デビルと仲間達 No.32 【激戦の地へ】
20○○年11月○日
午前11時
日本を出港してから早くも2日が経過した。俺たちは、輸送艦を艦隊で護衛しつつ少しずつ韓国へ近づいていた。この2日の経過のうちに韓国では朝鮮戦争以来、韓国は首都を移転。帝国は確実に韓国を占領しつつあった。既に中国の韓国の国境には岡本部隊が上陸し、帝国への攻撃に向けて準備を進めているという情報が入っていた。そして、俺たちも今日この時間において目的地である韓国の港、釜山を目視できる場所まで来ていた。
午前11時21分
韓国 釜山
俺たちは、遂に釜山に到着した。既に、港は避難民と兵士達があふれかえっていた。俺たちは、港に着くと同時に戦車や装甲車を輸送船から積み下ろしにはいった。そして、俺もこの港を指揮している指揮官に指示を貰うため、俺は軍港司令部に向かった。
釜山 軍港司令部
俺は、司令部に着くと、
司令官「こちら、東京第1連邦基地から派遣されました東京第1大隊であります。」
と指揮官に報告をする。すると、
軍港司令部指揮官「君が派遣部隊か。」
司令官「はい。」
軍港司令部指揮官「そうか。よく来てくれた。」
司令官「戦況は。」
軍港司令部指揮官「劣勢だ。現在、韓国軍と韓国に駐在する連邦軍共に防衛戦を至るところに引いている。だが、相手の練度が高くて、死傷者が増えるばかりだ。君の部隊には、鹿山市で交戦している部隊と合流してくれ。あそこは、あの地域に住んでいる市民が兵士となって戦っている。だが、だが大半は、まだ銃の扱い方も知らん者ばかりだ。助けてやってくれ。あと、現地には前線本部があり、そこには指揮官もいる。彼の命令を聞くように。後、頼みがある。」
司令官「何でしょうか。」
軍港司令部指揮官「そちらの艦隊は、帰国するのか。」
司令官「はい。輸送艦と数隻の駆逐艦を本土に帰国させます。また、増援が来るので。」
軍港司令部指揮官「そうか。なら我々の国民を乗せるだけ乗せてやってほしい。彼らを出来るだけ安全な所に。頼む。」
司令官「分かりました。」
そう言うと、俺は軍港司令部を後にする。そして、自分の部隊に戻る。そして、帰国する輸送艦艦隊の指揮官に韓国の市民を可能な限り乗せるよう命令することにした。そして、命令を出すと、俺は部下達の元に向かった。
午前12時
あの後、俺は一村、清岡、林、キリト、椿、ラインハルト、グロリアなど部隊の隊長を集め、命令の内容を説明することにした。
司令官「俺たちは、これより鹿山市に向かう。ここにいる兵士達の殆どは現地に住んでいる住民だとのことだ。そのため、練度が低く帝国に押されているようだ。それを俺たちが現地に向かい、支えるということだ。出発は15分後。それまでに準備を済ませておけ。」
一村・清岡・林・キリト・椿・ラインハルト・グロリア「了解!!」
司令官「それでは、解散。」
と言うと、みんな各部隊の準備に戻る。
そして、15分後
司令官「全員、出撃!!」
ゴーーーーーーーーーーー
カタカタカタカタ
早くも15分経ち、出撃の時間を迎え、俺のティーガーを先頭に俺たちは鹿山市に向かって走り始めた。
午前12時27分
出発してから、12分が経った。既に港は見えなくなり、周りに見えるのは道に沿って防衛体制を引く兵士達と後ろから列になって着いてくる部下達が乗った戦車や装甲車のみだった。既に、あちらこちらで煙が上がっていた。そんな中、俺たちは黙って鹿山市に続く道を走り続けた。
午後2時11分
鹿山市
鹿山市では市街戦を主に既に激しい戦闘が繰り広げられていた。練度は低いが必死に防衛を行う連邦軍と韓国と中国の同盟軍。相手は、練度が高く波ように押し寄せてくる帝国軍。両陣営激しい戦闘が続いていた。
トンチョウ「クソ!!敵が多すぎる。防衛は不可能だ!!」
チミン「そんな事を言う暇があるなら、撃て。」
ダンダンダンダン チャキン
と連邦軍から支給されたM1ガーランドを構え、撃ちまくる。
しかし、
バババババババババババババババババババババ
チミン「クソ!!」
帝国軍からのMG42の掃射を喰らい、釘付け状態となる。
すると、
カタカタカタカタ
と戦車のキャタピラの音が聞こえてくる。
それと同時に、
クアン「戦車だ!!伏せろ!!」
と1人の隊長が指を指して、叫ぶ。その指で指した先には、Ⅳ号戦車G型がこちらに向かってきていた。
そして、Ⅳ号戦車を見た兵士たちは、
兵士「逃げろ!!やられるぞ!!」
兵士「クソ!!後退だ!!後退しろ!!」
と次々に兵士達が集団となって逃げ始める。その瞬間、
ダァーン!!
