2022-01-08 10:20:23 更新

20○○年 7月○日

午後6時

日本連邦本部包囲網の前線基地


俺は椿と別れた後、敵の抵抗をほとんど受けることなく本部の目の前までに迫った。今まで抵抗していた残りの部隊は、椿が降伏したことにより、戦う意志が折れたのか、俺たちが現れると白旗をあげて投降してきた。そして、そんな中を進んでいるうちに本部が見える範囲までに近づく事ができた。しかし、未だに本部にいる奴らは降伏せずに基地の敷地内に立てこもっている。敷地内には、既に塹壕や簡易的なバンカーが作られており、強引に突破しようとすると、必ず死傷者出すと思った俺は、兄貴や岡本と合流し本部を包囲した。その後は、攻勢も一切行わずに、ただ敵の様子を伺うだけだった。


そして今は、

さゆみ「ごめん、遅れちゃって。」

ようやく、制空権を確保し終えた姉さんの陸上部隊も合流した。

そして

浅野「よし、全員集まったことだ。これより、本部制圧の作戦会議を行う。大杉君、現状報告を。」

司令官「はい、現在は本部の包囲に成功しており、全部隊がいつでも攻撃可能な態勢です。敵は、本部の敷地内に塹壕やバンカーを構築してお

り、我々を迎え撃つつもりでいるようです。」

浅野「攻略は、可能なのかね。」

司令官「そうですね。強引に突っ込めば、勝てると思います。ただ、犠牲者は多くてるでしょう。相手も、決死の覚悟で抵抗してくるでしょう

から。」

龍斗「下手に、動かなければ相手が反抗作戦を行ってくるかもしれないな。」

司令官「今俺が1番恐れていることだよ。」

岡本「なぁ、なら夜襲はどうだ。」

司令官「えっ!?」

岡本「おそらく、相手も今日の戦闘だけで十分に疲労しているはずだ。多分、夜なれば敵は油断すると思うぞ。」

司令官「確かにそうだが、それはこちらも同じだ。」

岡本「だが、これが一番被害が少なくて済むと思うぞ。」

司令官「う~ん、他の奴らはどう思う。」

龍斗「俺は賛成だ。俺はできる限り早く、家に帰りたいからな。」

司令官「どうもありがとさん。どうでもいい、意見を言ってくれて。」

龍斗「どうでもいいわけないだろ。家では、妻が俺の帰りを待ってるだからな。それに・・・子供もできたし・・・。」

司令官「はっ・・・・!?」

さゆみ「えっ!?」

岡本「マジかよ。」

今ここで、とんでもないカミングアウトがあったのだけど、

司令官「兄貴、それ本当?」

龍斗「本当だ。」

そして、

さゆみ「龍斗ー!!おめでとう。アンタ、お父さんになるのね。今、何ヶ月なの。」

龍斗「5ヶ月だ。」

さゆみ「うそ〜。私、叔母になるのね。」

司令官「マジかよ。俺もおじさんかよ。」

浅野「龍斗君。おめでとう。」

岡本「龍斗大佐。おめでとうございます。」

さゆみ「なら、私も早く雪音ちゃん会いたいから、私も今の作戦に賛成。」


大杉雪音 20歳

兄貴の妻で、昔、兄貴がまだ新米だった頃に、戦地で親を亡くして帝国の兵士の奴隷にされ、暴行をされていた時に兄貴の部隊が攻撃し、兄貴自身が救助した際に、兄貴が一目惚れして、その後交際が始まった。そして、去年に結婚したばかりだ。


