?」
あきつ丸「そこを動くなぁぁぁぁぁ!!!」
川内「む、無理ぃ!」ヒョイヒョイ
あきつ丸「む、なんという身のこなし…!」
川内「ちょ、とりあえず、降りて!」
あきつ丸「降りたら落とし穴に落ちるでしょーが!」
川内「え、あれ落ちたの…?」
あきつ丸「貴様まで自分をバカにするでありますか!?」
川内「いや違うって!」
あきつ丸「うがあぁぁぁ!」ド-ンド-ン!
川内「鎮守府壊さないでぇぇぇ!!」
数十分後…
あきつ丸「…で?この外観と内装はほぼ提督が仕立てたと?」
川内「ふぁい…」ボロッ
あきつ丸「これは断じて許されません!違反違反違反!!!」
川内「んなこと私に言われても…」
あきつ丸「というか!肝心の提督は何処でありますか!」
川内「提督なら増築の時に怪我したから病院…」
あきつ丸『ふざけんなぁぁぁ!!!』ウガ-!
川内(うるさっ…)キ-ン
あきつ丸「…ん?あれ?ではあの放送は、誰が…」
川内「あれ録音だよ」
あきつ丸「んなっ!?」
川内「提督がウキウキしながらやってたね」
あきつ丸「ここのバカ提督は謹慎!謹慎であります!」
川内「あ、謹慎なんだ…」
あきつ丸「…自分も多少暴れて施設を壊しています。それに、あなたにも被害が出ているでしょう」
川内「んまぁそうだけど、私はドック行けばいいし」
あきつ丸「…本来なら提督だけに罰を与えれば良かったのでありますよ」
川内「…ふぅ」
あきつ丸「それにしても、中は罠だらけで本当に休まらないでありますなぁ。特に落とし穴。どんだけ用意してるのでありますか」
川内「それね、最初土遁の術とか言って色んなとこ穴掘りして埋めなかったから上に布被せただけなんだよね。他は大掛かりなんだけど」
あきつ丸「…」ズ-ン
川内「本当は色々用意してたみたいだよ?隠し系以外にも手裏剣とか」
あきつ丸「殺す気か!」
提督B「ただいま~。やっと作業していいって…ん?」
川内「あっ…」
あきつ丸「…」
提督B「あれ、お客さん?じゃあ入口の落とし穴って…」
あきつ丸『こんのバカ提督があああああ!!!』バチ-ン!
提督B「ぶぇっ!」
***
あきつ丸「…という訳で3ヶ月減給であります」
少佐「えぇ?そんなもんで済ませんの?」
あきつ丸「…まあ、増築した部分の撤去を川内と確約したので。提督には鉄拳制裁したであります」ヒリヒリ
少佐「え、手ぇ出したの?」
あきつ丸「あ、鉄拳制裁とは派手に言いましたが本当はビンタであります」
少佐「優しいこった。てか俺も行きゃよかったな。忍者屋敷とかガキの頃憧れて…」
あきつ丸「あん?」ギロ
少佐「(何でも)ないです」
少佐「ほら次行け次!」
あきつ丸「もう辞めたいのですが」
少佐「そうは言っても、まだ行くとこ結構あるぞ?」
あきつ丸「少佐殿が直接向かえば良いでしょう」
少佐「だってどの面下げて鎮守府行けってんだよ」
あきつ丸「はぁ、ナンパしに来たよって軽く行けばいいであります」
少佐「んな事言えるか!」
あきつ丸「…やれやれ、このままでは平行線であります。とっとと終わらせますか」スタスタ
少佐「お土産よろしく~」
あきつ丸「んなもんありません」
そして…
あきつ丸「…ん?渋滞でありますか?」
運転手「次の交差点で事故があったみたいですね。ここからでも煙が見えます」
あきつ丸「全く、不幸でありますな」
運転手「仕方ない、回り道しますよ」キュルルル
あきつ丸「おわっと…!いきなり急旋回するのは」
運転手「仕方ないでしょう、私も早く送り届け…えっ!?ば、バカ!止まれ!」
あきつ丸「ど、どうしたでありますか…え!?」
あきつ丸(大型トレーラーが…逆走して…)
***
あきつ丸「…んぅ?」ムクッ
あきつ丸「…自分は…あれ?車は?」キョロキョロ
あきつ丸「というかここは…んん??鎮守府が見えて…?」
あきつ丸「…とりあえず、向かうであります」スタスタ
あきつ丸「ん…失礼!」
長門「…ん?」
あきつ丸「この鎮守府の艦娘でありますか」
長門「そうだが…」
あきつ丸「なら話が早いでありますな。抜き打ちで監査に来たあきつ丸であります。協力してくれますね?」
長門(そんな予定は聞いていないが…ふむ)
あきつ丸「…どうしましたか」
長門「…いいだろう」ニヤ
あきつ丸「…?ありがとう。では」
長門「…あぁ、1つ言っておこう」
あきつ丸「何でありますか」
長門「我が提督に粗相の無いようにな」クク
あきつ丸「ふん、当然であります」
長門「…着いてくるがいい」スタスタ
あきつ丸(すれ違う艦娘…さっきからすっごい見てくるであります…いや、睨まれている…?)
