2015-08-15 19:36:52 更新

概要

チンカス提督の治める空気の最悪な鎮守府の話の続編です。
すごく長くなったので前、中、後編に分けます。

1話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2666
2話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2672
3話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2679
4話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2734
5話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2808
6話前編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2948
6話中編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2975
6話後編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2977


前書き

続きものなので、前の話を見てない方はご注意ください。


その日、執務室を開けると、そこに提督さんはいませんでした。


電「あれ? おかしいなあ」


提督さんは資源管理は雑な割に妙なところで神経質な人なので、執務室を開けるときは絶対に戸締りを欠かしません。


その執務室が開いているということは、いつもなら中に提督さんがいらっしゃるということなのですが、どういうわけか見当たりません。


電「困りました。大本営から急ぎの書類が届いたのに……」


とりあえず書類を机の上に置き、部屋の中を見渡しましたがやはりどこにもおられません。どこに行ったのでしょう。


提督「電? どうやって部屋に入ったんだ?」


電「提督さん?」


そんなことをしているうちに、提督さんが帰ってきました。肩に小さなクーラーボックスのようなものを提げています。


電「鍵が開いてましたよ。締め忘れたんじゃないですか?」


提督「そんなバカな。出るときに掛けたはずなんだが……まあいいか。電、冷凍室の中のやつ、1つもらっていいぞ」


電「冷凍室?」


執務室に備え付けてある冷蔵庫の冷凍室を指し示されて、なんだろうと思いながら開けてみました。


……からっぽです。せいぜい霜が張り付いているくらいです。


冷蔵庫のほうも開けてみましたが、こちらにも麦茶と目薬しか入っていません。


電「あの、何もないんですが……」


提督「何? そんな訳はないだろう」


電「そう言われても、どう見たってからっぽなのです」


提督「馬鹿な。そんなことありえるはずが……」


提督さんはご自分で冷凍室の中を覗き込み、そして頭を抱えました。


提督「……執務室の鍵が開いてたって言ったよな」


電「は、はい」


提督「クソッ! これも軽巡どもの仕業だな! あいつら、少し見ないうちにどんどん手癖が悪くなっていきやがって……!」


軽巡、軽空母の人たちが資源庫から資源を盗んで賭博場を開いていたことを、提督さんはすでに知っています。


というのも、私がそれとなく教えたからなのですが。


賭場を取り仕切っていた龍田さん率いる軽巡さんたち(通称:龍田会)の溜め込んでいた資源も没収、倉庫へと納入されたました。


今は賭博場も小規模なものになり、遠征に参加した艦娘に報酬として与えられる、わずかな資源を使って細々と続けられているみたいです。


提督「なんて奴らだ、6つ全て盗っていくとは。くそ、せっかく余計に貰っておいたのに……」


忌々しげに毒づきながら、提督さんはクーラーボックスの蓋を開いて、苦悩の表情でその中を覗き込みました。


そして何かを決断したかのように、中から小さな容器を1つ取り出しました。


提督「これはお前のぶんだ。受け取れ」


電「なんですか、こ……れ……」


ひんやりとしたその容器には、蓋に「間宮」の印が刻まれています。それは、アイスクリームでした。


電「こ……これは、まさか……」


提督「聞いたことくらいはあるだろう。間宮アイスだ」


電「あの、大人気のものすごく美味しくて、めったに手に入らないという、あの……」


提督「その間宮アイスだ。ようやくうちにも発注する機会が回ってきたから、手に入れておいた」


電「それを……わ、私が食べていいんですか」


提督「今まで秘書艦として素晴らしい働きをしてくれたからな。遠慮するな、ほらスプーン」


電「あ、ありがとう、ございます……」


掛け値なしに嬉しかったです。あの間宮アイスを食べる機会が巡ってくるなんて……


どこかゆっくり食べられる場所を探しても良かったのですが、他の艦娘の方に見つかったら嫉妬を買いそうなので、ここで食べることにします。


