デビル(司令官)と仲間たち No.16【覚悟を決めた者達】
20○○年7月○日
午前10時
横須賀鎮守府 会議室
キリトたちが俺のところに来て、早くも1週間が過ぎた。気温も暖かくなり、世間は夏休みにどこに行くなどの話で話題になり始めたところだ。そんな中、俺たちはクーデターの計画が最終段階を迎え、浅野派の将校たちがそれぞれの基地から集まって来ていた。そして、今最後の作戦会議が行われていた。そして、今回の作戦を指示するのは俺に決まった。
司令官「おそらく、敵は基本こちらの攻撃には気づいていない。しかし、元帥の娘である椿たちが率いる部隊は俺たちがクーデターを起こす事
に気付いています。なので、全く抵抗がないとは言い切れません。」
少佐「もし、その部隊と接敵してしまった場合は、どうすればいいでしょうか。」
司令官「その場合は、すぐに俺に連絡をしてください。俺が椿との決着をつけます。なので、その間に皆さんは重要拠点を落として下さい。」
少佐「了解しました。」
龍斗「だが、椿たちの部隊以外も気付いている可能性もないとは言い切れない。だから、俺の部隊と岡本少佐の部隊は全ての装甲車両を前線に導入する。」
大尉「わかりました。では、私たちも出来る限りの迫撃砲部隊を導入します。」
少佐「私の部隊からも重機関銃の部隊を前線に配置します。」
中佐「俺も・・・・・・。」
中尉「わたしも・・・・。」
次々に多くの将校たちが手を上げ、部隊の導入を宣言する。そして会議が終わると、
浅野「皆、よくここまでついてきてくれた。この戦いは、我が連邦にとって大きな歴史に残るだろう。だが、失敗すれば命の保証はない。今こ
こで降りたいものがいれば降りてくれて構わない。」
しかし、ここにいる誰もが覚悟を決めており、本気で連邦を変えたいという気持ちで一致していた。
司令官「浅野大将、俺はあの時から貴方についていくと決めました。貴方がいなければ今のここに私はいません。例え、死ぬ事になろうとも恩
人ために、そして国のために死ねるのであればそれは軍人としての本望です。」
浅野「それは間違っている。君は死んではならない。何があってもこの戦争で生き残り、これからの未来を担う存在だ。決して死んではならな
い。それは大杉君だけではない。今ここにいる多くの若者も彼と同じようにこれからの未来に必要な存在だ。そして、この戦争が終わって
からもこの戦争のことを伝え続けてほしい。国のために死んでいった同胞たちのためにも・・・・。だからこそ、君達は死んではならな何
があっても生きて帰って来い。これは命令である。いいな。」
全員「はっ!!」
そして、浅野大将からの言葉が終わると皆それぞれの基地に帰って行った。そして、浅野大将が会議室を出る際に、
浅野「大杉君、君には話しておこう。どうして、私がクーデターを目論むようになったか。」
司令官「・・・・・。」
浅野「私には妻との間に息子が1人いた。息子も私に憧れて軍に入隊した。そして、初陣を迎えた。私はこのときには既に将校であったため、一
緒に前線には行けなかった。だが、息子は帰ってくると信じていた。しかし、息子な戦死した。私は、ショックだったよ。たった1人の息子
を失って・・・。そして、息子がなぜ死んだのかを調べていくと、あの元帥が息子の部隊に無謀な突撃命令を下したことが分かった。そし
て、何とか目標地点を確保できたものの、最後は味方の砲撃による味方の攻撃で全員死んだ。私は、それを知って以来、奴への復讐を誓っ
た。そして、この腐った連邦の変えてやると・・・。そして、君と出会った時、私は君の姿が息子と重なって見えたんだ。だから、放って
はおけなかった。」
司令官「浅野大将。」
浅野「すまなかった。君も疲れているだろう。今日はゆっくり休みなさい。では、私は失礼するよ。」
そして、浅野大将は帰っていった。
そして、その日の夜
午後7時
会議室
俺は、横須賀鎮守府の部隊長を全員集めた。理由は、まだ部下にクーデターのことを教えていなかったからだ。そして全員が集まると、
司令官「悪いな。疲れているのに集まってもらって。」
まほ「大丈夫だ。皆、暇だったからな。」
司令官「そう言ってくれると助かる。今回集めたのは、今日の会議のことを話しておこうと思ったからだ。」
カチューシャ「あぁ、今日集まってきていたお偉いさん達のこと。」
司令官「そうだ。実は、浅野大将と俺や兄貴は、前から今の連邦に対してクーデターを企てていたんだ。」
