2022-08-03 04:23:30 更新

概要

悠久鎮守府の過去編です。*クソ内容*キャラ崩壊*ガバガバ文章力*死・轟沈の描写。注意!!


前書き

【登場人物紹介】
数が多いので一部紹介!

大井「はーい」

帰れ

大井「はーい…」トボトボ

【鈴原提督】
悠久鎮守府提督。一見ただの優しい青年。統率力を買われ提督になった(させられた)。ただしその本性は…

【五月雨】
悠久鎮守府の秘書艦。ドジなのは言うまでもないが料理は得意。元ヤン。元霊剣鎮守府の秘書艦。

【立花提督】
鈴原提督の同期。高層鎮守府提督。権力者になることが夢。元帥にやたら噛みついてかかる。手のひら返しが上手。

【相馬提督】
同期。要塞鎮守府の女性提督。着任1ヶ月で出世を果たした。立花と鈴原の事を弟のように想っている。

【元帥】
回生鎮守府提督。42さい。霊剣鎮守府の再興を目指して鈴原達を利用している。初期艦達の面倒をみてたのもこいつ。

【被験体】
元帥の協力者。霊剣鎮守府の調査に加担している。身元不明。本名不明。行動理念動機不明。これを信頼する元帥よ…。


ー執務室ー


陽炎「全く…司令ったら来週元帥に提出する書類を無くしたなんて…」ガサゴソ


提督「ここに入れたはずなんだよ。封筒が俺の指示をきかないから…」ガサゴソ


陽炎「責任転嫁しない!」


提督「っと、これだこれだ」封筒バサッ


陽炎「あぁ、見つけたのね」


提督「おう、悪かったな、付き合わせて」


陽炎「別にいいけど…何の書類なの?」


提督「ん?中身は艦娘の下着写真だぞ?」


陽炎「おいこら」


提督「文句は元帥に言ってほしいんだよなぁ」


陽炎「司令も同罪よ」


ドアガチャ


五月雨「あれ?二人ともまだ起きてたの?」


提督「おう五月雨」


睦月「睦月もいるのね!」ニャシイ


一同「…」


睦月「ハァ☆」


五月雨「何してるんですか?」


提督「あぁ、元帥に提出する重要書類を探しててだな…」


陽炎「重要書類(盗撮写真)」


五月雨「へぇ~…ん?これは?」ペラッ


提督「何だこれ?」


睦月「これって…睦月達が着任したばかりの頃のアルバムにゃしい!」


陽炎「本当⁉」


五月雨「あっ!本当だ!提督の表情が緩い!」


提督「黙れ!!」


陽炎「…これ初霜?」ペラッ


五月雨「そうだよ。今と雰囲気違うでしょ?」


陽炎「…何か清楚って感じがするわ…」


睦月「そっかー、この時はまだ阿武隈さんもいたのね…」ペラッ


陽炎「阿武隈さん…?」


五月雨「そうそう!懐かしいなぁ」ペラッ


陽炎「そうなのね…」


陽炎「ねぇ、折角だし昔話でもしてよ♪」  


五月雨「昔話?」


陽炎「うん!私って着任遅かったでしょ?だから昔のことを知らないの」


陽炎「だからねね、いいだろう?」


五月雨「いいですよ!ね?睦月に提督?」


睦月「…」


提督「ダメって言っても話すだろ?」


五月雨「やったぁ!」


陽炎「じゃあさ、司令が司令になるきっかけとか話してよ!(小泉構文)」


提督「あー、そうだなぁ…」


提督「あれは今から3年前の62月頃だったか…」


陽炎「(62月…?1年って12月までじゃないっけ?)」


提督の始まり


~3年前~


鈴原(後の悠久提督)「アーキョウモガッコウタノシカッタナーハヤクカエッテシュクダイシナキャ」


高級車「」キィッ


ドアガチャ


黒服達「」ゾロゾロ


黒服「あなたが鈴原ですね」


鈴原「君達は?」


黒服「きてください」ガシッ


鈴原「何をする!」


黒服「うるせぇ」ドスッ(無言の腹パン)


鈴原「うっ☆」ドサ


~☆翌☆年☆~


元帥「という訳で、皆には提督になってもらうよ」


「「「は?」」」


元帥「それじゃあまずは鎮守府のことだけど…」


立花(後の高層提督)「まてまてまてまてまて!」


立花「えっ?何?いきなりすぎるだろ!」


元帥「えっ?」


立花「えっ?じゃねーよ‼何で俺達が提督になることになってんだよ!!」


元帥「えっ?だって君達海軍学校卒業して、提督選定試験まで合格したじゃん」


立花「だとしてもおかしーだろ!!説明不足にも程があるわ‼あの黒服が誰なのかとか、1年間何してたのかとか、どういったprocessでここにいるのかとか‼疑問が渋滞し過ぎて逆流しているよ‼」


鈴原「立花さん落ち着いて」


相馬(後の要塞提督)「そうよ~♪今は一旦状況を整理しましょう」


立花「…確かに」


元帥「んじゃあ状況整理ね」


元帥「まず君達は海軍学校に去年入学した」


鈴原「突然拉致されて無理矢理入学させられたんだったよね」


元帥「それで1年、君達はあの過酷な日々を乗りきった」


立花「ふんふん」


元帥「卒業試験にも合格したよね?」


相馬「鈴原君と立花君は合格ラインぎりぎりだったわよねぇ?」


立花「うるせぇ」


鈴原「あはは…」


元帥「さらに提督選定試験さえも突破し、君達は見事、提督になったのだ!」


立花「…」


元帥「わかってくれたかな?」


立花「…とりあえず理解はしました」


元帥「そりゃよかった」


立花「ですが納得はしてません」


鈴原「!?」


相馬「!?」


元帥「…ふむ、それは無理矢理提督にさせたことかな?」


立花「はい」


元帥「そうか、だがわかってくれ。皆も知っての通り、深海棲艦も日々力をつけている。それに深海棲艦によって壊滅させられた鎮守府も少なくない。ならばこちらも数を増やす必要がある」


立花「わかってます…だけど俺が言いたいのは提督選定試験のことだ‼」


元帥「…?」


立花「俺の記憶が正しければ試験内容が…」


立花「元帥とのババ抜きに勝つことだったと思うんだが⁉」


立花「何だこれ⁉海軍関係ないだろ‼」


元帥「実は私はトランプが得意なのだよ」


立花「関係ないだろ‼」


元帥「え~~でもこれでも色々個性が出てわかるんだよ?」


立花「知ったことか!!俺は家に戻らせてもらう!」ガタッ


元帥「え」


鈴原「俺もやめます」ガタッ


元帥「ちょ」


相馬「失礼しました~」ガタッ


元帥「おーい」


大井「はーい」


元帥「お前じゃない!」


元帥「待ってー。こらー。おい、おいこら虫!おい!いくな!」


元帥「提督になったら!高い地位と権力を獲得できるかもしれないぞ!」


立花「」ピクッ


立花「…高い地位と権力…?」


元帥「そうだ!それに戦うのは君らではない!艦娘だ!」


鈴原「…艦娘…?」


元帥「そうだ!それにその艦娘は皆かわいい娘ばかりだぞ!」


相馬「かわいい娘!?」


元帥「そうだ!…だから…提督になってくれるかな?」


立花「お任せください!」


鈴原「ご期待に応えます!」


相馬「元帥がそこまで言うなら…」


元帥「クズが…」


元帥「まぁいいや。それじゃあまずは初期艦を選んで」


鈴原「初期艦?」


元帥「うん。この5人の中から一人だけ自由に選んでいいよ」


鈴原「それが艦娘ってことですか?」


元帥「そうそう。早い者勝ちだけどね」


相馬「それでその艦娘は何処なの?」


元帥「ちょっと待っててね。大和~!」


大和「はーい」トテトテ


元帥「モニター出して~」


大和「はーい」カタカタ


立花「返事テキトーで草」


相馬「その方も艦娘ですか?」


元帥「あぁ、戦艦だよ」


大和「宜しくお願いします」ペコリ


鈴原「…」


大和「提督、モニター準備完了です!」


元帥「それじゃあ初期艦の5人を紹介するよ」カチッ


モニター「」ピカー


元帥「彼女がふぶ…」


相馬「はいはいはいはいはーーい!!!私この娘にします!!!!」


鈴原「早」


立花「おい相馬、全員見てから選んでよ」


相馬「いいえ!見るまでもないわ!何故なら!この娘以上にかわいい娘なぞいない!私はそう確信しているから!!!」


立花「えぇ…」


鈴原「まぁいいじゃないか立花」


相馬「やったー!」


元帥「…まぁ吹雪君は提督に忠実な娘だからね、良い選択をしたんじゃないか?」


元帥「これが吹雪君についての資料だよ」ペラッ


相馬「かわいいいいいいいい!!!!」


元帥「…さて、続きだ続き、まだあと4人いるからね、焦る必要はないよ」


鈴原・立花「うぃっす」


モニター「」ピカー


元帥「彼女が叢雲だよ」


立花「…なんか生意気に反抗しそうな奴だなぁ」


元帥「まぁ確かに気の強い娘だよ」


立花「次は?」


元帥「あれ?叢雲君はいいのかね?」


立花「あとで考えます」


元帥「では次」


モニター「」ピカー


元帥「彼女は五月雨」


鈴原「!!」


相馬「これまたかわいい娘ねぇ」


立花「…良さそうじゃないか?」


元帥「そう見えるだろう?」


立花「?」


元帥「彼女はかなりのドジっ子なのだよ。私でも手を焼くほどにね」


立花「(うわ」


元帥「お気に召さなかったかな?」


立花「当たり前だよなぁ?」


鈴原「なら俺、この娘にします」


元帥「mjd!?」


鈴原「はい」


元帥「鈴原君…度胸あるね…」


鈴原「それほどでも」


元帥「これが五月雨君の資料だよ」ペラッ


鈴原「ありがとうございます」


元帥「うん…さて、立花君?後はお前だけでごさいます」


立花「…」


相馬「それじゃあ次いってみよー!」


鈴原「た、楽しそうですね…」


相馬「だって後二人もかわいい女の子みれるんでしょ?そりゃあテンションもあがるわよ!画面の向こうの皆もそう思うでしょ?」


鈴原「憲兵さんこっちです」


相馬「やめれ」


元帥「そこの二人はほっといて、大和君」


大和「スイッチオン!」


モニター「」ピカー


元帥「彼女は電だよ。提督界では最も人気のある艦娘だねぇ」


大和「…(何故だろう…頭痛が痛い…)」


元帥「気が弱い面もあるけど提督のサポート能力は他よりも高いよ」


立花「(…うんうん。気が弱いならば今後俺の指揮に文句言ってくることもない、秘書艦としても優秀と…これ以上ない程都合の良い艦娘だな。人気なのもわかる)」


立花「では俺はこの艦娘で…」


元帥「但し、稀に腹黒い個体もいるので注意が必要…」


立花「次お願いします」キッパリ


元帥「あっはい」


モニター「」ピカー


元帥「彼女が漣だよ」


立花「…(見た目ただの子どもか…利用しやすそうだな)」


元帥「彼女はとっても…」


立花「漣にします」


元帥「私は君の好みがわからないよ」


鈴原「叢雲選ぶと思った」


相馬「漣ちゃんもかわいいわね」


元帥「まぁ色々あったけど、皆初期艦決まったね」


元帥「明日具体的な説明をするから今日はもうおねんねしなさい!」


立花「お母さんか‼」


鈴原「お父さんかもしれない」


~~~


提督「…これが俺が提督になったきっかけだ」


陽炎「えぇ…」


睦月「酷いw酷過ぎるwww」


陽炎「いや、私が思ってたのと全然違うかったんだけど…」


提督「そりゃあ思いどおりになるなんてそうそうないだろ」


陽炎「てか司令この頃全然キャラ違うじゃない!何?多摩被ってたの⁉」


提督「多摩被ってたぞ」


陽炎「えええええええ」


睦月「多摩被るって何にゃし…」


陽炎「そうじゃないの!ほら、司令は何で初期艦に五月雨を選んだのかとか、そういう話を期待していたのよ‼」


五月雨「大丈夫です。後でわかりますよ!私と提督の運命の出会いが…」


提督「それをいうなら運命の再会だな」


睦月「運命…?運命…運命っていえば確かに運命ですね…にゃしい」


陽炎「えっ?何?何?怖いんだけど…」


提督「それじゃあ実際に着任した所から話すか」


提督と五月雨


ザーザー


運転手「提督さん、鎮守府に到着しましたよ」


提督(鈴原→悠久提督)「おっもう到着ですかー」


運転手「はい!お疲れ様です!」


提督「どうも。それにしても降ってますね~。元帥がわざわざ傘を用意してくれたので良かったものの…」


運転手「元帥いい奴で草」


提督「それでは、私はこれで…」


運転手「はい!頑張って下さい!」


提督「ありがとうございます。それでは」


ドアガチャ


提督「ふぅ」バサッ


ブロロロロロロー


提督「…今日から提督か~」


提督「…」


提督「…とりあえずいくか」


ザーザー


提督「…」


提督「…?」


提督「誰かがこっちに来るな…」


提督「…?」


提督「!!…あれはまさか…」


???「」パタパタ


???「」ズルッ


???「」スッテンコロリン


ドスーン


提督「転んだ!」


???「いてててて」


提督「おい!お前は…」


???「ごめんなさい…私ついはしゃいじゃって」


提督「もしかして…五月雨…?」


五月雨「!!そう!そうです!五月雨といいます!」


提督「そう…」


五月雨「宜しくお願いします!」ピシ


提督「…」


五月雨「…提督…?」


提督「あぁ、宜しく。それより傘は?」


五月雨「傘?あっ、鎮守府に置いてきて…あうう…」


提督「それなら俺の傘入って、ほら」


五月雨「…えっ?いいんですか?」


提督「遠慮しないでいいよ」


五月雨「ありがとうございます!」


五月雨「…えへへ」


提督「…」


ーーー


阿武隈「」


大淀「」


阿武隈「…あの~大淀さん?」


大淀「…」


阿武隈「お伺いしてもよろしいでしょうか?」


大淀「…」


阿武隈「…」


阿武隈「…何で私がここに」


大淀「発表します!!!」


阿武隈「ふぇ!?!?!?」


大淀「阿武隈さんには今日からここの鎮守府の任務娘を担当していただくことになりました!」パチパチパチ


阿武隈「えええええええええええ!!」


大淀「という訳でこれがマニュアルだから…」


阿武隈「いやいやいや!何で⁉えっ?何で⁉唐突過ぎますよ‼」


大淀「…まぁ唐突な方がサプライズとして盛り上がるのではと…」


阿武隈「いらんわそんなサプライズ要素!」


大淀「えー」


阿武隈「えーじゃない!」


大淀「でも決定したことですし…」


阿武隈「誰が決めたんですか‼」


大淀「元帥」


阿武隈「あの野郎!」


阿武隈「てか何で私なんですか‼大淀さんは?」


大淀「私は今顔面捻挫で…」


阿武隈「顔面捻挫⁉」


大淀「お願い!半年だけ!半年だけでいいから」


阿武隈「…」


大淀「オネシャス」


阿武隈「…わかりました、やります」


大淀「本当?」


阿武隈「はい」 


大淀「ありがとう!ではこのマニュアルをどうぞ」


ーーー


提督「雨が止まない?」


五月雨「はい、どうやらこの鎮守府は何故か雨が止まない地域らしいんです」


提督「だから元帥がわざわざ傘を用意していたのか」


五月雨「えっ?これ元帥の傘なんですか?」


提督「そうだね、元帥が用意したんだよ」


五月雨「はぇ~」


提督「ところでここは悠久鎮守府っていうらしいね」


五月雨「そうです!」


提督「なら俺は悠久提督ってことかな?」


五月雨「それなら私は悠久五月雨です!」


提督「そうだな!わはははは」


五月雨「(良かった…この提督はいい人そうです)」 


ーーー


提督「ふぅ…濡れた濡れた」


五月雨「お疲れ様です」


提督「うん、お疲れ。それでここが鎮守府か」


五月雨「そうです!案内しましょうか?」


提督「おねがいするよ」


五月雨「わかりました!ではこちらへ…」


提督「…」


提督「(…あいつが五月雨か…)」


提督「(見た目も声も雰囲気も変わってないな…艦娘は歳を取らないのは本当だったのか…)」


提督「(…まぁ暫くは様子見だな…)」


ー執務室ー


五月雨「ここが執務室です!」


提督「成る程、俺はここで仕事をするのか」


五月雨「そうです!後、今の秘書艦は私なので私も提督のお手伝いをします!」


提督「了解。入ってもいい?」


五月雨「どうぞどうぞ」


提督「では」ドアガチャ


阿武隈「」


提督「…?あれ?君も艦娘かな?ここで何して…」


阿武隈「…遂に我の器となる者が現れたか…」


提督「は?」


阿武隈「さぁ!我が主人よ‼今こそその手に眠る闇の力で鎮守府を支配するのだ‼」


提督「…」


五月雨「…」


阿武隈「…」


提督「…五月雨、この艦娘は?」


五月雨「…多分ちょっとおかしな人なんです。ほっといてあげましょう」


提督「…そうだね」


阿武隈「違う!違うんです!マニュアルにそう書いてあったから…」


提督「マニュアル?」


阿武隈「はい。あたしは阿武隈っていいます。ここの鎮守府の任務娘を任されました」


五月雨「えっ?任務娘って…大淀さんは?」


提督「…?」


阿武隈「大淀さんは…あの…」


ヘンヘンウマウマ


阿武隈「…という訳で…」


五月雨「それで阿武隈さんが任務娘を?」


阿武隈「はい…なので今日から暫くの間、よろしくお願いします」


提督「うん。何が何だかわからないけどよろしく!」


五月雨「それでいいんですか…提督…」


ーーー


五月雨「提督、今日一日お疲れ様でした!」


提督「うん、五月雨もね」


五月雨「暫くは書類仕事はないみたいなので、今のうちにしっかり休んでくださいね?」


提督「うん、そうするよ」


五月雨「ではおやすみなさい」


提督「おやすみー」


ドアバタン


提督「…」


提督「…」


ーーー


提督「朝だ!シャイニングが輝いているぜ!」


提督「こんな天気のいい日の朝はお散歩するに限るな!」


五月雨「お散歩ですか?」ヒョコッ


提督「お早う五月雨」


五月雨「お早うございます提督!お散歩なら五月雨もご一緒します!」


提督「いいよ」


五月雨「ありがとうございます!…ところで提督」


提督「…ん?」


ザーザー


ザーザー


五月雨「これの何処がいい天気なんですか?」


提督「…」


~~~


五月雨「…こんな感じの会話をしましたよね?」ニコニコ


提督「んー覚えてないな」


五月雨「えっ⁉」ガーン


提督「そんな昔のことなんて覚えている訳ないだろう」


五月雨「私は覚えてます!」


睦月「何やっているのね…」


陽炎「司令がこの鎮守府にきた時のことはわかったけどさ」


一同「?」


陽炎「ちょっと終わり方が不自然じゃない?」


提督「仕方ないだろ‼このあと次のチャプターに入るんだから」


陽炎「そういうこと言わない!」


悠久鎮守府 始動


提督「雨の日の朝、お散歩するのなら…」


提督「傘は必要だよね?そりゃあ」


五月雨「でも楽しいですよ?私は」


提督「そっか」


五月雨「それに私、雨好きなんです」


提督「そうなんだ!」


五月雨「そうなんです!何か…こう…絵になりますよね」


提督「うーん、わからなくもないけど…」


五月雨「あはは…あまり伝わらなかったですね」


提督「いやいやそんなこと…ん?」


五月雨「…提督?」


提督「誰か倒れてないか…?」


五月雨「えっ⁉本当だ!」


少女「」


五月雨「大変だ!この娘怪我してます!」


提督「早く手当てしないと‼」


ー医務室ー


明石「…よし、これでもう大丈夫」


明石「あとはゆっくり休ませておけば大丈夫でしょう」


五月雨「良かった~」ホッ


提督「それで…君は?」


明石「あっ、申し遅れました!私は工作艦明石といいます!艤装の修理を担当している他、医務員としての役割もあります!」


提督「成る程」


明石「それで、この娘についてですが…」


五月雨「他に何かあるんですか?」


提督「この娘…どうやら艦娘のようなんです」


提督・五月雨「えっ⁉」


提督「艦娘だと⁉」


明石「ただ、何処の鎮守府の艦娘なのかわかりません。普通はわかるようになっているはずなのですが…。恐らくこの娘が所属していた鎮守府から、艤装データが削除されたのだと思います」


提督「艤装データが削除されるとどうなるの?」


明石「無所属になります。そうなると艤装展開機能とケッコンカッコカリによる能力の強化がなくなります」


提督「大変ね(他人事)」


五月雨「この艦娘は艤装展開ができずにここに流れついたんでしょうか?」


明石「何ともいえませんね。…まぁ彼女が目を覚ましたらそれとなく聞いてみましょう」


提督「そうだね。助かるよ明石」


明石「私にお任せください!」


ーーー

提督「大丈夫そうで良かったね」


五月雨「…」


提督「…五月雨?」


五月雨「…」


提督「五月雨~?どうかしたのか~?」


五月雨「…あっいえ!何でもないんです!何でも…」


提督「…?」


ーーー


明石「起きました」


提督「早」


五月雨「まだ5分も経ってないですよ」


明石「仕方ないでしょう?起きちゃったものは」


少女「う、うーん?」キョロキョロ


五月雨「まだ状況がのみ込めてないようですけど…」


五月雨「大丈夫なんですか?急に大勢できて…」


明石「ん~…まぁ大丈夫でしょう」


提督「適当かよ」


少女「あっ、あの~」


明石「はいはい何ですか?」


少女「ここは…?」


明石「ここは悠久鎮守府です。あなたはここの近くで倒れてましたのでここに運びました」


少女「鎮守府…」


提督「名前は?名前はわかる?」


睦月「…睦月…睦月です」


提督「睦月か」


睦月「はい、そうです」


提督「じゃあ睦月、何があったのか覚えているか」


睦月「えっと…」


睦月「…」


睦月「夕飯はオムライスでした」


提督「うわいいな~」


明石「どういう会話しているんですか‼」


五月雨「それで、睦月さんに今の状況を説明した方がいいんじゃないですか?」


明石「それもそうですね」


睦月「?」


明石「睦月さん。落ち着いて聞いてください。実は…」


ヘンヘンウマウマ


明石「という訳です」


睦月「…私がそんなことになっているんですね…」


明石「そうです」


睦月「そうですか」


提督「それで睦月はどうするの?この様子じゃあ睦月の鎮守府へ帰してもダメそうなんだけど」


明石「そもそも既に鎮守府が壊滅している可能性もありますからね…」


提督「え~~」


五月雨「それならいっそ、睦月さんをこの鎮守府の艦娘として迎え入れてみるのはどうですか?」


提督「えっ?何それ?そんなことできるの?」


五月雨「大丈夫です!以前私が務めてた鎮守府でも同じようなことしてましたし」


提督「でもねぇ…」


睦月「私はいいですよ」


提督「えっ⁉本当⁉」


睦月「はい。倒れていた私を助けていただきましたし、是非この鎮守府の力になりたいのです!」


五月雨「提督!ほら!本人もこう言ってますし」


提督「確かにそうだなう~ん…」


睦月「お願いします!私はもう帰る所がないんです!」


提督「よしわかった!いいぞ!今日からここの鎮守府の艦娘だ!」


五月雨「やったぁ!」


睦月「ありがとうございます!睦月、頑張ります!」


五月雨「良かったね!睦月さん!」


睦月「呼び捨てでいいですよ五月雨さん」


五月雨「なら睦月も五月雨って呼んでね」


睦月「…わかりましたよ五月雨」


五月雨「えへへ…」


提督「(仲良くなるの早いなぁ…)」


明石「…(私の知ってる睦月と違う)」


ー夜ー


提督「この部屋に布団用意したからそこで寝てね」


睦月「ありがとうございます!提督!ではお休みなさい」


提督「お休み~」


五月雨「お休み~」


ドアバタン


提督「…」


五月雨「…では私達も寝ますか」


提督「…ねぇ五月雨…」


五月雨「…?何ですか?」


提督「…」


五月雨「…?」


提督「…いや、何でもないよ」


五月雨「そうですか。ではお休みなさい」


提督「うんお休み…」


提督「…」


提督「…(五月雨はさっき『以前別の鎮守府に務めてた』って言っていたな…)」


提督「…」


提督「まぁいっか、今日はもうねよ」


ー翌☆日ー


睦月「おはようございます!」


提督「うんおはよう睦月」


五月雨「おはようございます」


睦月「それじゃあ今日も張り切ってまいりましょー!」


トントン


提督「はーい」


ドアガチャ


阿武隈「おはようございます皆さん」


五月雨「おっ阿武隈さん!」


提督「何か久し振り?」


阿武隈「そんなことないです。それより提督♪お仕事です」ドサッ


書類たくさん「」


提督「…」


五月雨「…」


睦月「…」


提督「…あの、阿武隈さん?」


阿武隈「はい?何ですか?」


提督「何…これ…?」


阿武隈「書類です」


提督「何か1Mはありそうなんだけど…」  


阿武隈「きのせいです♪」


提督「それで?これをどうするの?チョップで全部破ればいいの?」


阿武隈「逆にムズいわ‼」


阿武隈「これを全部確認して、必要事項にはチェックをいれて、判子を押すだけの易しいお仕事です♪」


提督「量が易しくないよ!!」


阿武隈「ではこれで…」ドアバタン


提督「待ってーーー!」


提督「」ガクッ


提督「…」


睦月「…それにしても凄い量ですね…」


五月雨「ほら提督、私達も手伝いますから、頑張りましょう」


提督「…ふぁい」


~~~


提督「…これが睦月と初めて会ったときのことだ」


陽炎「誰だあいつ!!」


睦月「どう見ても睦月にゃしい!」


陽炎「いや何処がよ‼全然今と違うじゃないの‼」


睦月「…まぁ時間がたてば変わるものだし…」


陽炎「変わりすぎじゃ!!」


五月雨「ほら陽炎?落ち着いて落ち着いて」


陽炎「ぜぇ…ぜぇ…」


陽炎「…」


陽炎「…私はね?提督になったばかりの司令の失敗談とか、五月雨たちの馴れ初めとかこう…ほのぼのした感じを聞きたかったの」


提督「大丈夫、次はわりかしほのぼのだ」


陽炎「…信じるわよ?」


提督「信じていいぞ」


陽炎「そう…」


睦月「…(信じてなさそう)」


お前(書類)を消す方法


提督「」


五月雨「」


睦月「」


書類「マダマダオルデ」


提督「あああああああああ!!!ヽ(´Д`;)ノ」


提督「もういやあああああああああ!!!」


五月雨「提督…書類は…あと…いくつ…ですか…」


提督「…あと…」


提督「…」


提督「2/3くらい…かな?」


五月雨「(絶望)」


睦月「もうダメだおしまいだ」


五月雨「かれこれ1週間、ずっとこの書類を3人でやっていたのに…なかなか終わらないです…」


提督「ヽ(・∀・)ノ」


睦月「五月雨!提督が壊れた!」


五月雨「提督ーーーーーーーっ!!」


ー数時間後ー


ドアガチャ


阿武隈「お疲れ様です。盛り上がりましたね(イケボ)」


睦月「そう…」


睦月「だったら…良かった…」


提督「ヽ(・∀・)ノ」


阿武隈「?」


睦月「うーん無理ですよ…こんな量の書類…」グッタリ


五月雨「やりいか食べたい…」


睦月「えんがわ~~~~」


提督「サーモンがナンバーワンだ」


睦月「ナンバ~ワンに~ならなくてもいい~♪」


提督「そんな訳ねぇじゃん!」


阿武隈「何でお寿司ネタの話になっているんですか‼」


提督「だって~」 


阿武隈「仕方ないですよ。着任したてですもん」


睦月「何とかこの書類をより効率的にこなす方法はないんですか…」


五月雨「…」


五月雨「…」


五月雨「…あっ」


睦月「どうしたの?五月雨…」


五月雨「いいこと思い付いた!」


睦月「?」


提督「???」


五月雨「建造をしましょう!」


睦月「!?」


提督「??」


ー工廠ー


五月雨「着きました!」


提督「本庁舎から徒歩5分…何で敷地ばかり広いんだこの鎮守府は…」


五月雨「何せ雨の止まない地域なので…」


提督「理由になってない…」


睦月「それより、建造ですよ建造!!」


提督「睦月は建造のことは知ってるの?」


睦月「はい!とは言ってもあまり覚えてませんけど…」


提督「へ~」


提督「それでこれはどう使うの?」


五月雨「これが建造する機械です!」


建造機「」


提督「…一人用のpod?」


五月雨「違います。このパネルで建造に使う資材の数を決めます」 


五月雨「そしたらこのpod…じゃなかった建造機に資材が入ります」


五月雨「後はこのレバーを引いて建造開始です!」


睦月「成る程~」


提督「じゃあ早速やってみるか」


五月雨「どうぞ」


睦月「楽しみですね!」


提督「建造機はこれだけなの?」


五月雨「そうみたいですね」


提督「ふーん、まぁいいや。このパネルで資材の数を決定…と」


提督「全部1」ピ


五月雨「ちょちょちょちょちょちょ…」


建造機「」ガコン


提督「おっ、建造機に資材が入った」


五月雨「待って待って待って…」


提督「レバーを引いて建造開始!」ガコン


五月雨「あ~~~~~~~~っ!」


睦月「五月雨ちょっとうるさいですよ」


五月雨「提督ダメです!あまりにも資材が少量だと壊れちゃいますよ!!」


提督「ヴィッ!?」


睦月「嘘⁉」


五月雨「本当です!だから最低30って決まってるんです!」プンプン


提督「そんなこと言われてないぞ!」


五月雨「いや…そうですけど…」


提督「終わるまで大体20分待てばいいのかな?」


睦月「そうみたいですね」


五月雨「たまたま機能したみたいですが、これ以上建造機に負担をかけないようくれぐれも気をつけてくださいね?」


提督「この高速なんたらを使ってみるか」


睦月「スイッチオン!」


ゴオオオオオオオオオオオオオ


五月雨「言ったそばからですね…」


ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン


ーーー


明石「…もう大丈夫です。お大事に」


提督「はぁ、酷い目にあった…」


五月雨「提督が忠告を聞かないからですよ…」


提督「すんません」


睦月「ダメですよ!提督」


五月雨「睦月もです」


睦月「すんません」


提督「それで…建造は失敗?」


五月雨「大失敗ですよ。建造機も多分壊れましたよ」


提督「あかん」


睦月「結構余裕ありますね提督」


提督「…とりあえず工廠いくか」


五月雨「そうですね…」


ー工廠ー


提督「やれやれ酷い有り様だねぇ」


五月雨「建造機は…」


鉄屑「」


五月雨「やっぱり…他の機械もろとも粉々になってます」


五月雨「もう使えませんよこれ…」


提督「そんな~」


睦月「…?」


睦月「提督、五月雨」


五月雨「はい?」


提督「どうかした?」


睦月「あそこ、誰かいませんか?」


提督「気のせいだろ」


五月雨「一蹴」


睦月「…」トテトテ


五月雨「これ、どうしますか?阿武隈さんに知られたら大変ですよ?」


提督「内緒にしておこう」


五月雨「そうしましょう」


阿武隈「何を内緒にするって~?」  


提督・五月雨「「!?!?」」


提督「あっ…」ビクビク


五月雨「阿武隈…さん…」ビクビク


阿武隈「」ゴゴゴゴゴ…


提督「し、深海棲艦の襲撃だ!」


げ☆ん☆こ☆つ☆


提督「」チーン


阿武隈「もおおおおおお!!何てことしてくれたんですかああああああ!!」


阿武隈「これじゃあ建造できないじゃないですかあああああああ!!」


阿武隈「五月雨ちゃんも何で提督に説明しないんですかあああああ!!」


五月雨「…ゴメンナサイ」ホソボソ


阿武隈「提督と五月雨ちゃんはこれ…」


睦月「提督!五月雨!」


提督「ん?」


五月雨「何ですか?」


睦月「ここ!艦娘が倒れてます‼」


五月雨「???????」


ーーー


明石「私の出番多いですね」


大井「はーい」


明石「帰れ」


大井「はーい」トボトボ


五月雨「それで?あなたは本当に艦娘なんですか?」


三日月「はい…三日月といいます」


提督「ほら、建造は失敗じゃなかったね」


阿武隈「失敗じゃないけど失敗です」


三日月「あの~」


提督「あぁはいはい何?」


阿武隈「返事適当…」


三日月「何で私は医務室にいるんですか?」


五月雨「三日月が工廠内の爆発にまきこまれたからですよ」


三日月「えぇ…(困惑)」


提督「まぁ艦娘は増えたし結果オーライじゃん。早速だけど三日月、書類手伝ってくれ」


三日月「私そのためだけに呼ばれたんですか⁉」


提督「そうだよ」


睦月「そうですよ」


三日月「」


睦月「良かったですね提督。三日月が手伝ってくれるって」


三日月「言ってません!!」


睦月「しりません」


三日月「えっ…」


五月雨「そんなことはおいといて、残りの書類も終わらせましょう!」


提督「よしきた!」


阿武隈「提督はその前にお説教ですけどね」


提督「えっ…?」


阿武隈「」ゴゴゴゴゴ…


提督「誰か‼助けて‼」


