ここは悠久鎮守府

止まない雨が降り続くこの鎮守府で

提督と艦娘が今日も仲良く暮らしていました。

ーーー

提督「五月雨えええええ！！！」

提督「五月雨！秘書艦の五月雨！何処だ⁉︎出てこい‼︎」

提督「あーっ！クッソまたか‼︎あいつまたサボりやがった‼︎」

提督「あいついい加減髪引っこ抜いた方がいいか？」

ﾄﾝﾄﾝ

提督「何だ？」

ﾄﾞｱｶﾞﾁｬ

三日月「司令官、五月雨いませんでした…」

提督「マジかー。おけわかった」

三日月「あのー…今日の秘書艦の代理でレンジャーさんをお呼びした方がいいですか？」

提督「あ？もうやめやめ！今日はお休みでよし！はい解散！」

三日月「あっはい失礼します」ﾄﾞｱﾊﾞﾀﾝ

提督「ったく…勘弁してくれよホントに…」

提督「…」

提督「…テレビでもみるか」

ﾋﾟｯ

提督「この時間にテレビなんて見ないしな。どんな番組やってんだ？」

提督「何だこの番組。『ぽかぽか』？ちょっと見てみるか」

「…」

「…」

「…」

提督「つまんな」

提督「何これ？最近のトーク番組クオリティ低くね？こんなんを3時間もやるの？拷問かよ」

提督「何か他に良さげな番組ないか？」

『明石のテレビショッピング！！』

明石「こんにちは！天才発明家の明石です！」

提督「あー、明石って艦娘か。ついに番組にまで侵食してきたんだな」

提督「明石かー。俺トラウマあるんだよなぁ。なんか明石の開発した悪夢見せる薬がどうこうなって…そんで逃亡したんだっけ？あいつ。まだ生きてっかな？」

明石「そして今回はスペシャルゲストをお呼びしています！ゲストは…この方です！」

ｻｻｻｯ

五月雨「こんにちは！五月雨です！」

提督「おっ、五月雨だ。何処の鎮守府の奴だろ？」

明石「ところで五月雨さん。最近困った事があると聞きましたが、どうされたんですか？」

五月雨「いやー実は最近秘書艦の仕事が大変なんですよー。」

提督「…ん？」

明石「それで最近よくサボるんですけど流石に次サボったら髪全部引っこ抜くって脅されたんです！全く困っちゃいますよねぇ」

提督「…気のせいだな。そうに違いない」

明石「それは可哀想に…皆さんもこんなこのような事、ありますよね？」

提督「俺が言うのもなんだけどあってたまるかっての！」

明石「そんな貴方にこの商品！」

てってれーん

明石「すーぱー無敵丸くんです！」

提督「ネーミングどうにかならなかったのか？」

五月雨「わわっ‼︎これはどういう商品なんですか？」

明石「はい！この無敵丸くん。こうして耳に入れると…？」

五月雨「凄い！何も聞こえなくなりました‼︎」

明石「これで上官からの説教や小言から身を守る画期的なアイテムです！」

提督「ただの現実逃避‼︎」

五月雨「凄い商品です！これで私も心置きなく秘書艦の仕事をサボれます！」

提督「ってかお前やっぱ俺んとこの五月雨だよな‼︎お前秘書艦の仕事サボって何やってんだよ‼︎」

明石「今ならこの剃刀にも使えるティッシュと併せてお値段54,800です！」

提督「おまけが要らない上値段も高ぇ‼︎」

明石「ぜひお求めください！」

提督「…はーっ！何だこの番組‼︎頭おかしいだろ‼︎」

ーーー

五月雨「…ところで明石さん」

明石「何でしょうか？」

五月雨「さっき悪口を言われたんです」

明石「ふむふむ。何と言われたんですか？」

提督「まだやるのかよこの茶番」

五月雨「えーっと、この番組頭おかしいだろって」

明石「それはいけませんね」

提督「…ん？俺の言葉聞こえてる？」

明石「そんな貴方にピッタリの商品がありますよ！」

五月雨「おおっ！？それは？」

明石「こちらです‼︎」

てってれー

明石「万能ロボ！ショトックZです‼︎」

提督「世知辛いネーミングだな…」

五月雨「おーっ！可愛いですね！この子は何ができるんですか？」

明石「このショトックZのメイン機能は何と言ってもこの布団乾燥機能です！」