みほ「えっ・・・・・。」
ケイ「What!?」
西「どうして、またそんな事を!?」
司令官「まぁ、落ち着いてくれ。実は一村達やキリトには1ヶ月前にこの事を話していたんだ。正直に言うと、これは俺にとって両親との仇
でもある。」
みほ「どう言う事?」
すると、俺はある過去のデータを取り出した。
ダージリン「これは何かしら。」
アスナ「何かの暗号に見えるけど・・・。」
司令官「そうだ。これは、日本が帝国と戦争をする理由となった沖縄侵攻の時に使われた暗号だ。しかし、これはある人物が帝国に送った暗号
だ。」
ロニエ「待ってください‼︎これって連邦の暗号では⁉︎」
司令官「そうだ。だが、何故か帝国に送られていた。そして、その送った人物は・・・・・現在連邦のトップ朱雀院元帥だ。」
全員(一村達やキリトを除いた)「‼︎」
驚くのも無理はない。なんせ、連邦のトップが帝国と繋がっているとは誰も思わないだろう。
みほ「そんな・・・・連邦のトップが・・・・。」
ティーゼ「私たちは、ずっと騙されていたんですね。」
司令官「そうだ。だから、今回クーデターを起こすことにしたんだ。」
まほ「それで、私たちはどうすればいい。」
司令官「基本は、俺と共にクーデターに参加してもらうが、失敗すれば命の保証はない。だから、無理に参加してもらう必要はない。お前らに
は死んでほしくないしな。結構日は、2週間後の7月○日だ。それまでに考えておいてほしい。参加しなくとも、俺は責めるつもりはな
い。」
こうして、会議は終わり、皆それぞれの部屋に戻っていった。
午後9時
俺も自分の執務室に戻りクーデターに向けた戦力の補充の準備をしていた。
すると、
コンコン
司令官「入っていいぞ。」
まほ「失礼する。」
まほが入ってきた。
司令官「何のようだ。」
まほ「さっきの話で少しな・・・・。」
司令官「そうか。まぁ、座ってくれ。何か、飲み物を取ってくる。」
俺は、自分の部屋に置いてある飲み物を確認すると、何故かコーラしか残っていなかった。仕方ないので、コーラを出すことにした。
司令官「悪い、これしか飲み物が残っていなかった。」
まほ「別に構わない。」
そして、
司令官「で、さっきのクーデターの話で何のようだ?」
まほ「あぁ、お前はそこまでして両親の仇を取りたいのか?」
司令官「当たり前だ。俺は、両親を目の前で失った時から、両親の仇をとると兄貴と約束したんだ。」
まほ「そうか、ただそれを聞きたかっただけだ。」
司令官「左様ですか・・・・・。まほ、お前は家に戻れ。」
まほ「何故だ。」
司令官「お前を巻き込む理由はない。しほさんにも悪いしな。」
まほ「それだけでか。」
司令官「そうだ。」
まほ「なら、断る。」
司令官「正気か。俺たちはこれからかつての仲間を殺しにいくんだぞ。」
まほ「分かっている。それでもだ。」
司令官「なぜ、そこまでしようとする。」
まほ「簡単な話だ。お前が好きだからだ。」
司令官「言っておくが、俺はまだ付き合うつもりはないからな。」
まほ「そんなの重々承知の上だ。」
司令官「そうか。なら、好きにしろ。お前を止める権限は俺にはないからな。」
まほ「なら、そうさせてもらう。私はこれで失礼する。」
司令官「そうですか。お休み。」
まほ「あぁ、お休み。」
そう言うと、まほはドアに向かって歩いていく。すると、執務室から出る際に、
まほ「勇人、お前は1人じゃないぞ。」
そう言って執務室を出ていった。
翌日
午前8時
俺はいつも通りに起きて、仕事をしていた。すると、
ブー、ブー
突如俺のスマホが鳴り出した。すぐに出て、
司令官「もしもし。」
千代『お久しぶりね。大杉君。』
まさかの島田千代さんからの電話だった。
司令官「ご無沙汰しています。それで、何用で今回は?」
千代『あのね、さっき愛里寿達がそちらに向かったからよろしくね。』
司令官「えっ!?今からですか?」
千代『そうよ。愛里寿も早く貴方に会いたがっていたわよ。』
司令官「そういうのは、事前にお願いします。俺だって暇ではないんですから。」
千代『それって、クーデターのことかしら。』
司令官「・・・・・⁉︎どうしてそれを⁉︎」
千代『あら、島田流の情報源を舐めないでほしいわね。それに、これはしほのところにも伝わってると思うわよ。』
司令官「マジか・・・・。」
千代『安心して、誰にも言うつもりはないから。』
司令官「あ、ありがとうございます。」