蓋を開け、滑らかな白い表面にスプーンを差し込みます。なんてクリーミーな質感なんでしょう。口に運ぶのがもったいないくらいです。


舌に乗せると、冷たさがまろやかな甘さに変わり、口の中が天国になりました。美味しい、という言葉では追い付きません。


今までいろんな苦労をこの鎮守府でしてきましたが、このアイス1個でその苦労が報われた気さえします。


実は最近の出来事のせいで、私の中で提督さんの株が大暴落を続けてストップ安となっていましたが、このアイスで上場廃止だけは免れました。


私が鎮守府を乗っ取るクーデター作戦もすでに計画済みなのですが、作戦始動は一旦保留にしてもいいでしょう。


電「ありがとうございました。すごく美味しかったのです。でも、その、食べてからいうのも何ですが……」


提督「ああ、他のメンバーのぶんはないのか、だろ。本当はあったんだがな……」


電「あった、というのはどういうことなのですか?」


提督「注文した間宮アイスの数は8つだ。ハッピーラッキー艦隊のぶん、電のぶん、そして俺のぶんだ」


提督「だが冷凍室に入れておいた6つは何者かに盗まれてしまった。無事だったのは、俺が持ち出していた2つだけだ」


電「なぜその2つは持ち歩いていたのですか?」


提督「扶桑と山城には直接俺から渡すつもりだったんだ。だが、まだ入渠中だった。そろそろ終わっている頃か……」


電「でも、もう残っているアイスは……」


提督「ああ。1つだけだ」


電「私が盗まれたぶんを探してきましょうか?」


提督「いや、それは後でいい。どうせすでに食べられているだろうからな」


それもそうです。アイスを保存できる場所は限られていますから、盗んだら溶ける前に食べようとするでしょう。


提督「仕方がない。他のメンバーには悪いが、こっそり扶桑にだけ渡そう。あいつなら山城と分けあって食べるだろうから」


電「それがいいと思うのです」


提督「ところで、電はなにか俺に用事があったんじゃないか?」


電「あ、そうです。大本営から急ぎの書類が届いたので、机の上に……」


提督「なに?」


提督さんは机の書類を拾い上げ、目を通して再び頭を抱えました。


提督「……電。俺は用事ができたから、代わりにアイスを扶桑に届けてくれないか」


電「あ、はいなのです」


提督「くれぐれも他のメンバーには内緒でな。扶桑によろしく言っておいてくれ」


私は手渡されたクーラーボックスを肩に提げ、執務室を後にしました。


自分は食べたいのを我慢して、扶桑さんアイスを届けようとするなんて、提督さんも少しはいいところがあるのです。


提督さんからだと言えば、提督さんとケッコンカッコカリの約束を交わしている扶桑さんもきっと喜ぶでしょう。


あんな小物を愛しているという気持ちは、私にはちょっとわかりませんが。


いえ。思い返すと、昔の提督さんはもっとまともで優しかった覚えがあります。


扶桑さんは、その頃の提督さんを忘れられないでいるのかもしれません。


そんなことを考えているうちにドックへ着きました。さて、扶桑さんはどこに……


『ここから逃げろ』


電「……え?」


ぞくりと、背筋に悪寒が走りました。


その言葉は自分の内から聞こえたものでした。私の本能がけたたましく警鐘を鳴らしているのです。


ここは鎮守府なのに、まるで肌着だけで猛獣のはびこるジャングルに立ち尽くしているかのような感覚が私を襲いました。


正体不明の不安と恐怖に戸惑っていると、その正体がとうとう私の前に姿を表しました。


赤城「電さん。こんなところでどうしたんですか?」


電「ひぃっ!?」


絶対に出会ってはいけない人に出会ってしまいました。足柄さんを遥かに超える餓狼、赤城さんです。


彼女はおっとりとしたにこやかな表情で私に迫ってきます。その笑顔が擬態であることはあまりにも明白でした。


赤城「おや、何ですかそのクーラーボックス。良かったら中身を見せて頂いてもよろしいですか?」


電「だだだだダメです! これは鎮守府の最高機密なんです! 絶対にお見せすることはできません!」


赤城「そうなんですか? じゃあ、そんなものを持って1人で出歩いたら危ないですよ。私が護衛いたしましょう」


電「け、け、結構です! だい、大丈夫ですから!」


赤城「そんな遠慮なさらずに……ん~?」


赤城さんが犬のようにくんくんと鼻を鳴らします。それからいたずらっぽく、なおかつわざとらしい笑顔でピンと指を立てました。


赤城「中身を当ててみせましょう。この甘い匂い、間宮アイスですね?」


電「なななに、何を言っているんですか! そそそそそんなわけないじゃないですか!」


赤城「だってクーラーボックスに仕舞ってあって、なおかつ高級感溢れる甘いバニラの匂いを放つものとなると、それは間宮アイスじゃないですか」