司令官「ハァ~、分かったよ。じゃあ夜襲いくか。」

浅野「まぁ、私もこれ以上被害を増やしたくないからね。」

司令官「そう言うことなら・・・じゃあ、今日の午後10時に攻撃を開始する。10時なったと同時に自走砲や迫撃砲、そして爆撃機による夜間爆撃を行う。いいな!!」

全員「はい!!」

司令官「各部隊、準備にかかれ!!」

こうして、作戦会議は終了し、夜襲が行われることになった。

俺は、自分の部隊に戻る事にした。その時に、

龍斗「ちょっと、待て。愚弟。」

司令官「何だよ。兄貴。」

龍斗「お前と少し話したくてな。少し、付き合え。」

司令官「俺も準備があるから、長時間は無理だぞ。」

龍斗「安心しろ。数分で終わる。」

司令官「左様ですか。」

少し、人気ない場所で話す事にした。

司令官「で、何のようだ。」

龍斗「お前、元帥をどうする気だ。」

司令官「何が言いたいだよ。」

龍斗「さっき、聞いたが、お前椿を殺さなかったそうだな。」

司令官「それのどこに問題があるんだよ。」

龍斗「アイツは、お前の部下を殺したヤツだぞ。」

司令官「分かってる。だが、彼女は元帥の命令に従っただけだ。」

龍斗「普通、任務と友人、どちらを取るかと言われたら普通は友人を取るだろ。だが、アイツは任務を優先しお前を見捨てた。」

司令官「普通軍人なら上の命令には、背けない。そんなの、分かりきってる事だろ。」

龍斗「いつから、そんなに甘い人間になったんだ。」

司令官「俺は、何も変わってないよ。ただ、俺は自分の信じた道を進むだけだ。」

龍斗「ッ・・・!!そんな風な戦い方をしていたら、いずれ死ぬぞ。お前は、約束を忘れたのか。」

司令官「忘れてないよ。ただ、俺は俺なりのやり方で約束を果たす。それだけだ。」

龍斗「そんな風にしたのは、お前の部下か。」

司令官「アイツらは、関係ない。アイツらは、俺を信じて付いてきてくれているだけだ。」

龍斗「たかが、兵器にそこまで感情を持ち込むな。アイツらな、人間じゃないんだよ。それはお前が一番分かっているはずだ。」

司令官「アイツらは、人間だ。俺たちと同じて笑ったり、悲しんだりできる。俺は、アイツらをいづれ人間と同じようにしてやると決めたんだ。それを邪魔するなら・・・・」

シャキン

俺は兄貴に向かって刀を向けた。

司令官「例え、兄貴でも容赦なく殺す。それだけだ。」

龍斗「お前は、現実が見えていない。」

そう言われると、俺は刀を収めた。

そして、俺は自分の部隊の元へ戻った。


午後8時

横須賀鎮守府陸上部隊の待機場所

今は、俺以外は全員仮眠をとっていた。夜遅くに戦闘をするため、少しでも休んでもらいたいからだ。

そんな中、俺は一人ティーガーの上に乗って、ゆっくりとしていた。すると、

?「あら、貴方は寝ないのね。」

突如、聞き覚えのある声がしたので、声が聞こえた方を見ると、

司令官「何だ、加賀か。」

そこには、加賀が立っていた。

加賀「提督も寝た方がいいわよ。ただでさえ、今日は疲れてるのに。」

司令官「こんなの、前の部隊にいた時よりはマシだよ。」

加賀「前って、中国前線にいた頃。」

司令官「いや、その後だよ。日本防衛師団にいた頃だよ。」

加賀「そこでは、いつもこんな任務だったの。」

司令官「まぁな。いつも零戦に乗って夜間パトロールをしてたわ。時々、夜に敵の攻撃機が軍事施設を狙ってきたこともあったしな。」

加賀「提督は、強かったの。」

司令官「普通かな。周りは基本エリートばかりだったからな。でも、そんなエリートでもやられる奴はいたよ。ある時にな、夜間パトロールをしていた時に、無線で敵の攻撃を受けている味方の戦闘機がいると報告を受けたんだ。俺は、急いで現場に向かったが、俺が現場についたと同時にその味方機は、真っ赤な炎に包まれて堕ちていった。そのパイロットは、防衛師団の一員でそいつは炎にもがき苦しみながら機体共に堕ちっていったよ。正直言って、悍ましい光景だったよ。」