ヒューン
ドカーン!!
突如、帝国軍のⅣ号戦車が爆発する。
クアン「今のは・・・・。」
とクアンが後ろを向くと、そこには砲身先から煙が立ち込めている1両のティーガーの姿があった。そして、そのティーガーの砲塔のハッチが開き、1人の男が姿を見せる。そして、
?「全軍!!敵を押し返せ!!」
と叫ぶと、
兵士たち「ウオオオオー。」
と声を上げ、次々に連邦の兵士達が銃を持ち、帝国に向かって突っ込んでいく。それを見た、クアンは、
クアン「増援だ・・・増援が来たぞ!!」
と歓喜の声を上げる。そして、先程のティーガーの砲塔から叫んでいた男が戦車から降りてきて、MP40を片手に持ち、クアンの元に駆け寄ってくる。その男は・・・・・・
俺は1人の兵士に近づき、声をかける。
司令官「ここからは、俺たちが前に出ます。今のうちに負傷者を後方へ。」
クアン「分かりました。支援に感謝します。トンチョウ!!チミン!!来い!!」
と言うと、俺より少し年下の男2人が駆け寄ってきて、今指示を出した男と共に後方へと下がっていく。そして、俺はすぐに前に向かい、塹壕の中で交戦している一村と合流する。
司令官「一村!!敵の数は!!」
一村「約2個小隊。後方にMG42が一丁。」
司令官「・・・・一村。援護しろ。前に出る。」
一村「危険です!!今、下手に前に出れば狙い撃ちされます!!」
司令官「いいからやれ!!これは、命令だ!!」
そう言うと、俺は塹壕から飛び出し、前に出る。
その瞬間、
ババババババババババババ
タカタカタカタカ
ダァーン
ダァーン
と俺に目掛けて、沢山の弾が飛んでくる。
俺は急いで目の前にある、砲撃でできた窪みに隠れる。すると、
加賀『提督!!危険よ。後ろに下がって。』
と加賀が無線越しに言ってくる。
司令官「悪いが、それはできない。」
加賀『提督。無茶よ。死んでしまうわ。』
司令官「ここで、死ねるなら本望だ。」
そう言うと、俺は再び窪みから身を乗り出し、
タカタカタカタカタカタカ
MP40を撃ちながら、前に出る。そして、また障害物の裏に隠れ、タイミングを見計らい前に出る。その度に俺は、
ババババババババババババババババババ
とMG42の弾が俺に向かって飛んでくる。だが、俺はそれをもろともせず走り続ける。そして、遂にMP40の有効射程内にMG42を撃ってくる銃手が入る。そして、
タカタカタカタカタカタカタカタカ
司令官「喰らえ!!」
と言いつつ、俺は敵に向かってMP40を撃ちまくる。勿論、相手も
バババババババババババババババ
タカタカタカタカ
ダァーン、ダァーン
と俺に向かって撃ってくる。だが、俺はそんなことも気にせずに、
タカタカタカタカタカタカ
撃ちまくる。
また時には、
司令官「喰らえ!!手榴弾!!」
と手榴弾を相手に向かって投げる。その度に
ドカーン
敵兵「ギャァァァァァ!!」
と敵兵が手榴弾に巻き込まれ、敵が吹き飛ぶ。そして、遂に
タカタカタカタカタカタカ
敵兵「グハッ!!」
俺は、進軍してきた帝国軍2個小隊全員を1人で叩き潰した。
そして、俺は黙って部下達の元に戻る。すると、一村が前に出てきて
一村「なんで、あんな無茶をしたのですか。」
と聞いてくる。それに対して俺は、
司令官「あれが1番正しい方法だったからだ。」
一村「あれが正しい方法・・・・。ふざけないでください!!下手をすればアナタは死んでいました!!1人で敵部隊に突っ込み戦う。それが正しい判断だと言えるのですか!!」
すると、俺は一村の胸元を掴み、
司令官「いいか!!一村!!正しい判断かどうか考えている暇なんて前線にはない!!今できると思ったことがあればやらなければ部下を守ることはできない!!例え、自分が死のうと仲間や部下を守れるならやるしかないんだよ!!分かったか!!」
と怒鳴り、俺は一村の胸元を離す。すると、それを見ていた清岡が
清岡「隊長。今のアナタは間違っている。このような行為していれば確実に死ぬ。それを教えてくれたのはアナタです。隊長。」
