デビルと仲間たち No.29【忘れられない辛い過去】
20○○年9月○日
午前10時
東京 連邦本部
あの激戦から早くも2日が経過した。あの戦いで俺たちは勝利をおさめた。この勝利は世界各国でも報道され、共に帝国と戦う同盟国や各地で戦う連邦軍にとって1つの希望となった。また俺が指揮する艦隊、連邦艦隊は世界からも大きく注目されている。約75年前、世界で猛威を奮った戦艦、空母などの軍艦が再び現れ、帝国海軍最の超弩級大型空母バボクックを率いた艦隊を撤退させる事に成功した。そして、今俺はにおいて今回の防空海戦の結果報告、そして今後の事を決めるために連邦本部の会議に出席していた。
司令官「今報告した事が今回の戦いにおいて結果です。航空隊は今回の戦いで多くの人員を失いました。中には練度の高い搭乗員もいました。今後の戦いのためにも兵士の練度を上げる事は必須だと思います。また、今回活躍した我が艦隊においても比叡が中破などしており、現在ドックにおいて修理を行なっています。それに今後も軍艦の改修。そして、軍艦の建造、乗組員の練度を上げる事も重要だと俺は思います。」
と俺は会議において今回の結果と自分の意見を話す。
浅野「なるほど。確かに大杉君の言う通りだ。だが、生き残った兵士も疲れているはずだ。まずは、兵士たちのケアを行うべきだと私は思う。また、この数ヶ月の間に日本では多くの戦闘があった。北海道の戦い、クーデター、そしてこの防空海戦。おそらく多くの市民がこのことに関して不満を抱いているはずだ。そこのところも改善すべきだろう。」
龍斗「確かに、元帥の言う通りだ。ここ最近日本での大規模な戦闘が3回も起きている。今は大人しくしておくべきだろうな。」
さゆみ「私も元帥の意見には賛成です。」
岡本「俺も。」
と次々に幹部達が浅野元帥の意見に賛成の手を上げる。
そして、俺も
司令官「俺も。」
と手を上げる。そして、
浅野「それでは、これにて会議を終了とする。各自自分の持ち場に戻ってくれ。」
と会議の終わりを告げる。そして、会議が終わると幹部達は次々に会議室から出て行った。そして、俺も会議室から出るがそこにはある人物がいた。
赤坂「よう。悪魔。会議お疲れさん。」
とそこには赤坂が壁にもたれて待っていたのだ。
司令官「何のようだ。」
と俺が聞くと、
赤坂「少し、会議の件が気になったのでね。で、これからはどうするんだ。」
司令官「部下たちのケア、そして連邦に対する国民の不満を少しでも減らす事で決定したよ。」
赤坂「そうか。ウチも同じだ。互いに少し間ゆっくりできそうだな。」
司令官「そうだな。話はそれだけか。」
赤坂「あぁ。」
司令官「そうか。なら、俺もやる事があるから戻るな。」
そう言うと、俺は赤坂の前を横切る。すると、
赤坂「後、これは別の話だがここ最近中国にいるある友人から連絡があってな。その時に少し興味深い話をしてくれたんだ。」
司令官「何の話だ。」
赤坂「ここ数日間の内に中国にいる帝国軍に動きがあったそうだ。現在、中国において連邦と帝国との境界線となっている地区で帝国側の戦線基地で多くの戦車などといった装甲車が多く目撃された。何を企てているかは知らんが、おそらくそう遠くないうちに動くだろうな。そして、奴らのの戦力は4年前を上回るだろうな。帝国もバカではない。必ず、何かしらの対策はしているはずだ。」
司令官「分かった。忠告ありがとな。」
そう言うと、俺はそのまま本部を後にした。
午前11時
東京第1連邦基地
執務室
あれから、俺は自分の基地に戻ってきてからも基地においての物資の状況、艦娘の演習結果、基地においての問題などを確認していた。
司令官「ハァ~、やはり戦闘機の修理や補充にだいぶ資金が必要だな。」
と書類やデータを確認しつつ、仕事をしていると、
コンコン
ドアをノックする音が聞こえてくる。
司令官「入れ。」
と言うと、
しおん「し、失礼します。ドックにおいて新しい空母の進水の準備が完了したため、報告に参りました。」
としおんが緊張気味に報告する。
司令官「分かった。すぐに向かうよ。」
と言うと、
しおん「そ、それではし、失礼します。」
と逃げるように執務室から出ていった。
司令官「入隊してから、そんなに経ってないから緊張するのも分かるけど、何もそんなに逃げなくても。」
そう言うと俺はすぐに執務室を後にした。
11時13分
東京第1連邦基地の地下ドック