加賀「辛い経験をしたのね。」

司令官「そうだな。でも、人はいづれ死んだ。それが、早いか遅いかだけだ。兵士なら尚更だよ。」

加賀「そうやって、貴方は辛いことを隠しているのね。」

司令官「それが良いんだよ。辛いことを思い出したって、しんどくなるだけだ。なら、少しでも前を向いて歩いた方がマシだ。」

加賀「提督。」

司令官「よし、俺は準備に戻る。お前はもう少し寝ておけ。」

そうして、俺は自分のテントに戻った。


午後9時58分

包囲網の境界線

まもなく夜襲の時間がはじまる。俺は、部隊ともに待機していた。

そして遂に、

午後10時になった。そして、

ボン

突如、後方から迫撃砲の音が聞こえてきた。そして、

パァ

空中に突如、光が現れた。そう迫撃砲による照明弾だ。

そして

ズドン

ズドン

シューン

シューン

シューン

シューン

ズドン

ズドン

後方にいる、ラインハルト少尉の砲撃部隊と姉さんの部隊のカチューシャやアンドリューシャがロケット弾を本部に向かって発射していった。

そして、その時は恐ろしいほどのロケット弾が放たれ、一時空は目の前に流星が落ちてきたかと思うくらいの光景だった。そして

ズドーン

ズドーン

ドガーン

ドガーン

ドガーン

ドガーン

ドガーン

次々に本部の敷地内に着弾していった。すると、

ゴーゴーゴーゴー

空から、謎の音が聞こえてきた。俺は上を見ると

司令官「爆撃隊だ。」

空には、何機もの爆撃機が編成を組んで本部に近づいていた。すると、敵も気付いたのか急に空に向かってサーチライトを照らす。また、

ウー、ウー、ウー、ウー

本部の方から空襲警報が流れる。

そして、

ヒューン

ヒューン

ヒューン

ヒューン

ヒューン

今度は、次々に爆弾が投下されっていった。そして、

ズドーン

ズドーン

ズドーン

ズドーン

ズドーン

爆弾も本部の敷地内にある塹壕などに着弾していった。本部の敷地内は基本正門付近以外は沢山の木が植えられおり、敷地内の様子は全く分からない。俺たちが待機していた場所も沢山の木で見えないはずだが、敷地内が地獄のような光景になっている事がここからでもよく分かった。誰もが、唖然としていた。

一村「隊長、これはたとえ敵でもやりすぎなのでは。」

司令官「一村、これが戦争なんだ。今まで、お前が経験してきた事は序章過ぎなかったんだ。戦争とは、何もかもを巻き込み、破壊するものだ。俺たちは、この光景を忘れてはならない。それが、この先の未来を守る事にも繋がるんだ。」

一村「わ、分かりました。」

清岡「ひでぇ。」

そんな光景を見ていると、

ピー

前進の合図となる笛の音が鳴り響いた。そして、

司令官「行くぞ!!お前ら。」

俺たちは、本部の敷地内向かって前進していった。

そして、木々が生い茂る場所を抜けると、そこは誰もが予想した通り、地獄だった。

敵兵「あ、ああ。」

敵兵「だ、誰か・・・・。」

敵兵「た、頼む・・・・。水を・・・。」

偵察機によって撮影された写真で見た防御陣地は跡形もなく吹き飛んでいた。そして、あらゆる所に大きなクレーター痕が残っていた。そして、何より恐ろしかったのは、生き残った敵が苦しむ声と誰かも分からない遺体があちらこちらにあったのだ。遺体の中には、下半身がない者や、臓器が抉れて死んでいる者。そして、顔が吹き飛んでいる遺体もあった。また、生き残った者でも腕がない者、足が吹き飛ばされ地面は這っている者もいた。