~~~


五月雨「…ってことがあったんです」


陽炎「これの何処がほのぼのなのか教えてほしいのだけれど…」


提督「いやほのぼのだな」


睦月「ほのぼのにゃしい」


陽炎「ごり押し!?もっといい言い訳あったでしょ‼」


睦月「だってほのぼのだったしね」


陽炎「まだやるか!!」


Troublesome



三日月「司令官!お早うございます!」ドアガチャ


提督「お早う」


五月雨「おはよー」


睦月「お早うです!」


バサッ


阿武隈「今日の書類です。どうぞ」


提督「…oh」


睦月「今日は一段と多いですね…」


大井「はーい」


睦月「帰れ」


大井「はーい」トボトボ


三日月「でももう書類仕事には慣れましたですし、これくらいなら大丈夫です」


提督「そうだね。頑張ろう」


三日月「はい!」


五月雨「(…提督がこの鎮守府に着任して1ヵ月。遠征と演習を繰り返し、先日鎮守府前の海域を見事完全に制圧しました)」


五月雨「(未だに艦娘は私と睦月と三日月の三人だけですけど楽しくやれています。ちなみに出撃すれば艦娘がたくさん着任するという話がありますが、あれは迷信です)」


五月雨「(…ただ、ひとつ問題が…)」


ーーー


阿武隈「演習はじめー」


ドガアアアアアアアアアアン


三日月「」チーン


睦月「よっわ~秒殺しちゃった~」


提督「うーん…中々よくならないなぁ…」


三日月「面目ないです…」


提督「やっぱり三日月に戦闘は無理なんじゃないかな?」


三日月「」ガーン


阿武隈「あたし的には絶望的に戦闘センスがないと思います」


大井「僕もそう思います」


阿武隈「帰れ」


大井「はーい」トボトボ


三日月「私…艦娘なのに…」


五月雨「でもほら、艦娘は戦闘だけが仕事じゃないよ?遠征とか提督の補佐も立派な艦娘としてのお仕事だよ?」


三日月「」


阿武隈「どうやらショックが激し過ぎたみたいです」


提督「どうにかならんのか…」


元帥「艦隊運営は順調かね?」


提督「ぼちぼちだよ…。ちょっとした問題にぶつかって…って元帥⁉」


元帥「やぁ鈴原…じゃなかった悠久提督君。それにしても相変わらずここは降ってるねぇ」


大淀「こんにちは」


阿武隈「大淀さん⁉」


提督「元帥どうしてここに⁉傘はどうしたんですか⁉傘は‼」


元帥「傘?あぁ、車に忘れた」


提督「何で途中で取りに戻らない!?通勤中じゃないんだぞ⁉」


元帥「まぁいいじゃないか。それより悠久提督君、君に用事があるんだ」


提督「私に用事…ですか?」


元帥「そう、だからちょっと時間いいかな?」


提督「はい!それなら中へ…」


元帥「いや、ここでいいよ」


提督「えっ?そうですか…?」


元帥「うん、集会の連絡だから」


提督「電報使え‼」


ー大本営ー


提督「…」


提督「…」


提督「…元帥…遅い…」


提督「いったい何しているんだ…」


提督「…」


ドアガチャ


提督「きたか⁉」

 

立花(高層提督)「失礼しマッチョ~」


提督「お前かよ‼」


立花「うおっ鈴原じゃないか、どうしてここに⁉まさか元帥に呼ばれたのか⁉」


提督「立花…お前もか…」


立花「ブルータスみたいにいうなよ…別に裏切ったりしないから…」


提督「さぁ?どうだか」


立花「それよりお前は最近どうだ?」


提督「う~ん…あまりよくないなぁ…」


立花「はぁ?」


提督「なにせ艦娘の数が少ないんだよ」


立花「あぁ…そういうこと…」


提督「そういうことだ」


立花「でもまぁ…大丈夫だぞ」


提督「…?何が?」


立花「聞いてないのか?」


提督「うん」


立花「実は…」


相馬(要塞提督)「失礼しマッチョ~」ドアガチャ


提督「相馬お前もか‼」


相馬「ブルータスみたいに言わないでよ~別に裏切ったりしないわよ」


立花「俺と同じ事いうなよお前…」


相馬「発言くらい自由にさせてよ」


提督「ノックくらいしろよ!!」


相馬「あら?鈴原君に立花君じゃない!久し振りねぇ」


立花「今気づいたのか…」


提督「そういや相馬は何処鎮守府になったの?」


相馬「要塞鎮守府ってところよ。防衛設備は揃っているんだけど広くて迷うのよ~」


立花「俺も行ったことあるけどありゃあ迷うぜ」


提督「へぇ~それで立花は?」


立花「俺は高層鎮守府ってところだけどあれおかしいよ。執務室が3000M上空にあるんだよ。クソ寒いし息苦しい」


相馬「…大変ね」


立花「お前は何処なんだっけ?」


提督「悠久鎮守府。常に雨降ってる以外何もないよ」


相馬「部屋干し必須ね」


立花「だからそんなびしょびしょなのか」


提督「そうだよ」


相馬「それで?何で皆がいるの?」


立花「元帥に呼ばれたんだ」


提督「相馬もそうなの?」


相馬「私もそうなの」


立花「元帥…いったい何の話があるってんだ」


元帥「揃ったようだな」ヒョコ


提督「うわなんかでた」


立花「元帥!?何で天井から出てくるんだ⁉」


元帥「別に何処からでもいいだろ?」


立花「まぁいいや。それで俺達に何の用なんだ?」


けど「そうだねぇ…じゃあまず最初に君達に報告があるんだ」


提督「報告?」


立花「何だ?」


元帥「要塞鎮守府の相馬君、中佐に昇格~~~!」


提督・立花「「ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ」」


相馬「いえーい!」


元帥「という訳で」


立花「まてまてまてまて!!!」


立花「さすがに早過ぎだろ‼まだ1ヵ月だぞ‼」


提督「そうだそうだ!」


立花「それに俺を差し置いて出世なんて許さんぞ‼」


提督「私情じゃねぇか‼」


立花「うるせぇ!足パンチ!!」ドゴッ


提督「ごふっ!!」


相馬「喧嘩しないの‼」


元帥「(足パンチて…)」


大和「…」


提督「ギャーギャー」


立花「ギャーギャー」


大和「…」スタスタ


げ☆ん☆こ☆つ☆


ーーー


立花「すまんな」タンコブ


提督「ええんやで」タンコブ


相馬「やさしいせかい」


元帥「やさいせいかつ」


大和「はぁ…」アタマカカエ


提督「で、相馬が中佐になったって報告だけですか?」


相馬「こら!もう私は上官よ!呼び捨てやめなさい」


提督「さーせん」


元帥「…話を続けていいかな?」 


提督「あっ、すみません」


相馬「どうぞ」


元帥「では続けよう」


元帥「実は君達を呼んだのは別のことなんだ」


提督「といいますと?」


元帥「君達は闇悪(やみお)鎮守府を知っているかね?」


相馬「闇悪鎮守府…?」


提督「いえ…ありません」


立花「何か悪そうな名前だな…」


元帥「その鎮守府は10年前、艦娘側であったにも関わらず深海棲艦に寝返り、数々の鎮守府を滅ぼした鎮守府である」


相馬「裏切り…」


元帥「そうだ。我々はずっとこの鎮守府について調べていた。だがあれ以来姿を見せず、中々調査が進まないんだ」


相馬「そのことを知らせるために私達を呼んだってことね」


元帥「それもある。だが本題はそうではない」


一同「?」


元帥「今後の調査には要塞鎮守府調査にも加担していただきたい」


相馬「!!」


提督「何だって⁉」


立花「闇悪鎮守府の調査に…要塞鎮守府が加わる…?」


元帥「そうだ!いかんせん数が足りないのでね。やってくれるかな?」


相馬「いいですよ♪」


提督「いいんだ…」


相馬「えぇ、私達の艦娘ちゃん達にかかればお茶の子さいさいよ~♪」


立花「お前のその溢れんばかりの自信は何だ…」


相馬「うふふ」


元帥「いや~助かるよ。それじゃあよろしく」


相馬「お任せを」ピシッ


立花「…それで、俺が呼ばれた訳は?」


元帥「あぁそうだそうだ立花君、君には叢雲の捜索を頼みたいんだ」


立花「叢雲…?」


元帥「忘れたのかい?初期艦の一人だったのだがね」


立花「…いたっけ?」


相馬「…さぁ?」


元帥「ほら、この艦娘だけど…」写真サシダシ


立花「…あ~~っ!いたわこんな艦娘」


提督「俺も思い出した!!」


相馬「あら、かわいい娘ねぇ♪」


立花「お前は思い出してないんかい!!」


元帥「…まぁともかく頼めるかな?」


立花「…それくらいなら大丈夫ですけど…」


元帥「よし決まりだね」


元帥「で、最後だ。鈴原君にも頼みたいことがあるんだ」


提督「私にも…?何でしょうか?」


元帥「艦娘達の世話を頼みたいんだ」


提督「艦娘達の世話…?」


相馬「どういうことなのかしら?」


元帥「というか君の鎮守府に派遣させたいというべきかな?」


提督「…元帥?何故わざわざ私に頼むのですか?」


元帥「…こっちにも色々あるんだ」


提督「はぐらかされた!」


元帥「明日着任させる予定だからよろしく」b


提督「元帥⁉」


立花「まぁいいじゃないか鈴原。お前のところもまだ戦力不足だろ?お前にとっても都合がいい話だろ?」


提督「まぁそう何だけど…何かしっくりこないというか…」


立花「ちなみに俺の鎮守府の山城もお前のところに世話になる予定だからよろ」


提督「立花ァ‼」


相馬「wwwwwww」


元帥「さて、これでもう用事は済んだよ」ポーイ


コトン


提督「ん?」


立花「何これは?」


バシュッキィィィィィィィィン


立花「ぐわあああああ!!目があああああ!!」


提督「耳があああああ!!」


相馬「スタングレネイドよ‼」 


一同「のわああああああああああああ!!!」


ーーー


立花「うぅ…何なんだいったい」


相馬「目がよぼよぼするわぁ…」


立花「って…あれ…?」


立花「元帥がいない!?」キョロキョロ


提督「!?」キョロキョロ


提督「本当だ…」


相馬「いなくなってるわね」


立花「何処行ったんだあのじじい…ん?」キョロキョロ


大和「うぅ…」


提督「あれ?元帥のところの大和さんはまだそこにいるけど?」


大和「…はっ」


大和「…」キョロキョロ


大和「しまった!出遅れた!」ドタバタ


シーン…


提督「…」


立花「…」


相馬「…」


相馬「…ん?何か落ちてるわね」


提督「箱が3つあるけど…一人1つってことかな?」


相馬「開けてみよう」パカッ


提督「何が入っているの?」


相馬「…スタングレネイドが20こほど」


立花「…」


提督「…」


相馬「…」


立花「…帰ろっか」


相馬「えぇ」


提督「そうだね」


☆翌☆日☆


五月雨「提督、この書類を終わらせました。確認お願いします」ドサッ


提督「はーい」


トントン


提督「…?誰だ?入っていいよ」


ドアバンッ


瑞鶴「お早うございます!」


提督「何だお前!?」


瑞鶴「早速だけど、爆撃だよ‼」 


睦月「は?ちょ…」


瑞鶴「3」


五月雨「えっ?」


山城「2」


三日月「何?何なの!?」


夕張「1」


提督「まてまてまてまて」


瑞鶴夕張山城「発艦!!!」


ドドドドドドドドドド


提督「のわあああああああああ!!!」


五月雨「ひゃあああああああああ!!!」


睦月「にゃしいいいいいいいい!!!」


三日月「ひょあああああああああ!!!」


ドガアアアアアアン…


一同「」チーン


瑞鶴「…って、あれ?」


山城「のびてるじゃない」


霧島「ちょっとちょっとちょっと!!」


霧島「何やっているんですか‼」


熊野「提督?皆さん?きこえますか?」


提督「…」


熊野「…」フルフル


霧島「あ~~っもう‼」


霧島「これで司令達が怪我でもしたらどうするんですか‼」


山城「これくらいで怪我するのが悪いんじゃない」


扶桑「山城、そんなこと言ってはダメよ」


山城「はい!お姉様!」


瑞鶴「おい…」


夕張「仕方ない、この携帯用高速修復材で…」ドバドバ


提督「…」


提督「生き返った!」


夕張「ね?」


霧島「ね?じゃないでしょ‼」


三日月「はぁ、酷い目にあいました…」


霧島「ごめんなさい皆さん」


三日月「まぁいいですけど何ですかあなたたちは…」


瑞鶴「私達は今日この鎮守府に着任することになった瑞鶴よ‼」


扶桑「扶桑です」


山城「妹の山城です…」


夕張「夕張です!」


霧島「…霧島といいます」


熊野「熊野ですわ‼」


提督「…あぁ、君達が昨日元帥からきいたあの艦娘か…」


五月雨「えっ?じゃあ皆さんが派遣された艦娘なんですか⁉」


瑞鶴「そのとおり!」


三日月「派遣っていうより左遷って感じじゃないですか。どう見ても厄介者ですよ」


提督「三日月、そんなこと言ってはダメだよ」


五月雨「そうですよ。それにこれからは同じ悠久鎮守府の仲間なんですから仲良くしなきゃですよ」


三日月「そうですね、すみません」


霧島「いえいえ、こちらも失礼しました…ん?」チラッ


五月雨「…?」


霧島「あなたは…?」


五月雨「私?」


霧島「まさか…サウスダコタ⁉」


夕張「違う!あの艦娘は駆逐艦五月雨ですよ」


霧島「何だ良かったです」


五月雨「…?えっ?えっ?」オドオド


提督「…はぁ、随分キャラの強い艦娘達が着任したんだなぁ…」


五月雨「…あれ?そういえば阿武隈さんは?」


三日月「そういえばみないですね」


提督「変だな…こんなに艦娘が着任するんだから通達に来るはずなんだけどなぁ」


瑞鶴「阿武隈って?」


提督「この鎮守府の任務娘だよ。黄色い触角みたいな髪型している艦娘で…」


熊野「あぁ、そういえばそんな艦娘からこれを渡すよう頼まれましたわ」スッ


提督「阿武隈から…?」


五月雨「手紙ですか…?」


『皆さんへ

  たびにでます

  さがさないでくだちい

  らいげつにはもどります

         あぶくま』   


提督「…」


五月雨「…」


三日月「えぇ…」


睦月「先手で失踪しちゃったよ!!」


五月雨「提督…どうしましょう…」


提督「…何とかするか…」


扶桑「提督…大丈夫かしら…?」


瑞鶴「何か面白そうな鎮守府じゃない!」


山城「いいわねあなたは楽観的で」


瑞鶴「え~っ?そう?」


山城「どうせここの提督も私達をボロボロになるまで搾取されるに決まっている…不幸だわ…およよよよ…」


瑞鶴「山城が悲観的過ぎじゃないの?」


山城「…確かに!」


瑞鶴「でしょ~?」


山城瑞鶴「あっはっはっはっは」


睦月「何だあいつら(素)」


霧島「途中、自分のお姉様話で仲良くなったみたいですよ」


提督「へ」


瑞鶴「…で、翔鶴姉がね?…」


山城「姉様もなんですよ」


瑞鶴「本当?」


山城「そうなんです。それに姉様は…」


瑞鶴「あ~あるある!翔鶴姉だってね…」


五月雨「…本当に仲が良いんですね」


提督「まぁ変にギスギスされるよりいいだろ」


山城「まぁ姉様には劣りますがね」


瑞鶴「は?」


瑞鶴「おいこらてめぇ私の翔鶴姉を悪く言っただろおい」


山城「事実です。姉様以上に素敵な艦娘はいませんから」


瑞鶴「お?やんのかズイズイ」


山城「この私に…勝てると思いますか?」


瑞鶴「この私を越えることはできぬ!!」


熊野「ちょっとちょっと山城さんに瑞鶴さん!!」


提督「はぁ…」


ドガアアアアアアアアン


三日月「結局こうなるんですかああああああああ」


ーーー


大和「…提督」


元帥「何だ?大和よ」


大和「本当に彼らに頼んで良かったんですか?」


元帥「昨日の集会のことか?」


大和「…彼らは、着任してまだ1ヵ月ですよ?」


大和「あの任務がどういったものかは提督もお分かりでしょう?」


元帥「…まぁな」


大和「提督は…彼らを捨てるおつもりですか?」


元帥「大和…勘違いするな…」


大和「…」


元帥「確かに…あの任務は新米の彼らには荷が重い任務であることは百も承知だ」


元帥「だが、それでも要塞鎮守府はそれに見合うほど急速に力をつけている」


元帥「立花君には高層鎮守府という既に戦力が整っている鎮守府に着任させた」


元帥「悠久鎮守府には阿武隈を任務娘としておいた」


大和「…」


元帥「私も彼らを捨てるつもりはない。だがこのままではダメなんだ」


大和「…」


元帥「…半年」


大和「…えっ?」


元帥「半年以内には…何かしら決着がつくはずだ…」


気遣いとかそういう概念がない



提督「…スパイ?」


三日月「はい、どうやら別の鎮守府から深海側のスパイがみつかったみたいなんです」


五月雨「何時の話なの?」


三日月「つい先週です。そのスパイは鎮守府を拠点として情報を深海棲艦に流していたようです」


提督「艦娘に成り済まして情報を漏洩させるのか…恐ろしいなぁ」


三日月「あっ、いえ、別に成り済ましって訳ではなくて、あくまで深海棲艦に洗脳されていただけだそうです」


五月雨「そうだったんですね…」


睦月「とはいえ私達も無関係な話ではないですよね…」


三日月「はい、それに私はこの鎮守府にもスパイがいるのではないかと考えています」


五月雨「えっ⁉」


睦月「この鎮守府に⁉」


提督「何故そう思うのかな?」


三日月「明確な根拠はありません。ただ、先日急に多くの艦娘が着任して、この悠久鎮守府の戦力が整いました。ですが何故ここまでするのかわからないんです。私には戦力増強以外にも何か目的があるように思えてならないのです」


五月雨「うーん…。私はただの左遷だと思うけどなぁ…」


提督「やっぱ左遷ってことになっているのね…」


睦月「でも扶桑さんとか熊野さんとか、左遷する理由がわからないような艦娘もいますよ?」


五月雨「そっか…そういえば睦月とか何処からきたのかわからないし…そうなのかなぁ…」


睦月「ちょっと五月雨‼睦月を疑っているんですか⁉」


五月雨「いやいや!そんなことはないよ!」


睦月「そういう五月雨だって、スパイじゃないって決まった訳じゃないでしょ‼」


五月雨「え~っ!?」


アイヤアイヤ

ナンダカンダ

ムッコロス


提督「いや…やめよう」


五月雨「…提督?」


提督「別にこの鎮守府にスパイがいるって決まった訳じゃない。それに何の確証もなしに犯人探しするのも野暮だとは思わないか?」


五月雨「確かにそうですね…ごめんなさい」


提督「あぁ、とはいえ警戒するに越したことはないな…五月雨」


五月雨「はい!」


提督「鎮守府の艦娘全員の経歴を調べてくれないかな?明石や阿武隈も含めて」


五月雨「わかりました!五月雨にお任せください!」トテトテ


ドアガチャ


提督「睦月は遠征ね、三日月も」


三日月「えっ?今日は私もなんですか?」


提督「うん、仕事が少ないからね」


睦月「はい!改二になった睦月の改二ぱうわーをお見せします‼」


提督「しなくていいです」


トテトテ

ドアガチャ

バタン


提督「…ふぅ」


提督「(…俺がこの鎮守府に着任してより4ヵ月…阿武隈はまだ帰ってこないけれど艦隊運営も安定してきた…。派遣(左遷?)された艦娘達も随分馴染めてきた…。特に問題ないだろうと思っていた矢先にこれか…艦娘同士で疑心暗鬼になることだけは避けたいが…てか阿武隈本当に何時帰ってくるんだよ)」