あきつ丸(ここの提督は随分信頼を得ているのか、それとも…おっと、ここでありますな)
長門「ここだ」コンコン
あきつ丸「…失礼します。抜き打ちで監査に来たあきつ丸であります」ガチャ
提督「ん…?監査?」
あきつ丸「突然で悪いでありますが、協力してくれますな?」
提督「勿論。長門、案内してくれたんだね、ご苦労さま」
長門「いえ、礼には及びません」
あきつ丸(…ふむ、上下関係はちゃんと出来てるでありますな。感心感心)
提督「監査はどのような予定で?」
あきつ丸「各施設の見回り、艦娘のヒアリングであります」
提督「そうか。まあ、俺の艦娘たちは皆仲良しだし、問題ないと思うけどね」
長門「」ゾクッ
あきつ丸(ん?)
長門「…」ボソボソ
あきつ丸(何を呟いて…?)
提督「ああそうだ、監査といえど貴方は客人だ。少しお待ちを」ガタッ
あきつ丸「何を?」
提督「見回る前に、飲み物でもどうかと」カチャカチャ
あきつ丸(…ふむ、ポイント稼ぎですかな?まあ悪い気はしませんが…ん?)
長門「…」ギョロ
あきつ丸「ッ!」ビク
長門「…」スン
あきつ丸(…何でありますか、さっきの顔…めちゃくちゃ怖かった…というか、何か…全方位角から視線のような…ん?)
長門「…おっと」ポン
あきつ丸(何でありますか…この威圧感!)
提督「あれ、茶筒はどこだったか…」ガサガサ
あきつ丸(う、動けない…!動いたら…)
長門「それは見なかった事にしてくれないか」ボソボソ
あきつ丸「…」コク
長門「感謝する。それと、勘違いしないでくれ。私はお前を助けているんだ」ボソボソ
あきつ丸「助け…?」
長門「ああ。今にわかるよ…」スッ
提督「お待たせして申し訳ない。こちらを」スッ
あきつ丸「ど、どうも…」ゴク
あきつ丸(さっきよりも何か…敵意…?)
提督「ああ、飲み終えたらそのまま置いてもらって結構です。俺が片付けるので…」
長門「いや、私に任せてくれ」
提督「いいのか?すまないな」
長門(…大事な我が提督に外の女の口の付いた湯のみを触れさせる訳にはいかないからな)
あきつ丸「…」
あきつ丸「何かすっごいピリピリした雰囲気を感じますなぁ…」スタスタ
あきつ丸(施設自体はどこもめちゃくちゃ綺麗であります…しっかし、依然すれ違う艦娘の視線が痛いでありますな…)
あきつ丸「…まあ、早く終わらせますか。失礼!」
伊168(イムヤ)「…はい?」
あきつ丸「監査のヒアリングであります。協力してくれますな?」
イムヤ「何でしょうか」
あきつ丸「ここの提督から何か不当に扱われている事や、不服に感じてることはありますか?」
イムヤ『は?????』キッ!
