悪魔と仲間たち No.35【失ったもの】
今回においては指揮官は登場しません。ご了承をお願いします。それでは、どうぞ!!
20○○年11月○日
午前11時
鹿山市 前線本部
指揮官からの最後の命令があった日から2日経った。鹿山市を包囲しようとしていた敵は今まで一村達の抵抗による被害と、2日前の爆撃により増援がが壊滅した事により撤退。一村達は、すぐに爆撃した地点に1個小隊を向かわせ、司令官の捜索を行なった。しかし、
一村「・・・・・これだけ。」
捜索部隊隊長「はい。これしか見つからず、遺体は・・・・残念ながら。」
捜索部隊が見つけられたのは、銃口は折れてしまった指揮官のルガーP08一丁のみだった。それを一村達と見ていた神通は、
ザッ
前線本部から出て行く。
川内「神通!!」
それを川内が追う。そして、残った一村達は、
一村「俺のせいだ。俺が隊長を・・・・。」
一村は、自分を責める。
清岡「違う。お前は間違ってない。お前は、隊長の最後の命令に従っただけだ。お前は、何も悪くない。」
一村「だが・・・・・。」
と一村が言いかけた途端、
林「しっかりしなさい!!」
と林が怒鳴る。
林「今の指揮官はアンタなの!!なんで、隊長が最後にアンタに部隊を託したと思う!!アンタを信じているからでしょ!!今は嘆くときじゃじゃない!!指揮官は、常に先のことを考え、指示を出さなければならないの!!だから、命令して。私達に。指揮官の命令なら、私達はどんな命令だとしても従うわ。」
一村「・・・・林。」
と林は一村を説得すると、
清岡「一村。いや、一村指揮官。命令を。」
と覚悟を決めた清岡も一村の指示を待つ。そして、
一村「まずは、敵の情報を手に入れよう。無線傍受、偵察、潜入。なんでも良いから敵の情報を集めてくれ。撤退した主力は、おそらく敵の本部に撤退した筈だ。その場所を知りたい。」
こうして、一村の指揮の元再び部隊は動き出したのだ。
一方、神通は、
前線本部での指揮官のルガーを見て、あまりショックに現実を受け止められない状態だった。そして、1人戦闘で廃墟となったビルいた。
神通「・・・・・指揮官・・・・どうして、先に逝ってしまっのですか。私を1人にしないでください。私はまだ、・・・・・何も伝えられていないのに。」
と廃墟となったビルの柱を背に座り込む。
神通「ヒグッ・・・・・ヒグッ・・・・。」
ただ1人泣き続けた。
神通「・・・・・指揮官・・・・・指揮官。」
神通にとって指揮官はかけがえのない存在だった。そんな、かけがえのない人を失った神通は、ただひたすら泣き続けた。そして、
神通「・・・・・指揮官。ごめんなさい。約束を破ってしまって。私も後を追います。」
と数分間泣き続けた神通は、立ち上がりいつも持っていたM1911を取り出し、銃口を自分の頭に向ける。すると、
?「そんな事をしてもあの人は戻ってこないわよ。」
と背後から誰かが言ってくる。神通はすぐに振り返ると
神通「・・・・なんで・・・・アナタが・・・・加賀さん。」
そこには、加賀が立っていたのだ。すると、
加賀「そんな事して、あの人が喜ぶと思うの。」
と問いかける。
神通「・・・・・。」
加賀「答えなさい。軽巡洋艦川内型2番艦 神通。」
と再び問いかける。そして、
神通「・・・・・ほっといてください。私が死のうと一航戦のアナタに関係ありません。」
加賀「そうね。確かに、アナタが死んでも私には何も関係ないわ。でも、アナタのその行為は亡きあの人を侮辱する行為です。それだけは許せません。」
神通「アナタには、分からないでしょ。誇り高い一航戦の加賀さんには・・・・。」
それを聞いた加賀にスイッチが入る。そして、
加賀「分かったわ。なら、アナタに勝負を申し込むわ。」
神通「何故、アナタと勝負しなければならないのですか。」
加賀「受けないの。誇り高い第2水雷戦隊の旗艦であるアナタが。」
それを聞いた神通にもスイッチが入る。
神通「いいでしょう。受けてたちます。」
こうして、突如神通と加賀による勝負が決まったのだ。
午後1時
鹿山市 前線本部前
そこには、緊迫した空気が流れていた。
大勢の兵士や艦娘達が輪を作って見ていたのだ。中心には、艦娘の加賀と神通が互いに向かい合っていた。そして両者の腰には軍刀があった。
そして、
加賀「さっきも言った通り、お高い刀で勝負をつけましょう。アナタが勝ったら好きにすればいい、でも私が勝ったら私の言う事を聞いてもらうわ。それで良いわね。」
神通「はい。それで構いません。」
加賀「では、始めましょうか。例え、剣術でも負けるつもりはありませんよ。」
神通「私こそ、普段弓しか握らないアナタには負けません。」
と互いに険悪な空気が漂う。すると、
椿「今回の勝負の審判は、私、朱雀院椿が行います。」