電「適当なことを言わないでください! 密閉してあるから匂いは漏れないはずです! 第一アイスなんだから匂いがするわけないじゃないですか!」


赤城「なるほど。それは中身が間宮アイスであることを認める発言と受け取ってよろしいので?」


電「あ、しまっ……い、いや違います! 断じて違いますから!」


赤城さんが笑顔で歩み寄ってきます。どうしましょう、きっと逃げても追いつかれます。


そのとき、私はふと奇妙なことに気が付きました。


電「……赤城さん、今日はやけに肌の色艶がいいですね」


赤城「そうですか? まあ毎日健康に過ごしていますから」


電「色艶がいいというか……キラキラ状態ですよね、それ」


赤城「あら本当ですか? 知らないうちにMVPを取ってたんですね」


電「今日の出撃、早々に中破になってろくに攻撃してませんでしたけど……」


赤城「一航戦ですから、攻撃せずにMVPを取ることだって訳ないですよ」


電「ていうか……赤城さんですよね、執務室から間宮アイスを盗んだの」


赤城「何のことです? 私は間宮アイスを食べたことなんて1度もありませんよ」


電「だってキラキラしてるし……6個全部食べたんですか?」


赤城「だから食べたことないですって。1度でいいから食べたいなあ、間宮アイス。あのまろやかな甘さ、舌触り、最高です」


電「今の、自白と受け取ってもいいですよね?」


赤城「やだなあ。味を想像しただけですよ」


もう間違いありません。執務室の施錠を解き、6つの間宮アイスを盗んで食べたのは赤城さんです。


どうやって執務室の鍵を開けたのでしょう。そもそも、なぜ間宮アイスの存在を察知できたのでしょうか。


そこら辺はもう、赤城さんだからと考えた方がいい気がします。食に対する赤城さんの欲は海よりも深く、食べるためなら何でもするのです。


赤城「あー食べたいなー間宮アイス。電さんの持ってるそれ、ぜひ私にくれませんか?」


電「だ、ダメです! もう6個も食べてるじゃないですか、十分満足したでしょう!」


赤城「何のことだかさっぱりわかりませんねえ。あ、中身が間宮アイスなのは今ので確定ですね」


電「うっ……どうあっても渡せません。私が責任持って預かったんですから」


赤城「ふーん……それなら、渡したくなるようにしてあげましょうか?」


電「ひぃぃ……!」


怖い。怖いです。まさに飢えた猛獣を目の前にしている気分です。何より厄介なのは、この猛獣は知恵を持っているということです。


どうにかして乗り切らなければ、間宮アイスどころか自分の命すら失いかねません。実力で勝てないなら、そう、知恵で何とかするしかありません。


電「そ……そんな態度を私に取ってもいいんですか!? 例の事を提督さんにバラしますよ!」


赤城「例の事? 何のことですかねえ」


電「私は知っているのです! あ、あなたが龍田会に資源を横流ししていたことを!」


赤城「……はあ? 何を馬鹿な、証拠でもあるんですか?」


電「証拠は必要ありません! 調査されること自体、あなたにとって不都合なことになるんじゃないですか!?」


赤城「…………ちっ、小娘が。余計なことに勘づきおって……」


提督さんの資源管理がいい加減だといっても、ドックの内側にしか入り口がない資源倉庫への侵入は容易ではありません。


となると、龍田会には協力者がいるのではないかと私は考えました。それはドックを頻繁に出入りする、主力艦隊の誰かのはずです。


扶桑さん、山城さんであるはずはありません。伊勢さんや隼鷹さんもありえないでしょう。金剛さんはちょっと怪しいですが、動機がありません。


そうなると赤城さんが残ります。


赤城さんが資源倉庫の資源を盗み食いしていることには薄々勘づいていましたが、資源を龍田会に横流しする動機はやはりないように見えます。


しかし、赤城さんが盗み食いをしていると考えたとき、ピンと来ました。


・龍田会への横流しが起きていない場合

資源が不自然に減る→鎮守府の調査が行われる→怪しいところはないので、大食いの赤城さんが疑われる→盗み食いがしにくくなる


・龍田会への横流しが起きている場合

資源が不自然に減る→鎮守府の調査が行われる→賭博場の存在が発覚、犯人は軽巡となる→赤城さんは疑われず、盗み食いを続けられる


要は、赤城さんは自分が盗み食いを末永く続けるために、保険となるデコイを作ったのです。


主犯とされた龍田さん他数名は、罰として連日長時間遠征に出かけていますが、資源を持ち出した方法だけは白状しませんでした。


おそらく赤城さんから厳重な口止めを受けているのでしょう。それはもう厳重な。


これらは全て私の推測で、証拠はありません。狡猾な赤城さんのことです、調査を受けても絶対に尻尾は出さないでしょう。


しかし、私が進言すれば提督さんは必ず動きます。疑われる事そのものが、赤城さんにとって避けたい事態のはずです。


これが私の持つ、赤城さんに対向する唯一のカードです。