提督「(しかし…俺が見る限り艦娘に何か問題があるようには思えない。まぁそこんとこ上手くやるもんなんだろうけど)」


提督「(強いて問題があるとすれば瑞鶴が不定期で爆撃に来ることくらいだが…)」


ドアバンッ


瑞鶴「提督さん!お早う!」


提督「しまった!!」


瑞鶴「いきなりだけど爆撃だよ!」


ドガアアアアアアアアアアアアアアン


提督「あかーーーーーん!!!」


ー資料室ー


五月雨「えっと…これと、これと…あとは…夕張さんの資料もないから…あっ、あった!これだってあぁっ!!」


ドサドサドサ


五月雨「あ~…資料が崩れてしまいました…」


五月雨「…と、早く提督に報告できるようにしなきゃ」


五月雨「片付けは後でいっか」


ーーー


五月雨「…ということで、皆の身元を調べてきました!」ドサッ


提督「ありがと」ペラペラ


提督「…うん、まぁ特に怪しいところはないね。そりゃそうか」


提督「ちょっと神経質になりすぎたかな?」


五月雨「いえ、スパイが送り込まれているかもしれないとわかった以上、疑心暗鬼になるのも仕方ないと思います」


提督「そう…」


提督「まぁスパイのことにも気をつけつついつも通りにしていればいいか」


五月雨「そうですね!」


五月雨「ところで提督…」


提督「ん?」


五月雨「さっきから思ってたんですけど…」


五月雨「何でそんなにボロボロなんですか?」


提督「…」


ドアガチャ


睦月「タダイマ…」


提督「おかえり、どうしたの睦月?顔色がお笑いだぜ」


五月雨「何だか顔色が変よ?」


睦月「フタリトモヒドイデス…」


三日月「どうやら具合が悪いみたいで…」


提督「そうなの?大丈夫か?」


睦月「ムツキハダイジョウブジャナイデス…」


提督「ダメみたいだな」


五月雨「恐らく、昨日改二になった影響だと思います」


提督「というと?」


五月雨「大きな改装をすると何か免疫力みたいなのが崩れて体調不良とかなるらしいですよ」


提督「どうした?急に適当な解説だな」


五月雨「だって私改二になったことないですしおすし…」


提督「(いじけてる…)」


三日月「(私もまだなんだけどなぁ)」


ーーー


三日月「と、いう訳で睦月は暫くお休みしてます」


三日月「睦月の迷惑にならないようにしてください」


一同「ぬー」


三日月「やる気のない返事しない!!」


夕張「じゃあ睦月ちゃんが元気になるように応援ソングを流します」


三日月「やめてさしあげてください」


瑞鶴「お見舞いとして雪見大福20こ送ります」


三日月「熱が上がってしまいます」


山城「ったく…文句が多いのよ…」ボソッ


大井「はーい」


山城「帰れ」


大井「はーい…」トボトボ


扶桑「山城?三日月ちゃんは睦月ちゃんのことを想って言っているのだからそんなこと言ってはダメよ?」


山城「はい!姉さま!」


瑞鶴「ちっ…」


三日月「…」アタマカカエ


五月雨「(三日月…大丈夫かな?…)」


ーーー


睦月「ウーン…」


睦月「ウーン…」


睦月「アタマイタイ…キモチワルイ…ツライ…」


睦月「…シマ」


睦月「略して秋津洲!!!」パンパカパーン


睦月「…ウーン…ウーン…」


ーーー


瑞鶴「ねぇ夕張さん」


夕張「ん?」カチャカチャ


瑞鶴「何かちょっと退屈じゃない?」


夕飯「退屈じゃない。私は新しい装置の発明に没頭中なの」ポヨポヨ


睦月「zzz」


瑞鶴「え~っ!カラオケでもしようか誘おうとしたのに」


夕張「提督とやってたら?」トペトペ


瑞鶴「提督さんは後で誘おうと思ってたの!!ってかどういうSEなのよ‼」


睦月「zzz」


夕張「関係ないでしょ‼提督誘ってればいいじゃない。ほら、帰った帰った」


瑞鶴「…」ムスッ


瑞鶴「…」トテトテ


瑞鶴「」ラジカセオキ


瑞鶴「」オンリョウボタンカチカチカチ


瑞鶴「」サイセイボタンポチッ


「「「デデン!!!デン!!!デデン!!デン!!!」」」


夕張「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」


睦月「に゙ゃ゙じい゙い゙い゙い゙い゙い゙!!!」


瑞鶴「~♪」


夕張「耳゙が゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」


睦月「」チーン


瑞鶴「~♪」


霧島「…」ゴゴゴゴゴ…


瑞鶴「あっ…」


げ ん こ つ ☆


瑞鶴「~~~っ」ジタバタ


五月雨「睦月~、夕張さ~ん、大丈夫ですか~?」トテトテ


夕張「ダメデス」


睦月「」チーン


霧島「全く…病人がいる近くで何考えているんですか‼」


瑞鶴「ファイ」


五月雨「睦月~、夕張さ~ん」


扶桑「瑞鶴さん?余り大きな音を出しては迷惑よ?」


山城「そうだそうだ!姉さまにあやまれー」


扶桑「あやまるべきは睦月ちゃんと夕張さんよ?山城」


山城「はい!」


瑞鶴「うぜぇ」


ー食堂ー


五月雨「霧島さんって優しいし強くてかっこいいですよね!この鎮守府に着任してくれてよかったです!」モグモグ


瑞鶴「私は全然よくないけどね。いたた…」


五月雨「憧れますよね」モグモグ


瑞鶴「私は全然憧れないけどね。いたた…」


五月雨「あんな風になりたいです」モグモグ


瑞鶴「私はそう思わないけどね。いたた…」


五月雨「完璧主義って感じですよね」モグモグ


瑞鶴「私は完璧じゃないけどね。いたた…」


瑞鶴「…ん?」


ーーー


明石「…体調はいかがですか?」


夕張「大分よくなりました」


夕張「熊野さんが運んでくれなかったらどうなっていたか…」


大井「僕もそう思います」


夕張「帰れ」


大井「はーい…」トボトボ


明石「何だったんですか一体…」


夕張「全く瑞鶴さんには困ったものですよねぇ」


明石「本当ですよ…彼女のお陰でこっちは苦労しっぱなしですよ…爆撃された箇所を修理するのも楽じゃないのに…」


夕張「お互い大変ですね…」


明石「そうですねぇ」


明石「…ところで夕張さんは今何を作っているんですか?」


夕張「ふっふっふっ…実はですね…」


夕張「タイムマシンですよ」ニヤッ


明石「タイムマシン⁉」


夕張「はい…と言っても完成はまだまだ先ですけどね」


明石「凄いですね…完成はいつ頃で…?」


夕飯「…2年はかかりますね」


明石「はぇ~すっごい」


夕張「前の鎮守府にいた時からずっと作っていたんですよ」


明石「成る程…」


明石「…」


明石「…あの、夕張さん」


夕張「何ですか?」キョトン


明石「もしよければ私にも手伝わせてください!」


夕張「ヴィッ⁉」


明石「オネシャス」


夕張「えっ⁉でも…本当に⁉」


明石「はい!タイムマシンなんて面白そうですし、それに…」


夕張「それに…?」


明石「ちょっといいですか?こっち」


夕張「?」


明石「実は私も今とある装置を作っているんですけど…」


明石「ゴニョゴニョ…」


夕張「!?」


明石「どうですか?」


夕張「…」


夕張「…いいですね」ニヤッ


明石「ふっふっふっ…」


夕張「ふっふっふっふっ…」


明石夕張「あーっはっはっはっは」


〈アーッハッハッハッハ


霧島「…」


霧島「(また何か企んでいるのね)」 


霧島「(まぁ迷惑かけなければいいけど)」スタスタ


霧島「(…あれ?)」


霧島「(資料室の扉が開いてる…)」


霧島「(誰かいるのかしら…?)」


霧島「…」キョロキョロ


霧島「…誰もいないみたいね」ガサッ


霧島「…ん?」


霧島「これは…?」ガサッ


霧島「五月雨さんに関する資料ですね」ペラッ


霧島「…」ペラペラ


霧島「…えっ?」


霧島「(こ…これは…)」


霧島「(まさか…いやそんな馬鹿な…)」


ー執務室ー


提督「びゃ゙ぁ゙あ゙ゔま゙い゙ぃ゙」


提督「やっぱり熊野が淹れた紅茶は一味違いますなぁ」


熊野「それ午後ティーですわ」


提督「えっ…」


熊野「冗談です♪」


提督「あぁ、そうだよね…びっくりしたぁ…」


提督「うん、おいしいよ」


熊野「ふふっ、それなら私も淹れた甲斐がありましたわ」


提督「ありがとね。わざわざ用意してくれて」


熊野「提督は紅茶派ってきいたので是非と思って用意致しましたわ」


提督「…まぁ緑茶も珈琲も好きだけどね」


熊野「えっ…?緑茶も…珈琲も好き…?」


提督「うん」


熊野「(´・ω・`)」


提督「(あれ?何か落ち込んでいる…)」


提督「それにしても…」


熊野「はい?」


提督「こうして熊野と話したのは初めてじゃないか?」


熊野「そうでしたわね」


提督「どう?ここの生活は」


熊野「私は好きですのよ?この鎮守府。紅茶仲間もできましたし、平和ですし…」


熊野「平和…?ん?あれ…?うーん…、えぇ…平和ですわね…」


提督「無理しなくていいぞ熊野。瑞鶴には後で叱っておくから」


熊野「いえ、ですが私がこの鎮守府を気に入っていますのは本当ですわ!だからこそ…」


提督「…?」


熊野「だからこそ…この鎮守府を守ってみせますわ!」


提督「はぁ…頼もしいな…」


熊野「(今度は…絶対に…)」


ドアガチャ


三日月「失礼します…あっ熊野さん」


熊野「三日月さん、ごきげんよう」ニコッ


提督「三日月、何かあったか?」


三日月「あっ、司令官にお知らせです」


提督「えっ?俺⁉」


三日月「はい」


提督「何だ何だ?」


三日月「新しいお仕事です」ドサッ


提督「」


提督「」


提督「」チラッ


熊野「」メソラシ


提督「…ねぇ熊…」


熊野「あらいけない!エステに遅れてしまいますわ!」ドタドタ


提督「おーーーーーーい!」


ー1週間後ー


三日月「で、スパイについてはもういいんですか?」


提督「うん。あれから1ヶ月様子見しているけど特にそれらしい行動はないみたいだしね」


三日月「そうですか。まぁ鎮守府内にスパイがいないに越したことはないですね」


提督「うん、それに…」


三日月「?」


提督「…この大量の書類を前に、いるかもわからないスパイについていちいち気にしてられないからね」


三日月「…司令官…理由付けしたかっただけなんですか…」


提督「…はぁ」


三日月「それより司令官、報告があるんですが…」


提督「おや?何だろう?」


書類「」ドサッ


提督「…」


三日月「大本営からです」


三日月「えーと、そろそろ出撃しろ…だそうです」


提督「…」


ーーー


瑞鶴「それで何処かもわからないところに突然放り出されたのね」


提督『人聞きの悪いこというなよ…それにただの南西諸島だよ』


瑞鶴「そもそも今更私達が来るようなところじゃないでしょ。他の鎮守府がとっくに制圧しているわよ」


五月雨「でも私達今まで全然出撃してなかったじゃないですか。ここで充分だと思いますけどね」


瑞鶴「そうじゃないわよ。これまでこの海域にどれほどの艦隊が出撃してきたと思っているのよ。もう深海棲艦もこないんじゃないの⁉『あそこめっちゃ艦娘おったし行くのやめようぜ』ってなってるわよ!?絶対意味ないってこの出撃」


扶桑「瑞鶴さん、あまり文句を言ってはダメよ?」


瑞鶴「だってほら見てよ‼さっきから全然敵いないし…」


艦娘「こんにちは」


一同「こんにちは」


艦娘「」スーッ


一同「…」


瑞鶴「…ね?」


提督『ねじゃないが』


瑞鶴「ほら、今すっごい普通に挨拶してたよ?近所の人とのコミュニケーションみたいな挨拶だったよ?」


夕張「いやだからってまだ深海棲艦がこない証明にはならないでしょう何言っているんですかあなたは!!」


瑞鶴「いーやこないね!絶対!」


五月雨「(…一体何が瑞鶴さんをそんなに引き立てているんだろう…?)」


五月雨「まぁいいじゃないですか。危険がない方が」


瑞鶴「それはそうだけどそうじゃないでしょ‼」


夕張「何がよ」


瑞鶴「出撃って言ったら…こう…激しい戦闘とかを期待するじゃない普通」


夕張「期待しませんよどれだけ好戦的なんですかあなたは…」


瑞鶴「それなのに今はさ…」


艦娘「こんにちは」


一同「こんにちは」


艦娘「」スーッ


一同「…」


瑞鶴「…ね?」


提督『ねじゃないが』


瑞鶴「ほら、今すっごい呑気に挨拶してたよ?登校中の小学生にする挨拶だよあれ!!」


霧島「いいじゃないですか。元気の良いこんにちは」


瑞鶴「教育番組じゃないのよ‼」


扶桑「瑞鶴さん、制圧した海域の警備も立派な任務よ?」


瑞鶴「私は哨戒任務にきたんじゃなーーい!!」


提督『瑞鶴!わがままいわないの!』


瑞鶴「だって…」


深海棲艦「こんにちは」


一同「こんにちは」


深海棲艦「」スーッ


一同「…」


瑞鶴「…ね?」


夕張「ねじゃないでしょあれ敵でしょ!!」


瑞鶴「えっ?」


深海棲艦「しまった!ばれた!!」


霧島「そりゃあばれるでしょ…」


五月雨「さりげなかったですね」


深海棲艦「くっそー!見破られては仕方ない!」


瑞鶴「何で気付かない前提なんだよ‼」


夕張「お前気付いてなかっただろうが!!」


深海棲艦「おい!聞いてるのか‼」


夕張「あぁはいはいごめんなさい」


深海棲艦「勝負だ!!」


ー1.41421356秒後ー


ドガアアアアアアアアアアン


チ級「あぁっ!!駆逐艦約50隻がやられた!」


瑞鶴「そんなにいなかっただろ!盛るな‼」


チ級「艦娘…なんて恐ろしい存在なんだ…」


熊野「霧島さんに至っては何もしてなかったですしね」


チ級「何て余裕なあのヒョージョー」


チ級「くっそー…こうなったら…潜水艦隊‼」


夕張「あっ、もう終わらせましたよ」


チ級「ええええええええ!?」


霧島「早」


チ級「あぁ…約80隻の潜水艦が…」


瑞鶴「私達よりすげぇじゃないの!!」


チ級「…」


扶桑「さっ、後はあの深海棲艦だけね」


チ級「…」


扶桑「…どうしました?」


チ級「…」


一同「…?」


チ級「…」


チ級「…ちょっと用事思い出した」


瑞鶴「爆・撃・斬!」


ドガアアアアアアアアアアアアン


夕張「斬るんかい!!」


ーーー


瑞鶴「はぁ…はぁ…」


熊野「手強い相手でした…」


霧島「深海棲艦…ここ最近で急速に力をつけているというのは本当だったのね…」


五月雨「違うと思います…」


???「(…)」


熊野「ほら、これで満足でしょう?」


???「(…)」


瑞鶴「うーん…物足りない」


熊野「物足りないんですか…」


???「(…)」


???「(…)」


???「(…ここで…こいつを殺せば…)」


主砲を五月雨に向ける


熊野「!!」


提督『避けろ五月雨‼』


五月雨「え」


???「」スッ


熊野「熊野キーック!」ドガッ


???「ぐっ!?」


扶桑「熊野さん⁉」


熊野「やっぱりいましたのね…」


???「…」


熊野「あなたは深海棲艦のスパイですね‼」


熊野「霧島さん!」


霧島「」


五月雨「…えっ?」


夕張「霧島さんが⁉」


瑞鶴「そんな…」


五月雨「本当…何ですか…?」


霧島「…」


五月雨「霧島さん!!」


霧島「…」


霧島「はぁ…」


霧島「後少しで五月雨を始末できたというのに…」


霧島「さすがに見積りが甘かったかしら…?」


五月雨「霧島さん…?」


五月雨「そんな…本当に…」


『ザザッ…』


三日月『今北産業』


提督『敵艦

 交戦

 勝利』


三日月『わかりました』


夕張「今伝えるべきはそれじゃないでしょ!!」


扶桑「霧島さん

 スパイ

 やばい」


三日月『うぇ!?霧島さんが深海棲艦のスパイ⁉』


霧島「はぁ…見破られたなら仕方ない…」


霧島「ここで皆さんを始末する他ないでしょう!」


ドーン


五月雨「夕張さん‼」


夕張「っ!!」ヒョイッ


扶桑「きゃあ!!」ドガーン


熊野「扶桑さん‼」


扶桑「大丈夫…大したことないです」


山城『姉さま!皆さん!早くその裏切り者をやっつけてください!』


瑞鶴「…仕方ない。それしかないよね…」


五月雨「そんな…霧島さんと戦うなんて…こんなことがあっていいはずがないじゃないですか!!」


熊野「ですがここで撤退したら情報が深海棲艦に渡ってしまいます!」


五月雨「…そんな…」


霧島「やっと戦う気になりましたか…」  


提督『気をつけて皆…人数不利な状況で勝負を仕掛けてくるんだ…霧島に何か勝算があるに違いない!』


瑞鶴「わかってる!だから小細工される前に倒すわよ‼」  


熊野「扶桑さん!」


扶桑「やりましょう」


熊野「とおおおおおう!!」ドーン


扶桑「やぁっ!!」ドーン


瑞鶴「爆撃ぃ!!」バシュッ


ドガアアアアアアアアアアアン


瑞鶴「!!」


夕張「やったか!?」


「…」


「…」


「…」


霧島「」


瑞鶴「!?」


瑞鶴「効いてない…?」


霧島「…ふふっ」


瑞鶴「く、くそっ…」 


瑞鶴「だだだだだだだだだだだぁっ」ドドドドドドドド


ドガアアアアアアアアアアアアアアアン


「…」


「…」


霧島「」


瑞鶴「…嘘…」


夕張「何で⁉何で全く効いてないの⁉」


三日月『いいえ!違います‼』 


五月雨「三日月…?」


熊野「何が違うんですの…?」


三日月『霧島さん、全部避けてます‼』


熊野「避けている⁉」


瑞鶴「回避化け物じゃないの‼」


霧島「わかったかしら?これが深海棲艦から授かった力よ」


瑞鶴「へ?」


霧島「私は深海棲艦からこのこの素早く正確で高度な計算能力を授かったのよ‼」


霧島「これによって少し先の未来演算さえできるようになったというわけよ!!」


夕張「ちょいちょい出てくる能力者何なの‼」


霧島「そう…これで私は完璧な存在になったという訳よ‼」


瑞鶴「何て恐ろしい奴…」


扶桑「このままではじり貧ですよ‼」


霧島「心配には及びませんよ扶桑さん」


扶桑「えっ…?」


霧島「そうなる前に倒されるからです!」サッ


霧島「」ドーン


夕張「なっ…」ドガーン


五月雨「夕張さん‼」


夕張「くっ…こっそり魚雷を発射したけどダメだったわ…」


霧島「私の高度な未来演算の前にはそんな小細工なんて無力ですと、わからないんですか?」


提督『魚雷の存在に気づかずにくらってしまうような間抜けな未来が見えたのか?』


霧島「あ?」


瑞鶴「余計なこと言わないでよ提督さん‼」


霧島「ふ、ふふ…面白いですね…殺されたいんですか?」


霧島「ならお望み通り、すぐにあなたの艦娘と一緒に始末してあげますよ」ドーンドーンドーン


瑞鶴「ひいいいいいいい!!」


熊野「とあぅ!!」ドガーン


扶桑「何で私の方にばかりくるんですかあああああああああ!」ドガーン


ドガーンドガーンドガーン…


夕張「これは…大ピンチですね…ははっ…」


五月雨「夕張さん気を確かに!!」


山城『ちょっと!!このままでは姉さまがやられてしまいますよ!!何とかしてくださいよ‼』


五月雨「一体どうすればいいんですか!!」


瑞鶴「提督さん‼何かいい作戦ないの⁉そっちの仕事でしょう‼」


提督『…ないこともないけど…』


提督『霧島に筒抜けだぞ…』


瑞鶴「じゃあ霧島に筒抜けになってもいい作戦を考えてよ‼」


提督『無茶言うなよ…一応あるけどさ…』


夕張「あるんかい!」


瑞鶴「何なの⁉その作戦って…!」


提督『五月雨‼』


五月雨「はい!」


提督『五月雨が霧島の攻撃を全て避けつつ接近して至近距離から砲撃して…』


五月雨「無理に決まってるじゃないですか‼」


霧島「wwwwwwwww」


霧島「それは大変ですねぇw至近距離からの砲撃なんてくらったらさすがに私でも厳しいですねぇw」


霧島「まぁ、せいぜいこんなものでしょう。無能な提督の考えた作戦じゃあ…」


五月雨「」ピクッ


霧島「いくら私が完璧過ぎたとはいえ提督として最後までしっかりしてほしいものですけどねぇ、所詮は弱小鎮守府の提督、無能は何処までも無…」


五月雨「おい…」


霧島「ん?」


五月雨「何処の誰が無能だって…?」


熊野「えっ?」


瑞鶴「五月雨…?」


霧島「な、何よ…私はただ…」


五月雨「まさか…」


五月雨「私の提督のことを言った訳じゃあ」


五月雨「ないよな?」ギロッ


霧島「っ!!」ゾクッ


五月雨「…提督」


提督『な、何かな…?』


五月雨「やります」


提督『えっ…?』 


五月雨「提督の作戦であの不届き者を倒します」


扶桑「嘘…」


霧島「そんなことできる訳…」 


五月雨「」ギロッ


霧島「」ビクッ


五月雨「…」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「ひっ…」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「このっ!」ドーン


五月雨「」サッ


扶桑「きゃあっ!」ドガーン


山城『姉さまーーー!!!』


霧島「よ、避けた⁉」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「これならっ!」ドーンドーン


五月雨「」サッ


扶桑「きゃあっ!ごふっ!」ドーンドガーン


霧島「はぁ…はぁ…」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「ち、近づかないで‼」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「はぁ…はぁ…(落ち着いて…霧島。私には高層な未来演算がある…これで五月雨の動きを演算すればいいのよ…)」


霧島「未来演算!!」


~~~

~~~


霧島「見えた…」


五月雨「…」ヨロヨロ


霧島「今です!!」ドーン


五月雨「!?」


瑞鶴「五月雨っ!!」


夕張「五月雨ちゃん‼」


熊野「五月雨さん‼」


提督『五月雨っ!!』


三日月『五月雨っ!!』


五月雨「あっ…」ツルッ


瑞鶴「転んだ⁉」


スカッ


瑞鶴「かわした⁉」


ドガーン


五月雨「あ~~~っ!!」ポーン


瑞鶴「ぶっ飛んだ⁉」


五月雨「いてっ」バシャッ


五月雨「あっ」


霧島「えっ?」


「…」


「…」 


五月雨「あっ」ドーン


霧島「ふぐっ」ドガーン


瑞鶴「五月雨さんが至近距離で砲撃を当てた⁉」


提督『ふぅ…どうやら上手くいったようだな』


熊野「一体どういうことですの⁉何故五月雨さんは霧島さんに攻撃をすることができたのですの!?」


「…」


三日月『そうか!!』


瑞鶴「どうしたの?」


三日月『プライドが高く自分の意見を曲げない霧島さんに、怒った五月雨の圧力によって怖じ気づかせ、五月雨は強いという先入観を持たせることによって無意識に自分が思った結果になるように計算させていたんですね!』


三日月『さっすが司令官!完璧主義の真相心理をついた素晴らしい作戦です!』ユビパッチン


瑞鶴「よくわからないけど、これで霧島は思うように動けないわね!」


霧島「くっ…」


瑞鶴「いくわよ~」


瑞鶴「せーのっ」


瑞鶴「大・爆・撃☆」バシュッ


ドガアアアアアアアアアアアアアアアン


ーーー


提督「…それで、霧島は…?」


五月雨「医務室です。先程目を覚ましましたが記憶がなくなっていたそうです」


提督「そうか、まぁこれでスパイのことは今度こそ気にしなくて大丈夫かな?」


五月雨「気にはした方がいいと思いますが…何はともあれ霧島さんが正気に戻ってよかったです。今は熊野さんと仲良くしているようですし」


提督「君のお陰だよ五月雨。あの作戦が成功してなかったら今頃は…」


五月雨「…何か褒められた気にならないんですけど?」


提督「あはは…ごめんごめん」


ドアバンッ


憲兵「憲兵だ!」


提督「えっ?憲兵?」


五月雨「提督…何がやったんですか?」


提督「何もやってないよ!」


憲兵「提督殿に用があるのですが…」


提督「…えっ?俺?」


五月雨「提督…」


提督「そんな…俺何もしてないのに…」


提督「憲兵さん…俺は無実なんですぅ…」


憲兵「…」


憲兵「…」


憲兵「提督殿…」


憲兵「脱走した不届き者を捕まえました!」


提督「???」


憲兵「おい!つれてこい!」


ポーイ


阿武隈「」ドサッ


提督「阿武隈⁉」


五月雨「阿武隈さん⁉」


憲兵「それでは…失礼しました」ドアバタン


提督「…何だ…阿武隈をつれてきただけか…」


五月雨「人騒がせですね…」


提督「本当だよ全く…」


五月雨「もう…ん?」


提督「どうしたの?」


五月雨「あっ、この資料…資料室に戻し忘れてた!」


提督「あらら…俺も手伝おうか?」


五月雨「いえ、これ位なら大丈夫です!提督は戻ってお休みください!」


提督「そう…遅くならないようにね」


五月雨「はい!お疲れ様です!」


ドアバタン


五月雨「…さて、片付けるぞ~」


ー資料室ー


五月雨「…ふぅ、終わった」


五月雨「ちょっと遅くなっちゃったかな…そろそろ寝よう」ガサッ


五月雨「ん?」ペラッ


五月雨「提督に関する資料だ…」


五月雨「…」


五月雨「…機密ではないし見てもいいよね?」ペラッ


五月雨「…」ペラペラ


五月雨「…えっ?」


五月雨「…北内町…?」


ドクン…


五月雨「いや、えっ…?」


五月雨「(まさか…いや、違う…そんなはずじゃ…お願い!間違いであって…)」


『…の襲撃によって友人二名を失い…』


五月雨「」バサッ…


五月雨「そんな…」


ー海岸ー


「…」


「…」タッタッタ…


深海棲艦A 「…遅かったな」


???「申し訳ございません」


深海棲艦A 「まぁいい。それより霧島が失敗したらしいな」


???「…はい」


深海棲艦A 「全く、急にこんな弱小鎮守府に異動になったと思った矢先にこれだよ…。まさか勘づかれたか…?」


深海棲艦B 「回生鎮守府の奴にか?」


深海棲艦A 「恐らくそうだろうな。まぁ今はいい。それよりも…」


深海棲艦A 「霧島が失敗したんだ。一体どう責任とるっていうんだ?」


???「…」


深海棲艦B 「あんな弱小鎮守府じゃあ大した情報が集まらない。さっさと潰して他を当たった方が良いんじゃないか?」


???「いいえ、それはダメです」


深海棲艦B 「…何故だ?」


???「…霧島がとある情報を入手してきたからです」


深海棲艦B 「とある情報…?」


深海棲艦A 「それでお前の名誉挽回できるのか?」


???「ええ、できます」


深海棲艦B 「何⁉」


深海棲艦A 「随分自信があるな…して、一体どういった情報だ?」


???「…霊剣鎮守府の残党を見つけました」


深海棲艦A B 「「!?」」


深海棲艦A 「何だと⁉霊剣鎮守府の…?」


深海棲艦B 「その情報は間違いではないか⁉」


???「私は実際に彼女を見ていました。間違いありません」


深海棲艦A 「何てことだ…」


深海棲艦B 「10年前、我々深海棲艦が壊滅させた、当時最強と呼ばれた鎮守府の残党が…あれ以来ずっと重要任務とされていたのが、まさかこんなところで遭遇することになろうとは…」


深海棲艦A 「それでその艦娘は誰なんだ!」


???「この悠久鎮守府の秘書艦、駆逐艦五月雨です」


深海棲艦A 「成る程」


???「どう致しますか…?すぐにでも暗殺可能ですが…」


深海棲艦A 「いやダメだ!」


深海棲艦B 「何故だ?」


深海棲艦A 「相手はあの霊剣鎮守府の残党だ。何をしでかすかわからん。下手に動くより確実に仕留めたい」


深海棲艦A 「お前にこのマイクロカメラとマイクロ爆弾を渡す。これで艦娘提督達を葬るんだ」


深海棲艦A「頼んだぞ…扶桑…」


扶桑「お任せください…」ニコッ


Let's talk about the future together


提督「…幽霊?」  


瑞鶴「うん!昨晩ね、資料室の前を通った時にね、資料室の中から女性の声がきこえたの!『ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…』って」


提督「はぁ…スパイの次は幽霊か…大変だなぁ」


夕張「聞き間違いでしょ?瑞鶴の言うことだし」


瑞鶴「ちょっと!!」


提督「五月雨は昨晩資料室で寝落ちしたんだよね。そんな声聞こえた?」


五月雨「…」


提督「…五月雨?」


五月雨「…あっ!いえ!全然聞こえませんでしたよ?」


提督「五月雨、お前まさか寝不足なんじゃないだろうな?」


五月雨「ふぇふっ!?」ビクッ


山城「何ですか今の」


五月雨「別にそういう訳ではないですよ!絶対!」


提督「そう…」


瑞鶴「とにかくいるの!!幽霊なの!!」ジタバタ


提督「子どもか‼」


山城「私は幽霊とか信じないけどね…」


瑞鶴「むーっ!」


瑞鶴「じゃあどうするのよ‼もし本当に幽霊で、皆呪い殺されちゃったら!!」


夕張「大丈夫ですよ」 


瑞鶴「何で⁉」 


夕張「私の新しい発明品があるからです」パンパカパーン


提督「また変なの作ったのか」


夕張「変なのとは何ですか変なのとは!!」


夕飯「ちゃんと役立つものです」


夕張「例えばこれ!」


山城「…何これ?傘?」


夕張「攻撃にも使える傘です!」


提督「何それ魅力的」 


瑞鶴「男子がよくやるやつ!!」


五月雨「私達には必要ないですよ」


夕張「えぇーっ!五月雨ちゃんは気に入ると思ったんだけどなぁ…なら次はこれ!」


提督「まだあるのか…」


夕張「戦艦の力でも千切れないワイヤーを発射する矢、その名も『ワイ矢ー』」


瑞鶴「なめてんのか?」


夕張「キレた!?」


提督「いや、戦艦も千切れないってのは凄いけど…」


瑞鶴「爆撃した方が早い」 


夕張「そんな…なら…」


夕張「渦潮を起こせる主砲、渦潮砲に…」


夕張「艤装に取り付ける扇風機…」


山城「帰れ」


夕張「(´・ω・`)」


山城「全く…」


ドアガチャ


提督「誰だ?」


睦月「完全復活!パーフェクト睦月様です!」


阿武隈「完全復活!パーフェクト阿武隈様です!」


阿武隈「って何させるんですか!!」


睦月「勝手にやったんでしょ」


瑞鶴「あっ!睦月ちゃんに阿武隈さん!」


提督「もう体調は大丈夫なのか?」


睦月「はい!それどころか今まで以上に調子がいいです!これも改装の力ですね!」


山城「よかったわね」


提督「阿武隈も…」


阿武隈「はい!もう大丈夫です!」


提督「昨晩は随分ボドボドで帰ってきたからなぁ…ちょっと心配していたんだが、杞憂だったかな?」


阿武隈「ドックですぐに直せますから!」


提督「そっかそっか…それで、3ヶ月間何処いってたの?」


阿武隈「…」


睦月「提督ぅ、もういいじゃないですか。許してあげましょうよ」


提督「いや別に許してない訳じゃないよ。ただ3ヶ月間も憲兵に見つからずにどう暮らしていったのかなって…」


阿武隈「…」


提督「ねぇ阿武…」


阿武隈「再発防止に努めます」


提督「あっ、はい」


阿武隈「ところで提督、お手紙届いてますよ。大本営からです」


提督「おう。ありがとう」ペラッ


五月雨「…」


睦月「じゃあ五月雨、瑞鶴さんと山城さん、皆でunoしましょう!」


瑞鶴「おっ、いいね」


山城「はぁ…それで私が何回負けたと思っているのよ…」


瑞鶴「まぁまぁ…」


五月雨「…」


睦月「五月雨~?」


五月雨「あっ!はい何ですか?」


睦月「五月雨…今日何か変ですよ?大丈夫?体調悪い?」


五月雨「いや大丈夫です。大丈夫…」


睦月「…」


提督「のわあああああああああ!!」


一同「」ビクッ


瑞鶴「ど、どうしたの提督さん!?」


睦月「何があったんですか⁉」


提督「あぁ、来週集会があるみたいでな…」


瑞鶴「ふざけんな」


山城「ったく…人騒がせな…」


提督「すまそ」


ーーー


五月雨「…」


睦月「赤の5」


阿武隈「えっ…ない…」ペラッ


阿武隈「あっ、スキップ!」


山城「不幸だわ…」


瑞鶴「カラチェン黄色!」


扶桑「ん~…黄色黄色…青の7も一緒に、と」


夕張「青ね…はい、6」


熊野「リバースしますわ‼」


夕張「リバースか、ラッキー!黄色ね!」


熊野「黄色!?ありませんわ!!」ペラッ


熊野「うーん…パスですわ…」


霧島「では黄色と緑の8を」


三日月「カラチェンの青です!」


五月雨「…」


提督「五月雨、次は五月雨の番だよ?」


五月雨「あっ、ごめんなさい!青ドロー2」


提督「元気がない割にはエグいことするね…まぁ俺もドロー2あるけどさ…」


睦月「ドロー4でカラチェン黄色!危ない危ない…」


阿武隈「黄色でよかった…はいドロー2」


山城「はあああぁぁぁぁああ」+10


瑞鶴「あはは…どんまい、っとスキップでuno!」


夕張「早!」


扶桑「スキップってことは…私の番ではないのね」


夕張「私の番ですね。黄色の1」


熊野「緑の1ですわ‼」


霧島「緑はないわね…」ペラッ


霧島「あっ出た。緑の2」


三日月「青の2にします」


五月雨「リバース2枚です」


提督「じゃあ俺か。青の…5と赤の5だな」


睦月「赤はありますよ。スキップです!」


阿武隈「ありゃ」


山城「やっと私の番ね…。スキップよ」


瑞鶴「へ?」


扶桑「私は赤と黄色の9を出すわね」


夕張「リバース!」


扶桑「あぁ、ならスキップしましょう」


瑞鶴「ちょっ」


山城「4」


阿武隈「リバースです」


山城「またリバースするわね。緑よ」


瑞鶴「やめて~~~!!!!」


ーーー


山城「結局瑞鶴が勝ったのよね…」


瑞鶴「へへん!瑞鶴にはunoの女神がついてるからね!」


山城「unoの女神…?」 


扶桑「…」


~~~


『これで艦娘提督達を始末してくるんだぞ』


~~~


扶桑「…」


扶桑「ねぇ山城」


山城「はい!何でしょう姉さま!」


扶桑「提督の出張の日って次は何時だと思う?」


山城「出張?集会なら来週にやるらしいですけど…」


扶桑「(来週…それなら仕掛けるのはその日でいいわね)」


扶桑「わかったわ。ありがとう山城」


山城「やったぁ!姉さまに褒められた!」


瑞鶴「うぜ」


山城「声に出てますよ」


扶桑「…」


ー数日後ー


提督「はぁ、集会だるいなぁ…」


扶桑「残っている書類は私達がやっておきますから頑張ってくださいね」


提督「あぁ、扶桑がいてくれて助かるよ」


扶桑「ふふ、提督ったら。今日は遅くなるんですか?」


カァァァァァァァァン!!

マイクロカメラを提督の服に取り付ける


提督「ん~…夜までには帰ってこれると思うよ」


扶桑「そうですか」


キィィィィィィィィン!!

マイクロ爆弾を提督の服のポッケに入れる


提督「んじゃいってくるよー」


扶桑「はい。いってらっしゃい」


ドアバタン


ドォォォォォォォン!!

