少女の正体?(第11話)
前回の後書きで書いたタイトルは違う回のヤツでした。今回のタイトルが正しいタイトルになります。
確認ミスで申し訳ございませんでした。
文章力がドンドン低下してしまっている…。
人間って、馬鹿な生き物だ。
この戦争を始める原因を作って、関係の無い娘まで巻き込んで、家族や友人をグチャグチャにするなんて。
ここまでの戦争についての話を聞いて、そうとしか思えなくなった。
俺の両親も、こんな屑供の所為で殺されるなんて。
前元帥「辛い話になっちまうから、あんまり深く話すつもりは無かったんだけれどもな…。ワリィ、話に夢中になりすぎた」
優斗「いや、いいんです。俺の両親の死因とかも知れたんで」
前元帥「…。辛かったら、誰か頼れよ?」
優斗「分かってますって」
話始めた時は夕方だったのに、外はもう月明かりが照らし始めてきていた。
前元帥「さて、もう夜になっちまったことだしさっさと寝るか…」
優斗「そうですね。俺もちょっと疲れてるんで」
前元帥「じゃ、また明日な」
優斗「はい」
寝る前に、窓から外を眺める。いつものように海は静かに波打っている。
何も起きない日々を送るのは、いつぶりだか覚えていない。
こんな毎日に戻れるのは、いったいいつになるんだろうか。考えただけで頭が痛くなる。
疲労も溜まっていたのもあってか、ベッドに横になるとそのまま眠ってしまっていた。
(翌朝)
優斗「…朝、か」
外は、昨日と同じように海が波打っていた。
優斗「茜、大丈夫かな…」
この病院のどこかで治療しているとは聞いたが、その事を聞いてからは何も情報が入ってこない。
ココの階に監禁されているワケではないが、この階から移動する手段が分からない。
優斗「悪化とかしてないといいんだけども、な…」
ベッド上に座り込みながら呟く。
前元帥「おー、起きたか」
優斗「あ。おはようございます」
前元帥「起きてからすぐで悪いんだが、ちょっと来てもらえるか?」
優斗「分かりました」
どこかに行くのだろうか? それとも別フロアに移動するのか?
色々と考えながら、ついていく。歩いて行くと、エレベーターが目の前にあった。
エレベーターに乗り込み、下の階に向かう。
優斗(…あれ? ここって地下あったのか?)
少し経つと、地下に着いた。
エレベーターのドアが開くと同時に、その異様な光景が目に入ってきた。
病院には普通は無いような機械や、よく分からない数式が画面に映っているモニターらがあった。
優斗「なんだ、ココ…」
杖を突きながら、歩いて行く。歩けば歩くほど、よく分からない機械らが増えて来る。
前元帥「そろそろ、着くぞ」
優斗「着くって、どこにですか?」
前元帥「お前が会いたがってる娘の所だよ」
優斗「茜の!?」
それを聞いて、少しテンションが上がりすぎた。
そのせいで腕と足を痛めているのに、早足になりそうになった。
前元帥「オイオイ…。少し落ち着けよ…」
優斗「は、はい…」
再び歩き始める。すると、目の前に部屋が見えてきた。
前元帥「あの部屋にいるぞ。早く会ってきな」
優斗「はい!」
部屋をノックするのも忘れ、勢い良くドアを開ける。
優斗「茜!」
白露「ゆー、くん…?」
茜は、こっちを見て少し驚いていた。
身体の半分は深海棲艦化したままだが、それ以外に異変は見られない。
優斗「あぁ。そうだよ…」
白露「そのケガ…。大丈夫なの?」
優斗「えっと…。まぁ、色々あるけれども…。大丈夫。たぶん」
白露「たぶんって…」
優斗「けども、茜も無事でよかったよ」
部屋の中で、2人はいつものように話し始める。
話始めるのと同時に、前元帥は別の場所にあるモニターにデータを入力していた。
前元帥「…あの娘が言っていた事が正しければ、あの薬が完成できるかもしれないな」
右のモニターには地図が映っており、地図に映っているとある島の上で、赤いマークが点滅していた。
左のモニターは、薬のデータが映っていた。しかし、画面に映っている薬の下には未完成という文字が打たれている。
前元帥「ただ、あの娘は協力してはくれたがあの娘があったというこの娘は協力してくれるかは微妙な所が問題か…」
部屋の外で、前元帥は1人で悩みながら作業を続けていった。
白露「そういえば、言わなきゃいけないんだった」
優斗「言わなきゃいけない事? なんかあったっけ」
白露「このあと、前の元帥さんと一緒に私を助けてくれた娘の所に行く事になってるんだ」
優斗「それって、茜と似た様になっていた娘の所か?」