電「さ、さあ! そこをどいてください! 提督さんにバラされてもいいんですか!?」


赤城「……ふふ。くっくっく」


電「な……何がおかしいんですか!」


赤城「電さん、あなたはとんだ悪手を選んでしまいましたね。余計なことを知らなければ、アイスだけで済ませてあげたのに……」


電「え?」


シマウマは至近距離でチーターに出くわしてしまったとき、逃げられないという絶望から動くことができなくなると聞きます。


今まさに、私がそれに近い状態でした。なるほど、確かに悪手です。


だって、赤城さんに私を手に掛ける理由を2つも与えてしまいました。


今この瞬間、私を消せばアイスが手に入る上に、自分に不利な情報が提督さんの耳に入ることを防ぐこともできる。まさに一石二鳥です。


恐怖で焦っていたとはいえ、あまりにもうかつでした。


そうです、わかっていたはずでした。赤城さんにとって、私の口を永久に塞ぐことなんて朝飯前なのだということに。


赤城さんがにっこりと笑い、つられて私も引きつった笑顔を浮かべます。まずいです。誰か助けてください。


電「あ、あの……間宮アイス、渡します。だから……」


赤城「すみません、手遅れです。もっと早くに言ってくれればよかったのに」


電「は、はは……そうですよね、まったく。あははは……」


失禁しそうです。ぼちぼち走馬灯が見え始める頃でしょうか。


すでに恐怖で手足の感覚がありません。ああ、短い人生でした。


赤城「さあ。それでは最期に言い残すことは……」


扶桑「赤城さん、何をしているんですか?」


赤城さんの背後から聞こえたその声は、今この瞬間、私にとっての天使になりうる人でした。


赤城「……チッ、扶桑さん。もう修理が終わったんですか」


扶桑「ええ、大破だったから長引いたのだけれど……あら、電ちゃん?」


電「扶桑さん! 扶桑さぁああああーーーーんっ!」


赤城さんの気が逸れた一瞬の隙を突き、扶桑さんの元に駆け寄りました。彼女をこれほど頼もしいと思ったことはありません。


扶桑「どうしたの? そんなに怖がって。もしかして赤城さん、電ちゃんをいじめてたんじゃないでしょうね」


赤城「いじめてたなんて、そんなわけないじゃないですか。ちょっと話してただけです。ね、電さん」


電「扶桑さん! これ、これ!」


扶桑「はい? このクーラーボックスがどうかしたの?」


電「これ、間宮アイスです! 提督さんから、扶桑さんに渡すよう言われて持ってきました!」


扶桑「間宮アイスですって? 提督が、私に?」


赤城「クッ……!」


電「いろいろあって1つしかありませんけど、ぜひ山城さんと分けて食べてください!」


扶桑「まあ……提督ったら。ありがとう、すごく嬉しいわ。溶けないうちに、山城といただくわね」


これで私の任務は完了です。赤城さんとはいえ、扶桑さんには安々と手を出すことはできないでしょう。


明日から背後に気をつけなければいけない事態になりましたが、それはまた後で考えれば……


赤城「…………あーーーっ! 扶桑さんだけずっるーーーい!! 私もそれ食べたーーーーい!!!」


扶桑「はあっ!?」


電「えっ!?」


耳を疑いました。あの冷静な赤城さんが、まるで子供のように大声を張り上げています。一航戦の誇りなど知った事かと言わんばかりです。


赤城「独り占めしないでくださいよーーー!! 一口!! 一口でいいから食べたーーーーい!!」


扶桑「ちょ、ちょっと赤城さん!」


隼鷹「どした? 何の騒ぎ?」


金剛「What’s happened? 赤城、shoutなんかしてどうしたデースか?」


伊勢「……?」


赤城さんの大声を聞きつけて、ほかのハッピーラッキー艦隊のメンバーも集まってきました。山城さんは……まだ入渠中です。


赤城「皆さん、聞いてくださいよ! 扶桑さん、自分だけ間宮アイスを食べようとしてるんですよ!」


隼鷹「間宮アイス? マジで!? いいなあ、あたしにも食べさせてよ!」


金剛「Shit! 自分だけ食べるとか、どんだけ意地汚いネ、扶桑! 私たちにも寄越すデース!」


伊勢「あの……私たちも食べたいなあ」


扶桑「ちょ、ちょっと待ってよ。アイスは1つしかなくて……」


電「そ、そうです。提督さんも、これは扶桑さんにって」


金剛「だからって1人で食べる気デスか! そんなことして、旗艦として恥ずかしくないデスか!」


扶桑「ちが……ちゃんと山城と分けあって食べるわよ!」


隼鷹「あたしには? あたしにもちょーだい!」


伊勢「食べたい? しょうがないなあ。じゃあ、もし貰えたらね」


金剛「さあ! ずべこべ言わずそいつを寄越すデース! お前みたいな欠陥戦艦にはもったいない代物デース!」


扶桑「なっ! あんたにだけは絶対に渡さないわよ、この老朽艦!」


金剛「なんだとBitch! 何なら力ずくで奪い取ってやるネ!」


赤城「まあまあ。皆さん、落ち着いてください」