扶桑「これで万事OKだわ」


ー大本営ー


ザワザワ


ザワザワ


キムラサオマエササッキコッチミテタヨナ


ナンデミルヒツヨウアルンデスカ


オデモナカマニイレテクレヨ


ナンダコノオッサン


元帥「総員!静粛に!」


ピタッ


提督達「…」


提督達「…」


元帥「レモン1個に含まれるビタミンは…」


元帥「レモン1個分だ!」バーン


立花「話すことがないなら無理すんな!!」


~~~


リ級「くくく…扶桑よ、上手くマイクロカメラを仕掛けたな」


扶桑「当然です!それにマイクロ爆弾も仕掛けてやったさ!」


リ級「さぁ、今が提督達を葬るチャンスだ!早速スイッチを押せ!」


扶桑「はい」スッ


サッ


扶桑「!?」


リ級「どうした?」


扶桑「スイッチが消えました!」


リ級「は?」


扶桑「スイッチが消えました!」


リ級「2回言う必要はないんだよ‼スイッチ何処いったんだ!?」


睦月「ここです!」


リ級「何⁉」


睦月「これが提督に仕掛けた爆弾のスイッチですね‼」バキッ


リ級「何でここに艦娘がいるんだ!」


睦月「私が、扶桑と深海棲艦が会議しているところを目撃したのです!」


霧島「集会のことも嘘っぱちです!」


リ級「まさか…全てお見通しだったというのか!?」


五月雨「その通りです‼」


瑞鶴「提督さんに仕掛けられた爆弾も既に解除して外してあるのよ‼」


熊野「今回は私達の方が一枚も二枚も上手でしたわね!!」


リ級「くそっ!しくじったな扶桑!!」


扶桑「申し訳ございません」


山城「姉さま…」


山城「ごめんなさい。ですがすぐに洗脳を解いて元の姉さまに戻しますから!」


瑞鶴「山城…」


リ級「扶桑の洗脳を解くだと?ふふふ…」


熊野「何がおかしいんでしょう?」


瑞鶴「そんなことどうでもいいわ‼さっさとやっつけて扶桑さんを連れ帰りましょう‼」


一同「おーっ!」


リ級「出会え者!!」


深海棲艦「」ゾロゾロ


霧島「数が多い…」


大井「はーい」


霧島「帰れ」


大井「はーい」トボトボ


睦月「五月雨!早速あれをやりましょう!」


五月雨「あれ?わかった!」


リ級「行け!出会え者!」


五月雨・睦月「「ダブルデストロイアタック!!」」


ドゴオオオオオオオオオオン!!!!


瑞鶴「わわっ!凄い威力!」


熊野「今ので多くの深海棲艦を沈めましたわ‼」


睦月「実はずっと練習していたんです!」


霧島「いつのまにそんな必殺技を…」


瑞鶴「よーし!瑞鶴も負けてられないわよーっ!」


瑞鶴「てーい!」バシュッ


ドガアアアアアアアアアン


熊野「とおおおおおおう!」ドーン


リ級「ぐはっ!」


瑞鶴「よし!いい感じね‼」


扶桑「くっ…やってくれたわね…」


山城「姉さま!やっ!」ドーン


扶桑「きゃっ!!」


山城「ごめんなさい姉さま…すぐに戻しますから…だから…今だけ…」


リ級「戻す?くくく…何を言っているんだ?」


霧島「は?」


瑞鶴「どういうこと?」


リ級「扶桑はもう…戻らない」


山城「…えっ?」


熊野「戻らない…?」


瑞鶴「ちょっと!!それってどういうことよ!!」


リ級「不幸体質だな…洗脳を解くとそれまでの記憶が消える仕組みになっているのだが、まさか身体活動にまで影響を及ぼすとは…」


瑞鶴「何があるのよ…はっきり言いなさい!!」


扶桑「洗脳を解くと、扶桑は死ぬ」


山城「…えっ?」


扶桑「何それこわ」


山城「嘘よね…姉さまに限ってそんなはずは…」


リ級「事実だ。洗脳が解かれたら間もなくな」


山城「…」


五月雨「そんな…」


リ級「さぁどうする?お前の姉さまとやらを撃つか?」


山城「…」


熊野「山城さん!!しっかりしてください!このままではあなたがやられますわよ!!」


山城「…」


熊野「山城さん‼」


リ級「やれ」


扶桑「はい」スッ


熊野「くっ…」


ドーン


扶桑「きゃあ!」ドガーン


山城「姉さま!!」


リ級「貴様…」


霧島「邪魔です!」ドガ


リ級「うがっ!」


熊野「次で、仕留めます」


熊野「とおお…」


山城「止めてください!!!」ガシッ


熊野「おう!?!?」ドーン


睦月「五月雨!危ないです」ガバッ


五月雨「うわっ」ドサッ


ドガーン


睦月「うっ…」


五月雨「睦月!大丈夫⁉」


睦月「かすり傷です!」


熊野「山城さん‼何をいたしますの‼」


山城「止めてください!姉さまを撃たないで…」


熊野「山城さん‼離して…」


瑞鶴「二人とも落ち着いて‼」


リ級「…奴らが揉めてる今がチャンスだ。ここで仕留めるんだ」


扶桑「わかりました。今度こそ」スッ


五月雨「!?…えいっ!」ポーイ


リ級「何だこれは…?」キャッチ


五月雨「スタングレネイドです!」


リ級「何⁉」


バシュッキィーーーーーン…


リ級「ぐわっ!」




リ級「…奴らは何処へ?」


リ級「逃げられたか…この役立たずが‼」


扶桑「ひぃっ!!」ビクッ


ー鎮守府ー


ダァンッ


三日月「山城さん落ち着いて‼」


提督「山城!!気持ちはわかるが今は…」


山城「退いてください!!」ドン


提督「うわっ!」


三日月「司令官‼」


ガシッ


熊野「…何ですの?」


山城「何故姉さまを撃った!!!!」


提督「山城…」


三日月「山城さん…」


熊野「何を言ってますの?扶桑さんの洗脳を解く方法が、艤装にダメージを与えて瀕死にすることで艤装の緊急フィルターを作動させて扶桑さんの脳をクリーンアップするしかないんですのよ?」


熊野「それに山城さんは同意したのでしょう?」


山城「それは姉さまが助かると思ったからです‼ですがあの深海棲艦は姉さまは助からないと言いました!そんな状態で姉さまを攻撃するなんて…」


熊野「同じです!扶桑さんは洗脳を受けていて、私達と敵対しているのは間違いありません!そんな状態では姉さまが幸せになれないと言ったのはあなたです‼」


山城「熊野さんは姉さまをどう思っているんですか‼仲間でしょう‼なのに何でそんなことが言えるんですか…」  


山城「熊野さんは…私の姉さまを殺す以前に…仲間を殺そうとしたんです‼」


バチィィィン‼!!


山城「っ!?」ガタン


熊野「…」


三日月「山城さん‼大丈夫ですか⁉」


提督「熊野‼」


熊野「…もし扶桑さんによって私達が、この鎮守府危険に晒されるのならば…」


熊野「私は扶桑さんを殺します」


熊野「失礼します」コツコツ


山城「…」


山城「…く…」


山城「熊野ォッ!!!」ガァン‼


~~~


~~~


ー廊下ー


山城「…」スタスタ


瑞鶴「あっ、山城大丈夫?」


山城「…」ピタッ


瑞鶴「心配したよ。山城、自暴自棄になってないかって…」


山城「心配ですか…」


瑞鶴「うん…だってあんなこと言われたら、山城がどうなるのかなんてわかったものじゃないし…」


山城「…」


瑞鶴「それに…もし翔鶴姉が同じ状況になったら…私も山城みたいに…」


山城「わかったように言わないで!!!」


瑞鶴「」ビクッ


山城「瑞鶴は!別に知らんぷりしても翔鶴さんがどうにかなったりしないからいいかもしれないけど!こっちは姉さまの命が懸かってるのよ‼」


瑞鶴「…」ウツムキ


山城「瑞鶴に…私の気持ちはわからない」


瑞鶴「…ごめん」


山城「…」スタスタ


瑞鶴「…」


瑞鶴「(…私はどうすれば…)」


ー執務室ー


睦月「…提督」ドアガチャ


提督「何だ?睦月」


睦月「こんにちは」


提督「挨拶しただけか‼こんにちは!!」


三日月「ちゃんと挨拶は返すんですね」


提督「それより怪我は大丈夫なのか?熊野の砲撃が直撃したって五月雨が言っていたけど…」


睦月「もう…直撃してないですって!かすり傷です。問題ないです。」


提督「ならいいんだけどね」


睦月「提督、それより扶桑さんについてですが…」


提督「…」


睦月「提督は…どう思ってますか?」


提督「…」


睦月「…」


三日月「…」


提督「俺は…」

 

提督「…」


提督「どちらかというと熊野に賛成だ」


睦月「…」


提督「別にどっちが正しいとかそう言うことじゃないんだ。ただ、提督としては…どうしても…」


睦月「…そうですよね…提督も…本当は…」


提督「…」


三日月「そういえば山城さんは?」


提督「あぁ、鎮守府の近くの公園に行くとか言ってたな」


三日月「山城さん…心配です…」


ー公園ー


山城「…」スタスタ


山城「(…雨が降ってない地上も久しぶりね…)」


山城「…」


山城「(…姉さま)」


山城「…」


~~~


『もし扶桑さんによって私達が、この鎮守府危険に晒されるのならば…』


『私は扶桑さんを殺します』


~~~


山城「っ」ギリッ


山城「(何よあいつ…仮にも仲間だったはずなのに何であんなこと軽々しく言えるのよ…サイコパスじゃない!!)」スタスタ






山城「(…うん、わかってる…熊野さんが言っていることも少しは理解できるの…だけど…)」スタスタ


山城「…」ピタッ


山城「あんな言い方しなくてもいいじゃない…」ボソッ


山城「…」


山城「…はぁ」スタスタ


ズボッ


山城「!?」


山城「ちょっと何よこれ⁉」


山城「(落とし穴…?)」


イタズラ小僧3人組「うぇーいw引っ掛かった引っ掛かったw」


イタズラ小僧3人組「うぇーいwうぇーいw」


山城「…」


山城「(クソガキが…)」


山城「はぁ…不幸だわ…何処まで行っても不幸不幸不幸…何やってんだろ私…」


おばさん「こらーーーっ!」


イタズラ小僧3人組「げっ!?」


おばさん「あなた達またこんなことして!!!」


イタズラ小僧3人組「うわっ!逃げろ~~~!」ドタドタ


おばさん「全く…」


山城「」( ゚д゚)ポカーン


おばさん「あらごめんなさいね。怪我はない?」スッ


山城「はい。大丈夫です…」


おばさん「本当にごめんなさい。あの子達は私の教え子なの。でもイタズラばっかりの問題児で…」


山城「教え子…?先生なんですか?」


おばさん「えぇ、この近くのね。あっ、何か飲む?お詫びと言ってはなんだけど…」


山城「あっ、では緑茶を」


おばさん「緑茶ね。じゃあ私はこれにしようかしら」


山城「…」


山城「(…あれ?どうして私はこんなことしているんだっけ?)」


山城「(私はただ鎮守府から離れたくてきただけなのに…)」


おばさん「はい、これあなたのね。」


山城「ありがとうございます」


おばさん「ふふ、いいのよこれくらい」


山城「…」


おばさん「…本当ごめんなさい。やっぱり怒ってるわよね。さっきのこと」


山城「えぇ…まぁ…」


おばさん「そうよね。でもね、あの子達も悪い子じゃないの」


山城「…?あんなイタズラ小僧達が…?」


おばさん「確かにイタズラばっかりで迷惑ばかりかけてるけどね、あの子達なりの正義感?もあるのよ」


山城「正義感?」


おばさん「あの子達はね、支え合っているの」


山城「えっ?」


おばさん「誰かが困っていたら真っ先にに助けに向かうし、怒られるときはいつも皆で怒られにくるの。こんなにお互いに大切にしているなんて素敵じゃない?」


山城「…でもダメなことはダメじゃない」


おばさん「…そうね。でもだからこそ!私達教師が正しく導いてあげなきゃなのよ!それが教師ってものなのよ!」


山城「…」


おばさん「あなたにもやるべきことがあるんでしょ?艦娘さん」


山城「!!…気付いていたの⁉」


おばさん「そんな格好していたら誰だってわかるわよ」


山城「…私はには、何が正しいのかわからないんです。それで友人にも酷いことを言ってしまって…。私は一体どうしたら…」


おばさん「Never mind気にしないの」


山城「…えっ?」


おばさん「自分を信じるって意味よ。何をするにしても誰に言われようとも、結局は自分で決めるんだから、自分を信じないでどうするのよ」


山城「…」


おばさん「…まぁ自分の意思に関係なく勝手に体が動いたりしなければの話だけどね」


山城「!!(…そうだ。姉さまはもう自分を信じたりなんてできないんだ…。自分の意思じゃないから…)」


おばさん「あら、もうこんな時間。ごめんなさい。そろそろ行くわね」スッ


山城「あ、あの…」


おばさん「ん?」


山城「ありがとうございました」


おばさん「いいのよ。あなたも頑張ってね」


山城「…」


山城「はい!」


ーーー


提督「」カキカキ


三日月「」カキカキ


五月雨「提督、これ終わりましたよ」


提督「おっ、それじゃあキリもいいし今日はこれで終わりにするか」


三日月「そうですね」


五月雨「それじゃあお先に失礼します!」ダッ


提督「ぶつかるなよ」


五月雨「大丈夫です!」


ドアバンッ


五月雨「きゃあ!!」ゴツーン


提督「言わんこっちゃない」


明石「ごめんなさい!大丈夫ですか?」


五月雨「…はい、大丈夫です!」


明石「そうですか、よかった…」


提督「それで明石、何か用事でもあるのか?…たかり…?」


明石「私はヤンキーですか‼違いますよ!大変なんです‼」


明石「山城さんが…ひとりで出撃を…」


提督「何だって⁉」


三日月「山城さんが⁉」


五月雨「提督!この時に山城さんが勝手に出撃って…」


提督「あぁ、何か無茶なことをするに違いない‼」


ダダダダダ


瑞鶴「山城が出撃って⁉」


明石「瑞鶴さん‼」


提督「山城が勝手に出撃したんだ」


瑞鶴「…っ」


瑞鶴「」ダッ


提督「あっおい!瑞鶴!!」


三日月「司令官!」


提督「今すぐ瑞鶴と山城を追いかけよう!五月雨!睦月達を集めて!」


五月雨「はい!」ダッ


ーその辺の海上ー


山城「…」キョロキョロ


山城「…」キョロキョロ


山城「何処にいるの…?」キョロキョロ


???「おっと、よく会うな戦艦」


山城「!?」


リ級「昨日ぶりか?」


山城「…あなたに用はありません。姉さまは何処ですか」


リ級「扶桑か、会いたきゃ呼んでやるよ」パチン


ザバッ


扶桑「」


山城「姉さま…」


扶桑「山城、一人できたのね」


山城「姉さま、あなたを倒します」


リ級「ほう…お前にできるのか?お前の姉さまは死ぬことになるぞ?」


山城「…私は覚悟を決めました」


リ級「面白い。扶桑、失敗した罰だ。お前が奴を始末しろ」


扶桑「わかりました」


山城「…っ」


扶桑「」ドーン


ドーン ドガーン


山城「痛っ…くっ…」ドーン


扶桑「甘いわ山城!!」サッ


バシャアッ


山城「速っ…」


ガシッ


扶桑「私は深海棲艦に普通の艦娘では出せない程の力を授かったのよ‼」


山城「深海棲艦の力?」


扶桑「えぇそうよ!艦娘に深海棲艦の力を加えることでより強大な力を得ることができるの!こんな感じでね‼」ドゴッ


山城「うっ…」バシャ


扶桑「」ドーン


山城「っ」サッ

 

バシャアッ


山城「っやぁっ!!」ドーン


扶桑「くっ…」


山城「よし!今なら…」


扶桑「山城!」


山城「」ピタッ


扶桑「山城…」ウルッ


山城「姉さま…」


扶桑「…」


山城「姉さま…私…」


扶桑「」ニヤッ


扶桑「何て、嘘に決まってるでしょ‼」ドーン


山城「…しまった…!!」


山城「(そんな…私は…)」


ドガーン














山城「…」


山城「…」


山城「…あれ?」


山城「…私は…生きてるの…?」


瑞鶴「山城!山城!しっかりして!」


山城「…瑞鶴?」


山城「瑞鶴!?どうしてここに!?」


瑞鶴「山城が勝手に出撃したって聞いて…」


山城「…」


瑞鶴「…山城?」


山城「ごめんなさい…私…扶桑姉さまを…止められなくて…あれだけ偉そうなこと言っていたのに…いざやってみればこの様よ…」


瑞鶴「…」


山城「私じゃ…姉さまを止められない…」


瑞鶴「そう…」


山城「…」


瑞鶴「…代わる」


山城「…えっ?」


瑞鶴「私が代わる」


山城「な、何を言っているの⁉」


瑞鶴「私に…山城の気持ちはわからない。実際に山城と同じ立場になったことがないから」


山城「…」


瑞鶴「でも、山城が何を望んでいるのかはわかる」


瑞鶴「だから山城ができないなら私が代わるって言っているの!」


山城「…」


山城「お願いします…」


瑞鶴「…」


山城「姉さまを…助けてください!」


瑞鶴「…えぇ!任せて!」ニッ


扶桑「何が何だかわからないけど、瑞鶴あんたも一緒に沈めてあげるわ」


瑞鶴「やれるもんならやってみてよ!!瑞鶴攻撃隊!発艦!」バシュッ


扶桑「これくらい簡単に撃ち落として…」ドーンドーン


ドゴーン


艦載機「」


扶桑「…えっ?」


ドガーン


瑞鶴「もう一発!」バシュッ


ドガーン


扶桑「くっ!うあっ!」ドガーン


扶桑「はぁ…はぁ…」


瑞鶴「」


扶桑「ひっ…いやあっ!!!」ダッ


瑞鶴「おっと、逃がさないよっと」バシュッ


シュルシュルシュル


扶桑「っ」ガクン


扶桑「えっ?何?何なの?」


瑞鶴「ワイヤーだよ。戦艦でも千切れないんだってさ」


扶桑「んな…何で…」


瑞鶴「さて、そろそろ終わりにするからね」スッ


扶桑「や…待って…」


バシュッ


ドガアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!


山城「…あっ…」


瑞鶴「…」


扶桑「」


扶桑「」フッ…


山城「姉さま!!」ダッ


山城「姉さま…」ギュッ


山城「姉さま…しっかりしてください!姉さま!」


扶桑「…山城?」


山城「姉さま…」


扶桑「山城…なのね…」


山城「そうです!山城です!姉さま」


扶桑「はぁ…はぁ…ごめんなさい…私…あなた含めて皆に酷いことを…はぁ…」


山城「姉さまのせいではありません!きっと、鎮守府の皆もそう思ってます!」


扶桑「…いい仲間を持ったのね…はぁ…嬉しいわ…はぁ…はぁ…」


山城「姉さま…お別れみたいな台詞はやめてください」グスッ


扶桑「ねぇ山城…」


山城「…何ですか…?」


扶桑「私ね…ずっと洗脳されてて、あなた達を傷付けて、でもね、それでもひとつだけ、素敵なことがあったの…」


山城「素敵なこと…?」


扶桑「最期に…あなたの顔が見れたことよ…それだけが…私の一番の幸せよ…」


山城「…ね゙え゙ざま゙…」グスッ


扶桑「山城、あなたは…私ができなかった分まで…はぁ…皆を…」


山城「!!姉さま!姉さま!姉さま!!!」


…大切にするのよ…


その言葉を残したまま


扶桑は山城の腕をすり抜けるように沈んでいった


暫くして、五月雨達が到着し


鎮守府に帰還した


それでも山城は


部屋で泣き続けた


ー数日後 食堂ー


提督「今日は何にしようかな?」


提督「オムライスやな!」


阿武隈「またオムライス…たまには違うのも食べてみたら?」


提督「いいの。俺の朝はオムライスって決まってるから」


阿武隈「それでいいんだ」


提督「いいんだよ‼五月雨もそう思うだろう?」


五月雨「私もオムライスいいと思いますよ」


大井「僕もそう思います」


一同「…」


大井「ハァ☆」


五月雨「ちょっとお水とってきますね」ダッ


提督「転ぶなよ~」


五月雨「大丈夫ですってああ!!!」ガシャーン


提督「あぁもう言わんこっちゃない」


提督「ってあれ?」


山城「五月雨さん?大丈夫?怪我はない?」


五月雨「あっ、山城さん。怪我はないです。ごめんなさい」


山城「えぇいいのよ。怪我がなくてよかった。じゃあこのコップの破片を片付けましょうか。私も手伝いますから」 


五月雨「ありがとうございます!」


提督「…山城、本当に優しくなったよね」


阿武隈「これまで色々な鎮守府を転々としてきましたが、こんな山城さんは初めてです」


提督「でもまぁ…」


提督・阿武隈「「楽しそうですし、大丈夫ですよね」」




「姉さま怒られちゃいますから」


~~~


五月雨「てこともあったんだよ」


陽炎「そう…大変だったのね」


提督「あぁ、寧ろ山城の立ち直りには感心したよ。暫くは部屋に籠ってると思ってたからな」


陽炎「そうなの?」


五月雨「あれから山城さん、とっても親切になってね、何だかお姉さんみたいな感じだったなぁ…」


提督「過去形かい」


陽炎「…それにしても熊野さんも随分冷たいのね」


五月雨「熊野さん?」


陽炎「えぇ、私が知ってる熊野さんとは思えないわ」


提督「それに関しての話もあってだな…」


陽炎「熊野さんが冷たかったことに関する話…?」


睦月「というより、冷徹になった話にゃしい」


陽炎「冷徹かぁ…」


提督「そうだな」


五月雨「あれはどんな感じで始まったんでしたっけ?」


提督「確か五月雨が俺の自転車に乗ってて…」


断罪の夢(ゆめ)


ドンガラガッシャーン


瑞鶴「あ~っ!五月雨が事故った~~~!」


霧島「ちょっとちょっと!!大丈夫ですか⁉」ダッ


提督「…」


五月雨「いてて…また失敗です…」


瑞鶴「いい加減諦めたら?自転車ももうボロボロよ?」


五月雨「えっ?」


自転車「オデノカダダハボドボドダ」


提督「ウソダドンドコドーン」


霧島「今気付いたのね」


五月雨「うーん…残念です…」


提督「残念なのは俺だよ」


五月雨「ごめんなさい…」


提督「いいよ」


五月雨「やさしい」


瑞鶴「ところで熊野さんは?」


五月雨「熊野さん?」


提督「そういえば見てないね」


山城「まだ寝てるのかしら」


瑞鶴「珍しいね。熊野がこんな時間まで寝てるなんて」


山城「まぁそういう日もありますよ」


霧島「それじゃあ五月雨は引き続き自転車の練習ですね!」


五月雨「勘弁してくだちい…」


ー夜ー


提督「…よし!この書類も終わりだ!」


三日月「今日はすごい順調じゃないですか‼」


提督「おう!後はこれだけ。もうすぐ終わるぞ!」


三日月「ラストスパート頑張りましょう!」


トントン


提督「どうぞ」


ドアガチャ


阿武隈「失礼します」


五月雨「あっ、阿武隈さん」


提督「おう阿武隈。見てよ。もう書類が終わるぞ!」


阿武隈「本当ですか‼凄いです‼」


阿武隈「この調子でこの書類も頑張ってください!」ドーン


提督「」


五月雨「」


三日月「」


阿武隈「それでは!」


提督「」


五月雨「」


三日月「」


提督「…今日はもう終わりにしようか」


五月雨「…そうですね」


三日月「…お疲れ様です」


トントン


提督「またか、どうぞ」


ドアガチャ


夕張「失礼します…」


五月雨「夕張さん…」 


提督「どうしたんだ夕張?工廠を誤って爆発させたか?」


三日月「それは司令官でしょう?」


夕張「そうじゃないんです。熊野さんの様子がおかしくて…」


提督「熊野の…?」


三日月「そういえば今日見てませんよね。何をしているんでしょうか?」


夕張「とにかく着いてきてください」


一同「?」


ー工廠 休憩室ー


瑞鶴「えっ⁉熊野さんって今日起きてないの⁉」


夕張「はい…どうやらそうみたいなんです」


霧島「ずっと寝っぱなしってことか…恐ろしいですね…」


熊野「うーん…」


山城「魘されてる…きっと嫌な夢を見ているのね」


提督「しかし何で熊野はこんなところで寝てるんだ?」


明石「あぁ、それは熊野さんの異変に気付いた私達が運びました。ここの方が都合がいいですからね」


提督「というと?」


明石「単刀直入に言いますと、熊野さんは悪夢病にかかっています」


瑞鶴「急に進出単語」


提督「悪夢病って何だよ」


明石「悪夢に捕らわれたまま起きることができなくなる病です。このままでは熊野さんはずっと悪夢に魘されたままですよ‼」


霧島「何じゃそりゃ!?そんなのどうしたらいいのよ‼」


瑞鶴「爆撃で叩き起こします!」


霧島「やめれ」


山城「とはいえ本当に対処法がわかりませんよね」


提督「はてさてどうしたことか…」


明石「ふっふっふ…私を誰だとお思いで?」


一同「ピンク髪!!!」


明石「いや、確かにそうですけど違いますから!!明石ですよ明石!!」


提督「それでその明石とやらは何か熊野を助ける方法があるのか?」


明石「明石とやらって…まぁいいや。あるんですよ。熊野さんを助ける方法が…」


霧島「本当ですか⁉」


明石「本当です。この装置を使うんです!」


装置「こんにちは」


阿武隈「何これ?」


明石「これは他人の夢と夢を繋ぐ装置です。これを頭に付けるとその人同士で夢を共有できます!」


瑞鶴「すっご…」


提督「確かに凄いけどこれでどうしろってんだ」


明石「これで熊野さんの夢に入って悪夢の根源を叩きのめします!」


五月雨「バイオレンス…」


提督「ポケモンみたいな話になってきた」


阿武隈「本当にそんなことできるの?」


明石「大丈夫です!…ただ、この装置、5つしかないんですよ…」


山城「熊野さんと、残り4人しか入れないってことですね」


瑞鶴「大丈夫なの…?帰ってこれる…?」


明石「帰ってはこれるはずですよ。多分…」 


瑞鶴「えぇ…怖いよそれ…」


夕張「まぁ目覚まし機能はついてるので大丈夫だとは思いますよ」


瑞鶴「ならいいんだけどね」


三日月「それで…誰が入るんですか?」


夕張「とりあえず私は入りますよ。装置の仕組みを知ってる明石と私は別行動の方がいいと思うので」


山城「それなら残り3人選ぶ必要があるわね」


山城「誰にする?」


一同「…」


提督「…誰もいないのか?」


一同「…」


五月雨「なら私が行きます」


提督「五月雨…」


提督「大丈夫なの?」


五月雨「はい!五月雨にお任せください!」


提督「そうだな。ただちょっと心配だから…うーん…睦月、行ってくれないかな?」


睦月「私ですか?」


提督「うん。五月雨と睦月は息ピッタリだしね」


睦月「えぇ~…」


瑞鶴「めっちゃ嫌そう」 


提督「んじゃあ最後の一人ね。誰にする?」


阿武隈「睦月ちゃんが行くのは決定なんですか」


瑞鶴「じゃあ私が行こうかな?」


提督「おっ、瑞鶴か」


瑞鶴「何か面白そうだし」


明石「…一応熊野さんの命運が懸かってるんですけど…」


提督「まぁ決まりだな」


明石「それじゃあ皆さんはこれを付けてください」つ装置


4人「はーい」スチャッ


霧島「お布団しいときましまよ」


明石「良し!でかした!」


4人「」ゴロン


明石「これが麻酔薬です。効力は24時間ですので注意してくださいね」


4人「はーい」


明石「それじゃあいってらっしゃーい」


阿武隈「随分と適当ですね…」


4人「」ぱくっ


4人「」ごくん


4人「zzz」


山城「速効だ」


提督「これ売れるんじゃね?」


阿武隈「24時間ずっと寝てるんですよ?」


提督「ダメか…」


阿武隈「残念でした」


提督「(´・ω・`)」


山城「いやどんな会話しているんですか…」


明石「私達は皆さんを見張ってますよ」


提督「三日月は俺と書類仕事だ。はぁ…」


三日月「わかりました…」


~~~~~

~~~



睦月「…」


睦月「…」


睦月「…うん?」


睦月「あれ?ここは…?」


睦月「…もしかして…夢の中…なのかな…?」


睦月「…」キョロキョロ


睦月「五月雨達はいないのかな?」


睦月「…」キョロキョロ


睦月「一見普通に悠久鎮守府みたいだし、探索していたら見つかるかな…?」


睦月「」スタスタ


五月雨「」ウロウロ


睦月「あっ、あれは五月雨…?でも何だかぼんやりしているような…」


五月雨「」クルッ


五月雨「あっ!睦月ちゃーん!」テテテー


睦月「五月雨!よかった!ここにいたんですね!」


五月雨「あれ?睦月ちゃんって敬語で話してたっけ?」


睦月「えっ?私はいつも敬語ですけど…?」


睦月「それより夕張さんと瑞鶴さんと合流しなきゃ」


五月雨「夕張さん…?睦月ちゃん何言っているの?夕張さんなら先月沈んだでしょ!」


睦月「…えっ?」


睦月「沈んだ…って?」


五月雨「うん…悲しいのはわかるよ?それに如月ちゃんを庇っての轟沈だったし…けどさ、そろそろ立ち直らなきゃ!夕張さんもがっかりしちゃうよ」


睦月「(…?どういうこと?睦月の夢では夕張さんは沈んだって設定なの?何で?それに如月って…)」


三日月「あっ!吹雪ちゃんに睦月ちゃん!おはよっぽい!」


睦月「(吹雪…?ぽい…?)」


五月雨「夕立ちゃん。おはよ」


睦月「(夕立…?)」


三日月「何話してたっぽい?」


五月雨「うん、ちょっとね…」


三日月「むーっ!内緒話はずるいっぽい!」


睦月「(…そうか、わかった!これは睦月の前に着任していた鎮守府だ!前の鎮守府の設定を五月雨達の姿を使って表現しているのね。きっとこのぼんやりは夢の世界の住人の証に違いないのね!)」


睦月「(だからこの五月雨の中身は吹雪だし三日月の中身もまた夕立で、夕張さんも沈んでることになってるのね。納得)」


睦月「じゃあ本当の五月雨達を探さないと…」


五月雨「ん?睦月ちゃん何?」


睦月「ちょっとごめんね」ダッ


五月雨「睦月ちゃん⁉」


五月雨「…どうしたんだろう?」


三日月「わからないっぽい…」


ーーー


睦月「…ふぅ、結構な時間探索したけど誰もいなかった…」


睦月「いやいたにはいたんだけど皆夢の艦娘みたいだったし…」キョロキョロ


睦月「って、最初の地点に戻ってきちゃったよ」


睦月「…ん?」


扉どーーーん!!!