千代『それじゃあ、愛里寿達をお願いね。』
司令官「了解し・・・・・、愛里寿達?」
千代『ええそうよ。愛里寿は大学選抜のみんなと来るわよ。』
司令官「うそ〜ん。」
千代『それじゃあ、よろしくね。』
そう言うと、電話は切れた。
司令官「事前に言ってくれよ。それくらい。」
そして、俺は一村と共に鎮守府の入り口に向かった。
午前8時30分
鎮守府 正門
俺と一村が正門に着くと、
ゴー、ゴー、ゴー
キュルキュルキュル
戦車のキャタピラとエンジンの音が聞こえてくる。そして、
ゴー、ゴー
一村「嘘でしょ。」
司令官「こいつも持ってきたのかよ。」
俺たちの目の前に現れたのは、アメリカがドイツの戦車に対抗するために造った超重駆逐戦車T-28が、ゆっくりとこちらに姿を見せてきた。
一村「うち、既に黒森峰のマウスがいますよね。」
司令官「そうだな、後清岡の部隊にも試験的に日本の超重多砲塔戦車が1両くる予定だったが・・・。」
一村「うちって、連邦の中で1番ヤバい部隊なのでは。」
司令官「そうかもな。」
そんな、話をしているうちにT-28が鎮守府の敷地内に入ってきた。そして、その後ろから次々とM26パーシングが入ってくる。その中に1両だけ、イギリスの巡航戦車センチュリオンMk.1がいた。そして、そのセンチュリオンは部隊の隊列から外れ、俺の前に停車した。すると、
愛里寿「来たよ‼︎勇人お兄ちゃん‼︎」
と愛里寿が俺に飛びついてきた。
司令官「おっと‼︎」
俺は、普通にキャッチした。
一村「隊長、その子は?」
司令官「あぁ、俺の婚約者になるかもしれない子。」
一村「隊長、まさかロリコンだったとは」
司令官「顔面吹き飛ばすぞ‼︎」
愛里寿「勇人お兄ちゃん。これからよろしくね。」
司令官「よろしく。」
そして、この後は急いで大学選抜の部隊の部屋を用意し、皆に紹介したところで今日やるべきことは終了した。
翌日
午前9時
横須賀鎮守府 正門
今日は、新たな戦車が一気にここへ送られてくる日だ。大佐に昇進したことで、ドイツはパンターやティーガーⅡ、ヤークトパンター、ヤークトティーガーが送られてくる。他にも、アメリカはM26パーシング、M36ジャンクソン、M24チャーフィー、M4A3E8シャーマンであり、イギリスは、クロムウェル巡行戦車、コメット巡行戦車であり、ソ連はISUー152だけであり、フランスはアメリカと同様で、イタリアはM14/41中戦車、最後に日本は、五式中戦車チリ、駆逐戦車ホリ、そして、多砲塔超重戦車オニ車がここに運ばれてくる。そして、ついに
ブーン、ブーン
戦車を大量に乗せたトレーラーが次々に入ってきた。
ここにいる隊員が全員集まっていたが、次々に入ってくる兵器の量に唖然とする。
一村「隊長、これ全部使うんですか。」
司令官「あぁ、そうだか、多すぎたな。」
一村「ですよね。」
その後、戦車は全てトレーラーから降ろされた後、それぞれ部隊に編成されていった。
一村の部隊は、新たに主力をⅤ号戦車パンターG型とし、一村自身もⅣ号戦車H型からティーガーⅡに更新された。清岡の部隊は、主力戦車は三式中戦車チヌだが、新たに五式中戦車が5両と駆逐戦車ホリ3両が加わった。また、知波単学園の戦車も加わった。そして、清岡が乗る戦車は多砲塔超重戦車オニヘ更新された。林の部隊は、今まで短砲身のM4シャーマンシリーズか主力だったが、今後の戦車戦に備えて、半分のシャーマンを長砲身に換装し、新たに大学選抜チームのM26パーシングとサンダース大学付属高校のシャーマンなどが加わった。また、林の戦車もT-26E1-1スーパーパーシングに更新された。そして、ロニエとティーゼの部隊には、主力戦車が、Ⅲ号戦車からⅣ号戦車に代わり、6両のⅤ号戦車パンターG型が編成された。そして、ロニエとティーゼの戦車は試験的にうちの部隊に導入されたⅤ号パンターⅡ2両に更新された。そして、今回からうちの所属になったプラウダは、ソ連のT-34を主力とした部隊を編成してもらった。隊長はカチューシャだ。聖グロは、イギリスの戦車を主力にした部隊となり、艦娘の金剛型姉妹が乗っているアキリーズなどのイギリスの戦車に搭乗している艦娘も同じ部隊に編成された。BC自由学園は、フランスの戦車を主力としており、こちらも聖グロの編成と同様で神通達が乗っているM4A3スーパーシャーマンなどが編成された。そして、大洗学園は、キリト達が指揮する部隊に編成された。キリトの部隊は、どこで手に入れたかはわからない戦後試作戦車Ru251を3両、軽装甲戦闘車両などが主力となっている。そして、ラインハルト少尉の部隊は、自走砲フンメルや駆逐戦車マルダーⅢやマーダーⅢ、Ⅳ号駆逐戦車70Vなどが主力となっている。また、黒森峰は、俺が、直属で指揮している戦車部隊に編成された。