現在、この基地の地下にあるドックには多くの軍艦が収容されている。ここでは、軍艦の修理、建造なども行われており現在は約70隻近くの軍艦がこのドックに収容されている。そして、今このドックで新たな軍艦が完成したのだ。
司令官「おやっさん。例の空母は。」
とドックに来て俺は早速、空母の状況をおやっさんに聞く。
おやっさん「あぁ、計画通りいい空母が出来たぞ。見てみろ。この立派な空母を。」
と言われると俺は隣で進水を待つ空母を見る。そこには、今までとは違いさらに船体が大きくなり、対空装備満載の空母が堂々と目の前で収容されていたのだ。
司令官「これが、航空母艦《大鳳》。」
おやっさん「あぁ。大日本帝国海軍において初めての装甲空母。搭載できる機体は今まで比べて少ないが、その分防御力も上ってる。まさに要塞だな。」
司令官「これで、帝国に対抗できる戦力がさらに増えた。次の戦いできっと活躍してくれるはずだ。」
と俺とおやっさんが大鳳眺めていると、
?「提督。」
と1人の少女が駆け寄って来た。
司令官「よう。大鳳。お前も見に来たのか。」
そう。駆け寄って来た少女は、艦娘の空母大鳳だ。この艦の指揮は大鳳と艦長が行うことになっている。
司令官「良かったな。お前の本当の姿を見れて。」
大鳳「はい。提督のご期待に添えるよう努力します。」
と大鳳は答える。その後、俺は少し話した後、再び執務室に戻った。
午後16時
俺は執務室に戻ってからもずっと書類などにおわれていた。
司令官「ったく、書類が多すぎるだろ。このままじゃ、いつまで経っても終わらないぞ。」
と言いつつ書類にサインをしていく。
漣「仕方ないじゃないですか。ご主人様が全部責任を取るって言ったんですから。」
と今日の秘書官である漣が俺に対して言ってくる。
司令官「ここまでに書類が増えるとは思わねぇよ。ったく、元帥の野郎。覚えてろよ。」
と俺が元帥に悪口を言っていると、
ジリリリリリリリリ
ジリリリリリリリリ
執務室の電話が突如鳴り響く。
俺はすぐに電話出ると、
浅野『やあ、大杉君。仕事の方はどうかね。』
と噂をしていたら、まさかの元帥本人からだった。
司令官「お陰様で、苦労してますよ。」
と言い返すと、
浅野『アハハハハハハ。そうかい、そうかい。苦労してるか。書類等をすぐに終わらせる君でもやはり苦労するのか。』
司令官(ウゼェ。殺してやりテェ。)
そう思っていると、
浅野『大杉君。今日の会議で、決まった今後の方針は覚えているかね。』
司令官「はい。今後は国民の不満などを取り除き、信頼関係を取り戻すと言った方針で決まったはずですが。」
浅野『その通りだ。そこで、先程数人の幹部達と話し合った結果、ある事を行うことが決定した。』
司令官「それは何ですか。」
浅野『連邦祭だ。』
司令官「連邦祭?」
浅野『そうだ。今日本ではハロウィンなどと言ったイベントで賑わっている。そこで、10月○日から10月○日にかけて連邦祭を行うことにした。この祭りでは普段基地に入ることができない場所を開放して、我々の兵器などの見学などをしてもらいたい。また、10月○日には実弾演習を行い、○日にはハロウィンパーティーを行う予定だ。そして、この連邦祭を行う場所は、大杉君。君の基地だ。』
司令官「ハァ!?」
浅野『じゃあ、早速・・・・・。」
司令官「ちょっと、待ってください!!」
浅野『何だね。』
司令官「なんで、俺の基地なんですか。ここじゃなくても基地は他にあるでしょ。」
浅野『確かに、他にも基地はある。だが、考えてみてくれ。君はこの数ヶ月の間に多くの戦果を挙げた。そのおかげで君は今や英雄扱いだ。そして、その英雄がいる基地を見学できる事は国民とってまたとない機会だ。』
司令官「俺は、別に望んでいるわけではないんですけどね。」
浅野『実弾演習では、総理を含めた多くのVIPが観に来られる。大杉君。これは、絶対命令だ。』
司令官「わかりました。それでは、失礼します。」
そう言うと、俺は電話を切る。すると、
漣「ご主人様。もしかして、浅野元帥から・・・・・。」
司令官「その通りだ。約1ヶ月後、ここであるイベントを行う事になった。明日、全員集まるよう、みんなに伝えてくれ。後残りは、俺がやっておくから、漣は休め。」
漣「えっ、でも・・・・・。」
司令官「頼む。少し、1人で確認しておきたいことがある。」
漣「わかりました。」
そう言うと、漣は部屋から出ていく。そして、漣が部屋から出て行くと、俺は数時間前に、赤坂から送られてきた偵察機の写真を見る。その写真には多くの装甲車と戦車が写った写真だった。
