プランB
概要
かなり前にボツにしたやつ。タキオンシナリオの裏の物語です。タキオンがやたらお茶目だったりトレーナーがしゃしゃり出て来たりしますがそれでもいいって方のみどうぞ
前書き
これは私、アグネスタキオンがトレーナーと共にプランAの完遂を志す…それ以前の物語だ。
私の名前はアグネスタキオン。ウマ娘の可能性の果てを追求するべく中央トレセン学園に入学し、日々非道な研究に勤しんでいる普通のウマ娘だ。
タキトレ「タキオン!クラシック三冠達成しようぜ!」
と、某中島君のような誘い方をしているこの人間が私のモルモ…トレーナー君だ。
彼は退学寸前の私を捕まえ、我と可能性の果てを見たいと言い出したかと思えば突然私の薬を三本も飲み始めるなど私でもドン引きするような行動を平気でする狂った男だ。
タキオン「…トレーナー君。これで4度目だからよく聞きたまえよ?それは約束できない。私にも研究という大切な事があるんだ。取り敢えず皐月賞で妥協してくれよ」
タキトレ「そんな事言わずにさー。タキオンには実力があるんだ!なのに目指さないのは勿体ないよ」
タキオン「…はぁ、君も譲らないねぇ…」
タキトレ「今に始まった事でもないだろ」
タキオン「全く、困ったトレーナー君だ…」
このトレーナー、正月以来あるごとにクラシック三冠をせがんでくるのだ。しかも私の預かり知らぬところでしっかり出走予定まで組んでくる用意周到っぷり。その剣幕には流石の私でさえ圧倒され、致し方なく皐月賞の出走を約束してしまったが、多分味を占めたんだろう。
私も別にクラシック三冠を目指したくない訳ではない。では何故それでもなお彼の提案を拒み続けるのか?
結論から言えば自身の限界が近いからだ。
トレーナー君含めまだ誰にも言ってはないが、私の足は脆く、間も無く壊れてしまう。日本ダービーや菊花賞開催まで走れる保証がないのだ。
そうなれば当然三冠なんて取れないし、私が目指すウマ娘の可能性の追求を私自身が行う事もできない訳だ。
というわけで用意周到な私は事前に別のプランも用意していた。
私以外の優秀なウマ娘に代わりに走ってもらい可能性を外から追求する『プランB』。私は今このプランの実行のために動いている訳だ。
私自身が走る『プランA』が不可能であると判断した今、私に残っているのはこのプランだけだった。
タキオン「おや?あれは…」
タキトレ「ん?」
私が見た先に映ったのはウマ娘マンハッタンカフェとそのトレーナー君だった。
タキオン「カフェとカフェトレ君じゃないか!相変わらず仲良いねぇ」
タキトレ「そうだなぁ。おっしゃからかってこよーぜ」
タキオン「面白そうだ」
取り敢えず三冠の話を逸らすため、私はいつも通りカフェにちょっかいをかけに行くのだった。
タキトレ「おーいカフェトレー!!」
カフェトレ「…んだよってうわっ‼︎眩し!何だお前タキトレがよ‼︎」
タキオン「やーやーカフェじゃないかー奇遇だねぇ」
カフェ「…何ですか、貴方は…」ムスッ
二人の時間を私達に邪魔され不機嫌なこのウマ娘はマンハッタンカフェ。幽霊が見えるらしく、彼女の周りでよく怪奇現象が起きるという噂があり、また普段から見えないお友達と話している様から彼女を不気味に思う者も少なくない。私は幽霊など信じてはいないがね。
で、その担当トレーナーのカフェトレ君はカフェ曰く幽霊に好かれる体質らしく、よく怪奇現象に巻き込まれるらしい。…最近彼の精神が若干壊れ気味だと感じるのは気のせいだろうか?ちなみに何故だか彼に親近感に似た感情を抱き、カフェのトレーナーになる事を勧めたのは紛れもなく私である。
タキオン「おやおやカフェー。どうしたんだい?そんなに拗ねてー。私がこの場にいることがそんなに不服かい?」
タキオン「それとも愛しのカフェトレーナー君との時間を邪魔されて怒っているのかい?クックック…」ヒソヒソ
カフェ「…っ‼︎///」
カフェ「〜〜〜///」ポカポカ
タキオン「ちょっ、いたっ!やめてくれよカフェ!悪かったから!あいたっ!!」
カフェ「許しません!あっちいってください!」プンプン
タキオン「全く意固地だねぇ」
カフェトレ「…何やってんだあいつら」
タキトレ「戯れあってるだけだろ。微笑ましいな」
カフェトレ「それはいいけどお前俺の視界に入らんといてくんね?普通に目ぇ悪くなるから」
タキトレ「ひどい」
タキトレ「…ところでカフェ弥生賞走るんだってな」
カフェトレ「えっ?あぁ、まぁな」
タキトレ「実はタキオンもそこで走る予定なんだよ」
カフェトレ「マジか、んじゃ実際に戦う事になるのか」
タキトレ「そういう事だ」
カフェトレ「うわマジか流石にこんな光ってるやつに負けていられないよな」
タキトレ「…走るの俺じゃないけどな」
カフェトレ「お前急に揚げ足とってくるじゃん」
カフェ「…何やってるんでしょう…トレーナーさん達は…」
タキオン「戯れてるだけだろう。微笑ましいねぇ」
カフェ「…」
タキオン「そんな事よりカフェ、弥生賞の事だ」
カフェ「…貴方も…走るんですよね…」
タキオン「勿論だとも!これもまた研究の一環だからねぇ」
カフェ「…?うん。そう…だね。わかってる。貴方に…追いつくために…」
今の返事はおそらく私に対するものではないだろう。彼女は時折こうしてお友達と会話をする様子が見られる。
カフェ「私も…貴方に負けるつもりはありません…」
今度はこちらをまっすぐ見つめての発言だった。私に対しての発言に違いない。私は不敵に笑い、言葉を返した。
タキオン「クックック…では勝負といこうか。カフェ?」
彼女は小さく、そして力強く頷いた。
後書き
つづく
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