こうして、今日全ての戦車が新たに更新されて、その準備などに追われて1日が終了した。
そして、
翌日
9時
訓練場
今日から新たに更新された戦車での訓練が開始された。未だにクーデターの件についての答えは返答がないままだ。
訓練場では、それぞれの部隊が陣形を組み、あらゆる戦場での訓練に備えて訓練をしている。市街地での戦闘を想定した訓練や、隠れる場所もない草原での戦闘などの訓練をしていた。
その中で一際目だったのが、
ゴゴゴゴ
建物破壊しながら前進する超重戦車オニだ。今までにないほどデカく絶対に相手をしたくないほどの攻撃力と防御力を持っている。
清岡「やれやれ、大和魂の力をみせてやれ‼︎」
最初、日本戦車の指揮を嫌がっていた姿はどこへいったのやらと、思うほど暴れまわっていた。
このように、訓練に励んでいるのは、清岡達だけではない。
キリト「よし、ラインハルト少尉。目標、15347への砲撃を頼む。」
ラインハルト『了解。目標15347‼︎ファイアー‼︎』
ズドン
ズドン
ズドン
ヒューン
ヒューン
ヒューン
ズドーン
ズドーン
ズドーン
自走砲フンメルの砲撃が、目標地点に砲弾の雨を降らせる。
キリト「目標への命中を確認。ロニエ。前進しろ。」
ロニエ『了解です。各車陣形を維持しつつ前進。』
ゴゴゴゴ
ゴゴゴゴ
俺が、清岡達の次に見にきたのは、キリト達のところだ。
キリト達の部隊は、軽装甲戦闘車両を主力としていて、基本戦場では、歩兵の支援や偵察などを中心に行なっている。それを生かして、ラインハルト少尉とロニエ達の部隊での連携は完璧だった。そして、こんな訓練が、1週間半続いた。
20○○年7月○日
午後2時
執務室
昼食を済ませた俺は、クーデターへの準備を進めていた。あれからもみんなからの返答はなかった。俺は、このまま返答がなかったら、1人で、向かうつもりでいた。すると、
コンコン
司令官「入れ。」
ガチャ、
キリト「失礼するぞ。」
キリトが執務室に入ってきた。そして、俺に近づいてきて、
キリト「ほらよ。」
謎の紙を置いてきた。
司令官「コレは、何だ。」
キリト「俺たちは、全員クーデターに参加する。コレは、みんなで決めた覚悟の証だ。」
俺は、その紙を見ると、今ここに所属している隊員全員の名前が書かれていた。
司令官「分かっているのか。失敗すれば、生きては戻れないぞ。」
キリト「分かっている。でも、覚悟はできている。だから、みんなで名前を書いたんだ。」
司令官「・・・・・。」
俺にとって、この答えは想定外だった。まさか、全員がクーデターに参加するとは、思っていなかったからだ。
キリト「俺たちは、アンタについていくぜ。大将。」
司令官「・・・・・分かった。ありがとう。」
こうして、全員のクーデターの参加が決定した。あとは、それまでにしっかりと訓練をして備えるだけだ。
そしてついに、
20○○年7月○日
午後5時
横須賀鎮守府正門
俺たちは、横須賀鎮守府の正門で出撃する全車両と歩兵が集まった。そして、俺はティーガーに乗車して中にある無線をとり、全員に繋げた。
司令官「全員聞け。今日俺たちとって、人生最大の戦いをすることになる。俺たちは、いいまで死んでいった同胞達のために、この腐った連邦
に対して、戦線布告をする。コレは、コレからの明日を守るための戦いでもある。きっと、多くの血が流れるだろう。だが、それでも
我々な進まなければならない。だが、それでも俺はお前たち全員には死んでほしくない。例え、死にそうになっても、地を這いつくばっ
て生きろ。必ず、全員でここに帰ってくるぞ。いいな‼︎」
全員『オー!!』
司令官「全員、俺に続け‼︎」
ゴゴゴゴ
俺のティーガーを先頭に、次々に車両が鎮守府から出ていく。横須賀では、今までかつてないほどの隊列をなした軍事車両が東京にある連邦本部を目指して、進んでいく。この光景は、この日至る所で、目撃された。皆、明日を守るために、ただ突き進むのであった。
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