睦月「何でしょう?この一風変わった扉は…。何か書いてありますね」


『夕張』


睦月「…灯台もと暗しって奴ですね。きっとこれが夕張のもとへ行ける扉なのです!」ドアガチャ


睦月「にゃしっ!?」ピカー


~~~


睦月「…ここは…?」


睦月「」キョロキョロ


ザワザワ


ザワザワ


睦月「何か、バーみたいなところですね」


睦月「」キョロキョロ


睦月「お客さんも皆ぼんやりしている。やっぱり私の推理はあたっていたようですね」キョロキョロ


睦月「…おや?あの人、ぼんやりしてない…?」


睦月「あそこで飲んでる人…もしかして夕張さん…?」


睦月「おーい!夕張さ…」


謎あんちゃん「ヘイヘーイ!姉ちゃん独り?」


夕張「な、何ですかあなた達は…」


謎ヤンキー「姉ちゃんかわいいね!俺達と一緒に飲まない?奢るからさ」グイグイ


夕張「嫌よ!放して!!」


謎あんちゃん「いいだろ別に。その後さ、皆でちょっと遊びに行かね?行こうぜ!」グイグイ


夕張「い、嫌!放して!誰か‼助けて!!」


睦月「…助けた方がいいかな?(っていうかあのあんちゃん達、何処か瑞鶴さんと山城さんの面影が…)」


???「待て!」


謎あんちゃん「あん?」


謎ヤンキー「やん?」


提督「お前ら!そこの姉ちゃんが嫌がっているじゃないか‼やめてやれ!!」


睦月「(…提督?いや、ぼんやりしているから夢の世界の提督だ…)」


謎あんちゃん「ちっ…うるせぇや。やっちまうぞ!」


提督「あどみらるぱーんち」ドゴォッ


謎あんちゃん「あぅん」


謎ヤンキー「いやん」


睦月「…」


提督「大丈夫ですか?」


夕張「キュン…」


睦月「キュン…じゃねーだろーーー!!!」バシッ


夕張「…はっ!ここは…?」


睦月「夕張さんの夢の中ですよ‼もう…」


夕張「睦月ちゃん…?そうだ!私は確か熊野さんの救出のためにここまで…」


睦月「思い出しましたね」


夕張「あれ?じゃあ五月雨ちゃんと瑞鶴さんと熊野さんは?」


睦月「まだ…私もきたばっかりですしおすし」


夕張「よし、わかったわ!まずは五月雨ちゃんと瑞鶴さんと合流しましょう!二人とも各々の夢の世界にいると思うの!」


睦月「わかりました!では二人の夢の世界に行くための扉を探しましょう!」


夕張「扉…?成る程、夢と夢を繋ぐ入り口は扉なのね…」


睦月「はい。私は夕張さんの名前が書いてある扉に入ってここにきました。きっと二人の夢に行くためには二人の名前が書いてある扉に入る必要があるのです!」


夕張「そういうことね。うん。この世界の構造が大方わかったわ!それじゃあ早速その扉を探しに行きましょう!」クルッ


『瑞鶴』


睦月「…」


夕張「…」


夕張「あれ?ん?いや…えっ?」


睦月「随分早いですね…」



~~~

~~~~~


山城「」ズズッ


山城「ふぅ…」


明石「」ゴクゴク


霧島「」サクッ


明石「…何というか、異様な光景ですね…」


霧島「紅茶片手にクッキーをつまむ私、緑茶片手に羊羮をつまむ山城さん、麦茶片手に沢庵をつまむ明石さん…一緒にしてはいけないものが混ざったような感じですね」


山城「混ぜたら危険ですね」


明石「でも皆さんの好みというか個性が違っていて何だか面白いですね」


霧島「確かにそうですよね。私と熊野さんは紅茶派ですけど瑞鶴さんと山城さんは緑茶派ですしね」


明石「私と夕張さんは麦茶派ですよ。休憩中に冷えた麦茶を飲むがいとをかしなのです!」


山城「古典的ね」


明石「他の皆さんはどうなんでしょう?」


霧島「阿武隈さんがエナドリなのはいいとして…睦月さんとか…」


明石「意外かもですけどね、睦月さんと三日月さんってコーヒーが好きみたいですよ」


山城「えっ本当に⁉」


明石「はい。本当ですよ」


山城「一番幼い感じなのに一番大人っぽいものを飲むのか…」


霧島「それで、提督と五月雨ちゃんは…」


山城「コーラでしょ」


明石・霧島「納得」


~~~~~

~~~



夕張「ここが瑞鶴さんの夢の中ですね」


睦月「瑞鶴さんは何処でしょう?」


夕張「…」


睦月「夕張さん…ここって…」キョロキョロ


夕張「ライブ会場…ですね…」キョロキョロ


夕張「全然人いないけど…」キョロキョロ


睦月「こんなところに瑞鶴さんがいるんですかね?」キョロキョロ


夕張「…ここにはいないんですかね?見あたらないけど」


睦月「そうですね…仕方ないので他をあたるしかないですなぁ…あっ!!」


夕張「どうしたの⁉睦月ちゃん⁉」


睦月「あれ!外見てください外!!」


夕張「外…?あっ!」


ーーー


瑞鶴「やってみなさい」


加賀「」バシュッ


スカッ


加賀「あっ…」


瑞鶴「ちょっとおおおおお!!!!何やってるのおおおおお!!!!そんなんじゃ当たる訳ないでしょおおおお!!!!!なめてるのおおおおお!!!」


加賀「ひぃぃぃぃぃ!!すみません!瑞鶴先輩!!」


睦月「ゆっくりかな?」


夕張「商標登録で最近話題になりましたよね」


睦月「何か瑞鶴さんが大人の人を虐めてますね」


夕張「瑞鶴さんも大人の人のはずなんですけどね」


瑞鶴「やっぱりあんたはダメっダメだね!!私の貴重な時間を削ってまであんたの練習に協力してやってるのにちっとも上手くならない。これじゃあ何時まで経っても私達一航戦の足元にも及ばないね‼」


加賀「うぇぇぇん!!何もそこまで言わなくてもいいじゃないですか~~~」シクシク


提督「おっ、精が出るな、瑞鶴」


瑞鶴「提督さん!!」


夕張「あっ、提督だ」


睦月「提督ですね…」


夕張「よく見たら奥の方に私達もいない?」


睦月「…野次馬ですね…」


瑞鶴「提督さん!!この前MVP取ったんだけどね、どうだった?」ピョンピョン


提督「あぁ、聞いてるよ。よくやってくれた。さすが瑞鶴だ!何処かの元戦艦とは大違いだな」


瑞鶴「でしょ~~?」


加賀「むきいぃぃぃぃぃぃ!!!」ハンカチクワエ


睦月「…そろそろ呼びますか?」


夕張「…そろそろ呼びますか」


夕張「瑞鶴さん!瑞鶴さーん!」


瑞鶴「ん?誰だろう?」


夕張「私です!夕張です!」


瑞鶴「夕張…?」


夕張「瑞鶴さん!私達は熊野さんを救出しにきたんですよ!忘れないでください!」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…あぁ!!そうだった!忘れてた!」


夕張「思い出しましたか」


瑞鶴「うん!ってことは…私、本当に夢の中に入ったってこと…?」


夕張「そうですよ。ここは瑞鶴さんの夢の世界です。これから五月雨ちゃんとも合流する予定ですよ」


瑞鶴「あぁそうなんだ。ていうか何で私はこんな道端で弓の練習なんてしてたんだろ?何で疑問に思わなかったんだろ?」


夕張「あるある。明らかにおかしいのに何故か疑問に思いませんよね夢って…」


睦月「ていうかどんな夢ですか…」


夕張「もしやあの人が瑞鶴さんが以前言っていた空母なんですかね?」


瑞鶴「えぇそうよ。あいつ本当にむかつくからついつい夢にまで出てきちゃったじゃない」


瑞鶴「…まぁ夢の中とはいえ、あいつに仕返しできて楽しかったわ!」


夕張「…それは良かったですね」


瑞鶴「それで、五月雨ちゃんと合流するんだって?」


夕張「そうです。多分五月雨ちゃんも自身の夢の中にいると思いますよ」


瑞鶴「成る程ね~。それで五月雨ちゃんの夢の世界にはどうやって行くの?」


夕張「五月雨ちゃんの名前が書いてある扉があるはずなんですけど…」


瑞鶴「五月雨ちゃんの名前が書いてある扉ね…」


瑞鶴「それなら確か…ショッピングモールの近くにあった気が…」


夕張「本当⁉」


瑞鶴「確かね…とりあえず行ってみる?」


夕張「そうですね!」


ーーー


瑞鶴「あった!これだ!」


『五月雨』


夕張「この不自然な扉の配置…きっとこれが五月雨ちゃんの夢に行ける扉に違いないわ‼」


睦月「入ってみましょう」ドアガチャ


~~~


瑞鶴「…ここは…?」


睦月「普通の住宅街みたいですけど…」


瑞鶴「見て!遠方に鎮守府が見えるよ!」


夕張「本当ですね!何処の鎮守府でしょうか?」


睦月「五月雨が以前着任していた鎮守府かもですね」


夕張「ならあの鎮守府に五月雨ちゃんがいる可能性が高いですね!」


瑞鶴「行ってみよう!」ダッ


瑞鶴「…ってあれ?」


夕張「どうしたの?」


瑞鶴「何だか騒がしいような…」


ワーワー

ニゲロニゲロー


夕張「?????」


瑞鶴「皆何かから逃げているのかな?」


夕張「一体何が…?」


おじさん「おい!そこのお嬢ちゃん達!」


夕張「ん?はい?何でしょうか?」


おじさん「早く逃げろ!不良少女が来るぞ‼」


3人「「「不良少女…?」」」


夕張「それって何で…」


ブロロロロロロー


おじさん「ひぃぃぃぃっ!きたあああああ!!」ダッ


瑞鶴「あっ!ちょっと!!」


睦月「夕張さん!!向こうから何か来るよ‼」


夕張「まさか…不良少女!?」


ブロロロロロロー


どーん!!!!


睦月「うわっ!」


瑞鶴「轢いた⁉」


五月雨「おらおらおらーー!!てめぇら何処見て歩いてんだ!五月雨様のお通りじゃあああ!!道を空けろゴルァァアア!!」


一同「???????」


五月雨「あ?」


キィィィッ


五月雨「何だてめぇら…この俺にガン飛ばしやがって…この俺が誰だかわかってんのか!?おい!!」


睦月「…五月雨?」


五月雨「そうだ!!よくわかってんじゃねぇか!!ここら一帯の間抜けどもを制圧しているのがこの俺…泣く子はショックで気絶する五月雨様だ!!!知らねーやつは覚えておきな!!!」


夕張「…」


睦月「…」


瑞鶴「…」


五月雨「何だよ…何か文句でもあるか?おい」


睦月「何やってんの…五月雨…」


五月雨「様をつけろよデコすけ野郎!!!」


睦月「ひぃっ!!」ビクッ


瑞鶴「五月雨ちゃん!!私達は熊野さんの救出にきたんでしょ‼忘れたの‼」


五月雨「熊野…?」


五月雨「…」


五月雨「…あっ…」


瑞鶴「おっ?」


五月雨「ああああああああ!!!これは違うんです!これは…その…違うんです!」アセアセ


夕張「はぁ…」


睦月「何でこんな暴走族みたいな感じなの?」


五月雨「いえ!だって夢の中ですし…何が起こっても不思議では…」


瑞鶴「五月雨って…実は結構ガサツ…?」


五月雨「」ギクッ


夕張「もしや急に自転車の練習をし始めたのって、こういったことに憧れてたからとかじゃ…」


五月雨「」ギクッ


睦月「五月雨のドジって、荒っぽい性格由来じゃないんですか?」


五月雨「」ギクリンコッ


五月雨「そそそそそんなことありません!!これはきっと…あの…誤植というやつで…あっ…その…着替えてきます!!」ダッ


一同「…」


夕張「…五月雨ちゃんの意外な一面を見てしまった…」


ーーー


五月雨「ただいま戻りました」


瑞鶴「おかえり」


瑞鶴「さて、全員合流したことだし、熊野さんを探しに行くか~」


五月雨「そうそう、熊野さんは何処にいるんでしょうか?」 


夕張「まぁ多分熊野さんの夢の世界でしょう。これまでの傾向からして」


睦月「熊野さんの名前が書いてある扉を探すんですね!」


夕張「そうですね。五月雨ちゃんは見なかった?そんな扉…」


五月雨「そうですね~…。あっ!そういえば…」


瑞鶴「知ってるの⁉」ガタッ


五月雨「あっいえ、その扉かどうかはわからないんですけど、ちょっと不思議な扉を見まして…」


夕張「不思議な扉…?」


睦月「それが熊野さんの夢に入れる扉なのでしょうか?」


夕張「わからないけど…とりあえず行ってみましょう!」


夕張「五月雨ちゃん。何処だかわかる?」


五月雨「確か…鎮守府の近くに…」


ーーー


五月雨「あった!あれです!」ユビサシ


瑞鶴「うわっ!鎖でぐるぐる巻き、真ん中には鍵穴もあるし、確かに普通じゃないね」


睦月「鍵が必要なんでしょうか?」


夕張「多分…ちょっと探してみる?」


五月雨「そうですね!探してみましょう!」


ー3 hours laterー


睦月「 な い ☆ 」


瑞鶴「全然見つからないよ…」


夕張「疲れた…」


睦月「私は疲れてないですけどね」


瑞鶴「疲れてないの?…凄いね…」


睦月「そんなことよりお財布を落としたみたいで…わらび餅を買えなかったんですよ」


瑞鶴「しれっとサボるな‼」


睦月「きっと五月雨が私をバイクで轢いた時に無くしたんです!」


五月雨「ごめんなさい」


瑞鶴「もういいでしょ、現実で無くした訳じゃないんだから…」


夕張「やれやれ…ん?あれは…?」


五月雨「どうしたんですか?夕張さん」


夕張「皆…あれ見て…」ユビサシ


一同「ん?」クルッ


『熊野』


一同「」


瑞鶴「あったああああああああ!!!!!」


五月雨「こんなところにあったんですか‼」


睦月「じゃあさっきの鍵扉何だったのかな?」


夕張「わからないけど…今は熊野さんの救出が最優先よ‼行きましょう!!」


一同「おーっ!」


ドガアアアン‼


一同「!?」


瑞鶴「何⁉砲撃⁉」


???「困るなぁ~勝手に入ってこられちゃねぇ…」


瑞鶴「誰⁉」


鈴谷「あぁ、鈴谷だよ!宜しくね!」


夕張「鈴谷って…確か熊野の姉妹艦だったような…」


鈴谷「おっ、知ってるんだ!そうそう!そうなんだよ!」


夕張「鈴谷さん!実は今熊野さんが大変なことになってるんです!通してくれませんか?」


鈴谷「ん?熊野のお友達?でもねぇ、ダメなんだよねぇ~」


瑞鶴「ちょっと!!熊野さんが大変だって言っているでしょ‼」


鈴谷「知ってるっつーの!それくらい!でもね、ダメなものはダメ!わかる?」 


五月雨「何でダメなんですか‼」


鈴谷「熊野はねぇ、鈴谷達を裏切ったの。だからもっと熊野には苦しんでもらわなきゃダメなんだよ」


夕張「どういうことなの…?」


鈴谷「だから裏切ったんだって私達のことを!!だから、熊野が大変な目に遭ってるのは仕方ないことなの。それでも熊野を助けるっていうなら…」


鈴谷「やっちゃうよ?」


瑞鶴「えぇ、望むところよ‼瑞鶴が返り討ちにしてあげるわよ!!」


鈴谷「…へぇ、空母なんだ」


夕張「瑞鶴さん、頼みましたよ。私達は魚雷が使えないので…」


瑞鶴「大丈夫大丈夫。瑞鶴に任せてよ‼」スッ


鈴谷「いいよ。かかってきなよ」


瑞鶴「瑞鶴攻撃隊!発艦!」バシュッ


ポーン


ザクッ(壁に矢が刺さる)


瑞鶴「…あれ?」


瑞鶴「発艦!」バシュッ


ザクッ


瑞鶴「…」


瑞鶴「…」チラッ




瑞鶴「普通の矢じゃん…これ…」


夕張・五月雨・睦月「ええええええええ!!!」


鈴谷「wwwwwwwwwww」


瑞鶴「瑞鶴の艦載機がないじゃん‼どうしよう!」


鈴谷「艦載機?あぁこれ?」つ瑞雲


瑞鶴「あっ!私の瑞雲が…」


鈴谷「ねぇどうするの~?艦載機がなきゃ戦えないよねぇ?」


瑞鶴「くっ…うぅ…」


夕張「瑞雲さん!」


瑞鶴「瑞鶴よ‼」


夕張「私達が戦います!」


瑞鶴「えっ?でも…」


夕張「大丈夫…相手は1人。それにどうやら大した装備もしてないみたい。3人で戦えば勝てるかも知れないわ‼」


鈴谷「マジか~。装備弱いのバレてたのか~」


五月雨「…」


睦月「…」


瑞鶴「そっか、わかった!頑張って!」ダッ


鈴谷「うーん…確かにちょっとヤバいかも知れないね…うん…」


夕張「五月雨ちゃん、睦月ちゃん、油断しないで…相手は多分航巡クラスよ‼」


五月雨「勿論です!」


睦月「張り切ってまいりますよ!」


鈴谷「これは不味いなぁ…仕方ない。暁!!」


睦月「…暁?」


ドガーン


夕張「きゃっ!?何⁉」


五月雨「また何処かから砲撃が…」


ビュンッ


五月雨「えっ?」


ビュンッビュンッ


ドガーン


睦月「にゃしっ!?」


グルングルン


夕張「何⁉何かが高速で私達の周りを…」


ピタッ


暁「鈴谷さん。暁を呼んだかしら?」


五月雨「暁って…確か電ちゃんのお姉さんの…」


暁「あら?暁を知ってるのね。それで、今日はどうしたのかしら?」


鈴谷「そこにいる艦娘達の相手しているからさ、手伝ってよ!」


暁「えぇいいわよ!1人前の戦い方を見せてあげるわ!」


暁「」ビュンッ


睦月「!?暁が消えた…?」


ドーンドーンドーン


五月雨「きゃっ!!」ドガーン


睦月「五月雨!!」


五月雨「くぅ…とんでもない速さです…」


夕張「やぁっ!!」ドーン


暁「きゃっ!!ちょっと!危ないでしょ!」サッ


睦月「!!」


暁「」ビュンッ


夕張「どうして艦娘が地上なのにこんなに速く動けるの⁉」


睦月「夕張さん!!五月雨!!暁の靴に車輪がついてます!暁はそれで高速移動をしているに違いありません!それを狙えば…」


夕張「無茶言わないでよ!!ただでさえ攻撃が当たらないのにそんな高度なことできるわけないでしょ!!」


ドーン


夕張「きゃっ!!」


鈴谷「ナイスだよ暁‼」ドーン


夕張「きゃああああ!!」ドガーン


五月雨「夕張さん!!」


夕張「うぅ…」ドサッ


睦月「夕張さん…」


鈴谷「ほらもう一発!!」ドーン


睦月「うわぁっ!!!」ドガーン


五月雨「睦月‼」


夕張「睦月ちゃん!!大丈夫⁉」


睦月「大丈…夫…?」


睦月「…?」


鈴谷「よぉし、これでもう動ける艦娘はいないよね?」


瑞鶴「…嘘でしょ…」


五月雨「まだ…私は動けます…」ヨロッ


睦月「五月雨…」


鈴谷「あぁ、無理しないでいいよ。うーん、そうだね。それじゃあまずは、この駆逐艦からやっつけようかな?」


瑞鶴「…!!ダメ!五月雨!」


夕張「五月雨ちゃん!!」


睦月「五月雨ぇ!!」


~~~


睦月「五月雨ぇ!!」


ドガーン


五月雨「きゃっ!!」フッ…


五月雨「うっ…」ドサッ


鈴谷「凄いじゃん‼本当に動けたんだ!上手く避けたんだね」


鈴谷「んじゃあ今度こそやっちゃうよ~」スッ


五月雨「うぅ…」


睦月「(五月雨…このままじゃ、五月雨がやられる…)」


夕張「」ボロッ


睦月「(…隠し持っておきたかったけど…仕方ない)」


睦月「(これを五月雨に渡すしかない!)」


睦月「五月雨!!」


五月雨「!?」クルッ


睦月「これを使って‼」ブンッ


五月雨「!!」


五月雨「」ガシッ


五月雨「何ですか⁉このでっかいピザカッターは⁉」


睦月「ピザカッターじゃないです‼そのスイッチを押してください‼それでその刃が回転します‼」


五月雨「スイッチ…?これかな?」カチッ


ギュィィィィィイン


五月雨「…どう見ても近接武器…。でも、今はこれしか…」


鈴谷「やーーっ!!!」ドーン


五月雨「っ!?」ブンッ


ギュィィィィィイン


ドガーン


鈴谷「えっ⁉弾き返した⁉マジで⁉」


五月雨「やぁ!!」ギュィィィィィイン


鈴谷「ぐわぁっ!!」ドガーン


五月雨「!?…とてつもない攻撃力です…。てぇっ!!」ギュィィィィィイン


鈴谷「うわっ!!!」ドガーン


五月雨「てぇ!やぁ!たぁ!」ギュィィィィィイン


五月雨「はあああああああ!!!!」ギュィィィィィイン


鈴谷「ああああああ!!!!」ドガーン


鈴谷「ぐっ…」ドサッ


暁「鈴谷さん!!…許さないんだから!!」ビュンッ


五月雨「!!」


瑞鶴「またでた!暁の高速移動!!」


五月雨「…」キョロキョロ


グルングルングルン


五月雨「…っ」


五月雨「今です!」ギュィィィィィイン


暁「嘘っ!!きゃあああ!!」ドガーン


鈴谷「暁‼何てことを…」


五月雨「凄い…これで止めです!」ダッ

 

鈴谷「うぅ…これはヤバい…。暁、一旦逃げるよ‼」ボロッ 


暁「わかったわ…」ボロッ


鈴谷「」ポーイ


夕張「!?スタングレネイド⁉」


コツン


バシュッキィィィィィイン


ーーー


五月雨「…鈴谷も暁もいない…」


五月雨「逃げられちゃいましたね…」


瑞鶴「夕張さん!」ダダダ


瑞鶴「夕張さん!!大丈夫⁉夕張さん!!」


夕張「大丈夫よ…瑞鶴さん…」


瑞鶴「でも…直撃だったじゃない!!」


夕張「大丈夫だって、それより睦月ちゃんだって鈴谷の砲撃が直撃したんじゃないの?大丈夫?」


睦月「私は…大丈夫ですけど…」


睦月「(…さっき…痛みを感じなかった…何で…?)」


夕張「そう…ならいいの…」


五月雨「睦月!」


睦月「五月雨…」


五月雨「はぁ…助かりました」ピザカッターサシダシ


五月雨「このピザカッターは凄いですね…」


睦月「ピザカッターじゃないんですけど…」


夕張「でも本当にびっくりしたわよ。それどうしたの?」


睦月「…」


睦月「…何でもないです」


夕張「そう…?」


瑞鶴「夕張さん。もう動けそう?」


夕張「えぇ、ありがとうございます瑞鶴さん」


瑞鶴「そんな…私、何もできなかったし…これくらい…」


夕張「…」 


夕張「そんなことより、やっと熊野さんの夢の世界に行けるようになったんです!さっさと熊野さんを救出して、悪夢の根源を破壊しましょう!」


瑞鶴「破壊っていうな」


五月雨「…そうですね!行きましょう!」


ドアガチャ


希望(ゆめ)のあの日


五月雨「…ここが熊野さんの夢の世界ですね…」


瑞鶴「普通の商店街みたいだけど…」キョロキョロ


瑞鶴「本当に熊野さんがいるのかな?」


夕張「まぁ…探してみないことには…」


???「…」 


夕張「ん?」クルッ


スッ…


夕張「???」


五月雨「ん?夕張さん。どうしたんですか?」


夕張「えっ?あぁ、何でもないよ」タッタッタ


ーーー


五月雨「…何というか…」


五月雨「普通に田舎にきた感覚に陥ります」


睦月「完全に旅行気分ですね」


???「…」


夕張「(…さっきから誰かが着いてきてるわね…)」


夕張「(怪しい…ちょっと捕まえて話を聞いてみましょうか)」


???「…」


夕張「…」


???「…」


夕張「っ」バッ


???「!!」ビクッ


夕張「あなたね!さっきから後を着けてたのは!!」


瑞鶴「えっ?何⁉」


???「」ダッ


夕張「待ちなさい‼」ダッ


五月雨「えっ?ちょっと夕張さん!!」ダッ


「…」


「…」


「…」


「…」  


瑞鶴「…えっ?何?えっ?」


睦月「夕張さんと五月雨、何処行ったんでしょう?」


瑞鶴「…わからない。探す?」


睦月「それでは私はこっちを探します!」ダッ


瑞鶴「ちょっと待って‼睦月ー!おーい!」


大井「はーい」


瑞鶴「帰れ」


大井「はーい…」トボトボ


瑞鶴「もう皆何処に行くのよ…」


瑞鶴「…」キョロキョロ


瑞鶴「…」


瑞鶴「はぁ…折角合流したってのに…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…」


ーーー


夕張「待ちなさい!」ダダダダダ


???「っ!!」ダダダダダ


???「」クルッ


夕張「あの建物に入っていったわね‼」ダッ


五月雨「夕張さん!!」ダッ


『行き止まり』


???「!?」ピタッ


夕張「さぁ!追い詰めたわよ‼観念しなさい!」


???「…」ガタガタ


五月雨「夕張さん…この人は…?」


夕張「熊野さんの夢に入ったあたりから私達をつけ回していたのよ‼」


五月雨「えっ?」


夕張「何故なのか…理由を教えてほしいのですけどね…」コツコツ


???「…」ガタガタ


五月雨「…暗くてよく見えません」


夕張「そこに電気のスイッチがあるはずよ。それを押して」


五月雨「スイッチ…これかな?」カチッ


ピカー


夕張「よし…明るくなったわね」


夕張「さぁ、あなたの顔を見せてもらいましょ…」


暁「…」ガタガタ


夕張「!?」


五月雨「暁!?」


暁「…」ガタガタ


夕張「でも…ぼんやりしてない…?夢の世界の暁じゃないってこと…?」


五月雨「ですが、熊野さんの夢に入れるのは私達だけじゃないんですか⁉」


暁「…」ガタガタ


夕張「ねぇ、あなたは一体何者なの?どうしてここにいるの?」


暁「…」


ーーー


暁『ふぇぇぇーん!熊野さぁぁぁん!!』


熊野『あら?どうしたんですの暁ちゃん?』


暁『電が暁のお煎餅食べた~~~!!!』


熊野『あら、それで泣いていらしたのですね』


暁『…』コクッ


熊野『それで…電ちゃんが暁ちゃんのお煎餅を食べた心当たりはありますか?』


暁『えっ?』


暁『…』


暁『そういえば…一昨日電のプリンを暁が勝手に…』


熊野『あらあら…もしかしたら電ちゃんはそのことを根に持って、仕返しにお煎餅を食べたのではないでしょうか?』


暁『確かに…』


熊野『勝手に食べたのは悪いことですが、それよりもまず電ちゃんと話し合ってみてはいかがでしょうか?きちんと話し合うことができる人こそ、大人への第一歩ですわ!』


暁『…うん!わかった!暁、電と話し合ってみる!ありがとう熊野さん!』


熊野『しっかり仲直りしてくださいね!』


~~~


鈴谷『熊野~』


熊野『鈴谷…また提督絡みですの?』


鈴谷『実は今日提督に、普段の労いや感謝も兼ねてプレゼントしようと思ってたのに…』


熊野『渡せなかった…と』


鈴谷『お恥ずかしながら』


熊野『…鈴谷あなた…この類いの相談は今日までで何度目だとお思いで?』


鈴谷『…3度目くらい?』


熊野『13度目です!全く…渡さなければ何もならないと言っているのに…』


鈴谷『でもさ…もし余計なお世話だったりしたら…』


熊野『はぁ…あなたねぇ、今まで散々提督に迷惑かけておいて、今更なんですのよ?だったもういっそ迷惑のつもりでも渡すしかないですわ‼』


鈴谷『むーっ!そんな言い方ないじゃん…』プンスカ


熊野『…確かに私も言い方が悪かったですわね』


鈴谷『でも…そうだよね…渡さなきゃ…何にもならないよね…』


熊野『やっとわかっていただけましたか』


鈴谷『よし!今から渡してくる!』


熊野『今日はもう遅いので明日にしなさい』


鈴谷『(´・ω・`)』


~~~


暁『熊野さ~ん!見て見て~』


熊野『あら?何ですの?それは?』


暁『ローラースケートよ‼皆で買ったの!!』


熊野『あら、楽しそうですね!』


暁『うん!今は暁の番だから皆に自慢しているのよ‼』


熊野『ふふふ…よく周りを見て気を付けてくださいね』


暁『わかってるわよ!それくらい』ビュンッ


熊野『あぁっ!?暁ちゃん!危ない!』


ドンガラガッシャーン


熊野『あぁ…』