白露「うん。あの娘の事について調べるみたいだし、あそこにずっと一人ぼっちなのは…、可哀想だから」
優斗「そう、か…」
前元帥「お話し中、失礼するぞ」
優斗「あ、ハイ」
前元帥「移動する準備が出来たから、そろそろ行くぞ」
白露「分かりました」
前元帥「どうせなら、お前もついて来い。ここで1人にするわけにもいけないからな」
優斗「了解しました」
茜と2人で、施設の通路を歩いていく。
通路の先には、船がありそのまま海に出れる様になっていた。
優斗「なんだが凄い所に来てしまった様な気がするぞ…」
白露「確かに、そうだね…」
前元帥「早く出るぞ。あのバケモンに会ったらどうしようもないからな」
船に乗り込むと、すぐに海に向かって動き出した。
海に出てからすぐに、2人の深海棲艦が横についた。
レ級「さーて、久しぶりの外出だ」
ヲ級「外出ではないです」
レ級「あぁ? あの場所から出れるから外出だろ?」
ヲ級「外出では、遊びに行くようにも捉えられます」
レ級「あー、めんどくせぇな、お前…」
前元帥「また喧嘩してんのか…」
船は、スピードを上げてどんどん進んでいく。
横を向くと、大きな建物が見えた。
優斗「あれ、俺らの鎮守府か…」
白露「もう誰もいないけれどもね…」
所々壊れているその大きな施設は、少し前まで皆で過ごした鎮守府だった。
あの鎮守府に再び戻る事はあるのかどうかは分からない。でも、もし戻れるならばあの鎮守府でまた皆で楽しく過ごしたいと思いながら、鎮守府から離れていった。
白露「あ、あそこだ…」
優斗「あの島か」
鎮守府が見えなくなってから少し経った後、目の前に小さな島が見えてきた。
島の近くに船を止め、島に上陸する。
優斗「なんなんだ、この島…。異様な雰囲気がするぞ」
白露「まぁ、深海棲艦になっちゃった娘とかがここで寝かせられているからね」
優斗「変なのとか出ないよな!?」
白露「いや、出ないからね」
前元帥「何やってんだ、お前らは…」
レ級「ただの馬鹿だろ」
ヲ級「口が悪いですよ」
レ級「いちいちうるせぇな…」
前元帥「お前らも喧嘩すんなよ…」
島の奥へと歩いていく。すると、洞窟が見えてきた。
優斗「あれか? 深海棲艦化した娘が寝かせられている洞窟って」
白露「うん。あの娘がいるかどうかは分からないけれども…」
??「あれ? なんでココにいるの?」
後ろから、声が聞こえた。
うっかり身構えてしまったが、後ろにいるのは茜と同じように身体の半分が深海棲艦化した娘だった。
優斗(あの娘が…。例の娘か)
??「どうかしたの? なぜかお友達さんも一緒みたいだけれども」
前元帥「突然、失礼。実はこういう者だ」
前元帥が、名刺のようなものを目の前の娘に渡す。
??「ふーん…。前の元帥さんね」
前元帥「この島に急に来てしまって済まない。実は、この娘から話を聞いて気になったんだ」
??「へぇー…」
前元帥「…」
レ級(なんだ、コイツ…。この男見てから目の色が変わった気がするぞ)
ヲ級(もしかしたら、襲ってくるかもしれませんね)
前元帥「それで、聞きたい事があるんだが」
??「悪いけれども、答える気はないです。あなた達、人間と話す事はありません」
前元帥「…そうか」
白露「ど、どうして!? この人は、あの男と違って私たちを助けてくれたんだよ!?」
??「人間なんて、信じるだけ無駄です」
前元帥「本当に、すまない。ああなったのは、俺が悪いんだ」
前元帥「…だから、許してくれ。元初春型駆逐艦6番艦…」
言っている途中で、目の前の少女は前元帥に向かって殴りかかってきた。
レ級とヲ級が何とかして止めようとするが、2人がかりでも止める事が出来なかった。
レ級「な、なんだよ! この力!?」
ヲ級「私たちでも、止められないなんて…」
??「その名前で…。私を呼ぶなぁぁぁ!!!」
白露「危ないっ!」
突っこんで来た娘を、茜が何とかして止める。
深海棲艦2人で止められなかったのにも関わらず、茜はなぜか1人で対抗出来ている。
??「離してよ…。その名前で呼ぶ人は、もういないと思ってたのに…!」
白露「その名前って、どういう事なの!? とりあえず、落ち着いてよ!!」
??「落ち着いてられるワケないでしょ…!」
優斗「クッソ…。どうにかしないと…。そ、そうだ、茜!」
白露「な、何!?」
優斗「嫌だろうけれども、ソイツのこめかみぶん殴れ!」
白露「え、えぇ!?」
優斗「いいから早く!!」
白露「え、えい!!」ゴンッ…。
??「いっ、た…」ドサッ…。
白露「あ…。た、倒れた…」