皆さんがわいわい騒ぎ出したところで、騒ぎを大きくした張本人である赤城さんが前に進み出ました。


赤城「アイスは1つしかありませんし、量も少ないですから。みんなで分けるのは少々無理があるでしょう」


隼鷹「えー。じゃ、あたしたちは我慢するしかないってこと?」


赤城「いえいえ。どうでしょう、ここはひとつ、何かしらのゲームや勝負事を行って、勝者が間宮アイスを得るというのは?」


扶桑「そんな勝手に……」


金剛「賛成ネ! 私がこんな不幸女に負けるはずないデース!」


隼鷹「ま、それなら平等にチャンスがあるよな。よーし、何で勝負する?」


伊勢「ゲームだって。頑張ろうね!」


赤城「私を入れて賛成意見が4。入渠中の山城さんが反対しても、反対2ですから多数決で賛成側の勝ちですね」


扶桑「うぐ……」


……なるほど。こういうところは、さすが赤城さんだと思います。


正攻法でアイスが手に入らないと見るやいなや、みんなを呼び集めて騒ぎ立て、アイスの所有権を振り出しに戻す。


おそらく、赤城さんは勝負事になっても、絶対に勝つ自信があるのでしょう。さすが一航戦です。


山城「すみません、遅くなりました……? お姉さま、何の騒ぎですか?」


扶桑「山城……ごめんね、アイスを守りきれなくて」


山城「え?」


赤城「今から1つだけある間宮アイスを賭けて、みんなで勝負をするんですよ。山城さんも参加されますか?」


山城「……えっと、どういう状況でしょうか」


電「あのですね……」


山城さんに経緯を説明しました。山城さんが戻る前に言い争いをまとめたのも、赤城さんの計算でしょう。山城さんは扶桑さんの味方をするでしょうから。


山城「なるほど、状況はわかりました。当然私も参加します!」


扶桑「本当にごめんね。こんな面倒なことになってしまって」


山城「いえ、そんなことありません! 私たちでアイスを勝ち取りましょう! 2人で力を合わせれば、負けるはずなんてありません!」


扶桑「そう……そうよね! ありがとう山城、私も頑張るわ!」


金剛「で、何で勝負するデースか?」


隼鷹「チンチロはどうかな? ほら、軽巡たちが賭博場でよくやってるじゃん。サイコロと茶碗借りてさ」


扶桑「チンチロ? ダメ、ダメよ! 不公平だわ!」


山城「そうです! 賭け事で勝負なんて認められません!」


隼鷹「えーなんで? すげー公平だと思うんだけど」


扶桑「それは私たちを、不幸姉妹だと知っての発言かしら!?」


隼鷹「あーなるほど。確かに賭け事系は不公平だったわ」


伊勢「私は大富豪がいいなあ。強いんだよ、私。え、苦手? そうなんだ。じゃあやめておこっか」


金剛「面倒くさいネ! シンプルにポーカーで勝負デース!」


扶桑「ポーカーだって運要素が大きいじゃない! もともとアイスは私たちのなんだから、こっちの意見は聞き入れてもらうわよ!」


山城「そうです! 運が絡まない勝負を希望します!」


言われてみれば、たしかに運が絡むトランプ、サイコロの類で、扶桑さん、山城さんの勝つイメージがまったく浮かびません。


きっと人生ゲームをプレイしようものなら、恐ろしい額の借金を抱えて姉妹仲良く最下位争いをすることになるでしょう。


赤城「ですが、運の絡まないゲームとなるとなかなかありませんよ。腕相撲でもやりますか?」


隼鷹「ちょ、腕相撲は勘弁してよ! 軽空母が力で戦艦に勝てるわけないじゃん!」


扶桑「なら将棋は? 将棋ならみんなルールを知っているでしょう」


金剛「No! 私、将棋のルール知らないデース! でもチェスなら知ってマース!」


隼鷹「あーごめん。チェスは私が知らないや。将棋とチェスはダメだな」


山城「オセロはどうでしょう。これならみなさん、ルールは知っているはずです」


赤城「オセロですか……悪くはありませんが、盛り上がりに欠けますね」


金剛「ならテニスかバドミントンがイイネ! きっと盛り上がりマース!」


扶桑「それなら実力勝負ができるわね。電ちゃん、鎮守府にラケットやボールなんかはあるかしら?」


電「うーん、探してみないとわかりませんけど、たぶんないと思うのです」


山城「この際だから、電さんに勝負の内容を決めてもらうのはどうですか? それが一番公平じゃないでしょうか」


電「え、私が?」


赤城「みなさん自分が有利になる勝負を提案するでしょうから、確かにそれが公平ですね」


隼鷹「そうだね! 電ちゃん、鎮守府から何か勝負に使えるものを持ってきてよ!」


扶桑「私からもお願いするわ。運が絡まなくて、1対1の実力勝負ができるものがいいわね」


金剛「できれば盛り上がるやつがいいデース! この不幸姉妹を派手にブッ倒せるやつネー!」


扶桑「あら、その場合あなたが派手にぶっ倒されることになるのだけれど?」


電「えっと。公平で、運が絡まなくて、1対1、実力で戦える、盛り上がる勝負……ですね?」