司令官(おそらく、帝国は再び中国に侵攻するだろう。そうなると、俺たちも派遣される。)
俺はそう思いながら写真を眺めていた。
午後7時
俺は、夕食を終えた後、執務室に戻って連邦祭においてのプランを考えていた。
司令官「ったく、いくら国民を安心させたいからと言ってこんな急に言われてもなぁ。俺にも段取りっていうもんがあるんだよ。」
と文句を言いつつ、プランを考えていると
ジリリリリリリリリ、ジリリリリリリリリ
今日2度目の電話が鳴り響く。俺はすぐに電話にでて
司令官「もしもし。」
しほ『お久しぶりね。大杉君。』
なんと、西住流の当主西住しほからだった。
司令官「ご無沙汰しております。」
しほ『そのようだと、相変わらず元気にやっているようね。後、2日前の海戦での勝利。おめでとうございます。』
司令官「ありがとうございます。でも、勝てたのは部下のおかげです。俺は、ただ前線で指揮をとっただけです。」
しほ『いいえ、勝てたのはあなたの指揮があったからこそよ。そこは、胸を張ってもいいと思うわよ。』
司令官「ありがとうございます。それで、今回はどういったご用件で。」
しほ『もちろん、婚約の件ですが。』
司令官「えっ!?」
正直このタイミングでその話があがるとは思っていなかった。
司令官「その件は、まだ考えている途中で・・・・。」
しほ『単刀直入に言うわ。大杉君。そろそろ軍を辞めるべきではないかしら。』
司令官「・・・・・・それは、退役しろと。」
しほ『その通りよ。貴方は、仮にも西住流を背負う人間。この戦争で死んでもらいたくないの。』
司令官「俺が、今まで何のために戦ってきたと思ってるんですか。俺は、今まで両親と部下の仇をとるためにここまできたんです。今更、戻ることなんてできません。」
しほ『それを貴方の両親が望むと思っているの。貴方の母親は言ってたわ。貴方には幸せになってほしいって。』
司令官「だが、俺はあの日にその幸せを帝国に奪われた。誰より俺の幸せを願っていた両親を俺は帝国に奪われたんです。俺だって出来たら戦いたくはないですよ。でも、俺にだって譲れない事だってあるんです。だから、その提案についてはお断りさせていただきます。今の俺には幸せになる資格なんてないんですから。」
しほ『・・・・・分かったわ。貴方がそうしたいなら、そうしなさい。でも、本当にそれをご両親や部下の方々がそれを願っているかどうかは再度考えてみるべきよ。では、失礼します。』
そう言うと、電話は切れる。
司令官「・・・・・チッ。」
こうして、また1日が経った。
翌日、午前9時
会議室
俺は、この基地の会議室に全員を集めて、連邦祭について話し合う事にした。
司令官「えぇ、まだ戦いから3日しか経っていない状況だが、元帥からの命令もあり、この基地であるイベントを1週間行うことが決まった。名は「連邦祭」。開催日は来月の10月○日から○日までだ。そして、○日には実弾演習。○日にはハロウィンパーティーを行うことが絶対条件だ。それまでは、好きに店を出してもよし。好きなゲームを開催してもよし。とにかく、ご来賓になる国民が楽しめるような事を考えてほしい。それでは、やりたい事がある人は挙手して、言ってくれ。」
と言うと、
清岡「はいっ!!」
と清岡手を上げる。
司令官「どうぞ。」
清岡「メイド喫茶。」
司令官「・・・・・。」
おそらく、自分の至福を癒したいから提案したのだろう。
司令官「他には。」
那珂「はい。」
今度は那珂が手を挙げる。
司令官「はい。どうぞ。」
那珂「那珂ちゃんのアイドルライブ。」
司令官「・・・・・まぁ、よしとしよう。」
その後も、次々に店やイベントの案があげられ、俺はその殆どを了承した。
午後12時
あれから、俺は執務室に戻って、全ての書類を終わらると、俺は1人執務室でゆっくりしていた。
司令官「ふぅ、やっと全部の書類が片付いた。」
と一息ついていると、
コンコン
とドアのノックをする音が聞こえてくる。そして、
みほ「勇人君。みほです。」
司令官「入って。」
と言うと、みほが入ってくる。そして、俺は
司令官「何の用?」
と聞く。するとみほは、
みほ「昨日、お母さんから連絡があったでしょ。」
司令官「あぁ。あったよ。」
みほ「その時に何で言われたの?」
司令官「軍を退役しろだと。」
みほ「・・・・・ごめんね。お母さんが勝手な事を言って。でも、お母さんも勇人君の事を想っての事だと思うよ。」