優斗「これでいい、のか…?」
白露「ど、どうかは分からないけれども…」
優斗「それより、名前ってなんなんだ?」
前元帥「その事については、俺が話すよ」
優斗「だ、大丈夫なんですか。身体は」
前元帥「襲われそうになったのは想定外だが、ケガとかはしてないから大丈夫だ」
白露「それで、この娘の正体って…」
気を失って横になっている娘を横目で見ながら、話し始めた。
その目は、少し涙で潤んでいた。
前元帥「この娘は、俺が元帥をしてた時に鎮守府にいた娘だ」
前元帥「そして、この娘には姉がいた」
白露「お姉ちゃんが?」
前元帥「その姉の艦娘だが、有明だ。艦娘になる前の名前は、有明 朱里 だったかな」
優斗「!?」
白露「ちょ、ちょっと待ってよ! それって、お姉ちゃん…じゃなくて、私のいとこだよ!?」
優斗「じゃ、じゃあ…。目の前にいるこの娘って…」
前元帥「…そう。この娘は、妹の 有明 夕暮(ゆく)。元初春型6番艦、夕暮だ。けれども、こんな形で再開する事になるとは思わなかったけれどもな…」
そう言って、前元帥は横に座り込んだ。
前元帥「俺の所為で、こんな目に…。本当に…、すまない…」
優斗「ちょ、ちょっと待てよ! 朱里は自分の妹は既に沈んで死んだって言ってたぞ!」
白露「お姉ちゃんもそう言ってたハズなのに…。生きてたって、事…?」
ヲ級「見間違い、なのではないんですか?」
前元帥「…いや、本人だ」
今さっきから色々とありすぎて頭の中での処理が追いつかない。
でも、なんで朱里は自分の妹が死んだって言っていたんだ? 遺体も見つかっていないなら、まだ死んだとは限らないのに…。
…俺が考えても仕方ないか。
今はとりあえず、この洞窟の中でも調べるか。
前の元帥さんはまだ動けないだろうし。
優斗「茜。俺らは中に行こうぜ。確か、この洞窟内に深海棲艦にされた娘たちがいるんだろ?」
白露「そうだけれども…。勝手に入っちゃっていいのかな」
優斗「確かに…」
白露「あの娘が目を覚ますまで待とうよ。聞かなきゃいけない事とかもあるし」
優斗「分かった。じゃあ、少し待つか」
洞窟の外に座り込んで、目を覚ますのを待つ。
そういや、茜が攻撃した時って深海棲艦化してる方の手だったよな…。あれ、大丈夫なのか?
結構エグイ音したけれども。
空を眺めながら、時間が過ぎるのを待つ。
相変わらず、空は少し雲が浮かんでいるだけだ。
優斗「いい天気なんだけれどもなぁ…」
白露「ホントにそうだよ…。何にもないなら外でゆっくり過ごせるんだけれどもね」
優斗「どうしてこうなっちゃったんだろうな、俺たち」
白露「さぁ…」
ゆっくりと話したいけれども、そんな事できる状態じゃない。
結局、その後は話す事もなく海と空を眺めていた。
夕暮「あれ、私…」
前元帥「…起きたか」
夕暮「なっ…。なんでアンタ、まだココにいるのよ…!!」
前元帥「しょうがないだろ。こっちは調査するために来てんだから。そもそも、気を失っている娘を放ってどこかに行けるワケないだろ…」
夕暮「アンタに言う事はなんにもないから。早くどこか行ってよ」
前元帥「分かったよ。じゃ、どこか行くよ」
そう言って、前元帥は歩いていった。
夕暮「なんでこうなっちゃたんだろう、私…」
座り込んだまま、下を向く。
そもそも、怒りをぶつけたあの人が悪いワケじゃない。あの人は最後まで助けようとしてくれたのに。
お姉ちゃんをかばって自分が勝手に沈んだだけ。自分がこうなったのは自分自身が悪いのに…。
白露「あのー…」
夕暮「えっ…」
1人で泣きそうになっていると、近くに茜ちゃんがいた。
白露「その…。何かあったの?」
夕暮「べ、別に何も…!」
優斗「おーい、茜ー。急にどこに行ったんだー! って、ココにいたのかよ」
白露「ゴメン、ちょっと話してみようと思って…」
優斗「そっか」
夕暮「だ、誰…?」
白露「あぁ、そういえば言ってなかったよね。この人は、私の旦那さんだよ」
夕暮「えぇ!? ちょ、えぇ!?」
優斗「…驚きすぎでは?」
夕暮「だって、まだ19歳でしょ!? いくらなんでも早すぎるでしょ!?」
優斗「茜」
白露「なに?」
優斗「もしかして、茜のいとこって色々とどこかぶっ飛んでんのか?」
白露「それは無いと思う」
夕暮「ちょ、今お姉ちゃんの事バカにしたでしょ!?」
優斗「なんでそうなる」
夕暮「うるさい、これでも喰らえー!」
優斗「へ?」
深海棲艦化してない方の腕で顔面にパンチを喰らった。いたい。
なぜ俺は殴られたんだ?