司令官「すまない。」

俺はこの光景を見て、謝る事しかできなかった。

そして

司令官「行くぞ。まだ、戦いは終わっていない。」

俺は指示を出して、本部に向かって前進していった。何重にも重なる遺体の山を歩き続けた。

ロニエ「うっ。」

ティーゼ「ロニエ。大丈夫。」

ロニエ「うん・・・・だ、大丈夫。」

途中、余りの光景に吐いてしまう者もいた。しかし、それでも再び立ち上がり、歩き続けるしかなかった。

そして、その後は敵の攻撃を受けることもなく前進していった。


本部まで400メートル

俺たちは、炎が広がる場所を歩き続けた。すると、前進する方向ににほぼ無傷の木製バンカーが見えた。

清岡「隊長。バンカーが見えますね。どうします。」

司令官「念のために、確認しておけ。」

清岡「了解です。」

そして、清岡の部隊の数人がバンカーの確認をしようとしたその時、

敵将校「ってー!!」

ババババババババババ

ダンッ

ダンッ

ダンッ

ダンッ

突如、敵が攻撃を仕掛けてきたのだ。

そして、

田中「グハッ。」

小杉「グッ!!」

バンカーを確認しに向かっていた隊員が倒れっていった。

清岡「田中、小杉!!クソッ!!」

司令官「全員伏せろ。顔をたすな!!」

全員急いて、伏せ、そして、

ダンッ

ダンッ

タカタカタカタカ

ダダタダダダダタダダ

ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッ、チャキーン

すぐに俺たちも交戦を開始した。

清岡「クソクソクソ!!死にやがれ!!ゴミ共が!!」

一村「清岡。伏せろ!!死ぬぞ!!」

清岡「黙れ!!よくも、よくも俺の部下を・・・。」

すると

バキッ

清岡に向かって一村が1発殴ったのだ。そして、清岡の胸ぐらを掴んで、

一村「テメェが死んだら、誰が残ったお前の部下を守るんだ!!お前が死んだって、アイツら報われねえんだよ!!隊長の昔の言葉を忘れたのか!?もし、仲間が死んだらそいつ分まで生きろって隊長がよく言ってただろ!!だから、死ぬような事をするんじゃねぇ!!何があっても生きて、アイツらの分も生きろ!!」