司令官「そうだろうなぁ。でも、俺にも譲れない事はある。今の俺がいる立場は多くの犠牲の上に成り立っている。どれほど、多くの仲間を死なせた。どれほど、多くの敵兵を殺した。俺が今まで辿ってきた道は血塗られた道なんだよ。だから、逃げるような事はできない。」
みほ「でも、死んじゃうかもしれないんだよ。そんなの・・・・・。」
司令官「分かってる。でも、今は逃げたくないんだ。少なくとも、両親と部下の仇を取るまでは。みほ、お前には話しておくよ。おそらく、俺たちはもう一度大きな戦いに投入されると思う。4年前、俺の部下が全員死んだあの場所で。」
みほ「それって・・・・。」
司令官「そうだ。中国戦線だよ。俺が悪魔と言われるようになったあの地で再び戦いが起きようとしている。前とは比べ物にならないくらいの戦いが起きると俺は思っている。きっと、大勢の人が死ぬだろう。そして、俺たちも必ず派遣されるだろうな。その時、もしかしたら俺は普通ではいられないと思う。きっとみほやみんなから見たら、恐ろしい姿になってしまうと思う。多分、みほやまほを失望させてしまうと思う。その時は婚約の事を再度考えてほしい。」
みほ「どうして、そんな事を言うの!?」
司令官「みほ、悪いが俺はお前達と結婚はできない。さっきも言ったが、俺は今まで多くの命を奪ってきた。そんな俺は幸せになることなんて許されないんだ。だから、お前達の要望には応えられない。悪い。」
そう言うと、俺はみほをおいて執務室を後にする。
午後12時30分
あれから、俺はある所を訪れていた。東京第1連邦基地の敷地内ある戦死者慰霊碑地区。ここは、あらゆる戦線で亡くなった日本出身の連邦軍兵士達達の慰霊碑がある場所だ。ここは、年中国民も入ることができる。ここに来る人達の大抵は、戦争で亡くなっり、日本の地を踏むことができたかった兵士達の遺族が墓地の代わりとして訪れてたりしている。そんな、各戦線の慰霊碑にはその戦線で亡くなった兵士達の名前も刻まれている。その中には、4年前の中国戦線でなくなり、家族の元に帰ることができなかった部下達の名前もあった。俺は、その部下達の名前が刻まれている慰霊碑の前で立ち止まり、持ってきた花束を慰霊碑の前にある大理石の台の上に置いた。そして、
司令官「来たぞ。お前ら。」
と亡くなった部下達に対して話しかける。
司令官「俺なぁ。半年の間に大出世してな。今じゃあ、階級は大佐でこの基地の司令官を任されているんだ。部下にも恵まれて、楽しい日々を送ってるよ。でもな、また中国戦線で帝国の活動が活発化してるんだよ。それを考えると、今でもお前達を守れなかった事を思い出すんだ。そして、あの悲劇をまた繰り返してしまうじゃないかと思ってしまうんだ。死ぬべき俺が生き残って、生きるべきだったお前達が死んだ。お前達を死なせた俺なんか幸せになるんなて許されるわけがないんだ。だから、もし中国戦線でまた戦うことになった時は、自分の命を犠牲にしてでも、みんなを守ってみせる。だから、そう遠くないうちにそっちに行くから、その時は笑って出迎えてくれよ。」
と俺は本音を全て亡き部下達に向かって話した。こんな話を流石に今の部下達に話すことなんてできない。
そんな中、司令官の姿を影で見つめる1人少女の姿があった。
椿「ごめんね・・・・。勇人君。私のせいで勇人君にこんな辛い想いをさせて・・・・・。」
と椿は泣きながら、司令官を見つめつつ、謝り続けた。椿もあの中国戦線にいた1人の兵士だ。椿は父である元元帥の命令で司令官と亡き部下達を見捨てて、橋を爆破。司令官達は、退路を断たれたことにより、部下達は全員死亡。司令官も左足と左腕を失うという重傷を負った。2人とって、この戦いは忘れる事ができない記憶なのだ。そんな、戦線で再び戦いの火蓋が切られようとしていたのだった。
続く
現在、この「デビルの仲間たち」のシーズン2についても検討中です。現在、製作中である中国戦線でシーズン1として、そこ先の話をシーズン2として考えています。また、その間にも兵器についてもこちらの「SS投稿速報」。また、Twitterにおいても募集中しています。こちらにURLを貼っておきます。上手くいかない場合は、Twitterでアニメ大好き提督と検索してみて下さい。おそらく、直ぐに出てくると思います。
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