~~~


鈴谷『熊野!熊野!』ドアバンッ


熊野『…うるさいですわね…どうなさいましたの?』


鈴谷『提督が!鈴谷とケッコンって!!』


熊野『…ふぇ?』


鈴谷『提督が鈴谷とケッコンだって!!』


熊野『本当ですの⁉』


鈴谷『本当!!』


熊野『おめでとうございます!!やりましたね!』


鈴谷『へへへ、ありがと。熊野のお陰だよ!』


熊野『いえいえ、努力を怠らなかった鈴谷の力ですわ!』


鈴谷『そんな~照れるんだけど』


熊野『して…指輪はもう貰ったんですの?』


鈴谷『あぁ、何かよくわからないけど、もうちょい出撃しなきゃダメみたいで…』


熊野『???何かそんな制約でもありましたの?』


鈴谷『うーん…よくわかんないけど、条件に達したらケッコンしてくれるって言ってた!』


熊野『…まぁどちらにせよ、大切になさってくださいね!』


鈴谷『うん!』ニコッ


~~~


『お前のせいだ!』


~~~


夕張「それで、あなたは…本当に暁なんですか?」


暁「…」コクッ


夕張「…じゃあ何故ここにいるの?ここは私達以外入れないはずなのに…」


暁「…」


暁「…熊野さんが…自分のせいで鎮守府が壊滅したって思っているの…」


夕張「鎮守府が壊滅って…?どういうこと?」


暁「以前、熊野さんは別の鎮守府にいたの。その鎮守府が深海棲艦の襲撃で壊滅して、熊野さんだけが生き残って…」


夕張「それが何で熊野さんのせいに…?」


暁「…誰かはわからないけど、艦娘が人質にとられたらしいの。それで鎮守府への進行を許してしまって…それで壊滅して…」


夕張「そんなことが…」


暁「それに、鈴谷さんは提督とのケッコンが控えていたっていうのもあって…それで鈴谷さんや私が熊野さんを恨んでるって思いこんじゃって…だから自分が酷い目に遭うのは仕方ないって言って…」


五月雨「…断罪」


夕張「じゃあ、もしかしてあなたは、熊野さんと同じ鎮守府にいた艦娘なんですか!?」


暁「…」コクッ


夕張「そっか…熊野さんの悪夢の根源はまさに、自分を恨んでる暁さんと鈴谷さん…なんですね…」


五月雨「もしかして、さっき私達を襲ってきたのが…」


夕張「えぇ、熊野さんの思い込みから生まれた悪夢…いわゆる悪夢鈴谷と悪夢暁でしょう」


夕張「熊野さんを救出するには、二人を倒すことになるでしょう」 


暁「うぅっ…ぐすっ…」


五月雨「暁…?」


暁「熊野さんは…最後まで私達を守ろうとしていたはずなんです…絶対裏切ったりはしてないはずなんです…だから熊野さんが気に病むことじゃないのに…私…私…」


暁「ふぇぇぇぇぇーーん(泣)」ポロポロ


五月雨「…」


五月雨「…暁さん」


暁「あぁはい何ですか?」ピタッ


夕張「嘘泣きは草」


五月雨「熊野さんの居場所を教えてください」


暁「」パァッ


暁「わかったわ!熊野さんの居場所は…」


ーーー


瑞鶴「…はぁ、探すにしても何処探せばいいのよ。夕張さんも五月雨ちゃんもいないし、睦月ちゃんは何処か行っちゃったし…」モグモグ


瑞鶴「…何か腹立ってきた!バナナの皮捨てちゃおっと!」ポーイ


瑞鶴「…」


瑞鶴「…はぁ、こんなことしても何の意味もないよね…」


瑞鶴「地道に情報でも集めるか…」


ツルッ


スッテーン‼


ドサッ


瑞鶴「…?」クルッ


悪夢暁「もう!何でバナナの皮がこんなところに…あっ…」


瑞鶴「あっ…」


悪夢暁「…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「あーーーっ!あんたは暁!!」


悪夢暁「見つかった!逃げないと…」ビュンッ


瑞鶴「待てこら!!」ダッ






瑞鶴「うーん…見失った…」キョロキョロ


瑞鶴「一体何処に…ん?」


瑞鶴「これは…車輪の痕?」


瑞鶴「こっちに続いているわね…」スタスタ






瑞鶴「…この辺で途切れている…」


瑞鶴「でも、この近くにいるはず…」キョロキョロ


『倉庫』


瑞鶴「…」


瑞鶴「…きっとここね」


瑞鶴「根拠はないけど、瑞鶴の幸運の女神がそう言っているわ!多分!」


瑞鶴「瑞鶴ぱーんち!!」ドゴォッ


瑞鶴「扉が開いた!…ん?」


熊野「」


瑞鶴「熊野さん!!」ダッ


瑞鶴「熊野さん!熊野さん!大丈夫⁉」ユサユサ


熊野「…」


瑞鶴「熊野さん!私よ!瑞鶴よ!」


熊野「…」


瑞鶴「熊野さ…」ガシッ


瑞鶴「…えっ?」


ボガッ


瑞鶴「うっ…」ドサッ 


悪夢鈴谷「あーあ、性懲りもなくこんなとこまで追いかけてきたんだ。マジ萎えるんだけど」


瑞鶴「あんたは…寿司屋!!」


悪夢鈴谷「鈴谷だよ」


瑞鶴「何するの‼」


悪夢鈴谷「何かしてんのはそっちでしょ!!邪魔すんなよ…」


瑞鶴「熊野さんに何するの!!」


悪夢鈴谷「はぁ?だからねぇ、私達は熊野のせいで沈んだんだよ。私だけじゃなくて提督に暁、鎮守府の皆…熊野がうじうじしてたせいでね‼それなのにこいつだけ生き残ってるの。意味わかんなくない?だから罰よ罰!鎮守府全員分の苦しみを味わわせなきゃいけないの!」


悪夢鈴谷「そうしなきゃ鎮守府の皆が報われないでしょ?」


瑞鶴「でも…私は…」


熊野「…瑞鶴さん…」


瑞鶴「!!熊野さん!!」


熊野「いいんですの。全部私が悪いから…」


瑞鶴「熊野さん…何言って…」


熊野「鈴谷の言っている通り、私のせいで鎮守府の皆を沈めてしまったの…私の失敗で…」


瑞鶴「…」


熊野「これは私の因果応報です…。だから…」


瑞鶴「関係ないよ」


熊野「…えっ?」


悪夢鈴谷「はぁ?」


瑞鶴「その鎮守府の皆は!熊野さんを恨んでいるかもわからないけど、少なくとも!私達の鎮守府の皆は!熊野さんが苦しむのを望んでない!」


瑞鶴「だから私達は熊野さんを助ける!仮にこの行動で世界の誰かが不幸になろうとも…私は目の前の人を助けたいの!」


悪夢鈴谷「綺麗事言ってんじゃねぇよ!」ドーン


瑞鶴「あうっ!」ドサッ


悪夢鈴谷「そんなくだらないことばっか言ってんなよ。マジでうざいだけだから」


???「くだらないのはそっちでしょ!!」ガシッ


悪夢鈴谷「!?何だお前!!」ドン


???「うっ…」ドサッ


熊野「!?えっ?鈴谷⁉」


瑞鶴「どういうこと…?鈴谷が二人…?でも、こっちはぼんやりしてない…?何がどうなってんの!!」


熊野「どういうことですの!!鈴谷が二人って…」


悪夢鈴谷「ちっ…」


鈴谷「…熊野…」


瑞鶴「もしかして…ぼんやりしてない方の鈴谷って…本物ってこと⁉」


熊野「…本…物…?」


鈴谷「うん、そうだよ…」


熊野「えっ?本物…?どういうことですの…?何でここに…?」


鈴谷「だって…熊野が悪いし…」


熊野「…」


熊野「そう…ですよね…私が…鈴谷を…」


鈴谷「そうじゃないよ」


熊野「…えっ?」


鈴谷「熊野がさ、鈴谷達に恨まれてるって何時までも勘違いしているからさ、鈴谷も何時まで経っても成仏できないんだよ」


熊野「…」


鈴谷「別に誰も熊野を責めてない。全部熊野の思い込みなだけ。何でそれがわからないのさ」


熊野「だって、だって私は…深海棲艦を…止められなくて…」 


暁「鈴谷さんの言う通りよ‼」


鈴谷「!?」


熊野「あ、暁ちゃん…」


夕張「皆さん!」


瑞鶴「夕張さんに五月雨ちゃん!」


暁「熊野さん…暁、知ってるわ!熊野さんは最後まで、鎮守府を守ろうとしていたってこと…」


暁「暁だけじゃなくて、鎮守府の皆も。それに熊野さんは言ってたわよね。責任をとるのが大人だって。熊野さんにとっての責任ってのは、今の鎮守府を守ることじゃないの!!」


熊野「!!」


鈴谷「おー暁!いいこと言うね~」ワシャワシャ


暁「あーもう!撫でないでよ‼」


熊野「…」


熊野「…皆さん」


熊野「ありがとうございます。お陰で目が覚めましたわ!」


瑞鶴「まだ夢の中だけどね」


夕張「そういうことじゃないと思うんだけど…」


悪夢鈴谷「もう!何なの!!マジで意味わかんない!次から次へと~!」


悪夢鈴谷「暁!!」


悪夢暁「はい!鈴谷さん!」バッ


悪夢鈴谷「あいつら全員やっちゃうよ!!」


悪夢暁「わかったわ!」


瑞鶴「くっ…」


夕張「ダメ…じゃあ力になれないみたい…」ボロッ


鈴谷「鈴谷達も轟沈しているから戦えないし…」


瑞鶴「今戦えるのは五月雨ちゃんと熊野さんか…」


悪夢鈴谷「へぇ…まぁでも手加減とかしないけどね!いくよ!暁!」


悪夢暁「いつでもいいわ!」


五月雨「…っ」


ドガーン


悪夢暁「!?」


ブオーーーーン‼


悪夢暁「ちょっ!!何⁉」


ドーン


悪夢暁「きゃあっ!!」ドーン


睦月「うわあっ!!」ポーン


ドサッ


五月雨「睦月!?」


瑞鶴「睦月が五月雨のバイクに乗ってきた⁉」


悪夢鈴谷「は?何?意味わかんない」


五月雨「皆さん…無事でよかったです」


夕張「睦月ちゃんは盛大に事故ったけどね」


睦月「すみません…ちょっと確かめたいことがあって…」


夕張「確かめたいこと…?」


睦月「はい!」


悪夢暁「ちょっと!レディに向かって失礼じゃない‼」


睦月「!!」


悪夢暁「そんな礼儀知らずにはお仕置きが必要ね‼」ドーン


五月雨「睦月!避けて‼」


睦月「…」


ドガーン


暁「当たった…」


悪夢暁「うふふ…まだまだよ!!」ドーンドーンドーン


ドガーン


五月雨「睦月!!」


睦月「…っ!!」


「…」


「…」


睦月「…」


悪夢暁「なっ…」


悪夢鈴谷「嘘⁉効いてなくね?」


悪夢暁「どういうこと⁉」


睦月「今度はこっちの番です!」ダッ


悪夢暁「ひっ…」ドーンドーンドーン


睦月「とう!」ドガーンドガーンドガーン


睦月「やあっ!!」ドゴッ


悪夢暁「うっ…!!」


睦月「」スッ


睦月「とりゃっ!!」ギュィィィィイン


悪夢暁「うあああ!!!」ドガーン


睦月「よし!」


瑞鶴「おぉっ!睦月強い!」


熊野「でも何で攻撃に怯む様子がないんでしょう?」


睦月「実は私…気付いたんですよ…」


睦月「夢の中では、痛みがないことに!!」


一同「??????」


鈴谷「…そうなの?」


夕張「まぁ睦月ちゃんがそういう体質なだけだと思いますけどね。夢の錯覚に惑わされない…みたいな」


鈴谷「へぇ…」


五月雨「何か適当ですね…」


熊野「…」


熊野「あの~睦月ちゃん?」


睦月「はい?何ですか?」


熊野「そのピザカッターを貸していただけませんか?」


睦月「ピザカッターじゃないんですけど…どうぞ…」スッ


熊野「ありがとうございます!」


悪夢鈴谷「何?」


熊野「さぁ!覚悟なさい!偽者鈴谷!私が成敗してさしあげますわ!」ギュィィィィイン


悪夢鈴谷「えっ?」


熊野「とおぉぉぉぉぉぉお!!!」ギュィィィィイン


悪夢鈴谷「うわっ!」サッ


熊野「まだまだですわ!」ドーン


悪夢鈴谷「ひっ!」ヨロッ


熊野「今ですわ!熊野キック!!!」ドゴッ


悪夢鈴谷「うわあああっ!!」ドサッ


瑞雲「」ポーイ


熊野「とおう!」キャッチ


悪夢鈴谷「あっ!瑞雲が!あーもうっ!最悪!!」


熊野「ふっふーん♪さぁ!次でフィニッシュにしtrgugstyg!!!」


一同「!?!?!?!?」


熊野「うぅ…」ヒザマヅキ


夕張「…熊野さん?どうしたんですか?」


熊野「…き…」


夕張「き?」


熊野「気持ち悪…」


夕飯「えっ?」


鈴谷「…熊野、暫くずっと動いてなかったみたいで…体がダルくなってたみたいで…(笑)」


暁「情けないわね」


熊野「面目ないです…」


熊野「瑞雲さん…」


瑞鶴「瑞鶴よ」


熊野「瑞雲を…取り戻しましたので…お願いします…うっ…」


瑞鶴「えっ?私⁉」


熊野「頼みましたわ…ぐふっ…」


五月雨「熊野さーん!」


暁「レディが見せてはいけない状態になってるわ!!」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…まぁいいよ!ちょうど暴れたかったところどしね!」