清岡「クッ・・・分かった。」

一村「林!!無線兵を1人こっちに寄こせ!!」

林「分かったわ。」

そして、

アリサ「どうぞ!!一村中尉。」

サンダース大会附属高校のアリサが一村たち元へ走ってきたのだ。

一村「ありがとう。こちら、一村。ラインハルト少尉聞こえてるか!!」

ラインハルト『こちら、ラインハルト。どうぞ。』

一村「こちら一村。現在、敵の攻撃を受けており、釘付け状態になっている。急いで砲撃支援を要請したい。座標は1、5、4、3、7。」

ラインハルト『了解した。すぐに砲撃する。』

一村「急いでくれ!!このままじゃ、被害が増える!!オーバー!!」

ガチャ

一村は無線を切ると、

一村「いいか、清岡。砲撃支援が終わったら、あのハンガーにコイツを投げ込め。」

清岡「分かったよ。」

そして、

ヒューン

ヒューン

ヒューン

ズドーン

ズドーン

ズドーン

敵に向かって、砲弾が降り注ぐ。

そして、砲撃が終わると

一村「行け!!援護する!」

そう言うと、清岡はバンカーの目の前にあるクレーター痕に向かって走っていく。そして、クレーター痕に入ると、一村から貰った梱包爆薬を導火線を抜いて、

清岡「部下の仇だ。くらいやがれ!!」

そう言って、目の前のバンカーに向かって爆薬を投げ込む。そして、

ドガーン

バンカーは爆発し、大きく木材が宙を舞う。

一村「隊長!!バンカーを破壊しました!!」

司令官「了解!!全員!!着剣!!」

次々に、隊員が自分の武器に銃剣を付ける。そして、

司令官「突撃!!」

全員「突撃ー!!」

一斉に、敵に向かって隊員達が突っ込んで行く。

俺も刀を抜いて敵に向かっていく。

すると、

バンカーを破壊した後、隠れていた清岡は四式自動小銃の銃剣を付けて、

清岡「うおおおおおお!!」

敵の将校に向かっていく。そして

グサッ

敵将校「ウッ・・・・・!!貴様・・・。」

清岡「部下の仇だ。死ね、クソ野郎。」

ズドン、ズドン

敵の将校を銃剣で刺したうえに、四式自動小銃の引き金を引いた。

ドサッ

敵将校は倒れた。

すると、

敵「貴様!!よくも少佐を!!」

清岡の後ろで、1人の敵兵が清岡にKar98を構える。しかし、その瞬間

一村「でりゃあー!!」

突如、清岡に構える敵兵に向かって一村が装備しているG43で敵を殴る。

敵「グッ・・・貴様・・・。」

一村「俺の戦友に手を出すんじゃねぇよ。」

そして、ナイフを取り出して

グサッ

敵の頭をぶっ刺した。

そして、

立ち上がり、

一村「前に出過ぎた。バカ。」

清岡「これが、俺のやり方だ。」

一村「左様ですか。行くぞ。隊長達がまだ、戦ってる。」

清岡「ホイホイ。」

そして、清岡と一村は再び敵に向かっていった。


一方、

敵「うおおおおおお。」

司令官「ハアアアアアアアア!!」

シャキン

ドサッ

未だに、敵と激しい近接戦を行なっていた。

すると、

?「ウラーーーーーーーーーー!!」

右から、突如ソ連兵の服装をした味方が向かってきた。

司令官「あれは・・・・姉さんの部隊・・・。」

そう、こちらに突っ込んで来たのは、北海道の連邦の部隊の者たちで、姉さんが指揮している部隊だ。

そして、あっという間北海道の部隊が合流し、一気に優勢となった。

北海道の連邦の兵士「食いやがれ。」

ババババババババババ

ドサッ

隊員「助かった。」

北海道の連邦の兵士「良いってことよ。」

姉さんの部隊と合流した事によって、俺たちは圧倒な戦力を持って敵を制圧した。

そして、


連邦本部の入り口

俺たちが正門から繋がる連邦本部の入り口に着くと、既に多くの部隊が本部の入り口付近で抵抗する敵と交戦していた。

ババババババババババ

入ってすぐにあるロビーでは、敵が土嚢に上にMG42を設置して、必死に抵抗していた。

司令官「岡本!!状況は!?」

岡本「思ったより、敵の抵抗が激しい。こっちはさっき4人やられた。」

司令官「チッ・・・、これ以上被害を増やしたくないが・・・。」

すると、

ブーン

正門からSd.Kfz.234/3がこちらにやってきた。すると、後ろの方に誰かが乗っているのが見えた。その人物は

神通「提督。ただいま、戻りました。」

司令官「神通!!」

神通は、椿との激しい戦闘の後、怪我もしていたため後方の医療チームに任せていたのだ。

司令官「お前、怪我はもいいのか・・・。」

神通「はい。まだ、戦えます。」

司令官「分かった。無茶はするなよ。」

神通「分かりました・・・。提督、後これを・・・。」

神通はある物を渡してきた。それは、遠隔式自爆車両《ゴリアテ》だ。

司令官「これは、・・・。」

神通「浅野大将が・・・これを使えと・・・。」

司令官「ナイスだ。」

俺は、すぐにこれを工兵に渡して入り口を守っている兵士を片付けるよう指示した。

工兵「行きます。」

ウイーン

ゴリアテは一気にMG42を使っている兵士の元に近づき、そして、

ドガーン

土嚢は崩れ、敵は吹き飛ばされた。そして、

司令官「行くぞ!!」

岡本「大杉大佐に続け!!」

さゆみ「行くわよ!!」

一気に敵の本部に流れ込んでいった。また、本部の後方からも兄貴の部隊が本部の中へと侵入に成功し、次々に敵を制圧していった。

そして、

連邦本部 最上階の1つ下の階

この最上階には、元帥の部屋がある。ここで元帥を捕らえるのが、俺たちの目的だ。だが、最上階の1つ下の階で俺たちは足止めをくらっていた。

司令官「チッ!!流石に簡単には通してはくれないか。」

すると、途中で合流し共に戦っていた兄貴が

龍斗「お前は行け。援護してやる。」

司令官「兄貴・・・でも・・・。」

龍斗「お前はさっき言ったよな。自分のやり方で約束を果たすって。なら、お前なりのやり方でそれを果たせ。」

司令官「・・・・。」

龍斗「いいから、行け!!ここは任せろ!!」

司令官「ありがとう。兄貴。」

そう言うと、俺は最上階へ繋がる階段へ一気に向かった。

敵を狙ってきたが、

龍斗「やらせるか!!」

ダダタダダダダタダダ

必死に敵を抑えてくれた。おかげ、弾が当たる事なく俺は階段にたどり着いた。そして、最上階へ上がり、元帥の部屋の前にたどり着いた。

そして、

ドーン

俺は、一気に部屋の中へ入った。

司令官「朱雀院元帥!!動かないでください!!」

しかし、元帥は動じることもなく席に座っていた。

元帥「やはり、君が来たか・・・。」

そう言うと、俺ワルサーP80を構えたまま、元帥に近付いた。

元帥「私の役目もここまでか・・・。」

司令官「貴方は、分かっていたんですか。こうなる事を・・・。」

元帥「あぁ、いずれはくると思っていたよ。」

司令官「なぜ、日本を帝国に売るような真似をしたですか。」

元帥「私は、ただ日本を守りたかっただけだ。あの日、帝国が戦争を始めた日からあらゆる国が帝国に飲まれていった。私は、日本が帝国に飲まれるくらいなら、帝国に加わり日本を守る方がマシだった。そうすれば、国民が血を流さずに済む。」