あきつ丸(殺気!?)
イムヤ「…あ、ええと、何もありません。むしろイムヤは良くしてもらってて、感謝してもしきれません」ホワホワ
あきつ丸「…そ、そうでありますか」
イムヤ「…強いて言うなら、提督はみんな平等にしてるから、イムヤが1番じゃない所かな…」ズズズ
あきつ丸「おお、お熱いですなぁ…ん?」
イムヤ「でも、明日はイムヤが秘書艦だし、何したって…うふふ…!」ズズズ
あきつ丸「…ご、御協力ありがとうございます」ソソクサ
あきつ丸「…うーん、これはもしや、アレですか…?」
あきつ丸「…そこの、失礼」
阿武隈「…はい」ユラッ
あきつ丸「監査のヒアリングであり…」
阿武隈「あんたが…何の用ですか」ギリッ
あきつ丸「へ?」
阿武隈「お茶なんか貰っちゃって…いい気になって…」ギリギリ
あきつ丸「いや、確かに印象はよく思いましたがそこまでは」
阿武隈「はぁ!?提督が『そこまで』!?舐めてんの!?貶してんの!?殺されたいの!?」ガチャン!
あきつ丸「ひえっ!?そ、そこまで怒らなくても…!」
阿武隈「ただでさえ外からノコノコ入り込んできたゴミムシ如きが、提督から直々にお茶なんて…なんて冒涜的で穢らわしいの…」グググ
あきつ丸(間違いない…この鎮守府、ヤバい!)
阿武隈「…でも、許しましょう」スッ
あきつ丸「え?」
阿武隈「今すぐ私の視界から消えてくれたら、ね」
あきつ丸「し、失礼しまーす」スタタタ
あきつ丸「…帰ろう!」
あきつ丸(阿武隈…私の記憶が正しければ、本来あんな攻撃的な雰囲気は纏わない…そして、あの気配はさっき提督殿からお茶を頂いた時と同じ…)
あきつ丸(あの気配は恐らく阿武隈1人によるものでは無い。他も同じ…つまり、ここは病的に、提督だけに意識が殺到している鎮守府…!)
あきつ丸(そんな狂気の坩堝の中、提督は平然としてるなんて、鈍感にも程があります!)
夕立「今、提督さんをバカにしたっぽい?」スッ
あきつ丸「ひえっ!?し、してませんよ!」
夕立「夕立、嘘つく人、大嫌い」
あきつ丸「…ぽいって、言わないのですか?」
夕立「だって、これは曖昧じゃないもの」
あきつ丸「…は、はは…嘘だなんて…」
夕立「夕立、ここ最近凄く鋭くなってるっぽいから、何考えてるかも、ちょっとはわかるっぽい」
あきつ丸「それは…素晴らしいでありますな」
夕立「…ふん」スタスタ
あきつ丸(…生きた心地がしないであります。早く逃げねば…!)スタスタ
あきつ丸(あれは…っ!?!?)
秋津洲「んー?あれ?見ない顔かも!」
あきつ丸「そ、その手に持ってるのは…」フルフル
秋津洲「あー、侵入者?なんか外でコソコソカメラのフラッシュが見えてさ、なんだろうと思ったら中に入り込んでるんだもん。不法侵入は良くないかも!」
あきつ丸(人の腕…!まだ握りしめてるカメラが生々し過ぎる…!)ウップ
秋津洲「…あ、そういえばさっき長門さんから、監査に来た『オンナ』がいるって聞いてたけど、もしかしてあなた?」ポイ
あきつ丸(な、何でありますか、この悍ましい雰囲気は…!)
秋津洲「…そっか、見られちゃったか。じゃあ仕方ないよね」シャキン!
あきつ丸(牛刀…!?どこにしまって…)
秋津洲「ごめんなさい、通報されてもどうって事ないけど、ここで始末した方が楽だから」フキフキ
あきつ丸「は、はは、そんな物騒なものを」フルフル
秋津洲「あ、安心して!私、上手だから!」
あきつ丸「な、何が上手…やめ…」
秋津洲「バイバイ!」ザシュッ!