赤城「そんな感じですね。それじゃ、電さんとアイスを守らなければなりませんから、鎮守府には私が護衛に着きましょう」


電「大丈夫です! 絶対に遠慮します! 1人で大丈夫ですから!」


扶桑「赤城さん、私たちと一緒にいてもらうわよ。あなたは何か不正をしでかしそうだから」


赤城「なんですか、失礼ですね。親切心で言っただけなのに」


さすが扶桑さん、勘が良くて助かります。今、赤城さんと2人きりになったら、たちまちアイスごと頭から食べられてしまいそうです。


山城「間宮アイスはこっちで預かります。みんなで監視し合えば誰も手を出せませんから、それが一番安全でしょう」


電「わかりました。じゃあ、何か良さそうなものを見つけてきます」


気づけば妙な争い事に巻き込まれてしまっていますが、赤城さんの魔の手から逃れることはできました。


間宮アイスを盗んで食べたのは赤城さんで間違いありません。6つも食べてまだ欲しいなんて、想像を絶する食い意地です。


公平な実力勝負を、とのことでしたが、それなら最も勝利への欲が深い赤城さんが必ず勝つ気がしてなりません。


何がいいでしょうか。そういえば、よく外で遊んでいる駆逐艦の子たちなら、スポーツの道具か何か持っているかもしれません。


ちょっと駆逐艦の子たちがいるほうへ寄ってみましょう。






文月「うぉおおおおおーー! くたばれぇぇぇーーー!! 」


白雪「おらぁああああああーー! お前がくたばれぇぇぇーーー!」


不知火「さあ決着を付けろ! 勝った者には、子日親衛隊の長の座をくれてやるぞ!」


長月「頑張れ文月ー! 目だ、目を狙え! 肘でもいいから目に入れろ!」


吹雪「白雪ちゃん、負けないで! 今よ、あいつの耳を食い千切って!」


えー。駆逐艦の子たちがよく遊んでいる広場にやってきました。いま皆さんがやっているのはボクシング、ですね。


雰囲気からして決勝戦らしいです。文月さんと白雪さん、共に血まみれになりながらグローブでお互いの顔面を叩き合っています。


セコンドの人が大声で反則をそそのかしていることが不思議でなりません。今は関り合いにならないようにしましょう。


電「あ、でもボクシングなら公平で実力勝負……」


いやいや、ないです。金剛さんあたりは喜びそうですが、絵的にまずいでしょう、それは。


広場を見渡すと、駆逐艦の子たちが片付けてないボールなんかが転がっています。ここなら何か、良さそうなものが見つかりそうです。


霞「あら、電じゃない。久しぶりね」


電「あ、霞ちゃん! 会えて嬉しいです! 霞ちゃんはどうしてこんなところ……ま、まさか」


霞「なに勘違いしてるのよ。私は出場者じゃないわ。あの教団たちがボクシング大会を始めたから、観てただけよ」


電「はあ、そうなのですか……近くで観てて危なくないですか? 教団の人から何か言われたりとか」


霞「多少勧誘はされるけど、案外アカギドーラ=チャクルネ教団のやつらはしつこくないわよ。遠巻きに見てるぶんには安全だわ」


電「アカギド……そういう名前の教団なのですか」


霞「とうとう覚えてしまったわ。あんまり関わりたくはないけど」


電「それがいいです。霞ちゃんはそのままの霞ちゃんでいてください」


霞ちゃんがあの変な宗教にハマってしまったら、私は心の拠り所を完全に失ってしまいます。


ふと、間宮アイスを霞ちゃんと2人で食べられたら、と考えました。


霞『ほら、電。あーん』


電『え。そ、そんな……恥ずかしいのです』


霞『恥ずかしがることないでしょ? 2人っきりじゃない……はい、あーん』


電『あ、あーん……』


霞『おいしい?』


電『は、はい。おいしいのです』


霞『ふふ、かわいいわね、電。じゃ、次は電が私に食べさせて』


電『は、はい……あーん』


霞『ううん、違うわ。そうじゃないの』


電『え? どういう……』


霞『教えてあげるわ。もう一度、あーんして』


電『あ、あーん……』


霞『そう、いい子ね……そのままよ、飲み込んじゃダメ。そのまま、唇を私に……』


電『あっ……らめ、らめなのれす……んっ』


霞『んふっ……電、かわいい』


電『か……霞、ちゃん……』


霞『電……好きよ……』


電「わ、私も……霞ちゃんのことが……」


霞「私が何?」


電「ふぁい!?」


10秒間ほど記憶がありません。何かとんでもなくいけないことを考えていた気がしますが、きっと気のせいです。私は何も覚えていません。


電「ひ、独りごとです! 気にしないでください!」


霞「そう? さっきからぼーっとして。よだれ出てるわよ。眠いの?」


電「だ、大丈夫です。あっ……そろそろ用事を済ませないといけないのです」


霞「ふうん? 用事って何?」


電「実は……」


霞ちゃんに今の状況を説明しました。ハッピーラッキー艦隊で間宮アイスを賭けた勝負をすること。私が勝負の内容を決めないといけないこと。