司令官「清岡。それを教えたのは、お前らに俺と同じ誤ちをしてほしくないからだ。だから、俺はもしこの戦いで死ねるなら本望だよ。」
そう言うと、俺はこの地区の前線本部に向かった。
午後2時30分
鹿山市 前線本部
俺は、前線本部に着くと、ここを指揮している指揮官に報告するためにテントの中に入った。
司令官「失礼します。日本から派遣されてきました。東京第1大隊の指揮をしております。大杉勇人大佐であります。」
と敬礼をしつつ、挨拶をする。
すると、
?「遅いではないか!!予定時間を10分も過ぎてるぞ!!」
とデブの中将が怒鳴ってくる。
司令官「申し訳ありません。前線が押されていたため、私の判断で先にそちらを対処しました。」
チョム「ここの指揮をしている我、チョム中将よりも前線の方が大事か!!貴様は!!」
司令官「確かに、挨拶を後回しにしたのは事実です。しかし、あのままでは被害が増え、今後の作戦において支障が出ると思いまして。」
チョム「ふん。なるほど。それが貴様の言い訳か。なら、今回は活躍のことに免じて許してやろう。だが、今後は私の命令は絶対だいいな。」
司令官「・・・・了解しました。」
そう言うと、俺は前線本部を後にして、自分の部隊がいる陣地に戻る。
午後5時
東京第1大隊の陣地
俺は、前線本部から戻ってきてから、1人で自分のテントの中で作戦を練っていた。
司令官「・・・・ここと、ここに敵の高射砲。ここには対戦車陣地。進軍するなら、こことここから。」
とマップを元に考えていると、
加賀「失礼します。」
加賀が入ってくる。
司令官「悪い、加賀。今、作戦を練っていてな。後にしてくれ。」
と言うと、
加賀「提督。どうして、あんな無茶をしたのですか。」
司令官「・・・・さっき言った通りだ。あれがあの時にできた正しい方法だったんだよ。」
加賀「自分を犠牲にしててもですか。」
司令官「・・・・あぁ、そうだ。」
加賀「・・・・・提督は私に生きる理由をくれました。なのに、今のアナタは死ぬためにここにいる。どうして、そんな行動ができるんですか。提督は、自分が死んだらどれほど人か悲しむか考えたことはあるんですか。」
司令官「・・・・・加賀。俺は、充分生きた。お前には分からないだろ。何もできず目の前で部下を失う辛さが。」
加賀「分かるわけないじゃない!!そんな事その人しか分からないわよ!!それでも、みんなアナタの支えになろうとしてる!!それなのに、アナタは自分が死んでもいいなんて。提督。アナタは人として最低です!!」
加賀は泣きながら、訴えてくる。
司令官「・・・・・。」
加賀「失礼しました!!」
そう言うと、加賀はテントから出て行く。
そして、テントに残された俺は、
司令官「ハァ~、だったらどうすればいいんだよ」
と言いながら、俺は1人考えていた。
午後9時
俺は、今1人で食事を取っている。食べているのは、連邦軍でよく使われているレーション。それくらいしか食べるものはない。それを食べつつ、1人でいると、
?「大杉大佐。お時間よろしいでしょうか。」
とテントの入り口から声が聞こえてくる。
司令官「おう、いいぞ。」
そう言うと、3人の男性が入ってくる。
司令官「アナタは、今日の戦闘で。」
そう。入ってきたのは、俺たちより先に交戦していた地元市民で構成された兵士の部隊で、俺が後退するよう指示を出したあの3人だった。
クアン「あの時は、ありがとうございました。おかげで多くの部下が救われました。本当にありがとうございました。」
と頭を下げてくる。
司令官「いえいえ、頭を上げてください。俺は当然のことをしただけです。」
そう言うと、その男は頭を上げる。そして、
クアン「紹介がおくれました。私は、クアンです。ここの学生で構成された第11防衛小隊の隊長をしています。階級は軍曹です。そして、こちらの2人は、部下のトンチョウとチミンです。」
トンチョウ「トンチョウと言います。今日はありがとうございました。」