悪夢鈴谷「えっ…ヤバくね?」


瑞鶴「さっきはよくもやってくれたわね!!お返ししてあげるわよ!!」


悪夢鈴谷「ダメだ!逃げなきゃ…」ダッ


瑞鶴「瑞鶴攻撃隊!全機発艦!」バシュッ


悪夢鈴谷「あぁ…あぁ…」 


ドガアアアアアアアアアアアアン


鈴谷「やったぁ!」


瑞鶴「よし!」


熊野「…ふぅ、収まりましたわ…」


鈴谷「熊野~!」ダキッ


暁「熊野さ~ん!」ダキッ


熊野「ちょっと!何するんですの!!もう!」


鈴谷「いーじゃん別に。ねぇ?」


暁「そうそう!いいでしょ?」


瑞鶴「あはは、熊野さん人気者だね」


熊野「困りますわ!もう…」


熊野「…でも、ありがとう…」


鈴谷「熊野~!」


暁「熊野さ~ん!」


熊野「あーっ!だからもーーっ!」


夕張「ふふ」


五月雨「(楽しそう…)」


悪夢暁「」ガタッ


一同「!?」


悪夢暁「はぁ…はぁ…」


悪夢暁「…あ」


悪夢暁「」ダッ


睦月「あっ!逃げた!」


鈴谷「よし!瑞鶴さん!もいっかい瑞雲でやっつけて!」


瑞鶴「よしきた!ってあれ?ない…」


鈴谷「…瑞鶴?まさか本当に全機発艦しちゃったの?」


瑞鶴「うん!」


鈴谷「元気のいい返事!許す!」


瑞鶴「許された!」


熊野「いやいやいや!」


五月雨「それじゃあどうするんですか‼偽者暁さん高速で逃げちゃいましたよ」


「…」


「…」


五月雨「誰もいい案を思いついてない!!」


暁「…」チラッ


暁「…ねぇ」


夕張「ん?」


暁「あのバイクは?」


一同「あっ…」


「…」


瑞鶴「五月雨!出番だよ‼」


五月雨「わかりました!睦月!いきますよ!」


睦月「了解です!」


ブオーーーーン


ーーー


悪夢暁「はぁ…はぁ…」ビュン


五月雨「追い付いた!」ブオーーーーン


悪夢暁「!?」ドーンドーン


「」スカッ


「」スカッ


悪夢暁「ひっ…」


睦月「凄い!バイクで砲撃を避けるなんてアクション映画みたいです!」


五月雨「そうですね!なら、最後も映画っぽく決めますよ‼」主砲構え


睦月「了解です!」主砲構え


五月雨・睦月「「ダブルデストロイアタック!!」」


ドォォォォォン


悪夢暁「い、いや…」


悪夢暁「ああああああああああ!!!!」


ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン


睦月「やりましたね!」


五月雨「うん!」ニコッ


睦月「いひひ…って五月雨!!前!」


五月雨「えっ?あっ!」


バナナの皮「」


五月雨「な、何でバナナの皮がここに⁉」


睦月「五月雨!避けて~~」


五月雨「むりむりむり!!」


ツルッ


「わあああああああああああああ!!!!」


壁「」


睦月「ぶつかるううううう!!!」


ドガアアンズドオオンドンガラガッシャーン


五月雨・睦月「」チーン


「…」


「…」


瑞鶴「!!ちょっと鈴谷!暁!」


鈴谷「ん?」


瑞鶴「足!!」


鈴谷「足?」


夕張「消えてる…」


鈴谷「あぁ、やっぱり足から消えるのがお決まりなんだね…」


熊野「…お別れ…ですのね…」


鈴谷「まぁね。鈴谷達はもう轟沈したから…」


熊野「…」


暁「そんな顔しないで熊野さん。皆に熊野さんのことを伝えておくから…」


熊野「えぇ、提督達にも、よろしく伝えてください」


鈴谷「へへっ、任せてよ!」


鈴谷「…それじゃあ熊野…」


暁「熊野さん…」


鈴谷・暁「「ごきげんよう…」」


熊野「…」


熊野「…ごきげんよう」


その言葉と共に、二人は消えていった…


「…」


「…」


瑞鶴「…熊野さん…」


熊野「さ、帰りますわよ!!」


瑞鶴「うん…そうだね…」


熊野「それで、どうやって帰りますの?」


夕張「あぁ、今夢の中に入ってから6時間経ったから…あと18時間したら出れるよ」


瑞鶴「は?」


熊野「そんなに待てませんわ!!」


夕張「冗談だって…ちょっと待ってて」


瑞鶴「全く…冗談きついって…」


夕張「…」


夕張「明石~!明石~!」



~~~

~~~~~


阿武隈「…」


山城「…どっちにしようかしら…」


阿武隈「…」 


山城「…」


阿武隈「…」


山城「こっち!」スッ


『◇6』


山城「やったあああああ!!あがり!!」


霧島「おめでとうございます!」


明石「山城さん初勝利ですね!」


山城「嬉しいです…」


阿武隈「あーあ、負けちゃったー…」


夕張「明石…明石…」


霧島「ん?夕張さんが明石さんを呼んでますよ?」


明石「はい?何ですか?夕張さん」


夕張「熊野さ…任務…かんりょ…」


明石「わかりました!」カタカタ


阿武隈「えっ?何?まさか…?」


山城「成功なの…?」


明石「…これでよし」カタカタ


明石「これで皆さん起きるはずです」


「…」


「…」


「…」


夕張「ん…」ムクッ


山城「夕張さん!!」


夕張「あれ…?ここは?」


明石「現実です夕張さん」


夕張「現実…?そっか…上手くいったんですね…」


瑞鶴「ふわぁぁあ。よくねた~」ムクッ


五月雨「うぅ…腕が痺れて動かない…」ムクッ


睦月「腕に頭をのっけるからですよ…」ムクッ


阿武隈「あぁ、皆起きた!よかった…」


山城「あとは熊野さんだけ…」


熊野「…」


熊野「…うぅ…」ムクッ


熊野「何ですの…?ここは…?」


霧島「熊野さん!」


熊野「ふぇっ!?」


五月雨「やったぁ!成功だ!」


明石「よかったです…本当に…」


阿武隈「あたし、提督達に伝えてきますね」ダッ


熊野「?????」


熊野「何がありましたの…?」


明石「あぁ、よく覚えてないんですね。実は…」


ーーー


熊野「…そうですか…あれは本当の話だったのですね…」


瑞鶴「覚えてたの⁉」


熊野「えぇ」


ドアガチャ


提督「熊野が起きたって?」


三日月「!!熊野さん!」


熊野「三日月ちゃん、提督…」


提督「あぁ、本当に起きたんだな。はい、水」


熊野「ありがとうございます。喉からからでしたの…」ゴクゴク


熊野「ふう…」


提督「…さて、じゃあそろそろ別の話に移っていいかな?」


五月雨「別の話…?」


山城「何それ?」


提督「あぁ、実は執務のふりしてちょっと調べてみたんだ。悪夢病とやらを…」


明石「」ビクッ


提督「だが、そんな病は存在しなかった」


一同「えっ⁉」


瑞鶴「存在しないって…?」


提督「つまり、熊野は強い麻酔薬で眠らされてただけなんだよ。…悪夢については本当だろうけどね」


霧島「眠らされてたって…何で⁉」


提督「それは、恐らく実験データがほしいとかそんなところだろう」


提督「…なぁ?明石、夕張?」


夕張「」ビクッ


睦月「明石…?夕張…?」


五月雨「本当なんですか…?」


夕張「…」


五月雨「夕張さん!!」


夕張「ふっふっふ…見破られては仕方ない。そうです!私達の仕業なんです!」


山城「そんな…」


阿武隈「何でこんなことを…」


夕張「ただの実験の一環でした。タイムマシンの…」


提督「タイムマシン⁉」


夕張「えぇ、タイムマシンを作るにあたって必要なデータを、この装置を使ってとっていたわけです」


瑞鶴「何てことを…」


夕張「ですが、私達の目論見が見破られては仕方ないです!明石!例の装置を…」


一同「!?」


明石「…」


夕張「…明石…?ジェットパックを背負って何を…?」


明石「…」


明石「…」


明石「」ニコッ


明石「健闘を祈る」


ゴオオオオ…明石はジェットパックで空高く飛んでいった


「…」


「…」


夕張「明石ぃぃぃぃぃぃ!!!」


夕張「…」


夕張「…」チラッ


一同「」ゴゴゴゴゴゴ…


夕張「…あの~…」


熊野「…何が言うことはありますか?」


夕張「…」


夕張「再発防止に努めます」


熊野「熊野キック!!!」


ドガアアアアアン


夕張「ぎゃああああああ!!」


その後、夕張は全力で土下座し事なきを得た。


~~~


陽炎「…随分不思議な体験ね」


五月雨「確かにそうですね」


睦月「…」


提督「結局五月雨は最後まで自転車に乗れなかったけどな」


五月雨「提督!!」ポカポカ


提督「痛い痛い」


陽炎「それで、夕張さんは今でもタイムマシンを作っているの?」


五月雨「そうですよ!」


提督「…まぁさすがに元帥に報告したけどな」


五月雨「面白そうだからって許可してくれたんですよ!」 


陽炎「…何ていうか、元帥らしいわね」


提督「ただ、時折俺らを実験台にしてくんだよなぁ…」 


陽炎「確かに、この前も夕張さんにやられそうになったわ…」


陽炎「…ところで睦月は何でさっきから黙っているの?」  


睦月「」ビクッ


提督「何か後ろめたいことでもあるんじゃね?(すっとぼけ)」

 

陽炎「…これは何かあるわね…」


五月雨「…うん、あれは確か着任から9ヶ月後くらいだったかな?」


FRIENDSHIP


睦月「と~どけ~と~どけ~お~もい~よと~どけ~」


睦月「そうほにゃららたんたらかんたら~と~どけ~」


提督「歌詞覚えてないのかよ」


睦月「うーん…10年前の話ですし…」


提督「10年前って…?」


睦月「あっ、いえ!何でもないんです!」


提督「いやでも…」


睦月「っと、そういえば熊野さんにお茶誘われてたんでした。いってきますね!」ダッ


提督「あっ…いっちゃった…」


三日月「どうしたんでしょう?」

 

提督「わかんない」


提督「それより仕事だ仕事。まだまだ書類は残っているからね」 


三日月「はーい」


五月雨「…うーん…うーん…」


提督「…さっきからどうしたんだ?五月雨。落ち着きがないじゃないか」


五月雨「提督…そうなんです。最近何か落ち着かなくて…何というか…こう…うずうずするというか…むらむらするというか…そわそわするというか…」


三日月「そういえば五月雨最近演習でも余計な動作が多いですよね」


大井「はーい」


三日月「帰れ」


大井「はーい…」トボトボ


五月雨「そうですか?」  


提督「五月雨最近同じところをウロウロしているしな」


五月雨「何でしょうか…?…つわり…?」


三日月「なわけないでしょ」


提督「そんなに落ち着かないならランニングでもしてくればいいんじゃね?いい感じに疲れるし、心身ともにリフレッシュできるよ」


三日月「あぁ、それいいですね!」


提督「秘書艦も暫くは大丈夫だから」


五月雨「えっ…でも…」 


提督「そんなんじゃあまともに仕事できないでしょ。秘書艦は霧島に代わってもらうから安心して、出掛けていいぞ!」


五月雨「はい!いってきます!」ダッ


ーーー


睦月「えーっと、集合場所は何処だっけ…?」キョロキョロ


睦月「…ん?」


スタイルの良いレディ「…」


睦月「あの~…どちら様ですか?」


スタイルの良いレディ「…」


睦月「ここは一般人立ち入り禁止のはずですけど…」


スタイルの良いレディ「…一般人じゃないわ」


睦月「えっ?」


スタイルの良いレディ「私は海軍関係者よ」スッ


睦月「それは…元帥の鎮守府のエンブレム!?」


スタ(ryレディ「今は元帥の遣いをやってるわ」


睦月「はぁ…それで、この鎮守府に何用ですか?提督なら執務室だと思うんですけど…」


レディ「いいえ、あなたに会いにきたのよ」


レディ「"元"霊剣鎮守府艦娘さん?」


睦月「…っ!!何でそれを…」


レディ「知ってるのよ?あなたが受けた仕打ちもね」


睦月「…」


レディ「…復讐したいと思わない?あなたをあんな目に遭わせたやつらに…」


睦月「…元帥の差し金ですか?」


レデ「いいえ、私が勝手にやってるだけよ?元帥がこんなことをする理由がないしね」


睦月「霊剣鎮守府は10年前に壊滅したそうですよ。復讐する相手がいません」


レ「そうね。でもいるの」


睦月「えっ…」


レ「この鎮守府に、霊剣鎮守府の生き残りがいるの」


睦月「この鎮守府に…」


レ「そうよ」


睦月「…誰なんですか…その生き残りは…」


レ「…駆逐艦…」


r「五月雨」


ー大本営ー


元帥「全く…余計なことを…」


大和「ですが霊剣鎮守府のデータを採取するチャンスじゃないですか。睦月が五月雨と戦闘を行う可能性があります」


元帥「…意図して鈴原君や艦娘らを危険にさらしてのデータ採取は私のポリシーに反するのだがね…」


大和「…そうですか」


元帥「まぁ…こうなってしまっては仕方ないがね」


ーーー


睦月「…」


睦月「…」


『五月雨が霊剣鎮守府の生き残りよ』


『五月雨こそ、あなたの敵…』


睦月「…」ギリッ


ーーー


五月雨「」チーン


提督「どうしたんだこいつは…?」


五月雨「ばてた」


三日月「はやいよぉ」


島風「はーい」


三日月「帰れ」


島風「はーい…」トボトボ


提督「何気に新キャラだね」


トントン


提督「はーい」


ドアガチャ


霧島「司令…」


提督「霧島か、どうしたの?」


霧島「睦月さん知りませんか?」


五月雨「睦月?」ムクッ


提督「睦月ならさっき熊野達のお茶会に行ったよ?」


霧島「あれ?本当ですか?」


提督「うん。もしやまだきてないの?」


霧島「はい…約束の時間はとうに過ぎているはずなのに…」


五月雨「どうしたんだろう?睦月がバックれなんてしたことないのに…」


提督「何処ぞのssで言っていた…」


一同「…?」


提督「前提を疑うんだ!この世に絶対などない!」


三日月「ま、まさか…」


提督「そう、つまり霧島達はもともと睦月をお茶会に誘ってなかったということだ!」バーン


一同「な、なんだって~~~~~」


三日月「えぇ…」


提督「つまり睦月は別にバックれたわけじゃない!誘われてなかったから行かなかっただけだ!」


霧島「そんな…」


三日月「無理がありますよ」


ドアガチャ


榛名「話は聞かせてもらいました!」


提督「誰だお前は⁉帰れ!」


榛名「ハルナハダイジョウブデス…」トボトボ


ドアガチャ


瑞鶴「話は聞かせてもらったよ!」


提督「誰だお前は⁉帰れ!」


瑞鶴「ズイカクハダイジョウブデス…」トボトボ


三日月「まてまてまてーいっ!!」


瑞鶴「冗談だよ」


霧島「…で?何よ?」


瑞鶴「いや~皆でスマブラでもやらない?って誘うところだったのよ」


霧島「いいね」


瑞鶴「熊野さんと山城も一緒にやろう!提督さん達もどう?」


提督「お仕事あるの…(悲壮感)」


瑞鶴「あっ…」


瑞鶴「が、がんばってね~」ドアバタン


提督「薄情もの~~~」


三日月「はいはいやりますよ」


提督「(´・ω・`)」


三日月「何ですかその顔」


ドアガチャ


阿武隈「提督」


提督「阿武隈か…仕事の話はお断りだよ。まだまだ残ってるからね」


阿武隈「そうじゃないです!お手紙届いてますよ」


提督「…手紙?」 


阿武隈「五月雨ちゃん宛です」


五月雨「私宛…?」


三日月「何でしょうか?」


提督「ラブレターじゃね?」


五月雨「いや誰からですか…」ペラッ


『睦月はあづかった(日本語不自由)

 かえしてほしくば五月雨1人で

 南西諸島にきてくだちい

 これについて提督以外の口外を禁づる』


五月雨「!!」


三日月「どうしたの?」


五月雨「提督…」


提督「ん?」


五月雨「ちょっとこっちに…」


提督「?」


ーーー


提督「睦月が…誘拐…?」


五月雨「らしいです」


提督「成る程…深海棲艦か…」


五月雨「おそらくは」


提督「だけどわからないなぁ…睦月を人質にとって五月雨を呼び寄せて、一体何をするつもりなんだろう?」


五月雨「それはわかりませんけど…とにかく一刻も早く睦月を助けに行かなきゃですよ!!」


提督「いってくるの?」


五月雨「はい。止めますか?」


提督「いや、止めない。気をつけてな」


五月雨「ありがとうございます!いってきます!」ダッ


提督「…」


ー海上ー


五月雨「」キョロキョロ


五月雨「」キョロキョロ


五月雨「この辺だと思うんだけど…」


五月雨「ん?あれって…」


睦月「」


五月雨「睦月!!」ダッ


睦月「五月雨…」


五月雨「睦月!大丈夫?怪我とか…」


睦月「何ともないですよ」


五月雨「そっか、なら早く帰ろう。睦月を誘拐したやつがまだいるかもしれないからね」


睦月「五月雨」


五月雨「ん?」


睦月「…以前、五月雨が務めていた鎮守府…」


睦月「霊剣鎮守府だって…本当ですか?」


五月雨「どうしてそんなことを?」


睦月「答えてください」


五月雨「…うん、そうだよ」


睦月「そうですか…」


五月雨「?」


睦月「五月雨…」


睦月「睦月と勝負にゃしい!」


五月雨「えぇっ⁉何で⁉」


睦月「…睦月も、以前は霊剣鎮守府の艦娘だったにゃしい…」


五月雨「睦月もって…もしかして吹雪ちゃんと仲良かったあの⁉」


睦月「間違いないのね」


五月雨「待ってよ‼霊剣鎮守府は10年前に壊滅したんだよ?10年間睦月は何処にいたっていうの!?」


睦月「…」


睦月「誰もいない島にゃしい…」


五月雨「えっ?」


睦月「置いてかれたのです。睦月のことなんて忘れて…それから睦月はその島での生活を余儀なくされたにゃしい…」


五月雨「そんな…」


睦月「だから睦月は許さない!霊剣鎮守府の提督と艦娘どもをね!!」


五月雨「そうだったんですか…」


五月雨「…」


五月雨「わかりました。その勝負受けてたちます!」


睦月「…容赦しませんよ」ドーン


五月雨「危ない!!」サッ


睦月「」バシュッ


五月雨「…っ!!いつもより速い!?」ドーン


バシャッ


バシュッ


ドーン


五月雨「きゃあっ!!」ドガーン


睦月「まだまだぁっ!」ドーン


五月雨「うっ…」ザバーン


五月雨「何で…睦月、いつも以上に強い…」


ー岩影ー


レディ「…やはり普通の駆逐艦のスペックではないか…。霊剣鎮守府の艦娘は何か特別な力を授かっているという仮説もあながち間違いではないか」


レデ「ならば同じく霊剣鎮守府艦娘の五月雨も、その強大な力を秘めているはずなのだが、それらしい様子はないな」



レ「五月雨ではダメなのか…」


ーーー


五月雨「あぅ…」バシャアッ


睦月「…終わりですか?」


五月雨「…っ」


睦月「ならこれでとどめにゃしい!」


五月雨「睦月…っ!!」


ドーン


睦月「危ないっ!!」


ドガーン


睦月「にゃしっ!!」


五月雨「睦月!?」


睦月「うぐっ…」ボロッ


五月雨「ど、何処から砲撃が⁉」キョロキョロ


???「ちっ…さすがに沈んでないか…」


五月雨「あっ!あなたはリ級!!」


リ級「久しぶりだなぁ…」


五月雨「何でここに⁉」


リ級「別にいいだろ何処にいたって」


リ級「それに今ならお前らを始末できるチャンスだからな!」ドーン


五月雨「」バッ


リ級「外したか…ならもう一発!」


ドガアアアアアアアアアアアン


リ級「ぐっ…何だ!?」


瑞鶴「五月雨!大丈夫?」


五月雨「瑞鶴さん!それに皆さんも!どうして!?」


山城「ごめんなさい五月雨さん。たまたまあなた達の会話が聞こえて…」


五月雨「山城さん…」


山城「それに、あのリ級は…」


リ級「」


山城「やっぱり、姉さまと一緒にいたあいつね」


リ級「やっべばれた!」


山城「姉さまの仇!!ここで晴らさん‼」ドーン


ドガアアアアアアアン


瑞鶴「やったか?」


霧島「それすっごい不安になる言葉なんですけど」






ル級「」


リ級「ル級!」


瑞鶴「誰?」

 

ル級「姉さん!大丈夫ですか⁉」


霧島「姉さん…?」


山城「巡洋艦の妹が戦艦だった件」


リ級「ふふふ、聞いて驚け!」


瑞鶴「牙の勇者!」


ル級「戦隊ものにすな!!」


リ級「…改めまして」


リ級「我々は深海棲艦の誇る最強の姉妹!」


夕張「最強の姉妹?」


リ級「そうだ!すなわち、この私重巡リ級、戦艦ル級、同じく戦艦レ級、そして駆逐艦ロ級の4隻で構成されている…その名を…」


リ級「ら行4姉妹!!」


夕張「名前だっさ!」


リ級「黙れ!わかりやすくていいだろ!」


ル級「そうだそうだ!」


夕張「まぁ本人がいいならそれでいいけれども」


リ級「何か腹立つな…」


山城「ところで気になっていたんですけど…」


リ級「何だ?」


山城「ラ級なるものはいないんですか?」


リ級「」


瑞鶴「確かに」


霧島「一番大事なところよね」


リ級「…」


瑞鶴「おーい?」


リ級「…私達が一番気にしていることを…許さん!」


山城「えぇ…」


リ級「沈めてやる!!」


瑞鶴「なんか理不尽だけど、たったの2隻だけなら余裕よ」


リ級「ル級!お前が相手だ!」


ル級「はい姉さん!」


山城「このシスコン野郎…」


夕張「お前がいうな」


霧島「けれど怪しいですね…気をつけてください皆さん。何か策があるに間違いありません!」


瑞鶴「そうね、一瞬で終わらせるわ…」


リ級「ふふふ…」


瑞鶴「発艦!」バシュッ


ドガアアアアアアアアアアン


瑞鶴「やったか?」


霧島「なんどもぉ」






ル級「」


瑞鶴「あれ?効いてないくない?」


山城「瑞鶴!!また外したの⁉」


瑞鶴「嘘でしょ⁉」


リ級「いいや、あの攻撃は当たっている」


霧島「当たっている…?ってことは…」


リ級「そう、これが我々姉妹が最強の理由が1つ!それはル級の圧倒的な装甲!如何なる攻撃であれ傷付けられない!故に最強!」


夕張「チートやめろ」


リ級「何とでも言え!どうせお前らはここで海の藻屑になるんだからな!」


ル級「そうだそうだ!」


瑞鶴「くっ…悔しいけど、確かに最強ね。何か突破口はないの?」


リ級「ない!(断定)運命を受け入れるんだな。それじゃル級、あいつらは頼んだぞ。私はあの駆逐艦を破壊してくるからな」


ル級「はい姉さん!」


五月雨「!!」


夕張「まずい!五月雨ちゃん達が…」


ル級「お前の相手は私ですよ‼」ドーン


夕張「痛いよ」ドガーン


山城「結構余裕ですね…」


夕張「はぁ…火力は普通みたいですね…」


霧島「それでもダメージを与えられないんじゃ間違いなくやられますよ」


瑞鶴「うっ…五月雨達が今にもやられそうだってのに…」


瑞鶴「提督さん!何か良い作戦ないの⁉」


『…』


瑞鶴「提督さん!聞いてるでしょ‼応答を…」


『オレキュウニオモイダシタ…ナニヲ?…テキトウニカンガエトイテ…ウンワカッタ!…wwww』


瑞鶴「何でカブトボーグ見ているのよ‼こっちはピンチなの!!」


『あっ?えっ?あぁ…瑞鶴か、ちょっと待ってて』


瑞鶴「待てるか!!」


『え~っちょっと状況がわかんなくて…』


瑞鶴「何でわかってないのよ!ヘンヘンウマウマで大変なのよ‼」


『あ~…状況はわかったけど…無理じゃね?』


霧島「司令!真面目にやってください!あるんでしょう?何か良い作戦が!」


『あるには…あるけど…』


瑞鶴「はよ!!」


『…夕張』


夕張「…えっ?私?」


『そう。用意してほしいものが…』


ル級「長話もそろそろ終わりにしてくださいね!」ドーン


瑞鶴「あぁっ!!もうちょっと待って!」ドガーン


山城「仕方ない…応戦しますよ瑞鶴、霧島さん!」


瑞鶴「おっけ!」


霧島「わかりました!」


ーーー


五月雨「はぁ…はぁ…」ボロッ


リ級「ほぅ…粘るな駆逐艦。ただ、厳重警戒されるほどでもないな。一体提督達は何故お前を怖れていたのかさっぱりわからないな」


五月雨「うぅっ…」ボロッ


リ級「安心しろ駆逐艦。これで終わりだ」スチャッ


五月雨「…っ」


ドガーン


五月雨「…」


五月雨「…」


五月雨「…あれ?」


睦月「うぁっ…」ボロッ


五月雨「睦月⁉」


睦月「」ザバーン


五月雨「睦月!!」


五月雨「睦月!しっかりして!」


睦月「…あっ、五月雨…」


五月雨「何で…」


睦月「えっ…?」


五月雨「何です私を庇ったの…私のこと、嫌いだったんじゃなかったの?」


睦月「…ごめんなさい」


五月雨「へ?」


睦月「今朝、変な女の人がきて、五月雨が霊剣鎮守府の艦娘だったって聞いて…感情的になってただけなのね…本当はこんなこと…したくなかったのに…でも睦月、変に意地になってて…五月雨にも迷惑かけて…本当にごめんなさいにゃしい…」


五月雨「…やっぱり、睦月は最初から勝負に勝つつもりはなかったんですね…」


睦月「…っ気づいてたにゃし?」


五月雨「もちろん。親友のことだもん」


睦月「五月雨…」


五月雨「…嘘だよ」


睦月「えっ?」


五月雨「ちょっとカッコつけてみただけ」


睦月「…ふふ、五月雨には似合いませんよ」


五月雨「なんだとーう!」


睦月「いしし…」


五月雨「えへへ…」


リ級「あの~私はいつまで待っていればいいんかねぇ…」


五月雨「あっ、すみません」


リ級「やっと戦う気になったか。だがお前らは満身創痍。どう考えても勝ち目はない!」


睦月「確かに…万事休すにゃしい…」


リ級「おとなしく、海の藻屑にでもなってるがよいよい」


バシュッ


睦月「にゃしっ!?」


リ級「ぐわっ!何だ!?」


霧島「何か光っている…?」


瑞鶴「五月雨だ!五月雨が光っている!!」


r「…遂にきたようね。この時が…」


ピカァァァァァァァァァァァ


スッ…


夕張「消えた…」


瑞鶴「五月雨は⁉」


五月雨「…ふぅ」


山城「何も変わりはないわね」


瑞鶴「ただ光って消えただけ!?」


五月雨「いや…違う…」


五月雨「何だか、全身に力が溢れてくるみたい!」ゴオオオオオオオ…


五月雨「それに、何だか懐かしい感じが…」


リ級「あの光…まさかこの駆逐艦は霊剣鎮守府の残党だったのか⁉厳重警戒ってのはこのこと…?」


r「あの五月雨は、10年前の霊剣鎮守府壊滅と共に失った霊剣の力を取り戻した!…これぞ私が待ち望んでいた光景…」


五月雨「…今ならあのリ級を倒せそうです!」


リ級「これはまずい!ここで沈めておかなければ…っ!!」ドーン


五月雨「」サッ


五月雨「やぁっ!」ドーン


リ級「くっ…」ドガーン


リ級「…僅かだが火力が上がっている…?」


五月雨「はぁ…はぁ…」


リ級「だが相手は疲弊している…倒すなら今しかない!」


睦月「やあっ!」ドーン


リ級「何⁉」バッ


五月雨「睦月!!」


睦月「油断しないで五月雨!一緒にあいつを倒すにゃしい!」


五月雨「うん!」


リ級「このっ…!!」


ドーンドーンドガーンザバーン


瑞鶴「がんばるじゃないか。その調子で頼むよ」


山城「誰だよ」


霧島「いやそうじゃないでしょ!何観戦しているんですか!!」


ル級「はっ…そうだった…私はこいつらの相手をするはずだったんだ…」


山城「忘れるなよ…」


夕張「皆~お待たせ!調整終わりましたよ!」


瑞鶴「よくやった!これなら…」


ル級「何ですか?どんな装備で挑んでも私の装甲の前には無力!かかってきなさい!」


夕張「いっけぇーー!」ドーン


ザバッ


ル級「どうした?何故足下を狙っているんだ…ん?」


渦潮「ゴポポポポポポポポポポポポ」


ル級「う、渦潮⁉どうしてここに⁉」


夕張「ふっふっふ、これはただの主砲ではないんですよ…水中に放つとそこに渦潮を発生させる渦潮砲なんですよ!まさか提督が覚えていたなんて思いもしませんでしたが」


ル級「は?チートじゃん…」


山城「お前がいうな」


夕張「それでは、お忘れものなく~」ノシ


ル級「ああああああああああ!!!」(渦潮に飲み込まれる)


リ級「ル級ーー!!」


睦月「こっちもいきますよ!」


五月雨「はい!」


五月雨・睦月「「ダブルデストロイアタック!!」」


リ級「くそっ!ここはもう撤退だ!」


ドガアアアアアアアアアン






霧島「…逃げたようですね」


五月雨「うっ…」


睦月「はぁ…はぁ…」


瑞鶴「大丈夫?かなり被弾してたみたいだけど…」


五月雨「そんな心配するほどではないですよ。寧ろ山城さんの方が…」


山城「あぁ、私はいいのよ。慣れてるから…」


霧島「何か…大変ね…」


山城「はぁ…」


夕張「それじゃ、そろそろ帰還しましょうか」


一同「はーい」


睦月「…」


睦月「あの…」


五月雨「ん?」


睦月「皆に…言わなきゃいけないことがあって…」


瑞鶴「何?」


睦月「実は…これ、睦月が考案したんじゃないのね…」


一同「…は?」


瑞鶴「えっ?これって…五月雨に決闘申し込むやつ?その変な語尾の方じゃなくて?」


睦月「はい。この語尾はもとからにゃしい」


霧島「誰かからの入れ知恵で、睦月はそれを実行しただけって言いたいわけね?」


睦月「…」コクッ


山城「一体どうして…?」


瑞鶴「五月雨って、誰かに恨まれるようなことをしたのかな?」


山城「だとしたら相当よ」


夕張「して…その人は誰なんですか…?」


睦月「…」


瑞鶴「睦月…?」


睦月「…あの…」


五月雨「言わなくていいです睦月」


睦月「へ?」


五月雨「1人だけ、心当たりがありますから…」


夕張「まさか五月雨ちゃん…本当に何かやらかしたの?」


霧島「Q.それでその人は誰なの?」


五月雨「A.適当に考えといて!」


一同「うん!わかった!(元気のいい返事)」


ー鎮守府 執務室ー


提督「はぁ…」


三日月「どうしたんですか?司令官。何だかため息が多いようですが…」


大井「はーい」


三日月「帰れ」


大井「はーい…」トボトボ


提督「いや、何でもないよ。うん」


三日月「…そうですか…何かよくないことでもあったのかと思って…」


提督「別にそんなんじゃないよ」


三日月「だったらいいんですが…」


トントン


提督「はーい」


ドアガチャ


五月雨達「」ゾロゾロ


提督「おー皆お疲れ」


一同「…」


提督「大変だったでしょ?今日はゆっくり休んで…」


五月雨「提督」


提督「うん?」


五月雨「お話があるんですけど」


提督「何?」


霧島「実は、睦月さんを唆した者がいるようで…」


提督「唆した者…?」


三日月「何?何の話なんですか?」


夕張「三日月ちゃんはまだ知らないのか。カクカクシカジカってことがあって…」


三日月「そんなことが…」


霧島「えぇ、だからその事について提督と相談して…」


五月雨「提督…なんですよね…」


一同「…えっ?」


五月雨「睦月に復讐を提案したのも…提督なんですよね」


提督「…」


三日月「ちょっ、ちょっと待ってよ…何で司令官がそんな事するの?おかしいよ!!」


瑞鶴「そうだよ‼提督さんがそんな事するわけないよ!ね?提督さん。そうでしょ?」


提督「…いいや、五月雨の言う通りだ。ただ、復讐を提案したのは俺じゃない。俺はその提案に乗っただけだ」


三日月「嘘…だって五月雨は!司令官に恨まれる事なんたしてないじゃないですか!!」


提督「したんだよ!」ドンッ


三日月「」ビクッ


提督「あいつは…ずっと前に…」


五月雨「…」ウツムキ


瑞鶴「そんな…本当なの…?」


提督「その様子だと、覚えてるみたいだな」


睦月「五月雨…一体何があったにゃしい?」


五月雨「…10年前、北内町というところで…」


山城「…何?その町で何があったの!?」


提督「その町は俺の故郷なんだよ」


山城「提督の…?」


~~~


『10年前、俺が生意気なガキだったころだ…』


『俺には2人の幼馴染みがいた。名前は進(すすむ)と千加子(ちかこ)っていうやつらだ』


『俺達は本当に仲良かった…馬鹿ばっかりやっていたが輝いていた』


『だけどある日、町が深海棲艦に襲撃されたんだ』


『そこで、町に最も近い鎮守府の艦娘が助けにきたんだ。それが霊剣鎮守府だった…』


『艦娘達はあっというまに住民達を避難させ、そして応戦した。これには俺も遂に助かったと思っていたんだ…』


ドガアアアアアアアン


~~~


提督「進と千加子が死んだ…」


一同「えっ?」


提督「誤射だったんだ…深海棲艦と間違えたって…」


瑞鶴「それが五月雨だったの…?」


提督「…いや、五月雨ではなかった。ただ艦娘であることには間違いない!」


睦月「それで、同じ鎮守府の艦娘である五月雨を恨んで…」


三日月「で、でも司令官!五月雨は何もしてないんでしょう?だったら五月雨を責める筋合いはないはずです!」


五月雨「」フルフル


五月雨「三日月、それは違います。同じ鎮守府の艦娘として、不本意でも一般人を殺めてしまったことについては私達霊剣鎮守府全体の責任でもあります。だから私が責められるのも仕方ないんです…」


三日月「五月雨…」


五月雨「提督…私は…提督の…」グスッ


提督「お前、何か勘違いしているんじゃないか⁉」


五月雨「はえ?」


提督「俺が怒っているのはそこじゃないぞ!」


瑞鶴「えっ?違うの?」


提督「確かにあいつらを殺したことを当時の俺は許さないし、今も許す気はないけど…まぁ戦争に犠牲はつきものだってわかってるし、仕方ないってことは理解している…納得はしてないけど…」


五月雨「じゃあ何で…」


提督「…あれは今から11年前、深海棲艦の襲撃の1年前のある日のことだった…」


~~~


幼提督「~♪」


幼提督「…ん?あれは…?」


屋台「石焼~きアイス~♪」


幼提督「アイス屋さんだ!」トテトテ


幼提督「おじさんアイス1つください!」


おじさん「はいよ!500円ね!落とさないようにな!」チャリン


幼提督「わーい!やったー!五段だ~♪進と千加子に自慢しよ…」


ドンッ


幼提督「うわっ!!」ドサッ


五月雨「うわクっソ!!何だよ?」ギロッ


幼提督「」ビクッ


五月雨「…」


五月雨「…ちっ、ったく…気をつけろよ…」スタスタ


幼提督「…」


幼提督「はっ!そうだ!アイスは?」


アイスだったもの「」


幼提督「」


幼提督「ああああああああああああああああああ!!!」


~~~


提督「俺はそれ以来お前に復讐することだけを思っていたのだ!」


山城「…何かツッコミ所多過ぎて…」


霧島「これはどっちが悪いんだろうか?」


五月雨「…」


睦月「五月雨…やさぐれてんにゃあ…」


五月雨「うぅ…私の…私の黒歴史が…皆にばれた…」グスッ


夕張「…割と予想できてたけどね。私は…」


三日月「本当ですか⁉全然そうには見えないけどなぁ…」


五月雨「もう…やめてください…」


霧島「五月雨さんのライフももうないみたいですし、やめません?」


瑞鶴「そうね」


夕張「…でも提督、たかがアイスだけでそんな怒ることないでしょ…」


提督「何だと⁉夕張お前は食べられぬまま生涯を終えていったクリームや砂糖や水の粒子の気持ちを考えたことはあるか!!」


夕張「ないよ!!」


提督「…」


提督「けど…まぁそうだよな…」


一同「…?」


提督「復讐なんてしても意味ないしな…うん、悪いことしたって自覚はあるよ…」


夕張「提督…」


三日月「司令官…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「提督さん…私達…もう一度やりなおせるよね?」


山城「元カノか」


提督「…いや…」


提督「お前らに復讐することが叶わないとわかった以上!もはや俺が提督をする意味はない!」


一同「えっ?」


五月雨「ちょっと提督!!まさか…」


提督「俺はやめる!そして復讐なんてくだらないことをしようとしたことをたっぷりと反省してやるぜ!」ダッ


瑞鶴「?????」


提督「じゃあなお前ら!せいぜい生き残るこったな!まぁ俺には関係ないけどな!サラダバー!!」ドアガチャ


山城「ちょっ!!提督待って!」


ーーー


熊野「ふわあぁぁぁあ、よく寝ましたわ~」


熊野「今日は提督を夕食に誘ってみようかしら」


ドンッ


熊野「きゃあっ!!」ドサッ


提督「」ダダダダダ


熊野「提督⁉…どうしたんですの…?一体…」


五月雨「提督…」


ー3日後ー


睦月「はぁ…睦月…仕事多過ぎにゃしい…」


三日月「当たり前でしょう?司令官はやめちゃったし、それにあれだけやってまさかお咎めなし…なんて思ってないですよね?」


睦月「…思ってないです思ってないです」ビクッ


睦月「…それにしても…」


五月雨「」


睦月「五月雨…相当落ち込んでるのね…」


三日月「司令官がいなくなってからずっとこの調子。仕方ないですよ。五月雨にとって、提督は一番の相棒だったんですから…」


五月雨「ちょっとトイレいってきます…」スタスタ


睦月「…」


三日月「…」


睦月「五月雨…大丈夫かにゃ…?」


三日月「…」


睦月「…」


ドアバンッ


憲兵「憲兵だ!」


睦月・三日月「!?」


三日月「何で憲兵さんが⁉」


憲兵「…」スタスタ


睦月「け、憲兵さん…?」


憲兵「…」


三日月「えっ?…えっ?」キョロキョロ


憲兵「…」


憲兵「脱走した不届き者を捕らえたであります!」


睦月「…?脱走した…」


三日月「不届き者…?」


憲兵「おい!連れてこい!」


ポーイ


提督「ぐはっ!辞表だしただけなのに…」ドサッ


睦月「提督⁉」


三日月「どうしてここに!?」


憲兵「それでは!」ドアバタン


提督「…」


提督「…っ!!」ガバッ


提督「労働基準監督省に訴えてやる!!」


提督「くっそーあったまきた!石投げちゃおっと!」ポーイ


五月雨「ただいま…」ドアガチャ


ゴツーン


睦月「あっ…」


提督「ちょっ、五月雨!大丈夫か?」ガシッ


五月雨「…あっ…提督…」


五月雨「…」


五月雨「…提督?」


提督「何だよ」


五月雨「提督…なんですか…?本者…?」


提督「そうだっつってんだろ!!」


五月雨「提督…提督…」ポロッ


五月雨「提督ーーーー!!!」


提督「うわっ!!何だお前⁉クソ!飛び付くなこら!」


五月雨「よかった…提督が…帰ってきてくれて…」


提督「あーっ!何なんだよここは!!」


三日月「…ふふっ」


睦月「…いしし」


提督「おいお前ら!!笑ってないで助けろおおおおおおおおおおお!」


かくして


提督は引き続き悠久鎮守府で指揮をとることになりました


提督の長い復讐劇は


幕を閉じたのです


でめたしでめたし


ー大本営ー


元帥「…」


元帥「ようやく…霊剣の力を引き出せるようになったか…」


元帥「やはり鈴原君に五月雨君を任せて正解だったな…」


元帥「私の10年間の苦労が報われる日も近いか…」


大淀「…何の話ですか?」


元帥「…大淀君、いたのか…」


大淀「えぇ」


元帥「何用かね?」


大淀「率直に申しあげます…元帥、私はあなたに不信感を抱いています」


元帥「ふむ…」


大淀「私はもともと悠久鎮守府の任務娘として着任する予定でした」


元帥「そうだね」


大淀「ですが元帥は唐突に悠久鎮守府の任務娘を阿武隈に任命しました」


元帥「うんうん」


大淀「最初は私も元帥のいつものおふざけだと思っていました。ですが元帥は悠久鎮守府に艦娘を数人異動させました。しかもそのうち2人は深海棲艦からの刺客でした…」


元帥「…」


大淀「そして先程、阿武隈からとある連絡がありました」


元帥「…とある連絡…?」


大淀「あの五月雨…元悠久鎮守府の艦娘だったようですね…」


元帥「…」


大淀「元帥…。あの鎮守府は明らかにハプニングが多過ぎます。これは単なる偶然なんですか?」


元帥「…」


大淀「それに…最近元帥の協力者を名乗る女性をよく見かけるんですよ」


大淀「…元帥、あなたは…何か企んでますよね?あの協力者の女性と…」


元帥「…」


大淀「恐らく霊剣鎮守府絡みですよね?」


元帥「そうね」


大淀「元帥は…一体何が目的なんですか…」


元帥「…」


元帥「…わかった。お前にも話しておこう」


Promise


ー悠久鎮守府ー


阿武隈「」キョロキョロ


阿武隈「えっと…確かこの辺に…」キョロキョロ


阿武隈「あっ!あった!」ダッ


阿武隈「良かった…指輪、もう落とさないようにしないと…」


リ級「へぇ…面白いものが落ちてるじゃない」ヒョイッ


阿武隈「!?…あなたは…リ級⁉」


リ級「こんばんは。いきなりだけど、これもらっていくわね」


阿武隈「返して!!それは私の…」


リ級「そうなのね。これはあなたのものなのね…阿武隈。でも、これは返さないわよ」


阿武隈「何ですって…」


リ級「返してほしくば力ずくで取り返しにきなさい。まぁ、あなたには無理でしょうけどね」


阿武隈「…っ!!」


リ級「私、知ってるのよ?あなたが今どんな状況におかれてるか…」


リ級「あなたは…これ以上戦うと死んでしまうのね…」


阿武隈「くっ…」


リ級「大丈夫、別に命を取ろうとしてるわけじゃないわ。そのかわり、私に協力しなさい」


阿武隈「協力…」


リ級「そうよ。すなわち、あなたは今まで通り艦娘達と過ごし、重要な情報を手に入れたら報告する。簡単よ」


阿武隈「そ、そんなことできるわけ…」


リ級「やらないの?ならここで始末してもいいけど…」


阿武隈「え…」


リ級「どう?」


阿武隈「…いや…」


阿武隈「私は…死んじゃいけない…絶対に…」


リ級「…決まりね。明日のこの時間にまたここで会いましょう」指輪ポーイ


阿武隈「あっ!」キャッチ


リ級は姿を消した


阿武隈「…」


阿武隈「…とんでもないことになっちゃった…」


阿武隈「でも、私は絶対に死んではいけないの…」


阿武隈「絶対に…」


提督「阿武隈?」


阿武隈「ひゃいっ!!」


阿武隈「て、提督⁉」


提督「…おい、阿武隈…」


阿武隈「(ひっ…まさか聞かれてた…?)」


提督「…」


提督「…こんな夜中に何やってんだ?」


阿武隈「あ、あはは~♪」


提督「な、何だよ気持ち悪い…」


阿武隈「いや~実は私の宝物を落としてしまって~」


阿武隈「(嘘は言ってない!嘘は…)」


提督「あっそ、まぁ何にせよとっととと寝ろよ」


阿武隈「あっはい!おやすみなさい!」


阿武隈「…」


阿武隈「…はぁああああ…焦ったぁ…」


阿武隈「…」


阿武隈「…寝るかぁ…」