あきつ丸(…なんて、無邪気な笑顔で自分を殺すんでしょうか…)
あきつ丸(首を斬られたら、こんな感じなんですね…って、何を…)
***
あきつ丸「…うわああああ!?」ガバッ
少佐「うおっ!いきなり起きるなよ!」
あきつ丸「あ…あれ…」キョロキョロ
少佐「嫌な夢でも見てたのか?汗びっちょりだぞ?」
あきつ丸「自分…生きて…」サワサワ
少佐「…んまぁ艦娘とて無傷じゃ済まねぇよ、あの事故は」
あきつ丸「じ、事故?」
少佐「おう。渋滞で我慢できなかった早漏逆走ドライバーと正面衝突だ。お前乗せてた運転手は…まあ、気の毒だったがな」
あきつ丸「…」
少佐「…ま、監査は多少他がやってくれる事になった。よかったな?」
あきつ丸「…はぁ」
少佐「…さて、俺は帰る」スクッ
あきつ丸「…あれは」
少佐「…何だ」ググ
あきつ丸「…いえ、何でも…」
少佐「…」スタスタ
あきつ丸「…汗を拭こう」サス
少佐(…っぶねー、びちょ濡れでピッチリなワガママボディガン見しちまった。ポジション直さねぇと…)イテテ
あきつ丸(…酷い顔をしてる。無理もありませんな、あんな夢…っ!?)チラ
あきつ丸(…いえ、絶対に、あれは夢だった、そうに違いない。でも…)
あきつ丸(この首の痣を見ると、そう思えなくなるのは、なぜでありますか…)サス
あきつ丸「あきつ丸、ただいま復帰致しました」ビシッ
少佐「おかえり」
あきつ丸「…自分がいない間でも仕事はしていたようでありますな」
少佐「おめー俺を何だと思ってんだ?」
あきつ丸「変な鎮守府に送る上司であります」
少佐「変なのは鎮守府で俺は特段悪くなくね!?」
あきつ丸「いやいや、少佐殿が最初に言い出したことじゃありませんか」
少佐「うぐっ」
あきつ丸「…まあいいであります。復帰がてら行ってくるでありますよ」
少佐「おし、標的はここだ」
あきつ丸「標的って…んん?これは何と?」
少佐「阿部ノ丸鎮守府だよ」
あきつ丸「もうオチが見えてるのですが…」
少佐「百聞は一見に如かず!」
あきつ丸「…この上司降格されないのでしょうか」スタスタ
少佐「聞こえてるぞオイ!」
***
あきつ丸「さてさて…着いたはいいけど特に変わった点はありませんな」キョロキョロ
提督C「おや?艦娘だな?」
あきつ丸「失礼、抜き打ちの監査に来たあきつ丸であります。ご協力いただけますな?」
提督C「んん?まあいいか」
あきつ丸(…特に出オチ的なものが無い?)