霞「じゃ、ボクシンググローブでもあいつらから借りれば? そろそろ終わりそうだし」


電「さすがに殴り合いはちょっと……テニスラケットなんかはないですか?」


霞「テニスラケットは見たことないわね。バスケットボールならあそこにあるけど」


電「バスケットボールで1対1の対決は難しそうなのです」


霞「それもそうね。あとは野球のボールならあるけど、バットはないわ」


電「なぜバットがないのですか?」


霞「叢雲って子がスイングしたときに、すっぽ抜けて海に落ちちゃったのよ。ちなみに、その子は罰としてあいつらの地下牢に閉じ込められてるそうよ」


電「は、はあ……ほかに良さそうなものはないですか?」


霞「うーん。球技の類はもうなさそうね……じゃあ、あれは?」


霞ちゃんは広場に転がっている、2本のそれを示しました。


電「えっ? あれはちょっと……危なくないですか?」


霞「そうかしら? 痛いとは思うけど、怪我や事故は起きにくいようにできてるのよ、あれ」


電「それも……そうですね」


霞「勝負に使うんならいいんじゃないかしら。一応スポーツ用具でしょ」


たぶん、これなら公平で、実力勝負になるでしょう。運も絡まず、勝敗もハッキリして盛り上がると思います。


電「……これを持って行ってみます。ちょっと教団の人に言って、お借りしてくるのです」


霞「勝手に持って行ったら? あいつらに変な借りを作らない方がいいし、今なら気付かれないわよ」


電「さすがにそれは悪いので……大丈夫です、すぐ返すと伝えますから」


あの教団のリーダーは不知火さんみたいなので、彼女に話を通せばいいでしょう。


今は試合に集中しているようなので気が引けましたが、こちらも急ぎなので、おそるおそる話しかけました。


電「あの、不知火さん。ちょっといいですか?」


不知火「なんだ! いま忙しい……ッ!?」


怒った声で振り向いた不知火さんの表情が、驚愕と恐怖で凍りつきました。


不知火「さ……先触れだーーー!! 試合は中止だ! 皆の者、先触れの電様がやってきたぞーーー!!」


電「は、はい? さきぶれ?」


「さ、先触れだって!?」「そんな……なんでこの時期に!」「生贄は!? 生贄は用意してあるの!?」


ボクシングで盛り上がっていた広場が、一瞬で混沌に包まれました。その混沌の中心にいるのは、ほかでもない私です。


不知火「吹雪、来い! 重要な任務を申し付ける!」


吹雪「は、はい! なんなりと!」


不知火「今すぐ子日様の元へ走り、急ぎ聖別を行っていただくのだ! 選ばれた者をすぐにここへ連れて参れ!」


吹雪「しかし、子日様は聖別の方法をまだ御存知ではありません!」


不知火「ならば、これと感じた者の頭の上に手を置くよう伝えよ! 子日様の成すことは天の意思そのものなのだ!」


吹雪「かしこまりました!」


不知火「長月! 来い!」


長月「はっ! どうぞ申し付けください!」


不知火「保管庫からありったけのボーキサイトを持って参れ! 先触れの電様に捧げ、一時の時間稼ぎとせよ!」


長月「承知いたしました! 今すぐに!」


命令を受けた吹雪さん、長月さんは突風の如く走り去って行きました。


不知火さんは2人を見送ると、私のもとに走り寄り、何の躊躇いもなく膝を地に着けて頭を垂れました。


不知火「電様、聖別が済むまでどうか今しばらくお待ち下さい! 今ボーキサイトを持ってこさせておりますので!」


電「あ、あの。ボーキとか持って来られても困るんですけど」


長月「持って参りました! 電様、どうぞ! お召し上がりください!」


電「いえ、いらないです。私、駆逐艦なので。ボーキは食べられないのです」


長月「なっ……不知火様! 電様がボーキを受け取られません!」


不知火「な、なんだとぉおおおお!? それほどまでに、アカギドーラ様の怒りは深いというのか……っ!」


電「私の存在はどういう位置づけなんですか!?」


不知火「こうなれば……長月、地下牢の叢雲を連れて参れ! それから斧もだ! ここで叢雲の首を落とし、電様に捧げ……」


電「すみません、ボーキ食べます! あー嬉しいなー! ボーキサイト美味しいなーボリボリ!」


長月「し、不知火様! 電様がボーキをお召し上がりになりました!」


不知火「そうか、よかった……ええい、吹雪はまだか! 聖別を急いでもらわねば……」


ああ、ボーキサイト美味しくありません。噛み砕ける硬さの石を噛んで飲み込んでいる気分です。明日にはきっとお腹を壊すでしょう。


勢いに流されてボーキを頬張る羽目になりましたが、そもそも、食べる必要自体なかったのではないでしょうか。


私は借り物をしにきただけで、説明すればそれを理解してもらえるはずです。


電「不知火さん。あのですね、私は借りたいものがあるだけで……」


吹雪「不知火様! 子日様に聖別された者を連れて参りました!」


不知火「戻ったか! して、聖別を受けた者は一体誰だ!?」