提督「ロボットにさせる意味あったか？」

五月雨「なんと⁉︎布団乾燥機能ですか⁉︎これはビックリです！まさに唯一無二の機能ですね！」

提督「いや普通の布団乾燥機で事足りるんだよ…」

明石「しかもこのショトックZ…なんとおまけ機能もあるんです！」

五月雨「ひぇーっ‼︎誠にー⁉︎」

提督「はいはいどーせくだらないのですよーっと」

明石「そのおまけ機能とはなんと20ヶ国語もの言語で会話、翻訳すら事ができます！」

提督「おまけ機能の方がすげーじゃねぇか‼︎」

明石「このショトックZ！今なら私のサイン色紙もついてお値段124,900円！ぜひお買い求めください！」

提督「買わせる気を損なわせる天才か？」

ーーー

五月雨「明石さーん‼︎」

明石「どうしたんですか？五月雨さん」

五月雨「お料理に失敗しちゃって…不味くなっちゃったんですよー！」

明石「おやおやこれはいけませんね。そんな時はこの商品を使ってみましょう！」

てってれー

明石「色んな味の素‼︎」

提督「…大丈夫かな？」

明石「この粉末をかけるだけでなんとどんな料理でも美味しく味付けができるんです‼︎」

五月雨「ぱくっ、ホントだー！美味しく出来上がってます！」

提督「へー、これは中々いい商品なんじゃないか？」

明石「味は全部で5種類！」

明石「いちご味、どんぐり味、焼きすぎた味、微生物味、バニラエッセンス味をセットでお届けします！」

提督「んー味がよろしくない‼︎」

提督「何だよどんぐり味とか焼きすぎた味とか…焦げてるだけじゃん‼︎バニラエッセンスとかただ苦いだけだしまだまともに見えるいちご味も料理に入れる味ではない‼︎」

明石「今なら木曽義仲の肖像画プリントのTシャツと併せて72,800円です！ぜひお買い求めください！」

提督「だからおまけのチョイスが絶望的な上高価すぎるんだって‼︎」

ーーー

五月雨「明石さーん…」

明石「おやおや五月雨さん。元気がないようですが、どうしたんですか？」

五月雨「提督が急にキレ出したりして大変なんですよー！」

明石「何と！何をしたんですか？」

五月雨「演習中にうっかり執務室を狙っちゃっただけなんですよー」

明石「それはパワハラですね！」

提督「いやどう考えても妥当な説教だろ…」

明石「そんな時にはこの商品‼︎」

てってれー

明石「あかさささです‼︎」

提督「RPGの主人公か何かですか？」

五月雨「素晴らしい名前ですね！」

提督「本気でそう思ってるなら精神科通った方がいいぞ…」

明石「このあかさささ、一見ただのブレスレットのように見えますが、実はこれ、ボイスレコーダーなんです！」

五月雨「これがボイスレコーダーなんですか！？」

提督「へー」

明石「はい！録音も再生もこれでお手のものです！」

明石「早速試してみましょう！」

『何これ？最近のトーク番組クオリティ低くね？こんなんを3時間もやるの？拷問かよ』

提督「…ん？」

『俺が言うのもなんだけどあってたまるかっての！』

提督「…」

『何だよどんぐり味とか焼きすぎた味とか…焦げてるだけじゃん‼︎バニラエッセンスとかただ苦いだけだしまだまともに見えるいちご味も料理に入れる味ではない‼︎』

提督「俺の声めちゃくちゃ録音されてる…」

提督「えっ⁉︎ちょっと待ってやっぱり番組に聞こえてる俺の声…」

ショトックZ「うるせーぞ鈴原‼︎」

提督「聞こえてるー！さっきのショトックZに怒鳴られてるー！しかもちゃんと名前呼ばれたー！」

明石「このあかさささ、今ならなんと提督を拉致監禁できるスイッチと併せて58,300円です！ぜひお買い求めください！」

提督「なんてもの売りつけるのよこの番組…」

ショトックZ「鈴原、お前は絶対買えよ？」

提督「やだよ何で番組越しに命令されなきゃいけないのよ」

その後、番組は潰れ五月雨は無事秘書艦の仕事に戻ってきましたとさ

めでたしめでたし