提督C「自由に見ていきたまえ」スタスタ
あきつ丸「…見掛け倒しでありましょうか」
5分後…
あきつ丸「…」ヴィーーーーーーン
大淀「本日分の業務リストです。現在の進捗はこちらです」ヴヴヴヴヴヴヴヴ
あきつ丸「…あの」
大淀「何か気になることでも?」ヴィンヴィンヴィンヴィン
あきつ丸「…いささか耳障りな音が」
大淀「そうでしょうか」
あきつ丸「まずはいろいろとぶっ挿してるものを抜けぇぇぇぇ!!!!」
大淀「いえ、これは提督命令ですので」キリッ
あきつ丸「はいアウトォォォォォォォ!!逮捕!連行!!」
大淀「え?乱交?」ギュインギュインギュインギュインギュイン
あきつ丸「そんなベタベタな聞き間違いもアウトォォォォ!風紀違反!!」
大淀「そんなこと言われても…提督?」ヴィーーーーーーン
あきつ丸「せめて電源は切れド変態がぁぁ!!」スポン
大淀「んあっ♡」
あきつ丸「年齢制限がかかるでしょうが!」
提督C「…あきつ丸よ、何をそこまで腹を立てているのだ?」
あきつ丸「仮にも海の守り人がアダルトグッズ常時装備かつ常時運転で業務をしていれば当然であります!」
大淀「腹を立てるぐらいならチン…」
あきつ丸「だまらっしゃい!」
提督C「…やれやれ、君は軍の良くない面を美化しすぎているようだな」
あきつ丸「何ですと?」
提督C「命のやり取りを続ける毎日。荒んだ精神を癒す方法はいくらでもあるが、君が思い描くような娯楽が世界共通である訳がないのだよ。ここではこれが普通なのだ」
あきつ丸「えぇ…」
提督C「それに、こういった面はあくまで鎮守府内に限定している。外の人間に迷惑を掛けなければ何の問題もあるまい」
あきつ丸(フツーに見られている気がする…)
提督C「誰が何を挿そうが私の知ったことではない。私は彼女らにストレス解消の方法は自由にするよう命じている。ただし、人に危害を加えるような真似はしないようにしているがね」
あきつ丸「…」
提督C「というわけだ。私を連行しても構わんが、私はこの方法を曲げるつもりはない」ヴヴヴヴ
あきつ丸「…ん?」
提督C「おや、もうこんな時間か、私もストレス解消と行くか!」バッ!
あきつ丸「んなな!いきなりなぜ脱ぎだすのでありますか!」
提督C「これが私の流儀だ!とうっ!」ダッ
あきつ丸「全裸で飛び降りるなー!」
大淀「何度見ても素晴らしい着地…それに最大出力にも関わらず身じろぎもしないとは…」ヴィーーーーン
あきつ丸(…やっぱり提督もバイブを仕込んでいたのか…ってかまだ残してたのかこの変態メガネ)
提督C『はっはっはっは!仕事辞めてーーーー!!!!』フリフリ
あきつ丸「お望みならいつでもやめさせてあげますよ」ヒラヒラ
大淀「いいえ、ダメです」メラメラ
あきつ丸「SM用の蠟燭を持ち出すなー!」
大淀「…ぁふんっ♡」ビクーン
あきつ丸「あ、お、おバカ…」ボトッ
大淀「あ!し、しまった!火事!」メラメラ
あきつ丸「蝋燭台を振り回すなー!!」
大淀「すいません、イってしまったので腰が抜けました」
あきつ丸「アホか!とにかく水を…って脱ぐな!消火栓を…」
まるゆ「ひゃあああ、また火事ですか~?お水ですよ~」ズルズル
あきつ丸「おお、まともな艦娘が…ってホースをディルドに改造するなー!!」
まるゆ「いきますよ~」プシュウウウウ
大淀「いつもすいませんね」ギュインギュインギュインギュインギュイン
まるゆ「わぁぁ~、やっぱり水の出る口が小さすぎて裂けちゃいますよ~」ブシュウウウウウウ
あきつ丸(何なのでありますかこの光景は)
***
少佐「…お、おかえり」
あきつ丸「…とりあえず阿部ノ丸鎮守府の提督は謹慎であります」
少佐「お、おう…」
あきつ丸「…自分はまともで幸せ者であります」ボソッ
少佐「は?」
あきつ丸「ああそうだ。お土産であります。好きなだけ『使って』いいらしいであります」ボトボト
少佐「え、何このおぞましいホールの数…」
あきつ丸「おはようございます」ガチャ
少佐「…あっ、お前!」ガタン