チミン「チミンです。今日は助けていただきありがとうございました。」
とお礼を言ってくる。
司令官「いやいや、大したことはしてないよ。それで2人の歳は。」
クアン「2人とも15です。他のもの達も殆どが15です。」
司令官「なるほど。それで、訓練の時間は。」
クアン「ゼロに近いです。この戦いが終わったら訓練をさせるつもりです。ですが、我々も自分たちのことで精一杯で。」
司令官「そうですか。後、ここの指揮官の事を聞いていいですか。」
クアン「はい。いいですよ。」
司令官「あの中将は、いつもあんな感じなんですか。」
クアン「はい。いつも、横暴で。前の中国戦線でも活躍されて。それ以来、昇進続きで」
司令官「そうですか。分かりました。ありがとうございます。」
クアン「いえいえ、こちらこそ今日はありがとうございました。」
この後、クアン隊長達は自分の陣地に戻っていった。
午後11時
周りも静かになり、外にいるのは交代で見回る兵士達だけで皆、仮眠をとる時間だった。そして、俺も仮眠を取ろうと横になろうとしていた。
すると、
?「大杉大佐。」
と声が聞こえてくる。
司令官「うん?」
俺はすぐにテントから出ると、そこには伝達兵がいた。
伝達兵「大杉大佐。直ぐに、前線本部にお越し下さい。チョム中将がお呼びです。」
司令官「分かった。」
俺は、すぐに準備をして、1人でキューベルワーゲンには乗って前線本部に向かった。
午後11時15分
司令官「失礼します。」
俺は、前線本部に着くと、すぐにテントの中に入り、チョム中将からの指示を受け取りに来た。
チョム「おお、来たか。では、指示を出す。明日の午前6に北にいる敵の主力を叩け。」
と言われる。
司令官「分かりました。明日、全軍で向かいます。」
と言うと、
チョム「何を言っている!!出撃するのは、2個師団までだ!!残りは、ここの防衛だ。」
その言葉に俺は驚いた。帝国の主力は合計約20個師団。それを2個師団で叩くなど無理にも程があった。」
司令官「主力で2個師団で叩くなんで無理です!!全軍ならまだしも。2個師団なんて!!。」
チョム「これ以外は認めるつもりはない!!いいな、これは命令だ!!」
司令官「クッ・・・・・分かりました。失礼します。」
そう言うと、俺は自分の陣地に戻った。
翌日、午後5時
一村「納得できません!!主力を2個師団だけなんて!!」
と一村が抗議してくる。理由は明白だ。今日の深夜3時に俺は一村達を起こして俺はチョム中将からの命令内容を伝えた。それを伝えると、皆納得できていなかった。俺もそうだった。だが、命令を逆らうわけにはいかない。
司令官「俺も同じだ。だが、仕方がない。これは命令なんだ。だから、残っている奴らの事を頼む。」
一村「隊長。」
司令官「行ってくる。」
そう言うと、俺は自分のティーガーに向かう。今回の2個師団の中には、黒森峰のまほ、エリカなど精鋭の者を中心に機甲師団と歩兵師団を組み合わせた臨時の部隊だ。そして、その選ばれた者たちは今必死に準備をしていた。
そして、1時間後、
午後6時
遂に、出撃の時間を迎えた。
司令官「それじゃあ、行ってくる。」
俺は、残る皆んなに言ってティーガーに搭乗する。すると、
一村「全員!!大杉大佐に敬礼!!」
と言うと、残る者達全員が俺に向かって敬礼する。その中には、椿、まほ、神通、加賀もいた。俺は、そいつらに向かって
司令官「必ず、成功させて戻ってくる。約束する。」
と笑顔で言いつつ、敬礼した。そして、
司令官「全車両、前へ!!」
指示を出す。それと同時にエリカのティーガーⅡを先頭に俺とまほのティーガーやパンターG型やレオパルド軽戦車や装甲車両を主力に列となって目的地に向かっていった。だが、これが俺の最後になると言うことは誰もまだ知らなかった。
続く
次回、司令官と仲間達の運命は如何に。お楽しみに。
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