白露「ちょ、ちょっと、夕暮お姉ちゃん…」
夕暮「私はお姉ちゃんじゃない! 同い年だ!」
白露「えぇ!?」
優斗「あーもうよく分からない事になってきたぞ」
今さっき頭が混乱したのに、まーた頭が混乱しそうになる。
入ってくる情報が多すぎる。何がどうしてこうなった。
(数分後)
夕暮「んで、なんでココに?」
白露「いや、聞きたい事があって…」
夕暮「聞きたい事? なに?」
白露「その、なんで自分の名前言われた時にあんなに怒ってたのかって…」
夕暮「…その事は、あんまり言いたくないけれどもね。けれども、茜ちゃん相手なら言っても大丈夫かな」
優斗「じゃ、俺はどっか移動するわ。俺がいると話しずらいだろうしな」
船の方に向かって歩いていく。相変わらず、足と腕が痛い。
数分経つと、優斗は見えなくなるところまで移動していった。
白露「それで、なんで嫌なの? 自分の名前を呼ばれるの」
夕暮「…自分の名前を呼ばれると、思い出しちゃうんだ。あの時の、幸せだった鎮守府生活を。もう何年も経ってるハズなのに…」
白露「だから、自分の名前を呼ばれたくないって事?」
夕暮「…まぁ、うん。ホントに下らないよね、私…。あんなに怒っちゃって」
白露「まぁ、自分を苦しめてるその言葉が嫌いなら、怒っても仕方ないよね…」
夕暮「聞きたかったのは、それだけ?」
白露「うん。あんなに怒っちゃってたから、気になって」
夕暮「じゃあ、私は戻るよ。茜ちゃんも戻りなよ。大切な人の所に」
そう言って別の場所へと移動しようとする夕暮の腕を、茜が掴んだ。
夕暮「…どうかしたの?」
白露「前、私に言ったよね。『帰る場所があるなら帰った方がいい』って」
夕暮「それがどうかしたの?」
白露「夕暮ちゃんだって、あるでしょ? 帰る場所」
夕暮「私には無いよ。もう、お姉ちゃんも忘れてるだろうし」
白露「そんな事無いよ。お姉ちゃんは、ずっと夕暮ちゃんが自分をかばって沈んでいった事を悔やんでる」
夕暮「そう。でも、私はもう死人みたいなモノだもの。帰って来れるワケないよ。しかも、ココにいる娘たちを置いていくわけにはいかないし…」
白露「そ、そうだった…」
白露(けれども、ココにずっと1人でいるのも可哀想だよ…)
優斗「おーい、そろそろ話終わったかー?」
何とかしてこの島から夕暮ちゃんを連れていく方法を考えていると、ゆーくんが呼びに来た。
白露「あ、そうだ…。あの人に頼めばどうにかなるかも…」
優斗「何かあったか?」
白露「ううん。特に何かあったワケでは無いよ」
優斗「そっか。じゃあ、行くか」
白露「でも、その前に…」
優斗「…?」
(数分後)
夕暮「なんか、海が騒がしいな…」
海の方を見ると、黒い集団が島に向かってきていた。
夕暮「あ、あれって…。深海棲艦!?」
白露「おーい!」
茜の声が、後ろの方から聞こえて来る。
後ろを振り向くと、茜がこっちに向かって走ってきていた。
夕暮「こ、今度は何…?」
白露「前の元帥さんに言ったら、仲間の深海棲艦の皆で安全な所に連れて言ってくれるって!」
夕暮「えっ…。そんな事、頼んでないよ!」
白露「けれども、ずっとココに1人ぼっちじゃ辛いでしょ? だから、行くよ!」
夕暮「ちょ、ちょっとっ…!」
そのまま、手を引かれたまま海の上に連れてこられた。
茜が握ったその腕を振りほどこうとしたが、全く振りほどけなかった。
そのまま、海の上を走らせられ、よく分からない所に連れて来られた。
夕暮「な、なんで、急に…」
白露「1人ぼっちの娘は放っておけない性格だから。ほら、早く行くよー」
夕暮「ちょ、ちょっと待ってよ…」
施設内にそのまま連れ込まれた。
あちこちに連れまわされているのに、1人で島にいた頃に比べると笑顔になってきていた。
これが、自分の居場所、なのかな。
誰かと一緒に過ごしている、こんな場所が。
(次回に続く)
次回、「新たな力?」に続きます。
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