あきつ丸「んん?何やらいつもより書類が多く見えるでありますな」
少佐「アダルトグッズの件だよ!あの後上司が来て大変だったんだぞ!」
あきつ丸「ご愁傷さまでありますな」
少佐「何とか事実確認取れて事なきを得たが…それでも怒られたぞ」
あきつ丸「まさか本当に使ったのですか?」
少佐「んなわけなぇだろ!」
あきつ丸「…で、まだ続けるのでありますか?」
少佐「当たり前だ。ちなみに上も抜き打ちチェック自体は容認してくれたし」
あきつ丸「…ん??もしや少佐殿の独断だったと?」
少佐「…悪いか」
あきつ丸「当然でしょうが!」
少佐「だ、だがこれで!正規の業務となったからな!」
あきつ丸「…はぁ、現場に異動しようかな」ボソッ
少佐「聞こえてんぞ」
あきつ丸「…じゃ、今日はここに行くであります」スタスタ
少佐「…ん?おーい!」
***
あきつ丸「確か…この辺りに新設された鎮守府が…あれかな?」
あきつ丸「いやはや、綺麗でありますなぁ」
あきつ丸「…静かでありますな」スタスタ
あきつ丸「…失礼するであります」コンコン
あきつ丸「抜き打ち監査に来たあきつ丸で…ん?」
提督「」zzZ
あきつ丸(…執務室で居眠りでありますか。これは減点対象でありますな)カリカリ
あきつ丸(…整理整頓はされてるようでありますな。もう荷解きは全て済んで…)
「あなた、誰?」
あきつ丸「っ!」クルッ
あきつ丸「…抜き打ち監査に来たあきつ丸であります。あなたが秘書艦でありますかな?山風殿」
山風「…」コク
あきつ丸「ふむ、ならば最初の仕事はあなたの提督を起こすところからですな」フフン
山風「…起きて」
提督「…あれ、おはようございます」ムクッ
あきつ丸「…他の艦娘は?」
山風「…まだ来てない」
提督「ここ新しいからですね、もうすぐ来ると思います」
あきつ丸(…ふむ)
提督「ところで…君は?」
山風「…あきつ丸だって」
あきつ丸「…ええ、改めまして、抜き打ち監査に来たあきつ丸であります。しかし、どうやら来るには時期が早すぎたようでありますな」
提督「いや、そんなことはありません。むしろ気が引き締まります」
あきつ丸「…まあ、直ぐに終わるでしょう」クルッ
山風「…」ジーッ
あきつ丸(…本当に見るところが少なそうでありますな。まさか艦娘1人だけとは)
山風「…早く、帰って」プイ
あきつ丸(…こちらも適当に時間を潰してから戻るであります)スタスタ
***
あきつ丸(…もうすぐ来ると思うと言っておきながら、送迎すらありませんな)
あきつ丸(…まあ何かトラブルがあったのでしょうが、そこまでは知る必要はありませんな)
提督「…監査は終わりですかな?あきつ丸とやら」
あきつ丸「ええ。見るところも無かったので」
提督「…ま、暇なら少し話し相手にでもなってくれませんかね」
あきつ丸「…いいでしょう」
提督「連絡がありましてね、艦娘の着任は少し遅れるとのことです」
あきつ丸「それは残念でありますな」
提督「私はそうは思いません。艦娘とて女の子ですからね、細かな部分までちゃんと綺麗にしておかないと」
あきつ丸「?」
提督「結構気にするらしいですよ?あなたもそうなのでは?」
あきつ丸「…まあ、それはそうでありますね」
提督「そうでしょう?だからここに来て、気分よく過ごして欲しいのです」
あきつ丸「…しかし、居眠りは見過ごせませんな?」
提督「色々と疲れていましてね。許して欲しいとは思ってません。これは戒めですね」
あきつ丸「…ふむ」
山風「…」ジーッ
あきつ丸(…物陰からずっと見てくるでありますな)
提督「…何処を見ているんですか?」
あきつ丸「…いえ、なんでもありません」
提督「…何か食べていきますか?少しばかり早いですが食事でも」
あきつ丸「いえ結構であります。もうすぐ帰るので」
提督「それは残念」
あきつ丸(…山風殿は居ない。仕事に戻ったのでしょうか)
提督「…あきつ丸さんも艦娘なのでしょう?という事は海に出られていた経験があるのでは?」
あきつ丸「…まあ、少々」
