2019-12-02 22:21:13 更新

概要

艦これの日常本編での雪風についてのお話です
本編でやるより雪風単独でやったほうがいいかなと思ったので


前書き

まだトラウマのぬぐえない雪風が”雪風”を取り戻すお話
幸運艦ゆえの悩みと幸運艦ゆえの孤独のお話


雪風「今日は雪風が秘書官の日・・・・」


天津風「大丈夫よ。貴方がいたような鎮守府の提督じゃないってのはもうわかってるんだから、ね?」


雪風「そ、そうじゃないんです...で、でも・・・大丈夫か心配です」


天津風「ん~・・・でもいまさら交代できる子はいないわよ?」


雪風「うぅ・・・」


天津風「もう、大丈夫だからそんな顔しないで」(ギュ


雪風「わ、わかりました。がんばってみます!」


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<コンコン


雪風「失礼します・・・」(オズオズ


提督「遅い」


雪風「す、すみません」


提督「雪風は、俺が信じられないのか?」


雪風「そ、そうじゃ・・・ないです」


提督「ならこれからしばらく秘書艦頼むからな」


雪風「は、はい」


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雪風「え、えっと...しょ、書類...できました」


提督「ん?これじゃないな、これはスケジュール表だよ?頼んだのは撃破数の集計表。」


雪風「ご、ごめんなさいごめんなさいっ...。」


提督「別に怒ってないよ。そのスケジュール表はあとで使うから。撃破数の集計表作ってね」


雪風「はいっ...ごめんなさいっ」(タッタッタッタ


提督「空回りしちゃってんな。一人でなら執務室の仕事はできるんだがなぁ」


提督「雪風、それできたら休憩して散歩でもしようか」


雪風「は、はい....。あ、あぁ...表がずれちゃいましたぁ...」


提督「え?ちょっと見せて」


雪風「はい?...失敗しちゃっただけですよ?」


提督「いや?これ失敗じゃないな。ちょっと待っててな?」


<ガチャ


提督「やっぱり、紙がずれてたんだよ。なんかの拍子に紙のサイズ固定がずれてたんだよ。だから紙がまっすぐ入ってなかっただけだ」


雪風「で、でも確認しなかったのは雪風で...。」


提督「なら頼む前に設備を点検しなかった俺の責任だな?」


雪風「えぅ...」


提督「雪風、少し休憩しようか。ちょっと外の空気吸いにいこう」


雪風「...はい」


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中庭


提督「はい、オレンジジュース」


雪風「あ、ありがとうございます...」


提督「雪風、なんでそんなに秘書艦が不安なんだ?」


雪風「....前の鎮守府では、いつもスケジュール担当で...みんなに、死の宣告してるみたいに、大破のまま出撃させなければならなくって...」


提督「なるほど、それでスケジュール表を刷る癖ができちゃったのか」


雪風「....コク」


提督「出撃すれば一人被弾率少なく帰ってきて、秘書艦やれば大破の仲間すら戦場に送る役目を負わされて....それで死神....か」


提督「...なぁ、雪風。そんなに辛いなら艤装、降ろすか」


雪風「え...っ」


提督「辛いんだったら、逃げ出したっていいんだ。俺はそれを非難したりしないよ。ずっと虐待されてきたんだ。それが理由ならなおさらだ」


雪風「...」


提督「だけどひとつ思い返してほしいんだ。君がここに来たのはどうして?異動命令が来たから?それとも艦娘だから?」


雪風「...艦娘だから...きました」


提督「なんで艦娘だから来たの?」


雪風「それは....それは、沈んで逝ったみんなの想いが...。雪風はみんなの分も...生きないとって。私は"雪風"だからっ...」(ウルウル


提督「そっか、夕立もそうだったな。みんなの想いを背負ってる、だから怯えたままじゃだめだって」


雪風「....そうだったんですか。夕立さんが」


提督「俺はね?止めないとは言ったけど。君が艤装を降ろして、ここを去っていったら絶対後悔すると思うし、なにより寂しいよ。やっと笑ってくれたりするようになったのに....」


雪風「そんなふうに思っててくれたんですね」


提督「あぁ、うちの仲間だし家族のようなものだからね。演習でもメンバーに魚雷や砲撃の避け方も空からの攻撃の対応も教えてくれたろ?君は十分に貢献してくれるし、もうりっぱなうちの一員だから」


雪風「しれい....嬉しいです...グシュ...しれい、しれいぃ」(ギュ


提督「おっと、雪風。まだまだ不安かもしれないけどさ。俺は雪風がどんなに実力があったかも知ってるから」


雪風「えへへ...グシュ...しれぇ...雪風...がんばります。...まだまだ不安ですけど...がんばります」


提督「もう少ししたら仕事、再開しようか。やれるか?」(ナデナデ


雪風「...はいっ雪風、やりますっ!」


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執務室


雪風「はいっ、撃破数の集計表です。一緒に足りなくなってた会計書類も刷っておきました」


提督「お、ありがとう。やっぱり落ち着いてやればできるじゃないか」


雪風「....えへへ」


雪風「あ、しれえ」


提督「?」


雪風「雪風の幸運ってどう、思いますか?」


提督「そうだなぁ。前も言ったと思うけど、雪風の幸運はお前が艦だったときの記憶と実力が受け継がれた結果だろ?だから運なんかじゃなくお前の力だよ。運がいいのかなんて結果論はどうとも言えないだろ?目に見えないんだからな」