と椿が言う。そして、
それを見ていた、一村達は
清岡「おい、これ止めなくてもいいのかよ。」
一村「いや、だってお前の彼女が止めるなって。」
と2人は林の方を向く。
林「女にだって、時には引けない戦いがあるのよ。」
と言う。すると、
シャキン
加賀と神通は、互いに軍刀を抜き、構える。
そして、
加賀・神通「押して参る!!」
と突っ込んで行く。そして、
キン
キン
キン
キン
互い軍刀が強くぶつかり合う。
そして、続く事15分、
互いに両者譲る事なく、激しい戦いが続いていた。だが、
神通「ハァ・・・・ハァ・・・・・。」
加賀「ハァ、ハァ、ハァ。」
両者とも限界を迎えていた。すると、
加賀「そろそろ、決着をつけましょう。」
と加賀が再び構える。そして、
神通「望むところです。」
と神通も構える。そして、
加賀・神通「ハアアアアアアアア!!」
互いに軍刀を構えて、突っ込んで行く。そして、
キンッ
カンッ
神通の軍刀が地面に落ちる。
加賀は、最後に一撃に一気に力を込めて、神通の軍刀にぶつけたのだ。よって、その一撃の衝撃が神通の軍刀から神通自身の体に伝わり、あまりの衝撃によって神通は手から軍刀を落としてしまったのだ。そして、
椿「勝者、一航戦加賀!!」
と宣言する。すると、
兵士「ウオオオオオオオオ!!」
周りにいた兵士たちは、歓声を上げる。そんな中、神通は地面に座り込み、紙面を見続ける。
そして、
神通「・・・・・どうして、あの時に死なせてくれなかったですか。」
と言う。すると、
パシンッ
その場に一発と音が響く。それは加賀が神通にビンタした音だった。そして、
加賀「それで、あの人が報われると思うの。」
神通「・・・・・・。」
加賀「私がアナタに勝負を挑んだのは、あの人の約束を破り、勝手に死のうとしたアナタが許せなかったからよ!!」
神通「アナタに私の何が分かると言うですか。」
加賀「分かるわよ!!私だってあの人が好きだったから!!愛していたから!!でも、もうあの人はいない。私だってあの人の元に行きたい!!でも、そんな事をしたらあの人との約束を破ることになる。それは、私にとってあの人を侮辱したことと同じだから。提督は、私達に言ってくれた・・・・・生きろって。どんなことがあろうと這いつくばってでも生きろって。だから、私は生きる。提督の分も生きて、最後までこの戦争を見届ける。それが今の私に出来る事。みんな、悲しいのは一緒なの。提督の元いたみんな、同じ気持ちよ。でも、今は悲しんでいる時じゃない。生きて、今ある戦いを終わらせなければならない。それが今の私たちの使命。だから、こんな所で勝手に死ぬなんて許さない。」
神通「・・・・・・ッ!!」
すると、神通の目から再び涙が溢れる。すると、
加賀「安心しなさい。提督はいつだって私達の心で生き続けているわ。だから・・・・・・生きなさい。」
と加賀も涙を流しながら、神通を抱きしめる。
こうして、2人の戦いは終焉を迎えた。
そして、翌日、
清岡「全部隊、準備は出来たぜ。司令官。」
一村「そっか。じゃあ、行くか。」
そう言うと、一村は、テントから出てみんなの前に立つ。目の前には、亡き司令官の元で戦った全員が集まっていた。そして、
一村「皆、わかってると思うが我々はこれより敵に対して反抗作戦を開始する。3日前、隊長が戦死した。遺体もまだ見つかっていない。隊長は、俺や清岡、林とって初めての上官であり、俺達をここまで育ててくれた恩師だった。そして、みんなにとっても隊長は、大事な指揮官だったと思う。隊長は、いつもめんどくさかりやで、偉そうで、厳しい人だったけど、いざとなれば心強くて、優しくて、誰しもの憧れだった。俺だって隊長に憧れてた。そして、何よりも生きる大切さ俺たちに教えてくれた。そんな人が亡くなった。俺たちを守るために。でも、隊長はいつだって俺たちといる。今までもこれからもずっと。だからこそ、行こう。戦って、生きて、帰ろう。俺たちと隊長の故郷に。皆んな、覚悟はいいか!!」
全兵士「オオオオオオオオ!!」
と兵士達も答える。
そして、
一村「出撃!!」
一村は、先頭の自分のティガーⅡに乗り込み、出撃する。
キュルキュル
戦車を中心に次々に車両が鹿山市を後にする。その中には、加賀、神通、椿、みほ、まほ、の姿もあった。そして、一村達は、ゆっくりと北に向かって行った。大切な人の想いを胸に、戦って生きて帰るために。
続く
ご愛読いただきありがとうございます。また、シーズン2と内容ついてですが、現在公開している朝鮮においての戦いが終わり次第発表いたします。少し、時間がまだかかりますが温かい目で見守っていただけると幸いです。それでは、次回もお楽しみに!!
いつも見てます!
頑張ってください