吹雪「そ……それが……」


陽炎「不知火……えへへ。ごめんね? 私、選ばれちゃった……」


不知火「か……陽炎!? まさか、不知火の姉であるそなたが……馬鹿な、そんなはずはない!」


陽炎「ううん、本当に私なの。子日様はすぐ近くにいた私のもとに来られて、無邪気な笑顔で私の頭に触れられたわ……」


不知火「そんな……ありえない。あっていいはずがない……」


陽炎「私も、選ばれた時は思わず泣いてしまったわ。そんな私を見て、子日様はずいぶん取り乱しておられた……」


陽炎「きっと泣き叫ぶ私に失望してしまわれたのね。情けない姿をお見せしてしまったわ」


陽炎「だから、せめて最期だけは立派に生贄としての役目を務めさせてほしいの……!」


電「え、あの……生贄!?」


不知火「待ってくれ! 陽炎、そなたがいなくなったら、不知火はどうすれば……!」


陽炎「そんな……そんなこと言わないで! 私だって、怖くて仕方がないのよ!」


そう言って陽炎さんは大粒の涙を流しました。流れる涙は地面に落ち、彼女の足元に水溜りを……水溜り?


陽炎「ほら、怖くておしっこ漏らしちゃってる……こんな情けないお姉さん、必要ないでしょう? 私の尿には、あなたの尿みたいな魔除けの力もないし……」


不知火「そんなことはない! 陽炎の尿なら、魔除けなど関係なしに不知火は飲める! 今から飲んでみせようか!?」


陽炎「やめて、もう優しくしないで! 私は生贄として……電様に頭をもぎ取られ、アカギドーラ様の怒りを鎮めるために命を捧げるのよ!」


電「私が頭をもぎ取る!?」


不知火「嫌だ、嫌だ! 電様、どうか生贄の役目、この不知火に務めさせてはいただけませぬか!」


陽炎「不知火!? 何を言っているのよ! あなたは首長なの、そんなことしちゃダメなのよ!」


不知火「うるさい! この不知火、先ほど聖別された陽炎の姉妹艦であります! 同じ血が流れる者なら、生贄としても相応しいはず!」


不知火「だからどうか……どうかこの不知火の頭を! その手でもぎ取っていただきたい!」


陽炎「ダメよ、不知火! 電様、どうぞ私の頭をもぎ取ってください! 私こそ生贄に相応しいはずです!」


不知火「黙れ陽炎! 頭をもぎ取られるのはこの不知火だ!」


陽炎「やめてよ! そんなことされたって私、全然嬉しくなんかない! 電様、お願いです! 不知火の頭をもぎ取らないでください!」


電「わかりました、もぎ取りません! 代わりにこれを貸してください! それで生贄の件はオッケーです!」


不知火「こ、こんなもので生贄が済むと!? 一体それはどういうことなのですか!」


電「控えなさい! アカギドーラの先触れたる電の思慮は奈落よりも深い! 貴様ら矮小な駆逐艦ごときが計り知れるとでも思うのか!」


不知火「はっ、ははぁーーー! 大変失礼いたしました!」


電「それではこれは借りていきます。日暮れまでには返しに来ますので」


不知火「かしこまりました! お待ちしております!」


電「うむ。では下がりなさい。私は急ぎますので」


不知火「はっ! 皆の者、道を開けよ! 電様がお帰りになられる!」


「ははぁーーー!」


いつの間にか大勢集まっていたアカギドーラ=チャクルネ教団の方々が、一斉に割れて私の通る道を作りました。


もはや何者にも邪魔されることはなく、私は借り物を持って悠々とその道を歩きます。


道の向こう側には、霞ちゃんが待っていました。ドン引きした表情で。


電「……見てたのですか?」


霞「あんた……本当に先触れなの?」


電「ち、違います! 機転を利かせただけです! ほら、おかげで無事に借りられたでしょう?」


霞「私にはあんたが大火傷してきたように見えるんだけど……」


電「気のせいです! あの……いま見たことは忘れてくれませんか」


霞「……努力はするわ」


電「……私のこと、嫌いにならないでほしいのです」


霞「大丈夫、大丈夫よ。嫌いになったりしないから……本当よ?」


霞ちゃんの目が微妙に泳いだ気がしますが、きっと気のせいです。気のせいですよね……?


せっかく今日は間宮アイスを食べられて幸せな気持ちになれたのに、おかしなことばかりに巻き込まれてしまいます。


ともかく言われてた勝負に相応しそうなものは手に入ったので、急いでハッピーラッキー艦隊の元へ戻りましょう。


中編に続く



後書き

中編は来週です。


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1: yamame_2K22 2015-08-11 06:38:53 ID: MwQyIA6n

うちの鎮守府では、伊良湖を赤城に独り占めされました
その後は赤城を猛獣用の檻に入れています
飯は海域クリアの報酬としました


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