雪風「司令官は、そう言ってくれるんですね。正直うれしいです。ただ運で生き残るなんて、辛いですから。運じゃどうやっても助けられないですから」


提督「そうだな。俺もそう思うよ。お前が艦だったときの辛さを、お前が艦だったときに感じてきた悲しみも、実力も、見てきた真実も、運だけで片付けるなんてできないからな」


雪風「しれいは...なんだか暖かいです。ずっと忘れてた暖かさを感じます」(ニコ


提督「雪風...。そう言われたのは初めてだよ」


雪風「しれいは...雪風とずっと一緒にいてくれますか?あ、そういう意味じゃなくて、ですね?ずっと司令官として、ううん、大切な人として一緒にいてほしいです」


提督「ちゃんと一緒にいるよ雪風」(ナデナデ


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提督「ふぅ、これで明日は楽できそうだな」


提督「....?」


雪風「....んん。....Zzzz....」


提督「あれ?雪風ねちゃったのか。仕方ないな」(上着掛け


<コンコン


<ガチャ


朝潮「失礼します司令官」


提督「あぁ、朝潮か。どうした?」


朝潮「司令官にお手紙が来ています。恐らく別の鎮守府からのものかと」


提督「ふむ。朝潮すまないんだが雪風が寝てしまっていてな。手伝ってもらえるか?」


朝潮「はい!もちろんです!」(隣に着席


提督「ふむふむ、トラック泊地からの要請だな・・・」


朝潮「どんな内容なのでしょうか」


提督「ん?資材を貸してくれないかという感じだな。きっちり証明書とか確認書類もきっちり入れて郵送してるから恐らく本当に必要なんだろうな。それぞれ1000ずつか。朝潮、2500ずつ用意して運搬準備しておいてくれ」


朝潮「いいんですか?珍しいですね」


提督「まぁこれくらいなら備蓄から削っても問題ないだろ。この恩は忘れさせんけどな」


雪風「んんぅ……。あ……寝てしまったです!?うぅ……」


朝潮「あ、大丈夫ですか?雪風」


雪風「あ、うん。えっと……大丈夫」


朝潮「雪風が起きたので朝潮はこれで失礼します」(ピシッ


<ガチャ<パタン


雪風「あの……司令官……」


提督「ん?別に寝てたことを咎める気はないからいいよ?ただ次は無いようにな?」


雪風「はいっ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪風「一通り終わりましたね...司令官の仕事、多いんですね」


提督「まぁ、な。俺の立場って結構綱渡りしてる部分あるからな。書類関係はほんと慎重にやらないといけないんだ」


雪風「そう、ですね。司令官は頻度は少ないけど怪しい情報がある鎮守府とか艦娘の虐待とかの査察とかもあるんですよね」


提督「うん、そうだね。でもね?そういうのが必要なのが現状なんだよ。艦娘は女の子、故に酷い司令官に引っ掛かってしまったり、艦娘はよっぽどなことがない限り沈まない、だから雪風のように理不尽な出撃をさせられたりする。それを査察して止めるのが俺の立場でもあるからね」


雪風「やっぱり司令官は立派ですね。雪風はここに来て良かったです。きっと夕立さんや弥生も...、ここにいる艦娘はみんな司令官のもとにいて幸せだと思ってるはずです」


提督「はは、ありがと雪風」


雪風「はいっ!」


提督「さてと、夕飯の時間だな...どうするかな」


<ガチャ


天津風「ただいま○○、雪風。はい、出撃結果の書類。他の子は入渠中よ。少し被弾多くってね」


雪風「おかえりなさい!天津風...秘書官、がんばってるよ!」


天津風「うん、○○はサボったりしてなかった?」


雪風「むしろ雪風が...寝ちゃいました...エヘヘ」


天津風「あら、でも○○が怒ってないなら別に良いけど気を付けなさいよ?」


雪風「はいっ!雪風頑張ります!」(グ~


天津風「お腹空いてるみたいね。雪風もご飯食べる?」


提督「そうだね。天津風もそう言ってるし雪風、一緒に食べようか」


雪風「え、いいんですか?是一緒に食べたいです!!」


天津風「じゃぁ一緒に食べましょ。今日は麻婆茄子よ。ちょうど茄子が余ってるから」


提督「よっしゃ!天津風の麻婆茄子おいしいからな。雪風、先におふろ入っちゃおう」


雪風「はい!」


天津風「じゃ、ちゃっちゃと入っちゃってね?」


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雪風「はぁ~...美味しかったぁ。天津風ってすごいです。やっぱり天津風は司令官の奥さんなんだね」


提督「そうだぞ?自慢の奥さんだ」


天津風「もぅ、やめてって///恥ずかしいから///」


天津風「それよりも、雪風はもう平気みたいね」


雪風「はいっ!司令官が...雪風のことを大切に思ってくれてるのがわかりましたからっ...すごくうれしかったです。だからこれからもこの鎮守府で頑張ります!」


天津風「フフ、よかった。これからも秘書艦の時は○○のことよろしくね?」


雪風「もちろんです!雪風に任せてください!!」


こうして、雪風は自分を取り戻して


艦娘としての誇りも取り戻しました


幸運艦としての「雪風」じゃなくて


「そのままの雪風」を見てくれる司令官のお陰で取り戻しました




後書き

雪風は幸運艦としてばかり有名になりますが雪風のあるがままを載せた本を読んで
私は雪風について”幸運艦”とはどういうものなのかと考えさせられました


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五月雨改さんから
2019-12-21 14:47:20

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五月雨改さんから
2019-12-21 14:47:22

このSSへのコメント

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1: 五月雨改 2019-12-21 14:47:15 ID: S:mcmFws

その「雪風のあるがままを載せた本」って何て本ですか?


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