提督「『あいつら』は怖いですか?」
あきつ丸「…深海棲艦のことでありますか?それは怖いでありますが、しかし勝たねばならぬ相手であります」
提督「…轟沈させられた艦娘は居ましたか?」
あきつ丸「?…幸いにも自分が海へ出ていた時は誰も居ませんでしたが?」
提督「…あいつらね、沈めた艦娘から目を離さないんですよ。その身が完全に海に呑まれるその時まで」
あきつ丸「…見た事があると?」
提督「…又聞きです。しかし、それを聞いて恐ろしく感じたのは、あれはむしろヒトに近いものと思ってしまいましてね」
あきつ丸「…あの、何の話を」
提督「人も生物を殺した時にその命が完全に消えていく様を見届けるでしょう?血に飢えた蚊を潰した後、その手のひらを見ませんか?獲物を締めた時に、最後に振り絞った僅かな動きを見続けませんか?」
提督「機械ならそうはいきません。そんな暇があれば次に移りますからね。私としては、あいつらは機械であってほしかったと思う反面、生命ある者であってよかったとも思ってます」
あきつ丸「だから、何の話を…?」
提督「…私は罪悪感があるんですよ。なまじヒトに近いだけに」
あきつ丸「…貴殿がどう思おうと、敵は深海棲艦であります。任務に支障が無いように」
提督「…最後に1ついいですか?」
あきつ丸「…何か?」
提督「君は死神を信じますか?」
あきつ丸「は?」
提督「私は信じているし、何なら死神というのは常に隣にいるものと思ってます」
あきつ丸「…」
提督「姿は何であれ、私が私自身に課せられた役目を違えた時…私は連れていかれるのでしょう」
あきつ丸(…何を言ってるのでありますか、こいつは…)
山風「早く帰ってって、言ったよね」
あきつ丸「…」
山風「ここはあなたが来るとこじゃないの」
あきつ丸「…ふん、言われなくとも帰りますよ」
提督「…?」
あきつ丸「監査は終了です。秘書艦どのもご立腹なので、自分はこれにて失礼するであります」
提督「…秘書艦?」
『ピピピピ!』
あきつ丸「ん!?」スチャ
少佐『やっと出たな!何処行ってたんだお前!』
あきつ丸「何でありますか、監査でありますよ。もう帰りますけど」
少佐『っ…あぁ、もういい!とりあえず早く戻れ!いいな!』ブツッ
あきつ丸「…何でありますか、全く」スッ
あきつ丸「失礼、それで…は…!?」
あきつ丸「な…ど…どうなって…ここは…」
***
少佐「…やっと戻ったか」イライラ
あきつ丸「…」ガチャ
少佐「おい!お前何処ほっつき歩いてたんだ!」
あきつ丸「…わかりません」
少佐「わかりません、だと?」
あきつ丸「…自分に言えることは、それしかないのであります」
少佐「…お前な、休みてぇならそう言えよ」
あきつ丸「…へ?」
少佐「こんな白紙渡しといて『監査』とか言い出すのは異常だって言ってんの」ペラ
あきつ丸「白紙…!?」
少佐「しかも無線機には出ねぇわ、GPS確認したら廃墟に居るわ、どうしたんだよ。そういう趣味でもあったのか?」
あきつ丸「…」
少佐「…まあいい。今日は有給扱いにしといてやる」
あきつ丸「…失礼しました」
少佐「かーっ!俺の方が有給使いてぇのによぉ!」
あきつ丸「…あ、いつもの少佐に戻りましたな」
少佐「どういう意味!?」
あきつ丸「…何だか戻ってきた実感が湧いたであります。有給ならこれにて失礼」スタスタ
少佐「あ、おーい、元気なら書類手伝っ…」
あきつ丸「…」
あきつ丸(あの時、自分は確かに鎮守府の所在地の記された紙面を渡した。それが白紙だった…)
あきつ丸(そして、自分が向かったのは廃墟だった…だが、自分は確かに新しく建てられた鎮守府を確認した)
あきつ丸(…しかし、少佐殿からの連絡が終わった直後、自分は廃墟の中で佇んでいた。自分の無線端末には何件も少佐殿から留守電が来ていた)
あきつ丸(あれは、一体…)
ド下ネタ満載ですがレーティングは全年齢で通します(鋼の意思)
新作ktkr!他の作品同様楽しみだぜ!
新作キター
更新クソ遅でも大丈夫です
更新早くて嬉しい