~~~


『あっ阿武隈…っ!!』


『提督!!しっかりしてください!!』


『阿武隈…俺からの…最期のお願いだ…っ』


『やめて…提督…最期なんて…言わないで…』


『阿武隈…お前だけは…』


『絶対に…生き延びるんだ!!』


~~~


阿武隈「」ガバッ


阿武隈「…」


阿武隈「…嫌な夢見ちゃったな…」


阿武隈「…」


阿武隈「提督…」


ーーー


睦月「」


阿武隈「…」


睦月「」


阿武隈「…」


睦月「」


阿武隈「…何してんですか」


睦月「死体ごっこ」


阿武隈「は?」


睦月「提督に教えてもらったにゃしい」


阿武隈「でしょうね」


睦月「阿武隈さんもやりますか?」


阿武隈「…貴女本当に反省してますか?」


睦月「何が?」


阿武隈「何が?じゃないですよ全く…」


睦月「…あぁ、あれですかあれ…あの~…あれですよあれ…」


阿武隈「全然思い出せてないじゃないですか…」


睦月「わかってる、わかってますから!あの後三日月にすごい咎められたんですから…」


阿武隈「まぁ、それならいいんですけど…」


睦月「阿武隈さん、三日月に咎められたくないなら、絶対に皆を嵌めるようなことをしないよーに!」


阿武隈「」ビクッ


睦月「…阿武隈さん?」


阿武隈「あっ!はい!何ですか⁉」


睦月「どうしたんですかぁ?何だか様子がおかしいですよ?」


阿武隈「ひぇっ!!何でもない!何でもないです!」


睦月「…そうですか?ならいいんですけど…」


阿武隈「…」


阿武隈「(…そうだよ…私はこれから皆を裏切るというのに…)」


睦月「ところて阿武隈さんもやりますか?死体ごっこ」


阿武隈「丁重にお断りします」


ーーー


元帥「まずは霊剣鎮守府について、君が何処まで知ってるのかな?」


大淀「霊剣鎮守府…15年間、最強と謳われた鎮守府です。艦娘数も当時最大級で、艦娘1隻で1000の深海棲艦を殲滅させたとか…」


元帥「うん」


大淀「…しかし10年間、深海棲艦との戦闘で壊滅した…私が知ってるのはここまでです」


元帥「確かにその通り。大淀君の情報に間違いはないよ」


元帥「…ただ、霊剣鎮守府はまだ多くの謎を残している。そもそも何故その鎮守府が最強であったのか?わかるかな?」


大淀「…いえ」


元帥「その要因として、霊剣鎮守府には特殊なエネルギーが溢れているからだという仮説がたてられている」


大淀「エネルギー…?」


元帥「あくまで仮説だがね。ただ、今のところこれが一番有力だよ。そしてそのエネルギーをより長い時間浴びる程強い影響をうけるようになるようだ…」


大淀「長時間浴びる程ってことは…初期艦程度になると…」


元帥「ふむ…いいところに目をつけたね」


元帥「時に大淀君。霊剣鎮守府の初期艦…誰だと思う?」


大淀「…まさか!?」


元帥「そう、悠久鎮守府の五月雨君だよ」


大淀「じゃあ、五月雨に霊剣のエネルギーが…」


元帥「まぁ、その力も鎮守府壊滅と同時に使えなくなったようだがね。だが、失われてはいない」


大淀「…元帥、貴方の目的は…一体何なんですか…」


元帥「…知りたい。霊剣鎮守府が何故壊滅したのか。見たい。霊剣鎮守府の力を…」


元帥「これまでの行動は全てこのためだよ」


元帥「そして今、あの協力者君に五月雨君の内に秘めた力を引き出す手伝いをしてもらってたんだ」


大淀「…あの女性が…。元帥、その協力者とやらは何者なんですか!?」


元帥「さぁ?なんとか財団の人ってことくらいしか…」


大淀「なんとか財団って…重要なところわかってないじゃないですか…」


元帥「…まぁ何とかなるでしょう」


大淀「本当に大丈夫なんですか…?」


元帥「…多分」


大淀「えぇ…」


ーーー


五月雨「~♪」


「」フッ…


五月雨「…?」


五月雨「誰かいるんですか…?」


五月雨「」キョロキョロ


五月雨「…」


五月雨「…いるんですよね。出てきてください」


スタイルの良いレディ「…ふふっ、さすがに気がつくわよね」


五月雨「…誰ですか?ここは一般人立ち入り禁止ですよ」


スタイルの良いレディ「そう、やっぱり睦月と同じこと言うのね」


五月雨「睦月を知ってるんですか⁉…まさか、睦月が言っていた海軍関係者って貴方の事ですか…?」


ス(ryレディ「…さぁ?どうかしら?」


五月雨「ふざけないでください!!貴方が提督と睦月を唆したんでしょう!!私に何の恨みがあって…」


レディ「あら、ごめんなさいね。別に恨みはないの」


五月雨「なら何故…」


レデ「以前の戦いで、貴方は新しい力を手に入れたはずよ。いや、正確には取り戻したってところね…」


五月雨「取り戻した…?貴方はあの力について何か知ってるんですか?」


レ「えぇ、あれは霊剣の力…貴方はずっとその力を秘めていたのよ」


五月雨「霊剣…」


レ「貴方を嵌めたのはその力を解放するためだったの…ごめんなさいね」


五月雨「…何でそんなことを?」


レ「何故かって…?ふふ、その力を…私のものにするためよ!!」


五月雨「!?」


レ「ずっと…この時を待っていた…霊剣の力を手にするこの時を…っ!!」


五月雨「…っ貴方なんかには…渡しません!!」艤装展開


レ「ふふ…」


レ「…」


r「…あれ?」


五月雨「…?」


r「おかしいわね…あの光がないじゃない…」


五月雨「えっ…」キョロキョロ


r「何故…?」


五月雨「…っ!!」


r「怯えているから…?五月雨が…」


五月雨「…」フルフル


r「…駄目ね。今回はやめておきましょう。霊剣の力について、もっと調査を進めないと…」


五月雨「ま、待って!」


r「…ん?」クルッ


五月雨「貴方は…貴方の名前は…何なんですか…」


r「…」


r「…名前…ね…」


被験体「そうね…被験体…って呼べばいいわ」


五月雨「被験体…」


被験体「それじゃあね五月雨。また会いましょう」


「」フッ…


五月雨「…何だったんでしょうか?」


ーーー


提督「…」カキカキ


提督「…」カキカキ


提督「…」カキカキ


提督「…」カキカキ


提督「…」カキカキ


提督「あああああああああ!!!!」


三日月「」ビクッ


提督「ほんまおもんねーこのクソ書類!!」


三日月「書類に怒ってどうするんですか…なんだか某youtuberみたいな怒り方してますよ?」


提督「はぁ…何で俺がこんなことしなきゃならないんだよ…」


三日月「国のためです。それに今回はいつもより仕事少ないんですからさっさと終わらせちゃいましょう!」


提督「…そういえば今日の阿武隈何かおかしいよな」


三日月「そうですか?」


提督「なんつーか…元気ないんだよな…」


三日月「確かに、いつもはにこやかに書類を持ってくるのに…」


三日月「もしかしたら私達にうしろめたい事でもあるのかもしれませんね」


提督「よっしゃ!それを見つけて阿武隈の弱みを握ってやろうぜ!」


三日月「仕事が終わったらでーす」


提督「…」


ー夜ー


阿武隈「」ザッザッ


阿武隈「…」キョロキョロ


阿武隈「…誰もいないよね…?」


阿武隈「…」キョロキョロ


阿武隈「…うん。いないね…」


リ級「来たのね…」ザバッ


阿武隈「…」


リ級「それで、艦娘達には気づかれてない?」


阿武隈「大丈夫です…これ…鎮守府の資料をバレない程度に持ってきました…」スッ


リ級「慎重ね。まぁいいけど…」


リ級「…」


リ級「…ねぇ阿武隈さん?」


阿武隈「はい?」


リ級「本当に艦娘達には気づかれてないのよね?」


阿武隈「う、うん…」


リ級「なら後ろのあいつらは何?」


阿武隈「後ろ…?一体何が…?」クルッ


提督と艦娘達「」


阿武隈「…」


瑞鶴「阿武隈さん…」


阿武隈「えええっ!?何で皆さんがいるの⁉」


三日月「実は阿武隈さんの様子がおかしいって話になって…」


提督「後をつけてみたらまさかこんなところで情報を売っていたとはなぁ?」


瑞鶴「阿武隈さん!!どうして…」


五月雨「おかしいと思っていたんです…任務娘が急に変わるなんて…」


阿武隈「いやいやちょっと待って!違う違うそれは本当に違う!本当に大淀さんから代わるように切り出されて…」


リ級「阿武隈に協力を申し出たのは昨晩よ。それまでは彼女は私達に手を貸してないわ」


山城「あぁ、そうだったの…」


瑞鶴「ごめんね阿武隈さん…勘違いしちゃって…」


提督「ってことは阿武隈、たった1日でバレたって事じゃん…」


霧島「阿武隈さん…向いてないですね…」


阿武隈「( ;∀;)」


提督「泣くな泣くな!!」


リ級「クソ…最近失敗続きで嫌いな奴から馬鹿にされてるってのに…」


霧島「深海も大変なのね…」


リ級「そうなんだよ…提督がなかなか褒めてくれないからモチベ上がらなくてなぁ…」


三日月「わかりますその気持ち…司令官文句が多くて…」


デ・ロイテル「わかるわかる」


提督「愚痴りあうな!!後お前は誰だ!帰れ!!」


デ・ロイテル「はーい…」トボトボ


瑞鶴「…それで、何故阿武隈さんは深海棲艦に協力なんてしてるの?」


阿武隈「…」


リ級「私が脅したからだよ。言うこときかなきゃ〇すぞって…」


リ級「特に死を誰よりも怖れているこいつには効果てきめんって訳だ!」


提督「でも、失敗したんでしょう?」


リ級「(´д`|||)」


瑞鶴「…本当なのね。阿武隈さん…」ガシッ


阿武隈「…はい…」


瑞鶴「私達の友情はそんなもんだったの!?」


山城「ちょっと瑞鶴落ち着いて…」


阿武隈「…瑞鶴さんには…」


瑞鶴「えっ?」


阿武隈「瑞鶴に私の気持ちはわからない(575)」


阿武隈「私は…絶対に生きていかなきゃいけないんです。そのためには…私は何だってします…」


瑞鶴「阿武隈さん…何が貴方を駆り立てているの…」


リ級「…おもしろい。阿武隈お前、深海棲艦の改装をしないか?」


阿武隈「深海棲艦の改装…?」


リ級「そうすればお前も戦う事ができる」


リ級「より強大な力を得てな…」


瑞鶴「リ級!!」


提督「その心は?」


リ級「もう何でもいいから何かしら成果を出さなきゃあかんのよ…って何言わすんじゃいっ!!」


睦月「草」


リ級「はぁ…それで、どうだ?」


阿武隈「改装すれば、私の艤装の不調も直るのね…」


リ級「そうだ」


阿武隈「わかりました…」


霧島「は?」


リ級「決まりだな。さぁこい!」


阿武隈「はい」


瑞鶴「待って!」ダッ


五月雨「やぁっ!!」ドーン


リ級「ル級!!」


ザバッ


ル級「はい!姉さん!」ドガーン


霧島「何!?」


ル級「(´ゝ`)」


提督「やはり傷付けられないか…一体どんな装甲してんだよ…」


ル級「私の装甲は無敵ですからね!」


リ級「ただ、今の駆逐艦の砲撃…以前よりパワーを増しているように見える…怒りで更にエネルギーが増大になったのか…?」


リ級「…まぁそんなことはどうでもいい…。行くぞル級、阿武隈」


ル級「はい!」


阿武隈「…はい」


カツサンドルフ「サイゼ食ってる奴らは貧しい!」


瑞鶴「待って!阿武隈さん!!」


ドガーン


瑞鶴「うわっ!」


瑞鶴「…あれ?」


提督「逃げられたな」


瑞鶴「そんな…」


「…」


瑞鶴「阿武隈さん…どうして…」


霧島「リ級は…阿武隈さんは死を誰よりも怖れていると言ってました。…熊野さん同様、何か壮絶な過去があったのかもしれません」


提督「仲間の死に恐怖する熊野と、自分の死に恐怖する阿武隈…まさに正反対って感じだな」


睦月「それを突き止める事が、阿武隈さんを改心させる鍵になるかもにゃしい!」


瑞鶴「でも…阿武隈さんは今ここにはいないよ?どうやって突き止めるの?」


一同「…」


提督「…そもそも何で阿武隈を助けようとするんだ?」


三日月「…えっ?」


瑞鶴「何でそんなこと言うの?今まで皆でやってきたじゃないの…」


山城「そうですよ!私達はそうやって仲間になっていったじゃないですか!」


提督「確かにこれまで、お前らが敵対してくることも多くあった。だが霧島や扶桑は深海棲艦によって洗脳されていた、本意ではない。睦月に関しても…まぁ半分くらい五月雨が悪かったので仕方ないけど…」


五月雨「提督今私情を入れましたよね?」


提督「だが今回は違う。阿武隈は自分の意思で奴らの仲間になることを選んだ。擁護する必要なんてないはずだ」


一同「…」


五月雨「…でも、阿武隈さんは大切な仲間ですよ…」


睦月「…そうにゃしい。阿武隈さんも、こんな事望んでないと思うのね」


三日月「私もできることをやりますから…今まで通りの生活に戻りたいんです!」


山城「えぇ、私も…皆に助けられたから、私も阿武隈さんを助けたいです!」


瑞鶴「お願い!提督さん!何とか阿武隈さんを連れ戻したいの!認めてくれる?」


提督「…」


提督「…ちっ、勝手にしろ!俺は知らないからな!」スタスタ


五月雨「提督…」


瑞鶴「提督さん…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…やろう!皆で阿武隈さんを連れ戻すのよ!」


「「「おーっ!!」」」


ーーー


三日月「…それで、どうやって阿武隈さんを連れ戻すんです?」


瑞鶴「えっ?」


三日月「ですから、阿武隈さんを連れ戻す方法を…」


瑞鶴「えーっと…ロープでぐるぐる巻きにして、地下に監禁して…」


睦月「ヤンデレかな?」


五月雨「そんな物理的な方法なんですか…」


瑞鶴「だって…特に何も考えてなかったし…」


睦月「駄目じゃん」


山城「…普通真っ先に説得を思いつくでしょ。どんだけバイオレンスなのよ貴方の脳内は…」


瑞鶴「面目ない…」


睦月「でも説得ったってそんな簡単な事じゃないでしょ。阿武隈さんの本質を見抜かなきゃいけないんじゃないかにゃ?」


一同「…」


山城「…どうやって?」


睦月「それは…」


睦月「…」


睦月「…わからないけど…」


瑞鶴「駄目じゃん」


五月雨「…いえ、そうでもないかもしれませんよ」


一同「えっ?」


五月雨「元帥なら、もしかしたら何か知ってるかもしれません」


山城「あぁ、確かに。でも提督が協力してくれないんでしょ?知ってても聞き出せないんじゃないの?」


瑞鶴「大本営と唯一繋がってる阿武隈さんがそもそもいないし…詰んでない?」


一同「…」シーン


五月雨「…」


五月雨「…私が聞いてきます!」


ーーー


<デンワダヨオオオオオオオオオオオオオ!!!


大和「」ビクッ


元帥「あっ!電話だ…」


大和「提督…その着信音どうにかなりませんか?」


元帥「えぇ、気にいってるのに…っと、回生鎮守府元帥だ。用件は?」ガチャ


『あっ、あの…お久し振りです…悠久鎮守府の五月雨です…』


元帥「おぉっ!五月雨君じゃないか。どうだい最近は?何だかここのところ大変そうじゃないか」


『えぇ、お陰様で何とかやっていけてます。』


元帥「そうかそうか。それで?今日はどうしたのよ」


『あの…実は元帥にお伺いしたい事がありまして…』


元帥「ふむふむ」


『阿武隈さんの事なんですけど…』


元帥「阿武隈君か…成る程、遂にトラブったのかな?」


『遂にって…元帥。もしかしてわかってたんですか!?』


元帥「…まぁね。阿武隈君もなかなか訳ありだからね」


『元帥、やっぱり訳ありの艦娘ばかりをここに派遣させていたんですね…』


元帥「ありゃ?バレてた?」


『…まぁいいです。それより阿武隈についてですが…』


元帥「あぁごめんごめん」


『阿武隈さん…過去に何があったんですか?』


元帥「…うーん…」


元帥「そうだね…説明するよ…」


元帥「阿武隈は…去年までは普通の艦娘だった…」


元帥「出撃して、遠征に行って、時には周りから弄られて…そんな何気ない日々を過ごしていた…」


元帥「ところで阿武隈君はその鎮守府の提督君と婚約していたんだよ」


『えっ⁉阿武隈さんが⁉』


元帥「そうそう。二人とも嬉しそうに報告してきてねぇ…さぞかし幸せだったろうに…」


『…?』


元帥「そんなある日、その鎮守府は深海棲艦の策に嵌められて壊滅したんだよ」


『えっ?』


元帥「詳しくは知らないけど、阿武隈君はかなり無茶をしたみたいでねぇ…艤装は最早修復不可能な状態で、しかも次出撃でもしたら死んでしまうらしいんだよ」


『そんな…阿武隈さんが…』


元帥「だから阿武隈君は戦うのをやめさせて、任務娘にしたたんだよ。彼の最期の言葉…『お前だけは生き延びろ』…それを成し遂げるためにね」


『…』


元帥「…私が知ってるのはこれくらいだよ。お役に立てたかな?」


『…はい!ありがとうございました!』


元帥「そっかそっかそりゃあよかった。それじゃあ五月雨君も頑張ってね~」


『はい!』


ガチャ


元帥「…ふぅ」


元帥「…」


大和「…提督?」


元帥「大和君…」


大和「は、はい!」


元帥「今日の夕飯はビビンバがいいな」


大和「」ズコーッ


ーーー


五月雨「…って事があったみたいで…」


山城「成る程…そんな事が…」


三日月「阿武隈さん…辛かったでしょうね」


「…」


睦月「…それで、どういった具合で説得するのかにゃ?」


一同「…」


三日月「…皆で考えてみましょうか」


山城「そうね。何か意見があったら遠慮なく言って」


一同「はーい」


ー 5 hours later ー


睦月「…ない…」


睦月「意見が…ない…」


山城「説得ってどうすればいいのよ…」


五月雨「やりいか食べたい…」


睦月「えんがわ~~」


三日月「玉子がナンバーワンです…」


山城「何でお寿司の話になってるのよ!!」


睦月「だってぇ…」


瑞鶴「…」


瑞鶴「…仕方ない…」


五月雨「どうしたんですか?」


瑞鶴「提督さんに相談してくる…」


一同「えっ?」


五月雨「何言っているんですか⁉提督は関わらないって言っていたじゃないですか!!そんな事しても無駄ですよ‼」


瑞鶴「そうかもだけどっ!!…でも、私達だけじゃ阿武隈さんを連れ戻せない…提督さんの力が必要なの…」


瑞鶴「だからダメ元だけど…」


山城「…私も行くわ」


瑞鶴「山城…」


山城「阿武隈さんは無理でも、提督ならちょろそうだし大丈夫でしょ」


五月雨「山城さん…」


瑞鶴「それじゃ、行ってくるね」


睦月「お土産買ってきてね~」


瑞鶴「買うか!!」


ー執務室ー


トントン


提督「…入れ」


ドアガチャ


瑞鶴「…提督さん」


山城「提督…」


提督「…お前らか。何だ?」


瑞鶴「阿武隈さんを連れ戻したい…提督さん、何か良い方法はない?」


提督「さっきも言ったはずだ。俺は知らないって…」


瑞鶴「そんな事はわかってるよ!!」


提督「…っ!!」


瑞鶴「わかってるけど…駄目なの…私達じゃ力不足だった…」


山城「提督も本当は考えてあるんでしょう?阿武隈さんを連れ戻せる方法を…」


提督「…さぁ?どうだか」


瑞鶴「提督さん…」


瑞鶴「お願いします。教えてください」


提督「…」


瑞鶴「…」


山城「…」


提督「…」


提督「…こい!お前ら。作戦会議だ」


瑞鶴「提督さん!」パァッ


山城「提督…」パァッ


提督「ええいうっとおしい!はよこっちこい!」


瑞鶴「ぬー」


提督「やる気のない返事しない!」


ー深海ー


阿武隈「あの…まだ改装してもらえないんですか…?」


リ級「そう慌てるな。お前には経験値が足りないようだ…」


阿武隈「経験値…?」


リ級「そうだ。だから一度出撃する必要がある。海上航行くらいできるだろう?」


阿武隈「は、はい…」


リ級「だからお前は戦闘せず見ているだけでいい…それなら安心だろう?」


阿武隈「…」


リ級「…さて、では早速行こうじゃないか」


阿武隈「はい」


バシュゥゥゥゥゥウン(出撃)


???「…ねぇあんた…」


???「…何?」


???「あれ大丈夫なの…?」


???「さぁ…?最近あいつ失敗続きだったから不安なのか?」


???「それもそうだけど…あの艦娘よ。あの艦娘…?…あぁ、そのうち裏切りそう…とか?」


???「形だけ入ったは良いものの未だ踏ん切りがついてないように見えるわ」


???「確かに…実力はありそうなんだけどねぇ…」


???「…」


???「…まぁ大丈夫でしょ」


???「根拠は?」


???「…ない…けど…」


???「…」


ー海上ー


五月雨「瑞鶴さん…ここは何処なんですか?」


瑞鶴「わかんない。適当に移動してる」


五月雨「大丈夫なんですかそれ…」


三日月「あの~…私戦えないんですけど…」


山城「いいのよ。黙って連いてきなさい」


五月雨「はい…」


睦月「…瑞鶴さん。本当に阿武隈さんを連れ戻す事ができるんですか?」


瑞鶴「うん。きっと…」


ブクブク…


一同「!?」


山城「深海棲艦…」


ブクブク…


ザバッ


リ級「艦娘はっけーん」 


阿武隈「…」


五月雨「あっ!阿武隈さん!!」


リ級「えっ…またお前らかよ!!」


睦月「わかってなかったんかい」


リ級「…まぁいい。こっちには阿武隈がいる。迂闊に手は出せまい」


三日月「くっ…」


瑞鶴「リ級!阿武隈さんを返しなさい!」


五月雨「瑞鶴さん…」


リ級「ふっ…何を言っているのかしら?阿武隈は自らの意志で私達の仲間になることにしたんだ。そうだろう?阿武隈…」


阿武隈「…そうですよ瑞鶴さん…私はもう艦娘には戻らないんです…私は生き延びなきゃいけないんです…だって…」


瑞鶴「それが亡き提督さんの最期のお願いだから…でしょ?」


阿武隈「…っ!!何故それを…?」


瑞鶴「なら阿武隈さん!貴方の言う提督さんは今までどんな貴方を見てきたの!?」


阿武隈「…どんな…私?」


瑞鶴「…少なくとも、深海棲艦としての阿武隈さんでは決してなかったはずだよ!!」


阿武隈「!?」


瑞鶴「だから…その提督さんの言っていた阿武隈さんは…艦娘としての阿武隈さんだったはずなんだよ!!」


阿武隈「何を言ってるの…」


瑞鶴「深海棲艦になった阿武隈さんは、最早提督さんと一緒にいた阿武隈さんじゃない!死んだも同然だよ‼」


阿武隈「そんな…でも…私は…」グスッ


瑞鶴「阿武隈さん…大丈夫、まだ手遅れじゃない。一緒に頑張ろうよ!」


阿武隈「…皆さん…」グスッ


リ級「ふっ…それで私を倒そうと考えているな。だが迂闊に私に攻撃しようものならこの阿武隈を一瞬で海の藻屑にしてやるぞ」 


瑞鶴「いや、戦うのは私じゃない…」


リ級「何⁉」


瑞鶴「戦うのは阿武隈さんよ!!」


阿武隈「えっ?」


五月雨「何言っているの瑞鶴さん!!阿武隈さんはこれ以上戦ったら死んでしまうんですよ!」


瑞鶴「心配しないで阿武隈さん!死んでも私達は仲間よ!」


阿武隈「瑞鶴さん…」


阿武隈「…」 


阿武隈「…勝負よ!リ級!私はもう死ぬことなんて怖くない!!」


五月雨「河式隅さん!」


リ級「何だと…くっ、いいだろう。消えてなくなるがいい!」ドーン


阿武隈「やぁっ!!」ドーン


ドガーン


阿武隈「うっ…」


リ級「緩いぞ阿武隈!!」ドーン


阿武隈「あうっ…」ドガーン


リ級「お前が私に勝てるはずがない!お前の命は、残り僅かなのだからな!!」


阿武隈「…っ!!」


ドーン


リ級「ぐわっ!!」ドガーン


山城「ふぅ…」


三日月「山城さん⁉」


リ級「は?何でお前が攻撃してんだよ!!戦わないっつったろ!!」


山城「瑞鶴は確かにそう言いましたね。私は言ってませんけど…」


リ級「なっ…このクソカス共がぁぁぁ…」


山城「今ですよ!阿武隈さん!」


阿武隈「あたしは…最期まで艦娘として戦う!あの人との約束だから…っ!!」


阿武隈「やあぁぁぁぁぁぉぁぁぁっ!!!」バシュッ


ドガアアアアアアアアアアアアン!!!


五月雨「!!」


睦月「やった!」


瑞鶴「おぉ…」






ル級「」


山城「何⁉ル級⁉」


ル級「姉さん!大丈夫ですか⁉」


リ級「あぁ、助かった…」


瑞鶴「またあんたね!!」


ル級「ここは姉さんの身を案じて撤退します!次はありません…覚悟してください…」


バシュッ


五月雨「うわっ!」


睦月「っ!!」


(リ級達は撤退した)


ーーー


阿武隈「はぁ…はぁ…大丈夫ですか?皆さん…」


睦月「うん。大丈夫にゃしい…」


三日月「阿武隈さんこそ…大丈夫ですか⁉」


阿武隈「あたしは…」


ブクブク…


三日月「あっ阿武隈さん!足!沈んでますよ!!」


阿武隈「…うん。そろそろ限界みたい…」


睦月「そんな…」


五月雨「阿武隈さん…」


阿武隈「ごめんね…皆…たくさん迷惑かけて…」


三日月「うぅっ…」グスッ


阿武隈「最期に…艦娘として戦えて、嬉しかった…」


五月雨「阿武隈さん…」グスッ


阿武隈「皆…ありがとう…じゃあね…」


(阿武隈は海の底へ沈んでいった…)


五月雨「阿武隈さぁぁぁぁぁぁぁあん!!!!」


睦月「…」


三日月「ううっ…えぐっ…ひっく…」ポロポロ


瑞鶴「…」


山城「…」


ブクブク


一同「!?」


バシャッ


阿武隈「ごほっ…げほっ…うえっ…ぐほっ…」


五月雨「えっ…」


阿武隈「あうぅ…何?」


一同「???????」


五月雨「えっ…と?阿武隈…さん?」


阿武隈「ふぇ?えっ?何で?」キョロキョロ


睦月「いやこっちのセリフにゃしい…」


三日月「何で阿武隈さんが浮かんできたんです!?」


バシャッ


ゴーヤ「はぁ…何とかなったでち…」


イク「やれやれ提督も人使い荒いの…」


三日月「せ、潜水艦⁉」


五月雨「一体どういうこと!?」


阿武隈「????」


瑞鶴「ごめんね皆。実はこれ、阿武隈さんを連れ戻す作戦だったの…」


阿武隈「はぁあああ!?」


山城「まず提督が用意したセリフで、阿武隈さんを誘導し、リ級と戦うよう仕向け、リ級を倒す。そして阿武隈さんを一度轟沈させて艤装の機能を停止。後は潜水艦に手伝ってもらって阿武隈さんの体のみを救出する…といった作戦だったのよ」


五月雨「じ、じゃあこの潜水艦は…?」


ゴーヤ「要塞鎮守府の潜水艦でち!」


瑞鶴「五月雨の同期の吹雪?と提督さんの同期の相馬提督さんがいる鎮守府だよ!」


睦月「何だ…提督も協力してくれてたのね…」


阿武隈「もう、酷いですよ…あたし本気で覚悟してたんですからね!」


瑞鶴「ごめんて」


阿武隈「もー…」


ゴーヤ「あの…できれば早くしてほしいでち…」


瑞鶴「あぁ、ごめん。それじゃあ帰投しよっか」


ー数日後 執務室ー


相馬「…よし!これなら阿武隈ちゃんにピッタリじゃない?」


阿武隈「わぁっ!本当です!ありがとうございます!」


提督「…悪いな。阿武隈の艤装の建造までしてもらって…」


相馬「うふふ、いいのよ。鈴原の頼みならこれくらいお茶の子さいさいよ!」


提督「そりゃありがてぇ」


相馬「ふふっ…まぁ初期状態になっちゃってるからそこはご勘弁だけどね…」 


阿武隈「いえいえ!作り直して頂けただけで充分過ぎますよ!」


相馬「あらそう?よかった。それじゃあ私はそろそろお暇させてもらうわ」


提督「あぁ、また何かあったら頼むぞ」


相馬「えぇ、こっちも何かあったら頼むわね」


提督「おう」


阿武隈「本当にありがとうございました!」


相馬「はーい。阿武隈ちゃんも元気でね~」


相馬「五月雨ちゃんもまたね?」


五月雨「はい!お気をつけて!」


相馬「鈴原の事よろしくね?彼、時々ポンコツだから…」ヒソヒソ


提督「ヒソヒソ話はもっと静かにしたほうがいいぞ!!」


相馬「あらら、それじゃあね~」


ドアバタン


阿武隈「…」


三日月「…いい人でしたね」


五月雨「そうですね」


提督「…」


阿武隈「あの…皆さん…」


一同「?」


阿武隈「改めて、ありがとうございました」


五月雨「阿武隈さん…?」


阿武隈「皆さんのお陰であたし、目が覚めました。これからも暫く、ここの任務娘代理でやっていきますから…」


阿武隈「あたしからの感謝とお詫びの印として…どうぞ」


五月雨「…?」


三日月「何何?」


書類「」ドサッ


提督「…」


五月雨「…」


三日月「…」


阿武隈「それでは…」


ドアバタン


提督「おい待て阿武隈!!」ダッ


五月雨「鬼!悪魔!阿武隈!」ダッ


三日月「流石に酷いですよ!」ダッ


<キャーー


<ドンガラガッシャーーン


<ナニシテンダオマエーー


<コッチクンナーーー


<アアアアアアアアアア!!!!!


相馬「…」


相馬「…ふふっ」


相馬「ここも随分騒がしいのね」






後書き

「次回!最終回!」


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2022-06-16 06:48:51

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