司令官「だから、あの日沖縄の情報を帝国に送ったのですか。」

元帥「そうだ。」

司令官「あの日、あそこには俺や兄貴、姐さんに胡桃。そして、両親がいた。そして、帝国の攻撃によって父と母を奪われた。俺だけじゃない。多くの国民があの日、命を落とした。なのに、あんたは堂々と連邦のトップの座につき、俺たちを騙し続けた。」

元帥「・・・・・。」

司令官「そして、中国戦線でも俺たちを見捨てた。そして、俺は大事な部下を失った。北海道でも同じだ。彼らはただ国と家族を守るために戦い死んでいった。そして、何よりアンタは自分の娘を利用した。それが原因でどれほど椿が苦しんだと思っている。」

元帥「分かっている。私は許されない事をした。国にも、家族にもだ。そしてその代償がこのクーデターだと分かっている。だからこそ、私はどんな処罰も受けるつもりだ。だが、私がいなくなったとしても帝国の侵略が止まることはないぞ。君はそれを重々分かっているのかね。」

司令官「覚悟はできていますよ。」

すると、

浅野「元帥、お迎えにあがりましたよ。」

兄貴と共に、浅野大将が入ってきた。

元帥「そうか。なら、問題はないな。それでは行くとしよう。」

司令官「・・・・・。」

そう言うと、元帥は立ち上がり、浅野大将の元へ向かっていく。すると、

元帥「大杉勇人大佐。最後に君に頼みたいことがある。」

司令官「何でしょうか。」

元帥「娘の椿をよろしく頼んだよ。」

そう言うと、元帥は兄貴に連行されていった。

こうして、日本の未来をかけた戦いは俺たちの勝利で幕を下ろした。


浅野派の被害        朱雀院派の被害

戦車 3両大破       戦車 24両大破

航空機 14機大破     航空機 30機大破

野砲 4門大破      野砲 41門大破

歩兵 126名戦死     歩兵 1420名戦死


しかし、勝ちはしたものの多くの犠牲を払った。ウチからも清岡の部隊にいた8名が命を落とし、27名が負傷した。


翌朝

午前7時

日が昇り、俺はただ1人、本部の屋上でゆっくりと空を見ていた。すると、

龍斗「あれが、お前なりのやり方か。」

兄貴が声をかけてきた。

司令官「兄貴・・・。これで良かったのか。」

龍斗「どう言う意味だ。」

司令官「ようやく、この国を変えられる機会を手にしたのに、俺は何故か喜べないんだ。」

龍斗「・・・・・。」

司令官「俺は、多くの人を殺した。例え、任務であっても多くの命を奪ったことには変わりない。こんな俺でもアイツらは喜んでくれるだろうか。」

すると、

龍斗「あれを見てみろ。」

そう言うと、俺は屋上から下を見るとそこには、ウチの艦娘たちが笑顔で話し合っている姿だった。

龍斗「お前が守った者たちだ。お前は、アイツらを守るためにここまで来たんじゃないのか。」

司令官「・・・・・。」

龍斗「確かに、多くの人を殺した事実は変わらない。だが、それでも守られたものもある。お前はこの国を守ったんだ。少しは、自分を誇れ。」

司令官「兄・・・貴・・・。そうだな、そうだよな。」

龍斗「これからは、もっと激しい戦いが起きる。覚悟をしとけよ。」

司令官「分かってる。これからは俺たちが、この国を引っ張って行くんだからな。」

龍斗「そうだな。ほら、アイツらのところへ行ってやれ。」

司令官「へいへい。そうさせてもらいますよ。」

そう言って、俺は自分の部隊の元へ戻っていった。そして、下に降りると

蒼龍「あっ、やっと見つけた。今までどこにいたのよ。提督。」

司令官「悪い、疲れて屋上で寝てたわ。」

蒼龍「もう、心配したんだよ。」

司令官「はいはい。そりゃあ、悪うございました。」

蒼龍「なにその態度。すごっい腹立つんですけど。」

司令官「いいだろ別に。」

その後は、なんだかんだでみんなとワイワイ話し合った。

まだ、これからも激しい戦いがあるだろうがコイツらは何があっても守る。そう、俺は誓った。


続く












後書き

今回で、クーデター編は終了です。次回からは、再び普段の日常編に戻ります。お楽しみに


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